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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】毛髪処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/898 20060101AFI20230323BHJP
   A61K 8/24 20060101ALI20230323BHJP
   A61K 8/362 20060101ALI20230323BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20230323BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20230323BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20230323BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
A61K8/898
A61K8/24
A61K8/362
A61K8/365
A61K8/41
A61Q5/00
A61Q5/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020109487
(22)【出願日】2020-06-25
(65)【公開番号】P2021004239
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2021-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2019118586
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】岡部 寛子
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-035434(JP,A)
【文献】特開2002-241236(JP,A)
【文献】特開2020-066575(JP,A)
【文献】ID 6252145,Mintel GNPD [online],2019年01月,[retrieved on 2020.08.12], Retrieved from the Internet: <URL: https://portal.mintel.com>
【文献】ID 6281789,Mintel GNPD [online],2019年01月,[retrieved on 2020.08.12], Retrieved from the Internet: <URL: https://portal.mintel.com>
【文献】ID 6414845,Mintel GNPD [online],2019年03月,[retrieved on 2020.08.12], Retrieved from the Internet: <URL: https://portal.mintel.com>
【文献】ID 6252141,Mintel GNPD [online],2019年01月,[retrieved on 2020.08.12], Retrieved from the Internet: <URL: https://portal.mintel.com>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程1及び2を含む毛髪処理方法。
(工程1) 毛髪に染毛剤組成物を適用し、染毛する工程
(工程2) 工程1に引き続き、工程1で染毛処理された毛髪に、下記成分(A)、(B)及び(C)を含有し、pHが4以下又は8以上である毛髪処理剤を適用する工程
(A) ポリシリコーン-29
(B) 水
(C) pH調整剤
ただし、毛髪処理剤のpHが4以下である場合、成分(C)は(C1)リン酸、ヒドロキシ酸及びジカルボン酸からなる群より選択される1種又は2種以上であり、毛髪処理剤のpHが8以上である場合、成分(C)は(C2)アルカノールアミンより選択される1種又は2種以上である。
【請求項2】
毛髪処理剤中における成分(A)に対する成分(C)の質量比(C)/(A)が0.05以上15以下である請求項1に記載の毛髪処理方法。
【請求項3】
工程2において、電磁放射線を供給するための装置を用いて電磁放射線に暴露する工程、及び毛髪を機械的に成形する工程のいずれも含まない、請求項1又は2に記載の毛髪処理方法。
【請求項4】
染毛剤組成物と、下記成分(A)、(B)及び(C)を含有し、pHが4以下又は8以上である、前記染毛剤組成物による染毛工程に引き続いて使用するための毛髪処理剤とを含む、毛髪処理用キット。
(A) ポリシリコーン-29
(B) 水
(C) pH調整剤
ただし、毛髪処理剤のpHが4以下である場合、成分(C)は(C1)リン酸、ヒドロキシ酸及びジカルボン酸からなる群より選択される1種又は2種以上であり、毛髪処理剤のpHが8以上である場合、成分(C)は(C2)アルカノールアミンより選択される1種又は2種以上である。
【請求項5】
下記成分(A)、(B)及び(C)を含有し、pHが4以下又は8以上である、染毛処理に引き続いて使用するための染毛後処理剤。
(A) ポリシリコーン-29
(B) 水
(C) pH調整剤
ただし、染毛後処理剤のpHが4以下である場合、成分(C)は(C1)リン酸、ヒドロキシ酸及びジカルボン酸からなる群より選択される1種又は2種以上であり、染毛後処理剤のpHが8以上である場合、成分(C)は(C2)アルカノールアミンより選択される1種又は2種以上である。
【請求項6】
染毛処理後の毛髪に対し、染毛処理に引き続いて工程2を行う染毛色の彩度向上方法。
(工程2) 染毛処理後の毛髪に、下記成分(A)、(B)及び(C)を含有し、pHが4以下又は8以上である毛髪処理剤を適用する工程
(A) ポリシリコーン-29
(B) 水
(C) pH調整剤
ただし、毛髪処理剤のpHが4以下である場合、成分(C)は(C1)リン酸、ヒドロキシ酸及びジカルボン酸からなる群より選択される1種又は2種以上であり、毛髪処理剤のpHが8以上である場合、成分(C)は(C2)アルカノールアミンより選択される1種又は2種以上である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛の後に行う毛髪処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ヘアカラー、パーマ等の化学施術に加え、若年層の女性を中心に習慣化してきているヘアアイロン、ドライヤー等の熱を利用したヘアセットなどにより、特に毛先部分におけるダメージが深刻化している。これら複合的なヘアケア習慣によってダメージが蓄積した毛髪においては、ツヤ、まとまり、色の深みといった健康な髪に見られる外観上の特性の劣化が引き起こされ、消費者の悩みとなっている。さらに、そのようなダメージが蓄積した毛髪に染毛を行った際には、染毛色がくすみやすく、染毛色本来の鮮やかさが失われてしまうことがあった。
【0003】
このため、ダメージが蓄積した毛髪の外観上の劣化を修復する技術がいくつか提案されている。例えば、特許文献1には、特定のカチオン性ポリマーと特定のアニオン性ポリマーを含有する、傷んだ毛髪の感触及び外観を健康毛のように改善させる毛髪化粧料が開示されている。特許文献2には、分子中にアミノ基又は四級アンモニウム基を有する水不溶性シリコーンを可溶化状態で含む水性シャンプーで洗髪した後、高級アルコールとカチオン界面活性剤を一定比率で含有する水性コンディショナーで処理することで毛髪の彩度を高めることが開示されている。特許文献3には、特定の植物セラム画分の組合せを含む組成物を含有する、毛髪の外観の豊かさ及び濃さを増大させ、白髪の外観を減らすヘアケア組成物が開示されている。また、特許文献4には、有機カルボン酸とフェノキシエタノールと特定の有機溶剤とを含有する、ダメージを受けた毛髪にツヤと鮮やかさを付与する毛髪化粧料が、特許文献5には、ダメージを受けた毛髪の重量を2~30重量%増加させる成分を有効成分とする毛髪透明性向上剤が開示されている。
【0004】
一方、特許文献6には、特定のオキシラン又はオキセタン化合物と特定のアミノシラン化合物との反応産物(エポキシアミノシランコポリマー)を含有するパーソナルケア組成物によって、傷んだ髪の疎水性を回復させ、コンディショニング効果を付与することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-104706号公報
【文献】特開2006-206585号公報
【文献】特表2015-502406号公報
【文献】特開2004-35434号公報
【文献】特開2001-220322号公報
【文献】特表2011-503059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、毛髪の感触やツヤを向上する効果は得られるが、毛髪の色の鮮やかさを向上することはできない。特許文献2に記載の技術は、毛髪の彩度を高め、鮮やかさを向上させることはできるが、単回使用での鮮やかさの向上やシャンプー等による洗浄堅牢性が十分とはいえなかった。特許文献3に記載の技術は、頭皮に生理的に作用して新しく生えてくる毛髪の状態を変えることで毛髪の外観を向上する技術であり、効果を発揮するまでには相応の時間を要することが問題であった。特許文献4及び5に記載の技術は、毛髪内部に空洞が発生するほどの激しいダメージを受けた毛髪に対して効果を示すものであり、空洞が見られない毛髪に対しては効果が得られないものであった。また、特許文献6に記載の技術は、毛髪に対して堅牢な疎水性皮膜を形成し、ダメージが蓄積した毛髪に優れたコンディショニング効果を付与するものであるが、染毛後の毛髪に適用することで、染毛色の鮮やかさを向上させることについては開示されていない。
【0007】
したがって本発明は、染毛後の毛髪に適用することで、簡単に即時的に染毛色の鮮やかさを向上させることができる毛髪処理方法及び当該方法に用いる毛髪処理剤に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、染毛処理後の毛髪を、特定のオキシラン又はオキセタン化合物と特定のアミノシラン化合物との反応産物(エポキシアミノシランコポリマー)を含有し、特定の酸性pH又は塩基性pHを有する毛髪化粧料で処理することによって、染色後の毛髪の色の鮮やかさを向上させることができ、かつ、繰り返しの洗髪によってもその効果が損なわれることなく持続することを見出し、本発明を完成した。
【0009】
本発明は、以下の工程1及び2を含む毛髪処理方法を提供するものである。
(工程1) 毛髪に染毛剤組成物を適用し、染毛する工程
(工程2) 工程1で染毛処理された毛髪に、下記成分(A)、(B)及び(C)を含有し、pHが4以下又は8以上である毛髪処理剤を適用する工程を提供するものである。
(A) 以下の化合物(a)~(d)の反応産物であるエポキシアミノシランコポリマー
(a) 少なくとも二つのオキシラニル基又はオキセタニル基を有するポリシロキサン
(b) 少なくとも二つのオキシラニル基又はオキセタニル基を有するポリエーテル
(c) アミノプロピルトリアルコキシシラン
(d) 以下の第一級及び第二級アミンからなる群より選択される化合物
・第一級アミン:メチルアミン、エチルアミン、プロピレンアミン、エタノールアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ヘキシルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン、アニリン、アミノプロピルトリメチルシラン、アミノプロピルトリエチルシラン、アミノモルホリン、アミノプロピルジエチルアミン、ベンジルアミン、ナフチルアミン、3-アミノ-9-エチルカルバゾール、1-アミノヘプタフロロヘキサン、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ペンタデカフルオロ-1-オクタンアミン
・第二級アミン:メチルエチルアミン、メチルオクタデシルアミン、ジエタノールアミン、ジベンジルアミン、ジヘキシルアミンジシクロヘキシルアミン、ピペリジン、ピロリジンフタルイミド、ポリマーアミン
(B) 水
(C) pH調整剤
【0010】
また本発明は、染毛剤組成物と、前記毛髪処理剤とを含む毛髪処理用キットを提供するものである。
【0011】
また本発明は、前記成分(A)、(B)及び(C)を含有し、pHが4以下又は8以上である染毛後処理剤を提供するものである。
【0012】
さらに本発明は、染毛処理後の毛髪に対し、前記工程2を行う染毛色の彩度向上方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の毛髪処理方法によって、染色後の毛髪の色の鮮やかさを向上させることができ、かつ、繰り返しの洗髪によってもその効果が持続する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
●工程1
工程1は、毛髪に染毛剤組成物を適用して染毛する工程である。
染毛剤組成物としては、特に限定されるものではなく、直接染料を含有するカラートリートメント、ヘアマニキュア等の半永久染毛料;アルカリ剤及び酸化染料前駆体を含有する第1剤並びに酸化剤を含有する第2剤からなる酸化染毛剤、鉄イオンとフェノールの反応により発色させる非酸化染毛剤等の永久染毛剤;顔料及び皮膜剤を含有するヘアマスカラ、ヘアファンデーション、ヘアカラースプレー等の一時染毛料など、いかなるタイプの染毛剤組成物を用いることもできる。また、その形態もクリーム状、液状、泡状等、いずれでもよい。
染色後の毛髪の色の鮮やかさをより向上させやすい観点から、工程1においては毛髪が皮膜剤等で被覆される一時染毛料よりも毛髪内を染毛することが可能な半永久染毛料又は永久染毛剤を毛髪に適用して染毛することが好ましく、永久染毛剤を適用して染毛することがより好ましい。
【0015】
また、染毛方法にも制限はなく、通常の方法に従って、染毛剤組成物を毛髪に適用すればよい。必要に応じ、所定時間放置後、水ですすぎ流し、適宜シャンプーで洗浄、すすぎ等してもよい。その後は適宜タオルドライを行って余分な水分を除いた後、乾燥せずに工程2に進んでもよく、またドライヤー乾燥又は自然乾燥した後、工程2に進んでもよい。工程2において毛髪処理剤の毛髪へのなじみを向上させ、均一塗布性を良好にする観点から、濡れ髪の状態にした毛髪に対し工程2を行うことが好ましい。
【0016】
なお、本発明において濡れ髪とは、適度に水分を含ませた状態の毛髪をいい、例えば、流水ですすいだ後、適宜タオルドライを行って余分な水分を除いた毛髪が該当する。濡れ髪の水分量としては、工程2において毛髪処理剤の毛髪へのなじみを向上させ、均一塗布性を良好にする観点から、毛髪1gに対して、好ましくは0.2g以上、より好ましくは0.25g以上、更に好ましくは0.3g以上であり、また、好ましくは1g以下、より好ましくは0.8g以下、更に好ましくは0.5g以下、更に好ましくは0.4g以下である。
濡れ髪の水分量は、濡れ髪の質量から毛髪の乾燥時の質量(以下、乾燥質量と記す)の差分から算出することができる。毛髪の乾燥質量は、恒温恒湿室(温度25℃、湿度60%RH)に毛髪を吊るした状態で24時間放置した状態の毛髪の質量とする。
【0017】
●工程2
工程2は、工程1で染毛処理された毛髪に、以下に示す毛髪処理剤による毛髪処理を行う工程である。これにより、工程1の染毛処理によって得られる染毛色を、より色鮮やかなものとし、かつ、それを持続することができる。工程2は、工程1に引き続いて(すなわち工程1の直後に)行ってもよく、また、工程1の後、染毛色が残っている期間であればある程度の期間(例えば、数時間~数週間)が経過した後に行ってもよい。染毛色をより色鮮やかなものとし、かつ、それを持続させる観点から、工程1に引き続いて工程2を行うことが好ましい。
【0018】
工程1で染毛された毛髪に適用する毛髪処理剤の量は、毛髪への均一塗布性を向上させ、染毛色の鮮やかさを向上させる観点から、毛髪の乾燥質量に対する浴比(毛髪化粧料の質量/毛髪の乾燥質量)で、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.005以上、更に好ましくは0.01以上であり、また好ましくは100以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは1以下である。
【0019】
毛髪処理剤の毛髪への適用は、例えば、櫛、ブラシ又は手指を用いて実施することができ、毛髪全体に適用しても、部分的に適用してもよい。
【0020】
毛髪処理剤を毛髪に適用した後、洗い流しても、洗い流さずに乾燥させてもよいが、毛髪に適用後、洗い流さずに乾燥させることが、染毛色の色鮮やかさをより発揮させるうえで好ましい。乾燥は、染毛色の色鮮やかさを発現させつつ、処理時間を短くする観点から、毛髪処理剤を毛髪に適用した後、好ましくは10分以下、より好ましくは5分以下、更に好ましくは5分未満、更に好ましくは2分未満、更に好ましくは1分以下の時間放置した後、更に好ましくは毛髪に適用した直後に実施され得る。
【0021】
毛髪処理剤を適用した毛髪を乾燥させる場合、処理時間を短くし、毛髪へのダメージを抑制し、染毛色の色鮮やかさをより発揮させる観点から、40℃を超える温度で乾燥することが好ましく、45℃以上220℃以下で乾燥することがより好ましい。乾燥工程において、毛髪に熱を加える以外に、毛髪に空気の流れをあてる、髪を櫛、ブラシ又は手指で梳くなどの物理的作用を加えてもよい。乾燥工程は、フード(hood)ドライヤー、ヘアドライヤー、ヘアアイロン、クリマゾン(Climazon)等を用いて実施され得る。乾燥工程がフードドライヤー又はヘアドライヤーにより実施される場合、乾燥温度は40℃以上110℃以下が好ましく、50℃以上90℃以下がより好ましい。また、乾燥工程がヘアアイロンにより実施される場合、乾燥温度は、110℃以上220℃以下が好ましく、140℃以上200℃以下がより好ましい。
【0022】
なお、成分(A)のエポキシアミノシランコポリマーは、毛髪に適用後の乾燥過程で自己架橋するため、架橋のための電磁放射線は必要としない。したがって、工程2においては、処理の簡略化のため、毛髪処理剤を適用した毛髪を、電磁放射線を供給するための装置を用いて電磁放射線に暴露する工程を含まないことが好ましい。また、本発明は、毛髪の成形ではなく、染毛後の毛髪の色の鮮やかさを即時的に向上させることを課題とするものであるので、工程2においては、処理の簡略化のため、毛髪を機械的に成形する工程を含まないことが好ましい。
【0023】
以下に、本発明の毛髪処理方法で使用する毛髪処理剤の詳細を説明する。
【0024】
〔成分(A):エポキシアミノシランコポリマー〕
成分(A)のエポキシアミノシランコポリマーは、以下に示す化合物(a)~(d)の反応産物である。
【0025】
<化合物(a)、(b)>
化合物(a)は、少なくとも二つのオキシラニル基又はオキセタニル基を含有するポリシロキサンであり、例えば、次の一般式(1)で表されるものが挙げられる。
【0026】
【化1】
【0027】
〔式中、Rは末端にオキシラニル基又はオキセタニル基を有する、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1~6の炭化水素基を示し、xは1~1000の数を示す。〕
【0028】
化合物(b)は、少なくとも二つのオキシラニル基又はオキセタニル基を含有するポリエーテルであり、例えば、次の一般式(2)で表されるものが挙げられる。
【0029】
【化2】
【0030】
〔式中、Rは前記と同じ意味を示し、yは1~100、zは0~100であってy+zが1~200となる数を示す。〕
【0031】
一般式(1)及び(2)において、Rが含んでもよいヘテロ原子としては酸素原子が好ましい。Rとしてはオキシラニルメチル基(グリシジル基)、オキシラニルメトキシ基(グリシジルオキシ基)、オキシラニルメトキシプロピル基(グリシジルオキシプロピル基)、オキセタニルメチル基、オキセタニルメトキシ基、オキセタニルメトキシプロピル基、3-エチルオキセタニルメチル基等が挙げられ、なかでも、オキシラニル基を有する、ヘテロ酸素原子を含んでもよい炭素数1~4の炭化水素基が好ましく、オキシラニルメチル基(グリシジル基)、オキシラニルメトキシ基(グリシジルオキシ基)、オキシラニルメトキシプロピル基(グリシジルオキシプロピル基)から選ばれる少なくとも1種が更に好ましい。
【0032】
<化合物(c)>
化合物(c)は、アミノプロピルトリアルコキシシランである。化合物(c)におけるアルコキシ基としては、炭素数1~6のものが挙げられ、炭素数2~4のもの、更には炭素数3のものが好ましく、なかでもイソプロポキシ基が好ましい。化合物(c)としては、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリプロポキシシラン、アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、アミノプロピルトリブトキシシラン、アミノプロピルトリtert-ブトキシシランが挙げられ、なかでもアミノプロピルトリイソプロポキシシランが好ましい。化合物(c)は、いずれかを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0033】
<化合物(d)>
化合物(d)は、以下の第一級及び第二級アミンからなる群より選択される化合物である。
・第一級アミン:メチルアミン、エチルアミン、プロピレンアミン、エタノールアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ヘキシルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン、アニリン、アミノプロピルトリメチルシラン、アミノプロピルトリエチルシラン、アミノモルホリン、アミノエチルジメチルアミン、アミノエチルジエチルアミン、アミノエチルジブチルアミン、アミノプロピルジメチルアミン、アミノプロピルジエチルアミン、アミノプロピルジブチルアミン、ベンジルアミン、ナフチルアミン、3-アミノ-9-エチルカルバゾール、1-アミノヘプタフロロヘキサン、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ペンタデカフルオロ-1-オクタンアミン
・第二級アミン:メチルエチルアミン、メチルオクタデシルアミン、ジエタノールアミン、ジベンジルアミン、ジヘキシルアミンジシクロヘキシルアミン、ピペリジン、ピロリジンフタルイミド、ポリマーアミン
【0034】
これらのうち、第一級アミンが好ましく、アミノプロピルジエチルアミン、アミノプロピルジメチルアミン、アミノプロピルジブチルアミンから選ばれる1種が更に好ましい。化合物(d)は、いずれかを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0035】
化合物(a)~(d)の反応は、例えば、イソプロパノール等の溶媒中で一定時間還流することによって行われる。ここで、化合物(a)及び(b)のオキシラニル基又はオキセタニル基の化合物(c)のアミノ基に対するモル比は、好ましくは1以上、より好ましくは1.1以上、更に好ましくは1.2以上であり、また、好ましくは4以下、より好ましくは3.9以下、更に好ましくは3.8以下である。
【0036】
成分(A)としては、ポリシリコーン-29のINCI名を有するものが挙げられ、その市販品の例としては、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社のSilsoft CLX-E(有効分15質量%、ジプロピレングリコール及び水を含む)が挙げられる。
【0037】
毛髪処理剤中における成分(A)の含有量は、毛髪の色の鮮やかさと、その耐洗髪性を向上する観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1.5以下である。毛髪処理剤中における成分(A)の含有量の具体的範囲は、上記観点から、好ましくは0.1~5質量%、より好ましくは0.2~3質量%、更に好ましくは0.5~2質量%、更に好ましくは0.8~1.5質量%である。
【0038】
〔成分(B):水〕
毛髪処理剤中における成分(B)の水の含有量は、毛髪への塗布を容易にする観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、また、塗布後の毛髪の乾燥を容易にする観点から、好ましくは99質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。毛髪処理剤中における成分(B)の含有量は、上記観点から、好ましくは10~99質量%、より好ましくは15~85質量%、更に好ましくは20~80質量%である。
【0039】
〔pH〕
毛髪処理剤のpHは、成分(A)のトリアルコキシシラン部の反応速度を高め、毛髪の色の鮮やかさと、その耐洗髪性を向上する観点から、酸性領域又は塩基性領域に調整される。
【0040】
毛髪処理剤を酸性領域とする場合、そのpHは、酸性領域において成分(A)のトリアルコキシシラン部の反応速度を高め、毛髪の色の鮮やかさと、その耐洗髪性を向上する観点から、4.0以下であって、好ましくは3.8以下、より好ましくは3.5以下であり、また、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは2.0以上、更に好ましくは2.5以上である。毛髪処理剤を酸性領域とする場合のpHの具体的範囲は、上記観点から、好ましくは1.0~4.0、より好ましくは1.5~3.8、更に好ましくは2.0~3.5、更に好ましくは2.5~3.5である。
なお、pHは25℃における測定値であり、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
【0041】
一方、毛髪処理剤を塩基性領域とする場合、そのpHは、塩基性領域において成分(A)のトリアルコキシシラン部の反応速度を高め、毛髪の色の鮮やかさと、その耐洗髪性を向上する観点から、8.0以上であって、好ましくは8.5以上であり、また、好ましくは12以下、より好ましくは11以下、更に好ましくは10以下である。毛髪処理剤を塩基性領域とする場合のpHの具体的範囲は、上記観点から、好ましくは8.0~12、より好ましくは8.0~11、更に好ましくは8.5~10である。
【0042】
〔成分(C):pH調整剤〕
毛髪処理剤には、そのpHを酸性領域又は塩基性領域に調整するため、成分(C)としてpH調整剤を含有する。
毛髪処理剤中における成分(C)の含有量は、毛髪の色の鮮やかさと、その耐洗髪性を向上する観点から、好ましくは0.05質量%以上、また、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。毛髪処理剤中における成分(C)の含有量の具体的範囲は、上記観点から、好ましくは0.05~15質量%、より好ましくは0.05~10質量%である。
【0043】
毛髪処理剤のpHが4以下である場合、成分(C)としては下記成分(C1)を含有することが好ましい。
(C1) リン酸及び有機酸からなる群より選択される1種又は2種以上
有機酸としては、炭素数10以下の有機酸が好ましく、アルキルリン酸、アルキルスルホン酸、アルキル硫酸等の炭素数10以下の短鎖アルキル基を有する酸;L-グルタミン酸、L-アスパラギン酸等の酸性アミノ酸;ピログルタミン酸;安息香酸、p-トルエンスルホン酸等の芳香族酸;グリコール酸、乳酸、グリセリン酸等のモノヒドロキシカルボン酸、リンゴ酸、酒石酸等のヒドロキシジカルボン酸、クエン酸等のヒドロキシトリカルボン酸などのヒドロキシ酸;シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸等のジカルボン酸が挙げられる。成分(C1)としては、毛髪の色の鮮やかさと、その耐洗髪性を向上する観点から、リン酸、ヒドロキシ酸及びジカルボン酸から選択される1種又は2種以上が好ましく、リン酸、炭素数2~8の脂肪族のα-ヒドロキシ酸及び炭素数2~8の脂肪族のジカルボン酸から選択される1種又は2種以上がより好ましく、炭素数2~8の脂肪族α-ヒドロキシ酸が更に好ましい。これらのなかでもリン酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸及びクエン酸から選択される1種又は2種以上が好ましく、乳酸、リンゴ酸及びクエン酸から選択される1種又は2種以上がより好ましい。
【0044】
毛髪処理剤中における成分(C1)の含有量は、毛髪の色の鮮やかさと、その耐洗髪性を向上する観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。毛髪処理剤中における成分(C1)の含有量の具体的範囲は、上記観点から、好ましくは0.05~15質量%、より好ましくは0.05~10質量%、更に好ましくは0.1~10質量%、更に好ましくは0.2~8質量%、更に好ましくは0.5~5質量%、更に好ましくは0.5~3質量%である。
【0045】
毛髪処理剤のpHが8以上である場合、成分(C)としては下記成分(C2)を含有することが好ましい。
(C2) アンモニア、アルカノールアミン、ケイ酸塩、リン酸塩、炭酸塩及びホウ酸塩からなる群より選択される1種又は2種以上
アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、2-アミノブタノール、トリスヒドロキシメチルアミノメタン等が挙げられ、ケイ酸塩としては、オルソ珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、セスキ珪酸ナトリウム等が挙げられ、リン酸塩としては、リン酸三ナトリウム等が挙げられ、炭酸塩としては、炭酸二ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸二カリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられ、ホウ酸塩としてはホウ酸ナトリウム等が挙げられる。これらの塩としては、アンモニア、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選択される1種又は2種以上が用いることができる。成分(C2)としては、毛髪の色の鮮やかさと、その耐洗髪性を向上する観点から、アンモニア、アルカノールアミン及び炭酸塩からなる群より選択される1種又は2種以上が好ましく、アンモニア及びアルカノールアミンから選択される1種又は2種以上がより好ましく、アルカノールアミンが更に好ましい。これらのなかでもモノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール及びトリスヒドロキシメチルアミノメタンから選択される1種又は2種以上が好ましく、モノエタノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール及びトリスヒドロキシメチルアミノメタンから選択される1種又は2種以上がより好ましい。
【0046】
毛髪処理剤中における成分(C2)の含有量は、毛髪の色の鮮やかさと、その耐洗髪性を向上する観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.15質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは0.8質量%以下である。毛髪処理剤中における成分(C2)の含有量の具体的範囲は、上記観点から、好ましくは0.05~10質量%、より好ましくは0.05~8質量%、更に好ましくは0.05~5質量%、更に好ましくは0.1~3質量%、更に好ましくは0.15~1.5質量%、更に好ましくは0.15~0.8質量%である。
【0047】
成分(A)に対する成分(C)の質量比(C)/(A)は、毛髪の色の鮮やかさと、その耐洗髪性を向上する観点から、好ましくは0.05以上であり、また、好ましくは15以下、より好ましくは10以下である。質量比(C)/(A)の具体的範囲は、上記観点から、好ましくは0.05~15、より好ましくは0.05~10である。
【0048】
毛髪処理剤のpHが4以下である場合、質量比(C1)/(A)は、上記の観点から、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.15以上、更に好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.5以上であり、また、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは8以下、更に好ましくは7以下、更に好ましくは5以下、更に好ましくは3以下である。質量比(C1)/(A)の具体的範囲は、上記観点から、好ましくは0.05~15、より好ましくは0.05~10、更に好ましくは0.1~10、更に好ましくは0.1~8、更に好ましくは0.15~7、更に好ましくは0.2~7、更に好ましくは0.5~7、更に好ましくは0.5~5、更に好ましくは0.5~3である。
【0049】
また、毛髪処理剤のpHが8以上である場合、質量比(C2)/(A)は、上記の観点から、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.15以上であり、また、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは5以下、更に好ましくは3以下、更に好ましくは1.5以下、更に好ましくは0.8質以下である。質量比(C2)/(A)の具体的範囲は、上記観点から、好ましくは0.05~10、より好ましくは0.05~8、更に好ましくは0.05~5、更に好ましくは0.1~3、更に好ましくは0.15~1.5、更に好ましくは0.15~0.8である。
【0050】
〔成分(D):有機溶剤〕
毛髪処理剤には、成分(D)として有機溶剤を含有させることができる。有機溶剤としては、毛髪の色の鮮やかさを向上する観点から、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール等の低級アルカノール;メチルプロパンジオール、ペンチレングリコール、へキシレングリコ―ル、オクタンジオール、デカンジオール、トリエチレングリコール等の多価アルコール;ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、フェネチルアルコール、p-アニシルアルコール、p-メチルベンジルアルコール、フェノキシエタノール、2-ベンジルオキシエタノール、フェニルプロパノール等の芳香族アルコール;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチルヘキシルグリセリルエーテル等のエーテルアルコール;ジメチルエーテル等のアルキルエーテル;N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、N-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン等のN-アルキルピロリドン;γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、γ-クロトノラクトン、γ-ブチロラクトン等の環状エステル;リンゴ酸ジイソステアリル、乳酸オクチルドデシル、乳酸エチル、乳酸ブチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリカプロイン、2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリチル等の非環状エステル挙げられる。なかでも、毛髪の色の鮮やかさと、その耐洗髪性を向上する観点から、炭素数1~4の直鎖アルコール、芳香族アルコールが好ましく、エタノール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、フェネチルアルコールがより好ましく、エタノールが更に好ましい。
【0051】
成分(D)は、いずれかを単独で又は2以上を組み合わせて使用することができる。毛髪処理剤中における成分(D)の含有量は、毛髪の色の鮮やかさと、その耐洗髪性を向上する観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは4質量%以上、更に好ましくは8質量%以上であり、また、好ましくは45質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。毛髪処理剤中における成分(D)の含有量の具体的範囲は、上記観点から、好ましくは1~45質量%、より好ましくは4~35質量%、更に好ましくは8~30質量%である。
【0052】
〔成分(E):水溶性増粘ポリマー〕
毛髪処理剤には、水溶性増粘ポリマーを含有させてもよい。水溶性増粘ポリマーとしては、アニオン性増粘ポリマー、カチオン性増粘ポリマー、ノニオン性増粘ポリマー等が挙げられる。
【0053】
アニオン性増粘ポリマーの具体例としては、ポリアクリル酸(Noveon社:カーボポール941、同981)、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(Noveon社:カーボポールETD2020)、低級アルキルビニルエ―テル/無水マレイン酸共重合体の末端不飽和ジエン化合物による部分架橋ポリマーの加水分解物又はそのモノアルキルエステル(ASHLAND社:スタビリーゼ06、同QM)、カラギーナン(例えば、三菱レーヨン社:ソアギーナLX22、同ML210)、キサンタンガム(例えば、大日本住友製薬社:エコーガムT)、ウェランガム(例えば、三晶社:K1C376、K1A96)、ヒドロキシプロピルキサンタンガム(例えば、大日本住友製薬社:ラボールガムEX)、テアロキシPGヒドロキシエチルセルローススルホン酸ナトリウム、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー(例えば、セピック社:シマルゲルNS,セピノブEMT10)等が挙げられる。
【0054】
カチオン性増粘ポリマーとしては、天然又は半合成のカチオン性多糖類、ポリマー鎖の側鎖にアミノ基若しくはアンモニウム基を含むか、又はジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含む合成系ポリマー等が挙げられる。
【0055】
カチオン性多糖類の具体例としては、カチオン化セルロース誘導体(例えば、ライオン社:レオガードG、同GP,ダウケミカル社:ユーケア ポリマーJR-125、同JR-400、同JR-30M、同LR-400、同LR-30M,アクゾノーベル社:セルコートH-100、同L-200)、カチオン化グアーガム誘導体(例えば、ソルベイ社:ジャガーC-13S、同C-17,DSP五協フード&ケミカル社:ラボールガムCG-M、同CG-M7、同CG-M8M)、ヒドロキシプロピルキトサン(例えば、一丸ファルコス社:キトフィルマーHV-10)、キトサン・dl-ピロリドンカルボン酸塩(例えば、ユニオン・カーバイド社:カイトマーPC)等が挙げられる。
【0056】
ポリマー鎖の側鎖にアミノ基又はアンモニウム基を含む合成系カチオン性ポリマーとしては、トリアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、トリアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、ビニルアミン等を構成単位として含む合成系カチオン性ポリマーが挙げられ、具体例としては、(アクリル酸/アクリル酸メチル/3-メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)コポリマー(INCI名:ポリクオタニウム-47、例えばルーブリゾール社:マーコート2201)、(アクリル酸/アクリルアミド/メチルメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)コポリマー(INCI名:ポリクオタニウム-53、例えばルーブリゾール社:マーコート2003)、(ジメチルアクリルアミド/メタクリル酸エチルトリモニウムクロリド)コポリマー(例えば、BASF社:Tinobis CD)、(ビニルアミン/ビニルアルコール)コポリマー(例えば、積水スペシャリティケミカル社:SEVOL ULTALUX AD、三菱化学社:Diafix C-601)等が挙げられる。
【0057】
ジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含む合成系カチオン性ポリマーの具体例としては、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドの重合体(INCI名:ポリクオタニウム-6、例えばルーブリゾール社:マーコート100)、(ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリルアミド)コポリマー(INCIポリクオタニウム-7、例えばルーブリゾール社:マーコート550、同740)、(アクリル酸/ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)コポリマー(INCI名:ポリクオタニウム-22、例えばルーブリゾール社:マーコート280、同295)、(アクリルアミド/アクリル酸/ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)コポリマー(INCI名:ポリクオタニウム-39、例えばルーブリゾール社:マーコートプラス3330、同3331)等が挙げられる。
【0058】
ノニオン性の増粘ポリマーとしては、天然又は半合成のノニオン性多糖類、ビニルアルコール又はオキシアルキレンを構成単位として含む合成系ノニオン性ポリマー等が挙げられる。
【0059】
天然又は半合成のノニオン性多糖類の具体例としては、デンプン、グアーガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン等の水溶性天然多糖類;セルロース、デンプン、グアーガム、ローカストビーンガム等にアルキレンオキサイドを反応させてなる水溶性ヒドロキシアルキル化多糖類等が挙げられる。具体例としては、グアーガム(例えば、DSP五協フード&ケミカル:ファイバロンS)、プルラン(例えば、林原社:プルランPI-20)等が挙げられる。ヒドロキシエチルセルロース(例えば、ダイセルファインケム社:SE-850,ダウケミカル社:セロサイズHEC QP-52000-H)、メチルヒドロキシエチルセルロース(アクゾノーベル社:STRUCTURE CELL 12000M)、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、日本曹達社:HPC-H、同HPC-M、同HPC-L)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、信越化学工業社:メトローズ60SH-10000)等が挙げられる。
【0060】
ビニルアルコール又はオキシアルキレンを構成単位として含む合成系ノニオン性増粘ポリマーの具体例としては、ポリビニルアルコール(例えば、日本合成化学社:ゴーセノールEG-40、同GH-05、同KH-20、同NH-26)、高重合度ポリエチレングリコール(例えばダウケミカル社:ポリオックスWSR N-60K、同WSR301、WSR303)、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー(例えば、ADEKA社:アデカノールGT-700)等が挙げられる。
【0061】
これらの水溶性増粘ポリマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。毛髪処理剤中における水溶性増粘ポリマーの含有量は、毛髪の色の鮮やかさを向上させ、その耐洗髪性を向上させる観点から、好ましくは0.8質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.2質量%以下であり、また、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。毛髪処理剤中における水溶性増粘ポリマーの含有量の具体的範囲は、上記観点から、好ましくは0~0.8質量%、より好ましくは0.01~0.8質量%、更に好ましくは0.01~0.5質量%、更に好ましくは0.05~0.2質量%である。
【0062】
〔任意成分〕
その他、毛髪処理剤には、以上の成分のほか、通常毛髪化粧料に配合される成分を適宜含有させることができる。例えば、抗フケ剤;ビタミン剤;殺菌剤;抗炎症剤;防腐剤;キレート剤;保湿剤;染料、顔料等の着色剤;エキス類;パール化剤;香料;紫外線吸収剤;酸化防止剤;光触媒;シアバター;ローズ水;ヒマワリ油;オレンジ油;ユーカリ油等が挙げられる。
【0063】
〔剤型等〕
毛髪処理剤の剤型は、例えば、液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、ムース状、エアゾールなどの形態にすることができるが、液状、ゲル状、ペースト状、ムース状、エアゾールであることが好ましい。なお、エアゾールとする場合、ここまでに述べた各成分の含有量、毛髪処理剤のpHは、噴射剤を含まない原液中の含有量、原液のpHである。
【0064】
●毛髪処理用キット
本発明には、前述の毛髪処理剤と染毛剤組成物とを組み合わせてなる毛髪処理用キットの態様も含まれる。
染毛剤組成物としては、前述の工程1で使用される染毛剤組成物と同様、直接染料を含有する一剤式染毛剤組成物、アルカリ剤及び酸化染料前駆体を含有する第1剤並びに酸化剤を含有する第2剤からなる二剤式染毛剤組成物等、いかなるタイプの染毛剤組成物を用いることもできる。また、その形態もクリーム状、液状、泡状等、いずれでもよい。
染色後の毛髪の色の鮮やかさをより向上させやすい観点から、染毛剤組成物としては、毛髪が皮膜剤等で被覆される一時染毛料よりも毛髪内を染毛することが可能な半永久染毛料又は永久染毛剤が好ましく、永久染毛剤がより好ましい。
【0065】
●染毛後処理剤、染毛色の彩度向上方法
本発明には、前述の毛髪処理剤の染毛後処理剤としての態様、及び染毛処理後の毛髪に対して前述の工程2を行う染毛色の彩度向上方法の態様も含まれる。これらの態様における好ましい染毛処理は、前述と同様である。
これらの場合、染毛後処理剤の処理の対象、あるいは染毛色の彩度向上方法における工程2を行う対象は、染毛処理された毛髪であればよく、染毛処理直後の染色毛に限られない。すなわち、染毛後処理剤による後処理、あるいは染毛色の彩度向上方法における工程2は、前記工程1の染毛処理に引き続いて行っても、染毛処理後ある程度の時間(例えば数時間~数週間)が経過した後に行ってもよい。工程2は、毛髪処理剤の毛髪へのなじみを向上させ、均一塗布性を良好にする観点から、事前に適宜シャンプーで洗浄、すすぎ等を行い、濡れ髪の状態にした毛髪に対して行うことが好ましい。なかでも、染毛色をより色鮮やかなものとし、かつ、それを持続させる観点から、前記工程1の染毛処理に引き続いて、工程2を行うことが好ましい。
【0066】
以上述べた実施形態に関し、以下に本発明の好ましい態様を更に開示する。
【0067】
<1>
以下の工程1及び2を含む毛髪処理方法。
(工程1) 毛髪に染毛剤組成物を適用し、染毛する工程
(工程2) 工程1で染毛処理された毛髪に、下記成分(A)、(B)及び(C)を含有し、pHが4以下又は8以上である毛髪処理剤を適用する工程
(A) 以下の化合物(a)~(d)の反応産物であるエポキシアミノシランコポリマー
(a) 少なくとも二つのオキシラニル基又はオキセタニル基を有するポリシロキサン
(b) 少なくとも二つのオキシラニル基又はオキセタニル基を有するポリエーテル
(c) アミノプロピルトリアルコキシシラン
(d) 以下の第一級及び第二級アミンからなる群より選択される化合物
・第一級アミン:メチルアミン、エチルアミン、プロピレンアミン、エタノールアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ヘキシルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン、アニリン、アミノプロピルトリメチルシラン、アミノプロピルトリエチルシラン、アミノモルホリン、アミノプロピルジエチルアミン、ベンジルアミン、ナフチルアミン、3-アミノ-9-エチルカルバゾール、1-アミノヘプタフロロヘキサン、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ペンタデカフルオロ-1-オクタンアミン
・第二級アミン:メチルエチルアミン、メチルオクタデシルアミン、ジエタノールアミン、ジベンジルアミン、ジヘキシルアミンジシクロヘキシルアミン、ピペリジン、ピロリジンフタルイミド、ポリマーアミン
(B) 水
(C) pH調整剤
【0068】
<2>
以下の工程1及び2を含む毛髪処理方法。
(工程1) 毛髪に染毛剤組成物を適用し、染毛する工程
(工程2) 工程1に引き続き、染毛処理後の毛髪に、下記成分(A)、(B)及び(C)を含有し、pHが4以下又は8以上である毛髪処理剤を適用する工程
(A) 以下の化合物(a)~(d)の反応産物であるエポキシアミノシランコポリマー
(a) 少なくとも二つのオキシラニル基又はオキセタニル基を有するポリシロキサン
(b) 少なくとも二つのオキシラニル基又はオキセタニル基を有するポリエーテル
(c) アミノプロピルトリアルコキシシラン
(d) 以下の第一級及び第二級アミンからなる群より選択される化合物
・第一級アミン:メチルアミン、エチルアミン、プロピレンアミン、エタノールアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ヘキシルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン、アニリン、アミノプロピルトリメチルシラン、アミノプロピルトリエチルシラン、アミノモルホリン、アミノプロピルジエチルアミン、ベンジルアミン、ナフチルアミン、3-アミノ-9-エチルカルバゾール、1-アミノヘプタフロロヘキサン、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ペンタデカフルオロ-1-オクタンアミン
・第二級アミン:メチルエチルアミン、メチルオクタデシルアミン、ジエタノールアミン、ジベンジルアミン、ジヘキシルアミンジシクロヘキシルアミン、ピペリジン、ピロリジンフタルイミド、ポリマーアミン
【0069】
<3>
好ましくは、化合物(a)が次の一般式(1)で表される化合物である<1>又は<2>に記載の毛髪処理方法。
【0070】
【化3】
【0071】
〔式中、Rは末端にオキシラニル基又はオキセタニル基を有する、ヘテロ酸素原子を含んでもよい炭素数1~6の炭化水素基を示し、xは1~1000の数を示す。〕
【0072】
<4>
好ましくは、化合物(b)が次の一般式(2)で表される化合物である<1>~<3>のいずれか1項に記載の毛髪処理方法。
【0073】
【化4】
【0074】
〔式中、Rは前記と同じ意味を示し、yは1~100、zは0~100であってy+zが1~200となる数を示す。〕
【0075】
<5>
Rが、好ましくはオキシラニルメチル基(グリシジル基)、オキシラニルメトキシ基(グリシジルオキシ基)、オキシラニルメトキシプロピル基(グリシジルオキシプロピル基)、オキセタニルメチル基、オキセタニルメトキシ基、オキセタニルメトキシプロピル基及び3-エチルオキセタニルメチル基から選ばれる少なくとも1種、より好ましくはオキシラニルメチル基(グリシジル基)、オキシラニルメトキシ基(グリシジルオキシ基)、オキシラニルメトキシプロピル基(グリシジルオキシプロピル基)から選ばれる少なくとも1種である<1>~<4>のいずれか1項に記載の毛髪処理方法。
【0076】
<6>
化合物(c)におけるアルコキシ基が、好ましくは炭素数1~6のもの、より好ましくは炭素数2~4のもの、更に好ましくは炭素数3のもの、更に好ましくはイソプロポキシ基である<1>~<5>のいずれか1項に記載の毛髪処理方法。
【0077】
<7>
化合物(c)が、好ましくはアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリプロポキシシラン、アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、アミノプロピルトリブトキシシラン及びアミノプロピルトリtert-ブトキシシランから選ばれ、より好ましくはアミノプロピルトリイソプロポキシシランである<1>~<6>のいずれか1項に記載の毛髪処理方法。
【0078】
<8>
化合物(d)が、好ましくは第一級アミン、より好ましくはアミノプロピルジエチルアミン、アミノプロピルジメチルアミン及びアミノプロピルジブチルアミンから選ばれる1種である<1>~<7>のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【0079】
<9>
好ましくは、成分(A)が、ポリシリコーン-29である<1>~<8>のいずれか1項に記載の毛髪処理方法。
【0080】
<10>
好ましくは、成分(A)に対する成分(C)の質量比(C)/(A)が、0.05~15である<1>~<9>のいずれか1項に記載の毛髪処理方法。
【0081】
<11>
毛髪処理剤のpHが4以下であって、好ましくは、成分(C)として(C1)リン酸及び有機酸からなる群より選択される1種又は2種以上を含有する<1>~<10>のいずれか1項に記載の毛髪処理方法。
【0082】
<12>
成分(C1)が、好ましくはリン酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸及びクエン酸から選択される1種又は2種以上、より好ましくは乳酸、リンゴ酸及びクエン酸から選択される1種又は2種以上である<11>に記載の毛髪処理方法。
【0083】
<13>
成分(A)に対する成分(C1)の質量比(C1)/(A)が、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.5以上であり、また、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは8以下、更に好ましくは5以下、更に好ましくは3以下である<11>又は<12>に記載の毛髪処理方法。
【0084】
<14>
毛髪処理剤のpHが8以上であって、好ましくは、成分(C)として(C2)アンモニア、アルカノールアミン、ケイ酸塩、リン酸塩、炭酸塩及びホウ酸塩からなる群より選択される1種又は2種以上を含有する<1>~<10>のいずれか1項に記載の毛髪処理方法。
【0085】
<15>
成分(C2)が、好ましくはアンモニア、アルカノールアミン及び炭酸塩からなる群より選択される1種又は2種以上、より好ましくはアンモニア及びアルカノールアミンから選択される1種又は2種以上、更に好ましくはアルカノールアミン、更に好ましくはモノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール及びトリスヒドロキシメチルアミノメタンから選択される1種又は2種以上、更に好ましくはモノエタノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール及びトリスヒドロキシメチルアミノメタンから選択される1種又は2種以上である<14>に記載の毛髪処理方法。
【0086】
<16>
成分(A)に対する成分(C2)の質量比(C2)/(A)が、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.15以上であり、また、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは5以下、更に好ましくは3以下、更に好ましくは1.5以下、更に好ましくは0.8質以下である<14>又は<15>に記載の毛髪処理方法。
【0087】
<17>
以下の工程1及び2を含む毛髪処理方法。
(工程1) 毛髪に染毛剤組成物を適用し、染毛する工程
(工程2) 工程1で染毛処理された毛髪に、下記成分(A)、(B)及び(C1)を含有し、成分(A)に対する成分(C1)の質量比(C1)/(A)が0.1~7であり、pHが1~4である毛髪処理剤を適用する工程
(A) ポリシリコーン-29 0.2~3質量%
(B) 水
(C1) リン酸、炭素数2~8の脂肪族のα-ヒドロキシ酸及び炭素数2~8の脂肪族のジカルボン酸から選択される1種又は2種以上のpH調整剤 0.05~10質量%
【0088】
<18>
以下の工程1及び2を含む毛髪処理方法。
(工程1) 毛髪に染毛剤組成物を適用し、染毛する工程
(工程2) 工程1に引き続き、染毛処理後の毛髪に、下記成分(A)、(B)及び(C1)を含有し、成分(A)に対する成分(C1)の質量比(C1)/(A)が0.1~7であり、pHが1~4である毛髪処理剤を適用する工程
(A) ポリシリコーン-29 0.2~3質量%
(B) 水
(C1) リン酸、炭素数2~8の脂肪族のα-ヒドロキシ酸及び炭素数2~8の脂肪族のジカルボン酸から選択される1種又は2種以上のpH調整剤 0.05~10質量%
【0089】
<19>
以下の工程1及び2を含む毛髪処理方法。
(工程1) 毛髪に染毛剤組成物を適用し、染毛する工程
(工程2) 工程1で染毛処理された毛髪に、下記成分(A)、(B)及び(C1)を含有し、成分(A)に対する成分(C1)の質量比(C1)/(A)が0.5~3であり、pHが2.0~3.5である毛髪処理剤を適用する工程
(A) ポリシリコーン-29 0.5~2質量%
(B) 水
(C1) リン酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸及びクエン酸から選択される1種又は2種以上のpH調整剤 0.1~10質量%
【0090】
<20>
以下の工程1及び2を含む毛髪処理方法。
(工程1) 毛髪に染毛剤組成物を適用し、染毛する工程
(工程2) 工程1に引き続き、染毛処理後の毛髪に、下記成分(A)、(B)及び(C1)を含有し、成分(A)に対する成分(C1)の質量比(C1)/(A)が0.5~3であり、pHが2.0~3.5である毛髪処理剤を適用する工程
(A) ポリシリコーン-29 0.5~2質量%
(B) 水
(C1) リン酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸及びクエン酸から選択される1種又は2種以上のpH調整剤 0.1~10質量%
【0091】
<21>
以下の工程1及び2を含む毛髪処理方法。
(工程1) 毛髪に染毛剤組成物を適用し、染毛する工程
(工程2) 工程1で染毛処理された毛髪に、下記成分(A)、(B)及び(C2)を含有し、成分(A)に対する成分(C2)の質量比(C2)/(A)が0.1~3であり、pHが8.0~12である毛髪処理剤を適用する工程
(A) ポリシリコーン-29 0.2~3質量%
(B) 水
(C2)アルカノールアミンから選択される1種又は2種以上のpH調整剤 0.05~8質量%
【0092】
<22>
以下の工程1及び2を含む毛髪処理方法。
(工程1) 毛髪に染毛剤組成物を適用し、染毛する工程
(工程2) 工程1に引き続き、染毛処理後の毛髪に、下記成分(A)、(B)及び(C2)を含有し、成分(A)に対する成分(C2)の質量比(C2)/(A)が0.1~3であり、pHが8.0~12である毛髪処理剤を適用する工程
(A) ポリシリコーン-29 0.2~3質量%
(B) 水
(C2)アルカノールアミンから選択される1種又は2種以上のpH調整剤 0.05~8質量%
【0093】
<23>
以下の工程1及び2を含む毛髪処理方法。
(工程1) 毛髪に染毛剤組成物を適用し、染毛する工程
(工程2) 工程1で染毛処理された毛髪に、下記成分(A)、(B)及び(C2)を含有し、成分(A)に対する成分(C2)の質量比(C2)/(A)が0.15~0.8であり、pHが8.5~10である毛髪処理剤を適用する工程
(A) ポリシリコーン-29 0.5~2質量%
(B) 水
(C2) モノエタノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール及びトリスヒドロキシメチルアミノメタンから選択される1種又は2種以上のpH調整剤 0.1~5質量%
【0094】
<24>
以下の工程1及び2を含む毛髪処理方法。
(工程1) 毛髪に染毛剤組成物を適用し、染毛する工程
(工程2) 工程1に引き続き、染毛処理後の毛髪に、下記成分(A)、(B)及び(C2)を含有し、成分(A)に対する成分(C2)の質量比(C2)/(A)が0.15~0.8であり、pHが8.5~10である毛髪処理剤を適用する工程
(A) ポリシリコーン-29 0.5~2質量%
(B) 水
(C2) モノエタノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール及びトリスヒドロキシメチルアミノメタンから選択される1種又は2種以上のpH調整剤 0.1~5質量%
【0095】
<25>
毛髪処理剤中における成分(A)の含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1.5以下である<1>~<24>のいずれか1項に記載の毛髪処理方法。
【0096】
<26>
毛髪処理剤中における成分(B)の含有量が、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは99質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である<1>~<25>のいずれか1項に記載の毛髪処理方法。
【0097】
<27>
毛髪処理剤中における成分(C1)の含有量が、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である<11>、<12>、<13>、<17>、<18>、<19>又は<20>に記載の毛髪処理方法。
【0098】
<28>
毛髪処理剤中における成分(C2)の含有量が、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.15質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは0.8質量%以下である<14>、<15>、<16>、<21>、<22>、<23>又は<24>に記載の毛髪処理方法。
【0099】
<29>
毛髪処理剤が、好ましくは成分(D)として有機溶剤を含有する<1>~<28>のいずれか1項に記載の毛髪処理方法。
【0100】
<30>
成分(D)が、好ましくは炭素数1~4の直鎖アルコール及び芳香族アルコールから選ばれる1種又は2種以上、より好ましくはエタノール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール及びフェネチルアルコールからなる群より選ばれる1種又は2種以上、更に好ましくはエタノールである<29>に記載の毛髪処理方法。
【0101】
<31>
毛髪処理剤中における成分(D)の含有量が、好ましくは1質量%以上、より好ましくは4質量%以上、更に好ましくは8質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である<29>又は<30>に記載の毛髪処理方法。
【0102】
<32>
好ましくは、工程2が濡れ髪に対して行われるものである<1>~<31>のいずれか1項に記載の毛髪処理方法。
【0103】
<33>
工程2において毛髪に適用する毛髪処理剤の量が、毛髪の乾燥質量に対する浴比(毛髪化粧料の質量/毛髪の乾燥質量)で、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.005以上、更に好ましくは0.01以上であり、また好ましくは100以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは1以下である、<1>~<32>のいずれか1項に記載の毛髪処理方法。
【0104】
<34>
好ましくは、工程2において毛髪処理剤を毛髪に適用した後、洗い流さずに乾燥させる、<1>~<33>のいずれか1項に記載の毛髪処理方法。
【0105】
<35>
乾燥が、毛髪処理剤を毛髪に適用した後、好ましくは10分以下、より好ましくは5分以下、更に好ましくは5分未満、更に好ましくは2分未満、更に好ましくは1分以下の時間放置した後、更に好ましくは毛髪に適用した直後に実施される、<34>に記載の毛髪処理方法。
【0106】
<36>
乾燥が、好ましくは40℃を超える温度で、より好ましくは45℃以上220℃以下の温度で行われる、<34>又は<35>に記載の毛髪処理方法。
【0107】
<37>
染毛剤組成物が、半永久染毛料又は永久染毛剤、好ましくは永久染毛剤である、<1>~<36>のいずれか1項に記載の毛髪処理方法。
【0108】
<38>
好ましくは、工程2において、電磁放射線を供給するための装置を用いて電磁放射線に暴露する工程、及び毛髪を機械的に成形する工程のいずれも含まない、<1>~<37>のいずれか1項に記載の毛髪処理方法。
【0109】
<39>
染毛剤組成物と、下記成分(A)、(B)及び(C)を含有し、pHが4以下又は8以上である毛髪処理剤とを含む、毛髪処理用キット。
(A) 以下の化合物(a)~(d)の反応産物であるエポキシアミノシランコポリマー
(a) 少なくとも二つのオキシラニル基又はオキセタニル基を有するポリシロキサン
(b) 少なくとも二つのオキシラニル基又はオキセタニル基を有するポリエーテル
(c) アミノプロピルトリアルコキシシラン
(d) 以下の第一級及び第二級アミンからなる群より選択される化合物
・第一級アミン:メチルアミン、エチルアミン、プロピレンアミン、エタノールアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ヘキシルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン、アニリン、アミノプロピルトリメチルシラン、アミノプロピルトリエチルシラン、アミノモルホリン、アミノプロピルジエチルアミン、ベンジルアミン、ナフチルアミン、3-アミノ-9-エチルカルバゾール、1-アミノヘプタフロロヘキサン、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ペンタデカフルオロ-1-オクタンアミン
・第二級アミン:メチルエチルアミン、メチルオクタデシルアミン、ジエタノールアミン、ジベンジルアミン、ジヘキシルアミンジシクロヘキシルアミン、ピペリジン、ピロリジンフタルイミド、ポリマーアミン
(B) 水
(C) pH調整剤
【0110】
<40>
染毛剤組成物が、半永久染毛料又は永久染毛剤、好ましくは永久染毛剤である、<39>に記載の毛髪処理用キット。
【0111】
<41>
下記成分(A)、(B)及び(C)を含有し、pHが4以下又は8以上である染毛後処理剤。
(A) 以下の化合物(a)~(d)の反応産物であるエポキシアミノシランコポリマー
(a) 少なくとも二つのオキシラニル基又はオキセタニル基を有するポリシロキサン
(b) 少なくとも二つのオキシラニル基又はオキセタニル基を有するポリエーテル
(c) アミノプロピルトリアルコキシシラン
(d) 以下の第一級及び第二級アミンからなる群より選択される化合物
・第一級アミン:メチルアミン、エチルアミン、プロピレンアミン、エタノールアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ヘキシルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン、アニリン、アミノプロピルトリメチルシラン、アミノプロピルトリエチルシラン、アミノモルホリン、アミノプロピルジエチルアミン、ベンジルアミン、ナフチルアミン、3-アミノ-9-エチルカルバゾール、1-アミノヘプタフロロヘキサン、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ペンタデカフルオロ-1-オクタンアミン
・第二級アミン:メチルエチルアミン、メチルオクタデシルアミン、ジエタノールアミン、ジベンジルアミン、ジヘキシルアミンジシクロヘキシルアミン、ピペリジン、ピロリジンフタルイミド、ポリマーアミン
(B) 水
(C) pH調整剤
【0112】
<42>
染毛処理後の毛髪に対し、工程2を行う染毛色の彩度向上方法。
(工程2) 染毛処理後の毛髪に、下記成分(A)、(B)及び(C)を含有し、pHが4以下又は8以上である毛髪処理剤を適用する工程
(A) 以下の化合物(a)~(d)の反応産物であるエポキシアミノシランコポリマー
(a) 少なくとも二つのオキシラニル基又はオキセタニル基を有するポリシロキサン
(b) 少なくとも二つのオキシラニル基又はオキセタニル基を有するポリエーテル
(c) アミノプロピルトリアルコキシシラン
(d) 以下の第一級及び第二級アミンからなる群より選択される化合物
・第一級アミン:メチルアミン、エチルアミン、プロピレンアミン、エタノールアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ヘキシルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン、アニリン、アミノプロピルトリメチルシラン、アミノプロピルトリエチルシラン、アミノモルホリン、アミノプロピルジエチルアミン、ベンジルアミン、ナフチルアミン、3-アミノ-9-エチルカルバゾール、1-アミノヘプタフロロヘキサン、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ペンタデカフルオロ-1-オクタンアミン
・第二級アミン:メチルエチルアミン、メチルオクタデシルアミン、ジエタノールアミン、ジベンジルアミン、ジヘキシルアミンジシクロヘキシルアミン、ピペリジン、ピロリジンフタルイミド、ポリマーアミン
(B) 水
(C) pH調整剤
【0113】
<43>
染毛処理が、半永久染毛料又は永久染毛剤を毛髪に適用して染毛する染毛処理、好ましくは永久染毛剤を適用して染毛する染毛処理である、<42>に記載の染毛色の彩度向上方法。
【実施例
【0114】
実施例1~18、比較例1~6
表1及び2に示す毛髪処理剤を調製し、以下の方法及び基準に従って、ヘアカラー処理毛の色の鮮やかさについて評価した。この結果を表1及び2に併せて示す。
【0115】
<評価用シャンプーの処方>
成分 (質量%)
ラウレス硫酸ナトリウム 15.5
ラウラミドDEA 1.5
安息香酸ナトリウム 0.5
EDTA-2Na 0.3
リン酸 pH7に調整する量
精製水 残量
合計 100.0
【0116】
<評価用コンディショナーの処方>
成分 (質量%)
セテアリルトリモニウムクロリド 1.5
セテアリルアルコール 2.5
プロピレングリコール 5.0
香料 0.3
精製水 残量
合計 100.0
【0117】
[I:ヘアカラー処理]
1gの中国人黒髪(ビューラックス社製)に市販のブリーチ剤を浴比(ブリーチ剤:毛髪)=3.5:1で塗布し、40℃で40分放置した後、約40℃の水ですすぎ、評価用シャンプーで洗浄、水洗した後に、ドライヤーで乾燥させた。続いて、色差計(コニカミノルタセンシング社製、色彩色差計CR-400)を用いて、D65光源によってCIE表色系(L*,a*,b*,c*)を計測して、L*値が22.5~25.1、b*値が10.0~13.3、c*値が12.4~15.9の間に入る毛髪のみを選定し、ブリーチ毛として用いた。
ブリーチ毛1gに市販のヘアカラー剤(Topchic Color 6Rと、Topchic Color Lotion 6% 過酸化水素品(いずれもGoldwell社製)を質量比1:1で混合した液を調製してヘアカラー剤として使用)を浴比(ヘアカラー剤:毛髪)=1:1で塗布し、30℃で30分放置した後、約40℃の水ですすいだ。その後、評価用シャンプーで洗浄、水洗を2回繰り返した。次いで評価用コンディショナーを塗布した後に、約40℃の水ですすぎ、タオルで拭いて余分な水分を除去した。
【0118】
[II:毛髪処理剤による処理]
染毛処理後の濡れ髪(乾燥毛1gに対し水0.4gを含む)に、0.3gの毛髪処理剤を塗布して、毛髪全体に均一になじませた後に、ドライヤーで乾燥させた。ただし、比較例1はヘアカラー処理後に毛髪処理を行わないコントロールとした(コントロール)。また、比較例2はI:ヘアカラー処理に記載のブリーチ毛に対して、II:実施例3と同じ毛髪処理剤による処理を先に行い、後にI:ヘアカラー処理に記載の市販のヘアカラー剤を用いた染毛処理を行った(前処理)。
【0119】
[髪色の鮮やかさ評価(Δc*1測定)]
毛髪処理直後の毛髪の色合いについて、色差計(コニカミノルタセンシング社製色彩色差計CR-400)を用いて、D65光源によってCIE表色系(L*,a*,b*,c*)を計測した。ヘアカラー処理後に毛髪処理を行わない比較例1の毛髪の色合いについても同様に、CIE表色系(L*,a*,b*,c*)を計測した。髪色の鮮やかさ指標としてΔc*1値を以下の計算により求めた。
【0120】
【数1】
【0121】
<シャンプー連用後の髪色の鮮やかさ評価(Δc*2測定)>
前記毛髪処理後の毛髪に対し、評価用シャンプーで洗浄、水洗を14回繰り返した。次いで評価用コンディショナーを塗布した後に、約40℃の水ですすぎ、タオルで拭いて余分な水分を除去し、ドライヤー乾燥した。得られたシャンプー連用後の毛髪の色合いについて、色差計(コニカミノルタセンシング社製、色彩色差計CR-400)を用いて、D65光源によってCIE表色系(L*,a*,b*,c*)で計測した。ヘアカラー処理後に毛髪処理を行わない比較例1の毛髪の色合いについても、同様にシャンプー洗浄を14回繰り返した後に、CIE表色系(L*,a*,b*,c*)で計測した。シャンプー連用後の髪色の鮮やかさ指標としてのΔc*2値を以下の計算により求めた。
【0122】
【数2】
【0123】
〔pH測定〕
pHメーター(F-51、株式会社堀場製作所製)を用いて、毛髪処理剤の25℃におけるpHを測定した。
【0124】
【表1】
【0125】
【表2】
【0126】
実施例19~33、比較例7~12
表3及び4に示す毛髪処理剤を調製し、以下の方法及び基準に従って、ヘアカラー処理毛の色の鮮やかさについて評価した。この結果を表3及び4に併せて示す。
【0127】
[I:ヘアカラー処理]
1gの中国人黒髪(ビューラックス社製)に市販のブリーチ剤を浴比(ブリーチ剤:毛髪)=3.5:1で塗布し、40℃で40分放置した後、約40℃の水ですすぎ、評価用シャンプーで洗浄、水洗した後に、ドライヤーで乾燥させた。続いて、色差計(コニカミノルタセンシング社製、色彩色差計CR-400)を用いて、D65光源によってCIE表色系(L*,a*,b*,c*)を計測して、L*値が22.5~25.1、b*値が10.0~13.3、c*値が12.4~15.9の間に入る毛髪のみを選定し、ブリーチ毛とした。
ブリーチ毛1gに市販のヘアカラー剤(Topchic Color 5Rと、Topchic Color Lotion 6% 過酸化水素品(いずれもGoldwell社製)を質量比1:1で混合した液を調整してヘアカラー剤として使用)を浴比(ヘアカラー剤:毛髪)=1:1で塗布し、30℃で30分放置した後、約40℃の水ですすいだ。その後、評価用シャンプーで洗浄、水洗を2回繰り返した。次いで評価用コンディショナーを塗布した後に、約40℃の水ですすぎ、タオルで拭いて余分な水分をとった。
【0128】
[II:毛髪処理剤による処理]
染毛処理後の濡れ髪(乾燥毛1gに対し水0.4gを含む)に、0.3gの毛髪処理剤を塗布して、毛髪全体に均一になじませた後に、ドライヤーで乾燥させた。ただし、比較例7はヘアカラー処理後に毛髪処理を行わないコントロールとした。また、比較例8はI:ヘアカラー処理に記載のブリーチ毛に対して、II:実施例21と同じ毛髪処理剤による処理を先に行い、後にI:ヘアカラー処理に記載の市販のヘアカラー剤を用いた染毛処理を行った。さらに、比較例9については、I:ヘアカラー処理に記載のブリーチ毛に対して、ヘアカラー剤の水7.7質量%を、実施例21と同じ量の成分(A)と成分(C)(6.7質量%のSilSoft CLE-Xと1質量%のモノエタノールアミン)に置き換えたヘアカラー剤による染毛処理のみを行った。
【0129】
[髪色の鮮やかさ評価(Δc*1測定)]
毛髪処理直後の毛髪の色合いについて、色差計(コニカミノルタセンシング社製、色彩色差計CR-400)を用いて、D65光源によってCIE表色系(L*,a*,b*,c*)を計測した。ヘアカラー処理後に毛髪処理を行わない比較例7の毛髪の色合いについても同様に、CIE表色系(L*,a*,b*,c*)を計測した。髪色の鮮やかさ指標としてΔc*1値を以下の計算により求めた。
【0130】
【数3】
【0131】
<シャンプー連用後の髪色の鮮やかさ評価(Δc*2測定)>
前記毛髪処理後の毛髪に対し、評価用シャンプーで洗浄、水洗を14回繰り返した。次いで評価用コンディショナーを塗布した後に、約40℃の水ですすぎ、タオルで拭いて余分な水分を除去し、ドライヤー乾燥した。得られたシャンプー連用後の毛髪の色合いについて、色差計(コニカミノルタセンシング社製色彩色差計CR-400)を用いて、D65光源によってCIE表色系(L*,a*,b*,c*)で計測した。ヘアカラー処理後に毛髪処理を行わない比較例7の毛髪の色合いについても、同様にシャンプー洗浄を14回繰り返した後に、CIE表色系(L*,a*,b*,c*)で計測した。シャンプー連用後の髪色の鮮やかさ指標としてのΔc*2値を以下の計算により求めた。
【0132】
【数4】
【0133】
【表3】
【0134】
【表4】