IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 山崎産業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-移動載置用介助装置 図1
  • 特許-移動載置用介助装置 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】移動載置用介助装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/05 20060101AFI20230323BHJP
【FI】
A61G7/05
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019130782
(22)【出願日】2019-07-15
(65)【公開番号】P2021013658
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-01-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000178583
【氏名又は名称】山崎産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095522
【弁理士】
【氏名又は名称】高良 尚志
(72)【発明者】
【氏名】丸本 和昭
(72)【発明者】
【氏名】村上 沙穂
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-103033(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0273841(US,A1)
【文献】特開2011-057181(JP,A)
【文献】登録実用新案第3181966(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 7/05
A61G 7/10
A61G 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象部上に載置される基盤部と、前記基盤部に対し自立状態で支承される支持部を有してなり、前記支持部は、使用者が直接に把持することにより又はその支持部により支持する部材を把持することにより、自身の身体を支持する補助とするものである移動載置用介助装置であって、
前記基盤部の所定の外周縁部の外方部に、前記所定の外周縁部に対し平行状をなす水平状軸線のまわりに回動して前記対象部上を転動し得る転動体を、前記水平状軸線に沿って所定の長さを隔てた2箇所を含む位置に有し、
前記水平状軸線のうち前記2箇所にわたる部分と前記所定の外周縁部の間に、前記基盤部が前記対象部上に載置された状態で前記対象部が露出する透孔状をなすか又は前記対象部上に載置された前記基盤部が前記水平状軸線のまわりに上方傾動する場合に押下してもその上方傾動を妨げない部分を構成する傾動非妨部を有し、
前記傾動非妨部の外方側に、踏下部を有し、その踏下部を踏みつつ前記支持部を前記所定の外周縁部に対し外方側へ傾動させて前記基盤部を傾動させることによって前記転動体により前記対象部上に装置を支持した状態となし得、基盤部が傾斜した状態で前記転動体により対象部上に支持した装置をその転動体の転動により移動させ得るものであることを特徴とする移動載置用介助装置。
【請求項2】
上記基盤部の所定の外周縁部から外方に向かって突出する転動体支持部を有し、その転動体支持部が上記転動体を支持するものである請求項1記載の移動載置用介助装置。
【請求項3】
上記転動体支持部を複数有すると共に、それらの転動体支持部同士を連結する連結体を有し、その連結体が踏下部を構成するものである請求項記載の移動載置用介助装置。
【請求項4】
上記所定の外周縁部が、基盤部の凹入部の一部である請求項1乃至3の何れか1項に記載の移動載置用介助装置。
【請求項5】
上記転動体を、上記水平状軸線に沿って所定の長さを隔てた2箇所に有する請求項1乃至4の何れか1項に記載の移動載置用介助装置。
【請求項6】
上記基盤部が対象部としての水平面に載置された状態において、上記転動体が対象部に接しない請求項1乃至5の何れか1項に記載の移動載置用介助装置。
【請求項7】
上記支持部により基盤部の上方に支持される介助部材を備える請求項1乃至6の何れか1項に記載の移動載置用介助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が自身の身体を支持する補助とする支持部が、床面等に載置される基盤部によって自立状態で支承される移動載置用介助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2011-10853号公報には、使用に応じた箇所に設置される設置板2と、設置板2に位置変更可能に取り付けられた縦形の支持筒7と、支持筒7内に軸周りに回転調節可能で、かつ軸方向に高さ調節可能に設けられた支柱9と、支柱9に直交状態に貫通し、支柱9に沿って上下複数段に設けられ、使用者が自身の支えとするように掴まる把持棒12~14とを有するスタンド支持部材15を備えており、把持棒12~14の端部に着脱可能に連結されて把持棒12~14の延長として機能する横把持棒ユニット18を設けた介助用手摺装置1が開示されている。
【0003】
この介助用手摺装置1は、横把持棒ユニット18を把持棒12、13の端部に着脱可能に連結しているので、使用者を横方向にも支えることができ、使用者の把持棒12~14に対する把持範囲が広がる一方、起立後に歩行先の変更が可能となり、姿勢を変えることで移動範囲が広がり、自らの力で身辺雑事を足す自助範囲が増すものとされています。
【0004】
しかしながら、宿泊施設のベッド、病院の診察室の椅子やベッド、歯科治療椅子、美容室又は理容室等において、対象者が必要な場合にのみ使用する場合は、通常は収納しておき、必要な場合に所要の場所に移動させ、使用後は元の場所に戻すことになる。
【0005】
ところが、このような介助用手摺装置は、使用者を安定的に支える上で、設置板の平面視の面積及び重量が十分なものであることを要するので、移動は比較的に困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-10853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術に存した上記のような課題に鑑み行われたものであって、その目的とするところは、使用者が自身の身体を支持する補助とする支持部が、床面等に載置される基盤部によって自立状態で支承され、円滑に移動させることができる移動載置用介助装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の移動載置用介助装置は、次のように表すことができる。
【0009】
(1) 対象部上に載置される基盤部と、前記基盤部に対し自立状態で支承される支持部を有してなり、前記支持部は、使用者が直接に把持することにより又はその支持部により支持する部材を把持することにより、自身の身体を支持する補助とするものである移動載置用介助装置であって、
前記基盤部の所定の外周縁部の外方部に、前記所定の外周縁部に対し平行状をなす水平状軸線のまわりに回動して前記対象部上を転動し得る転動体を、前記水平状軸線に沿って所定の長さを隔てた2箇所を含む位置に有し、
前記水平状軸線のうち前記2箇所にわたる部分と前記所定の外周縁部の間に、前記基盤部が前記対象部上に載置された状態で前記対象部が露出する透孔状をなすか又は前記対象部上に載置された前記基盤部が前記水平状軸線のまわりに上方傾動する場合に押下してもその上方傾動を妨げない部分を構成する傾動非妨部を有し、
前記傾動非妨部の外方側に、踏下部を有し、その踏下部を踏みつつ前記支持部を前記所定の外周縁部に対し外方側へ傾動させて前記基盤部を傾動させることによって前記転動体により前記対象部上に装置を支持した状態となし得、基盤部が傾斜した状態で前記転動体により対象部上に支持した装置をその転動体の転動により移動させ得るものであることを特徴とする移動載置用介助装置。
【0010】
対象部上に載置される基盤部の所定の外周縁部の外方部に、その所定の外周縁部に対し平行状をなす水平状軸線のまわりに回動して前記対象部上を転動し得る転動体を、前記水平状軸線に沿って所定の長さを隔てた2箇所を含む位置に有し、
前記水平状軸線のうち前記2箇所にわたる部分と前記所定の外周縁部の間に、前記基盤部が前記対象部上に載置された状態で前記対象部が露出する透孔状をなすか又は前記対象部上に載置された前記基盤部が前記水平状軸線のまわりに上方傾動する場合に押下してもその上方傾動を妨げない部分を構成する傾動非妨部を有する。
【0011】
傾動非妨部の外方側に有する踏下部を踏むことにより、転動体を対象部に対し安定的に押圧させつつ、基盤部に対し自立状態で支承される支持部を前記所定の外周縁部に対し外方側へ傾動させて基盤部を傾動させる場合、傾動非妨部に対応する箇所が基盤部の一部であったとすると、踏下部を確りと踏むことにより、基盤部のうち傾動非妨部に対応する箇所(傾動により上昇する箇所)も踏むこととなり、基盤部の傾動が妨げられるが、その箇所が傾動非妨部であることによって基盤部の傾動に支障が生じず、転動体により対象部上に装置を支持してその転動体の転動により装置を円滑に移動させることができる。
【0012】
(2) 上記基盤部の所定の外周縁部から外方に向かって突出する転動体支持部を有し、その転動体支持部が上記転動体を支持するものである上記(1)記載の移動載置用介助装置。
【0013】
(3) 上記転動体支持部を複数有すると共に、それらの転動体支持部同士を連結する連結体を有し、その連結体が踏下部を構成するものである上記(2)記載の移動載置用介助装置。
【0014】
(4) 上記所定の外周縁部が、基盤部の凹入部の一部である上記(1)乃至(3)の何れか1項に記載の移動載置用介助装置。
【0015】
(5) 上記転動体を、上記水平状軸線に沿って所定の長さを隔てた2箇所に有する上記(1)乃至(4)の何れか1項に記載の移動載置用介助装置。
【0016】
(6) 上記基盤部が対象部としての水平面に載置された状態において、上記転動体が対象部に接しない上記(1)乃至(5)の何れか1項に記載の移動載置用介助装置。
【0017】
(7) 上記支持部により基盤部の上方に支持される介助部材を備える上記(1)乃至(6)の何れか1項に記載の移動載置用介助装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明の移動載置用介助装置によれば、傾動非妨部の外方側に有する踏下部を踏むことにより、転動体を対象部に対し安定的に押圧させつつ基盤部に対し自立状態で支承される支持部を前記所定の外周縁部に対し外方側へ傾動させて基盤部を支障なく傾動させ、転動体により対象部上に装置を支持してその転動体の転動により装置を円滑に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】移動載置用介助装置の後方斜視図である。
図2】移動載置用介助装置の傾動状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[1] 本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
(1) 図面は、何れも本発明の実施の形態の一例としての移動載置用介助装置に関するものである。
【0022】
この移動載置用介助装置Aは、対象部である床面F上に載置される基盤部Dと、前記基盤部Dに対し自立した状態で支承される支持部Bを有する。
【0023】
(2) 支持部Bは、基盤部Dに対し自立した状態で支承され、使用者が支持部Bを直接に把持することにより又はその支持部により基盤部の上方に支持される介助補助体C(介助部材)を把持することにより、支持部Bに対し直接又は間接に力を加えて、歩行・起立・着座・起床・就床等の動作や姿勢の維持等のために自身の身体を支持する補助とするものである。
【0024】
支持部Bは、一対の支柱部B1と、両支柱部B1の上端部同士を連結する上部水平連結部B2と、両支柱部B1の上下方向中間部同士を連結する中間水平連結部B3からなるフレーム状をなす。その主な構成部材は略円筒状材料製である。
【0025】
基盤部Dに対し自立した状態で支承されている支持部Bにおける両支柱部B1、上部水平連結部B2及び中間水平連結部B3を使用者が把持することにより、動作の補助に利用することができる。
【0026】
(3) 介助補助体Cは、平行状をなす一対の筒状の棒状体C1と、両棒状体C1をそれらの先端部において連結する棒状連結部C2と、両棒状体C1をそれらの各基端部において支持部Bの支柱部B1に固定するための固定部C3を備える。
【0027】
固定部C3は、周方向において分割した円筒状部であって、一方の支柱部B1のうち上部水平連結部B2と中間水平連結部B3の間の連続した部分に外嵌し、外嵌状態で分割箇所を螺子で締結固定することにより、支柱部B1を締め付けてその支柱部B1に対し固定している。
【0028】
両棒状体C1の各固定部C3を、支柱部B1の所望の上下2箇所(同一水平方向位置の2箇所)に対し、両棒状体C1が平面視において支持部Bに対し所望の角度となるよう固定することにより、一対の棒状体C1が上下平行に水平状をなすように支持部Bに対し固定される。
【0029】
図1においては、棒状体C1は、その軸線方向が、上部水平連結部B2及び中間水平連結部B3の軸線方向に対しほぼ垂直な状態で描かれているが、棒状体C1の軸線方向は、平面視において支持部Bに対し物理的に可能な任意の角度で固定することができる。
【0030】
介助補助体Cは、起床・就床・起立・着座・歩行等の動作の補助に用いる使用者の必要に応じ、支持部Bにおける水平方向位置、上下方向位置及び支持部Bに対する角度を設定又は変更することができ、支持部Bと共に、自身の身体を支持したり、もたれたりして、起床・就床・起立・着座・歩行等の動作の補助に用いることができる。
【0031】
(4) 基盤部Dは、平面視において略正方形状(前辺Daの左右角部は四分円弧状に湾曲)の板状をなし、鉄系材料を主材料とすることにより、自立状態で支承する支持部Bを使用者が直接に把持することにより又はその支持部Bにより支持する介助補助体Cを把持することにより、自身の身体を支持する補助とした場合に、支持部Bを安定的に支持し得る重量を備える。
【0032】
基盤部Dにおける、支持部Bの両支柱部B1同士の距離に対応する距離を挟んだ複数箇所(基盤部Dの四辺Da・Db・Dc・Ddに沿った両端部付近、すなわち基盤部Dの四隅部付近)に、支持基部B4を着脱可能に固定し得る固定部D1が設けられている。
【0033】
この例では、基盤部Dと使用者が利用する椅子やベッド等との位置関係に応じて選択した2箇所である後辺Dbに沿う左右の固定部D1(後辺Dbから前方へ基盤部Dの前後方向長の約20%に位置する)に支持基部B4を固定し、支持部Bの両支柱部B1の基部を各支持基部B4に連結することにより、支持部Bが基盤部Dに対し自立した状態で支承されている。
【0034】
支柱部B1は、自立状態で支持基部B4に対し固定し得ると共に、その固定を解除して支持基部B4に対し90度回動させることにより、支柱部B1を伏倒状態とすることもできる。また、支持部Bの高さは、両支柱部B1のうち中間水平連結部B3よりも下方の部分を伸縮することにより変更することができる。
【0035】
(5) 基盤部Dの後辺Dbのうち内側の部分である所定の外周縁部Dsの両端部に、それぞれ、基盤部Dの上面から基部がやや立ち上がって水平方向外方に向かって突出する転動体支持部Eが設けられている。各転動体支持部Eの先端部の下側には、車輪状の転動体Wが、外周縁部Dsの外方部においてその外周縁部Dsに対し平行状をなす水平状軸線Hの回りに回動するよう、その水平状軸線Hに沿って所定の長さを隔てた2箇所に支持されている。
【0036】
基盤部Dが水平状の床面F上に載置された状態において、両転動体Wはその床面Fのやや上方(約1mm上方)に浮いた状態(両転動体Wの下端位置が床面Fの1mm上方に位置する状態)に支持される。互いに平行状に相対する両転動体支持部Eは、その水平状軸線Hと同心状をなす水平パイプ状の連結体Nにより連結されており、その外周の横断面が正六角形状の連結体Nの上部が踏下部Naを構成する。
【0037】
(6) 水平状軸線Hのうち両転動体Wにわたる部分と外周縁部Dsの間には、基盤部Dが床面F上に載置された状態で床面F上が露出する透孔状をなす傾動非妨部Gを有し、傾動非妨部Gの外方側に、踏下部Naを有する。
【0038】
支持部Bを外周縁部Dsに対し外方側(図2における右側)へ傾動させて基盤部Dを(図2に示されるように)傾動させるために、踏下部Naを確りと踏みつつ支持部Bを外周縁部Dsに対し外方側へ傾動させる場合に、踏下部Naと外周縁部Dsの間に、透孔状をなす傾動非妨部Gを有することにより、基盤部Dを踏んで傾動に支障が生じることが防がれ、両転動体Wを床面Fに対し安定的に押圧させつつ基盤部Dを含む移動載置用介助装置A全体を効率的に傾動させることができる。
【0039】
(7) このように支持部Bを外周縁部Ds対し外方側へ傾動させて基盤部Dを傾動させることにより、転動体Wにより床面F上に移動載置用介助装置Aを支持した状態とすることができ、両転動体Wの転動により移動載置用介助装置Aを床面F上で円滑に移動させることができる。
【0040】
[2] 本発明の実施の形態を、上記以外の形態を含めて更に説明する。
【0041】
(1) 本発明の移動載置用介助装置は、対象部上に載置される基盤部と、その基盤部に対し自立状態で支承される支持部を有する。
【0042】
(2) 対象部というのは、移動載置用介助装置を、その基盤部において載置する対象であり、具体例としては、床面の他、道路面、通路面、地面等を挙げることができる。
【0043】
(3) 対象部に載置される基盤部は、自立状態で支承する支持部を使用者が直接に把持することにより又はその支持部により支持する部材を把持することにより、自身の身体を支持する補助とした場合に、できるだけ安定性を実現する上で、全体としてある程度重量が大きく、対象部上のある程度広い面積にわたるものであることが好ましい。
【0044】
基盤部は、例えば、平面視方形状をなすものとすることができるが、これに限るものではない。また、基盤部は板状をなすものであることが、設置のための空間を確保する上で、或いは、他人を含めた様々な行動の支障となることを防ぐ上で好ましいが、必ずしもこれに限らない。重量がある程度大きいものとする点で鉄系材料を主材料とするものとすることができるが、これに限るものではない。
【0045】
(4) 支持部は、基盤部に対し自立した状態で支承され、使用者が支持部を直接に把持することにより又はその支持部により基盤部の上方に支持される介助部材等の部材(例えば他の介助装置等と連繋するものであってもよい)を把持することにより、支持部に対し直接又は間接に力を加えて、歩行・起立・着座・起床・就床等の動作や姿勢の維持等のために自身の身体を支持する補助とするものである。
【0046】
支持部は、例えば、基盤部に対し固定的に自立したもの、基盤部に対し折畳み及び自立が可能なもの、基盤部に対し着脱可能なもの、伸縮可能なものとすることができる。支持部の形状は、好適には円柱状や多角形柱状等の柱状であるが、これに限るものではない。支持部が柱状体からなるものである場合、例えば、2本以上の柱状体が上方部の1又は2以上の箇所において連結したものとすることができる。
【0047】
介助部材としては、その全体又は部分が手摺部や把持部を構成するものを挙げることができる。介助部材の全体又は一部が支持部又は介助部材の他の部分に対し可動(回動等)であってもよい。
【0048】
(5) 基盤部の所定の外周縁部の外方部(通常の基盤部の載置状態においては、ほぼ水平方向の外方部)に、前記所定の外周縁部に対し平行状をなす水平状軸線(基盤部を水平状の対象部上に載置した場合に水平となる軸線)のまわりに回動して対象部上を転動し得る転動体を、前記水平状軸線に沿って所定の長さを隔てた2箇所を含む位置に有する。
【0049】
基盤部の所定の外周縁部というのは、基盤部が例えば平面視方形状の板状である場合、その方形の一辺の一部(例えば中央部付近)とすることができる。
【0050】
前記水平状軸線に沿って所定の長さを隔てた2箇所を含む位置というのは、例えば、2箇所のみ、2箇所及びその間の1若しくは2以上の個所、又は、2箇所にわたる部分、すなわち2箇所及びその間の全てである。
【0051】
転動体は、基盤部が対象部としての水平面に載置された状態において、対象部に接しない(例えば0.5乃至20mm[好ましくは1乃至10mm]程度浮いた状態)ものとすること(すなわち転動体の下端位置が対象部の上方に位置するものとすること)、又は、対象部に接するものとすることができる。なお、対象部に接しない状態の転動体が対象部上を転動することはない。
【0052】
(5-1) このような転動体の例としては、前記水平状軸線の回りにのみ回動する車輪状の転動体、水平状軸線を含む任意の軸線のまわりに回動し得るフリーボールベアリング状の転動体、水平状の中心軸線のまわりにのみ回動し得る円筒状外周面を有するローラ状の転動体等を挙げることができる。
【0053】
(5-2) このような転動体を、前記水平状軸線に沿って所定の長さを隔てた2箇所を含む位置に有する例としては、前記水平状軸線に沿って所定の長さを隔てた2箇所に前記のような転動体のうち同種のものをそれぞれ1つずつ又は異なるものをそれぞれ1つずつ有するものとすること、2箇所及びそれ以外の位置に、前記のような転動体のうち同種のもの又は異なるものを有するものとすること、或いは、1つのローラ状の転動体が、前記水平状軸線に沿って所定の長さを隔てた2箇所にわたるものとすることもできる。
【0054】
(5-3) 基盤部の所定の外周縁部の外方部においてその所定の外周縁部に対し平行状をなす水平状軸線の位置としては、例えば、3乃至20cm離隔した位置、好ましくは5乃至15cm離隔した位置とすることができる。例えば基盤部が平面視方形状の板状である場合に、その方形の一辺の一部[例えば中央部付近]から水平方向外方に所定距離離隔した位置とすることができる。
【0055】
(5-4) 基盤部の所定の外周縁部の外方部に転動体を支持するには、基盤部の所定の外周縁部から外方に向かって突出して前記転動体を支持する転動体支持部を設けるものとすることができる。
【0056】
このような転動体支持部は、例えば、前記水平状軸線に沿って所定の長さを隔てた2箇所に対応する位置にそれぞれ設けるものとすること、前記水平状軸線に沿って所定の長さを隔てた2箇所及び両箇所の間の1又は2以上の箇所に設けるものとすること、或いは、前記水平状軸線に沿って所定の長さを隔てた2箇所にわたるものとすることができる。転動体が前記2箇所に位置するか又は3箇所以上に位置して、転動体同士の間が離隔している場合、転動体同士の間には、例えば、転動体と共に回動する回動軸、転動体の回動を支持する固定軸又は転動体を支持する複数の転動体支持部同士を連結する連結体が位置するものとすることができる。
【0057】
(5-5) 支持部は、例えば、基盤部の所定の外周縁部の内方部付近(例えば、基盤部における所定の外周縁部とその外周縁部に相対する外周縁部の間のうち所定の外周縁部から30%以内の距離の位置、好ましくは20%以内の距離の位置)に位置するものとすることができる。
【0058】
支持部が柱状体からなるものであり、2本以上の柱状体が上方部の1又は2以上の箇所において連結したものである場合、それらの柱状体を結ぶ水平方向が所定の外周縁部に平行状であるものとすることができる。
【0059】
(5-6) 所定の外周縁部は、例えば基盤部の凹入部(基盤部が例えば平面視方形状の輪郭に沿った板状である場合に、その方形状輪郭の一辺に沿う部分[例えば中央部付近]に、例えば方形状又は台形状の切欠部として有する凹入部)の一部、例えば凹入部の底部(例えば方形状の凹入部の一辺が前記方形状輪郭の一辺に沿う場合における前記方形状の凹入部の一辺に相対する一辺、或いは、台形状の凹入部の上底又は下底が前記方形状輪郭の一辺に沿う場合における前記台形状の凹入部の上底に相対する下底又は下底に相対する上底)とすることもできる。
【0060】
このように所定の外周縁部が凹入部の一部である場合、所定の外周縁部の外方部においてその所定の外周縁部に対し平行状をなす水平状軸線は、例えば、凹入部の内側に位置するものとすること、凹入部の外方部に位置するものとすること、又は凹入部の内側と外方部の境界部に位置するものとすることができる。
【0061】
前記水平状軸線が凹入部の内側に位置するものとする場合や凹入部の内側と外方部の境界部に位置するものとする場合は、例えば、凹入部の両側部にそれぞれ転動体であって前記水平状軸線のまわりに回動し得るものを有するもの又は凹入部の両側部にわたる転動体であって前記水平状軸線のまわりに回動し得るものを有するものとすることができる。
【0062】
なお、所定の外周縁部は必ずしも1箇所に限らない。
【0063】
(6) 水平状軸線のうち前記2箇所(前記水平状軸線に沿って所定の長さを隔てた2箇所)にわたる部分(前記2箇所及びその間の部分)と前記所定の外周縁部の間に傾動非妨部を有し、傾動非妨部の外方側に、踏下部を有する。
【0064】
踏下部は、支持部を所定の外周縁部に対し外方側へ傾動させて基盤部を傾動させる場合に、その踏下部を踏みつつ支持部を所定の外周縁部に対し外方側へ傾動させることにより、転動体を対象部に対し安定的に押圧させつつ基盤部を含む装置全体を効率的に傾動させるためのものである。
【0065】
このように転動体を対象部に対し安定的に押圧させつつ基盤部を含む装置全体を効率的に傾動させるためには、踏下部を確りと踏む必要があるが、踏下部と共に、例えば基盤部のうち、その傾動により上昇する部分を踏むと、基盤部を含む装置全体の傾動が妨げられることとなる。
【0066】
踏下部と前記所定の外周縁部の間に、傾動非妨部として、基盤部が対象部上に載置された状態で対象部が露出する透孔状をなす部分、又は、対象部上に載置された基盤部が前記水平状軸線のまわりに上方傾動する場合に押下してもその上方傾動を妨げない部分(例えば踏下部に対し上下回動可能に支持された板状若しくはその他の形状の部分)を有することにより、踏下部を確りと踏んで支持部を所定の外周縁部に対し外方側へ傾動させ、基盤部を含む装置全体を傾動させる場合に、傾動に支障が生じることが防がれる。
【0067】
転動体が前記2箇所に位置するか又は3箇所以上に位置して、転動体同士の間が離隔しており、転動体同士の間に転動体と共に回動する回動軸、転動体の回動を支持する固定軸又は転動体を支持する複数の転動体支持部同士を連結する連結体が位置する場合、このような回動軸、固定軸又は連結体を踏下部とすることもできる。特に、転動体支持部を複数有すると共に、それらの転動体支持部同士を連結する連結体を有する場合、その連結体が踏下部を構成するものとすることができる。このような踏下部としての回動軸、固定軸又は連結体は、踏下により滑りにくい外周形状、例えば断面正多角形状(例えば正五角形状や正六角形状)とすることができる。また、このような回動軸又は固定軸の上方に少なくとも位置するように踏下部を設けることもできる。
【0068】
また踏下部は、例えば、前記のような転動体支持部を複数有する場合に、前記連結体のように、それらの転動体支持部にわたるように設けることもできる。
【0069】
(7) このように支持部を所定の外周縁部に対し外方側へ傾動させて基盤部を傾動させることにより、転動体により対象部上に装置を支持した状態とすることができ、その転動体の転動により装置を円滑に移動させることができる。
【0070】
宿泊施設のベッド、病院の診察室の椅子やベッド、歯科治療椅子、美容室又は理容室等において、対象者が必要な場合にのみ使用する場合に、通常は収納しておき、必要な場合に所要の場所に移動させ、使用後は元の場所に戻す上で好適である。
【符号の説明】
【0071】
A 移動載置用介助装置
B 支持部
B1 支柱部
B2 上部水平連結部
B3 中間水平連結部
B4 支持基部
C 介助補助体
C1 棒状体
C2 棒状連結部
C3 固定部
D 基盤部
D1 固定部
Da 前辺
Db 後辺
Dc 右辺
Dd 左辺
Ds 外周縁部
E 転動体支持部
F 床面
G 傾動非妨部
H 水平状軸線
N 連結体
Na 踏下部
W 転動体
図1
図2