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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】発振器駆動の熱電発電
(51)【国際特許分類】
   H02N 11/00 20060101AFI20230323BHJP
【FI】
H02N11/00 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020541337
(86)(22)【出願日】2018-09-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 US2018052048
(87)【国際公開番号】W WO2019070416
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】62/568,244
(32)【優先日】2017-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520119714
【氏名又は名称】カラジェン インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CALAGEN, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139491
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 隆慶
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド レジナルド カーバー
(72)【発明者】
【氏名】ショーン ウィリアム レイノルズ
(72)【発明者】
【氏名】ショーン クラウディウス ホール
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-520953(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0253227(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0128141(US,A1)
【文献】特開2007-159310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電力を有する電気パルスの連続ストリームを生成するためのパルス発生器と、
負荷と、
を含む回路と、
前記回路に結合された電気素子であって、前記回路によって電気エネルギーに変換される熱を受け取って、前記第1の電力よりも大きい第2の電力を前記負荷に印加するように構成される電気素子と
を備える装置であって、
前記回路は、前記電気素子と直列に接続された第1の発振器および第2の発振器をさらに備え、
前記第1の発振器は、前記電気パルスの立ち上がり電圧により、第1の周波数で発振し、
前記第2の発振器は、前記第1の周波数よりも大きい第2の周波数で発振する、装置
【請求項2】
前記電気素子の少なくとも一部が、ヒートシンクに結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
熱が、前記電気素子の少なくとも一部の長さにわたって熱勾配が存在するように、前記電気素子に印加される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記電気素子が、10AWGのゲージ、少なくとも3フィートの長さ、または非円筒形の形状のうちの1つ以上を有するワイヤを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記パルス発生器によって生成された前記電気パルスの一部が、少なくとも100ボルト/μsの時間に対する電圧の変化を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
電気パルスを回路への入力として生成するステップであって、前記回路が負荷を含む第1の部分と、前記負荷へ接続される電気素子を備える第2の部分を含む、ステップと、
前記電気素子内で熱を吸収するステップと、
前記吸収された熱を電気エネルギーに変換して、電気パルスの出力を増加させるステップと、
増加した電力を有する前記電気パルスを前記負荷に印加するステップと、
を含む方法であって、
前記回路の前記第1の部分は、前記電気素子と直列に接続された第1の発振器および第2の発振器をさらに含み、
前記第1の発振器は、前記電気パルスの立ち上がり電圧によって、第1の周波数で発振し、
前記第2の発振器は、前記第1の周波数よりも大きな第2の周波数で発振する、方法
【請求項7】
前記電気素子の少なくとも一部が、ヒートシンクに結合される、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記ヒートシンクに前記熱を加えるステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記電気素子に、前記電気素子の少なくとも一部の長さにわたって熱勾配が存在するように、前記熱を加えるステップをさらに含む、請求項からのいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発電に関する。より具体的には、本発明は、発振器駆動の熱電発電に関する。
【背景技術】
【0002】
熱電発電機は、電気エネルギーを生成するために、回路の異なるノード間に形成される熱勾配に依存する。場合によっては、ノードは2つ以上の異なる材料を備えることができる。他の例では、ノードは単一の材料の一部である場合がある。
【発明の概要】
【0003】
以下の開示は、熱電発電の改善に関する。本明細書に開示される実施形態は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換するための方法および装置を提供する。
【0004】
1つの代表的な実施形態では、装置は、回路と、回路に結合された電気素子とを備えることができる。本回路は、第1の電力を有する電気パルスを生成するためのパルス発生器および負荷を含むことができる。電気素子は、本回路によって電気エネルギーに変換される熱を受け取って、第1の電力よりも大きい第2の電力を負荷に印加するように構成することができる。
【0005】
開示される実施形態のいずれにおいても、電気素子の少なくとも一部は、ヒートシンクに結合することができる。開示された実施形態のいずれにおいても、熱はヒートシンクに加えることができる。
【0006】
開示される実施形態のいずれにおいても、少なくとも電気素子の一部の長さに沿って熱勾配が存在するように熱を電気素子に加えることができる。開示された実施形態のいずれにおいても、電気素子は、電気素子を他の回路部品に結合する本回路内の導体よりも重いゲージ(すなわち、より広い直径)を有するワイヤを備えることができる。開示された実施形態のいずれにおいても、パルス発生器によって生成された電気パルスの一部は、少なくとも100ボルト/秒の時間に対する電圧の変化を有することができる。
【0007】
開示される実施形態のいずれにおいても、本回路は、電気素子と直列に接続される発振器をさらに備えることができる。開示された実施形態のいずれにおいても、本回路は、電気素子と並列に接続された発振器をさらに備えることができる。
【0008】
開示される実施形態のいずれにおいても、本回路は、電気素子と直列に接続された第1の発振器および第2の発振器をさらに備えることができる。開示された実施形態のいずれにおいても、第1の発振器または第2の発振器の少なくとも一方は、LC回路とすることができる。
【0009】
開示される実施形態のいずれにおいても、電気パルスの立ち上がり電圧は、第1の発振器を第1の周波数で発振させ、第2の発振器を第1の周波数よりも高い第2の周波数で発振させることができる。開示された実施形態のいずれにおいても、本回路は、第2の発振器と直列に接続された誘導素子および/またはキャパシタのタップをさらに備えることができる。
【0010】
別の代表的な実施形態では、方法は、負荷を有する第1の部分と、負荷に接続された電気素子を有する第2の部分とを備える回路への入力として電気パルスを生成するステップと、電気素子内の熱を吸収するステップと、吸収された熱を電気エネルギーに変換して電気パルスの電力を増加させるステップと、電力を増加させた電気パルスを負荷に印加するステップとを含むことができる。
【0011】
開示される実施形態のいずれにおいても、電気要素の少なくとも一部は、ヒートシンクに結合することができる。開示された実施形態のいずれにおいても、本方法は、ヒートシンクに熱を加えるステップをさらに含むことができる。
【0012】
開示される実施形態のいずれにおいても、本方法は、電気素子の少なくとも一部の長さにわたって熱勾配が存在するように電気素子に熱を加えるステップをさらに含むことができる。開示された実施形態のいずれにおいても、電気パルスの一部は、少なくとも100ボルト/秒の時間に対する電圧の変化を有することができる。開示される実施形態のいずれにおいても、回路の第1の部分は、電気素子と直列に配置された発振器をさらに備えることができる。発振器は、本回路に吸収された熱を有用な電気エネルギーに変換させることができる。
【0013】
開示される実施形態のいずれにおいても、本回路の第1の部分は、電気素子と直列に接続された第1の発振器および第2の発振器をさらに備えることができる。開示される実施形態のいずれにおいても、電気パルスの立ち上がり電圧は、第1の発振器を第1の周波数で発振させ、第2の発振器を第1の周波数よりも高い第2の周波数で発振させることができる。
【0014】
開示される実施形態のいずれかにおいて、電気パルスを生成することは、第1の時間間隔中に、接地された第2のスイッチを開き、次いで電源に接続された第1のスイッチを閉じるステップと、第2の時間間隔中に第1のスイッチを開き、次いで、2番目のスイッチを閉じるステップとを含むことができる。
【0015】
別の代表的な実施形態では、装置は、回路と、本回路に結合された電気素子とを備えることができる。本回路は、電気パルスを生成するためのパルス発生器と、パルス発生器に結合された第1の発振器とを含むことができる。本回路は、パルス発生器によって供給される電力よりも大きい電力で負荷に電気パルスを供給するように構成することができる。開示された実施形態のいずれにおいても、回路は、第1の発振器に結合された第2の発振器をさらに備えることができる。
【0016】
本発明の前述のおよび他の目的、特徴、および利点は、添付の図面を参照して進められる以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は例示的な熱電発電システムのブロック図である。
図2図2はヒートシンクを含む別の例示的な熱電発電システムのブロック図である。
図3図3は発振器を含む別の例示的な熱電発電システムのブロック図である。
図4図4は第1の発振器と第2の発振器とを含む別の例示的な熱電発電システムのブロック図である。
図5図5はLC発振器を含む別の例示的な熱電発電システムのブロック図である。
図6図6は別の例示的な熱電発電システムのブロック図である。
図7図7は別の例示的な熱電発電システムのブロック図である。
図8図8は別の例示的な熱電発電システムのブロック図である。
図9図9は別の例示的な熱電発電システムのブロック図である。
図10図10図9の熱電変換器に存在する電圧のタイミング図である。
図11図11図1―9の熱電発電システムを動作させる例示的な方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この開示は、熱電発電に使用できる熱電変換器の実施形態に関する。従来の熱電装置は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する非効率的な手段である。この非効率性の1つの理由は、熱の拡散(たとえば、ニュートン冷却)により、熱源からヒートシンクへの熱力学的に熱を輸送する際の制御の欠如である。しかしながら、熱電導体に適用される発振源は、導体の熱電効率をかなり増加させる結果となり得る。
【0019】
本明細書では、熱電発電に対する様々な改良が開示される。開示された実施形態は、輸送(例えば、海上、地上、フライト)、モノのインターネット装置の自律給電を含む遠隔位置システム、センシングの給電、追跡、通信、分析、装置の処理および相互運用性、ウェアラブル装置への給電、電子機器を組み込んだスマート繊維などの電力を必要とする様々な用途に使用することができる。さらに、本明細書に開示された実施形態は、水の浄化、垂直および伝統的な農業、化学および石油化学における処理、データセンターの電力および冷却、設備および環境の制御(例えば、産業、商業、住宅)などの電力集約型の用途およびプロセスに使用できる。本明細書に開示されている実施形態は、太陽光発電インフラ、風力およびその他の間欠的な再生可能エネルギーシステム、二重目的電源、データセンター、熱管理または冷却メカニズム(たとえば、ヒートシンク)、エネルギー貯蔵装置の充電メカニズム、照明電源、および電気通信装置を含む民生用製品の統合電源として、既存の電力インフラを補完することもできる。加えて、本明細書に記載する実施形態は、冷蔵庫および他の冷房用途(例えば、空調)のような家庭用および産業用の装置とともに使用することが可能であり、また構造または他の表面(例えば、屋根)と組み合わせて使用することが可能である。より一般的には、電気的手段によって給電可能なものはすべて、外部接続される電源があるかどうかに関わらず、本明細書に開示された実施形態によりサポートすることができる。
【0020】
図1は、熱電発電システム又は回路100の一つの実施形態を示す。回路100は、パルス発生器102、電気素子104および負荷106を備える。パルス発生器102は、電気パルスを発生する装置とすることができる。いくつかの実施形態では、パルス発生器102は、周期的な間隔で電気パルスの連続ストリームを生成することができる。理想的には、パルス発生器102は、パルス発生器によって出力される電圧が短時間に急速に増加する電気パルスを生成する。これは、立ち上がり時間が短い方形波、または正弦波、のこぎり波、または高周波の同様の出力電圧波で行うことができる。回路100は、100 V/秒程度のdV/dtを有するパルス発生器102によって出力される電気パルスによって熱起電力を発生することができる。結果は、4.7kHz、場合によっては900Hzという低い周波数を有する正弦波信号で良好な効率が得られることを示している。しかしながら、理想的には、パルス発生器102は、少なくとも100V/μs、または望ましくは10,000から100,000V/μs以上のdV/dtを有するパルスを出力する。
【0021】
パルス発生器102が高いdV/dtを有する電気パルスを出力するとき、本明細書に記載されるように、電気素子104は熱エネルギーを電気エネルギーに変換する。電気素子104は、熱を吸収するのに十分な表面積を有する導電性経路を有するべきである。それにより、電気素子がヒートシンクとして機能することが可能となる。これは、電気素子104が、より重いゲージ、より長い長さ、またはより大きな表面積を有する非円筒形の形状を有することによって達成することができる。いくつかの例では、電気素子104は、電気素子をパルス発生器102および負荷106に接続するワイヤまたは導電体よりも重いゲージ(例えば、10AWG)を有する銅線とすることができる。他の例では、電気素子104は、その他の導電性材料を含むことができる。一例では、電気素子104は、回路内の他の信号導体よりも重いゲージワイヤであって、少なくとも3フィートの長さを有する。電気素子104は、単純なワイヤ、コイル、または熱を吸収することができる任意の導電性素子とすることができる。高いdV/dt比を持つパルス発生器102によって出力された電気パルスが、電気素子104の片側に印加されると、電気素子はより冷たくなり、電圧が、パルス発生器102によって生成されたものよりも高い電力レベルを有する電気素子の反対側に現れる。したがって、パルス発生器102によって出力される鋭いパルスは、電気素子104に熱エネルギーを電気エネルギーに変換させる。パルス発生器102が出力するパルスのdV/dt比が高いほど、電気エネルギーに変換される熱エネルギーの量が多くなる。この現象は、Kinetic Power Transient(KPT)と呼ばれる。
【0022】
図1に図示された例では、電気素子104は、負荷106に接続されている。負荷は、電力を消費または保存する任意の装置(例えば、電化製品)とすることができる。動作中、パルス発生器102は、第1の電力を有する電気パルスを出力することができる。これにより、電気素子104は、熱エネルギーをさらなる電気エネルギーに変換する。したがって、パルスは、第1の電力よりも大きい第2の電力で負荷106に印加される。
【0023】
パルス発生器102が周期的な間隔で継続的に電気パルスを出力する場合、電気素子104は各パルスで熱エネルギーを電気エネルギーに変換し、負荷106に加えられる各パルスの電力を増加させる。しかしながら、電気素子104はパルスを受信するたびに、熱エネルギーを電気エネルギーに変換するため冷却される。これが起こると、電気素子104と周囲環境との間の温度勾配により、周囲環境から電気素子に熱が伝達され、電気素子の温度は、環境の温度と等しくなるまで上昇する。パルス発生器102によって次の電気パルスが発せられると、電気素子104は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換するときに再び冷却される。したがって、電気素子104が電気エネルギーに変換することができる熱エネルギーの量は、周囲の環境によって制限される。いくつかの例では、この冷却効果により、電気素子を冷却素子または冷蔵素子として使用することができる。
【0024】
図2は、熱電発電システムまたは回路200の1つの実施形態を示す。熱エネルギーを電気エネルギーに変換する電気要素の容量を増やすために、外部熱源が使用できる。回路200は、回路200が電気素子104に結合されたヒートシンク202と、電気素子およびヒートシンクに熱を加える外部熱源204とを含むことを除いて、回路100と同様である。ヒートシンク202は、熱源204からのさらなる熱の吸収を可能にするさらなる表面積を提供する。ヒートシンク202は、電気素子104に熱的に結合することができる。これはそれらの間の熱伝達(例えば、直接接触)を可能にするためになされる。熱源は、ヒートシンクが存在する周囲の空気を含む電気素子よりも暖かい任意の熱源を含むことができる。図2の例では、パルス発生器102は、周期的な間隔で高いdV/dt比を有する電気パルスを継続的に供給する。各パルスにより、電気素子104は冷却を行い、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する。これにより、負荷106は、パルス発生器102によって出力された電力よりも大きな電力を有するパルスを受け取る。外部熱204をヒートシンク202に加えることにより、電気素子104は、電気エネルギーに変換することができるさらなる熱エネルギーの一定の供給源を有する。したがって、電気素子104は、負荷106に印加されるパルス発生器102によって生成されるパルスのエネルギーを継続的に増加させることができる。ヒートシンク202は、熱204を吸収することができる。いくつかの例では、熱204は、電気素子の一部にわたって熱勾配が存在するように、電気素子104に加えることができる。ヒートシンクは、液体(例えば、水、油など)、固体(例えば、金属)、または気体(例えば、空気)を含む様々な材料のいずれであってもよい。
【0025】
図3は、熱電発電システム又は回路300の一つの実施形態を示す。回路300は、回路300がパルス発生器102と電気素子104との間に配置された発振器302を含むことを除いて図2の回路200と同様である。発振器302は、高調波発振器とすることができ、パルス発生器102によって出力されるパルスによってトリガーされたときに、周期的な発振電圧を出力することができる。発振器302は、パルス発生器102によって出力されたパルスによってトリガーされると、周期的信号を電気素子104に出力する。発振器302によって出力される信号の強度は、時間とともに減少する。しかしながら、パルス発生器102によって出力される各後続のパルスは、新しい発振サイクルを開始する。したがって、発振器302は、パルス発生器102が非常に短いパルス幅を有するパルスを出力するときでさえ、入力信号が電気素子104に供給される時間を延長するために使用することができる。
【0026】
動作中、図3のパルス発生器102は、高いdV/dt比を有する電気パルスを周期的に出力する。各パルスは、発振器302に発振信号を電気素子104に出力させることができる。電気素子104は、冷却して熱エネルギーを電気エネルギーに変換し、それが受け取る電気信号の電力を増大させることができる。電気素子104に熱304を入力して、電気要素が電気エネルギーに変換するためのさらなる熱エネルギーを提供することができる。次いで、電力が増加した信号は負荷106で消費することができる。
【0027】
図4は、熱電発電システム又は回路400の一つの実施形態を示す。回路400は、回路400が第1の発振器402および第2の発振器404を含むことを除いて、図3の回路300と同様である。第1の発振器402は、図3の発振器302と同様とすることができる。第2の発振器404は、第1の発振器402がパルス発生器102からのパルスに応答して発振信号を出力するとき、第2の発振器404が第1の発振器402によって出力される発振信号よりも高い周波数を有する共振発振信号を出力するように構成され得る。このようにして、第2の発振器404は、負荷106に加えられる信号を拡大することができる。先の実施形態と同様に、負荷106における電力出力は、パルス発生器102によってシステムに入力されるエネルギーよりも大きい。第1の発振器402および第2の発振器404は、電気素子104の反対の側に直列に結合されるよう示されている。第1の発振器と第2の発振器の両方を電気素子104と同じ側にするなど、他の構成も使用することができる。
【0028】
図5は、熱電発電システムまたは回路500の一つの実施形態を示す。回路500は、発振器302がLCまたはタンク回路を形成するためのキャパシタ502およびインダクタ504を具体的に備えることを除いて、回路300と同様である。キャパシタ502およびインダクタ504は、電気素子104の反対の側に直列に結合されて示されている。しかし、それらは直列に結合され、電気素子の片方の側に一緒に配置することができる。回路500は、ヒートシンク202と同様のヒートシンク506と、熱源204と同様の熱源508とをさらに備える。回路500は、図3の回路300と同様に動作することができる。ここで、パルス発生器102は、単一の電気パルス、または高いdV/dt比を有する一連の電気パルスのいずれかを生成することができる。発振器302は、各パルスに応答して発振信号を生成することができる。電気素子104は、冷却をし、およびパルス発生器102によって出力される電気パルスの電力を増大することによって、熱エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。ヒートシンク506は、熱508を吸収して、電気素子104に、電気エネルギーに変換することができる一定の熱エネルギー源を提供することができる。したがって、負荷106に提供される電力は、パルス発生器102によって生成される電力よりも大きい。図5のLC回路は、図4の第2の発振器404としても使用することができる。
【0029】
図6は、熱電発電システムまたは回路600の一つの実施形態を示す。回路600は、パルス発生器102、電気素子104、ヒートシンク602、および熱源604を含む。ヒートシンク602および熱源604は、ヒートシンク202および熱源204と同様であってもよい。ここで、熱604は、電気素子104に、電気エネルギーに変換され得る一定の熱エネルギーの供給を与えるために、ヒートシンク602に加えられる。パルス発生器102は、高いdV/dt比を有する電気パルスを出力することができる。パルス発生器102は、磁芯コアまたは空芯コアの周りに巻かれた2つのコイルを備える変圧器606に接続することができる。変圧器606は、パルス発生器102によって出力される電圧を増幅することができる。
【0030】
電気素子104は、インダクタ608およびキャパシタ610と直列に配置することができる。これらは共に、図5の発振器302と同様の発振器を構成することができる。インダクタ608およびキャパシタ610は、パルス発生器102によって受け取られたパルスを発振信号に変換することができる。次いで、この発振信号は電気素子104に入力することができる。パルス発生器102によって出力されるパルスの高いdV/dt比および上述のKPT効果のために、電気素子104は、熱源604から受け取った熱エネルギーを電気エネルギーに変換できる。それにより、パルス発生器によって出力される電気信号の電力が増加する。
【0031】
追加の変圧器612は、電気素子104によって出力された信号を受け取ることができる。そして追加の変圧器612は、変圧器612からのAC信号をDC信号に変換することができるフルブリッジ整流器614に接続することができる。いくつかの例では、フルブリッジ整流器614は、ハーフブリッジ整流器と置き換えることができる。整流器614の出力は、負荷キャパシタ616および負荷抵抗618に接続することができる。いくつかの例では、回路600は、負荷618ではなく、キャパシタ616を含むことができる。他の例では、回路600は、キャパシタ616ではなく負荷618を含むことができる。キャパシタ616は、整流器614によって出力された電気エネルギーを保存することができる。負荷618は、整流器614によって出力される電気エネルギーを消費することができる。
【0032】
図7は、熱電発電システム又は回路700の一つの実施形態を示す。回路700は、パルス発生器102及び電気素子104を含む。回路700はまた、ヒートシンク602および熱源604と同様に、ヒートシンク702および熱源704を含むことができる。熱源704は、ヒートシンク702に熱を加え、電気素子104に、電気エネルギーに変換可能な熱エネルギーの一定の供給を行うことができる。
【0033】
パルス発生器102は、パルス発生器によって出力される電気パルスを増幅することができる変圧器706に接続することができる。また、回路700は、図4の第1の発振器402と同様の第1の発振器を構成することができるインダクタ708およびキャパシタ710を含むことができる。回路700は、また、キャパシタ710とともに、図4の第2の発振器404と同様の第2の発振器を構成することができるインダクタ712を含むことができる。パルス発生器102は、高いdV/dt比を有する電気パルスを出力することができる。これらのパルスは、インダクタ708およびキャパシタ710に第1の発振電気信号を生成させることができる。この第1の発振電気信号は、次に、インダクタ712およびキャパシタ710に、第1の発振信号よりも高い周波数を有する第2の発振信号を生成させることができる。第1および第2の発振信号は、電気素子104に熱源704からの熱エネルギーを電気エネルギーに変換させ、それにより信号の電力を増加させることができる。
【0034】
キャパシタタップ714は、電気素子104によって出力されたエネルギーを回収することができる。キャパシタタップ714は、ダイオード716および718に接続することができる。これらはAC電力をDC電力に変換するハーフブリッジ整流器を構成することができる。回路出力は、電力を消費および/または保存することができる抵抗720およびキャパシタ722として示されている。いくつかの例では、回路700は、キャパシタ722を伴わない抵抗720を含むことができる。他の例では、回路700は、抵抗720を伴わないキャパシタ722を含むことができる。
【0035】
図8は、熱電発電システムまたは回路800の一つの実施形態を示す。回路800は、上述したように、熱エネルギーを電気エネルギーに変換することができる電気素子104を含むことができる。いくつかの例では、電気素子の2つの端部の温度が2つの異なる温度T1およびT2になるよう、電気素子104に熱を加えることができる。これは、電気エネルギーへの変換を可能にする電気素子104の長さに沿った温度勾配を作り出す。
【0036】
回路800は、図1―7のパルス発生器102と同様に、入力電圧Vpを受け取り、方形波または高いdV/dt比を有する他の信号を出力することができるオペアンプ802を含むことができる。回路800は、図8に示すように、オペアンプ802に接続することができる抵抗804および806をさらに含むことができる。回路800は、キャパシタ810と並列に接続するインダクタ808と、インダクタ814と並列に接続するキャパシタ812とをさらに含むことができる。インダクタ808およびキャパシタ810は第1の発振器を形成することができる。キャパシタ812およびインダクタ814は第2の発振器を形成することができる。いくつかの例では、第1の発振器または第2の発振器の一方を回路800から省くことができる。オペアンプ802の出力は、第1の発振器を第1の周波数で発振させることができる。そしてオペアンプ802の出力は、第2の発振器を第1の周波数よりも高い第2の周波数で発振させることができる。
【0037】
これらの発振およびオペアンプ802による信号出力の高いdV/dt比は、電気素子104に熱エネルギーを電気エネルギーに変換させ、受け取った電気信号の電力を増加させることができる。第1および第2の負荷を表すことができる抵抗816および818は、電気素子104によって出力された電力を消費することができる。いくつかの例では、抵抗816、818は、発振に寄与し得るインダクタンスを有することができる。
【0038】
図9は、熱電発電システム又は回路900の一つの実施形態を示す。回路900は、上述のように熱エネルギーを電気エネルギーに変換可能な電気素子104を含むことができる。回路900は、熱エネルギーを電気素子104に提供し、電気エネルギーへの変換を可能とするよう、熱源902をさらに含むことができる。
【0039】
回路900は、マイクロプロセッサ908によって制御することができる第1のスイッチ904および第2のスイッチ906を含むことができる。マイクロプロセッサ908は、スイッチ904、906を独立して開閉することができる。第1のスイッチ904は電源910に接続することができる。第2のスイッチ906は接地することができる。スイッチ904、906は、並列接続可能であり、キャパシタ912に接続することができる。マイクロプロセッサは、方形波を出力するようにスイッチ904、906を交互に開閉することができる。第1の時間間隔中に、マイクロプロセッサ908は、スイッチ904を閉じ、スイッチ906を開くことができる。これにより、電源910からの電圧がキャパシタ912に印加され、これによって正の電圧がキャパシタの一つのプレート上に蓄積する。第2の時間間隔中に、マイクロプロセッサ908は、スイッチ904を開き、スイッチ906を閉じることができる。これがキャパシタを接地させ、これによってキャパシタプレート上に負の電圧が現れる。次に、マイクロプロセッサ908がスイッチ904、906の1つを繰り返し開き、他の1つを閉じることにより、このプロセスを続けることができる。そのことが、回路900の点914に交互に現れる一連の正および負の電圧を生成する。図10は、回路900に沿った様々な点における電圧の時間シーケンスを示す。第1の発振器の電圧プロットは、回路900の点914における電圧に対応する。上述したように、この点の電圧は、dV/dt比の高い方形波である。いくつかの例では、スイッチ904、906は、トランジスタ(例えば、CMOSトランジスタ)で置き換えることができる。
【0040】
回路900は、電圧源910およびスイッチ904、906によって生成される電圧出力を増幅するための変圧器916をさらに備えることができる。変圧器906は、インダクタ920およびキャパシタ922を備える第1の発振器918、およびキャパシタ922およびインダクタ926を備える第2の発振器924に接続される。第1の発振器918は、図4の第1の発振器402と同様とすることができる。図2の第2にお発振器924は、図4の第2の発振器404と同様とすることができる。第1の発振器918は、電圧源910およびスイッチ904、906によって出力された電圧を受け取り、第1の発振信号を生成することができる。次いで第2の発振器924は、第1の発振信号よりも高い周波数を有する第2の発振信号を生成することができる。図10に示される第2の発振器の電圧プロットは、回路900の点928に存在するこの第2の発振に対応する。この二次共振またはリンギング発振は、電気素子104によって受け取られた電圧を増幅および拡張する。電気素子104はこの電圧を受け取ると、KPT効果のために熱エネルギーを電気エネルギーに変換し、それにより電気素子に入力される電力を増加させる。回路900はさらに、出力AC信号をDC信号に変換する半波整流器を形成するダイオード932、934に結合されたコンデンサ930を含む。キャパシタ936は、回路900によって生成された電気エネルギーを保存することができる。いくつかの例では、キャパシタ936は、回路900によって生成された電気エネルギーを消費する負荷と置き換えることができる。
【0041】
図11は、熱電発電システムまたは開示された技術の特定の例において実行され得るような回路を動作させる例示的な方法を概説するフローチャート1100である。例えば、描かれた方法は、回路200によって実行することができる。
【0042】
プロセスブロック1110で、パルス発生器102は、高いdV/dt比を有する電気パルスを生成する。例えば、図9では、マイクロプロセッサ908は、スイッチ904、906を制御して、スイッチ904を閉じ、スイッチ906を所定の期間だけ開き、次いでスイッチ904を開き、そしてスイッチ906を閉じることによって、電気パルスを生成する。そのようなパルスは、負荷にさらに電力を供給するために定期的な間隔で繰り返される。プロセスブロック1120では、電気素子104は、その周囲環境から熱を吸収する。例えば、図2に示すように、電気素子104は、熱源または周囲空気から熱204を受け取ることができる。典型的には、電気素子104は、熱を吸収するのに十分な表面積を有する。しかし、図2に示されるように、ヒートシンク202は、熱吸収のための表面積を提供することができる。プロセスブロック1130では、電気素子104は、吸収された熱を電気エネルギーに変換する。電気素子104に印加されるパルス発生器102のパルスは、電気素子を冷却させる。吸収された熱は、それによって電気エネルギーに変換される。プロセスブロック1140では、電気素子104は、電気パルスを負荷106に印加する。KPT効果のため、負荷106に加えられるパルスのエネルギーは、パルス発生器102によって出力されるパルスのエネルギーよりも大きい。
【0043】
開示された発明の原理が適用され得る多くの可能な実施形態を考慮すると、図示された実施形態は発明の望ましい例にすぎず、発明の範囲を限定するものとして取り扱ってはならないことを認識すべきである。むしろ、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって規定される。したがって、我々は、これらの特許請求の範囲に含まれる全ての発明を我々の発明として請求する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11