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特許7249343垂直農場を管理するための自動モジュール式システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】垂直農場を管理するための自動モジュール式システム
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/04 20060101AFI20230323BHJP
   A01G 9/00 20180101ALI20230323BHJP
【FI】
A01G31/04 B
A01G9/00 C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020529837
(86)(22)【出願日】2018-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-15
(86)【国際出願番号】 IB2018055670
(87)【国際公開番号】W WO2019030606
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-07-06
(31)【優先権主張番号】102017000092004
(32)【優先日】2017-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】520046443
【氏名又は名称】オーエヌオー エクスポネンシャル ファーミング ソチエタ レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【弁理士】
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】アンブロージ,トーマス
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-136790(JP,A)
【文献】特開2012-120455(JP,A)
【文献】特開平06-227612(JP,A)
【文献】実開平06-010210(JP,U)
【文献】特表2016-539662(JP,A)
【文献】特開2016-204154(JP,A)
【文献】特開2014-121287(JP,A)
【文献】特開平01-256325(JP,A)
【文献】特開2015-213491(JP,A)
【文献】国際公開第2017/024353(WO,A1)
【文献】特開2014-132847(JP,A)
【文献】特開2012-210185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 31/04
A01G 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水耕農業、または空中農業、またはアクアポニック農業を通じて栽培される植物などを収容するために使用されるトレイを取り扱うための自動モジュール式システムであって、四角形の平面およびそれぞれの垂直支持部によって区切られた垂直配列を持つ第1のモジュールを備え、前記第1のモジュールは、それぞれがトレイ用の複数の実質的に水平で且つ重なり合う支持シートまたはガイドを含む2つの側方領域と、垂直移送デバイスが、下降位置から各トレイの対応する上昇位置まで、および前記上昇位置から前記下降位置まで、前記垂直移送デバイスを動かすモータによって作動される移動要素に配置される垂直軸に沿って摺動可能に作用する中央領域とを含み、前記垂直移送デバイスは、トレイ用の静止棚と、前記トレイを第1の水平軸に沿って前記側方領域の一方の内部に設けられた対応するシートからおよび当該シートに向かって移送する第1の要素を備え前記第1のモジュールは、前記中央領域に配置された第2の要素をさらに備え、前記中央領域では、前記垂直移送デバイスが動作して、前記トレイが前記垂直移送デバイスの棚に配置された場合にトレイを取って、前記第1のモジュールに並んで配置され且つ接続された第2のモジュールの別の垂直移送デバイスの別の棚に向かって前記トレイの直接移送を実行するために前記第1の水平軸に直交する第2の水平軸に沿って前記トレイを移動させる、システム。
【請求項2】
互いに隣接して配置され且つそれらの少なくとも2つが前記第1の水平軸または前記第2の水平軸に沿って一直線になるように相互接続された複数のさらなるモジュールをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
各モジュールが正方形であり、前記側方領域の各々および前記中央領域が実質的に同一の平面寸法を有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2の要素は、前記トレイに作用する電動ローラまたはベルトを備え、前記棚には開口が設けられており、前記開口内において、前記電動ローラはトレイを取るために作動する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
1つのモジュールの側方領域から隣接するモジュールの側方領域まで前記第1の水平軸に沿ってトレイを動かすように構成された隣接モジュールのガイドまたはシート間で協働するデバイスをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記デバイスは、隣接するモジュールの対応するそれぞれの側方領域間に配置された互いに対向し且つ平行な一対の電動ベルトを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記トレイの移動の取り扱いは、各モジュールに属する前記垂直移送デバイスの移動および各モジュールに属し且つ隣接するモジュールを接続する水平移送デバイスの移動を制御する電子制御ユニットによって制御される、請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
少なくとも1つのモジュールが、植物の成長に適した照明および/または灌漑手段および/または要素を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
各モジュールは、各々が前記トレイに収容される植物の成長のための異なるまたは均一な機能に対応する異なる重複領域に分割される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記トレイが各モジュール内において異なる機能を有する異なる領域に配置され、前記異なる領域の1つは作物を夜間シミュレーション条件にさらすために適切に遮蔽され且つ照明がなく、前記異なる領域の別のものは、光合成のための昼間および日射のシミュレーションに使用される照明手段を含み、前記異なる領域の別のものは、灌漑手段を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
各モジュールは、前記システム内において異なる機能を有する異なる領域に配置され、前記異なる領域のうちの1つは作物を夜間シミュレーション条件にさらすために適切に遮蔽され且つ照明がなく、前記異なる領域の別のものは、光合成のための昼間および日射のシミュレーションに使用される照明手段を含み、前記異なる領域の別のものは、灌漑手段を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
種々の種類の作物に基づいて多様化することができる播種に使用される1つまたは複数の領域をさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記トレイの移動は、電子制御ユニットおよび/または個々の植物製品の播種座標および個々の植物製品の物理的位置が個々のトレイの配置として記録されるメモリを備えた情報システムによって処理および駆動される、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
各植物の状態を処理し、個々の植物製品の成長プロセスを最適化するために、各植物の状態を、同様の特性を持つ植物製品の状態を持つ以前に記録された画像と比較し、健康状態を評価する情報システムにデータを送信することにより前記トレイ内の前記植物製品の状態を記録するように構成された、1つ以上のモジュールの適切な領域に割り当てられた1つ以上のカメラをさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に水耕栽培または空中栽培またはアクアポニック(aquaponic)タイプの垂直農場を取り扱うための自動モジュール式システムに関する。
【0002】
より正確には、本発明は、植物の無土壌農業に使用されるいわゆる「垂直農場」を取り扱うための自動モジュール式システムに関する。本発明は、水耕システムを参照して以下に説明されるが、このことは、採用され得る建設技術に関して差別化の際に具体的に言及され得る無土壌農業の他の方法を除外しない。本発明によるシステムは、垂直且つ四角形の平面配列を有する複数のモジュール式収納ユニットで構成され、各ユニットは、トレイがガイド上にスライド可能に配置された複数のレベルを備え、各トレイは、各トレイに収容される植物または水耕農産物の充填と収集を可能にする可動システム制御ハンドリングユニットによって個別に収集できる。
【0003】
本発明による垂直農場用の自動モジュール式ハンドリングシステムは、従来の垂直農場を使用して遭遇する問題、すなわち、各モジュール内に垂直方向の伸展によって様々なレベルに作物が配置された水耕システムの取り扱いの困難性に由来する問題を解決することを意図している。
【0004】
本発明は、有利には、水耕または空中およびアクアポニック農業に使用される垂直農場を取り扱うためのシステムの分野に適用される。
【背景技術】
【0005】
いわゆる垂直農場の最近の開発が知られている、すなわち、水耕技術に基づく垂直農業が知られており、その優位性は、特別な条件で植物の成長の進行を可能にすることであり、特別な条件の一部は以下に示される。すなわち、
・土壌を使用しない可能性、
・垂直方向のボリュームの活用、
・屋内農場の可能性、
・水の使用の最大80%の削減、
・生産性の向上、
・肥料と農薬の使用の廃止、
・地下水面の結果としての関与による土壌中の物質の分散の排除、
・放棄された建物の再開発、
・地元産の生産、
・季節に関係ない、年中無休の連続農業である。
【0006】
一般に、水耕農業は、無土壌農業技術の1つを実行することを意味し、土壌は、膨張粘土、パーライト、バーミキュライト、ココナッツ繊維、ロックウール、ゼオライトなどの不活性基質に置き換えられ、したがって、空中およびアクアポニック技術も含む。
【0007】
植物は、通常のミネラル栄養のための全ての必須の要素を提供するために必要な、水および化合物(水耕技術または空中技術の場合は主に無機化合物であり、アクアポニック技術の場合は有機または混合化合物である)で構成される栄養価の高い溶液で灌漑される。当該技術は、別名水耕という用語で知られている。水耕農業により、品質と衛生の両方の観点から、年間を通じて生産を制御できる。
【0008】
水耕垂直農業システムは、作物が様々なフロアまたはレベルに配置され、作物自体が垂直に広がるという事実に基づく。
【0009】
利点は明らかでる。短いタイムスケールでのターゲット生産により、水耕農業システムによって保護される地下水面の保護は別として、制限されたスペースや再開発されたスペースでさえ、農薬や化学肥料なしで、水の目標使用と一年中の農業の可能性とをユーザの近くに供給することができる。
【0010】
これらの理由により、このタイプの農場は常に重要性を増している。
【0011】
これらの水耕農場の一部は日光を使用して行われるが、この場合、生産のタイムスケールは天候に依存する一方、他の場合では、照明、一般的且つ最近では最新世代のLED技術の照明と、農場全体に分散された集中型灌漑システムとを備えたシステムが使用される。
【0012】
照明システムは、プランテーションが成長に必要であり且つ経験と各種類の作物の成長時間から得られたタイムスケールとアルゴリズムで変調されるフォトニックスペクトル全体を受け取るように設計される。
【0013】
灌漑システムは、プランテーション全体(数百メートルまたはkmのパイプ)を通る栄養液(水およびミネラル塩)を選別するための選別センタを提供し、全ての植物がその栄養分の用量を受け取るようにする。理論的には全ての作物が同じ栄養を摂取する必要があるが、全ての植物で目的が確実に達成されるという確実性はない。
【0014】
収穫が手作業で行われる必要がある場合、作物の配置は垂直配置で行われ高さ制限を伴う一方、高さ調整の可能性がある自走式トラックを介した収穫の場合には、数メートルの高さに達することがあり得る。
【0015】
製品を収容するトレイは、物流センタの商品の保管倉庫で使用される棚と同様の棚に配置される。
【0016】
一般に、水耕農業システムは、垂直型であっても、特に植物によって使用されていない栄養価の高い溶液を回収してリサイクルする閉鎖システムでは、水の消費量の削減という結論をもたらし、結果として、土壌での伝統的な農業に対して最大で80-90%まで水を削減する。
【0017】
さらに、そのような農場は肥料の効率的な使用および植物栄養の改善された管理につながり、植物検疫条件についてより良い制御もある。すなわち、もはや土壌に関係なく、土壌によって広がる病気の発生率および土壌に通常存在する寄生虫は、除去されないとしても減少する。
【0018】
さらに、水耕農業、垂直型の水耕農業も、雑草との競争の排除を確定する。
【0019】
無土壌システムは、乾燥した環境や気候で効率的に使用できる。それらは、廃棄物の削減および水と栄養素の損失の削減を意味し、したがって、環境への影響が低くなり、非常に制限された作物保護製品および除草剤の使用と結びつくからである。
【0020】
垂直方向の伸展を持つ伝統的な水耕農場の使用で遭遇する問題は、様々なレベル、特により高いレベルに配置された作物の取り扱いが難しいことであり、到達するために梯子の使用が必要であるか、またはシステムの機械化のために、場合によってはトラックやフォークリフトなどの自走式の手段も使用される。
【0021】
また、機械化されたシステムでは作物の直接制御および取り扱いができないので、そのような機器の使用は、また、より高いレベルに置かれた作物の取り扱いの問題を強調している。
【0022】
さらに、閉鎖環境内で実行される垂直方向の伸展を持つ農場では、頻繁に使用されるコラム要素は、農場が作成される建物内の床の高さによって決定される高さの制限を受ける。既知のシステムのモジュール性の欠如は、柔軟なソリューションを許さず、決定された位置にコラム要素を配置する目的で建物内の床を取り壊すことがしばしば必要である。
【0023】
文書WO2017/024353およびUS2015/0282437に開示されたソリューションも、先行技術で知られている。これらのソリューションは、農業植物用に使用されるコンテナが配置される様々な棚を備えたコラム要素の使用を想定している。ただし、このようなソリューションはモジュール式タイプではない。このようなソリューションは、ある要素と別の要素との間および個々の要素の内側との両方において位置を変えるために、各要素の各棚に到達するトレイから連続した組み合わせによってさらに相互接続可能なコラム要素を追加する可能性を想定していないためである。
【0024】
したがって、相互接続を維持する拡張可能な構造の欠如による真のモジュール性の欠如は、農場を拡張する必要がある場合にさらに変更できない決定された寸法特性で製造されたそのようなシステムの使用の可能性を制限する。
【発明の概要】
【0025】
本発明は、水耕生産の機械化および自動化の可能性、特に垂直配列の構造を使用する可能性を進展させることを目指している。
【0026】
実際、本発明の目的の1つは、垂直モジュール式要素を備えた水耕垂直農場の特定のローディングおよびアンローディングユニットの移動および取り扱いのための新しいシステムの導入であり、これは複数のモジュールに役立つよう適応された同一の移動ユニットを活用でき、上記で強調した欠点を排除または大幅に軽減する。
【0027】
本発明は、特に、設計が必要ではないが、モジュラー式システム自体の拡張を可能にする追加の標準化されたコンポーネントの統合のみが必要である、水耕農場、特に垂直配列を持つ水耕農場に使用される構造用の移動およびハンドリングシステムを提供することを目的とする。
【0028】
さらに、水耕農場、特に本発明による垂直配列を持つ水耕農場に使用される構造用の移動およびハンドリングシステムにより、モジュールのトレイを横方向に交換できるので、したがって、様々なモジュールの自由な配列が可能になり、所望の方法で使用可能なスペースを埋めたり、形状を「デザイン」したりできる。
【0029】
水耕農場、特に本発明による垂直配列を有する水耕農場のために使用されるモジュール式構造を取り扱うための移動システムの非常に重要な機能は、各垂直モジュールの動作の独立性である。実際、システム内で棚の移動が進行している場合、移動作業と並行して作業できる棚自体を収集および移動させるために設けられたエレベータが、作業効率の正味の増加を決定する。
【0030】
これは、水耕農場、特に本発明による垂直配列を有する水耕農場に使用される構造用の移動およびハンドリングシステムを通じて得られ、その特徴は主請求項に記載されている。
【0031】
本ソリューションの従属請求項は、本発明の有利な実施形態を概説している。
【0032】
本発明によるシステムの主な利点は、水耕農場に使用されるモジュール構造を使用する可能性に関し、当該モジュール構造は、個別のままであることができ、または同タイプの水耕農場に使用される他の同一のモジュール構造にモジュール方式で接続することができ、要件に応じてシステムを徐々に成長させることができるモジュール性の概念を利用する。
【0033】
他の既知のシステムとは異なり、本発明による水耕農場に使用される構造用の移動およびハンドリングシステムは、それらが設置される場所の容積の占有を改善することを可能にする。
【0034】
本発明によるシステムは、任意選択的に、視覚的管理が電子検索を通じておよび人工表示システムで行われることを可能にする。
【0035】
さらに、本発明によれば、水耕農場に使用されるモジュール構造の配列は、計画空間を可能な限りベストに満たすように設計できることが想定されており、インタフェース位置に関して自由な形状を生成し、または利用可能空間のほぼ完全な充填を生み、モジュールを連続的に追加できる容量を作成して、したがって、占有面積を最適化する。
【0036】
また、本発明によるシステムを備えるモジュールは、トレイを任意の高さで交換できるという事実のおかげで、マルチレベルの建物内でトレイを輸送できる交換モジュールを提供することが可能であり、システムの継続性を保護し且つ建物の1つのレベルと次のレベルとの間の床の取り外しを必要としない。
【0037】
本発明によるシステムを使用することにより、非常に長い配管を必要とするシステム全体にわたる分布を回避するために、各モジュールに限られた灌漑領域が提供されることを想定することが可能である。
【0038】
実際、本発明による水耕農業システムは、特定の光スペクトルの放出のための特定のタイプの種々のタイプのランプを備えたモジュールを持つ領域を作成することを想定しており、作物を収容するトレイの移動の可能性のおかげで、それらを種々の暴露サイクルにさらすことができる。
【0039】
本発明によれば、ランプのスイッチを切ることなく、トレイを暗い領域に移動することにより、暗闇でのサイクルを可能にするために、モジュールの一部の領域は光放射システムから除外されてもよいことが想定される。
【0040】
これにより、照明要素を節約できる。
【0041】
トレイ内の作物を移動させる可能性により、定義された高さのステップで、放射源から作物を離すことができるので、吸収条件を変えることができる。
【0042】
いくつかの構成におけるモジュールは、空気環境用の空調システムの存在、したがって、水分や空気の組成などのパラメータの管理を想定できる。
【0043】
本発明によるシステムの情報システムは、ニューラルアルゴリズムの特性に基づいて、機械学習および深層学習システムを起動することを可能にする、すなわち、異なる種類の作物の場合に作動される情報または予想される最良のサイクルに関する情報を提供するシステムデータベースを徐々に提供できるスマート管理を起動することを可能にする。
【0044】
成長した各々の個別の植物の位置がわかっているので、播種から収穫までの全ての特性、栄養素に関して個々の植物がどれだけ吸収したか、どの光を吸収したかなどがわかっている。
【0045】
したがって、全てのプラントを完全なトレーサビリティで制御することができる。
【0046】
播種に関して、本発明による1つ以上の個々の垂直モジュールを備えた水耕農場を取り扱うために使用される構造は、異なる種類の作物が望まれるときはいつでも自動化することができる。
【0047】
情報システムによって操作される(piloted)そのような自動化により、市場に導入される将来の製品を播種段階から追跡することが可能になる。これは、トレイは一意であるので、モジュール式システムに挿入されたトレイのシステム内の物理的位置、および以前に埋め込まれたポッドを使用するまたは播種する場合の割り当て座標がわかっているためである。
【0048】
これは、座標がわかっていることを考慮しつつ、各々の個別のプラントでさえも、供給液に導入する添加剤の種類を差別化する可能性と、区別によって量とその混合とを差別化する可能性とによって、各システムの水圧(hydraulic)部分を大幅に削減することを意味する。生育期間中に、既知のIDを持つ植物がどれだけの水を受け取ったか、添加物の量、散布頻度などに関する情報をそれに追加することが可能になる。
【0049】
モジュールの領域に割り当てられ且つトレイ内の植物の状態を記憶する1つまたは複数のカメラの存在も想定されている。情報管理システムは、各植物の状態を考慮して、それを類似の特徴(種類、作物、時期)を持つ植物の状態の、以前の画像と比較し、その健康状態を評価する。
【0050】
このようにして、植物の成長のための是正処置を有効にすることが可能になる。また、食物の混合、露光量、時間などの様々な組み合わせを履歴化することが可能になり、成長プロセスの変化および継続的な最適化が可能になる。
【0051】
これは全て、各々の個別のプラントのデータと画像の一定のソースに変換され、そのようなデータは製品のトレーサビリティの終了まで維持できる。
【0052】
したがって、植物の以前の識別データに加えて、トレーサビリティのための、または研究と最適化のための情報において、露光時間、距離、色、したがってそれらが受けた露光サイクルに関連する全ての変数を保存することが可能である。
【0053】
また、播種目的、事前に植えられた(pre-planted )ポッドの導入、および収穫のための、製品を収容する所定のトレイを完全に取り外す可能性も想定され、製品はトラックなどの自走式手段を介して他の目的地に運ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面に示される図の助けを借りて、非限定的な例として提供される本発明の実施形態の以下の説明を読むことから明らかになるであろう。
図1】さらに隣接するモジュールと接続することができる本発明によるシステムに関連する垂直水耕農業に使用されるモジュールを例示する側面図である。
図2】任意のレイアウトに従って配置でき且つ本発明によるモジュール式物流システムとして使用可能な複数の隣接モジュールを備えた水耕農業システムの例の正面概略図である。
図3図2によるシステムの概略平面図を表す。
図4】本発明によるハンドリングシステムで使用される水耕農業構造のモジュールの概略斜視部分分解図を示す。
図5-6】それぞれ側面図および概略斜視図であって、本発明によるモジュールに関するエレベータデバイスと協働する、軸Xに沿ってトレイを引くためのシステムを示す。
図7】本発明による無土壌作物の自動ハンドリングのための可能なシステム構成の概略平面図を示す。
図8】モジュールを形成するためにクロスピースで結合された支持部の構成を強調する平面図を示す。
図9-11】Y軸に沿って横方向におよびZ軸に沿って垂直にトレイを移動するためのデバイスを備えた、一対の横方向に結合されたモジュールを表す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
添付の図面、特に最初に図1および2を参照すると、30は一般に、本発明による垂直水耕農場を取り扱うために使用される構造の個々のモジュールを示す。前記モジュール30は、垂直配列および四角形の平面を有する実質的に平行六面体の形状を有し、下部静止面から起立する、対応するそれぞれの垂直支持部31によって支持される2つずつ互いに対向する2つのフランクを含む。
【0056】
図2および図3を参照すると、本発明によれば、水耕農場の垂直ハンドリングに使用される構造の個々のモジュール30は、他の個別の隣接モジュール30と並んで配置され、モジュールのネットワークを形成することが想定され、当該ネットワークにより、内部交換システムを介して、各モジュールに存在する水耕作物の植物を収容するための適切なトレイ32を移動することが可能である。
【0057】
特に、各々の個別のモジュール30内には、作物を収容するトレイ32が存在し、トレイは、それらが含まれるモジュールからである必要はなく、あらゆるステーションから収集されて取り扱うことができる。
【0058】
より正確には、図4を参照すると、各モジュール30は、垂直配列を持つ構造フランクを含む4つの支持部31を含み、構造フランクは、水耕農場の製品を収容するように適合された複数のトレイ32の、水平方向(図4の軸Y)における、導入のためのシートまたは水平ガイドを備える。
【0059】
例えば、そのようなトレイは、播種された作物が成長できるか、または規定された幾何学に従って配置された不活性および事前に植えられた材料を含むポッドが堆積できる適切な基板を含む。
【0060】
トレイ32のハウジングを規定する図4に示される構造フランク31は、互いに対向して2つずつ配置され、それらの間に、棚33’が垂直移送デバイス33(図9-11を参照)に関連して動作する中央空間が規定され、当該垂直移送デバイス33は、垂直配置の4つのプーリベルトまたはチェーンに配置され且つ垂直移送デバイス33の棚33’を地面レベルの下降位置からモジュール30の上部閉鎖パネルに近接する上昇位置に、および当該上昇位置から当該下降位置に並進できる電動アセンブリ34によってアクティベートされる。
【0061】
垂直移送デバイス33の棚の移動を可能にする4つのプーリベルトまたはチェーンは、トレイ32を支持するための各構造フランク31の内部垂直縁部に沿って配置される、すなわち、それらは、垂直移送デバイス棚33自体の棚33’が動作する中央コンパートメントに面している。前記垂直移送デバイス33は、モジュールの構造の内側に沿って移動して移動システムが占めるスペースを削減する。このようにして、トレイ32の横方向の移動のためのスペースは空いている。
【0062】
したがって、図から明らかなように、本発明によるシステムのベースモジュールは、平行六面体の形状を有し且つ3つの別個の領域を備えたコラムで構成され、当該3つの別個の領域の中央は垂直移送デバイス33の棚の移動用であり、2つの側方の領域はそれぞれ、中央領域の一方の側および他方の側であり、水耕作物を収容するトレイ32のための静止手段を備える。
【0063】
一実施形態によれば、垂直移送デバイス33の棚33’には、垂直移送デバイス33の棚33’の内側に、動作中に、面する電動ローラ36であって、高さが棚33’自体の水平面を超えている電動ローラ36を備える交換デバイスによって遮断されるように適合された複数の開口35がさらに設けられる。
【0064】
このデバイスは、垂直移送デバイス33が各トレイ32に到達できることを許容し、各トレイ32はそのハウジングから収集され、垂直移送デバイスに搭載され、モジュールの任意のレベルに到達するまで移動され得る。
【0065】
トレイ32が垂直移送デバイスによって収集されて電動ローラ36にガイドされると、電動ローラ36は垂直移送デバイスのトレイ33’の開口35を横切り、トレイ32を取り、隣接するモジュールの垂直移送デバイスの棚に置くまで、類似した電動ローラを備える隣接するモジュールに向かって水平に並進させる。
【0066】
モジュール30の中央領域と側方領域の1つとの間のトレイ32の移送に関して、それ自体のシートに配置したりそこから収集したりできるように、垂直移送デバイスには、図面に示されたY軸に従ってトレイを移送するための水平機械移送手段が設けられている。水平機械移送手段は、先行技術において周知であり、本明細書ではこれ以上説明されない。
【0067】
様々なモジュールが互いに隣接して存在する場合には常に、全てのモジュールが同一の高さで独自の垂直移送デバイスを持つ必要はないが、開始モジュールと到着モジュールのみが同一の高さの垂直移送デバイスを持つ必要がある。中間モジュールは、したがって、配送方向においてそれらに先行するモジュールと係合すると、適切な並進アセンブリをアクティベートできる。
【0068】
図5および図8に示されるように、各モジュールは、それぞれが構造クロスピースによって互いに接続された対の垂直金属プロファイル81から構成された、構造フランクを含む4つの支持部31を含む。
【0069】
4つの支持部31の間に設けられた中央領域では、垂直移送デバイス33が作動し、これがトレイ32の垂直移動(図4の軸Z)を決定する。
【0070】
プロファイル81の少なくとも1つでの垂直移送デバイス33の移動のために、支持部31間のモジュール30の中央部に配置された垂直移送デバイスを移動するための運動学的手段84(図8参照)が配置される。
【0071】
図8に示されるように、支持部31は最初にクロスピース83と支コラムまたは構造タイロッドで2つずつ一緒に結合されており、支持部が耐荷重性である棚のセットを構成し、同じ側で各支持部31の内側に向かって配置されたベルトまたはプーリを備えた垂直移送デバイス33の移動のための運動学84を支える。
【0072】
したがって、2つのフレームが得られ、当該2つのフレームの各々は、互いに2つずつ向かい合い且つ他の構造要素と間隔を空けて配置されたベルトまたはチェーンを備えた互いに対向して配置された2つの支持部または構造フランク31の結合によって構成され、これらがモジュール30の構造骨格の実現を可能にする。
【0073】
本発明の好ましい実施形態によれば、モジュール30は、各辺が同じ長さを有する正方形の平面を有し、実質的に同一の幅を有する3つの内部領域に分割され、中央領域は垂直移送デバイスの移動用であり、2つの側方領域はトレイ32の配置用である。
【0074】
モジュール30が正方形の平面形状を有するこの実施形態によれば、モジュール30は、繰り返し且つモジュール式の方法で無限に、側面に置かれて互いに接続され得る。
【0075】
システムの簡略化された実装により、モジュール30の同じ側の2つの支持部31を、場合によって関連する運動減速機を備えた単一のモータによって制御される運動伝達シャフトに接続させることができる。この実装により、メカニックのコストの削減が可能になる。
【0076】
従来技術で想定されているものとは異なり、各モジュール30は完全に独立しており、それを独立させる自身の垂直移送デバイス33を備えているので、必ずしも他のモジュールに依存するわけではない。
【0077】
本発明による複数のモジュールを含むシステムでは、各モジュール30は他のものとは別個に見え、トレイの移動性のおかげで、完全に区別された方法で取り扱うことができる。それは、単一のシステムではなく、ケースバイケースで情報管理システムが一般的な管理を監督する「リーダー」モジュールを選ぶセルラーシステムである。
【0078】
これは、モジュール30の1つが故障した場合に、ネットワークに接続されている他のモジュールが動作を停止せず、メンテナンスとダウンタイムのコストが大幅に削減されることを保証する。
【0079】
好ましい実施形態によれば、垂直移送デバイス33は、2つまたは4つの別個のモータを備えた2つの協調移動要素で構成され、図9から11に示されるように1つのモジュールから別のモジュールに長手方向並進システムを収容できるようにシステム内にスペースを空けたままにでき、長手方向並進システム内では、2つの隣接するモジュール間に配置された水平移送デバイス85(Y軸)を認識でき、当該水平移送デバイス85は、トレイ32が1つのモジュールからそれに接続された別のモジュールに直接移動することを可能にする。図9から図11に示される実施形態では、水平トレイ移送デバイス85は、隣接するモジュールの下部に配置されている。しかしながら、前記デバイス85は、設計要件に基づいて、トレイ32の1つのモジュールから別のモジュールへの通過が望まれる任意の高さに配置できることは明らかである。
【0080】
この特性は、ビルの2つのレベル間でトレイを垂直に移動できるようにモジュールが構成されている場合に、非常に有利に使用できるように見える。この場合、隣接するモジュール間の水平トレイ移送デバイス85は上位レベルに配置でき、したがって、システムの物理的な連続性を中断することなく、トレイを下位レベルから上位レベルに直接移送でき、このことは先行技術で知られている解決策によって想定されていない。
【0081】
したがって、他の構造的な実施形態とは異なり、研究された機構により、モジュール間の通路をあけたままにすることができ、したがって、横方向交換領域に障害物を有しない。
【0082】
各モジュールは、異なる特性および機能を持ち得る垂直パネル壁で完全に閉じられてもよい。垂直パネル壁は、実装するシステムのタイプに応じて、完全に自由に配置できるパネルを含む四角形のパネルまたは幾何学的に再現可能なパネルで構成できる。当該パネルは次の可能性のある非排他的な特性を持つ。すなわち、
汚染物質の侵入を制限するためのシンプルな閉鎖特性、
光の通過を可能にするプラスチックまたはガラス材料で作られた透明特性、
モジュールを断熱するための断熱特性、
モジュール内の領域を加熱できるための放射特性、
LEDライトまたは他の照明デバイスで放射する光特性、
空気循環用のファン付き、
農業用の栄養素または製品またはガスの放出特性である。
【0083】
垂直移送デバイス33によって占められる中央領域と向かい合う2つの側方領域は、作物を収容するトレイ32のためのフィン37、37’(図1参照)形状の静止レッジを有する。農業目的で想定される情報システムは、作物を収容するトレイ32の移動のスマート管理を想定し、自由で且つ制限のない高さでのトレイ32の配置を可能にする。
【0084】
作物を収容するトレイ32と同様に、照明システム(LED)を支えるパネルも自動システムで自由に配置できるので、ランプを移動することによっても各モジュール30の一般的な配置を再構成できる。
【0085】
モジュール内で移動可能なランプを設置した後、トレイ32は、発光(植物に固有の、特定の波長)に特化したLEDダイオードで構成することができる。
【0086】
植物には、光合成サイクル中に様々な種類の照明が必要である。LEDチューブまたは現在のシステムは、「中」の発光(白色または紫色の光)の同定を想定し、または異なる種類の発光で組み立てられた全ての異なる種類のLEDを持つ単一の発光システムにおいて発光するための全ての可能性を持つ。
【0087】
引き出しを作物とともに移動できるので、それらを特殊な光(例えば、近赤外のみなど)にさらし、その位置と露光時間を順次連続させ(sequentialise)、したがって、パネルに特定のコンポーネント(LEDダイオード)のみを設置できる照明システムのコストを削減することが可能である。
【0088】
トレイ32はソフトウェアによって規定されたステップで移動できるという事実のおかげで、光源からの作物の距離を最適化することが可能である。例として、この能力により、最初の芽を収容するトレイを光源に近づけることができるので、照明システムへの電力入力を減らし、葉への同じエネルギー伝達効果を得ることができる。実際、一般的な場合、照明システムからのトレイの位置決め距離は、植物が時間とともに成長することを可能にする空間内に決定され、本発明によるシステムのおかげで得られる結果を得るために、先行技術で知られているシステムは、実際には光を必要としないもの、すなわち、(少なくとも初期成長段階で)小さな受容葉(receptive leaves)のみが存在する不活性材料または土壌内にある成長面を長時間照らして、最初の日から最大電力を放出するように構成されなければならない。
【0089】
植物が成長すると、成長分析センサを備えたシステムがソフトウェア管理システムに情報を提供し、後続のステップにおいてトレイ32を配置する距離を決定するとともに、光源への露出/時間調整(発光の時間と種類)を提供する。このシステムは、植物の成長および成長した種の変化に応じて強く適応できる。本明細書に記載のシステムは、その成長の全体制御部(total control)を持つ同一システムにおいて異なる種が栽培されることを可能にする。
【0090】
トレイを移動する可能性は、人間の安全を損なうことなくいつでも製品を検査する可能性にも役立つ。
【0091】
本発明によるシステムは、モジュールが差別化された方法で構成されることを許容し、当該モジュールは、システムが厳しい環境内で隔離され、または領域が差別化された微気候で処理されることを許容し、製品の成長を正確に処理できる。
【0092】
成長プロセスの重要なステップは発芽である。このステップは、通常、より高い農業強度で異なる領域で実行される。トレイの可動性と専用領域を作成する可能性のおかげで、このステップも制御下に維持しながら速めるために、温度制御された発芽モジュールを配置することが可能である。
【0093】
したがって、接続された各モジュールは、異なる特性を持つ他のモジュールからの作物を含むトレイの通過を受け取り確認できる。各モジュールは、必ずしも前述の全ての機能を備える必要はない。これらの一部が、実行されるローディングアクティビティに応じて、それらの少なくとも1つまたは一部に存在していれば十分である。モジュール性は、システムの寿命のどの時点でも、高価な介入なしでモジュールの構成を変更できるという事実からなる。例えば、灌漑領域は1つのモジュールにのみ存在してもよいし、ランプは異なる構成に移動されてもよいし、サイドパネルは異なる機能を持つ他のパネルに追加または交換され得る。
【0094】
システムのコンポーネントの全体的なモジュール性のおかげで、栄養混合領域を灌漑領域の近くに配置することが可能である。これは、植物の種類および成長の状態に応じて、栄養素の混合物を正確に制御下に維持することを可能にする。
【0095】
本発明によるシステムは、個々の垂直モジュールを備えた水耕農場を取り扱うための構造として使用できるか、または任意のレイアウトに従って配置されたより多くのモジュールを設置することにより、統合モジュール物流システムとして使用できるという特性を有し、統合モジュール物流システムは、各モジュールに装備されている垂直移送デバイス33によってトレイ32を交換できる。
【0096】
したがって、ヒューマンマシンインタフェース(HMI)39(図1および4を参照)を備えたパネルを介して、またはリモートで別の情報機器を介して、オペレータは、必要なアイテムが物理的に配置されているモジュールから必ずしも操作する必要なく、水耕農業に使用されるトレイ32をどこからでも呼び出すことができる。
【0097】
したがって、任意の農業モジュールから、オペレータは作物を収容するトレイを呼び出し、モータ駆動により、垂直移送デバイス33が適切な高さに運ばれ、関連するトレイ32が集められ、地面に近いレベルまで下がることにより、ローラ36によってエレベータによるトレイの持ち上げが作動するように(図5-6を参照)、ソフトウェアシステムは、処理対象の棚が配置されているモジュールが識別されることを可能にする。
【0098】
その後、トレイが隣接する個別の構造モジュールに向かって横方向に移動できるように、ローラ36の同期回転がトレイの一方または他方の方向への移動を可能にする。
【0099】
隣接する個々の構造モジュールは次に、地上位置にあるエレベータで、それが最終的な目的地である場合、同期して回転するローラをアクティベートし、隣接モジュールから来る交換ステップでトレイを受け取ることができ、目的地モジュールが別である場合に通過を許可する。
【0100】
電子制御および管理部は、一般的にローディングおよびアンローディング領域の下部に配置される電気モジュール内に位置し、モジュールの配置の全ての場合において電気パネルへのアクセスを可能にする制御パネルによって管理できる。
【0101】
トレイの前面への移動、つまり、前述のローラ36によって与えられる横方向の移動方向に対して垂直方向への移動は、前面移動中に干渉しないようにローラ36が下げられて且つ非動作状態にある間、トレイ32自体を支持する耐荷重要素によって支えられたままの水平トレイ移送デバイス85を使用して得られる。
【0102】
そのようなデバイス85はオプションであり且つトレイをある位置から別の位置に直接移送する必要があるモジュール30に設置される。上述のように、水平トレイ移送デバイス85は任意の高さに設置され得且つ一般に2つの隣接するモジュールの2つの隣接する横方向領域で作用する一対の電動ベルトを含む。前記電動ベルトを介して、トレイ32は、垂直移送デバイス33の介入を必要とすることなく、所与のモジュールの側方領域から隣接するモジュールの対応する側方領域に直接移送されることができる。
【0103】
本発明による水耕栽培製品を取り扱うためのモジュール式システムを、他のモジュールと共に、構成する各モジュールは、適切にプログラムされた移動を行うことによって同じ高さに配置され得る各垂直移送デバイス33の一部である上記と同一のデバイスを含み、移動するトレイを同期して受け取り且つそれを垂直移送デバイス33の中心に配置することによって、そこに収容されたコンポーネントのローディングまたは収集のためにプログラムされた位置に移動できる。
【0104】
モジュールの1つに搭載された電子機器に障害が発生した場合、データのバックアップコピーがあるように、各モジュールに統合された情報システムは、システム全体に関するデータベースの冗長性を想定している(必要に応じてシステム管理者による制限付き)。
【0105】
そのようなシステムを垂直水耕栽培作物の取り扱いに適用すると、播種ステップまたは特定の種を事前に植えたポッドの配置から収穫ステップまでのプロセスを完全に自動化する可能性から生じる利点に加えて、健康と経済に多くの利点がある。
【0106】
自動移動システムのおかげで、植物の発芽および成長を可能にする不活性材料を収容するトレイは、システム内で移動できる。
【0107】
各モジュールについて、有用なボリュームに様々な程度の影響を与えるオプションのエリアを規定することが可能であり、システム全体を通して集中され且つもはや完全に分散された方法ではない状態において、当該有用なボリュームは、以下のことを可能にする。すなわち、
ロボット化されたシステムを使用しての、または手動での様々な種類の植物の播種、
ロボット化されたシステムを使用しての、または手動での特定の種を事前に植えたポッドの配置、
スプリンクラ、ドリップ、インジェクション、またはリリース灌漑システムを介しての、またはロボットを介しての、植物への食物の正確な搬送、
情報システムによってその後分析され得る画像の保存、
植物の成長ステップに対する必要な光の提供(光合成の活性化)、
環境の快適さ、水分、酸素供給、空気の流れ、温度、
オペレータがサンプルを採取して栽培されている作物を確認するためのアクセス権を持つ領域の提供である。
【0108】
再び図1を参照すると、各モジュールは様々な重複領域に分割でき、各領域は異なる機能を提供することに注意すべきである。
【0109】
配置の順序が異なる場合であっても、例えば、図1から、番号70で示される最も高い領域には照明がなく、適切にシールドされ且つ水路がないことがわかり、したがって、作物が夜間をシミュレートするために挿入された暗い領域を表す。
【0110】
これは、光の放射から除外されたこの領域において暗闇の中で、したがって、ランプをオフ(およびその後オン)にする必要はないが、トレイをそのような暗い領域に適切に移動することにより、サイクルが実行されることを可能にする。
【0111】
暗い領域70の下には、日中および日射をシミュレートするために作物を収容するトレイが挿入されるLED照明手段72専用の領域71が設けられている。
【0112】
最下段の棚には、多くのノズルまたは異なる灌漑システムで終わる導管74が挿入される灌漑領域73が設けられている。灌漑領域の導管は、栄養物質および最も一般的な病原体から作物を保護する阻害剤を含む適切な水源から来る、またはアクアポニック農業の場合には適切にろ過された養魚タンクから来る。
【0113】
例として挙げられた配置は、好ましいものとして、または様々な種類の作物にも依存する異なる要件に従って多様化されてもよい。
【0114】
より一般的には、播種または事前に植えられたポッドの配置に関して、本発明による1つまたは複数の個々の垂直モジュールを備えた水耕農場の取り扱いに使用される構造は、異なる種類の作物が必要な場合にはいつでも自動化できる。
【0115】
情報システムによって操作されるそのような自動化は、市場に導入される将来の製品が播種ステップからトレースされることを可能にする。これは、トレイは一意であるので、個々のトレイの播種またはポッドの位置決め座標が既知であり且つモジュラー式システムに挿入されたトレイのシステム内の物理的な位置がわかるためである。
【0116】
例として、利用可能な初期データは、植物ID、植え付けられた種の種類、不活性材料、トレイ内のポッドの位置または播種座標XY、トレイID、播種時間などであり得る。
【0117】
さらに、水に追加され且つ成長中の植物に運ばれる栄養物質を分類するためのかさばる分類センタが存在する現在のシステムとは異なり、各モジュールにおける領域を特定したり、システムの構造またはその使用頻度に基づいてその数を合理化することが可能である。不活性材料を含むトレイ、ポッドに植えられた種、またはすでに発芽した植物は、図1では番号73で示されている噴霧領域に移動できる。
【0118】
これは、座標が既知であることを考慮すると、供給液に導入される添加剤の種類を区別する可能性、さらには各個別の植物を区別してその量およびその混合を区別する可能性を伴う、各システムの水圧部分の大幅な削減を意味する。成長中に、既知のIDを持つ植物がどれだけの水を受け取ったか、添加物の量、散布頻度などに関する情報をそれに追加することが可能になる。
【0119】
モジュールの領域に割り当てられ、トレイ内の植物の状態を記憶する1つまたは複数のカメラの存在も想定されている。農場の情報管理システムは、各植物の状態を考慮しており、それを類似の特性(種類、作物、時期)を持つ植物の状態を持つ以前の画像と比較し、その健康状態を評価する。
【0120】
このようにして、植物の成長に対する是正措置をアクティベートすることが可能である。また、食物の混合、露光量、時間などの様々な組み合わせを履歴化することができ、これにより、成長プロセスの変化および継続的な最適化が可能になる。
【0121】
これはすべて、個々の植物のデータおよび画像の一定のソースに変換され、そのようなデータは製品のトレーサビリティの終了まで維持できる。
【0122】
現在の屋内水耕農場の照明に関連して、プランテーションに特定の光を供給し、それにより光合成を活性化する照明システムが提供される。実際、植物の各タイプは、それに当たる光の種類に応じて異なった反応を示す。
【0123】
必然的に季節的であり得且つ太陽が提供する全光スペクトルの影響を受ける土壌または温室内のプランテーションとは異なり、閉じられた農場の場合には、互いに異なる強度で混合されたスペクトルの特定の部分で植物を照らす可能性がある。さらなる変数は、最適な成長のために植物に供給でき且つ供給されなければならない光子の量である。現在の垂直農場では、配管(plumbing)の設置と同様に、ランプの距離は一般的に固定されており、照明システムのサイズは必然的に大きくなってしまう。
【0124】
本発明によるシステムの場合には、上述のように制限になる可能性のある技術のいくつかは、最適な方法で管理することができる。
【0125】
例えば、光の種類は単一のランプに集中でき、または領域によって区別でき、したがって、領域に応じて異なる種類のLEDで区別でき、成長中の製品を持つトレイを移動させる可能性があり、植物がその成長の所与の時期に必要な種類の光を受けることができる位置に植物を割り当てることが可能である一方、他の植物が当該植物から解放された領域を占めることができる。
【0126】
植物の容器を動かすことにより得ることができる暗闇サイクルは、スイッチオフされず且つ使用されないがその機能が必要な位置にのみオンに維持され且つ割り当てられる、適用される発光器の数を減らすことを可能にする。
【0127】
この技術は、小型の照明システムを設置し且つ使用されるランプの種類と数量とを合理化することを可能にする。光源からの可変「距離」は、この場合、管理可能である。実際、各トレイは、可変距離を許容する高さステップ判別式で配置できる。
【0128】
本発明による情報および管理システムは、個々の植物について保存された画像から得られた情報をその決定に使用して、必要な距離、使用される光の種類をケースバイケースで考慮することができる。
【0129】
したがって、植物の以前の識別データに加えて、トレーサビリティのための、または研究と最適化のための情報と、露光時間、距離、色、したがってそれらがさらされた光露光サイクルに関連する全ての変数を保存することが可能である。
【0130】
本発明のさらなる実施形態によれば、センサおよび能動素子は各モジュールに設置され得、1つまたは複数の決定されたタイプのプランテーションのために正しい成長環境が作り出されることを許容する。
【0131】
垂直水耕農場の取り扱いへの本発明によるシステムの適用はまた、空気の加湿または除湿、酸素またはCO2または他の気体混合物の供給、環境の循環または非循環であってもよい加熱または冷却、トレイの加熱などに向けられている。この情報は全て、最適化、調査、トレーサビリティの目的で保存することもできる。
【0132】
システムのサイズに応じて、一般に「ベイ」と呼ばれる領域を提供できる。この領域では、オペレータが全モジュール式システムの内部を移動することなく作物を手に入れることができる。
【0133】
人間のアクセスによるスペースの削減により、農業に使用される容積をさらに詳細に最適化することができ、したがって、オペレータの安全に有害な場合がある、数メートルの高さに達する必要がある自走式手段の使用が大幅に削減される。ここで提案されるシステムの場合には、各個別のモジュールの現在の高さ制限は、より高い値に上げることができる。高さでの人間の介入がもはや必要ないからである。
【0134】
既に述べたように、播種および収穫の両方の目的で製品を収容する所定のトレイを完全に取り外し、それらがトラックなどの自走式手段で他の目的地に運ばれることも可能である。
【0135】
本発明は、その好ましい実施形態を参照して上記で説明されてきた。しかしながら、本発明は、その範囲内にあり且つ技術的に同等である多数の変形を許容できることは明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0136】
【文献】WO2017/024353
【文献】US2015/0282437
図1
図2
図3
図4
図5
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図11