(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】車両用前照灯
(51)【国際特許分類】
F21S 41/148 20180101AFI20230323BHJP
F21S 41/663 20180101ALI20230323BHJP
F21S 41/32 20180101ALI20230323BHJP
F21S 41/151 20180101ALI20230323BHJP
F21W 102/155 20180101ALN20230323BHJP
F21W 102/20 20180101ALN20230323BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20230323BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230323BHJP
【FI】
F21S41/148
F21S41/663
F21S41/32
F21S41/151
F21W102:155
F21W102:20
F21W103:55
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019546614
(86)(22)【出願日】2018-09-19
(86)【国際出願番号】 JP2018034565
(87)【国際公開番号】W WO2019069682
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-06-21
(31)【優先権主張番号】P 2017196179
(32)【優先日】2017-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017196180
(32)【優先日】2017-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】大川 浩嗣
(72)【発明者】
【氏名】山本 有一
(72)【発明者】
【氏名】藤田 陽平
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-076319(JP,A)
【文献】特開2013-171710(JP,A)
【文献】特開2016-072017(JP,A)
【文献】特開2016-062668(JP,A)
【文献】特開2010-095205(JP,A)
【文献】特開2011-100561(JP,A)
【文献】特開2014-007093(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0186952(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107013862(CN,A)
【文献】特開2015-207512(JP,A)
【文献】特開2011-081968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00
F21W 102/155
F21W 102/20
F21W 103/55
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのハイビーム用発光素子と、
二つ以上のロービーム用発光素子と、
ハイビーム点灯時において、少なくとも一つの前記ロービーム用発光素子を点灯させるとともに、少なくとも一つの前記ロービーム用発光素子から出射される光の光度をロービーム点灯時とは異なる明るさに制御する発光制御回路と、
を備え、
前記発光制御回路は、ハイビーム点灯時において、少なくとも一つの前記ロービーム用発光素子を点灯させるとともに、少なくとも他の一つの前記ロービーム用発光素子を消灯させ、
ハイビーム点灯時に消灯される前記ロービーム用発光素子は、ハイビーム点灯時において点灯される前記ロービーム用発光素子よりも、ロービーム点灯時において車両の手前側を照らす
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
前記ハイビーム用発光素子と、前記ロービーム用発光素子と、前記ハイビーム用発光素子及び前記ロービーム用発光素子から出射される光を反射する一つのリフレクタと、を有する灯具ユニットを備える
ことを特徴とする請求項
1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
前記ハイビーム用発光素子、及び、前記ハイビーム用発光素子から出射される光を反射する一つのリフレクタを有するハイビーム用の灯具ユニットと、
前記ロービーム用発光素子、及び、前記ロービーム用発光素子から出射される光を反射する一つのリフレクタを有するロービーム用の灯具ユニットと、
を備える
ことを特徴とする請求項
1に記載の車両用前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用ヘッドライトに代表される車両用前照灯としては、夜間に前方を照らすロービーム用の光源の他に、当該ロービームよりも遠方を照らすハイビーム用の光源等を搭載したものが知られている。ハイビーム用の光源からの光は、ロービームよりも上方に照射される光を含んでいる。また、車両用前照灯には、これらの光源が一つの灯具ユニットに備えられるものがある。
【0003】
例えば下記特許文献1には、前後方向に並んで配置された第1および第2発光素子と、これら第1および第2発光素子からの出射光を前方へ向けて反射させるリフレクタとを有するリフレクタユニットを少なくとも二つ備えた車両用灯具が開示されている。当該車両用灯具では、第1発光素子がロービーム用の光源とされ、第2発光素子がハイビーム用の光源とされる。
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本発明の車両用前照灯は、少なくとも一つのハイビーム用発光素子と、少なくとも一つのロービーム用発光素子と、前記ハイビーム用発光素子及び前記ロービーム用発光素子から出射される光を反射する一つのリフレクタと、を有する灯具ユニットを備え、前記ハイビーム用発光素子及び前記ロービーム用発光素子は前後方向に並べて配置され、前記ハイビーム用発光素子の出光面の総面積と前記ロービーム用発光素子の出光面の総面積とが互いに異なることを特徴とする。
【0006】
本明細書において、発光素子の出光面とは、発光素子のうち発光する面を意味する。例えば、発光素子がLEDである場合、pn接合面が発光素子の出光面とされる。ただし、発光素子が蛍光体を介してpn接合面からの光を出射するLEDである場合は、当該蛍光体の発光面が発光素子の出光面とされる。また、発光素子の出光面の面積とは、発光面から出射する光の光軸方向に沿って当該発光面を見る場合における当該発光面の面積を意味する。
【0007】
上記車両用前照灯では、ハイビーム用発光素子とロービーム用発光素子とが前後方向に並べて配置されることにより、ハイビーム用発光素子から出射される光とロービーム用発光素子から出射される光とは、リフレクタよって上下方向に異なる方向に反射される。よって、ロービームの配光パターン及びハイビームの配光パターンが形成される。ところで、上記のように、ハイビーム用発光素子から出射される光が照射される領域の大きさとロービーム用発光素子から出射される光が照射される領域の大きさとが同じである場合、ハイビームの配光パターンまたはロービームの配光パターンを所望の形状とすることが難しくなる。そこで、上記車両用前照灯では、ハイビーム用発光素子の出光面の総面積とロービーム用発光素子の出光面の総面積とが互いに異なるため、ハイビーム用発光素子から出射される光が照射される領域の大きさとロービーム用発光素子から出射される光が照射される領域の大きさとが互いに異なる。よって、一つのリフレクタでも所望のロービームの配光パターン及びハイビームの配光パターンを形成し得る。
【0008】
また、ハイビーム用発光素子の出光面の総面積とロービーム用発光素子の出光面の総面積とが互いに異なる場合、前記ハイビーム用発光素子の数と前記ロービーム用発光素子の数とが互いに異なることが好ましい。
【0009】
ハイビーム用発光素子の数とロービーム用発光素子の数とが互いに異なることによって、上記のようにハイビーム用発光素子の出光面の総面積とロービーム用発光素子の出光面の総面積とを互いに異ならせることが容易になる。
【0010】
また、ハイビーム用発光素子の出光面の総面積とロービーム用発光素子の出光面の総面積とが互いに異なる場合、前記ハイビーム用発光素子の数と前記ロービーム用発光素子の数とが同じであり、一つの前記ハイビーム用発光素子の出光面の面積と一つの前記ロービーム用発光素子の出光面の面積とが互いに異なるが好ましい。
【0011】
一つのハイビーム用発光素子の出光面の面積と一つのロービーム用発光素子の出光面の面積とが互いに異なることによって、上記のようにハイビーム用発光素子の出光面の総面積とロービーム用発光素子の出光面の総面積とを互いに異ならせることが容易になる。
【0012】
また、ハイビーム用発光素子の出光面の総面積とロービーム用発光素子の出光面の総面積とが互いに異なる場合、前記ロービーム用発光素子の出光面の形状及び前記ハイビーム用発光素子の出光面の形状のうち一方が他方よりも横長であることが好ましい。
【0013】
ロービーム用発光素子の出光面の形状とは、ロービーム用発光素子が複数備えられる場合は、それら複数のロービーム用発光素子の出光面を合わせた形状、すなわち複数のロービーム用発光素子の出光面を囲う形状を意味する。また、ハイビーム用発光素子の出光面の形状とは、ハイビーム用発光素子が複数備えられる場合は、それら複数のハイビーム用発光素子の出光面を合わせた形状、すなわち複数のハイビーム用発光素子の出光面を囲う形状を意味する。
【0014】
ハイビーム用発光素子から出射される光が照射される領域の形状とロービーム用発光素子から出射される光が照射される領域の形状とが同じである場合、ハイビーム点灯時にホットゾーンが所望の位置からずれ易くなる。ロービーム用発光素子の出光面の形状がハイビーム用発光素子の出光面の形状よりも横長であることによって、ロービーム用発光素子から出射される光が照射される領域を左右方向に広げて所望の形状とするとともに、ハイビーム用発光素子から出射される光を狭い範囲に照射することができる。そのため、ハイビーム用発光素子から出射される光をハイビーム点灯時にホットゾーンを狙って照射させ易くなる。よって、一つのリフレクタでも所望のロービームの配光パターン及びハイビームの配光パターンをより形成し易くなる。
【0015】
また、ハイビーム用発光素子の出光面の形状がロービーム用発光素子の出光面の形状より横長とされることにより、ハイビーム用発光素子から出射される光の量がロービーム用発光素子から出射される光の量より多くされ得る。このようにハイビーム用発光素子から出射される光をリフレクタで所望の位置に向けて収束させることによって、ハイビーム点灯時にホットゾーンが所望の位置に形成され得る。ハイビーム点灯時のホットゾーンはロービームの配光パターンのカットライン近傍に形成されることが好ましい。ハイビーム用発光素子の出光面の形状が横長とされることによって、ハイビーム用発光素子から出射される光が上下方向に広がり過ぎることが抑制され、ロービームの配光パターンのカットライン近傍にホットゾーンが形成され易くなる。
【0016】
また、ハイビーム用発光素子の出光面の総面積とロービーム用発光素子の出光面の総面積とが互いに異なる場合、前記ハイビーム用発光素子の出光面の形状及び前記ロービーム用発光素子の出光面の形状のうち一方が他方よりも前後方向に長いことが好ましい。
【0017】
発光素子の出光面の形状を前後方向に長くすることによって、リフレクタに反射された光は上下方向に広く拡散し易くなる。ハイビーム用発光素子の出光面の形状がロービーム用発光素子の出光面の形状よりも前後方向に長いことによって、ハイビームの配光パターンを上下方向に広げ易くなる。よって、遠方までハイビームが照射され易くなる。
【0018】
また、ロービーム用発光素子の出光面の形状がハイビーム用発光素子の出光面の形状よりも前後方向に長いことによって、ロービームの配光パターンを上下方向に広げ易くなる。よって、例えばトラックのように車高の高い車に用いられる場合に、車に近い位置から遠方までロービームが照射され易くなる。
【0019】
また、ハイビーム用発光素子の出光面の総面積とロービーム用発光素子の出光面の総面積とが互いに異なる場合、前記灯具ユニットを複数備え、一つの前記灯具ユニットにおいて、前記ロービーム用発光素子の出光面の形状が前記ハイビーム用発光素子の出光面の形状よりも横長であり、他の前記灯具ユニットにおいて、前記ハイビーム用発光素子の出光面の形状が前記ロービーム用発光素子の出光面の形状よりも横長であることが好ましい。
【0020】
一つの灯具ユニットからの光だけでは明るいロービームの配光パターン及びハイビームの配光パターンを形成することが難しい場合がある。複数の灯具ユニットが備えられることによって、一つの灯具ユニットからの光でロービームの配光パターン及びハイビームの配光パターンが形成されると共に、他の灯具ユニットからの光でロービームの配光パターン及びハイビームの配光パターンが補完され得る。
【0021】
以上のように、本発明によれば、一つのリフレクタでも所望のロービームの配光パターン及びハイビームの配光パターンを形成し得る車両用前照灯が提供される。
【0022】
また、本発明の車両用前照灯は、少なくとも一つのハイビーム用発光素子と、少なくとも一つのロービーム用発光素子と、ハイビーム点灯時において、少なくとも一つの前記ロービーム用発光素子を点灯させるとともに、少なくとも一つの前記ロービーム用発光素子から出射される光の光度をロービーム点灯時とは異なる明るさに制御する発光制御回路と、を備えることを特徴とする。
【0023】
上記車両用前照灯では、ハイビーム点灯時において、少なくとも一つのロービーム用発光素子が点灯されることによって、運転者から見て車両の手前側が暗くなることが抑制され得る。また、ハイビーム点灯時において、少なくとも一つのロービーム用発光素子から出射される光の光度がロービーム点灯時とは異なる明るさに制御されることによって、運転者から見て車両の手前側が適切な明るさとされ得る。このように上記車両用前照灯では、ハイビーム点灯時における明るさ及び照射範囲が適切に制御され得る。なお、ハイビーム点灯時において、発光制御回路によって点灯されるロービーム用発光素子と光度が制御されるロービーム用発光素子とは、互いに異なっていても同じでもよい。すなわち、例えば、ハイビーム点灯時において、一つのロービーム用発光素子が点灯されて他の一つのロービーム用発光素子が消灯又は減光されてもよく、一つのロービーム用発光素子がロービーム点灯時とは異なる明るさで点灯されてもよい。
【0024】
また、ロービーム用発光素子から出射される光の光度をロービーム点灯時とは異なる明るさに制御する発光制御回路を備える場合、前記発光制御回路は、ハイビーム点灯時において、少なくとも一つの前記ロービーム用発光素子から出射される光の光度をロービーム点灯時よりも低くすることが好ましい。
【0025】
ロービーム用発光素子から出射される光の光度を低くするとは、ロービーム用発光素子が消灯される場合を含まない。上記のようにハイビーム点灯時においてロービーム用発光素子が消灯されずにロービーム用発光素子から出射される光の光度が低くされることによって、運転者から見て車両の手前側がある程度明るくされつつ明るくなり過ぎることが抑制され得る。
【0026】
また、ロービーム用発光素子から出射される光の光度をロービーム点灯時とは異なる明るさに制御する発光制御回路を備える場合、二つ以上の前記ロービーム用発光素子を備え、前記発光制御回路は、ハイビーム点灯時において、少なくとも一つの前記ロービーム用発光素子から出射される光の光度をロービーム点灯時と同じにすることも好ましい。
【0027】
また、ロービーム用発光素子から出射される光の光度をロービーム点灯時とは異なる明るさに制御する発光制御回路を備える場合、二つ以上の前記ロービーム用発光素子を備え、ハイビーム点灯時において、前記発光制御回路は、少なくとも一つの前記ロービーム用発光素子の光度を他の少なくとも一つの前記ロービーム用発光素子の光度よりも高くし、相対的に光度が低くされる前記ロービーム用発光素子は、相対的に光度が高くされる前記ロービーム用発光素子よりも車両の手前側を照らすことが好ましい。
【0028】
このように複数のロービーム用発光素子が制御されることによって、ハイビーム点灯時には運転者から見て遠方を明るくし易くなるとともに車両の手前側が明るくなり過ぎることが抑制され得る。
【0029】
また、ロービーム用発光素子から出射される光の光度をロービーム点灯時とは異なる明るさに制御する発光制御回路を備える場合、二つ以上の前記ロービーム用発光素子を備え、前記発光制御回路は、ハイビーム点灯時において、少なくとも一つの前記ロービーム用発光素子を点灯させるとともに、少なくとも他の一つの前記ロービーム用発光素子を消灯させることも好ましい。この場合、ハイビーム点灯時に消灯される前記ロービーム用発光素子は、ハイビーム点灯時において点灯される前記ロービーム用発光素子よりも、ロービーム点灯時において車両の手前側を照らすことが好ましい。
【0030】
このように複数のロービーム用発光素子が制御されることによっても、ロービーム点灯時には運転者から見て車両の手前側が十分に明るくされ、ハイビーム点灯時には運転者から見て車両の手前側が明るくなり過ぎることが抑制され得る。
【0031】
また、ロービーム用発光素子から出射される光の光度をロービーム点灯時とは異なる明るさに制御する発光制御回路を備える場合、前記ハイビーム用発光素子と、前記ロービーム用発光素子と、前記ハイビーム用発光素子及び前記ロービーム用発光素子から出射される光を反射する一つのリフレクタと、を有する灯具ユニットを備えることが好ましい。
【0032】
一つの灯具ユニットがハイビーム用発光素子、ロービーム用発光素子、及びリフレクタを有することによって、一つの灯具ユニットからの光でロービームの配光パターン及びハイビームの配光パターンが形成され得る。よって、車両用前照灯が小型化され得る。
【0033】
また、ロービーム用発光素子から出射される光の光度をロービーム点灯時とは異なる明るさに制御する発光制御回路を備える場合、前記ハイビーム用発光素子、及び、前記ハイビーム用発光素子から出射される光を反射する一つのリフレクタを有するハイビーム用の灯具ユニットと、前記ロービーム用発光素子、及び、前記ロービーム用発光素子から出射される光を反射する一つのリフレクタを有するロービーム用の灯具ユニットと、を備えることが好ましい。
【0034】
ハイビーム用の灯具ユニットからの光だけでは適切なハイビームの配光パターンを形成することが難しい場合がある。ハイビーム用の灯具ユニットとロービーム用の灯具ユニットとが備えられることによって、ハイビーム用の灯具ユニットからの光でハイビームの配光パターンの一部が形成されると共に、ロービーム用の灯具ユニットからの光でハイビームの配光パターンが補完され得る。
【0035】
以上のように、本発明によれば、ハイビーム点灯時における明るさ及び照射範囲が適切に制御され得る車両用前照灯が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の第1実施形態における車両用前照灯を備える車両の概略を示す正面図である。
【
図3】
図1のIII-III線における断面図である。
【
図4】
図4(A)はロービームの配光パターンを示し、
図4(B)はハイビームの配光パターンを示し、
図4(C)は昼間照明の配光パターンを示す。
【
図5】本発明の第2実施形態における灯具の水平方向断面の概略を示す図である。
【
図6】本発明の第3実施形態における灯具の水平方向断面の概略を示す図である。
【
図7】本発明の第4実施形態における灯具の鉛直方向断面の概略を示す図である。
【
図8】本発明の第5実施形態における灯具の鉛直方向断面の概略を示す図である。
【
図9】本発明の変形例における灯具の水平方向断面の概略を示す図である。
【
図10】本発明の第6実施形態における灯具の水平方向断面の概略を示す図である。
【
図11】本発明の第6実施形態における灯具の鉛直方向断面の概略を示す図である。
【
図12】
図11と同様の視点で示す他の灯具の鉛直方向の断面図である。
【
図13】
図13(A)はロービームの配光パターンを示し、
図13(B)はハイビームの配光パターンを示し、
図13(C)は昼間照明の配光パターンを示す。
【
図14】本発明の第7実施形態における灯具の水平方向断面の概略を示す図である。
【
図15】本発明の第7実施形態における灯具の鉛直方向断面の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明に係る車両用前照灯を実施するための形態が添付図面とともに例示される。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、以下の実施形態から変更、改良することができる。
【0038】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における車両用前照灯を備える車両の概略を示す正面図である。
図1に示すように車両100は、前方の左右方向のそれぞれに一対の車両用前照灯1を備える。車両100に備わる一対の車両用前照灯1は、互いに左右方向に対称な形状とされる。本実施形態の車両用前照灯1は、複数の灯具1a,1b,1cが互いに横並びに並べられており、灯具1aが車両100の最も外側に配置され、灯具1cが車両100の最も中心側に配置され、灯具1bが灯具1aと灯具1cとの間に配置される。それぞれの灯具1a,1b,1cは、互いに同じ構成とされても良く、互いに異なる構成とされても良い。
【0039】
図2は
図1のII-II線に沿った面から見上げる水平方向の断面図であり、
図3は
図1のIII-III線における鉛直方向の断面図である。すなわち、
図2は灯具1aの上部における水平方向の断面図であり、
図3は灯具1aの左右方向の略中央における鉛直方向の断面図である。
図2、
図3に示すように車両用前照灯1の一部である灯具1aは、筐体10と、当該筐体10内に収容される灯具ユニットLUとを備える。
【0040】
<筐体10>
筐体10は、ランプハウジング11、フロントカバー12及びバックカバー13を主な構成として備える。ランプハウジング11の前方は開口しており、当該開口を塞ぐようにフロントカバー12がランプハウジング11に固定されている。また、ランプハウジング11の後方には前方よりも小さな開口が形成されており、当該開口を塞ぐようにバックカバー13がランプハウジング11に固定されている。
【0041】
ランプハウジング11と、当該ランプハウジング11の前方の開口を塞ぐフロントカバー12と、当該ランプハウジング11の後方の開口を塞ぐバックカバー13とによって形成される空間は灯室LRであり、この灯室LR内に灯具ユニットLUが収容されている。
【0042】
<灯具ユニットLU>
灯具ユニットLUは、支持部材30、リフレクタ20、二つのロービーム用発光素子41、一つのハイビーム用発光素子51を主な構成として備える。
【0043】
支持部材30は金属製の部材であり、トッププレート31と、バックプレート32と、係止部33とを有する。トッププレート31は概ね水平に延在する板状の金属部材であり、バックプレート32は概ね鉛直に延在する板状の金属部材である。トッププレート31の後端とバックプレート32の上端は互いに接続されている。また、バックプレート32の上端近傍には、係止部33が接続されている。係止部33はバックプレート32から後方に向かって延在しており、係止部33には後方側に開口するねじ孔が形成されている。このねじ孔にはランプハウジング11の外側からねじ35が螺入され、係止部33がランプハウジング11に固定されている。また、バックプレート32の下方側にもねじ孔が形成されており、このねじ孔にはランプハウジング11の外側からねじ34が螺入されバックプレート32はランプハウジング11に固定されている。こうしてバックプレート32は、概ね鉛直な状態で灯室LR内に固定され、バックプレート32に接続されるトッププレート31も灯室LR内に固定されている。なお、これらのねじ34,35が調整されることで、バックプレート32の角度を微調整することができ、これに伴いトッププレート31の角度を微調整することができる。
【0044】
リフレクタ20は、トッププレート31の下面に固定されている。リフレクタ20はリフレクタ本体部24及びめっき部23を有する。リフレクタ本体部24は樹脂から成る。めっき部23は、リフレクタ本体部24の前方側の面上において、アルミニウム等の金属や金属酸化物によって構成される薄膜である。このめっき部23の表面は、光の反射面23rとされる。反射面23rは、例えば、開口方向が前方側とされる放物線を基調とする自由曲面から成る凹状の形状とされる。より具体的には、反射面23rの鉛直方向の断面における形状は、概ね放物線の中心軸を水平にする場合の頂点よりも下側の形状とされ、反射面23rの水平方向の断面における形状は、概ね放物線の頂点を含む形状とされる。ただし、反射面23rの鉛直方向の断面における放物線と、水平方向の断面における放物線とは互いに異なる放物線とされても良い。また、水平方向の断面における反射面23rの形状は、放物線を基調としなくても良く、例えば楕円の一部を基調とする形状や他の凹状の形状とされても良い。
【0045】
また、トッププレート31の下面には、ロービーム用発光素子41及びハイビーム用発光素子51が配置される。ロービーム用発光素子41は少なくともロービームの一部となる光を出射し、ハイビーム用発光素子51は少なくともハイビームの一部となる光を出射する。本実施形態では、二つのロービーム用発光素子41と一つのハイビーム用発光素子51とが配置される。車両用前照灯1の正面から見る場合に、二つのロービーム用発光素子41は横並びに配置され、ハイビーム用発光素子51は二つのロービーム用発光素子41の間に配置される。すなわち、二つのロービーム用発光素子41及びハイビーム用発光素子51は、トッププレート31の下面を平面視する場合に、三角形の各頂点と重なる位置に配置される。また、二つのロービーム用発光素子41のそれぞれの出光面41fの形状及びハイビーム用発光素子51の出光面51fの形状は略同一である。よって、二つのロービーム用発光素子41の出光面41fの総面積はハイビーム用発光素子51の出光面51fの総面積よりも大きい。また、上記のように二つのロービーム用発光素子41は横並びに配置されており、二つのロービーム用発光素子41の出光面41fを合わせた形状はハイビーム用発光素子51の出光面51fの形状よりも横長である。これらのロービーム用発光素子41はそれぞれ反射面23rの鉛直方向の断面形状が基調とする放物線の焦点近傍に配置され、ハイビーム用発光素子51はロービーム用発光素子41よりも前方に配置される。
【0046】
ロービーム用発光素子41及びハイビーム用発光素子51は、例えばそれぞれLED(Light Emitting Diode)とされる。ロービーム用発光素子41及びハイビーム用発光素子51は、不図示の回路基板に接続されており、当該回路基板からの給電により光を出射することができる。ロービーム用発光素子41及びハイビーム用発光素子51は、それぞれ別々の回路基板に接続されても良く、一つの回路基板に接続されても良い。ただし、ロービーム用発光素子41及びハイビーム用発光素子51が一つの回路基板に接続されることによって、部品点数が多くなることを抑制できると共に、それぞれの発光素子の相対的位置を確定し易くなる。
【0047】
次に本実施形態の車両用前照灯1の動作及び作用効果について説明する。
図4(A)はロービームの配光パターンを示し、
図4(B)はハイビームの配光パターンを示し、
図4(C)は昼間照明の配光パターンを示す。
【0048】
<ロービーム点灯時>
本実施形態では、二つのロービームはロービーム用発光素子41からの光により照射される。
【0049】
図2、
図3に示すように、二つのロービーム用発光素子41から出射する光L41の多くは、反射面23rで反射される。この光L41のうち、ロービーム用発光素子41の出射部における最も前方側の領域から出射する光が、
図4(A)に示すロービームのカットラインを形成する。また、ロービーム用発光素子41は、上記のように反射面23rの鉛直方向の断面形状が基調とする放物線の焦点近傍に配置されており、ロービーム用発光素子41の出射部における同じ領域から出射した光は、反射面23rのどの部分で反射しても、反射後に互いに概ね平行光とされる。
【0050】
<ハイビーム点灯時>
本実施形態では、ハイビームは、二つのロービーム用発光素子41からの光L41に加えて、ハイビーム用発光素子51からの光により照射される。
図2、
図3に示すように、ハイビーム用発光素子51から出射する光L42の多くは反射面23rで反射される。ハイビーム用発光素子51は上記のようにロービーム用発光素子41よりも前方に配置されており、反射面23rで反射された光L42の少なくとも一部は、上記ロービームのカットラインより上方に照射される。こうして、
図4(B)に示すハイビームの配光パターンが形成される。このように、ハイビーム点灯時には、ロービーム用発光素子41も発光させることによって、上下方向に広い配光パターンとすることができる。すなわち、運転者から見て車両100の手前側から遠方側までの広い範囲の配光パターンとすることができる。
【0051】
<昼間照明点灯時>
灯具1a~1cのうち一部が昼間照明用の灯具されることにより、昼間照明用の光が照射される場合に
図4(C)に示す昼間照明の配光パターンが形成される。
【0052】
ところで、上記特許文献1の車両用灯具では、上記各リフレクタユニットの第1発光素子を同時点灯させることによってロービームの配光パターンまたはその一部が形成される。また、上記各リフレクタユニットの第2発光素子を同時点灯させることによってハイビームの配光パターンまたはその一部が形成される。このように、従来の車両用前照灯では、ロービーム用の発光素子、ハイビーム用の発光素子、及びリフレクタを有するユニットを複数用いてロービームの配光パターン及びハイビームの配光パターンが形成されている。一つのリフレクタでロービーム用の発光素子から出射される光とハイビーム用の発光素子から出射される光とを反射させる場合、ロービーム用の発光素子から出射される光が照射される領域の大きさとハイビーム用の発光素子から出射される光が照射される領域の大きさとが概ね同じ大きさとなり得る。この場合、ロービームの配光パターン及びハイビームの配光パターンのうち一方が所望の形状となるようにリフレクタが設計されると、他方を所望の形状とすることが難しくなる。このように、従来の車両用前照灯では、ロービーム用の発光素子とハイビーム用の発光素子と一つのリフレクタとで所望のロービーム用の配光パターン及びハイビームの配光パターンを形成することが困難である。
【0053】
これに対し、本実施形態の車両用前照灯1は、二つのロービーム用発光素子41及び一つのハイビーム用発光素子51と、ハイビーム用発光素子51及びロービーム用発光素子41から出射される光を反射する一つのリフレクタ20と、を有する灯具ユニットLUを備える。また、ハイビーム用発光素子51とロービーム用発光素子41とは前後方向に並べて配置されており、ハイビーム用発光素子51から出射される光とロービーム用発光素子41から出射される光とは、リフレクタ20よって上下方向に異なる方向に反射される。よって、上記のようにロービームの配光パターン及びハイビームの配光パターンが形成される。
【0054】
すなわち、本発明によれば、一つのリフレクタでも所望のロービームの配光パターン及びハイビームの配光パターンを形成し得る車両用前照灯が提供される。
【0055】
ところで、ハイビーム用発光素子51から出射される光が照射される領域の大きさとロービーム用発光素子41から出射される光が照射される領域の大きさとが同じである場合、ハイビームの配光パターン及びロービームの配光パターンのうち一方を所望の形状に形成しようとすると、他方を所望の形状とすることが難しくなる。本実施形態の車両用前照灯1では、上記のようにハイビーム用発光素子51の出光面51fの総面積とロービーム用発光素子41の出光面41fの総面積とが互いに異なる。そのため、ハイビーム用発光素子51から出射される光が照射される領域の大きさとロービーム用発光素子41から出射される光が照射される領域の大きさとが互いに異なる。よって、一つのリフレクタ20でも所望のロービームの配光パターン及びハイビームの配光パターンを形成し得る。
【0056】
また、本実施形態の車両用前照灯1では、ハイビーム用発光素子51の数とロービーム用発光素子41の数とが互いに異なる。よって、上記のようにハイビーム用発光素子51の出光面51fの総面積とロービーム用発光素子41の出光面41fの総面積とを互いに異ならせることが容易になる。
【0057】
また、ハイビーム用発光素子51から出射される光が照射される領域の形状とロービーム用発光素子41から出射される光が照射される領域の形状とが同じである場合、ハイビーム点灯時にホットゾーンが所望の位置からずれ易くなる。本実施形態の車両用前照灯1では、上記のようにロービーム用発光素子41の出光面41fの形状がハイビーム用発光素子51の出光面51fの形状よりも横長であることによって、ロービーム用発光素子41から出射される光が照射される領域を左右方向に広げて所望の形状とするとともに、ハイビーム用発光素子51から出射される光を狭い範囲に照射することができる。そのため、ハイビーム用発光素子51から出射される光をハイビーム点灯時にホットゾーンを狙って照射させ易くなる。よって、一つのリフレクタ20でも所望のロービームの配光パターン及びハイビームの配光パターンをより形成し易くなる。
【0058】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について
図5を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0059】
図5は、本発明の第2実施形態における灯具の水平方向断面の概略を示す図である。
図5は、
図2と同様に本実施形態にかかる灯具1aの上部における水平方向の断面図である。
【0060】
本実施形態の灯具1aは、ハイビーム用発光素子51とロービーム用発光素子41とがそれぞれ一つずつ備えられ、一つのハイビーム用発光素子51の出光面51fの面積と一つのロービーム用発光素子41の出光面41fの面積とが互いに異なる点で上記第1実施形態と異なる。本実施形態の一つのロービーム用発光素子41の出光面41fは、一つのハイビーム用発光素子51の出光面51fよりも横長に形成されている。
【0061】
このように一つのハイビーム用発光素子51の出光面51fの面積と一つのロービーム用発光素子41の出光面41fの面積とが互いに異なることによって、ハイビーム用発光素子51の出光面51fの総面積とロービーム用発光素子41の出光面41fの総面積とを互いに異ならせることが容易になる。よって、上記第1実施形態と同様に、一つのリフレクタ20でも所望のロービームの配光パターン及びハイビームの配光パターンを形成し得る。
【0062】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について
図6を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0063】
図6は、本発明の第3実施形態における灯具の水平方向断面の概略を示す図である。
図6は、
図2と同様に本実施形態にかかる灯具1aの上部における水平方向の断面図である。
【0064】
本実施形態の灯具1aは、ハイビーム用発光素子51の数とロービーム用発光素子41の数とが上記第1実施形態と異なる。本実施形態の灯具1aは、二つのハイビーム用発光素子51と一つのロービーム用発光素子41とを備える。車両用前照灯1の正面から見る場合に、二つのハイビーム用発光素子51は横並びに配置され、ロービーム用発光素子41は二つのハイビーム用発光素子51の間に配置される。そのため、ハイビーム用発光素子51の出光面51fの形状はロービーム用発光素子41の出光面41fの形状よりも横長である。
【0065】
ハイビーム用発光素子51の出光面51fの形状がロービーム用発光素子41の出光面41fの形状より横長とされることにより、ハイビーム用発光素子51から出射される光の量がロービーム用発光素子41から出射される光の量より多くされ得る。このようにハイビーム用発光素子51から出射される光をリフレクタ20で所望の位置に向けて収束させることによって、ハイビーム点灯時にホットゾーンが所望の位置に形成され得る。ハイビーム点灯時のホットゾーンはロービームの配光パターンのカットライン近傍に形成されることが好ましい。ハイビーム用発光素子51の出光面51fの形状が横長とされることによって、ハイビーム用発光素子51から出射される光が上下方向に広がり過ぎることが抑制され、ロービームの配光パターンのカットライン近傍にホットゾーンが形成され易くなる。
【0066】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について
図7を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0067】
図7は、本発明の第4実施形態における灯具の鉛直方向断面の概略を示す図である。
図7は、
図3と同様に本実施形態にかかる灯具1aの左右方向の略中央における鉛直方向の断面図である。
【0068】
本実施形態の灯具1aは、二つのハイビーム用発光素子51及び一つのロービーム用発光素子41がそれぞれ前後方向に並べて配置される点において上記第1実施形態と異なる。本実施形態の灯具1aでは、上記のように二つのハイビーム用発光素子51が前後方向に並べて配置されることによって、二つのハイビーム用発光素子51の出光面51fを合わせた形状がロービーム用発光素子41の出光面41fの形状よりも前後方向に長くなる。
【0069】
発光素子の出光面の形状を前後方向に長くすることによって、リフレクタに反射された光は上下方向に広く拡散し易くなる。ハイビーム用発光素子51の出光面51fの形状がロービーム用発光素子41の出光面41fの形状よりも前後方向に長いことによって、ハイビームの配光パターンを上下方向に広げ易くなる。よって、遠方までハイビームが照射され易くなる。
【0070】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について
図8を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0071】
図8は、本発明の第5実施形態における灯具の鉛直方向断面の概略を示す図である。
図8は、
図3と同様に本実施形態にかかる灯具1aの左右方向の略中央における鉛直方向の断面図である。
【0072】
本実施形態の灯具1aは、二つのロービーム用発光素子41及び一つのハイビーム用発光素子51がそれぞれ前後方向に並べて配置される点において上記第1実施形態と異なる。本実施形態の灯具1aでは、上記のように二つのロービーム用発光素子41が前後方向に並べて配置されることによって、二つのロービーム用発光素子41の出光面41fを合わせた形状がハイビーム用発光素子51の出光面51fの形状よりも前後方向に長くなる。
【0073】
ロービーム用発光素子41の出光面41fの形状がハイビーム用発光素子51の出光面51fの形状よりも前後方向に長いことによって、ロービームの配光パターンを上下方向に広げ易くなる。よって、例えばトラックのように車高の高い車に用いられる場合に、車に近い位置から遠方までロービームが照射され易くなる。
【0074】
以上、本発明について、上記第1から第5実施形態を例に説明したが、本発明は上記第1から第5実施形態に限定されるものではない。
【0075】
例えば、ハイビーム用発光素子51の数及び形状、ロービーム用発光素子41の数及び形状はそれぞれ特に限定されず、ハイビーム用発光素子51の出光面51fの総面積とロービーム用発光素子41の出光面41fの総面積とが互いに異なっていれば良い。
【0076】
また、上記第1実施形態では、二つのロービーム用発光素子41が左右方向に並べて配置される例を挙げて説明したが、本発明は当該形態に限定されない。
図9は、
図2と同様に本発明の変形例における灯具の水平方向断面の概略を示す図である。
図9に示すように、二つのロービーム用発光素子41は左右方向に並べられるとともに前後方向にずれた位置に配置されてもよい。また、上記第3実施形態のように複数のハイビーム用発光素子51が備えられる場合は、本変形例と同様に、二つのハイビーム用発光素子51は左右方向に並べられるとともに前後方向にずれた位置に配置されてもよい。
【0077】
また、上記第1から第5実施形態において、灯具の数は特に限定されない。灯具が複数備えられる場合、各灯具の位置は特に限定されない。したがって、例えば、上記第1から第5実施形態において、灯具1aが車両100の最も外側に配置されても良く、灯具1aが車両100の最も中心側に配置されても良い。
【0078】
また、灯具ユニットが複数備えられる場合、一つの灯具ユニットにおいて、ロービーム用発光素子41の出光面41fの形状がハイビーム用発光素子51の出光面51fの形状よりも横長であり、他の灯具ユニットにおいて、ハイビーム用発光素子51の出光面51fの形状がロービーム用発光素子41の出光面41fの形状よりも横長であることが好ましい。すなわち、上記第1実施形態にかかる灯具1aと上記第3実施形態にかかる灯具1aとが組み合わせて用いられることが好ましい。一つの灯具ユニットからの光だけでは明るいロービームの配光パターン及びハイビームの配光パターンを形成することが難しい場合がある。複数の灯具ユニットが備えられることによって、一つの灯具ユニットからの光でロービームの配光パターン及びハイビームの配光パターンが形成されると共に、他の灯具ユニットからの光でロービームの配光パターン及びハイビームの配光パターンが補完され得る。
【0079】
また、上記第1から第5実施形態では、ロービーム用発光素子41及びハイビーム用発光素子51の下方にリフレクタ20が配置される形態を例示して説明したが、リフレクタ20は、ロービーム用発光素子41及びハイビーム用発光素子51の上方に設けられてもよい。この場合、ロービーム用発光素子41とハイビーム用発光素子51との前後方向の位置関係は上記実施形態と逆にされる。
【0080】
以上説明したように、本発明によれば、一つのリフレクタでも所望のロービームの配光パターン及びハイビームの配光パターンを形成し得る車両用前照灯を提供することができる。当該車両用前照灯は、自動車等の車両用前照灯の分野などにおいて利用可能である。
【0081】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。なお、上記第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。本実施形態では、以下に説明するように、灯具1aはロービーム用の灯具とされ、灯具1bはハイビーム用の灯具とされる。灯具1cは、灯具1a,1bのいずれかと互いに同じ構成とされても良く、互いに異なる構成とされても良い。
【0082】
<灯具1a>
図10は本発明の第6実施形態における灯具の水平方向断面の概略を示す図であり、
図11は本発明の第6実施形態における灯具の鉛直方向断面の概略を示す図である。
図10、
図11に示すように車両用前照灯1の一部である灯具1aは、筐体10と、当該筐体10内に収容される灯具ユニットLUaとを備える。本実施形態において灯具ユニットLUaは、ロービーム用の灯具ユニットとされる。
【0083】
筐体10は、ランプハウジング11、フロントカバー12及びバックカバー13を主な構成として備える。ランプハウジング11の前方は開口しており、当該開口を塞ぐようにフロントカバー12がランプハウジング11に固定されている。また、ランプハウジング11の後方には前方よりも小さな開口が形成されており、当該開口を塞ぐようにバックカバー13がランプハウジング11に固定されている。
【0084】
ランプハウジング11と、当該ランプハウジング11の前方の開口を塞ぐフロントカバー12と、当該ランプハウジング11の後方の開口を塞ぐバックカバー13とによって形成される空間は灯室LRであり、この灯室LR内に灯具ユニットLUaが収容されている。
【0085】
灯具ユニットLUaは、支持部材30、リフレクタ20、二つのロービーム用発光素子41,42、発光制御回路40を主な構成として備える。
【0086】
支持部材30は金属製の部材であり、トッププレート31と、バックプレート32と、係止部33とを有する。トッププレート31は概ね水平に延在する板状の金属部材であり、バックプレート32は概ね鉛直に延在する板状の金属部材である。トッププレート31の後端とバックプレート32の上端は互いに接続されている。また、バックプレート32の上端近傍には、係止部33が接続されている。係止部33はバックプレート32から後方に向かって延在しており、係止部33には後方側に開口するねじ孔が形成されている。このねじ孔にはランプハウジング11の外側からねじ35が螺入され、係止部33がランプハウジング11に固定されている。また、バックプレート32の下方側にもねじ孔が形成されており、このねじ孔にはランプハウジング11の外側からねじ34が螺入されバックプレート32はランプハウジング11に固定されている。こうしてバックプレート32は、概ね鉛直な状態で灯室LR内に固定され、バックプレート32に接続されるトッププレート31も灯室LR内に固定されている。なお、これらのねじ34,35が調整されることで、バックプレート32の角度を微調整することができ、これに伴いトッププレート31の角度を微調整することができる。
【0087】
リフレクタ20は、トッププレート31の下面に固定されている。リフレクタ20はリフレクタ本体部24及びめっき部23を有する。リフレクタ本体部24は樹脂から成る。めっき部23は、リフレクタ本体部24の前方側の面上において、アルミニウム等の金属や金属酸化物によって構成される薄膜である。このめっき部23の表面は、光の反射面23rとされる。反射面23rは、例えば、開口方向が前方側とされる放物線を基調とする自由曲面から成る凹状の形状とされる。より具体的には、反射面23rの鉛直方向の断面における形状は、概ね放物線の中心軸を水平にする場合の頂点よりも下側の形状とされ、反射面23rの水平方向の断面における形状は、概ね放物線の頂点を含む形状とされる。ただし、反射面23rの鉛直方向の断面における放物線と、水平方向の断面における放物線とは互いに異なる放物線とされても良い。また、水平方向の断面における反射面23rの形状は、放物線を基調としなくても良く、例えば楕円の一部を基調とする形状や他の凹状の形状とされても良い。
【0088】
また、トッププレート31の下面には、二つのロービーム用発光素子41,42が配置される。ロービーム用発光素子41,42はそれぞれ少なくともロービームの一部となる光を出射する。ロービーム用発光素子41,42は前後方向に並んで配置される。ロービーム用発光素子42は反射面23rの鉛直方向の断面形状が基調とする放物線の焦点近傍に配置され、ロービーム用発光素子41はロービーム用発光素子42よりも後方に配置される。
【0089】
ロービーム用発光素子41,42は、例えばそれぞれLED(Light Emitting Diode)とされる。ロービーム用発光素子41,42は、それぞれ発光制御回路40に接続されており、発光制御回路40からの給電により光を出射することができる。また、発光制御回路40は、後述するようにハイビーム点灯時にロービーム用発光素子41,42から出射される光の光度を制御する。
【0090】
<灯具1b>
図12は、
図11と同様に灯具1bの鉛直方向の断面を示す図である。すなわち、
図12は灯具1bの左右方向の略中央における鉛直方向の断面図である。灯具1bの説明において、灯具1aと同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図12に示すように車両用前照灯1の一部である灯具1bは、筐体10と、当該筐体10内に収容される灯具ユニットLUbとを備える。本実施形態において灯具ユニットLUbは、ハイビーム用の灯具ユニットとされる。
【0091】
灯具ユニットLUbは、灯室LR内に収容されている。灯具ユニットLUbでは、トッププレート31の下面に一つのハイビーム用発光素子51が配置される。ハイビーム用発光素子51は少なくともハイビームの一部となる光を出射する。また、ハイビーム用発光素子51は、反射面23rの鉛直方向の断面形状が基調とする放物線の焦点よりも前方に配置される。ハイビーム用発光素子51は、例えばLEDとされる。ハイビーム用発光素子51は、発光制御回路50に接続されており、発光制御回路50からの給電により光を出射することができる。
【0092】
次に本実施形態の車両用前照灯1の動作及び作用効果について説明する。
図13(A)はロービームの配光パターンを示し、
図13(B)はハイビームの配光パターンを示し、
図13(C)は昼間照明の配光パターンを示す。
【0093】
<ロービーム点灯時>
本実施形態では、ロービームは二つのロービーム用発光素子41,42からの光により照射される。
【0094】
図13(A)において、実線で示す範囲はロービーム用発光素子42からの光が照射される範囲であり、破線で示す範囲はロービーム用発光素子41からの光が照射される範囲である。
図10、
図11に示すように、ロービーム用発光素子41,42から出射する光L41,L42の多くは、反射面23rで反射される。この光L41,L42のうち、ロービーム用発光素子42の出射部における最も前方側の領域から出射する光が、
図13(A)に示すロービームのカットラインを形成する。また、ロービーム用発光素子42は、上記のように反射面23rの鉛直方向の断面形状が基調とする放物線の焦点近傍に配置されており、ロービーム用発光素子42の出射部における同じ領域から出射した光は、反射面23rのどの部分で反射しても、反射後に互いに概ね平行光とされる。一方、ロービーム用発光素子41は上記のようにロービーム用発光素子42よりも後方に配置されており、反射面23rで反射された光L42の少なくとも一部は、上記ロービームのカットラインより下方に照射される。こうして、
図13(A)に示すロービームの配光パターンが形成される。
【0095】
<ハイビーム点灯時>
本実施形態では、ハイビームは、ロービーム用発光素子42からの光L42に加えて、ハイビーム用発光素子51からの光により照射される。
図12に示すように、ハイビーム用発光素子51から出射する光L51の多くは反射面23rで反射される。ハイビーム用発光素子51は上記のように反射面23rの鉛直方向の断面形状が基調とする放物線の焦点よりも前方に配置される。そのため、反射面23rで反射された光L51の少なくとも一部は、上記ロービームのカットラインより上方に照射される。また、ハイビーム点灯時には、発光制御回路40によってロービーム用発光素子41,42から出射される光L41,L42の光度が制御される。具体的には、本実施形態では、ロービーム用発光素子42はロービーム点灯時と同様に点灯されるとともに、ロービーム用発光素子41は消灯される。こうして、光L42,L51によって
図13(B)に示すハイビームの配光パターンが形成される。このように、ロービーム用発光素子42からの光L42とハイビーム用発光素子51からの光L51とによって、上下方向に広い配光パターンとすることができる。すなわち、運転者から見て車両100の手前側から遠方側までの広い範囲の配光パターンとすることができる。
【0096】
<昼間照明点灯時>
灯具1a~1cのうち一部が昼間照明用の灯具とされることにより、昼間照明用の光が照射される場合に
図13(C)に示す昼間照明の配光パターンが形成される。
【0097】
ところで、上記特許文献1の車両用灯具では、上記各リフレクタユニットの第1発光素子を同時点灯させることによってロービームの配光パターンが形成される。また、上記各リフレクタユニットの第2発光素子を同時点灯させることによってハイビームの配光パターンが形成される。ハイビーム用の光源は、通常、ロービーム用の光源からの光よりも遠方で且つ横方向に狭い範囲に光を照射する。よって、ハイビーム点灯時にハイビーム用の光源のみが点灯されてロービーム用の光源が消灯されると、運転者から見て車両の手前側において照明が不十分となる懸念がある。一方、ハイビーム点灯時にロービーム用の光源及びハイビーム用の光源の全てが同時に点灯されると、ロービーム用の光源からの光によって、運転者から見て車両の手前側が明るくなり過ぎることにより、遠方を照射する光が相対的に弱く感じられる場合がある。
【0098】
これに対し、本実施形態の車両用前照灯1では、ハイビーム点灯時に発光制御回路40によって、一つのロービーム用発光素子42が点灯されるとともに、一つのロービーム用発光素子42から出射される光の光度がロービーム点灯時とは異なる明るさに制御される。具体的には、上記のようにロービーム用発光素子42はロービーム点灯時と同様に点灯されるとともに、ロービーム用発光素子41は消灯される。このように、ハイビーム点灯時において少なくとも一つのロービーム用発光素子42が点灯されることによって、運転者から見て車両100の手前側が暗くなることが抑制され得る。また、ハイビーム点灯時において、少なくとも一つのロービーム用発光素子41が消灯されることによって、運転者から見て車両100の手前側が明るくなりすぎることが抑制され得る。このように本実施形態の車両用前照灯1では、ハイビーム点灯時における明るさ及び照射範囲が適切に制御され得る。
【0099】
すなわち、本発明によれば、ハイビーム点灯時における明るさ及び照射範囲が適切に制御され得る車両用前照灯が提供される。
【0100】
また、本実施形態の車両用前照灯1では、ハイビーム点灯時に消灯されるロービーム用発光素子41は、ハイビーム点灯時において点灯されるロービーム用発光素子42よりも、ロービーム点灯時において運転者から見て車両100の手前側を照らす。このようにロービーム用発光素子41,42が光を照射することによって、ハイビーム点灯時に運転者から見て車両100の手前側が明るくなり過ぎることが抑制され、遠方側の光が手前側の光に比べて相対的に暗く見えることが抑制され得る。
【0101】
また、本実施形態の車両用前照灯1は、ハイビーム用発光素子51、及び、ハイビーム用発光素子51から出射される光L51を反射する一つのリフレクタ20を有するハイビーム用の灯具ユニットLUbと、ロービーム用発光素子41,42、及び、ロービーム用発光素子41,42から出射される光L41.L42を反射する一つのリフレクタ20を有するロービーム用の灯具ユニットLUaと、を備える。ハイビーム用の灯具ユニットLUbからの光だけでは適切なハイビームの配光パターンを形成することが難しい場合、上記のようにハイビーム用の灯具ユニットLUbとロービーム用の灯具ユニットLUaとが備えられることによって、ハイビーム用の灯具ユニットLUbからの光でハイビームの配光パターンの一部が形成されると共に、ロービーム用の灯具ユニットLUaからの光でハイビームの配光パターンが補完され得る。
【0102】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について
図14及び
図15を参照して詳細に説明する。なお、第6実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0103】
図14は、本発明の第7実施形態における灯具の水平方向断面の概略を示す図である。
図14は、
図10と同様に本実施形態にかかる灯具1aの上部における水平方向の断面図である。また、
図15は、本発明の第7実施形態における灯具の鉛直方向断面の概略を示す図である。
図15は、
図11と同様に本実施形態にかかる灯具1aの左右方向の略中央における鉛直方向の断面図である。
【0104】
本実施形態の灯具1aは、ロービーム用発光素子42とハイビーム用発光素子51とをそれぞれ一つずつ備える点で上記第6実施形態と異なる。本実施形態の灯具1aでは、ロービーム点灯時にロービーム用発光素子42が点灯されるとともにハイビーム用発光素子51が消灯される。また、発光制御回路40は、ハイビーム点灯時において、ハイビーム用発光素子51を点灯させるとともに、ロービーム用発光素子42から出射される光の光度をロービーム点灯時よりも低くする。ロービーム用発光素子42の光度を低くするとは、ロービーム用発光素子42が消灯される場合を含まない。
【0105】
上記のようにハイビーム点灯時においてロービーム用発光素子42が消灯されずにロービーム用発光素子42から出射される光の光度が低くされることによって、運転者から見て車両100の手前側がある程度明るくされつつ明るくなり過ぎることが抑制され得る。
【0106】
また、本実施形態の灯具ユニットLUaは、ハイビーム用発光素子51と、ロービーム用発光素子42と、ハイビーム用発光素子51及びロービーム用発光素子42から出射される光L42,L51を反射する一つのリフレクタ20とを有する。一つの灯具ユニットLUaがハイビーム用発光素子51、ロービーム用発光素子42、及びリフレクタ20を有することによって、一つの灯具ユニットLUaからの光でロービームの配光パターン及びハイビームの配光パターンが形成され得る。よって、車両用前照灯が小型化され得る。
【0107】
以上、本発明について、上記第6及び第7実施形態を例に説明したが、本発明は上記第6及び第7実施形態に限定されるものではない。
【0108】
例えば、ロービーム用発光素子及びハイビーム用発光素子の数はそれぞれ特に限定されない。したがって、例えば上記第7実施形態の灯具ユニットLUaはロービーム用発光素子を複数備えてもよい。また、上記第6実施形態の灯具ユニットLUaはロービーム用発光素子が三つ以上備えてもよい。二つ以上のロービーム用発光素子が備えられる場合、発光制御回路40は、ハイビーム点灯時において、複数のロービーム用発光素子を以下のように制御することが好ましい。すなわち、少なくとも一つのロービーム用発光素子が点灯されるとともに、少なくとも他の一つのロービーム用発光素子は消灯される又は光度をロービーム点灯時よりも低くされることが好ましい。この場合、消灯される又は光度を低くされるロービーム用発光素子は、ハイビーム点灯時において点灯されるロービーム用発光素子よりも、ロービーム点灯時において運転者から見て車両の手前側を照らすことが好ましい。
【0109】
また、二つ以上のロービーム用発光素子が備えられる場合、発光制御回路40は、ハイビーム点灯時において、少なくとも一つのロービーム用発光素子から出射される光の光度をロービーム点灯時と同じにするとともに、少なくとも他の一つのロービーム用発光素子から出射される光の光度をロービーム点灯時よりも低くすることも好ましい。このようにロービーム用発光素子が制御されることによって、ロービーム点灯時には運転者から見て車両100の手前側が十分に明るくされ、ハイビーム点灯時には運転者から見て車両100の手前側が明るくなり過ぎることが抑制され得る。
【0110】
また、二つ以上のロービーム用発光素子が備えられる場合において、ハイビーム点灯時に全てのロービーム用発光素子から出射される光の光度がロービーム点灯時よりも低くされてもよい。
【0111】
また、上記第6及び第7実施形態において、灯具の数は特に限定されない。灯具が複数備えられる場合、各灯具の位置は特に限定されない。したがって、例えば、上記第6及び第7実施形態において、灯具1aが車両100の最も外側に配置されても良く、灯具1aが車両100の最も中心側に配置されても良い。
【0112】
また、上記第6及び第7実施形態では、ロービーム用発光素子41,42またはハイビーム用発光素子51の下方にリフレクタ20が配置される形態を例示して説明したが、リフレクタ20は、ロービーム用発光素子41,42またはハイビーム用発光素子51の上方に設けられてもよい。この場合、それぞれの発光素子の前後方向の位置関係は上記実施形態と逆にされる。
【0113】
また、上記第6及び第7実施形態では、ロービーム用発光素子41,42及びハイビーム用発光素子51としてLEDが用いられる例を挙げて説明したが、ロービーム用発光素子41,42及びハイビーム用発光素子51はレーザ光源や他の光源であってもよい。
【0114】
また、上記第6及び第7実施形態では、ロービーム用発光素子41,42及びハイビーム用発光素子51から出射される光をリフレクタ20で反射させる所謂パラボラ型の灯具を例に挙げて説明したが、本発明の車両用前照灯に用いられる灯具は、当該形態に限定されない。本発明の車両用前照灯に用いられる灯具は、発光素子から出射される光を凸レンズを通して出射させるプロジェクター型の灯具や、発光素子からの光を直接レンズに通して出射させる直射レンズ型の灯具等であってもよい。
【0115】
また、複数のロービーム用発光素子が備えられる場合、ハイビーム点灯時において、発光制御回路は、少なくとも一つのロービーム用発光素子の光度を他の少なくとも一つのロービーム用発光素子の光度よりも高くしてもよい。この場合、相対的に光度が低くされるロービーム用発光素子は、相対的に光度が高くされるロービーム用発光素子よりも車両の手前側を照らすことが好ましい。このように複数のロービーム用発光素子が制御されることによって、ハイビーム点灯時には運転者から見て遠方を明るくし易くなるとともに車両の手前側が明るくなり過ぎることが抑制され得る。
【0116】
また、これまでの説明では、ハイビーム点灯時においてロービーム用発光素子から出射される光をロービーム点灯時よりも暗くする例を挙げて説明したが、ハイビーム点灯時においてロービーム用発光素子から出射される光がロービーム点灯時よりも明るくされてもよい。ハイビーム点灯時において、少なくとも一つのロービーム用発光素子から出射される光の光度がロービーム点灯時とは異なる明るさに制御されることによって、運転者から見て車両の手前側が適切な明るさとされ得る。
【0117】
以上説明したように、本発明によれば、ハイビーム点灯時における明るさ及び照射範囲が適切に制御され得る車両用前照灯を提供することができる。当該車両用前照灯は、自動車等の車両用前照灯の分野などにおいて利用可能である。
【符号の説明】
【0118】
1・・・車両用前照灯
1a,1b,1c・・・灯具
10・・・筐体
20・・・リフレクタ
40・・・発光制御回路
41,42・・・ロービーム用発光素子
41f,51f・・・出光面
50・・・発光制御回路
51・・・ハイビーム用発光素子
LU,LUa,LUb・・・灯具ユニット