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特許7249498冷媒を含む組成物、その使用、並びにそれを有する冷凍機及びその冷凍機の運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】冷媒を含む組成物、その使用、並びにそれを有する冷凍機及びその冷凍機の運転方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/04 20060101AFI20230324BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
C09K5/04 F
F25B1/00 396Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021156684
(22)【出願日】2021-09-27
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板野 充司
(72)【発明者】
【氏名】徳野 敏
(72)【発明者】
【氏名】後藤 智行
(72)【発明者】
【氏名】臼井 隆
(72)【発明者】
【氏名】吉村 崇
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/141676(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/005290(WO,A1)
【文献】特開2015-172182(JP,A)
【文献】国際公開第2017/145245(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/126447(WO,A1)
【文献】宇野光世,「舶用冷凍空調装置の低GWP冷媒対応への取り組み」,日本マリンエンジニアリング学会誌,2021年,第56巻、第3号,第333~338頁
【文献】福島正人、外1名,「低GWP冷媒“AMOLEA”の開発」,旭硝子研究報告,第65巻,2015年,第55~60頁
【文献】加賀田誠、外1名,「暖房を目的とした電気自動車の熱管理」,北海道科学大学研究紀要,第42号,2016年,第175~178頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K5/04
F25B1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を含む組成物であって、
前記冷媒が、HFO-1123及びHFO-1234yfを含む、組成物であって、
前記冷媒の合計に対して、HFO-1123及びHFO-1234yfの合計の含有割合が99.5質量%以上であり、
HFO-1123及びHFO-1234yfの合計に対して、HFO-1123の含有割合が42.5~46.1質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が53.9~57.5質量%である、
R404Aの代替冷媒用組成物。
【請求項2】
冷媒を含む組成物であって、
前記冷媒が、HFO-1123及びHFO-1234yfを含む、組成物であって、
前記冷媒の合計に対して、HFO-1123及びHFO-1234yfの合計の含有割合が99.5質量%以上であり、
HFO-1123及びHFO-1234yfの合計に対して、HFO-1123の含有割合が31.6~34.3質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が65.7~68.4質量%である、
R404Aの代替冷媒用組成物。
【請求項3】
冷媒を含む組成物であって、
前記冷媒が、HFO-1123及びHFO-1234yfを含む、組成物であって、
前記冷媒の合計に対して、HFO-1123及びHFO-1234yfの合計の含有割合が99.5質量%以上であり、
HFO-1123及びHFO-1234yfの合計に対して、HFO-1123の含有割合が25.2~27.5質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が72.5~74.8質量%である、
R404Aの代替冷媒用組成物。
【請求項4】
前記冷媒が、HFO-1123及びHFO-1234yfのみからなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
水、トレーサー、紫外線蛍光染料、安定剤及び重合禁止剤からなる群より選択される少なくとも1種の物質を含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物を用いて冷凍サイクルを運転する工程を含む冷凍方法。
【請求項7】
冷媒を含む組成物であって、
前記冷媒がHFO-1123及びHFO-1234yfを含む、組成物であって、
前記冷媒の合計に対して、HFO-1123及びHFO-1234yf の含有割合が99.5質量%以上であり、
HFO-1123及びHFO-1234yfの合計に対して、HFO-1123の含有割合が9.8~39.5質量%であり、
HFO-1234yfを基準とするCOP比が94%以上、HFO-1234yfを基準とする冷凍能力比が121%以上である、
電気自動車用空調機器の冷凍サイクル運転用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷媒を含む組成物、その使用、並びにそれを有する冷凍機及びその冷凍機の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
R410Aに代替可能な熱サイクル用作動媒体として、トリフルオロエチレン(HFO-1123)と1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132)とを含む熱サイクル用作動媒体が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/005290号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、新規な低GWP混合冷媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
項1.
冷媒を含む組成物であって、
前記冷媒が、HFO-1123及びHFO-1234yfを含む、組成物であって、
前記冷媒の合計に対して、HFO-1123及びHFO-1234yfの合計の含有割合が99.5質量%以上であり、
HFO-1123及びHFO-1234yfの合計に対して、HFO-1123の含有割合が42.5~46.1質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が53.9~57.5質量%である、組成物。
項2.
冷媒を含む組成物であって、
前記冷媒が、HFO-1123及びHFO-1234yfを含む、組成物であって、
前記冷媒の合計に対して、HFO-1123及びHFO-1234yfの合計の含有割合が99.5質量%以上であり、
HFO-1123及びHFO-1234yfの合計に対して、HFO-1123の含有割合が31.6~34.3質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が65.7~68.4質量%である、組成物。
項3.
冷媒を含む組成物であって、
前記冷媒が、HFO-1123及びHFO-1234yfを含む、組成物であって、
前記冷媒の合計に対して、HFO-1123及びHFO-1234yfの合計の含有割合が99.5質量%以上であり、
HFO-1123及びHFO-1234yfの合計に対して、HFO-1123の含有割合が25.2~27.5質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が72.5~74.8質量%である、組成物。
項4.
R404Aの代替冷媒として用いられる、項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
項5.
冷媒を含む組成物であって、
前記冷媒が、HFO-1123及びHFO-1234yfを含む、組成物であって、
前記冷媒の合計に対して、HFO-1123及びHFO-1234yfの合計の含有割合が99.5質量%以上であり、
HFO-1123及びHFO-1234yfの合計に対して、HFO-1123の含有割合が43.0~47.9質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が52.1~57.0質量%である、組成物。
項6.
冷媒を含む組成物であって、
前記冷媒が、HFO-1123及びHFO-1234yfを含む、組成物であって、
前記冷媒の合計に対して、HFO-1123及びHFO-1234yfの合計の含有割合が99.5質量%以上であり、
HFO-1123及びHFO-1234yfの合計に対して、HFO-1123の含有割合が32.1~34.3質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が65.7~67.9質量%である、組成物。
項7.
冷媒を含む組成物であって、
前記冷媒が、HFO-1123及びHFO-1234yfを含む、組成物であって、
前記冷媒の合計に対して、HFO-1123及びHFO-1234yfの合計の含有割合が99.5質量%以上であり、
HFO-1123及びHFO-1234yfの合計に対して、HFO-1123の含有割合が25.3~28.1質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が71.9~74.7質量%である、組成物。
項8.
R410Aの代替冷媒として用いられる、項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
項9.
前記冷媒が、HFO-1123及びHFO-1234yfのみからなる、項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
項10.
さらに冷凍機油を含有する、項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
項11.
項1~10のいずれか1項に記載の組成物を用いて冷凍サイクルを運転する工程を含む冷凍方法。
項12.
項1~10のいずれか1項に記載の組成物を作動流体として含む、冷凍装置。
【発明の効果】
【0006】
本開示の冷媒は、低GWPである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、HFO-1132(E)、及びR1234yfを含む混合冷媒が、上記特性を有することを見出した。
【0008】
本開示は、かかる知見に基づきさらに研究を重ねた結果完成されたものである。本開示は、以下の実施形態を含む。
<用語の定義>
本明細書において用語「冷媒」には、ISO817(国際標準化機構)で定められた、冷媒の種類を表すRで始まる冷媒番号(ASHRAE番号)が付された化合物が少なくとも含まれ、さらに冷媒番号が未だ付されていないとしても、それらと同等の冷媒としての特性を有するものが含まれる。冷媒は、化合物の構造の面で、「フルオロカーボン系化合物」と「非フルオロカーボン系化合物」とに大別される。「フルオロカーボン系化合物」には、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)及びハイドロフルオロカーボン(HFC)が含まれる。
【0009】
本明細書において、用語「冷媒を含む組成物」には、(1)冷媒そのもの(冷媒の混合物を含む)と、(2)その他の成分をさらに含み、少なくとも冷凍機油と混合することにより冷凍機用作動流体を得るために用いることのできる組成物と、(3)冷凍機油を含有する冷凍機用作動流体とが少なくとも含まれる。本明細書においては、これら三態様のうち、(2)の組成物のことを、冷媒そのもの(冷媒の混合物を含む)と区別して「冷媒組成物」と表記する。また、(3)の冷凍機用作動流体のことを「冷媒組成物」と区別して「冷凍機油含有作動流体」と表記する。
【0010】
本明細書において、用語「代替」は、第一の冷媒を第二の冷媒で「代替」するという文脈で用いられる場合、第一の類型として、第一の冷媒を使用して運転するために設計された機器において、必要に応じてわずかな部品(冷凍機油、ガスケット、パッキン、膨張弁、ドライヤその他の部品のうち少なくとも一種)の変更及び機器調整のみを経るだけで、第二の冷媒を使用して、最適条件下で運転することができることを意味する。すなわち、この類型は、同一の機器を、冷媒を「代替」して運転することを指す。この類型の「代替」の態様としては、第二の冷媒への置き換えの際に必要とされる変更乃至調整の度合いが小さい順に、「ドロップイン(drop in)代替」、「ニアリー・ドロップイン(nealy drop in)代替」及び「レトロフィット(retrofit)」があり得る。
【0011】
第二の類型として、第二の冷媒を用いて運転するために設計された機器を、第一の冷媒の既存用途と同一の用途のために、第二の冷媒を搭載して用いることも、用語「代替」に含まれる。この類型は、同一の用途を、冷媒を「代替」して提供することを指す。
【0012】
本明細書において用語「冷凍機」とは、物あるいは空間の熱を奪い去ることにより、周囲の外気よりも低い温度にし、かつこの低温を維持する装置全般のことをいう。言い換えれば、冷凍機は温度の低い方から高い方へ熱を移動させるために、外部からエネルギーを得て仕事を行いエネルギー変換する変換装置のことをいう。
【0013】
本明細書において、「車載用空調機器」とは、ガソリン車、ハイブリッド自動車、電気自動車、水素自動車などの自動車で用いられる冷凍装置の一種である。車載用空調機器とは、蒸発器にて液体の冷媒に熱交換を行わせ、蒸発した冷媒ガスを圧縮機が吸い込み、断熱圧縮された冷媒ガスを凝縮器で冷却して液化させ、さらに膨張弁を通過させて断熱膨張させた後、蒸発機に再び液体の冷媒として供給する冷凍サイクルからなる冷凍装置を指す。
【0014】
本明細書において記載される圧力は、断りの無い場合は、単位を絶対圧とするものである。
【0015】
1.冷媒
本開示の冷媒は、HFO-1123及びHFO-1234yfを含み、冷媒の合計に対して、HFO-1123及びHFO-1234yfの合計の含有割合が99.5質量%以上である。
【0016】
本開示の冷媒は、低GWP混合冷媒である。
【0017】
本開示の冷媒はHFO-1123及びHFO-1234yfの合計に対して、HFO-1123の含有割合が9.8~55.0質量%であるとき、GWPが4以下、HFO-1234yfを基準とするCOP比が94%以上、HFO-1234yfを基準とする冷凍能力比が121%以上、沸点が-40℃以下、臨界温度が75.3℃以上となり、かつ5MPa、150℃においても不均化反応が起こらない。
【0018】
このため、上記本開示の冷媒は、冷媒の圧力が冷凍サイクル内で局所的に5MPa、かつ冷媒の温度が冷凍サイクル内で局所的に150℃となるような異常な運転状態になった場合にも不均化反応を抑制することができるため好ましい。
【0019】
R1234yfの臨界温度は95.0℃に対し、HFO-1123の臨界温度は59.2℃であり、HFO-1123の臨界温度が低いため、HFO-1123とR1234yfの混合物の臨界温度は、R1234yfの臨界温度より低くなる。例えば、車両用の冷凍サイクル装置は、放熱器で冷媒と熱交換する空気の温度が高い高温度条件で使用される場合がある。この場合、冷媒の臨界温度が低いと、冷媒の特性による冷凍能力(すなわち、サイクル性能)が低くなるため、臨界温度は高いことが望まれる。なお、臨界温度が高いことがよいことは、他の熱サイクル装置においても言えることである。
車両用空調装置においては、凝縮器が熱を発生するエンジンの近傍に置かれることや、車両が駐車している状態においてはエンジンの熱がエンジンルームにこもることがある。このため、凝縮器を冷却する空気の温度が外気温度に対して20℃近く上昇することがある。この場合、例えば、外気温度が40℃のとき、冷却風温度は60℃付近となり、冷媒凝縮温度は65~75℃となる。また、外気温度が50℃のとき、冷却風温度は70℃付近となり、冷媒凝縮温度は75~85℃となる。このように、車両用空調装置においては、家庭用および業務用空調装置と比較して、凝縮器を冷却する空気の温度が高い高温度条件(すなわち、高い冷媒凝縮温度)での運転が発生するので、車両用空調装置の冷媒の臨界温度は、80℃以上、好ましくは85℃以上、さらには86.5℃以上がより好ましい。
【0020】
従って、HFO-1123及びHFO-1234yfの合計に対して、HFO-1123の含有割合は、39.5質量%以下、好ましくは24.0質量%以下、さらには19.7質量%以下がより好ましい。
【0021】
また、上記本開示の冷媒は、沸点が-40℃以下であるため、ヒートポンプによる暖房において使用しやすいという利点がある。例えば、上記本開示の冷媒は、車載用空調機器の冷凍サイクルを運転するために用いることにより、電気ヒーターに比べて消費電力の少ないヒートポンプによる暖房が可能になるという利点がある。車載用空調機器としては、ガソリン車用、ハイブリッド自動車用、電気自動車用又は水素自動車用等が挙げられる。
【0022】
これに対して、家庭用および業務用空調装置においては凝縮器での冷媒凝縮温度、すなわち、空気と熱交換後の冷媒の温度は、外気温度に対して数℃~十数℃高くなる。例えば、外気温度が40℃のとき、凝縮器を冷却する空気の温度である冷却風温度は45℃付近となり、冷媒凝縮温度は50~60℃となる。また、外気温度が50℃のときは冷却風温度は55℃近辺となり、冷媒凝縮温度は60℃~70℃となる。従って、家庭用および業務用空調装置の冷媒の臨界温度は75℃以上、好ましくは80℃以上、さらには81.5℃以上がより好ましい。
【0023】
本開示の冷媒はHFO-1123及びHFO-1234yfの合計に対して、HFO-1123の含有割合が42.5~46.1質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が53.9~57.5質量%であるとき、GWPが3以下、R404Aを基準とするCOP比が98.0%以上、R404Aを基準とする冷凍能力比が97.5%以上、臨界温度が78.0℃以上となり、かつ5MPa、150℃においても不均化反応が起こらない。
【0024】
本開示の冷媒はHFO-1123及びHFO-1234yfの合計に対して、HFO-1123の含有割合が31.6~34.3質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が65.7~68.4質量%であるとき、GWPが3以下、R404Aを基準とするCOP比が100.2%以上、R404Aを基準とする冷凍能力比が85.0%以上、臨界温度が81.5℃以上となり、かつ5MPa、150℃においても不均化反応が起こらない。
【0025】
本開示の冷媒はHFO-1123及びHFO-1234yfの合計に対して、HFO-1123の含有割合が25.2~27.5質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が72.5~74.8質量%であるとき、GWPが3、R404Aを基準とするCOP比が101.5%以上、R404Aを基準とする冷凍能力比が78以上、臨界温度が83.7℃以上となり、かつ5MPa、150℃においても不均化反応が起こらない。
【0026】
本開示の冷媒はHFO-1123及びHFO-1234yfの合計に対して、HFO-1123の含有割合が43.0~47.9質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が52.1~57.0質量%であるとき、GWPが3、R410Aを基準とするCOP比が97.5%以上、R410Aを基準とする冷凍能力比が75%以上、臨界温度が77.4℃以上となり、かつ5MPa、150℃においても不均化反応が起こらない。
【0027】
本開示の冷媒はHFO-1123及びHFO-1234yfの合計に対して、HFO-1123の含有割合が32.1~34.3質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が65.7~67.9質量%であるとき、GWPが3、R410Aを基準とするCOP比が100%以上、R410Aを基準とする冷凍能力比が67.5%以上、臨界温度が81.5℃以上となり、かつ5MPa、150℃においても不均化反応が起こらない。
【0028】
本開示の冷媒はHFO-1123及びHFO-1234yfの合計に対して、HFO-1123の含有割合が25.3~28.1質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が71.9~74.7質量%であるとき、GWPが3、R410Aを基準とするCOP比が101%以上、R410Aを基準とする冷凍能力比が62.5%以上、臨界温度が83.5℃以上となり、かつ5MPa、150℃においても不均化反応が起こらない。
【0029】
本開示の冷媒は、上記の特性や効果を損なわない範囲内で、HFO-1123及びHFO-1234yfに加えて、さらに追加的な冷媒を含有していてもよい。この点で、ある態様においては、本開示の冷媒が、HFO-1123及びHFO-1234yfの合計を、冷媒全体に対して99.75質量%以上含むことが好ましく、99.9質量%以上含むことがより好ましく、99.999質量%含むことがさら好ましく、99.9999質量%以上含むことが最も好ましい。本開示の冷媒は、HFO-1123及びHFO-1234yfのみから実質的になるものであってもよく、この場合、本開示の冷媒は、HFO-1123及びHFO-1234yf、並びに不可避的不純物のみからなるものであってもよい。本開示の冷媒は、HFO-1123及びHFO-1234yfのみからなるものであってもよい。
【0030】
追加的な冷媒としては、HFO-1132a、E-HFO-1132、Z-HFO-1132、HFO-1243zf、HFC-245cb等があげられる。
【0031】
追加的な冷媒としては、特に限定されず、幅広く選択できる。混合冷媒は、追加的な冷媒として、一種を単独で含んでいてもよいし、二種以上を含んでいてもよい。
【0032】
2. 冷媒組成物
本開示の冷媒組成物は、本開示の冷媒を少なくとも含み、本開示の冷媒と同じ用途のために使用することができる。また、本開示の冷媒組成物は、さらに少なくとも冷凍機油と混合することにより冷凍機用作動流体を得るために用いることができる。
本開示の冷媒組成物は、本開示の冷媒に加え、さらに少なくとも一種のその他の成分を含有する。本開示の冷媒組成物は、必要に応じて、以下のその他の成分のうち少なくとも一種を含有していてもよい。上述の通り、本開示の冷媒組成物を、冷凍機における作動流体として使用するに際しては、通常、少なくとも冷凍機油と混合して用いられる。したがって、本開示の冷媒組成物は、好ましくは冷凍機油を実質的に含まない。具体的には、本開示の冷媒組成物は、冷媒組成物全体に対する冷凍機油の含有量が好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以下である。
【0033】
2.1
本開示の冷媒組成物は微量の水を含んでもよい。冷媒組成物における含水割合は、冷媒全体に対して、0.1質量%以下とすることが好ましい。冷媒組成物が微量の水分を含むことにより、冷媒中に含まれ得る不飽和のフルオロカーボン系化合物の分子内二重結合が安定化され、また、不飽和のフルオロカーボン系化合物の酸化も起こりにくくなるため、冷媒組成物の安定性が向上する。
【0034】
2.2 トレーサー
トレーサーは、本開示の冷媒組成物が希釈、汚染、その他何らかの変更があった場合、その変更を追跡できるように検出可能な濃度で本開示の冷媒組成物に添加される。
【0035】
本開示の冷媒組成物は、トレーサーとして、一種を単独で含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0036】
トレーサーとしては、特に限定されず、一般に用いられるトレーサーの中から適宜選択することができる。
【0037】
トレーサーとしては、例えば、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロカーボン、フルオロカーボン、重水素化炭化水素、重水素化ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、フルオロエーテル、臭素化化合物、ヨウ素化化合物、アルコール、アルデヒド、ケトン、亜酸化窒素(N2O)等が挙げられる。トレーサーとしては、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロカーボン、フルオロカーボン及びフルオロエーテルが特に好ましい。
【0038】
トレーサーとしては、以下の化合物が好ましい。
FC-14(テトラフルオロメタン、CF4
HCC-40(クロロメタン、CH3Cl)
HFC-23(トリフルオロメタン、CHF3
HFC-41(フルオロメタン、CH3Cl)
HFC-125(ペンタフルオロエタン、CF3CHF2
HFC-134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン、CF3CH2F)
HFC-134(1,1,2,2-テトラフルオロエタン、CHF2CHF2
HFC-143a(1,1,1-トリフルオロエタン、CF3CH3
HFC-143(1,1,2-トリフルオロエタン、CHF2CH2F)
HFC-152a(1,1-ジフルオロエタン、CHF2CH3
HFC-152(1,2-ジフルオロエタン、CH2FCH2F)
HFC-161(フルオロエタン、CH3CH2F)
HFC-245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、CF3CH2CHF2
HFC-236fa(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、CF3CH2CF3
HFC-236ea(1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン、CF3CHFCHF2
HFC-227ea(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン、CF3CHFCF3)
HCFC-22(クロロジフルオロメタン、CHClF2
HCFC-31(クロロフルオロメタン、CH2ClF)
CFC-1113(クロロトリフルオロエチレン、CF2=CClF)
HFE-125(トリフルオロメチル-ジフルオロメチルエーテル、CF3OCHF2
HFE-134a(トリフルオロメチル-フルオロメチルエーテル、CF3OCH2F)
HFE-143a(トリフルオロメチル-メチルエーテル、CF3OCH3
HFE-227ea(トリフルオロメチル-テトラフルオロエチルエーテル、CF3OCHFCF3
HFE-236fa(トリフルオロメチル-トリフルオロエチルエーテル、CF3OCH2CF3
【0039】
本開示の冷媒組成物は、トレーサーを合計で、冷媒組成物全体に対して、約10重量百万分率(ppm)以上含んでいてもよい。また、本開示の冷媒組成物は、トレーサーを合計で、冷媒組成物全体に対して、約1000ppm以下含んでいてもよい。本開示の冷媒組成物は、トレーサーを合計で、冷媒組成物全体に対して、好ましくは約30ppm以上、より好ましくは約50ppm以上含んでいてもよい。本開示の冷媒組成物は、トレーサーを合計で、冷媒組成物全体に対して、好ましくは約500ppm以下含んでいてもよく、約300ppm以下含んでいてもよい。
【0040】
2.3 紫外線蛍光染料
本開示の冷媒組成物は、紫外線蛍光染料として、一種を単独で含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0041】
紫外線蛍光染料としては、特に限定されず、一般に用いられる紫外線蛍光染料の中から適宜選択することができる。
【0042】
紫外線蛍光染料としては、例えば、ナフタルイミド、クマリン、アントラセン、フェナントレン、キサンテン、チオキサンテン、ナフトキサンテン及びフルオレセイン、並びにこれらの誘導体が挙げられる。紫外線蛍光染料としては、ナフタルイミド及びクマリンのいずれか又は両方が特に好ましい。
【0043】
2.4 安定剤
本開示の冷媒組成物は、安定剤として、一種を単独で含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0044】
安定剤としては、特に限定されず、一般に用いられる安定剤の中から適宜選択することができる。
【0045】
安定剤としては、例えば、ニトロ化合物、エーテル類及びアミン類等が挙げられる。
【0046】
ニトロ化合物としては、例えば、ニトロメタン及びニトロエタン等の脂肪族ニトロ化合物、並びにニトロベンゼン及びニトロスチレン等の芳香族ニトロ化合物等が挙げられる。
【0047】
エーテル類としては、例えば、1,4-ジオキサン等が挙げられる。
【0048】
アミン類としては、例えば、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。
【0049】
その他にも、ブチルヒドロキシキシレン、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0050】
安定剤の含有割合は、冷媒全体に対して、0.01質量%以上とすることが好ましく、0.05質量%以上とすることがより好ましい。安定剤の含有割合は、冷媒全体に対して、5質量%以下とすることが好ましく、2質量%以下とすることがより好ましい。
【0051】
2.5 重合禁止剤
本開示の冷媒組成物は、重合禁止剤として、一種を単独で含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0052】
重合禁止剤としては、特に限定されず、一般に用いられる重合禁止剤の中から適宜選択することができる。
【0053】
重合禁止剤としては、例えば、4-メトキシ-1-ナフトール、ヒドロキノン、ヒドロキノンメチルエーテル、ジメチル-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0054】
重合禁止剤の含有割合は、冷媒全体に対して、0.01質量%以上とすることが好ましく、0.05質量%以上とすることがより好ましい。重合禁止剤の含有割合は、冷媒全体に対して、5質量%以下とすることが好ましく、2質量%以下とすることがより好ましい。
【0055】
3. 冷凍機油含有作動流体
本開示の冷凍機油含有作動流体は、本開示の冷媒又は冷媒組成物と、冷凍機油とを少なくとも含み、冷凍機における作動流体として用いられる。具体的には、本開示の冷凍機油含有作動流体は、冷凍機の圧縮機において使用される冷凍機油と、冷媒又は冷媒組成物とが互いに混じり合うことにより得られる。冷凍機油含有作動流体には冷凍機油は一般に10質量%以上含まれる。冷凍機油含有作動流体には冷凍機油は一般に50質量%以下含まれる。
【0056】
3.1 冷凍機油
本開示の組成物は、冷凍機油として、一種を単独で含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0057】
冷凍機油としては、特に限定されず、一般に用いられる冷凍機油の中から適宜選択することができる。その際には、必要に応じて、前記混合物との相溶性(miscibility)及び前記混合物の安定性等を向上する作用等の点でより優れている冷凍機油を適宜選択することができる。
【0058】
冷凍機油の基油としては、例えば、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリオールエステル(POE)及びポリビニルエーテル(PVE)からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。
【0059】
冷凍機油は、基油に加えて、さらに添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、酸化防止剤、極圧剤、酸捕捉剤、酸素捕捉剤、銅不活性化剤、防錆剤、油性剤及び消泡剤からなる群より選択される少なくとも一種であってもよい。
【0060】
冷凍機油として、40℃における動粘度が5cSt以上であるものが、潤滑の点で好ましい。また、冷凍機油として、40℃における動粘度が400cSt以下であるものが、潤滑の点で好ましい。
【0061】
本開示の冷凍機油含有作動流体は、必要に応じて、さらに少なくとも一種の添加剤を含んでもよい。添加剤としては例えば以下の相溶化剤等が挙げられる。
【0062】
3.2 相溶化剤
本開示の冷凍機油含有作動流体は、相溶化剤として、一種を単独で含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0063】
相溶化剤としては、特に限定されず、一般に用いられる相溶化剤の中から適宜選択することができる。
【0064】
相溶化剤としては、例えば、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、アミド、ニトリル、ケトン、クロロカーボン、エステル、ラクトン、アリールエーテル、フルオロエーテルおよび1,1,1-トリフルオロアルカン等が挙げられる。相溶化剤としては、ポリオキシアルキレングリコールエーテルが特に好ましい。
【0065】
4.冷凍機の運転方法
本開示の冷凍機の運転方法は、本開示の冷媒を用いて冷凍機を運転する方法である。
【0066】
具体的には、本開示の冷凍機の運転方法は、本開示の冷媒を冷凍機において循環させる工程を含む。
【0067】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【実施例
【0068】
以下に、実施例を挙げてさらに詳細に説明する。ただし、本開示は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0069】
HFO-1234yf、R404A(R125/R134a/R143a=44/4/52質量%)及びR410A(R32/R125=50/50質量%)、並びに表1から表3に示す混合冷媒のGWPは、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)第4次報告書の値に基づいて評価した。また、HFO-1234yf、R404A及びR410A、並びに上記混合冷媒のCOP、冷凍能力、吐出温度、吐出圧力は、National Institute of Science and Technology(NIST)Reference Fluid Thermodynamic and Transport Properties Database(Refprop 9.0)を使い、下記条件で混合冷媒の冷凍サイクル理論計算を実施することにより求めた。冷凍サイクル理論計算において用いたHFO-1123の物性値については実測により求めた。
【0070】
これらの各混合冷媒について、HFO-1234yf、R404A及びR410Aを基準とするCOP比及び冷凍能力比をそれぞれ求めた。計算条件は以下の通りとした。
蒸発温度:-30℃(表1)、-40℃(表2)、5℃(表3)
凝縮温度:30℃(表1)、40℃(表2)、45℃(表3)
過熱度:5K(表1)、20K(表2)、5K(表3)
過冷却度:5K(表1)、0K(表2)、5K(表3)
圧縮機効率:70%
これらの値を、各混合冷媒についてのGWPと合わせて表1~3に示す。なお、比COP及び比冷凍能力については、HFO-1234yf、R404A又はR410Aに対する割合を示す。
【0071】
成績係数(COP)は、次式により求めた。
COP =(冷凍能力又は暖房能力)/消費電力量
【0072】
これらの各混合冷媒について、次の試験方法及び試験条件において、不均化反応の有無を調べた。
試験方法
試験容器に、試験する冷媒組成物を移充填し、150℃まで加熱した後、容器内のPt線に電圧を印可して溶断させることで、冷媒組成物に30Jのエネルギーを与えた。不均化反応の有無は装置内の急激な圧力上昇及び温度上昇によって判定した。
試験条件
試験容器:38cc SUS製容器
試験温度:150℃
圧力:5 MPa
判定基準
「不爆」:Pt線溶断後の温度又は圧力が2倍未満であり、急激な不均化反応が起こっていない。
「爆発」:Pt線溶断後の温度又は圧力が2倍以上に達し、急激な不均化反応が起こった。
【0073】
表1中、「COP比」及び「冷凍能力比」とは、R1234yfに対する割合(%)を示す。表1中、「吐出温度(℃)」とは、上記混合冷媒の冷凍サイクル理論計算において、冷凍サイクル中で最も冷媒の温度が高くなる温度を示す。表1中、「吐出圧力(Mpa)」とは、上記混合冷媒の冷凍サイクル理論計算において、冷凍サイクル中で最も冷媒の圧力が高くなる圧力を示す。
表1中、「沸点(℃)」とは、混合冷媒の液相が大気圧(101.33kPa)となる温度を示す。表1中、「動力の消費電力量(%)」とは、電気自動車が走行するために使用した電気エネルギーを示し、冷媒をHFO-1234yfとしたとき消費電力量との比で表す。表1中、「暖房の消費電力量(%)」とは、電気自動車が暖房を運転するために使用した電気エネルギーを示し、冷媒をHFO-1234yfとしたとき消費電力量との比で表す。表1中、「走行可能距離」とは、一定の電気容量の二次電池を搭載した電気自動車において、暖房せずに(暖房の消費電力が0)走行した場合の走行可能距離を100%とした場合の暖房ありで走行した場合の走行可能距離を相対割合(%)を表したものである。
暖房方法は、沸点が-40℃を超える冷媒では暖房に電気ヒーター方式を用い、沸点が-40
℃以下の冷媒には暖房にヒートポンプ方式を用いた。
暖房使用時の消費電力量は、次式により求めた。
暖房使用時の消費電力量=暖房能力/暖房COP
なお、暖房COPとは「暖房効率」を意味する。
暖房効率について、電気ヒーターの場合は暖房COP=1であり、動力と同等の電力を暖房
に消費する。一方、ヒートポンプの場合
はRefprop 9.0(NIST製)を使用し、下記条件で混合冷媒の冷凍サイクル理論計算を実施
することにより暖房COPを求めた。
蒸発温度 -30℃
凝縮温度 30℃
過熱温度 5K
過冷却温度 5K
圧縮機効率 70%
走行可能距離は、次式により求めた。
走行可能距離=(電池容量)/(動力の消費電力量+暖房での消費電力量)
【表1】
【0074】
表2中、「COP比」及び「冷凍能力比」とは、R404Aに対する割合(%)を示す。表2中、「吐出温度(℃)」とは、上記混合冷媒の冷凍サイクル理論計算において、冷凍サイクル中で最も冷媒の温度が高くなる温度を示す。
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
表3中、「COP比」及び「冷凍能力比」とは、R410Aに対する割合(%)を示す。表3中、「吐出温度(℃)」とは、上記混合冷媒の冷凍サイクル理論計算において、冷凍サイクル中で最も冷媒の温度が高くなる温度を示す。表3中、「吐出圧力(Mpa)」とは、上記混合冷媒の冷凍サイクル理論計算において、冷凍サイクル中で最も冷媒の圧力が高くなる圧力を示す。
【0077】
表1の結果から、本開示の冷媒はHFO-1123及びHFO-1234yfの合計に対して、HFO-1123の含有割合が9.8~55.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が45.0~90.2質量%であるとき、GWPが4以下、HFO-1234yfを基準とするCOP比が94%以上、HFO-1234yfを基準とする冷凍能力比が121%以上、沸点が-40℃以下、臨界温度が75.3℃以上となり、かつ5MPa、150℃において不均化反応が起こらないことが判る。
【0078】
表2の結果から、本開示の冷媒はHFO-1123及びHFO-1234yfの合計に対して、HFO-1123の含有割合が42.5~46.1質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が53.9~57.5質量%であるとき、GWPが3以下、R404Aを基準とするCOP比が98%以上、R404Aを基準とする冷凍能力比が97.5%以上、臨界温度が78℃以上となり、かつ5MPa、150℃においても不均化反応が起こらないことが判る。
【0079】
さらに表2の結果から、本開示の冷媒はHFO-1123及びHFO-1234yfの合計に対して、HFO-1123の含有割合が31.6~34.3質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が65.7~68.4質量%であるとき、GWPが3以下、R404Aを基準とするCOP比が100.2%以上、R404Aを基準とする冷凍能力比が85.0%以上、臨界温度が81.5℃以上となり、かつ5MPa、150℃においても不均化反応が起こらないことが判る。
【0080】
さらに表2の結果から、本開示の冷媒はHFO-1123及びHFO-1234yfの合計に対して、HFO-1123の含有割合が25.2~27.5質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が72.5~74.8質量%であるとき、GWPが3、R404Aを基準とするCOP比が101.5%以上、R404Aを基準とする冷凍能力比が78%以上、吐出温度が93℃以上臨界温度が83.7℃以上となり、かつ5MPa、150℃においても不均化反応が起こらないことが判る。
【0081】
さらに表3の結果から、本開示の冷媒はHFO-1123及びHFO-1234yfの合計に対して、HFO-1123の含有割合が43.0~47.9質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が52.1~57.0質量%であるとき、GWPが3、R410Aを基準とするCOP比が97.5%以上、R410Aを基準とする冷凍能力比が75%以上、臨界温度が77.4℃以上となり、かつ5MPa、150℃においても不均化反応が起こらないことが判る。
【0082】
さらに表3の結果から、本開示の冷媒はHFO-1123及びHFO-1234yfの合計に対して、HFO-1123の含有割合が32.1~34.3質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が65.7~67.9質量%であるとき、GWPが3、R410Aを基準とするCOP比が100.0%以上、R410Aを基準とする冷凍能力比が67.5%以上、臨界温度が81.5℃以上となり、かつ5MPa、150℃においても不均化反応が起こらないことが判る。
【0083】
さらに表3の結果から、本開示の冷媒はHFO-1123及びHFO-1234yfの合計に対して、HFO-1123の含有割合が25.3~28.1質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が71.9~74.7質量%であるとき、GWPが3、R410Aを基準とするCOP比が101%以上、R410Aを基準とする冷凍能力比が62.5%以上、臨界温度が83.5℃以上となり、かつ5MPa、150℃においても不均化反応が起こらないことが判る。
【要約】
【課題】新規な低GWP混合冷媒を提供する。
【解決手段】冷媒を含む組成物であって、前記冷媒が、HFO-1123及びHFO-1234yfを含む、組成物であって、前記冷媒の合計に対して、HFO-1123及びHFO-1234yfの合計の含有割合が99.5質量%以上であり、HFO-1123及びHFO-1234yfの合計に対して、HFO-1123の含有割合が42.5~46.1質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が53.9~57.5質量%である、組成物。
【選択図】なし