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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】シートおよびそれを備えた車両
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/00 20060101AFI20230323BHJP
   A47C 7/74 20060101ALI20230323BHJP
   A47C 27/15 20060101ALI20230323BHJP
   B60N 2/56 20060101ALI20230323BHJP
   B60N 2/64 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
A47C7/00 C
A47C7/74 B
A47C27/15 Z
B60N2/56
B60N2/64
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2017532060
(86)(22)【出願日】2015-12-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2017-12-21
(86)【国際出願番号】 GB2015054023
(87)【国際公開番号】W WO2016097719
(87)【国際公開日】2016-06-23
【審査請求日】2018-10-12
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-27
(31)【優先権主張番号】1422499.2
(32)【優先日】2014-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1515020.4
(32)【優先日】2015-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】303063311
【氏名又は名称】ベントレー・モーターズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィットモア,ポール
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】出口 昌哉
【審判官】八木 誠
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第10108318(DE,A1)
【文献】特開平9-322840(JP,A)
【文献】特表2009-502279(JP,A)
【文献】特開2012-96560(JP,A)
【文献】特表2004-538095(JP,A)
【文献】特開2010-142571(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0133891(US,A1)
【文献】仏国特許出願公開第2942423(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/00
A47C 7/74
A47C 27/15
B60N 2/56
B60N 2/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッドを有するメインクッション(3)と、パッドを有するシールド(2)と、を備え、
前記シールドのパッドは、第1の圧縮性を有し、
前記メインクッションは、中央部(31)と、側方ボルスター部(36)と、を備え、
前記側方ボルスター部は、側方外側部を備え、
前記シールドは、前記側方ボルスター部の前記側方外側部を保護し、
前記中央部の圧縮性と前記側方ボルスター部の圧縮性は、互いに異なり、
前記シールドは、前記第1の圧縮性を有するパッドで形成され、
前記中央部は、前記第2の圧縮性を有するパッドを備え、
前記側方ボルスター部は、第3の圧縮性を有するパッドを備え、
前記第1の圧縮性は、前記第2の圧縮性および前記第3の圧縮性よりも小さく、
前記第3の圧縮性は、前記第2の圧縮性よりも小さい、
シート。
【請求項2】
前記メインクッションは、シートパンのクッションである、請求項1に記載のシート。
【請求項3】
前記シールドは、前記メインクッションの前記側方外側部の少なくとも一部を取り囲む、請求項1または2に記載のシート。
【請求項4】
前記側方ボルスター部は、乗員がシートに着座しているときにその乗員の前方に向けられた前面と、前記側方ボルスター部の前記側方外側部と前記前面との間の前方角部と、を備え、前記シールドは、前記側方ボルスター部の前記前方角部の周囲に延び、前記シールドの一部が、前記側方ボルスター部の前面の少なくとも一部を覆う、請求項1または3に記載のシート。
【請求項5】
前記メインクッションは、バックレストクッションであり、前記シールドは、後方角部の少なくとも一部の周囲に延び、バックレストの後部の横方向縁部の少なくとも一部を覆う、請求項1に記載のシート。
【請求項6】
前記シートは、前記メインクッションが取り付けられる支持フレームを備え、前記シールドは、前記支持フレームの横方向縁部の少なくとも一部の周囲に延びる、請求項1に記載のシート。
【請求項7】
前記支持フレームは、側方ボルスター支持体を備え、前記シールドは、前記側方ボルスター支持体を包囲する、請求項6に記載のシート。
【請求項8】
前記メインクッションの上に設置されたヘッドレストを備え、
前記シールドは、前記ヘッドレストの下に延びる、請求項5に記載のシート。
【請求項9】
前記シートは、前記メインクッションの前記中央部表側に、3D換気スペーサ層から成る層をさらに備える、請求項1に記載のシート。
【請求項10】
前記シートは、前記メインクッションの表側に、ヒータフォームから成る層をさらに備える、請求項1に記載のシート。
【請求項11】
前記ヒータフォームは、前記中央部表側に配置される、請求項10に記載のシート。
【請求項12】
前記メインクッションのパッドおよび/または前記シールドのパッドは、発泡体である、請求項1~11の何れか1項に記載のシート。
【請求項13】
前記シートは、自動車用のシートである、請求項1~12の何れか1項に記載のシート。
【請求項14】
請求項1~13の何れか1項に記載のシートを備えた車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに関し、具体的には、車両のシート、特に自動車のシートおよびそれを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のシートは、コストやスポーティー度/高級感のレベル等の要因に依存する、異なる密度および圧縮性(圧縮性能=compressibility)のフォームパッド(foam padding)を使用して作製される。スポーツカーのシートに使用されるフォームは、高いレベルの支持性、特に横方向の支持性を与えるために、典型的には、比較的硬くかつ比較的薄いものになる。スポーツ車のシートにおいて、フォームは、ハードシェルに取り付けられ、そのハードシェルは、典型的には、脚/臀部の横方向の動きを制限するためのシートのクッションの両側の奥行きのある支持体と、体の横方向の動きを制限するための背もたれの両側の追加的な奥行きのある支持体と、を含んでいる。一方、最高級車の市場では、シートのクッションの両側の支持体は、比較的浅く、シートに入ることおよびシートから出ることを容易にするために、クッション自体の形状によって形成され、同様に、出入りを補助するために、背もたれの両側のボルスターは浅くなっている。高級車におけるシートのクッションや背もたれのフォームパッドは、高度のクッション性および快適性をもたらすように、柔らかくかつ厚くする傾向がある。これら2つの市場区分の間では、許容可能なコストで十分な快適性をもたらすように、硬くて薄いフォームと、柔らかくて厚いフォームとの間で妥協がなされている。
【0003】
異なる硬度の複数のフォームが設けられたシートが提案されている。例えば特開2010-142571および米国特許出願公開2010/0133891はともに、シートクッションが、(一般的に安く製造される)硬い下部層と、快適性のための柔らかい上部層と、を有するシートを開示している。一方、仏国特許出願公開2942423は、ボルスターを、発泡体で被覆されたハードシェルとして形成するのではなく、より柔らかい発泡体から成る中央領域と一緒に成形物で形成された硬い発泡体から形成されたシートパッドを開示している。
【0004】
本発明は、特に高級車用シートの提供に関し、そのシートの場合、見栄えとともに快適性のために、高度の柔軟性が必要である。高度の柔軟性は、上述したように、厚くて柔軟な発泡体の使用によって得ることができるが、柔軟な発泡体から成る厚い層に内張り(upholstery)が施されるとき、発泡体の外側縁部における、内装材料、例えば革張りの張力が発泡体を圧縮し、しわを付け、「ギャッピング(隙間の生成)」を含む、視覚的に許容できない結果を生じる可能性があり、この場合、内張りの下に隙間が見られる可能性があり、発泡体は、内張りに対して外向きの圧力を加えられない。このことは、内張りとその下の発泡体の間に知覚可能なエアギャップをもたらす。背もたれにおけるこれらのしわによるギャップは、シートの横方向の支持性および快適性を低下させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施の形態の課題は、柔軟なフォームパッドに関連する快適性を犠牲にすることなく、この問題を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、パッドを有するメインクッションと、パッドを有するシールドとを備えるシートであって、シールドのパッドは第1の圧縮性(圧縮性能=compressibility)を有し、メインクッションのパッドは第2の圧縮を有し、第1の圧縮は、第2の圧縮よりも低い。
【0007】
当業者により良く理解されるように、高い圧縮を備えた材料は柔らかく、その圧縮大きさ(=volume)は、kPaで低い値を有し、それに対して、低い圧縮を備えた材料は硬く、kPaで高い値を有している。
【0008】
メインクッションよりも圧縮が小さいシールドの装備は、すき間(gapping)、しわ(creasing)、その結果として生じる横方向の支持性の不足を低減/防止することができる。
【0009】
シールドは、薄い層状体として形成することができる。
【0010】
シールドは、厚さ5cm未満、例えば3cm未満、例えば厚さ1.5cm~2.5cm、例えば厚さ2cm(すなわち約2cm厚)とすることができる。厚さは、シールドの平均厚さであってもよい。
【0011】
シールドは、その最も厚い部分における厚さである第1の厚さを有し、メインクッションは、その最も厚い部分における厚さである第2の厚さを有し、第2の厚さは、第1の厚さよりも大きくすることができる。
【0012】
メインクッションは、乗員が着座するシートパン(seat pan)のクッション、すなわちシートクッションとすることができ、メインクッションは、背もたれのクッション、すなわち乗員の背中がもたれるバックレストクッションとすることができる。また、シートクッションおよびバックレストクッションはともに、それらの周囲の少なくとも一部を取り囲むシールドを備える本発明によるメインクッションであってもよい。
【0013】
いずれにしても、シールドは、メインクッションの横方向側部、および任意に、メインクッションの前部および/または後部の一部を保護することができる。シールドは、横方向側部の少なくとも一部、例えばその周囲角部の少なくとも一部を包囲してもよく、横方向側部の実質的に全部、例えば開口部が設けられた領域、例えばシートの側部に設けられたコンポーネント/制御部を除く、横方向側部の全体を包囲してもよい。
【0014】
メインクッションは、中央部と、側方ボルスター部と、を備えてもよい。上述したように、メインクッションは、バックレストクッションであってもよい。その場合、中央部は、背側支持部であってもよい。側方ボルスター部は、中央部と分けてもよく、または中央部と一体化してもよい。
【0015】
ボルスター部は、側方外側部を備えてもよく、シールドは、側方ボルスター部の側方外側部を保護してもよい。シールドは、側方ボルスター部の側方外側部の少なくとも一部、例えば横方向側部の実質的に全部、例えば制御部等のために開口部が設けられている領域を除いた側方外側部の全体を包囲してもよい。
【0016】
ボルスター部は、使用中に前方(すなわちシートに着座している乗員の前方の方向)に向けられた前面と、側方ボルスター部の側方外側部と前面の間の前方角部と、を備えてもよい。シールドは、ボルスター部の前方角部の周囲に延びてもよく、ボルスター部の前面の少なくとも一部を覆ってもよい。ギャッピング/しわの問題は、シートの一方の側部のみに影響を与える可能性があり、その場合、シールドは、一方の横方向側部のみを、必要に応じて一方の前方角部のみを保護してもよい。
【0017】
さらに、シールドは、後方角部の少なくとも一部の周囲に延び、メインクッション/バックレストの後の横方向縁部の少なくとも一部を覆ってもよい。
【0018】
バックレストは、メインクッションがそれに取り付けられる支持フレームを備えてもよく、シールドは、その支持フレームの横方向縁部の少なくとも一部の周囲に延びてもよい。
【0019】
支持フレームは、側方ボルスター支持体を備えてもよく、シールドは、側方ボルスター支持体を包囲してもよい。
【0020】
中央部の圧縮と、側方ボルスター部の圧縮は、互いに異なってもよく、そのため、シートは、第1の圧縮を有するパッドで形成されたシールドと、第2の圧縮を有するパッドを備える中央部および第3の圧縮を有するパッドを備える側方ボルスター部で形成されたメインクッションと、を備え、第1の圧縮が第2の圧縮および第3の圧縮よりも小さい。
【0021】
第2の圧縮、すなわち中央部(例えば背側支持部)の圧縮は、第3の圧縮よりも高くすることができる。したがって、そのクッションは、比較的柔らかい中央部と、比較的硬い側方ボルスター部と、さらに硬いシールドと、を有することになる。
【0022】
前記第1の圧縮性の大きさは、少なくとも5kPa、例えば少なくとも10kPa、例えば約13~28kPa、例えば15kPa(すなわち約15kPa)とすることができる。
【0023】
前記第2の圧縮性の大きさは、10kPa未満、例えば6kPa未満、例えば3~5kPa、例えば4kPa(すなわち約4kPa)とすることができる。
【0024】
前記第3の圧縮性の大きさは、5~10kPa、例えば5~8kPa、例えば5~7kPa、例えば6kPa(すなわち約6kPa)とすることができる。
【0025】
シートは、メインクッションの上に設置されたヘッドレストを備えてもよく、シールドは、そのヘッドレストの下に延びてもよい。
【0026】
シートは、メインクッションの中央の背側支持部の前方に、3D換気スペーサ層から成る層をさらに備えてもよい。
【0027】
シートは、メインクッションの前方に、ヒータフォームから成る層をさらに備えてもよい。ヒータフォームは、中央の背側支持部の前方に配置することができ、また任意に、ボルスター部の前方に配置してもよく、および3D換気スペーサ層から成る層の前方に配置してもよい。
【0028】
シートは、シールドの周囲に張られた内張りを備えてもよい。
【0029】
シート張りは、革、スエード、アルカンターラ(alcantara:登録商標)、それらの模造物、プラスチック材料、または他の何らかの適切な材料から選択することができる。具体的には、シート張りは、革、スエード、アルカンターラ(alcantara:登録商標)、例えばその上のしわやギャッピングが特に目立つ革から選択してもよい。
【0030】
パッド、すなわちメインクッションのパッドおよび/またはシールドのパッドは、発泡体とすることができる。中央の背側支持部および側方ボルスター部のいずれかまたは両方は、発泡体とすることができる。別法として、例えばパッドは、スペーサ材料から成っていてもよい。
【0031】
パッド、すなわちメインクッションのパッドおよび/またはシールドのパッドは、30kg/m~100kg/m、例えば50kg/m~80kg/m、例えば60kg/m~70kg/m、例えば約65kg/mの密度を有してもよい。側方ボルスター部の中央の背側支持部のいずれかまたは両方のパッドは、30kg/m~100kg/m、例えば50kg/m~80kg/m、例えば60kg/m~70kg/m、例えば約65kg/mの密度を有してもよい。
【0032】
シートは、自動車のシートであってもよい。
【0033】
本発明の第2の態様は、上述したようなシートを備えた、自動車等の車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
次に、本発明をより明確に理解するために、本発明の実施の形態を、単なる例示として、および添付図面を参照して説明する。
図1】本発明の自動車のシートのバックレストのパーツの等角分解図である。
図2】本発明のバックレストを有する自動車のシートを備えた自動車の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1を参照すると、自動車のシートのバックレストは、支持フレーム1と、シールド2と、メインクッション3と、3D換気スペーサ層4およびヒータフォームから成る層5と、を備えている。単純化のため、バックレストを仕上げるための従来の追加的な材料、例えばシート張り、トリム、クリップ、およびシートの動き/加熱/冷却のためのアクセサリ等は、図1には示されていない。
【0036】
支持フレーム1は、硬くて強固な材料、例えば金属、または軽量な代替物から形成され、実質的に平坦で、概して矩形状の長手方向に穴が開いているバックプレート11を備えている。バックプレートの各面には、メインクッション3への接続のために、前方に延びている側方ボルスター支持体12が設けられている。この実施の形態では、一方の側方支持体12には、シートの電子機器のパーツを収容するために、その下端にハウジング13が備えられ、また、製造中に、それにクリップされ、または別の方法でそれに取り付けられるメインクッション3と位置合わせするために、位置合わせ突出部14が、一方の側方支持体12に平行におよびその内側で前方に延びている。
【0037】
シートのメインクッション機能をもたらすメインクッション3は、使用時に、バックプレート11の前部に取り付けられる、中央の背側支持部31を備えている。メインクッション3の中央の背側支持部31は、柔らかくかつ厚く、例えば平均厚さが約5cmで、圧縮が4kPaで、密度が65kg/mの柔らかい発泡体で形成される。その支持部は、乗員の背中に適合するように形成され、腰部の支持のために下方領域がより厚くなっており、および上方に向かって輪郭形成されている。8つの丸みを帯びた矩形状凹部32が、中央の背側支持部31に設けられ、それらの凹部は、中央の背側支持部31に沿った下方に向かう中心線の両側にそれぞれ4つ2つのラインに対称的に配設されている。これらの凹部32は、溝によって接続され、および小さな溝に配設されているパイプによって接続されているマッサージ空気袋を収容することができる。中央の背側支持部31の上には、肩支持部33が設けられている。肩支持部33は、中央の背側支持部31よりも幅広になっており、および2列の凹部32と一致する凹部34のペアも備えている。肩支持部33の側部は、乗員の肩に対して横方向の支持を与えるように前方に延びており、また、凹部35が、ヘッドレストの支持構造(図示せず)を収容するために、肩支持部33の上部に設けられている。
【0038】
中央の背側支持部31の両側には、側方ボルスター36が設けられている。各側方ボルスター36は、例えば6kPaの圧縮および65kg/mの密度を有する、わずかに硬く、柔軟で厚い発泡体から形成されている。側方ボルスター36は、特に該シートを備えた車両が向きを変えたとき、乗員の体の側部を横方向に支持するため、肩支持部33の前方に延びる側部の下方で、前方に延びている。
【0039】
側方ボルスター36は、それらのボルスターが、肩支持部33の前方に延びている側部に直面する上部と、その底部との間で前方に突出するように湾曲され、一旦組み立てられたとき、それらのボルスターは、シートパン(図示せず)に直面している。側方ボルスター36は、概して平坦な外側部37を有し、中央の背側支持部31に適合するように、内側で凸曲線に追従している。そのため、側方ボルスター36の平坦な側部37が側方ボルスター36の前面に接する角部では、その前面は湾曲している。凹部38が、側方ボルスター36の外側部37に設けられ、その凹部には、側方ボルスターの内側対向面(乗員)を内側に締め付けて、細身の乗員にきつい支持性または良好な支持性を与えるために、機構、例えば膨張式パッドを設けてもよい。
【0040】
シールド2は、約15kPaの圧縮、同様の密度、例えば65kg/mおよびたった2cm未満の平均厚さを有する硬めのフォームパッドで形成される。
【0041】
使用時に、シールド2は、しわやギャッピングを引き起こすことなく、シート(図示せず)を押し付けて張ることができる面を形成するために、メインクッション3の側面および上部を包囲する。シールド2は薄く、この場合、その全体形状にわたって平均で約2cm厚しかない。より小さな圧縮であり、およびより小さな柔軟な面を与えることを考慮すると、シールド2は、メインクッション3の乗員支持面には延びていない。それにもかかわらず、フォームパッドで形成されているということは、それでも内貼りが、圧縮発泡材料から形成されると判断され、そのことが高級感に関連していることを意味している。
【0042】
したがって、シールド2は、概して矩形状の形状を有する平らな上部21を備えているが、肩支持部33の前方に延びる側部と一致して上方に延びる、メインクッション3の上方に延びる肩甲骨部分に重なって延びるように、側部で上方に向かって湾曲している。開口部22は、肩支持部33の上部のヘッドレスト支持構造収容凹部35と一致して、シールド2の平らな上部21を通って延びている。
【0043】
平らな上部21の上方に向かって湾曲した側部から、サイドガード23が下方に向かって垂下している。サイドガード23は、メインクッション3の側部の形状に追従し、肩支持部33の外側面および側方ボルスター36の平坦な外側部37の形状に適合している。したがって、それらは、側方ボルスター36の突出部を収容するように前方に湾曲して、先端まで下方に向かって先細りになっている。サイドガード23は、側方ボルスター36の平坦な外側部37を覆うだけではなく、ボルスター36の前方および後方の縁部の周囲に延びていて、側方ボルスター36の前面および裏面と一体化するように先細りになっている丸み部24も有している。丸み部24は、ボルスターの圧縮に影響を与えて不快な乗員支持面を形成することなく、縁部の領域におけるしわ付き/ギャッピングの防止に役に立つのに十分であるように、短い距離(例えば約3cm)だけ側方ボルスター36の前面および裏面の周囲に延びている。
【0044】
また、開口部25が、例えばシート調節機構(図示せず)を作動させるための制御機構(図示せず)を収容するために、一方または両方のサイドガード23に設けられていてもよい。
【0045】
厚さが約1cmの3Dスペーサファブリックから成る層であり、使用時に、メインクッション3の中央の背側支持部31の前方に位置する3D換気スペーサ層4が、側方ボルスター36の内側に設けられている。したがって、3D換気スペーサ層は、概して矩形状であり、中央の背側支持部の前面と同じ形状を備えている。中央の背側支持部31と概して同じ形状であるが、3D換気スペーサ層の縁部を密封するために、およびシートの前方から空気を排出してシート内の乗員を涼しくするために、縁39の前面と3D換気スペーサ層の前面とが同一平面にあるように、3D換気スペーサ層4は、約1cmだけ前方に延び幅が約1cmである、中央の背側支持部31の縁39の内側に位置するように、わずかに小さく、例えば2cm狭くかつ2cm短くなっている。
【0046】
そして、ヒータフォームから成る層5(すなわちシートを温めるための加熱要素を含むフォーム)が設けられている。ヒータフォームから成る層は、組立を容易にするために4つのピースで形成され、すなわち中央のヒータフォームピース51は、中央の背側支持部31と同じ形状を有しており、使用時には、3D換気スペーサ層4の前方に位置する。2つの側方のヒータフォームピース52は、シールド2の丸み部24と、中央のヒータフォームピース51の側縁部との間に延びている、側方ボルスター部の乗員支持面を覆っている。そして、上方のヒータフォームピース53は、概して矩形状の中央部と、上方および下方に延びている両側の翼部とを備えた、幾分かダンベル状の、メインクッション3の肩部33の前面(乗員支持面)と同じ形状を有している。
【0047】
シートのバックレストは、まず、側方ボルスター36と、肩支持部33と、中央の背側支持部31を一緒に接着してメインクッション3を形成した後、シールド2をメインクッション3の周囲に接着する。その結果、サイドガード23が、側方ボルスター36の周囲に配設され、平らな上部21が肩部33の上部に接着されることによって(メインクッション3およびシールド2の様々な部分を同じ型で形成することが可能であり、その結果、接着工程が必要ないことが期待される)、図1に示すパーツから形成される。次に、メインクッション3の裏面が、(例えばクリップ等の手段によって)支持フレームの前面に取り付けられ、メインクッション3によって形成されるパッドの後の安定性を提供するために、支持フレーム1の位置合わせ部分14とメインクッション3の裏面の位置合わせ溝(図示せず)をぴったり合わせ、側方ボルスター支持体12をメインクッション3の溝(図示せず)に、またはメインクッション3とシールド2との間に差し込む。
【0048】
部品は、メインクッションの中央の背側支持部31の前方の凹部32に導入され、3D換気スペーサ層4が、縁39の内側の、部品の前方に取り付けられる。次いで、ヒータフォーム5が、メインクッション3の乗員支持面に当てられて、(3D換気スペーサ層の前方の)中央の背側支持部31と、両側方ボルスター部36と、肩支持部33とを覆って、それらに付着される。
【0049】
このようにしてバックレストを組付けた状態で、バックレストの何らかの更なるコンポーネントを取り付けてもよい。また、シート張り、例えばレザーパネル(図示せず)が、ねじおよび固定具を用いて、それらのパネルを一緒に縫い付けるという従来の方法によって張られる。このカバーは、固定具がシートの表面に接続された状態で、袋状のシートに被せられる。シートの側部を覆っているレザーパネルは、柔らかいメインクッション3に当接させるのではなくシールド2のサイドガード23の周囲に張られ、したがって、特に丸み部24が延びている、バックレストの側部の前方周縁と後方周縁の間の張力によって、それらの領域が圧縮されるのを防ぐメインクッション3よりも低い圧縮度(すなわちkPaでより高い値の圧縮)のため、バックレストの側部にしわが付いたり、目立つギャップが形成されることがなくなる。
【0050】
図2を参照するとき、内張りされたバックレスト6を、従来の手段によって自動車のシート7に組み込み、自動車8に組み込むことができる。
【0051】
上記実施の形態は、単に例示として記載されている。添付クレームにおいて定義される本発明の範囲から逸脱することなく、多くの変形例が可能である。
図1
図2