(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0203 20230101AFI20230323BHJP
【FI】
G06Q30/0203
(21)【出願番号】P 2020131635
(22)【出願日】2020-08-03
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】清水 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲崎▼ 彩
(72)【発明者】
【氏名】井嶋 実歩
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-071847(JP,A)
【文献】特開2015-049801(JP,A)
【文献】国際公開第2020/121674(WO,A1)
【文献】特開2003-030403(JP,A)
【文献】国際公開第2011/114620(WO,A1)
【文献】特開2010-086150(JP,A)
【文献】特開2019-160039(JP,A)
【文献】折原 レオナルド賢,Web文章における閲覧時間と未読情報に着目した情報推薦,FIT2012 第11回情報科学技術フォーラム,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2012年08月21日,305~308
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの対象に対する行動履歴を取得する行動履歴取得部と、
時間及び金銭の少なくともいずれかを消費する前記対象に対する行動を対象関連行動として前記行動履歴から抽出し、前記対象関連行動に基づいて前記ユーザの前記対象に対する熱狂度合いを示す熱狂度を判定する熱狂度判定部と、
を備え
、
前記熱狂度判定部は、前記対象関連行動毎に設定された基本値と、当該対象関連行動に関連する他の前記対象関連行動との組み合わせに応じた第二重み値と、を用いて前記熱狂度を算出する、情報処理装置。
【請求項2】
前記対象は、人物であり、
前記熱狂度判定部は、前記対象の行動に追従する前記ユーザの行動を前記対象関連行動として抽出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記行動履歴は、前記ユーザの移動に関する移動履歴を含み、
前記熱狂度判定部は、前記対象の行動に追従する前記ユーザの行動として、前記対象の移動に追従する前記ユーザの移動を前記対象関連行動として抽出する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記行動履歴は、サービスの購入に関する購入履歴を含み、
前記熱狂度判定部は、前記購入履歴に含まれる、前記対象に関連する前記サービスの購入を前記対象関連行動として抽出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記購入履歴は、前記サービスに対する購入を試みる購入試行履歴を含む、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記行動履歴は、前記ユーザによって作成された公開コンテンツのインターネット上への発信履歴を含み、
前記熱狂度判定部は、前記対象を示すキーワードまたは前記対象を示す画像が含まれる前記公開コンテンツの発信を前記対象関連行動として抽出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記熱狂度判定部は、
前記基本値と、前記第二重み値に加え、さらに抽出された前記対象関連行動の数に応じた第一重み
値を用いて、前記熱狂度を算出する、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記対象は、人物であり、
前記行動履歴は、前記ユーザの移動に関する移動履歴、及び、前記対象が参加するイベントへの参加権の購入を試みる購入試行履歴を含み、
前記熱狂度判定部は
、前記購入試行履歴に含まれる、前記ユーザにより前記参加権の購入が試行されたものの前記参加権を購入できなかった旨の購入試行と、前記対象の移動に追従する前記ユーザの前記イベントの開催地近傍への移動と、を前記対象関連行動として抽出した場合に、他の前記対象関連行動の前記組み合わせに比べてより大きい前記第二重み値を用いて前記熱狂度を算出する、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記熱狂度判定部は、抽出された前記対象関連行動の内容に応じた補正値を用いて、前記基本値を補正する、
請求項
1から請求項
8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記ユーザの行動圏を検出する行動圏検出部をさらに備え、
前記熱狂度判定部は、前記対象の移動に追従する前記ユーザの移動を前記対象関連行動として抽出し、当該対象関連行動における移動先と前記行動圏との距離に基づく前記補正値を用いて、前記基本値を補正する、
請求項
9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
複数の前記ユーザについて、前記対象に対して判定された前記熱狂度を統計処理し、前記対象に対する前記熱狂度と、当該熱狂度に対応する前記ユーザの数との関係を示す対象熱狂度情報を生成する統計処理部をさらに備える、
請求項1から請求項
10のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記統計処理部は、複数の前記対象に対してそれぞれ前記対象熱狂度情報を生成し、第一閾値以上の前記熱狂度に対応する前記ユーザの数が第二閾値以上となる前記対象を高熱狂度対象として抽出する、
請求項
11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
コンピュータにより情報を処理する情報処理方法であって、
前記コンピュータは、行動履歴取得部と、熱狂度判定部とを備え、
前記行動履歴取得部が、ユーザの対象に対する行動履歴を取得する行動履歴取得ステップと、
前記熱狂度判定部が、時間及び金銭の少なくともいずれかを消費する前記対象に対する行動を対象関連行動として前記行動履歴から抽出し、前記対象関連行動に基づいて前記ユーザの前記対象に対する熱狂度合いを示す熱狂度を判定する熱狂度判定ステップと、を実施
し、
前記熱狂度判定ステップにおいて、前記対象関連行動毎に設定された基本値と、当該対象関連行動に関連する他の前記対象関連行動との組み合わせに応じた第二重み値と、を用いて前記熱狂度を算出する、情報処理方法。
【請求項14】
コンピュータに読み取り実行可能な情報処理プログラムであって、
前記コンピュータを請求項1から請求項
12のいずれか1項に記載の情報処理装置として機能させる、情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象に対する興味度を検出する情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネット上で検索されるキーワードを集計し、キーワードの単位時間当たりの増加値を示すBurst値を算出することで、インターネット上で話題となっているキーワードを検出する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような話題のキーワードを検出することで、多くのユーザが現在どのようなキーワードに対して興味を抱いているかを判定することが可能となり、例えば企業における集客効果の向上のために、検出されたキーワードを用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、企業等が著名人等を起用して集客効果を上げる場合、インターネット上で話題となっているキーワードに基づいて著名人等を選択しても、十分な集客効果が得られないことがある。つまり、多くのユーザに検索されたキーワードであっても、各ユーザが当該キーワードに対して強い興味を持っているか否かは不明であり、当該キーワードの検索数に対して、当該キーワードに対して興味を有するユーザの数が少ない場合もありうる。例えば、検索数が多い、話題であるといった理由のみで著名人を検索しているユーザが多い場合、当該著名人を起用して集客を図ったとしても、十分な集客効果が得られないことがある。すなわち、上記のような集客効果の向上を図る場合等では、ユーザがキーワード対象に対して興味がある人の人数のみでは不十分であり、対象に対して熱狂的に支持している人の人数を集計する必要があり、そのためには、対象に対してどの程度熱狂的に支持しているかを示す熱狂度を検出する必要がある。
【0005】
本発明は、ユーザの対象に対する熱狂度を検出する情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る情報処理装置は、ユーザの対象に対する行動履歴を取得する行動履歴取得部と、時間及び金銭の少なくともいずれかを消費する前記対象に対する行動を対象関連行動として前記行動履歴から抽出し、前記対象関連行動に基づいて前記ユーザの前記対象に対する熱狂度合いを示す熱狂度を判定する熱狂度判定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
ユーザが熱狂的に対象を支持する場合、ユーザは、その対象に対して多くの時間を浪費したり、その対象に対して多くの金銭を投資したりする。本発明は、ユーザの行動履歴から、上記のような消費(時間的コストや金銭的コスト)を伴う対象に対する対象関連行動を判定し、当該対象関連行動に基づいて、ユーザの対象に対する熱狂度を判定する。これにより、対象に対するユーザの熱狂度を適切に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態の情報処理システムを示す概略図。
【
図2】本実施形態のサーバ装置の概略構成を示すブロック図。
【
図3】本実施形態のユーザ端末の構成例を示すブロック図。
【
図4】本実施形態における情報処理方法を示すフローチャート。
【
図5】本実施形態の熱狂度判定部により対象人物が抽出されるパターン例を示す図。
【
図6】本実施形態のイメージ化された対象熱狂度情報の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る一実施形態について説明する。
[情報処理システムの概要]
図1は、本実施形態の情報処理システムを示す概略図である。
本実施形態の情報処理システムは、
図1に示すように、情報処理装置であるサーバ装置10、サーバ装置10に対してインターネットを介して接続された複数のユーザ端末20を備える。
本実施形態では、サーバ装置10は、ユーザが所有するユーザ端末20から、ユーザの行動履歴を取得し、これらの行動履歴に基づいて、各ユーザが熱狂的に支持する対象を検出する。
【0010】
このような情報処理システムは、例えば、クリエイターが作成した記事等の創作物を提供する配信業者が、人気のあるクリエイター(対象)をスカウトする場合に利用できる。つまり、このような配信業者は、ユーザの購入頻度が高い創作物を創作可能なクリエイターを創作するために、どのクリエイターをスカウトすべきかを判断する必要がある。
従来、配信業者は、インターネットにおいて頻繁に検索されるクリエイターや、動画視聴サイトでよく視聴されるクリエイター等を、スカウト対象とすることがあった。しかしながら、インターネットでの検索数や、動画サイトの視聴数が多い場合でも、必ずしもクリエイターが創作した創作物がユーザに購入されるとは限らない。つまり、検索数が多くとも、クリエイターに対して、僅かに興味がある程度のユーザが多い。このようなユーザは、無料であればクリエイターの創作物を視聴したり、動画を閲覧したりするものの、金銭を支払ってまで創作物を購入しようとするユーザは多くない。
一方、クリエイターの創作物を高い確率で購入するユーザは、クリエイターに情熱を注ぎ続ける、いわゆる“コアなファン”であることが多く、ユーザが、クリエイターを熱狂的に支持しているか否かを判定することが重要である。
そこで、本実施形態のサーバ装置10は、ユーザのユーザ端末20から、クリエイター等の対象人物に対する行動履歴を取得し、この行動履歴に元ついて、当該ユーザの対象人物に対する熱狂度を判定する。
【0011】
ここで、本明細書で述べる「熱狂度」についてさらに説明する。この熱狂度とは、ユーザが、対象人物に対してどの程度の情熱を注いで、対象を支持しているかを示すパラメータであって、一般的な興味の度合いとは異なるパラメータである。
つまり、対象に対して興味を抱いているユーザの数は、例えば、インターネット上での検索数や、動画サイトでの視聴数、SNS(Social Networking Service)で投稿されたコメント等によって算出される。対象をキーワードとした検索を行ったユーザや、対象に関する動画を視聴したユーザ、対象に対するコメントを投稿したユーザは、当該対象を熱狂的に支持する、いわゆる「コアなファン」となりうる場合もあるが、上述したように、単に、世間での検索数が多いこと、話題になっていることを理由に、一時的に興味の度合いが高いユーザ(いわゆる、「にわかファン」)も少なくなく、単に、話題に乗り遅れないように検索や動画視聴をしただけのユーザも含まれる。
本願の発明者の知見によれば、興味度に基づいて対象人物をスカウトし、当該対象人物が制作したコンテンツの販売を行った場合、興味度が所定値以上の高い対象人物が制作したコンテンツであっても、当該興味度に見合った販売結果が得られない。これは、興味度が高いユーザには、対象に関連するサービスの購入頻度が高い「コアなファン」と、購入頻度が低いその他のユーザが含まれるためであり、インターネット上の検索数や動画視聴数、SNSでのコメント投稿数のみでは、これらの比率を検出することは困難なためである。そこで、本願では、興味度とは異なるパラメータとして、上述したような熱狂度(ファン度)を用いる。
以下、このような情報処理システムの各構成について、特にサーバ装置10を中心に説明する。
【0012】
[サーバ装置10の構成]
図2は、サーバ装置10の概略構成を示すブロック図である。
サーバ装置10は、一般的なコンピュータにより構成されており、
図2に示すように、通信部11、記録部12、プロセッサ13等の、コンピュータを構成する各部を備えている。なお、サーバ装置10を構成するコンピュータの数は特に限定されない。例えば、1台のコンピュータによってサーバ装置10が構成されてもよく、複数のコンピュータをネットワークで接続して構築されるクラウドサーバをサーバ装置10としてもよい。
通信部11は、インターネットに接続され、インターネットを介してユーザ端末20等の各装置と通信する。
【0013】
記録部12は、サーバ装置10を制御するための各種情報や情報処理プログラムを記録する。
また、記録部12は、ユーザに関するユーザ情報を記録するユーザ情報記録部121、クリエイター等の対象人物に関する分析対象情報を記録する分析対象情報記録部122等を備える。なお、ここでは、サーバ装置10の記録部12に、ユーザ情報記録部121、及び分析対象情報記録部122が設けられる例を示すが、サーバ装置10とネットワークを介して通信可能に接続された他のデータサーバやクラウドストレージに、これらのユーザ情報記録部121、及び分析対象情報記録部122等の各種データベースが設けられる構成としてもよい。
【0014】
[記録部12のユーザ情報記録部121に記録されるユーザ情報]
ユーザ情報記録部121は、一般ユーザに関する各種情報を含むユーザ情報を記録するデータベースである。
このユーザ情報の対象となるユーザは、例えば、ポータルサイト等による検索サービスの利用ユーザであってもよく、SNSの利用ユーザであってもよく、クリエイター等の対象人物が制作した創作物を配信する情報配信サービスの利用ユーザ等であってもよい。また、複数のサービスの利用ユーザの情報を統合してユーザ情報が生成されてもよい。
本実施形態では、サーバ装置10は、このような各種サービスを利用するユーザのユーザ端末から、当該ユーザに関する各種情報を取得して、ユーザ情報としてユーザデータベースに記録する。
【0015】
具体的には、ユーザ情報は、ユーザID、ユーザ属性情報、行動圏情報、行動履歴情報等を含む。
ユーザIDは、ユーザを識別する情報であり、サーバ装置10により自動で付与される情報であってもよく、ユーザにより任意に設定されるアカウント名であってもよい。
ユーザ属性情報は、ユーザの性別や職業、趣味等のユーザに関する各種情報を記録する。
【0016】
行動圏情報は、ユーザの行動圏を示す情報であり、例えばユーザの居所や職場等のユーザが頻繁に訪れる拠点を中心とした所定距離範囲が設定される。ユーザの拠点は、ユーザによって登録された地点であってもよく、後述するユーザの移動履歴に基づいて、サーバ装置10が判定した拠点であってもよい。また、行動圏の範囲は、ユーザの移動履歴(位置履歴)に基づくユーザの移動領域が設定されてもよく、拠点を中心とした所定の距離範囲が設定されてもよい。拠点を中心とした距離範囲を設定する場合、ユーザのよく用いる移動手段(徒歩、自転車、自動車等)を移動履歴に基づいて判定し、当該移動手段に対応した距離範囲としてもよく、ユーザの移動履歴に基づいて、拠点を中心としたユーザの平均移動距離を距離範囲としてもよい。
【0017】
行動履歴情報には、ユーザのインターネット上での行動履歴の他、ユーザ端末20に搭載される各種センサーやユーザ端末20にインストールされる各種アプリケーションにより検出される行動履歴も含まれる。
【0018】
インターネット上の行動履歴としては、例えば、検索履歴、閲覧履歴、購入履歴、及び発信履歴等が挙げられる。
検索履歴は、インターネット上でユーザが実施した検索処理で用いた検索キーワード及び検索日時を示す履歴情報である。
閲覧履歴は、インターネット上でユーザが閲覧したウェブサイト、閲覧日時を記録する履歴情報であり、さらに、対象となるウェブサイトの制作者や運営者等が含まれてもよい。
【0019】
購入履歴は、ユーザがオンラインショップやオークションサイトで購入した商品やサービス、売買金額、及び売買日時等を示す履歴情報である。また、購入履歴としては、売買契約が成立した履歴の他、ユーザが所定の商品の購入を試みたものの、購入ができなかった場合の購入試行履歴も含まれる。例えば、人気アーティストのライブチケット等では、予め予約が取れたユーザのみしか購入できない場合(予約販売)や、先着の所定人数のユーザのみしか購入できない場合(先着順販売)がある。本実施形態では、ユーザが、予約販売において予約を行ったものの、予約が取れなかった場合、または、先着順販売において、購入を試みたものの、先着順から外れて購入できなかった場合において、購入試行情報として、購入を試みた商品、または商品に関連する対象人物(アーティスト等)、購入試行行動を行った日時等が記録される。
【0020】
発信履歴は、SNS等へのユーザの公開プロフィール情報、ユーザが作成したブログやホームページ等の公開コンテンツの発信または更新、及び発信日時または更新日時を示す履歴情報である。この投稿される情報としては、例えばSNSにおけるユーザの公開プロフィール情報も含まれる。なお、発信履歴に含まれる公開コンテンツは、ユーザが生成した公開コンテンツのコピーが記録されていてもよく、当該公開コンテンツのリンク先等が記録されていてもよい。
なお、本実施形態では、発信コンテンツは、予め設定されたボリューム(テキスト文の文字数等)以上の内容を有するコンテンツであり、短文により構成された、いわゆるツイート等の投稿情報とは異なるコンテンツを意味している。
【0021】
ユーザ端末20の各種センサーや各種アプリケーションにより検出される行動履歴情報としては、例えば、位置履歴、アプリ実行履歴等が挙げられる。
位置履歴は、ユーザ端末20に搭載されるGPS装置等の位置検出センサーを用いた、ユーザの位置と、ユーザが当該位置に位置した日時とを示す情報である。
アプリ実行履歴は、ユーザがユーザ端末20において、実施した各種アプリケーションの実行履歴である。このアプリケーションの実行履歴には、実行したアプリケーション名および実行日時の他、アプリケーションにより取得される各種情報が含まれてもよい。
例えば、電子マネーを用いた支払い決済を実行する決済アプリケーションの実行履歴(決済履歴)では、決済対象となる商品やその金額、決済が実施された店舗等が記録されてもよい。
また、ニュース等のコンテンツを閲覧するコンテンツ閲覧履歴では、閲覧されたコンテンツや、コンテンツの閲覧日時が記録されてもよい。
【0022】
[記録部12の分析対象情報記録部122に記録される対象情報]
分析対象情報記録部122は、分析対象に関する対象情報を記録する。
本実施形態では、分析対象は人物(対象人物)である。対象人物の選定は特に限定されず、例えば、サーバ装置10の管理者によって登録されてもよく、インターネット上の検索処理により検索されるキーワードから対象人物を抽出してもよく、ユーザの行動履歴に基づいて検出された対象人物を対象としてもよい。本実施形態では、例えば、サーバ装置10の管理者によって予め対象人物が選定され、選定された対象人物の対象情報が記録されている例を示す。
この対象情報は、例えば、対象ID、名称情報、対象属性情報、及び活動予定情報等を含む。
対象IDは、対象情報を識別する情報である。
名称情報は、対象人物の本名や通名等の情報である。
対象属性情報は、対象人物の各種情報を示す情報であり、例えばインターネット上に公開される対象人物に関するコンテンツや、対象人物自身あるいは関係者が公開するSNSでの公開プロフィール等から取得することができる。対象属性情報に含まれる情報の例としては、例えば、対象人物の職業、活動分野、活動エリア、活動履歴等が挙げられ、その他、対象人物の趣味や嗜好物等が含まれてもよく、対象人物の画像情報(顔写真や活動中の動画等)が含まれてもよい。
活動予定情報は、対象人物の活動予定であり、例えば、対象人物が参加するイベントの開催日時や開催場所等が記録される。活動予定情報は、例えば、インターネット上に公開される対象人物に関するコンテンツや、対象人物自身あるいは関係者がSNSで投稿する投稿情報から取得することができる。或いは、イベントへの参加チケットを販売するチケット販売サーバから、対象人物のイベントの開催日時や開催場所を取得してもよい。
【0023】
[プロセッサ13の機能構成]
プロセッサ13は、CPU等の演算回路、RAM等の記録回路により構成される。プロセッサ13は、記録部12に記録されている情報処理プログラムをRAMに展開し、RAMに展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
そして、プロセッサ13は、情報処理プログラムを読み込み実行することで、
図2に示すように、ユーザ情報取得部131(行動履歴取得部)、行動圏検出部132、熱狂度判定部133、統計処理部134、及びイメージ生成部135として機能する。
【0024】
ユーザ情報取得部131は、本発明の行動履歴取得部としても機能し、ユーザ端末20からユーザの行動履歴情報を含むユーザ情報を取得する。
行動圏検出部132は、ユーザの行動履歴情報に基づいて、ユーザの拠点やユーザの行動圏を検出する。
【0025】
熱狂度判定部133は、ユーザ情報に基づいて、対象人物に対するユーザの熱狂度を判定(算出)する。
統計処理部134は、各ユーザの各対象人物に対する熱狂度を統計処理する。
イメージ生成部135は、統計処理結果を示すイメージデータを生成する。
プロセッサ13の各機能構成の詳細な説明に関しては後述する。
【0026】
[ユーザ端末20の構成]
図3は、ユーザ端末20の構成例を示すブロック図である。
ユーザ端末20は、ユーザが保有する端末装置であり、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピューター等のコンピュータにより構成されている。ユーザ端末20は、一般的なコンピュータが有する基本的な構成を有する。すなわち、ユーザ端末20は、入力操作部21、ディスプレイ22、端末通信部23、センサー部24、端末記録部25、及び端末プロセッサ26等を備える。
【0027】
入力操作部21は、ユーザの入力操作を受け付ける入力装置である。入力操作部21は、例えば、キーボードやマウス等により構成されてもよく、ディスプレイ22と一体的に構成されるタッチパネルにより構成されていてもよい。
ディスプレイ22は、各種画像情報を表示させる表示画面である。
端末通信部23は、外部機器との通信を行う装置である。端末通信部23としては、複数の通信規格のそれぞれに対応した複数の通信装置が設けられていてもよい。複数の通信装置としては、例えば、端末通信部23は、Wi-Fi(登録商標)による通信を行う無線LAN通信装置、通信電話回線規格を利用したモバイル通信装置、Bluetooth(登録商標)や赤外線通信、NFC(登録商標)等を用いた近距離通信装置等を例示できる。
【0028】
センサー部24は、各種センサーを含む。センサー部24に含まれるセンサーとしては、例えば、当該ユーザ端末20の位置(つまり、ユーザの位置)を検出するGPS装置等の位置検出センサー241、ユーザ端末20に係る姿勢や加速度を検出するモーションセンサー242を例示できる。その他、センサー部24として、音声を検出するマイク、方位を検出する方位センサー、静止画や動画等の画像を撮像するイメージセンサー等を備えてもよい。
【0029】
端末記録部25は、各種サービスを提供したりユーザ端末20を制御したりする各種アプリケーションソフトウェア(プログラム)、及び各種データが記録されている。
各種データとしては、ユーザの行動履歴情報が含まれる。ユーザの行動履歴情報は、前述したように、例えば、各種センサーや各種アプリケーションにより検出される行動履歴、ユーザのインターネット上での行動履歴が含まれる。
【0030】
各種センサーにより検出される行動履歴としては、例えば、位置検出センサー241によって検出される位置と当該位置が検出された日時とを含む移動履歴(位置履歴)を例示できる。その他、モーションセンサーによって検出されるモーションデータと当該モーションデータが検出された日時とを示すモーション履歴が含まれてもよい。また、移動履歴とモーション履歴とに基づいて判定されるユーザの移動手段が移動履歴に関連付けられていてもよい。移動手段は、公知の技術を用いることで検出でき、例えば、モーション履歴に記録されるユーザ端末の上下の振動と、移動履歴に基づいたユーザの位置及び移動速度から、ユーザが電車移動であるか、自動車による移動であるか、徒歩であるか、等の移動手段を判定できる。
また、各種アプリケーションの実行履歴としては、上述したように、決済履歴、及びコンテンツ閲覧履歴等のアプリケーションに実行履歴が含まれる。
インターネット上での行動履歴として、ユーザ端末20において実施されたインターネット上での各種行動、例えば、検索履歴、閲覧履歴、購入履歴、及び発信履歴等が記録される。
なお、本実施形態では、各行動履歴情報がユーザ端末20の端末記録部25に記録される例を示すが、例えば、ユーザの行動履歴の一部のみが記録される構成としてもよい。例えば、インターネット上の行動履歴は、ユーザがインターネット上において所定の行動を行った場合に、当該行動履歴が即座にサーバ装置10に送信されて、ユーザ情報として記録されてもよい。
【0031】
端末プロセッサ26は、CPU等の演算回路、RAM等の記録回路により構成される。端末プロセッサ26は、端末記録部25に記録されている情報処理プログラムをRAMに展開し、RAMに展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
例えば、端末プロセッサ26は、ユーザ操作や予め設定されたスケジュール情報に基づいて、所定のアプリケーション(プログラム)を実行し、行動履歴等の各種情報を端末記録部25に記録したり、サーバ装置10に送信したりする。
【0032】
[情報処理方法]
次に、情報処理システムにおける情報処理方法を、サーバ装置10の処理を中心に説明する。
本例では、ユーザ情報記録部121に記録されるユーザ情報のユーザID、ユーザ属性は予め登録されているものとする。ユーザ情報の登録は、例えば、ユーザ端末20からサーバ装置10が提供する所定の登録サイトにアクセスする、またはサーバ装置10の管理者が提供する所定のアプリケーションをユーザ端末20で実行することで実施することができる。
【0033】
図4は、本実施形態の情報処理方法を示すフローチャートである。
サーバ装置10のユーザ情報取得部131は、まず、ユーザ端末20から、行動履歴情報を取得し、ユーザ情報記録部121のユーザ情報を更新する(ステップS1:行動履歴取得ステップ)。
具体的には、ステップS1では、サーバ装置10は、ユーザを特定するユーザID及び行動履歴情報を取得し、ユーザIDによって特定されるユーザ情報に取得した行動履歴情報を記録(更新)する。ステップS1の実施タイミングは、例えばインターネット上での検索処理等の行動が実施されたタイミングや、店舗での決済アプリケーションを用いた決済処理が実施されたタイミング等、ユーザが所定の行動が実施されたタイミングであってもよい。或いは、予め設定された周期(例えば、所定時刻、週末、月末等)で、ユーザ端末20から送信されることで実施されてもよい。
【0034】
次に、行動圏検出部132は、ユーザの行動圏を検出する(ステップS2)。本実施形態では、行動圏検出部132は、ユーザの行動情報に基づいて、ユーザの行動圏を検出する。
例えば、行動圏検出部132は、ユーザの移動履歴から、所定時間の間、ユーザの移動がない位置を検出し、当該位置が複数日に亘って略同じ位置である場合、当該位置のユーザの拠点として検出する。また、行動圏検出部132は、ユーザの拠点を中心とした、予め設定された所定の距離範囲を、ユーザの行動圏として設定する。なお、この距離範囲は、ユーザの拠点を中心とした普段の移動距離に基づいて適宜設定されてもよい。例えば、拠点を中心としたユーザの平均移動距離を、前記所定の距離範囲として行動圏を設定してもよい。または、ユーザの移動履歴およびモーション履歴に基づいてユーザが普段利用する移動手段を検出し、各移動手段に対して予め設定された距離範囲に基づいて、行動圏を設定してもよい。
或いは、行動圏検出部132は、ユーザの移動履歴から、ユーザの拠点を中心とした移動領域を設定してもよい。この場合、行動圏は、ユーザの拠点を中心とした円範囲とはならず、実際にユーザが良く移動する領域を行動圏として設定できる。
【0035】
次に、熱狂度判定部133は、各ユーザの行動履歴情報に基づいて、ユーザの対象人物に対する熱狂度を判定する熱狂度判定処理(熱狂度判定ステップ)を実施する。
この熱狂度判定処理では、まず、熱狂度判定部133は、ユーザの行動履歴情報から、対象人物に対して当該ユーザが熱狂的に支持する行動である対象関連行動を抽出し、かつ、対象となる当該対象人物を抽出する(ステップS3)。
このステップS3では、熱狂度判定部133は、ユーザの行動履歴から、ユーザが時間及び金銭の少なくともいずれかを消費して支持した人物を対象人物として抽出し、時間及び金銭の少なくともいずれかを消費する行動を対象関連行動として抽出する。
【0036】
図5は、熱狂度判定部133により対象人物が抽出されるパターン例を示す図である。
図5のパターンAでは、対象人物を示すキーワードや画像が含まれる公開コンテンツがユーザにより発信されているパターンであり、ユーザの発信履歴に基づいて判定される。
例えば、SNS等での自身の公開プロフィール情報やユーザ自身が発信するブログやホームページ等の発信コンテンツは、いわゆるツイート等の短文を作成および発信する場合に比べて、ユーザは情報の作成に多くの時間を費やす。
したがって、熱狂度判定部133は、発信履歴に基づいて、ユーザがインターネット上に公開した公開コンテンツを特定し、当該公開コンテンツを、例えば形態素解析や画像解析等の手法によって分析して、当該公開コンテンツに含まれる対象人物を抽出する。この際、「ファン」「好き」「楽しい」等の肯定的なキーワードとともに用いられる対象人物を特定することがより好ましい。
また、熱狂度判定部133は、対象人物が抽出された場合、発信履歴における当該公開コンテンツを公開する発信行動を、そのユーザの対象関連行動として抽出する。
【0037】
図5のパターンBでは、対象人物に関連するサービスをユーザが購入したパターンであり、ユーザのインターネット上での購入履歴や、ユーザ端末20のアプリ実行履歴に基づいて判定される。
本実施形態の購入履歴としては、インターネット上の例えばオンラインショップやオークションサイト等での商品等のサービスの購入履歴が含まれる。また、アプリ実行履歴には、決済アプリケーションを用いた決裁履歴、つまり、ユーザが商品等のサービスを購入した店舗、購入した商品等のサービス、購入日時を含む履歴が含まれる。
【0038】
例えば、対象人物に関連するサービス(例えば、対象人物が出演するライブコンサートのチケットやグッズ等の商品)を購入した履歴が、購入履歴や決済履歴として記録されている場合、ユーザが対象人物に関連する事物に金銭を費やしたことを意味する。
したがって、熱狂度判定部133は、購入履歴や決済履歴に基づいて、ユーザが購入したサービスを解析して、当該サービスが対象人物に関連しているか否かを判定する。
購入したサービスの解析は、例えば、購入されたサービスに関するインターネット上の情報を参照してもよい。また、対象情報の対象属性情報には、上述のように、対象人物の活動履歴等も含まれ、対象人物に関連するサービスが含まれてもよく、この場合、対象情報から、ユーザが購入したサービスが、対象人物に関連するサービスであるか否かを容易に判定できる。また、対象人物に関連するサービスが、対象人物が開催、または出演(参加)するイベントへの参加権(例えば、ライブコンサート等のチケット)である場合、当該対象人物に関する対象情報の活動予定に、当該イベントの開催日時や開催場所が記録される。したがって、この場合でも、対象情報から、ユーザが購入したサービスが、対象人物に関連するサービスであるか否かを容易に判定できる。
したがって、熱狂度判定部133は、購入履歴に含まれる購入履歴や、アプリ実行履歴に含まれる決済履歴に基づいて、ユーザが購入したサービスを特定し、当該サービスを解析して、購入したサービスに対応する対象人物を抽出する。また、熱狂度判定部133は、対象人物が抽出された場合、購入履歴や決済履歴における当該サービスの購入行動を、そのユーザの対象関連行動として抽出する。
【0039】
図5のパターンCでは、購入試行履歴に基づいて、対象人物及び対象関連行動に基づいて判定される。
本実施形態では、購入履歴には、購入試行履歴が含まれる。この購入試行履歴は、例えば、先着順や抽選制等により販売されるライブコンサートのチケット等のサービスに対して、ユーザが購入を試みたことを示す履歴である。なお、ユーザがサービスを購入できた場合は、通常の購入履歴として記録される。よって、購入試行履歴は、購入を試みたものの、先着順や抽選等から外れて購入ができなかった場合に記録される。このような購入試行履歴は、対象人物に対するユーザの熱狂度を測るうえで有用である。
したがって、本実施形態では、熱狂度判定部133は、さらに、購入試行履歴に基づいて、上記購入履歴と同様、ユーザが購入試行したサービスを特定し、当該サービスを解析して、購入試行したサービスに対応する対象人物を抽出する。また、熱狂度判定部133は、対象人物が抽出された場合、購入試行履歴における当該サービスの購入試行行動を、そのユーザの対象関連行動として抽出する。
【0040】
図5のパターンDでは、対象人物の行動に追従するユーザの行動を検出するパターンであり、例えば、ユーザの移動履歴に基づいて判定される。
つまり、ユーザが、対象人物の熱狂的なファンである場合に、ユーザが対象人物と会うために対象人物の移動に追従して移動する場合がある(いわゆる「追っかけ」)。このような対象人物の移動に追従するユーザの移動は、通常のユーザの生活にはなくてもよい移動であり、対象人物に関して時間を費やしていることを意味する。対象人物の移動は、例えば、対象情報の活動予定情報に含まれる活動予定に記録された日時及び場所に記録されている。したがって、熱狂度判定部133は、ユーザの移動履歴と、対象情報の活動予定情報とに基づいて、ユーザが追従している対象人物を特定できる。また、熱狂度判定部133は、対象人物が特定されると、移動履歴における当該対象人物に追従する移動行動を、そのユーザの対象関連行動として抽出する。
【0041】
なお、対象人物自身の移動に対して追従していなくても、対象人物に関連する事物の位置に追従する移動を、対象関連行動として判定してもよい。
例えば、ユーザの移動履歴において、対象人物の作品が展示される展示会等、対象人物が出演する映画を放映する映画館等への移動が含まれる場合がこれに相当する。この場合、対象情報の活動予定に、対象人物が作成した作品の展示会の期間や場所、対象人物の出演映画を放映する映画館や放映期間等を記録しておくことで、熱狂度判定部133は、ユーザの移動履歴に、対象人物に関連する事物の移動に追従する移動が含まれるか否かと、ユーザが支持する対象人物と、を特定できる。
【0042】
そして、熱狂度判定部133は、各々のユーザの行動履歴に基づいて、そのユーザが対象人物に対して、どの程度の情熱で対象人物を支持するかを示す熱狂度を算出する(ステップS4)。
このステップS4では、熱狂度判定部133は、ユーザの行動履歴に含まれる対象関連行動の数に基づいた重み値、及び、複数の対象関連行動の組み合わせに基づいた重み値を用いて、熱狂度Yを算出する。
【0043】
例えば、各パターンi(iはA~Dのいずれか)に対応する対象関連行動に基本値Xiが与えられており、ユーザの行動履歴に含まれる対象関連行動の数nに応じて、パターンiの第一重み値Kinが設定される。
【0044】
また、各パターンA~Dのパターンの内容に応じて、それぞれ異なる補正値αiZが設定されている。ここで、添え字Zは、各パターンの対象関連行動の内容を示す情報であり、パターン毎にそれぞれ異なる。
例えば、パターンAでは、公開コンテンツの平均ボリューム量V(テキストの文字数や画像の数)に応じた補正値αAVが設定されている。つまり、対象人物に関するコンテンツの量が多い程、熱狂度Yが高くなるように補正値αAVが設定されている。
パターンBでは、購入したサービスの平均金額Mに応じた補正値αBMが設定される。つまり、平均金額Mが高い程、熱狂度Yが高くなるように補正値αBMが設定されている。
パターンCでは、購入試行を行った時期に応じた補正値αCEが設定される。つまり、対象人物が開催または参加するイベントの参加権の発売日時や予約開始日時と、購入試行を行った日時との差の平均Eが近い程、補正値αCEを大きくする。
パターンDでは、ユーザの居所や職場等のユーザが頻繁に利用する拠点や行動圏から、対象人物の移動に追随した移動の移動先までの平均距離Rに応じた補正値αDRが設定される。つまり、ユーザの拠点から遠いイベント会場に移動するためには、時間と金銭をより多く消費する必要があり、このような移動に対して補正値αDRを大きくする。
【0045】
さらに、関連する対象関連行動の組み合わせi×j(i,jはA~Dのいずれか)に対して、第二重み値Lijが設定される。
対象関連行動の組み合わせとして、例えば、パターンCの対象関連行動と、これに関連するパターンDの対象関連行動との組み合わせが挙げられる。
これは、対象人物が出場するイベントへの参加権(例えば、ライブコンサートのチケット等)の購入を試みたものの、参加権を購入できなかったユーザが、当該イベントの開催日にイベント会場等のイベントの開催地近傍に移動した場合である。つまり、参加権がないため、当該ユーザがイベントに参加できないが、イベント会場の雰囲気やイベント会場から漏れる対象人物の声や観客の歓声等を楽しむためにイベント会場に移動するユーザがいる。対象人物に対しての情熱的な支持がない場合、このような行動がとられることは稀であり、上記のようなユーザは、対象人物に対する熱狂度が非常に高いと判断できる。本実施形態では、上記のようなパターンCとパターンDとを含む組み合わせがある場合、他のパターンの組み合わせよりも大きい第二重み値LCDを設定する。つまり、本実施形態では、第二重み値LCDは、全ての第二重み値Lijのうちで最大値となる。
【0046】
なお、上記の第二重み値LCDは一例であり、他の組み合わせi×jに対して、それぞれ個別に第二重み値Lijが設定されている。
例えば、同一のイベントに対するパターンCによる複数回の購入試行行動(対象関連行動)と、当該イベントに関するパターンBによる購入行動(対象関連行動)とが特定された場合、様々な店舗での参加権の購入を試みて、その結果参加権を購入できた行動とみなすことができる。この場合、例えば、パターンBのみの対象関連行動があって、パターンCの対象関連行動がない場合に比べて、よりユーザが対象人物を支持している可能性があるため、熱狂度Yを高めるための第二重み値LBCがされていてもよい。
また、第二重み値Lijは、全ての組み合わせi×jに設定されていなくてもよい。つまり、Lij=0となる第二重み値Lijがあってもよい。
【0047】
そして、熱狂度判定部133は、ステップS3で抽出された、各対象人物に対する各対象関連行動に対応する基本値Xi、抽出された対象関連行動の数に応じた第一重み値Kin、各対象関連行動の内容に応じた補正値αiZ、及び、関連する対象関連行動の組み合わせi×jに応じた第二重み値Lijを用いて、例えば、下記式(1)により、熱狂度Yを算出する。なお、Zは、Z={A,B,C,D}の集合を示している。
【0048】
【0049】
なお、式(1)は一例であり、任意の関数Y=f(Xi,Kin,αiZ,Lij)により熱狂度Yを算出してもよい。
【0050】
この後、統計処理部134は、各ユーザについて算出された複数の対象人物に対する熱狂度Yを統計処理し、対象人物毎に、熱狂度Yとユーザ数との関係を示す対象熱狂度情報を算出(生成)する(ステップS5)。この対象熱狂度情報は、対象人物について、各熱狂度Yのユーザがどの程度存在しているかを示す情報であり、熱狂度Y毎のユーザ数、または熱狂度Yを複数の範囲グループで区切った場合の各グループに属するユーザ数を統計した情報である。
統計処理部134は、各対象人物について、それぞれ、対象熱狂度情報を生成する。
また、イメージ生成部135は、ステップS5で生成された対象熱狂度情報を画像情報としてイメージ化する(ステップS6)。
図6は、ステップS6によりイメージ化された対象熱狂度情報の一例を示す図である。
例えば、イメージ生成部135は、
図6に示すように、横軸を熱狂度Y、縦軸をユーザ数とした2軸グラフに対象熱狂度情報をイメージ化する。
【0051】
さらに、統計処理部134は、各対象人物について、予め設定された所定の第一閾値Y
th(
図6参照)以上の熱狂度に対するユーザ数をカウントし、当該第一閾値以上の熱狂度のユーザ数が第二閾値以上となる対象人物を高熱狂度対象として抽出する(ステップS7)。
つまり、本実施形態は、サーバ装置10は、クリエイター等の対象人物が提供する創作物を配信及び販売する配信業者等、対象人物を事業のパートナーとしてスカウトしたい業者が、利益率の高い対象人物を適正に抽出するものである。ステップS7により抽出された対象人物は、多くのユーザが高い情熱で支援していることを示しており、このような対象人物をスカウト対象とすることで、配信業者は高い利益を得ることができる。
【0052】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態のサーバ装置10は、記録部12と、プロセッサ13とを備え、プロセッサ13は、記録部12に記憶された情報処理プログラムを読み込むことで、ユーザ情報取得部131、熱狂度判定部133として機能する。ユーザ情報取得部131は、行動履歴取得部として機能し、ユーザの対象人物に対する行動履歴を取得する。熱狂度判定部は、時間及び金銭の少なくともいずれかを消費する対象人物に対するユーザの行動を対象関連行動として行動履歴から抽出し、対象関連行動に基づいてユーザの対象人物に対する熱狂度Yを判定する。
【0053】
これにより、各ユーザの対象人物に対する熱狂度Yを判定することができる。つまり、検索処理数や動画サイトの視聴回数のみでは、ユーザが対象人物に対してどの程度情熱的な支持を行っているか不明であるのに対し、本実施形態では、ユーザがその対象人物に対する行動で消費した時間や金銭に基づいた熱狂度を判定することができる。このような熱狂度を判定することで、そのユーザが対象人物に関連するサービスに対して購入する確率が高いか否かを精度よく判定できる。
このため、例えば、配信コンテンツを配信する配信業者が、多くのユーザに購入して貰えるコンテンツの制作者をスカウトする場合に、対象となる対象人物を適切に判断することができる。
【0054】
本実施形態において、熱狂度判定部133は、対象人物の行動に追従するユーザの行動を対象関連行動として抽出する。具体的には、熱狂度判定部133は、対象人物の移動に追従するユーザの移動を対象関連行動として抽出する。
このような、ユーザの対象人物の移動に追従する移動が検出される場合、当該ユーザがその対象人物を情熱的に支持している可能性が高い。本実施形態では、このような移動行動をパターンDの対象関連行動として抽出するので、ユーザの対象人物に対する熱狂度Yを精度よく算出できる。
【0055】
本実施形態では、熱狂度判定部133は、サービスの購入に関する購入履歴に含まれる、対象人物に関連するサービスの購入を対象関連行動として抽出する。
ユーザが対象人物に関連するサービスを購入する場合、ユーザがその対象人物を支持する可能性が高い。また、対象人物に関するサービスを複数回購入している場合や、高額のサービスを購入している場合、ユーザがその対象人物を支持している可能性がより高くなる。本実施形態の熱狂度判定部133は、このような購入行動をパターンBの対象関連行動として抽出するので、ユーザの対象人物に対する熱狂度Yを精度よく算出できる。
【0056】
本実施形態において、購入履歴は、サービスに対する購入を試みる購入試行履歴を含む。
ユーザが対象人物に関連するサービスを購入していない場合であっても、当該サービスの購入を試みた場合、ユーザがその対象人物を支持する可能性が高い。特に、コンサートチケット等の販売数に限度があるサービスでは、先着順や抽選等による販売を行うことも多く、コアなファンであっても、当該コンサートチケットを購入できない場合もある。これに対して、本実施形態では、熱狂度判定部133は、購入試行履歴に基づいて、購入試行行動をパターンCの対象関連行動として抽出する。これにより、対象人物に対して高い熱狂度を有するユーザが、対象人物に関連するサービスを入手できなかったとしても、当該ユーザの熱狂度が低いと判定されることがなくなり、ユーザの対象人物に対する熱狂度Yを精度よく算出できる。
【0057】
本実施形態において、ユーザ情報取得部131は、行動履歴として、ユーザによって作成された公開コンテンツのインターネット上への発信履歴を取得する。そして、熱狂度判定部133は、対象人物を示すキーワードまたは画像が含まれる公開コンテンツの発信行動を対象関連行動として抽出する。
本実施形態における公開コンテンツとは、上述したように、SNSにおける公開プロフィールやブログやホームページ等を例示でき、いわゆるツイートとの短文の投稿情報とは異なり、ユーザが一定の時間を費やして作成するコンテンツを指す。このような公開コンテンツにおいて、対象人物に関する内容を記載することは、ユーザが対象人物に関して時間を費やしており、ユーザがその対象人物を支持する可能性が高い。したがって、このような公開コンテンツの発信行動を対象関連行動として抽出することで、ユーザの対象人物に対する熱狂度Yを精度よく算出できる。
【0058】
本実施形態では、熱狂度判定部133は、対象関連行動毎に設定された基本値Xiと、抽出された対象関連行動の数nに応じた第一重み値Kinと、を用いて、熱狂度Yを算出する。
ユーザが、対象人物に対する所定の行動を複数回実施するほど、当該ユーザが対象人物に対して情熱的に支持している可能性が高い。例えば、ユーザが、対象人物を含む公開プロフィール情報を公開し、対象人物が開催するイベントに参加し、対象人物に関する商品を購入している場合、単に対象人物に関する商品を購入するユーザに比べて熱狂的に対象人物を支持している可能性が高い。本実施形態では、このような対象関連行動の数に応じた第一重み値Kinにより基本値Xiを補正することで、適切な熱狂度Yを算出できる。
【0059】
本実施形態では、熱狂度判定部133は、対象関連行動毎に設定された基本値Xiと、抽出された関連する対象関連行動の組み合わせに応じた第二重み値Lijと、を用いて熱狂度Yを算出する。
ユーザが、対象人物に対する所定の行動に関連する複数のアクションを起こす場合、当該対象人物に対して情熱的に支持している可能性が高い。例えば、ユーザが、対象人物が開催するイベントに参加し、かつ、当該イベントで対象人物に関する商品を購入している場合、単に、対象人物の開催するイベントに参加しただけのユーザに比べて熱狂的に対象人物を支持している可能性が高い。本実施形態では、このような関連する対象関連行動の組み合わせに応じた第二重み値Lijにより基本値Xiを補正することで、適切な熱狂度Yを算出できる。
【0060】
熱狂度判定部133は、ユーザによりイベントの参加権の購入が試行されたものの当該参加権を購入できなかった旨の購入試行行動と、当該イベントの開催日に当該イベント会場に移動する旨の移動行動と、を対象関連行動として抽出した場合、他の対象関連行動の組み合わせに対する第二重み値Lijに比べて大きい第二重み値LCDを設定する。
つまり、パターンCのように、ユーザがイベントへの参加権を購入試行したものの購入できなかった旨が検出された場合、通常、イベントへの参加を諦めることが多く、イベントに参加できないにも関わらず、当該イベント会場に移動することは、ユーザが対象人物を情熱的に支持している可能性が非常に高い。したがって、このようなパターンC,Dの対象関連行動の組み合わせに対する第二重み値LCDを、全ての第二重み値Lijでの最大値とすることで、適切に熱狂度Yを算出できる。
【0061】
本実施形態では、熱狂度判定部133は、抽出された対象関連行動の内容に応じた補正値αiZを用いて、基本値Xiを補正する。
例えば、同じパターンの対象関連行動であっても、時間や金銭の消費量がそれぞれ異なることがあり、これらを同一の基準値とすると、適正な熱狂度を算出できない。これに対して、本実施形態では、対象関連行動の内容に応じた補正値αiZにより基本値Xiを補正することで、より適正な熱狂度Yの算出が可能となる。
【0062】
例えば、本実施形態では、プロセッサ13は、ユーザの行動圏を検出する行動圏検出部132として機能する。そして、熱狂度判定部133は、対象人物の移動に追従するユーザの移動行動をパターンDの対象関連行動として抽出した場合、対象関連行動における移動先と行動圏との平均距離Rに基づく補正値αDRを用いて、基本値XDを補正する。
例えば、東京都に在住のユーザが東京都で開催されるイベントに参加するために移動する場合に比べて、東京都に在住のユーザがヨーロッパ等の海外で開催されるイベントに参加するために移動する場合では、多くの時間と旅費を費やす。通常、このような遠方への移動は躊躇することが通常であり、当該移動を検出する場合、ユーザが対象人物に対して情熱的に支持している可能性が高い。本実施形態では、このような、対象人物の移動に追従する移動が、当該ユーザにとって、どの程度の負担となる移動であるかに応じた補正値αDRを適切に設定することができ、より適切に熱狂度Yを算出できる。
【0063】
本実施形態では、プロセッサ13は、さらに統計処理部134として機能する。この統計処理部134は、複数のユーザについて、対象人物に対して判定された熱狂度Yを統計処理する。そして、対象人物に関し、熱狂度Y毎のユーザ数を示す対象熱狂度情報を生成する。
つまり、統計処理部134は、各対象人物を支持するユーザの熱狂度分布を視覚化することができる。これにより、例えば対象人物を事業のパートナーとしてスカウトしたい業者は、対象人物に関して、熱狂度Yの高いユーザがどの程度存在するかを容易に判定することができ、どの対象人物をスカウトすべきかの支援を行うことができる。
【0064】
統計処理部134は、複数の対象人物に対してそれぞれ対象熱狂度情報を生成し、第一閾値Yth以上の熱狂度Yに対応するユーザ数が第二閾値以上となる対象人物を高熱狂度対象として抽出する。
これにより、対象人物を事業のパートナーとしてスカウトしたい業者が、統計処理結果を自ら分析する必要がなく、自動でスカウト対象の対象人物を抽出することができる。
【0065】
[変形例]
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で、以下に示される変形をも含むものである。
【0066】
[変形例1]
上記実施形態では、ステップS1において、ユーザ端末20からユーザ情報を取得する例を示すが、これに限定されない。例えば、SNSを提供するSNSサーバ、検索サービスを提供する検索サーバ等の他のサービスサーバから、ユーザ情報を取得してもよい。
この場合、各種サービスサーバで保有するユーザ情報を関連付けるユーザ関連付け処理を実施する。ユーザ関連付け処理は、例えばユーザ端末20によって実施され、サーバ装置10の管理者が提供する第1のサービスに関するユーザアカウントと、他のサービスサーバが提供する第2のサービスに関するユーザアカウントとを関連付ける旨の操作が実施されることで、ユーザ端末20からサーバ装置10に、関連付けるユーザアカウントの情報が送信される。これにより、サーバ装置10は、第2のサービスを提供するサービスサーバから、第2のサービスに関するユーザアカウントで特定されるユーザ情報を取得し、ユーザ情報記録部121のユーザ情報に登録することができる。したがって、ユーザ端末20から直接行動履歴を取得しない場合でも、ユーザが利用する他のサービスのサービスサーバからユーザの行動履歴情報等を取得することが可能となる。
【0067】
[変形例2]
上記実施形態では、サーバ装置10の管理者が予め対象人物を選定して、分析対象情報記録部に当該対象人物の対象情報を記録する例を示すが、これに限定されない。例えば、プロセッサ13は、対象選出部として機能してもよい。
この場合、対象選出部は、例えば、インターネット上のコンテンツをクロール処理して、所定数以上のコンテンツにキーワードとして含まれる人物を、対象人物として選定してもよい。これにより、インターネット上で話題に挙がっている対象人物をタイムリーに検出でき、人の手によって対象人物を選定する場合に比べて、より広い範囲で対象人物を選定できる。
【0068】
或いは、対象選出部は、ユーザの行動履歴に基づいて、対象人物を選出してもよい。例えば、ユーザの発信履歴の公開プロフィール情報のテキスト文を、形態素解析等の解析処理を実施し、「ファン」等の肯定的表現とともに用いられるキーワードを対象人物として抽出してもよい。或いは、ユーザの購入履歴や決済履歴、移動履歴に基づいた情報を、インターネット上から検索して、対象人物を抽出してもよい。例えば、ユーザが商品等のサービスを購入した場合に、当該サービスの提供元が公開するウェブコンテンツを参照して対象人物を抽出してもよい。また、ユーザの移動履歴に基づいて、ユーザがイベント会場に移動した場合、当該イベント会場で開催されたイベントに関するウェブコンテンツを参照して、イベントに登場する対象人物を抽出してもよい。
【0069】
[変形例3]
上記実施形態では、対象の行動に追従するユーザの行動として、対象人物の移動に追従するユーザの移動行動を、パターンDの対象関連行動として検出したが、これに限定されない。
例えば、アーティストのファンが、当該アーティストを同じ髪型に変える、当該アーティストが愛用するアクセサリーを購入する等、対象人物の行動を真似る行動等を検出してもよい。これらは、例えば、SNSに投稿される投稿情報から検出されてもよく、購入履歴や決済履歴から検出されてもよい。
【0070】
上記実施形態では、パターンi×jの組み合わせに応じた第二重み値Lijを設定する例を示したが、さらに、パターンiに対応するパターンjがない場合に、熱狂度Yを減算する減算値Dijが設定されてもよい。
例えば、パターンBでイベントに対する参加権を購入する対象関連行動が特定されたにも関わらず、当該イベントの開催日にイベント会場に移動するパターンDの移動行動がない場合、参加権が他人に譲られた可能性等もあり、このような場合に、減算値DBDが設定されていてもよい。
【0071】
[変形例4]
上記実施形態では、対象が人物である例を示したが、これに限定されず、特定の商品等であってもよい。例えば、所定の化粧品会社が販売するコスメ商品を対象としてもよい。ただし、この場合、対象の行動に追従するユーザの行動は検出できない。
【符号の説明】
【0072】
10…サーバ装置、11…通信部、12…記録部、13…プロセッサ、121…ユーザ情報記録部、122…分析対象情報記録部、131…ユーザ情報取得部、132…行動圏検出部、133…熱狂度判定部、134…統計処理部、135…イメージ生成部。