(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】鞍型の樹脂製燃料タンク
(51)【国際特許分類】
B60K 15/03 20060101AFI20230323BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
B60K15/03 B
F02M37/00 301U
F02M37/00 301J
(21)【出願番号】P 2019008313
(22)【出願日】2019-01-22
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(74)【代理人】
【識別番号】100120765
【氏名又は名称】小滝 正宏
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 貴泰
(72)【発明者】
【氏名】清水 祐児
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 勝也
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-195179(JP,A)
【文献】特開2013-177118(JP,A)
【文献】特開平7-137161(JP,A)
【文献】国際公開第2011/077527(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第1510392(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/00- 15/10
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された内燃機関に供給する燃料を、第1室および第2室の間に鞍状部を有する室内に貯留する鞍型の樹脂製燃料タンクであって、前記鞍状部には、断面において
、前記車両の上下方向に関し、上方向側の山部と下方向側の谷部が交互に複数連続的に接続される波形状部を有し、
前記鞍状部の前記波形状部は、前記鞍状部の深く絞られた領域の頂部の弧状部に形成されることを特徴とする鞍型の樹脂製燃料タンク。
【請求項2】
前記鞍状部の前記波形状部における膜厚は、前記波形状部の
前記谷部が前記波形状部の
前記山部に比べて薄く形成されている
請求項1に記載の鞍型の樹脂製燃料タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形サイクル時間を短縮する、特に、鞍型の樹脂製の燃料タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の燃料タンクとして、軽量化と車内空間の拡大に寄与する樹脂製のものが利用され、この樹脂製燃料タンクは、主にブロー成形により製造されている。また、材料としては、高密度ポリエチレン(HDPE)を主材とし、燃料の透過性の極めて少ないバリヤ層には、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EvOH)を使用している。そして、その構造は、燃料タンクの内側から、主材/接着材層/バリヤ層/接着材層/主材の3種5層や、主材/接着材層/バリヤ層/接着材層/再生材層/主材構造の4種6層の構造となっている。燃料タンク内には、バルブ類や燃料の流動音を抑制するためのバッフルプレート等の内蔵部品を設ける場合がある。
【0003】
ブロー成形による樹脂製燃料タンクの製造方法としては、特許文献1によれば、開閉面に樹脂成型品を形成するキャビティが形成され、パーティングラインで分割された成形割金型を用い、上記成形割金型をパーティングラインで開き、パリソンをダイコアから中空状に押出して、キャビティ上に配置した後に、パリソンの間に内蔵部品を取付けた内蔵部品保持装置を挿入し、内蔵部品をパリソンの内面に取付け、内蔵部品保持装置を抜去の後に成形割金型を閉じてブロー成形を行う方法が開示されている。
【0004】
一方、ブロー成形は、パリソン等の被成形体を成形する際に、被成形体の外側に金型が接しているので、成形後に被成形体の冷却に長い時間を要し、効率的に冷却することが難しい課題を有していた。そこで、特許文献2には、
図5に示すように、クロスヘッド500から吐出されるパリソン又はパリソンを切断した一対のシート又は一対のシートからなる被成形体510の内側に内側冷却用金型520を挿入した状態(A)で、被成形体510の外側に位置する外側金型530を閉じ(B)、被成形体510を冷却後、外側金型530を開き(C)、内側冷却用金型520を被成形体510の内側から離脱させ(D)、その後、再び外側金型530を閉じて被成形体510を成形する(E)ことにより、成形サイクル時間を短縮する方法が開示されている。
【0005】
ところで、一般に、自動車のフロントエンジン・リアドライブ方式のFR車や、4輪駆動(4WD、AWD)車では、エンジンの駆動力をリア・デファレンシャル・ギアボックスへ伝達するプロペラシャフトが車体下部に延在している。そして、駆動系統のバランスをとるためにプロペラシャフトは通常、車体センターに配置される。そのため、後部座席の下等に配置される燃料タンクは、プロペラシャフトと干渉しないように、タンク底面の略中央部を上方に突出させて燃料室を左右に分割させた、いわゆる鞍型状に形成される。
【0006】
図6に示すように、車両に搭載される鞍型の樹脂製燃料タンク100は、樹脂製燃料タンク100の下部壁部120の中央部140が上方に円弧状に突出した鞍状部200と、鞍状部200を挟んで車幅方向に、燃料を貯留する第1室300および第2室400から構成されている(特許文献3)。
【0007】
なお、鞍型の樹脂製燃料タンクにおける鞍状部200の上部壁部110の断面形状については、
図6に示すような、鞍状部200の上部壁部110が、第1室300の上部壁部110、および第2室400の上部壁部110に対して鉛直方向に盛り上がっているタイプの他に、第1室の上部壁部、および第2室の上部壁部と略同一面を形成しているタイプや、鞍状部200の上部壁部110が、第1室の上部壁部、および第2室の上部壁部に比べて、鉛直方向に凹んでいるタイプがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2016-047635号公報
【文献】特開2012-218212号公報
【文献】特開2018-094967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、
図6のような鞍型の樹脂製燃料タンク100をブロー成形によって製造する場合、樹脂製燃料タンク100の中央部140に形成される下部壁部120の深く絞られた領域150の、特に、頂部の弧状部160の膜厚が、パリソンの伸長度合いが局部的に異なることにより、他の部分に比較して厚く成形される。その結果、冷却時間が長くなり、成形時間が長くなる問題が発生した。
【0010】
上記の特許文献2における内側冷却用金型520を鞍型の樹脂製の燃料タンクに適用することは難しく、また、適用できたとしても内側冷却用金型520の費用およびそれを用いた成形時間などコストアップの要因になる。
【0011】
そこで、本発明は、成形サイクル時間を短縮する鞍型の樹脂製の燃料タンクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、車両に搭載された内燃機関に供給する燃料を、第1室および第2室の間に鞍状部を有する室内に貯留する鞍型の樹脂製燃料タンクであって、鞍状部には、断面において、車両の上下方向に関し、上方向側の山部と下方向側の谷部が交互に複数連続的に接続される波形状部を有し、前記鞍状部の前記波形状部は、前記鞍状部の深く絞られた領域の頂部の弧状部に形成されることを特徴とする鞍型の樹脂製燃料タンクである。
【0013】
鞍型の樹脂製燃料タンクでは、プロペラシャフト等を跨ぐ関係上、鞍状部の下部壁部には、上方に突出した深く絞られた領域が形成され、プロペラシャフト等の断面形状を反映して、深く絞られた領域の上端部分(奥行き先端部分)、すなわち、頂部には弧状部が形成される。そして、この弧状部において膜厚が他の部分に比較して厚く形成される。
請求項1の本発明では、車両に搭載されたエンジン等の内燃機関に供給する燃料を、第1 室および第2室の間に鞍状部を有する室内に貯留する鞍型の樹脂製燃料タンクであって、鞍状部には、断面において、車両の上下方向に関し、上方向側の山部と下方向側の谷部が交互に複数連続的に接続される波形状部を有し、鞍状部の波形状部は、鞍状部の深く絞られた領域の頂部の弧状部に形成されるので、パリソンの伸長度合いの局部的な変動が緩和される。その結果、樹脂製燃料タンクの略中央部の鞍状部に形成される深く絞られた領域の頂部の膜厚が他の部分とほぼ同じ膜厚まで伸ばされて薄くなり、さらに、波形状に形成されることにより、冷却される金型との接触面積が増加するので、冷却時間を短縮することができる。
また、波形状部により、樹脂製燃料タンクの略中央部の鞍状部に形成される深く絞られた領域の機械的強度が増大する。
ここで、波形状部における谷部と山部とは、波形状部における2つの頂部のうち、鞍型 の樹脂製燃料タンクを車両に搭載したときに、車体の上下方向に関し、車体の下方向側の 波形状部の頂部を谷部、車体の上方向側の波形状部の頂部を山部という。
【0014】
さらに、波形状部により、樹脂製燃料タンクの中央部の鞍状部に形成される深く絞られた領域の機械的強度が増大する結果、従前よりも高い温度で成形割金型を開いて、次工程、例えば、穴あけ加工、内蔵部品の取付等に移行することが可能になり、樹脂製燃料タンクの製造時間を短縮することができる。
【0015】
なお、波形状とは、波のように上下にうねる形をいい、波が伝わるときの一定の位置での物理量の時間的変化、または一定の時刻での物理量の空間的変化をグラフで示したもの、例えば、正弦波や三角波の他に、上に凸の円弧と下に凸の円弧が連続的に接続される形状をいう。
【0020】
請求項2の本発明は、鞍状部の波形状部における膜厚は、波形状部の谷部が波形状部の山部に比べて薄く形成されている鞍型の樹脂製燃料タンクである。請求項2の本発明では、鞍状部の波形状部における膜厚は、パリソンの伸長度合いの局部的な変動が緩和された結果、波形状部の谷部が波形状部の山部に比べて薄く形成されるので、波形状部内に断続的に薄肉部が形成され、冷却時間をさらに短縮することができる。なお、波形状部内に断続的に薄肉部が形成された場合であっても、波形状部によって、鞍状部の機械的強度が増大するので、鞍型の樹脂製燃料タンク全体としての剛性については問題ない。
【発明の効果】
【0022】
鞍型の樹脂製燃料タンクにおいて、鞍状部には、断面において、車両の上下方向に関し、上方向側の山部と下方向側の谷部が交互に複数連続的に接続される波形状部を有し、鞍状部の波形状部は、鞍状部の深く絞られた領域の頂部の弧状部に形成されるので、パリソンの伸長度合いの局部的な変動が緩和され、樹脂製燃料タンクの略中央部の鞍状部に形成される深く絞られた領域の頂部の弧状部の膜厚が他の部分とほぼ同じまで伸ばされて薄くなり、さらに、波形状になることにより、冷却される金型との接触面積が増加するので、冷却時間を短縮することができる。
【0023】
波形状部により、樹脂製燃料タンクの略中央部の鞍状部に形成される深く絞られた領域の機械的強度が増大する。また、鞍状部の機械的強度が増大する結果、従前よりも高い温度で成形割金型を開き、次工程における穴あけ加工、内蔵部品の取付等に移行することが可能になり、樹脂製燃料タンクの製造時間を短縮することができる。
【0024】
鞍状部の波形状部における膜厚は、パリソンの伸長度合いの局部的な変動が緩和されて波形状部の谷部が波形状部の山部に比べて薄く形成されているので、波形状部内に断続的に薄肉部が形成され、冷却時間をさらに短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】鞍型の樹脂製燃料タンクの断面概略図である。
【
図3】本発明の実施形態であり、
図2の深く絞られた領域15近傍を拡大した波形状部の模式断面図である。
【
図4】本発明の実施形態であり、波形状が形成された成形割金型と成形後の樹脂部分の図である。
【
図5】従来のブロー成形における冷却時間を短縮する方法及び装置の断面説明図である(特許文献2)。
【
図6】従来の鞍型の樹脂製燃料タンクの断面概略図である(特許文献3)。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1から
図4に基づき、本発明の実施形態の鞍型の樹脂製燃料タンク1について説明する。なお、
図4は、写真を元にして作成した図である。
鞍型の樹脂製燃料タンク1は
図1および
図2に示すように、メインタンク部である第1室3と、サブタンク部である第2室4と、これらを中央部14で接続する鞍状部2とからなる。第1室3、第2室4、および鞍状部2の外壁は、上部壁部11と下部壁部12に分割された成形割金型(図示しない)を用い、ブロー成形によって成形され、上部壁部11と下部壁部12は、側面において接続部13で接続されている。
【0027】
鞍状部2の下部壁部12は、樹脂製燃料タンク1の内側に上方に円弧状に突出しており、鞍状部2の下方には、プロペラシャフト42やエンジン41からの排気管(図示せす)を配置するための空間を形成している。鞍状部2の上部壁部11には満タン検知バルブ44が配置されている。また、鞍状部2の下部壁部12には、上方に円弧状に突出し、深く絞られた領域15があり、深く絞られた領域15の頂部の弧状部16には、
図3(鞍状部2における深く絞られた領域15と波形状部20の位置関係を示す模式断面図)に示すように、波形状部20が形成されている。なお、本実施形態では、波形状部20は、車両の車幅方向に形成した。波形状部20については、後に詳述する。
【0028】
メインタンク部である第1室3には、燃料43をエンジン41に移送するための燃料ポンプ45が配置されている。また、エンジン41と第1室3の間の配管にはジェットポンプ46が配置され、ジェットポンプ46からの配管は、さらに、第2室4に延びている。
【0029】
エンジン41の始動に伴い燃料ポンプ45が稼働すると、第1室3内の燃料43がエンジン41に移送される。これと同時に、燃料ポンプ45によってエンジン41に移送される燃料の流速を利用してジェットポンプ46が稼働し、ベンチュリー効果によって、第2室4からも燃料43が吸い上げられて、燃料43がエンジン41に移送される。
【0030】
鞍型の樹脂製燃料タンク1は、高密度ポリエチレン(HDPE)を主材とし、燃料の透過性の極めて少ないバリヤ層には、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EvOH)を用い、樹脂製燃料タンク1の内側から、主材/接着材層/バリヤ層/接着材層/再生材層/主材構造の4種6層構造で構成されている。なお、主材/接着材層/バリヤ層/接着材層/主材の3種5層であってもよい。
【0031】
鞍型の樹脂製燃料タンク1は、特許文献1と同様に、開閉面に樹脂成型品を形成するキャビティ31が形成され、パーティングラインで分割された成形割金型30を用い、上記金型をパーティングラインで開き、上記構造のパリソンをダイコアから中空状に押出して、キャビティ31上に配置した後に、上記パリソンの間に内蔵部品を取付けた内蔵部品保持装置を挿入し、内蔵部品をパリソンの内面に取付け、内蔵部品保持装置を抜去の後に成形割金型30を閉じてブロー成形を行うことによって製造される。なお、内蔵部品については、成形後に、鞍型の樹脂製燃料タンク1の上部壁部11に穴を開け、その穴から挿入することにより組み付けてもよい。
【0032】
図4に示すように、鞍型の樹脂製燃料タンク1の下部壁部12の波形状部20を形成するための成形割金型30のキャビティ31には、周期が25mm、幅(振幅)が5mmの正弦波形状が形成されている。
【0033】
上記の成形割金型30を用いて、従前と同じ条件でブロー成形を行った結果、
図4に示すように、波形状部20には、膜厚の厚い部分(約8mm)と膜厚の薄い部分(約5mm)ができていることが分かる。また、波形状部20における膜厚の厚い部分の厚さは、
図4の右側の直線部分の膜厚と同じであることが分かる。
【0034】
図4において、膜厚の厚い部分は波形状部20の山部21に、膜厚の薄い部分は波形状部20の谷部22に該当する。これは、上記の通り、波形状部における谷部と山部とは、波形状部における2つの頂部のうち、鞍型の樹脂製燃料タンクを車両に搭載したときに、車体の上下方向に関し、車体の下方向側の頂部を谷部、車体の上方向側の頂部を山部というからである。
【0035】
なお、成形割金型30のキャビティ31において、正弦波形状を用いる場合、周期については、10mmから50mmが望ましく、幅(振幅)は、5mmから20mmが望ましい。周期が10mm未満の場合、若しくは50mmを超える場合は、パリソンの伸長度合いの局部的な変動が十分緩和されず、本発明の効果が得難く、鞍状部2内側に上方に円弧状に突出した頂部の山部21の膜厚は、従前と同様に厚く形成される。
【0036】
また、幅(振幅)が、5mm未満の場合は、本発明の効果が得難く、20mmを超える場合は、樹脂製燃料タンク1を構成するパリソンの伸長度合いの局部的な変動が大きくなり、波形状部20の山部21の膜厚が薄くなり、所定の膜厚が得られなくなる。なお、これらの周期や振れ幅については、三角波の場合や、上に凸の円弧と下に凸の円弧が連続的に接続される場合もほぼ同様な傾向を示す。
【0037】
この結果、樹脂製燃料タンクの中央部の鞍状部に形成される深く絞られた領域におけるパリソンの伸長度合いの局部的な変動が緩和され、深く絞られた領域の膜厚が伸ばされて、他の部分とほぼ同じ、若しくはさらに薄い部分が断続的に形成されることにより、波形状部がない場合に比較して、冷却時間を約2割短縮することができた。
【0038】
また、波形状部により、樹脂製燃料タンクの中央部の鞍状部に形成される深く絞られた領域の機械的強度が増大するので、車両の車幅方向においては、鞍状部を中心に、鞍状部の左右に形成された第1室および第2室が車両の下方向に撓むことを抑制することができた。なお、車両の前後方向に波形状部を形成してもよく、この場合は、車両のねじれに起因する樹脂製燃料タンクのねじれに対する強度も増大する。
【0039】
加えて、波形状部により、樹脂製燃料タンクの中央部の鞍状部に形成される深く絞られた領域の機械的強度が増大するので、従前よりも高い温度で成形割金型を開き、次工程における穴あけ加工、内蔵部品の取付に移行することが可能になり、樹脂製燃料タンクの製造時間をさらに短縮することができた。
【0040】
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0041】
上記の本発明の実施形態では、鞍状部2の下部壁部12は、樹脂製燃料タンク1の内側に上方に円弧状に突出して形成されているが、プロペラシャフト42やエンジン41からの排気管(図示せす)の配置によっては、鞍状部2の下部壁部12の樹脂製燃料タンク1の内側に上方に突出する形状が、円弧状でなく、他の弧状の場合や、弧状に一部直線部分が加わった形状になる場合がある。この場合も、波形状部20がない状態で成形したときに、鞍状部2の下部壁部12の樹脂製燃料タンク1の内側に上方に突出した部分(深く絞られた領域15)の膜厚が他の部分に比較して厚くなる場合には、本発明が適用できる。
【0042】
上記の本発明の実施形態では、鞍型の樹脂製燃料タンク1に関し、鞍状部2が、第1室3の上部壁部11、および第2室4の上部壁部11と同一面を形成しているタイプの下部壁部12に形成された鞍状部2内側に、深く絞られた領域15の頂部の弧状部16に波形状部20にしたが、
図6に示すような、第1室300の上部壁部110、および第2室400の上部壁部110と比べて、鉛直方向に盛り上がっているタイプや第1室300の上部壁部110、および第2室400の上部壁部110と比べて、鉛直方向に凹んでいるタイプの上部壁部110に形成された鞍状部200にも適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1、100 鞍型の樹脂製燃料タンク
2、200 鞍状部
3、300 第1室
4、400 第2室
11、110 上部壁部
12、120 下部壁部
13 接続部
14、140 中央部
15、150 深く絞られた領域
16、160 弧状部
20 波形状部
21 山部
22 谷部
30 成形割金型
31 キャビティ
41 エンジン
42 プロペラシャフト
43 燃料
44 満タン検知バルブ
45 燃料ポンプ
46 ジェットポンプ