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<図1A>
  • -血管内画像における影の検出および検証 図1A
  • -血管内画像における影の検出および検証 図1B
  • -血管内画像における影の検出および検証 図2
  • -血管内画像における影の検出および検証 図3
  • -血管内画像における影の検出および検証 図4
  • -血管内画像における影の検出および検証 図5
  • -血管内画像における影の検出および検証 図6
  • -血管内画像における影の検出および検証 図7A
  • -血管内画像における影の検出および検証 図7B
  • -血管内画像における影の検出および検証 図7C
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】血管内画像における影の検出および検証
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20230323BHJP
   G06T 7/136 20170101ALI20230323BHJP
   A61B 1/313 20060101ALI20230323BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20230323BHJP
   A61B 8/12 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
G06T7/00 612
G06T7/136
A61B1/313 510
A61B1/00 526
A61B8/12
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021097699
(22)【出願日】2021-06-11
(62)【分割の表示】P 2018525758の分割
【原出願日】2016-11-22
(65)【公開番号】P2021140820
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2021-06-11
(31)【優先権主張番号】62/259,015
(32)【優先日】2015-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509128672
【氏名又は名称】ライトラボ・イメージング・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【弁理士】
【氏名又は名称】池本 理絵
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】グリフィン,クリストファー イー.
【審査官】山田 辰美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0100440(US,A1)
【文献】特表2012-505669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00-7/90
A61B 1/313
A61B 1/00
A61B 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管の血管内画像において影を検出するための、血管内診断システムの作動方法であって、前記血管内診断システムの一つまたは複数のコンピューティング装置によって実行される当該方法は:
一つまたは複数の電子的メモリ・デバイスにおける一つまたは複数の血管内データセットにアクセスする段階であって、各血管内データセットは複数の走査線を含む、段階と;
各データセットにおける各走査線について局所線投影値を決定する段階と;
局所平均組織値を決定する段階であって、前記局所平均組織値は、所与の走査線についての所与の半径内の二つ以上の局所線投影値の平均である、段階と;
平滑化された局所適応的な閾値を決定する段階と;
各走査線についての前記局所線投影値が前記平滑化された局所適応的な閾値より小さいとき、各走査線についての前記局所線投影値と前記平滑化された局所適応的な閾値との比較に基づいて、前記一つまたは複数の血管内データセットにおける関心特徴を表わす一つまたは複数の影を識別する段階とを含む、
方法。
【請求項2】
前記平滑化された局所適応的な閾値を決定することが:
局所適応的な閾値を決定し;
平滑化演算子またはフィルタを適用することを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記平滑化演算子またはフィルタは移動平均フィルタである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記局所適応的な閾値は前記局所平均組織値の半分である、請求項2記載の方法。
【請求項5】
各局所線投影は、近組織オフセットおよび遠組織オフセットを使って決定され、前記近組織オフセットは血管の管腔の境界へのオフセットに対応し、前記遠組織オフセットはノイズフロアにおけるオフセットに対応する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
極小または相対的な極値が前記平滑化された局所適応的な閾値より大きいとき、極小または相対的な極値と前記平滑化された局所適応的な閾値との比較に基づいて、一つまたは複数の影を識別することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記極小または相対的な極値を、窓掛けされた探索半径内で識別することをさらに含む、請求項記載の方法。
【請求項8】
前記窓掛けされた探索半径が、谷からピークの探索半径である、請求項記載の方法。
【請求項9】
影領域のエッジを示す傾きの変化を識別するために、各走査線のまわりの探索窓に対して複数の傾き値を推定する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記影領域のエッジのエッジ値を識別する段階をさらに含み、前記エッジ値は影開始走査線または影終了走査線に対応する、請求項記載の方法。
【請求項11】
前記影の幅に基づく検証試験を実行する段階であって、前記影の幅は、影開始走査線と影終了走査線との間の距離によって決定される、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記幅が、前記影を生成するオブジェクトの型に関連付けられた最大の影幅を表わす所定のサイズより大きい場合、前記影は無効とマークされる、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記幅が、前記影を生成するオブジェクトの型に関連付けられた最大の影幅を表わす所定のサイズより小さい場合、当該方法はさらに:
影開始エッジおよび影停止エッジを確証するためにカーネルまたは影検出演算子を適用することを含み、前記影開始エッジおよび前記影停止エッジは影をスパンする、請求項11記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は2015年11月23日に出願された米国仮特許出願第62/259,015号の優先権およびその利益を主張するものである。同出願の内容全体はここに参照によって組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、血管内画像における影およびステント支柱のような特徴検出のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
介入心臓病医は、療法を計画、案内および評価するために、カテーテル法手順の間に多様な診断ツールを組み込む。X線透視法は一般に、血管の血管造影撮像を実行するために使われる。一方、そのような血管撮像は、バイパス手術またはステント留置のような介入の間に血管疾病を診断、位置特定および処置するために、医師によって使用される。光干渉断層撮影(OCT: optical coherence tomography)のような血管内撮像技術も、所与の被験体についての血管の状態に関する高分解能データを得るためにX線透視法の代わりにまたはX線透視法と組み合わせて使用できる貴重なツールである。
【0004】
血管内の光干渉断層撮影法は、光を使って冠動脈壁の中をのぞき、研究のための画像を生成する、カテーテル・ベースの撮像モダリティーである。コヒーレントな光、干渉法および微小光学を利用することで、OCTは、マイクロメートル・レベルの解像度をもって、疾病血管内のビデオ・レートでの生体内断層撮影を提供できる。光ファイバー・プローブを使っての高解像度での表面下の構造の観察により、OCTは、内部組織および器官やステントのような埋め込まれた医療デバイスの低侵襲撮像のために特に有用となる。
【0005】
ステントは、血管狭窄を治療するための一般的な介入である。血管内手順における最適な結果を保証するために、患者の血管解剖構造にカスタマイズされたパーソナル化ステント計画を臨床担当者が形成することが枢要である。ステントは血管内画像に影を生じ、既存のステント配備を検出することは、血管内画像における影に関連するさまざまな課題に取り組む必要がある。
【0006】
本開示は、影検出および影検証に関連するさまざまな課題に取り組む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第9,138,147号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本稿には、血管の画像のような血管内データセットのコンテキストにおいて、影を検出するためのシステムおよび方法ならびに影検出に関係する向上が開示される。ある実施形態では、本システムおよび方法は、候補影を検出するために、局所適応的な閾値を使う。さらに、いくつかの実施形態では、候補影は、偽陽性影を減らすよう、検証されることができる。
【0009】
本稿に開示されるシステムおよび方法は、ステント支柱、ガイドワイヤおよび他の血管内撮像プローブ・コンポーネントおよび血管特徴に関連するさまざまな影を検出する。ある実施形態では、ステント支柱が、該ステント支柱が撮像中に生成する影を使って検出される。
【0010】
部分的には、本開示は、血管内画像において影を検出する方法に関する。本方法は:組織強度〔インテンシティー〕の局所的な推定値を決定し;諸走査線〔スキャンライン〕を通じて変化する局所適応的な閾値を生成/決定し;組織投影強度が前記局所適応的な閾値を下回る走査線の一つまたは複数の群に基づいて血管内オブジェクトに関連する影を検出することを含む。ある実施形態では、本方法は、血管内診断システムを使って、一つまたは複数の血管内データセットを記憶することを含む。各血管内データセットは複数の走査線を含む。
【0011】
ある実施形態では、局所適応的な閾値を使って影検出が実行される。局所適応的な閾値方法は、ある実施形態では、走査線毎に、さまざまな強度レベルに対して適用される。ある実施形態では、影検出方法は、たとえ二つの方法、たとえば第一の方法および第二の方法が異なる影探索基準または特徴とともに使われたとしても影を見出すのに好適な感応レベルをもつよう構成される。結果として、方法は、影を検証するための一つまたは複数の検証段階をも含むことができる。いくつかの検証段階の使用は、初期に検出され、検証された影に基づいて支柱/ガイドワイヤを検出するときの、全体的な性能および精度を改善する。
【0012】
ある実施形態では、影検出は、局所適応的閾値を使って実行される。局所適応的閾値方法は、ある実施形態では、走査線毎に、さまざまな強度レベルに対して適用される。さらに、後追い、バックアップまたは代替的な影検出方法として、ユーザー指定されたまたは診断血管内データ収集システムによって指定された基準に基づいて、極小が探索されて、検出されることができる。ある実施形態では、極小は、LAT以上の強度値をもつ。ある実施形態では、極小は、LATより大きな強度値をもつ。
【0013】
ある実施形態では、本方法の一つまたは複数の段階は、血管内データを受領するための入力と、該セットを記憶するための一つまたは複数の電子的メモリ・デバイスと、前記入力および前記一つまたは複数のメモリ・デバイスと電気通信する一つまたは複数のコンピューティング装置/データ処理装置と、本方法の一つまたは複数の段階を実行するために前記一つまたは複数のコンピューティング装置によって実行可能な命令、画像フィルタ、サンプリング方法、カーネル、演算子および画像処理ソフトウェア・モジュールとを含む診断システムを使って実装される。記載される技法の実装は、ハードウェア、方法もしくはプロセスまたはコンピュータ可読媒体上のコンピュータ・ソフトウェアを含んでいてもよく、非一時的なコンピュータ可読媒体のようなコンピュータ可読媒体に記憶されてもよい。
【0014】
部分的には、本開示は、動作においてシステムにアクションを実行させるソフトウェア画像処理モジュールおよび他のソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアまたはそれらの組み合わせがシステム上にインストールされているおかげで、特定の動作またはアクションを実行するよう構成された一つまたは複数のコンピューティング装置のシステムに関する。一つまたは複数のコンピュータ・プログラムが、データ処理装置によって実行されたときに該装置にアクションを実行させる命令を含んでいるおかげで、特定の動作またはアクションを実行するよう構成されることができる。本開示の一つの概括的な側面は、血管内画像における影を検出する方法を含む。方法は:血管内診断システムを使って、一つまたは複数の血管内データセットを記憶することを含む。各血管内データセットは複数の走査線を含む。方法は、複数の線投影を走査線ごとに決定することをも含む。各線投影は、近組織オフセットおよび遠組織オフセットを使って決定される。
【0015】
ある実施形態では、本方法は、線投影を使って組織強度の局所的推定値を決定することをも含む。本方法は、諸走査線を通じて変化する局所適応的な閾値を決定することをも含んでいてもよい。本方法は、強度の局所的推定値が局所適応的な閾値を下回る連続する諸走査線のグループ化を使って、血管内データセットにおける関心特徴を表わす影を識別することをも含んでいてもよい。この側面の他の実施形態は、それぞれ上記方法のアクションを実行するよう構成されている、一つまたは複数のコンピュータ記憶デバイスに記録された対応するコンピュータ・システム、装置およびコンピュータ・プログラムを含む。
【0016】
本開示のある実施形態では、実装は、以下の特徴の一つまたは複数を含んでいてもよい。方法は、前記複数の走査線についての複数の近オフセットを決定することをも含んでいてもよい。方法は、前記複数の走査線についての複数の遠オフセットを決定することをも含んでいてもよい。方法は、線投影内の極小の存在に基づいて候補影を識別することをも含んでいてもよい。ここで、該極小の強度は、前記複数の走査線のうちのある走査線のいずれかの側の近傍内に見出される一つまたは複数の最大強度の所与の割合未満である。方法は、影領域のエッジを示す傾きの変化を識別するために、各走査線のまわりの探索窓に対して複数の傾き値を推定することをも含んでいてもよい。方法はさらに、検出されたエッジに関して一つまたは複数の影検証方法を実行することを含む。ある実施形態では、組織強度の局所的推定値は、走査線ごとに生成された平滑化された投影である。方法はさらに、平滑化された投影に沿って一つまたは複数の相対的な極値を探索し、前記一つまたは複数の相対的な極値を使って、シグネチャーに基づいて影を識別することを含む。ここで、シグネチャーは、二つのピークの間に配置される谷である。
【0017】
ある実施形態では、方法は、一つまたは複数の線投影内で影領域の探索を実行することをも含んでいてもよい。方法はさらに、識別された影を検証することを含む。ある実施形態では、影を検証することはさらに、カーネルを用いて一つまたは複数のエッジを検出することを含む。方法はさらに、血管の表現において一つまたは複数のオブジェクトを表示することを含む。該オブジェクトは、前記一つまたは複数の検証された影に関連付けられている。方法はさらに、局所適応的な閾値より下の線投影について影を識別することを含む。方法はさらに、局所平均組織値を使って走査線毎に局所適応的な閾値を生成することを含む。
【0018】
ある実施形態では、本方法の一つまたは複数の段階は、一つまたは複数の血管内データセットを受領するための入力と、前記一つまたは複数の血管内データセットを記憶するための一つまたは複数の電子的メモリ・デバイスと、前記入力および前記一つまたは複数のメモリ・デバイスと電気通信する一つまたは複数のコンピューティング装置と、本方法の一つまたは複数の段階を実行するために前記一つまたは複数のコンピューティング装置によって実行可能な命令、画像フィルタおよび画像処理ソフトウェア・モジュールとを含む診断システムを使って実装される。ある実施形態では、本血管内診断システムは、光干渉断層撮影法システムである。
【0019】
ある実施形態では、本方法はさらに、局所平均組織値を使って走査線毎に局所適応的な閾値を生成することを含む。本方法はさらに、局所適応的な閾値より低い投影線について影を識別することを含む。本方法はさらに、追加的な候補影を識別するために極小探索を実行することを含む。本方法は、線投影の測定された傾き値を使って、影の境となる(shadow bounding)一つまたは複数の走査線に対するエッジ洗練を実行することを含む。
【0020】
ある実施形態では、本方法の一つまたは複数の段階は、一つまたは複数の血管内データセットを受領するための入力と、前記一つまたは複数の血管内データセットを記憶するための一つまたは複数の電子的メモリ・デバイスと、前記入力および前記一つまたは複数のメモリ・デバイスと電気通信する一つまたは複数のコンピューティング装置と、本方法の一つまたは複数の段階を実行するために前記一つまたは複数のコンピューティング装置によって実行可能な命令、画像フィルタおよび画像処理ソフトウェア・モジュールとを含む診断システムを使って実装される。記載される技法の実装は、ハードウェア、方法もしくはプロセスまたはコンピュータ・アクセス可能媒体上のコンピュータ・ソフトウェアを含みうる。
【0021】
ある側面では、本開示は、血管内画像における影を検出する方法に関する。本方法は、血管内診断システムを使って、一つまたは複数の血管内データセットを記憶することを含む。各血管内データセットは複数の走査線を含む。本方法は、前記複数の走査線について第一のオフセットおよび第二のオフセットを決定することをも含んでいてもよい。本方法は、前記第一のオフセットと前記第二のオフセットの間の諸サンプルを平均することによって各走査線についての線投影を決定することをも含んでいてもよい。本方法は、それらの線投影内で影領域の探索を実行することをも含んでいてもよい。本方法は、識別された影を検証することをも含んでいてもよい。本方法は、血管の表現において一つまたは複数のオブジェクトを表示することをも含んでいてもよい。前記オブジェクトは、前記一つまたは複数の検証された影に関連付けられる。この側面の他の実施形態は、それぞれ上記方法のアクションを実行するよう構成されている、対応するコンピュータ・システム、装置および一つまたは複数のコンピュータ記憶デバイスに記録されたコンピュータ・プログラムを含む。
【0022】
ある実施形態では、実装は、以下の特徴の一つまたは複数を含んでいてもよい。ある実施形態では、前記血管内診断システムは、光干渉断層撮影法システムである。本方法はさらに、局所平均組織値を使って走査線毎に局所適応的な閾値を生成することを含む。本方法はさらに、latより低い線投影について影を識別することを含んでいてもよい。本方法はさらに、追加的な候補影を識別するために極小探索を実行することを含んでいてもよい。本方法はさらに、線投影の測定された傾き値を使って、影の境となる(shadow bounding)一つまたは複数の走査線に対するエッジ洗練を実行することを含んでいてもよい。
【0023】
ある実施形態では、本方法の一つまたは複数の段階は、一つまたは複数の血管内データセットを受領するための入力と、前記一つまたは複数の血管内データセットを記憶するための一つまたは複数の電子的メモリ・デバイスと、前記入力および前記一つまたは複数のメモリ・デバイスと電気通信する一つまたは複数のコンピューティング装置と、本方法の一つまたは複数の段階を実行するために前記一つまたは複数のコンピューティング装置によって実行可能な命令、画像フィルタおよび画像処理ソフトウェア・モジュールとを含む診断システムを使って実装される。記載される技法の実装は、ハードウェア、方法もしくはプロセスまたはコンピュータ・アクセス可能媒体上のコンピュータ・ソフトウェアおよび本稿に開示される他の特徴を含みうる。
【0024】
本発明は種々の側面および実施形態に関係するが、本稿に開示される種々の側面および実施形態が、適宜、全体としてまたは部分的に、一緒に統合されることができることが理解される。このように、本稿に開示される各実施形態は、所与の実装のために、適宜、さまざまな度合いにおいて、各側面において組み込まれることができ、さまざまな方法からの段階は限定なしに組み合わされることができる。
【0025】
開示される実施形態の他の特徴および利点は、以下の記述および付属の図面から明白となるであろう。
【0026】
ある実施形態では、本稿に記載される検出段階と一緒に使うのに好適なステント支柱は、典型的には金属のステント支柱である。血管内プローブを使っての撮像中に影を生じるいかなるステント支柱も、本稿に記載される方法を使った検出に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図面は必ずしも同縮尺ではなく、概して例示的原理に強調が置かれている。図面はあらゆる側面において例解するものと考えられるものであり、本開示を限定することは意図されていない。本開示の範囲は請求項によってのみ定義される。
図1A】本開示のある例示的実施形態に基づく、例示的な血管内データ収集システムおよび関連する血管内データ収集プローブならびに関係する画像処理、検出および他のソフトウェア・コンポーネントを示す図である。
図1B】本開示のある例示的実施形態に基づく、影、ステント支柱および他の血管内特徴を検出するためのプロセス・フローチャートである。
図2】本開示のある例示的実施形態に基づく、ステント検出プロセスのプロセス・フローチャートである。
図3】Aは、本開示のある例示的実施形態に基づく、本稿に記載される方法を使って解析および検出されるさまざまな影領域を含む2D空間座標において表わされた血管内極画像データであり、Bは、本開示のある例示的実施形態に基づく、本稿に記載される方法を使って解析および検出されるさまざまな影領域を含む図3のAの長方形R‐シータ画像として極座標を表わす血管内極画像であり、Cは、本開示のある例示的実施形態に基づく、図3のAの画像に関して生成された、2D空間座標系で表わされたマスクであり、Dは、本開示のある例示的実施形態に基づく、図3のBの画像に関して生成された、長方形R‐シータ画像として座標系を表わすマスクである。
図4】本開示のある例示的実施形態に基づく、さまざまな影検出および検証段階ならびに他の血管内データ処理段階のプロセス・フローチャートである。
図5】本開示のある例示的実施形態に基づく、OCT画像フレームのような血管内画像フレームからのデータと、それから決定される、組織強度、投影、相対的極値、局所適応的な閾値および影に関連する値とを使って、走査線対強度値で表わした曲線、線またはデータ点として生成される線投影の例示的プロットである。
図6】本開示のある例示的実施形態に基づく、例示的な影探索方法を示すプロセス・フローチャートである。
図7A】本開示のある例示的実施形態に基づく、特徴または他の関心値を検出するために画像に適用されることのできる演算子の例を示す図である。
図7B】本開示のある例示的実施形態に基づく、特徴または他の関心値を検出するために画像に適用されることのできる演算子の例を示す図である。
図7C】本開示のある例示的実施形態に基づく、特徴または他の関心値を検出するために画像に適用されることのできる演算子の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本稿に開示されるシステムおよび方法は、血管内撮像ならびにステント支柱、血管内撮像プローブ・コンポーネントおよび他の要因の結果としてそのような画像に現われることのある影に関する。血管内領域における影の存在は、分枝、狭窄、液体プールとして誤認されることがあり、また他の仕方で診断手順の間に関心対象の特徴を埋没させることがあるので、問題である。OCTおよびIVUS画像のような血管内画像における暗くてかすかな影の存在は、望まれない画像処理誤差を引き起こし、画像処理パイプラインにおける他の段階に干渉することがある。また、正確な影検出は、ステント支柱検出、ガイドワイヤ検出および金属オブジェクトのような影を生じるオブジェクトの検出における前提段階(a predicate step)である。
【0029】
部分的には、本開示は、かすかな影に対する影検出の感度を高める方法に関する。競合因子として、かすかな影を検出するために感度閾値を高めることは、多くの偽陽性が識別される結果につながりうる。候補影のための本開示のある実施形態では、偽陽性の数を減らすまたは除去するために、影検証段階が実行される。本稿に記載される方法および実装は、さまざまな血管内撮像システムおよびプローブと一緒に使用できる。
【0030】
図1Aは、動脈のような血管5、データ収集プローブ7および血管内データ収集および処理システム10を描く高レベルの概略図である。システム10はたとえば、OCT、IVUSまたは他の血管内撮像システムを含むことができる。ステント12が血管5の中に示されている。ステントは、複数の支柱を含む。支柱のいくつかは、血管内プローブを用いて血管を撮像するプロセスの一部として、影または影領域(shadow region)SRを生成することがある。システム10は、分枝検出、ピーク検出、影領域検出および処理、誤り訂正、モデル比較、管腔検出および本稿に記載されるさまざまな他のプロセスを実行するのに好適なさまざまなソフトウェア・モジュールを含むことができる。システム10は、本稿に記載される用途およびデータ収集のコヒーレンスおよび帯域幅要求を満たす好適な光源を含むことができる。システム10は、超音波撮像システムを含むことができる。プローブ7は、一つまたは複数の光ファイバー15をもつカテーテル部分と、その中に配置されたプローブ先端17とを有するカテーテル20を含むことができる。プローブ先端17は、ある実施形態では、ビーム・ディレクター〔方向付け器〕を含む。
【0031】
図のように、カテーテル20は、動脈管腔のような管腔11に導入される。プローブ7は、光を前方に管腔14中に、あるいはファイバー15の長手軸に垂直な方向に向き付ける、回転するまたはスライド可能なファイバー15を含むことができる。結果として、ファイバー15が回転するにつれてプローブの側部から向き付けられる光の場合、血管5の壁に関してOCTデータが収集される。血管5の壁は管腔境界を画定する。この管腔境界は、管腔検出ソフトウェア・コンポーネントを使って、プローブ先端17において収集された光信号から得られる距離指標を使って検出されることができる。影領域および他の特徴は、動脈を通じたプルバックの間にプローブによって生成される諸走査線において識別されることができる。影領域は、ステント支柱に関連していてもいなくてもよい。プローブ7は、ある実施形態では、OCTに加えて、超音波のような他の撮像モダリティーを含むことができる。
【0032】
図1Aに示されるように、プローブ先端17は、血管5のステント適用された領域に対して遠位であるよう、管腔14内に位置される。プローブ先端17は、光を送出し、たとえばステント12および血管5の壁のようなオブジェクトから後方散乱光を受光するよう構成される。プローブ先端17およびデータ収集プローブ7の残りは、管腔14を通じて引っ張られて、先端はステント適用された領域を通過し、ステント支柱を撮像する。これらの支柱は撮像されるときに影を生じることがある。プローブ7は、OCTシステム10と光通信する。光ファイバー15を介してプローブ先端17に接続するOCTシステムまたはサブシステム10は、レーザーのような光源と、サンプル・アームおよび参照アームをもつ干渉計と、さまざまな光路と、クロック生成器と、フォトダイオードと、他のOCTシステム・コンポーネントとを含むことができる。
【0033】
ある実施形態では、平衡フォトダイオード・ベースのシステムのような受光器31が、プローブ7を出る光を受けることができる。コンピュータ、プロセッサ、ASICまたは他の装置のようなコンピューティング装置40が、OCTシステム10の一部であってもよく、あるいはOCTシステム10と電気的または光学的に通信する別個のサブシステムとして含まれてもよい。コンピューティング装置40は、メモリ、記憶、バスおよびデータを処理するのに好適な他のコンポーネントと、分枝検出、ステント支柱候補選択もしくは識別、候補ステント支柱影領域検出、ステント画像データ・ステント可視化の相関付けおよび比較および後述するようなプルバック・データ収集のために構成された画像データ処理段のようなソフトウェア44とを含むことができる。ソフトウェア・モジュール44は、本稿に記載されるような影検出モジュールならびに関連するプロセスおよび段階を含むことができる。
【0034】
ある実施形態では、コンピューティング装置40は、分枝検出モジュール、管腔検出モジュール、ステント検出モジュール、ステント支柱検証モジュール、候補ステント支柱識別モジュールおよび他のソフトウェア・モジュールといったソフトウェア・モジュールまたはプログラム44を含むまたはそれにアクセスする。ソフトウェア・モジュールまたはプログラム44は、画像データ処理パイプラインまたはそのコンポーネント・モジュールならびに一つまたは複数のグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)を含むことができる。モジュールは、互いのサブセットであることができ、さまざまな入力、出力およびデータ・クラスを通じて配列および接続されることができる。ある実施形態では、ソフトウェア・モジュールまたはプログラム44は、限定なしに、図示され、本稿で記載されるような、影検出モジュールおよびプロセス、線投影検出モジュールおよびプロセス;影検証モジュールおよびプロセス;および他のプロセスおよびモジュールを含む。
【0035】
本開示は、一つまたは複数のコンピュータ・プログラム・プロダクト、すなわちデータ処理装置による実行のためのまたはデータ処理装置の動作を制御するための、コンピュータ可読媒体上にエンコードされたコンピュータ・プログラム命令の一つまたは複数のモジュールとして実現されることができる。コンピュータ可読媒体は、機械可読記憶デバイス、機械可読記憶基板、メモリ・デバイスまたはそれらのうち一つまたは複数の組み合わせであることができる。用語「データ処理装置」またはコンピューティング装置はデータを処理するためのすべての装置、デバイスおよび機械を包含し、たとえば、プログラム可能なプロセッサ、コンピュータまたは複数のプロセッサまたは他のコンピュータもしくはデータ処理もしくはデータ変換装置を含む。装置/デバイスは、ハードウェアに加えて、問題のコンピュータ・プログラムのための実行環境を作り出すコード、たとえば、プロセッサ・ファームウェア、プロトコル・スタック、データベース管理システム、オペレーティング・システムまたはそれらのうち一つまたは複数の組み合わせを構成するコードを含むことができる。
【0036】
コンピュータ・プログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェア・アプリケーション、スクリプトまたはコードとしても知られる)は、コンパイルまたはインタープリットされる言語を含めいかなる形のプログラミング言語で書かれることもでき、スタンドアローン・プログラムとしてまたはモジュール、コンポーネント、サブルーチンまたはコンピューティング環境において使うのに好適な他のユニットとしてを含め、いかなる形で配備されることもできる。コンピュータ・プログラムは必ずしもファイル・システムにおけるファイルに対応しない。プログラムは、他のプログラムまたはデータ(たとえばマークアップ言語文書に格納された一つまたは複数のスクリプト)を保持するファイルの一部分に、問題のプログラム専用の単一のファイルに、あるいは複数の協調したファイル(たとえば、コードの一つまたは複数のモジュール、サブプログラムまたは諸部分を格納する諸ファイル)に記憶されることができる。コンピュータ・プログラムは、一つのコンピュータ上で、あるいは一つのサイトに位置するまたは複数のサイトにまたがって分散されて通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるよう配備されることができる。
【0037】
本開示に記載されるプロセスおよび論理フローは、入力データに対して作用して出力を生成することによって機能を実行するよう一つまたは複数のコンピュータ・プログラムを実行する一つまたは複数のプログラム可能なプロセッサによって実行されることができる。特殊目的の論理回路、たとえばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)によって、プロセスおよび論理フローが実行されることもでき、装置が実装されることもできる。
【0038】
コンピュータ・プログラムの実行のために好適なプロセッサは、たとえば、汎用および特殊目的両方のマイクロプロセッサおよび任意の種類のデジタル・コンピュータの任意の一つまたは複数のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、読み出し専用メモリまたはランダムアクセスメモリまたは両方から命令およびデータを受け取る。コンピュータの本質的な要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令およびデータを記憶するための一つまたは複数のメモリ・デバイスとである。一般に、コンピュータは、データを記憶するための一つまたは複数の大容量記憶デバイス、たとえば磁気、光磁気ディスクまたは光ディスクを含むか、そのような記憶デバイスからデータを受領しそのような記憶デバイスにデータを転送するよう動作上結合されるか、その両方である。しかしながら、コンピュータはそのようなデバイスをもつ必要はない。
【0039】
コンピュータまたはコンピューティング装置は、インターフェースのようなグラフィカル・ユーザー・インターフェースを表示するための一つまたは複数のソフトウェア・モジュールを含む機械可読媒体または他のメモリを含むことができる。コンピューティング装置は、モニタリング・データまたは他のデータのようなデータをネットワークを使って交換することができる。ネットワークは、一つまたは複数の有線、光学式、無線またはその他のデータ交換接続を含むことができる。
【0040】
コンピューティング装置またはコンピュータは、サーバー・コンピュータ、クライアント・ユーザー・コンピュータ、制御システム、血管内または血管造影法診断システム、マイクロプロセッサまたは当該コンピューティング装置によって行なわれるべきアクションを指定する一組の命令(逐次的またはそれ以外)を実行できる任意のコンピューティング装置を含みうる。さらに、用語「コンピューティング装置」は、個別にまたは合同して一組の(または複数組の)命令を実行してソフトウェア特徴または方法の任意の一つまたは複数を実行する、あるいは本稿に記載されるシステム・コンポーネントの一つとして動作するコンピューティング装置の任意の集合体を含むとも解釈される。
【0041】
例示的な画像処理パイプラインおよびそのコンポーネントが、プログラム44の一つまたは複数をなすことができる。ソフトウェア・モジュールまたはプログラム44は画像データを受領し、そのような画像データを血管およびステントの二次元および三次元ビューに変換し、管腔検出ソフトウェア・モジュール、ピーク検出、ステント検出ソフトウェア・モジュール、分枝検出ソフトウェア・モジュール、影検出モジュール、走査線選択モジュール、検出された候補ステント支柱影領域内でのまたは該影領域の源としての支柱検出モジュール、影検証モジュール、画像処理カーネルおよび演算子ならびに本稿に記載される段階を実行するための他のソフトウェア・モジュールを含むことができる。画像データ処理パイプライン、そのコンポーネント・ソフトウェア・モジュールおよび関係した方法ならびに本稿に記載される方法の任意のものは、メモリに記憶され、プロセッサ、装置または他の集積回路のような一つまたは複数のコンピューティング装置を使って実行される。
【0042】
図1Aに示されるように、収集された画像データを使って生成される血管の断面ビューまたは長手方向ビューのような情報47を示すために、ディスプレイ46がシステム10の一部であることもできる。ステントおよび管腔境界のOCTまたはIVUS画像のようなステントおよび管腔境界の表現が、ディスプレイ46を介してユーザーに対して示されることができる。分枝検出、影検出およびステント検出が、これらの特徴の表示や、表示される画像に含まれうる識別印を用いた何らかのコーディングまたはタグ付けに先立って実行される。このOCTベースの情報47は、一つまたは複数のグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)を使って表示されることができる。図3のAおよびBは、表示され、GUIおよびさまざまな入力装置を使って対話されることのできる情報47の例である。
【0043】
加えて、この情報47は、限定なしに、断面スキャン・データ、長手方向スキャン、直径グラフ、画像マスク、ステント、不完全密着の領域、管腔境界および血管の他の画像もしくは表現またはOCTシステムおよびデータ収集プローブを使って得られる基礎になる距離指標を含むことができる。コンピューティング装置40は、一つまたは複数のメモリ・デバイス45に記憶されることのできるソフトウェアまたはプログラム44をも含むことができる。該ソフトウェアまたはプログラム45は、影および影領域内の支柱を含むステント支柱ならびに他の血管特徴、たとえば印、たとえばテキスト、矢印、カラーコーディング、ハイライト、輪郭線(contour lines)または他の好適な人間または記載に可読な印を識別するよう構成される。
【0044】
ひとたびOCTデータがプローブを用いて得られて、メモリに記憶されたら、該OCTデータを処理して、情報47、たとえばプルバック領域またはその部分集合の長さに沿った、血管の断面、長手方向および/または三次元的なビューを生成することができる。これらのビューは、図3のAおよびBに示され、それ以外でも本稿で記載されるように、ユーザー・インターフェースの一部として描かれることができる。
【0045】
〈ステント検出プロセスおよび関連するサブプロセスおよび並行プロセス〉
部分的には、本開示は、さまざまな影生成オブジェクトの検出に適用されることのできる影検出方法に関する。このように、部分的には、本開示は、金属器具またはオブジェクトの検出方法であって、そのような金属オブジェクトの点または要素を、OCTもしくはIVUSプルバックのような血管内記録またはプルバックの各フレーム内で検出するための自動化された方法を含むものに関する。金属オブジェクトまたは器具は、ステントおよびコンポーネント・ステント支柱、ガイドワイヤおよび他の金属または影を生じる要素を含むことができる。ある実施形態では、ステント検出は、組織オフセットの検出、影の検出、検出された影内での支柱の検出およびガイドワイヤ境界における支柱の検出ならびに分枝内での支柱の検出を含むことができる。偽陽性を減らすための影/支柱を検証するための段階およびそれに関する探索が実行されることができる。ナイーブ・アト・ピーク・ライン方法(NPLM: Naive at Peak Line Method)を使った支柱検出が実行されることができる。これらの段階の概要が図1Bに含まれている。
【0046】
図1Bは、ステント検出プロセス80のプロセス・フローチャートである。ガイドワイヤ・データ204、管腔境界データ106および分枝データ122のような入力データのさまざまな源がある。これらおよび他のデータセットは、図1Aに関して述べたプローブを使って得られる血管内データに対して演算し、それを変換することによって得られる。ある実施形態では、ステント検出プロセスの第一段階は、影検出101である。次いで、プロセスの次の段階は、ある実施形態では、オフセット検出110である。ステント支柱は影を生じ、影は、近オフセット(管腔/プローブにより近い)と遠オフセット(血管壁内)との間の組織ゾーンにおいて観察される。経験的に、影は、近オフセットと遠オフセットとの間の組織領域に現われる。ある実施形態では、遠オフセットは、組織領域をノイズフロアから切り分ける近似である。ある実施形態では、フレーム横断検証を使って偽陽性解析が実行される。
【0047】
近オフセットと遠オフセットとの間のこの領域が、影を検出するときにその内部を探索するゾーンを画定する。ある実施形態では、支柱検出候補が、検出された影およびオフセットから生成される。このようにして、候補支柱が定義115される。支柱の密着のレベルが生成135され、続いて、支柱内のレンダリングされたものに含まれる支柱位置および密着度が、密着レベルを示すカラースケールまたは他の印を使って表示される。こうして、検出された支柱が2Dまたは3Dディスプレイを使って表示される。
【0048】
ある実施形態では、分枝検出プロセスが、ステント検出プロセスと並列に動作する。支柱はナイーブ・アト・ピーク・ライン方法(NPLM)を使って、分枝において検出120され、続いて偽陽性削減方法が行なわれる。NPLMプロセスは、ステント支柱が分枝の少なくとも一部分を覆う、覆われたまたは収監された(jailed)分枝を検出するために使用されることができる。最終的な支柱定義は、分枝における支柱検出の結果によって更新される。本方法の画像処理パイプラインを通じて、ガイドワイヤ・データが、オフセット110を検出し、密着値135を計算するために使われる情報を提供する。結果は、本稿に記載されるように、2Dまたは3Dにおいて表示されることができる(137)。
【0049】
部分的には、本開示は、さまざまな血管内データ解析および診断表示用途における使用のために好適な影検出方法またはプロセスの実装に関する。ある実施形態では、影検出は、さまざまなサブステップまたはサブプロセスを含む。たとえば、近オフセットおよび遠オフセット両方の計算、局所適応的な閾値(LAT: locally adaptive threshold)の使用および偽陽性(FP: false positive)の発生を減らすための一つまたは複数の影検証ステップの実行である。
【0050】
組織領域の検出は、しばしば、たとえば影検出、ステント検出およびガイドワイヤ検出のようなさまざまな検出方法における第一段階である。図2は、例示的な組織領域ならびに近および遠オフセット検出方法段階を示している。組織領域は、ステント支柱影の探索ゾーンを与える。本方法は、支柱探索のための関心領域を識別するために、主として、影検出に依拠する。その通常の意味に加えて、本稿で使われるところでは、オフセットは、スキャン変換された画像の中心から組織領域の位置までの距離を指す。近オフセットは、管腔壁の境界を同定する。遠オフセットは、検出可能な組織信号の境界を同定する。
【0051】
ある実施形態では、本方法は、管腔についての諸近オフセットおよび諸遠オフセットのベクトルを決定する。これらのオフセットは、のちにより詳細に論じる線投影から、その中で影が生成される血管の領域を決定するために使われる。影領域にわたる〔影領域をスパンする〕影開始走査線および影終了走査線は、本開示の影検出方法の動作の出力として識別されることができる。この影検出手法は、ステント検出およびガイドワイヤ検出のようなさまざまな他の方法において使われることができる。影検出方法は、図1Aのようなデータ処理システムのメモリに記憶されている走査線、オフセット、配列およびベクトルに対して演算して、本稿に記載される段階およびプロセスを使って、組織領域における候補影を識別する。
【0052】
以前に検出されたガイドワイヤ範囲内にない各走査線について、開始‐停止対が比較され、目標厚さまたはさもなくば最大の厚さに対応する厚さ(thickness)をもつものが保持されて、当該管腔に対応するベクトル近オフセット値または値の集合としてメモリに記憶される。それらの近オフセットは、内部(カテーテル)から管腔へのオフセットと述べることができる。遠オフセットは、血管内データがもはや組織を撮像しておらず、該データがノイズフロアの存在を示すようになるところのオフセットを表わす。ノイズおよび信号減衰の結果として、ノイズフロアに近づくとき、組織に対する分解(resolve)能力は停止する。図3のCおよびDは、典型的な画像上での近/遠オフセットおよび二値のメジアン・マスクを示している。
【0053】
ある実施形態では、管腔または他の領域、たとえば影領域に対してどこで組織後方散乱が起こっているかの推定を得るために、二値マスクから開始停止対が生成される。二値マスクにおける開始停止対の秤量(weighing)205が使われる。マスクにはブロブおよび他のアーチファクトが現われることがあるからである。秤量段階は、組織に対応する走査線の主要部分を見出すために、ノイズまたはアーチファクトの一部をフィルタリングする。ある実施形態では、図2の方法200において特定されているように、近および遠オフセットを決定するために、停止開始対が使われる。停止開始対に関係する追加的な詳細は、特許文献1に記載されており、その詳細はここに参照によってその全体において組み込まれる。
【0054】
図2に示されるように、二値マスクにおいて決定された開始‐停止対は、グループ化されて、各開始‐停止対に重みを割り当てること105によって諸近および遠組織オフセットを決定する。最大の重みをもつ開始‐停止対の開始が、組織マスクへのオフセットを定義し、メモリに、諸近オフセット値に関連するベクトルとして記憶される。諸遠オフセットは、のちにまたは並列プロセスにおいて計算される。楕円がそれらの近オフセット値に当てはめされ210、該楕円より停止が大きくかつ厚さがすべての開始‐停止対の厚さの標準偏差未満である開始‐停止対を枝刈りする220ために本方法によって使用される。停止開始対(SS対)および標準偏差STDEVは図2では、段階または段220に対して示されている。
【0055】
ある実施形態では、影検出ソフトウェア・モジュールおよび関連する方法は、残っている開始‐停止対に重み付けし直し、最大の重みの諸対を保持する230ことによって、開始‐停止対に再重み付けする225または洗練する。近オフセットのフィルタリングされた再重み付けされたリストに対してスプラインが当てはめされる235。当てはめされたスプラインを使って近オフセットが計算される。ある実施形態では、遠オフセットは、近オフセットとノイズフロアとの間であるとして決定される240。遠オフセットは、ノイズフロアに、またはノイズフロアの上方のある距離のところに位置される。ある実施形態では、遠オフセットは、近オフセットに、血管壁の局所的な平均厚さを加えたものとして計算される。ある実施形態では、局所的な平均厚さは、ノイズフロアの位置または他の要因に基づいてスケーリングされるか、あるいは他の仕方で調整されるかしてもよい。
【0056】
組織オフセット検出方法は、図3のA~Dにおいて、血管内画像およびその二値マスクに対して例解される。図3のAは、フレッシュな埋め込まれた金属ステントをもつ血管の記録における単一の断面の例である。動脈に沿ったプルバックから得られた走査線を使って生成されたOCT画像が図3のAおよびBに示されている。対応する二値メジアン・マスクが対応する上の画像についてそれぞれ図3のCおよびDに示されている。それぞれの画像も示されている。図3のAの画像における影は、光信号を妨害するステント支柱からである。
【0057】
図3のAの画像およびBにおけるそのマスクに示されるように、影は、管腔境界のまわりのステント支柱に関する暗いセクターとして広がる。影のすべてがステント支柱からというわけではない。最大の影は、図3のAの1時の位置(右上象限)に示されるように、ガイドワイヤからである。近および遠オフセットは曲がった/ジグザグの線として示されており、白い曲線矢印によって指示されている。これは、この影検出方法が、大きなマスクぎざぎざおよびアーチファクトに対して耐性があることを例解するために示されている。オフセットは、ある実施形態では、管腔に隣接するプローブの近くの管腔境界についての代理(近オフセット)および血管壁内の進入深さの限界(遠オフセット)と考えられる。
【0058】
たとえば、ステント支柱に起因する大きな影は遠オフセットに影響しない。ある実施形態では、オフセットは、ガイドワイヤの影のところでも計算される。諸近オフセットは血管管腔境界に載り、諸遠オフセットは、撮像信号が減衰する際の可視の組織領域の境を定める。ある実施形態では、近オフセットは、組織のうち、血管内データ収集プローブの中心に最も近い点である。ある実施形態では、遠オフセットは、わずかにスケーリングされ、組織信号が減衰する際に「浮動する」傾向がある。これは、ある実施形態では、遠オフセット・スケーリングの結果である。
【0059】
図3のA~Dは、組織オフセット検出ソフトウェア・モジュールを使って決定された近オフセットおよび遠オフセットの図解を与えている。これらの近オフセットおよび遠オフセットは、影検出ソフトウェア・モジュールによって演算され、変換されることのできる入力である。二値画像モジュールが、図3のAおよびBからそれぞれ図3のCおよびDの二値画像を生成するために使われる。
【0060】
二値画像は、近オフセットおよび遠オフセットを決定するために前処理段階として使われる。さらに、走査線について決定された近オフセットおよび遠オフセットは、線投影における値を決定するために使われる。さらに、線投影は、異なる走査線を通じて変化する局所適応的な閾値を生成するために使われる。局所適応的な閾値は、影領域を決定するために投影値と比較されることができる。ある実施形態では、LATではなく一定の閾値が使われることができるが、一定の閾値の使用は、いくつかの候補影領域を見出し、他の候補影領域を見逃す可能性が高い。結果として、ある実施形態では、局所適応的な閾値が好ましい。
【0061】
ステント検出方法における次の段階は、支柱点、ガイドワイヤ、カテーテルまたは他のオブジェクトのような所与の影の源に対応する影の検出である。第一段階は、線投影を計算することである。線投影の各値は、一つまたは複数の演算を使って処理される近オフセットおよび遠オフセットの間の走査線の部分集合を指す。ある実施形態では、前記演算は、諸成分を除外するためおよび/または走査線の最高強度値を選択するために、走査線の成分をソートすることを含むことができる。
【0062】
ある実施形態では、各走査線の近オフセットと遠オフセットとの間の部分に対して一つまたは複数の演算を実行して、その走査線についての強度値を示す値を生成することによって、線投影が決定される。強度値は、影、組織、管腔または影でない強度レベルに対応することができる。前記動作は、平均、合計、サンプリング、選択または他の統計的演算、たとえば順序統計量、メジアン、平均、モードまたは走査線およびその成分もしくはそれに関連する値に対して実行される他の演算を含むことができる。任意の所与の走査線(または一つまたは複数の走査線)上のサンプルが得られて、該所与の走査線(または一つまたは複数の走査線)からのそのような諸サンプルから、組織強度情報を抽出することが実行される。さらに、影を引き起こす何かによって隠蔽されている強度は、組織含有走査線またはそのような走査線に関して得られたサンプルの強度に比して、関連付けられた、より低い強度をもつ。ある実施形態では、サンプルは、走査線に関して得られた強度値または別の値である。
【0063】
ある実施形態では、線投影は、影、組織、管腔、影でない領域またはそれらの組み合わせを含んでいるかどうかを判定するために探索される。本稿に記載される影検出を容易にするために、局所適応的な閾値の値が、線投影の値と比較される。ある実施形態では、線投影は、線投影が影を含むか影を含まないかを判定するために、線投影が探索されるまたはLAT値に対して他の仕方で評価される。最終段階は、検出された影を検証することである。候補影に対して有効性検査を実行するソフトウェアを使うことは、影検出および影検出を使う他の関係した検出方法、たとえばステント支柱検出およびガイドワイヤ検出の精度を改善する。
【0064】
図4は、本稿に記載されるオフセットの計算255と、検出された支柱を、検出された影に関する情報を含む血管内データのセットに追加することとの間に行なわれる高レベルの影検出段階または段250を示している。ある実施形態では、これらの段階は、線投影を計算し257、影探索を実行し260、影検証を実行し265、影洗練を実行する270という、初期に検出された候補影に対する処理を含む。ひとたび影に関係した段階が完了したら、検出された物理的オブジェクトを定義する275ために、影が評価される。こうして、影は、支柱、ガイドワイヤ、他のオブジェクトに対応するものとして識別される。あるいは、検出された影を作り出した物理的なオブジェクトの源が未知であってもよい。これらの段階に関係する追加的な詳細は、下記でより詳細に記述される。
【0065】
〈線投影計算方法の実施形態〉
組織マスクの近オフセットおよび遠オフセットは、各走査線についての近点と遠点との間の線投影を計算するために使われる。ある実施形態では、近オフセットおよび遠オフセットによって境を定められた線における諸ピクセルはソートされて、ある割合の低めのピクセル値が平均される。こうして、各走査線について、ピクセルのすべてが集計において考慮される場合、平均ピクセル値が決定されることができる。(全ピクセルについての)その平均値に比して、あるいは走査線についてのピクセルの部分集合を使って得られる別の平均値――ある強度閾値より下のピクセルの平均に比して低い値が、候補影を識別するために使用されることができる。平均組織強度の50%のような平均組織強度の割合が、それより上でLATベースの方法を使って影が識別される強度フロアとして使われることができる。図5の平滑化された線投影における谷に基づいて候補影を選択するためのフロアとして、使用される平均組織強度の前記割合は、約20%から約80%の範囲であることができる。
【0066】
支柱ブルームに対応しうる最も明るい諸ピクセルが強度投影上での影を埋没させない確率を増すために、ソート・プロセスが実行される。ひとたび各線についての投影が計算されたら、全体的な線投影が、フィルタ、たとえば移動平均フィルタを用いて平滑化される。図5は、線投影決定の典型的な例を示している。図5では、データ曲線300が、図のような強度軸および走査線軸に対してプロットされている。強度レベル50のあたりの第一の水平線は平均組織強度である。強度レベル25あたりの第二の水平線は、平均組織強度の約半分である。
【0067】
図5では、平滑化された線投影が、生の投影および局所適応的な閾値LATとともにプロットされている。LATは平均組織強度より下であり、異なる点で平均組織強度の半分より上だったり下だったりする。影のさまざまな事例は、平滑投影が図のようにLAT曲線より下に降下することに対応する。生の投影はぎざぎざであり、図のように、平滑化された線投影より上または下または平滑化された線投影に重なる。平均組織強度および平均組織強度の半分も、図5に示されている。LATは図のようにLAT前駆(LAT precursor)より上である。
【0068】
候補影は、図5に示されるように、数字で1ないし9とラベル付けされている。平滑化された線投影は、生投影(スパイクや尖った点があって、平滑データに対して振動する、平滑化されていないデータ)に対して示されている。点9における星ラベルは、LAT方法の初期動作が検出しなかった本物の影である。点9に関連する影のような影を検出するために、相対的な極値データを使う二次的またはバックアップ検出方法が、LATベースの検出方法と並列に使われることができる。点9は図のようにLATより上であり、一方、他の検出された影1~8は、LATより低く、よって影であることを示す投影された強度値をもつ。
【0069】
ある実施形態では、それぞれの影は、開始影線をもつ。例として、影は、影2についての近似開始線150および影8についての近似線455のような終了影線をもつ。走査線350のあたりに示されているように、約走査線75における走査線強度に比して、組織値はより低く、よってLATはより低い。結果として、LATは、線投影における走査線および強度変化に基づいて変化する。ある実施形態では、走査線にローカルな組織強度値が、その走査線におけるLATを計算するために使われる。
【0070】
〈影探索の実施形態および特徴〉
ある実施形態では、影探索方法は、影領域を決定するために、線投影に対して局所適応的な閾値(LAT)を使う。LATの決定は、影探索方法の精度を高める。本方法は、図5においてLATとラベル付けされている線によって示されるように、各線についてLATを計算する。図6は、本開示のある実施形態に基づく例示的な影探索方法を示すプロセス・フローチャート350である。
【0071】
ある実施形態では、本方法はまず、全体的な投影強度値範囲を計算する。次の段階は、投影が投影強度値範囲の中央より大きいすべての値の平均として組織の平均を計算する。組織強度の平均(MT: mean of the tissue intensity)は次の諸段階において使われる。各走査線Lについて、線投影における値が生成される。所与の走査線についてのある半径内の投影値を総合してそのゾーンからの投影値の平均を計算することによって、局所平均組織(LMT: local mean tissue)が生成される。ある実施形態では、これらの投影値は、前記範囲の上半分にある。
【0072】
ある実施形態では、各線について、局所投影を生成する305。局所投影値のリストがソートされて、MTでキャップされる(capped)。局所平均組織(LMT)値は、その範囲の上半分における局所投影値の平均として計算される。線LについてのLATはLMTの半分として計算される310。最後に、LATは、移動平均フィルタまたは他の平滑化演算子もしくはフィルタによって平滑化される。
【0073】
走査線は探索され、投影がその線についての平滑化されたLATを下回る場合315には、その線は影に属するものとしてマークされる。本方法は、前の線が影でない線である場合、新たな影を定義する。本方法はまた、画像のエッジにかかってラップする(wrapping)影という特殊な場合について検査する。走査線は、血管の極表現に対応する。
【0074】
結果として、走査線0(または他の任意の原点)は走査線500(または他の最終走査線)に隣接するので、走査線は画像データとラップする。このように、走査線の極表現的な性質および走査線がラップする程度が、血管内で収集されたデータのセットにおいて最初と最後の走査線にまたがる影を評価するときに、考慮されることができる。ラップの場合、走査線1での影および走査線500(あるいは番号が何であれ最後の走査線)での影が、そのような走査線の隣接配向を考え、単一の影として扱われるという意味で、画像の両端における影はマージされる。
【0075】
さらに、LATを使って影を検出するために、もう一つの並列または第二の影検出方法として、平滑化された線投影上での相対的な極値/極小点が、他の型の影を識別するための追加的な検出方法として使われる。相対的な極値の使用は、LATベースの方法によって見逃されることがありうる影を識別するために、LAT方法に加えて実行される影検出の方法を表わす。ある実施形態では、LAT方法は一次または第一の方法であり、影を検出するための局所的な極値または最小の使用は、二次または第二の方法である(あるいはその逆)。
【0076】
ある実施形態では、LATを下回るほど暗くない影を識別するために、影でない領域に対して別個の極小探索が実行される。ある線について、極小または他の相対的な極値が識別されるのは、その線の平滑化された投影値の割合より大きな値で谷(または実装詳細によってはピーク)が存在する場合である。ある実施形態では、極小または他の相対的な極値が識別されるのは、それが評価されている各走査線の前後10、20または30本のような窓掛けされた探索半径内に存在する場合である。
【0077】
ある実施形態では、窓掛けされた探索半径は、谷からピークの探索半径である。ある実施形態では、二つのピークに接する谷が探され、影を示すシグネチャーとして使われる。LATベースの方法を使って検出されなかった点9における星は、平滑化された投影の強度パターンがそれぞれの側にピークのある谷を含む変化を受けるかどうかを判定するために、その前の20本の線およびその後の20本の線を見ることによって評価されることができる。二次的な影検出方法の一部としてのこの特徴の検出は、ある実施形態では、LATベースの方法が見逃す影を見出すために使用されることができる。探索される各走査線のそれぞれの側での探索窓(これは走査線全部であってもよい)内では、有効な極小の存在はもう一つの検出された影に対応することができる。さらに、探索窓内における平滑化された投影の最小値と該投影の最大値との間の差が閾値を超える場合、そのパターンの生起は影を識別するために使用されることができる。
【0078】
図5では、星のある、番号9がラベル付けされた影は、ある実施形態における、かすかな影の探索段階のような影探索段階によって検出された影の例である。ある実施形態では、各走査線またはその部分集合について、504本の走査線のうちの約10本の走査線の谷からピークの探索半径が探索される。これは約7度を表わす。谷からピークの探索半径は、ある実施形態では、約5走査線ないし約40走査線の範囲であることができる。
【0079】
ある実施形態では、影探索段階またはプロセスの実装は、追加的な感度を提供し、探索プロセスは、LATを下回るには明るすぎるかすかな影を検出する。このように、かすかな影はLAT閾値より上の強度をもつことがあるが、それでも影領域をなす。
【0080】
ある実施形態では、一次または第一のLATベースの影探索プロセスおよび二次または第二の相対的な極値/ピーク谷探索は、該プロセスが投影上での最大傾きの位置に開始および停止位置を洗練する段階をも含むことができる。この洗練は、傾きに関係して実行される一つまたは複数のアプリケーションまたは探索を含むことができる。たとえば、ある実施形態では、影開始走査線または影終了走査線に対応するエッジ値の真の中心のようなエッジ値を識別することによって、影開始/停止線を微調整するために、傾き測定が使われる。
【0081】
ある実施形態では、それらの位置は、単一の走査線からなる影については調整されない。星9は、強度値がLATより上である結果として影として捕捉されない。ある実施形態では、それぞれの影についての各開始線および停止線についての改善された推定値を生成するために、傾き指標が使われる。傾き指標は、影が始まり、終わるエッジを選択するために使われる。エッジ選択は、ある実施形態では、検証段階の精度を改善する。例として、図5に示されるように、ほぼ走査線300のあたりの影3は、平滑化された投影がLATより下に降下する前に生起する最大傾きまたは急峻な傾きと、平滑投影が上方に、LATを横切って動くにつれて増大する同様の最大傾きまたは急峻なスローをもつ。
【0082】
ある実施形態では、走査線の窓または他の半径を使って走査することによって、投影の傾きが計算されることができ、影3および影9に関するもののような相対的な極値およびそれに対する変化が、影を検証するためまたはLATベースの方法によって検出されなかった影9のような影を識別するために使われることができる。加えて、傾きは、LAT方法が影の一部を検出するだけである状況において使用されることができる。走査線毎の傾き測定の使用は、影開始走査線および影終了走査線に対応するエッジを検出することによって、複数の走査線にまたがる影のエッジについてのよりよい推定値を容易にする。
【0083】
〈影検証の実施形態および特徴〉
ある実施形態では、影検証が影探索に続いて行なわれ、偽陽性を減らすとともに、LATおよび平滑化線投影を使う影探索または影検出からの出力に作用するその後の支柱オフセット検出方法の負荷を緩和するために使われる。ある実施形態では、影検出は諸走査線を通じた影の存在を判別しようとする一方、検証は、本物の影エッジの存在を確認しようとする。影開始走査線および影停止走査線は、血管内撮像プローブの参照フレームからの影開始および終了のような関心領域のエッジを定義する。
【0084】
ある実施形態では、以前のソフトウェア・モジュール処理段階からの候補影が、初期に、デフォルトで有効とラベル付けされるが、検証に失敗したら無効とマークされる。ある実施形態では、図6の方法に関して線にラベル付けするプロセスは、一次元領域ラベル付けまたは連結成分解析(connected component analysis)を使うことを含む。ラベル付けのプロセスは、平滑化された投影がLATより下に降下する走査線のゾーンまたは群を探すことを含むことができる。各ゾーンは、相異なる影を定義する。このように、図5における影1~9に対応する各ゾーンは、LATを使って評価されることができる。上記のように、影9は見逃されたが、強度が下がってまた上昇する谷が存在する相対的な極値を探す第二の探索が、LAT方法が識別しないようなすべての有効な影または少なくともある種の範疇の影を識別するヒューリスティックな探索方法を使って識別されることができる。
【0085】
第一の検証試験は、近オフセットに位置する影開始線と影停止線の間の距離によって決定される影の幅に基づく。影は、その幅または他の影寸法が、影を生成するオブジェクトの型に関連付けられた最大の影幅(または他の影寸法)を表わすあらかじめ定義されたサイズより大きい場合には、無効とマークされる。結果として、ステント支柱、ガイドワイヤまたは別の影を生じるオブジェクトの影幅/寸法が、上記のオブジェクトの一つまたは複数に関連しないであろう影を拒否する基礎として、指定されることができる。この場合、すべてのその後の検証段階はスキップされる。
【0086】
ある実施形態では、幅基準を超える影は典型的には、ガイドワイヤまたは分枝に対応する。このように、ある実施形態では、検証プロセスは、候補ステント支柱影の集合から、ガイドワイヤおよび/または分枝の影を除外する段階を含む。影幅は、何が探されているかまたは探索から除外されているかに基づいて、変化することができる。ステント支柱を探しているならば、たとえばステント支柱の影のサイズを超える影を除外できる。
【0087】
影が最大幅基準または他の選択閾値または基準を満たす場合、画像中の該候補影が検証フェーズのために選択される。このフェーズでは、検証方法は、影にわたる〔影をスパンする〕走査線である影開始‐停止エッジを確証するために、エッジ検出カーネルのような演算子のアプリケーションを使う。ある実施形態では、該アプリケーションは、畳み込みアプリケーションである。よく定義されたエッジをもつ影については、さまざまなカーネルまたは他の画像処理/エッジ検出演算子が使われる。ある実施形態では、プレウィット・カーネルまたは一つまたは複数のプレウィット・カーネル特徴を含むカーネルが使われる。
【0088】
図7A~7Cは、影の開始および停止エッジを検出するために画像に適用されることのできる[1かけるN]画像処理カーネルおよび強度または他の関心値に関連する狭いノッチ影を検出するためのフィルタリングのような演算子の例である。図7A~7Cに示される演算子は、本発明のある実施形態では、影の開始線および停止線を見出すために、2D血管内画像から導出される1D投影に適用されることができる。一般に、検証は、2Dカーネルを用いて2D画像データの2D画像処理を使って実行されることができる。ある実施形態では、初期に、まず走査線に沿って投影が生成され、次いで、システムはカーネルのような2D演算子を使う代わりに1Dフィルタを演算子として使う。スピードの点で計算上の利点を与えるからである。
【0089】
例示的なカーネルとして、図7Aは、開始エッジ・フィルタ・カーネルのプロットを描いている。ある実施形態では、この開始エッジ・ファインダー・カーネルは、[1 1 0 -1 -1]の形のベクトルまたは行列であることができる。例示的なカーネルとして、図7Bは、停止エッジ・フィルタ・カーネルのプロットを描いている。影のエッジまたは影の他の部分もしくは特徴を検出またはフィルタリングするよう設計された他のカーネルおよび演算子が使用されることができる。エッジ検出は、影候補選択および影検出精度を増すための検証段階としての影除外(ガイドワイヤおよび分枝)後に実行されることができる。
【0090】
これらのカーネルまたは他の演算子は、影開始/停止線およびそれぞれの近/遠オフセットによって定義される強度画像中の諸領域(ROI)内において、極画像の諸走査線を通じるエッジを検出するために適用される。フィルタリング動作の出力は、(フィルタリングされた出力画像において)サンプル線に沿って投影される。結果として、フル2Dカーネルを必要とすることなく、平均する効果が達成され、計算時間を短縮する。ある実施形態では、2Dカーネルの代わりに、2D畳み込みにおいて1Dカーネルが使われる。ただし、本開示のいくつかの実施形態では、完全なカーネルが使われることができる。有効なエッジが存在するかどうかを判定するために、投影された信号は、ピークを求めて探索される。ROIの全範囲または部分集合が、初期の検証試行において使われる。少なくとも一つのエッジが検証に合格したら、影は有効であると考えられる。ある実施形態では、影開始走査線および影停止走査線を識別するよう影領域のエッジを探すために、一次元カーネルが使われる。走査線に沿って投影が生成され、次いで、エッジを識別するために、該投影に対して前記一次元エッジ検出演算子が適用される。
【0091】
評価するのが重要なもう一つのシナリオは、影が細い(走査線1~2本の幅)ときに生起する。これらの影は、ある実施形態では、ノッチ・フィルタ・カーネルを通じて同様に検証される。図7Cは、ノッチ・フィルタ・カーネル[1 1 -4 1 1]のプロットを示している。ノッチ・フィルタは事実上、(走査線1または2本の幅である)狭いまたは細い影を探し、それらの影がプロセスから無視または除外されないよう、それらの影を選択する。
【0092】
ある実施形態では、無効な影は二次検証段階を経る。第二の検証段階は、ROIをサンプル方向において等価なチャンクに分解する。次いで、先述した第一の検証技法が、今一度、各チャンクに適用される。単一のチャンクが検証に合格したら、その影は有効とラベル付けし直される。このようにして、影検出のためおよびステント検出のためのその後の処理のための本稿に記載される撮像処理段階によって、かすかな影が見逃されない。
【0093】
〈追加的な影洗練/検証〉
検証された影は、それぞれの影をフレーム上の他のすべての影と比較することによって、さらに区別される。重なり合う影は単一の影にマージされ、重複する影は除去される。前節で述べた検証に失格する影は、この洗練段階において無視される。本方法は、影が画像のまわりでラップする場合を考慮に入れる。
【0094】

詳細な説明のいくつかの部分は、アルゴリズムおよびコンピュータ・メモリ内のデータ・ビットに対する演算の記号表現を用いて提示されている。これらのアルゴリズム的な記述および表現は、コンピュータおよびソフトウェアに関係する分野の当業者によって使われることができる。ある実施形態では、アルゴリズムは、ここでは、また一般に、所望される結果につながる自己無矛盾な一連の動作であると考えられる。本稿に記載される方法段階としてまたは他の仕方で実行される動作は、物理量の物理的な操作を必要とするものである。必須ではないが通例、こうした量は記憶、転送、結合、変換、比較および他の仕方で操作されることのできる電気信号または磁気信号の形を取る。
【0095】
本稿に提示されるアルゴリズムおよび表示は、いかなる特定のコンピュータもしくは他の装置にも本来的に関係していない。さまざまな汎用システムが本稿における教示に基づくプログラムと一緒に使用されることができ、あるいは要求される方法ステップを実行するためにより特化した装置を構築することが便利であると判明することもありうる。こうした多様なシステムについての要求される構造は、以下の説明から明白である。
【0096】
本発明の実施形態は、多くの異なる形で実装されてもよく、そうした形には、決してこれに限られるものではないが、プロセッサ(たとえばマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサまたは汎用コンピュータ)と一緒に使うためのコンピュータ・プログラム論理、プログラム可能な論理デバイス(たとえばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のPLD)と一緒に使うためのプログラム可能論理、離散的なコンポーネント、集積回路(たとえば特定用途向け集積回路(ASIC))またはそれらの任意の組み合わせを含む他の任意の手段が含まれる。本発明の典型的な実施形態では、OCTプローブ、IVUSプローブおよび他の撮像および被験体モニタリング装置およびプロセッサ・ベースのシステムを使って収集されるデータの処理の一部または全部は、一組のコンピュータ・プログラム命令として実装され、それがコンピュータ実行可能形式に変換されて、コンピュータ可読媒体においてそのようにして記憶され、オペレーティング・システムの制御のもとでマイクロプロセッサによって実行される。このように、ユーザー・インターフェース命令ならびにプルバックの完了もしくは相互位置合わせ要求に基づくトリガーが、たとえば、OCTデータを生成し、上記のさまざまなおよび他の特徴および実施形態を使って画像処理を実行するために好適な、プロセッサが理解できる命令に変換される。
【0097】
本稿で先に述べた機能の全部または一部を実装するコンピュータ・プログラム論理は、さまざまな形で具現されうる。そうした形には、決してこれに限られるものではないが、ソースコード形式、コンピュータ実行可能形式およびさまざまな中間形式(たとえばアセンブラー、コンパイラー、リンカーまたはロケーターによって生成される形)が含まれる。ソースコードは、さまざまなオペレーティング・システムまたは動作環境とともに使うための、さまざまなプログラミング言語(たとえば、オブジェクトコード、アセンブリ言語または高水準言語、たとえばフォートラン、C、C++、JAVA(登録商標)またはHTML)の任意のもので実装される一連のコンピュータ・プログラム命令を含みうる。ソースコードは、さまざまなデータ構造および通信メッセージを定義し、使用してもよい。ソースコードは、(たとえばインタープリターを介して)コンピュータ実行可能な形式であってもよいし、あるいはソースコードは(たとえば翻訳機、アセンブラーまたはコンパイラーを介して)コンピュータ実行可能な形式に変換されてもよい。
【0098】
コンピュータ・プログラムは、恒久的にまたは一時的に、いかなる形(ソースコード形式、コンピュータ実行可能形式または中間形式)で有体な記憶媒体に固定されてもよい。有体な記憶媒体は、半導体メモリ・デバイス(たとえば、RAM、ROM、PROM、EEPROMまたはフラッシュ―プログラマブルRAM)、磁気メモリ・デバイス(たとえばディスケットまたは固定ディスク)、光メモリ・デバイス(たとえばCD-ROM)、PCカード(たとえばPCMCIAカード)または他のメモリ・デバイスといったものである。コンピュータ・プログラムは、さまざまな通信技術の任意のものを使ってコンピュータに伝送可能な信号の任意の形で固定されてもよい。そうした技術には、決してこれに限られるものではないが、アナログ技術、デジタル技術、光技術、無線技術(たとえばブルートゥース(登録商標))、ネットワーキング技術およびインターネットワーキング技術を含む。コンピュータ・プログラムは、付属の印刷されたまたは電子的なドキュメントと一緒に、リムーバブル記憶媒体として任意の形で頒布されてもよく(たとえばシュリンクラップされたソフトウェア)、コンピュータ・システムに(たとえばシステムROMまたは固定ディスクに)あらかじめロードされていてもよく、あるいはサーバーまたは電子掲示板から通信システム(たとえばインターネットまたはワールドワイドウェブ)を通じて配信されてもよい。
【0099】
本稿で先に述べた機能の全部または一部を実装するハードウェア論理(プログラム可能な論理デバイスと一緒に使うためのプログラム可能な論理を含む)は、伝統的な手作業の方法を使って設計されてもよく、あるいはコンピュータ援用設計(CAD)、ハードウェア記述言語(たとえばVHDLまたはAHDL)またはPLDプログラミング言語(たとえばPALASM、ABELまたはCUPL)のようなさまざまなツールを使って電子的に設計、捕捉、シミュレートまたは文書化されてもよい。
【0100】
プログラム可能論理は、恒久的にまたは一時的に、有体な記憶媒体に固定されてもよい。有体な記憶媒体は、半導体メモリ・デバイス(たとえば、RAM、ROM、PROM、EEPROMまたはフラッシュ―プログラマブルRAM)、磁気メモリ・デバイス(たとえばディスケットまたは固定ディスク)、光メモリ・デバイス(たとえばCD-ROM)または他のメモリ・デバイスといったものである。プログラム可能論理は、さまざまな通信技術の任意のものを使ってコンピュータに伝送可能な信号において固定されてもよい。そうした技術には、決してこれに限られるものではないが、アナログ技術、デジタル技術、光技術、無線技術(たとえばブルートゥース)、ネットワーキング技術およびインターネットワーキング技術を含む。プログラム可能論理は、付属の印刷されたまたは電子的なドキュメントと一緒に、リムーバブル記憶媒体として頒布されてもよく(たとえばシュリンクラップされたソフトウェア)、コンピュータ・システムに(たとえばシステムROMまたは固定ディスクに)あらかじめロードされていてもよく、あるいはサーバーまたは電子掲示板から通信システム(たとえばインターネットまたはワールドワイドウェブ)を通じて配信されてもよい。
【0101】
好適な処理モジュールのさまざまな例について、下記でより詳細に論じる。本稿での用法では、モジュールは、特定のデータ処理またはデータ伝送タスクを実行するのに好適なソフトウェア、ハードウェアまたはファームウェアをいう。ある実施形態では、モジュールは、命令またはさまざまな型のデータを受領、変換、ルーティングおよび処理するのに好適なソフトウェア・ルーチン、プログラムまたは他のメモリ常駐アプリケーションをいう。データはたとえば血管造影法データ、OCTデータ、FFRデータ、IVUSデータ、相互位置合わせテーブル・データ、ピーク、オフセット、線投影、走査線、極小、極大、影、ピクセル、強度パターンおよび本稿に記載される関心対象となる他の情報である。
【0102】
本稿に記載されるコンピュータおよびコンピュータ・システムは、データを取得、処理、記憶および/または通信することにおいて使用されるソフトウェア・アプリケーションを記憶するための、メモリのような動作上関連したコンピュータ可読媒体を含んでいてもよい。そのようなメモリは、その動作上関連するコンピュータまたはコンピュータ・システムに関して、内部、外部、リモートまたはローカルであることができることは理解できる。
【0103】
メモリは、ソフトウェアまたは他の命令を記憶するための任意の手段をも含んでいてもよく、たとえば、限定なしに、ハードディスク、光ディスク、フロッピーディスク、DVD(デジタル多用途ディスク)、CD(コンパクトディスク)、メモリースティック、フラッシュメモリ、ROM(読み出し専用メモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、DRAM(動的ランダムアクセスメモリ)、PROM(プログラム可能型ROM)、EEPROM(拡張消去可能PROM)および/または他の同様のコンピュータ可読媒体を含む。
【0104】
一般に、本稿に記載される本開示の実施形態に関連して適用されるコンピュータ可読メモリ媒体は、プログラム可能な装置によって実行される命令を記憶することのできる任意のメモリ媒体を含んでいてもよい。適用可能な場合には、本稿に記載される方法段階は、コンピュータ可読メモリ媒体またはメモリ・メディアに記憶された命令として具現または実行されてもよい。これらの命令は、C++、C、Javaおよび/または本発明の実施形態に基づく命令を生成するよう適用されうる多様な他の種類のソフトウェア・プログラミング言語のようなさまざまなプログラミング言語で具現されたソフトウェアであってもよい。
【0105】
本発明の側面、実施形態、特徴および例は、あらゆる観点で例示的と考えられ、本発明を限定することは意図されていない。本発明の範囲は、請求項によってのみ定義される。特許請求される発明の精神および範囲から外れることなく、他の実施形態、修正および使用が、当業者には明白であろう。
【0106】
本願における見出しおよびセクションの使用は、本発明を限定することは意図されていない。各セクションは、本発明の任意の側面、実施形態または特徴に適用できる。
【0107】
本願を通じて、構成物が特定のコンポーネントをもつ、含むまたは有すると記述される場合、あるいはプロセスが特定のプロセス段階をもつ、含むまたは有すると記述される場合、本願の教示の構成物が、本質的には記載されるコンポーネントから構成される、あるいは記載されるコンポーネントからなることも考えられ、本願の教示のプロセスが、本質的には記載されるプロセス段階から構成される、あるいは記載されるプロセス段階からなることも考えられる。
【0108】
本願において、要素またはコンポーネントが、記載される要素またはコンポーネントのリストに含まれるおよび/または該リストから選択されると述べられる場合、その要素またはコンポーネントは、記載される要素またはコンポーネントの任意の一つであることができ、あるいは記載される要素またはコンポーネントの二つ以上からなる群から選択されることができることを理解しておくべきである。さらに、本稿に記載される構成物、装置または方法の要素および/または特徴は、本願の教示の精神および範囲から外れることなく、本稿で明記されていようと暗黙的であろうと、多様な仕方で組み合わされることができることを理解しておくべきである。
【0109】
「含む」、「もつ」または「有する」という用語の使用は、そうでないことが明記されない限り、一般に、限定するものではない、オープンエンドとして理解されるべきである。
【0110】
本稿での単数形の使用は、そうでないことが明記されない限り、複数を含む(逆も成り立つ)。さらに、文脈が明確にそうでないことを指定するのでない限り、単数形は複数形を含む。さらに、「約」という用語の使用が定量的な値の前にある場合、そうでないことが明記されない限り、本願の教示はその特定の定量的な値自身をも含む。本稿での用法では、用語「約」は、公称値から±10%の変動を指す。
【0111】
段階の順序またはある種のアクションを実行するための順序は、本願の教示が機能できるままである限り、重要ではないことを理解しておくべきである。さらに、二つ以上の段階またはアクションが同時に実施されてもよい。
【0112】
値の範囲またはリストが与えられる場合、値のその範囲またはリストの上限と下限の間のそれぞれの途中の値が個々に考えられ、あたかもそれぞれの値が具体的に本稿で挙げられているかのように、本発明に包含される。さらに、所与の範囲の上限および下限を含む中間の、より小さな範囲が考えられており、本発明内に包含される。例示的な値または範囲のリストは、所与の範囲の上限および下限を含む中間の他の値または範囲を放棄するものではない。
【0113】
いくつかの態様を記載しておく。
〔態様1〕
血管内画像において影を検出する方法であって:
血管内診断システムを使って、一つまたは複数の血管内データセットを記憶する段階であって、各血管内データセットは複数の走査線を含む、段階と;
複数の線投影を走査線ごとに決定する段階であって、各線投影は、近組織オフセットおよび遠組織オフセットを使って決定される、段階と;
前記線投影を使って組織強度の局所的推定値を決定する段階と;
諸走査線を通じて変化する局所適応的な閾値を決定する段階と;
強度の前記局所的推定値が前記局所適応的な閾値を下回る連続する諸走査線のグループ化を使って、前記血管内データセットにおける関心特徴を表わす影を識別する段階とを含む、
方法。
〔態様2〕
前記複数の走査線についての複数の近オフセットを決定し;
前記複数の走査線についての複数の遠オフセットを決定することをさらに含む、
態様1記載の方法。
〔態様3〕
前記線投影内の極小の存在に基づいて候補影を識別する段階をさらに含み、該極小の強度は、前記複数の走査線のうちのある走査線のいずれかの側の近傍内に見出される一つまたは複数の最大強度の所与の割合未満である、
態様1記載の方法。
〔態様4〕
影領域のエッジを示す傾きの変化を識別するために、各走査線のまわりの探索窓に対して複数の傾き値を推定する段階をさらに含む、態様1記載の方法。
〔態様5〕
検出されたエッジに関して一つまたは複数の影検証方法を実行する段階をさらに含む、態様4記載の方法。
〔態様6〕
組織強度の前記局所的推定値は、走査線ごとに生成された平滑化された投影である、態様1記載の方法。
〔態様7〕
前記平滑化された投影に沿って一つまたは複数の相対的な極値を探索し、前記一つまたは複数の相対的な極値を使って、シグネチャーに基づいて影を識別することを含む、態様6記載の方法。
〔態様8〕
前記シグネチャーは、二つのピークの間に配置される谷である、態様7記載の方法。
〔態様9〕
影を識別する段階は、
一つまたは複数の線投影内で影領域の探索を実行することを含む、
態様1記載の方法。
〔態様10〕
識別された影を検証する段階をさらに含む、態様1記載の方法。
〔態様11〕
影を検証することがさらに、カーネルを用いて一つまたは複数のエッジを検出することを含む、態様10記載の方法。
〔態様12〕
前記一つまたは複数の検証された影に関連する一つまたは複数のオブジェクトを血管の表現において表示する段階をさらに含む、態様10記載の方法。
〔態様13〕
局所適応的な閾値より下の線投影について影を識別することをさらに含む、態様1記載の方法。
〔態様14〕
局所平均組織値を使って走査線毎に局所適応的な閾値(LAT)を生成することをさらに含む、態様13記載の方法。
〔態様15〕
当該方法の一つまたは複数の段階が、一つまたは複数の血管内データセットを受領するための入力と、前記一つまたは複数の血管内データセットを記憶するための一つまたは複数の電子的メモリ・デバイスと、前記入力および前記一つまたは複数のメモリ・デバイスと電気通信する一つまたは複数のコンピューティング装置と、当該方法の一つまたは複数の段階を実行するために前記一つまたは複数のコンピューティング装置によって実行可能な命令、画像フィルタおよび画像処理ソフトウェア・モジュールとを有する診断システムを使って実装される、態様1記載の方法。
〔態様16〕
血管内画像における影を検出する方法であって:
血管内診断システムを使って、一つまたは複数の血管内データセットを記憶する段階であって、各血管内データセットは複数の走査線を含む、段階と;
前記複数の走査線について第一のオフセットおよび第二のオフセットを決定する段階と;
前記第一のオフセットと前記第二のオフセットの間の諸サンプルを平均することによって各走査線についての線投影を決定する段階と;
それらの線投影内で影領域の探索を実行する段階と;
識別された影を検証する段階と;
前記一つまたは複数の検証された影に関連する一つまたは複数のオブジェクトを血管の表現において表示する段階とを含む、
方法。
〔態様17〕
前記血管内診断システムは、光干渉断層撮影法システムである、態様16記載の方法。
〔態様18〕
局所平均組織値を使って走査線毎にLATを生成することをさらに含む、態様16記載の方法。
〔態様19〕
前記LATより低い線投影について影を識別することをさらに含む、態様18記載の方法。
〔態様20〕
追加的な候補影を識別するために極小探索を実行する段階をさらに含む、態様16記載の方法。
〔態様21〕
線投影の測定された傾き値を使って、影の境となる一つまたは複数の走査線に対するエッジ洗練を実行する段階をさらに含む、態様16記載の方法。
〔態様22〕
当該方法の一つまたは複数の段階が、一つまたは複数の血管内データセットを受領するための入力と、前記一つまたは複数の血管内データセットを記憶するための一つまたは複数の電子的メモリ・デバイスと、前記入力および前記一つまたは複数のメモリ・デバイスと電気通信する一つまたは複数のコンピューティング装置と、当該方法の一つまたは複数の段階を実行するために前記一つまたは複数のコンピューティング装置によって実行可能な命令、画像フィルタおよび画像処理ソフトウェア・モジュールとを有する診断システムを使って実装される、態様16記載の方法。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C