(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】位置情報取得システム
(51)【国際特許分類】
H04W 84/06 20090101AFI20230324BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20230324BHJP
H04W 84/18 20090101ALI20230324BHJP
H04W 8/08 20090101ALI20230324BHJP
H04B 7/185 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
H04W84/06
G08B25/10 A
H04W84/18 110
G08B25/10 B
H04W8/08
H04B7/185
(21)【出願番号】P 2019002861
(22)【出願日】2019-01-10
【審査請求日】2022-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】517116038
【氏名又は名称】株式会社テクサー
(73)【特許権者】
【識別番号】519010813
【氏名又は名称】株式会社クラインズ
(74)【代理人】
【識別番号】100126468
【氏名又は名称】田久保 泰夫
(72)【発明者】
【氏名】大石 忠弘
(72)【発明者】
【氏名】岩野 正一郎
【審査官】石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-139379(JP,A)
【文献】国際公開第2018/004681(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
H04B 7/185
G08B 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信器と通信可能な複数の無人飛行装置と、
前記無人飛行装置と基地局を介して通信するサーバとを備え、
前記各無人飛行装置は、メッシュネットワークを形成し、
前記発信器と前記無人飛行装置、前記無人飛行装置と前記基地局、前記メッシュネットワーク内はLPWA(Low Power Wide Area)で通信し、
一の利用者
によって前記発信器
が操作され、ID及び位置情報
を有する特定情報が、前記メッシュネットワーク、前記基地局を介して、前記サーバに送信され、
前記特定情報は、前記サーバのサーバ記憶部のテーブルに記憶され、
他の利用者によって、前記IDが端末に入力され、前記端末から前記サーバに前記IDが送信され、
前記サーバは、受信した前記IDと前記テーブルとを照合し、前記IDに対応する位置情報を他の利用者の前記端末に送信し、
他の利用者の前記端末
に、前記位置情報
が表示される
ことを特徴とする位置情報取得システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発信器と通信可能な無人飛行装置とを備える位置情報取得システムに関する。
【背景技術】
【0002】
山中において、登山者が遭難した場合に、遭難した登山者である遭難者を救出するために、遭難者の位置を知らせるシステムが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のシステムは、遭難者が携帯する送信機から電波を発信し、受信器を携帯する救助者に遭難者の位置を知らせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のシステムでは、遭難者が携帯する送信機の電波が届く範囲内に、救助者が近づかなければ、遭難者の位置を確認することはできない。
【0006】
本発明は、上記の問題を考慮してなされたものであって、山中等において、遭難者を広範囲で捜索することができる位置情報取得システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る位置情報取得システムは、発信器と通信可能な複数の無人飛行装置と、前記無人飛行装置と基地局を介して通信するサーバとを備え、前記各無人飛行装置は、メッシュネットワークを形成し、前記発信器と前記無人飛行装置、前記無人飛行装置と前記基地局、前記メッシュネットワーク内はLPWA(Low Power Wide Area)で通信し、一の利用者によって前記発信器が操作され、ID及び位置情報を有する特定情報が、前記メッシュネットワーク、前記基地局を介して、前記サーバに送信され、前記特定情報は、前記サーバのサーバ記憶部のテーブルに記憶され、他の利用者によって、前記IDが端末に入力され、前記端末から前記サーバに前記IDが送信され、前記サーバは、受信した前記IDと前記テーブルとを照合し、前記IDに対応する位置情報を他の利用者の前記端末に送信し、他の利用者の前記端末に、前記位置情報が表示されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の位置情報取得システムによれば、無人飛行装置がメッシュネットワークを形成することにより、山中等において、遭難者が携帯する発信器からの位置情報を広範囲で取得でき、遭難者を広範囲で捜索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る位置情報取得システムの説明図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る位置情報取得システムの処理手順の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<位置情報取得システム10の構成>
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る位置情報取得システム10の説明図であり、
図2は、発信器20の説明図であり、
図3は、無人飛行装置40の説明図であり、
図4Aは、サーバ70の説明図であり、
図4Bは、テーブル78の説明図であり、
図5は端末90の説明図である。
【0014】
位置情報取得システム10は、発信器20、無人飛行装置40、サーバ70及び端末90を備える。発信器20は、無人飛行装置40と通信可能である。無人飛行装置40とサーバ70は、基地局50a、公衆回線60を介して接続する。また、サーバ70と端末90は、公衆回線60、基地局50bを介して接続する。基地局50a、50bは、無人飛行装置40、端末90と通信する無線局である。公衆回線60は、インターネット等で構成される公衆回線である。
【0015】
発信器20は、位置情報を発信する発信器である。発信器20は、発信器制御部22、位置情報取得部24、発信器送信部26、発信器記憶部28及びボタン30を備え、これらがバス32を介して相互に接続される。発信器制御部22は、発信器20の制御を行う制御部である。位置情報取得部24は、GPS(Global positioning system)衛星や準天頂衛星から発信器20の位置情報を取得する機能を有する。発信器送信部26は、発信器20の位置情報及び発信器20の識別符号を送信する機能を有する。発信器記憶部28には、発信器20の識別符号であるIDが記憶される。ボタン30は、発信器20を起動させるためのスイッチである。
【0016】
無人飛行装置40は、無線で操作される無人飛行機であり、いわゆるドローンである。無人飛行装置40は複数台あり、これらはメッシュネットワーク48を形成している。
図1では、メッシュネットワーク48は、無人飛行装置40a、40b、40c及び40dから構成されている。なお、無人飛行装置40a、40b、40c、40dを適宜「無人飛行装置40」と総称する。
【0017】
各無人飛行装置40は、無人飛行装置制御部42及び無人飛行装置通信部44を備え、これらがバス46を介して相互に接続される。無人飛行装置制御部42は、無人飛行装置40の制御を行う制御部である。無人飛行装置通信部44は、発信器20、基地局50aとLPWA(Low Power Wide Area)で通信する機能を有する。また、各無人飛行装置40の無人飛行装置通信部44同士もLPWAで通信し、メッシュネットワーク48が形成される。
【0018】
サーバ70は、サーバ制御部72、サーバ通信部74及びサーバ記憶部76を備え、これらがバス80を介して相互に接続される。サーバ制御部72は、サーバ70の制御を行う制御部である。サーバ通信部74は、基地局50a、50b、公衆回線60を介して、無人飛行装置40、端末90と通信する通信部である。サーバ記憶部76は、テーブル78を備える。テーブル78には、ID、位置情報が記憶される。IDは、発信器20を識別するための識別符号である。
図4Bでは、IDであるIaに対して、位置情報としてLa、IDであるIbに対して、位置情報としてLbが記憶されている。
【0019】
端末90は、発信器20から発信された位置情報を表示する機能を有する。端末90は、例えば、携帯電話、スマートフォン、通信機能を備えるコンピュータから構成される。端末90は、端末制御部92、端末通信部94、入力部96及び表示部98を備え、これらがバス100を介して相互に接続される。端末制御部92は、端末90の制御を行う制御部である。端末通信部94は、基地局50b、公衆回線60を介して、サーバ70と通信する通信部である。入力部96は、タッチパネルやキーボード等から構成される。表示部98は、位置情報等を表示する表示機能を有する。
【0020】
<位置情報取得システム10の動作の説明>
次に、位置情報取得システム10の動作について、
図6を用いて説明する。
図6は、本発明の実施形態に係る位置情報取得システム10の処理手順の説明図である。
【0021】
図1に示されるように、発信器20の所有者である利用者Aの近くに、無人飛行装置40が遠隔操作で、飛行して来ているとする。
【0022】
利用者Aが発信器20のボタン30を押すと、発信器制御部22は、ボタン30が押されたこと(押動)を検知する(ステップS1)。発信器制御部22は、ボタン30が押されたことを検知すると、位置情報取得部24に位置情報を取得する旨を指示し、位置情報取得部24が発信器20の位置情報として、Laを取得する(ステップS2)。
【0023】
発信器制御部22は、発信器記憶部28に記憶されている発信器20のIDとして、Iaを取得する(ステップS3)。発信器制御部22は、発信器送信部26に取得したID及び位置情報を無人飛行装置40に送信する旨を指示し、発信器送信部26は、取得したID及び位置情報を特定情報として、無人飛行装置40に送信する(ステップS4)。
【0024】
無人飛行装置制御部42は、無人飛行装置通信部44を介して、特定情報を受信する(ステップS5)。メッシュネットワーク48内で、受信された特定情報が転送される(ステップS6)。例えば、無人飛行装置40a、無人飛行装置40b、無人飛行装置40cの順番に受信された特定情報が転送される。その結果、基地局50aに近い無人飛行装置40、例えば、無人飛行装置40cから基地局50a及び公衆回線60を介して、サーバ70に特定情報が送信される(ステップS7)。
【0025】
サーバ制御部72は、サーバ通信部74を介して、特定情報を受信する(ステップS8)。サーバ制御部72は、受信した特定情報をサーバ記憶部76のテーブル78に記憶させる。すなわち、受信した特定情報であるIDとしてIa及び位置情報としてLaがテーブル78に記憶される(ステップS9)。
【0026】
利用者Aと異なる利用者Bが、端末90でサーバ70に接続する(ステップS10)。サーバ70は、接続するためのIDの送信を求める旨を端末90に送信する(ステップS11)。前記旨が端末90の端末通信部94で受信され表示部98に表示され、表示部98の表示内容が利用者Bによって確認される。利用者Bは、入力部96からIDを入力し、端末通信部94からサーバ70へIDが送信される(ステップS12)。
【0027】
サーバ70では、サーバ制御部72がサーバ通信部74を介して受信したIDとテーブル78に記憶されているIDとを照合する(ステップS13)。
【0028】
サーバ制御部72がIDが一致したと判断した場合には、サーバ制御部72は、サーバ通信部74に当該IDに対応してテーブル78に記憶されている位置情報を送信する旨を指示し、サーバ通信部74は、位置情報を端末90に送信する(ステップS14)。ここでは、IDがIaであるので、対応する位置情報として、Laが端末90に送信される。
【0029】
なお、ステップS13で、サーバ制御部72が照合した結果、サーバ通信部74を介して受信したIDとテーブル78に記憶されているIDが不一致の場合には、サーバ通信部74から端末90にIDの再入力を促す旨が送信される。
【0030】
端末90は、端末通信部94を介して、受信した位置情報を取得し、表示部98に表示させる(ステップS15)。利用者Bは、表示部98を見ることにより、利用者Aの位置を確認することができる。
【0031】
位置情報取得システム10は、発信器20と通信可能な複数の無人飛行装置40と、前記無人飛行装置40と基地局50を介して通信するサーバ70とを備え、前記各無人飛行装置40は、メッシュネットワーク48を形成し、前記発信器20と前記無人飛行装置40、前記無人飛行装置40と前記基地局50、前記メッシュネットワーク48内はLPWA(Low Power Wide Area)で通信し、利用者の前記発信器20の位置情報が、前記メッシュネットワーク48、前記基地局50を介して、前記サーバ70に送信され、端末90が、前記サーバ70から前記位置情報を取得し、表示する。
【0032】
位置情報取得システム10では、無人飛行装置40がメッシュネットワーク48を形成することにより、山中において、遭難者が携帯する発信器20からの位置情報を広範囲で取得でき、遭難者を広範囲で捜索することができる。
【0033】
位置情報取得システム10において、前記端末90は、前記サーバ70に接続し、前記位置情報を取得する。
【0034】
位置情報取得システム10において、前記端末90は、前記サーバ70から前記位置情報が送信され、前記位置情報を取得する。
【0035】
位置情報取得システム10において、前記位置情報は、前記利用者が前記発信器20を操作し、送信される。
【0036】
なお、本発明は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0037】
上述の実施形態では、ステップS10で、利用者Bが、端末90でサーバ70に接続して、発信器20の特定情報を取得しているが、利用者Bが特定情報を取得できれば、これに限られない。例えば、サーバ70が端末90に位置情報を送信して、端末90が取得するようにしても良い。すなわち、ステップS9の後に、サーバ制御部72は、特定情報中のIDに基づいて、特定情報中の位置情報をサーバ通信部74を介して、端末90に送信する。端末90は、端末通信部94を介して、受信した位置情報を取得し、表示部98に表示させることとなる。
【符号の説明】
【0038】
10…位置情報取得システム
20…発信器
22…発信器制御部
24…位置情報取得部
26…発信器送信部
28…発信器記憶部
30…ボタン
32、46、80、100…バス
40…無人飛行装置
42…無人飛行装置制御部
44…無人飛行装置通信部
48…メッシュネットワーク
50…基地局
60…公衆回線
70…サーバ
72…サーバ制御部
74…サーバ通信部
76…サーバ記憶部
78…テーブル
90…端末
92…端末制御部
94…端末通信部
96…入力部
98…表示部