(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】オストミー装具の皮膚と係合可能な要素を含むシステム
(51)【国際特許分類】
A61F 5/445 20060101AFI20230323BHJP
【FI】
A61F5/445
(21)【出願番号】P 2020534337
(86)(22)【出願日】2018-12-20
(86)【国際出願番号】 DK2018050404
(87)【国際公開番号】W WO2019120448
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-11-16
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】500085884
【氏名又は名称】コロプラスト アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】カーステン スレデン
(72)【発明者】
【氏名】ヤイス アスク ハンスン
(72)【発明者】
【氏名】ラース エロプ ラースン
【審査官】杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06206864(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/445
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管の間、オストミー装具の皮膚と係合可能な要素の機能性を保つためのシステムであって、
-支持シートを備え、第1の主要近位側及び第2の主要遠位側を有する皮膚と係合可能な要素であって、前記第1の主要近位側に、ユーザのストーマ周囲の皮膚部分に前記皮膚と係合可能な要素を接着させるように構成された第1の接着材料層であって、2つ以上の不連続の貫通通路を含む前記第1の接着材料層を含む前記皮膚と係合可能な要素と、
-前記皮膚と係合可能な要素の前記第1の主要近位側に取り外し可能に取り付けられた保護要素であって、シート材料であって、その主要表面から実質的に軸方向に突出している2つ以上の不連続の部分を含む前記シート材料を含む前記保護要素と、
を備えるとともに、
前記シート材料の前記2つ以上の不連続の突出部分がそれぞれ、前記第1の接着材料層内の貫通通路と係合するように適合されており、且つ、
前記保護要素が、前記皮膚と係合可能な要素から取り外されると、前記第1の接着材料層内の貫通通路がそれぞれ開かれ、通過可能になるシステム。
【請求項2】
前記皮膚と係合可能な要素が、前記第1の接着材料層よりも
遠位に第2の接着材料層を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2の接着材料層の第2の総表面積が、前記第1の接着材料層の第1の総表面積よりも大きい、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記皮膚と係合可能な要素が、前記第1の接着材料層よりも遠位に設けられた1つ又は複数の電極をさらに含むとともに、前記1つ又は複数の電極が、前記第1の主要近位側から、前記第1の接着材料層内の前記2つ以上の不連続の貫通通路を通して
到達可能である、請求項1~3の何れか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つ又は複数の電極が、前記第2の接着材料層よりも近位に設けられている、請求項2又は3に従属する場合の請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つ又は複数の電極が電極層内に設けられるとともに、前記電極層が、ポリウレタン材料層内に設けられた前記電極の材料を含む、請求項4又は5に記載のシステム。
【請求項7】
前記皮膚と係合可能な要素の前記第2の主要遠位側が、前記支持シートに設けられた、身体廃棄物を収集するための収集バッグの第2の連結半部に連結されるように適合された第1の連結半部をさらに含む、請求項1~
6の何れか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の連結半部が、フランジから実質的に垂直に延在する環状リングを含み、前記フランジの最も外側の周縁部が、前記皮膚と係合可能な要素の中心から、前記電極層の最も外側の周縁部と実質的に同じ半径方向距離にある、
請求項6に従属する場合の請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記保護要素から突出する前記複数の不連続の突出部分が、円状のパターンで分布している、請求項
1~8の何れか一項11に記載のシステム。
【請求項10】
前記保護要素から突出する前記複数の不連続の部分が、2~50個の不連続の突出部分を含む、請求項
9に記載のシステム。
【請求項11】
前記保護要素から突出する前記複数の不連続の部分が、21~30個の不連続の突出部分を含む、請求項
10に記載のシステム。
【請求項12】
前記皮膚と係合可能な要素が、身体廃棄物を受け入れるための
ストーマ、及び/又は前記ストーマを収容するための中央開口部を含む、請求項1~
11の何れか一項に記載のシステム。
【請求項13】
身体廃棄物を収集するための収集バッグであって、前記第2の主要遠位側に取り付けられるか、又は連結されるように構成された前記収集バッグをさらに含む、請求項1~
12の何れか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ストーマ排泄物は、ユーザの皮膚表面及びオストミー装具のいずれに対しても攻撃的な体液及び内臓の内容物を含有している場合が多く、特に、このような体液は、オストミー装具をユーザの皮膚表面に取り付けるために塗布される接着材料の有効性及び保全性に有害な影響を及ぼす。加えて、ユーザによっては、自らのデバイスを長期間着用することを選択できる場合もあれば、着用しなければならない場合がある。オストミー装具のユーザにとっては、安全で、信頼度が高く、有効、且つ、使い易いデバイスが大いに望まれる。オストミーデバイスの交換が必要になるまでの着用時間を長くするという要求を含めた、このような要求を満たすオストミーデバイスを市場で販売するために、多数の試みが多数の供給者からなされているが、すべてのオストミータイプに対して満足できるオストミーデバイスの着用時間の実現に十分に有効な改良品は、依然として需要が高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
多くのオストミーユーザ人口にとって特に重要、且つ、永続的な懸念事項は、やはり、オストミー装具をユーザの皮膚表面に取り付けるベースプレート接着部の不具合である。その理由は、このような不具合が決まりの悪い、非難される漏れ事象につながるのは、ほとんど避けられないからである。このような事象は、ひいては、生活の質の低下を感じるようになることが、数人のユーザへのインタビューからわかっている。ベースプレート接着部の接着の不具合は、様々な理由により起こり得る。最もよくあるのは、例えば、凹凸のある皮膚表面又は皮膚のひだにより生じた、例えば、皮膚へのベースプレートの取り付けが最適とは言えないことが原因で、ベースプレートの近位面とユーザの皮膚との間にストーマ排泄物が入ることによって、漏れ事象が起こることである。接着部「の真下の」、ストーマ排泄物のこの望ましくない進行は、重量を支え、オストミー装具の封止をもたらす接着材料の劣化及び/又は脆弱化につながる。このような接着の不具合が驚くほど速く起こる場合が多く、漏れが生じるほど不具合がすでに激しくなり、オストミー装具を、場合によってはユーザの衣服もまた、すぐに交換することが必要になった後にしか、ユーザには見つけることができない。
【0003】
突然の漏れ事象の発生を減らすか、又はなくすように、且つ、より一層信頼度の高い製品に対する要求を満たすようにオストミーデバイスを改良すれば、ユーザも医療従事者も同様に歓迎することであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、添付の特許請求の範囲に記載の、オストミー装具の皮膚と係合可能な要素を含むシステムの態様及び実施形態を提供する。
【0005】
添付の図面は、実施形態をさらに理解するように含められ、且つ、本明細書に組み込まれるとともに、本明細書の一部を構成する。図面は、実施形態を図示し、説明とともに実施形態の原理を説明する役割を果たす。他の実施形態、及び実施形態が意図する利点のうちの多くは、以下の詳細な説明を参照することによって一層よく理解されるようになるので、容易に認識されるであろう。図面の要素は、必ずしも互いに正確な縮尺ではない。同様の参照数字は、対応する類似した部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、保管の間、オストミー装具の皮膚と係合可能な要素の機能性を保つためのシステムの一実施形態の分解組立斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示のシステムの第1の接着材料層及び保護要素の一実施形態の概略斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、システムの保護要素の一実施形態の拡大概略断面スケッチである。
【
図3B】
図3Bは、システムの保護要素の第2の実施形態の拡大概略断面スケッチである。
【
図4A】
図4Aは、システムの一実施形態の一部分の斜視断面図である。
【
図5】
図5は、システムの皮膚と係合可能な要素によって形成されたオストミー装具のベースプレートの一実施形態の分解組立斜視図である。
【
図6】
図6は、システムのオストミー装具用の皮膚と係合可能な要素の電極層の一実施形態の分解組立斜視図である。
【
図7】
図7は、システムの皮膚と係合可能な要素の一部の一実施形態の近位面の近位側から見た図であり、例示目的で、システムの第1の接着層及び保護要素が削除されている。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
以下の詳細な説明では、添付の図面が参照されるが、図面は、本明細書の一部を形成し、また、図面には実施形態が図示されており、これらの実施形態に従って、本発明を実践することができる。これに関して、方向を示す術語、例えば、「頂部」、「底部」、「正面」、「背面」、「先行する」、「後続の」等は、説明されている図面の向きに関して使用されている。実施形態の構成要素を様々な向きに位置決めすることができるため、方向を示す術語は、例示の目的で使用され、決して限定するものではない。他の実施形態を利用することができ、本発明の範囲から逸脱することなく、構造的変更又は論理的変更を行うことができることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定する意味で解釈されるべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0008】
本明細書に記載された様々な例示的な実施形態の特徴は、特に断りのない限り、互いに組み合わせることができることを理解されたい。
【0009】
本開示全体にわたって、「ストーマ」及び「オストミー」という語は、人の腸又は尿路系をバイパスする、外科的に造設された開口部を意味するように使用されている。これらの語は、交換可能に使用され、また、意味を区別するように意図されていない。同じことは、これらから派生したすべての語又は語句、例えば、「ストーマの」、「オストミー」等に当てはまる。同様に、ストーマから出る固体及び液体廃棄物は、ストーマの「排泄物」、「廃棄物」と、「体液」との両方で交換可能に呼ぶことができる。オストミー手術を受けた人は「オストミーユーザ」又は「オストメイト」と呼ぶことができ、さらに「患者」又は「ユーザ」と呼んでもまたよい。しかしながら、場合によっては、「ユーザ」は、外科医又はオストミーケア看護師のような医療従事者(HCP:health care professional)などに関連するか、又は、これらの人を指す場合もある。これらの場合には、そのことがはっきりと述べられているか、又は文脈から「ユーザ」が「患者」自身でないことが暗に示されることになる。
【0010】
以下において、デバイス又はデバイスの一部の近位側について述べる場合は常に、ユーザがオストミー装具を着用した際に皮膚に面している側を指す。同様に、デバイス若しくはデバイスの一部、又は構成要素の遠位側について述べる場合は常に、ユーザがオストミー装具を着用した際に皮膚と反対側に面する側を指す。言いかえれば、近位側は、装具がユーザに取り付けられているときにユーザに最も近い側であり、遠位側は、反対側、すなわち使用時にユーザからさらに遠く離れた側である。
【0011】
軸方向とは、ユーザが装具を着用した際のストーマの方向であると定義される。したがって、軸方向は、ユーザの皮膚又は腹部表面に対して、概して垂直である。
【0012】
半径方向は、軸方向を横断する方向、すなわちストーマの方向を横断する方向であると定義される。文章によっては、「内側の」及び「外側の」という語が使用される場合がある。これらの限定詞は、「外側の」要素と言う場合に、その要素が「内側の」と言われる要素よりもさらにオストミー装具の中心部分から離れていることを意味するように、半径方向に関して、概して理解されるものとする。加えて、「最も内側の」とは、構成要素の中心を形成する構成要素の部分、及び/又は、構成要素の中心に隣接する部分であると解釈されるものとする。類推して、「最も外側の」とは、構成要素の外縁部又は外輪郭を形成する構成要素の一部分、及び/又は、こうした外縁部又は外輪郭に隣接する一部分であると解釈されるものとする。
【0013】
本開示における、ある特定の特徴又は効果に対する限定詞としての「実質的に」という語句の使用は、任意の偏差が、関連分野の当業者であれば通常予期する製作公差などの許容範囲内であることを単に意味するように意図している。
【0014】
本開示では、「第1の接着材料層」及び「第1の接着層」という言い回しは、意味又は解釈を区別するように意図されることなく、交換可能に使用することができる。ただし、これを逸脱することが明記されている場合は除く。同じことは、「第2の接着材料層」及び「第2の接着層」という言い回しに関して当てはまる。
【0015】
本開示では、「不連続の(discrete)」という言い回しは、別々の存在又は部分を構成する物事を意味するように意図されている。この代わりに、又はこれに加えて、この言い回しは、別個の要素又は連続していない要素からなる物事を意味する。したがって、例えば、貫通通路を「不連続の」として定義することによって、これらが、相互に接続した要素を形成しないこと、例えば、相互に接続したキャビティ又は通路を形成しないことが明らかである。
【0016】
1つの態様では、本開示は、請求項1に記載の、保管の間、オストミー装具の皮膚と係合可能な要素の機能性を保つためのシステムに関する。
【0017】
皮膚と係合可能な要素は、支持シートを含み、第1の主要近位側及び第2の主要遠位側を含む。皮膚と係合可能な要素は、第1の主要近位側に、第1の接着材料層を含み、それは、皮膚と係合可能な要素をユーザのストーマ周囲の皮膚部分に接着させるように構成されている。第1の接着材料層は、2つ以上の不連続の貫通通路を含む。
【0018】
皮膚と係合可能な要素の第1の主要近位側に取り外し可能に取り付けられた保護要素は、シート材料を含むが、シート材料は、シート材料の主要表面から実質的に軸方向に突出している2つ以上の不連続の部分を含む。シート材料の2つ以上の不連続の突出部分はそれぞれ、第1の接着材料層内の貫通通路のうちの1つと係合するように適合されている。これにより、ユーザの皮膚表面に取り付ける前に、取外し可能な保護要素が皮膚と係合可能な要素から取り外されると、第1の接着材料層内の貫通通路がそれぞれ開かれ、通過可能になる。「通過可能な」という用語は、「貫通させる」ことであると理解されるものとする。1つの例では、(開いた)貫通通路は、(限定されないが)液状の水滴、ユーザの皮膚から発散する汗、ユーザのストーマからの粘液などの水分及び/又は液体物質、並びに、ストーマからのストーマ排泄物などの身体廃棄物が通過可能である。同様に、貫通通路は、代替的に、又は追加的に、(特に、コロストミーに関してストーマ排泄物の「固体」成分を含めた)比較的固い材料片を貫通させるように構成することができる。
【0019】
シート材料の主要表面から実質的に軸方向に突出している不連続の部分を含む保護要素を含む、本開示によるシステムを提供することにより、いくつかの有利な効果が得られる。効果の1つには、オストミー装具の皮膚と係合可能な要素の機能性が、要素の保管期間を通じて確実に保たれることが含まれる。「保管期間」とは、(ベースプレートのような)皮膚と係合可能な要素を含むオストミー装具の構成要素は通常、最長5年間すなわち60か月間の、典型的には少なくとも3年間すなわち36か月間の保存期間を有していなければならない、という意味で理解されるものとする。
【0020】
シート材料の主要表面から実質的に軸方向に突出している2つ以上の不連続の部分は、第1の接着材料層内の貫通通路と係合するように構成されている。保護要素の2つ以上の不連続の突出部分は、皮膚と係合可能な要素の第1の主要近位側に面するように、且つ、保管の間、皮膚と係合可能な要素の接着材料と直接接触しているように構成されている。言いかえれば、開示されているシステムの保護要素の突出部分は、皮膚と係合可能な要素の近位(接着)表面と、突出部を含む保護要素の遠位面との間に空間を伴ったり、空間を生み出したりすることがない。
【0021】
本開示によるオストミー装具の皮膚と係合可能な要素に通常塗布可能な接着材料は、比較的柔らかく、柔軟性がある場合が多い。したがって、皮膚と係合可能な要素の保存期間中の、接着材料及び/又は保管、及び/又は取り扱い条件の特性に少なくとも起因して、接着材料内の貫通通路は、時間が経つにつれ、例えば、オストミー装具の保存期間が経つにつれ、通過不能になるか、又は完全に閉じてしまう(すなわち、「貫通させ」なくなる)場合がある。1つの例では、このような接着材料は、例えば、周囲の温度及び/又は圧力状態の変化に起因して、ゆっくりと流動又は漏出しがちな可能性がある。
【0022】
一例として、貫通通路が接着材料層に内部「壁面」を形成するか、又は含むものとして認識される場合、接着材料は、「流れ」、例えば、移動及び/又は漏出を開始し、貫通通路の内部「壁面」を崩壊させ、これにより、貫通通路を通過不能にさせる場合がある。これはそれ自体、瞬時の問題ではないが、本開示による、皮膚と係合可能な要素を含むオストミー装具の保存期間が経つにつれて確実に問題となり得る。
【0023】
本開示によるシステムの保護要素を提供することにより、オストミー装具の保存期間全体にわたって、接着材料の貫通通路の内部「壁面」を確実に支持できるようにすることで、貫通通路は、それらの意図された形状又は構成で「保たれる」か、又は保持されるようになっており、したがって、オストミー装具の皮膚と係合可能な要素を使用しようとする際に利用可能であるようになっている。
【0024】
実施形態では、保護要素のシート材料は、熱成形可能な材料を含む。実施形態では、保護要素のシート材料は、厚さが100~200μmの範囲の、例えば、125~175μmの、例えば、150μmの、(APETのような)ポリエチレンテレフタレート材料を含む。
【0025】
実施形態では、保護要素のシート材料の主要表面から実質的に軸方向に突出している2つ以上の不連続の部分はそれぞれ、例えば、断面頂面図で考察したときに、概して丸い外輪郭で形成されている。実施形態では、このような概して丸い輪郭は、約1~3mmの、例えば、1.5~2.5mmの、例えば、2mmの突出部分の内径を反映している。
【0026】
本開示のシステムの別の有利な効果には、第1の主要近位側の、接着材料内の貫通通路「の真下の」位置に設けられたオストミー装具の、皮膚と係合可能な要素の材料又は構成要素を保護することが含まれる。1つの非限定的な例では、このような材料又は構成要素は、接着材料層内の貫通通路のうちの1つ又は複数を通過している液体物質又は固体材料と接触したときに、信号などの反応の発生に役立つように構成された材料又は構成要素を含むことができる。
【0027】
本開示のシステムのなおさらなる有利な効果は、貫通通路の内部「壁面」の接着材料のうちのいずれもが、徐々に材料の接着効果(接着力)を低下させるおそれがある粉塵又は他の小粒子による汚染から保護されるということである。
【0028】
第1の接着材料層は、第1の組成物で作ることができる。第1の組成物は、1つ又は複数のポリイソブテン、及び/又はスチレン-イソプレン-スチレンを含むことができる。第1の組成物は、1つ又は複数の親水コロイドを含むことができる。第1の組成物は、ゴム状のエラストマー基材、及び、1つ又は複数の水溶性又は水膨潤性の親水コロイドを含む、医療目的に適した感圧接着性組成物とすることができる。第1の組成物は、1つ又は複数のポリブテン、1つ又は複数のスチレン共重合体、1つ又は複数の親水コロイド、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。ポリブテンの接着性と、親水コロイドの吸収性とを組み合わせると、第1の組成物は、オストミー装具での使用に適したものになる。スチレン共重合体は、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、又はスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体とすることができる。実施形態では、1つ又は複数のスチレン-イソプレン-スチレン(SIS)ブロック型共重合体が用いられる。スチレンブロック共重合体の量は、接着性組成物の総量の5%から20%までとすることができる。ブテン成分は、適切には、ポリブタジエン、ポリイソプレンから選択される共役ブタジエン重合体である。ポリブテンは、接着性組成物の総量の35~50%の量で存在することが好ましい。実施形態では、ポリブテンは、ポリイソブチレン(PIB)である。第1の組成物に混入するのに適した親水コロイドは、天然親水コロイド、半合成親水コロイド、及び合成親水コロイドから選択される。第1の組成物は、20~60%の親水コロイドを含むことができる。好適な親水コロイドは、カルボキシメチルセルロース(CMC)である。第1の組成物は、任意選択的に、充填材、接着性付与剤、可塑剤、及び他の添加物など、他の成分を含有することができる。
【0029】
実施形態では、オストミー装具の皮膚と係合可能な要素は、第1の接着材料層よりも遠位にある第2の接着材料層を含む。第2の接着材料層は、2つ以上の不連続の貫通通路を含む場合がある。2つ以上の不連続の貫通通路は、第1の接着材料層の2つ以上の不連続の貫通通路と一致している場合がある。
【0030】
実施形態では、第1の接着材料層及び第2の接着材料層は、少なくとも部分的に重なる(又は「上下に」重なり合う)ように構成することができる。実施形態では、第1の接着材料層は、第2の接着材料層とは異なる組成物である。組成物が異なる第1の接着層及び第2の接着層を設けることは、皮膚と係合可能な要素の汎用性を高めるのに役立つ可能性がある。加えて、いくつかの実施形態では、組成物が異なる第1の接着層及び第2の接着層を設けることは、個々の第1の接着材料層及び第2の接着材料層のそれぞれの、所望される効果を二者択一で増幅するか、減衰するか、の何れかに役立つ可能性がある。実施形態では、第1の接着材料層及び第2の接着材料層の組成物は、同一の材料だが、異なる割合で含む(構成される/からなる)ことにより、第1の層の組成物及び第2の層の組成物を互いに異なるものにすることができる。
【0031】
実施形態では、第2の接着材料層は、第2の接着材料の劣化を回避するために、ストーマ排泄物に対して特に耐性を有するように適合されている。実施形態では、第2の接着材料層は、オストミー装具の皮膚と係合可能な要素の中心から離れた部分で塗布されるのに特に適するように適合された、例えば、アクリレート系タイプの接着剤などの、高い初期接着性を有する接着剤である。第1の接着材料層及び第2の接着材料層の両方を含む実施形態では、第1の接着材料層は、ストーマ排泄物に対して特に耐性を有するように、有利に適合させることができ、また、第2の接着材料層は、皮膚表面への強い接着力を確保するのに特に適するように、有利に適合されている。
【0032】
実施形態では、第1の接着材料層及び第2の接着材料層は、互いに層をなす関係性で設けられていることで、層のうちの一方が、他方の層の「上に」設けられるようになっている。そのように、層は、実質的に完全に重複しているか、又は、互いに分離された別個の区域のみで重複していることを含め、部分的にのみ重なることができる。他の実施形態では、第1の接着材料層及び第2の接着材料層は、互いに「並んでいる」関係性で設けられていることで、層のうちの一方が他方の層「の隣に」設けられるようになっており、(限定されないが)例えば、一方の接着材料が他方の接着材料のまわりに環状に設けられるようになっている。
【0033】
第2の接着材料層の2つ以上の不連続の貫通通路が、第1の接着材料層の2つ以上の不連続の貫通通路と一致している場合、保護要素の2つ以上の不連続の突出部分は、第1の接着材料層内の貫通通路、及び第2の接着材料層内の一致している貫通通路の両方と係合するように構成されている。これにより、1つの(第1の)接着材料層を含む皮膚と係合可能な要素に対する上述した効果及び恩恵を、2つの(第1の及び第2の)接着材料層を含む皮膚と係合可能な要素に対して等しく得ることができる。「一致している」という用語は、第1の接着材料層内の貫通通路が、2つの接着材料層の通路間で実質的な横方向のオフセットなしに、第2の接着材料層内の貫通通路のちょうど「上に」又は「下に」にあるように解釈されるべきであることが理解されよう。さらに、「一致している」ことによって、接着層のうちの1つの通路を通過する任意の液体物質、又は固体材料片が、そのような通過の動きに妨害されることなく、又は通路で動きが滞りがちになることなく、第2の接着材料層の一致している通路を通って進み続けることができる。
【0034】
皮膚と係合可能な要素の第1の接着材料及び/又は第2の接着材料の組成物は、保護要素の2つ以上の不連続の突出部分の外輪郭などの、又は外輪郭を含めた形状及び/又は構造が、接着材料を支持するやり方についての要件に影響を及ぼす場合がある。したがって、丸い外輪郭を有することの代わりに、又は有することに加えて、実施形態では、接着材料の特性に従って接着材料の支持を提供するように、2つ以上の不連続の突出部分の形状が最適化される。このような最適化は、本開示のシステムの製造中に、特に、保護要素の製造中に提供される。
【0035】
実施形態では、保護要素から突出する不連続の突出部分は、複数の不連続の突出部分を含む。実施形態では、保護要素から突出する複数の不連続の部分は、円状のパターンで分布している。実施形態では、保護要素から突出する複数の不連続の部分は、2~50個の不連続の突出部分を含む。実施形態では、保護要素から突出する複数の不連続の部分は、21~30個の不連続の突出部分を含む。
【0036】
実施形態では、皮膚と係合可能な要素は、第1の接着材料層よりも遠位に設けられた、1つ又は複数の電極をさらに含む。1つ又は複数の電極は、皮膚と係合可能な要素の第1の主要近位側から、第1の接着材料層内の2つ以上の不連続の貫通通路のそれぞれを通してアクセス可能である。
【0037】
実施形態では、皮膚と係合可能な要素は、第1の接着材料層よりも遠位に、且つ、第2の接着材料層よりも近位に設けられた、1つ又は複数の電極をさらに含む。したがって、1つ又は複数の電極は、第1の接着材料層と、第2の接着材料層との間に挟まれた構造で、すなわち、第1の接着材料層の遠位側、且つ、第2の接着材料層の近位側に設けることができる。別の実施形態では、1つ又は複数の電極は、第2の接着材料層の遠位側に設けることができる。1つ又は複数の電極は、皮膚と係合可能な要素の第1の主要近位側から、第1の接着材料層内の2つ以上の不連続の貫通通路のそれぞれを通してアクセス可能である。別の実施形態では、1つ又は複数の電極は、第2の接着層の遠位側に設けられる。これにより、1つ又は複数の電極は、皮膚と係合可能な要素の第1の主要近位側から、第1の接着材料層、及び第2の接着材料層内の2つ以上の不連続の、且つ、一致している貫通通路のそれぞれを通してアクセス可能である。非限定的な例では、1つ又は複数の電極は、1つ又は複数のセンサとして機能することができる。例えば、1つ又は複数の電極のうちの2つが、センサとして機能してもよい。
【0038】
実施形態では、1つ又は複数の電極は、電極組立体又は電極層内に設けられ、電極層は、ポリウレタン材料層内に、又はポリウレタン材料層上に設けられた電極の材料を含む。実施形態では、電極層は、エチレン酢酸ビニル(EVA:ethylene vinyl acetate)材料を含む。
【0039】
実施形態では、電極層は、電極層を支持シートの近位側に取り付けるための接着材料をさらに含む。実施形態では、接着材料は、電極層の遠位面上の、又は支持シートの近位側の結合層として設けられている。電極層を支持シートの近位側に取り付ける他のやり方、例えば、溶接もまた容認可能である。ただし、取り付け、又は取り付けプロセスが、1つ又は複数の電極にも、電極層の任意の他の特性にも、システムの他の部分にも、影響を及ぼさないことが条件である。
【0040】
実施形態では、電極層の少なくとも一部分は、透湿性であるように適合されている。一実施形態では、電極層全体が透湿性であるように適合されている。実施形態では、電極層の一部分だけが、透湿性であるように適合されている。電極層は、有利な点として、例えば、1つ又は複数の電極を電極層の材料内に埋め込むという選択肢を提供するために、透湿性にすることができる。したがって、実施形態では、1つ又は複数の電極が電極層内に埋め込まれている。一実施形態では、電極層は、1つ又は複数の電極が電極層内に埋め込まれた実質的に平坦な遠位面、及び実質的に平坦な近位面を含む。
【0041】
実施形態では、1つ又は複数の電極は、電極層の1つの同一の平面内に設けられている。これにより、比較的単純な構造が提供され、複雑度及び製造コストを低減するのに有利である。
【0042】
実施形態では、1つ又は複数の電極は、電極層の平坦な表面のうちの1つの上にプリントされている。一実施形態では、1つ又は複数の電極は、電極層の平坦な近位面上に、例えば、電極層の支持層上にプリントされている。
【0043】
実施形態では、1つ又は複数の電極は、銀製材料、及び/又はカーボンブラック材料を含む。実施形態では、1つ又は複数の電極は、カーボンブラック材料を含有する1つ又は複数のインクを含む。一実施形態では、カーボンブラックを含有する電極が、電極層上にプリントされている。実施形態では、1つ又は複数の電極のそれぞれの厚さは、およそ20μmである。或いは、1つ又は複数の電極は、積層プロセスによって、又は打ち抜きプロセスによって付けることができる。この代わりに、又はこれに加えて、1つ又は複数の電極は、有機半導体、無機半導体、金属導体、ナノ粒子、ナノチューブ等といったような、水溶液系材料から提供することができる。
【0044】
1つ又は複数の電極を含む実施形態では、本開示によるシステムは、1つ又は複数の電極が保管の間、周囲空気の酸素に露出されないため、保護要素が1つ又は複数の電極の導電性材料を酸化から保護するという点でさらに有利である。したがって、システムの保護要素はさらに、皮膚と係合可能な要素の保存期間中の1つ又は複数の電極の機能性の保全にもまた役立つ。実施形態では、保護要素の2つ以上の不連続の突出部分のそれぞれの最も遠位の外側表面部分は、電極層の1つ又は複数の電極に接触するように、したがって1つ又は複数の電極をさらに保護するように構成する。
【0045】
実施形態では、第2の接着材料層の第2の総表面積は、第1の接着材料層の第1の総表面積よりも大きい。実施形態では、第2の接着材料層は、第1の接着材料層よりも大きい表面積を有する。「(第1の/第2の)総表面積」という用語は、第1の接着層若しくは第2の接着層の近位面の全部、又は、第1の接着層若しくは第2の接着層の遠位面の全部、の何れか一方(だが両方ではない)を意味するように意図されている。
【0046】
実施形態では、電極層の第3の総表面積は、第2の接着材料層の第2の総表面積に実質的に対応する。
【0047】
実施形態では、電極層の第3の総表面積は、第2の接着材料層の第2の総表面積よりも小さい。
【0048】
実施形態では、電極層の第3の総表面積は、第1の接着材料層の第1の総表面積に実質的に対応する。
【0049】
実施形態では、電極層の第3の総表面積は、第1の接着材料層の第1の総表面積よりも小さい。
【0050】
実施形態では、支持シートは、織物又は不織布材料を含む。実施形態では、支持シートは、熱可塑性ポリマーフィルムである。実施形態では、支持シートは、弾性材料を含む。実施形態では、支持シートは、水分を適切に透過することができ、例えば、ポリオレフィン型の、例えば、PE、PP、又はポリブチレンなどのポリマー、ナイロンなどのポリアミド、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、フッ素化ポリビニル化合物、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル、酢酸セルロース又は他の熱可塑性多糖類、フランスのArkema社製PEBAX(登録商標)などのポリエーテルブロックアミド、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、又はエチレンアクリレートブロック共重合体のようなブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はその誘導体などのポリエステル、及びこのようなポリマーからの任意のラミネートから作ることができる。他の実施形態では、支持シートは、例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、又はポリ酢酸ビニルから作られた薄い発泡層を含む。
【0051】
実施形態では、オストミー装具の皮膚と係合可能な要素の第2の主要遠位側は、支持シート上に設けられた、オストミーからの身体廃棄物を収集するための収集バッグの第2の連結半部に連結されるように適合された第1の連結半部をさらに含む。第1の連結半部は、身体廃棄物収集バッグに設けられた第2の連結半部と解放可能に連結するように構成されている。
【0052】
実施形態では、第1の連結半部は、廃棄物収集バッグに設けられた接着性のフランジの形態をした第2の連結半部を取り付けるための表面を提供するように適合されたフランジである。実施形態では、第1の連結半部は、接着剤を任意選択的に含む可撓性を有する、平坦な環状フランジとして構成されている。第1の連結半部は、接着剤を用いて廃棄物収集バッグの入口開口部のまわりに設けられた第2の連結半部と連結するように適合されている。この接着剤による連結により、皮膚と係合可能な要素と、廃棄物収集バッグとの間に、解放可能な、又は永続的な接着剤による連結係合を提供することができる。
【0053】
実施形態では、第1の連結半部は、直立フランジを含む環状リングであり、廃棄物収集バッグに設けられた連結リングの形態をした第2の連結半部に取り付けるために、第2の主要遠位側から垂直に突出する。一実施形態では、環状リングは、支持シートによって形成された第2の主要遠位側に取り付けられている。実施形態では、第1の連結半部は、接着剤又は溶接によって取り付けられるが、支持シートへの取り付けを含め、第2の主要遠位側に取り付ける他のやり方も容認可能である。
【0054】
実施形態では、第1の連結半部は、フランジから実質的に垂直に延在する環状リングを含むが、このフランジの最も外側の周縁部は、皮膚と係合可能な要素の中心から、電極層の最も外側の周縁部と実質的に同じ半径方向距離にある。実施形態では、第1の連結半部の環状リング及びフランジは、第1の接着材料層の中心部分を画定し、「包囲」する。
【0055】
実施形態では、本開示によるシステムは、身体廃棄物を収集するための収集バッグを含み、この収集バッグが、皮膚と係合可能な要素の第2の主要遠位側に取り付けられるように構成されている。実施形態では、廃棄物収集バッグは、皮膚と係合可能な要素の第2の主要遠位側に、永続的に、すなわち連結できないように取り付けられている。
【0056】
実施形態では、少なくともオストミー装具の皮膚と係合可能な要素は、ストーマを収容するために受け入れるための、及び/又は、身体廃棄物を通過させて収集バッグに入れるための中央開口部を含む。
【0057】
シート材料の主要表面から実質的に軸方向に突出する2つ以上の不連続の部分を有するシート材料を含む保護要素を含む、本開示によるシステムの実施形態は、例えば、ベースプレートと、モニタデバイスと、任意選択的に、1つ又は複数の付属デバイスと、を含むオストミーシステムのような、オストミーシステム及びそのデバイスにおいて、好都合に利用される。
【0058】
上述のオストミーシステムは、モノリシックの、ワンピース型のベースプレートのような、例えば、センサ組立体部分と一体化されたベースプレートを含むか、又は、ベースプレートと、ベースプレートに後付けされるセンサ組立体部分のような、別々のセンサ組立体部分と、を含む。例えば、従来のベースプレートのような任意のベースプレートが、1つ又は複数の電極の提供に関して、本明細書に記載の特徴を実現することを可能にするために、ベースプレートに関して本明細書に記載されるような特徴は、例えば、ユーザがベースプレートに付けるセンサ組立体部分によって、提供することができる。センサ組立体部分は、オストミープレートに接着するように適合させることができる。
【0059】
開示されている、ベースプレートをユーザのストーマ、及び/又はストーマ周囲の皮膚領域などのストーマを取り囲む皮膚に取り付ける方法は、センサ組立体部分をベースプレートに取り付けることと、ベースプレートを、例えば、取り付けられたセンサ組立体部分とともに、ユーザのストーマ、及び/又は、ストーマ周囲の皮膚領域などのストーマを取り囲む皮膚に取り付けることと、を含むことができる。或いは、ベースプレートをユーザのストーマ、及び/又はストーマを取り囲む皮膚に取り付ける方法は、センサ組立体部分をユーザのストーマ、及び/又はストーマを取り囲む皮膚に取り付けることと、ベースプレートをユーザのストーマ、及び/又は取り付けられたセンサ組立体部分の上方のストーマを取り囲む皮膚に取り付けることと、を含むことができる。
【0060】
付属デバイス(外部デバイスとも呼ばれる)は、移動電話又は他のハンドヘルドデバイスであってもよい。付属デバイスは、パーソナル電子デバイス、例えば、腕時計又はその他の手首に着用される電子デバイスのような、ウェアラブルなものであってもよい。付属デバイスは、ドッキングステーションであってもよい。ドッキングステーションは、モニタデバイスをドッキングステーションに電気的、及び/又は、機械的に連結するように構成することができる。ドッキングステーションは、モニタデバイスを充電するように構成すること、及び/又は、モニタデバイスと、ドッキングステーションとの間でデータを転送するように構成することができる。オストミーシステムは、サーバデバイスを含むことができる。サーバデバイスは、オストミー装具製造業者及び/又はサービスセンターによって動作させること、及び/又は制御することができる。
【0061】
本開示のシステムの実施形態は、ベースプレート及び/又はセンサ組立体部分と、モニタデバイスと、任意選択的に、単独で又は一緒に、ベースプレート及び/又はセンサ組立体部分をユーザの皮膚表面に取り付けるために設けられた接着材料の水分伝播の性質、重大度、及び急速性についての信頼度の高い判定を容易にする、1つ又は複数の付属デバイスと、を含むオストミー装具を備えるオストミーシステムにおいて好都合に使用される。接着部の水分伝播のパターンの性質に応じて、オストミーシステム及びそのデバイスは、不具合のタイプに関する情報をユーザに提供できるようにし、ひいては、重大度の、したがって、激しい漏れ及び/又は皮膚の損傷を経験せずにオストミー装具を交換するための残りの時間枠の表示をユーザに提供できるようにする。
【0062】
実施形態では、オストミー装具は、ベースプレートと、オストミーパウチ(オストミーバッグ、身体廃棄物用収集バッグ、又は廃棄物収集バッグとも呼ばれる)と、を備える。オストミー装具は、コロストミー装具、イレストミー装具、又はウロストミー装具とすることができる。オストミー装具は、2部品構成型オストミー装具とすることができ、すなわち、ベースプレート及びオストミーパウチを、例えば、機械的な連結及び/又は接着剤による連結により解放可能に連結し、例えば、単一のベースプレートで2つ以上のオストミーパウチを利用(交換)可能にすることができる。オストミー装具は、ワンピース型のオストミー装具とすることができ、すなわち、ベースプレート及びオストミーパウチが、互いに固定して取り付けられている。ベースプレートは、ストーマ周囲の皮膚領域などのストーマを取り囲む皮膚に連結するように構成されている。
【0063】
実施形態では、オストミー装具のベースプレート及び/又はセンサ組立体部分は、実施形態では中心接着層とも表記される、上述した第1の接着材料層のような、第1の接着層を含む。使用中、第1の接着層は、ユーザの皮膚(ストーマ周囲の領域)に、及び/又は封止用ペースト、封止用テープ、及び/又は封止用リングなど、追加の封止材に接着する。実施形態では、第1の接着層は、中心点を有するストーマ開口部を含む。
【0064】
実施形態では、第1の接着層は、複数のセンサ点開口部を含む。例えば、第1の接着層は、上述したような、2つ以上の不連続の貫通通路のような、貫通通路を含むことができる。第1の接着層の貫通通路は、複数のセンサ点開口部を形成することができる。第1の接着層のセンサ点開口部は、例えば、センサ点を形成するために、任意選択的に、電極の一部と重なるように構成される。
【0065】
実施形態では、第1の接着層のセンサ点開口部は、一次センサ点開口部を含む。一次センサ点開口部は、1つ又は複数の一次第1センサ点開口部、及び、1つ又は複数の一次第2センサ点開口部を含むことができ、一次第1センサ点開口部は、電極の一部と重なるように構成され、一次第2センサ点開口部は、一次第1センサ点開口部によって少なくとも部分的に重複された電極とは異なる別の電極の一部と重なるように構成されている。
【0066】
実施形態では、第1の接着層のセンサ点開口部は、二次センサ点開口部を含む。二次センサ点開口部は、1つ又は複数の二次第1センサ点開口部、及び、1つ又は複数の二次第2センサ点開口部を含むことができ、二次第1センサ点開口部は、電極の一部と重なるように構成され、二次第2センサ点開口部は、二次第1センサ点開口部によって少なくとも部分的に重複された電極とは異なる別の電極の一部と重なるように構成されている。
【0067】
実施形態では、第1の接着層のセンサ点開口部は、三次センサ点開口部を含む。三次センサ点開口部は、1つ又は複数の三次第1センサ点開口部、及び、1つ又は複数の三次第2センサ点開口部を含むことができ、三次第1センサ点開口部は、電極の一部と重なるように構成され、三次第2センサ点開口部は、三次第1センサ点開口部によって少なくとも部分的に重複された電極とは異なる別の電極の一部と重なるように構成されている。
【0068】
システムの実施形態では、第1の接着層は、実質的に均一な厚さを有する。実施形態では、第1の接着層は、0.1mmから1.5mmの範囲の、例えば、0.2mmから1.2mmの範囲の厚さを有する。
【0069】
第1の接着層は、第1の接着層の一次部分で、例えば、一次半径方向距離内の一次領域で、又はストーマ開口部の中心点から一次半径方向距離範囲で、一次厚さを有することができる。一次厚さは、0.2mmから1.5mmの範囲に、例えば、約1.0mmとすることができる。一次半径方向距離は、20mmから50mmの範囲に、例えば、25mmから35mmの範囲に、例えば、30mmとすることができる。
【0070】
第1の接着層は、第1の接着層の二次部分で、例えば、二次半径方向距離の外側の二次領域で、又はストーマ開口部の中心点から二次半径方向距離範囲で、二次厚さを有することができる。二次厚さは、0.2mmから1.0mmの範囲に、例えば、約0.5mmとすることができる。二次半径方向距離は、20mmから50mmの範囲に、例えば、25mmから35mmの範囲に、例えば、30mmとすることができる。
【0071】
実施形態では、ベースプレート及び/又はセンサ組立体部分は、実施形態ではリム接着層とも表記される、上述した第2の接着材料層のような、第2の接着材料層を含む。実施形態では、第2の接着材料層は、少なくともベースプレート及び/又はセンサ組立体部分の第1の角度範囲において、第1の接着層の第1の半径方向の拡張よりも大きい第2の半径方向の拡張を有する。それに応じて、第2の接着材料層の近位面の一部は、ユーザの皮膚表面に取り付けるように構成することができる。ユーザの皮膚表面に取り付けるように構成されたこの第2の接着材料層の近位面の一部は、第2の接着層の「皮膚取り付け表面」とも表記される。実施形態では、第2の接着材料層は、中心点が第1の接着材料層のストーマ開口部と位置合わせされた、ストーマ開口部を含む。
【0072】
第2の接着層は、第2の組成物で作ることができる。第2の組成物は、1つ又は複数のポリイソブテン、及び/又はスチレン-イソプレン-スチレンを含んでもよい。第2の組成物は、1つ又は複数の親水コロイドを含んでもよい。
【0073】
第2の組成物は、ゴム状のエラストマー基材、及び、1つ又は複数の水溶性又は水膨潤性の親水コロイドを含む、医療目的に適した感圧接着性組成物であってもよい。第2の組成物は、1つ又は複数のポリブテン、1つ又は複数のスチレン共重合体、1つ又は複数の親水コロイド、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。ポリブテンの接着性と、親水コロイドの吸収性とを組み合わせると、第2の組成物は、オストミー装具での使用に適したものになる。スチレン共重合体は、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、又はスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体であってもよい。好ましくは、1つ又は複数のスチレン-イソプレン-スチレン(SIS)ブロック型共重合体が用いられる。スチレンブロック共重合体の量は、接着性組成物の総量の5%から20%までであってもよい。ブテン成分は、適切には、ポリブタジエン、ポリイソプレンから選択される共役ブタジエン重合体である。ポリブテンは、接着性組成物の総量の35~50%の量で存在することが好ましい。好ましくは、ポリブテンは、ポリイソブチレン(PIB)である。第2の組成物に混入するのに適した親水コロイドは、天然親水コロイド、半合成親水コロイド、及び合成親水コロイドから選択される。第2の組成物は、20~60%の親水コロイドを含んでもよい。好適な親水コロイドは、カルボキシメチルセルロース(CMC)である。第2の組成物は、任意選択的に、充填材、接着性付与剤、可塑剤、及び他の添加物など、他の成分を含有していてもよい。
【0074】
含有物の比率が異なると、第1の接着層及び/又は第2の接着層の特性が変化する場合がある。第2の接着層及び第1の接着層は、特性が異なっていてもよい。第2の接着層(第2の組成物)、及び第1の接着層(第1の組成物)は、ポリイソブテン、スチレン-イソプレン-スチレン、及び/又は親水コロイドの比率が異なっていてもよい。例えば、第2の接着層は、第1の接着層によって提供される皮膚への取り付けと比較して、皮膚への取り付けをより強力にすることができる。この代わりに、又はこれに加えて、第2の接着層は、第1の接着層よりも薄くてもよい。この代わりに、又はこれに加えて、第2の接着層は、第1の接着層よりも水分及び/又は汗の吸収が少なくてもよい。この代わりに、又はこれに加えて、第2の接着層は、第1の接着層よりも成形性が低くてもよい。第2の接着層は、漏れに対する第2のバリアを提供することができる。
【0075】
実施形態では、第2の接着材料層は、実質的に一定の厚さを有する。実施形態では、第2の接着材料層は、0.1mmから1.5mmの範囲の、例えば、0.2mmから1.0mmの範囲の、例えば、0.5mm、0.6mm、又は0.7mmの厚さを有する。
【0076】
実施形態では、ベースプレート及び/又はセンサ組立体部分は、1つ又は複数の電極を、例えば、上述した1つ又は複数の電極を、例えば、複数の電極を、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個以上の電極を含むことができる。実施形態では、電極、例えば、一部又はすべての電極は、第1の接着層と、第2の接着層との間に配置されている。実施形態では、電極は、第1の接着層よりも遠位に設けられている。実施形態では、電極は、第2の接着層よりも近位に設けられている。実施形態では、電極は、電極組立体内に、例えば、電極層内に配置されている。実施形態では、電極は、電極を他の構成要素及び/又はインターフェース端子/端子要素に接続するための接続部を含む。実施形態では、電極は、1つ又は複数の導体部分、及び/又は1つ又は複数の検知部分を含む。導体部分は、2つ以上の検知部分を接続し、且つ/又は検知部分をそれぞれの電極の接続部と接続する電極の一部と見なすことができる。検知部分は、例えば、液体内容物などの液体、及び/又は、漏れにより生じた排泄物などの排泄物、又は差し迫った漏れを検知するのに適した電極の一部と見なすことができる。検知部分は、例えば、その形状によって検知するのに適切な場合があり、前記形状は、場合によっては、円形、楕円形、又は矩形である。したがって、導体部分は、検知部分から生じる信号を伝えることができる。電極は、導体部分及び検知部分を交互に含むことができる。実施形態では、電極組立体又は電極層は、第1の接着層と、第2の接着層との間に配置されている。実施形態では、ベースプレート及び/又はセンサ組立体部分、例えば、電極組立体は、第1の電極と、第2の電極と、任意選択的に、第3の電極と、を備える。実施形態では、ベースプレート及び/又はセンサ組立体部分、例えば、電極組立体は、第4の電極及び/又は第5の電極を備える。実施形態では、ベースプレート及び/又はセンサ組立体部分、例えば、電極組立体は、任意選択的に、第6の電極を備える。実施形態では、ベースプレート及び/又はセンサ組立体部分、例えば、電極組立体は、接地電極を備える。実施形態では、接地電極は、第1の電極部を含む。実施形態では、接地電極の第1の電極部は、第1の電極の接地を形成している。実施形態では、接地電極は、第2の電極部を含む。実施形態では、接地電極の第2の電極部は、第2の電極の接地を形成している。実施形態では、接地電極は、第3の電極部を含む。実施形態では、接地電極の第3の電極部は、第3の電極の接地を形成している。実施形態では、接地電極は、第4の電極部を含む。実施形態では、接地電極の第4の電極部は、第4の電極及び/又は第5の電極の接地を形成している。
【0077】
実施形態では、第1の電極は、開ループを形成している。実施形態では、第2の電極は、開ループを形成し、及び/又は、第3の電極は、開ループを形成している。実施形態では、第4の電極は、開ループを形成している。実施形態では、第5の電極は、開ループを形成している。
【0078】
実施形態では、電極組立体は、支持フィルムとも表記される支持層を含む。実施形態では、1つ又は複数の電極が、支持層の近位側に、例えば、プリントされて、形成されている。実施形態では、1つ又は複数の電極が、支持層の遠位側に、例えば、プリントされて、形成されている。実施形態では、電極組立体は、中心点を有するストーマ開口部を含む。
【0079】
実施形態では、ベースプレート及び/又は電極組立体などのセンサ組立体部分は、電極の少なくとも一部(一部分)を、ベースプレート及び/又はセンサ組立体部分の第1の接着層から絶縁させるように構成された、マスキング要素を含むことができる。実施形態では、マスキング要素は、1つ又は複数の、例えば、複数のセンサ点開口部を含む。実施形態では、センサ点開口部は、一次センサ点開口部及び/又は二次センサ点開口部を含む。実施形態では、センサ点開口部は、三次センサ点開口部を含む。実施形態では、センサ点開口部は、四次センサ点開口部を含む。実施形態では、マスキング要素のセンサ点開口部は、軸方向で見たときに、例えば、センサ点を形成するように、電極組立体の少なくとも1つの電極と重なる。例えば、一次センサ点開口部は、接地電極の一部、及び/又は第4の電極の一部(一部分)と重なる場合がある。実施形態では、二次センサ点開口部は、第4の電極の一部(一部分)、及び/又は第5の電極の一部と重なる。実施形態では、三次センサ点開口部は、第5の電極の一部(一部分)、及び/又は接地電極の一部と重なる。
【0080】
追加の支持を提供し、深いストーマ又はくぼんだストーマからストーマ液が漏れることがないように、凸状のオストミー製品が広く利用可能である。本開示のシステムは、このような凸状のオストミー製品にもまた適用可能である。したがって、実施形態では、システムの皮膚と係合可能な要素は、皮膚と係合可能な要素の第1の主要近位側の凸状の輪郭などの、皮膚と係合可能な要素の凸状の輪郭を画定する凸状の支持デバイスをさらに含む。実施形態では、凸状の支持デバイスは、第1の接着材料層よりも遠位に設けられている。実施形態では、第1の接着材料層は、コーティングなどによって、凸状の支持要素の近位面の少なくとも一部分の上に設けられている。実施形態では、凸状の支持デバイスは、第1の接着材料層及び第2の接着材料層の両方よりも遠位に設けられている。実施形態では、凸状の支持デバイスは、第1の接着材料層よりも、及び/又は、第2の接着材料層よりも遠位に、且つ、皮膚と係合可能な要素の支持シートよりも近位に設けられている。
【0081】
ヘルニアを患っているユーザ、すなわち、身体的な構造(例えば、腸)が周囲の平滑筋組織の破断によって突き出すという現象に関しては、経験から、ストーマ液からの漏れに対抗して十分な保護を提供するように「標準的な」オストミー装具をヘルニアがある皮膚表面に取り付けることは、困難な場合が多いことが示されている。本出願人が先に行った、国際公開第2014/086369号パンフレットとして公開されている出願は、ヘルニアを有するオストミーユーザを対象とした部分的に凹状のオストミー装具を開示している。本開示のシステムは、国際公開第2014/086369号パンフレットに記載されているようなオストミー装具にもまた適用可能である。
【0082】
図面の詳細な説明
図1は、本開示による、保管の間、オストミー装具の皮膚と係合可能な要素12の機能性を保つためのシステム10の一実施形態の分解組立斜視図である。
【0083】
図1は、オストミー装具の皮膚と係合可能な要素12と、保護要素206と、を含むシステム10の構成要素を図示する。皮膚と係合可能な要素12は、オストミー装具のベースプレート4を形成している。皮膚と係合可能な要素12は、2つ以上の不連続の貫通通路14を含む第1の接着材料層200を含む。
図1の実施形態では、複数の貫通通路14が、円状の(又は円形の)パターンで設けられている。皮膚と係合可能な要素12は、電極層(又は電極組立体)204と、支持シート(又は上層)208と、をさらに含む。
図1の実施形態では、皮膚と係合可能な要素12は、身体廃棄物収集バッグ(図示せず)上で第2の連結半部と連結するように構成された第1の連結半部を提供する連結リング209もまた含む。実施形態では、連結リング209は、1つ又は複数のオストミーベルト(図示せず)を取り付けるための手段15、又は、ユーザのストーマ周囲の皮膚表面に取り付けたときに、オストミー装具の皮膚と係合可能な要素12を支持するための他の手段もまた含む要素の一部を形成している。実施形態では、身体廃棄物収集バッグ(図示せず)は、システム10の追加の構成要素を形成している。他の実施形態では、身体廃棄物収集バッグは、支持シート(上層)208によって形成された第2の主要遠位側の表面208Aに永続的に取り付けられる。
【0084】
いくつかの実施態様では、
図1によって図示されているように、ベースプレート4は、モニタインターフェースを含むことができる。ベースプレートのモニタインターフェースは、モニタデバイスとベースプレートとの間の解放可能な連結など、機械的接続を形成するための結合部210を含む。ベースプレート4のモニタインターフェースは、モニタデバイスのそれぞれの端子との電気的接続を形成するための複数の端子212をそれぞれが形成する、複数の端子要素を含むことができる。結合部210及び端子212は、ベースプレート4の第1のコネクタ211を形成している。ベースプレート4は、電極組立体又は電極層204の遠位側に第1の中間要素213を含む。第1の中間要素213は、端子212を形成する端子要素と、第1の接着層200との間に配置されている。
【0085】
図1は、保護要素(剥離ライナー)206が、シート材料の主要表面から実質的に軸方向に突出している2つ以上の不連続の部分16を含むシート材料を含む実施形態をさらに図示している。2つ以上の不連続の突出部分16は、第1の接着材料層200の2つ以上の貫通通路14と係合し、且つ、その中に入るように適合されている。突出部分16は、保管中及び使用まで貫通通路14内に位置決めされているため、第1の接着材料層200の接着材料が「流動」又は「漏出」して、貫通通路14が崩壊し、保管中に通過不能になることがないようにしている。したがって、保護要素206の突出部分16の効果の1つは、貫通通路14が凝固せず、ユーザが製品を必要とする前に使いものにならなくなることがない、ということである。
【0086】
他の効果には、接着材料の貫通通路のうちの1つ又は複数「の真下」に設けられたオストミー装具の皮膚と係合可能な要素の材料又は構成要素の保護、例えば、接着材料層内の貫通通路のうちの1つ又は複数を通過する水分と接触すると、信号を供給するように構成された材料又は構成要素の保護が含まれる。
【0087】
図1は、オストミー装具の皮膚と係合可能な要素12を形成するベースプレート4を図示しているが、このようなベースプレートは、例えば、第1の接着材料層200と、電極層204と、第1の中間要素213と、任意選択的に、封入層、例えば、第2の接着材料層と、を含むセンサ組立体部分と置き換えてもよいことがわかるであろう。そのために、前記センサ組立体部分は、支持シート208と、収集バッグに取り付けるための連結リング209と、を含むベースプレートのような、任意の一般的なベースプレートに取り付けるように構成してもよい。
【0088】
図2は、本開示のシステムの第1の接着材料層200及び保護要素206の一実施形態の概略斜視図である。第1の接着材料層200は、複数の貫通通路14を含む。それに対応して、保護要素206は、複数の不連続の突出部分16を含む。突出部分16はそれぞれ、貫通通路14と係合するように適合されている。保護要素206は、シート材料19から形成されている。第1の接着材料層200及び保護要素206のシート材料19はいずれも、それぞれの中心部分にストーマ開口部18を含むように示されている。
図2に図示されている実施形態では、保護要素206のシート材料19は、第1の接着材料層200の外縁輪郭24に対応する輪郭が形成された縁部22を有する表面凹部20を含む。いくつかの実施態様では、対応する縁部輪郭22、24は、製造中に生産上の利点を提供するのに役立てることができる。
【0089】
第1の接着材料層200を形成するために保護要素206を設けてもよいことが、
図2からさらに明白である。例えば、第1の接着材料層は、保護要素206の遠位面上に接着材料層を削り取ることによって形成することができ、これにより、保護要素206の突出部分16の存在が、貫通通路14の中に形成されていることになる。同様に、輪郭が形成された縁部22は、第1の接着材料層200の外側周縁部を形成するのに役立つ場合がある。
【0090】
図2は、第1の接着材料層200の貫通通路14、及び対応する保護要素206の突出部分16が、3つ以上の別個の区域26a、26b、26cに分布している実施形態をさらに示す。貫通通路14及び突出部分16を分布させるこのやり方は、オストミー装具のベースプレート上の別々の区分及び/又は場所を画定するのに役立てることができる。別個の区域26a、26b、26cは、2つの「境界にある」貫通通路14の間の表面部分28の距離を、別個の区域26a、26b、26c内の2つの「隣り合う」貫通通路間の距離よりも大きくすることによって、分離又は分割されているように示されている。それに相応して、保護要素206の「境界にある」突出部分16の間に距離が設けられている。
【0091】
図3aは、接着材料内の貫通通路14と係合するように構成された、保護要素206の突出部分16の拡大した概略的な断面スケッチである。
図3aのスケッチでは、3つの突出部分16及び対応する貫通通路14が、例として示されている。それぞれの不連続の突出部分16a、16b、16cは、対応する個々の(不連続の)貫通通路14a、14b、14cと係合する。
図3aに示されている皮膚と係合可能な要素の実施形態は、第1の接着材料層200と、第2の接着材料層202と、を含む。貫通通路14は、第1の接着材料層200及び第2の接着材料層202のそれぞれを貫通するように示されている。したがって、貫通通路14は、一致していると見なすことができ、これは、第1の接着材料層内の貫通通路が、2つの接着材料層の通路間で実質的な横方向のオフセットなしに、第2の接着材料層内の貫通通路のちょうど「上に」又は「下に」にあると解釈されるものとする。皮膚と係合可能な要素は、電極層204もまた含み、この場合には、各貫通通路14a、14b、14cで、2つの個々の電極216を含むように示されている。突出部分16a、16b、16cは、各貫通通路14a、14b、14c、の上方に図示されているが、破線は、突出部分16a、16b、16cが貫通通路14a、14b、14cの中に導かれ、それらと合体することにより、電極216を保護し、各貫通通路14a、14b、14cの内部「壁面」32a、32bを安定させている様子を図示するように意図されている。実施形態では、各突出部分16a、16b、16cの最近位面部分34が、電極層204と直接接触しているように、或いは、電極216のうちの1つ又は複数と直接接触しているように構成されている。
【0092】
図3bは、第1の接着材料層200の貫通通路14と係合するように構成された、保護要素206の突出部分16の拡大した概略的な断面スケッチを図示する。図示されているように、このような状況では、電極層204は、第1の接着材料層200と、第2の接着材料層202との間に挟まれている場合がある。しかしながら、この代わりに、第2の接着材料層202は省略してもよい。突出部分16の広がりは、第1の接着材料層200に画定されている、形成された貫通通路14内で嵌合するように適合されている。例えば、このように適合された嵌合は、貫通通路14の広がりと一致しているように突出部分16の広がりを適合させることを伴う。
【0093】
図4A及び
図4Bは、本開示によるシステムの一実施形態の一部分の斜視断面図であり、
図4Bは、
図4Aの一部分の拡大図であり、示されているシステムの皮膚と係合可能な要素4、12のリム部分36が少なくなっている。図は、支持シート208を含む皮膚と係合可能な要素4、12を図示しており、これは、皮膚と係合可能な要素12の第2の主要遠位側の大部分を形成し、表面208Aを画定していることがわかる。皮膚と係合可能な要素4、12は、第1の接着材料層200と、皮膚と係合可能な要素12の第1の主要近位側を形成し、表面208Bを画定している第2の接着材料202層と、を含む。第2の接着材料層202は、皮膚と係合可能な要素4、12のリム接着部を形成している。第1の接着材料層200の半径方向範囲は、第2の接着材料層202の半径方向範囲よりも小さい。
図4A、
図4Bの実施形態では、第1の接着材料層200の中心部分38は、皮膚と係合可能な要素12の中心接着部を形成しており、これは、第2の接着材料層202の厚さよりも大きな厚さである。中心接着部は、リム接着部よりも大きな厚さであるように示されている。皮膚と係合可能な要素4、12は、概して、第1の接着材料層200と、第2の接着材料層202との間に設けられた電極層204をさらに含む。
【0094】
図4A及び
図4Bは、支持シート208(表面208A)によって形成された第2の主要遠位側に、連結リング209が取り付けられている実施形態をさらに図示している。保護要素又は剥離ライナー206が、第1の接着材料層200及び第2の接着材料層202を含む皮膚と係合可能な要素12の第1の主要近位側に、取り外し可能に取り付けられている。保護要素又は剥離ライナー206は、第1の接着材料層の2つ以上の貫通通路14のうちの1つと係合する、2つ以上の不連続の突出部分16のうちの1つとともに図示されている。図示されている実施形態では、第2の接着材料層202は、電極層204よりも遠位に設けられており、第1の接着材料層200の貫通通路と一致している貫通通路をまったく含まない。代わりに、突出部分16の最近位面部分34は、電極層204又は実際の電極と直接係合する(当接する)。さらに、図示されている実施形態では、突出部分16/貫通通路14の半径方向に外側に設けられた第1の接着材料層200の一部分の厚さは、突出部分16/貫通通路14の半径方向に内側に設けられた第1の接着材料層200の一部分の厚さよりも小さい。
【0095】
図4Bは、貫通通路14の半径方向に外側に設けられた第1の接着材料層200の、部分200bの(皮膚と係合可能な要素4、12の軸方向で測定された)厚さが、貫通通路14の半径方向に内側に設けられた部分200aの厚さよりも小さい実施形態もまた図示している。
図4Bの実施形態では、保護要素206の突出部分16を設けることは、部分16が、近位側から、それ以外の場合であれば露出している(第1の接着剤でコーティングされない)電極層204を保護し、その一方で、これらの実施形態では電極層204は、第2の接着材料層202によって遠位側で保護されるという点で、特に有利である。これは、保管の間、システムの電極層204の1つ又は複数の電極の機能性を保つのにもまた役立つ。
【0096】
図5は、オストミー装具のベースプレートとして設けられた皮膚と係合可能な要素の例示的な一実施形態の分解組立図を図示する。ベースプレート4は、第1の接着層200を含む。第1の接着層200の近位面は、ストーマ周囲の領域でユーザの皮膚に、及び/又は、場合によっては、封止用ペースト、封止用テープ、及び/又は封止用リングなど、追加の封止材に接着するように構成されている。実施形態におけるベースプレート4は、任意選択的に、リム接着層とも表記される第2の接着層202を含む。ベースプレート4の図示されている実施形態は、例えば、電極層を形成している電極組立体204に配置された複数の電極を含む。電極組立体又は電極層204は、第1の接着層200と、第2の接着層202との間に配置されている。
【0097】
前述したように、図示されているベースプレート4の一部は、別々の組立体として設けて、既存の、例えば、上述した構成要素のうちの1つ又は複数を含むベースプレートに付けて、例えば、上述したベースプレート4のようなベースプレートを設けることができる。例として、例えば、電極組立体204と、第1のコネクタ211と、第1の中間要素213と、第1の接着層200と、剥離ライナー206と、を含むセンサ組立体部分700を設けることができる。それに加えて、センサ組立体部分700は、第2の接着層202及び/又は上層208を含んでもまたよい。ユーザが、センサ組立体部分700を付けることになるベースプレートの層に穴を設けて、センサ組立体部分700の第1のコネクタ211が、センサ組立体部分700を付けるベースプレートの層を貫通して突出できるようにする場合があることが想定され得る。或いは、センサ組立体部分700は、第1のコネクタ211がベースプレートの周縁部の外側に位置決めされるように、ベースプレートに付けてもよい。
図5の実施形態では、電極組立体又は電極層204は支持層を含み、支持層の近位面上に電極が形成されている。皮膚と係合可能な要素、又は、ベースプレート4及び/又はセンサ組立体部分700は、皮膚にベースプレート4を付ける前にユーザによって取り外しされるように構成された剥離ライナー206の形態をした保護要素を含む。図示されている実施形態のベースプレート4は、上層又は支持シート208と、ベースプレート4にオストミーパウチを連結するための連結リング209の形態をした第1の連結半部と、をさらに含む。
図4の実施形態では、上層又は支持シート208は、皮膚と係合可能な要素又はベースプレート4の使用中の外部歪及び応力から第2の接着層202を保護する保護層としてもまた機能する。
【0098】
図6は、本明細書に開示されているシステムの皮膚と係合可能な要素の例示的な電極組立体又は電極層204の一実施形態を図示する分解組立図である。図示されている実施形態では、電極組立体又は電極層204は、近位面214B及び電極216が支持層214の近位側に配置され、且つ、接地電極と、第1の電極と、第2の電極と、第3の電極と、第4の電極と、第5の電極と、を含む支持層214を含み、各電極が、モニタインターフェースのそれぞれの端子要素に電極を接続するための、それぞれの接続部を有する。さらに、図示されている電極組立体又は電極層204は、電極216の電極部をベースプレートの第1の接着層から絶縁するように構成された、近位面218Bを有するマスキング要素218を含む。マスキング要素218は、軸方向で見たときに、電極216の一部を被覆しているか、又はそれらと重複している。支持層214内の、ユーザのストーマを受け入れるように適合された中央開口部18もまた図示されている。
【0099】
図7は、ベースプレートとして設けられた、皮膚と係合可能な要素の一部の一実施形態の近位面の近位側から見た図であるが、第1の接着層200及び剥離ライナー206の形態をした保護要素を図示していない。ベースプレート4及び/又はセンサ組立体部分700は、電極組立体又は電極層204の近位側に、すなわち、電極組立体又は電極層と、第1の接着層(図示せず)との間に、第1の中間要素213を含む。第1の中間要素213は、軸方向で見たときに、ベースプレート4及び/又はセンサ組立体部分の端子要素を被覆し、ベースプレート及び/又はセンサ組立体部分の端子要素からの機械的応力から、第1の接着層を保護する。
【0100】
本明細書において、具体的な実施形態を図示し、説明したが、当業者には、本発明の範囲から逸脱することなく、図示し、説明した具体的な実施形態を、様々な代替的な実施態様、及び/又は均等な実施態様に置き換え可能であることが理解されよう。本出願は、本明細書で考察したオストミー装具用の身体側部材のあらゆる適用形態又は変形形態を包含するように意図されている。したがって、本発明は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されるように意図されている。
本発明は、以下の態様を含んでいる:
《態様1》
保管の間、オストミー装具の皮膚と係合可能な要素の機能性を保つためのシステムであって、
-支持シートを備え、第1の主要近位側及び第2の主要遠位側を有する皮膚と係合可能な要素であって、前記第1の主要近位側に、ユーザのストーマ周囲の皮膚部分に前記皮膚と係合可能な要素を接着させるように構成された第1の接着材料層であって、2つ以上の不連続の貫通通路を含む前記第1の接着材料層を含む前記皮膚と係合可能な要素と、
-前記皮膚と係合可能な要素の前記第1の主要近位側に取り外し可能に取り付けられた保護要素であって、シート材料であって、その主要表面から実質的に軸方向に突出している2つ以上の不連続の部分を含む前記シート材料を含む前記保護要素と、
を備えるとともに、
前記シート材料の前記2つ以上の不連続の突出部分がそれぞれ、前記第1の接着材料層内の貫通通路と係合するように適合されており、且つ、
前記保護要素が、前記皮膚と係合可能な要素から取り外されると、前記第1の接着材料層内の貫通通路がそれぞれ開かれ、通過可能になるシステム。
《態様2》
前記皮膚と係合可能な要素が、前記第1の接着材料層よりも近位に第2の接着材料層を含む、態様1に記載のシステム。
《態様3》
前記第2の接着材料層の第2の総表面積が、前記第1の接着材料層の第1の総表面積よりも大きい、態様2に記載のシステム。
《態様4》
前記皮膚と係合可能な要素が、前記第1の接着材料層よりも遠位に設けられた1つ又は複数の電極をさらに含むとともに、前記1つ又は複数の電極が、前記第1の主要近位側から、前記第1の接着材料層内の前記2つ以上の不連続の貫通通路を通してアクセス可能である、態様1~3の何れか一つに記載のシステム。
《態様5》
前記1つ又は複数の電極が、前記第2の接着材料層よりも近位に設けられている、態様2又は3に従属する場合の態様4に記載のシステム。
《態様6》
前記1つ又は複数の電極が電極層内に設けられるとともに、前記電極層が、ポリウレタン材料層内に設けられた前記電極の材料を含む、態様4又は5に記載のシステム。
《態様7》
前記電極層の第3の総表面積が、前記第2の接着材料層の第2の総表面積に実質的に対応する、態様2に従属する場合の態様6に記載のシステム。
《態様8》
前記電極層の第3の総表面積が、前記第1の接着材料層の第1の総表面積に実質的に対応する、態様6に記載のシステム。
《態様9》
前記皮膚と係合可能な要素の前記第2の主要遠位側が、前記支持シートに設けられた、身体廃棄物を収集するための収集バッグの第2の連結半部に連結されるように適合された第1の連結半部をさらに含む、態様1~8の何れか一つに記載のシステム。
《態様10》
前記第1の連結半部が、フランジから実質的に垂直に延在する環状リングを含み、前記フランジの最も外側の周縁部が、前記皮膚と係合可能な要素の中心から、前記電極層の最も外側の周縁部と実質的に同じ半径方向距離にある、態様9に記載のシステム。
《態様11》
前記保護要素から突出する前記2つ以上の不連続の突出部分が、複数の不連続の突出部分を含む、態様1~10の何れか一つに記載のシステム。
《態様12》
前記保護要素から突出する前記複数の不連続の突出部分が、円状のパターンで分布している、態様11に記載のシステム。
《態様13》
前記保護要素から突出する前記複数の不連続の部分が、2~50個の不連続の突出部分を含む、態様11又は12に記載のシステム。
《態様14》
前記保護要素から突出する前記複数の不連続の部分が、21~30個の不連続の突出部分を含む、態様13に記載のシステム。
《態様15》
前記皮膚と係合可能な要素が、身体廃棄物を受け入れるための、及び/又はストーマを収容するための中央開口部を含む、態様1~14の何れか一つに記載のシステム。
《態様16》
身体廃棄物を収集するための収集バッグであって、前記第2の主要遠位側に取り付けられるか、又は連結されるように構成された前記収集バッグをさらに含む、態様1~15の何れか一つに記載のシステム。
《態様17》
ユーザの皮膚部分に取り付けるための、皮膚と係合可能な要素の近位接着側に取り付け可能な保護要素であって、前記皮膚と係合可能な要素の前記近位接着側から解放可能であるように構成されている前記保護要素であるとともに、シート材料であって、前記シート材料の主要表面から実質的に軸方向に突出している2つ以上の不連続の部分を含む前記シート材料を含む前記保護要素。
【符号の説明】
【0101】
4 ベースプレート
10 システム
12 皮膚と係合可能な要素
14a~c 接着材料内の貫通通路
15 オストミーベルト用取り付け手段
16 保護要素/剥離ライナーの突出部分
18 ストーマ開口部
19 シート材料
20 表面凹部
22 表面凹部の輪郭が形成された縁部
24 第1の接着材料層の外縁輪郭
26a~c 別個の分布区域
28 表面部分
32a~b 貫通通路の内部「壁面」
34 突出部分の最近位面部分
36 リム部分
38 中心部分
200 第1の接着材料層/第1の接着層
202 第2の接着材料層/第2の接着層
204 電極層/電極組立体
206 保護要素/剥離ライナー
206A 剥離ライナーの遠位面
206B 剥離ライナーの近位面
208 支持シート
208A 支持シートの遠位面
208B 支持シートの近位面
209 連結リング
210 第1のコネクタの結合部
211 第1のコネクタ
212 第1のコネクタの端子
213 第1の中間要素
214 電極層の支持層/電極組立体の支持層
214A 支持層の遠位面
214B 支持層の近位面
216 電極層の電極/電極組立体の電極
218 マスキング要素
218A マスキング要素の遠位面
218B マスキング要素の近位面