(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】抗体アッセイ
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20230323BHJP
G01N 33/574 20060101ALI20230323BHJP
A61K 31/44 20060101ALI20230323BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230323BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230323BHJP
C07K 16/18 20060101ALN20230323BHJP
C07K 14/47 20060101ALN20230323BHJP
【FI】
G01N33/53 N
G01N33/574 A
A61K31/44
A61P35/00
A61P1/16
C07K16/18
C07K14/47
(21)【出願番号】P 2019548777
(86)(22)【出願日】2017-11-24
(86)【国際出願番号】 GB2017053541
(87)【国際公開番号】W WO2018096351
(87)【国際公開日】2018-05-31
【審査請求日】2020-11-20
(32)【優先日】2016-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519187263
【氏名又は名称】オンシミューン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ジャレド アレン
(72)【発明者】
【氏名】イザベル マクドナルド
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア マーレイ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ウェルベリー
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/043165(WO,A2)
【文献】国際公開第2015/193678(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/071669(WO,A2)
【文献】国際公開第03/024304(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/53
G01N 33/574
G01N 33/564
C07K 16/18
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト対象からの体液を含む検査試料中の抗体を検出することによって該
ヒト対象における肝癌を検出するためのデータを取得する方法であって:ここで
該体液が血清であり、かつ該抗体は、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカータンパク質に対して免疫学的に特異的な自己抗体であり、該方法が、
(a)該検査試料を、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原と接触させるステップと;
(b)該腫瘍マーカー抗原が該検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体の有無を決定するステップと;
を含み、前記複合体の存在が、肝癌の存在を示すものである、前記方法。
【請求項2】
前記
ヒト対象が、αフェトプロテイン(AFP)、デス-γ-カルボキシプロトロンビン(DCP)、又はレクチン反応性αフェトプロテイン(AFP-L3)について検査で陽性と示されており;又は
該
ヒト対象が、超音波サーベイランスを使用して肝癌について検査で陽性と示されており;又は
該
ヒト対象が、肝硬変、非アルコール性脂肪性肝疾患、アルコール性肝疾患、ウィルソン病、遺伝性ヘモクロマトーシス、自己免疫性肝炎、B型肝炎、C型肝炎、確認されたアフラトキシン曝露、住血吸虫症、又は糖尿病を有し;又は
該肝癌が、肝細胞癌(HCC)である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
2種以上の自己抗体が検出される、請求項1
又は2記載の方法であって:
(a)前記検査試料を、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原、並びに前記自己抗体の少なくとも1つに対して免疫学的に特異的な1種以上のさらなる腫瘍マーカー抗原を含む、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルと接触させるステップを含む、前記方法。
【請求項4】
前記パネルが、別々の抗原である2種以上の腫瘍マーカー抗原を含む、請求項
3記載の方法。
【請求項5】
前記パネルが1種以上の該別々の抗原の2種以上の抗原変異体を含む、請求項
4記載の方法。
【請求項6】
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA4、トランスフェリン、HNRNP-L、HSPD1、HNRNP-A2、SALL4、サイクリンB1、AFP、NPM1、YWHAZ、DDX3X、p62、CAGE、MAGE A4、RalA、GBU4-5、SOX2、AKR1B10、アポA1、BCL2、CD44、CK18、CPS1、FUCA1、GLUL、HSPA2、IL-8、MDM2、PEBP1、プロラクチン、RGN、SPP1、SSX2、及びTGFB1からなる群から選択される1種以上の腫瘍マーカー抗原を含む、請求項
3~5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、
(i) CAGE、NY-ESO-1、MMP9、トランスフェリン、MAGE A4、RalA、HSPA4、SALL4、サイクリンB1、EpCAM、DDX3X、及びAIF1;
(ii) MMP9、AIF1、EpCAM、NY-ESO-1、HSPA4、ビメンチン、HNRNP-L、及びトランスフェリン;
(iii) AIF1、EpCAM、HSPA4、及びCPS1;
(iv) AIF1、CAGE、HSPD1、SOX2、SALL4、HSPA4、及びトランスフェリン;
(v) EpCAM、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA2、HSPA4、及びHNRNP-L;
(vi) EpCAM、CAGE、SOX2、RalA、MAGE A4、DDX3X、及びNY-ESO-1;又は
(vii) MMP9、AIF1、EpCAM、DDX3X、SALL4、MAGE A4、NY-ESO-1、CAGE、RalA、及びSOX2
を含むか、又はこれらからなる、請求項
6記載の方法。
【請求項8】
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、
(iii) AIF1、EpCAM、HSPA4、及びCPS1;又は
(iv) AIF1、CAGE、HSPD1、SOX2、SALL4、HSPA4、及びトランスフェリン;
を含むか、又はこれらからなり、かつ前記
ヒト対象は
女性である、請求項
7記載の方法。
【請求項9】
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、
(v) EpCAM、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA2、HSPA4、及びHNRNP-L;又は
(vi) EpCAM、CAGE、SOX2、RalA、MAGE A4、DDX3X、及びNY-ESO-1;
を含むか、又はこれらからなり、かつ前記
ヒト対象は
男性である、請求項
7記載の方法。
【請求項10】
ヒト対象からの体液を含む検査試料における、肝癌を患う個体の抗体プロフィールを決定するインビトロ方法であって:ここで
該体液が血清であり、かつ該抗体は、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカータンパク質に対して免疫学的に特異的な自己抗体であり、該方法が、
a)該検査試料を、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原と接触させるステップと;
b)該腫瘍マーカー抗原が該検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体の有無を決定するステップと;
を含み、該方法が、抗体産生のプロフィールを構築するために繰り返される、前記方法。
【請求項11】
前記腫瘍マーカー抗原が、天然に存在するタンパク質若しくはポリペプチド、組換えタンパク質若しくはポリペプチド、合成のタンパク質若しくはポリペプチド、合成のペプチド、又はペプチド模倣体である、請求項1~
10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、前記
ヒト対象からの体液を含む検査試料中のαフェトプロテイン(AFP)、デス-γ-カルボキシプロトロンビン(DCP)、又はレクチン反応性αフェトプロテイン(AFP-L3)を検出することをさらに含む、請求項1~
11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、前記
ヒト対象からの体液を含む検査試料中のαフェトプロテイン(AFP)を検出することを含み;
前記腫瘍マーカータンパク質CAGE、NY-ESO-1、MMP9、トランスフェリン、MAGE A4、RalA、HSPA4、SALL4、サイクリンB1、EpCAM、DDX3X、及びAIF1に対して免疫学的に特異的な自己抗体が、該
ヒト対象からの体液を含む検査試料中で検出される、請求項
12記載の方法。
【請求項14】
ヒト対象からの体液を含む検査試料中のMMP9、AIF1、EpCAM、又はCDKN1Bに対して免疫学的に特異的な自己抗体を検出することによって
該ヒト対象における肝癌を検出するためのデータを取得する方法であって:ここで
該体液が血清であり、かつ該方法が、
(a)該検査試料を、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原と接触させるステップと;
(b)該腫瘍マーカー抗原が該検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体の有無を決定するステップと;
を含み、前記複合体の存在が、肝癌の存在を示すものである、前記方法における、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原
を使用
する方法。
【請求項15】
肝癌の検出のためのキットであって:
(a)MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原と;
(b)該腫瘍マーカー抗原が
ヒト対象からの体液を含む検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体を検出することが可能な試薬とを含
み、
該体液が血清である、前記キット。
【請求項16】
(c)該腫瘍マーカー抗原を、
ヒト対象からの体液を含む検査試料と接触させるための手段をさらに含
み、
該体液が血清である、請求項
15記載のキット。
【請求項17】
前記腫瘍マーカー抗原を、
ヒト対象からの体液を含む検査試料と接触させるための手段が、チップ、スライド、プレート、マイクロタイタープレートのウェル、ビーズ、膜、又はナノ粒子上に固定された該腫瘍マーカー抗原を含む、請求項
15又は16記載のキット。
【請求項18】
前記腫瘍マーカー抗原が、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネル内に存在する、請求項
15~17のいずれか1項記載のキット。
【請求項19】
前記パネルが、別々の抗原である2種以上の腫瘍マーカー抗原を含む、請求項18記載のキット。
【請求項20】
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA4、トランスフェリン、HNRNP-L、HSPD1、HNRNP-A2、SALL4、サイクリンB1、AFP、NPM1、YWHAZ、DDX3X、p62、CAGE、MAGE A4、RalA、GBU4-5、SOX2、AKR1B10、アポA1、BCL2、CD44、CK18、CPS1、FUCA1、GLUL、HSPA2、IL-8、MDM2、PEBP1、プロラクチン、RGN、SPP1、SSX2、及びTGFB1からなる群から選択される1種以上の腫瘍マーカー抗原を含む、請求項
18又は19記載のキット。
【請求項21】
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、
(i) CAGE、NY-ESO-1、MMP9、トランスフェリン、MAGE A4、RalA、HSPA4、SALL4、サイクリンB1、EpCAM、DDX3X、及びAIF1;
(ii) MMP9、AIF1、EpCAM、NY-ESO-1、HSPA4、ビメンチン、HNRNP-L、及びトランスフェリン;
(iii) AIF1、EpCAM、HSPA4、及びCPS1;
(iv) AIF1、CAGE、HSPD1、SOX2、SALL4、HSPA4、及びトランスフェリン;
(v) EpCAM、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA2、HSPA4、及びHNRNP-L;
(vi) EpCAM、CAGE、SOX2、RalA、MAGE A4、DDX3X、及びNY-ESO-1;又は
(vii) MMP9、AIF1、EpCAM、DDX3X、SALL4、MAGE A4、NY-ESO-1、CAGE、RalA、及びSOX2
を含み、又はこれらからなる請求項20記載のキット。
【請求項22】
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、
(iii) AIF1、EpCAM、HSPA4、及びCPS1;又は
(iv) AIF1、CAGE、HSPD1、SOX2、SALL4、HSPA4、及びトランスフェリン;
を含み、又はこれらからなり、かつ前記
ヒト対象が
女性である、請求項21記載のキット。
【請求項23】
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、
(v) EpCAM、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA2、HSPA4、及びHNRNP-L;又は
(vi) EpCAM、CAGE、SOX2、RalA、MAGE A4、DDX3X、及びNY-ESO-1;
を含み、又はこれらからなり、かつ前記
ヒト対象が
男性である、請求項21記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、概して抗体検出の分野に関し、詳細には、患者体液を含む試料中の肝癌に関連する自己抗体の検出のためのアッセイに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
多くの診断、予後、及び/又はモニタリングアッセイは、特定の病態又は疾患感受性の生物学的マーカーの検出に依存する。こうした生物学的マーカーは、一般に、特定の疾患に特有である又は疾患に対する感受性と関係があるタンパク質又はポリペプチドであり、しばしば、肝癌を含めた癌の検出のために使用される。
【0003】
肝癌、特に肝細胞癌(HCC)は、世界中で6番目に多い癌であるが、癌による死亡の2番目に多い原因である。高い死亡率は、(しばしば転移後の)遅い診断、及び既存の肝疾患によって引き起こされる。遅い診断は、初期症状、及び診断に使用するための準最適な画像化技術の少なさが原因である。
【0004】
血中αフェトプロテイン(AFP)濃度の超音波スクリーニング及び評価が、現在、肝癌に対する最も広く使用されているスクリーニング手段である。しかし、その不十分な性能によって、肝癌のための改善された早期検出/スクリーニング検査に対する大きな隔たりが強調される。
【0005】
肝癌の存在について効率的にスクリーニングするための臨床的に有用な検査は、それが肝癌を早期に診断されるようにするであろうから、歓迎されるであろうことが明らかである。さらに、体液の試料、例えば血液試料に対して実施される診断検査は、他の技術に対して迅速かつ比較的に非侵襲性であり、スクリーニング参加率を増大させるであろう。初期段階の疾患検出は、それほど深刻ではない副作用を伴い、より広い範囲の治療の選択肢を切り開く。中等度段階の肝癌のための現在の治療経路は、完全な肝移植を含み、初期段階疾患を有する患者の、より早期の特定は、臓器提供登録者に対する負担を和らげることとなる。
【0006】
肝癌の割合は、世界中で増大しているので、肝癌のための改善されたスクリーニング検査は、世界中で有用であろう。現在、中国は、すべてのHCC症例のおよそ50%を占めるのに対して、エジプトも、非常に高い割合のHCCを有する。これらの国々におけるHCCの高い有病率は、中国ではB型肝炎の高い発症率、エジプトではC型肝炎の高い有病率に、ある程度起因すると考えられている。B型肝炎及びC型肝炎は、肝硬変、非アルコール性脂肪性肝疾患、アルコール性肝疾患、ウィルソン病、遺伝性ヘモクロマトーシス、自己免疫性肝炎、確認されたアフラトキシン曝露(documented aflatoxin exposure)、住血吸虫症、及び糖尿病と共に、肝癌の公知の危険因子である。世界中でのこれらの状態の増大する有病率は、肝癌のための迅速かつ非侵襲性の検査が考案されることを避けられないものにしている。
【0007】
近年、抗体、特に自己抗体が、疾患又は疾患感受性の生物学的マーカーとして役立つことができることが明らかになっている。自己抗体は、個体の免疫系が、実際にはその抗原がその個体が起源であるとしても、異質と認識する抗原に誘導される、天然に存在する抗体である。自己抗体は、循環する遊離の自己抗体として、又はその標的タンパク質に結合した自己抗体からなる循環する免疫複合体の形態で、血液循環内に存在することができる。「正常な」細胞によって発現された野生型のタンパク質と、罹患した細胞によって又は疾患過程で産生された改変形態のタンパク質との間の違いは、場合によっては、個体の免疫系によって「非自己」と認識される改変されたタンパク質をもたらし、したがって、その個体における免疫応答を誘発する可能性がある。これは、改変されたタンパク質に対して免疫学的に特異的な自己抗体の産生をもたらす、体液性(すなわちB細胞性)免疫応答であり得る。
【0008】
自己抗体産生に関する腫瘍マーカータンパク質の存在に対する個体の免疫応答を測定するアッセイは、体液中の腫瘍マーカータンパク質の直接的測定又は検出に代わるものを提供する。こうしたアッセイは、本質的に、腫瘍マーカータンパク質の存在の間接的検出を構成する。この免疫応答の性質は、自己抗体が、非常に少量の循環腫瘍マーカータンパク質によって誘発される可能性がある可能性が高いことを意味し、したがって、腫瘍マーカータンパク質に対する免疫応答を検出することに頼る間接的方法は、体液中の腫瘍マーカータンパク質レベルの直接的測定のための方法よりも高感度であることとなる。したがって、自己抗体の検出に基づくアッセイ方法は、疾患過程の早期に特に価値が高いものであり得る。
【0009】
本発明者らは、驚いたことに、以前は肝癌と関係があることが公知ではなかった4種の腫瘍マーカー抗原を決定した。1種以上の追加の腫瘍マーカー抗原と任意選択で組み合わせた、これらの腫瘍マーカー抗原のいずれか1種に誘導される自己抗体の検出を通して、本発明者らは、肝癌のための有効かつ非侵襲性のスクリーニング方法、及び対応するキットを考案した。
【発明の概要】
【0010】
本発明者らは、驚いたことに、腫瘍マーカータンパク質マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP9)、アログラフト炎症因子1(AIF1)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、及びサイクリン依存性キナーゼ阻害因子1B(CDKN1B)のいずれか1つに対して免疫学的に特異的な自己抗体が、肝癌の存在を示すものであるであることを立証した。したがって、これらの腫瘍マーカータンパク質のいずれか1つに対して免疫学的に特異的な自己抗体の検出は、肝癌の診断のために使用することができる。
【0011】
本発明の第1の態様によれば、哺乳類対象からの体液を含む検査試料中の抗体(ここでは、該抗体は、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカータンパク質に対して免疫学的に特異的な自己抗体である)を検出する方法であって:
(a)該検査試料を、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原と接触させるステップと;
(b)腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体の有無を決定するステップと
を含む前記方法が提供される。
【0012】
この態様内では、対象は、肝癌を有する疑いがあることが好ましい。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、哺乳類対象からの体液を含む検査試料中の抗体(ここでは、該抗体は、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカータンパク質に対して免疫学的に特異的な自己抗体である)を検出することによって哺乳類対象における肝癌を検出する方法であって:
(a)該検査試料を、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原と接触させるステップと;
(b)腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体の有無を決定するステップと
を含み、前記複合体の存在が、肝癌の存在を示すものである前記方法が提供される。
【0014】
本発明の第3の態様によれば、哺乳類対象からの体液を含む検査試料中の抗体(ここでは、該抗体は、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカータンパク質に対して免疫学的に特異的な自己抗体である)を検出することによって哺乳類対象における肝癌を診断及び治療する方法であって:
(a)該検査試料を、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原と接触させるステップと;
(b)腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体の有無を決定するステップと;
(c)腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体が検出される場合に、対象を肝癌と診断するステップと;
(d)診断された対象に肝癌治療を施すステップと
を含む前記方法が提供される。
【0015】
本発明の第4の態様によれば、哺乳類対象からの体液を含む検査試料中の抗体(ここでは、該抗体は、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカータンパク質に対して免疫学的に特異的な自己抗体である)を検出することを含む、抗肝癌治療に対する反応を予測する方法であって:
(a)該検査試料を、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原と接触させるステップと;
(b)腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体の有無を決定するステップと;
(c)腫瘍マーカー抗原と検査試料中に存在する自己抗体との間の特異的結合の量を検出するステップと;
(d)腫瘍マーカー抗原と自己抗体との間の特異的結合の量を、該結合の量と、起こる可能性が高い治療結果との間のあらかじめ立証された関係性と比較するステップと
を含み、対照と比較した場合の該特異的結合の量の変化が、該患者が抗肝癌治療に反応することとなるかならないかということを予測する前記方法が提供される。
【0016】
本発明のこの態様内では、抗肝癌治療は、化学療法、ラジオ波焼灼療法、肝切除、肝移植、ワクチン接種、抗増殖因子又はシグナル伝達療法、内分泌療法、ヒト抗体療法、肝動脈化学塞栓療法(transcatheter arterial chemoembolization)、経皮的エタノール注入、マイクロ波アブレーション、ソラフェニブ投与、及び放射線塞栓療法からなる群から選択することができる。
【0017】
本発明の第5の態様によれば、哺乳類対象からの体液を含む検査試料中のMMP9、AIF1、EpCAM、又はCDKN1Bに対して免疫学的に特異的な自己抗体を検出することによって哺乳類対象における肝癌を検出する方法であって:
(a)該検査試料を、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原と接触させるステップと;
(b)腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体の有無を決定するステップと;
を含み、前記複合体の存在が、肝癌の存在を示すものである前記方法における、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原の使用が提供される。
【0018】
本発明の第6の態様によれば、
(a)MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原と;
(b)この腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体を検出することが可能な試薬と
を含む、哺乳類対象からの体液を含む検査試料中の自己抗体の検出のためのキットが提供される。
【0019】
本発明の第7の態様によれば、哺乳類対象からの体液を含む検査試料における、肝癌を患う個体の抗体プロフィール(ここでは、該抗体は、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカータンパク質に対して免疫学的に特異的な自己抗体である)を決定するインビトロ方法であって:
a)該検査試料を、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原と接触させるステップと;
b)腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体の有無を決定するステップと
を含み、抗体産生のプロフィールを構築するために繰り返される前記方法が提供される。
【0020】
本発明のすべての態様では、哺乳類対象は、ヒトであることが好ましい。本明細書では、用語「哺乳類対象」及び「対象」は、哺乳類、好ましくはヒトである対象を指すために互換的に使用されることとなる。
【0021】
本発明のすべての態様では、この方法は、哺乳類対象から得られた又は調製された体液を含む検査試料に対してインビトロで行われることが好ましい。
【0022】
MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカータンパク質に対して免疫学的に特異的な自己抗体を、肝癌に対するマーカーとして使用することができるという驚くべき発見により、肝癌を検出及び診断するために使用することができるこうした自己抗体の検出のための方法を、本発明者らが考案することが可能になった。こうした検出は、キットを使用して実施することができ、これらの方法及びキットは、本発明の核を成す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】二次的曲線パラメータの導出を示すための図的表現を示す図である:
図1A=傾き、切片、曲線下面積(AUC)、及びSlopeMax;
図1B=解離定数(Kd)。
【
図2】自己抗体マイクロタイタープレート配置示す図である:
図2A=ハイスループットアッセイ(HTPA)配置;
図2B=力価測定配置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(発明の詳細な説明)
本発明は、概して、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカータンパク質に対して免疫学的に特異的な自己抗体を検出するためのイムノアッセイ方法を提供する。このイムノアッセイ方法は、肝癌を検出又は診断するために使用することができる。
【0025】
(自己抗体を検出する方法)
本発明の第1の態様によれば、哺乳類対象からの体液を含む検査試料中の抗体(ここでは、該抗体は、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカータンパク質に対して免疫学的に特異的な自己抗体である)を検出する方法であって:
(a)該検査試料を、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原と接触させるステップと;
(b)腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体の有無を決定するステップと
を含む前記方法が提供される。
【0026】
本明細書で使用される用語「自己抗体」とは、実際にはその個体に由来する抗原であっても個体の免疫系が異質と認識する抗原に誘導される、天然に存在する抗体をいう。一般に、自己抗体には、罹患した細胞によって又は疾患過程で産生される、改変形態の天然に存在するタンパク質に対して誘導される抗体が含まれる。改変形態のタンパク質は、個体において生じるが、個体の免疫系によって「非自己」とみなされる可能性があり、したがって、その個体において、改変されたタンパク質に対して免疫学的に特異的な自己抗体の形態で免疫応答を誘発する。タンパク質のこうした改変形態には、例えば、改変されたアミノ酸配列を有する変異体(二次、三次、又は四次構造の変化を場合によっては伴う)、切断型、スプライスバリアント、改変されたグリコフォームなどが含まれ得る。他の実施態様では、自己抗体を、ある病態において又は遺伝子増幅又は異常な転写調節の結果として過剰発現されるタンパク質に誘導させることができる。免疫系の細胞によって通常は起こらない、かなりの量のタンパク質の過剰発現は、自己抗体産生をもたらす免疫応答を誘発することができる。さらなる実施態様では、自己抗体を、ある病態において発現されるようになる胎児型のタンパク質に誘導させることができる。通常は発生の初期段階でしか発現されない胎児タンパク質が、免疫系が機能性となる前に、ある病態において発現されるようになるならば、十分に発達したヒトにおいてある病態において発現されるその胎児型は、免疫系によって「異質」と認識され、自己抗体産生をもたらす免疫応答を誘発することができる。いっそうさらなる実施態様では、自己抗体を、ある病態における異なる位置で発現されるタンパク質に対して誘導することができる。例えば、このタンパク質は、健康な個体では体内部位に発現するが、ある病態においては表面の露出した位置に発現し、その結果、このタンパク質は、その病態では循環、したがって、免疫系に曝露されるが健康な個体では曝露されない。本明細書では、自己抗体が誘導されるタンパク質を、「腫瘍マーカータンパク質」ということとする。
【0027】
本発明の範囲内では、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bのいずれか1つに対して免疫学的に特異的な自己抗体を検出することができることが意図される。本発明はまた、これらの腫瘍マーカータンパク質の3番目に対して免疫学的に特異的である自己抗体の検出、及びさらに任意選択でこれらの腫瘍マーカータンパク質の4番目に対して免疫学的に特異的である自己抗体の検出と任意選択で組み合わせた、これらの腫瘍マーカータンパク質のうちの1つに対して免疫学的に特異的である自己抗体、及びこれらの腫瘍マーカータンパク質の2番目に対して免疫学的に特異的である自己抗体の検出を意図する。しかし、本発明は、これに関して少しも限定されない。2又は3種の特定された腫瘍マーカータンパク質に対して免疫学的に特異的である自己抗体が検出される場合、2又は3種の腫瘍マーカータンパク質のすべての組み合わせが意図される。
【0028】
本発明の状況では、用語「抗原」は、検査試料中に存在する自己抗体と複合体形成する免疫特異的な試薬をいうために使用される。抗原は、検出することが所望される標的自己抗体と特異的に相互作用することが可能な少なくとも1つの抗原決定基又はエピトープを含む物質、又は前記自己抗体の可変領域若しくは相補性決定領域と特異的に相互作用するあらゆる捕捉剤である。抗原は、典型的には、例えば、タンパク質若しくはペプチド、多糖、又は核酸などの、天然に存在する又は合成の生体高分子であることとなり、抗イディオタイプ抗体などの抗体又はその断片が含まれ得る。「腫瘍マーカー抗原」は、癌、特に、この文脈では肝癌を有する対象において増加する抗原である。本明細書では、用語「腫瘍マーカー抗原」と「抗原」は、互換的に使用されることとなる。
【0029】
本明細書で使用する場合、用語「体液」には、本発明の方法を使用して自己抗体の存在について検査されることとなる材料をいう場合、特に、血漿、血清、全血、尿、汗、リンパ、大便、脳脊髄液、腹水、胸水、精液、痰、乳頭吸引液、術後漿液腫、唾液、羊水、涙、又は創部ドレナージ液が含まれる。前述の通り、本発明の方法は、被験対象から取り出した体液を含む検査試料に対してインビトロで行われることが好ましい。使用される体液の種類は、検査されることとなる自己抗体のアイデンティティ、及びアッセイが使用される臨床的状況に応じて変動し得る。一般に、血清又は血漿の試料に対してアッセイを実施することが好ましい。検査試料は、体液に加えて、例えば希釈剤、保存剤、安定化剤、緩衝液などの、さらなる構成成分を含むことができる。
【0030】
ある種の実施態様では、本発明の方法は、
(c)腫瘍マーカー抗原と検査試料中に存在する自己抗体との間の特異的結合の量を検出するステップ
(ここでは、自己抗体の有無は、観察される特異的結合の量と、あらかじめ決定されたカットオフ値との比較に基づく)
をさらに含むことができる。この実施態様内では、腫瘍マーカー抗原と検査試料中に存在する自己抗体との間の特異的結合の量は、結合の相対量又は結合の絶対量であり得る。
【0031】
本明細書では、腫瘍マーカー抗原と検査試料中に存在する自己抗体との間の特異的結合の量が、あらかじめ決定されたカットオフよりも大きい又は小さいならば、自己抗体は存在するとみなすことができる。しかし、一般に、自己抗体は、腫瘍マーカー抗原と検査試料中に存在する自己抗体との間の特異的結合の量が、あらかじめ決定されたカットオフよりも大きいならば、存在するとみなされる。あらかじめ決定されたカットオフは、症例対照研究において、陰性と分かっている試料(例えば正常な個体)に対して対照アッセイを実施することによって決定することができる。これらの「正常な」個体は、好ましくは、臨床的、画像的、及び/又は生化学的基準に基づいて肝癌の診断をまったく有しない同年齢の対照であることとなる。ある種の実施態様では、陰性と分かっている試料は、良性肝疾患を有する個体、すなわち肝癌のリスクが高いが肝癌のエビデンスはまったく示されていない個体から得ることができる。好ましくは、正常な個体は、いかなる癌の診断もまったく有しない。本明細書では、腫瘍マーカー抗原と、正常な患者からの検査試料中に存在する自己抗体との間の特異的結合の量を検出して平均し、あらかじめ決定されたカットオフを提供する。ある種の実施態様では、あらかじめ決定されたカットオフは、90%を超える特異度を保つ、最大のYoudenの値を与えるカットオフ値を選択することによって決定することができる。
【0032】
本発明者らは、驚いたことに、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bのいずれか1つに対して免疫学的に特異的な自己抗体が、肝癌と関係があることを発見した。したがって、ある種の実施態様では、対象は、肝癌を有する疑いがある可能性がある。対象が肝癌を有する可能性があることを疑うあらゆる理由が意図される。
【0033】
本発明のすべての態様内では、肝癌は、肝細胞癌(HCC)であり得る。
【0034】
ある種の実施態様では、哺乳類対象は、肝癌検診において以前に検査で陽性と示されているので、肝癌を有する疑いがある可能性がある。ここでは、あらゆる肝癌検診が意図される。ある種の実施態様では、対象は、αフェトプロテイン(AFP)について以前に検査で陽性と示されている可能性がある。一般に、AFP濃度は、対象から採取された血液試料において検出されるので、対象は、血液試料においてAFPについて以前に検査で陽性と示されている可能性がある。しかし、あらゆるAFP検出技術が意図される。代替実施態様では、対象は、デス-γ-カルボキシプロトロンビン(DCP)又はレクチン反応性αフェトプロテイン(AFP-L3)について以前に検査で陽性と示されている可能性がある。一般に、DCP及びAFP-L3濃度は、対象から採取された血液試料において検出されるので、対象は、血液試料においてDCP又はAFP-L3について以前に検査で陽性と示されている可能性がある。しかし、あらゆるDCP又はAFP-L3検出技術が意図される。
【0035】
他の実施態様では、対象は、超音波サーベイランス又は任意の他の画像化方法を使用して、肝癌について検査で陽性と示されている可能性がある。
【0036】
本発明の範囲内では、対象は、本発明の方法の実施の前のいずれかの時点で、肝癌検診において検査で陽性と示されている可能性がある。例えば、肝癌検診は、本発明の方法の実施の1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、1週、2週、3週、4週、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、又はそれ以上前に実施されている可能性がある。
【0037】
本発明の目的では、肝癌の治療を受けている、又は肝癌の治療を以前に受けていた対象は、依然として「肝癌を有する疑いがある」とみなされる可能性がある。本明細書では、肝癌の治療は、いずれかの時点で実施されている可能性があり、対象は、その後、肝癌の存在について検査されている可能性もされていない可能性もある。
【0038】
対象は、肝癌の公知の危険因子の存在に起因して、肝癌を有する疑いがある可能性がある。ある種の実施態様では、対象は、肝硬変、非アルコール性脂肪性肝疾患、アルコール性肝疾患、ウィルソン病、遺伝性ヘモクロマトーシス、自己免疫性肝炎、B型肝炎、C型肝炎、確認されたアフラトキシン曝露、住血吸虫症、又は糖尿病を有する可能性がある。これらの危険因子を決定するあらゆる方法が意図され、対象は、危険因子に関連する治療を受けている又は受けていた可能性も受けていない又は受けていなかった可能性もある。
【0039】
本発明者らは、驚いたことに、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bに対して免疫学的に特異的な自己抗体が、肝癌と関係があることを確認したので、これらの腫瘍マーカータンパク質のいずれか1つに対して免疫学的に特異的な自己抗体の、検査試料における検出を、肝癌を検出する方法において使用することができる。したがって、一態様では、本発明は、哺乳類対象からの体液を含む検査試料中の抗体(ここでは、該抗体は、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカータンパク質に対して免疫学的に特異的な自己抗体である)を検出することによって哺乳類対象における肝癌を検出する方法であって:
(a)該検査試料を、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原と接触させるステップと;
(b)腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体の有無を決定するステップと;
を含み、前記複合体の存在が、肝癌の存在を示すものである前記方法を提供する。
【0040】
その最も広い態様では、本発明は、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bのいずれか1つに対して免疫学的に特異的な自己抗体を検出するための方法に関し、肝癌の診断又はあらゆるその後の治療に限定されない。しかし、一態様では、本発明は、哺乳類対象からの体液を含む検査試料中の抗体(ここでは、該抗体は、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカータンパク質に対して免疫学的に特異的な自己抗体である)を検出することによって、哺乳類対象における肝癌を診断及び治療する方法であって:
(a)該検査試料を、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原と接触させるステップと;
(b)腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体の有無を決定するステップと;
(c)腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体が検出される場合に、対象を肝癌と診断するステップと;
(d)診断された対象に肝癌治療を施すステップと
を含む前記方法を提供する。
【0041】
この態様内では、腫瘍マーカー抗原と検査試料中に存在する自己抗体との間の特異的結合の量が、先に説明した通り、あらかじめ決定されたカットオフよりも大きい又は小さいならば、自己抗体は存在するとみなすことができる。
【0042】
本発明の範囲内では、肝癌の診断後のいずれかの時点で、肝癌治療が施される可能性がある。例えば、肝癌治療は、肝癌の診断の1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、1週、2週、3週、4週、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、1年後、又はそれ以上後に施される可能性がある。一巡の治療の間のいずれかの間隔を伴う肝癌治療の複数回施与も意図される。
【0043】
肝癌診断が実施された地理的位置とは異なる地理的位置での肝癌治療の施与が意図される。さらに、肝癌治療は、診断及び治療が同じ地理的位置で実施されるか異なる地理的位置で実施されるにかかわらず、診断を実施する人物と異なる人物によって施すことができる。
【0044】
一態様では、本発明の自己抗体検出方法は、治療層別化のために、すなわちある特定の患者又は患者のグループが、ある特定の抗肝癌治療に反応する可能性が高いか低いかを決定するために使用することができる。例えば、本発明の自己抗体検出方法は、対象の抗肝癌治療に対する反応を予測するために使用することができる。
【0045】
したがって、本発明は、哺乳類対象からの体液を含む検査試料中の抗体(ここでは、該抗体は、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカータンパク質に対して免疫学的に特異的な自己抗体である)を検出することを含む、抗肝癌治療に対する反応を予測する方法であって:
(a)該検査試料を、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原と接触させるステップと;
(b)腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体の有無を決定するステップと;
(c)腫瘍マーカー抗原と検査試料中に存在する自己抗体との間の特異的結合の量を検出するステップと;
(d)腫瘍マーカー抗原と自己抗体との間の特異的結合の量を、該結合の量と、起こる可能性が高い治療結果との間のあらかじめ立証された関係性と比較するステップと
を含み、対照と比較した場合の該特異的結合の量の変化が、該患者が抗肝癌治療に反応することとなるかならないかということを予測する前記方法を提供する。
【0046】
本明細書では、対照は、肝癌を有することが分かっている、かつ検査される抗肝癌治療に反応しないことが分かっている、すなわち非反応対照となる対象に由来する体液の試料であることが好ましい。
【0047】
本発明は、何らかの特定の肝癌治療に少しも限定されないことに留意するべきである。ある種の実施態様では、肝癌治療は、化学療法、ラジオ波焼灼療法、肝切除、肝移植、ワクチン接種、抗増殖因子又はシグナル伝達療法、内分泌療法、ヒト抗体療法、肝動脈化学塞栓療法、経皮的エタノール注入、マイクロ波アブレーション、ソラフェニブ投与、及び放射線塞栓療法からなる群から選択することができる。
【0048】
先に記載した本発明の態様は、通常は1回、実施されることとなる。しかし、インビトロイムノアッセイは、非侵襲性であり、「リスクがある」個体のスクリーニングの場合のように肝癌の発症の前に、又は疾患の過程全体を通して、患者における自己抗体産生のプロフィールを構築するために必要であると考えられる回数、繰り返すことができる。
【0049】
したがって、本発明は、哺乳類対象からの体液を含む検査試料における、肝癌を患う個体の抗体プロフィール(ここでは、該抗体は、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカータンパク質に対して免疫学的に特異的な自己抗体である)を決定するインビトロ方法であって:
a)該検査試料を、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原と接触させるステップと;
b)腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体の有無を決定するステップと
を含み、抗体産生のプロフィールを構築するために繰り返される前記方法を提供する。
【0050】
(2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネル)
本発明のある種の実施態様では、この方法は、2種以上の自己抗体を検出することができる。例えば、この方法は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38種、又はそれ以上の自己抗体を検出することができる。本発明の核心によれば、これらの自己抗体の1つは、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカータンパク質に対して免疫学的に特異的である。
【0051】
これらの実施態様内では、この方法は、
(a)検査試料を、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原、及び前記自己抗体の少なくとも1つに対して免疫学的に特異的な1種以上のさらなる腫瘍マーカー抗原を含む2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルと接触させるステップ
を含む。
【0052】
これらの方法は、以下、「パネルアッセイ」ということができる。こうしたアッセイは、一般に、単一の腫瘍マーカー抗原に対する自己抗体の検出よりも高感度であり、偽陰性の結果の頻度がはるかに小さくなる(その内容が参照により本明細書に組み込まれるWO 99/58978、WO 2004/044590、及びWO2006/126008を参照のこと)。
【0053】
アッセイの感度が、複数の自己抗体の存在について検査することによって高められることとなることが一般に受け入れられている。したがって、いくつかの実施態様では、本発明の方法は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38種、又はそれ以上の腫瘍マーカー抗原などの、複数の腫瘍マーカー抗原を含むパネルの使用を意図する。
【0054】
このパネル実施態様を、自己抗体を検出する方法、肝癌を検出する方法、肝癌を診断及び治療する方法、抗肝癌治療に対する反応を予測する方法、及び抗体プロフィールを決定する方法を含めた、本発明の全ての方法と共に使用できることに留意するべきである。
【0055】
ある種の実施態様では、パネルは、別々の抗原である2種以上の腫瘍マーカー抗原を含むことができる。本明細書では、用語「別々の抗原」は、異なるタンパク質又はポリペプチドに由来する抗原(異なる遺伝子によってコードされる関連性のないタンパク質に由来する抗原など)を包含する。
【0056】
本発明はまた、1種以上の別々の抗原の2種以上の抗原変異体を含むパネルを利用する方法も意図する。用語「抗原変異体」は、本明細書では、単一の抗原、例えば先に定義した通りの単一のタンパク質抗原の、対立遺伝子又は他の変異体をいうために使用される。抗原変異体は、一般に、単一の遺伝子に由来することとなり、異なる抗原変異体は、異なるメンバーの集団において、又は異なる病態において発現される可能性がある。抗原変異体は、アミノ酸配列によって、又はグリコシル化、リン酸化、又はアセチル化などの翻訳後修飾によって異なる可能性がある。さらに、用語「抗原変異体」は、アミノ酸置換、付加、又は欠失などの抗原変異を包含する。一般に、抗原変異体は、野生型の抗原に対して、5個未満(例えば4個未満、3個未満、2個未満、又は1個未満)の変異を含有することとなる。
【0057】
パネル実施態様内では、「1種以上のさらなる腫瘍マーカー抗原」は、以下にさらに論じる通り、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカータンパク質に対して免疫学的に特異的な自己抗体以外の自己抗体に対して免疫学的に特異的であることが好ましい。しかし、本発明は、これに関して少しも限定されないが、本発明は、これらの4種の腫瘍マーカータンパク質の3番目に対して免疫学的に特異的である自己抗体の検出、及びさらに任意選択でこれらの4種の腫瘍マーカータンパク質の4番目に対して免疫学的に特異的である自己抗体の検出と任意選択で組み合わせた、これらの4種の腫瘍マーカータンパク質のうちの1つに対して免疫学的に特異的である自己抗体、及びこれらの4種の腫瘍マーカータンパク質の2番目に対して免疫学的に特異的である自己抗体の検出を確かに意図する。
【0058】
2又は3種の特定された腫瘍マーカータンパク質に対して免疫学的に特異的な自己抗体が検出される場合、2又は3種の腫瘍マーカータンパク質のすべての組み合わせが意図される。したがって、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される、2、3、又は4種の腫瘍マーカー抗原を含むことができる。ある種の具体的実施態様では、パネルは、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bを含むことができる。さらなる具体的実施態様では、パネルは、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bで構成され得る。
【0059】
一実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA4、トランスフェリン、HNRNP-L、HSPD1、HNRNP-A2、SALL4、NPM1、YWHAZ、DDX3X、p62、CAGE、MAGE A4、RalA、GBU4-5、サイクリンB1、AFP、SOX2、AKR1B10、アポA1、BCL2、CD44、CK18、CPS1、FUCA1、GLUL、HSPA2、IL-8、MDM2、PEBP1、プロラクチン、RGN、SPP1、SSX2、及びTGFB1からなる群から選択される1種以上の腫瘍マーカー抗原を含むことができる。この実施態様内では、パネルは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、又は34種の列挙された腫瘍マーカー抗原を含むことができる。本発明によれば、パネルはまた、MMP9、AIF1、EpCAM、又はCDKN1Bを含むこととなり、これらの腫瘍マーカー抗原の1、2、3、又は4種を含むことができる。これらの腫瘍マーカー抗原の2又は3種がパネルに含まれる実施態様では、2又は3種のこれらの抗原のすべての組み合わせが意図される。具体的実施態様では、パネルは、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bを含むことができる。
【0060】
一実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、MMP9、AIF1、EpCAM、NY-ESO-1、HSPA4、ビメンチン、HNRNP-L、及びトランスフェリンを含むことができる。別の実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、MMP9、AIF1、EpCAM、NY-ESO-1、HSPA4、ビメンチン、HNRNP-L、及びトランスフェリンで構成され得る。
【0061】
別の実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、AIF1、EpCAM、HSPA4、及びCPS1を含むことができる。別の実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、AIF1、EpCAM、HSPA4、及びCPS1で構成され得る。
【0062】
さらなる実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、EpCAM、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA2、HSPA4、及びHNRNP-Lを含むことができる。別の実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、EpCAM、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA2、HSPA4、及びHNRNP-Lで構成され得る。
【0063】
いっそうさらなる実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、MMP9、AIF1、EpCAM、DDX3X、SALL4、MAGE A4、NY-ESO-1、CAGE、RalA、及びSOX2を含むことができる。別の実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、MMP9、AIF1、EpCAM、DDX3X、SALL4、MAGE A4、NY-ESO-1、CAGE、RalA、及びSOX2で構成され得る。
【0064】
いっそうさらなる実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、EpCAM、CAGE、SOX2、RalA、MAGE A4、DDX3X、及びNY-ESO-1を含むことができる。別の実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、EpCAM、CAGE、SOX2、RalA、MAGE A4、DDX3X、及びNY-ESO-1で構成され得る。
【0065】
いっそうさらなる実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、AIF1、CAGE、HSPD1、SOX2、SALL4、HSPA4、及びトランスフェリンを含むことができる。別の実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、AIF1、CAGE、HSPD1、SOX2、SALL4、HSPA4、及びトランスフェリンで構成され得る。
【0066】
ある種の具体的実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、対象の性別、すなわち対象が雄性であるか雌性であるかということに応じて異なる可能性がある。この実施態様内では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、対象が雌性である場合、AIF1、EpCAM、HSPA4、及びCPS1、又はAIF1、CAGE、HSPD1、SOX2、SALL4、HSPA4、及びトランスフェリンを含む又はこれらで構成され得る。さらにこの実施態様内では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、対象が雄性である場合、EpCAM、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA2、HSPA4、及びHNRNP-L、又はEpCAM、CAGE、SOX2、RalA、MAGE A4、DDX3X、及びNY-ESO-1を含む又はこれらで構成され得る。
【0067】
具体的実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA4、トランスフェリン、HNRNP-L、HSPD1、HNRNP-A2、SALL4、サイクリンB1、AFP、NPM1、YWHAZ、DDX3X、p62、CAGE、MAGE A4、RalA、GBU4-5、SOX2、AKR1B10、アポA1、BCL2、CD44、CK18、CPS1、FUCA1、GLUL、HSPA2、IL-8、MDM2、PEBP1、プロラクチン、RGN、SPP1、SSX2、及びTGFB1を含むことができる。本発明によれば、このパネルはまた、MMP9、AIF1、EpCAM、又はCDKN1Bを含むこととなり、これらの腫瘍マーカー抗原の1、2、3、又は4種を含むことができる。これらの腫瘍マーカー抗原の2又は3種がパネルに含まれる実施態様では、2又は3種のこれらの抗原のすべての組み合わせが意図される。
【0068】
具体的実施態様では、パネルは、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bを含むことができる。例えば、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、MMP9、AIF1、EpCAM、CDKN1B、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA4、トランスフェリン、HNRNP-L、HSPD1、HNRNP-A2、SALL4、サイクリンB1、AFP、NPM1、YWHAZ、DDX3X、p62、CAGE、MAGE A4、RalA、GBU4-5、SOX2、AKR1B10、アポA1、BCL2、CD44、CK18、CPS1、FUCA1、GLUL、HSPA2、IL-8、MDM2、PEBP1、プロラクチン、RGN、SPP1、SSX2、及びTGFB1を含むことができる。
【0069】
具体的実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、MMP9、AIF1、EpCAM、CDKN1B、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA4、トランスフェリン、HNRNP-L、HSPD1、HNRNP-A2、SALL4、サイクリンB1、AFP、NPM1、YWHAZ、DDX3X、p62、CAGE、MAGE A4、RalA、GBU4-5、SOX2、AKR1B10、アポA1、BCL2、CD44、CK18、CPS1、FUCA1、GLUL、HSPA2、IL-8、MDM2、PEBP1、プロラクチン、RGN、SPP1、SSX2、及びTGFB1で構成され得る。
【0070】
具体的実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、CAGE、NY-ESO-1、MMP9、トランスフェリン、MAGE A4、RalA、HSPA4、SALL4、サイクリンB1、EpCAM、DDX3X、及びAIF1を含むことができる。別の実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、CAGE、NY-ESO-1、MMP9、トランスフェリン、MAGE A4、RalA、HSPA4、SALL4、サイクリンB1、EpCAM、DDX3X、及びAIF1で構成され得る。
【0071】
具体的実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、CAGE、NY-ESO-1、MMP9、トランスフェリン、MAGE A4、RalA、HSPA4、SALL4、サイクリンB1、EpCAM、DDX3X、AIF1、SOX2、及びAFPを含むことができる。別の実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、CAGE、NY-ESO-1、MMP9、トランスフェリン、MAGE A4、RalA、HSPA4、SALL4、サイクリンB1、EpCAM、DDX3X、AIF1 SOX2、及びAFPで構成され得る。
【0072】
(追加のスクリーニングステップ)
本発明のある種の実施態様では、本発明の方法は、肝癌と関係がある追加のマーカーについてスクリーニングすることをさらに含むことができる。この実施態様内では、肝癌と関係があることが公知であるあらゆるマーカーについてスクリーニングするあらゆる方法が意図される。
【0073】
例えば、この方法は、哺乳類対象からの体液を含む検査試料中のαフェトプロテイン(AFP)、デス-γ-カルボキシプロトロンビン(DCP)、又はレクチン反応性αフェトプロテイン(AFP-L3)を検出することをさらに含むことができる。好ましくは、体液は、血液である。この方法が哺乳類対象からの体液を含む検査試料中のαフェトプロテイン(AFP)を検出することをさらに含む実施態様では、体液は、血液であることが好ましく、陽性を評価するために200ng/mlのカットオフが適用されることが好ましい。
【0074】
(抗原力価測定)
WO2006/126008(その内容を参照により本明細書に組み込む)では、疾患の生物学的マーカーとしての自己抗体の検出に基づくアッセイの性能、より具体的には臨床的有用性及び信頼性を、抗原力価測定ステップを含めることによって劇的に改善することができることが確認された。一連の異なる量の抗原に対する自己抗体を含有する疑いがある試料を検査し、力価測定曲線を作成することによって、試料中に存在する自己抗体の絶対量とは無関係に、真陽性スクリーニング結果を確実に明らかにすることが可能である。WO2006/126008の抗原力価測定方法は、単一の抗原濃度での自己抗体の反応性を測定すること、又は抗原ではなく血清試料が力価測定される方法よりも高い特異度及び感度を提供する。
【0075】
したがって、ある種の実施態様では、本発明は、腫瘍マーカー抗原が、複数の異なる量で提供される方法であって:
(a)検査試料を、複数の異なる量の腫瘍マーカー抗原と接触させるステップと;
(b)腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体の有無を決定するステップと;
(c)腫瘍マーカー抗原と自己抗体との間の特異的結合の量を検出するステップと;
(d)ステップ(a)で使用された腫瘍マーカー抗原のそれぞれの量について、腫瘍マーカー抗原の量に対する特異的結合の量の曲線をプロット又は算出するステップと;
(e)使用される腫瘍マーカー抗原のそれぞれの異なる量での腫瘍マーカー抗原と自己抗体との間の特異的結合の量に基づいて、自己抗体の有無を決定するステップと
を含む前記方法を意図する。
【0076】
実際には、異なる量の腫瘍マーカー抗原は、一般に、利用される腫瘍マーカー抗原の濃度を変えることによって提供されることとなる。したがって、用語「異なる量」及び「異なる濃度」は、互換的に使用することができる。しかし、本発明の範囲内では、腫瘍マーカー抗原の量を変える、あらゆる方法が意図される。当業者は、本発明の方法では、標的自己抗体への結合に利用可能な抗原決定基又はエピトープの量が、力価測定系列(すなわち、異なる量で提供される抗原のセット)を確立することにとって重要であることを認識するであろう。多くのアッセイ形式では、結合に利用可能な抗原決定基又はエピトープの量は、存在する抗原分子の量と直接的に相関する。しかし、ある種の固相アッセイ系などの他の実施態様では、曝露される抗原決定基又はエピトープの量は、抗原の量と直接的に相関しない可能性があるが、固体表面への付着及び立体構造の存在などの他の要因に依存する可能性がある。これらの実施態様では、力価測定系列における「異なる量の抗原」への本明細書での言及は、異なる量の抗原決定基又はエピトープを指すために用いることができる。特定の実施態様では、抗原の量の変動は、試料がそれに対して検査される抗原又はエピトープ密度を変化させることによって、又は、抗原又はエピトープ密度を維持するが抗原がそれに対して固定される表面積を増大させることによって、又はこれらの両方によって達成することができる。
【0077】
この実施態様内では、「抗原のセット」とは、本発明の方法において異なる量で検査されることとなる単一の抗原をいう。
【0078】
複数の抗原が意図される実施態様では、「別々の抗原のセット」とは、各抗原が、先に定義した通りの異なるタンパク質又はポリペプチドに由来する「別々の抗原」(異なる遺伝子によってコードされる関連性のないタンパク質に由来する抗原など)である、本発明の方法において異なる量で検査されることとなる単一の抗原をいう。所与のマイクロアレイは、異なるタンパク質又はポリペプチドに由来する別々の抗原のセットのみ、又は単一のタンパク質又はポリペプチドの異なるペプチドエピトープに由来する別々の抗原のセットのみ、又は任意の割合の2つの混合物を含むことができる。本発明のあらゆる実施態様における異なる量のそれぞれ個々の抗原のセットは、一般に、その混合物ではなく1種だけの抗原を含むこととなることに留意するべきである。
【0079】
抗原変異体のセットとは、本発明の方法において異なる量で検査されることとなる単一の抗原変異体をいう。
【0080】
ある種の実施態様では、自己抗体の有無を、使用される腫瘍マーカー抗原の量のすべてに対する特異的結合の量の集合的値に基づいて決定することができる。本発明の方法の間、自己抗体と抗原との間の特異的結合の相対又は絶対量が、検査されるそれぞれの異なる量の抗原(抗原決定基又はエピトープ)に対して決定され、検査されるそれぞれの量の抗原についての抗原の量に対する特異的結合の(相対的又は絶対的)量の曲線をプロット又は算出するために使用される。アッセイに使用される抗原と反応性のある自己抗体の、検査試料中の存在は、各抗原量で観察される特異的結合の量に基づいて決定され、一般に、典型的にはS字型又はシグモイドである用量反応曲線によって示される。したがって、ある種の実施態様では、自己抗体の有無は、一般にS字型又はシグモイド曲線などの用量反応曲線が存在するかどうか、プロットをスクリーニングすることによって決定される。検査される異なる量の抗原に対する検出可能な結合の変動が存在しないならば、これは、検出可能な量の自己抗体の非存在として記録することができる。
【0081】
一実施態様では、自己抗体の有無は、自己抗体と抗原との間の特異的結合の量と、あらかじめ決定されたカットオフ値との比較によって決定される。ここでは、力価測定系列において使用されるそれぞれの量の抗原についての抗原の量に対する特異的結合の量の曲線がプロットされ、陽性と分かっている試料(例えば、疾患を有する患者の集団)における結合のレベルが、症例対照研究において、陰性と分かっている試料(例えば、正常な個体)において観察される結合のレベルと比較される。高い特異度(ほんのわずかな偽陽性)を保ちつつ感度を最大にする(ほんのわずかな偽陰性)、力価測定曲線上の1以上の点での自己抗体結合に対するカットオフ値が選択される。力価測定系列において使用されるそれぞれの量の抗原についての抗原の量に対する特異的結合の量の曲線が用量反応曲線であるとすると、測定値は、力価測定曲線上の1以上の点に対して決定された特異的結合の量が、あらかじめ決定されたカットオフ点の値よりも大きいならば、陽性であるとみなされる。ある種の実施態様では、あらかじめ決定されたカットオフは、90%を超える特異度を保ちながら最大のYoudenの値を与えるカットオフ値を選択することによって決定することができる。
【0082】
この抗原力価測定実施態様は、自己抗体を検出する方法、肝癌を検出する方法、肝癌を診断及び治療する方法、抗肝癌治療に対する反応を予測する方法、及び抗体プロフィールを決定する方法を含めた、本発明の全ての方法と共に使用できることに留意するべきである。さらに、抗原力価測定は、単一の自己抗体のみが検出される実施態様において、また、複数の自己抗体を検出するために抗原のパネルが使用される実施態様において使用することができる。
【0083】
(ダブルカットオフ)
アッセイの感度が、複数の抗原に対する自己抗体を測定することによって高められることとなることが一般に受け入れられている。しかし、この感度の向上は、通常、特異度の比例的増大と関係があるので、アッセイ方法の使用可能な抗原の数は限られている可能性がある。ある種の実施態様では、本発明の方法は、陽性として分類されるこれらの測定基準の両方について、カットオフ点と比較した場合に陽性とみなされる検査結果のみを用いて自己抗体と抗原との間の特異的結合のレベルを決定する抗原力価測定方法、及び二次的曲線パラメータの評価を使用することによって、特異度の低下を埋め合わせることができる。この方法は、本明細書では、「ダブルカットオフ」方法ということとし、WO2015/193678(その内容を参照により本明細書に組み込む)に完全に記載されている。
【0084】
ある種の実施態様では、本発明の方法は、
(d1)ステップ(c)においてプロット又は算出された曲線から、二次的曲線パラメータを算出するステップと;
(e)以下の組み合わせ:
(i)ステップ(b)において決定される、自己抗体と腫瘍マーカー抗原との間の特異的結合の量;及び
(ii)ステップ(d1)において決定される二次的曲線パラメータ
に基づいて自己抗体の有無を決定するステップと
をさらに含む。
【0085】
ダブルカットオフ方法は、先に記載した抗原力価測定方法論を利用する。力価測定系列において使用されるそれぞれの量の抗原での抗原/自己抗体結合の量の検出、及び力価測定系列において使用されるそれぞれの量の抗原についての抗原の量に対する特異的結合の量の曲線のプロッティング後、二次的曲線パラメータが算出される。二次的曲線パラメータは、線形又は対数回帰曲線から算出することができる。本明細書では、二次的曲線パラメータは、曲線の性質を示す、あらゆる算出された値である。例えば、二次的曲線パラメータは、傾き、切片、AUC、SlopeMax、又は解離定数(Kd)であり得る。これらの二次的曲線パラメータを、
図1に例示する。
【0086】
傾きは、式:
【数1】
を使用して算出される。式中、bは傾きであり、xは抗原濃度(nM)を指し、yは吸光度単位(AU)でのOD値を指す。
【0087】
傾きは、各試料について、線形又は対数回帰曲線から、又は線形と対数回帰曲線の両方から算出することができる。
【0088】
回帰直線の切片は、x=0である場合のy軸での線の値である。
【0089】
切片は、各試料について、線形又は対数回帰曲線から、又は線形と対数回帰曲線の両方から算出することができる。
【0090】
AUCは、式:
【数2】
に従って、各セットの抗原濃度の間の定積分を推定することによって実現することができる、積算型の台形公式を使用して算出することができる。この計算は、連続する抗原濃度の各対について繰り返され、得られた値を合計して、AUCについての値の総量を与える。
【0091】
AUCは、各試料について、線形又は対数回帰曲線から、又は線形と対数回帰曲線の両方から算出することができる。
【0092】
SlopeMaxは、先に論じた、傾きと同じ式を使用して算出することができる。しかし、各試料についての傾きについて、可能性のある最も大きな値を求めるために、傾き値は、連続する抗原濃度の各対に対して得られ、最大の大きさの傾き値が、SlopeMaxに相当する。
【0093】
SlopeMaxは、各試料について、線形又は対数回帰曲線から、又は線形と対数回帰曲線の両方から算出することができる。
【0094】
解離定数(Kd)は、4パラメータロジスティック曲線を各セットの力価測定点に適合させることによって算出することができ、式F(x)=((A-D)/(1+((x/C)^B)))+D(残差平方和は最小限にされる)を使用して最小漸近線(A)、傾き係数(B)、変曲点(C)、及び最大漸近線(D)パラメータについての値を与えるために反復解法が使用される。この解析されたデータについての変曲点が、抗原/自己抗体結合のKdに相当する。
【0095】
ある種の実施態様では、二次的曲線パラメータは、4パラメータロジスティック曲線などのロジスティック曲線を、力価測定系列において使用される各量の抗原に対する、抗原の量に対する特異的結合の量の曲線に適合させることによって決定することができる。この実施態様では、二次的曲線パラメータは、最大漸近線、最小漸近線、Hill Slope(若しくは傾き係数)、又は変曲点であり得る。
【0096】
4パラメータロジスティック(4PL)曲線は、式:
F(x)=((A-D)/(1+((x/C)^B)))+D
によって定義される曲線であり、
式中、A=最小漸近線、B=Hill Slope(又は傾き係数)、C=変曲点、及びD=最大漸近線である。
【0097】
この実施態様において二次的曲線パラメータを決定するために、反復解法関数を使用して、各試料及び抗原について、4PL曲線が算出される。ここでは、4パラメータは、次の制約を伴って、それぞれに対する予想される値に近い値に設定される:最小漸近線の値は0に固定され、Hill Slopeの値は正の値に限定され、変曲点は1000という最大値に制限される。
【0098】
次いで、力価測定曲線の各点と、4PL曲線上の対応する点(式F(x)=((A-D)/(1+((x/C)^B)))+Dによって戻される)との間の差を算出し、その差を2乗し、2乗したすべての差の値を合計することができる。
【0099】
次いで、4つの二次的曲線パラメータのために使用した値を調整し、2乗した平均の合計がゼロにできるだけ近づくまで、反復方式で繰り返し算出する。反復解法は、Microsoft ExcelのSOLVER機能を使用して実施することができる。
【0100】
二次的曲線パラメータが得られたら、自己抗体の有無を決定するために、これを、抗原/自己抗体結合データと組み合わせることとなる。ここでは、自己抗体と抗原との間の特異的結合の量が、先に記載した通りのあらかじめ決定されたカットオフ値と比較されることとなる。
【0101】
二次的曲線パラメータについてのカットオフは、陽性と分かっている試料(例えば、疾患を有する患者のコホートからなる一連の症例対照試料セット)及び陰性と分かっている試料(例えば、症例対照研究における正常な個体のコホート)を使用して決定される。各試料について、力価測定系列において使用されるそれぞれの量の抗原についての抗原の量に対する特異的結合の量の曲線がプロットされ、陽性と分かっている試料(例えば、疾患を有する患者)において認められる二次的曲線パラメータが、陰性と分かっている試料(例えば、正常な個体)において認められる二次的曲線パラメータと比較される。先に論じた抗原/自己抗体結合についてのカットオフと組み合わせて使用される場合、特異度を最大にする(ほんのわずかな偽陽性)二次的曲線パラメータに対するカットオフ値が選択される。
【0102】
二次的曲線パラメータについてのカットオフ値を算出する際、陽性の読み取りのために必要とされる方向性、すなわち、カットオフよりも大きい又は小さい値が陽性とみなされるされるどうかも決定される。陽性の読み取りのために必要とされるこの方向性は、抗原及び二次的曲線パラメータに依存することとなる。
【0103】
測定は、抗原/自己抗体結合についてのどちらのカットオフよりも大きく、かつ二次的曲線パラメータについてのカットオフと比較して陽性の読み取りのために必要とされる方向性を示すならば、最終的に陽性である、すなわち、検査試料中の自己抗体の存在を示すものであるとみなされる。
【0104】
WO2015/193678(その内容を参照により本明細書に組み込む)にさらに記載されている通り、アッセイ方法論に二次的曲線パラメータを含めることは、イムノアッセイの特異度を高め、検査試料中の自己抗体間の特異的結合の量のみに基づく代替方法と比較して陽性的中率(PPV)を増大させる。
【0105】
本明細書に含まれるダブルカットオフ方法の説明は、抗原/自己抗体結合の量の測定と組み合わせた単一の二次的曲線パラメータの使用に焦点が合わせられているが、複数の二次的曲線パラメータの使用が意図されることを理解するべきである。したがって、ある種の実施態様では、本発明の方法は、2、3、4、5、6、7、8、又はそれ以上二次的曲線パラメータを利用する。
【0106】
ダブルカットオフ方法は、存在する標的自己抗体の絶対量、及び標的自己抗体の非存在下で観察される結合のレベルが患者ごとに大きく異なる可能性がある、臨床診断、予後、予測、及び/又はモニタリングアッセイに使用するために好都合である。こうしたアッセイが、単一の量/濃度の検査抗原を使用する自己抗体結合の検出に基づくならば、集団にわたる自己抗体の量の正常な生理的範囲の最下限又は最上限である量の自己抗体を含有する患者試料は、アッセイ方法論の制限に起因して、見逃される可能性がある;少量の自己抗体を含む試料は、偽陰性の結果として記録される可能性があるのに対し、非常に高いレベルの自己抗体を含むものは、選択されたアッセイ方法論内の正確な検出の上限を超えている可能性がある。二次的曲線パラメータの算出と組み合わせた力価測定方法の使用は、これらの観察される自己抗体レベルの差及び結合のレベルの差を埋め合わせることができる。
【0107】
このダブルカットオフ実施態様は、自己抗体を検出する方法、肝癌を検出する方法、肝癌を診断及び治療する方法、抗肝癌治療に対する反応を予測する方法、及び抗体プロフィールを決定する方法を含めた、本発明のすべての方法と共に使用できることに留意するべきである。さらに、ダブルカットオフ方法は、単一の自己抗体のみが検出される実施態様において、また、複数の自己抗体を検出するために抗原のパネルが使用される実施態様において使用することができる。パネル実施態様では、パネル内の各抗原について算出される二次的曲線パラメータは、必ずしも同じである必要はないことに留意するべきである。しかし、いくつかの実施態様では、パネル内の各抗原について算出される二次的曲線パラメータは、同じであり得る。
【0108】
(アッセイ形式)
イムノアッセイ、例えばELISA、ラジオイムノアッセイなどの一般的特徴は、当業者に周知である(その内容が参照により本明細書に組み込まれるE.Diamandis及びT.Christopoulusの文献「イムノアッセイ(Immunoassay)」Academic Press, Inc., San Diego, CA, 1996を参照のこと)。
【0109】
特定の免疫学的特異性を有する自己抗体の検出のためのイムノアッセイは、一般に、関連する自己抗体との特異的な免疫学的反応性を呈する試薬(抗原)の使用を必要とする。アッセイの形式に応じて、この抗原は、固形状支持体上に固定することができる。検査試料は、抗原と接触され、必要とされる免疫学的特異性をもつ自己抗体が試料中に存在するならば、これらは抗原と免疫学的に反応して抗原/自己抗体複合体を形成することとなり、次いで、これを検出又は定量的に測定することができる。
【0110】
本発明の方法は、自己抗体を含有する疑いがある検査試料と抗原との間の接触を可能にする、あらゆる好適な形式で行うことができる。好都合には、検査試料と抗原との間の接触は、マイクロタイタープレートのウェルなどの別の反応チャンバー内で起こり、異なる抗原又は異なる量の抗原が必要に応じて並行して検定されることが可能になる可能性がある。様々な量の抗原が必要とされる実施態様では、これらを、マイクロタイタープレートのウェルにわたって抗原のストックからの段階希釈物を調製することによって、マイクロタイタープレートのウェルにコーティングすることができる。抗原のストックは、公知又は未知の濃度のものであり得る。次いで、検査試料の一定分量を、検査試料の体積及び希釈を、各ウェルにおいて一定に保ちながら、プレートのウェルに添加することができる。マイクロタイタープレートのウェルに添加される抗原の絶対量は、当業者によって認識される通り標的自己抗体の性質、検査試料の性質、検査試料の希釈などの因子に応じて変動し得る。一般に、抗原の量及び検査試料の希釈は、この方法における抗原/自己抗体結合の検出のために選択される読み取りの許容し得る検出範囲に含まれる範囲のシグナル強度をもたらすするように選択されることとなる。好都合には、抗原の検査される量は、1.6nMから160mMまでの範囲内で変動し得る。
【0111】
本発明のさらなる実施態様では、抗原は、固形状支持体上の別個の位置又は反応部位に固定することができる。異なる量の抗原が必要とされる実施態様では、これらはそれぞれ、固形状支持体上の別個の位置又は反応部位に固定することができる。次いで、支持体全体を、検査試料と接触させ、自己抗体と抗原との結合を、別個の位置又は反応部位のそれぞれで、別々に検出又は測定することができる。好適な固形状支持体としては、マイクロアレイが挙げられる。異なる量の抗原が必要とされる場合、マイクロアレイは、アレイ上の別個の解像可能な反応部位に、異なる量の特定の抗原を固定することによって調製することができる。他の実施態様では、固定された抗原分子の実際の量は、実質的に一定であり続けることができるが、アレイ上の部位又はスポットのサイズは、利用可能な結合エピトープの量を変えるために変化させ、異なる量の利用可能な結合エピトープを有する部位又はスポットの力価測定系列を提供することができる。こうした実施態様では、抗原の絶対量ではなく、抗原上の結合エピトープ(1又は複数)の二次元表面濃度が、力価測定系列の調製において重要である。タンパク質/ペプチドマイクロアレイの調製及び照合のための技術は、一般に、当技術分野で公知である。
【0112】
マイクロアレイは、単一の試料に対する異なる特異性の自己抗体についての複数のアッセイを並行して実施するために使用することができる。これは、複数の抗原又は抗原のセットを含むアレイを使用して行うことができる。
【0113】
ある種の抗原は、限定はされないが、患者組織又は体液から単離されたタンパク質ポリペプチド(例えば、血漿、血清、全血、尿、汗、リンパ、大便、脳脊髄液、腹水、胸水、精液、痰、乳頭吸引液、術後漿液腫、及び創部ドレナージ液)を含めた、天然の起源から単離されたタンパク質又はポリペプチドを含む又はこれらに由来し得る。こうした実施態様では、抗原は、天然に存在するタンパク質、すなわち、実質的に、天然の起源から単離された又は天然に存在するタンパク質の断片を含むことができる形態の、タンパク質の実質的にすべてを含むことができる。本発明の方法における抗原として有効であるためには、任意のこうした断片が、検査するために使用されることとなる自己抗体との免疫学的反応性を保持しなければならない。好適な断片は、例えば、単離されたタンパク質の化学的又は酵素的切断によって調製することができる。
【0114】
ある種の実施態様では、また、使用されることとなるアッセイの厳密な性質に応じて、抗原は、そのタンパク質には天然には存在しないいくつかの望ましい特性を与える1つ以上のさらなる分子と連結された、天然に存在するタンパク質、又はその断片を含むことができる。例えば、タンパク質又は断片は、明らかにする標識、例えば、例として蛍光標識、着色標識、発光標識、放射性標識、又は重金属、例えば金コロイドと結合させることができる。他の実施態様では、タンパク質又は断片は、組換えによって産生された融合タンパク質として発現させることができる。例として、融合タンパク質は、組換えによって発現された抗原の精製を助けるために、N-又はC-末端にタグペプチドを含むことができる。
【0115】
使用されることとなるアッセイの形式に応じて、抗原を、例えば、チップ、スライド、マイクロタイタープレートのウェル、ビーズ、膜、又はナノ粒子などの固形状支持体上に固定することができる。固定化は、非共有結合性吸着、共有結合を介して、又はタグを介して実施することができる。
【0116】
これが、抗原が標的自己抗体と免疫学的に反応する能力にかなりの程度まで悪影響を与えないという条件で、あらゆる好適な付着手段を使用することができる。
【0117】
本発明は、固相アッセイに限定されず、全体的に又は部分的に液相内で行われるアッセイ、例えば溶液相ビーズアッセイ又は競合アッセイも包含する。
【0118】
一実施態様では、抗原を、ビオチンなどの、固定化を容易にするであろうリガンドで標識することができる。次いで、この抗原を、好適な力価測定範囲に希釈し、溶液中の患者試料中の自己抗体と反応させることができる。次いで、得られた免疫複合体を、リガンド-受容体相互作用(例えば、ビオチン-ストレプトアビジン)を介して、固形状支持体上に固定し、アッセイの残りを、以下に記載した通りに実施することができる。
【0119】
本発明のアッセイ方法に使用するためのビオチン標識された抗原の産生を容易にするために、完全長抗原をコードするcDNA、その切断型、又はその抗原断片を、例えば酵素反応を介してビオチン補因子が付着することができるタンパク質又はポリペプチドタグで標識された融合タンパク質として発現させることができる。
【0120】
組換え型のビオチン標識された抗原の産生のためのベクターは、いくつかの供給源から市販品として入手できる。或いは、ビオチン標識された抗原は、発現及び精製後にビオチンと抗原分子との共有結合によって産生することができる。
【0121】
前述の通り、本発明による自己抗体を検出するために使用されるイムノアッセイは、当技術分野で公知の標準の技術に基づくことができる。最も好ましい実施態様では、イムノアッセイは、ELISAであり得る。ELISAは、概して、当技術分野で周知である。典型的な間接的ELISAでは、被験の自己抗体に対する特異性を有する抗原は、固体表面(例えば、標準のマイクロタイターアッセイプレートのウェル、又はマイクロビーズ若しくはマイクロアレイの表面)上に固定され、自己抗体の存在について検査されることとなる体液を含む試料が、固定化された抗原と接触される。試料中に存在する所望の特異性のあらゆる自己抗体が、固定化された抗原と結合することとなる。次いで、結合した抗原/自己抗体複合体を、任意の好適な方法を使用して検出することができる。ある好ましい実施態様では、1以上のクラスのヒト免疫グロブリンに共通のエピトープを特異的に認識する、標識された抗ヒト免疫グロブリン二次抗体が、抗原/自己抗体複合体を検出するために使用される。典型的には、二次抗体は、抗IgG又は抗IgMとなる。二次抗体は通常、検出可能なマーカー、典型的には、例えばペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼなどの酵素マーカーで標識され、検出可能な産物、例えば着色、化学発光、又は蛍光産物を産生する、酵素に対する基質の添加による定量的検出が可能になる。同等の効果を有する当技術分野で公知の他の種類の検出可能な標識を使用することができる。
【0122】
(本発明の方法の適用)
本発明は、哺乳類対象からの体液を含む検査試料中のMMP9、AIF1、EpCAM、又はCDKN1Bに対して免疫学的に特異的な自己抗体を検出することによって哺乳類対象における肝癌を検出する方法であって:
(a)該検査試料を、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原と接触させるステップと;
(b)腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体の有無を決定するステップと;
を含み、前記複合体の存在が、肝癌の存在を示すものである前記方法における、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原の使用を提供する。
【0123】
本発明のこの実施態様内では、本発明の種々の方法に関して先に論じたすべての制約は、この使用に関して意図される。
【0124】
本発明によるアッセイ方法は、様々な異なる臨床的状況で用いることができる。特に、この方法は、肝癌の検出又は診断において、肝癌と診断された患者の予後を評価することにおいて、治療法に対する反応を予測することにおいて、患者における肝癌の進行をモニタリングすることにおいて、肝癌の存在を診断するために無症候性のヒト対象の集団をスクリーニングすることにおいて、抗肝癌治療(例えば、化学療法、ラジオ波焼灼療法、肝切除、肝移植、ワクチン接種、抗増殖因子又はシグナル伝達療法、内分泌療法、ヒト抗体療法、肝動脈化学塞栓療法、経皮的エタノール注入、マイクロ波アブレーション、ソラフェニブ投与、及び放射線塞栓療法)に対する肝癌患者の反応を予測することにおいて、抗肝癌治療(例えば、化学療法、ラジオ波焼灼療法、肝切除、肝移植、ワクチン接種、抗増殖因子又はシグナル伝達療法、内分泌療法、ヒト抗体療法、肝動脈化学塞栓療法、経皮的エタノール注入、マイクロ波アブレーション、ソラフェニブ投与、及び放射線塞栓療法)に対する肝癌患者の反応をモニタリングすることにおいて、存在する肝癌の量を低下させるための抗肝癌治療を受けている、肝癌を有すると以前に診断された患者における再発性の疾患の検出において、ある特定の患者に使用するための抗肝癌療法(例えば、化学療法、ラジオ波焼灼療法、肝切除、肝移植、ワクチン接種、抗増殖因子又はシグナル伝達療法、内分泌療法、ヒト抗体療法、肝動脈化学塞栓療法、経皮的エタノール注入、マイクロ波アブレーション、ソラフェニブ投与、及び放射線塞栓療法)の選択において、又は、肝癌を有する又は有する疑いがある患者における抗体プロフィールを決定することにおいて、使用することができる。
【0125】
(キット)
本発明は、
(a)1種以上の腫瘍マーカー抗原と;
(b)該腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体を検出することが可能な試薬と
を含む、本発明の方法のいずれか1つを実施するのに適したキットを包含する。
【0126】
本発明はまた、
(a)MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原と;
(b)該腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体を検出することが可能な試薬と
を含む、哺乳類対象からの体液を含む検査試料中の自己抗体の検出のためのキットを包含する。
【0127】
ある種の実施態様では、キットは、
(c)腫瘍マーカー抗原を、哺乳類対象からの体液を含む検査試料と接触させるための手段
をさらに含むことができる。
【0128】
腫瘍マーカー抗原を、哺乳類対象からの体液を含む検査試料と接触させるための手段の例としては、チップ、スライド、プレート、マイクロタイタープレートのウェル、ビーズ、膜、又はナノ粒子上の腫瘍マーカー抗原の固定化が挙げられる。
【0129】
いくつかの実施態様では、キット内の腫瘍マーカー抗原は、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネル内に存在することができる。この実施態様内では、キットは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38種、又はそれ以上の抗原を含むことができる。これらの抗原は、別々の抗原であり得、ここでは、別々の抗原は、先に定義した通りの、異なるタンパク質又はポリペプチドに由来する抗原(異なる遺伝子によってコードされる関連性のないタンパク質に由来する抗原など)、又は単一のタンパク質又はポリペプチドの異なるペプチドエピトープに由来する抗原である。
【0130】
一実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bを含むことができる。ある種の具体的実施態様では、該パネルは、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bで構成され得る。
【0131】
一実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA4、トランスフェリン、HNRNP-L、HSPD1、HNRNP-A2、SALL4、サイクリンB1、AFP、NPM1、YWHAZ、DDX3X、p62、CAGE、MAGE A4、RalA、GBU4-5、SOX2、AKR1B10、アポA1、BCL2、CD44、CK18、CPS1、FUCA1、GLUL、HSPA2、IL-8、MDM2、PEBP1、プロラクチン、RGN、SPP1、SSX2、及びTGFB1からなる群から選択される1種以上の腫瘍マーカー抗原を含むことができる。この実施態様内では、該パネルは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、又は34種の列挙された腫瘍マーカー抗原を含むことができる。本発明によれば、該パネルはまた、MMP9、AIF1、EpCAM、又はCDKN1Bを含むこととなり、これらの腫瘍マーカー抗原の1、2、3、又は4種を含むことができる。これらの腫瘍マーカー抗原の2又は3種がパネルに含まれる実施態様では、2又は3種のこれらの抗原のすべての組み合わせが意図される。具体的実施態様では、パネルは、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bを含むことができる。
【0132】
一実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、MMP9、AIF1、EpCAM、NY-ESO-1、HSPA4、ビメンチン、HNRNP-L、及びトランスフェリンを含むことができる。別の実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、MMP9、AIF1、EpCAM、NY-ESO-1、HSPA4、ビメンチン、HNRNP-L、及びトランスフェリンで構成され得る。
【0133】
別の実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、AIF1、EpCAM、HSPA4、及びCPS1を含むことができる。別の実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、AIF1、EpCAM、HSPA4、及びCPS1で構成され得る。
【0134】
さらなる実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、EpCAM、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA2、HSPA4、及びHNRNP-Lを含むことができる。別の実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、EpCAM、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA2、HSPA4、及びHNRNP-Lで構成され得る。
【0135】
いっそうさらなる実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、MMP9、AIF1、EpCAM、DDX3X、SALL4、MAGE A4、NY-ESO-1、CAGE、RalA、及びSOX2を含むことができる。別の実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、MMP9、AIF1、EpCAM、DDX3X、SALL4、MAGE A4、NY-ESO-1、CAGE、RalA、及びSOX2で構成され得る。
【0136】
いっそうさらなる実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、EpCAM、CAGE、SOX2、RalA、MAGE A4、DDX3X、及びNY-ESO-1を含むことができる。別の実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、EpCAM、CAGE、SOX2、RalA、MAGE A4、DDX3X、及びNY-ESO-1で構成され得る。
【0137】
いっそうさらなる実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、AIF1、CAGE、HSPD1、SOX2、SALL4、HSPA4、及びトランスフェリンを含むことができる。別の実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、AIF1、CAGE、HSPD1、SOX2、SALL4、HSPA4、及びトランスフェリンで構成され得る。
【0138】
具体的実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA4、トランスフェリン、HNRNP-L、HSPD1、HNRNP-A2、SALL4、サイクリンB1、AFP、NPM1、YWHAZ、DDX3X、p62、CAGE、MAGE A4、RalA、GBU4-5、SOX2、AKR1B10、アポA1、BCL2、CD44、CK18、CPS1、FUCA1、GLUL、HSPA2、IL-8、MDM2、PEBP1、プロラクチン、RGN、SPP1、SSX2、及びTGFB1を含むことができる。本発明によれば、このパネルはまた、MMP9、AIF1、EpCAM、又はCDKN1Bを含むこととなり、これらの腫瘍マーカー抗原の1、2、3、又は4種を含むことができる。これらの腫瘍マーカー抗原の2又は3種がパネルに含まれる実施態様では、2又は3種のこれらの抗原のすべての組み合わせが意図される。具体的実施態様では、パネルは、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bを含むことができる。例えば、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、MMP9、AIF1、EpCAM、CDKN1B、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA4、トランスフェリン、HNRNP-L、HSPD1、HNRNP-A2、SALL4、サイクリンB1、AFP、NPM1、YWHAZ、DDX3X、p62、CAGE、MAGE A4、RalA、GBU4-5、SOX2、AKR1B10、アポA1、BCL2、CD44、CK18、CPS1、FUCA1、GLUL、HSPA2、IL-8、MDM2、PEBP1、プロラクチン、RGN、SPP1、SSX2、及びTGFB1を含むことができる。或いは、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、MMP9、AIF1、EpCAM、CDKN1B、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA4、トランスフェリン、HNRNP-L、HSPD1、HNRNP-A2、SALL4、サイクリンB1、AFP、NPM1、YWHAZ、DDX3X、p62、CAGE、MAGE A4、RalA、GBU4-5、SOX2、AKR1B10、アポA1、BCL2、CD44、CK18、CPS1、FUCA1、GLUL、HSPA2、IL-8、MDM2、PEBP1、プロラクチン、RGN、SPP1、SSX2、及びTGFB1で構成され得る。
【0139】
具体的実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、CAGE、NY-ESO-1、MMP9、トランスフェリン、MAGE A4、RalA、HSPA4、SALL4、サイクリンB1、EpCAM、DDX3X、及びAIF1を含むことができる。別の実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、CAGE、NY-ESO-1、MMP9、トランスフェリン、MAGE A4、RalA、HSPA4、SALL4、サイクリンB1、EpCAM、DDX3X、及びAIF1で構成され得る。
【0140】
具体的実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、CAGE、NY-ESO-1、MMP9、トランスフェリン、MAGE A4、RalA、HSPA4、SALL4、サイクリンB1、EpCAM、DDX3X、AIF1、SOX2、及びAFPを含むことができる。別の実施態様では、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルは、CAGE、NY-ESO-1、MMP9、トランスフェリン、MAGE A4、RalA、HSPA4、SALL4、サイクリンB1、EpCAM、DDX3X、AIF1 SOX2、及びAFPで構成され得る。
【0141】
本発明のキットは、肝癌の検出に適切であり得る。
【0142】
ある種の実施態様では、キットは、肝癌の検出のためのものであり得る。
【0143】
本発明のキット内では、体液は、血漿、血清、全血、尿、汗、リンパ、大便、脳脊髄液、腹水、胸水、精液、痰、乳頭吸引液、術後漿液腫、唾液、羊水、涙、及び創部ドレナージ液からなる群から選択することができる。
【0144】
本発明は、以下の非限定的な実験例を参照して、さらに理解されることとなる。
【実施例】
【0145】
(実施例)
(実施例1-腫瘍関連タンパク質に対する自己抗体を測定するための一般プロトコル)
腫瘍マーカー抗原の試料は、WO 99/58978(その内容を参照により本明細書に組み込む)に記載された方法と類似の方法に従って、組換え体発現によって調製することができる。簡単に言うと、対象のマーカー抗原をコードするcDNAを、発現されたタンパク質の精製を助けるためのビオチンタグ及び6xヒスチジンタグをコードするように改変したpET21ベクター(Invitrogen社)にクローニングした。得られたクローンを、BL21(DE3)大腸菌(E.coli)中で増殖させ、続いてこの細菌を溶解した。発現した抗原を、製造業者のプロトコルに従って、ニッケルキレートアフィニティカラム(HiTrap、GE Healthcare社から市販品として入手できる)を介して回収した。発現したタンパク質の純度、特異性、及び収量を、SDS-PAGE、ウエスタンブロット、及びタンパク質アッセイによって評価し、その後、保管した。
【0146】
陰性対照タンパク質、VOLを、BL21(DE3)大腸菌を、空のpET21ベクター(すなわち腫瘍関連抗原をコードするcDNAを含まない)で形質転換することによって産生した。発現及び精製されたタンパク質は、組換え型の腫瘍関連抗原に見られる同じHis及びビオチンタグ配列を含み、残留する細菌夾雑物への非特異的な自己抗体結合に対する補正を可能にする。
【0147】
いくつかのマーカーcDNAのGenBank受託番号は、次の通りである:
AFP:NM_001134.1
AIF1:NM_001623.3
AKR1B10:NM_020299.4.
アポA1:NM_000039.1.
BCL2:NM_000633.2
CAGE:NM_182699
CALR:NM_004343.3
CD44:NM_001001389
CDKN1B:NM_004064.4
CK18:NM_000224
CPS1:NM_001875.4
CCNB1:NM_031966.2
サイクリンB1:NM_031966.2
DDX3X:NM_001356.3
EpCAM:NM_002354
FUCA1:NM_000147.4
GLUL:NM_001033044.2
HNRNP-A2:NM_002137.3
HNRNP-L:NM_001533.2
HSPA2:NM_021979.3.
HSPA4:NM_002154.3
HSPD1:NM_002156.4
IL8:NM_000584.3
MAGE A4:NM_001011548.1
MDM2:NM_002392.5
MMP9:NM_004994.2.
NPM1:NM_002520.6
NY-ESO-1:NM 001327
PEBP1:NM_002567.2
P62:NM_001007225.1
プロラクチン:NM_000948.5
RalA:NM_005402.2
RGN:NM_004683.5
SALL4:NM_020436.3.
SOX2:NM_003106
SPP1:NM_001040058.1
SSX2:NM_175698.1
TGFB1:NM_000660.5
トランスフェリン:NM_001063.3
ビメンチン:NM_003380.3
YWHAZ:NM_001135699.1
【0148】
抗原及びVOL(陰性対照)を、高リン酸結合緩衝液で適切な濃度に希釈し、次いで、2つの別のタンパク質濃度(ハイスループットアッセイ(HTPA)形式(
図2A)の場合のように)、又は片対数力価測定範囲(力価測定アッセイ形式(
図2B)の場合のように)を提供するために希釈した。自動リキッドハンドリングシステムを使用して、プレート配置(
図2A及び2B)に従って、Falconマイクロタイタープレートの列に50μl/ウェルで抗原希釈物を分配した。プレートをカバーし、18~22℃で18~24時間保管した。
【0149】
プレートを、200μl/ウェルの豚皮ゼラチン結合緩衝液(PSGBB、PBS+0.1%豚皮ゼラチン+0.05%アジ化ナトリウム)で1時間ブロックした。血清試料を解凍し、ボルテックス処理し、18~22℃のPSGBBで1/110希釈した。プレートを吸引し、ティッシュペーパー上で叩いて乾燥させた。それぞれの希釈した血清試料を、自動リキッドハンドリング装置を使用して、マイクロタイタープレートのすべてのウェルに、50μl/ウェルで分配した。プレートをカバーし、振盪しながら室温で1.5時間インキュベートした。
【0150】
洗浄ステップ:プレートを、自動プレートウォッシャーを使用して、PBS+0.1% tween 20中で3回洗浄し、次いで、ティッシュペーパー上で叩いて乾燥させた。
【0151】
西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ウサギ抗ヒト免疫グロブリン(Dako社、1/5,000(PSGBB中))を、マイクロタイタープレートのすべてのウェルに、50μl/ウェルで分配した。次いで、プレートを、振盪しながら室温で1時間インキュベートした。プレートを、先に記載した通りに洗浄した。
【0152】
各プレートに、あらかじめ調製したTMB基質を、50μl/ウェルで添加し、卓上で15分間インキュベートした。プレートを軽く叩いて混合した。各ウェルの光学密度を、標準の分光光度プレートリーダーを使用して、650nmで決定した。
【0153】
(実施例2-HTPAによる肝細胞癌(HCC)における自己抗体の検出)
次のデータは、HTPA形式を使用するHCCの検出における自己抗体アッセイのパネルの感度及び特異度を評価するための予備研究から得られた。この研究に含められる対象の臨床状態及び人口統計学的状態を、表1~4に与える。
【0154】
表1-実施例2に記載する研究に含められる患者の人口統計学的状態
【表1】
【0155】
表2-HCC患者に存在する原発腫瘍のサイズ
【表2】
【0156】
表3-TNMステージ分類を使用するHCC患者の腫瘍ステージ
【表3】
TNM=悪性腫瘍ステージ分類システムのTNM分類;N/A=利用可能ではない
【0157】
【0158】
アッセイは、表5に列挙した抗原を使用して、実施例1で与えられたプロトコルに従って行った。アッセイカットオフは、90%を超える個々のマーカー特異度を保ちながら最大のYoudenの値を与えるカットオフ値を選択することによって決定した。結果を表5に示す。いくつかのこれらの自己抗体マーカーが、HCCを有する患者において、良性肝疾患を有する患者又は健康な対照よりも高いレベルの陽性)を示すことが明らかであり、したがって、これらは、HCC患者を、悪性腫瘍のエビデンスを有しない患者から識別する能力を有することができる。
【0159】
さらに、AAbのパネルの測定は、HCC患者を、非癌性の肝疾患を有する患者から識別する能力を、いずれかの単一のAAb単独と比較して高めることが明らかである。パネル1及び2(表6及び10)は、様々な臨床的必要性を満たすためにある種の特性を最適にしながら同様の性能を達成するために、AAbの異なるセットを組み合わせることが可能となる方法を示す。パネル1(表6)は、すべての患者に有用なマーカーを含有する。パネル2(表10)の場合のように、性別によってパネルに含まれるマーカーを最適化することは、わずかな感度の低下を有するパネル1と比較して特異度を高める。これは、様々な臨床的必要性を満たすための異なるパネルを構築する能力を実証する。表7及び11は、それぞれのパネルが、HCCの有効な治療をもたらす重大な早期診断であるステージ1及び2の癌を有する患者を検出できることを示す。
【0160】
表5-各群における個々のAAbマーカーの陽性
【表5】
【0161】
(パネル1-全般的パネル)
パネル1は、NRI(Net Reclassification Improvement)を使用して形成し、腫瘍マーカー抗原EpCAM、AIF1、及びMMP9と共に、NY-ESO-1、HSPA4、ビメンチン、HNRNP-L、及びトランスフェリンを含有する。ここでは、所与のAAb濃度のいずれかが、実施例2に記載した通りに生じたそのカットオフよりも大きいならば、結果は陽性である。表6及び7は、実施例2に記載した試料セットにおけるパネルの性能を示す。
【0162】
【0163】
表7-TNMステージによるパネル1の性能
【表7】
【0164】
(パネル2-男性及び女性に対する個々のパネル)
パネル2は、実施例2に記載した試料セットを別々の性別群に分け、各群に対して別のNRIを実施することによって形成した。パネル2は、腫瘍マーカー抗原EpCAM、AIF1、及びMMP9と共に、HSPA4、CPS1、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA2、及びHNRNP-Lを含有する。患者が女性であり、かつHSPA4、AIF1、EpCAM、又はCPS1のいずれかが、実施例2に記載した通りに生じたカットオフよりも大きいならば、又は、患者が男性であり、かつNY-ESO-1、ビメンチン、EpCAM、HSPA2、HSPA4、又はHNRNP-Lのいずれかが、実施例2に記載した通りに生じたカットオフよりも大きいならば、結果は陽性である。表10及び11は、実施例2に記載した試料セットにおけるパネル2の性能を示す。
【0165】
【0166】
【0167】
表10-パネル2の性能及び構成-組み合わせ
【表10】
【0168】
表11-TNMステージによるパネル2の性能
【表11】
【0169】
(実施例3-HTPAによって測定される自己抗体と組み合わせたAFPの追加の測定)
市販品として入手できるELISA(Aviva Systems Biology社)を使用して、実施例2に記載した試料セットについて、血清試料中の循環αフェトプロテイン(AFP)を測定した。200ng/mlという一般に使用されるカットオフを適用して、陽性を評価した。表12は、実施例2に示したパネル1及び2にAFPを加えた結果を示す。これらの結果から、AAbパネルと組み合わせたAFPの性能が、AFP又はAAbパネル単独の性能よりも高いことが明らかである。
【0170】
表12-AFP単独、及び実施例2に記載したパネルに加えた場合の性能
【表12】
【0171】
(実施例4-力価測定アッセイによる肝細胞癌(HCC)における自己抗体の検出)
力価測定プレート形式(
図2B)を使用するHCCの検出における、自己抗体アッセイのパネルの感度及び特異度を評価するための研究から、次のデータを得た。この研究に含められる対象の臨床状態及び人口統計学的状態を、表13~16に与える。
【0172】
表13-実施例4に記載する研究に含められる患者の人口統計学的状態
【表13】
【0173】
表14-HCC患者に存在する原発腫瘍のサイズ
【表14】
【0174】
表15-TNMステージ分類を使用するHCC患者の腫瘍ステージ
【表15】
N/A=適用可能ではない
【0175】
表16-良性肝疾患患者に存在する肝疾患
【表16】
【0176】
アッセイは、表17に列挙した抗原を使用して、実施例1で与えられたプロトコルに従って行った。アッセイカットオフは、90%を超える個々のマーカー特異度を保ちながら最大のYoudenの値を与えるカットオフ値を選択することによって決定した。結果を表17に示す。これらの自己抗体マーカーのいくつかが、HCCを有する患者において、良性肝疾患を有する患者又は健康な対照よりも高いレベルの陽性を示すことが明らかであり、したがって、これらは、HCCを、悪性疾患のエビデンスを有しない患者から識別する能力を有することができる。実施例2に示した研究において癌/正常の識別を示すことが判明したAAbは、HCC患者を、非癌性肝疾患を有する患者(良性)及び健康な対照(正常)から識別する能力を示し続けている。さらに、パネルの測定はやはり、HCC患者を識別する能力を、いずれかの単一のマーカー単独と比較して高めることが明らかである。
【0177】
パネル3(表18)及びパネル4(表22)は、様々な臨床的必要性を満たすためにある種の特性を最適にしながら同様の性能を達成するために、マーカーの異なるセットを組み合わせることが可能となる方法を示す。パネル3が、すべての患者に使用可能なマーカーを含有するのに対し、パネル4は、感度を維持しながら特異度を高める、性別によって異なるマーカーを指定する(表20及び21)。これは、様々な臨床的必要性を満たすための異なるパネルを構築する能力を実証する。実施例のパネルはそれぞれ、ステージ1及び2の癌を有する患者を検出することができ、これは、HCCの早期診断、したがって有効な治療にとって重大である(表19及び23)。
【0178】
表17-各群における個々のAAbマーカーの陽性
【表17】
【0179】
(パネル3)
パネル3は、NRIを使用して形成し、腫瘍マーカー抗原EpCAM、AIF1、及びMMP9と共に、DDX3X、SALL4、MAGE A4、NY-ESO-1、CAGE、RalA、及びSOX2を含有する。ここでは、所与のAAb濃度のいずれかが、実施例4に記載した通りに生じたそのカットオフよりも大きいならば、結果は陽性である。表18及び19は、実施例4に記載した試料セットにおけるパネルの性能を示す。
【0180】
【0181】
表19-TNMステージによるパネル3の性能
【表19】
【0182】
(パネル4-男性及び女性に対する個々のパネル)
パネル4は、実施例2に記載した試料セットを別の性別群に分け、各群に対して別のNRIを実施することによって形成した。パネル4は、腫瘍マーカー抗原EpCAM及びAIF1と共に、CAGE、SOX2、RalA、MAGE A4、DDX3X、NY-ESO-1、HSPD1、SALL4、HSPA4、及びトランスフェリンを含有する。患者が女性であり、かつCAGE、HSPD1、SOX2、SALL4、AIF1、HSPA4、又はトランスフェリンのいずれかが、実施例4に記載した通りに生じたカットオフよりも大きいならば、又は、患者が男性であり、かつCAGE、SOX2、RalA、MAGE A4、DDX3X、NY-ESO-1、又はEpCAMのいずれかが、実施例4に記載した通りに生じたカットオフよりも大きいならば、結果は陽性である。表20及び21は、実施例4に記載した試料セットにおけるパネル4の性能を示す。
【0183】
表20-パネル4aの性能及び構成-男性
【表20】
【0184】
表21-パネル4bの性能及び構成-女性
【表21】
【0185】
表22-パネル4の性能及び構成-組み合わせ
【表22】
【0186】
表23-TNMステージによるパネル4の性能
【表23】
【0187】
(実施例5-力価測定アッセイによって測定される、自己抗体と組み合わせたAFPの追加の測定)
市販品として入手できるELISA(Aviva Systems Biology社)を使用して、実施例4に記載した試料セットについて、血清試料中の循環αフェトプロテイン(AFP)を測定した。200ng/mlという一般に使用されるカットオフを適用して、陽性を評価した。表24は、実施例4に示したパネル3及び4にAFPを加えた結果を示す。これらの結果から、AAbパネルと組み合わせたAFPの性能が、AFP又はAAbパネル単独の性能よりも高いことが明らかである。
【0188】
表24-AFP単独、及び実施例4に記載したパネルに加えた場合の性能
【表24】
【0189】
(実施例6-早期CDT-肝臓LDTの設計及び開発のための訓練(Training)研究)
力価測定プレート形式(
図2B)を使用するHCCの検出における、自己抗体アッセイのパネルの感度及び特異度を評価するための研究から、次のデータを得た。対象の人口統計学的状態及び良性コホート(先の実施例で使用したものとは異なるコホート)の肝硬変状態を、表25~26に与える。
【0190】
表25-実施例6で使用される患者コホートの人口統計学的状態
【表25】
【0191】
【0192】
アッセイは、表27に列挙した抗原を使用して、実施例1で与えられたプロトコルに従って行った。各マーカーについてのカットオフは、特異度を>85%に制限してMonte Carlo直接探索法を適用することによって決定した。結果を表27に示す。これらの自己抗体マーカーのいくつかが、HCCを有する患者において、良性又は正常なコホートよりも高いレベルの陽性)を示すことが明らかであり、したがって、これらは、HCCを、悪性疾患のエビデンスを有しない患者から識別する能力を有する。実施例2に示した研究において癌/正常の識別を示すことが判明したAAbは、HCC患者を、非癌性肝疾患を有する患者(良性)及び健康な対照(正常)から識別する能力を示し続けている。さらに、パネルの測定はやはり、HCC患者を識別する能力を、いずれかの単一のマーカー単独と比較して高めることが明らかである。このパネルは、ステージ1及び2の癌を有する患者を、40~45%の感度で検出することができ、これは、HCCの早期診断、したがって有効な治療にとって重大である(表28)。
【0193】
表27-各群における個々のAAbマーカーの陽性
【表27】
【0194】
表28-HCCコホートに対するステージによるAAbパネルの性能:ステージによる患者の数(n)及び生じた感度
【表28】
BCLC=バルセロナ臨床肝癌(Barcelona Clinic Liver Cancer)(BCLC)ステージ分類システム
【0195】
市販品として入手できるELISA(Monobind社)を使用して、実施例6に記載した試料セットについて、血清試料中の循環αフェトプロテイン(AFP)を測定した。200ng/mlという一般に使用されるカットオフを適用して、陽性を評価し、これを、表29におけるステージに分類した。AFP抗原感度は、このコホートに対するステージと共に向上し、初期段階疾患に対する感度は、後期段階疾患よりもかなり低かった。初期段階疾患に対する感度が、AFP抗原について、この実施例に関するAAbパネルと比較してかなり低いのに対して、後期段階の性能は同様であることも注目に値する。
【0196】
表29-HCCコホートに対するステージによるAFP抗原の性能:ステージによる患者の数(n)及び生じた感度
【表29】
【0197】
実施例6におけるHCCコホートに対する陽性及び感度は、AFP抗原をAAbパネル結果と組み合わせることによって高めることができ(表30)、初期段階疾患と後期段階疾患のどちらについても感度が改善される。これらの結果から、AAbパネルと組み合わせたAFPの性能が、AFP又はAAbパネル単独の性能(表31)よりも高いことが明らかである。AAbパネルをAFPと組み合わせることは、特異度に対する最小限の効果を有する。
【0198】
表30-HCCコホートに対するステージによるAAbパネル+AFP抗原の性能:ステージによる患者の数(n)及び生じた感度
【表30】
【0199】
表31-AFP単独、及び実施例6に記載したAAbパネルに加えた場合の性能
【表31】
本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
哺乳類対象からの体液を含む検査試料中の抗体(ここでは、該抗体は、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカータンパク質に対して免疫学的に特異的な自己抗体である)を検出することによって哺乳類対象における肝癌を検出する方法であって:
(a)該検査試料を、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原と接触させるステップと;
(b)腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体の有無を決定するステップと;
を含み、前記複合体の存在が、肝癌の存在を示すものである前記方法。
(態様2)
哺乳類対象からの体液を含む検査試料中の抗体(ここでは、該抗体は、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカータンパク質に対して免疫学的に特異的な自己抗体である)を検出する方法であって:
(a)該検査試料を、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原と接触させるステップと;
(b)腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体の有無を決定するステップと
を含む前記方法。
(態様3)
前記哺乳類対象が、肝癌を有する疑いがある、態様2記載の方法。
(態様4)
前記哺乳類対象が、αフェトプロテイン(AFP)、デス-γ-カルボキシプロトロンビン(DCP)、又はレクチン反応性αフェトプロテイン(AFP-L3)について検査で陽性と示されている、態様1又は態様3記載の方法。
(態様5)
前記哺乳類対象が、超音波サーベイランスを使用して肝癌について検査で陽性と示されている、態様1又は態様3記載の方法。
(態様6)
前記哺乳類対象が、肝硬変、非アルコール性脂肪性肝疾患、アルコール性肝疾患、ウィルソン病、遺伝性ヘモクロマトーシス、自己免疫性肝炎、B型肝炎、C型肝炎、確認されたアフラトキシン曝露、住血吸虫症、又は糖尿病を有する、態様1又は態様3記載の方法。
(態様7)
2種以上の自己抗体が検出される、態様1~6のいずれか1項記載の方法であって:
(a)前記検査試料を、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原、及び前記自己抗体の少なくとも1つに対して免疫学的に特異的な1種以上のさらなる腫瘍マーカー抗原を含む、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルと接触させるステップ
を含む前記方法。
(態様8)
前記パネルが、別々の抗原である2種以上の腫瘍マーカー抗原を含む、態様7記載の方法。
(態様9)
前記パネルが、1種以上の別々の抗原の2種以上の抗原変異体を含む、態様8記載の方法。
(態様10)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bを含む、態様7又は態様8記載の方法。
(態様11)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA4、トランスフェリン、HNRNP-L、HSPD1、HNRNP-A2、SALL4、サイクリンB1、AFP、NPM1、YWHAZ、DDX3X、p62、CAGE、MAGE A4、RalA、GBU4-5、SOX2、AKR1B10、
アポA1、BCL2、CD44、CK18、CPS1、FUCA1、GLUL、HSPA2、IL-8、MDM2、PEBP1、プロラクチン、RGN、SPP1、SSX2、及びTGFB1からなる群から選択される1種以上の腫瘍マーカー抗原を含む、態様7~9のいずれか1項記載の方法。
(態様12)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、CAGE、NY-ESO-1、MMP9、トランスフェリン、MAGE A4、RalA、HSPA4、SALL4、サイクリンB1、EpCAM、DDX3X、及びAIF1を含む、態様11記載の方法。
(態様13)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、CAGE、NY-ESO-1、MMP9、トランスフェリン、MAGE A4、RalA、HSPA4、SALL4、サイクリンB1、EpCAM、DDX3X、及びAIF1からなる、態様12記載の方法。
(態様14)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、CAGE、NY-ESO-1、MMP9、トランスフェリン、MAGE A4、RalA、HSPA4、SALL4、サイクリンB1、EpCAM、DDX3X、AIF1、SOX2、及びAFPを含む、態様11記載の方法。
(態様15)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、CAGE、NY-ESO-1、MMP9、トランスフェリン、MAGE A4、RalA、HSPA4、SALL4、サイクリンB1、EpCAM、DDX3X、AIF1、SOX2、及びAFPからなる、態様14記載の方法。
(態様16)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、MMP9、AIF1、EpCAM、NY-ESO-1、HSPA4、ビメンチン、HNRNP-L、及びトランスフェリンを含む、態様11記載の方法。
(態様17)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、MMP9、AIF1、EpCAM、NY-ESO-1、HSPA4、ビメンチン、HNRNP-L、及びトランスフェリンからなる、態様16記載の方法。
(態様18)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、AIF1、EpCAM、HSPA4、及びCPS1を含む、態様11記載の方法。
(態様19)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、AIF1、EpCAM、HSPA4、及びCPS1からなる、態様18記載の方法。
(態様20)
前記対象が、
雌性である、態様18又は態様19記載の方法。
(態様21)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、EpCAM、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA2、HSPA4、及びHNRNP-Lを含む、態様11記載の方法。
(態様22)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、EpCAM、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA2、HSPA4、及びHNRNP-Lからなる、態様21記載の方法。
(態様23)
前記対象が、
雄性である、態様21又は態様22記載の方法。
(態様24)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、MMP9、AIF1、EpCAM、DDX3X、SALL4、MAGE A4、NY-ESO-1、CAGE、RalA、及びSOX2を含む、態様11記載の方法。
(態様25)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、MMP9、AIF1、EpCAM、DDX3X、SALL4、MAGE A4、NY-ESO-1、CAGE、RalA、及びSOX2からなる、態様24記載の方法。
(態様26)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、EpCAM、CAGE、SOX2、RalA、MAGE A4、DDX3X、及びNY-ESO-1を含む、態様11記載の方法。
(態様27)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、EpCAM、CAGE、SOX2、RalA、MAGE A4、DDX3X、及びNY-ESO-1からなる、態様26記載の方法。
(態様28)
前記対象が、
雄性である、態様26又は態様27記載の方法。
(態様29)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、AIF1、CAGE、HSPD1、SOX2、SALL4、HSPA4、及びトランスフェリンを含む、態様11記載の方法。
(態様30)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、AIF1、CAGE、HSPD1、SOX2、SALL4、HSPA4、及びトランスフェリンからなる、態様29記載の方法。
(態様31)
前記対象が、
雌性である、態様29又は態様30記載の方法。
(態様32)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA4、トランスフェリン、HNRNP-L、HSPD1、HNRNP-A2、SALL4、サイクリンB1、AFP、NPM1、YWHAZ、DDX3X、p62、CAGE、MAGE A4、RalA、GBU4-5、SOX2、AKR1B10、アポA1、BCL2、CD44、CK18、CPS1、FUCA1、GLUL、HSPA2、IL-8、MDM2、PEBP1、プロラクチン、RGN、SPP1、SSX2、及びTGFB1を含む、態様11記載の方法。
(態様33)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、MMP9、AIF1、EpCAM、CDKN1B、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA4、トランスフェリン、HNRNP-L、HSPD1、HNRNP-A2、SALL4、サイクリンB1、AFP、NPM1、YWHAZ、DDX3X、p62、CAGE、MAGE A4、RalA、GBU4-5、SOX2、AKR1B10、アポA1、BCL2、CD44、CK18、CPS1、FUCA1、GLUL、HSPA2、IL-8、MDM2、PEBP1、プロラクチン、RGN、SPP1、SSX2、及びTGFB1を含む、態様32記載の方法。
(態様34)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、MMP9、AIF1、EpCAM、CDKN1B、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA4、トランスフェリン、HNRNP-L、HSPD1、HNRNP-A2、SALL4、サイクリンB1、AFP、NPM1、YWHAZ、DDX3X、p62、CAGE、MAGE A4、RalA、GBU4-5、SOX2、AKR1B10、アポA1、BCL2、CD44、CK18、CPS1、FUCA1、GLUL、HSPA2、IL-8、MDM2、PEBP1、プロラクチン、RGN、SPP1、SSX2、及びTGFB1からなる、態様33記載の方法。
(態様35)
(c)検査試料中に存在する腫瘍マーカー抗原と自己抗体との間の特異的結合の量を検出するステップ
(ここでは、前記自己抗体の有無は、観察される特異的結合の量と、あらかじめ決定されたカットオフ値との比較に基づく)
をさらに含む、態様1~34のいずれか1項記載の方法。
(態様36)
前記腫瘍マーカー抗原が、複数の異なる量で提供される、態様1~35のいずれか1項記載の方法であって:
(a)検査試料を、複数の異なる量の腫瘍マーカー抗原と接触させるステップと;
(b)腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体の有無を決定するステップと;
(c)腫瘍マーカー抗原と自己抗体との間の特異的結合の量を検出するステップと;
(d)ステップ(a)で使用された腫瘍マーカー抗原のそれぞれの量について、腫瘍マーカー抗原の量に対する特異的結合の量の曲線をプロット又は算出するステップと;
(e)使用される腫瘍マーカー抗原のそれぞれの異なる量での腫瘍マーカー抗原と自己抗体との間の特異的結合の量に基づいて、自己抗体の有無を決定するステップと
を含む前記方法。
(態様37)
前記自己抗体の有無が、使用される腫瘍マーカー抗原の量のすべてに対する特異的結合の量の集合的値に基づいて決定される、態様36記載の方法。
(態様38)
前記自己抗体の有無が、ステップ(d)のプロットを、用量反応曲線の存在についてスクリーニングすることによって決定される、態様36記載の方法。
(態様39)
前記用量反応曲線が、概ねS字型又はシグモイド曲線である、態様38記載の方法。
(態様40)
(d1)ステップ(c)においてプロット又は算出された曲線から、二次的曲線パラメータを算出するステップと;
(e)以下の組み合わせ:
(i)ステップ(b)において決定される、自己抗体と腫瘍マーカー抗原との間の特異的結合の量;及び
(ii)ステップ(d1)において決定される二次的曲線パラメータ
に基づいて自己抗体の有無を決定するステップと
をさらに含む、態様36~39のいずれか1項記載の方法。
(態様41)
前記二次的曲線パラメータが、傾き、切片、AUC、SlopeMax、及び解離定数(Kd)からなる群から選択される、態様40記載の方法。
(態様42)
前記二次的曲線パラメータが、線形又は対数回帰曲線から算出される、態様41記載の方法。
(態様43)
前記二次的曲線パラメータが、ステップ(c)においてプロット又は算出された各曲線に適合させたロジスティック曲線の最大漸近線、最小漸近線、Hill Slope(又は傾き係数)、又は変曲点である、態様40~42のいずれか1項記載の方法。
(態様44)
哺乳類対象からの体液を含む検査試料における、肝癌を患う
個体の抗体プロフィール(ここでは、該抗体は、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカータンパク質に対して免疫学的に特異的な自己抗体である)を決定するインビトロ方法であって:
a)該検査試料を、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原と接触させるステップと;
b)腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体の有無を決定するステップと
を含み、抗体産生のプロフィールを構築するために繰り返される前記方法。
(態様45)
哺乳類対象からの体液を含む検査試料中の抗体(ここでは、該抗体は、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカータンパク質に対して免疫学的に特異的な自己抗体である)を検出することによって、哺乳類対象における肝癌を診断及び治療する方法であって:
(a)該検査試料を、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原と接触させるステップと;
(b)腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体の有無を決定するステップと;
(c)腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体が検出される場合に、対象を肝癌と診断するステップと;
(d)診断された対象に肝癌治療を施すステップと
を含む前記方法。
(態様46)
哺乳類対象からの体液を含む検査試料中の抗体(ここでは、該抗体は、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカータンパク質に対して免疫学的に特異的な自己抗体である)を検出することを含む、抗肝癌治療に対する反応を予測する方法であって:
(a)該検査試料を、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原と接触させるステップと;
(b)腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体の有無を決定するステップと;
(c)腫瘍マーカー抗原と検査試料中に存在する自己抗体との間の特異的結合の量を検出するステップと;
(d)腫瘍マーカー抗原と自己抗体との間の特異的結合の量を、該結合の量と、起こる可能性が高い治療結果との間のあらかじめ立証された関係性と比較するステップと;
を含み、対照と比較した場合の該特異的結合の量の変化が、該患者が抗肝癌治療に反応することとなるかならないかということを予測する前記方法。
(態様47)
前記肝癌治療が、化学療法、ラジオ波焼灼療法、肝切除、肝移植、ワクチン接種、抗増殖因子又はシグナル伝達療法、内分泌療法、ヒト抗体療法、肝動脈化学塞栓療法、経皮的エタノール注入、マイクロ波アブレーション、ソラフェニブ投与、及び放射線塞栓療法からなる群から選択される、態様45又は態様46記載の方法。
(態様48)
2種以上の自己抗体が検出される、態様44~47のいずれか1項記載の方法であって:
(a)前記検査試料を、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原、及び前記自己抗体の少なくとも1つに対して免疫学的に特異的な1種以上のさらなる腫瘍マーカー抗原を含む2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルと接触させるステップ
を含む前記方法。
(態様49)
前記パネルが、別々の抗原である2種以上の腫瘍マーカー抗原を含む、態様48記載の方法。
(態様50)
前記パネルが、1種以上の別々の抗原の2種以上の抗原変異体を含む、態様49記載の方法。
(態様51)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bを含む、態様49記載の方法。
(態様52)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA4、トランスフェリン、HNRNP-L、HSPD1、HNRNP-A2、SALL4、サイクリンB1、AFP、NPM1、YWHAZ、DDX3X、p62、CAGE、MAGE A4、RalA、GBU4-5、SOX2、AKR1B10、アポA1、BCL2、CD44、CK18、CPS1、FUCA1、GLUL、HSPA2、IL-8、MDM2、PEBP1、プロラクチン、RGN、SPP1、SSX2、及びTGFB1からなる群から選択される1種以上の腫瘍マーカー抗原を含む、態様48~50のいずれか1項記載の方法。
(態様53)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、CAGE、NY-ESO-1、MMP9、トランスフェリン、MAGE A4、RalA、HSPA4、SALL4、サイクリンB1、EpCAM、DDX3X、及びAIF1を含む、態様52記載の方法。
(態様54)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、CAGE、NY-ESO-1、MMP9、トランスフェリン、MAGE A4、RalA、HSPA4、SALL4、サイクリンB1、EpCAM、DDX3X、及びAIF1からなる、態様53記載の方法。
(態様55)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、CAGE、NY-ESO-1、MMP9、トランスフェリン、MAGE A4、RalA、HSPA4、SALL4、サイクリンB1、EpCAM、DDX3X、AIF1、SOX2、及びAFPを含む、態様52記載の方法。
(態様56)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、CAGE、NY-ESO-1、MMP9、トランスフェリン、MAGE A4、RalA、HSPA4、SALL4、サイクリンB1、EpCAM、DDX3X、AIF1、SOX2、及びAFPからなる、態様55記載の方法。
(態様57)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、MMP9、AIF1、EpCAM、NY-ESO-1、HSPA4、ビメンチン、HNRNP-L、及びトランスフェリンを含む、態様52記載の方法。
(態様58)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、MMP9、AIF1、EpCAM、NY-ESO-1、HSPA4、ビメンチン、HNRNP-L、及びトランスフェリンからなる、態様57記載の方法。
(態様59)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、AIF1、EpCAM、HSPA4、及びCPS1を含む、態様52記載の方法。
(態様60)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、AIF1、EpCAM、HSPA4、及びCPS1からなる、態様59記載の方法。
(態様61)
前記対象が、
雌性である、態様59又は態様60記載の方法。
(態様62)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、EpCAM、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA2、HSPA4、及びHNRNP-Lを含む、態様52記載の方法。
(態様63)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、EpCAM、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA2、HSPA4、及びHNRNP-Lからなる、態様62記載の方法。
(態様64)
前記対象が、
雄性である、態様62又は態様63記載の方法。
(態様65)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、MMP9、AIF1、EpCAM、DDX3X、SALL4、MAGE A4、NY-ESO-1、CAGE、RalA、及びSOX2を含む、態様52記載の方法。
(態様66)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、MMP9、AIF1、EpCAM、DDX3X、SALL4、MAGE A4、NY-ESO-1、CAGE、RalA、及びSOX2からなる、態様65記載の方法。
(態様67)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、EpCAM、CAGE、SOX2、RalA、MAGE A4、DDX3X、及びNY-ESO-1を含む、態様52記載の方法。
(態様68)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、EpCAM、CAGE、SOX2、RalA、MAGE A4、DDX3X、及びNY-ESO-1からなる、態様67記載の方法。
(態様69)
前記対象が、
雄性である、態様67又は態様68記載の方法。
(態様70)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、AIF1、CAGE、HSPD1、SOX2、SALL4、HSPA4、及びトランスフェリンを含む、態様52記載の方法。
(態様71)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、AIF1、CAGE、HSPD1、SOX2、SALL4、HSPA4、及びトランスフェリンからなる、態様70記載の方法。
(態様72)
前記対象が、
雌性である、態様70又は態様71記載の方法。
(態様73)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA4、トランスフェリン、HNRNP-L、HSPD1、HNRNP-A2、SALL4、サイクリンB1、AFP、NPM1、YWHAZ、DDX3X、p62、CAGE、MAGE A4、RalA、GBU4-5、SOX2、AKR1B10、アポA1、BCL2、CD44、CK18、CPS1、FUCA1、GLUL、HSPA2、IL-8、MDM2、PEBP1、プロラクチン、RGN、SPP1、SSX2、及びTGFB1を含む、態様52記載の方法。
(態様74)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、MMP9、AIF1、EpCAM、CDKN1B、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA4、トランスフェリン、HNRNP-L、HSPD1、HNRNP-A2、SALL4、サイクリンB1、AFP、NPM1、YWHAZ、DDX3X、p62、CAGE、MAGE A4、RalA、GBU4-5、SOX2、AKR1B10、アポA1、BCL2、CD44、CK18、CPS1、FUCA1、GLUL、HSPA2、IL-8、MDM2、PEBP1、プロラクチン、RGN、SPP1、SSX2、及びTGFB1を含む、態様73記載の方法。
(態様75)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、MMP9、AIF1、EpCAM、CDKN1B、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA4、トランスフェリン、HNRNP-L、HSPD1、HNRNP-A2、SALL4、サイクリンB1、AFP、NPM1、YWHAZ、DDX3X、p62、CAGE、MAGE A4、RalA、GBU4-5、SOX2、AKR1B10、アポA1、BCL2、CD44、CK18、CPS1、FUCA1、GLUL、HSPA2、IL-8、MDM2、PEBP1、プロラクチン、RGN、SPP1、SSX2、及びTGFB1からなる、態様74記載の方法。
(態様76)
前記腫瘍マーカー抗原が、複数の異なる量で提供される、態様48~75のいずれか1項記載の方法であって:
(a)検査試料を、複数の異なる量の腫瘍マーカー抗原と接触させるステップと;
(b)腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体の有無を決定するステップと;
(c)腫瘍マーカー抗原と自己抗体との間の特異的結合の量を検出するステップと;
(d)ステップ(a)で使用された腫瘍マーカー抗原の量について、腫瘍マーカー抗原の量に対する特異的結合の量の曲線をプロット又は算出するステップと;
(e)使用される腫瘍マーカー抗原のそれぞれの異なる量での腫瘍マーカー抗原と自己抗体との間の特異的結合の量に基づいて、抗体産生のプロフィールを構築する又は対象を肝癌と診断するステップと;任意選択で
(f)診断された対象に肝癌治療を施すステップと
を含む前記方法。
(態様77)
前記肝癌の有無が、使用される腫瘍マーカー抗原の量のすべてに対する特異的結合の量の集合的値に基づいて決定される、態様76記載の方法。
(態様78)
前記対象が、ステップ(d)のプロットを用量反応曲線の存在についてスクリーニングすることによって、肝癌と診断される、態様77記載の方法。
(態様79)
前記用量反応曲線が、概ねS字型又はシグモイド曲線である、態様78記載の方法。
(態様80)
(d1)ステップ(d)においてプロット又は算出された曲線から、二次的曲線パラメータを算出するステップと
(e)以下の組み合わせ:
(i)ステップ(c)において決定される、自己抗体と腫瘍マーカー抗原との間の特異的結合の量;及び
(ii)ステップ(d1)において決定される二次的曲線パラメータ
に基づいて肝癌を診断するステップと
をさらに含む、態様76~79のいずれか1項記載の方法。
(態様81)
前記二次的曲線パラメータが、傾き、切片、AUC、SlopeMax、及び解離定数(Kd)からなる群から選択される、態様80記載の方法。
(態様82)
前記二次的曲線パラメータが、線形又は対数回帰曲線から算出される、態様81記載の方法。
(態様83)
前記二次的曲線パラメータが、ステップ(d)においてプロット又は算出された各曲線に適合させたロジスティック曲線の最大漸近線、最小漸近線、Hill Slope(又は傾き係数)、又は変曲点である、態様80~82のいずれか1項記載の方法。
(態様84)
前記腫瘍マーカー抗原が、天然に存在するタンパク質若しくはポリペプチド、組換えタンパク質若しくはポリペプチド、合成のタンパク質若しくはポリペプチド、合成のペプチド、ペプチド模倣体、多糖、又は核酸である、態様1~83のいずれか1項記載の方法。
(態様85)
前記肝癌が、肝細胞癌(HCC)である、態様1及び3~75のいずれか1項記載の方法。
(態様86)
前記体液が、血漿、血清、全血、尿、汗、リンパ、大便、脳脊髄液、腹水、胸水、精液、痰、乳頭吸引液、術後漿液腫、唾液、羊水、涙、及び創部ドレナージ液からなる群から選択される、態様1~85のいずれか1項記載の方法。
(態様87)
前記方法が、哺乳類対象からの体液を含む検査試料中のαフェトプロテイン(AFP)、デス-γ-カルボキシプロトロンビン(DCP)、又はレクチン反応性αフェトプロテイン(AFP-L3)を検出することをさらに含む、態様1~86のいずれか1項記載の方法。
(態様88)
前記方法が、哺乳類対象からの体液を含む検査試料中のαフェトプロテイン(AFP)を検出することを含む、態様87記載の方法。
(態様89)
前記腫瘍マーカータンパク質CAGE、NY-ESO-1、MMP9、トランスフェリン、MAGE A4、RalA、HSPA4、SALL4、サイクリンB1、EpCAM、DDX3X、及びAIF1に対して免疫学的に特異的な自己抗体が、哺乳類対象からの体液を含む検査試料中で検出される、態様88記載の方法。
(態様90)
前記腫瘍マーカータンパク質CAGE、NY-ESO-1、MMP9、トランスフェリン、MAGE A4、RalA、HSPA4、SALL4、サイクリンB1、EpCAM、DDX3X、AIF1、SOX2、及びAFPに対して免疫学的に特異的な自己抗体が、哺乳類対象からの体液を含む検査試料中で検出される、態様88記載の方法。
(態様91)
前記体液が、血液である、態様87~90のいずれか1項記載の方法。
(態様92)
哺乳類対象からの体液を含む検査試料中のMMP9、AIF1、EpCAM、又はCDKN1Bに対して免疫学的に特異的な自己抗体を検出することによって哺乳類対象における肝癌を検出する方法であって:
(a)該検査試料を、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原と接触させるステップと;
(b)腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体の有無を決定するステップと
を含み、前記複合体の存在が、肝癌の存在を示すものである前記方法における、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原の使用。
(態様93)
(a)1種以上の腫瘍マーカー抗原と;
(b)該腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体を検出することが可能な試薬と
を含む、態様1~92のいずれか1項記載の方法を実施するのに適したキット。
(態様94)
(a)MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bからなる群から選択される腫瘍マーカー抗原と;
(b)該腫瘍マーカー抗原が検査試料中に存在する自己抗体に結合した複合体を検出することが可能な試薬と
を含む、哺乳類対象からの体液を含む検査試料中の自己抗体の検出のためのキット。
(態様95)
(c)前記腫瘍マーカー抗原を、哺乳類対象からの体液を含む検査試料と接触させるための手段
をさらに含む、態様93又は態様94記載の方法。
(態様96)
前記腫瘍マーカー抗原を、哺乳類対象からの体液を含む検査試料と接触させるための手段が、チップ、スライド、プレート、マイクロタイタープレートのウェル、ビーズ、膜、又はナノ粒子上に固定された腫瘍マーカー抗原を含む、態様95記載のキット。
(態様97)
前記腫瘍マーカー抗原が、2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネル内に存在する、態様93~96のいずれか1項記載のキット
(態様98)
前記パネルが、別々の抗原である2種以上の腫瘍マーカー抗原を含む、態様97記載のキット。
(態様99)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、MMP9、AIF1、EpCAM、及びCDKN1Bを含む、態様97又は態様98記載のキット。
(態様100)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA4、トランスフェリン、HNRNP-L、HSPD1、HNRNP-A2、SALL4、サイクリンB1、AFP、NPM1、YWHAZ、DDX3X、p62、CAGE、MAGE A4、RalA、GBU4-5、SOX2、AKR1B10、アポA1、BCL2、CD44、CK18、CPS1、FUCA1、GLUL、HSPA2、IL-8、MDM2、PEBP1、プロラクチン、RGN、SPP1、SSX2、及びTGFB1からなる群から選択される1種以上の腫瘍マーカー抗原を含む、態様97~99のいずれか1項記載のキット。
(態様101)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、CAGE、NY-ESO-1、MMP9、トランスフェリン、MAGE A4、RalA、HSPA4、SALL4、サイクリンB1、EpCAM、DDX3X、及びAIF1を含む、態様100記載のキット。
(態様102)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、CAGE、NY-ESO-1、MMP9、トランスフェリン、MAGE A4、RalA、HSPA4、SALL4、サイクリンB1、EpCAM、DDX3X、及びAIF1からなる、態様101記載のキット。
(態様103)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、CAGE、NY-ESO-1、MMP9、トランスフェリン、MAGE A4、RalA、HSPA4、SALL4、サイクリンB1、EpCAM、DDX3X、AIF1、SOX2、及びAFPを含む、態様100記載のキット。
(態様104)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、CAGE、NY-ESO-1、MMP9、トランスフェリン、MAGE A4、RalA、HSPA4、SALL4、サイクリンB1、EpCAM、DDX3X、AIF1、SOX2、及びAFPからなる、態様103記載のキット。
(態様105)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、MMP9、AIF1、EpCAM、NY-ESO-1、HSPA4、ビメンチン、HNRNP-L、及びトランスフェリンを含む、態様100記載のキット。
(態様106)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、MMP9、AIF1、EpCAM、NY-ESO-1、HSPA4、ビメンチン、HNRNP-L、及びトランスフェリンからなる、態様105記載のキット。
(態様107)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、AIF1、EpCAM、HSPA4、及びCPS1を含む、態様100記載のキット。
(態様108)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、AIF1、EpCAM、HSPA4、及びCPS1からなる、態様107記載のキット。
(態様109)
前記対象が、
雌性である、態様107又は態様108記載のキット。
(態様110)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、EpCAM、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA2、HSPA4、及びHNRNP-Lを含む、態様100記載のキット。
(態様111)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、EpCAM、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA2、HSPA4、及びHNRNP-Lからなる、態様110記載のキット。
(態様112)
前記対象が、
雄性である、態様110又は態様111記載のキット。
(態様113)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、MMP9、AIF1、EpCAM、DDX3X、SALL4、MAGE A4、NY-ESO-1、CAGE、RalA、及びSOX2を含む、態様100記載のキット。
(態様114)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、MMP9、AIF1、EpCAM、DDX3X、SALL4、MAGE A4、NY-ESO-1、CAGE、RalA、及びSOX2からなる、態様113記載のキット。
(態様115)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、EpCAM、CAGE、SOX2、RalA、MAGE A4、DDX3X、及びNY-ESO-1を含む、態様100記載のキット。
(態様116)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、EpCAM、CAGE、SOX2、RalA、MAGE A4、DDX3X、及びNY-ESO-1からなる、態様115記載のキット。
(態様117)
前記対象が、
雄性である、態様115又は態様116記載のキット。
(態様118)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、AIF1、CAGE、HSPD1、SOX2、SALL4、HSPA4、及びトランスフェリンを含む、態様100記載のキット。
(態様119)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、AIF1、CAGE、HSPD1、SOX2、SALL4、HSPA4、及びトランスフェリンからなる、態様118記載のキット。
(態様120)
前記対象が、
雌性である、態様118又は態様119記載のキット。
(態様121)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA4、トランスフェリン、HNRNP-L、HSPD1、HNRNP-A2、SALL4、サイクリンB1、AFP、NPM1、YWHAZ、DDX3X、p62、CAGE、MAGE A4、RalA、GBU4-5、SOX2、AKR1B10、アポA1、BCL2、CD44、CK18、CPS1、FUCA1、GLUL、HSPA2、IL-8、MDM2、PEBP1、プロラクチン、RGN、SPP1、SSX2、及びTGFB1を含む、態様100記載のキット。
(態様122)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、MMP9、AIF1、EpCAM、CDKN1B、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA4、トランスフェリン、HNRNP-L、HSPD1、HNRNP-A2、SALL4、サイクリンB1、AFP、NPM1、YWHAZ、DDX3X、p62、CAGE、MAGE A4、RalA、GBU4-5、SOX2、AKR1B10、アポA1、BCL2、CD44、CK18、CPS1、FUCA1、GLUL、HSPA2、IL-8、MDM2、PEBP1、プロラクチン、RGN、SPP1、SSX2、及びTGFB1を含む、態様121記載のキット。
(態様123)
前記2種以上の腫瘍マーカー抗原のパネルが、MMP9、AIF1、EpCAM、CDKN1B、NY-ESO-1、ビメンチン、HSPA4、トランスフェリン、HNRNP-L、HSPD1、HNRNP-A2、SALL4、サイクリンB1、AFP、NPM1、YWHAZ、DDX3X、p62、CAGE、MAGE A4、RalA、GBU4-5、SOX2、AKR1B10、アポA1、BCL2、CD44、CK18、CPS1、FUCA1、GLUL、HSPA2、IL-8、MDM2、PEBP1、プロラクチン、RGN、SPP1、SSX2、及びTGFB1からなる、態様122記載のキット。
(態様124)
肝癌の検出のための、態様93~123のいずれか1項記載のキット。
(態様125)
前記体液が、血漿、血清、全血、尿、汗、リンパ、大便、脳脊髄液、腹水、胸水、精液、痰、乳頭吸引液、術後漿液腫、唾液、羊水、涙、及び創部ドレナージ液からなる群から選択される、態様93~124のいずれか1項記載のキット。