(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】有機発光表示装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20230323BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20230323BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20230323BHJP
H10K 50/00 20230101ALI20230323BHJP
H05B 33/22 20060101ALI20230323BHJP
H05B 33/26 20060101ALI20230323BHJP
H10K 59/00 20230101ALI20230323BHJP
【FI】
G09F9/30 330
G09F9/00 338
H05B33/10
H05B33/14 A
H05B33/22 Z
H05B33/26 Z
H10K59/00
(21)【出願番号】P 2017234262
(22)【出願日】2017-12-06
【審査請求日】2020-11-30
(31)【優先権主張番号】10-2016-0165997
(32)【優先日】2016-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】李 世 鎬
(72)【発明者】
【氏名】金 泰 亨
(72)【発明者】
【氏名】宋 濟 鉉
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0048886(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0293888(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0239262(US,A1)
【文献】特開2016-035888(JP,A)
【文献】特開2007-279680(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0117211(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/30-9/46
H05B33/00-33/28
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成され、画像を表示する画素領域および前記画素領域に隣接した周辺領域を含む画素と、
前記基板上の前記画素領域および前記周辺領域に形成される絶縁層と、
前記絶縁層上の前記画素領域に形成される第1電極と、
前記第1電極上に形成され、前記周辺領域に延長された有機発光層と、
前記有機発光層上に形成され、前記画素領域および前記周辺領域に形成される第2電極と、
前記基板上の前記周辺領域に配置され、前記絶縁層に形成された第1開口部により一部が露出される補助電極と、
前記補助電極上に配置され、前記第1開口部により露出された前記補助電極の上面と接触する補助部材と、を含み、
前記有機発光層は、前記第1開口部の近傍にて、前記第1開口部の底面の一部でのみ除去されることで第2開口部が形成されており、この第2開口部を通じて、前記第2電極と、前記補助部材とが接触して
おり、
前記第1開口部の内周面は、順テーパー状であり、
前記第2開口部は、ドット状であって、前記第1開口部の内周面から離隔して位置し、
前記補助部材は、前記第1開口部の内周面の一部と接触する、有機発光表示装置。
【請求項2】
基板と、
前記基板上に形成され、画像を表示する画素領域および前記画素領域に隣接した周辺領域を含む画素と、
前記基板上の前記画素領域および前記周辺領域に形成される絶縁層と、
前記絶縁層上の前記画素領域に形成される第1電極と、
前記第1電極上に形成され、前記周辺領域に延長された有機発光層と、
前記有機発光層上に形成され、前記画素領域および前記周辺領域に形成される第2電極と、
前記基板上の前記周辺領域に配置され、前記絶縁層に形成された第1開口部により一部が露出される補助電極と、
前記補助電極上に配置され、前記第1開口部により露出された前記補助電極の上面と接触する補助部材と、を含み、
前記有機発光層は、前記第1開口部の近傍にて、前記第1開口部の底面の一部でのみ除去されることで第2開口部が形成されており、この第2開口部を通じて、前記第2電極と、前記補助部材とが接触しており、
前記第1開口部の内周面は、順テーパー状であり、
前記第2開口部は、ドット状であって、前記第1開口部の内周面から離隔して位置し、
前記補助部材は、前記第1電極と、同一の材料及び層構造により、積層構造中に同一の層に位置するように形成されている
、有機発光表示装置。
【請求項3】
前記補助部材は、前記第1開口部の近傍にのみ備えられる、請求項1
または2に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記補助部材は、前記第1開口部の底面に対応する箇所にのみ備えられている、請求項
3に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記補助部材は、前記第1開口部の底面の全体にて、前記補助電極に直接に接触するように重ね合わされている、請求項1~
4のいずれかに記載の有機発光表示装置。
【請求項6】
前記第2開口部は、円形状である、請求項
4に記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
前記補助部材は、ITO(Indium Tin Oxide)、銀(Ag)およびITOが順次に積層されて形成される、請求項
2に記載の有機発光表示装置。
【請求項8】
前記補助電極は、共通電圧を伝達する共通電圧線である、請求項1
または2に記載の有機発光表示装置。
【請求項9】
前記補助電極は、モリブデン(Mo)層、アルミニウム(Al)層およびもう一つのモリブデン(Mo)層がこの順に積層されて形成されている、請求項
8に記載の有機発光表示装置。
【請求項10】
前記画素は、前記画素領域と前記周辺領域を含む少なくとも一つのサブ画素を含み、
前記サブ画素は、赤色サブ画素である、請求項1
または2に記載の有機発光表示装置。
【請求項11】
基板を準備する段階と、
前記基板上に半導体層、前記半導体層上に形成されるゲート電極、および前記半導体層に連結されたソース電極およびドレイン電極を含む薄膜トランジスタを形成する段階と、
前記基板上に共通電圧を供給する補助電極を形成する段階と、
前記薄膜トランジスタおよび前記補助電極上に形成され、前記ドレイン電極と前記補助電極の一部を露出させる第1開口部を含む絶縁層を形成する段階と、
前記絶縁層上に形成され、前記ドレイン電極と接触する第1電極を形成する段階と、
前記絶縁層に形成された前記第1開口部を通じて前記補助電極と接触する補助部材を形成する段階と、
前記第1電極および前記補助部材上に有機発光層を形成する段階と、
前記第1開口部の近傍にて、前記第1開口部の底面の一部でのみ除去されて、前記補助部材の一部が露出されるように前記有機発光層の一部を除去する段階と、
前記有機発光層上に第2電極を形成する段階と、を含む、有機発光表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記有機発光層の一部を除去する段階は、レーザを利用して行われる、請求項
11に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記補助部材は、前記第1開口部の近傍にのみ備えられる、請求項
11に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記有機発光層の一部を除去することで形成された第2開口部は、円形状である、請求項
13に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記補助部材の一部が露出される第3開口部と前記第1電極の一部が露出される第4開口部が形成される画素定義膜を形成する段階をさらに含む、請求項
11に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記ソース電極および前記ドレイン電極と前記補助電極は、同一の材料及び層構造により、積層構造中に同一の層に位置するように形成する、請求項
11に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記第1電極と前記補助部材を、同一の材料及び層構造により、積層構造中に同一の層に位置するように形成する、請求項
11に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記補助部材は、前記第1開口部の底面の全体にて、前記補助電極に直接に接触するように重ね合わされている、請求項
11に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在知られている表示装置には、液晶表示装置(liquid crystal display:LCD)、プラズマ表示装置(plasma display panel:PDP)、有機発光表示装置(organic light emitting diode device:OLED device)、電界効果表示装置(field effect display:FED)、電気泳動表示装置(electrophoretic display device)などがある。
【0003】
特に、有機発光表示装置は、二つの電極と、その間に位置する有機発光層とを含み、一つの電極から注入された電子(electron)と、他の電極から注入された正孔(hole)が、有機発光層で結合して励起子(exciton)を形成し、励起子がエネルギーを放出しながら発光する。
【0004】
有機発光表示装置は、自発光(self-luminance)特性を有し、液晶表示装置とは異なり、別途の光源を必要としないため、厚さと重量を減らすことができる。また、有機発光表示装置は、低い消費電力、高い輝度および速い応答速度などの高品位特性を示すため、次世代の表示装置として注目されている。
【0005】
このような有機発光表示装置が大型化されるほど、共通電極の電圧降下により画面に染みが発生する恐れがある。このような電圧降下を解決するために、各サブ画素にて共通電極と共通電圧線を互いに連結することが提案されている(特許文献1)。
【0006】
また、この際、共通電極と共通電圧線を互いに連結するために、有機発光層の一部をレーザで除去して前記共通電極と共通電圧線を電気的に連結することが提案されている(特許文献1)。
【0007】
しかし、レーザを用いて有機発光層の一部を除去する過程で、有機発光層の下部に位置した金属層が破損し、破損した金属層の間に有機膜の残留ガス成分が排出されて共通電極が酸化されるという問題が発生することがありうる。そこで、レーザ照射箇所にモリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タングステン(W)などのエネルギー吸収性の高い材料からなる吸収電極を設けることも提案された(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2015-079746(KR10-2015-0044083A)号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記のような技術的背景に基づき、本発明は、製造工程を追加することなしに、レーザにより有機発光層下部に位置した金属層が破損することを防止できる有機発光表示装置およびその製造方法を提供することにその目的がある。
【0010】
また、破損した金属層を通じて有機膜の残留ガスが排出されて共通電極が酸化されることを防止できる有機発光表示装置およびその製造方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置は、基板と、前記基板上に形成され、画像を表示する画素領域および前記画素領域に隣接した周辺領域を含む画素と、前記基板上の前記画素領域および前記周辺領域に形成される絶縁層と、前記絶縁層上の前記画素領域に形成される第1電極と、前記第1電極上に形成され、前記周辺領域に延長された有機発光層と、前記有機発光層上に形成され、前記画素領域および前記周辺領域に形成される第2電極と、前記基板上の前記周辺領域に配置され、前記絶縁層に形成された第1開口部により一部が露出される補助電極と、前記補助電極上に配置され、前記第1開口部により露出された前記補助電極の上面と接触する補助部材と、を含んでもよい。
【0012】
前記有機発光層は、前記周辺領域で前記補助部材上に配置され、前記補助部材の一部を露出させる第2開口部が形成されてもよい。
【0013】
前記第2電極は、前記第2開口部を通じて前記補助部材と接触してもよい。
【0014】
前記第2開口部は、円形状であってもよい。
【0015】
前記補助部材は、前記絶縁層の前記第1開口部を覆ってもよい。
【0016】
前記補助部材は、前記第1開口部の内周面の一部と接触してもよい。
【0017】
前記補助部材は、前記第1電極と、同一の材料及び膜構成(厚みや積層膜の場合の積層構造)により、積層構造中の同一の層に位置するように形成されてもよい。
【0018】
前記補助部材は、ITO(Indium Tin Oxide)、銀(Ag)およびITOが順次に積層されて形成されてもよい。
【0019】
前記補助電極は、共通電圧を伝達する共通電圧線であってもよい。
【0020】
前記補助電極は、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)およびモリブデン(Mo)が順次に積層されて形成されてもよい。
【0021】
前記画素は、前記画素領域と前記周辺領域を含む少なくとも一つのサブ画素を含み、前記サブ画素は、赤色サブ画素であってもよい。
【0022】
本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法は、基板を準備する段階と、前記基板上に半導体層、前記半導体層上に形成されるゲート電極、および前記半導体層に連結されたソース電極およびドレイン電極を含む薄膜トランジスタを形成する段階と、前記基板上に共通電圧を供給する補助電極を形成する段階と、前記薄膜トランジスタおよび前記補助電極上に形成され、前記ドレイン電極と前記補助電極の一部を露出させる絶縁層を形成する段階と、前記絶縁層上に形成され、前記ドレイン電極と接触する第1電極を形成する段階と、前記絶縁層に形成された第1開口部を通じて前記補助電極と接触する補助部材を形成する段階と、前記第1電極および前記補助部材上に有機発光層を形成する段階と、前記補助部材の一部が露出されるように前記有機発光層の一部を除去する段階と、前記有機発光層上に第2電極を形成する段階と、を含んでもよい。
【0023】
前記有機発光層の一部を除去する段階は、レーザを利用して行われてもよい。
【0024】
前記有機発光層の一部を除去する段階は、前記有機発光層の一部を除去して第2開口部を形成してもよい。
【0025】
前記第2開口部は、円形状であってもよい。
【0026】
前記補助部材の一部が露出される第3開口部と前記第1電極の一部が露出される第4開口部が形成される画素定義膜を形成する段階をさらに含んでもよい。
【0027】
前記ソース電極および前記ドレイン電極と前記補助電極は、同一の材料により、積層構造中の同一の層に位置するように形成されたものであってもよい。
【0028】
前記第1電極と前記補助部材を、同一の材料及び膜構成(厚みや積層膜の場合の積層構造)により、積層構造中の同一の層に位置するように形成してもよい。
【0029】
前記補助部材は、前記第1開口部により露出された前記補助電極の上面全体と接触してもよい。
【0030】
具体的な一実施形態によると、大画面化などに対処すべく、サブ画素ごと、または所定の数のサブ画素ごとに、第2電極(共通電極)に共通電圧を供給するコンタクトホールを備える有機発光表示装置を、下記(i)~(iv)を含む一連の工程により製造するにあたり、製造工程を追加することなしに、下記(iii)の工程にて、共通電極供給用の接続部(「補助部材410」)の金属層が破損するのを防止するようにするものである。
(i)TFT及び配線を覆う樹脂絶縁膜(「平坦化膜180」)を形成する。
(ii)樹脂絶縁膜に、第1電極(710)のパターンを形成した後、表示パネルの全面に青色や白色などの有機発光層(720)を形成する。
(iii)有機発光層を貫くコンタクトホールをレーザ照射により設けて共通電圧供給配線(「補助電極310」)の上面を露出させる。
(iv)この上に、全面に第2電極(730共通電極)を形成する。
【0031】
そして、この具体的な一実施形態によると、下記A~Bにより、下記Cのとおりとなっている。
A.共通電圧供給配線(「補助電極310」)を樹脂絶縁膜(「平坦化膜180」)より前に形成し、共通電圧供給配線の上面の一部を、樹脂絶縁膜(平坦化膜)を貫くコンタクトホールにより露出させる。
B.この露出部分に、第1電極と同時に形成される接続部(「補助部材410」)を設ける。
C.この結果、レーザ照射領域には、樹脂絶縁層が存在せず、接続部(「補助部材410」)は、共通電圧供給配線(「補助電極310」)に直接重ね合わされて、支持されている。そのため、接続部(「補助部材410」)が局部的に撓(たわ)んで亀裂を生ずることがなく、樹脂絶縁膜からの分解ガスが漏れ出して、有機発光層を酸化させることがない。
【発明の効果】
【0032】
前記のような有機発光表示装置およびその製造方法によると、製造工程を追加することなしに、有機発光層の一部を除去するレーザにより有機発光層の下部に位置した金属層が破損されることを防止することができる。
【0033】
また、有機膜の残留ガス成分により共通電極が酸化されることを防止することができる。
【0034】
また、有機発光層が発光されないことから発生する有機発光表示装置の暗点発生現象を防止することができる。
【0035】
また、有機発光表示装置で電圧降下が発生して輝度が不均一になることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の一つの画素の等価回路図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の一部配置図である。
【
図3】
図2のIII-IIIに沿って切断した断面図である。
【
図4】
図3のA領域の補助部材が破損される過程を説明した比較例に関する図面である。
【
図5】
図3のA領域の補助部材が破損される過程を説明した比較例に関する図面である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法を順次に示した図面である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法を順次に示した図面である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法を順次に示した図面である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法を順次に示した図面である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法を順次に示した図面である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法を順次に示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。本発明は、多様な異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。図面において本発明を明確に説明するために、説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似する構成要素については同一の参照符号を付した。
【0038】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したため、本発明は必ずしも示されたところに限定されない。
【0039】
図面において複数の層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して表示した。そして、図面において説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して表示した。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるという時、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。
【0040】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。また、明細書全体において、「上に」とは、対象となる部分の上または下に位置することを意味し、必ず重力方向を基準に上側に位置することを意味するのではない。
【0041】
また、明細書全体において、「平面状」という時、これは対象となる部分を上から見た時を意味し、「断面状」という時、これは対象となる部分を垂直に切断した断面を側から見た時を意味する。
【0042】
また、添付図面に示されたトランジスター(transistor)とキャパシタ(capacitor)の個数に限定されず、有機発光表示装置は一つの画素に複数のトランジスタと一つ以上のキャパシタを備えることができ、別途の配線がさらに形成されたり、既存の配線が省略されたりといった多様な構造を有するように形成することもできる。ここで、画素は画像を表示する最小単位をいい、有機発光表示装置は複数の画素を通じて画像を表示する。
【0043】
以下、
図1乃至
図3を参照して本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置について説明する。
【0044】
まず、本実施形態に係る有機発光表示装置は、それぞれが複数のサブ画素からなる複数の画素からなることができる。この時、サブ画素は、赤色、緑色または青色などの基本色を示すことができる最小単位であり、前記色を示す複数のサブ画素の組み合わせにより一つの画素で特定の色を実現することができる。
【0045】
図2および
図3を参照すると、少なくとも一つのサブ画素は、光を発光する画素領域DAと前記画素領域DAに隣接した周辺領域PAとを含むことができる。本実施形態によると、画素領域DAでは第1電極710と第2電極730との間に配置された有機発光層720で光を発光し、周辺領域PAでは共通電圧が補助電極310を通じて第2電極730に伝達され得る。
【0046】
本実施形態によると、一つの画素を構成する複数のサブ画素のうちの少なくとも一つのサブ画素が前記周辺領域DAを含むことができる。例えば、複数のサブ画素がそれぞれ赤色サブ画素、緑色サブ画素および青色サブ画素である場合、赤色サブ画素だけが前記画素領域DAと周辺領域PAを含み、残りの緑色サブ画素および青色サブ画素は画素領域DAだけを含むことができる。ここで、赤色サブ画素を通じて供給された共通電圧が緑色サブ画素および青色サブ画素でも共通に用いられ得る。
【0047】
しかし、これに限定されず、赤色サブ画素、緑色サブ画素および青色サブ画素のすべてが画素領域DAおよび周辺領域PAを含むこともできる。この場合には、共通電圧が赤色、緑色および青色サブ画素にそれぞれ供給される。
【0048】
以下、有機発光表示装置のサブ画素の細部構造を説明するに先立ち、
図1を参照して有機発光表示装置の一つのサブ画素の作動原理について説明する。
【0049】
図1は、本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の一つの画素の等価回路図である。
【0050】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の一つのサブ画素PXは、複数の信号線121、122、171、172、前記複数の信号線に連結されている複数のトランジスタTd、Ts、Tvth、複数のキャパシタCst、Cvthおよび有機発光ダイオード(organic light emitting diode、OLED)を含む。
【0051】
複数のトランジスタTd、Ts、Tvthは、駆動トランジスタ(driving transistor)Td、スイッチングトランジスタ(switching transistor)Ts、補償トランジスタ(compensation transistor)Tvthを含み、複数のキャパシタCst、Cvthは、ストレージキャパシタ(storage capacitor)Cstおよび補償キャパシタ(compensation capacitor)Cvthを含む。
【0052】
信号線121、122、171、172は、スキャン信号Snを伝達するゲート線121と、補償トランジスタTvthに補償制御信号Gcを伝達する補償制御線122と、ゲート線121に交差してデータ電圧Dmを伝達するデータ線171と、駆動トランジスタTdに駆動電圧ELVDDを伝達する駆動電圧線172とを含む。
【0053】
駆動トランジスタTdのゲート電極は補償キャパシタCvthの一端と連結されており、駆動トランジスタTdのソース電極は駆動電圧線172と連結されており、駆動トランジスタTdのドレイン電極は有機発光ダイオードOLEDのアノード(anode)と電気的に連結されている。
【0054】
補償トランジスタTvthのゲート電極は補償制御線122に連結されており、補償トランジスタTvthのソース電極は駆動トランジスタTdのドレイン電極および有機発光ダイオードOLEDのアノード(anode)と連結されており、補償トランジスタTvthのドレイン電極は補償キャパシタCvthの一端および駆動トランジスタTdのゲート電極と連結されている。このような補償トランジスタTvthは、補償制御線122を通じて伝達された補償制御信号Gcによりターンオンされて駆動トランジスタTdのゲート電極とドレイン電極を互いに連結して駆動トランジスタTdをダイオード連結させる。
【0055】
駆動トランジスタTdがダイオード連結された期間の間に補償キャパシタCvthに駆動トランジスタTdのしきい電圧に対応する電圧が設定される。
【0056】
スイッチングトランジスタTsのゲート電極はゲート線121と連結されており、スイッチングトランジスタTsのソース電極はデータ線171及びストレージキャパシタCstの一端と連結されており、スイッチングトランジスタTsのドレイン電極はストレージキャパシタCstの他端および補償キャパシタCvthの他端に連結されている。このようなスイッチングトランジスタTsはゲート線121を通じて伝達されたスキャン信号Snによりターンオンされる。
【0057】
ストレージキャパシタCstの一端は駆動電圧線172と連結されており、駆動トランジスタTdのゲート-ソース電圧は補償キャパシタCvthおよびストレージキャパシタCstに設定された電圧により決定される。有機発光ダイオードOLEDのカソード(cathode)は共通電圧ELVSSを伝達する共通電圧線741に連結されている。
【0058】
有機発光ダイオードOLEDは、駆動電圧線172から駆動トランジスタTdを通じて伝達される駆動電流Idにより発光し、駆動電流Idは共通電圧線741に流れる。
【0059】
一方、本発明の一実施形態では3つのトランジスタ-2つのキャパシタの構造を示しているが、本発明がこれに限定されるものではなく、トランジスタの個数とキャパシタの個数は多様に変形可能である。
【0060】
以下、
図2および
図3を参照して、本実施形態に係る有機発光表示装置の細部構造について詳細に説明する。
【0061】
図2および
図3を参照すると、基板110は、ガラス、石英、セラミックまたはプラスチックなどからなる絶縁性基板で形成されうる。ここで、基板110は、可撓性を有する材料からなるのでありうる。
【0062】
そして、基板110の上にはバッファー層120が形成されている。ここで、バッファー層120は、画素領域DAおよび周辺領域PAにかけて基板110の全面に形成されてもよい。バッファー層120は、窒化ケイ素(SiNx)の単一膜または窒化ケイ素(SiNx)と酸化ケイ素(SiO2)が積層された二重膜構造から形成されてもよい。バッファー層120は、不純物または水分のように不要な成分の浸透を防止するとともに、表面を平坦化する役割を果たす。
【0063】
バッファー層120の上には、互いに離隔した位置にスイッチング半導体層(図示せず)および駆動半導体層135bが形成されてもよい。以下では、駆動半導体層を中心に概略的に説明する。
【0064】
このような半導体層135bは、ポリシリコンまたは酸化物半導体からなるのであってもよい。ここで、酸化物半導体は、チタニウム(Ti)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、ゲルマニウム(Ge)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、錫Snまたはインジウム(In)をベースとする酸化物、これらの複合酸化物である酸化亜鉛(ZnO)、インジウム-ガリウム-亜鉛酸化物(InGaZnO4)、インジウム-亜鉛酸化物(Zn-In-O)、亜鉛-錫酸化物(Zn-Sn-O)、インジウム-ガリウム酸化物(In-Ga-O)、インジウム-錫酸化物(In-Sn-O)、インジウム-ジルコニウム酸化物(In-Zr-O)、インジウム-ジルコニウム-亜鉛酸化物(In-Zr-Zn-O)、インジウム-ジルコニウム-錫酸化物(In-Zr-Sn-O)、インジウム-ジルコニウム-ガリウム酸化物(In-Zr-Ga-O)、インジウム-アルミニウム酸化物(In-Al-O)、インジウム-亜鉛-アルミニウム酸化物(In-Zn-Al-O)、インジウム-錫-アルミニウム酸化物(In-Sn-Al-O)、インジウム-アルミニウム-ガリウム酸化物(In-Al-Ga-O)、インジウム-タンタル酸化物(In-Ta-O)、インジウム-タンタル-亜鉛酸化物(In-Ta-Zn-O)、インジウム-タンタル-錫酸化物(In-Ta-Sn-O)、インジウム-タンタル-ガリウム酸化物(In-Ta-Ga-O)、インジウム-ゲルマニウム酸化物(In-Ge-O)、インジウム-ゲルマニウム-亜鉛酸化物(In-Ge-Zn-O)、インジウム-ゲルマニウム-錫酸化物(In-Ge-Sn-O)、インジウム-ゲルマニウム-ガリウム酸化物(In-Ge-Ga-O)、チタニウム-インジウム-亜鉛酸化物(Ti-In-Zn-O)、ハフニウム-インジウム-亜鉛酸化物(Hf-In-Zn-O)のうちのいずれか一つを含んでもよい。
【0065】
半導体層135bが酸化物半導体からなる場合には、高温などの外部環境にぜい弱な酸化物半導体を保護するために、別途の保護層が追加されてもよい。
【0066】
半導体層135bは、不純物が、ドーピングされていないチャンネル領域と、チャンネル領域の左右両側に不純物がドーピングされて形成された、ソース領域およびドレイン領域とを含む。ここで、不純物は、薄膜トランジスタの種類により変わり、n型不純物またはp型不純物が可能である。
【0067】
半導体層135bは、チャンネル領域1355と、チャンネル領域1355の両側にそれぞれ形成されたソース領域1356およびドレイン領域1357に区分される。
【0068】
半導体層135bのチャンネル領域1355は、不純物がドーピングされていないポリシリコン、つまり、真性半導体(intrinsic semiconductor)を含んでもよい。
【0069】
そして、半導体層135bのソース領域1356およびドレイン領域1357は、導電性不純物がドーピングされたポリシリコン、つまり、不純物半導体(impurity semiconductor)を含んでもよい。
【0070】
半導体層135bの上にはゲート絶縁膜140が形成されている。ゲート絶縁膜140は、窒化ケイ素および酸化ケイ素のうちの少なくとも一つを含む単層または複数層であってもよい。
【0071】
ゲート絶縁膜140の上には駆動ゲート電極125bが形成されるが、駆動ゲート電極125bは駆動半導体層135bの上に位置してもよい。駆動ゲート電極125bはチャンネル領域1355と重なる。
【0072】
一方、駆動ゲート電極125bの上には層間絶縁膜160が形成される。層間絶縁膜160は、ゲート絶縁膜140と同様に窒化ケイ素または酸化ケイ素などから形成されてもよい。
【0073】
層間絶縁膜160とゲート絶縁膜140には、ソース領域1356及びドレイン領域1357をそれぞれ露出する、ソース接触孔61及びドレイン接触孔62が形成されている。層間絶縁膜160の上には、駆動ソース電極176bおよび駆動ドレイン電極177bが形成されている。
【0074】
駆動ソース電極176bは、ソース接触孔61を通じてソース領域1356と連結されている。駆動ドレイン電極177bは駆動ソース電極176bと対向する。
【0075】
そして、駆動ドレイン電極177bは、ドレイン接触孔62を通じてドレイン領域1357と連結されている。
【0076】
駆動半導体層135b、駆動ゲート電極125b、駆動ソース電極176bおよび駆動ドレイン電極177bは、駆動薄膜トランジスタT(Td)を構成する。
【0077】
このような駆動薄膜トランジスタTはスイッチング素子に該当する。本実施形態によると、前記駆動薄膜トランジスタTは、有機発光表示装置の各サブ画素に形成されてもよい。
【0078】
駆動ソース電極176bおよび駆動ドレイン電極177bの上には平坦化膜180が形成されている。平坦化膜180は、その上に形成される有機発光素子の発光効率を上げるために段差をなくし、平坦化させる役割を果たす。
【0079】
平坦化膜180は、ポリアクリル系樹脂(polyacrylates resin)、エポキシ樹脂(epoxy resin)、フェノール樹脂(phenolic resin)、ポリアミド系樹脂(polyamides resin)、ポリイミド系樹脂(polyimides rein)、不飽和ポリエステル系樹脂(unsaturated polyesters resin)、ポリフェニレン系樹脂(poly phenylenethers resin)、ポリフェニレンスルフィド系樹脂(poly phenylenesulfides resin)、シロキサン系樹脂、及びシリカ系の無機物の少なくとも一種から形成されるのであってもよい。
【0080】
前述のように、サブ画素PXは、画素領域DAと周辺領域PAを含むが、画素領域DAには有機発光表示装置で光を発光するための構成として第1電極710、有機発光層720および第2電極730を含んでもよい。
【0081】
平坦化膜180の上には第1電極、つまり、画素電極710が形成される。ここで、画素電極710は、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZnO(酸化亜鉛)またはIn2O3(Indium Oxide)などの透明な導電物質や、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、フッ化リチウム/カルシウム(LiF/Ca)、フッ化リチウム/アルミニウム(LiF/Al)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、または金(Au)などの反射性金属で作られてもよい。例えば、画素電極710は、ITO、AgおよびITOが順次に積層されて形成されてもよい。
【0082】
画素電極710は、層間絶縁膜160に形成された接触孔(コンタクトホール)181を通じて、薄膜トランジスタTの駆動ドレイン電極177bと電気的に連結されて、有機発光素子70のアノード電極となる。
【0083】
平坦化膜180および画素電極710の縁部の上には、画素定義膜350が形成されている。画素定義膜350は、画素電極710を露出する第4開口部352を有する。その他にも、画素定義膜350は後述する補助部材410の一部を露出させる第3開口部351を有してもよい。
【0084】
ここで、画素定義膜350は、ポリアミド(Polyamide)、ポリアクリル系(polyacrylates)またはポリイミド系(polyimides)などの樹脂、シロキサン系樹脂、またはシリカ系の無機物から形成されるのであってもよい。
【0085】
画素定義膜350の第4開口部352には有機発光層720が形成されている。前記有機発光層720は、画素領域DAで露出された第1電極710の上に形成されるだけでなく、周辺領域PAまで延長形成される。つまり、
図3に示されているように、有機発光層720は画素定義膜350の第3開口部351内にも配置される。
【0086】
有機発光層720は、発光層、正孔注入層(hole-injection layer、HIL)、正孔輸送層(hole-transporting layer、HTL)、電子輸送層(electron-transporting layer、ETL)および電子注入層(electron-injection layer、EIL)のうちの一つ以上を含む複数の層から形成される。
【0087】
有機発光層720がこれらのすべてを含む場合、正孔注入層が、アノード電極である画素電極710の上に位置し、その上に、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び電子注入層がこの順に積層されてもよい。
【0088】
有機発光層720は、赤色を発光する赤色有機発光層、緑色を発光する緑色有機発光層および青色を発光する青色有機発光層を含むことができ、赤色有機発光層、緑色有機発光層および青色有機発光層は、それぞれ、赤色画素、緑色画素および青色画素に形成されることで、カラー画像を具現するようになる。
【0089】
画素定義膜350および有機発光層720の上には第2電極、つまり、共通電極730が形成される。ここで、共通電極730は複数のサブ画素に共通に形成される。つまり、共通電極730は、赤色サブ画素、緑色サブ画素および青色サブ画素にかけて共通に形成されてもよい。
【0090】
一方、本実施形態によると、共通電極730は画素領域DAだけでなく、周辺領域PAまで延長形成される。これによって、共通電極730は周辺領域PAで有機発光層720の上に配置されてもよい。
【0091】
共通電極730は、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZnO(酸化亜鉛)またはIn2O3(Indium Oxide)などの透明な導電物質やリチウム(Li)、カルシウム(Ca)、フッ化リチウム/カルシウム(LiF/Ca)、フッ化リチウム/アルミニウム(LiF/Al)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、または金(Au)などの反射性金属で作られてもよい。
【0092】
共通電極730は、有機発光素子70のカソード電極となる。このように、画素電極710、有機発光層720および共通電極730は有機発光素子70を構成する。
【0093】
サブ画素PXの周辺領域PAには、層間絶縁膜160の上に補助電極310が配置されてもよい。補助電極310は、共通電極730に共通電圧ELVSSを伝達する。補助電極310は、前記共通電圧ELVSSを伝達する共通電圧線に該当しうる。
【0094】
ここで、補助電極310は、前記平坦化膜180に形成された第1開口部182により露出されてもよい。補助電極310の上面の一部が前記第1開口部182により露出されてもよい。
【0095】
第1開口部182の断面形状は矩形状であってもよい。より詳細に、第1開口部182の断面形状は長方形状であってもよい。これによって、補助電極310も矩形状に露出されてもよい。
【0096】
補助電極310は、前述したソース電極176bおよびドレイン電極177bと同一の層で形成されてもよい。つまり、補助電極310とソース電極176bおよびドレイン電極177bは、同一の金属層を層間絶縁膜160の上に形成した後、パターニングして形成されてもよい。
【0097】
補助電極310は、銅(Cu)、銅合金、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、モリブデン(Mo)、およびモリブデン合金のうちのいずれか一つを含む金属膜が積層された積層膜から形成されてもよい。例えば、補助電極310は、チタニウム/アルミニウム/チタニウム(Ti/Al/Ti)の3層膜、モリブデン/アルミニウム/モリブデン(Mo/Al/Mo)またはモリブデン/銅/モリブデン(Mo/Cu/Mo)の3層膜などから形成されてもよい。
【0098】
本発明の一実施形態によると、補助電極310の上には、補助電極310と接触する補助部材410が配置される。補助部材410は、補助電極310と接触して、補助電極310を通じて伝達される共通電圧ELVSSを共通電極730に伝達する。
【0099】
ここで、補助部材410は、第1開口部182に露出された補助電極310の上面の全体と接触する。つまり、補助電極310と補助部材410の間に平坦化膜180が存在しないように、補助部材410は補助電極310の上面の全体を覆う。
【0100】
本実施形態によると、補助部材410は平坦化膜180の第1開口部182内にだけ位置する。ここで、補助部材410は、第1開口部182の内周面の一部と接触するようになっている。つまり、補助部材410の一部が平坦化膜180の上面に位置することはない。
【0101】
図4および
図5を参照すると、例えば、補助部材440と補助電極310の間に平坦化膜180が存在すれば、レーザLを用いて有機発光層720に第2開口部721を形成する過程で、補助部材440が破損することがある。
【0102】
例えば、補助部材440が、ITO層441、Ag層442およびITO層443の三層膜からなる場合、レーザLにより、補助部材440が、下側にある平坦化膜180の側へと撓(たわ)んで曲がることでITO層411、Ag層412およびITO層413がすべて切断(F)され得る。これによって、有機膜である平坦化膜内の残留ガス成分が、前記切断(F)された領域を通じて排出され、前記共通電極730を酸化させることがある。共通電極730が酸化されると、有機発光層720が発光しなくなることがある。
【0103】
再び
図3を参照すると、本発明の一実施形態によると、補助部材410が補助電極310の露出された上面の全体と接触するように配置されることによって、レーザLにより補助部材410が下方へと撓むことで破損するのを防止することができる。結局、共通電極730の酸化を防止することで、有機発光層720が発光しなくなることから発生する有機発光表示装置の暗点の発生を防止することができる。
【0104】
ここで、補助部材410の下に位置した金属材質の部材である補助電極310が、前記補助部材410を支持する役割を果たす。
【0105】
一方、補助部材410が補助電極310の上面の全体と接触することによって、補助部材410と補助電極310の接触面積が増加し、このようにして、共通電圧が伝達される配線の抵抗を減少させることができる。したがって、有機発光表示装置にて電圧降下(IR-Drop)が発生することで輝度が不均一になることを防止することができる。
【0106】
ここで、補助部材410は、第1電極710と、同一の材料で、積層構造中の同一の層に位置するように形成されてもよい。補助部材410は、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZnO(酸化亜鉛)またはIn2O3(Indium Oxide)などの透明な導電物質やリチウム(Li)、カルシウム(Ca)、フッ化リチウム/カルシウム(LiF/Ca)、フッ化リチウム/アルミニウム(LiF/Al)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、または金(Au)などの反射性金属で作られてもよい。例えば、補助部材410は、ITO層、Ag層およびもう一つのITO層がこの順に積層されて形成されてもよい。
【0107】
一方、
図3では、補助部材410の全体が第1開口部182内、特には第1開口部182の底部に配置されるが、これとは異なり、補助部材420の一部、特には縁部が、平坦化膜180の上面に位置してもよい。
図6に示すように、補助部材420は、平坦化膜180の第1開口部182の内部の全体を覆うとともに、一部が平坦化膜180の上面に位置することもできる。
【0108】
本実施形態によると、周辺領域PAでは、補助部材410の上に有機発光層720が配置される。有機発光層720には下に位置した補助部材410の一部を露出させる第2開口部721が形成される。有機発光層720の第2開口部721はレーザLにより形成される。補助部材410の上に有機発光層720を塗布した後、補助部材410と補助電極310が互いに重なった領域に対応して有機発光層720にレーザLを照射する。
【0109】
前記レーザLにより、前記有機発光層720に第2開口部721が形成される。ここで、第2開口部721の断面形状は円形状であってもよい。
【0110】
そして、第2開口部721の直径H2は第1開口部182の幅H1より小さい。しかし、これに限定されず、第2開口部721の直径H2を第1開口部182の幅H1と同一に形成することもできる。前記第2開口部721の直径H2が大きくなれば、補助部材410とその上に位置する第2電極730の接触面積が増加することができる。前述のように、接触面積が増加すれば、共通電圧が伝達される配線の抵抗を減少させることができる。
【0111】
前記周辺領域PAでは、有機発光層720の上に第2電極730が形成されてもよい。この時、第2電極730は前記第2開口部721を通じて補助部材410と接触することができる。これによって、第2電極730は補助部材410および補助電極310と電気的に連結されてもよい。したがって、補助電極310を通じて供給された共通電圧ELVSSは、補助部材410を経て第2電極730に供給されてもよい。
【0112】
以下、本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法について説明する。本発明の一実施形態に係る有機表示装置の製造方法を説明するに当たり、前述した有機発光表示装置と同一の構成については詳細な説明は省略する。
【0113】
まず、
図7に示されているように、基板110の上に薄膜トランジスタTを形成する。薄膜トランジスタTはスイッチング薄膜トランジスタまたは駆動薄膜トランジスタであってもよい。
【0114】
薄膜トランジスタTは、半導体層135b、ゲート電極125b、ソース電極176bおよびドレイン電極177bを含む。ここで、基板110の上に形成された半導体層135bの上に、ゲート電極125bが離隔して形成される。そして、ゲート電極125bの上にソース電極およびドレイン電極176b、177bが配置される。
【0115】
そして、ソース電極およびドレイン電極176b、177bと同時に、補助電極310を形成する。同一の金属層を層間絶縁膜160の上の全体に形成した後、これに対してフォトリソグラフィ工程を行って、補助電極310とソース電極とドレイン電極176b、177bとを互いに区分されるようにして同時に形成する。
【0116】
次に、前記ソース電極およびドレイン電極176b、177bと補助電極310の上に、平坦化膜180を形成する。
【0117】
そして、
図8を参照すると、パターニング工程により、平坦化膜180にはドレイン電極177bを一部露出させる接触孔181が形成され、また補助電極310が露出する第1開口部182が形成される。
【0118】
第1開口部182の断面形状は矩形状であってもよい。より詳細に、第1開口部182の断面形状は長方形状であってもよい。これによって、露出した補助電極310も矩形状に露出されてもよい。
【0119】
その後、平坦化膜180の上には第1電極710と補助部材410を形成する。この際、第1電極710はドレイン電極177bと接触し、補助部材410は補助電極310と接触する。補助部材410は、第1開口部182により露出した補助電極310の上面の全体と接触する。
【0120】
ここで、第1電極710と補助部材410は、同一の材料で、積層構造中、同一の層に位置するように形成される。例えば、平坦化膜180の上の全体に同一の金属層を形成した後、フォトリソグラフィ工程を行って第1電極710と補助部材410とを互いに区分されるようにして同時に形成する。
【0121】
次に、
図9に示すように、平坦化膜180の上には画素定義膜350を形成する。画素定義膜350には、補助部材410の少なくとも一部、特には、ほぼ全体(図示の例では全体)が露出される第3開口部351と、第1電極710の少なくとも一部、特には、ほぼ全体が露出される第4開口部352が形成される。
【0122】
その後、画素定義膜350の上には有機発光層720を塗布する。
図10を参照すると、前記有機発光層720は、基板110の上の画素領域DAと周辺領域PAに形成される。ここで、有機発光層720は画素定義膜350の第3開口部351および第4開口部352内部にも位置して、それぞれ補助部材410および第1電極710を覆う。
【0123】
本発明の一実施形態によると、有機発光層720を塗布した後、前記周辺領域PAで補助部材410の一部が露出されるように有機発光層720の一部を除去する。有機発光層720の一部が除去されると、前記有機発光層720には第2開口部721が形成される。
【0124】
一実施形態において、有機発光層720は、同一の材料で、画素配列領域(画像表示領域)の全体を覆うように塗布して設けることができる。例えば、全体に、白色または青色の発光を行う有機発光層720を全面塗布により形成し、各色のサブ画素ごとに、所定の色に変換するための、色変換層を含むカラーフィルタを形成することができる。全面に同一の有機発光層720を設けるならば、パターニングのプロセスが不要となる。
【0125】
図11を参照すると、レーザLを用いて、有機発光層720の一部を除去して第2開口部721を形成する。レーザLを補助部材410と補助電極310が互いに重なった領域の中央部に位置させた後、有機発光層720にレーザLを照射する。レーザLにより有機発光層720に形成された第2開口部721は円形状でありうる。
【0126】
前述したように、補助部材410下側に補助電極310が接触して位置することによって、レーザLにより補助部材410が瞬間的に下方に曲がって破損することを防止することができる。
【0127】
次に、有機発光層720の上に第2電極(共通電極)730を形成する。第2電極730は前記第2開口部721を通じて補助部材410と接触することができる。これによって、第2電極730は、補助部材410および補助電極310と電気的に連結されてもよい。したがって、補助電極310を通じて供給された共通電圧ELVSSは、補助部材410を経て第2電極730に供給され得る。
【0128】
本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置およびその製造方法は、レーザLを用いて有機発光層720の一部を除去する工程で、レーザLにより補助部材410が破損することを防止することができ、また、破損した補助部材410の隙間に沿って有機膜の残留ガス成分が排出されて共通電極730が酸化されることを防止することができる。
【0129】
以上のように、本発明は限定された実施形態と図面を通じて説明されたが、本発明はこれに限定されるのではなく、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者により本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正および変形が可能である。
【符号の説明】
【0130】
160…層間絶縁膜
180…平坦化膜
181…接触孔
182…第1開口部
310…補助電極
350…画素定義膜
351…第3開口部
352…第4開口部
410…補助部材
710…第1電極
720…有機発光層
730…第2電極