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▶ アルブミディクス リミティドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】組換え酵母由来血清アルブミンの使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/071 20100101AFI20230323BHJP
   C12N 5/00 20060101ALI20230323BHJP
   C12N 1/04 20060101ALI20230323BHJP
   C07K 14/76 20060101ALN20230323BHJP
【FI】
C12N5/071 ZNA
C12N5/00
C12N1/04
C07K14/76
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021128733
(22)【出願日】2021-08-05
(62)【分割の表示】P 2019518063の分割
【原出願日】2017-10-04
(65)【公開番号】P2021176336
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2021-09-03
(31)【優先権主張番号】16192276.0
(32)【優先日】2016-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518220970
【氏名又は名称】アルブミディクス リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】イーバ バルスリウ ヤアアンスン
【審査官】小金井 悟
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-517776(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0149873(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00- 7/08
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物細胞の保存のための方法であって、前記方法が、
(i)前記哺乳動物細胞を凍結保存培地と組み合わせて混合物を生成し、前記混合物を凍結して凍結哺乳動物細胞生成物を生成すること、
(ii)前記哺乳動物細胞を凍結保存培地と組み合わせて混合物を生成し、前記混合物を凍結して凍結哺乳動物細胞生成物を生成し、前記凍結哺乳動物細胞生成物を解凍し、前記解凍された細胞を保存培地に移し、細胞を前記保存培地中で保存すること、又は、
(iii)予め凍結保存培地中で凍結され、解凍され、保存培地中に移された前記哺乳動物細胞を、前記保存培地中で保存すること
を含むと共に、
前記凍結保存培地及び/又は前記保存培地が、組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含むと共に、幹細胞培養増殖培地ではなく、凍結哺乳動物細胞生成物を製造するために冷凍される混合物が、幹細胞培養増殖培地を含まない、方法。
【請求項2】
前記細胞がヒト細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記細胞が幹細胞又はリンパ球である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
哺乳動物細胞を凍結保存するための凍結保存培地であって、
(i)前記凍結保存培地が組換え酵母由来血清アルブミン調製物及び凍結保存剤を含むと共に、前記凍結保存培地が幹細胞培養増殖培地ではないか、又は、前記凍結保存培地が組換え酵母由来血清アルブミン調製物及び凍結保存剤を含むと共に、請求項1~3の何れか一項に記載の凍結保存培地である、或いは、
(ii)前記凍結保存培地が、前記(i)記載の凍結保存培地であって、更に哺乳動物細胞を含む、或いは、
(iii)前記凍結保存培地が、前記(ii)記載の哺乳動物細胞を含有する凍結保存培地であって、凍結されてなるか、又は、前記(ii)記載の哺乳動物細胞を含有する凍結保存培地であって、凍結後に解凍されてなる、凍結保存培地。
【請求項5】
凍結保存培地中で凍結された後、解凍された哺乳動物細胞を移送して保存するための保存培地であって、
(i)前記保存培地が組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含むと共に、幹細胞培養増殖培地ではないか、又は、前記保存培地が請求項1又は2に記載の保存培地であると共に、幹細胞培養増殖培地ではない、或いは、
(ii)前記保存培地、前記(i)記載の保存培地であって、更に哺乳動物細胞を含む、或いは、
(iii)前記保存培地が、前記(ii)記載の保存培地であって、前記細胞が凍結保存培地中で凍結され、解凍された後、前記保存培地に移送された細胞である、或いは、
(iv)前記保存培地が、前記(iii)記載の保存培地であって、前記凍結保存培地が、請求項4に記載の凍結保存培地である、保存培地。
【請求項6】
前記細胞がヒト細胞である、請求項4の凍結保存培地、又は、請求項5の保存培地。
【請求項7】
前記細胞が幹細胞又はリンパ球である、請求項4若しくは6の凍結保存培地、又は、請求項5若しくは6の保存培地。
【請求項8】
請求項4、6、又は7の凍結保存培地の使用であって、
(i)哺乳動物細胞の保存のための、或いは、
(ii)2~8℃で24時間超、24時間超且つ8時間以内、24時間超且つ2時間以内、又は72時間以上に亘って保存された後、生存状態にある哺乳動物細胞の保存のための、或いは、
(iii)前記(i)又は(ii)記載の哺乳動物細胞の保存であって、保存期間の終期における前記哺乳動物細胞の生存率が、5%超、10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、86%超、87%超、88%超、89%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、又は95%超である哺乳動物細胞の保存のための、
凍結保存培地の使用。
【請求項9】
請求項5、6、又は7の保存培地の使用であって、
(i)前記保存培地中で哺乳動物細胞を保存することによる、哺乳動物細胞の保存のための、或いは、
(ii)前記保存培地中で哺乳動物細胞を保存することによる、哺乳動物細胞の保存であって、前記細胞が凍結保存培地中で凍結され、解凍された後、前記保存培地に移送された細胞である、哺乳動物細胞の保存のための、或いは、
(iii)前記(ii)に記載の哺乳動物細胞の保存であって、前記凍結保存培地が請求項3の凍結保存培地である、哺乳動物細胞の保存のための、或いは、
(iv)前記保存培地中で哺乳動物細胞を保存することによる、哺乳動物細胞の保存であって、前記細胞が凍結保存培地と混合され、生理学的ショックに暴露された後、前記保存培地に移送された細胞である、哺乳動物細胞の保存のための、或いは、
(v)前記(iv)に記載の哺乳動物細胞の保存であって、前記凍結保存培地が請求項3の凍結保存培地である、哺乳動物細胞の保存のための、保存培地の使用。
【請求項10】
前記細胞がヒト細胞である、請求項8又は9の使用。
【請求項11】
前記細胞が幹細胞又はリンパ球である、請求項8、9、又は10の使用。
【請求項12】
組換え酵母由来血清アルブミンの使用であって、
(i)生理学的ショックに暴露された哺乳動物細胞の生存率の改善のための、或いは、
(ii)前記(i)に記載の、生理学的ショックに暴露された哺乳動物細胞の生存率の改善であって、前記改善が、同じ濃度における血漿由来血清アルブミンの使用と比較した場合の改善である、哺乳動物細胞の生存率の改善のための、或いは、
(iii)前記(i)又は(ii)に記載の、生理学的ショックに暴露された哺乳動物細胞の生存率の改善であって、前記改善が、前記生理学的ショック後の細胞を保存培地中で2~8℃で24時間超、24時間超且つ8時間以内、24時間超且つ2時間以内、又は72時間以上の期間に亘って保存した場合に観察される改善である、哺乳動物細胞の生存率の改善のための、或いは、
(iv)前記(i)、(ii)、又は(iii)の何れかに記載の、生理学的ショックに暴露された哺乳動物細胞の生存率の改善であって、前記組換え酵母由来血清アルブミンの使用が、前記組換え酵母由来血清アルブミンを含む凍結保存培地を調製して前記生理学的ショック前の哺乳動物細胞と混合することにより行われる、哺乳動物細胞の生存率の改善のための、或いは、
(v)前記(iv)に記載の、生理学的ショックに暴露された哺乳動物細胞の生存率の改善であって、前記凍結保存培地が請求項4、6、又は7に記載の凍結保存培地である、哺乳動物細胞の生存率の改善のための、或いは、
(vi)前記(i)~(v)の何れかに記載の、生理学的ショックに暴露された哺乳動物細胞の生存率の改善であって、前記組換え酵母由来血清アルブミンの使用が、前記組換え酵母由来血清アルブミンを含む保存培地を調製して、前記生理学的ショックを受けた後の細胞と混合することにより行われる、哺乳動物細胞の生存率の改善のための、或いは、
(vii)前記(vi)に記載の、生理学的ショックに暴露された哺乳動物細胞の生存率の改善であって、前記保存培地が請求項5、6、又は7に記載の保存培地である、哺乳動物細胞の生存率の改善のための、
組換え酵母由来血清アルブミンの使用。
【請求項13】
前記細胞がヒト細胞である、請求項12の使用。
【請求項14】
前記細胞が幹細胞又はリンパ球である、請求項12又は13の使用。
【請求項15】
前記生理学的ショックが、前記細胞にアポトーシスを生じさせる、前記細胞の環境の物理的及び/又は化学的変化を含む、請求項12、13、又は14の使用。
【請求項16】
前記生理学的ショックが、ヒートショック、コールドショック、浸透圧ショック、栄養欠乏、毒性化合物への暴露、代謝物への暴露及び/又は代謝物の枯渇、酵素への曝露及び/又は酵素の枯渇、化学的ショック、pHショック、有機溶液への暴露、せん断力への曝露、表面曝露及び/又は表面曝露の喪失、及び/又は、凍結保存中における1又は2以上の凍結及び/又は解凍工程に起因する生理学的ショックなどの他のショックを含む、請求項12~15の何れか一項の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表への参照
本出願は、コンピュータ可読形式の配列表を含み、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、生理学的ショックの下流の効果から細胞を保護するための方法および使用、ならびにそれに有用な組換え酵母由来血清アルブミンを含む組成物に関する。具体的には、本発明は、具体的には、凍結および解凍後、ならびに解凍後の保存中の凍結保存幹細胞の生存率を延長するための、生存可能な形態の幹細胞の保存に関する。
【背景技術】
【0003】
幹細胞は、長年にわたり臨床背景で使用されてきた。造血幹細胞は、血液疾患と非血液疾患の両方の治療に使用されているが、より最近では骨髄由来の間葉系幹細胞が実験室および初期の臨床試験の両方の対象となっている。これらの細胞は、多能性と拡大の可能性の両方を示す。ヒト胚性幹細胞は、多能性細胞であり、3つすべての胚葉から細胞に分化する能力を保持する安定な細胞株を形成することができる。これは、それらを再生医療と毒物学の両方において特別な意味を持たせる。誘発多能性幹(iPS)細胞もまた、胚性幹細胞を取り巻くいくつかの交絡する倫理的問題なしに、同様の有用性の広さを提供し得る。
【0004】
幹細胞の商業的および臨床的応用に必須の前提条件は、長期保存のための適切な凍結保存プロトコルである。
【0005】
この日常的な手順は、一般に、細胞内氷形成の有害な影響を回避するために、抗凍結剤の存在下での徐冷を含む。ジメチルスルホキシド(DMSO)は、一般的な抗凍結剤である。
【0006】
現在の凍結保存プロトコルは臨床的に有効であるが、それらが最適であるかどうかに関しては依然として疑問が残る。DMSOは組織および細胞に対して毒性があることが知られており、毒性は、時間、温度、および濃度に依存する。毒性は細胞の種類によって異なり、認められている方法は、実用的であると考えられるのと同じくらい短い期間、低温保護(+4℃)で抗凍結剤を導入している。
【0007】
細胞の解凍後、DMSOを含まない培地に解凍された細胞を移すために、例えば、Rubenstein et al.,1995,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,92:10119-10122によって最初に開発されたものに基づいて、洗浄手順が一般に使用される。
【0008】
しかしながら、凍結保存された幹細胞を解凍し、新鮮な(理想的にはDMSOを含まない)培地に移した後、幹細胞が生存し、その後の使用に適した非常に限られた期間(典型的には24時間以下)がある。
【0009】
したがって、本発明の目的は、凍結後の幹細胞の長期保存能力を向上させ、生存性、同一性、および多能性を損なうことなく凍結中および凍結後の臨床グレードの幹細胞の安定性を向上させることである。
【発明の概要】
【0010】
本出願者は、驚くべきことに、組換え酵母由来血清アルブミン調製物が、生理学的ショックの下流の影響から細胞を保護するのに(例えば、血漿由来血清アルブミンと比較して)特に有効であることを見出した。すなわち、Albumedix Ltd.から入手可能なAlbIX(登録商標)、Recombumin(登録商標)アルファ、およびRecombumin(登録商標)プライム生成物などの組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、例えば、凍結保存で使用される凍結/解凍ステップのような生理学的ショック後に細胞(幹細胞など)が初期から後期アポトーシス状態へ移行するのを防ぐための血漿由来血清アルブミン調製物などの他の形態のアルブミン調製物と比較して特に有効である。
【0011】
その結果、Albumedix Ltd.から入手可能なAlbIX(登録商標)、Recombumin(登録商標)アルファ、およびRecombumin(登録商標)プライム生成物などの組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、凍結保存に使用され、使用前に保存される凍結/解凍ステップを受けた幹細胞の生存期間を実質的に延長するために、凍結保存培地および/または保存培地に特に有効であることが本出願者により実証されている。以前に凍結保存された幹細胞を解凍後に保存中に維持し、生存可能な状態に維持することができる期間の延長は、重要な改善およびさらなる柔軟性を提供する。
【0012】
具体的には、凍結後の安定性を高めることによって、組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、保存および輸送の課題を解決し、幹細胞療法の使用における臨床医および患者に柔軟性を付加することができる。
【0013】
したがって、本発明の第1の態様は、幹細胞の保存方法を提供し、本方法は、幹細胞を凍結保存培地と組み合わせて、混合物を生成するステップと、混合物を凍結して、凍結幹細胞生成物を生成するステップと、を含み、
任意に、本方法は、凍結幹細胞生成物を解凍するステップと、解凍された細胞を保存培地に移すステップと、幹細胞を保存培地中に保存するステップと、をさらに含み、
凍結保存培地および/または保存培地は、組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む。
【0014】
本発明の第1の態様はまた、幹細胞の保存方法も提供し、本方法は、幹細胞を保存培地中に保存することを含み、
幹細胞は、凍結保存培地中で凍結され、解凍され、次いで保存前に保存培地に移されており、
凍結保存培地および/または保存培地は、組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む。
【0015】
好ましくは、本発明の第1の態様の方法は、幹細胞を凍結保存培地中で凍結して、凍結幹細胞生成物を生成するステップと、凍結幹細胞生成物を解凍するステップと、解凍された細胞を保存培地に移すステップと、幹細胞を保存培地中に保存するステップと、を含み、凍結保存培地および/または保存培地は、組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む。
【0016】
組換え酵母由来血清アルブミン調製物が、幹細胞と混合したときに、本発明の第1の態様によれば、凍結保存培地および/または保存培地中に、約0.01%(w/v)超および10%(w/v)未満、約9%(w/v)未満、約8%(w/v)未満、約7%(w/v)未満、または約6%(w/v)未満、例えば約0.1%(w/v)~約5%(w/v)、好ましくは約1%(w/v)、約2%(w/v)、約3(w/v)、または約4%(w/v)の濃度である組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質を提供するのに好適な量で存在することが好ましくあり得る。この文脈における「約」という用語は、記述された値の±50%、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、または1%の意味を含むことができ、例えば、記述された値の10%(w/v)±10%は、9~11%(w/v)である。
【0017】
組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、好ましくは凍結保存培地中に存在し得、保存培地中にも存在する。
【0018】
任意に、本発明の第1の態様の好ましい実施形態において、幹細胞は、約2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、または8℃などの2~8℃の温度で保存培地中に保存される。この文脈で使用される「約」という用語は、±0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1℃の意味を含むことができる。
【0019】
例えば、幹細胞は、24時間を超える期間(例えば、少なくとも、または約、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47)、最大約48時間など、例えば、最大約72時間(例えば、少なくとも、または、約49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、もしくは72時間)、もしくはそれ以上(例えば、最大3、4、5、6、もしくは7日)保存培地中に保存され得、任意に、幹細胞は、24時間を超える期間、最大約48時間など、例えば、最大約72時間、もしくはそれ以上、2~8℃の温度で保存され、保存期間の終了時の幹細胞の生存率は、5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、55%超、60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、86%超、87%超、88%超、89%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、もしくはより高い値を超え、例えば、約60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、86%超、87%超、88%超、89%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、もしくはより高い値を超える。期間の文脈で使用される「約」という用語は、記述した値の±50%、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、または1%の意味を含むことができる。任意に、保存温度は、約2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、または8℃である。この文脈で使用される「約」という用語は、±0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1℃の意味を含むことができる。
【0020】
好ましくは、本発明の第1の態様によれば、凍結保存培地および/または保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、以下の特性:
(a)0.5%(w/w)未満、好ましくは0.4%、0.3%、0.2%、もしくは0.15%未満が、コンカナバリンAへ結合すること、および/または
(b)0.6モルのヘキソース/タンパク質1モル未満、好ましくは0.10、0.075、もしくは0.05モルのヘキソース/タンパク質1モル未満の糖化レベル、のうちの1つ以上を示す。
【0021】
本発明の第1の態様に従って使用される凍結保存培地および/または保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、
(a)少なくとも約95%、96%、97%、98%、より好ましくは少なくとも約99.5%の単量体および二量体、好ましくは本質的に100%の単量体および二量体であり得(この文脈において使用される場合、「約」という用語は、±1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.3%、0.1%、またはそれ以下の意味を含むことができ)、
(b)少なくとも約93%、94%、95%、96%、もしくは97%の単量体であり得(この文脈で使用される場合、「約」という用語は、±1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.3%、0.1%、またはそれ以下の意味を含むことができ)、および/または
(c)約1.0%(w/w)、0.1%(w/w)、もしくは0.01%(w/w)以下、好ましくはそれ未満のアルブミンポリマー含有量を有し得る。この文脈に使用される場合、「約」という用語は、記述した値の±50%、40%、30%、20%、10%、5%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.3%、0.1%、またはそれ以下の意味を含むことができ、例えば、1.0%(w/v)±50%は、0.5~1.5%(w/v)の範囲である。この文脈に使用されるように、組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質に適用される「ポリマー」という用語は、単量体および二量体形態とは異なる。
【0022】
任意に、本発明の第1の態様による凍結保存培地および/または保存培地の形成に使用される組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、酵母由来血清アルブミンタンパク質、カチオン(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、好ましくはナトリウムなど)、および平衡アニオン(塩化物、リン酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、または酢酸塩、好ましくは塩化物またはリン酸塩など)、水、ならびに任意にオクタン酸塩およびポリソルベート80を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり得る。
【0023】
任意に、本発明の第1の態様に従って凍結保存培地および/または保存培地の形成に使用される組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、18mM、16mM、15mM、14mM、12mM、10mM、8mM、6mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM、0.5mM、0.4mM、0.3mM、0.2mM、0.1mM、0.01mM、0.001mM未満のオクタノエートを含むか、オクタノエートを実質的に含まないか、またはオクタノエートを含まない。
【0024】
さらに任意に、本発明の第1の態様に従って使用され、組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む凍結保存培地および/または保存培地は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、18mM、16mM、15mM、14mM、12mM、10mM、8mM、6mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM、0.5mM、0.4mM、0.3mM、0.2mM、0.1mM、0.01mM、0.001mM未満のオクタノエートを含むか、オクタノエートを実質的に含まないか、またはオクタノエートを含まない。
【0025】
任意に、本発明の第1の態様に従って凍結保存培地および/または保存培地の形成に使用される組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、15mM、10mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM以下の全脂肪酸含有量を有し得るか、実質的に脂肪酸を含まないか、または脂肪酸を含まない。
【0026】
さらに任意に、本発明の第1の態様に従って使用され、組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む凍結保存培地および/または保存培地は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、15mM、10mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM以下の全脂肪酸含有量を有するか、実質的に脂肪酸を含まないか、または脂肪酸を含まない。
【0027】
任意に、本発明の第1の態様に従って凍結保存培地および/または保存培地の形成に使用される組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、200mg.L-1、150mg.L-1、100mg.L-1、90mg.L-1、80mg.L-1、70mg.L-1、60mg.L-1、50mg.L-1、40mg.L-1、30mg.L-1、20mg.L-1、15mg.L-1、10mg.L-1、5mg.L-1、4mg.L-1、3mg.L-1、2mg.L-1、1mg.L-1、0.5mg.L-1、0.1mg.L-1、0.01mg.L-1、0.001mg.L-1未満の濃度で、ポリソルベート(好ましくはポリソルベート80)などの洗剤を含んでもよいか、洗剤を実質的に含まないか、または洗剤を含まない。
【0028】
さらに任意に、本発明の第1の態様に従って使用され、組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む凍結保存培地および/または保存培地は、200mg.L-1、150mg.L-1、100mg.L-1、90mg.L-1、80mg.L-1、70mg.L-1、60mg.L-1、50mg.L-1、40mg.L-1、30mg.L-1、20mg.L-1、15mg.L-1、10mg.L-1、5mg.L-1、4mg.L-1、3mg.L-1、2mg.L-1、1mg.L-1、0.5mg.L-1、0.1mg.L-1、0.01mg.L-1、0.001mg.L-1未満の濃度で、ポリソルベート(好ましくはポリソルベート80)などの洗剤を含むか、ポリソルベート(好ましくはポリソルベート80)などの洗剤を実質的に含まないか、または洗剤を含まない(好ましくはポリソルベート80を含まない)。
【0029】
任意に、本発明の第1の態様に従って凍結保存培地および/または保存培地の形成に使用される組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、15mM、10mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM、0.5mM、0.1mM、0.01mM、0.005mM、0.001mM未満の全遊離アミノ酸レベルおよび/もしくはN-アセチルトリプトファンレベルを含み得るか、具体的には、遊離アミノ酸および/もしくはN-アセチルトリプトファンを実質的に含まないか、または具体的には、遊離アミノ酸および/もしくはN-アセチルトリプトファンを含まない。
【0030】
さらに任意に、本発明の第1の態様に従って使用され、組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む凍結保存培地および/または保存培地は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、15mM、10mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM、0.5mM、0.1mM、0.01mM、0.005mM、0.001mM未満の全遊離アミノ酸レベルおよび/もしくはN-アセチルトリプトファンレベルを含むか、具体的には、遊離アミノ酸および/もしくはN-アセチルトリプトファンを実質的に含まないか、または具体的には、遊離アミノ酸および/もしくはN-アセチルトリプトファンを含まない。
【0031】
1つの好ましい実施形態において、本発明の第1の態様に従って凍結保存培地および/または保存培地の形成に使用される組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、オクタノエート、具体的には、遊離アミノ酸および/またはN-アセチルトリプトファン、ならびに洗剤(ポリソルベート80など)のすべてを実質的に含まなくても、完全に含まなくてもよい。
【0032】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の第1の態様に従って使用され、組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む凍結保存培地および/または保存培地は、オクタノエート、具体的には、遊離アミノ酸および/またはN-アセチルトリプトファン、ならびに洗剤(ポリソルベート80など)のすべてを実質的に含まないか、または完全に含まない。
【0033】
さらに好ましい実施形態において、本発明の第1の態様に従って凍結保存培地および/または保存培地の形成に使用される組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、Recombumin(登録商標)プライム、もしくはそれに類似の調製物、Recombumin(登録商標)アルファ、もしくはそれに類似の調製物、またはAlbIX(登録商標)、もしくはそれに類似の調製物、から選択され得る。
【0034】
典型的には、本発明の第1の態様に従って凍結保存培地および/または保存培地の形成に使用される組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、ヘム、プレカリクレイン活性化因子、発熱物質、C型肝炎、および/またはヒトウイルスから選択される1つ以上の、そのようなすべての成分を含まない。さらに、典型的には、本発明の第1の態様に従って凍結保存培地および/または保存培地の形成に使用される組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、200μg.L-1未満、例えば、180μg.L-1、160μg.L-1、140μg.L-1、120μg.L-1、100μg.L-1、90μg.L-1,80μg.L-1、70μg.L-1、60μg.L-1、50μg.L-1、または40μg.L-1未満、より典型的には、約10μg.L-1~約30μg.L-1の範囲内のアルミニウム濃度を有する。この文脈で使用されるように、「約」という用語は、記述された値の±10μg.L-1、5μg.L-1、4μg.L-1、3μg.L-1、2μg.L-1、1μg.L-1、0.5μg.L-1、0.1μg.L-1、またはそれ以下の意味を含み得る。
【0035】
さらに典型的には、本発明の第1の態様に従って使用され、組換え酵母由来の血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む凍結保存培地および/または保存培地は、ヘム、プレカリクレイン活性化因子、発熱物質、C型肝炎、および/またはヒトウイルスから選択される1つ以上の、そのようなすべての成分を含まない。凍結保存培地および/または保存培地は、さらにまたは代替的に、200μg.L-1未満、例えば、180μg.L-1、160μg.L-1、140μg.L-1、120μg.L-1、100μg.L-1、90μg.L-1,80μg.L-1、70μg.L-1、60μg.L-1、50μg.L-1、または40μg.L-1未満、より典型的には、約10μg.L-1~約30μg.L-1の範囲内のアルミニウム濃度を有し得る。この文脈で使用されるように、「約」という用語は、記述された値の±10μg.L-1、5μg.L-1、4μg.L-1、3μg.L-1、2μg.L-1、1μg.L-1、0.5μg.L-1、0.1μg.L-1、またはそれ以下の意味を含み得る。
【0036】
さらに典型的には、本発明の第1の態様(または本発明の任意の他の態様)に従って使用され、組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む凍結保存培地および/または保存培地は、トレハロース、ヒドロキシエチルデンプン、もしくはそれらの組み合わせを含む群から選択されるエネルギー基質を含まないか、または本質的に含まず、ならびに/またはL-グルタミン、ポリ-L-リジン、およびエクトインの組み合わせであり得る老化防止剤を含まないか、または実質的に含まない。これに関連して、エネルギー基質を「本質的に含まない」とは、約0.25%v/v未満、例えば、0.1%v/v未満、0.01%v/v未満、0.001%v/v未満、または0%v/vの意味を含む。老化防止剤を「本質的に含まない」とは、約0.0005%v/v未満、例えば、5×10-5%v/v未満、5×10-6%v/v未満、5×10-7%v/v未満、または0%v/vの意味を含む。
【0037】
典型的には、本発明の第1の態様に従って凍結保存培地および/または保存培地の形成に使用される組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、無傷または実質的に無傷のN末端配列を有する。
【0038】
典型的には、本発明の第1の態様に従って凍結保存培地および/または保存培地の形成に使用される組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、約62%超、例えば、少なくとも約69%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、約96%、約97%である遊離チオール基含有量を有するアルブミンタンパク質を含む。この文脈で使用されるように、「約」という用語は、記述した値の±50%、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ以下の意味を含み得、例えば、80%±10%は、72~88%の範囲を指す。
【0039】
典型的には、本発明の第1の態様に従って凍結保存培地および/または保存培地の形成に使用される組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって試験したとき、14分未満および19分を超えるピーク保持時間を有するピークを除外し、より好ましくは、14分または15分未満および18分を超えるピーク保持時間を有するピークを除外する、SECプロファイルを示すアルブミンタンパク質を含む。
【0040】
典型的には、本発明の第1の態様に従って凍結保存培地および/または保存培地の形成に使用される組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)により試験したとき、天然単量体形態のアルブミンに対応する単一の主要ピークを示すアルブミンタンパク質を含む。
【0041】
典型的には、本発明の第1の態様に従って凍結保存培地および/または保存培地の形成に使用される組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、質量分析法によって試験したとき、1タンパク質当たり約13、約12、約11、約10、約9、約8、約7、約6未満、例えば、約1~約11、1~約8、または1~約5、1~約4、1~約3、1~約2、約1、または1未満のヘキソース修飾リジンおよび/またはアルギニン残基を示す生成物であるアルブミンタンパク質を含む。この文脈で使用されるように、「約」という用語は、1タンパク質当たり±5、4、3、2、または1のヘキソース修飾リジンおよび/またはアルギニン残基の意味を含み得る。
【0042】
典型的には、本発明の第1の態様に従って凍結保存培地および/または保存培地の形成に使用される組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、植物特異的糖で糖化されないアルブミンタンパク質、例えば、α-1,3-フコースおよび/またはβ-1,2-キシロースを含む。
【0043】
誤解を避けるために、本発明の第1の態様(および他のすべての態様)に従って凍結保存培地および/または保存培地の形成に使用される組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびにそれによって生成される、凍結保存培地および/または保存培地などの培地は、植物性タンパク質加水分解物を本質的に含まないか、または含まないであろう。
【0044】
「植物タンパク質加水分解物」という用語は、アミノ酸または/およびペプチドを含有する物質が植物タンパク質の加水分解によって調製される、アミノ酸または/およびペプチドを含有する物質を指す。植物タンパク質加水分解物は、特定の酵素を用いた植物タンパク質の加水分解などによって調製され得るが、これらに限定されない。その例は、タバコ、米、または豆タンパク質加水分解物であり得る。植物タンパク質加水分解物は、酵素などを用いた植物タンパク質の直接加水分解の生成物、または市販の植物タンパク質加水分解物であり得る。さらなる例は、加水分解豆タンパク質、およびSheffieldによって製造されるULTRAPEP SOYまたはULTRAPEP YEである。
【0045】
この文脈における「本質的に含まない」という用語は、本発明の第1の態様(およびすべての他の態様)に従って凍結保存培地および/または保存培地の形成に使用される組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに培地、例えば、それによって製造された凍結保存培地および/または保存培地は、全組成物の100重量部に基づいて、1重量部未満~50重量部、好ましくは1重量部未満~100重量部、より好ましくは1重量部未満~1000重量部、および最も典型的には、ゼロ植物性タンパク質加水分解物のレベルで植物性タンパク質加水分解物またはその成分を含有することを意味する。
【0046】
植物性タンパク質加水分解物は、細胞の基本的なエネルギー源として使用することができる必須アミノ酸または/および非必須アミノ酸を含み、したがって細胞に栄養素を提供し、凍結および解凍時にそれらの活性を増加させる。理論に拘束されることなく、本出願者は、本発明に使用するための凍結保存培地および保存培地中にそのような成分の不在が、保存中に静止状態の形態で細胞を保持し、後期アポトーシスに進行する細胞の能力を低下させるので、解凍後に幹細胞の生存率を維持する本発明の能力に寄与すると考える。さらに、本発明で使用される組換え酵母由来血清アルブミン生成物中の高純度のアルブミンタンパク質(他の供給源からのアルブミン調製物中に使用されるより低い純度と比較して)が、より純粋でない調製物中に存在し、これが保存中の細胞における変化を最小限に抑えることにさらに寄与し得る要因によって生じる「ノイズ」をシグナリングすることから幹細胞を遮蔽するための寄与因子であると考えられる。
【0047】
任意に、本発明の第1の態様に従って使用するための凍結保存培地は、組換え血清アルブミン調製物および別個の凍結保存剤を含む。さらに任意に、凍結保存培地は、組換え酵母由来血清アルブミン調製物の水溶液、凍結保存剤、およびイオン性緩衝液を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。好ましくは、イオン性緩衝液は、電解質の水溶液を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、例えば、電解質は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、塩化物イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、および/またはグルコン酸イオンからなる群から選択され、より好ましくは、イオン性緩衝液は、ヒトの生理学的血漿の電解質濃度、浸透圧、および/またはpHを模倣する電解質濃度、浸透圧、および/またはpHを有する。例えば、イオン性緩衝液は、100mL当たり約526mgの塩化ナトリウム、USP(NaCl)、約502mgのグルコン酸ナトリウム(C11NaO)、約368mgの酢酸ナトリウム三水和物、USP(CNaO2・3HO)、約37mgの塩化カリウム、USP(KCl)、および約30mgの塩化マグネシウム、USP(MgCl2・6HO)、例えばPlasmalyte(登録商標)と実質的に同等である等張緩衝剤を含有する、無菌の非発熱性等張溶液であり得る。最も好ましくは、イオン性緩衝液は、幹細胞に対して実質的に等張性であり、および/またはイオン性緩衝液は、Plasmalyte(登録商標)である。
【0048】
誤解を避けるために、本発明の第1の態様に従って使用するための凍結保存培地が幹細胞培養増殖培地ではないことに留意すべきである。幹細胞の増殖を支持しないことが好ましい。例えば、標準的な増殖条件下で観察された細胞増殖は、典型的には、DMEMなどの標準的な幹細胞培養増殖培地中で増殖させたとき、同じ条件下で同じ細胞に対して観察されたものの50%未満、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、または0%であり得る。
【0049】
より好ましくは、本発明の第1の態様に従って使用するための凍結保存培地は、ビタミン、ホルモン成長因子、鉄源、遊離アミノ酸、および/またはグルコースなどの典型的な幹細胞培養培地の成分のいずれか1つ以上(例えばすべて)のレベルを実質的に全く含まないか、または全く含まない。
【0050】
本明細書で使用されるとき、「ビタミン」は、塩化コリン、葉酸、ミオイノシトール、ナイアシンアミド、d-パントテン酸(ヘミカルシウム)、ピリドキサール、ピリドキシン、リボフラビン、および/またはチアミンのうちの1つ以上を含み得る。
【0051】
本明細書で使用されるとき、「ホルモン」は、トリヨードチロニン、パラホルモン、チロトロフィン放出ホルモン、ソマトメジン、エストロゲン、プロラクチン、成長ホルモン、テストステロン、および/またはヒドロコルチゾンのうちの1つ以上を含み得る。
【0052】
本明細書で使用されるとき、「鉄源」は、トランスフェリンを含み得る。
【0053】
本明細書で使用されるとき、「成長因子」は、アドレノメジュリン(AM);アンジオポエチン(Ang);オートクリン運動性因子;骨形成タンパク質(BMP);毛様体神経栄養因子ファミリーの1つ以上のメンバー(毛様体神経栄養因子(CNTF)、白血病抑制因子(LIF)、および/もしくはインターロイキン-6(IL-6)を含むが、これらに限定されない);1つ以上のコロニー刺激因子(マクロファージコロニー刺激因子(m-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、および/もしくは顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を含むが、これらに限定されない);上皮成長因子(EGF);1つ以上のエフリン(エフリンA1、エフリンA2、エフリンA3、エフリンA4、エフリンA5、エフリンB1、エフリンB2、エフリンB3を含むが、これらに限定されない);エリスロポエチン(EPO);線維芽細胞増殖因子(FGF);ウシ胎児ソマトトロピン(FBS);リガンドの1つ以上のGDNFファミリー(グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、ペルセフィン、および/もしくはアルテミンを含むが、これらに限定されない);成長分化因子-9(GDF9);肝細胞増殖因子(HGF);肝細胞癌由来増殖因子(HDGF);インスリン;1つ以上のインスリン様増殖因子(インスリン様増殖因子-1(IGF-1)および/もしくはインスリン様増殖因子-2(IGF-2)を含むが、これらに限定されない);1つ以上のインターロイキン(IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、および/もしくはIL-7を含むが、これらに限定されない);ケラチノサイト増殖因子(KGF);移動刺激因子(MSF);マクロファージ刺激タンパク質(MSP);ミオスタチン(GDF-8);1つ以上のニューレギュリン(ニューレギュリン1(NRG1)、ニューレギュリン2(NRG2)、ニューレギュリン3(NRG3)、および/もしくはニューレギュリン4(NRG4)を含むが、これらに限定されない);1つ以上のニューロトロフィン(脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経成長因子(NGF);ニューロトロフィン-3(NT-3)、および/もしくはニューロトロフィン-4(NT-4)を含むが、これらに限定されない);胎盤成長因子(PGF);血小板由来増殖因子(PDGF);レナラーゼ(RNLS);T細胞増殖因子(TCGF);トロンボポエチン(TPO);1つ以上のトランスフォーミング成長因子(トランスフォーミング成長因子アルファ(TGF-α)および/もしくはトランスフォーミング成長因子ベータ(TGF-β)を含むが、これらに限定されない);腫瘍壊死因子-アルファ(TNF-α);血管内皮細胞増殖因子(VEGF);ならびに/またはWntシグナル伝達経路、のうちの1以上を含み得る。
【0054】
本明細書で使用されるとき、「遊離アミノ酸」は、L-アルギニン、L-シスチン、グリシンL-ヒスチジン、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-リジン、L-メチオニン、L-フェニルアラニン、L-セリン、L-スレオニン、L-トリプトファン、L-チロシン、および/またはL-バリンのうちの1つ以上を含み得る。
【0055】
凍結保存培地に使用される凍結保存剤は、組換え酵母由来血清アルブミンとは異なり、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール(EG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、およびトレハロースからなる群から選択され得る。DMSOが特に好ましくあり得る。凍結防止剤は、幹細胞と混合したときに、凍結保存培地中に凍結保存効果をもたらすのに好適な濃度で存在し得る。DMSOの場合、これは、約10%(w/v)±5%、4%、3%、2%、または1%であり得る。当業者は、日常的な試験を用いて適切な量の凍結保存剤を容易に決定することができる。
【0056】
本発明の第1の態様による方法に従って、保存培地は、組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含み得、任意に、保存培地は、組換え酵母由来血清アルブミン調製物の水性溶液およびイオン性緩衝液を含むか、本質的にそれからなり得るか、またはそれからなり得、好ましくはイオン性緩衝液は、電解質の水溶液を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、例えば、電解質は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、塩化物イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、および/またはグルコン酸イオンからなる群から選択されるからなる群から選択され、より好ましくは、イオン性緩衝液は、ヒトの生理学的血漿の電解質濃度、浸透圧、および/またはpHを模倣する電解質濃度、浸透圧、および/またはpHを有する。例えば、イオン性緩衝液は、100mL当たり約526mgの塩化ナトリウム、USP(NaCl)、約502mgのグルコン酸ナトリウム(C11NaO)、約368mgの酢酸ナトリウム三水和物、USP(CNaO2・3HO)、約37mgの塩化カリウム、USP(KCl)、および約30mgの塩化マグネシウム、USP(MgCl2・6HO)、例えばPlasmalyte(登録商標)と実質的に同等である等張緩衝剤を含有する、無菌の非発熱性等張溶液であり得る。最も好ましくは、イオン性緩衝液は、幹細胞に対して実質的に等張性であり、および/またはイオン性緩衝液は、Plasmalyte(登録商標)である。
【0057】
誤解を避けるために、本発明の第1の態様に従って使用するための保存培地は幹細胞培養増殖培地ではないことに留意されたい。幹細胞の増殖を支持しないことが好ましい。例えば、標準的な増殖条件下で観察された細胞増殖は、典型的には、DMEMなどの標準的な幹細胞培養増殖培地中で増殖させたとき、同じ条件下で同じ細胞に対して観察されたものの50%未満、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、または0%であり得る。
【0058】
より好ましくは、本発明の第1の態様に従って使用するための保存培地は、ビタミン、ホルモン、成長因子、鉄源、遊離アミノ酸、および/またはグルコースなどの典型的な幹細胞培養培地の成分の任意の1つ以上(例えばすべて)のレベルを実質的に全く、または全く含まない。本明細書で使用されるとき、「ビタミン」、「ホルモン」、「鉄源」、「成長因子」、「遊離アミノ酸」という用語は、上記でさらに定義されたとおりであり得る。
【0059】
本発明の第1の態様に従って使用される凍結保存培地および/または保存培地は、個々にまたは両方とも、血清由来アルブミン調製物のうちの1つ以上の成分、例えば、ヘム、プレカリクレイン活性化因子、発熱物質、C型肝炎ヒトウイルス、および/またはN-アセチルトリプトファンからなる一覧から選択される、1つ以上の成分(例えばすべて)を含まず、好ましくは、オクタノエートおよび/または洗剤(ポリソルベート80など)を実質的に含まないか、または完全に含まないことが特に好ましい。
【0060】
本発明の第1の態様の方法は、任意に2~8℃の温度で(例えば、約2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、または8℃で、「約」という用語は、±0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1℃の意味を含み得る)、保存することを含み得る。ここで、用語「約」は、ことができ、およびさらに任意に、24時間を超える期間(例えば、少なくとも、または約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47)、最大約48時間など、例えば最大約72時間(例えば、少なくとも、または約49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、もしくは72時間)もしくはそれ以上(例えば、最大3、4、5、6、もしくは7日)、および任意に、幹細胞を保存培地中に保存するステップ後に直接的または間接的に、幹細胞を、保存培地中に保存することを含み得、本方法は、
-幹細胞を培養するステップと、
-幹細胞の培養を拡大するステップと、
-幹細胞を分化させるステップと、
-幹細胞、またはそれに由来する培養および/もしくは分化された細胞を、例えば組織または医療用インプラントに固定化するステップと、
-幹細胞、またはそれらに由来する培養および/もしくは分化された細胞もしくは他の生成物を、薬学的に許容可能な組成物または獣医学的に許容可能な組成物中に製剤化するステップと、ならびに/あるいは
-幹細胞、またはそれらに由来する培養および/もしくは分化された細胞もしくは他の生成物を患者に投与するステップと、から選択される1つ以上のステップをさらに含む。
【0061】
任意に、本発明の第1の態様に従う方法は、幹細胞を保存培地中に保存することを含み、保存後、幹細胞は、例えば、骨細胞、心筋細胞、膵臓ベータ細胞、ニューロン、線維芽細胞、心筋細胞、骨芽細胞、および/または軟骨細胞から選択される細胞型に分化する。
【0062】
本発明の第2の態様は、幹細胞の凍結保存のための凍結保存培地を提供し、凍結保存培地は、組換え酵母由来血清アルブミン調製物および凍結保存剤を含む。凍結保存剤は、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール(EG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、およびトレハロースからなる群から選択され得る。好ましくは、組換え血清アルブミン調製物の水溶液、凍結保存剤、およびイオン性緩衝液を含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる凍結保存培地。好ましくは、イオン性緩衝液は、電解質の水溶液を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、例えば、電解質は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、塩化物イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、および/またはグルコン酸イオンからなる群から選択され、より好ましくは、イオン性緩衝液は、ヒトの生理学的血漿の電解質濃度、浸透圧、および/またはpHを模倣する電解質濃度、浸透圧、および/またはpHを有する。例えば、イオン性緩衝液は、100mL当たり約526mgの塩化ナトリウム、USP(NaCl)、約502mgのグルコン酸ナトリウム(C11NaO)、約368mgの酢酸ナトリウム三水和物、USP(CNaO2・3HO)、約37mgの塩化カリウム、USP(KCl)、および約30mgの塩化マグネシウム、USP(MgCl2・6HO)、例えばPlasmalyte(登録商標)と実質的に同等である等張緩衝剤を含有する、無菌の非発熱性等張溶液であり得る。最も好ましくは、イオン性緩衝液は、幹細胞に対して実質的に等張性であり、および/またはイオン性緩衝液は、Plasmalyte(登録商標)である。
【0063】
誤解を避けるために、本発明の第2の態様の凍結保存培地は、幹細胞培養増殖培地ではないことに留意すべきである。幹細胞の増殖を支持しないことが好ましい。例えば、標準的な増殖条件下で凍結保存培地中で観察された細胞増殖は、典型的には、DMEMなどの標準的な幹細胞培養増殖培地中で増殖させたとき、同じ条件下で同じ細胞に対して観察されたものの50%未満、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、または0%であり得る。
【0064】
より好ましくは、本発明の第2の態様の凍結保存培地は、ビタミン、ホルモン、増殖因子、鉄源、遊離アミノ酸、および/またはグルコースなどの典型的な幹細胞培養培地の成分のいずれか1つ以上(例えばすべて)のレベルを実質的に含まないか、または全く含まない。本明細書で使用されるとき、「ビタミン」、「ホルモン」、「鉄源」、「成長因子」、「遊離アミノ酸」という用語は、上記でさらに定義されたとおりであり得る。
【0065】
本発明の第2の態様の凍結保存培地は、幹細胞をさらに含んでもよく、任意に、幹細胞は、多能性幹細胞(胚性幹細胞、胚性生殖細胞、誘発多能性幹細胞など)、多能性幹細胞(例えば、任意に、脂肪、骨髄、臍帯血、もしくは臍帯に由来し得る間葉系幹細胞のような成体幹細胞;任意に、骨髄または末梢血に由来し得る造血幹細胞;神経幹細胞;または生殖幹細胞)、または単能性幹細胞(肝細胞のための単分化能幹細胞など)、からなる群から選択されてもよい。
【0066】
任意に、幹細胞を含み得る本発明の第2の態様の凍結保存培地は、凍結形態、例えば、0℃未満の形態、より好ましくは約-80℃~約196℃の間の形態である。この文脈で使用されるように、「約」という用語は、±20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1℃を含み得る。この実施形態に従って、凍結組成物中に存在する任意の幹細胞は、好ましくは凍結睡眠の状態にある。凍結形態の幹細胞を含む凍結保存培地は、凍結形態で、1、2、3、4、5、5、6、または7日間、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10週間、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12カ月、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10年、またはそれ以上維持し得る。
【0067】
あるいは、本発明の第2の態様の凍結保存培地は、凍結形態ではないが、凍結され、その後解凍されている幹細胞の集団を含み得る。凍結され、解凍されている幹細胞集団は、凍結/解凍プロセスを経ていない幹細胞集団と区別され得る。凍結は、細胞にストレスを引き起こし、典型的にはプログラム細胞死(アポトーシス)を開始させるであろう。本実施例のデータは、アポトーシスの段階が、本明細書で論じられるように、アネキシンV結合、ならびにPIおよび/または7AADの包含などの特定のマーカーによってどのように追跡され得るかを示す。凍結され、解凍されている幹細胞集団は、例えば、細胞集団内の初期および後期アポトーシスのレベルを測定することによって、凍結/解凍プロセスを経ていない幹細胞集団と区別され得る。すべての細胞集団は、アポトーシス段階で細胞の割合を有するであろうが、凍結および解凍後、特に本明細書に記載の保存溶液中に2~8℃で24時間を超える期間保存したとき、そのレベルは上昇する。任意に、保存温度は、約2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、または8℃である。この文脈で使用される「約」という用語は、±0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1℃の意味を含むことができる。
【0068】
本発明の第2の態様の凍結保存培地は、好ましくは、本発明の第1の態様に関して使用される凍結保存培地について上述した特徴のうちの1つ以上(例えばすべて)を有するであろう。
【0069】
好ましくは、組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、幹細胞と混合したときに、本発明の第2の態様の凍結保存培地中に、約0.01%(w/v)超および10%(w/v)未満、約9%(w/v)未満、約8%(w/v)未満、約7%(w/v)未満、または約6%(w/v)未満、例えば、約0.1%(w/v)~約5%(w/v)の濃度で、好ましくは約1%(w/v)、約2%(w/v)、約3(w/v)、または約4%(w/v)である組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質の濃度を提供するのに好適な量で存在する。この文脈における「約」という用語は、記述された値の±50%、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、または1%の意味を含むことができ、例えば、記述された値の0.1%(w/v)±10%は、0.9~0.11%(w/v)である。
【0070】
好ましくは、本発明の第2の態様の凍結保存培地は、以下の特性:
(a)0.5%(w/w)未満、好ましくは0.4%、0.3%、0.2%、もしくは0.15%未満が、コンカナバリンAへ結合すること、および/または
(b)0.6モルのヘキソース/タンパク質1モル未満、好ましくは0.10、0.075、もしくは0.05モルのヘキソース/タンパク質1モル未満の糖化レベル、のうちの1つ以上を示す組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質を含む。
【0071】
好ましくは、本発明の第2の態様の凍結保存培地は、
(a)少なくとも約95%、96%、97%、98%、より好ましくは少なくとも約99.5%の単量体および二量体、好ましくは本質的に100%の単量体および二量体であり、
(b)少なくとも約93%、94%、95%、96%、または97%の単量体であり、および/または
(c)約1.0%(w/w)、0.1%(w/w)、または0.01%(w/w)以下、好ましくはそれ未満のアルブミンポリマー含有量を有する、組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質を含む。この文脈に使用されるように、組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質に適用される「ポリマー」という用語は、単量体および二量体形態とは異なる。
【0072】
好ましくは、本発明の第2の態様によれば、
(a)凍結保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、酵母由来血清アルブミンタンパク質、カチオン(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、好ましくはナトリウムなど)、および平衡アニオン(塩化物、リン酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、または酢酸塩、好ましくは塩化物またはリン酸塩)、水、ならびに任意にオクタノエートおよびポリソルベート80を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、
(b)組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む凍結保存培地は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、18mM、16mM、15mM、14mM、12mM、10mM、8mM、6mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM、0.5mM、0.4mM、0.3mM、0.2mM、0.1mM、0.01mM、0.001mM未満のオクタノエートを含むか、オクタノエートを実質的に含まないか、またはオクタノエートを含まず、
(c)組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む凍結保存培地は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、15mM、10mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM以下の全脂肪酸含有量を有するか、実質的に脂肪酸を含まないか、または脂肪酸を含まず、
(d)組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む凍結保存培地は、200mg.L-1、150mg.L-1、100mg.L-1、90mg.L-1、80mg.L-1、70mg.L-1、60mg.L-1、50mg.L-1、40mg.L-1、30mg.L-1、20mg.L-1、15mg.L-1、10mg.L-1、5mg.L-1、4mg.L-1、3mg.L-1、2mg.L-1、1mg.L-1、0.5mg.L-1、0.1mg.L-1、0.01mg.L-1、0.001mg.L-1未満の濃度で、ポリソルベート(好ましくはポリソルベート80)などの洗剤を含むか、ポリソルベート(好ましくはポリソルベート80)などの洗剤を実質的に含まないか、または洗剤を含まず(好ましくはポリソルベート80を含まず)、
(e)組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む凍結保存培地は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、15mM、10mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM、0.5mM、0.1mM、0.01mM、0.005mM、0.001mM未満の全遊離アミノ酸レベルおよび/もしくはN-アセチルトリプトファンレベルを含み、具体的には、遊離アミノ酸および/もしくはN-アセチルトリプトファンを実質的に含まないか、または具体的には、遊離アミノ酸および/もしくはN-アセチルトリプトファンを含まず、
(f)組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む凍結保存培地は、オクタノエート、具体的には、遊離アミノ酸、および/またはN-アセチルトリプトファン、ならびに洗剤(ポリソルベート80など)のすべてを実質的に含まないか、または全く含まず、
(g)凍結保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、Recombumin(登録商標)プライム、もしくはそれに類似の調製物、Recombumin(登録商標)アルファ、もしくはそれに類似の調製物、またはAlbIX(登録商標)、もしくはそれに類似の調製物、から選択される調製物であり、
(h)組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む凍結保存培地は、ヘム、プレカリクレイン活性化因子、発熱物質、C型肝炎、および/またはヒトウイルス)から選択される1つ以上、例えばすべての成分を含まず、ならびに/または、200μg.L-1未満、例えば、180μg.L-1、160μg.L-1、140μg.L-1、120μg.L-1、100μg.L-1、90μg.L-1、80μg.L-1、70μg.L-1、60μg.L-1、50μg.L-1、または40μg.L-1未満、より典型的には、約10μg.L-1~約30μg.L-1の範囲内のアルミニウム濃度を有し、
(i)凍結保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、無傷または実質的に無傷のN末端配列を有し、
(j)凍結保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、62%超、例えば、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、約96%、約97%である遊離チオール基含有量を有するアルブミンタンパク質を含み、
(k)凍結保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって試験したとき、14分未満および19分を超えるピーク保持時間を有するピークを除外し、より好ましくは、14分または15分未満および18分を超えるピーク保持時間を有するピークを除外する、SECプロファイルを示すアルブミンタンパク質を含み、
(l)凍結保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)によって試験したとき、天然単量体形態のアルブミンに対応する単一の主要ピークを示すアルブミンタンパク質を含み、
(m)凍結保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、質量分析法によって試験したとき、1タンパク質当たり13、12、11、10、9、8、7、6未満、例えば、約1~11、1~8、1~5、1~4、1~3、1~2、1、または1未満のヘキソース修飾リジンおよび/もしくはアルギニン残基を示す生成物であるアルブミンタンパク質を含み、かつ/あるいは
(n)凍結保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、α-1,3-フコースおよび/またはβ-1,2-キシロースなどの植物特異的糖で糖化されていないアルブミンタンパク質を含む。
【0073】
本発明の第3の態様は、凍結保存培地中で凍結され、解凍され、その後保存培地に移された幹細胞を保存するための保存培地を提供し、保存培地は、組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む。好ましくは、保存培地は、組換え酵母由来血清アルブミン調製物の水溶液およびイオン性緩衝液を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。イオン性緩衝液は、電解質の水溶液を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、例えば、電解質は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、塩化物イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、および/またはグルコン酸イオンからなる群から選択され、好ましくは、イオン性緩衝液は、ヒトの生理学的血漿の電解質濃度、浸透圧、および/またはpHを模倣する電解質濃度、浸透圧、および/またはpHを有する。例えば、イオン性緩衝液は、100mL当たり約526mgの塩化ナトリウム、USP(NaCl)、約502mgのグルコン酸ナトリウム(C11NaO)、約368mgの酢酸ナトリウム三水和物、USP(CNaO2・3HO)、約37mgの塩化カリウム、USP(KCl)、および約30mgの塩化マグネシウム、USP(MgCl2・6HO)、例えばPlasmalyte(登録商標)と実質的に同等である等張緩衝剤を含有する、無菌の非発熱性等張溶液であり得る。最も好ましくは、イオン性緩衝液は、幹細胞に対して実質的に等張性であり、および/またはイオン性緩衝液は、Plasmalyte(登録商標)である。
【0074】
誤解を避けるために、本発明の第3の態様の保存培地は、幹細胞培養増殖培地ではないことに留意されたい。幹細胞の増殖を支持しないことが好ましい。例えば、標準的な増殖条件下で凍結保存培地中で観察された細胞増殖は、典型的には、DMEMなどの標準的な幹細胞培養増殖培地中で増殖させたとき、同じ条件下で同じ細胞に対して観察されたものの50%、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、または0%未満であり得る。
【0075】
より好ましくは、本発明の第3の態様の保存培地は、ビタミン、ホルモン、増殖因子、鉄源、遊離アミノ酸、および/またはグルコースなどの典型的な幹細胞培養培地の成分のいずれか1つ以上(例えばすべて)のレベルを実質的に含まないか、または全く含まない。本明細書で使用されるとき、「ビタミン」、「ホルモン」、「鉄源」、「成長因子」、「遊離アミノ酸」という用語は、上記でさらに定義されたとおりであり得る。
【0076】
本発明の第3の態様の保存培地は、好ましくは、本発明の第1の態様に関して使用される保存培地について上述した特徴のうちの1つ以上(例えば、すべて)を有するであろう。
【0077】
好ましくは、組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、幹細胞と混合したときに、本発明の第3の態様の保存培地中に、約0.01%(w/v)超および10%(w/v)未満、約9%(w/v)未満、約8%(w/v)未満、約7%(w/v)未満、または約6%(w/v)未満、例えば、約0.1%(w/v)~約5%(w/v)の濃度で、好ましくは約1%(w/v)、約2%(w/v)、約3(w/v)、または約4%(w/v)である組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質を提供するのに好適な量で存在する。
【0078】
典型的には、本発明の第3の態様の保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、以下の特性:
(a)0.5%(w/w)未満、好ましくは0.4%、0.3%、0.2%、もしくは0.15%未満が、コンカナバリンAへ結合すること、および/または
(b)0.6モルのヘキソース/タンパク質1モル未満、好ましくは0.10、0.075、もしくは0.05モルのヘキソース/タンパク質1モル未満の糖化レベル、のうちの1つ以上を示す。
【0079】
典型的には、本発明の第3の態様の保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、
(a)少なくとも約95%、96%、97%、98%、より好ましくは少なくとも約99.5%の単量体および二量体、好ましくは本質的に100%の単量体および二量体であり、
(b)少なくとも約93%、94%、95%、96%、または97%の単量体であり、ならびに/または
(c)は、約1.0%(w/w)、0.1%(w/w)または0.01%(w/w)以下、好ましくはそれ未満のアルブミンポリマー含有量を有する。この文脈に使用されるように、組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質に適用される「ポリマー」という用語は、単量体および二量体形態とは異なる。
【0080】
好ましくは、本発明の第3の態様の保存培地において、
(a)保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、酵母由来血清アルブミンタンパク質、カチオン(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、好ましくはナトリウムなど)、および平衡アニオン(塩化物、リン酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、または酢酸塩、好ましくは塩化物またはリン酸塩)、水、ならびに任意にオクタノエートおよびポリソルベート80を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、
(b)組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む保存培地は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、18mM、16mM、15mM、14mM、12mM、10mM、8mM、6mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM、0.5mM、0.4mM、0.3mM、0.2mM、0.1mM、0.01mM、0.001mM未満のオクタノエートを含むか、オクタノエートを実質的に含まないか、またはオクタノエートを含まず、
(c)組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む保存培地は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、15mM、10mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM以下の全脂肪酸含有量を有するか、脂肪酸を実質的に含まないか、または脂肪酸を含まず、
(d)組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む保存培地は、200mg.L-1、150mg.L-1、100mg.L-1、90mg.L-1、80mg.L-1、70mg.L-1、60mg.L-1、50mg.L-1、40mg.L-1、30mg.L-1、20mg.L-1、15mg.L-1、10mg.L-1、5mg.L-1、4mg.L-1、3mg.L-1、2mg.L-1、1mg.L-1、0.5mg.L-1、0.1mg.L-1、0.01mg.L-1、0.001mg.L-1未満の濃度で、ポリソルベート(好ましくはポリソルベート80)などの洗剤を含むか、ポリソルベート(好ましくはポリソルベート80)などの洗剤を実質的に含まないか、または洗剤を含まず(好ましくはポリソルベート80を含まず)、
(e)組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む保存培地は、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、15mM、10mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM、0.5mM、0.1mM、0.01mM、0.005mM、0.001mM未満の全遊離アミノ酸レベルおよび/もしくはN-アセチルトリプトファンレベルを含むか、具体的には、遊離アミノ酸および/もしくはN-アセチルトリプトファンを実質的に含まないか、または具体的には、遊離アミノ酸および/もしくはN-アセチルトリプトファンを含まず、
(f)組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む保存培地は、オクタノエート、具体的には、遊離アミノ酸、および/またはN-アセチルトリプトファン、ならびに洗剤(ポリソルベート80など)のすべてを実質的に含まないか、または全く含まず、
(g)保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、Recombumin(登録商標)プライム、もしくはそれに類似の調製物、Recombumin(登録商標)アルファ、もしくはそれに類似の調製物、またはAlbIX(登録商標)、もしくはそれに類似の調製物、から選択される調製物であり、
(h)組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む保存培地は、ヘム、プレカリクレイン活性化因子、発熱物質、C型肝炎、および/またはヒトウイルス)から選択される1つ以上、例えばすべての成分を含まないか、および/または、200μg.L-1未満、例えば、180μg.L-1、160μg.L-1、140μg.L-1、120μg.L-1、100μg.L-1、90μg.L-1、80μg.L-1、70μg.L-1、60μg.L-1、50μg.L-1、または40μg.L-1未満、より典型的には、約10μg.L-1~約30μg.L-1の範囲内のアルミニウム濃度を有し、
(i)保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、無傷または実質的に無傷のN末端配列を有し、
(j)保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、62%超、例えば、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、約96%、約97%である遊離チオール基含有量を有するアルブミンタンパク質を含み、
(k)保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって試験したとき、14分未満および19分を超えるピーク保持時間を有するピークを除外し、より好ましくは、14分または15分未満および18分を超えるピーク保持時間を有するピークを除外する、SECプロファイルを示すアルブミンタンパク質を含み、
(l)保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)によって試験したとき、天然単量体形態のアルブミンに対応する単一の主要ピークを示すアルブミンタンパク質を含み、
(m)保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、質量分析法によって試験したとき、1タンパク質当たり13、12、11、10、9、8、7、6未満、例えば、約1~11、1~8、1~5、1~4、1~3、1~2、1、または1未満のヘキソース修飾リジンおよび/もしくはアルギニン残基を示す生成物であるアルブミンタンパク質を含み、かつ/あるいは
(n)保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、α-1,3-フコースおよび/もしくはβ-1,2-キシロースなどの植物特異的糖で糖化されていないアルブミンタンパク質を含む。
【0081】
好ましい実施形態において、本発明の第3の態様の保存培地は、幹細胞をさらに含む。任意に、幹細胞は、多能性幹細胞(胚性幹細胞、胚性生殖細胞、誘発多能性幹細胞など)、多能性幹細胞(例えば、任意に、脂肪、骨髄、臍帯血、もしくは臍帯に由来し得る間葉系幹細胞のような成体幹細胞;任意に、骨髄もしくは末梢血に由来し得る造血幹細胞;神経幹細胞;または生殖幹細胞)、または単能性幹細胞(肝細胞のための単分化能幹細胞など)、からなる群から選択されてもよい。
【0082】
任意に、本発明の第3の態様の保存培地は、凍結保存培地(好ましくは、本発明の第1および/または第2の態様によって定義される凍結保存培地)中で凍結され、解凍され、次いで保存培地に移された幹細胞をさらに含む。上述のように、凍結され、解凍されている幹細胞集団は、凍結/解凍プロセスを経ていない幹細胞集団と区別され得る。凍結は、細胞にストレスを引き起こし、典型的にはプログラム細胞死(アポトーシス)を開始させるであろう。本実施例のデータは、アポトーシスの段階が、本明細書で論じられるように、アネキシンV結合、ならびにPIおよび/または7AADの包含などの特定のマーカーによってどのように追跡され得るかを示す。凍結され、解凍されている幹細胞集団は、例えば、細胞集団内の初期および後期アポトーシスのレベルを測定することによって、凍結/解凍プロセスを経ていない幹細胞集団と区別され得る。すべての細胞集団は、アポトーシス段階で細胞の割合を有するであろうが、凍結および解凍後、特に本明細書に記載の保存溶液中に2~8℃で24時間を超える期間保存したとき、そのレベルは上昇する。任意に、保存温度は、約2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、または8℃である。この文脈で使用される「約」という用語は、±0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1℃の意味を含むことができる。
【0083】
任意に、本発明の第3の態様の保存培地は、本発明の第1および/または第2の態様の凍結保存培地中で凍結され、解凍され、次いで保存培地に移された幹細胞を含む。
【0084】
典型的には、保存培地中に保存された幹細胞をさらに含む、本発明の第3の態様の保存培地は、冷蔵庫中におよび/または2~8℃の温度で保存される。任意に、保存温度は、約2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、または8℃である。この文脈で使用される「約」という用語は、±0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1℃の意味を含むことができる。
【0085】
幹細胞をさらに含む、本発明の第3の態様の保存培地は、幹細胞が凍結保存培地中で凍結され、解凍され、その後保存培地に移され、幹細胞は、24時間を超える時間の期間(例えば、少なくとも、または約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47)、最大約48時間など、例えば最大約72時間(例えば、少なくとも、または約49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、もしくは72時間)、またはそれ以上(例えば、最大3、4、5、6、もしくは7日間)、保存培地中に(典型的には、冷蔵庫中におよび/または2~8℃の温度で)保存されるという点において任意に特徴付けられ得る。任意に、保存温度は、約2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、または8℃である。この文脈で使用される「約」という用語は、±0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1℃の意味を含むことができる。
【0086】
本発明の第3の態様の実施形態に従って、保存培地は、24時間を超える期間(例えば、少なくとも、または約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47)、最大約48時間など、例えば最大約72時間(例えば、少なくとも、または、約49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、または72時間)、またはそれ以上(例えば、最大3、4、5、6、または7日間)保存培地中に2-8℃の温度で保存している、幹細胞(任意に、凍結保存培地中に凍結され、解凍され、その後保存培地に移されるか、または保存培地に移される前に別の生理学的ショックに供されている幹細胞)をさらに含み、保存期間の終了時の幹細胞の生存率は、5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、55%超、60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、86%超、87%超、88%超、89%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、もしくはより高い値を超え、例えば、約60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、86%超、87%超、88%超、89%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、もしくはより高い値を超える。任意に、保存温度は、約2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、または8℃である。この文脈で使用される「約」という用語は、±0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1℃の意味を含むことができる。
【0087】
例えば、約60%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、またはそれ以上の生存率は、保存中の約48時間後に好ましい。
【0088】
約60%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、またはそれ以上の生存率は、保存中の約72時間後に好ましい。
【0089】
生存率は、例えば、図6および実施例1に関して以下に論じられるように、アネキシンV結合およびPI包含などのマーカーを用いて決定され得る。
【0090】
本実施例において驚くべきことに実証されるように、解凍後の生存率は、試験において5%(w/v)ではなく約2%(w/v)のアルブミン濃度を使用したときにさらに拡大した。それでも、血漿由来血清アルブミンよりもむしろ組換え酵母由来血清アルブミンを使用することの利点は、5%(w/v)アルブミンを使用するときにさらにより顕著であった。
【0091】
したがって、本発明の第3の態様の一実施形態において、組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、約2%(w/v)±1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1%(w/v)で、幹細胞と混合するとき、凍結保存および/または保存培地中に存在し、保存培地は、24時間を超える期間(例えば、少なくとも、または約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47)、最大約48時間など、例えば最大約72時間(例えば、少なくとも、または、約49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、もしくは72時間)、もしくはそれ以上(例えば、最大3、4、5、6、もしくは7日間)保存培地中に保存している、幹細胞(任意に、凍結保存培地中に凍結され、解凍され、その後保存培地に移されるか、または保存培地に移される前に別の生理学的ショックに供されている幹細胞)をさらに含み、保存期間の終了時の幹細胞の生存率は、5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、55%超、60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、86%超、87%超、88%超、89%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、もしくはより高い値を超え、例えば、約60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、86%超、87%超、88%超、89%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、もしくはより高い値を超える。
【0092】
本発明の第3の態様の別の実施形態において、組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、5%(w/v)±1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1%(w/v)で、幹細胞と混合するとき、凍結保存および/または保存培地中に存在し、保存培地は、24時間を超える期間、最大約48時間など、例えば最大約72時間、もしくはそれ以上保存培地中に保存している、幹細胞(任意に、凍結保存培地中に凍結され、解凍され、その後保存培地に移されるか、または保存培地に移される前に別の生理学的ショックに供されている幹細胞)をさらに含み、保存期間の終了時の幹細胞の生存率は、5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、55%超、56%超、57%超、58%超、59%超、60%超、61%超、62%超、63%超、64%超、65%超、もしくはより高い値を超え、例えば、約55%超、56%超、57%超、58%超、59%超、60%超、61%超、62%超、63%超、64%超、65%超、もしくはより高い値を超える。
【0093】
凍結保存培地および保存培地の使用もまた、本発明によって提供される。
【0094】
したがって、第4の態様において、本発明は、幹細胞の保存のための本発明の第2の態様による凍結保存培地の使用を提供する。
【0095】
本発明の第4の態様の使用は、幹細胞を2~8℃で24時間を超える時間の期間(例えば、少なくとも、または約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47)、最大約48時間など、例えば、最大約72時間(例えば、少なくとも、または約49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、もしくは72時間)、もしくはそれ以上(例えば、最大3、4、5、6、もしくは7日間)、保存した後、生存状態で幹細胞の保存のものであり得る。任意に、保存期間の終了時に幹細胞の生存率は、5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、55%超、60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、86%超、87%超、88%超、89%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、もしくはより高い値を超え、例えば、約60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、86%超、87%超、88%超、89%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、もしくはより高い値を超える。任意に、保存温度は、約2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、または8℃である。この文脈で使用される「約」という用語は、±0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1℃の意味を含むことができる。
【0096】
任意に、本発明の第4の態様の使用に従って、組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、凍結保存培地中に約2%(w/v)±1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1%(w/v)で、幹細胞と混合したとき、存在する。代替の選択肢では、組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、凍結保存培地中に5%(w/v)±1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1%(w/v)で、幹細胞と混合したとき、存在し得る。
【0097】
一実施形態において、本発明の第4の態様の使用は、2~8℃で24時間を超える時間の期間、例えば、最大約48時間、例えば最大約72時間、もしくはそれ以上保存する前に、幹細胞を凍結保存培地と組み合わせて、混合物を生成することと、混合物を凍結して、凍結幹細胞生成物を生成する(または幹細胞が別の生理学的ショックを受ける)ことと、によって、幹細胞の保存のためのものである。任意に、保存温度は、約2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、または8℃である。この文脈で使用される「約」という用語は、±0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1℃の意味を含むことができる。
-これは、任意に、凍結幹細胞生成物を解凍するステップと、解凍された細胞を保存培地に移すステップと、幹細胞を2~8℃で24時間を超える時間の期間、例えば、最大約48時間、例えば最大約72時間、もしくはそれ以上、保存培地中に保存するステップと、を含み得る。
-さらなる代替において、これは、任意に、幹細胞を凍結保存培地と組み合わせて、混合物を生成することと、幹細胞を生理学的ショックを受けることと、細胞を保存培地に移すことと、幹細胞を2~8℃で24時間を超える時間の期間、例えば、最大約48時間、例えば最大約72時間、もしくはそれ以上、保存培地中に保存することによって、幹細胞の保存のためのものであり得る。
【0098】
好ましくは、いずれかの代替では、保存培地は、本発明の第3の態様による保存培地である。
【0099】
本発明の第5の態様は、幹細胞を保存培地中に保存することによって、幹細胞の保存のための本発明の第3の態様による保存培地の使用を提供する。任意に、幹細胞は、凍結保存培地中で凍結され、解凍され、その後保存前に保存培地に移されている。あるいは、幹細胞は、凍結保存培地と混合され、生理学的ショックにさらし、保存前に保存培地に移し得る。いずれかの代替では、凍結保存培地は、本発明の第2の態様による凍結保存培地であることが好ましくあり得る。
【0100】
本発明の第6の態様は、凍結保存幹細胞の解凍後の生存率を改善するための組換え酵母由来血清アルブミンの使用を提供する。この改善は、典型的には、同じ濃度で、組換え酵母由来血清アルブミンの代わりに血漿由来血清アルブミンを使用したときに観察される凍結保存幹細胞の解凍後の生存率のレベルと比較される。この改善は、保存培地中に2~8℃で24時間を超える時間の期間(例えば、少なくとも、または約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47)、最大約48時間など、例えば最大約72時間(例えば、少なくとも、または約49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、もしくは72時間)、またはそれ以上(例えば、最大3、4、5、6、もしくは7日間)、保存したとき、解凍後の幹細胞に観察可能であり得る。任意に、保存温度は、約2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、または8℃である。この文脈で使用される「約」という用語は、±0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1℃の意味を含むことができる。
【0101】
本発明の第6の態様によれば、組換え酵母由来血清アルブミンは、それを凍結保存培地に製剤化し、凍結前に、凍結保存培地を幹細胞と混合することによって使用することができ、凍結保存培地は、本発明の第2の態様によって定義される培地である。
【0102】
本発明の第6の態様によれば、組換え酵母由来血清アルブミンは、加えてまたは代替に、それを保存培地に製剤化することと、解凍後に、幹細胞と保存培地を混合することと、によって使用することができ、任意に、保存培地は、本発明の第3の態様によって定義される培地である。
【0103】
本発明の第7の態様は、生理学的ショックに供される細胞の生存率を改善させるために組換え酵母由来血清アルブミンの使用を提供する。細胞は、例えば、動物細胞、哺乳動物細胞、ヒト細胞、および/または好ましくは幹細胞もしくはリンパ球であり得る。この改善は、典型的には、同じ濃度で、組換え酵母由来血清アルブミンの代わりに血漿由来血清アルブミンを使用したときに観察される細胞(例えば幹細胞)のショック後の生存率のレベルと比較される。この改善は、保存培地中に2~8℃で24時間を超える時間の期間(例えば、少なくとも、または約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47)、最大約48時間など、例えば最大約72時間(例えば、少なくとも、または約49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、もしくは72時間)、またはそれ以上(例えば、最大3、4、5、6、もしくは7日間)、保存したとき、ショック後の細胞(例えば幹細胞)に観察可能であり得る。任意に、保存温度は、約2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、または8℃である。この文脈で使用される「約」という用語は、±0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1℃の意味を含むことができる。
【0104】
本発明の第7の態様によれば、組換え酵母由来血清アルブミンは、それを凍結保存用培地に製剤化し、生理学的ショックの前に、凍結保存用培地を細胞(例えば幹細胞)と混合することによって使用することができ、凍結保存培地は、本発明の第2の態様によって定義される培地であり得る。
【0105】
本発明の第7の態様によると、組換え酵母由来血清アルブミンは、それに加えて、またはそれに代えて、それを保存培地に製剤化し、生理学的ショックを受けた後に、保存培地を細胞(例えば幹細胞)と混合することによって使用することができ、任意に、保存培地は、本発明の第3の態様によって定義される培地である。
【0106】
本実施例はまた、驚くべきことに、後期アポトーシス期ではなく初期アポトーシス期にストレスを受けた細胞を維持することにおける組換え酵母由来血清アルブミンの利点を示す。初期のアポトーシス段階にある細胞は、アポトーシスに関与しておらず、好ましい条件下で、生存細胞として使用することができる救助形態に戻ることができる。例えば、Vives et al,2003,Met.Eng.,5:124-132に論じられるように、細胞がアポトーシスプログラムを活性化することによっていくつかの傷害に応答することができるが、保護された細胞の生存率および増殖は、非誘導アポトーシス条件に再曝露されるとき、回復し得る一方で、後期アポトーシスに入ることから保護されない細胞は、回復できずに死滅するであろう。Tinto et al,J.Biotechnol.,95:205-214は、アポトーシス誘導培養条件に対して保護するためにカスパーゼ阻害剤を使用する、ハイブリドーマ細胞増殖の回復を示し、好ましい培養条件への逆戻り後に正常増殖への回帰を示す。
【0107】
したがって、本発明の第8の態様は、初期アポトーシスから後期アポトーシスへの細胞の転換を防止、遅延、または減少させるための方法を提供し、本方法は、組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地と細胞を混合することを含む。
【0108】
本発明の第8の態様はまた、例えば、組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地の形態で、初期アポトーシスから後期アポトーシスまでの細胞の転換を防止、遅延、または減少させるための組換え酵母由来血清アルブミン調製物の使用も提供する。
【0109】
本発明の第8の態様に従って処理される細胞は、アポトーシスを受け得る任意の適切な細胞型であり得、例えば、動物細胞またはヒト細胞から選択され得る。好ましくは、細胞は、幹細胞である。このような幹細胞の例には、多能性幹細胞(胚性幹細胞、胚性生殖細胞、誘発多能性幹細胞など)、多能性幹細胞(例えば、任意に、脂肪、骨髄、臍帯血、もしくは臍帯に由来し得る間葉系幹細胞のような成体幹細胞;任意に、骨髄もしくは末梢血に由来し得る造血幹細胞;神経幹細胞;または生殖幹細胞)、または単能性幹細胞(肝細胞のための単分化能幹細胞など)、が含まれる。任意に、本発明の第8の態様に従って処理される細胞は、エクスビボ細胞であり得る。
【0110】
本発明の第8の態様によれば、細胞は、生理学的ショックを受ける前および/または受けた後に、組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地と混合されてもよい。組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、生理学的ショックの前後の両方で細胞に提示されることが好ましくあり得る。「生理学的ショック」とは、処理される細胞の集団においてアポトーシスを誘発し得る細胞の環境における物理的および化学的変化を含む。好ましくは、本発明のこの態様の意味の範囲内で、生理学的ショックは、保存培地中に2~8℃で24時間を超える時間の期間(例えば、少なくとも、または約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47)、最大約48時間など、例えば最大約72時間(例えば、少なくとも、または約49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、もしくは72時間)、またはそれ以上(例えば、最大3、4、5、6、もしくは7日間)、保存したとき、組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質の不在下で、血漿由来血清アルブミンの存在下であっても、集団中の細胞の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、もしくはそれ以上のアポトーシスを誘発するであろう。任意に、保存温度は、約2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、または8℃である。この文脈で使用される「約」という用語は、±0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1℃の意味を含むことができる。
【0111】
生理学的ショックの例としては、熱ショック(例えば、37、38、39、40、41、42、43、44、45、56、47、48、49、または50℃超)、低温ショック(例えば、2、1、0、-1、-2、-3、-4、-5、-6、-7、-8、-9、-10、-20、-80、-100℃、またはそれ以下)、浸透圧ショック(例えば、細胞と実質的に等張ではない条件への曝露)、栄養枯渇、毒性化合物への曝露、代謝物への曝露および/または喪失、酵素への曝露および/または喪失、化学ショック、pHショック、有機溶液への曝露、ならびに他のショック、例えば、せん断力への曝露、表面曝露、および/または表面暴露の喪失が挙げられるが、これらに限定されない。任意に、生理学的ショックは、凍結保存中の凍結および/または解凍のステップのうちの1つ以上から生じるショックであり得る。
【0112】
本発明の第8の態様によれば、限定されないが、初期アポトーシスは、例えば、フローサイトメトリーを用いて決定されるように、アネキシン(アネキシンVなど)結合を示すが、ヨウ化プロピジウム(PI)および/または7-アミノアクチノマイシンD(7AAD)の包接を示さない細胞によって特徴付けられ得る。初期アポトーシスは、アネキシン結合を伴うが、PIおよび/または7AADの包接を伴わない、生理学的ショックを受けていない同じ細胞群において観察されるレベルより高いミトコンドリア透過性によってさらに特徴付けられ得る。初期アポトーシスの他の特徴的な特徴は、当技術分野において周知であり(その例は本出願内の他の箇所で論じられている)、さらなるまたは代替のマーカーとしても使用され得る。
【0113】
本発明の第8の態様によれば、限定されないが、後期アポトーシスは、例えばフローサイトメトリーを使用して決定されるように、アネキシン(アネキシンVなど)結合を示し、ヨウ化プロピジウム(PI)の包接および/または7-アミノアクチノマイシンD(7AAD)の包接も示す細胞によって特徴付けられ得る。後期アポトーシスの他の特徴的な特徴は、当技術分野において周知であり(その例は本出願内の他の場所で論じられている)、さらなるまたは代替のマーカーとしても使用され得る。
【0114】
本発明の第8の態様によれば、組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、約0.01%(w/v)超および10%(w/v)未満、約9%(w/v)未満、約8%(w/v)未満、約7%(w/v)未満、または約6%(w/v)未満、例えば、約0.1%(w/v)~約5%(w/v)、好ましくは約1%(w/v)、約2%(w/v)、約3(w/v)、または約4%(w/v)の濃度である組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質を提供するのに好適な量で、細胞と混合され得る。幹細胞と混合するとき、約2%(w/v)±1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1%(w/v)、またはこの細胞と混合するとき、5%(w/v)±1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1%(w/v)の濃度は、好ましくあり得る。
【0115】
任意に、本発明の第8の態様によれば、細胞は、組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地中に2~8℃の温度で保存され得る。任意に、保存温度は、約2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、または8℃である。この文脈で使用される「約」という用語は、±0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1℃の意味を含むことができる。保存は、24時間を超える時間の期間(例えば、少なくとも、または約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47)、最大約48時間など、例えば最大約72時間(例えば、少なくとも、または約49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、もしくは72時間)、またはそれ以上(例えば、最大3、4、5、6、もしくは7日間)であり得る。初期アポトーシスから後期アポトーシスへの細胞の交換における防止、遅延、または減少は、保存期間中に観察可能であり得る。
【0116】
したがって、細胞は、24時間を超える時間の期間(例えば、少なくとも、または約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47)、最大約48時間など、例えば最大約72時間(例えば、少なくとも、または約49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、もしくは72時間)、またはそれ以上(例えば、最大3、4、5、6、もしくは7日間)、組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地中に保存されることが好ましくあり得る。任意に、細胞は、24時間を超える時間の期間、最大約48時間など、例えば最大約72時間、もしくはそれ以上2~8℃の温度で保存され、保存期間の終了時に初期アポトーシスである細胞の割合は、5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、55%超、60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、86%超、87%超、88%超、89%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、もしくはより高い値を超え、例えば、約60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、86%超、87%超、88%超、89%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、もしくはより高い値を超える。任意に、保存温度は、約2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、または8℃である。この文脈で使用される「約」という用語は、±0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1℃の意味を含むことができる。
【0117】
典型的には、本発明の第8の態様による培地中で使用される組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、以下の特性:
(a)0.5%(w/w)未満、好ましくは0.4%、0.3%、0.2%、もしくは0.15%未満が、コンカナバリンAへ結合すること、および/または
(b)0.6モルのヘキソース/タンパク質1モル未満、好ましくは0.10、0.075、もしくは0.05モルのヘキソース/タンパク質1モル未満の糖化レベル、のうちの1つ以上を示す。
【0118】
典型的には、本発明の第8の態様による培地中で使用される組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、
(a)少なくとも約95%、96%、97%、98%、より好ましくは少なくとも約99.5%の単量体および二量体、好ましくは本質的に100%の単量体および二量体であり、
(b)少なくとも約93%、94%、95%、96%、または97%の単量体であり、および/または
(c)は、約1.0%(w/w)、0.1%(w/w)または0.01%(w/w)以下、好ましくはそれ未満のアルブミンポリマー含有量を有する。この文脈に使用されるように、組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質に適用される「ポリマー」という用語は、単量体および二量体形態とは異なる。
【0119】
典型的には、本発明の第8の態様によれば、
(a)組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、酵母由来血清アルブミンタンパク質、カチオン(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、好ましくはナトリウムなど)、および平衡アニオン(塩化物、リン酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、または酢酸塩、好ましくは塩化物またはリン酸塩)、水、ならびに任意にオクタノエートおよびポリソルベート80を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、
(b)組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに/または組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に細胞を含む1つ以上の他の成分を含む培地は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、18mM、16mM、15mM、14mM、12mM、10mM、8mM、6mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM、0.5mM、0.4mM、0.3mM、0.2mM、0.1mM、0.01mM、0.001mM未満のオクタノエートを含むか、オクタノエートを実質的に含まないか、またはオクタノエートを含まず、
(c)組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに/または組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に細胞を含む1つ以上の他の成分を含む培地は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、15mM、10mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM以下の全脂肪酸含有量を有するか、脂肪酸を実質的に含まないか、または脂肪酸を含まず、
(d)組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに/または組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に細胞を含む1つ以上の他の成分を含む培地は、200mg.L-1、150mg.L-1、100mg.L-1、90mg.L-1、80mg.L-1、70mg.L-1、60mg.L-1、50mg.L-1、40mg.L-1、30mg.L-1、20mg.L-1、15mg.L-1、10mg.L-1、5mg.L-1、4mg.L-1、3mg.L-1、2mg.L-1、1mg.L-1、0.5mg.L-1、0.1mg.L-1、0.01mg.L-1、0.001mg.L-1未満の濃度で、ポリソルベート(好ましくはポリソルベート80)などの洗剤を含むか、洗剤を実質的に含まないか、または洗剤を含まず、
(e)組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに/または組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に細胞を含む1つ以上の他の成分を含む培地は、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、15mM、10mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM、0.5mM、0.1mM、0.01mM、0.005mM、0.001mM未満の全遊離アミノ酸レベルおよび/もしくはN-アセチルトリプトファンレベルを含むか、具体的には、遊離アミノ酸および/もしくはN-アセチルトリプトファンを実質的に含まないか、または具体的には、遊離アミノ酸および/もしくはN-アセチルトリプトファンを含まず、
(f)組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに/または組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に細胞を含む1つ以上の他の成分を含む培地は、オクタノエート、具体的には、遊離アミノ酸、および/またはN-アセチルトリプトファン、ならびに洗剤(ポリソルベート80など)のすべてを実質的に含まないか、または全く含まず、
(g)組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、Recombumin(登録商標)プライム、もしくはそれに類似の調製物、Recombumin(登録商標)アルファ、もしくはそれに類似の調製物、またはAlbIX(登録商標)、もしくはそれに類似の調製物、から選択される調製物であり、
(h)組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質調製物、ならびに/または組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に細胞を含む1つ以上の他の成分を含む培地は、ヘム、プレカリクレイン活性化因子、発熱物質、C型肝炎、および/またはヒトウイルスから選択される1つ以上、例えばすべての成分を含まず、ならびに/または、200μg.L-1未満、例えば、180μg.L-1、160μg.L-1、140μg.L-1、120μg.L-1、100μg.L-1、90μg.L-1、80μg.L-1、70μg.L-1、60μg.L-1、50μg.L-1、または40μg.L-1未満、より典型的には、約10μg.L-1~約30μg.L-1の範囲内のアルミニウム濃度を有し、
(i)培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、無傷または実質的に無傷のN末端配列を有し、
(j)培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、62%超、例えば、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、約96%、約97%である遊離チオール基含有量を有するアルブミンタンパク質を含み、
(k)培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって試験したとき、14分未満および19分を超えるピーク保持時間を有するピークを除外し、より好ましくは、14分または15分未満および18分を超えるピーク保持時間を有するピークを除外する、SECプロファイルを示すアルブミンタンパク質を含み、
(l)培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)によって試験したとき、天然単量体形態のアルブミンに対応する単一の主要ピークを示すアルブミンタンパク質を含み、
(m)培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、質量分析法によって試験したとき、1タンパク質当たり13、12、11、10、9、8、7、6未満、例えば、約1~11、1~8、1~5、1~4、1~3、1~2、1、または1未満のヘキソース修飾リジンおよび/もしくはアルギニン残基を示す生成物であるアルブミンタンパク質を含み、かつ/あるいは
(n)培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、α-1,3-フコースおよび/またはβ-1,2-キシロースなどの植物特異的糖で糖化されていないアルブミンタンパク質を含む。
【図面の簡単な説明】
【0120】
図1図1は、実施例5で報告されている市販のアルブミン生成物:(a)Recombumin(登録商標)プライムおよびRecombumin(登録商標)アルファ、(b)市販のアルブミン1(植物由来)、(c)市販のアルブミン2(植物由来)、(d)市販のアルブミン3(酵母由来、Pichia)の質量分析を示す。
図2図2は、実施例5に記載される、市販のアルブミン生成物:(a)Recombumin(登録商標)プライム、(b)Recombumin(登録商標)アルファ、(c)市販のアルブミン1、(d)市販のアルブミン3、(e)市販のアルブミン2、から記録された比較ゲル電気泳動データを示す。
図3図3は、実施例5に記載される組換えアルブミンの色素沈着の比較を示す。
図4-1】図4-1及び4-2は、実施例1に記載される研究において行われた実験段階のスキームを示す。
図4-2】同上。
図5図5は、実施例1に記載される研究において、2~8℃で安定性試験で使用された構成を示す。
図6-1】図6-1~6-3は、アネキシンV結合(横軸)およびPIの包接(縦軸)に基づいて、2~8℃での解凍後の安定性におけるアポトーシスアッセイの結果を示す。
図6-2】同上。
図6-3】同上。
図7図7は、実施例2で論じたように、Albutein(登録商標)(RI)またはAlbIX(登録商標)(TI)凍結保存溶液を比較した、凍結前および解凍後の時間におけるhMSCの同一性について%表面マーカーの割合(%)を示す。
図8-1】図8-1及び8-2の各グラフはそれぞれ以下を示す。(A)フローサイトメトリー分析を示す。hSERBで延長された細胞培養中のAlbutein(登録商標)(RI)またはAlbIX(登録商標)(TI)添加剤の安定性時点での生存率の割合(%)(点線は、70%の生存率の規格限界を示す)。72時間における、参照として時間0を考慮した減少の割合(%)が示されている。ANOVA Tukey多重比較試験の結果が示されている。(B)フローサイトメトリー分析。PLで延長された細胞培養中のAlbutein(登録商標)(RI)またはAlbIX(登録商標)(TI)添加剤の安定性時点での生存率の割合(%)(点線は、70%の生存率の規格限界を示す)。72時間における、参照として時間0を考慮した減少の割合(%)が示されている。ANOVA Tukey多重比較試験の結果が示されている。(C)および(D)フローサイトメトリー分析。Albutein(登録商標)(RI)およびAlbIX(登録商標)(TI)の凍結保存条件、ならびにhSERB(C)およびPL(D)における拡大戦略についての、時間0に対する生存率の減少の割合(%)。統計分析には、ANOVAノンパラメトリックSidakの多重比較試験を使用した。
図8-2】同上。
図9-1】図9-1及び9-2は、本発明の第3の実施形態による組換え酵母由来アルブミン調製物のアルブミン製剤の脂肪酸プロファイルを示す。
図9-2】同上。
図10-1】図10-1及び10-2は、本発明の第3の実施形態による組換え酵母由来アルブミン調製物のアルブミン製剤の、ICP-OESによる金属イオンプロファイルを示す。
図10-2】同上。
図11図11は、hSERB培地で拡大した細胞培養物についてのAlbutein(登録商標)(Rl)またはAlbIX(登録商標)(TI)凍結保存溶液を比較した、安定性評価の異なる時点におけるhMSCの同一性についての表面マーカーの割合(%)を示す。
図12図12は、Albutein(登録商標)(対照)またはAlbIX(登録商標)凍結保存溶液を比較した、安定性評価の異なる時点におけるhMSC細胞の初期および後期アポトーシス状態を示す。
図13図13は、凍結保存培地、保存培地のいずれか、またはその両方で使用したときに、解凍直後の酵母由来組換えヒト血清アルブミンの保護効果を示す。(A)フローサイトメトリーで得られた全項目(RI、TI1、TI2、TI3;1項目当たりn=3)についての生存率の割合を示す。破線は、解凍後の生存率についての日常的な許容基準に対応する。一元配置分散分析、ダネット多重検定で比較を行った。(B)NucleoCounterで得られた全項目(RI、TI1、TI2、TI3;1項目当たりn=3)についての生存率の割合を示す。破線は、解凍後の生存率についての日常的な許容基準に対応する。一元配置分散分析、ダネット多重検定で比較を行った。
図14図14は、凍結保存培地、保存培地のいずれか、またはその両方で使用したときに、解凍直後から72時間までの酵母由来組換えヒト血清アルブミンの保護効果を示す。(A)フローサイトメトリーによって得られた生存率の割合を示す。(B)nucleocounterによって得られた生存率の割合を示す。両方の表現は、全項目(1項目当たりn=3)の標準偏差と関連した安定性研究に沿った生存率を示す。図14Aおよび図14Bの両方において、●は参照項目、■は試験項目1、▲は試験項目1、および▼は試験項目3である。
図15図15は、2~8℃で保存したとき、解凍後の生存率(%)を評価したRI試料とTI2試料の比較を示す。(A)フローサイトメトリーによって決定された結果を示し、(B)nucleocounterによって決定された結果を示す。
図16図16は、2~8℃で保存したとき、解凍後の生存率(%)の経時的な低下を評価し、正規化されたデータを使用した、RI試料とTI2試料の比較を示し、各試料の0時間の生存時間試料を生存率100%の時点と見なし、この時点からの生存率の低下をこの値に対して評価した。(A)フローサイトメトリーによって決定された結果を示し、(B)nucleocounterによって決定された結果を示す。
図17図17は、2~8℃で保存したとき、解凍後の生存率(%)を評価したTI1試料とTI3試料の比較を示す。(A)フローサイトメトリーによって決定された結果を示し、(B)nucleocounterによって決定された結果を示す。
図18図18は、2~8℃で保存したとき、解凍後の生存率(%)を評価したRI試料とTI3試料の比較を示す。(A)フローサイトメトリーによって決定された結果を示し、(B)nucleocounterによって決定された結果を示す。
図19-1】図19-1及び19-2は、初期アポトーシス細胞および後期アポトーシス細胞の割合の表示を示す。(A)参照項目(RI)と試験項目2(TI2)との比較を示し、(B)試験項目1(TI1)と試験項目3(TI3)との比較を示し、(C)安定性研究の各時点における参照項目(RI)と試験項目3(TI3)の比較を示す。
図19-2】同上。
【発明を実施するための形態】
【0121】
定義
凍結:細胞調製物を凍結するという文脈において本出願で使用される「凍結」という用語は、氷晶を生成するか、または完全に凍結させた固体形態として、例えば、0℃以下である形態で細胞調製物を示すのに十分低い温度に細胞を曝すことを含む。「凍結」という用語は、好ましくは、凍結保存を指す。
【0122】
凍結保存:凍結保存は、非常に低い温度、一般的には-80℃から-196℃の間で凍結することにより、生物学的物質(細胞、組織、および生物)を良好な状態に保つ方法である。このようにして、重要な機能が減少し、それらを長期間冬眠状態の状態で維持することができる。
【0123】
本明細書で使用されるとき、「凍結保存」という用語は、凍結によって長期間にわたって細胞を安定に維持することを指す。一般に、細胞が培養されると、突然変異は1対1万の割合で起こり、細胞が長期継代培養を経ると、細胞集団は変化し、元の集団と異なってくる。重症例では、細胞は、継代培養によってそれら自身の特定の機能を失し得る。さらに、細胞は、継代培養中にマイコプラズマなどに感染し得る。そのような問題のために、細胞凍結保存は、それらの固有の特徴を失う前に細胞を凍結し、保存し、必要に応じて、それらを再び使用するために行われる。特に、幹細胞を治療に使用する場合、必要に応じて、健康な幹細胞を直ちに使用できることが必要である。したがって、効果的な凍結保存は、幹細胞にとって特に重要であると考えられている。
【0124】
本発明の凍結保存用培地で処理された幹細胞の凍結は、当該技術分野で公知の任意の従来の幹細胞を凍結させる方法によって行うことができ、その例としては、ガラス化方法および緩慢凍結方法が挙げられるが、これらに限定されない。ガラス化方法は、例えば、制御速度冷凍庫(CRF)などの装置を用いて一定の速度(例えば1分当たり1℃)で温度を絶えず下げることにより行われる。好ましくは、温度が-80℃に達すると、細胞は、窒素タンクに直ちに保存される。緩慢凍結法は、細胞を含む凍結保存用培地を含むバイアルをイソプロピルアルコールを含む冷凍庫の箱に入れ、-70℃以下の超低温冷凍庫中で特定の一定時間(例えば12時間~24時間)にわたって温度を一定に下げることによって行うことができるが、これに限定されない。さらに、凍結細胞は、液体窒素タンクに保存し、必要に応じて、再利用することができる。
【0125】
好適な例示的な方法も実施例に記載されている。
【0126】
凍結保存溶液:細胞生成物の凍結は、凍結保存溶液中の1つ以上の凍結保護剤を用いて行われる。該溶液の使用は、一般に、細胞の細胞内区画における凍結水の結晶の形成を防ぐために、細胞内脱水による凍結プロセス中の細胞生存率の保存に基づいている。
【0127】
凍結保存剤:本明細書で使用されるとき、「凍結保存剤」という用語は、細胞、組織、または器官が-80℃から-200℃の超低温で保存されるときに、結晶形成ならびにイオン性および浸透性の不均衡を必然的に伴う凍結および解凍プロセスによって引き起こされる細胞損傷を最小限に抑えるために使用される物質を指す。
【0128】
本発明の目的のために、「凍結保存剤」は、組換え酵母由来血清アルブミンでも、他のいかなる形態のアルブミンタンパク質でもない。そうでなければ、凍結防止剤は、凍結保存中の細胞損傷を軽減することができる限り、特定の物質に限定されない。
【0129】
限定ではないが、凍結保存溶液中に存在する凍結保存剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール(EG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、およびトレハロースを含み得る。DMSOが特に好ましくあり得る。凍結防止剤は、幹細胞と混合したときに、凍結保存培地中に凍結保存効果をもたらすのに好適な濃度で存在し得る。DMSOの場合、これは、約10%(w/v)±5%、4%、3%、2%、または1%であり得る。当業者は、日常的な試験を用いて適切な量の凍結保存剤を容易に決定することができる。
【0130】
幹細胞:本明細書で使用されるとき、「幹細胞」という用語は、自己複製能および分化能を有する未分化細胞を指す。幹細胞は、それらの分化能力に従って全能性幹細胞、多能性幹細胞、複能性幹細胞、および単能性幹細胞の亜集団を含む。全能性幹細胞とは、胚組織および胎盤細胞を含む生物内の任意の細胞に分化することができる細胞を指す。多能性幹細胞とは、生物を構成するすべての組織または細胞に分化する能力を有する細胞を指す。複能性幹細胞とは、あらゆる種類の組織または細胞であるが、複数の種類の組織または細胞に分化する能力を有さない細胞を指す。単能性幹細胞とは、特定の組織または細胞に分化する能力を有する細胞を指す。
【0131】
多能性幹細胞は、胚性幹細胞(ES細胞)、胚性生殖細胞(EG細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)などを含み得る。
【0132】
多能性幹細胞は、間葉系幹細胞(脂肪、骨髄、臍帯血、もしくは臍帯などに由来する)、造血幹細胞(骨髄または末梢血に由来する)、神経幹細胞、生殖幹細胞などの成体幹細胞を含み得る。
【0133】
単能性幹細胞は、通常は自己複製能が低く静止しているが、特定の条件下では活発に肝細胞に分化する、肝細胞における単分化能幹細胞を含み得る。本発明の一実施形態において、骨髄間葉系幹細胞および臍帯幹細胞を使用して、本発明の組成物が安全性および安定性を有する幹細胞の凍結保存に使用され得ることを調べた。
【0134】
本発明によれば、「幹細胞」という用語は、典型的には、初代細胞を含まない。本明細書で使用されるとき、「初代細胞」という用語は、生物の器官/組織の機能を表す、いかなる遺伝子操作などもせずに、個体の組織から単離される細胞を指す。初代細胞は、皮膚または血管内皮、骨髄、脂肪、軟骨などから単離され、対応する組織および細胞の機能を研究するために、あるいは失われた組織を修復するための治療剤として用いられる。
【0135】
幹細胞および初代細胞の起源は、細胞が本発明の組成物によって安定に凍結保存され得る限り、特に限定されない。その例としては、ヒト、サル、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、マウス、またはウサギ由来の細胞を含み得る。幹細胞または初代細胞は、好ましくはヒト幹細胞または初代細胞であるが、これらに限定されない。
【0136】
任意に、本発明の方法および使用(具体的には、使用される幹細胞がヒト胚性幹細胞(hESC)である方法および使用)は、工業目的または商業目的を含むあらゆる目的のためのヒト胚の使用を除外する。したがって、本発明に従って使用されるいかなるhESCも、ヒト胚の破壊を通して直接的または間接的に得られないことが好ましくあり得る。言い換えれば、本発明に従って使用される任意のhESCは、それが行われる段階がどうであれ、ヒト胚の事前の破壊または基材としてのそれらの使用を必要としない手段によって得られることが好ましくあり得る。例えば、本発明における使用のための任意のhESCが、ヒトに発達する固有の能力を有さない単為生殖細胞および/もしくは他の細胞または細胞の集団に由来することが好ましくあり得る。
【0137】
アポトーシス:アポトーシスは、多細胞生物で起こるプログラム細胞死のプロセスである。生化学的事象は、特徴的な細胞の変化(形態)および死をもたらす。これらの変化は、ブレブ形成、細胞収縮、核断片化、クロマチン凝縮、染色体DNA断片化、および包括的なmRNA分解から選択される1つ以上の特徴を含み得る。アポトーシスは、壊死とは異なり、後者は急性細胞傷害から生じる外傷性細胞死の一形態である。対照的に、アポトーシスは、高度に調節され、制御されたプロセスである。壊死とは異なり、アポトーシスは、細胞の内容物が周囲の細胞にこぼれて損傷を引き起こすことができる前に、食細胞が飲み込み、迅速に除去することができるアポトーシス小体と呼ばれる細胞断片を生成する。
【0138】
アポトーシス細胞と壊死細胞を区別するための方法は、当技術分野でよく知られている。これには、例えば、タイムラプス顕微鏡、フローフルオロサイトメトリー、および透過型電子顕微鏡による形態の分析が含まれ得る。細胞表面マーカー(ホスファチジルセリン曝露対フローフルオロサイトメトリーによる細胞透過性)、DNA断片化(フローフルオロサイトメトリー)、カスパーゼ活性化、Bid切断、およびシトクロムc放出(ウェスタンブロッティング)などの細胞マーカーの分析のための様々な生化学的技術もある。一次および二次壊死細胞は、カスパーゼの上清、HMGB1、およびサイトケラチン18の放出の分析によって区別され得る。しかしながら、壊死性細胞死の明確な表面または生化学的マーカーはまだ同定されておらず、負のマーカーのみが利用可能である。これらには、アポトーシスマーカー(カスパーゼ活性化、シトクロムc放出、およびオリゴヌクレオソームDNA断片化)の非存在ならびに細胞死マーカーの異なる動態(ホスファチジルセリン曝露および細胞膜透過性化)が含まれる。壊死性細胞からアポトーシスを区別するために使用することができる技術の選択は、よく知られている。
【0139】
アネキシンは、アポトーシス細胞を同定するためにホスファチジルセリン(PS)に結合するカルシウム依存性リン脂質結合タンパク質のファミリーである。健康な細胞では、PSは、主に原形質膜の細胞質側に沿って位置している。アポトーシスが始まると、PSは、リン脂質二重層内の非対称分布を失い、蛍光標識されたアネキシンVで検出可能である細胞外膜に移動する。
-アポトーシスの初期段階では、細胞膜は、ヨウ化プロピジウム(PI)および7AADなどの生存色素を除外しているため、アネキシンV染色のみを示す細胞(PIおよび/または7AAD陰性)はアポトーシスの初期段階にある。アポトーシスの初期段階にある細胞は、アポトーシスに関与しておらず、好ましい条件下で、生存細胞として使用することができる救助形態に戻ることができる。したがって、アポトーシスの初期段階にある細胞は、本出願の目的のために、「生存可能」であると見なされる。
-後期アポトーシスの間、細胞膜の完全性が失われると、アネキシンVが細胞質PSへ結合すること、ならびにPIおよび/または7AADが細胞に取り込まれることが可能になる。アポトーシスの後期段階にある細胞は、本出願の目的のために、「生存可能」であるとは見なされない。
【0140】
7AADまたはPIと対をなすアネキシンV染色は、例えばフローサイトメトリーによってアポトーシス段階を同定するために広く使用されている。
【0141】
アポトーシスの初期段階のさらなる尺度には、例えば、Milian et al,2015,J.Biotech.,209:58-67(この内容は、参照により本明細書に組み込まれる)(具体的には、Milianらのセクション2.2および図5Aを参照のこと)に記載されているようなMitoscreenキットを使用するなどのミトコンドリア透過性の決定が含まれ得る。さらに、カスパーゼ3活性アッセイは、例えば、Tinto et al,2002,J.Biotech.,95:205-214(この内容は、参照により本明細書に組み込まれる)の方法を用いてアッセイされ得る。
【0142】
上記のTintoらはまた、DNAラダー分析(Tintoらの図3B、E、Hを参照のこと)、および例えばTintoらの図1Cに記載されるような共焦点イメージングを含む後期アポトーシスを特徴付けるために適用され得るさらなる有用なアッセイも記載している。
【0143】
組換え酵母由来血清アルブミン:本発明は、「組換え酵母由来血清アルブミン」タンパク質およびその調製物に関する。
【0144】
すなわち、血清アルブミンタンパク質は、アルブミンをコードするヌクレオチド配列で形質転換された酵母を発酵培地中で培養することによって得られる酵母培養培地に由来し、それによって当該酵母はアルブミンタンパク質を発現し、それを培地に分泌する。それは、好ましくは動物またはヒト由来の材料を使用せずに製造される。次いで、組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、組換え酵母由来血清アルブミン調製物を生成するために、実質的に精製された形態でそれから回収される。
【0145】
酵母は、好ましくは、Saccharomyces属(例えばSaccharomyces cerevisiae)、Kluyveromyces属(例えばKluyveromyces lactis)、またはPichia属(例えばPichia pastoris)のものである。組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質の製造方法は、例えば、Kluyveromyces(Fleer 1991、Bio/technology 9、968-975)、Pichia(Kobayashi 1998 Therapeutic Apheresis 2、257-262)、およびSaccharomyces(Sleep 1990、Bio/technology 8、42-46))に当該技術分野で公知である。すべての引用は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。最も好ましくは、属は、Saccharomycesであり、最も好ましくはSaccharomyces cerevisiaeである。
【0146】
例示的な組換え酵母由来血清アルブミン調製物、およびそのような調製物自体の生成のための好適な方法は、WO2000/044772および/またはWO2013/006675に記載されており、それらの内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0147】
EP1329460(A1)、EP1329461(A1)、EP1329462(A1)、およびEP1710250(A1)(それぞれの内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)はまた、組換え酵母由来血清アルブミン調製物の製造のために好適な方法、およびそのような調製物自体は、本発明における使用に潜在的に好適であり得ることも記載している。
【0148】
以下で論じられるように、酵母中での組換え血清アルブミンの製造、およびそれからの回収は、他の供給源(例えば、血漿から、または植物などの他の組換え供給源)から得られる血清アルブミン組成物と物理的に異なる組換え酵母由来血清アルブミン調製物を提供する。それらの区別は多数あり、血清アルブミンタンパク質自体の構造、ならびにアルブミンタンパク質が調製物中で共精製される付随成分の同一性および/またはレベルにおける物理的差異を含む。少なくとも部分的には、他の供給源から得られた血清アルブミンと比較して、元のアルブミン分子である組換え酵母由来血清アルブミン中のアルブミンタンパク質は、供給源によってタンパク質に課された変化および変更が比較的ないからである。
【0149】
アルブミンは、多数の哺乳動物および鳥類(例えば、WO2010/092135(特に表1)およびWO2011/124718(特に9頁、ならびに配列番号2、4~19、および31)として公開されたPCT/EP11/055577(これらの両方は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に列挙されるアルブミン)に記載されており、特徴付けられている。
【0150】
本発明で使用するための組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、1つ以上の(いくつかの)アルブミンを含み得る。好ましくは、組成物は、ヒトアルブミン(例えば、AAA98797もしくはP02768-1、配列番号2(成熟)、配列番号3(未成熟))、非ヒト霊長類アルブミン(例えば、チンパンジーアルブミン(例えば、予測された配列XP_517233.2、配列番号4)、ゴリラアルブミンもしくはマカクアルブミン(例えば、NP_001182578、配列番号5)、齧歯類アルブミン(例えばハムスターアルブミン(例えばA6YF56、配列番号6)、モルモットアルブミン(例えばQ6WDN9-1、配列番号7)、マウスアルブミン(例えば、AAH49971もしくはP07724-1、バージョン3、配列番号8、もしくは成熟配列、配列番号19)、およびラットアルブミン(例えば、AAH85359もしくはP02770-1、バージョン2、配列番号 9)))、ウシ科アルブミン(例えば、ウシアルブミンP02769-1、配列番号10)、ウマ科アルブミン、例えば、ウマアルブミン(例えば、P35747-1、配列番号11)もしくはロバアルブミン(例えば、Q5XLE4-1、配列番号12)、ウサギアルブミン(例えばP49065-1バージョン2、配列番号13)、ヤギアルブミン(例えばACF10391、配列番号14)、ヒツジアルブミン(例えばP14639-1、配列番号15)、イヌアルブミン(例えばP49822-1、配列番号16)、ニワトリアルブミン(例えば、P19121-1バージョン2、配列番号17)およびブタアルブミン(例えばP08835-1バージョン2、配列番号18)、から選択されるアルブミンを含む。成熟型アルブミンが、特に好ましく、当業者は、タンパク質データバンクなどの公的に入手可能な情報を使用して、および/またはSignalP(例えば、SignalP(Nielsen et al.,1997,Protein Engineering 10:1-6))などのシグナルペプチド認識ソフトウェアを使用することによって成熟型を同定することができる。SignalPバージョン4.0が好ましい(Petersen et al(2011)Nature methods(8):785-786)。
【0151】
組換え酵母由来血清アルブミンは、好ましくは、ヒト血清アルブミン(HSA)またはHSAドメインと同じおよび/または非常に類似した三次構造を有するタンパク質であり、HSAまたは関連ドメインと類似の特性を有する。
【0152】
配列番号2に開示されるようなヒトアルブミンまたはその任意の天然に存在する対立遺伝子は、本発明に従って使用するための好ましい組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質である。配列番号2は、配列番号1のヌクレオチド配列によってコードされていてもよい。
【0153】
本発明に従って使用するための組換え酵母由来のヒト血清アルブミン調製物の特に好ましい形態は、組換え酵母由来Recombumin(登録商標)アルファ(旧Albucult(登録商標))、Recombumin(登録商標)プライム(旧Recombumin(登録商標))および/またはAlbIX(登録商標)(すべてAlbumedix Ltd.から)の既知の商業的な提示物を含む。
【0154】
あるいは、組換え酵母由来血清アルブミンは、HSAまたはHSAドメインと非常に類似した三次構造を有し、HSAまたは関連ドメインと類似の特性を有する配列を有するタンパク質であり得る。
【0155】
類似の三次構造は、例えば、親アルブミンの下で言及された種からのアルブミンの構造である。アルブミンの主な特性のいくつかは、i)血漿体積を調節するその能力、ii)約19日±5日の長い血漿中半減期、iii)リガンドへの結合、例えば、内因性分子、例えば、ビリルビン脂肪酸、ヘミン、およびチロキシンを含む、酸性、親油性化合物に対する結合性(Kragh-Hansen et al,2002,Biol.Pharm.Bull.25,695の表1も参照されたく、参照により本明細書に組み込まれる)、iv)酸性または電気陰性特性を有する小型有機化合物に対する結合性、例えば、ワルファリン、ジアゼパム、イブプロフェン、およびパクリタキセルなどの薬物との結合性(Kragh-Hansen et al,2002,Biol.Pharm.Bull.25,695の表1も参照されたく、参照により本明細書に組み込まれる)である。あるタンパク質または断片をアルブミンとして特徴付けるために、これらの特性のすべてが満たされる必要はない。例えば、ある断片がある特定のリガンドまたは有機化合物への結合に関与するドメインを含まない場合、そのような断片のバリアントにも、これらの特性を有することは期待できないであろう。アルブミンという用語は、バリアント、ならびに/またはアルブミンもしくはアルブミンバリアントの融合体および/もしくは接合体などの誘導体を含む。
【0156】
「親」または「親アルブミン」という用語は、本発明において使用され得るアルブミンバリアントを生成するために改変がなされるアルブミンを意味する。親は、天然に存在する(野生型)ポリペプチドもしくはその対立遺伝子またはそのバリアント、例えばWO2011/051489として公開されたPCT/EP2010/066572に記載のバリアント、またはWO2011/124718として公開されたPCT/EP2011/055577に記載のバリアントもしくは誘導体であり得る。
【0157】
「バリアント」という用語は、1つ以上の(いくつかの)位置に改変、すなわち、置換、挿入、および/または欠失を含む、親アルブミンに由来するポリペプチドを意味する。置換とは、ある位置を占めるアミノ酸を異なるアミノ酸で置き換えることを意味し、欠失は、ある位置を占めるアミノ酸の除去を意味し、挿入とは、ある位置を占めるアミノ酸に隣接して1~3個のアミノ酸を付加することを意味する。改変ポリペプチド(バリアント)は、親アルブミンをコードするポリヌクレオチド配列の修飾によるヒトの介入により得ることができる。
【0158】
組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質、特に、ヒトアルブミンは、バリアント、またはアルブミンもしくはアルブミンバリアントの接合の融合などの誘導体であり得る。アルブミンは、HSA(配列番号2)に対して少なくとも70%の同一性、より好ましくは、HSAに対して少なくとも72、73、75、80、85、90、95、96、97、98、99、99.5%の同一性を有することが好ましい。アルブミンバリアントは、配列表に提供されるものなどの親アルブミン、特に配列番号2と比較して、1つ以上の点(いくつか)の突然変異体、例えば、K573P、K573Y、K573W、K500Aを有し得る(突然変異体は、配列番号2に関して記載されており、当業者は、本明細書に記載のEMBOSSソフトウェアを使用して、配列番号2に対してアルブミン配列を整列させることにより、他のアルブミンにおける同等の突然変異体を同定することができる)。配列番号2と約70~80%の同一性を有するアルブミン(例えばマウスアルブミン、例えば配列番号19)については、カチオンが少なくとも250mMから存在することがより好ましい。
【0159】
バリアントアルブミンは、配列番号2に対して、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性であり、親アルブミンまたはHSAと類似の三次構造の主な特性のうちの少なくとも1つを維持する。
【0160】
本発明の目的のために、2つのアミノ酸配列間の配列同一性は、EMBOSSパッケージ(EMBOSS:The Europeanmolecular Biology Open Software Suite,Rice et al.,2000,Trends Genet.16:276-277)、好ましくはバージョン5.0.0もしくはそれ以降のNeedleプログラムに実施されるように、Needleman-Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443-453)を使用して決定される。使用されるパラメータは、10のギャップオープンペナルティ、0.5のギャップエクステンションペナルティ、およびEBLOSUM62(BLOSUM62のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。(-nobriefオプションを用いて得られる)「最長同一性」というラベルが付けられたNeedleの出力を、パーセント同一性パーセントとして用い、以下のとおりに計算する:(同一残基数×100)/(アラインメント長-アラインメント内のギャップの総数)。
【0161】
バリアントは、親アルブミンと比較して、内皮、上皮、および/または中皮単細胞層を横切って、FcRnに対する変化した結合親和性および/またはトランスサイトーシスの変化した速度を有し得る。バリアントポリペプチド配列は、好ましくは天然には見出されないものである。バリアントは、例えば、アルブミンの少なくとも100、150、200、250、300、350、450、500、550の隣接アミノ酸を含むか、またはそれらからなる断片を含む。
【0162】
「野生型」(WT)アルブミンという用語は、動物または人間に天然に見出されるアルブミンと同じアミノ酸配列を有するアルブミンを意味する。配列番号2は、ホモサピエンス由来の野生型アルブミンの一例である。
【0163】
一実施形態によれば、組換え酵母由来血清アルブミン調製物(最も好ましくはSaccharomyces cerevisiaeにおける組換えDNA発現に由来する)は、以下の特性:
(1)0.5%(w/w)未満、好ましくは0.4%、0.3%、0.2%、もしくは0.15%未満が、コンカナバリンAへ結合すること、および/または
(2)0.6モルのヘキソース/タンパク質1モル未満、好ましくは0.10、0.075、もしくは0.05モルのヘキソース/タンパク質1モル未満の糖化レベル、のうちの1つ以上を示す組換え酵母由来血清アルブミンを含む。
【0164】
適切なコンカナバリンAアッセイは、例えば、WO2000/044772に記載されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0165】
組換え酵母由来血清アルブミン調製物(最も好ましくはSaccharomyces cerevisiaeにおける組換えDNA発現に由来する)は、少なくとも95%、96%、97%、98%、より好ましくは少なくとも99.5%の単量体および二量体、好ましくは本質的に100%の単量体および二量体であり得る。最大0.5%、好ましくは0.2%の三量体が許容されるが、より大きな形態のアルブミンは、一般に存在しない。
【0166】
ある特定の好ましい実施形態において、組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、
i.Albumedix Ltd.から市販のRecombumin(登録商標)プライム(旧Recombumin(登録商標))生成物、または第1の特に好ましい実施形態において以下に記載されるような、それに類似である調製物。
ii.Albumedix Ltd.から市販のRecombumim(登録商標)アルファ(旧Albucult(登録商標))生成物、または第2の特に好ましい実施形態において以下に記載されるような、それに類似の調製物、または
iii.最も好ましくは、Albumedix Ltd.から市販のAlbIX(登録商標)生成物、または第2の特に好ましい実施形態において以下に記載されるような、それに類似の調製物であり得る。
【0167】
したがって、第1の特に好ましい実施形態において、組換え酵母由来血清アルブミン調製物(最も好ましくはSaccharomyces cerevisiaeでの組換えDNA発現に由来する)は、Albumedix Ltd.から市販のRecombumin(登録商標)プライム(旧Recombumin(登録商標))生成物、またはそれと同様の調製物であり、以下の特徴のうちの1つ以上により特徴付けられ得る。
i.それは、1グラムのアルブミンを基準として、100ng未満のニッケルイオンレベルを有し得る。
ii.それは、Amadori生成物アッセイで測定されるように、0.6モル未満、好ましくは0.10モル未満、0.075モル、もしくは0.05モルのヘキソース/タンパク質1モル未満の糖化レベルを有し得る。
iii.それは、無傷の、すなわち同種の、C末端を有し得る。
iv.それは、0.5%(w/w)未満、好ましくは0.4%、0.3%、0.2%、または0.15%未満のconA結合アルブミン含有量を有し得、
v.それは、少なくとも0.85モルのSH/タンパク質1モルの遊離チオール含有量を有し得る。
vi.それは、実質的にC18またはC20脂肪酸を含まなくてもよく、かつ/あるいは
vii.組換え酵母由来血清アルブミン調製物中のタンパク質の少なくとも99重量%、好ましくは少なくとも99.9重量%は、組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質であり得る。
【0168】
加えてまたはその代わりに、第1の特に好ましい実施形態によれば、組換え酵母由来血清アルブミン調製物(最も好ましくはSaccharomyces cerevisiaeにおける組換えDNA発現に由来する)は、Albumedix Ltd.から市販のRecombumin(登録商標)プライム(旧Recombumin(登録商標))生成物、またはこれに類似の調製物であり、以下の成分を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなることができる。
i.「活性」成分としての酵母由来組換えヒトアルブミン。例えば、酵母由来酵母由来組換えヒトアルブミンは、約10~400g/L、例えば、約20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、または200g/Lの濃度で調製物中に存在し得る。
ii.等張性を調整するためのナトリウム(例えば、NaClの形態で添加)。ナトリウムは、例えば、約145mM、±100mM、80mM、60mM、40mM、20mM、10mM、または5mMの濃度で存在し得る。
iii.安定剤としてのオクタノエートオクタノエートは、例えば、酵母由来組換えヒトアルブミンの10g/L濃度当たり約1.6mMの濃度、例えば200g/Lの調製物については約32mMで存在し得る。この文脈において、「約」という用語は、記述された値の±1.0、0.8、0.6、0.4、または0.2mMを意味することを意図している。
iv.例えば200g/Lの組換えヒトアルブミン濃度については約15mg/Lの濃度で、または他の濃度の組換えヒトアルブミンについては比例的に調整される、安定化剤としてのポリソルベート80。この文脈において、「約」という用語は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.75、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、5、6、7、8、9、または10mg/Lのポリソルベート80が、組換えヒトアルブミンの10g/Lの濃度当たり添加されることを意味することを意図している。
v.希釈剤/ビヒクルとしての水
【0169】
加えてまたは代替的に、第1の好ましい実施形態によれば、組換え酵母由来血清アルブミン調製物(最も好ましくはSaccharomyces cerevisiaeにおける組換えDNA発現に由来する)は、Albumedix Ltdから市販のRecombumin(登録商標)プライム(旧Recombumin(登録商標))生成物、またはそれに類似の調製物であり、以下の特徴のうちの1つ以上(例えば、すべて)により特徴付けられ得る。
(i)理論的質量±20Da(66418~66458)を示す組換えヒトアルブミンの質量分析、
(ii)例えばLALアッセイによって決定されるように、0.50EU/ml以下(好ましくはそれ未満)のエンドトキシン含有量、
(iii)USP<71>試験の要件を満たす無菌性、
(iv)例えば標準的な品質管理方法により決定されるように、6.7~7.3のpH、
(v)例えばネイティブPAGEによって決定されるように、少なくとも99.0%(w/w)(好ましくはそれを超える)のタンパク質純度、
(vi)例えばGP HPLCによって決定されるように、1.0%(w/w)以下(好ましくはそれ未満)のアルブミンポリマー含有量、
(vii)タンパク質19.0~21.0%のケルダール、
(viii)例えば原子吸光分析によって決定されるように、130~160mMのナトリウム含有量。
(ix)例えば可視汚染物質によって決定されるように、目に見える汚染が実質的にない、わずかに粘性のある透明なストローからアンバー色の溶液を含有する、欠陥を含まない、凍結保存および/または保存培地に添加する前のガラスバイアル中の外観、
(x)例えばELISAによって決定されるように、0.15μg/アルブミンタンパク質1g以下(好ましくはそれ未満)の宿主細胞タンパク質含有量、
(xi)例えばCon Aクロマトグラフィーによって測定されるように、0.30%(w/w)以下(好ましくはそれ未満)のタンパク質の組換え酵母由来血清アルブミンのCon A結合種、
(xii)例えば原子吸光分光法によって測定されるように、0.5μg/タンパク質1g以下(好ましくはそれ未満)のニッケル含有量、
(xiii)例えばフレーム原子吸光分析によって測定されるように、0.01mmol/タンパク質1g以下(好ましくはそれ未満)のカリウム含有量、
(xiv)例えば、それぞれ、RP-HPLCによって測定されるように、デルタブルーマトリックス(DBA;WO96/37515に記載されているように)浸出液:0.1μg/タンパク質1g以下(好ましくはそれ未満)の染料フラグメント(DAAS)、0.1μg/タンパク質1g以下(好ましくはそれ未満)の染料ベース、および0.4μg/タンパク質1g以下(好ましくはそれ未満)のDye+スペーサ、
(xv)RP-HPLCの0.18μg/タンパク質1g以下(好ましくはそれ未満)のアミノフェニルボロネート(PBA)浸出液、(xvi)例えばガスクロマトグラフィーによって測定されるように、約28.8mM~約35.2mMの範囲内のオクタノエート含有量、ならびに/または
(xvi)例えばSEC-HPLCによって決定されるように、約10mg/L~約20mg/Lの範囲内のポリソルベート80の含有量。
【0170】
第2の特に好ましい実施形態によれば、組換え酵母由来血清アルブミン調製物(最も好ましくはSaccharomyces cerevisiaeにおける組換えDNAの発現に由来する)は、Albumedix Ltd.から市販のRecombumin(登録商標)アルファ(旧Albucult(登録商標))生成物、またはそれに類似する調製物であり、以下の成分を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり得る。
i.「活性」成分としての酵母由来組換えヒトアルブミン。例えば、酵母由来酵母由来組換えヒトアルブミンは、約10~400g/L、例えば、約20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、または200g/Lの濃度で調製物中に存在し得る。
ii.等張性を調整するためのナトリウム(例えば、NaClの形態で添加)。ナトリウムは、例えば、約145mM、±100mM、80mM、60mM、40mM、20mM、10mM、または5mMの濃度で存在し得る。
iii.安定剤としてのオクタノエートオクタノエートは、例えば、酵母由来組換えヒトアルブミンの10g/L濃度当たり約0.8mMの濃度、例えば100g/Lの調製物については約8mM、および200g/Lの調製物については約16mMで存在し得る。この文脈において、「約」という用語は、記述された値の±0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1mMを意味することを意図している。
iv.例えば100g/Lの組換えヒトアルブミン濃度については約50mg/Lの濃度で、または他の濃度の組換えヒトアルブミンについては比例的に調整される、安定化剤としてのポリソルベート80。この文脈において、「約」という用語は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.75、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、5、6、7、8、9、または10mg/Lのポリソルベート80が、組換えヒトアルブミンの10g/Lの濃度当たり添加されることを意味することを意図している。
v.希釈剤/ビヒクルとしての水
【0171】
加えてまたは代替的に、第2の好ましい実施形態によれば、組換え酵母由来血清アルブミン調製物(最も好ましくはSaccharomyces cerevisiaeにおける組換えDNA発現に由来する)は、Albumedix Ltdから市販のRecombumin(登録商標)アルファ(旧Albucult(登録商標))生成物、またはそれに類似の調製物であり、以下の特徴のうちの1つ以上(例えば、すべて)により特徴付けられ得る。
(i)理論的質量±20Da(66418~66458)を示す組換えヒトアルブミンの質量分析、
(ii)例えばLALアッセイによって決定されるように、0.50EU/ml以下(好ましくはそれ未満)のエンドトキシン含有量、
(iii)USP<71>試験の要件を満たす無菌性、
(iv)例えば標準的な品質管理方法により決定されるように、6.4~7.4のpH、
(v)例えばネイティブPAGEによって決定されるように、少なくとも99.0%(w/w)(好ましくはそれを超える)のタンパク質純度、
(vi)例えばGP HPLCによって決定されるように、1.0%(w/w)以下(好ましくはそれ未満)のアルブミンポリマー含有量、
(vii)例えば原子吸光分析によって決定されるように、120~160mMのナトリウム含有量、
(viii)例えば可視汚染物質によって決定されるように、目に見える汚染が実質的にない、わずかに粘性のある透明なストローからアンバー色の溶液を含有する、欠陥を含まない、凍結保存および/または保存培地に添加する前のガラスバイアル中の外観、
(ix)ELISAにより測定して、アルブミン1グラム当たり約200ngもしくは150ng未満以下(好ましくはそれ未満)の宿主細胞タンパク質含有量、例えば約15ng/アルブミン1g以下のYA53M、および/もしくは約150ng/アルブミン1g以下のYA53H、ならびに/または
(x)例えばCon Aクロマトグラフィーによって測定されるように、0.30%(w/w)以下(好ましくはそれ未満)のタンパク質の組換え酵母由来血清アルブミンのCon A結合種。
【0172】
第3の実施形態によれば、組換え酵母由来血清アルブミン調製物(最も好ましくはSaccharomyces cerevisiaeにおける組換えDNAの発現に由来する)は、Albumedix Ltd.から市販のAlbIX(登録商標)生成物、またはそれに類似する調製物であり、組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質、溶媒、少なくとも175mMのカチオンを含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり得、約5.0~約9.0のpHを有し、調製物は、30mM以下のオクタノエートを含む。
【0173】
第3の実施形態の調製物は、カチオンを平衡させるためにアニオンを含有することが好ましい。
【0174】
第3の実施形態の調製物中の溶媒は、水などの無機溶媒、またはリン酸ナトリウム、リン酸カリウムなどのリン酸緩衝液のような無機緩衝液、または酢酸ナトリウムもしくはクエン酸ナトリウムなどの有機緩衝液であり得る。緩衝液は、pHを安定化し得る。リン酸ナトリウム(例えばNaHPO)は、pH5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0などの好ましいpH緩衝液である。
【0175】
第3の実施形態の調製物は、低レベルのオクタノエートを含む。例えば、調製物が、30mM未満のオクタノエート、より好ましくは約28、26、24、22、20、18、16、15、14、12、10、8mM未満のオクタノエート、さらにより好ましくは約6、5、4、3mM未満のオクタノエート、最も好ましくは約2未満、1、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.01、または0.001mMのオクタノエートを含むことが好ましい。調製物が、オクタノエートを実質的に含まないことが好ましい。最も好ましくは、調製物は、オクタノエートを含まない(0mMのオクタノエート)。
【0176】
第3の実施形態の調製物における脂肪酸の好ましいパラメータを、以下に提供する。脂肪酸含有量は、好ましくは複数の試料、例えば2、3、4、または5つの試料の平均である。
【表1】
【0177】
第3の実施形態の調製物の全脂肪酸含有量は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM以下、より好ましくは15、10、5、4、3、2、または1mM以下であることも好ましい。組成物が、脂肪酸を実質的に含まない、より好ましくは脂肪酸を含まないことがより好ましい。
【0178】
100g.L-1のアルブミン、1mM以下のオクタノエート、250mMのNaを含み、約6.5のpHを有する、第3の実施形態の酵母由来組換えアルブミン調製物の脂肪酸プロファイルおよび金属イオンプロファイルを、それぞれ、図9および図10に提供する。これらは、第3の実施形態の酵母由来組換えアルブミン調製物の特に好ましいプロファイルである。アルブミン調製物は、図9および図10のプロファイルのいずれかまたは両方に適合し得る。
【0179】
カチオンは、少なくとも約175mM、例えば少なくとも約200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、650、700、750、800、850、900、950、1000mMの第3の実施形態の酵母由来組換えアルブミン調製物中に存在することが好ましい。好ましい最大カチオン濃度は、1000、950、900、850、800、750、700、650、600、575、550、525、500、475、450、425、400、375、350、325、300、275、および250mMを含む。好ましいカチオン濃度は、200~500mMを含む。より好ましいのは、約200~350mMのカチオン濃度である。最も好ましいのは、約250mMのカチオン濃度である。
【0180】
第3の実施形態の酵母由来組換えアルブミン調製物のpHは、約5.0~約9.0、例えば、約5.0、5.25、5.5、5.75、6.0、6.25、6.5、6.75、7.0、7.25、7.5、7.75、8.0、8.25、または8.5~約5.5、5.75、6.0、6.25、6.5、6.75、7.0、7.25、7.5、7.75、8.0、8.25、8.5、8.75、または9.0であり得る。pHは、約5.0~8.0、例えば約6.0~約8.0、より好ましくは約6.0~約7.0、または6.0~6.5であることが好ましい。最も好ましいpHは、約6.5である。
【0181】
第3の実施形態の酵母由来組換えアルブミン調製物のカチオンは、任意のカチオンによって提供され得、以下に記載されるような1つ以上(いくつか)のクラスまたは種によって提供され得る。例えば、カチオンは、一価または二価、単原子または多原子であり得、1つ以上(いくつか)のアルカリ金属(ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウムなど)、またはアンモニウムによって提供され得る。カチオンは、ナトリウムおよび/またはカリウムおよび/またはマグネシウム、最も好ましくはナトリウムまたはマグネシウムによって提供されることが好ましい。
【0182】
カチオンは、無機酸の塩(例えば、塩化ナトリウムなどの第1族または2族の金属またはアンモニウム塩)、2価の酸の塩(例えば、硫酸ナトリウムなどの、第1族または2族の金属またはアンモニウムスルファートまたはホスフェート)、または有機酸の塩(例えば、酢酸ナトリウムなどの酢酸塩またはクエン酸塩の第1族または2族の金属またはアンモニウム塩)によって第3の実施形態の酵母由来組換えアルブミン調製物に提供され得る。
【0183】
第3の実施形態の酵母由来組換えアルブミン調製物中のアルブミンを安定化するために使用されるカチオンおよびアニオンは、(i)塩および/または(ii)本明細書に記載される、pH緩衝液によって提供され得る。したがって、2種または3種など、1種を超える(いくつかの)種のカチオンまたはアニオンが存在し得る。単一のカチオンの1種を超える(いくつか)の供給源、例えば、pH緩衝液(例えばリン酸ナトリウム)および塩(例えばNaCl)の両方によって提供され得るNaが存在し得る。
【0184】
第3の実施形態の酵母由来組換えアルブミン調製物に有用なアニオンとしては、ホスフェートなどの無機アニオン、および塩化物などのハロゲン化物、ならびに酢酸塩およびクエン酸塩などの有機アニオンが挙げられる。アニオンは、一価または二価、単原子または多原子のいずれかであり得る。好ましいアニオンとしては、硫酸塩、酢酸リン酸塩、および塩化物、特に塩化物、硫酸塩、および酢酸塩が挙げられる。
【0185】
したがって、第3の実施形態の酵母由来組換えアルブミン調製物は、アルカリ金属リン酸塩または塩化物(例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、塩化ナトリウム、または塩化カリウム)、アルカリ土類金属リン酸塩(リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなど)またはリン酸アンモニウムもしくは塩化アンモニウムを1つ以上(いくつか)含み得る。
【0186】
第3の実施形態の酵母由来組換えアルブミン調製物は、少なくとも175mmol.L-1の全体的なイオン強度を有し得る。例えば、約175mmol.L-1~1000mmol.L-1、例えば、約175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、650、700、750、800、850、900、950、1000mmol.L-1~約1000、950、900、850、800、750、700、650、600、575、550、525、500、475、450、425、400、375、350、325、300、275、250mmol.L-1。より好ましいのは、約200~350mmol.L-1の全イオン強度である。最も好ましいのは、約250mmol.L-1のイオン強度である。
【0187】
第3の実施形態の酵母由来組換えアルブミン調製物が、20mg.L-1未満の洗剤(例えば、ポリソルベート80)、好ましくは15mg.L-1未満、10、5、4、3、2、1、0.5、0.1、0.01、0.001mg.L-1の洗剤(例えば、ポリソルベート80)であることが好ましい。さらにより好ましくは、調製物は、洗剤(例えば、ポリソルベート80)を実質的に含まない。最も好ましくは、調製物は、洗剤(例えば、ポリソルベート80)を含まない。洗剤(例えば、ポリソルベート80)のレベルは、当業者に公知の技術、例えば、限定されないが、WO2004/099234(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるアッセイによってアッセイされ得る。
【0188】
第3の実施形態の酵母由来組換えアルブミン調製物は、低レベルのアミノ酸(例えばN-アセチルトリプトファン)を有するか、アミノ酸(例えばN-アセチルトリプトファン)を実質的に含まないか、またはアミノ酸(例えばN-アセチルトリプトファン)を含まない、アルブミン組成物であり得る。第3の実施形態の酵母由来組換えアルブミン調製物は、5mM未満のアミノ酸(例えばN-アセチルトリプトファン)、好ましくは4mM未満、3、2、1、0.5、0.1、0.01、0.01、0.005、0.001mMのアミノ酸(例えば、N-アセチルトリプトファン)を含むことが好ましくあり得る。さらにより好ましくは、第3の実施形態の酵母由来組換えアルブミン調製物は、アミノ酸(例えば、N-アセチルトリプトファン)を実質的に含まない。最も好ましくは、調製物は、アミノ酸(例えば、N-アセチルトリプトファン)を含まない。
【0189】
第3の実施形態の酵母由来組換えアルブミン調製物は、オクタノエート、アミノ酸(例えばN-アセチルトリプトファン)、および洗剤(例えば、ポリソルベート80)を実質的に含まないか、または完全に含まないことがさらにより好ましい。
【0190】
第3の実施形態の酵母由来組換えアルブミン調製物の安定性は、水中または150mMのNa中で同等のアルブミンの安定性よりも高いことが好ましい。特にアルブミンの不溶性凝集体の形成に関する安定性を比較するための1つの方法は、
i)アルブミン調製物のアリコート(例えば1mL)をキュベット(例えば、Sarstedt 10×4×45mmなどのポリスチレンキュベット)に入れる、
ii)予め平衡化され、所望の温度、例えば65℃に制御されている温度制御分光光度計にキュベットを入れる、
iii)所定の間隔(例えば18秒)で読みを取ることによって、所望の期間(例えば2時間)にわたって空のキュベットに対して参照される350nmでの組成物の吸光度をモニター/測定する、
iv)最初のいくつかの(例えば7つの)データポイントを取ってデータを処理し、データポイントの読みを平均し、すべてのデータポイントからこのデータポイントを差し引いて約0の基本吸光度値を得る、
v)処理された吸光度値がこのベースラインより0.1AU(吸光度単位)増加するのにかかる時間を決定および/または記録する。
安定性分析は二重に行われることが好ましい。
第3の実施形態の酵母由来組換えアルブミン調製物の安定性は、150mMのNaまたは水などの溶媒中の同じ濃度のアルブミンの対照溶液と比較し、同じ条件下で測定された、測定された吸光度がベースラインを超えて0.1AU増加するのにかかる時間(65℃で行われる上記の試験に従って)が、少なくとも10%良好であるのに十分に高いことが好ましい。安定性は、少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、または100%良好であることがより好ましい。
【0191】
特にアルブミンの可溶性凝集体の形成に関する代替的または追加的な安定性試験は、設定温度で経時的にGP-HPLCによって可溶性アルブミンポリマーの形成をモニターすることである。GP HPLCによる測定による1つの適切な安定性試験は、以下を含む。
i)調査する各試料の10mLを滅菌する(例えば、滅菌0.22μmフィルタを通して濾過する)滅菌バイアル(例えば、焼成10mLガラスバイアル)に入れ、次いでこれに栓をする(例えば、滅菌ブチルゴムシールを用いて、任意に、過密封)。
ii)次いで、約200μLのT0試料を採取し、バイアルを特定の温度(例えば、特定の温度(例えば、約40℃)に設定される水浴中に入れた)でインキュベートする。
iii)次いで、ある特定の時点(例えば14日)後に各バイアルから試料(約200μL)を採取する。
iv)バイアルから取り出したアルブミン試料のアリコート(例えば25μL)をGP-HPLCカラム(例えば内径7.8mm×長さ300mmのTSK G3000SWXLカラム、(Tosoh Bioscience)に内径6.0mm、長さ40mmのTSK SWガードカラム(Tosoh Bioscience))を用いて注入する、
v)アリコートを、適切な緩衝液(例えば、25mMのリン酸ナトリウム、100mMの硫酸ナトリウム、0.05%(w/v)アジ化ナトリウム、pH7.0)中で適切な速度(例えば1mL/分)でクロマトグラフする
vi)例えば280nmでのUV検出によってクロマトグラフ手順を監視する、
vii)アリコートの単量体、二量体、三量体、およびポリマー含有量のうちの1つ以上(いくつか)、またすべてを%(w/w)として、総ピーク面積に対するそれらのそれぞれのピーク面積を特定することによって定量化する。
【0192】
試験は3回実施することが好ましい。
【0193】
したがって、第3の実施形態の酵母由来組換えアルブミン調製物は、上記の試験の一方または両方において定義される、安定性を有することが好ましい。
【0194】
第3の実施形態の好ましい酵母由来組換えアルブミン調製物は、50~250g.L-1の酵母由来組換えアルブミンタンパク質、200~300mMのNa(例えば、225~275mMのNa)、20~30mMのリン酸塩を含み、2mM未満のオクタノエートを含み、約6.0~7.0のpH(例えば、約pH6.5)を有する。特に好ましい調製物は、50~150g.L1の酵母由来組換えアルブミンタンパク質、225~275mMのNa、20~30mMのリン酸塩を含み、1mM未満のオクタノエートを含み、約6.5のpHを有する。
【0195】
第3の特に好ましい実施形態によれば、組換え酵母由来血清アルブミン調製物(最も好ましくはSaccharomyces cerevisiaeにおける組換えDNA発現に由来する)は、Albumedix Ltd.から市販のAlbIX(登録商標)生成物、またはそれに類似の調製物であり、以下の成分を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれらからなり得る。
i.「活性」成分としての酵母由来組換えヒトアルブミン。例えば、酵母由来酵母由来組換えヒトアルブミンは、約10~400g/L、例えば、約20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、または200g/Lの濃度で調製物中に存在し得る。
ii.等張性を調整するためのナトリウム(例えば、NaClの形態で添加)。ナトリウムは、例えば、少なくとも約150mM、より典型的には約200~約300mMの濃度で存在し得る。
iii.希釈剤/ビヒクルとしての水または緩衝液。
iv.オクタノエート、アミノ酸(例えば、N-アセチルトリプトファン)および洗剤(例えば、ポリソルベート80)を実質的に含まないか、または完全に含まない。
【0196】
加えてまたは代替的に、第3の好ましい実施形態によれば、組換え酵母由来血清アルブミン調製物(最も好ましくはSaccharomyces cerevisiaeにおける組換えDNA発現に由来する)は、Albumedix Ltdから市販のAlbIX(登録商標)生成物、またはそれに類似の調製物であり、以下の特徴のうちの1つ以上(例えば、すべて)により特徴付けられ得る。
(i)例えばネイティブPAGEによって決定されるように、少なくとも99.0%(w/w)(好ましくはそれを超える)の組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質の純度、
(ii)例えばUSP<85>試験によって決定されるように、0.50EU/ml以下(好ましくはそれ未満)、より好ましくは0.01EU/mg以下(好ましくはそれ未満)のエンドトキシン含有量の組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質、
(iii)例えばUSP<791>試験によって決定されるように、6.0~7.0のpH、
(iv)例えば原子吸光分光法によって決定されるように、200~300mMのナトリウム含有量、
(v)例えば目視検査によって決定されるように、透明で淡いストローから琥珀色の溶液である外観、
(vi)例えばCon Aクロマトグラフィーによって決定されるように、0.30%(w/w)以下(好ましくはそれ未満)のタンパク質の、組換え酵母由来血清アルブミンのCon A結合種。
【0197】
誤解を避けるために、本明細書で使用される「組換え酵母由来血清アルブミン調製物」という用語は、具体的には、血漿由来アルブミン生成物を除外する。それはまた、植物における組換え発現などによって、非酵母源に由来する組換えアルブミン生成物を特に除外する。
【0198】
歴史的に、血清アルブミン調製物の製造のためのヒトアルブミンを調達する古典的な方法は、それをヒト血液から精製し、それによって血漿由来血清アルブミン調製物を作り出すことであった。血漿から得られたヒトアルブミンは、米国では連邦規制基準(CFR)タイトル21、食品医薬品局、第1章-Food And Drug Administration Department Of Health And Human Services,Subchapter F Biologics,Part 640 Additional Standards For Human Blood And Blood Products,Subpart H Albumin(Human)、セクション640.80~86によって解釈されている。この標準は、ほとんど要件を有していないが、例えば、(i)製剤は、安定剤(複数可)として存在する、タンパク質1グラム当たり0.08±0.016ミリモルのカプリル酸ナトリウム(すなわちオクタン酸ナトリウム)または0.08±0.016ミリモルのアセチルトリプタン酸ナトリウムおよび0.08±0.016ミリモルのカプリル酸ナトリウムを含有しなければならない、(ii)製剤は、60±0.5℃の到達温度で少なくとも10、または11時間を超えて連続的に加熱することによって熱処理されなければならない、(iii)タンパク質組成は、最終生成物中の全タンパク質の少なくとも96%アルブミンでなければならない、(iv)pHは、0.15モルの塩化ナトリウムでタンパク質1パーセントの濃度に希釈した最終生成物の溶液中で測定したとき、6.9±0.5でなければならない、(v)最終生成物のナトリウム濃度は、1リットル当たり130~160ミリグラム当量でなければならない、(vi)最終生成物のカリウム濃度は、1リットル当たり2ミリグラム当量を超えてはならない、(vii)この加熱を受けていない同じロットからの、試料からなるその対照と比較したとき、57℃で50時間加熱した後に、目視検査によって判定されるように、最終容器試料が変化しないときに示されるように、熱安定性を実証しなければならないことを特定する。
【0199】
米国薬局方(USP)とは、その要件の基礎として上記のCFR登録を指し、健常なヒトドナーから材料(供給源の血液、血漿、血清または胎盤)、B型肝炎表面抗原の不在について試験されている供給源の材料を分画することによって得られた血清アルブミンの無菌非発熱性調製物としての生成物を指す。安定剤としてカプリル酸ナトリウムを含むか、または含まないアセチルトリプトファン酸ナトリウム、および1L当たり少なくとも130mEqおよび1L当たり160mEq以下のナトリウム含有量を含むことが述べられている。403nmの波長で測定された、1cmの保持細胞中で1パーセントのタンパク質を含有するように希釈された溶液の吸光度が0.25以下であるようなヘム含有量を有すると述べられている。
【0200】
欧州薬局方(EP)のモノグラフ0255は、血漿から得られたタンパク質の水溶液としてヒトアルブミン溶液を記載しており、これは分画のための血漿に関するモノグラフの要件、ヒト(0853)に準拠している。カプリル酸ナトリウム(オクタン酸ナトリウム)またはN-アセチルトリプトファンまたはこれら2つの組み合わせのような熱の影響に対する好適な安定剤を含むことが特定されている。調製物がバクテリア保持フィルタを通過し、無菌容器に無菌的に分配されることを含む方法によって調製物が生成されることを特定し、その後、その最終容器中の溶液を、60±1.0℃に加熱し、この温度に10時間以上維持する。次いで、容器を30~32℃で14日以上または20~25℃で4週間以上インキュベートし、微生物汚染の証拠について視覚的に検査する。
【0201】
すべての場合において、血漿由来血清アルブミン調製物についてのCFR、USP、およびEPは、少量の他の血漿タンパク質および他の混入物の存在を示すことを許可されている。例えば、血漿由来血清アルブミン調製物は、典型的には、以下を含む。
・単量体ヒトアルブミンとは異なる、最大4%、または5%の供給源由来タンパク質。
・(下記の方法により決定される)0.15以下であるヘム含有量、
・最大35IU/mlのプレカリクレイン活性化因子の含有量、
・1リットル当たり最大200μgのアルミニウム、
・タンパク質1グラム当たり最大0.05mmolのカリウム、および
・ナトリウム:1リットル当たり最大160mmolのNa。
【0202】
アルブミン調製剤中のヘム含有量は、以下の方法を用いて試験することができる。10g/lのタンパク質を含む溶液を得るために、9g/lの塩化ナトリウムRの溶液を用いて試験する調製物を希釈する。溶液の吸光度は、補償液として水Rを用いて403nmで測定した。
【0203】
アルブミン調製剤中のアルミニウム含有量は、以下の方法を用いて試験することができる。原子吸光分析:原子発生器として炉を使用する。溶液を調製するためにプラスチック容器を使用する。使用前に装置を硝酸(200g/lのHNO)で洗浄する。試験液:試験する調製剤を使用する。検証溶液:アルミニウム検証BRPについてはヒトアルブミンを使用する。参照溶液:既知体積の水Rに好適な体積のアルミニウム標準溶液(10ppm Al)Rを加えることによって好適な範囲の参照溶液を調製する。1.7g/lの硝酸マグネシウムRおよび0.05パーセントV/Vのオクトキシノール10Rを含有する硝酸(10g/lのHNO3)を用いて必要に応じて溶液を希釈する。309.3nmで吸光度を測定する。アルミニウム検証BRPについては、ヒトアルブミンについて決定されたアルミニウム含有量が、参照調製物に添付のリーフレットに記述された値の20%以内である場合、試験は有効である。
【0204】
アルブミン調製物中のカリウム含有量は、原子発光分析法、波長:766.5nmを用いて試験することができる。
【0205】
アルブミン調製物中のナトリウム含有量は、原子発光分析法、波長589nmを用いて試験することができる。
【0206】
組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質およびその調製物は、「無血清」である。すなわち、組換え酵母由来血清アルブミンは、血清(例えば、ヒト血清、ウシ胎児血清(FBS)、ウマ血清、ヤギ血清、または当業者に知られている任意の他の動物由来血清)を含まない。したがって、組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、出発物質中に存在しないので、一般に、血清由来汚染物質を全く含まないであろう。
【0207】
組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質およびその調製物は、血液、血漿、血清、または胎盤などの血清アルブミンの天然に存在する生物学的供給源からの血清アルブミンの調製に使用される供給源材料から特に由来する成分を含まない。供給源材料に特に由来する成分には、ヘム、プレカリクレイン活性化因子、ならびに/または血液、血漿、血清、もしくは胎盤などの血清アルブミンの天然に存在する生物学的供給源から由来する、他の非アルブミンタンパク質、ペプチド、もしくはアミノ酸が含まれる。血液、血漿、血清、または胎盤などの血清アルブミンの天然に存在する生物学的供給源からの血清アルブミンの調製物はまた、発熱物質および/または内毒素も含み得る。それらはまた、病気を引き起こし得るウイルス(C型肝炎を含む)のような感染性物質も含み得る。典型的には、そのような生成物が感染性病原体を伝播する危険性は、ある特定のウイルスへの以前の曝露について血漿ドナーをスクリーニングすることによって、ある特定の現在のウイルス感染の存在について試験することによって、ならびにある特定のウイルスを不活化および/または除去することによって低減されているが、これらの手段に関わらず、そのような生成物は、依然として潜在的に病気を伝播し得る。未知の感染因子がそのような生成物中に存在し得るという可能性もある。
【0208】
対照的に、例えば、組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質およびその調製物は、ヘムがなくてもよく、一方、ヘムは、例えば溶液の吸光度によって試験され、1cmの保持細胞中に1パーセントのタンパク質を含有するように希釈され、403nmの波長で測定されるとき、血漿由来血清アルブミン調製物中で検出されるであろう。
【0209】
組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質およびその調製物は、プレカリクレイン活性化因子を含まなくてもよいが、プレカリクレイン活性化因子は、血漿由来血清アルブミン調製物中で検出されるであろう。
【0210】
発熱物質は、血漿由来血清アルブミン調製物中で検出され得るが、発熱物質は、典型的には、本発明における使用のために、組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質およびその調製物中ではるかに低いレベルである。
【0211】
組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質およびそれらの調製物、ならびにそれらから調製され、本発明に従って使用される培地(例えば、凍結保存培地および/または保存培地)は、ヒトウイルス(C型肝炎を含む)を含まなくてよいが、一方、ヒトウイルス(C型肝炎を含む)は、血漿由来血清アルブミン調製剤中で検出され得る。
【0212】
組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質およびそれらの調製物、ならびにそれらから調製され、本発明に従って使用される培地(例えば、凍結保存培地および/または保存培地)は、低レベルのオクタノエートを含み得る。例えば、組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、3.0、2.5、2.0、1.5、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.02、0.01、0.009、0.008、0.007、0.006、0.005、0.04、0.003、0.002、または0.001mM未満のオクタノエートを含むか、オクタノエートを実質的に含まないか、またはオクタノエートを含まない(0mMのオクタナート)ことが好ましくあり得る。対照的に、血漿由来血清アルブミン調製物は、典型的には、タンパク質1グラム当たり0.08±0.016ミリモルのカプリル酸ナトリウムを含有する(20%w/vの血漿由来血清アルブミン調製物については、これは16mM±3.2mMのカプリル酸ナトリウム濃度に対応し、4%w/vの血漿由来血清アルブミン調製物については、これは3.2mM±0.64mMのカプリル酸ナトリウム濃度に対応する)。
【0213】
組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質およびそれらの調製物、ならびにそれらから調製され、本発明に従って使用される培地(例えば、凍結保存培地および/または保存培地)は、低レベルのN-アセチルトリプトファンを含み得る。例えば、組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、3.0、2.5、2.0、1.5、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、0.01、0.009、0.008、0.007、0.006、0.005、0.04、0.003、0.002、または0.001mM未満のN-アセチルトリプトファンを含むか、N-アセチルトリプトファンを実質的に含まないか、またはN-アセチルトリプトファンを含まない(0mMのN-アセチルトリプトファン)ことが好ましくあり得る。対照的に、血漿由来血清アルブミン調製物は、典型的には、タンパク質1グラム当たり0.08±0.016ミリモルのN-アセチルトリプトファンを含有する(20%w/vの血漿由来血清アルブミン調製物については、これは16mM±3.2mMのN-アセチルトリプトファン濃度に対応し、4%w/vの血漿由来血清アルブミン調製物については、これは3.2mM±0.64mMのN-アセチルトリプトファン濃度に対応する)。
【0214】
本発明に従って使用するための酵母由来組換えアルブミン調製物、ならびにそれから調製され、本発明に従って使用される培地(例えば、凍結保存培地および/または保存培地)は、N-アセチルトリプトファンを実質的に含まないか、またはオクタノエートおよびN-アセチルトリプトファンを完全に含まないことがさらにより好ましくあり得る。
【0215】
さらに、典型的には、本発明に従って凍結保存培地および/または保存培地の形成に使用される組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびにそれから調製され、本発明に従って使用される培地(例えば、凍結保存培地および/または保存培地)は、200μg.L-1未満、例えば、180μg.L-1、160μg.L-1、140μg.L-1、120μg.L-1、100μg.L-1、90μg.L-1、80μg.L-1、70μg.L-1、60μg.L-1、50μg.L-1、または40μg.L-1未満、より典型的には、約10μg.L-1~約30μg.L-1の範囲内のアルミニウム濃度を有する。
【0216】
したがって、本発明で使用するための組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、血液、血漿、血清、または胎盤などの血清アルブミンの天然に存在する生物学的供給源から得られた血清アルブミン組成物と物理的に異なる。
【0217】
本発明で使用するための組換え酵母由来血清アルブミン調製物はまた、(例えば、植物における組換え発現によって)他の供給源から得られた血清アルブミン組成物とは物理的に異なる。少なくとも部分的には、他の供給源から得られた血清アルブミンと比較して、組換え酵母由来血清アルブミン中のアルブミンタンパク質は、供給源によってタンパク質に課された変化および変更が比較的ないからである。
【0218】
例えば、血漿由来血清アルブミン調製物および組換え植物由来血清アルブミン調製物は、典型的には、アルブミンタンパク質から1つ、またはより一般的には2つのN末端アミノ酸を失うことが知られている。理論によって拘束されるものではないが、これは血漿由来血清アルブミン調製物および組換え植物由来血清アルブミン調製物の製造に使用される製造プロセスにおける加熱の使用によるものですると考えられる。対照的に、組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、典型的には、無傷のN末端アミノ酸配列を有する。したがって、本発明で使用するための組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質およびその調製物は、無傷または実質的に無傷のN末端配列を有することが好ましくあり得る。その点に関して、タンパク質は、1.5%の定量レベルで無傷な質量分析を用いて試験したとき、N末端の喪失が観察されない場合、無傷なN末端配列を有すると定義され得る。
【0219】
さらに、実施例5のデータは、組換え酵母由来血清アルブミン調製物および組換え植物由来血清アルブミン調製物における明らかな物理的差異を実証する。
【0220】
より具体的には、実施例5に示されるように、酵母由来血清アルブミン調製物の質量分析プロファイリングは、還元Cys34残基と共に、主に天然の無傷なヒト血清アルブミン分子を含む組換え酵母由来血清アルブミン調製物を表す約66.4kDaの単一種を示す。本出願の図1に示されるように、無傷な質量分析によって試験されたすべての組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、天然の無傷なヒト血清アルブミン分子を表す約66.4kDaの単一の主要ピーク、および非常に低レベルの他のピークを示した。対照的に、試験した2つの組換え植物由来血清アルブミン調製物は、天然の無傷なヒト血清アルブミン分子を表す約66.4kDaの主要ピークとは異なる多数のピークを示した。
【0221】
したがって、本発明に従って使用される酵母由来組換え血清アルブミン調製物は、質量分析法によって試験したとき、(例えば図1に示される試料などの組換え植物由来血清アルブミンタンパク質と比較して)天然の無傷なヒト血清アルブミン分子を表す約66.4kDaの主要ピークとは異なる、実質的に少ないピーク(例えば、50%よりも低い、40%、30%、20%、10%、5%、またはそれ以下など)を示す生成物である調製物であることが好ましくあり得る。
【0222】
さらに、実施例5に示されるように、異なる組換え血清アルブミン生成物は、異なるレベルの色素沈着を示す。図3に示される画像は、Recombumin(登録商標)プライムおよびRecombumin(登録商標)アルファが評価された生成物の中で最も着色が少ないことを示しており、どちらの生成物も透明/麦わら色をしている。代替生成物は、米由来生成物である供給者1からのアルブミンによる色素沈着のレベルの増加を示し、最大の色素沈着を示し、最終生成物は橙色/琥珀色を有する。
【0223】
したがって、本発明に従って使用される酵母由来組換え血清アルブミン調製物は、橙色/琥珀色として存在するには色素沈着が少なすぎる調製物であることが好ましくあり得、最も好ましくは、透明、麦わら色、または麦わら色から琥珀色である。
【0224】
さらに、実施例5に示されるように、酵母由来の組換えアルブミン調製物は、植物由来組換えアルブミン調製物よりも著しく高い遊離チオール基含有量を有するアルブミンタンパク質を含んでいた。したがって、酵母由来組換え血清アルブミン調製物は、(具体的にはCys34で)62%超、例えば、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、約96%、約97%である遊離チオール基含有量を有するアルブミンタンパク質を含むことが好ましくあり得る。実際には、遊離チオール基含有量は、約85%または約97%であり得る。この文脈における「約」という用語は、任意に、±3、2、または1%を含むことを意図している。
【0225】
さらに、Frahm et al,2014,PLOS One,9(1):e109893(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、酵母由来組換え血清アルブミンの特性が血漿由来血清アルブミンおよび組換え植物由来血清アルブミン生成物と比較された研究を報告した。具体的には:
・試験された酵母由来組換え血清アルブミン生成物は、Albumedix Ltd.から市販されている、Recombumin(登録商標)アルファ(旧Albucult(登録商標))およびRecombumin(登録商標)プライム(旧Recombumin(登録商標))であり、両方とも、Saccharomyces cerevisaeにおいて発現され、AlbagenはPichia pastorisにおいて発現され、Sigma-Aldrichから供給され、これらはそれぞれ、Frahmらにより「ScrHSA」、「Recombumin(登録商標)」、および「PrPHSA」と称された。
・試験された植物由来組換え血清アルブミン生成物は、CellastimからのOrzya sativa(米)で発現された4つの異なるロットの血清アルブミン(Frahmらによって「OsrHSA-sig-C」、「OsrHSA-sig-G」、「Osr-sig-H」、および「OsrHSA-sig-J」と称される)であり、eEnzyme LLC(「OrsHSA-phy」)、ScienCell Research Laboratories(「OsrHSA-sci」)、およびamsbio LLC(OsrHSA-ams)からの3つのさらなる異なる米由来組換え血清アルブミン生成物、および
・血漿由来血清アルブミン生成物は、Sigma-Aldrichの本質的にFAを含まないアルブミン(「pHSA」)であった。
【0226】
Frahmらは、一方では、酵母由来組換え血清アルブミン生成物と、他方では、血漿由来血清アルブミンおよび組換え植物由来血清アルブミン生成物との間に多数の相違点を見出した。
【0227】
例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって評価するとき、Frahmらは、酵母由来組換え血清アルブミン生成物が特徴的な単一の集束ピークを生成することを示した。結果は以下のとおりである。
【表2】
【0228】
したがって、すべての試料が約17.3~17.4分に溶出する主要ピークを示したのに対して、酵母由来組換え血清アルブミン生成物のみが、14分未満のピーク保持時間を有する高分子量混入物質に対応するピーク、および19分を超えるピーク保持時間を有する低分子量の混入物質に対応するピークを除外するSECプロファイルを示した。
【0229】
さらに、Saccharomyces cerevisaeに由来し、Albumedix Ltd.から市販されている酵母由来組換え血清アルブミン生成物(すなわち、それぞれ、Frahmらによって「ScrHSA」および「Recombumin(登録商標)」と呼ばれるRecombumin(登録商標)アルファおよびRecombumin(登録商標)プライム)は、14分未満および18分を超えるピーク保持時間を有するピークを除外する、SECプロファイルを示す唯一の試験生成物である(実際、ScrHSA生成物は、ピーク保持時間が15分以内および18分を超えるピーク保持時間を有するピークを除外するSECプロファイルを示した)。それらはまた、90%を超える相対量を表す主要ピークを示す、試験された唯一の生成物でもある。
【0230】
したがって、本発明に従って使用される酵母由来組換え血清アルブミン調製物は、SECによって試験したとき、14分未満および19分を超えるピーク保持時間を有するピークを除外し、より好ましくは、14分または15分未満および18分を超えるピーク保持時間を有するピークを除外する、SECプロファイルを示す生成物であることが好ましくあり得る。本発明に従って使用される酵母由来組換え血清アルブミン調製物は、SECによって試験したとき、90%超、例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、または少なくとも約99.4%超である相対量を表す主要ピークを示す生成物である調製物であることも好ましくあり得る。
【0231】
前述の定義において、そのような測定に使用されるSEC技術は、Frahm et al,2014,PLOS One,9(1):e109893(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)の方法であることが好ましくあり得る。具体的には、サイズ排除クロマトグラフィーシステムは、Waters 2996フォトダイオードアレイ検出器(Waters Corporation,Milford,MA,USA)を取り付けたWaters Alliance 2695 Separations moduleであり得る。機器操作およびデータ取得および操作は、Waters Empower 2クロマトグラフィーマネージャー(Waters Corporation)を用いて実施してもよい。500×8.0mmの内部寸法を有するYMC-Pack Diol-200カラム(製品番号DL20S05-5008WT、YMC America,Inc.,Allentown,PA,USA)を0.8ml/分の流速で使用してもよい。移動相は、0.1Mのリン酸ナトリウム、0.15Mの塩化ナトリウム(pH7.0)を含むことができ、ピークは、214nmの波長で検出してもよい。
【0232】
Frahmらは、RP-HPLC分析により、血漿由来HSA(すなわち、「pHSA」)が、不均一であり、2つの主要なピーク、1および2を示し、これらのそれぞれが、より疎水性のピーク2の一部として溶出する天然HSAを有するいくつかの成分からなることをこれまでに示していることをさらに報告した。酵母由来調製物であるRecombumin(登録商標)アルファおよびRecombumin(登録商標)プライム(それぞれ、Frahmらにより「ScrHSA」および「Recombumin(登録商標)」と称される)ならびにPprHSAのRP-HPLC分析は、主要ピークがピーク2であることを示し、これは、酵母由来調製物中のHSAの大部分が天然型で存在することを示唆した。Sigma-Aldrichから供給されたOsrHSAのRP-HPLCは、すべてのロットの主要ピークがピーク1であることを示し、Sigma-Aldrichから供給された植物由来のOsrHSAの大部分が修飾型として存在することを示唆した。すべての他の形態のOsrHSA(OsrHSA-sci、-phy、および-ams)もまた、ピーク1に対応するピークを示した。
【0233】
したがって、本発明に従って使用される酵母由来組換え血清アルブミン調製物は、RP-HPLCによって試験したとき、pHSAのピーク2に対応する単一の主要ピークを示す生成物であり、酵母由来組換え血清アルブミン調製物中の血清アルブミンの大部分が天然型で存在することを示す、調製物であることが好ましくあり得る。
【0234】
前述の定義において、そのような測定に使用されるRP-HPLC技術は、Frahm et al,2014,PLOS One,9(1):e109893(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)の方法であることが好ましくあり得る。具体的には、HPLCシステムは、Waters 2996 U/V-Visフォトダイオードアレイ検出器に連結された、カラムヒーターおよび試料冷却装置を有するオートサンプラーを備えたWaters Alliance 2695クロマトグラフを使用してもよい。データの取得および統合は、例えば、WatersからのEmpower Proソフトウェアを使用して実施され得る。分離条件は、Girard et al.,Biomed.Chromatogr.,12:183-184(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるとおりであり得る。簡言すれば、カラムは、Aquapore RP-300,C8,7μm、内径220×2.1mm(Brownlee)であり得、50℃に維持され得る。移動相A(MP A)は、10%のアセトニトリル/90%の水中の0.05%のトリフルオロ酢酸(TFA)からなり得、移動相B(MP B)は、90%のアセトニトリル/10%の水中の0.05%のTFAであり得、移動相C(MP C)は、アセトニトリル中の0.05%のTFAであり得る。安定したベースラインが得られるまで、カラムは、MP AとMP Bの混合物(70:30)で平衡化することができる。溶出は、MP A/MP B(70:30)からなる多段階勾配(0.7ml/分)を1分間用いて、5分間にわたってMP A/MP B(65:35)に対して線形勾配(0.7ml/分)、19分間にわたってMP A/MP B(61:39)に対して線形勾配(0.7mL/分)、10分間にわたってMP A/MP B(50:50)に対して線形勾配(0.7ml/分)、5分間にわたってMPCに対して線形勾配(1.0mL/分)、MPCで12分間、3分間にわたってMP A/MP B(70:30)に対して線形勾配を用いて実施され得る。流出液は、220nmでモニターされ得る。
【0235】
Frahmらはまた、質量分析を使用して、リジン/アルギニン残基の示差的糖化も評価した。結果は、血漿試料(pHSA)およびすべての植物由来(OsrHSA)組換え血清アルブミン調製物と比較して、すべての酵母由来組換え血清アルブミン調製物においてより少ない数のヘキソース修飾リジンまたはアルギニン残基を示した。結果は以下のとおりである。
【表3】
【0236】
Frahmらは、Recombumin(登録商標)プライムでは修飾された8個のヘキソース、Recombumin(登録商標)アルファでは修飾された5個のヘキソースを見出したが、これらは調製剤中の分子の完全集団にわたって定義されており、すべて、1つのアルブミンタンパク質分子で修飾されるわけではないことを、本出願者はさらに留意する。個々のRecombumin(登録商標)プライムアルブミン分子は、1または2個のみ、おそらく3個でさえ有する可能性があるが、すべて、8個のヘキソース修飾KおよびR残基を持つわけではないであろう。
【0237】
したがって、本発明に従って使用される酵母由来組換え血清アルブミン調製物は、質量分析法によって試験したとき、1タンパク質当たり13未満、より好ましくは12、11、10、9、8、7、6未満、例えば、約1~11、1~8、1~5、1~4、1~3、1~2、1、または1未満のヘキソース修飾リジンもしくはアルギニン残基を示す生成物である調製物であることが好ましくあり得る。前述の定義において、そのような測定に使用される質量分析技術は、Frahm et al,2014,PLOS One,9(1):e109893(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)の方法であることが好ましくあり得る。
【0238】
特に、Frahmらは、以下の残基が血漿由来血清アルブミンおよび植物由来組換え血清アルブミン:K51、K64、K73、K137、K159、K174、K181、K225、K233、K240、K262、K466、K525、K545、およびK574と比較して、酵母由来組換え血清アルブミンにおいてほとんど糖化されていないことを見出した(以下の表S2)。
【0239】
反対に、Frahmらは、血漿由来血清アルブミンおよび植物由来組換え血清アルブミン:R485、K500と比較して、酵母由来組換え血清アルブミンにおいて一般的にさらに糖化されていることを見出した(以下の表S2)。
【0240】
したがって、本発明に従って使用される酵母由来組換え血清アルブミン調製物は、Frahmらに報告されているように、Recbumin(登録商標)アルファまたはRecombumin(登録商標)プライム(それぞれ、Frahmらにより「ScrHSA」および「Recombumin(登録商標)」と称される)またはPprHSAに対して観察されるレベルと実質的に同一である、K51、K64、K73、K137、K159、K174、K181、K225、K233、K240、K262、K466、K525、K545、K574、R485、および/またはK500のうちの任意の1つ以上(例えばすべて)で糖化レベルを示す調製物であることを好ましくあり得る。糖化の測定されたレベルは、複数の、例えば、2、3、4、5、10、またはそれ以上の試料の平均に基づき得る。
【0241】
Frahmらは、血漿由来血清アルブミンおよび植物由来組換え血清アルブミンと比較して、酵母発現系において発現される組換え血清アルブミンの間に糖化に明らかな違いがあると結論付けた。糖化は、遊離アミン基を有する残基が糖で修飾される緩慢な非酵素的メイラード反応を介して生じると考えられている。血漿由来HSAの最大10%が、健常な個体において糖化され、高血糖症を有する個体において最大30%が糖化されると考えられている。血漿由来アルブミン中のリジンおよびアルギニン残基のヘキソース修飾は、タンパク質の長い(26~31日)循環寿命にわたって生じると考えられているのに対して、リシンおよびアルギニンのインビトロ糖化は、温度および糖濃度の増加、ならびに約数日または数週間の時間スケールを必要とすると考えられている。対照的に、酵母発現組換え血清アルブミンは、典型的には、発現中に分泌され、その後、増殖培地中の糖(約2%のグルコースであり得る)は、分泌タンパク質の糖化に好適な環境を提供し得る。しかしながら、植物における糖化機構は、明/暗サイクルまたは植物に対する光ストレスを含み得、高次植物が初期の糖化付加物を修復する動物酵素の同族体を有するので、植物タンパク質の糖化が予想外ではないことが示唆されている。Frahmらは、彼らの実験で使用されたOsrHSAは総重量1g当たり最大19mgのグルコースを含有するO.sativaの内胚乳で発現されることを記載し、この単糖の存在が植物の生育期間(穀物熟成のために約30日)にわたってタンパク質の糖化を可能にし得、植物の生育条件の変動は観察されたロット間の変動を説明し得ることを示唆した。さらに、植物由来組換え血清アルブミンタンパク質は、α-1,3-フコースおよび/またはβ-1,2-キシロースなどの植物特異的糖で糖化され得ることを示した。これは、植物由来組換え血清アルブミンタンパク質と、血漿などの他の供給源に由来するまたは酵母における組換え発現による血清アルブミンタンパク質との間のさらなる物理的区別であり得る。
【0242】
洗剤:洗剤は、電荷に応じて、陰イオン性洗剤、陽イオン性洗剤、非イオン性洗剤、両性イオン性洗剤である4つのグループに分類され得る。
【0243】
典型的な陰イオン性洗剤は、アルキルベンゼンスルホネートを含む。これらの陰イオンのアルキルベンゼン部分は、親油性であり、スルホネートは、親水性である。陰イオン性洗剤の種類の例には、分岐ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、および石鹸が含まれる。
【0244】
本発明の態様のいずれかに従って使用するための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地(凍結保存培地、保存培地、および他の培地など)は、0.01未満、好ましくは0.001未満、より好ましくは0.0001%(w/v)未満の陰イオン性洗剤を含んでもよい。
【0245】
陽イオン性洗剤は、疎水性成分を有する陰イオン性洗剤と同様であるが、陰イオン性スルホネート基の代わりに、陽イオン性洗剤は、極性部分として第4級アンモニウム(すなわち、正電荷を持つ基)を有する。
【0246】
本発明の態様のいずれかに従って使用するための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地(凍結保存培地、保存培地、および他の培地など)は、0.01未満、好ましくは0.001%未満、より好ましくは0.0001(w/v)未満の陽イオン性洗剤を含んでもよい。
【0247】
両性イオン性洗剤は、同数の+1および-1の電荷化学基の存在から生じる正味ゼロ電荷を有する。両性イオン性洗剤の一例は、CHAPS(3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート)である。一実施形態において、本発明の任意の態様に従って使用するための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地(凍結保存培地、保存培地、および他の培地など)は、0.001%(w/v)未満の両性イオン洗剤を含み得、両性イオン洗剤を本質的に含まなくてもよい。
【0248】
非イオン性洗剤は、それらの電荷していない親水性の頭部基によって特徴付けられる。典型的な非イオン性洗剤は、ポリオキシエチレンまたは配糖体に基づいている。前者の一般的な例には、ポリソルベート80(例えばTween(登録商標))、4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル-ポリエチレングリコール、t-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(例えばTriton(登録商標)X-100)、およびBrij(登録商標)シリーズが含まれる。これらの材料はまた、エトキシレートまたはペグレートとしても知られている。グリコシドは、それらの非電荷親水性頭部基として糖を有する。例には、オクチル-チオグルコシドおよびマルトシドが含まれる。ヒドロキシエチルグルカミド(HEGA)およびメチルグルカミド(MEGA)系洗剤は類似しており、頭部基として糖アルコールを有する。
【0249】
1つの好ましい実施形態において、本発明の態様のいずれかに従って使用するための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地(凍結保存培地、保存培地、および他の培地など)は、0.01未満、好ましくは0.001未満、より好ましくは0.0001%(w/v)未満の非イオン性洗剤を含んでもよい。
【0250】
さらなる実施形態において、本発明の態様のいずれかに従って使用するための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地(凍結保存培地、保存培地、および他の培地など)は、0.01未満、好ましくは0.001%未満、より好ましくは0.0001%(w/v)未満のポリソルベート80を含んでもよく、ポリソルベート80を本質的に含まなくてもよい。例えば、組成物は、3.325*10-4%(w/v)以下のポリソルベート80もしくは20、例えば2.85*10-4%(w/v)以下のポリソルベート80もしくは20、例えば2.375*10-4%(w/v)以下のポリソルベート80もしくは20、例えば1.425*10-4%(w/v)以下のポリソルベート80もしくは20、例えば9*10-5%(w/v)以下のポリソルベート80もしくは20、例えば6.625*10-5%(w/v)以下のポリソルベート80もしくは20、例えば以下5.7*10-5%(w/v)以下のポリソルベート80もしくは20、例えば5*10-5%(w/v)以下のポリソルベート80もしくは20、例えば4.75*10-5%(w/v)以下のポリソルベート80もしくは20、例えば4.5*10-5%(w/v)以下のポリソルベート80もしくは20、例えば4.75*10-5%(w/v)以下のポリソルベート80もしくは20、例えば2.85*10-5%(w/v)以下のポリソルベート80もしくは20、例えば2.5*10-5%(w/v)以下のポリソルベート80もしくは20、例えば1.9*10-5%(w/v)以下のポリソルベート80もしくは20、1.8*10-5%(w/v)以下のポリソルベート80もしくは20、例えば1*10-5%(w/v)以下のポリソルベート80もしくは20、例えば9.5*10-6%(w/v)以下のポリソルベート80もしくは20、例えば9*10-6%(w/v)以下のポリソルベート80もしくは20、例えば5*10-6%(w/v)以下のポリソルベート80もしくは20を含んでもよく、最も好ましくはポリソルベート80もしくは20を実質的に含まなくてもよい。
別の実施形態において、本発明の組成物は、0.01未満、好ましくは0.001未満、より好ましくは0.0001%(w/v)未満のポリソルベート20を含み、ポリソルベート20を含まなくてもよい。別の実施形態において、組成物は、0.01未満、好ましくは0.001未満、より好ましくは0.0001%(w/v)未満のポロキサマーを含んでもよく、ポロキサマーを含まなくてもよい。
【0251】
一実施形態において、本発明の態様のいずれかに従って使用するための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地(凍結保存培地、保存培地、および他の培地など)は、0.001から、例えば0.002から、例えば0.003から、例えば0.004から、例えば0.005から、例えば0.006から、例えば0.007から、例えば0.008から、例えば0.009から、例えば0.01から、例えば0.02から、例えば0.03から、例えば0.04から、例えば0.05、例えば0.06から、例えば0.07から、例えば0.08から、例えば0.09から、例えば0.1から、例えば0.2から、例えば0.3から、例えば0.4から、例えば0.5から、例えば0.6から、例えば0.7から、例えば0.8から、例えば0.9%(w/v)の非イオン性界面活性剤から0.002、例えば0.003、例えば0.004、例えば0.005、例えば0.006、例えば0.007、例えば0.008、例えば0.009、例えば0.01、例えば0.02、例えば0.03、例えば0.04、例えば0.05、例えば0.06、例えば0.07、例えば0.08、例えば0.09、例えば0.1、例えば0.2、例えば0.3、例えば0.4、例えば0.5、例えば0.6、例えば0.7、例えば0.8、例えば0.9、例えば1%(w/v)の非イオン性洗剤を含んでもよい。
【0252】
一実施形態において、非イオン性洗剤は、ポリソルベート80、ポリソルベート20、およびポロキサマーから選択される。
【0253】
一実施形態において、本発明の態様のいずれかに従って使用するための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地(凍結保存培地、保存培地、および他の培地など)は、最大0.01、好ましくは最大0.001、より好ましくは最大0.0001%(w/v)の、ポリソルベート80、ポリソルベート20、およびポロキサマーなどであるが、これらに限定されない、非イオン性洗剤を含んでもよい。
【0254】
一実施形態において、本発明の態様のいずれかに従って使用するための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地(凍結保存培地、保存培地、および他の培地など)は、洗剤を本質的に含まなくてもよい。
【0255】
脂肪酸:典型的には、本発明の態様のいずれかに従って使用するための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地(凍結保存培地、保存培地、および他の培地など)は、25mM以下の脂肪酸を含んでもよい。脂肪酸は、飽和または不飽和脂肪酸などの任意の脂肪酸、ならびにそれらの塩であり得る。好ましくは、脂肪酸は、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、ヘネイコサン酸、ドコサン酸、トリコサン酸、テトラコサン酸、ペンタコサン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、ヘンエイコサン酸、ドコサン酸、トリコサン酸、テトラコサン酸、ペンタコサン酸、ヘキサコサン酸、ヘプタコサン酸、オクタコサン酸、ノナコサン酸、トリアコンタン酸、ヘナトリアコンタン酸、ドトリアコンタン酸、トリトリアコンタン酸、テトラトリアコンタン酸、ペンタトリアコンタン酸、およびヘキサトリアコンタン酸からなる群から選択される脂肪酸などの1つ以上の飽和脂肪酸である。
【0256】
一実施形態において、本発明の態様のいずれかに従って使用するための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地(凍結保存培地、保存培地、および他の培地など)は、25mM以下の脂肪酸、例えば20mM以下の脂肪酸、例えば15mM以下の脂肪酸、例えば10mM以下の脂肪酸、例えば5mM以下の脂肪酸、例えば2mM以下の脂肪酸、例えば1mM以下の脂肪酸を含んでもよい。
【0257】
一実施形態において、本発明の態様のいずれかに従って使用するための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地(凍結保存培地、保存培地、および他の培地など)は、25mM未満の脂肪酸、例えば20mM未満の脂肪酸、例えば15mM未満の脂肪酸、例えば15mM未満の脂肪酸、例えば14mM未満の脂肪酸、例えば13mM未満の脂肪酸、例えば12mM未満の脂肪酸、例えば11mM未満の脂肪酸、例えば10mM未満の脂肪酸、例えば9mM未満の脂肪酸、例えば8mM未満の脂肪酸、例えば7mM未満の脂肪酸、例えば6mM未満の脂肪酸、例えば5mM未満の脂肪酸、例えば4mM未満の脂肪酸、例えば、3mM未満の脂肪酸、例えば2mM未満の脂肪酸、例えば1mM未満の脂肪酸、例えば0.5mM未満の脂肪酸、例えば0.1mM未満の脂肪酸、例えば0.05mM未満の脂肪酸、例えば0.01mM未満の脂肪酸を含んでもよく、例えば、組成物は、脂肪酸を本質的に含まない。
【0258】
好ましい実施形態において、脂肪酸は、オクタノエート(オクタン酸)である。一実施形態において、本発明の態様のいずれかに従って使用するための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地(凍結保存培地、保存培地、および他の培地など)は、25mM以下のオクタノエート、例えば20mM以下のオクタノエート、例えば15mM以下のオクタノエート、例えば10mM以下のオクタノエート、例えば5mM以下のオクタノエート、例えば2mM以下のオクタノエート、例えば1mM以下のオクタノエートを含んでもよい。
【0259】
一実施形態において、本発明の態様のいずれかに従って使用するための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地(凍結保存培地、保存培地、および他の培地など)は、25mM未満のオクタノエート、例えば20mM未満のオクタノエート、例えば15mM未満のオクタノエート、例えば15mM未満のオクタノエート、例えば14mM未満のオクタノエート、例えば13mM未満のオクタノエート、例えば12mM未満のオクタノエート、例えば11mM未満のオクタノエート、例えば10mM未満のオクタノエート、例えば9mM未満のオクタノエート、例えば8mM未満のオクタノエート、例えば7mM未満のオクタノエート、例えば6mM未満のオクタノエート、例えば5mM未満のオクタノエート、例えば4mM未満のオクタノエート、例えば3mM未満のオクタノエート、例えば2mM未満のオクタノエート、例えば1mM未満のオクタノエート、例えば0.5mM未満のオクタノエート、例えば0.1mM未満のオクタノエート、例えば0.05mM未満のオクタノエート、例えば0.01mM未満のオクタノエートを含んでもよく、例えば、組成物は、オクタノエートを本質的に含まない。
【0260】
例えば、本発明の態様のいずれかに従って使用するための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地(凍結保存培地、保存培地、および他の培地など)は、25mM以下のオクタノエートもしくは全脂肪酸を含んでもよいか、20mM以下のオクタノエートもしくは全脂肪酸、例えば、15mM以下のオクタノエートもしくは全脂肪酸、例えば、10mM以下のオクタノエートもしくは全脂肪酸、例えば、5mM以下のオクタノエートもしくは全脂肪酸、例えば、2.28mM以下のオクタノエートもしくは全脂肪酸、例えば、2.16mM以下のオクタノエートもしくは全脂肪酸、例えば、2mM以下のオクタノエートもしくは全脂肪酸、例えば、1.52mM以下のオクタノエートもしくは全脂肪酸、例えば、1.44mM以下のオクタノエートもしくは全脂肪酸、例えば、1.2mM以下のオクタノエートもしくは全脂肪酸、例えば、1mM以下のオクタノエートもしくは全脂肪酸、例えば、800uM以下のオクタノエートもしくは全脂肪酸、例えば、720uM以下のオクタノエートもしくは全脂肪酸、例えば、456uM以下のオクタノエートもしくは全脂肪酸、例えば、400uM以下のオクタノエートもしくは全脂肪酸、例えば、304mM以下のオクタノエートもしくは全脂肪酸、例えば、288mM以下のオクタノエートもしくは全脂肪酸、例えば、240uM以下のオクタノエートもしくは全脂肪酸、例えば、160uM以下のオクタノエートもしくは全脂肪酸、例えば、152uM以下のオクタノエートもしくは全脂肪酸、例えば、144uM以下のオクタノエートもしくは全脂肪酸、例えば、80uM以下のオクタノエートもしくは全脂肪酸である。
【0261】
本発明の任意の態様のいずれかに従って使用するための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地(凍結保存培地、保存培地、および他の培地など)は、20:1、19:1、18:1、17:1、16:1、15:1、14:1、13:1、12:1、11:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、または1:1以下である、オクタノエート対アルブミンのモル比を含んでもよい。16:1、11:1、または5:1以下のモル比が、好ましい。
【0262】
一実施形態において、本発明の態様のいずれかに従って使用するための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地(凍結保存培地、保存培地、および他の培地など)は、25mM未満のリン脂質などの疎水性分子、例えば20mM未満のリン脂質などの疎水性分子、例えば15mM未満のリン脂質などの疎水性分子、例えば14mM未満のリン脂質などの疎水性分子、例えば13mM未満のリン脂質などの疎水性分子、例えば12mM未満のリン脂質などの疎水性分子、例えば11mM未満のリン脂質などの疎水性分子、例えば10mM未満のリン脂質などの疎水性分子、例えば9mM未満のリン脂質などの疎水性分子、例えば8mM未満のリン脂質などの疎水性分子、例えば7mM未満のリン脂質などの疎水性分子、例えば6mM未満のリン脂質などの疎水性分子、例えば5mM未満のリン脂質などの疎水性分子、例えば4mM未満のリン脂質などの疎水性分子、例えば3mM未満のリン脂質などの疎水性分子、例えば2mM未満のリン脂質などの疎水性分子、例えば1mM未満のリン脂質などの疎水性分子、例えば0.5mM未満のリン脂質などの疎水性分子、例えば0.1mM未満のリン脂質などの疎水性分子、例えば0.05mM未満のリン脂質などの疎水性分子、例えば0.01mM未満のリン脂質などの疎水性分子を含んでもよく、例えば、組成物は、リン脂質などの疎水性分子を本質的に含まない。
【0263】
一実施形態において、疎水性分子という用語は、オクタノエートなどの脂肪酸を含むが、ポリソルベート80などの非イオン性洗剤などの洗剤を含まない。
【0264】
本発明の任意の態様のいずれかに従って使用するための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地(凍結保存培地、保存培地、および他の培地など)は、さまざまな両親媒性化合物を含んでも、含まなくてもよい。例えば、1つの種類の両親媒性化合物が含まれてもよいが、他のものは含まなくてもよい。
【0265】
あるいは、本発明の態様のいずれかに従って使用するための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地(凍結保存培地、保存培地、および他の培地など)は、洗剤、脂肪酸、および/またはリン脂質などの本質的にすべての両親媒性化合物を含まなくてもよい。
【0266】
一実施形態において、本発明の態様のいずれかに従って使用するための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地(凍結保存培地、保存培地、および他の培地など)は、25mM以下の両親媒性化合物を含んでもよい。
【0267】
別の実施形態において、本発明の態様のいずれかに従って使用するための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地(凍結保存培地、保存培地、および他の培地など)は、両親媒性化合物を本質的に含まなくてもよい。
【0268】
遊離アミノ酸:本発明の態様のいずれかに従って使用するための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地(凍結保存培地、保存培地、および他の培地など)は、典型的には、5mM未満の遊離アミノ酸、例えば4mM未満の遊離アミノ酸、例えば3mM未満の遊離アミノ酸、例えば2mM未満の遊離アミノ酸、例えば1mM未満の遊離アミノ酸、例えば0.5未満、例えば0.1、例えば0.01、例えば0.005、例えば0.001mMの遊離アミノ酸を含むか、または遊離アミノ酸を本質的に含まない。
【0269】
遊離アミノ酸は、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、プロリン、セリン、トレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、リジン、アルギニン、およびヒスチジン、または修飾および非天然アミノ酸からなる群から選択される天然アミノ酸を含む、1つ以上の遊離アミノ酸を含んでもよい。本発明の組成物のアミノ酸のうちのいずれか1つは、L-アミノ酸またはD-アミノ酸のいずれかであってもよい。
【0270】
一実施形態において、本発明の態様のいずれかに従って使用するための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地(凍結保存培地、保存培地、および他の培地など)は、遊離アミノ酸を本質的に含まない。
【0271】
本発明の態様のいずれかに従って使用するための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地(凍結保存培地、保存培地、および他の培地など)は、典型的には、5未満、例えば4未満、例えば3未満、例えば2未満、例えば1未満、例えば0.5未満、例えば0.1未満、例えば0.01未満、例えば0.005未満、例えばなどのような複数のアミノ酸を含む。0.005mM未満、例えば0.001mM未満のトリプトファンもしくはN-アセチルトリプトファンを含むか、またはトリプトファンもしくはN-アセチルトリプトファンを本質的に含まない。好ましくは、それは、遊離トリプトファンまたはN-アセチル-トリプトファンを含まない。
【0272】
塩:本発明のいずれかの態様に従って使用するための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地(凍結保存培地、保存培地、および他の培地など)は、臭化物、塩化物、フッ化物、水素化物、ヨウ化物、窒化物、酸化物、リン化物、硫化物、過酸化物、ホウ酸塩、臭素酸塩、次亜臭素酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、重炭酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、クロム酸塩、ヨウ素酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素、リン酸二水素塩、亜リン酸塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、硫酸水素塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、亜硫酸水素塩、酢酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩、シュウ酸水素塩、重シュウ酸塩、硫化水素、ビスルフィド、テルル化物、アミド、チオシアネート、ムリン酸塩(HCl)、コハク酸塩、およびマレイン酸塩、またはそれらの任意の組み合わせなどであるが、これらに限定されない、任意の好適な塩を含んでもよい。あるいは、本発明の組成物の塩はまた、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、リンなどの無毒性無機酸からの誘導体、ならびに無毒性有機酸に由来する塩、例えば、脂肪族モノおよびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカンジオン酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸なども含んでもよい。したがって、そのような塩は、硫酸塩、ピロ硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩なども含む。
【0273】
本発明の塩は、一価(例えば第1族)金属および二価(例えば第2族および遷移元素)金属などの金属の塩、ならびにアンモニウムの塩を含んでもよい。塩には、NaClおよびKClが含まれる。
【0274】
金属イオン:組換え酵母由来の血清アルブミン製剤を含むさらなる実施形態において、組換え酵母由来の血清アルブミン製剤、ならびに(例えば、凍結保存培地、保存培地、および他のメディアなどの)メディア、のいずれかに従って使用するための本発明の態様は、Zn2+、Ca2+、Mg2+、Mn2+、Fe2+、Cu2+、Co2+、および/またはNi2+イオンを本質的に含まないなど、本質的に金属イオンを含まないものであり得る。
【0275】
酸/塩基の検討:本発明の任意の態様のいずれかに従って使用するための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地(凍結保存培地、保存培地、および他の培地など)は、4~9、例えば4~8、例えば4~7、例えば5~8、例えば6~8のpH、好ましくは6.4~7.4、6.0~7.0、6.7~7.3、または6.5~7.5のpHを有し得、例えば該組成物は約7のpHを有する。
【0276】
緩衝液:本発明の任意の態様のいずれかに従って使用するための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地(凍結保存培地、保存培地、および他の培地など)は、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、またはヒスチジン緩衝液などの緩衝液を含んでもよい。リン酸緩衝液またはヒスチジン緩衝液が好ましい。緩衝液濃度は、約10~約150mM、例えば約30~約150mM、例えば、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、または140から約20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、または約150mMまでであり得る。
【0277】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明され、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例
【0278】
実施例1
幹細胞は、それらの最終製剤を調整する前に凍結保存される。現在、使用されている標準的な凍結保存溶液は、10%のDMSOと、2%のヒト血清アルブミン(HSA、Grifols、SAからのAlbutein(登録商標))の溶液との組み合わせからなる。細胞療法分野、特に同種異系の文脈における対象となる主題は、凍結-解凍サイクル後の細胞の回収を改善し、細胞懸濁液の安定性を拡大する新しい抗凍結剤の探索である。
【0279】
この研究の目的は、Novozymes A/Sによって開発され、現在、Albumedix Ltd.からの市販品として入手可能な、2つの異なる組換えアルブミン(AlbIX(登録商標)およびRecombumin(登録商標)アルファ)のヒト間葉系間質細胞(hMSC)と組み合わせた潜在的使用を評価することであった。
【0280】
Grifols,S.A.によって商品化されたヒト血液に由来するアルブミン溶液であるAlbutein(登録商標)を、参照項目として用いた。
【0281】
試験項目:
名称 試験1:AlbIX(登録商標)
組成物 A)安定性評価用:細胞を、Plasmalyte(登録商標)
+2%(w/v)および5%(w/v)のAlbIX(登録商標
)で調整した。
B)解凍後の安定性評価用:細胞を、2%(w/v)および5%
(w/v)のAlbIX(登録商標)濃度を有する2つの凍結保
存溶液を用いて21日間凍結保存した。

名称 試験2:Recombumin(登録商標)アルファ
組成物 A)安定性評価用:細胞を、Plasmalyte(登録商標)
+2%(w/v)および5%(w/v)のRecombumin
(登録商標)アルファで調整した。
B)解凍後の安定性評価用:細胞を、2%(w/v)および5%
(w/v)のRecombumin(登録商標)アルファ濃度を
有する2つの凍結保存溶液を用いて21日間凍結保存した。

参照項目
名称 参照文献:Albutein(登録商標)
組成物 A)安定性評価用:細胞を、Plasmalyte(登録商標)
+2%(w/v)および5%(w/v)のAlbutein(登
録商標)で調整した。
B)解凍後の安定性評価用:細胞を、2%(w/v)および5%
(w/v)のAlbutein(登録商標)濃度を有する2つの
凍結保存溶液を用いて21日間凍結保存した。
【0282】
実験計画:
研究の実験段階を、図4に示されるように実施した。
【0283】
細胞増殖および調整のために、hMSCを解凍し、播種し、最初に1層CellStackに、その後5層CellStackに27日間増殖させた。細胞を採取し、3つの50mLのファルコンチューブ(52mLの細胞懸濁液で充填された)および3つの15mLのファルコンチューブ(13mLの細胞懸濁液で充填された)に分配した。チューブを遠心分離した後、上清をデカンテーションにより除去し、細胞をPlasmalyteおよび各研究アルブミンに再懸濁して、15M/mLの細胞濃度を達成した(図4に示すとおり)。
【0284】
凍結プロトコル:
装置
-クラスIIAの層流ブース
-非プログラム凍結用チューブシステム
-生物学的超低温冷凍庫-80℃
-液体窒素のシリンダ(該当する場合)
-自動ピペッター
-遠心分離機
-1、2、5、10、25、および50mLのピペット
-15および50mLのチューブ
-1、1.5、または2mLの凍結保存チューブ
-クロノメーター
-アイスパック(氷と交換可能)
【0285】
試薬
-Plasmalyte(登録商標)
-Grifols.,S.Aからの20%のAlbutein(登録商標)ヒト血漿アルブミン
-Novozymes Biopharma DK A/Sおよび/またはDelta Biotechnology Ltd.によって開発され、現在、Albumedix Ltd.からの市販品として入手可能な10%のAlbIX(登録商標)および20%のRecombumin(登録商標)アルファ
-DMSO
-イソプロパノール
【0286】
手順
1.凍結保存溶液の調製:
A.図4に示されるように、必要とされる体積の凍結保存液を調製する。必要とされる体積が正確に分からない場合、必要と見なされる以上の過剰量を調製する(通常5または10mL)。以下は、10mLの凍結保存溶液を調製するための体積、ならびに使用される試薬の最終濃度を示す。
【0287】
【表4】

B.各試薬に必要とされる初期体積を求めるために、次の式(Eq)1を使用してこれらの計算を実施することが推奨される。
×V=C×V→式1
C.凍結保存溶液は、使用時まで2~8℃の範囲で保存し、最大で2~8℃の範囲で1日保存され得る。
【0288】
2.細胞懸濁液の入手および調製:
D.凍結する間葉系細胞は、既知の体積および濃度の細胞懸濁液から得られ、培養細胞の遠心分離、上清の除去、細胞をPlasmalyteおよび各研究アルブミンに再懸濁することによって、正しく標識された無菌チューブ中に回収されて、15M/mLの細胞濃度を達成した(図4に示すとおり)。
E.1クライオチューブ当たりの凍結する細胞の数、クライオチューブの数、凍結のための細胞濃度(Cc)、および1クライオチューブ当たりの体積は、利用可能な細胞の量の関数、またはそれらが意図される使用として決定される。
F.式2から、凍結の最終体積(Vc)を計算する。
【数1】
G.凍結プロセスは、細胞懸濁液(すなわち、Plasmalyte+各試験アルブミンに再懸濁された細胞)を凍結保存溶液(すなわちPlasmalyte+各試験アルブミン+20%w/v DMSO)と1:1で希釈することを含む。このため、凍結用に調製される細胞懸濁液の体積および添加される凍結保存溶液の体積は共に、式2で計算された体積の1/2になるであろう。
【0289】
3.凍結保存溶液の添加:
H.添加される凍結保存液の総体積(Vca)が式2で計算された体積の1/2であり、該体積が、凍結保存する細胞懸濁液の体積に正確に対応し、以下の表に示される凍結ランプを生成するために、各ステップにおいて添加する凍結保存液の割合を計算することを考慮する。
【0290】
【表5】

I.上記の表に示す「ランプ」スキームで指定された添加ランプ後に、細胞懸濁液に凍結保存溶液(予め冷却したもの)をゆっくり添加する。凍結保存溶液を徐々に添加することにより、起こり得る細胞浸透ショックを回避する。
【0291】
4.細胞懸濁液の分注:
J.細胞懸濁液の分注は、DMSOが細胞にとって有毒な成分であるため、できるだけ迅速に行わなければならない手順である。分注プロセスは、(上述の表に示される)「ランプ」スキームのステップ6に示された凍結保存溶液の体積が追加されるとすぐに開始する。
K.あらかじめ標識された凍結保存チューブ(セクションEに規定された1クライオチューブ当たり体積に従って)中に細胞試料の最終体積を分配する。
【0292】
5.凍結
L.正しいレベルのイソプロパノールを含有する、凍結保存チューブを、プログラムされていない凍結用チューブシステム(「システム」)に細胞懸濁液と共に入れる。理想的には、システム容器が各使用前に2~8℃の範囲内の温度で平衡化することがより好ましいが、室温で平衡化されている場合には使用することもできる。
M.システム容器を、-80℃の冷凍庫中に入れて、凍結して少なくとも一晩、最大1カ月間そこに保つ。
N.チューブをシステム容器から取り出したら、-80℃の冷凍庫または液体窒素ボンベの対応する箱に入れる。
【0293】
解凍プロトコル:
装置
-クラスIIAの層流ブース
-蒸留水または代替熱源付き恒温槽
-自動ピペッター
-インキュベーター
-遠心分離機
-クロノメーター
【0294】
腐りやすい材料および試薬
-1、2、5、10、25、および50mLのピペット
-15および50mLのファルコンチューブ
-Plasmalyte+各研究アルブミン
-該当する場合、アイスパック(入手できない場合、氷を使用してもよい)
【0295】
手順
i.解凍溶液の調製
A.Plasmalyte+各研究アルブミンからなる解凍溶液の必要な体積を調製する。
B.解凍溶液は、使用時まで2~8℃の範囲で保存しなければならない。
【0296】
e.ii.解凍
C.解凍するクライオチューブ(複数可)を選択し、-80℃の冷凍庫または液体窒素ボンベから取り出す。
D.凍結したクリオチューブを恒温槽(または同等の熱源)に移し、37℃に予熱する。解凍が迅速に達成されることが重要である。クライオチューブは、液体状態に変換される正確な瞬間に熱源から取り出されなければならない(しかしながら、ごくわずかな割合が固体の粒状状態にある間に取り出され得る)。
E.細胞懸濁液が解凍したら、必要に応じてクライオチューブの内容物を15mLまたは50mLチューブに移す。同じ親細胞懸濁液について得られた1つを超えるクライオチューブを解凍する場合、各クライオチューブについて解凍プロセスを実行する代わりに、解凍した画分をすべて組み合わせることが推奨される。
F.細胞懸濁液を解凍溶液で1:1で希釈し、回収した細胞懸濁液の体積と同じ体積の解凍溶液を添加する。以下の表に示される戦略に従って、解凍溶液をゆっくり添加する。
【0297】
【表6】

G.希釈液が、解凍された懸濁液の初期体積が1:10になるまで細胞懸濁液を解凍溶液で希釈する。計算の一例を以下に示す。
解凍された細胞懸濁液の初期体積が、1mLである場合、
1mL×10=10mL(1:10の希釈における最終体積)
これまでに1mLの解凍溶液で希釈されていたので(セクションFの指示に従って)、このステップで添加される体積は、
10mL-1mL(懸濁液の初期体積)-1mL(1:1の希釈において添加された溶液の体積)=8mL、になるであろう。
このステップでは、初期体積の1mLの場合、8mLの解凍溶液を添加する必要があるであろう。
H.ピペッティングにより、解凍溶液の総体積を測定し、懸濁液を完全に均質する(体積を測定するのが困難になる場合がある、泡の出現を防ぐために)。
【0298】
安定性試験:
図4に示されるように、合計6個のクリオバイアルを上に論じられる凍結プロトコルに従って凍結し、液体窒素タンクに-196℃で21日間保存した。次いで、いずれの場合にも対応するアルブミン溶液を使用して、それらを上に論じられる解凍プロトコルに従って解凍した。
【0299】
2~8℃での解凍後の細胞安定性の間に、各アルブミンを2つの濃度、2%(w/v)および5%(w/v)で試験した。
【0300】
2~8℃で細胞の安定性を評価するために、各アルブミン(AlbIX(登録商標)、Recombumin(登録商標)アルファ、またはAlbutein(登録商標))の2%(w/v)で調整した細胞懸濁液を評価した。いずれの場合にも、図4に示されるように証明された細胞懸濁液のうちの1つを用いて、3つの注射器を、設定した。6.5M/mLの所望の細胞濃度を達成するために、キャップした注射器に、0.87mLの対応するストック細胞溶液(15M/mL)および1.13mLの類似のコンディショニング溶液(Plasmalyte+2%の対応するアルブミン)を上部から充填した。次いで、プランジを組み立て、注射器の体積を、図5に示すように、2.8mL(2mLの液体および0.8mLの空気)で設定した。最後に、注射器を、冷蔵庫中に試験期間中保存して、標的温度を維持した。
【0301】
結果の分析:
NucleoView NC-3000(商標)ソフトウェア(Chemometec)を用いて、細胞計数、細胞生存率、および細胞凝集のNucleoCounter(Chemometec)の結果の解釈および分析、ならびに細胞集団におけるアポトーシスを決定した。
【0302】
結果の分析およびプロット生成のために、Microsoft(登録商標)Excel 2007(Microsoft Corporation)およびWindows用GraphPad Prism v5(GraphPad Software Inc.)を使用した。
【0303】
結果および考察:
ヒトアルブミンタンパク質は、最新治療分野で広く使用されている。凍結解凍サイクルに伴う損傷から細胞を保護することにより、細胞ベースの生成物の安定性を保証する。したがって、細胞安定性は、異なる形態のアルブミンの有用性およびそれらの最適作業濃度を確認するために証明されなければならない。この場合、細胞安定性は、NucleoCounter(登録商標)NC-3000(商標)およびその製造業者のプロトコルおよび取扱説明書を用いて、細胞計数、細胞生存率、細胞凝集、ならびに細胞非アポトーシス、アポトーシス、および死滅集団によって評価した。
【0304】
2~8℃での安定性の結果:
(a)凍結解凍による前処理なしの安定性
拡大し、遠心分離し、上清を除去しているhMSC細胞、および15M/mLの細胞濃度を達成するために、Plasmalyte+各研究アルブミンに再懸濁した細胞を、凍結解凍することなく、2~8℃で安定性について試験した。0時間、23.7時間、44時間、51.5時間、および93.5時間の保存後に試験したとき、試験した異なるアルブミン溶液の間で細胞濃度および細胞生存率に関して有意差は観察されなかった(データ示さず)。細胞濃度は、一定のままであり、細胞生存率は、52時間まで97%超であった。
【0305】
44時間にわたるアポトーシスアッセイによって得られた結果(データは示さず)は、すべての場合において2つの異なる細胞集団:生存細胞および死滅細胞を同定した。アポトーシス集団は観察されず、したがって、細胞は以前にアポトーシスを被ることなく壊死したと考えられる。試験したアルブミン間に有意差はなく、細胞濃度および細胞生存率について得られた結果によると、3つのすべての場合において同じパターンが観察された。
(b)凍結解凍による前処理後の安定性
拡大し、遠心分離し、上清を除去しているhMSC細胞、および15M/mLの細胞濃度を達成するために、Plasmalyte+各研究アルブミンに再懸濁した細胞を、凍結解凍後に、2~8℃で安定性について試験した。
【0306】
0時間、23.5時間、45.5時間、および72時間の時点で反転による20サイクルの均質化の後、試料を取り出した。
【0307】
図6に示されるように、3つのアルブミンにおいて試験された細胞は、経時的にそれらの生存率の漸進的な減少を示し、組換え酵母由来アルブミン調製物は、細胞に対して最大の保護を提供した。
【0308】
図6のデータは以下のように要約することができる。
【表7】
【0309】
データは、以下のことを示す。
-2%のアルブミンで、2~8℃で45.5時間保存した後、生存細胞のレベルは、AlbIX(登録商標)(92.9%)、次いでRecombumin(登録商標)アルファ(59.1%)が最も良く、血漿由来Albutein(登録商標)(40.7%)が最も悪かった。
-5%のアルブミンを使用したときに、生存率は全体的に低くかったが、2~8℃で45.5時間保存した後の生存細胞レベルの差はさらに顕著であり、AlbIX(登録商標)(63.2%)が最良の結果であり、次いでRecombumin(登録商標)アルファ(34.5%)であり、血漿由来のAlbutein(登録商標)がまた最悪であった(4.5%のみ)。
【0310】
したがって、凍結および解凍などの生理学的ショック中および/またはその後に細胞を保護するために使用されるときに、組換え酵母由来アルブミン調製物は、血漿由来アルブミン生成物と比較して、保存中の細胞に対して最大の保護を提供することが結論付けられる。2~8℃で23.5時間保存した後に必ずしも差が明らかではないことに留意する。これは、その短期間の後に細胞が凍結解凍の生理学的ショックに十分に反応するのに不十分な時間を有していたという事実によると考えられる。
【0311】
凍結および解凍などの生理学的ショック後の保存中の細胞生存率を最大にするためには、2%のアルブミン濃度が5%のアルブミン濃度より好ましいことも結論付けられる。
【0312】
実施例2
hMSCの凍結保存用添加剤としてのAlbIX(登録商標)の有益な効果、およびAlbutein(登録商標)(Grifols S.A.によって製造された市販の血漿由来アルブミン溶液)との比較を確認するために、さらなる試験を行った。
【0313】
総合的分析は、標準的な10%のhSERB(ヒト血清B)、および探索的な5%のPL(血小板溶解物)の2つの戦略を用いて拡大された異なるドナーからの異なる細胞培養において行われ、生存率、同一性、および多分化能に関して、解凍-凍結プロセスの効率および細胞懸濁液の安定性を評価した。
【0314】
幹細胞を、それらの最終製剤に調整する前に凍結保存した。使用されている標準的な凍結保存溶液は、10%のDMSOと、2%のヒト血清アルブミン(HSA、Grifols.,S.AからのAlbutein(登録商標))の溶液との組み合わせからなった。
【0315】
試薬および溶液:
研究の実験段階で使用される重要な試薬および溶液は以下のとおりである。
-AlbIX(登録商標)(Albumedix Ltd、バッチ:AK190201)
-Albutein(登録商標)(Grifols S.A.、バッチ:MPAB5HA001)
-Plasmalyte(登録商標)+2%w/vのAlbutein(登録商標)
-Plasmalyte(登録商標)+2%w/vのAlbIX(登録商標)
【0316】
参照項目(RI):
名称 HSA-MSC(Albutein(登録商標))
組成物 2%w/vのAlbutein(登録商標)および10%v/v
のDMSO溶液でPlasmalyte(登録商標)中で凍結保
存したエクスビボ拡大したBM-hMSC。
提示 10%のhSERB拡大で各細胞バッチにおける2つのクライオ
バイアル、5%のPL拡大で各細胞バッチにおける1つのクライ
オバイアル。
合格基準 クライオバイアルの細胞濃度:7.5×10の生存hMSC/
mL±20%(6.0×10~9.0×10の生存hMSC
/mL)。
10%のhSERB(ヒト血清B):
XCC14040:7.50×10の生存hMSC/mL
XCO15048:7.10×10の生存hMSC/mL
XCO13008:7.50×10の生存hMSC/mL
5%のPL(血小板溶解物):
XCC14040:8.01×10の生存hMSC/mL
XCO15048:7.50×10の生存hMSC/mL
XCO15054:8.65×10の生存hMSC/mL
【0317】
試験項目(TI)
名称 AlbIX(登録商標)-MSC
組成物 2%w/vのAlbIXおよび10%v/vのDMSO溶液でP
lasmalyte(登録商標)中で凍結保存したエクスビボ拡
大したBM-hMSC。
提示 10%のhSERB拡大で各細胞バッチにおける2つのクライオ
バイアル、5%のPL拡大で各細胞バッチにおける1つのクライ
オバイアル。
合格基準 クライオバイアルの細胞濃度:7.5×10の生存hMSC/
mL±20%(6.0×10~9.0×10の生存hMSC
/mL)。
10%のhSERB(ヒト血清B):
XCC14040:7.50×10の生存hMSC/mL
XCO15048:7.10×10の生存hMSC/mL
XCO13008:7.50×10の生存hMSC/mL
5%のPL(血小板溶解物):
XCC14040:8.30×10の生存hMSC/mL
XCO15048:7.50×10の生存hMSC/mL
XCO15054:7.76×10の生存hMSC/mL
【0318】
実験計画:
細胞拡大
AlbIX(登録商標)の評価およびAlbutein(登録商標)との比較のための実験を行うのに十分な数の細胞を生成するために、4つの異なる一次hMSC細胞培養試験系を解凍し、播種し、拡大した。
【0319】
異なる戦略に従って、6つの異なる拡大を実施した。第1のものについては、XCC14040、XCO15048、およびXCO13008と命名された初代細胞培養物を、標準培地製剤:DMEM+10%ヒト血清B(hSERB)を使用して培養し、一方、第2のものについては、XCC14040、XCO15048、XCO15054と命名された初代細胞培養物を、DMEM+5%の血小板溶解物(PL)と共に培養した。
【0320】
異なる条件で、異なる初代細胞培養物の拡大中に得られた動態パラメータ:10%のhSERBおよび5%のPLを、評価し、以下の表に示す。
【表8】
【0321】
上記の表は、研究中に使用された細胞株の動態的特性を示す(CPD:累積集団倍増)。細胞が現在の研究の前に既に拡大されていることを考慮してCPDを計算した。したがって、各前継代培養ステップまたは継代について標準因子3を、計算したCPDに加えた。
【0322】
これらのhMSCについて考慮された最初の継代は-02であり、これは骨髄(BM)試料からのhMSCの単離における出発点である。すべての拡張で、CPDは、ヘイフリック限界の50CPDよりも低くかった。
【0323】
両方の培養戦略、XCC14040およびXCO15048に共通する初代細胞培養物の比較において、違いは、倍増時間において検出され、増殖速度は5%のPLに対してさらに遅いことを示し、次いで細胞のための準最適な培養条件としてこれを考慮した。このあまり好ましくない培養条件で得られた情報は、抗凍結剤間のより良好な比較の一因となった。
【0324】
細菌汚染物質の存在または細胞形態の変化を除外するために、倒立顕微鏡による定期的な目視検査を細胞拡大中に行った。PLの拡大条件の場合、Mycoplasma検出の相補的分析を行い、否定的な結果を示し、より遅い増殖の原因としてこれを破棄した(データは示さず)。
【0325】
細胞の凍結および解凍
コンフルエントに達したら(約70%)、細胞をトリプシン処理し、細胞計数、生存率、および表現型を凍結前にフローサイトメトリー技術により決定した。サイトメトリー分析で決定された生存細胞の数を考慮して、異なる拡大からの細胞を、2つの異なる部分に分け、遠心分離し、培地上清を破棄し、各部分の細胞ペレットを、15×10の生存hMSC/mL±20%の濃度で再構成した。ペレット再構成のための溶液は、RI条件については、2%w/vのAlbutein(登録商標)でPlasmalyte(登録商標)、TI条件については、2%w/vのAlbIX(登録商標)でPlasmalyte(登録商標)であった。
【0326】
これらの細胞懸濁液を、実施例1に記載の凍結プロトコルに詳述された手順および工程に従って凍結し、冷却速度中に特定の凍結保存溶液を添加した。各クライオバイアルで達成された最終濃度は、7.5×10の生存hMSC/mL±20%であり、最終凍結保存細胞懸濁液の組成は、RIについては、Plasmalyte中の10%v/vのDMSOおよび2%w/vのAlbutein(登録商標)であり、TIについては、Plasmalyte中の10%v/vのDMSOおよび2%w/vのAlbIX(登録商標)であった。
【0327】
最低7日後、細胞を、実施例1に記載の解凍プロトコルに従うが、異なる特定の解凍溶液:RIについては、Plasmalyte(登録商標)中の2%w/vのAlbutein(登録商標)、およびTIについては、Plasmalyte中の2%w/vのAlbIX(登録商標)を使用して解凍した。
【0328】
アルブミン溶液の研究は、2つの部分:凍結保存プロセスおよび安定性に分けられた。
【0329】
凍結保存保護
アルブミン溶液がhMSCに提供し得る凍結保護効果を評価するために、サイトメトリー分析を、解凍後に繰り返し、凍結前の結果と比較した。補完的評価である、PLで培養した細胞の場合、細胞計数および生存率のみを実施した。
【0330】
実施した凍結保存後のフローサイトメトリー分析は、安定性評価の時間0を構成した。
【0331】
安定性評価:細胞生存率および細胞同一性
hMSC懸濁液を、それぞれ、PLまたはhSERBで拡大させた細胞のために、10または20mLの注射器中にパッケージし、液体に対する空気体積の比率を0.4に維持した。試料を、2~8℃で保存し、使用された培養戦略に応じて0時間、24時間、48時間、および72時間の異なる時点で、さまざまな評価を行った。
【0332】
PLは、培養を拡大した。
PLで拡大された細胞の安定性評価は、2つの異なる方法を使用して、言及された時点に沿った生存率の決定からなった。
-フローサイトメトリー:7AADおよびアネキシンVマーカーを、それぞれ使用して、壊死細胞およびアポトーシス細胞の両方を考慮して、生存率の決定を行った。
-多重画像取得による蛍光細胞分析に基づくNC3000(商標)NucleoCounter(Chemometec)技術:2つの異なるプロトコルに従い、第1のものまたは標準物は、細胞濃度、凝集、および生存率の決定を可能にし、第2のプロトコルは、初期および後期アポトーシス細胞をアネキシンV結合およびPI包含を使用して測定することを考えると、アポトーシスプロセスのより完全な研究のために使用された。
【0333】
hSERBは、培養を拡大した:
hSERBを用いて拡大させた細胞の安定性評価は、生存率だけでなく同一性の評価からもなった。生存率の決定のために、PLで拡大された培養物と同じ方法で、2つの異なる方法を実施した。
-0時間、24時間、48時間、および72時間のフローサイトメトリー。
-0時間、24時間、および72時間での細胞計数、凝集、および生存率のみを含む標準的な手順によるNuceloCounterの決定。
【0334】
同一性の決定はまた、0時間、24時間、および72時間の時点でフローサイトメトリーによっても評価した。考慮された表面マーカー発現は、ISCT(国際細胞療法学会)から適合され、合格基準も、CD105、CD73、およびCD90抗原については、少なくとも95.0、CD45およびCD31については、5%以下、およびHLA-DRについては、20%以下であった、経験に従って設定された。
【0335】
安定性評価:多能性
細胞効力は、10%のhSerB添加培地を用いて、拡大させた細胞培養物から得られた試料に対してのみ、0時間、24時間、および72時間の時点で評価した。3つの異なる系統(脂肪生成性、骨形成性、および軟骨形成性)に分化する細胞の能力を評価した。
【0336】
2つの48ウェルフォーマットプレート(1つは基底状態用、もう1つは分化用)を、実施された各染色プロトコルのために播種した。基底状態は、播種後0~2日で染色されたが、分化したものは標準的な培養条件下(37℃、5%CO2、および95%相対湿度(RH))で、特定の分化培地で細胞を培養した後に染色され、培地は、3~4日毎に交換した。
【0337】
骨形成および脂肪生成分化アッセイの両方については、細胞が使用された分化の刺激および細胞密度にさらされた時間は、1~4週間であり、3×10~1×10細胞/cmであった。
【0338】
軟骨細胞分化の場合、用いられた播種密度は、72時間で8.0×10±12.5%細胞/マイクロマスであり、生存細胞の数が少ないために、いくつかの細胞培養では不可能であった。
【0339】
結果の分析:
結果の分析およびプロット生成には、Microsoft Excel 2007(Microsoft Corporation)およびWindows用のGraphPad Prism v6.01(GraphPad Software Inc.)を用いた。
【0340】
細胞計数、細胞生存率、および細胞凝集のNucleoCounter(Chemometec)の結果の解釈および分析には、NucleoView NC-3000(商標)ソフトウェア(Chemometec)を用い、細胞集団におけるアポトーシスを決定した。
【0341】
細胞計数および細胞同一性評価のサイトメトリー分析には、BD Cell Quest v5.2.1を用いた。
【0342】
結果および考察:
AlbIX(登録商標)対Albutein(登録商標)の凍結保存保護
研究されたアルブミン溶液である、AlbIX(登録商標)(TI)およびAlbutein(登録商標)(RI)のhMSCにおける凍結保護効果を、フローサイトメトリーによって生存率および同一性に関して評価した。生存率の評価は、培養拡大戦略、hSERBおよびPLの両方で実施したが、同一性は、hSERBの拡大についてのみ評価した。
【0343】
使用した各初代細胞培養および拡大戦略については、各条件、Albutein(登録商標)またはAlbIX(登録商標)における凍結前および解凍直後の生存率の割合を評価した。
【0344】
研究された初代培養細胞、および使用された増殖戦略によって提供された生存率は、生存率の減少のみが考慮されたことを考慮すると、データ正規化後に減少した。この正規化後の結果(データは示さず)は、両方の凍結保存溶液間に有意な統計的差異がないことを示した(使用された対応のないt検定統計分析)。まとめると、解凍直後に、Albutein(登録商標)およびAlbIX(登録商標)を評価した両方の添加剤の凍結保護効果が同等であることが確認された。
【0345】
凍結前対凍結後の表現型
凍結前および解凍後にhMSCの同一性を比較し、考慮された異なる表面マーカーの発現の割合(%)を確認した(図7を参照のこと)。
【0346】
Albutein(登録商標)またはAlbIX(登録商標)の凍結保存プロトコルを用いて検討されたすべての条件、凍結前、および解凍後について、hMSCの同一性について現在認められている基準を、以下を満たした:CD105、CD73、およびCD90抗原については、少なくとも95.0、CD45およびCD31については、5%以下、ならびにHLA-DRについては、20%以下であった。さらに、実施された統計分析(使用されたANOVA Tukeyの多重比較検定)は、評価された凍結保護剤間にいかなる統計的有意差も見出さなかった。
【0347】
したがって、凍結保存プロセスは、表面マーカーの同一性を変えず、AlbIX(登録商標)またはAlbutein(登録商標)溶液のいずれもhMSCの元の表現型を維持した。
【0348】
Albix対Albuteinの安定性効果
凍結保存後のhMSCにおける、研究されたアルブミン溶液である、AlbIX(登録商標)(TI)およびAlbutein(登録商標)(RI)の安定化効果を、生存率、同一性、および多能性に関して評価した。
(a)生存率:
生存率は、フローサイトメトリーによって評価した。hSERBおよびPL培養拡大戦略の両方について、壊死細胞(7AAD)およびアポトーシス細胞(アネキシンV)の両方を考慮した二重染色プロトコルを用いて、生存率を、0、24、48、および72時間の異なる時点で評価した。
【0349】
図8A(hSERB拡大細胞)および図8B(PL拡大細胞)では、AlbIX(登録商標)およびAlbutien(登録商標)の異なる時点および凍結保存条件に沿った生存率の割合(%)を示す。
【0350】
解凍直後の時間t=0時間では、細胞はすべて、細胞培養戦略(hSERBまたはPL)および凍結保存条件(AlbIX(登録商標)またはAlbutein(登録商標))と関係なく放出基準(生存率=70%)に適合した。
【0351】
hSerBの細胞培養戦略およびAlbIX条件(図8A)では、t=24時間から規格外(OOS)になったXCO13008を除いて、細胞はすべて、異なる時点で70%よりも高い生存率を示した。この事実は、細胞がより長くDMSOに曝露された解凍中に起こるという事件の結果であり得、これは、t=0時間で既により低い生存率をもたらし得る。Albutein(登録商標)条件では、t=24時間から安定性評価の終了までの3回のうち2回の初代細胞培養は、OOSであり、72時間では初代細胞培養はすべて、不適合であった。統計学的分析(ANOVA、Tukey多重比較検定)は、生存率の低下が、0時間~72時間の間の時点でAlbutein(登録商標)について有意であることを示した(p<0.05)が、AlbIX(登録商標)条件では、生存率の低下は、統計的に有意ではなかった。生存率の低下の値および統計学的分析の結果は、hSERBで拡大された細胞におけるAlbIX(登録商標)条件に対する安定性の拡大を実証している。
【0352】
PLを用いた準最適な細胞培養戦略(図8B)については、AlbIX(登録商標)条件も、Albutein(登録商標)よりも良好な結果を示したが、この場合は、結果はより明白であった。24時間から72時間の間、Albutein(登録商標)で凍結保存した細胞はすべて、OOSであったが、AlbIX(登録商標)での処置では、1回の初代培養細胞でのみ生存率が70%を下回り、最後の時点までは生存しなかった。統計学的分析(ANOVA、Tukey多重比較検定)は、hSERBで拡大した細胞について得られたものと同様の結果を示した:安定性時点に沿ったAlbIX(登録商標)条件に対する有意差はないが、Albutein(登録商標)は、24、48、および72時間で差を示した(p<0.05)。これらの結果は、hSERBで拡大した細胞と一致しており、AlbIX(登録商標)での処置がAlbutein(登録商標)での処置よりも良好な性能を提供するという結論を強化した。
【0353】
凍結保存研究の比較のために両方の細胞培養戦略を組み合わせたデータ(図示せず)は、24~72時間の平均生存率値がAlbutein(登録商標)溶液についてOOSであったが、これらの結果は、AlbIX(登録商標)溶液に対する安定性の時点研究のすべてに沿って本明細書に準拠した。
【0354】
AlbIX(登録商標)およびAlbutein(登録商標)での処置条件についての生存率(%)をより良好に比較するために、異なる初代細胞株および拡大戦略において観察された生存率を正規化した。正規化は、安定性のT=0を生存率を100%と見なし、この値に関して経時的に減少率を計算することからなる。生存率の低下のこれらの割合のグラフ表示を、図8Cおよび8Dに示す。
【0355】
試験したすべての細胞株および培養戦略において、データ正規化後の生存率の低下は、AlbIX(商標)条件よりもAlbutein(登録商標)の方が常に高かった。生存率の低下は、経時的に漸増し、PL細胞については72時間で60~80%、またはhSERB細胞については45~85%の値を達成した。統計学的分析(ANOVAノンパラメトリックSidakの多重比較検定を使用)を、凍結保存条件間の比較において実施し、hSERB培養戦略については、72時間(p<0.05)で、ならびにPL培養拡大戦略については、t=24(p<0.05)、48および72時間(p<0.001)で有意差の検出をもたらした。
【0356】
全体として、これらの結果は、以前の結論を確証し、AlbIX(商標)がAlbutein(登録商標)と比較して生存率に関して解凍後の生成物の安定性を改善することを確認した。
【0357】
表現型
hMSCの同一性を、hSERBで拡大した細胞株についての異なる安定性時点(0、24、および72時間)に沿って比較し、考慮された異なる表面マーカーの発現の割合(%)を確認した(図11を参照のこと)。
【0358】
0および24時間の時点、およびAlbutein(登録商標)またはAlbIX(登録商標)の凍結保存プロトコルについては、現在認められている基準を、以下を満たした:CD105、CD73、およびCD90抗原については、少なくとも95.0、CD45およびCD31については、5%以下、ならびにHLA-DRについては、20%以下であった。72時間の時点の場合、Albutein(登録商標)およびAlbIX(登録商標)を研究した両方の凍結保存条件について、初代細胞培養物XCO13008は、陽性表面マーカー(CD105、CD73、およびCD90)についてOOSであった。言及した抗原の発現は、許容限界の少なくとも95.0未満であった。この結果は、この初代細胞培養物の低い生存率:10%の結果であった。実際、細胞が死滅するとき、それらは、モノクローナル抗体コンジュゲートによって結合され得る環境におけるいくつかの細胞内タンパク質または成分を放出し、特に、この場合のように、細胞頻度が低いときに、誤った結論につながる可能性がある。
【0359】
実施された統計学的分析(ANOVA Tukeyの多重比較検定を使用した)は、安定性評価のために評価された凍結保護剤間にいかなる統計的有意差も示さなかった。凍結保存後の細胞懸濁液の安定性は、同一性に関してAlbIX(登録商標)およびAlbutein(登録商標)溶液と同等であった。
【0360】
AlbIX(登録商標)対Albutein(登録商標)の多能性保護
hMSCの多能性、言い換えれば、hSERBで拡大させ、Albutein(登録商標)またはAlbIX(登録商標)の条件で凍結保存した初代細胞培養について、解凍後ならびに異なる安定性時点(0、24、および72時間)に沿って、異なる中胚葉系統(脂肪生成、骨形成、および軟骨形成)に分化する能力を調べた。
【0361】
得られたデータ(図示せず)は、hMSCの多能性が凍結保存後および72時間の解凍後の間、AlbIX(登録商標)およびAlbutein(登録商標)条件の両方について安定であることを示した。分化能の欠如がいくつかの条件で検出され、これは少数の生存細胞または細胞培養依存性に関連したが、使用された凍結保存溶液には関連しなかった。
【0362】
結論:
凍結防止効果
凍結前および凍結直後の細胞懸濁液を比較したときに、凍結保存溶液AlbIX(登録商標)(Tl)とAlbutein(登録商標)(RI)との間に生存率および同一性に関して有意差は検出されなかった。
【0363】
凍結保存後の安定性の効果
解凍後、評価された安定性の時点に沿って、AlbIX(登録商標)は、最高の細胞生存率の結果を保証した。
-hSERBで拡大させた細胞培養物は、Albutein(登録商標)について48時間でOOS(生存率=70%)を示したが、AlbIX(登録商標)について72時間で第1のOOSが検出された。有意な統計的差異は、t=72時間に対するt=0の比較において、Albutein(登録商標)についてのみ検出された。
-準最適条件で拡大させた初代細胞培養PLは、Albutein(登録商標)に関してAlbIX(登録商標)のより良好な性能を強化した。生存率のOOSは、Albutein(登録商標)について24時間で既に検出されたが、AlbIX(登録商標)について72時間で第1のOOSが検出された。有意な統計学的差異が、0時間と比較して、Albutein(登録商標)について24時間で検出され、AlbIX(登録商標)については検出されなかった。
-データ正規化後、生存率の低下の割合は、これまでのデータを確認した:hSERBで拡大した細胞について、72時間で、PLで拡大した細胞について、24、48、および72時間の試験したすべての時点でAlbutein(登録商標)と比較したときに、より低い低下がAlbIX(登録商標)条件で検出され、特経学的に有意な差が観察された。
【0364】
hMSCの同一性および多能性に関しては、溶液AlbIX(登録商標)およびAlbutein(登録商標)は、時間0で得られた結果を維持しながら、研究の異なる時点で同等の結果を示した。
【0365】
実施例3
実施例2のAlbutein(登録商標)で処理した細胞(対照)およびAlbIX(登録商標)で処理した細胞を、2~8℃で関連した保存培地中で保存したとき、解凍後の時点T=0、24、48、および72時間、解凍後の保存後の初期および後期アポトーシスについて評価した。初期および後期アポトーシスは、NC3000(商標)NucleoCounterを用いて評価した。結果を図12に示す。
【0366】
図12Aは、AlbIX(登録商標)が24時間より長い保存期間後に、後期アポトーシスに入る細胞数を減少させるのに有効であることを示し、48および72時間で明らかな違いを示す。
【0367】
図12Bは、AlbIX(登録商標)が評価されたすべての時点で初期アポトーシスに保持される細胞数を増加させるのに有効であることを示す。
【0368】
アポトーシス研究は、対照と比較して細胞が後期アポトーシスに進行するのを妨げることにより、AlbIX(登録商標)の作用機序を説明し得る。
【0369】
実施例4
上述の実施例は、凍結保存の凍結/解凍サイクルの間の幹細胞に対する、凍結保存培地および保存培地の両方に存在するときに、試験酵母由来組換え血清アルブミン、AlbIX(登録商標)の有益な効果を実証した。
【0370】
この実施例では、酵母由来組換え血清アルブミンの役割をさらに研究して、解凍後の安定剤として、または凍結中の凍結防止剤として、あるいはその両方としてその有益な効果を発揮するかどうかを決定した。
【0371】
そうするために、4つの異なる条件が設定された。3つの試験項目は、代表的な酵母由来組換え血清アルブミン(AlbIX(登録商標))を使用し、それは凍結防止剤としてのみ、安定剤としてのみ、または凍結防止剤および安定剤の両方として使用された。参照項目(RI)として提供されている第4の条件は、ヒト血液由来し、Grifolsによって商品化されているアルブミン溶液である、Albutein(登録商標)の使用であり、Albutein(登録商標)は、抗凍結剤および安定剤の両方として含まれた。
【0372】
これは、以下のとおりにさらに要約され得る。
【表9】
【0373】
製造変更を実施するときに、GMP規制により推奨されているように、凍結前、解凍直後、および安定性試験中に、生存率を評価した。酵母由来組換え血清アルブミンの潜在的な作用機序をさらに調査するためにアポトーシス研究も行った。
【0374】
MSC培養:
骨髄(BM)由来の臨床グレードのMSCは、他の箇所(Codinach et al.,2016,Cytotherapy,18(9):1197-1208)に記載されているように、適切なドナーインフォームドコンセントを伴う、適正製造基準(GMP)準拠バイオプロセスに従って製造した。MSCは、2mMのグルタミンを含み、10%(v/v)のヒト血清B(hSerB;Banc de Sang i Teixits,Barcelona,Spain)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM;Gibco,Grand Island,New York;USA)からなる「拡大培地」を用いてインビトロでさらに拡大した。すべての培養物を、加湿インキュベーター内で37℃および5%COに維持し、全培地交換を3~4日ごとに行った。
【0375】
凍結/解凍後の製剤:
大規模な拡大した後、細胞を、10%(v/v)のジメチルスルホキシド(DMSO;OriGen Biomedical,Austin,Texas,USA)および2%(w/v)のAlbutein(登録商標)またはAlbIX(登録商標)を補充したダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS、Gibco,Grand Island,New York;USA)からなる溶液中で凍結保存した。条件に応じて、細胞を、Plasmalyte(登録商標)(Baxter)中の2%(w/v)のAlbutein(登録商標)またはAlbIX(登録商標)の溶液で解凍した。次いで、細胞を、10mLの注射器で調整して、臨床用量を再生成し、安定性研究のために2~8℃で保存した。
【0376】
安定性評価:
細胞濃度および生存率を、2つの技術:フローサイトメトリーおよび自動細胞計数器NucleoCounter(商標)3000(商標)(ChemoMetec,Allerod,Denmark)を用いて評価した。細胞濃度は、Perfect-Countmicrosphere(商標)(Cytognos)を用いてフローサイトメトリーによって評価した。Nucleocounter生存率アッセイおよび細胞計数を、製造業者の取扱説明書に従って行った。細胞生存率の割合は、7-アミノアクチノマイシンD(7AAD;BD Biosciences、San Diego,California,USA)およびアネキシン-Vを用いた二重染色によるフローサイトメトリーで決定した。細胞膜が壊死プロセスによって損傷を受けるときに、7AADはDNAに特異的に結合するが、アネキシン-Vは、通常、原形質膜のリーフレット内で発現され、初期アポトーシスの間に外部に移行するホスファチジルセリンに結合する。
【0377】
アポトーシスアッセイ:
初期および後期アポトーシス細胞の割合は、製造業者の取扱説明書に記載されているように、自動細胞計数器NucleoCounter NC-3000TM(ChemoMetec,Allerod,Denmark)を用いて評価した。簡言すれば、細胞を、Hoescht 33342で染色して、全細胞集団を選択し、アネキシン-V結合を初期アポトーシス細胞の特異的染色に使用し、最終的に、細胞をPIでインキュベートして、壊死細胞を定量化した。NucleoView NC3000ソフトウェア(ChemoMetec A/S、Allerod,Denmark)を使用して、NucleoCounter(商標)からの結果を分析し、解釈した。
【0378】
参考文献
Gydevang 43,DK-3450 Allerod,DenmarkのChemoMetec A/Sによって公開された、「Annexin V Assay using the NucleoCounter(登録商標)NC-3000(商標)System」と題する出願記録番号3017 Rev.1.4、および例えば、https://chemometec.com/wp-content/uploads/2015/04/994-3017-Annexin-V-Assay.pdfで、オンラインで利用可能である。
【0379】
結果:
生存率分析:
凍結前および凍結後の生存率を、フローサイトメーターおよびNucleocounterの2つのデバイスを用いて項目すべてについて比較した。
【0380】
両方の技術からの結果を図13に示す。両方のデバイスで同様の傾向が観察された。解凍直後、試験項目(TI1、TI2およびTI3)がすべて、合格基準を満たした(生存率>70%)が、3つの参照項目のうち2つ(RI)は既に規格外であった。これは、AlbIX(登録商標)を含む試験項目がすべて、凍結保存培地および保存培地の両方にAlbutein(登録商標)を用いた参照項目(RI)と比較して、解凍直後により良好な生存率を示したことを実証する。
【0381】
nucleocounter技術によって決定されたTI3の生存率の割合が、凍結前の試料中の生存率のレベルと有意に異ならないことは注目に値し、これは、AlbIX(登録商標)などの酵母由来組換え血清アルブミンが、凍結保存培地および保存培地の両方に使用されているときに、特に高度の細胞保護を示す。
【0382】
これらのデータは、AlbIX(登録商標)などの酵母由来組換え血清アルブミンが解凍後の生存率を改善することを示す。最大の効果のために、酵母由来組換え血清アルブミンが凍結保存培地のみ、保存培地のみ、または最大効果に対してその両方に含まれるときに、有益な効果が観察された。
【0383】
解凍直後(t=0時間)の生存率の測定可能な差が図13のデータで観察されたことに注目することは興味深い。相対的に、実施例2では、解凍直後の生存率は、凍結保存および保存培地中のAlbutein(登録商標)およびAlbIX(登録商標)の使用の間で同等であることを報告した。理論によって拘束されることなく、この差は、実施例2および4において試験するための細胞を提供するために使用される拡大戦略の差に起因し得ると考えられる。実施例2などの場合、細胞拡大のための最適培地および条件の使用は、解凍直後に検出された生存率の等価性をもたらすようである(24時間以上のようなより長い保存期間後に差異が明らかになった)が、凍結保存前の準最適および/または応力条件において拡大された細胞は、AlbIX(登録商標)またはAlbuetin(登録商標)の使用に応じて、解凍直後の生存率により顕著な差があるように見える。
【0384】
生存率はまた、解凍直後から72時間までの2~8℃での解凍後の長期保存期間にわたって評価した。結果を図14に提供する。
【0385】
図13および14の結果は、酵母由来組換え血清アルブミンが、凍結保存培地および保存培地の両方に含まれたときに、最大の有益な保護効果を提供したことを示すが、有益な保護効果はまた、参照項目と比較して、凍結保存培地のみ、または保存培地のみのいずれかに含まれたときにも観察された。
【0386】
RIとTI2の直接比較は、保存培地中の酵母由来組換え血清アルブミンを単独で提供する利点を示す。フローサイトメトリーのために壊死細胞(7AAD)およびアポトーシス細胞(アネキシンV)の両方を考慮した二重染色プロトコルを用いて、生存率を、0、24、48、および72時間の解凍後の時点で評価した。壊死細胞(PI)およびアポトーシス細胞(アネキシンV)も考慮したnucleocounterについて三重染色を使用した。フローサイトメトリーはそれらのサイズおよび形態に従って細胞をゲートしたが、nucleocounterは、第3の染色Hoechstで細胞を選択した。結果を図15に示す。
【0387】
結果は、解凍後、RI試料からの3つのうち1つの細胞株のみが日常的な合格基準を満たした(生存率>70%)ことを示す。対照的に、TI2からの細胞株はすべて、70%超の生存率を示した。AlbIX(登録商標)で解凍および調整したTI2は、試験したすべての時点でより高い割合の生存率を示した。
【0388】
RIおよびTI2のデータを正規化して、t=0時間で解凍直後に観察された生存率の初期の割合(%)に影響されずに経時的に生存率の変動を評価した。この試験の目的のために、時点0時間を、各試料について100%の生存率を有する時点と見なし、この時点からの生存率の低下をこの値に関して評価した。図16に示すように、各細胞株についてデータをプロットした。
【0389】
生存率の低下における同様の傾向が、フローサイトメトリーおよびnucleocounterの両方で観察された。両方のデバイスについて、正規化された生存率の低下の有意差が、t=48時間から観察され、その場合、生存率の低下は、Albutein(商標)で解凍されたRIよりもAlbIX(登録商標)で解凍されたTI2の方が低かった。参照項目の生存率の低下は、t=24時間ですでに有意になったが、生存率の低下は、t=48時間から有意になった(データは示さず)。
【0390】
データは、AlbIXなどの酵母由来組換え血清アルブミンが、2~8℃で起こる生存率の低下を減少させることによって、Albutein(登録商標)などの血漿由来アルブミンと比較して、生成物の安定性を有意に増加させたことを示す。
【0391】
保存培地中のAlbIX(登録商標)などの酵母由来組換え血清アルブミンの有益な効果が、凍結保存培地中に酵母由来組換え血清アルブミンをさらに含むことによって改変されるかどうかを決定するために追加の試験を行った。TI1とTI3とを比較するアポトーシスアッセイの結果を図17に提供する。
【0392】
上述のように、TI1は、凍結保存培地にはAlbIX(登録商標)を使用するが、保存培地にはAlbutein(商標)を使用することを特徴とし、一方、TI3は、凍結保存培地および保存培地の両方にAlbIX(登録商標)を使用することを特徴とする。
【0393】
結果は、TI3がすべての時点でより高い生存率を有することを示す。データ正規化(図示せず)後、データは、各時点でTI1に対してよりもTI3に対しての方が生存率の低下が少ないことを示した。これらの結果は、保存培地中のAlbIX(登録商標)などの酵母由来組換え血清アルブミンの有益な効果を実証している。有益な効果は、凍結保存培地中に含まれることだけに限定されず、凍結保存培地の特定の同一性にも依存しない(最良の結果は、凍結保存培地および保存培地の両方においてAlbIX(登録商標)を用いて得られた)。
【0394】
RIとTI3との比較は、両方の培地(RI)中のAlbutein(商標)の使用と比較して、凍結保存培地および保存培地(TI3)の両方において、AlbIX(登録商標)などの組換え血清アルブミンを含むことの利点を直接示す。結果を図18に示し、生存率があらゆる時点でTI3についての安定性研究において有意に高いことを示している。これらの差は、解凍後のより長い保存期間にわたって増加する傾向があった。
【0395】
RIとTI3とを比較するデータの正規化後(データは示さず)、RIだけでなく評価された他の試験項目と比較して、各時点での生存率の低下は、TI3よりもRIの方が大きく、後者が、経時的に最も低い生存率の低下を伴う最良の条件であると思われる。
【0396】
AlbIX(登録商標)などの酵母由来組換え血清アルブミンは生成物の安定性を改善すると結論付けられる。酵母由来組換え血清アルブミンが凍結保存培地のみ、保存培地のみ、またはその両方に含まれるときに、有益な効果が得られ得る。
【0397】
アポトーシス分析:
アポトーシスアッセイによるRI試料とTI2試料との比較の結果を図19Aに提供する。t=24時間から、2つの項目間に明らかな有意差が観察された(ANOVA Sidakの多重比較検定)。データ正規化後、t=0時間から72時間までで、両方の項目について初期アポトーシス細胞の有意な減少が観察され、これは保存期間中に初期アポトーシスから後期アポトーシスへの切り替えの一般的過程を示す。しかしながら、t=24およびt=48時間では、R 1とT 12との間に明らかな差があった。データは、RI試料と比較して、TI2の後期アポトーシスへの転換の減少を示し、AlbIX(登録商標)などの酵母由来組換え血清アルブミンが後期アポトーシスに入る細胞のプロセスを遅くし得るという結論を支持する。
【0398】
これらの結果から、AlbIX(登録商標)などの酵母由来組換え血清アルブミンは、初期アポトーシス状態での解凍後の保存における凍結保存幹細胞の維持を支持し、後期アポトーシスへの転換を減少させ、保存培地の安定剤として使用されるときに、細胞生成物の安定性を増加させると結論付ける。
【0399】
アポトーシスアッセイによるTI1試料とTI3試料との比較の結果を図19Bに提供する。データはさらに、保存培地中の安定化剤としてのAlbIX(登録商標)などの酵母由来組換え血清アルブミンが、凍結保存培地中のアルブミンの同一性にかかわらず、後期アポトーシス状態への細胞の転換を遅くし得るという結論を支持する。
【0400】
アポトーシスアッセイによるRI試料とTI3試料との比較の結果を図19Cに提供する。結果は、初期アポトーシス細胞の割合が安定性試験中の各時点でRIとTI3の間で有意に異なっていたことを示す。同様に、これら2つの項目間の後期アポトーシス細胞の割合の差もまた有意であった。これらのデータはさらに、AlbIX(登録商標)などの酵母由来組換え血清アルブミンが、解凍後の保存中に細胞の進入を後期アポトーシスに遅らせる能力を有することを確認する。
【0401】
実施例5
植物由来組換えアルブミン生成物に対するRecombumin(登録商標)プライムとRecombumin(登録商標)アルファとの比較
上記のように、Frahm et al,2014,PLOS One,9(1):e109893(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、酵母由来組換え血清アルブミン(具体的には、Recombumin(登録商標)プライムおよびRecombumin(登録商標)アルファ)の特性が、別の組換え植物由来血清アルブミン生成物、血漿由来血清アルブミンおよび組換え植物由来血清アルブミン生成物と比較された研究を報告した。
【0402】
組換え酵母由来血清アルブミン生成物は、他の供給源から(例えば、血漿から、または植物などの他の組換え供給源から)得られた血清アルブミン組成物からの多数の物理的差異を示した。さらに、Recombumin(登録商標)プライムおよびRecombumin(登録商標)アルファ生成物は、Pichiaから入手した他の組換え酵母由来血清アルブミンとはいくつかの明らかな差を示した。
【0403】
本発明の実施例は、さらなる違いを実証する。
【0404】
生成物の要約を、以下の表に示す。記載されている組換えアルブミンはすべて、生物薬剤の用途を意図している。
【表10】
【0405】
「標識純度」という見出しの列は、生成物シートに製造業者によって示されている純度のレベルを指す。
【0406】
純度および均質性:
組換えアルブミンなどのタンパク質賦形剤の純度を理解することは複雑である。宿主細胞タンパク質レベルおよび賦形剤などの最終製剤中の他の成分の存在を理解することに加えて、タンパク質自体の均質性にも注意を払わなければならない。グリコシル化または部分的に分解されたタンパク質のような、修飾型のタンパク質が大量に存在すると、タンパク質の機能性に大きな影響を与え、さらに規制当局へのその物質の許容性を低下させる可能性がある。
【0407】
この実施例で試験された市販の組換えアルブミンはすべて、電気泳動に基づいて95~99%の製造業者指定のタンパク質純度仕様書を有する。これはこのパラメータを決定するための標準的な技術であるが、タンパク質の不均質を完全には解決しないであろう。質量分析による市販の組換えアルブミンの詳細な分析を行い、データを図1に示す。これらのデータは、図2に比較ゲル電気泳動データと共に示されている。
【0408】
ゲル電気泳動による比較的同様の標識純度の主張にもかかわらず、質量分析はより興味深い写真を示す。Recombumin(登録商標)プライムおよびRecombumin(登録商標)アルファ(図1(a))は共に、天然のヒト血清アルブミン分子を表す66.4kDaの主に単一の種を示した。相対的に、評価された他の市販の組換えアルブミン試料はすべて、最終製剤中のタンパク質の部分的に分解またはグリコシル化された形態を示す複数のピークを含んでいた。恐らく、最も顕著な質量スペクトルは、供給源1からの米由来生成物で記録された(図1(b))。この生成物は、評価された質量範囲において約40のピークを示した。この分析に基づいて、存在するタンパク質のごく一部が天然のヒト血清アルブミンであることは明らかである。これは、96%(w/w)超の標識純度の主張にもかかわらない。
【0409】
外観:
外観は、しばしば、生成物の色および透明度を調べるために行われる最初の分析試験のうちの1つである。このパラメータは、しばしば、生成物の品質および純度の直接的な指標と見なされるいため、重要である。材料が比較的大量に存在する可能性がある場合、賦形剤による生成物の色素沈着の有意な増加は望ましくない場合がある。
【0410】
図3に示される画像は、Recombumin(登録商標)プライムおよびRecombumin(登録商標)アルファが評価された製品の中で最も着色が少ないことを示しており、どちらの製品も透明/麦わら色をしている。代替生成物は、米由来生成物である供給者1からのアルブミンによる色素沈着のレベルの増加を示し、最大の色素沈着を示し、最終生成物は橙色/琥珀色を有する。
【0411】
機能の特徴付け:
アルブミン分子は、製剤安定化のための天然の抗酸化剤である天然の遊離チオール基を含む。この基は天然アルブミン分子に固有のものであるが、それは不十分な保存または処理のために酸化および不活性化され得る。
【0412】
この実施例に記載されている市販の組換えアルブミンの遊離チオール含有量を以下の表に示す。
【表11】
【0413】
遊離チオールレベルが生成物間で異なり、酵母由来組換えアルブミン生成物が最高レベルの遊離チオール含有量を示すことは明らかである。Recombumin(登録商標)プライムおよびRecombumin(登録商標)アルファは、試験したアルブミンのすべての最高レベルを示した。米に由来する市販のアルブミン1は、ほぼ完全にブロックした。
【0414】
実施例6
酵母由来組換えアルブミン、植物由来組換えアルブミン生成物、または血漿由来アルブミンの存在下での幹細胞培養の比較
この研究の目的は、ヒト胚性幹細胞(hESC)培養用途における細胞培養サプリメントとしての使用のための6つの異なるヒト血清アルブミン(HSA)試料の適合性を評価することであった。
【0415】
試験した試料は、以下のとおりであった:
・試料1、3、4、および5:異なる多くの酵母由来組換えHSA(AlbIX(登録商標))。
・試料2:Sigmaから入手の血漿由来HSA(A 9080)。
・試料6:Sigmaから入手の植物由来組換えHSA、Cellastim(商標)(A9731)。
【0416】
次いで、8継代の異種由来成分不含細胞培養系で予め培養した2つの異なるhESC株(SA121およびSA181)を、異なる試験試料のそれぞれを含む異種由来成分不含培地に移し、免疫細胞化学およびQPCRによる多能性マーカーの発現について分析する前に、さらなる7継代のために対して成長させた。DEF-CS(商標)(市販の化学的に定義されたヒトiPS細胞培養培地)およびAlbIX(登録商標)を含有する異種由来成分不含細胞培地を、研究における対照として使用した。
【0417】
細胞を各継代で計数し、倍増時間を式Td=tx[log2/log(収穫時の細胞密度/播種時の密度)](式中、t=継代間の時間(時間))を用いて計算した。次いで、平均倍増時間を各試験培地について計算し、データを、Tukeyの一対比較を用いて一元配置ANOVAによって分析した。
【0418】
結果
酵母由来組換えHSA(試料1、3、4、および5)は、それらが7継代の間SA121およびSA181細胞株の両方の未分化増殖を支持するので、hESCのための培地サプリメントとしての使用に好適であることが見出された。QPCRおよび免疫細胞化学的分析は、これらの培養物中で多能性マーカーが均一に発現されることを実証し、分化マーカーの低レベルの発現が調べられた。試料1、3、4、および5を用いて得られた結果は、両方の対照と比較して好都合である。
【0419】
血漿由来HSA(試料2)は、SA181細胞系の未分化増殖を支持することができなかったので不適切であることが見出されたが、SA121細胞は、このHSAを含有する培地中ではよく増殖した。
【0420】
植物由来組換えHSA、Cellastim(商標)(試料6)もまた、SA121またはSA181細胞系のいずれの成長も支持することができず、いずれの場合も初代継代前に培養が失敗したため、hESC培養用途には不適当であることもわかった。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
【0421】
したがって、本発明は、以下の番号付けされた段落によって定義される主題を提供する。
1.幹細胞の保存方法であって、幹細胞を凍結保存培地と組み合わせて、混合物を生成するステップと、混合物を凍結して、凍結幹細胞生成物を生成するステップと、を含み、
任意に、本方法は、凍結幹細胞生成物を解凍するステップと、解凍された細胞を保存培地に移すステップと、幹細胞を保存培地中に保存するステップと、をさらに含み、
凍結保存培地および/または保存培地は、組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む、方法。
2.幹細胞の保存方法であって、幹細胞を保存培地中に保存することを含み、
幹細胞は、凍結保存培地中で凍結され、解凍され、次いで保存前に保存培地に移されており、
凍結保存培地および/または保存培地は、組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む、方法。
3.該方法は、幹細胞を前記凍結乾燥培地中で凍結して、凍結幹細胞生成物を生成するステップと、凍結幹細胞生成物を解凍するステップと、解凍された細胞を保存培地に移すステップと、幹細胞を保存培地中に保存するステップと、を含み、
凍結保存培地および/または保存培地は、組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む、段落1または2に記載の方法。
4.組換え酵母由来血清アルブミン調製物が、幹細胞と混合したときに、凍結保存培地および/または保存培地中に、約0.01%(w/v)超および10%(w/v)未満、約9%(w/v)未満、約8%(w/v)未満、約7%(w/v)未満、または約6%(w/v)未満、例えば約0.1%(w/v)~約5%(w/v)、好ましくは約1%(w/v)、約2%(w/v)、約3(w/v)、または約4%(w/v)の濃度である組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質を提供するのに好適な量で存在する、段落1~3のいずれかに記載の方法。
5.組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、凍結保存培地中に存在し、保存培地中にも存在する、段落1~4のいずれかに記載の方法。
6.幹細胞は、2~8℃の温度で保存培地中に保存される、段落1~5のいずれかに記載の方法。
7.幹細胞は、24時間を超える時間の期間、最大約48時間など、例えば最大約72時間、もしくはそれ以上、保存培地中に保存され、
幹細胞は、24時間を超える時間の期間、最大約48時間など、例えば、最大約72時間、もしくはそれ以上、2~8℃の温度で保存され、保存期間の終了時の幹細胞の生存率は、5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、55%超、60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、86%超、87%超、88%超、89%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、もしくはより高い値を超え、例えば、約60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、86%超、87%超、88%超、89%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、もしくはより高い値を超える、段落1~6のいずれかに記載の方法。
8.凍結保存培地および/または保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、以下の特性:
(c)0.5%(w/w)未満、好ましくは0.4%、0.3%、0.2%、もしくは0.15%未満が、コンカナバリンAへ結合すること、および/または
(d)0.6モルのヘキソース/タンパク質1モル未満、好ましくは0.10、0.075、もしくは0.05モルのヘキソース/タンパク質1モル未満の糖化レベル、のうちの1つ以上を示す、段落1~7のいずれかに記載の方法。
9.凍結保存培地および/または保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、
(d)少なくとも約95%、96%、97%、98%、より好ましくは少なくとも約99.5%の単量体および二量体、好ましくは本質的に100%の単量体および二量体であり、
(e)少なくとも約93%、94%、95%、96%、もしくは97%の単量体であり、ならびに/または
(f)約1.0%(w/w)、0.1%(w/w)、もしくは0.01%(w/w)以下、好ましくはそれ未満のアルブミンポリマー含有量を有する、段落1~8のいずれかに記載の方法。この文脈に使用されるように、組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質に適用される「ポリマー」という用語は、単量体および二量体形態とは異なる。
10.凍結保存培地および/または保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、酵母由来血清アルブミンタンパク質、カチオン(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、好ましくはナトリウムなど)、および平衡アニオン(塩化物、リン酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、または酢酸塩、好ましくは塩化物またはリン酸塩)、水、ならびに任意にオクタノエートおよびポリソルベート80を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる、段落1~9のいずれかに記載の方法。
11.凍結保存培地および/または保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、18mM、16mM、15mM、14mM、12mM、10mM、8mM、6mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM、0.5mM、0.4mM、0.3mM、0.2mM、0.1mM、0.01mM、0.001mM未満のオクタノエートを含むか、オクタノエートを実質的に含まないか、またはオクタノエートを含まない、段落1~10のいずれかに記載の方法。
12.凍結保存培地ならびに/または組換え酵母由来血清アルブミン調製物および幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む保存培地は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、18mM、16mM、15mM、14mM、12mM、10mM、8mM、6mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM、0.5mM、0.4mM、0.3mM、0.2mM、0.1mM、0.01mM、0.001mM未満のオクタノエートを含むか、オクタノエートを実質的に含まないか、またはオクタノエートを含まない、段落11に記載の方法。
13.凍結保存培地および/または保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、15mM、10mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM以下の全脂肪酸含有量を有するか、実質的に脂肪酸を含まないか、または脂肪酸を含まない、段落1~12のいずれかに記載の方法。
14.凍結保存培地ならびに/または組換え酵母由来血清アルブミン調製物および幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む保存培地は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、15mM、10mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM以下の全脂肪酸含有量を有するか、実質的に脂肪酸を含まないか、または脂肪酸を含まない、段落13に記載の方法。
15.凍結保存培地および/または保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製剤は、200mg.L-1、150mg.L-1、100mg.L-1、90mg.L-1、80mg.L-1、70mg.L-1、60mg.L-1、50mg.L-1、40mg.L-1、30mg.L-1、20mg.L-1、15mg.L-1、10mg.L-1、5mg.L-1、4mg.L-1、3mg.L-1、2mg.L-1、1mg.L-1、0.5mg.L-1、0.1mg.L-1、0.01mg.L-1、0.001mg.L-1未満の濃度で、ポリソルベート(好ましくはポリソルベート80)などの洗剤を含むか、洗剤を実質的に含まないか、または洗剤を含まない、段落1~14のいずれかに記載の方法。
16.凍結保存培地、ならびに/または組換え酵母由来血清アルブミン調製物および幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む保存培地は、200mg.L-1、150mg.L-1、100mg.L-1、90mg.L-1、80mg.L-1、70mg.L-1、60mg.L-1、50mg.L-1、40mg.L-1、30mg.L-1、20mg.L-1、15mg.L-1、10mg.L-1、5mg.L-1、4mg.L-1、3mg.L-1、2mg.L-1、1mg.L-1、0.5mg.L-1、0.1mg.L-1、0.01mg.L-1、0.001mg.L-1未満の濃度で、ポリソルベート(好ましくはポリソルベート80)などの洗剤を含むか、または洗剤を含まない(好ましくはポリソルベート80を含まない)、段落15に記載の方法。
17.凍結保存培地および/または保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、15mM、10mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM、0.5mM、0.1mM、0.01mM、0.005mM、0.001mM未満の全遊離アミノ酸レベルおよび/もしくはN-アセチルトリプトファンレベルを含むか、具体的には、遊離アミノ酸および/もしくはN-アセチルトリプトファンを実質的に含まないか、または具体的には、遊離アミノ酸および/もしくはN-アセチルトリプトファンを含まない、段落1~16のいずれかに記載の方法。
18.凍結保存培地ならびに/または組換え酵母由来血清アルブミン調製物および幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む保存培地は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、15mM、10mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM、0.5mM、0.1mM、0.01mM、0.005mM、0.001mM未満の全遊離アミノ酸レベルおよび/もしくはN-アセチルトリプトファンレベルを含み、具体的には、遊離アミノ酸および/もしくはN-アセチルトリプトファンを実質的に含まないか、または具体的には、遊離アミノ酸および/もしくはN-アセチルトリプトファンを含まない、段落17に記載の方法。
19.凍結保存培地および/または保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、オクタノエート、具体的には、遊離アミノ酸、および/もしくはN-アセチルトリプトファン、ならびに洗浄剤(ポリソルベート80など)のすべてを実質的に含まないか、または完全に含まない、段落1~18のいずれかに記載の方法。
20.凍結保存培地ならびに/または組換え酵母由来血清アルブミン調製物および幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む保存培地は、オクタノエート、具体的には、遊離アミノ酸、および/またはN-アセチルトリプトファン、ならびに洗剤(ポリソルベート80など)のすべてを実質的に含まないか、または完全に含まない、段落19に記載の方法。
21.凍結保存培地および/もしくは前記保存培地中に存在する前記組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、Recombumin(登録商標)プライム、もしくはそれに類似の調製物、Recombumin(登録商標)アルファ、もしくはそれに類似の調製物、またはAlbIX(登録商標)、もしくはそれに類似の調製物、から選択される調製物である、段落1~20のいずれかに記載の方法。
22.凍結保存培地および/または保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、ヘム、プレカリクレイン活性化因子、発熱物質、C型肝炎、および/またはヒトウイルスから選択される1つ以上、例えばすべての成分を含まず、ならびに/または200μg.L-1未満、例えば、180μg.L-1、160μg.L-1、140μg.L-1、120μg.L-1、100μg.L-1、90μg.L-1、80μg.L-1、70μg.L-1、60μg.L-1、50μg.L-1、もしくは40μg.L-1未満、より典型的には、約10μg.L-1~約30μg.L-1の範囲内のアルミニウム濃度を有する、段落1~21のいずれかに記載の方法。
23.凍結保存培地、ならびに/または組換え酵母由来血清アルブミン調製物および幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む保存培地は、ヘム、プレカリクレイン活性化因子、発熱物質、C型肝炎、および/またはヒトウイルス)から選択される1つ以上、例えばすべての成分を含まず、ならびに/または200μg.L-1未満、例えば、180μg.L-1、160μg.L-1、140μg.L-1、120μg.L-1、100μg.L-1、90μg.L-1、80μg.L-1、70μg.L-1、60μg.L-1、50μg.L-1、もしくは40μg.L-1未満、より典型的には、約10μg.L-1~約30μg.L-1の範囲内のアルミニウム濃度を有する、段落20に記載の方法。
24.凍結保存培地および/または保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、無傷または実質的に無傷のN末端配列を有する、段落1~23のいずれかに記載の方法。
25.凍結保存培地および/または保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、質量分析法によって試験したとき、組換え植物由来血清アルブミンタンパク質(図1に示される試料など)と比較して、天然の無傷のヒト血清アルブミン分子を表す約66.4kDaの主要ピークとは異なる、実質的により少ないピーク(例えば、50%、40%、30%、20%、10%、5%、もしくはそれ以下よりも少ない)を示す、段落1~24のいずれかに記載の方法。
26.凍結保存培地および/または保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、62%超、例えば、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、約96%、約97%である遊離チオール基含有量を有するアルブミンタンパク質を含む、段落1~25のいずれかに記載の方法。
27.凍結保存培地および/または保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって試験したとき、14分未満および19分を超えるピーク保持時間を有するピークを除外し、より好ましくは、14分または15分未満および18分を超えるピーク保持時間を有するピークを除外する、SECプロファイルを示すアルブミンタンパク質を含む、段落1~26のいずれかに記載の方法。
28.凍結保存培地および/または保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)によって試験したとき、天然単量体形態のアルブミンに対応する単一の主要ピークを示すアルブミンタンパク質を含む、段落1~27のいずれかに記載の方法。
29.凍結保存培地および/または保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、質量分析法によって試験したとき、1タンパク質当たり13、12、11、10、9、8、7、6未満、例えば、約1~11、1~8、1~5、1~4、1~3、1~2、1、または1未満のヘキソース修飾リジンおよび/またはアルギニン残基を示す生成物であるアルブミンタンパク質を含む、段落1~28のいずれかに記載の方法。
30.凍結保存培地および/または保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、植物特異的糖で糖化されていないアルブミンタンパク質を含む、段落1~29のいずれかに記載の方法。
31.植物特異的糖は、α-1,3-フコースおよび/またはβ-1,2-キシロースから選択される、段落30に記載の方法。
32.凍結保存培地は、組換え血清アルブミン調製物および凍結保存剤を含み、
任意に、凍結保存培地は、組換え酵母由来血清アルブミン調製物の水溶液、凍結保存剤、およびイオン性緩衝液を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなり、
好ましくは、イオン性緩衝液は、電解質の水溶液を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、例えば、電解質は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、塩化物イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、および/またはグルコン酸イオンからなる群から選択され、
より好ましくは、イオン性緩衝液は、ヒトの生理学的血漿の電解質濃度、浸透圧、および/またはpHを模倣する電解質濃度、浸透圧、および/またはpHを有し、
最も好ましくは、イオン性緩衝液は、幹細胞に対して実質的に等張性であり、および/またはイオン性緩衝液は、Plasmalyte(登録商標)である、段落1~31のいずれかに記載の方法。
33.凍結保存培地は、幹細胞培養増殖培地ではなく、好ましくは、幹細胞の増殖を支持せず、より好ましくは、ビタミン、ホルモン、成長因子、鉄源、遊離アミノ酸、および/またはグルコースなどの典型的な幹細胞培養培地の成分のうちのいかなる1つ以上(例えばすべて)のレベルも実質的に含まないか、または含まない、段落32に記載の方法。
34.凍結保存剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール(EG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、およびトレハロースからなる群から選択される、段落32または33に記載の方法。
35.保存培地は、組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含み、
任意に、保存培地は、組換え酵母由来血清アルブミン調製物の水溶液およびイオン性緩衝液を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなり、
好ましくは、イオン性緩衝液は、電解質の水溶液を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、例えば、電解質は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、塩化物イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、および/またはグルコン酸イオンからなる群から選択され、
より好ましくは、イオン性緩衝液は、ヒトの生理学的血漿の電解質濃度、浸透圧、および/またはpHを模倣する電解質濃度、浸透圧、および/またはpHを有し、
最も好ましくは、イオン性緩衝液は、幹細胞に対して実質的に等張性であり、および/またはイオン性緩衝液は、Plasmalyte(登録商標)である、段落1~34のいずれかに記載の方法。
36.保存培地は、幹細胞培養増殖培地ではなく、好ましくは、幹細胞の増殖を支持せず、より好ましくは、ビタミン、ホルモン、成長因子、鉄源、遊離アミノ酸、および/またはグルコースなどの典型的な幹細胞培養培地の成分のうちのいかなる1つ以上(例えばすべて)のレベルも実質的に含まないか、または含まない、段落35に記載の方法。
37.凍結保存培地および/または保存培地は、血清由来アルブミン調製物のうちの1つ以上の成分、例えば、ヘム、プレカリクレイン活性化因子、発熱物質、C型肝炎ヒトウイルス、および/または他のヒトウイルス、および/またはN-アセチルトリプトファンからなる一覧から選択される、1つ以上の成分(例えばすべて)を含まず、好ましくは、オクタノエートおよび/または洗剤(ポリソルベート80など)を実質的に含まないか、または完全に含まない、段落1~36のいずれかに記載の方法。
38.幹細胞は、ヒト幹細胞である、段落1~37のいずれかに記載の方法。
39.幹細胞は、多能性幹細胞(胚性幹細胞、胚性生殖細胞、誘発多能性幹細胞など)、多能性幹細胞(例えば、任意に、脂肪、骨髄、臍帯血、もしくは臍帯に由来し得る間葉系幹細胞のような成体幹細胞;任意に、骨髄もしくは末梢血に由来し得る造血幹細胞;神経幹細胞;または生殖幹細胞)、または単能性幹細胞(肝細胞のための単分化能幹細胞など)、からなる群から選択される、段落1~38のいずれかに記載の方法。
40.幹細胞は、非ヒト幹細胞である、段落1~39のいずれかに記載の方法。
41.方法は、幹細胞を任意に2~8℃の温度で、さらに任意に24時間を超える時間の期間、例えば最大48時間、例えば、最大約72時間、もしくはそれ以上、保存培地中に保存することを含み、
幹細胞を保存培地中に保存するステップ後に直接的または間接的に、該方法は、幹細胞を培養するステップと、幹細胞の培養を拡大するステップと、幹細胞を分化させるステップと、幹細胞、またはそれに由来する培養および/もしくは分化された細胞を、例えば組織もしくは医療用インプラントに固定化するステップと、幹細胞、またはそれに由来する培養および/もしくは分化された細胞もしくは他の生成物を、薬学的に許容可能な組成物または獣医学的に許容可能な組成物中に製剤化するステップと、幹細胞、またはそれらに由来する培養および/もしくは分化された細胞もしくは他の生成物を患者に投与するステップと、から選択される1つ以上のステップをさらに含む、段落1~40のいずれかに記載の方法。
42.方法は、幹細胞を保存培地中に保存することを含み、保存後、幹細胞は、例えば、骨細胞、心筋細胞、膵臓ベータ細胞、ニューロン、線維芽細胞、心筋細胞、骨芽細胞、および/または軟骨細胞から選択される細胞型に分化する、段落1~41のいずれかに記載の方法。
43.幹細胞の凍結保存のための凍結保存培地であって、組換え酵母由来血清アルブミン調製物および凍結保存剤を含む、凍結保存培地。
44.凍結保存剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール(EG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、およびトレハロースからなる群から選択される、段落43に記載の凍結保存培地。
45.組換え血清アルブミン調製物の水溶液、凍結保存剤、およびイオン緩衝液を含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなり、
好ましくは、イオン性緩衝液は、電解質の水溶液を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、例えば、電解質は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、塩化物イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、および/またはグルコン酸イオンからなる群から選択され、
より好ましくは、イオン性緩衝液は、ヒトの生理学的血漿の電解質濃度、浸透圧、および/またはpHを模倣する電解質濃度、浸透圧、および/またはpHを有し、
最も好ましくは、イオン性緩衝液は、幹細胞に対して実質的に等張性であり、および/またはイオン性緩衝液は、Plasmalyte(登録商標)である、段落43または44に記載の凍結保存培地。
46.幹細胞をさらに含み、
任意に、幹細胞は、多能性幹細胞(胚性幹細胞、胚性生殖細胞、誘発多能性幹細胞など)、多能性幹細胞(例えば、任意に、脂肪、骨髄、臍帯血、もしくは臍帯に由来し得る間葉系幹細胞のような成体幹細胞;任意に、骨髄もしくは末梢血に由来し得る造血幹細胞;神経幹細胞;または生殖幹細胞)、または単能性幹細胞(肝細胞のための単分化能幹細胞など)、からなる群から選択される、段落43から45のいずれかに記載の凍結保存培地。
47.凍結されている、段落46に記載の凍結保存培地。
48.凍結され、次いで解凍されている幹細胞を含む、段落47に記載の凍結保存培地。
49.組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、幹細胞と混合したときに、凍結保存培地中に、約0.01%(w/v)超および10%(w/v)未満、約9%(w/v)未満、約8%(w/v)未満、約7%(w/v)未満、または約6%(w/v)未満、例えば約0.1%(w/v)~約5%(w/v)、好ましくは約1%(w/v)、約2%(w/v)、約3(w/v)、または約4%(w/v)の濃度である組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質を提供するのに好適な量で存在する、段落43~48のいずれかに記載の凍結保存培地。
50.凍結保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、以下の特性:
(a)0.5%(w/w)未満、好ましくは0.4%、0.3%、0.2%、もしくは0.15%未満が、コンカナバリンAへ結合すること、および/または
(b)0.6モルのヘキソース/タンパク質1モル未満、好ましくは0.10、0.075、もしくは0.05モルのヘキソース/タンパク質1モル未満の糖化レベル、のうちの1つ以上を示す、段落43~49のいずれかに記載の凍結保存培地。
51.凍結保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、
(a)少なくとも約95%、96%、97%、98%、より好ましくは少なくとも約99.5%の単量体および二量体、好ましくは本質的に100%の単量体および二量体であり、
(b)少なくとも約93%、94%、95%、96%、もしくは97%の単量体であり、ならびに/または
(c)は、約1.0%(w/w)、0.1%(w/w)、もしくは0.01%(w/w)以下、好ましくはそれ未満のアルブミンポリマー含有量を有する、段落43~49のいずれかに記載の凍結保存培地。
52.
(a)凍結保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、酵母由来血清アルブミンタンパク質、カチオン(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、好ましくはナトリウムなど)、および平衡アニオン(塩化物、リン酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、または酢酸塩、好ましくは塩化物またはリン酸塩)、水、ならびに任意にオクタノエートおよびポリソルベート80を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、
(b)組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む凍結保存培地は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、18mM、16mM、15mM、14mM、12mM、10mM、8mM、6mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM、0.5mM、0.4mM、0.3mM、0.2mM、0.1mM、0.01mM、0.001mM未満のオクタノエートを含むか、オクタノエートを実質的に含まないか、またはオクタノエートを含まず、
(c)組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む凍結保存培地は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、15mM、10mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM以下の全脂肪酸含有量を有するか、実質的に脂肪酸を含まないか、または脂肪酸を含まず、
(d)組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む凍結保存培地は、200mg.L-1、150mg.L-1、100mg.L-1、90mg.L-1、80mg.L-1、70mg.L-1、60mg.L-1、50mg.L-1、40mg.L-1、30mg.L-1、20mg.L-1、15mg.L-1、10mg.L-1、5mg.L-1、4mg.L-1、3mg.L-1、2mg.L-1、1mg.L-1、0.5mg.L-1、0.1mg.L-1、0.01mg.L-1、0.001mg.L-1未満の濃度で、実質的にポリソルベート(好ましくはポリソルベート80)などの洗剤を含まないか、または洗剤を含まず(好ましくはポリソルベート80を含まず)、
(e)組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む凍結保存培地は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、15mM、10mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM、0.5mM、0.1mM、0.01mM、0.005mM、0.001mM未満の全遊離アミノ酸レベルおよび/もしくはN-アセチルトリプトファンレベルを含むか、具体的には、遊離アミノ酸および/もしくはN-アセチルトリプトファンを実質的に含まないか、または具体的には、遊離アミノ酸および/もしくはN-アセチルトリプトファンを含まず、
(f)組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む凍結保存培地は、オクタノエート、具体的には、遊離アミノ酸、および/またはN-アセチルトリプトファン、ならびに洗剤(ポリソルベート80など)のすべてを実質的に含まないか、または全く含まず、
(g)凍結保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、Recombumin(登録商標)プライム、もしくはそれに類似の調製物、Recombumin(登録商標)アルファ、もしくはそれに類似の調製物、またはAlbIX(登録商標)、もしくはそれに類似の調製物、から選択される調製物であり、
(h)組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む凍結保存培地は、ヘム、プレカリクレイン活性化因子、発熱物質、C型肝炎、および/もしくはヒトウイルス)から選択される1つ以上、例えばすべての成分を含まず、ならびに/または200μg.L-1未満、例えば、180μg.L-1、160μg.L-1、140μg.L-1、120μg.L-1、100μg.L-1、90μg.L-1、80μg.L-1、70μg.L-1、60μg.L-1、50μg.L-1、もしくは40μg.L-1未満、より典型的には、約10μg.L-1~約30μg.L-1の範囲内のアルミニウム濃度を有し、
(i)凍結保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、無傷または実質的に無傷のN末端配列を有し、
(j)凍結保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、62%超、例えば、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、約96%、約97%である遊離チオール基含有量を有するアルブミンタンパク質を含み、
(k)凍結保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって試験したとき、14分未満および19分を超えるピーク保持時間を有するピークを除外し、より好ましくは、14分または15分未満および18分を超えるピーク保持時間を有するピークを除外する、SECプロファイルを示すアルブミンタンパク質を含み、
(l)凍結保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)によって試験したとき、天然単量体形態のアルブミンに対応する単一の主要ピークを示すアルブミンタンパク質を含み、
(m)凍結保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、質量分析法によって試験したとき、1タンパク質当たり13、12、11、10、9、8、7、6未満、例えば、約1~11、1~8、1~5、1~4、1~3、1~2、1、または1未満のヘキソース修飾リジンおよび/もしくはアルギニン残基を示す生成物であるアルブミンタンパク質を含み、かつ/あるいは
(n)凍結保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、α-1,3-フコースおよび/またはβ-1,2-キシロースなどの植物特異的糖で糖化されていないアルブミンタンパク質を含む、段落43~51のいずれかに記載の凍結保存培地。
53.凍結保存培地中で凍結され、解凍され、次いで保存培地に移された幹細胞を保存するための保存培地であって、組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む、保存培地。
54.組換え酵母由来血清アルブミン調製物の水溶液およびイオン性緩衝液を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、
イオン性緩衝液は、電解質の水溶液を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、例えば、電解質は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、塩化物イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、および/またはグルコン酸イオンからなる群から選択され、
好ましくは、イオン性緩衝液は、ヒトの生理学的血漿の電解質濃度、浸透圧、および/またはpHを模倣する電解質濃度、浸透圧、および/またはpHを有し、
より好ましくは、イオン性緩衝液は、幹細胞に対して実質的に等張性であり、および/またはイオン性緩衝液は、Plasmalyte(登録商標)である、段落53に記載の保存培地。
55.組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、幹細胞と混合したときに、保存培地中に、約0.01%(w/v)超および10%(w/v)未満、約9%(w/v)未満、約8%(w/v)未満、約7%(w/v)未満、または約6%(w/v)未満、例えば約0.1%(w/v)~約5%(w/v)、好ましくは約1%(w/v)、約2%(w/v)、約3(w/v)、または約4%(w/v)の濃度である組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質を提供するのに好適な量で存在する、段落53または54に記載の凍結保存培地。
56.保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質が、以下の特性:
(a)0.5%(w/w)未満、好ましくは0.4%、0.3%、0.2%、もしくは0.15%未満が、コンカナバリンAへ結合すること、および/または
(b)0.6モルのヘキソース/タンパク質1モル未満、好ましくは0.10、0.075、もしくは0.05モルのヘキソース/タンパク質1モル未満の糖化レベル、のうちの1つ以上を示す、段落53~55のいずれかに記載の保存培地。
57.保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、
(a)少なくとも約95%、96%、97%、98%、より好ましくは少なくとも約99.5%の単量体および二量体、好ましくは本質的に100%の単量体および二量体であり、
(b)少なくとも約93%、94%、95%、96%、または97%の単量体であり、および/または
(c)は、約1.0%(w/w)、0.1%(w/w)または0.01%(w/w)以下、好ましくはそれ未満のアルブミンポリマー含有量を有する、段落53~56のいずれかに記載の保存培地。
58.
(a)保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、酵母由来血清アルブミンタンパク質、カチオン(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、好ましくはナトリウムなど)、および平衡アニオン(塩化物、リン酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、または酢酸塩、好ましくは塩化物またはリン酸塩)、水、ならびに任意にオクタノエートおよびポリソルベート80を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、
(b)組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む保存培地は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、18mM、16mM、15mM、14mM、12mM、10mM、8mM、6mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM、0.5mM、0.4mM、0.3mM、0.2mM、0.1mM、0.01mM、0.001mM未満のオクタノエートを含むか、オクタノエートを実質的に含まないか、またはオクタノエートを含まず、
(c)組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む保存培地は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、15mM、10mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM以下の全脂肪酸含有量を有するか、脂肪酸を実質的に含まないか、または脂肪酸を含まず、
(d)組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む保存培地は、200mg.L-1、150mg.L-1、100mg.L-1、90mg.L-1、80mg.L-1、70mg.L-1、60mg.L-1、50mg.L-1、40mg.L-1、30mg.L-1、20mg.L-1、15mg.L-1、10mg.L-1、5mg.L-1、4mg.L-1、3mg.L-1、2mg.L-1、1mg.L-1、0.5mg.L-1、0.1mg.L-1、0.01mg.L-1、0.001mg.L-1未満の濃度で、ポリソルベート(好ましくはポリソルベート80)などの洗剤を含むか、または洗剤を含まず(好ましくはポリソルベート80を含まず)、
(e)組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む保存培地は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、15mM、10mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM、0.5mM、0.1mM、0.01mM、0.005mM、0.001mM未満の全遊離アミノ酸レベルおよび/もしくはN-アセチルトリプトファンレベルを含むか、具体的には、遊離アミノ酸および/もしくはN-アセチルトリプトファンを実質的に含まないか、または具体的には、遊離アミノ酸および/もしくはN-アセチルトリプトファンを含まず、
(f)組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む保存培地は、オクタノエート、具体的には、遊離アミノ酸、および/またはN-アセチルトリプトファン、ならびに洗剤(ポリソルベート80など)のすべてを実質的に含まないか、または全く含まず、
(g)保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、Recombumin(登録商標)プライム、もしくはそれに類似の調製物、Recombumin(登録商標)アルファ、もしくはそれに類似の調製物、またはAlbIX(登録商標)、もしくはそれに類似の調製物、から選択される調製物であり、
(h)組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に幹細胞を含む1つ以上の他の成分を含む保存培地は、ヘム、プレカリクレイン活性化因子、発熱物質、C型肝炎、および/もしくはヒトウイルス)から選択される1つ以上、例えばすべての成分を含まず、ならびに/または、200μg.L-1未満、例えば、180μg.L-1、160μg.L-1、140μg.L-1、120μg.L-1、100μg.L-1、90μg.L-1、80μg.L-1、70μg.L-1、60μg.L-1、50μg.L-1、または40μg.L-1未満、より典型的には、約10μg.L-1~約30μg.L-1の範囲内のアルミニウム濃度を有し、
(i)保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、無傷または実質的に無傷のN末端配列を有し、
(j)保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、62%超、例えば、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、約96%、約97%である遊離チオール基含有量を有するアルブミンタンパク質を含み、
(k)保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって試験したとき、14分未満および19分を超えるピーク保持時間を有するピークを除外し、より好ましくは、14分または15分未満および18分を超えるピーク保持時間を有するピークを除外する、SECプロファイルを示すアルブミンタンパク質を含み、
(l)保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)によって試験したとき、天然単量体形態のアルブミンに対応する単一の主要ピークを示すアルブミンタンパク質を含み、
(m)保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、質量分析法によって試験したとき、1タンパク質当たり13、12、11、10、9、8、7、6未満、例えば、約1~11、1~8、1~5、1~4、1~3、1~2、1、または1未満のヘキソース修飾リジンおよび/もしくはアルギニン残基を示す生成物であるアルブミンタンパク質を含み、かつ/あるいは
(n)保存培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、α-1,3-フコースおよび/もしくはβ-1,2-キシロースなどの植物特異的糖で糖化されていないアルブミンタンパク質を含む、段落53~57のいずれかに記載の保存培地。
59.幹細胞をさらに含み、
任意に、幹細胞は、多能性幹細胞(胚性幹細胞、胚性生殖細胞、誘発多能性幹細胞など)、多能性幹細胞(例えば、任意に、脂肪、骨髄、臍帯血、もしくは臍帯に由来し得る間葉系幹細胞のような成体幹細胞;任意に、骨髄もしくは末梢血に由来し得る造血幹細胞;神経幹細胞;または生殖幹細胞)、または単能性幹細胞(肝細胞のための単分化能幹細胞など)、からなる群から選択される、段落53~58のいずれかに記載の保存培地。
60.凍結保存培地中で凍結され、解凍され、次いで保存培地に移された幹細胞をさらに含む、段落59に記載の保存培地。
61.段落43~52のいずれかに定義される、凍結保存培地中で凍結され、解凍され、次いで保存培地に移された幹細胞をさらに含む、段落60に記載の保存培地。
62.幹細胞をさらに含み、2~8℃の温度で保存培地に保存されている、段落53~61のいずれかに記載の保存培地。
63.幹細胞、任意に凍結保存培地中で凍結され、解凍され、次いで保存培地に移された幹細胞をさらに含み、幹細胞が24時間を超える時間の期間、例えば最大48時間、例えば、最大約72時間、もしくはそれ以上、保存することを含む、段落53~62のいずれかに記載の保存培地。
64.凍結保存培地中で凍結され、解凍され、次いで保存培地に移されており(または保存培地に移される前に別の生理学的ショックを受けた)、24時間を超える時間の期間、最大約48時間など、例えば、最大約72時間、もしくはそれ以上、2~8℃の温度で保存されている、幹細胞をさらに含み、保存期間の終了時の幹細胞の生存率は、5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、55%超、60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、86%超、87%超、88%超、89%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、もしくはより高い値を超え、例えば、約60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、86%超、87%超、88%超、89%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、もしくはより高い値を超える、段落63に記載の保存培地。
65.組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、幹細胞と混合したときに、保存培地中に約2%(w/v)±1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1%(w/v)で存在し、
保存培地は、幹細胞、任意に凍結保存培地中で凍結され、解凍され、次いで保存培地に移されており(または保存培地に移される前に別の生理学的ショックを受けた)、24時間を超える時間の期間、最大約48時間など、例えば、最大約72時間、もしくはそれ以上、保存培地中で保存されている、幹細胞をさらに含み、
保存期間の終了時の幹細胞の生存率は、5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、55%超、60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、86%超、87%超、88%超、89%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、もしくはより高い値を超え、例えば、約60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、86%超、87%超、88%超、89%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、もしくはより高い値を超える、段落63に記載の保存培地。
66.組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、幹細胞と混合したときに、保存培地中に5%(w/v)±1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1%(w/v)で存在し、
保存培地は、幹細胞、任意に凍結保存培地中で凍結され、解凍され、次いで保存培地に移されており(または保存培地に移される前に別の生理学的ショックを受けた)、24時間を超える時間の期間、最大約48時間など、例えば、最大約72時間、もしくはそれ以上、保存培地中で保存されている、幹細胞を含みさらに含み、
保存期間の終了時の幹細胞の生存率は、5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、55%超、56%超、57%超、58%超、59%超、60%超、61%超、62%超、63%超、64%超、65%超、もしくはより高い値を超え、例えば、約55%超、56%超、57%超、58%超、59%超、60%超、61%超、62%超、63%超、64%超、65%超、もしくはより高い値を超える、段落63に記載の保存培地。
67.幹細胞の保存のための、段落43~52のいずれかに記載の凍結保存培地の使用。
68.2~8℃で24時間を超える時間の期間、最大約48時間など、例えば、最大約72時間、もしくはそれ以上、幹細胞の保存後に、生存状態での幹細胞の保存のための、任意に、
保存期間の終了時の幹細胞の生存率は、5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、55%超、60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、86%超、87%超、88%超、89%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、もしくはより高い値を超え、例えば、約60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、86%超、87%超、88%超、89%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、もしくはより高い値を超える、段落67に記載の使用。
69.2~8℃で24時間を超える時間の期間、最大約48時間など、例えば最大約72時間、もしくはそれ以上、保存する前に、幹細胞を凍結保存培地と組み合わせて、混合物を生成することと、混合物を凍結して、凍結幹細胞生成物を生成する(または幹細胞を別の生理学的ショックを受ける)ことによって、幹細胞を保存するための、段落67または68に記載の使用。
70.凍結幹細胞生成物を解凍するステップと、解凍された細胞を保存培地に移すステップと、幹細胞を2~8℃で24時間を超える時間の期間、最大約48時間など、例えば、最大約72時間、もしくはそれ以上、保存培地中に保存するステップと、をさらに含む方法によって、幹細胞を保存するための、段落69に記載の使用。
71.幹細胞を凍結保存培地と組み合わせて、混合物を生成することと、幹細胞が生理学的ショックを受けることと、細胞を保存培地に移すことと、幹細胞を2~8℃で24時間を超える時間の期間、最大約48時間など、例えば、最大約72時間、もしくはそれ以上、保存培地中に保存することと、によって、幹細胞を保存するための、段落69に記載の使用。
72.保存培地は、段落53~66のいずれかに記載の保存培地である、段落70または71に記載の使用。
73.幹細胞を保存培地に保存することによって、幹細胞を保存するための、段落53~66のいずれかに記載の保存培地の使用。
74.幹細胞は、凍結保存培地中で凍結され、解凍され、次いで保存前に保存培地に移されている、段落73に記載の使用。
75.幹細胞は、凍結保存培地と混合され、生理学的ショックを受け、保存前に保存培地に移されている、段落73に記載の使用。
76.凍結保存培地は、段落43~52のいずれかに記載の凍結保存培地である、段落74または75に記載の使用。
77.凍結保存幹細胞の解凍後の生存率を改善するための、組換え酵母由来血清アルブミンの使用。
78.改善は、同じ濃度で使用される血漿由来血清アルブミンと比較される、段落77に記載の使用。
79.改善は、2~8℃で24時間を超える時間の期間、最大約48時間など、例えば、最大約72時間、もしくはそれ以上、保存培地中に保存されたとき、解凍後の幹細胞において観察できる、段落77または78に記載の使用。
80.組換え酵母由来血清アルブミンは、それを凍結保存培地に製剤化することと、凍結前に、幹細胞と凍結保存培地を混合することと、によって使用され、任意に、凍結保存培地は、段落43~52のいずれかに定義される培地である、段落77~79のいずれかに記載の使用。
81.組換え酵母由来血清アルブミンは、それを凍結保存培地に製剤化することと、解凍後に、幹細胞と凍結保存培地を混合することと、によって使用され、任意に、保存培地は、段落53~66のいずれかに定義される培地である、段落77~80のいずれかに記載の使用。
82.生理的衝撃を受ける、幹細胞の生存率を改善するための、組換え酵母由来血清アルブミンの使用。
83.改善は、同じ濃度で使用される血漿由来血清アルブミンの使用と比較される、段落82に記載の使用。
84.改善は、2~8℃で24時間を超える時間の期間、最大約48時間など、例えば、最大約72時間、もしくはそれ以上、保存培地中に保存されたとき、解凍後の幹細胞において観察できる、段落82または83に記載の使用。
85.組換え酵母由来血清アルブミンは、それを凍結保存培地に製剤化することと、生理学的ショック前に、幹細胞と凍結保存培地を混合することと、によって使用され、任意に、凍結保存培地は、段落43~52のいずれかに定義される培地である、段落82~84のいずれかに記載の使用。
86.組換え酵母由来血清アルブミンは、それを保存培地に製剤化することと、生理学的ショックを受けた後に、幹細胞と保存培地を混合することと、によって使用され、任意に、保存培地は、段落53~66のいずれかに定義される培地である、段落82~86のいずれかに記載の使用。
87.初期アポトーシスから後期アポトーシスへの細胞(例えば、動物細胞、ヒト細胞、および好ましくは幹細胞)の転換を防止、遅延、または減少させるための方法であって、組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地と細胞を混合することを含む、方法。
88.例えば、組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地の形態で、初期アポトーシスから後期アポトーシスへの細胞(例えば、動物細胞、ヒト細胞、および好ましくは幹細胞)の転換を防止、遅延、または減少させるための、組換え酵母由来血清アルブミン調製物の使用。
89.細胞は、エクスビボ細胞である、段落87に記載の方法または段落88に記載の使用。
90.細胞は、生理学的ショックを受ける前および/または受けた後に組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地と混合される、段落87もしくは89に記載の方法、または段落88もしくは89に記載の使用。
91.生理学的ショックは、熱ショック、低温ショック、浸透圧ショック、表面相互作用、せん断応力、栄養欠乏、毒性化合物への曝露、代謝産物への曝露および/またはその喪失、酵素への曝露および/またはその喪失、化学的ショック、pHショック、有機溶液への曝露、せん断力への曝露、表面曝露および/または表面暴露の損失から選択され、任意に、凍結保存中、凍結および/または凍結のステップのうちの1つ以上に起因するショックであり得る、段落90に記載の方法または使用。
92.初期アポトーシスは、例えば、フローサイトメトリーを用いて決定されるように、アネキシン(アネキシンVなど)結合を示すが、ヨウ化プロピジウム(PI)および/または7-アミノアクチノマイシンD(7AAD)の包含を示さない細胞によって特徴付けられる、段落87または89~91のいずれかに記載の方法または段落88~91のいずれかに記載の使用。
93.初期アポトーシスは、アネキシン結合を伴うが、PIおよび/または7AADの包含を伴わない、生理学的ショックを受けていない同じバッチの細胞において観察されるレベルより高いミトコンドリア透過性によってさらに特徴付けられる、段落92に記載の方法または使用。
94.後期アポトーシスは、例えば、フローサイトメトリーを用いて決定されるように、アネキシン(アネキシンVなど)結合を示し、ヨウ化プロピジウム(PI)および/または7-アミノアクチノマイシンD(7AAD)の包含も示す細胞によって特徴付けられる、段落87もしくは88~93のいずれかに記載の方法または段落88~93のいずれかに記載の使用。
95.組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、約0.01%(w/v)超および10%(w/v)未満、約9%(w/v)未満、約8%(w/v)未満、約7%(w/v)未満、または約6%(w/v)未満、例えば約0.1%(w/v)~約5%(w/v)、好ましくは約1%(w/v)、約2%(w/v)、約3(w/v)、または約4%(w/v)の濃度である組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質を提供するのに好適な量で、細胞と混合する、段落87もしくは88~94のいずれかに記載の方法または段落88~94のいずれかに記載の使用。
96.細胞は、組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地中に2~8℃の温度で保存される、段落87もしくは88~95のいずれかに記載の方法または段落88~95のいずれかに記載の使用。
97.細胞は、24時間を超える時間の期間、最大約48時間など、例えば、最大約72時間、もしくはそれ以上、組換え酵母由来血清アルブミン調製物を含む培地中に保存され、
任意に、細胞は、24時間を超える時間の期間、最大約48時間など、例えば、最大約72時間、もしくはそれ以上、2~8℃の温度で保存され、保存期間の終了時の初期アポトーシスである細胞の割合は、5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、55%超、60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、86%超、87%超、88%超、89%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、もしくはより高い値を超え、例えば、約60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、86%超、87%超、88%超、89%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、もしくはより高い値を超える、段落87もしくは88~96のいずれかに記載の方法または段落88~96のいずれかに記載の使用。
98.組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質が、以下の特性:
(a)0.5%(w/w)未満、好ましくは0.4%、0.3%、0.2%、もしくは0.15%未満が、コンカナバリンAへ結合すること、および/または
(b)0.6モルのヘキソース/タンパク質1モル未満、好ましくは0.10、0.075、もしくは0.05モルのヘキソース/タンパク質1モル未満の糖化レベル、のうちの1つ以上を示す、段落87もしくは88~97のいずれかに記載の方法、または段落88~97のいずれかに記載の使用。
99.組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、
(a)少なくとも約95%、96%、97%、98%、より好ましくは少なくとも約99.5%の単量体および二量体、好ましくは本質的に100%の単量体および二量体であり、
(b)少なくとも約93%、94%、95%、96%、もしくは97%の単量体であり、および/または
(c)は、約1.0%(w/w)、0.1%(w/w)または0.01%(w/w)以下、好ましくはそれ未満のアルブミンポリマー含有量を有する、段落87もしくは88~98のいずれかに記載の方法、または段落88~98のいずれかに記載の使用。
100.
(a)組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、酵母由来血清アルブミンタンパク質、カチオン(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、好ましくはナトリウムなど)、および平衡アニオン(塩化物、リン酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、または酢酸塩、好ましくは塩化物またはリン酸塩)、水、ならびに任意にオクタノエートおよびポリソルベート80を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、
(b)組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに/または組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に細胞を含む1つ以上の他の成分を含む培地は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、18mM、16mM、15mM、14mM、12mM、10mM、8mM、6mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM、0.5mM、0.4mM、0.3mM、0.2mM、0.1mM、0.01mM、0.001mM未満のオクタノエートを含むか、オクタノエートを実質的に含まないか、またはオクタノエートを含まず、
(c)組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに/または組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に細胞を含む1つ以上の他の成分を含む培地は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、15mM、10mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM以下の総脂肪酸含量を有するか、実質的に脂肪酸を含まないか、または脂肪酸を含まず、
(d)組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに/または組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に細胞を含む1つ以上の他の成分を含む培地は、200mg.L-1、150mg.L-1、100mg.L-1、90mg.L-1、80mg.L-1、70mg.L-1、60mg.L-1、50mg.L-1、40mg.L-1、30mg.L-1、20mg.L-1、15mg.L-1、10mg.L-1、5mg.L-1、4mg.L-1、3mg.L-1、2mg.L-1、1mg.L-1、0.5mg.L-1、0.1mg.L-1、0.01mg.L-1、0.001mg.L-1未満の濃度で、ポリソルベート(好ましくはポリソルベート80)などの洗剤を含むか、洗剤を実質的に含まないか、または洗剤を含まず、
(e)組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに/または組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に細胞を含む1つ以上の他の成分を含む培地は、35mM、32.5mM、30mM、28mM、26mM、24mM、22mM、20mM、15mM、10mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM、0.5mM、0.1mM、0.01mM、0.005mM、0.001mM未満の全遊離アミノ酸レベルおよび/もしくはN-アセチルトリプトファンレベルを含むか、具体的には、遊離アミノ酸および/もしくはN-アセチルトリプトファンを実質的に含まないか、または具体的には、遊離アミノ酸および/もしくはN-アセチルトリプトファンを含まず、
(f)組換え酵母由来血清アルブミン調製物、ならびに/または組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に細胞を含む1つ以上の他の成分を含む培地は、オクタノエート、具体的には、遊離アミノ酸、および/またはN-アセチルトリプトファン、ならびに洗剤(ポリソルベート80など)のすべてを実質的に含まないか、または全く含まず、
(g)組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、Recombumin(登録商標)プライム、もしくはそれに類似の調製物、Recombumin(登録商標)アルファ、もしくはそれに類似の調製物、またはAlbIX(登録商標)、もしくはそれに類似の調製物、から選択される調製物であり、
(h)組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質調製物、ならびに/または組換え酵母由来血清アルブミン調製物および任意に細胞を含む1つ以上の他の成分を含む培地は、ヘム、プレカリクレイン活性化因子、発熱物質、C型肝炎、および/またはヒトウイルスから選択される1つ以上、例えばすべての成分を含まず、ならびに/または、200μg.L-1未満、例えば、180μg.L-1、160μg.L-1、140μg.L-1、120μg.L-1、100μg.L-1、90μg.L-1、80μg.L-1、70μg.L-1、60μg.L-1、50μg.L-1、または40μg.L-1未満、より典型的には、約10μg.L-1~約30μg.L-1の範囲内のアルミニウム濃度を有し、
(i)培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミンタンパク質は、無傷または実質的に無傷のN末端配列を有し、
(j)培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、62%超、例えば、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、約96%、約97%である遊離チオール基含有量を有するアルブミンタンパク質を含み、
(k)培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって試験したとき、14分未満および19分を超えるピーク保持時間を有するピークを除外し、より好ましくは、14分または15分未満および18分を超えるピーク保持時間を有するピークを除外する、SECプロファイルを示すアルブミンタンパク質を含み、
(l)培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)によって試験したとき、天然単量体形態のアルブミンに対応する単一の主要ピークを示すアルブミンタンパク質を含み、
(m)培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、質量分析法によって試験したとき、1タンパク質当たり13、12、11、10、9、8、7、6未満、例えば、約1~11、1~8、1~5、1~4、1~3、1~2、1、または1未満のヘキソース修飾リジンおよび/もしくはアルギニン残基を示す生成物であるアルブミンタンパク質を含み、かつ/あるいは
(n)培地中に存在する組換え酵母由来血清アルブミン調製物は、α-1,3-フコースおよび/またはβ-1,2-キシロースなどの植物特異的糖で糖化されていないアルブミンタンパク質を含む、段落87もしくは88~99のいずれかに記載の方法、または段落88~99のいずれかに記載の使用。
【0422】
本明細書に記載され、特許請求される本発明は、本明細書に開示される特定の態様によって範囲が限定されるべきではなく、そのため、これらの態様は本発明のいくつかの態様の例示として意図されている。あらゆる同等の態様も、本発明の範囲内にあることが意図されている。実際、本明細書に示され、記載されているものに加えて、本発明の様々な改変は、前述の記載から当業者に明らかとなるであろう。そのような改変はまた、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図されている。矛盾が生じた場合には、定義を含む本開示は、制御するであろう。
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図5
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図7
図8-1】
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図9-1】
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図10-1】
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【配列表】
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