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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】非空気式ホイール
(51)【国際特許分類】
   B60C 7/00 20060101AFI20230323BHJP
【FI】
B60C7/00 H
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020530612
(86)(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 FR2018053061
(87)【国際公開番号】W WO2019115905
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-09-15
(31)【優先権主張番号】17/62210
(32)【優先日】2017-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】メリノ ロペス ホセ
(72)【発明者】
【氏名】カレーム クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ピノー ジャッキー
(72)【発明者】
【氏名】ライネ ティモシー ブレット
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/112130(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/111944(WO,A1)
【文献】特表2015-506300(JP,A)
【文献】国際公開第2016/198171(WO,A1)
【文献】特表2009-515764(JP,A)
【文献】特開昭61-249803(JP,A)
【文献】特開2017-114478(JP,A)
【文献】特開平10-193930(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0015648(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのエラストマー化合物から生成されてトレッド(7)の半径方向内側に配置された環状補強構造(10)を含み、該環状補強構造(10)が、層として配置された複数の補強ストリップ(12、14)を含み、各層の前記補強ストリップ(12、14)が、実質的に周方向に並置して配置され、前記補強ストリップが、エラストマー組成物(13)で被覆され、前記環状補強構造(10)が、少なくとも3つの層の補強ストリップ(12、14)を含む非空気式ホイール(1)であって、
各補強ストリップ(12、14)は、少なくとも2つの複合層の積層体で形成され、前記積層体の積層された複合層のそれぞれが、ポリマーマトリクスに被覆された繊維(15、15’、15’’)を含み、該繊維(15、15’、15’’)は、相互に平行に向けられ、かつ、前記周方向と角度αを成し、前記角度αの値は、少なくとも前記角度αのうちの1つに対して非ゼロ値であり、
前記角度αの限界値が、-90°及び+90°である、
ことを特徴とする非空気式ホイール(1)。
【請求項2】
2つの隣接する複合層の前記角度αは、反対符号を有することを特徴とする請求項1に記載の非空気式ホイール(1)。
【請求項3】
前記積層体のそれぞれは、
前記周方向との前記角度αが0°である相互に平行に向けられた繊維(15)を有するn層の内部複合層であって、nが、1よりも大きいか又はそれに等しく、これらのn層の内部複合層が、互いに並置され、かつ、m層の外部複合層によってそれぞれ各側で接している前記n層の内部複合層と、
前記周方向との0°以外の角度αを形成する相互に平行に向けられた繊維(15’、15’’)を有する各外部複合層であって、mが1~8の範囲にあり、前記内部複合層の各側に1つかつ対称に敷設された2つの外部複合層の前記繊維(15’、15’’)の前記角度αが同一である前記外部複合層と、
を含む、
ことを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれかに記載の非空気式ホイール(1)。
【請求項4】
前記積層体は、
前記周方向との前記角度が0°である相互に平行に向けられた繊維(15)を有するn層の内部複合層であって、nが、3よりも大きいか又はそれに等しく、これらの内部複合層が、互いに並置され、かつm層の外部複合層によってそれぞれ各側で接しているn層の内部複合層と、
外部複合層であって、各外部複合層が前記周方向との0°以外の角度αを形成する相互に平行に向けられた繊維(15’、15’’)を有し、mが、1から8の範囲にあり、前記内部複合層の各側に1つかつ対称に敷設された2つの外部複合層の前記繊維(15’、15’’)の前記角度αが、絶対値で同一であるが反対符号のものである外部複合層と、
を含む、
ことを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれかに記載の非空気式ホイール(1)。
【請求項5】
前記補強ストリップは、少なくとも3つの複合層の積層体で作られ、各複合層が、ポリマーマトリクスに被覆されて前記周方向との角度αを形成する相互に平行に向けられた高弾性率繊維を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の非空気式ホイール(1)。
【請求項6】
各補強ストリップ(14)は、少なくとも3つの複合層の積層体で作られ、各複合層が、相互に平行に向けられた高弾性率繊維(15、15’、15’’)を備え、前記高弾性率繊維(15、15’、15’’)は、55GPaよりも大きいか又はそれに等しい伸張率を有し、向けられた前記高弾性率繊維(15、15’、15’’)は、ポリマーマトリクスに被覆されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の非空気式ホイール(1)。
【請求項7】
補強ストリップ(14)の各層が、架橋された時に10MPaよりも大きいか又はそれに等しい10%伸長での公称割線弾性率を有するゴム組成物のマトリクスに埋め込まれることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の非空気式ホイール(1)。
【請求項8】
前記層の数nは、1から12の範囲にあることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の非空気式ホイール(1)。
【請求項9】
n及びmが1に等しいことを特徴とする請求項3に記載の非空気式ホイール(1)。
【請求項10】
前記外部複合層の前記繊維(15、15’、15’’)の前記角度αは、45°に又は-45°に等しいことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の非空気式ホイール(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非空気式ホイールのための補強要素に関する。それは、より具体的にはこのホイールのクラウンのための構造的要素に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気式タイヤは、その通常作動がそれを膨らませることを必要とするが、快適性、質量、転がり抵抗などの観点から厳しい要件を満たすことができる公知のソリューションである。しかし、このタイプのタイヤは、複雑性、保守の必要性、及び損傷、特にパンクのリスクのようなその構造に関連付けられたいくつかの欠点を確かに有する。これらの欠点の一部を軽減するために、非空気式ホイールが既に数年前に開発されている。非空気式ホイールの例は、以下の文書:例えば、米国特許第6769465号明細書、米国特許第6994134号明細書、及び米国特許第7013939号明細書に開示されている。ある一定の非空気式ホイールは、より一般的に例えば米国特許第7201194号明細書でのように「せん断バンド」と呼ばれる周囲リングを含む。そのようなアーキテクチャは、従来のタイヤに見られる膨らませることに固有の制約を受ける必要なしに性能のある一定の態様を取得することを可能にする。
【0003】
例えば、米国特許第6769465号明細書は、内圧なしに負荷を支持するタイプの弾性タイヤに関連している。それは、地面との接触のための部分を含み、側壁は、タイヤをホイール上に保持するのに適するビードに向けて接触部分から延びる。補強環状バンドが、トレッドの内側に設けられる。このバンドは、少なくとも均一層と2つの膜、すなわち、均一層の各側に1つとを含む。各膜は、ホイールが負荷を支持している時に地面と接触している部分が地面と接触する接触面を生成するために変形するように、均一層の動的弾性率よりも高い伸展弾性率を有する。そのようなアーキテクチャは、様々な層の相対変位をそれらが平らになる時に伴うものである。この構成は、複雑でもあり、かつ生成するに比較的高価である。
【0004】
従って、より簡単で耐久性の改善を提供するアーキテクチャを用いて満足する性能を取得することを可能にする非空気圧タイプのホイールに対する必要性が依然として存在する。転がり抵抗特性の改善を示す非空気式ホイールに対する必要性も依然として存在する。
【0005】
本発明は、これらの様々な欠点、取りわけ、生成の複雑性及びクラウンのある一定の領域の脆弱性を克服するための様々な技術的手段を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第6769465号明細書
【文献】米国特許第6994134号明細書
【文献】米国特許第7013939号明細書
【文献】米国特許第7201194号明細書
【文献】国際公開第2008/118983号
【文献】国際公開第2016/198171号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
まず最初に、本発明の第1の目的は、性能の改善を提供する非空気式ホイールを提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、広範な変形に成形することができ、それによってクラウンの特性をタイヤのタイプに従って適応させることを可能にするクラウン補強要素の配置を提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、特にクラウンの領域でのアーキテクチャ及び製造工程を簡素化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これを行うために、本発明は、トレッドの内側に半径方向に配置されて少なくとも1つのエラストマー化合物から生成された環状補強構造を含み、環状補強構造が、層単位で配置された複数の補強ストリップを含み、層の各々のストリップが、実質的に周方向に並置で配置され、ストリップが、エラストマー組成物で被覆され、環状補強構造が、ストリップの少なくとも3つの層を含む非空気式ホイールであって、補強ストリップが、少なくとも2つの複合層の積層体で形成され、各積層複合層が、ポリマーマトリクスに被覆された繊維を含み、繊維が、周方向との角度αを成し、角度の値が、少なくとも角度のうちの1つに対して非ゼロ値であること、及び限界値が-90°及び+90°であることを特徴とする上記非空気式ホイールを提供する。好ましくは、2つの隣接する層上の角度αは、反対符号を有する。
【0011】
そのようなアーキテクチャは、クラウン領域を簡素化し、重量の有意な低減を与えながら非常にコンパクトな補強領域を取得することを可能にする。層の数及びそのそれぞれの配置は、クラウン領域の耐久性を最適化することを可能にする。製造の方法は、実施するのに簡単である。最後に、このアーキテクチャは、簡素化され、最適化され、かつ薄くされた配置の理由で転がり抗抗を低減することを可能にする。
【0012】
1つの有利な実施形態により、環状補強構造は、N層を含み、Nは3よりも大きく、ストリップに実質的に垂直な仮想軸線C-Cは、環状補強構造内の仮想軸線のあらゆる軸線方向位置で少なくともN-1ストリップと交差する。例えば、ストリップの4つの層を用いて、いずれの垂直軸線も少なくとも3つのストリップを通過する。この実施形態は、特に均一であるクラウン領域を提供し、それによって厳しい運転条件下でさえも、特にコーナリングの下でも例えば優れた材料強度のような有利な動的品質を取得することを可能にする。ストリップの4つの層を用いて、ストリップの各層のストリップは、その半径方向内側であるストリップの層のストリップに少なくとも20%、最大で80%の程度まで部分的に重なる。
【0013】
別の有利な実施形態により、環状補強構造は、N層を含み、Nは3よりも大きく、ストリップに実質的に垂直な仮想軸線C-Cは、環状補強構造内の仮想軸線のあらゆる軸線方向位置でN/2よりも大きい数のストリップと交差する。
【0014】
有利なことに、2つの層のストリップ間の平均重複は、20%よりも大きく、好ましくは40%よりも大きい。有利なことに、補強ストリップは、主方向にかつ横断方向に0.9GPaよりも高い、好ましくは2GPaよりも高い、より有利には6GPaよりも大きい弾性率を有する熱可塑性フィルムで製造される。
【0015】
1つの有利な実施形態により、熱可塑性フィルムの長さ/幅及び幅/厚みアスペクト比は、5よりも大きいか又はそれに等しい。
【0016】
1つの有利な実施形態により、熱可塑性フィルムは、熱安定性ニ軸又は一軸延伸ポリエステルで又はポリアミドで製造される。
【0017】
別の有利な実施形態により、ストリップは、エラストマー化合物、好ましくはジエンエラストマー化合物で製造されたマトリクスに一体化される。好ましくは、マトリクスは、架橋された時に10MPaよりも大きいか又はそれに等しい10%伸長での割線引張係数を有するゴム組成物を有し、補強ストリップは、少なくとも3つの複合層の積層体で作られ、各複合層は、ポリマーマトリクスに被覆されて周方向と角度αを形成する相互に平行に向けられた高弾性率繊維を含む。
【0018】
一例示的実施形態では、マトリックスのエラストマー化合物は、3と20MPaの間の10%伸長での弾性率を有する。
【0019】
別の例示的実施形態では、マトリクスのエラストマー化合物は、20MPaよりも大きい10%伸長での弾性率を有する。
【0020】
別の有利な実施形態により、エラストマー化合物のマトリクスは、マトリクスに一体化された円周フィラメント状補強要素を含む。
【0021】
これに代えて、ストリップは、ストリップがそれで製造される熱可塑性フィルムに一体化された円周フィラメント状補強要素を含む。
【0022】
更に別の代替実施形態により、ストリップは、複合タイプのものであり、かつ熱可塑性フィルムと熱可塑性フィルムの近くに配置された補強スレッドの一列並びとを含み、全体は、エラストマー化合物、好ましくはジエンエラストマー化合物のマトリクスに一体化される。
【0023】
有利なことに、トレッドは、環状補強構造の半径方向外側に位置決めされる。
【0024】
同じく有利なことに、ホイールはまた、環状補強構造の半径方向内側に配置された複数の支柱を含み、支柱は、負荷がホイールに印加された時に引張を伝達するように構成される。
【0025】
1つの有利な実施形態により、ホイールは、ハブを更に含み、支柱は、ハブと環状補強構造の間で半径方向に延びる。
【0026】
別の有利な実施形態により、環状補強構造及びトレッドは、一緒に形成される。
【0027】
有利なことに、支柱及び環状補強構造は、一緒に形成される。
【0028】
有利なことに、ストリップとマトリクスエラストマー化合物の間のインタフェースは、接着性要素を伴っている。
【0029】
ストリップは、一列並びを形成するために並んで配置される。本発明による非空気式ホイールは、有利なことにストリップの少なくとも3つの一列並びを含む。
【0030】
実施形態の詳細の全ては、専ら非限定的な例として与える図1図10によって補足された以下の説明に与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】非空気式ホイールの概略図である。
図2図1のホイールの断面図である。
図3】ストリップの3つの一列並びを含む本発明による補強構造の例の概略図である。
図4】ストリップの4つの一列並びを含む本発明による補強構造の他の例の概略図である。
図5】ストリップの4つの一列並びを含む本発明による補強構造の他の例の概略図である。
図6図5のようなストリップの層に加えて補強コードの一列並びを含む補強構造の他の例の概略図である。
図7図5のようなストリップの層に加えて補強コードの一列並びを含む補強構造の他の例の概略図である。
図8A】織物補強コード、熱可塑性ストリップ、及びジエンマトリックスで構成された本発明による複合ストリップの例の概略図である。
図8B】織物コードの及び熱可塑性ストリップの配置が逆転された複合ストリップの代替形態の概略図である。
図9】織物補強コードが熱可塑性ストリップに一体化された2要素複合ストリップの概略図である。
図10】複合ストリップが位置合わせされた補強構造の例の概略図である。
図11】7つの複合層の積層体で構成された本発明によるストリップの一例示的実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書では、「ストリップの重複」又は重複するという表現は、半径方向外側の層のストリップが半径方向内側の層のストリップに部分的に重なる配置を意味し、すなわち、より低い高さのストリップの上への1つのストリップの半径方向の突出はゼロではない。重複の百分率は、実施形態に従って変わる場合がある。この重複は、層間のリンケージを形成し、クラウン補強領域の全体の凝集を生成する。このリンケージは、特に、層間の剪断力の伝達を可能にする。「長手方向」又は「周方向」は、タイヤの周囲に対応するかつタイヤが転動する方向によって定められる方向を意味する。「軸線方向」は、タイヤの転動の軸線に平行な方向を意味する。「トレッド」は、横面により、かつタイヤが回転する時に一方が路面と接触するように意図される2つの主面により境界が定められるある量のエラストマー化合物を意味する。
【0033】
公称割線弾性率(又は見掛けの応力、MPa単位)は、23℃±2℃でかつ通常湿度測定条件の下で10%伸長(MA 10と表記)での及び100%伸長(MA 100と表記)での第2の伸長(すなわち、測定自体に対して規定された伸張率での適応サイクルの後の)で測定される。
【0034】
図1は、本発明による環状補強構造10を含む非空気式ホイール1の例である。図2は、図1の2-2上の横断面での同じホイールを示している。ホイールは、図1及び図2に示すように、複数の支柱2(又はスポーク)及び環状補強構造10を含む。支柱2は、中心からホイールの外側に向けて環状補強構造10まで半径方向に延びる。
【0035】
支柱の幅は、実施形態に依存する。支柱の幅は、例えば、ホイールの幅Wに対応する場合があり、又はこれよりも小さい場合がある。支柱の形状も、実施形態に従って変わる場合がある。
【0036】
支柱2は、スポーク2の半径方向内側部分3で中心装着リング4に接続される。この中心装着リング4は、ハブ5へのホイールの取り付けを提供する。ハブ5内に設けられた装着孔6は、ホイールを車両の車軸上に装着してそこに取り付けることを可能にする。ホイール1は、既に設けられたハブ上に装着することができ、又は他にハブ5の一体部品として製造することができる。一実施形態では、ホイールは、支柱2と共に製造され、中心装着リング4及びハブ5は、一緒に成形される。
【0037】
好ましくはエラストマー化合物で製造されたトレッド7は、環状補強構造10の周囲に設けられる。トレッドは、ホイールの走行、牽引、制動、及びハンドリングに関する最適特性を与えることを可能にする。図示の例では、トレッドは、環状補強構造10に対して固定された環状周囲層の形態で設けられる。これに代えて、トレッドは、環状補強構造10の半径方向外側部品で構成することができる。トレッドは、従来の方法でトレッドパターン要素、溝、サイプなどを含む。
【0038】
支柱2は、半径方向に位置合わせされて実質的に回転軸と交差することができ、又は他に例えば図1に示すように半径方向に対して傾斜する方向に配置することができる。支柱の様々な例は、例えば、米国特許第7013939号明細書に又は他に国際公開第2008/118983号に開示されている。従って、ホイールは、それらの文書又は他に示すような様々なタイプの支柱を示すことができる。
【0039】
環状補強構造10は、ホイール上の負荷LDを支持する。それは、特に走行中の道路又は他の面との接触のための接触面を生成するように弾性変形可能である。文書US7,013,939に説明されているように、負荷LDがハブ5を通してホイールに印加された時に、環状補強構造10は、接触面で局所変形し(図2の矢印G)、一方、地面と接触していないホイールの部分は、アーチと同様に挙動して負荷を支持する。
【0040】
ホイール上の負荷はまた、支柱2を通過する。タイヤが地面と接触している接触面領域と協働する支柱は、引張力を支持せず、ある一定の場合に更に座屈する場合があり、そのために引張下の領域内の支柱の長さHtは、圧縮下の領域内の支柱の長さHbよりも大きい。ホイールが次第に回る時に、アーチのように作用するホイールの部分は、絶えず変化する。環状補強構造10の屈曲レベル及び結果として地面と接触する接触面の面積は負荷に比例する。環状補強構造10の弾性変形能の特性は、負荷の作用下では、タイヤが地面と接触しているが従来のタイヤのものと類似である接触面を与え、同等の機能的利益を提供することを可能にする。
【0041】
支柱は、有利なことに、ほぼ半径方向Rの長さLと環状補強構造10の軸線方向幅にほぼ対応する軸線方向Aの幅Wとのシートの形態で生成される。半径方向Rに沿って変わる幅を含む他の幅も可能である。支柱はまた、長さL及び幅Wを全体的に下回る厚みKを有する。この厚みは、タイヤが地面と接触する接触面内で支柱が座屈する必要性に対して調整される。厚みが小さいほど、より低い負荷レベルでの座屈又は屈曲が可能である。上述のように、負荷の伝達に関与する主な力は、図2に矢印Tによって示す引張力にある。
【0042】
支柱内の引張力は、環状補強構造10に沿って分散される。一例示的実施形態により、支柱は、約3MPa~1.2GPaの引張係数(ヤング率)を有するエラストマー化合物で製造される。必要に応じて、支柱は補強することができる。
【0043】
別の例示的実施形態により、支柱2は、例えば、拡幅した部分を半径方向内側端部に設けることによってハブ5に固定され、ハブの場所に製造されたスロットに係合する。
【0044】
支柱は、それらが屈曲し始めることを促すために潜在的に湾曲させる場合がある。支柱は、好ましくは、例えばコーナリングによって引き起こされる捻れ負荷及び/又は横負荷に耐えるように設計される。
【0045】
図3図10は、環状補強構造10の例示的実施形態を示している。
【0046】
図3は、本発明による環状補強構造10の第1の実施形態を示している。この実施形態により、熱可塑性フィルムで製造されたストリップ12は、実質的に0°の領域内の角度で及びより広義には周方向に対して実質的に12°未満の角度で並んで配置される。全体は、エラストマー化合物、好ましくはジエンエラストマー化合物で構成されたマトリックス13に埋め込まれる。ストリップの千鳥配置は、例えば、所与の方位角で始まる第1の巻き出し及び180°で始まる第2の巻き出しによって実現される。これに代えて、ストリップは、1つの所与の軸線方向の第1の巻き出し、その後の反対軸線方向の第2の巻き出しによって位置決めされる。
【0047】
層のストリップは、以下でゴムブリッジと呼ぶゴム(又はエラストマー化合物)の領域によって分離される。
【0048】
図3の例示的実施形態では、クラウン10は、層間の分離が階段レイアウト形成するように軸線方向に僅かにオフセットされたストリップ12の3つの層を含む。
【0049】
図4の例示的実施形態は、図3の例に比する方法で軸線方向にオフセットされてオフセットが階段トレッド配置を形成する4列のストリップ12を含む。
【0050】
図3及び図4の例では、2つの層のストリップの位置間の横オフセットは、ストリップのピッチの半分よりも小さい。
【0051】
図5は、環状補強構造10がストリップ12の4つの層を含む別の例示的実施形態を示している。2つの連続する層のストリップの位置間の横オフセットは、ストリップのピッチのほぼ半分である。第1の層のストリップ間のエラストマー化合物のブリッジは、従って、隣接層のストリップのそれぞれの幅の実質的に中間に位置決めされる。
【0052】
提示した全ての例では、各層の主平面は、実質的に軸線方向である。そのような配置は、第1の層から層数が何であっても最後まで、第1の層のエラストマー化合物のブリッジを第2の層を構成するストリップで覆う等々である効果を有する。
【0053】
図示の様々な例では、ストリップの層は、ストリップに実質的に垂直なあらゆる線又は仮想軸線C-Cに沿ってゴムブリッジの重複がないように配置される。この概念は、ストリップの3、4、又は5以上の層に対して適用することができる。優先的に、以下の配置が実施される。
-3つの層に関して、仮想軸線C-Cは、少なくとも2つの層と交差し、
-4つの層に関して、仮想軸線C-Cは、少なくとも3つの層と交差し、
-5つの層に関して、仮想軸線C-Cは、少なくとも3つの層、好ましくは4つの層と交差し、
-6つの層に関して、仮想軸線C-Cは、少なくとも4つの層、好ましくは5つの層と交差し、
-7つの層に関して、仮想軸線C-Cは、少なくとも4つの層、好ましくは5つの層、より好ましくは6つの層と交差する。
従って、仮想軸線C-Cが通過する層の数は、N/2よりも大きく、Nは、ストリップの層の数である。
【0054】
図6及び図7は、円周フィラメント状補強要素11の層を更に含む図4の例示的実施形態と類似の例示的実施形態を示している。図6の例では、補強要素の層は、ストリップの半径方向外側に設けられる。図7の例では、補強要素の層は、ストリップの半径方向内側に設けられる。スレッド11は、好ましくは織物スレッドである。ある一定の剛性を与えることに加えて、周方向スレッドは、半径方向内側層を保護することを可能にする。図示していない別の代替形態は、周方向補強要素11の2つの層を提供し、一方は、ストリップの半径方向内側であり、他方は、ストリップの半径方向外側である。周方向スレッドは、更にストリップの1又は2以上の層の間に配置することができる。
【0055】
ストリップの第2の実施形態を図8A図8B、及び図9を参照して提示する。図8Aは、上述の熱可塑性フィルム120が補強スレッド、好ましくは織物の層11を載せている例示的実施形態を示している。全体は、エラストマー化合物、好ましくはジエンエラストマー化合物で構成されたマトリックス13に埋め込まれ、複合ストリップ12aを形成する。図8Bは、逆の形状を有する複合ストリップ12bの代替形態を提示し、スレッドの11の層は、熱可塑性フィルム120に対して半径方向内側に配置される。
【0056】
図9は、補強スレッド11の層が熱可塑性フィルム120の中に直接に一体化された複合ストリップ12cの第3の例を示している。この代替形態は、重量の軽さの増大及び非常に高いコンパクト性という追加の利点を有する。
【0057】
図10は、図8Bを参照して提示したようなストリップを使用するストリップの4つの層を含むレイアウトの一例を示し、均等物として、それらは、図8A又は9に提示したストリップとすることができると考えられる。
【0058】
複合ストリップは、ホイールのクラウン領域を製造する段階を簡素化することを可能にする。ストリップのタイプのみを変更することにより、ホイールの他のアーキテクチャ要素を変えることなく、複合ストリップは、要件に合うようにクラウン領域の特性を変えることを可能にし、より大きい設計柔軟性を提供する。
【0059】
上述の実施形態の各々に関して、特に産業車両又は何らかの他の使用のためのホイールのような特定のホイールに関してより高い場合がある構成要素の相対幅、異なる層内の異なる幅、構成要素の厚み、ストリップの一列並びの数のような異なるパラメータは、変更することができる。
【0060】
補強ストリップ12、12a、12b、12cの熱可塑性フィルムは、有利なことに、熱安定性ニ軸又は一軸延伸ポリエステル、ポリアミド(例えば、ナイロン6.6)から選択された材料の支援で生成される。これに代えて、これらの材料は、等方性又は異方性封入物又はフィブリル形態の封入物で充填することができる。
【0061】
ストリップ12、12a、12b、12cは、5よりも大きいか又はそれに等しい長さ/幅寸法及び幅/厚み寸法の間の比を有する。熱可塑性フィルムは、0.9GPaよりも大きく、好ましくは2GPaよりも大きい弾性率を主方向に(タイヤの周方向に対応する)かつ横断方向に有する。
【0062】
ストリップ12又は12a、又は12b又は12cが一体化されるマトリックス13は、従来通りの(典型的に3と20MPaの間)又は好ましくは剛性である(すなわち、20MPaよりも大きい)10%伸長での弾性率を有するエラストマー化合物、好ましくはジエンエラストマー化合物で構成される。必要な凝集を取得するために、補強要素及び化合物の性質に従った適切な接着システムを使用することができる。この接着システムは、例えば、面の物理的又は化学的調製又は活性化により、次に、接着剤を使用することによって得られる。
【0063】
補強コード11は、アラミド、ポリエステル(PET、PEN、PTT)、ナイロン、レーヨン、ポリケトン、金属スレッド又はコード、又は複合スレッド又はコード(樹脂を有するガラス又は炭素)、又は上述の材料の組合せで構成された混成補強要素から選択された材料で構成される。
【0064】
ストリップ14の第3の実施形態を以下に説明して図11に示す。補強ストリップ14は、少なくとも3つの複合層の積層体で構成され、各複合層は、ポリマーマトリクスに被覆されて角度αを周方向(すなわち、ストリップの長手方向)と成す相互に平行に向けられた高弾性繊維(15、15’、15’’)を含む。好ましくは、周方向との繊維によって形成された角度αは、-90°から90°の範囲である。
【0065】
優先的に、積層体は、以下のものを含む。
-周方向との角度が0°である繊維(15)を有するn層の内部複合層であって、nが1よりも大きいか又はそれに等しく、好ましくは1~20の範囲、より好ましくは1~12の範囲、更により好ましくは1~6の数であり、これらの内部複合層が互いに並置され、m層の外部複合層によってそれぞれ各側で接している上記n層の内部複合層、
-0°以外の角度αを周方向と成す繊維(15’、15’’)を有する各外部複合層であって、mが、1~8の範囲であり、内部複合層の1つの同じ側に敷かれた連続外部複合層の繊維(15’、15’’)の角度αが同一か又は異なり、内部複合層の各側に1つの対称に敷かれた2つの連続外部複合層の繊維(15’、15’’)の角度αが同一である上記外部複合層。
従って、積層体内の層の合計数は、n+2mである。
【0066】
図11は、nが3に等しく、mが2に等しい実施形態の変形を示している。本発明の実施形態の好ましい変形により、n及びmは1に等しい。より好ましくは、外部複合層の繊維(15’、15’’)の角度αは、45°又は-45°に等しい。本発明の別の好ましい実施形態により、nは、1に等しく、mは、2に等しい。
【0067】
より好ましくは、2つの外部複合層の繊維の角度αは、45°又は-45°に等しい。
【0068】
本発明の別の実施形態により、積層体は、以下を含む。
-周方向との角度が0°である繊維(15)を有するn層の内部複合層であって、nが、3よりも大きいか又はそれに等しく、好ましくは3~20の範囲、より好ましくは3~12の範囲、更により好ましくは3~6の数であり、これらの内部複合層が、互いに並置され、かつm層の外部複合層によってそれぞれ各側で接している上記n層の内部複合層、
-0°以外の角度αを周方向と成す繊維(15’、15’’)を有する各外部複合層であって、mが、1~8の範囲であり、内部複合層の1つの同じ側に敷かれた連続する外部複合層の繊維(15’、15’’)の角度αが同一か又は異なり、内部複合層の各側に1つの対称に敷かれ2つの連続外部複合層の繊維(15’、15’’)の角度αが絶対値の観点から同一であるが反対符号のものである上記外部複合層。
【0069】
複合ストリップは、予備含浸複合層NTPT ThinPreg 450(登録商標)又はNTPT ThinPreg 402(登録商標)(これらは、取りわけ、文書WO2016/198171に説明された方法を適用することによって取得することができる)から製造することができる。予備含浸複合層は、未加工で敷かれる又は望ましい積層角度で未重合であり、又は寸法がストリップの幅よりも大きい幅を形成する。積層幅は、望ましい幅の未加工又は未重合のストリップに切断される。未加工のストリップは、大径(すなわち、2メートル径)ドラム上に(毎回の巻きで軸線方向のオフセットで)巻くことによって敷かれる。ストリップは、真空(-850mbar)下及び圧力(5バール)下で、通常の硬化周辺機器(例えば、剥離層、ブリーダークロス、微孔隙、又は非穿孔剥離フィルム、ガス抜きフィルムのような)を使用して硬化される。別の実施形態により、積層幅は、大径ドラム上に敷かれて、真空(-850mbar)下で及び圧力(5バール)下で通常の硬化周辺機器を使用して硬化される。硬化後に、幅は、ストリップに切断される。好ましくは、ストリップは、1mm未満又はそれに等しく、より好ましくは0.7mm未満又はそれに等しく、更に有利には0.5mm未満又はそれに等しい厚みを有する。
【0070】
ここで、ストリップ14を構成する要素を見ることにする。ストリップの積層体の各複合層のポリマーマトリクスは、単独で又は他のポリマーとの配合物としてそれぞれ使用される熱硬化性ポリマー又は熱可塑性ポリマーを含む。優先的に、ポリマーマトリクスは、ポリエポキシド、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、シアン酸エステル、ビスマレイミド、タイプ、ポリウレタンの熱硬化性樹脂、及びそのような樹脂の配合物の中から、又はポリエステル(PET、PBT、PEN、PBN)、ポリアミド(ナイロン、アラミド)、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリケトン(PK、PEEK)のような熱可塑性樹脂から選択することができる。上述の樹脂のうちの特に適切な樹脂は、160℃よりも高いか又はそれに等しいガラス遷移温度を有する熱硬化性樹脂、及び160℃よりも高いか又はそれに等しい融点を有する熱可塑性樹脂である。補強充填剤(シリカ、カーボンブラック)又は熱可塑性充填剤(Arkema製Orgasol)又はエラストマー充填剤(Kaneka製Kane Ace)を上述の樹脂に添加することができることに注意されたい。特に本発明に適するのは、約200g/m2の面密度及び約0.2mmの予備硬化厚みを有する複合層である。好ましくは、80g/m2未満又はそれに等しい面密度を有するより微細な層が使用され、より好ましくは、この密度は、18g/m2~80g/m2の範囲であり、0.06mm未満の予備硬化厚みである。当業者は、複合層の数をこれらの複合層の面密度に従ってどのように適応させるかを知っているであろう。
【0071】
積層体の各複合層の繊維(15、15’’)は、高弾性繊維を含む。本明細書において高弾性率という意味は、55GPaよりも大きいか又はそれに等しい伸張率(ヤング率)である。本発明の実施形態の好ましい代替形態により、高弾性繊維は、ガラス繊維を含む。優先的に、ガラス繊維は優位を占め、これは、例えば、いずれか1つの層の繊維が50%よりも多いことを表すことを意味する。更により好ましくは、積層体の各複合層の繊維は、ガラス繊維で構成される。優先的に、積層体の各複合層におけるポリマーマトリクス/繊維容積比は、35/65~70/30、好ましくは約45/55の範囲である。
【0072】
本発明の実施形態の別の好ましい代替形態により、高弾性繊維は、炭素繊維を含む。優先的に、炭素繊維は優位を占め、これは、例えば、いずれか1つの層の繊維が50%よりも多いことを表すことを意味する。更により好ましくは、積層体の各複合層の繊維は、炭素繊維で構成される。優先的に、積層体の各複合層におけるポリマーマトリクス/繊維容積比は、35/65~60/40、好ましくは約50/50の範囲である。本発明の実施形態の他の好ましい代替形態により、高弾性繊維は、アラミド繊維、玄武岩線維、又は石英繊維を含む。
【0073】
以下の例は、本発明を例示することを可能にするが、本発明は、この例に限定することはできない。
【0074】
弾性ホイールのクラウンは、互いからオフセットしたストリップの7つの層を含む。ストリップは、ポリエポキシド樹脂(商品名「ThinPreg 402(登録商標)」というNTPT社によって販売された複合層)で製造された熱硬化性ポリマーマトリクスに被覆された以下の5つの複合層を含む積層体で構成される。
-周方向と0°の角度を形成する相互に平行に向けられた繊維を有する内部複合層、
-内部複合層の各側に敷かれた2つの連続外部複合層であって、相互に平行に向けられた繊維を有する内部複合層に隣接する2つの層が、-45°の角度を周方向と成し、2つの最外層が、+45°の角度を周方向と成す相互に平行に向けられた繊維を有する上記2つの連続外部複合層。
-各複合層は、80ミクロン未満又はそれに等しい厚みを有し、ストリップは、0.25mm未満又はそれに等しい厚みを有する。
【0075】
ストリップは、50/50の各複合層内のポリマーマトリックス/繊維容積比及び0.25mmの厚みで東レ株式会社によって販売された炭素繊維「T700SC」を含む。ここで使用されるゴム組成物マトリックスは、典型的に、天然ゴム、カーボンブラック(約75phr)、補強のための樹脂(約8phrのH3M及びHMTに結合した20phrのフェノール樹脂)、酸化防止剤、高硫黄含有量(約5phr)を有する加硫システム、及び通常の加硫添加物ベースのタイヤのビード(5)に使用されるタイプの高剛性組成物(約55MPaに等しい弾性率MA10)である。このゴム組成物マトリックスはまた、約10phrのパラフィン油及び8phrの粘着性付与樹脂(ブチル-フェノール-アセチレン樹脂)も含有する。ストリップの層とゴム組成物のマトリックスの間の接着は、公知の方法でストリップに既に付加されたRFLタイプの接着剤によって保証される。
【0076】
ストリップ14の第4の実施形態を本明細書で以下に説明し、同じ図11に示している。補強ストリップ14は、少なくとも3つの複合層の積層体で構成され、各複合層は、ポリマーマトリクスに被覆されて角度αを周方向と成す相互に平行に向けられた低弾性率繊維(15、15’、15’’)を含む。好ましくは、周方向との繊維によって形成された角度αは、-90°~90°の範囲である。
【0077】
以下の段落において、選択された繊維は、第3の実施形態におけるような高弾性繊維よりもむしろ低弾性率繊維であるので、第4の実施形態と第3の実施形態の違いは、特に読者の注意を引くものである。
【0078】
図11は、nが3に等しく、mが2に等しい実施形態を示している。本発明の実施形態の好ましい変形により、n及びmは、1に等しい。より好ましくは、外部複合層の繊維(15’、15’’)の角度αは、45°又は-45°に等しい。本発明の実施形態の別の好ましい変形により、nは、1に等しく、mは、2に等しい。より好ましくは、2つの外部並置層の繊維(15’、15’’)の角度αは、45°又は-45°に等しい。
【0079】
複合ストリップは、予備含浸複合層NTPT ThinPreg 450(登録商標)又はNTPT ThinPreg 402(登録商標)(取りわけ、文書WO 2016/198171に説明された方法を適用することによって取得することができる)から製造することができる。
【0080】
予備含浸複合層は、未加工で敷かれ、又は望ましい積層角度で未重合であり、又は寸法がストリップの幅よりも大きい幅を形成する。積層幅は、望ましい幅の未加工又は未重合のストリップに切断される。未加工のストリップは、大径(すなわち、2メートル径)ドラム上に巻かれる(毎回の巻きで軸線方向のオフセットを用いて)。ストリップは、真空(-850mbar)下及び圧力(5バール)下で通常の硬化周辺機器(例えば、剥離層、ブリーダークロス、微孔隙、又は非穿孔剥離フィルム、ガス抜きフィルムのような)を使用して硬化される。
【0081】
実施形態の別の変形により、積層幅は、大径ドラム上に敷かれて真空(-850mbar)下で及び圧力(5バール)下で通常の硬化周辺機器を使用して硬化される。硬化後に、幅は、ストリップに切断される。好ましくは、ストリップは、1mm未満又はそれに等しく、より好ましくは0.7mm未満又はそれに等しい厚みを有する。
【0082】
ストリップの積層体の各複合層のポリマーマトリクスは、熱可塑性ポリマーを単独で又は他のポリマーとの配合物として含む。優先的に、ポリマーマトリクスは、ポリエポキシド、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、シアン酸エステル、ビスマレイミド、タイプ、ポリウレタンの熱硬化性樹脂、及びそのような樹脂の配合物の中から選択することができる、上述の樹脂のうちの特に適切な樹脂は、160℃よりも高いか又はそれに等しいガラス遷移温度を有する熱硬化性樹脂である。補強充填剤(シリカ、カーボンブラック)又は熱可塑性充填剤(Arkema製Orgasol)又はエラストマー充填剤(Kaneka製Kane Ace)を上述の熱硬化性樹脂に添加することができることに注意されたい。これらの複合層は、好ましくは、約200g/m2の面密度及び約0.2mmの予備硬化厚みを有する。
【0083】
好ましくは、80g/m2未満又はそれに等しい面密度を有するより微細な層が使用され、より好ましくは、この密度は、18g/m2~80g/m2の範囲であり、0.06mm未満の予備硬化厚みである。当業者は、複合層の数をこれらの複合層の面密度に従ってどのように適応させるかを知っているであろう。
【0084】
積層体の各複合層の繊維は、低弾性繊維を含む。本明細書において低弾性率という意味は、30GPa未満又はそれに等しく、好ましくは6GPa~30GPaの範囲にある伸張率(ヤング率)である。
【0085】
本発明の実施形態の好ましい変形により、積層体の各複合層の低弾性率繊維は、ポリエチレンテレフタレート繊維を含む。優先的に、ポリエチレンテレフタレート繊維は優位を占め、これは、例えば、いずれか1つの層の繊維が50%よりも多いことを表すことを意味する。更により好ましくは、積層体の各複合層の繊維は、ポリエチレンテレフタレート繊維で構成される。本発明の実施形態の他の好ましい変形により、積層体の各複合層の繊維は、ポリアミド繊維(例えば、半芳香族PA66、PA46、PA6、PA10)、セルロース又はレーヨン繊維、又はダイニーマ繊維のようなUHMWPEポリエチレン繊維、又は低弾性率熱可塑性繊維を含む。
【0086】
これらのタイプの繊維の各々は、好ましくは、いずれか1つの層内の支配的含有物、すなわち、50%よりも多い繊維を表す含有物として使用することができ、更により好ましくは、これらのタイプの繊維の各々は、繊維の全てを積層体の各複合層において構成する。本発明の好ましい変形により、積層体の各複合層におけるポリマーマトリクス/繊維容積比は、25/75~55/45、好ましくは約45/55の範囲である。
【符号の説明】
【0087】
1 非空気式ホイール
2 支柱、スポーク
5 ハブ
7 トレッド
10 環状補強構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11