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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】刈払機用バンド及び刈払機セット
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/90 20060101AFI20230324BHJP
【FI】
A01D34/90 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022014259
(22)【出願日】2022-02-01
【審査請求日】2022-12-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510333575
【氏名又は名称】株式会社東北設備
(73)【特許権者】
【識別番号】599164086
【氏名又は名称】富樫 光七
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100194179
【弁理士】
【氏名又は名称】中澤 泰宏
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(72)【発明者】
【氏名】富樫 光七
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-98930(JP,A)
【文献】実開昭63-145420(JP,U)
【文献】特開2020-80812(JP,A)
【文献】特開2012-223157(JP,A)
【文献】登録実用新案第3212739(JP,U)
【文献】特開平3-47008(JP,A)
【文献】特開2013-102721(JP,A)
【文献】特開2005-143453(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0082814(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈払機のユーザーに装着され、前記刈払機を吊り下げるための刈払機用バンドであって、
前記ユーザーの骨盤部に巻かれる骨盤パッドと、
前記骨盤パッドに巻かれ、前記骨盤パッドを介して前記骨盤部に締められるメインベルトと、
前記ユーザーの腰部に締められるサブベルトと、
前記骨盤パッドに設けられ、前記サブベルトが通される複数のサブベルトループと、
前記骨盤パッドに設けられ、前記刈払機を吊り下げ可能な吊り下げ部と、を備え、
前記骨盤パッドは、前記複数のサブベルトループによって前記サブベルトに吊され、
前記複数のサブベルトループは、前記吊り下げ部の上方であって前記吊り下げ部に対応する位置にある対応サブベルトループを含む、
刈払機用バンド。
【請求項2】
前記吊り下げ部は、前記刈払機用バンドが前記ユーザーに装着された装着状態において前記ユーザーの左脚に位置する左吊り下げ部と、前記装着状態において前記ユーザーの右脚に位置する右吊り下げ部とを含み、
前記左吊り下げ部及び前記右吊り下げ部の一方に前記刈払機を吊り下げた場合には、他方に前記ユーザーの膝および大腿部の少なくともいずれかに当てられる当て板を吊り下げ可能である、
請求項1に記載の刈払機用バンド。
【請求項3】
前記左吊り下げ部は、前記骨盤パッドの長手方向において互いに間隔を空けて設けられ、吊り材を繋ぎ止めることが可能な第1の左繋止部及び第2の左繋止部を含み、
前記第1の左繋止部は、前記装着状態において前記第2の左繋止部よりも前記ユーザーにとっての前方に位置し、
前記右吊り下げ部は、前記骨盤パッドの長手方向において互いに間隔を空けて設けられ、吊り材を繋ぎ止めることが可能な第1の右繋止部及び第2の右繋止部を含み、
前記第1の右繋止部は、前記装着状態において前記第2の右繋止部よりも前記ユーザーにとっての前方に位置し、
前記左吊り下げ部に前記刈払機を吊り下げ、且つ、前記右吊り下げ部に前記当て板を吊り下げる場合、前記左吊り下げ部は、前記第1の左繋止部及び前記第2の左繋止部に繋止された吊り材を介して前記刈払機を吊り下げ、前記右吊り下げ部は、前記第1の右繋止部に繋ぎ止められた吊り材を介して前記当て板を吊り下げ、
前記右吊り下げ部に前記刈払機を吊り下げ、且つ、前記左吊り下げ部に前記当て板を吊り下げる場合、前記右吊り下げ部は、前記第1の右繋止部及び前記第2の右繋止部に繋止された吊り材を介して前記刈払機を吊り下げ、前記左吊り下げ部は、前記第1の左繋止部に繋ぎ止められた吊り材を介して前記当て板を吊り下げる、
請求項2に記載の刈払機用バンド。
【請求項4】
前記対応サブベルトループは、前記第1の左繋止部、前記第2の左繋止部、前記第1の右繋止部及び前記第2の右繋止部の各々に対応して、少なくとも4つある、
請求項3に記載の刈払機用バンド。
【請求項5】
前記骨盤パッドに設けられ、前記メインベルトが通される複数のメインベルトループをさらに備え、
前記複数のメインベルトループは、前記対応サブベルトループの下方であって前記対応サブベルトループに対応する位置にある対応メインベルトループを含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の刈払機用バンド。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の刈払機用バンドと、前記刈払機と、前記刈払機に取り付けられる刈払機用ハンドルと、を備える刈払機セットであって、
前記刈払機は、前記ユーザーの前後方向に延びるシャフトと、前記シャフトの前端に位置する回転刃と、前記シャフトの後端に位置して前記回転刃を回転させる原動機と、を備え、
前記刈払機用ハンドルは、
前記シャフトと交差するとともに前記ユーザーから見て左右方向に延びる棒状部と、
前記ユーザーから見て前記棒状部の左側に位置し、前記ユーザーの左手に握られる左グリップと、
前記ユーザーから見て前記棒状部の右側に位置し、前記ユーザーの右手に握られる右グリップと、を備え、
前記棒状部は、前記シャフトと交差する部分であって、前記シャフトに取り付けられる被取付部を有し、
前記刈払機の前記回転刃が前記ユーザーから見て反時計回りに回転する第1の場合には、前記被取付部は、前記棒状部の前記左右方向における中心よりも前記ユーザーから見て左に偏った位置に設定され、且つ、前記棒状部における前記被取付部よりも前記ユーザーから見て右側の部分が前記ユーザーの脚によって押される被押圧部分として設定され、
前記刈払機の前記回転刃が前記ユーザーから見て時計回りに回転する第2の場合には、前記被取付部は、前記棒状部の前記左右方向における中心よりも前記ユーザーから見て右に偏った位置に設定され、且つ、前記棒状部における前記被取付部よりも前記ユーザーから見て左側の部分が前記ユーザーの脚によって押される被押圧部分として設定され、
前記刈払機用ハンドルは、前記第1の場合には前記刈払機を前記ユーザーの左に位置させ、前記第2の場合には前記刈払機を前記ユーザーの右に位置させる、
刈払機セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈払機を吊り下げるための刈払機用バンド及びこれを備える刈払機セットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、刈払機のユーザーに装着され、当該刈払機を吊り下げるための腰ベルトが記載されている。特許文献1に記載の腰ベルトは、ユーザーの腰に巻かれ、腰ベルトに沿って張設されたロープ部材と、ロープ部材に沿って移動可能な係合部材とを備える。この係合部材に取り付けられることで、腰ベルトに吊り下げられる刈払機は、ユーザーの右腰近傍に位置する。特許文献1は、ユーザーの肩に掛けられる肩ベルトを用いずに、腰ベルトのみで刈払機を支持する方法を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6642648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の腰ベルトは、概ね水平方向に働く腰ベルトの締め付け力のみによって、重力方向に沿う刈払機の荷重を支える構造である。したがって、この腰ベルトでは、刈払機の荷重が腰ベルトの片側(つまり、ユーザーの右腰部分)に直接、集中して作用する。この腰ベルトを装着したユーザーは、右腰部分に集中する荷重に耐えながら刈払い作業を行わなければならない。また、この腰ベルトは、刈払機を吊った片側がずり落ちていく事態が想定される。以上を勘案すると、この腰ベルトの構造では、肩ベルトの煩わしさからユーザーを解放できたとしても、刈払機の荷重によるユーザーの負担を軽減できず、実用性の観点からも疑問がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、肩ベルトを省くことができ、ユーザーの負担を軽減することができる刈払機用バンド及び刈払機セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る刈払機用バンドは、
刈払機のユーザーに装着され、前記刈払機を吊り下げるための刈払機用バンドであって、
前記ユーザーの骨盤部に巻かれる骨盤パッドと、
前記骨盤パッドに巻かれ、前記骨盤パッドを介して前記骨盤部に締められるメインベルトと、
前記ユーザーの腰部に締められるサブベルトと、
前記骨盤パッドに設けられ、前記サブベルトが通される複数のサブベルトループと、
前記骨盤パッドに設けられ、前記刈払機を吊り下げ可能な吊り下げ部と、を備え、
前記骨盤パッドは、前記複数のサブベルトループによって前記サブベルトに吊され、
前記複数のサブベルトループは、前記吊り下げ部の上方であって前記吊り下げ部に対応する位置にある対応サブベルトループを含む。
【0007】
前記吊り下げ部は、前記刈払機用バンドが前記ユーザーに装着された装着状態において前記ユーザーの左脚に位置する左吊り下げ部と、前記装着状態において前記ユーザーの右脚に位置する右吊り下げ部とを含み、
前記左吊り下げ部及び前記右吊り下げ部の一方に前記刈払機を吊り下げた場合には、他方に前記ユーザーの膝および大腿部の少なくともいずれかに当てられる当て板を吊り下げ可能である、ようにしてもよい。
【0008】
前記左吊り下げ部は、前記骨盤パッドの長手方向において互いに間隔を空けて設けられ、吊り材を繋ぎ止めることが可能な第1の左繋止部及び第2の左繋止部を含み、
前記第1の左繋止部は、前記装着状態において前記第2の左繋止部よりも前記ユーザーにとっての前方に位置し、
前記右吊り下げ部は、前記骨盤パッドの長手方向において互いに間隔を空けて設けられ、吊り材を繋ぎ止めることが可能な第1の右繋止部及び第2の右繋止部を含み、
前記第1の右繋止部は、前記装着状態において前記第2の右繋止部よりも前記ユーザーにとっての前方に位置し、
前記左吊り下げ部に前記刈払機を吊り下げ、且つ、前記右吊り下げ部に前記当て板を吊り下げる場合、前記左吊り下げ部は、前記第1の左繋止部及び前記第2の左繋止部に繋止された吊り材を介して前記刈払機を吊り下げ、前記右吊り下げ部は、前記第1の右繋止部に繋ぎ止められた吊り材を介して前記当て板を吊り下げ、
前記右吊り下げ部に前記刈払機を吊り下げ、且つ、前記左吊り下げ部に前記当て板を吊り下げる場合、前記右吊り下げ部は、前記第1の右繋止部及び前記第2の右繋止部に繋止された吊り材を介して前記刈払機を吊り下げ、前記左吊り下げ部は、前記第1の左繋止部に繋ぎ止められた吊り材を介して前記当て板を吊り下げる、ようにしてもよい。
【0009】
前記対応サブベルトループは、前記第1の左繋止部、前記第2の左繋止部、前記第1の右繋止部及び前記第2の右繋止部の各々に対応して、少なくとも4つある、ようにしてもよい。
【0010】
前記刈払機用バンドは、前記骨盤パッドに設けられ、前記メインベルトが通される複数のメインベルトループをさらに備え、
前記複数のメインベルトループは、前記対応サブベルトループの下方であって前記対応サブベルトループに対応する位置にある対応メインベルトループを含む、ようにしてもよい。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る刈払機セットは、
前記刈払機用バンドと、前記刈払機と、前記刈払機に取り付けられる刈払機用ハンドルと、を備える刈払機セットであって、
前記刈払機は、前記ユーザーの前後方向に延びるシャフトと、前記シャフトの前端に位置する回転刃と、前記シャフトの後端に位置して前記回転刃を回転させる原動機と、を備え、
前記刈払機用ハンドルは、
前記シャフトと交差するとともに前記ユーザーから見て左右方向に延びる棒状部と、
前記ユーザーから見て前記棒状部の左側に位置し、前記ユーザーの左手に握られる左グリップと、
前記ユーザーから見て前記棒状部の右側に位置し、前記ユーザーの右手に握られる右グリップと、を備え、
前記棒状部は、前記シャフトと交差する部分であって、前記シャフトに取り付けられる被取付部を有し、
前記刈払機の前記回転刃が前記ユーザーから見て反時計回りに回転する第1の場合には、前記被取付部は、前記棒状部の前記左右方向における中心よりも前記ユーザーから見て左に偏った位置に設定され、且つ、前記棒状部における前記被取付部よりも前記ユーザーから見て右側の部分が前記ユーザーの脚によって押される被押圧部分として設定され、
前記刈払機の前記回転刃が前記ユーザーから見て時計回りに回転する第2の場合には、前記被取付部は、前記棒状部の前記左右方向における中心よりも前記ユーザーから見て右に偏った位置に設定され、且つ、前記棒状部における前記被取付部よりも前記ユーザーから見て左側の部分が前記ユーザーの脚によって押される被押圧部分として設定され、
前記刈払機用ハンドルは、前記第1の場合には前記刈払機を前記ユーザーの左に位置させ、前記第2の場合には前記刈払機を前記ユーザーの右に位置させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、肩ベルトを省くことができ、ユーザーの負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る刈払機セットの斜視図である。
図2】同上実施形態に係る刈払機用バンドの概略展開図である。
図3】同上実施形態に係る刈払機用バンドの一部断面図であり、骨盤パッドに働く力を説明するための図である。
図4】同上実施形態に係る刈払機用ハンドルの斜視図である。
図5】同上実施形態に係るアタッチメントの作用を説明するための図であり、(a)はアタッチメントの概略側面図であり、(b)はアタッチメントの概略平面図である。
図6】同上実施形態に係る刈払機用ハンドルの作用を説明するための模式図である。
図7】従来例に係る刈払機用ハンドルの作用を説明するための模式図である。
図8】変形例に係る刈払機セットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
刈払機セット1は、図1に示すように、刈払機2と、刈払機用バンド3と、刈払機用ハンドル4と、緩衝板5と、当て板6と、を備える。また、刈払機セット1は、図5(a)、(b)に示すように、アタッチメント7をさらに備える。
【0016】
(刈払機2)
刈払機2は、シャフト20と、回転刃21と、原動機22と、スロットル23と、飛散防護カバー24と、を備える。
【0017】
刈払機2のユーザー8は、刈払機2を操作して、草、小径木などの刈払い作業を行う。図1及び図4では、ユーザー8にとっての方向として、前方Fd、後方Bd、左方Ld、右方Rd、上方Ud、下方Ddを示した(後述の図8も同様)。以下の説明で用いる、前、後、左、右、上、下の各方向は、特に断りがない場合は、ユーザー8にとっての方向を指す。
【0018】
シャフト20は、刈払機2のユーザー8の前後方向に延びる。シャフト20は、パイプ状の部材であり、その内部には、原動機22の動力に応じて回転刃21を回転させるための回転軸(図示せず)が設けられる。シャフト20の長手方向における中心よりも原動機22に近い位置は、刈払機用ハンドル4が取り付けられるハンドル取付位置20aとして設定される。シャフト20は、ハンドル取付位置20aよりも原動機22に近い箇所に、後述の態様で刈払機用バンド3に吊り下げられる部分である被吊り下げ部20bを有する。被吊り下げ部20bは、例えば、シャフト20に固定された環状の部材である。
【0019】
回転刃21は、シャフト20の前端に位置する。回転刃21は、円盤状に形成された丸ノコギリであり、例えばチップソーである。本実施形態の回転刃21は、ユーザー8から見て反時計回りに回転する。以下、回転刃21によって刈ることが可能な対象を「草等」と呼ぶ。草等は、草に限られず、小径木、枝などを含む。
【0020】
原動機22は、シャフト20の後端に位置して回転刃21を回転させる。原動機22は、エンジン又はモータから構成され、シャフト20の内部に設けられた回転軸を介して、回転刃21を回転させる。
【0021】
スロットル23は、ユーザー8が原動機22を操作するためのものであり、刈払機用ハンドル4に取り付けられる。本実施形態では、スロットル23は、刈払機用ハンドル4の後述する左グリップ4Lに取り付けられる。スロットル23は、図示せぬスロットルワイヤーで原動機22と電気的に接続される。ユーザー8は、スロットル23を握ることで、原動機22を介して、回転刃21の回転動作を操作する。
【0022】
飛散防護カバー24は、回転刃21で刈られた草等の飛散からユーザー8を防護するための部材である。飛散防護カバー24は、シャフト20に対して着脱可能であり、回転刃21の近傍に取り付けられる。
【0023】
(刈払機用バンド3)
刈払機用バンド3は、刈払機2を吊り下げるための構成であり、ユーザー8に装着される。刈払機用バンド3は、図1図3に示すように、骨盤パッド30と、メインベルト31と、サブベルト32と、吊り下げ部33と、複数のサブベルトループ34と、複数のメインベルトループ35と、を備える。
【0024】
骨盤パッド30は、ユーザー8の骨盤部に巻かれる帯状の緩衝材である。この骨盤部は、ユーザー8の臀部と概ね同じである。
【0025】
メインベルト31は、骨盤パッド30に巻かれ、骨盤パッド30を介してユーザー8の骨盤部に締められる。メインベルト31は、図2に示すように、骨盤パッド30に設けられた、複数のメインベルトループ35に通される。メインベルト31の幅は、骨盤パッド30の幅よりも狭い。メインベルト31の長手方向における一端には、メインベルト31をユーザー8の骨盤部に締め付けるための留め具31aが設けられている。留め具31aは、公知のバックル、面ファスナー等であればよい。なお、メインベルト31には、その長さを調整するための図示せぬアジャスターが設けられていてもよい。ユーザー8は、留め具31aによりメインベルト31を締めることによって、骨盤パッド30を自身の骨盤部に装着する。骨盤パッド30によって、ユーザー8の骨盤部にメインベルト31の締め付け力が分散して作用するため、ユーザー8の負担を軽減することができる。
【0026】
サブベルト32は、ユーザー8の腰部に締められる。サブベルト32は、図2に示すように、骨盤パッド30の上方に向かう、複数のサブベルトループ34に通される。サブベルト32の幅は、本実施形態ではメインベルト31の幅よりも狭く設定されているが、これに限られず任意に設定可能である。サブベルト32の長手方向における一端には、サブベルト32をユーザー8の腰部に締め付けるための留め具32aが設けられている。留め具32aは、公知のバックル、面ファスナー等であればよい。なお、サブベルト32には、その長さを調整するための図示せぬアジャスターが設けられていてもよい。ユーザー8は、留め具32aによりサブベルト32を自身の腰部に締めて装着する。
【0027】
吊り下げ部33は、骨盤パッド30に設けられた、刈払機2を吊り下げ可能な部分である。吊り下げ部33は、刈払機用バンド3がユーザー8に装着された状態(以下、装着状態という。)においてユーザー8の左脚に位置する左吊り下げ部331と、装着状態においてユーザー8の右脚に位置する右吊り下げ部332と、を含む。
【0028】
左吊り下げ部331は、例えばストラップから構成される吊り材を繋ぎ止めることが可能な、第1の左繋止部331a及び第2の左繋止部331bを含む。以下、左吊り下げ部331に繋ぎ止めることが可能な吊り材を、左吊り材S1と呼ぶ。第1の左繋止部331a及び第2の左繋止部331bは、骨盤パッド30の長手方向において互いに間隔を空けて位置する。第1の左繋止部331aは、装着状態において第2の左繋止部331bよりもユーザー8にとっての前方に位置する。第1の左繋止部331a及び第2の左繋止部331bの各々は、例えば、D状の鐶で構成され、骨盤パッド30の下端に設けられた支持ループ36に通され、支持される。
【0029】
右吊り下げ部332は、例えばストラップから構成される吊り材を繋ぎ止めることが可能な、第1の右繋止部332a及び第2の右繋止部332bを含む。以下、右吊り下げ部332に繋ぎ止めることが可能な吊り材を、右吊り材S2と呼ぶ。第1の右繋止部332a及び第2の右繋止部332bは、骨盤パッド30の長手方向において互いに間隔を空けて位置する。第1の右繋止部332aは、装着状態において第2の右繋止部332bよりもユーザー8にとっての前方に位置する。第1の右繋止部332a及び第2の右繋止部332bの各々は、例えば、D状の鐶で構成され、骨盤パッド30の下端に設けられた支持ループ36に通され、支持される。
【0030】
なお、左吊り材S1及び右吊り材S2の各々は、その長さを図示せぬアジャスターによって調節可能である。また、左吊り材S1及び右吊り材S2の各々は、対象を吊ることができればストラップに限られず任意である。左吊り材S1及び右吊り材S2の各々は、チェーン、ワイヤ、ロープ等であってもよい。
【0031】
ここで、ユーザー8から見て回転刃21が反時計回りに回転する本実施形態では、左吊り下げ部331に刈払機2が吊り下げられる。図2に示すように、左吊り下げ部331の第1の左繋止部331a及び第2の左繋止部331bの各々には左吊り材S1が繋ぎ止められ、左吊り下げ部331は、左吊り材S1を介して刈払機2を吊り下げる。具体的に、第1の左繋止部331a及び第2の左繋止部331bの各々に繋ぎ止められた左吊り材S1は、V状をなし、図1に示すように、その下端が緩衝板5に連結される。
【0032】
左吊り材S1と連結された緩衝板5は、図1に示すように、ユーザー8の左大腿部の側面と刈払機2のシャフト20との間に位置するように使用される。緩衝板5により、ユーザー8の脚に直接、シャフト20が当たることを避けることができ、刈払い作業中のユーザー8の負担を軽減することができる。緩衝板5には、シャフト20の被吊り下げ部20bに掛止される掛止部50が設けられている。掛止部50は、例えば、フック、カラビナ等であればよいが、被吊り下げ部20bに掛けることができればその部材は任意である。以上のように、本実施形態では、左吊り下げ部331は、左吊り材S1及び緩衝板5を介し、刈払機2を吊り下げる。
【0033】
また、ユーザー8から見て回転刃21が反時計回りに回転する本実施形態では、右吊り下げ部332に当て板6が吊り下げられる。図2に示すように、右吊り下げ部332の第1の右繋止部332aには右吊り材S2が繋ぎ止められ、右吊り下げ部332は、右吊り材S2を介して当て板6を吊り下げる。具体的に、第1の右繋止部332aに繋ぎ止められた右吊り材S2は、図1に示すように、その下端が当て板6に連結される。
【0034】
右吊り材S2と連結された当て板6は、図1に示すように、ユーザー8の右大腿部の前面と刈払機用ハンドル4との間に位置するように使用される。当て板6により、ユーザー8の脚に直接、刈払機用ハンドル4が当たることを避けることができ、刈払い作業中のユーザー8の負担を軽減することができる。さらに、後述のように刈払機用ハンドル4を右脚で押し出す際に、当て板6によって効果的に刈払機用ハンドル4に力を与えることができる。当て板6は、例えば樹脂から形成され、ユーザー8の大腿部にフィットするように湾曲して形成された板材である。
【0035】
なお、当て板6は、ユーザー8の膝および大腿部の少なくともいずれかに当てられる形状であればよい。また、当て板6は、格子状、メッシュ状に形成されたり、軽量穴が設けられたりして、軽量化が施されていても良い。
【0036】
本実施形態のサブベルトループ34は、図2に示すように、第1の左繋止部331a、第2の左繋止部331b、第1の右繋止部332a及び第2の右繋止部332bの各々に対応して、これらの上方に設けられている。つまり、本実施形態の骨盤パッド30には、4つのサブベルトループ34が設けられている。
【0037】
本実施形態のメインベルトループ35は、図2に示すように、骨盤パッド30に5つ設けられている。このうち、4つのメインベルトループ35は、図2に示すように、第1の左繋止部331a、第2の左繋止部331b、第1の右繋止部332a及び第2の右繋止部332bの各々に対応して、これらの上方に設けられている。そして、残りの1つのメインベルトループ35は、骨盤パッド30の長手方向における中央部に設けられ、装着状態においてユーザー8の背骨付近に位置する。
【0038】
左吊り下げ部331に刈払機2が吊り下げられる本実施形態では、左吊り下げ部331の上方であって、左吊り下げ部331に対応する位置にある2つのサブベルトループ34(つまり、第1の左繋止部331aに対応するサブベルトループ34、及び、第2の左繋止部331bに対応するサブベルトループ34)が対応サブベルトループとして機能する。そして、第1の左繋止部331aに対応するメインベルトループ35、及び、第2の左繋止部331bに対応するメインベルトループ35が、対応サブベルトループの下方であって当該対応ベルトループに対応する位置にある対応メインベルトループとして機能する。
【0039】
本実施形態では、第1の左繋止部331aに対応して、骨盤パッド30の短手方向に沿って設けられる、支持ループ36、メインベルトループ35及びサブベルトループ34のセットは、合成繊維の帯体で一体に形成されている。具体的に、この帯体を骨盤パッド30に縫合することによって、第1の左繋止部331aに対応して設けられる、支持ループ36、メインベルトループ35及びサブベルトループ34は、それぞれの機能を発揮するように構成される。なお、第2の左繋止部331b、第1の右繋止部332a及び第2の右繋止部332bの各々に対応して設けられる、支持ループ36、メインベルトループ35及びサブベルトループ34のセットについても、同様に、合成繊維の帯体で一体に形成されている。これにより、部品点数を削減し、製造を容易としつつ、後述の刈払機用バンド3の作用を効果的に発揮することができる。なお、装着状態においてユーザー8の背骨付近に位置する1つのメインベルトループ35は、合成繊維の帯体を骨盤パッド30に縫合することで構成される。
【0040】
以上のように構成される刈払機用バンド3の効果について図3を参照し、次に説明する。
【0041】
(刈払機用バンド3の効果)
図3は、刈払機用バンド3における左吊り下げ部331を、短手方向に沿って切った場合の概略断面図である。骨盤パッド30には、左吊り下げ部331に刈払機2が吊り下げられることにより、刈払機2の荷重Fbが下方に働く。また、ユーザー8がメインベルト31を自身の骨盤部に締め付けると、骨盤パッド30には、メインベルト31による締め付け力Ftが概ね水平方向に働く。また、ユーザー8がサブベルト32を自身の腰部に締め付けると、骨盤パッド30は、サブベルトループ34によってサブベルト32に対して吊り下げられる。これにより、骨盤パッド30には、サブベルトループ34による張力Fsが上方に働く。
【0042】
以上を勘案すると、骨盤パッド30は、下方に働く荷重Fbを、締め付け力Ft及び張力Fsの合成ベクトルで相殺することができる(支えることができる)。この作用により、刈払機用バンド3は、骨盤パッド30を介してユーザー8に働く力を分散することができ、ユーザー8の負担を軽減することができる。仮に、メインベルト31による締め付け力Ftのみによって、メインベルト31がずれ下がることを防止しつつ荷重Fbを支えようとすると、締め付け力Ftを非常に大きくして、力のベクトルの上方成分を創出する必要があり、現実的ではない。しかしながら、本実施形態の刈払機用バンド3によれば、骨盤パッド30がサブベルト34に吊り下げられる状態を創出することで、上記のようにユーザー8の負担を軽減することができる。
【0043】
さらに、刈払機2が吊り下げられる左吊り下げ部331の上方には、サブベルトループ34が位置する。このサブベルトループ34は、左吊り下げ部331に対応する対応サブベルトループとして機能する。対応サブベルトループにより、刈払機2の荷重Fbがかかる箇所(本実施形態ではユーザー8の左側)において、骨盤パッド30がずれ落ちることが抑制される。
【0044】
なお、実際には、ユーザー8は、刈払機2を左右に円弧状に回動させつつ刈払い作業を行うため、骨盤パッド30には、ねじれの力が働く。本実施形態の刈払機用バンド3では、サブベルトループ34が骨盤パッド30の長手方向(つまり、装着状態においてはユーザー8の骨盤部の周方向)に間隔を空けて設けられているため、複数のサブベルトループ34を介して骨盤パッド30に働く張力Fsは、立体的に作用する。これにより、骨盤パッド30を介してユーザー8にかかる刈払機2の荷重Fbを、立体的なベクトル力によって安定して支持することができる。
【0045】
また、以上の刈払機用バンド3によれば、ユーザー8の肩に掛けられる肩ベルトを省略しつつも、安定して刈払機2を吊り下げることができる。刈払機用バンド3によれば、肩ベルトを省略可能であることから、ユーザー8の上半身を解放することができ、上半身の可動性及び通気性を確保することができる。結果として、ユーザー8の負担を軽減することができる。
【0046】
(電気工事用の安全帯との差異)
ここで、本実施形態の刈払機用バンド3と似て非なる構成として、電気工事士が柱上作業時に使用する安全帯が存在するが、この安全帯と刈払機用バンド3の構成及び機能が全く異なることについて明らかにしておく。
【0047】
この安全帯は、柱上作業者の骨盤部に巻かれるパッドと、パッドに巻かれる安全ベルトとを備える。そして、この安全帯は、柱上作業者の腰に巻かれる補助帯と連結可能に構成される。この補助帯は、柱上作業者が安全帯からすり抜けて落下することを防止するために、必ず安全ベルトを吊るものであり、決してパッドを吊るものではない。本実施形態の刈払機用バンド3は、サブベルト32が通されるサブベルトループ34によって、メインベルト31を吊るわけではなく、刈払機2の荷重Fbがかかる骨盤パッド30を吊るため、電気工事士が使用する安全帯とは、構成及び機能が全く異なる。
【0048】
さらに、柱上作業時における作業者の体勢を確保すると同時に、腰掛け的な機能をも果たす安全帯を吊るための補助帯は、前後左右で均等に安全ベルトを吊る必要がある。一方、刈払機用バンド3においては、サブベルト34は、必ずしも前後左右で均等に骨盤パッド30を吊っていなくともよい。刈払機用バンド3は、少なくとも、刈払機2を吊り下げ可能な吊り下げ部33に対応する位置に設けたサブベルトループ34を介して、サブベルト32が骨盤パッド30を吊る構成であればよい。この点でも両者には大きな差異がある。
【0049】
(刈払機用ハンドル4)
刈払機用ハンドル4は、図1及び図4に示すように、棒状部40と、左湾曲部410と、左屈曲部411と、右湾曲部420と、右屈曲部421と、を備える。
【0050】
棒状部40、左湾曲部410、左屈曲部411、右湾曲部420及び右屈曲部421は、例えば、ステンレス、アルミ等からなるパイプ材により一体に形成される。
【0051】
棒状部40は、刈払機2のシャフト20と交差するとともにユーザー8から見て左右方向に延びる部分である。本実施形態の棒状部40は、直線状に延びる。棒状部40は、シャフト20と交差する部分であって、シャフト20に取り付けられる被取付部40aを有する。具体的に、被取付部40aは、連結材40bによりシャフト20に取り付けられる。連結材40bとしては、例えばパイプ連結用のクランプを用いることができるが、これに限られず、棒状部40とシャフト20を連結できれば、任意の構成を用いることができる。この実施形態では、刈払機用ハンドル4は、棒状部40がシャフト20と直交するように、シャフト20に取り付けられる。なお、棒状部40とシャフト20は、必ずしも直交する必要はなく、ユーザー8にとっての刈払機2の扱いやすさを妨げない限りにおいては、直交関係から多少(例えば、数度程度)、相対的に傾いていてもよい。
【0052】
左湾曲部410は、ユーザー8から見て棒状部40の左端と連続し、湾曲してユーザー8の上方に向かって延びる部分である。具体的に、左湾曲部410は、棒状部40の左端から、湾曲しながらさらに左方に向かいつつ、ユーザー8の後ろ斜め上方に延びる形状を有する。
【0053】
左屈曲部411は、左湾曲部410の上端と連続するとともにユーザー8の前方に向かって屈曲して延びる部分である。左屈曲部411には、ユーザー8の左手に握られる左グリップ4Lが設けられる。
【0054】
左グリップ4Lは、例えば、左屈曲部411の上端部分に取り付けられた、ゴム、スポンジ、その他の樹脂材などで構成される部材である。なお、左グリップ4Lは、左屈曲部411に取り付けられる部材に限られず、左屈曲部411の一部であってユーザー8の左手に握られる部分であってもよい。
【0055】
右湾曲部420は、ユーザー8から見て棒状部40の右端と連続し、湾曲してユーザー8の上方に向かって延びる部分である。具体的に、右湾曲部420は、棒状部40の右端から、湾曲しながらさらに右方へ向かいつつ、ユーザー8の後ろ斜め上方に延びる形状を有する。
【0056】
右屈曲部421は、右湾曲部420の上端と連続するとともにユーザー8の前方に向かって屈曲して延びる部分である。右屈曲部421には、ユーザー8の右手に握られる右グリップ4Rが設けられる。
【0057】
右グリップ4Rは、例えば、右屈曲部421の上端部分に取り付けられた、ゴム、スポンジ、その他の樹脂材などで構成される部材である。なお、右グリップ4Rは、右屈曲部421に取り付けられる部材に限られず、右屈曲部421の一部であってユーザー8の右手に握られる部分であってもよい。
【0058】
ユーザー8から見て回転刃21が反時計回りに回転する本実施形態では、被取付部40aは、棒状部40の左右方向における中心よりも左湾曲部410に向かって偏った位置に設定される。そして、被取付部40aがシャフト20のハンドル取付位置20aに取り付けられた刈払機用ハンドル4においては、棒状部40における被取付部40aと右湾曲部420の間の部分がユーザー8の脚によって押される「被押圧部分」として設定される。そして、本実施形態の刈払機用ハンドル4は、刈払機2をユーザー8の左に位置させる。
【0059】
刈払機2が刈払機用バンド3に適切に吊り下げられた状態では、図1に示すように、棒状部40における被取付部40aと右湾曲部420の間の部分(前記の被押圧部分)が、ユーザー8の両脚の前に位置する。当該被押圧部分は、好ましくは、ユーザー8の膝又は大腿部の高さに設定される。
【0060】
刈払機用ハンドル4の棒状部40が上記のように位置すると、左湾曲部410がユーザー8の左脚の大腿部に沿うとともに、当該大腿部と間隔を空けて位置する。そして、左湾曲部410の上端から左屈曲部411が前傾した格好になる。同様に、右湾曲部420がユーザー8の右脚の大腿部に沿うとともに、当該大腿部と間隔を空けて位置する。そして、右湾曲部420の上端から右屈曲部421が前傾した格好になる。
【0061】
また、刈払機用ハンドル4の左側部分(つまり、左湾曲部410及び左屈曲部411)と右側部分(つまり、右湾曲部420及び右屈曲部421)とは、棒状部40から離れるにつれて、互いの間隔(左右方向の間隔)が若干広がるように形成される。
【0062】
以上のように形成された刈払機用ハンドル4は、ユーザー8が、(i)左脇及び右脇を若干開き、(ii)左右の上腕を自然に垂らし、且つ、(iii)左右の肘を若干曲げた状態における左手及び右手で、左グリップ4L及び右グリップ4Rを掴むことができる格好となる。これにより、ユーザー8は、身体にストレスがない姿勢で刈払機用ハンドル4を掴むことができる。
【0063】
ここで、図7を参照して、従来例に係る刈払機9の使用法について説明する。
【0064】
(従来例に係る刈払機9の使用法)
刈払機9の回転刃91がユーザー8から見て反時計回りに回転する場合、従来例では、ユーザー8に装着された公知のバンドによって、刈払機9がユーザー8の右側に吊り下げられる。ユーザー8は、刈払機9及び刈払機9のシャフト90に取り付けられたハンドル94を、刈払機9の吊り下げ位置Pを中心として回動させつつ、刈払い作業を行う。この際、ユーザー8は、刈払機9全体を右から左に円弧状に回動させる過程において、回転刃91によって草等を刈り払う。所望の位置まで刈払機9全体を左に向かわせつつ刈払い作業を行うと、今度は逆に刈払機9全体を左から右に円弧状に回動させる。ユーザー8は、吊り下げ位置Pを中心として刈払機9全体を、右から左、左から右と繰り返し円弧状に回動させつつ、徐々に前進して刈払い作業を行う。
【0065】
従来例では、ユーザー8は、主に、ハンドル94の右グリップ94Rを右手で押し出す力によって、刈払機9全体を右から左に回動させる。詳細には、ユーザー8は、左グリップ94Lを左手で引く力、腰でシャフト90を押す力、脚でハンドル94を押す力なども用いるが、従来例に係るハンドル94及び刈払機9の構造では、刈払機9全体を右から左に回動させる際に、右手で押し出す力が支配的であることは変わりがない。
【0066】
ここで、右グリップ94Rを右手で押し出す力をfとし、吊り下げ位置Pから右グリップ94Rまでのハンドル94に沿った長さをlとすれば、刈払機9全体を右から左に回動させる際の、力のモーメントの大きさnは、概ねn=f×lで考えることができる。従来例に係るハンドル94及び刈払機9では、刈払機9をユーザー8の右側に吊り下げる態様のため、構造上、長さlを大きくすることができない。特に、刈払機9全体を右から左に回動させる際は、回転刃91で草等を刈る動作中であるため、回転刃91を介してその反動が逆方向に働く。これらを考慮すると、右グリップ94Rを右手で押し出す力を大きくする必要があることが分かる。このように、従来例に係るハンドル94及び刈払機9の構造では、刈払機9全体を右から左に回動させる際に、ユーザー8の手及び腕にかかる負担が非常に大きい。
【0067】
なお、刈払機9全体を左から右に回動させる際においては、刈払機9全体を右から左に回動させる場合に比べ、回転刃91で草等を刈ることによる反動が少ないが、ハンドル94の左グリップ94Lを左手で押し出す力が支配的であるため、ユーザー8の手及び腕にかかる負担が大きいことに変わりはない。
【0068】
次に、図6を参照し、従来例と比較しつつ、本実施形態の刈払機用ハンドル4の効果を、その使用法と併せて説明する。
【0069】
(刈払機用ハンドル4の効果)
刈払機2の回転刃21がユーザー8から見て反時計回りに回転する本実施形態では、ユーザー8に装着された刈払機用バンド3によって、刈払機2がユーザー8の左側に吊り下げられる。ユーザー8は、刈払機2及び刈払機用ハンドル4を、刈払機2の吊り下げ位置Oを中心として円弧状に回動させつつ、刈払い作業を行う。この際、ユーザー8は、刈払機2全体を右から左に回動させる過程において、回転刃21によって草等を刈り払う。所望の位置まで刈払機2全体を左に向かわせつつ刈払い作業を行うと、今度は逆に刈払機2全体を左から右に回動させる。ユーザー8は、吊り下げ位置Oを中心として刈払機2全体を、右から左、左から右と繰り返し円弧状に回動させつつ、徐々に前進して刈払い作業を行う。
【0070】
ユーザー8は、右脚を1歩進めると同時に、刈払機用ハンドル4における前記の被押圧部分を、自身の右脚の膝または大腿部で押す。これにより、刈払機2及び刈払機用ハンドル4は、吊り下げ位置Oを中心として、右から左に回動する。この回動の過程で、回転刃21が草等を刈り払う。この際、ユーザー8の右脚には、当て板6が設けられているため、当て板6を介して効果的に、刈払機用ハンドル4の被押圧部分に力を与えることができる。
【0071】
当て板6がない場合には、ユーザー8の右脚に刈払機用ハンドル4の棒状部40(被押圧部分)がめり込んでしまうため、その分、ユーザー8の右脚を押し出す力が分散してしまう。一方、当て板6がある場合には、ユーザー8の右脚に刈払機用ハンドル4の棒状部40(被押圧部分)がめり込むことが防止されるため、右脚を押し出す力を効果的に棒状部40に伝達でき、且つ、ユーザー8の右脚にかかる負担を軽減することができる。
【0072】
反対に、刈払機2及び刈払機用ハンドル4を左から右に回動させる際には、ユーザー8は、左脚を1歩進めると同時に、刈払機用ハンドル4における被押圧部分(具体的には、棒状部40の左側の部分)を、自身の左脚の膝または大腿部で押す。これにより、刈払機2及び刈払機用ハンドル4は、吊り下げ位置Oを中心として、左から右に回動する。
【0073】
以上のように、刈払機用ハンドル4によれば、ユーザー8は、右脚と左脚を交互に踏み出す前進動作を行うだけで、刈払機2及び刈払機用ハンドル4を、右から左、左から右へと回動させることができる。この際、ユーザー8は、刈払機用ハンドル4の右グリップ4R及び左グリップ4Lを両手で軽く握っているだけでよく、刈払機2及び刈払機用ハンドル4を回動させる際には、腕の力をほとんど要しない。つまり、本実施形態では、主に、刈払機用ハンドル4の被押圧部分を右脚で押し出す力によって、刈払機2全体を右から左に回動させることができる。
【0074】
ここで、刈払機用ハンドル4を右脚で押し出す力をFとし、吊り下げ位置Oから刈払機用ハンドル4における右脚に押される位置(具体的には、当て板6を介して押される位置)までの刈払機用ハンドル4に沿った長さをLとすれば、刈払機2全体を右から左に回動させる際の、力のモーメントの大きさNは、概ねN=F×Lで考えることができる。本実施形態に係る刈払機用ハンドル4及び刈払機2では、刈払機2をユーザー8の左側に吊り下げる態様のため、構造上、長さLを大きくすることができる。特に、刈払機2全体を右から左に回動させる際は、回転刃21で草等を刈る動作中であるため、回転刃21を介してその反動が逆方向に働く。しかしながら、刈払機用ハンドル4によれば長さLを大きく確保することができる。また、右脚を押し出す力Fを確保することは、右手で押し出す力を確保することに比べて極めて容易である。本実施形態の作用及び効果の有用性は、図6及び図7を比較することで容易に把握することができる。
【0075】
以上を考慮すると、本実施形態に係る刈払機用ハンドル4の構造によれば、刈払機2全体を右から左に回動させる際に、ユーザー8にかかる負担をかなり軽減することができることが分かる。なお、刈払機2全体を左から右に回動させる際においても、ユーザー8は、左脚を一歩進めるだけでよいため、刈払機2全体を左から右に回動させる際の負担が非常に少ない。
【0076】
また、上記のように形成される刈払機用ハンドル4は、ユーザー8に、身体にストレスがない姿勢で右グリップ4R及び左グリップ4Lを掴ませることができる。刈払機用ハンドル4は、被押圧部分がユーザー8の右脚と左脚を交互に踏み出す前進動作により押されることにより、吊り下げ位置Oを中心として左方と右方に交互に回動する。このため、ユーザー8は、刈払機用ハンドル4及び刈払機2を回動させる際に、右グリップ4R及び左グリップ4Lを両手で軽く握っていればよく、右グリップ4R及び左グリップ4Lを介しては、主に、刈払機用ハンドル4及び刈払機2の位置の微調整を行うだけでよい。
【0077】
(アタッチメント7)
図5(a)、(b)に示すアタッチメント7は、ユーザー8から見て回転刃21の裏面21bの側に取り付け可能な部材である。アタッチメント7は、回転刃21を回転させるロータに、ボルト、ナット等から構成される固定部材7aによって固定される。これにより、アタッチメント7は、回転刃21と共に、回転刃21の回転軸線21aを中心に回転する。アタッチメント7は、刈払い作業中に地面に着けて用いられる。アタッチメント7により、ユーザー8は、回転刃21と地面の間隔を確保しつつ刈払い作業を行うことができるため、ユーザー8の負担が軽減される。
【0078】
アタッチメント7は、回転刃21から離れる方向に膨らむ曲面部70と、曲面部70と回転刃21の間に位置する側面部71と、を有する。曲面部70及び側面部71は、回転軸線21aを中心とした回転体(回転軸線21aを中心に一回転したときに形成される図形)状に形成されている。図5(a)に示すように、曲面部70が地面に着けられる部分である。
【0079】
側面部71は、アタッチメント7において、回転軸線21aを中心とした円柱の側面に相当する部分である。本実施形態の側面部71は、回転刃21の裏面21bに対して垂直である。側面部71には、回転刃21の裏面21bに沿って突起する複数の突起部72が設けられている。
【0080】
本実施形態に係る突起部72は、回転軸線21aを中心とした半径方向に沿って、互いに逆方向に突起して一対ある。つまり、本実施形態では、突起部72が2つ設けられている。2つの突起部72は、裏面21bと概ね平行(丁度、平行も含む。)に突起している。なお、突起部72は、次に説明する機能を発揮できる限りにおいては、その形状、長さ、大きさは限定されない。例えば、突起部72は、円柱状、円錐状などに形成されればよい。
【0081】
ここからは、本実施形態のアタッチメント7の効果を説明する。
【0082】
(アタッチメント7の効果)
図7を参照して前述した従来例に係る刈払機9は、ユーザー8の右腰に近い位置に吊されて使用される。一方、本実施形態に係る刈払機2は、図1に示すように、ユーザー8の左脚の大腿部から膝の位置に吊されて使用される。このように、本実施形態に係る刈払機2は、従来例に比べて低い位置において使用されることにより、地面とシャフト20とのなす角度が従来よりも小さい状態で使用される。
【0083】
本実施形態に係る刈払機2が上記のように使用されると、図5(a)に示すように、回転刃21は、その前端がその後端よりも上方に位置するように傾く。そうすると、回転刃21とともにアタッチメント7が回転する過程において、アタッチメント7の側面部71に設けられた一対の突起部72のうち、後方の突起部72(ユーザー8により近い突起部72)は地面に近付き、前方の突起部72(ユーザー8からより遠い突起部72)は地面から離れた状態になる。
【0084】
この際、後方の突起部72が草等に当たることで、後方の突起部72には、反時計回りに回転する回転刃21とは反対方向に反作用の力が働く。これにより、後方の突起部72を介して、図5(b)に示すように、シャフト20には左方へ向かう力Frが働く。一方、前方の突起部72は、草等に当たらない、又は、後方の突起部72に比べて草等に当たる割合が非常に小さくなる。このため、前方の突起部72に働く反作用の力は、無視することができる。
【0085】
以上のように、一対の突起部72が設けられたアタッチメント7は、回転刃21と共に回転する過程において、左方へ向かう力Frをシャフト20に順次伝達する。つまり、回転刃21と共に回転するアタッチメント7の作用により、刈払機2が自然に左方へ向かおうとする。これにより、刈払い作業中のユーザー8が、刈払機2及び刈払機用ハンドル4を右から左へと回動させる際に要する力を低減させることができる。このように、本実施形態に係る刈払機セット1は、アタッチメント7によっても、ユーザー8の負担を軽減することができる。
【0086】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0087】
(変形例)
以上の実施形態では、刈払機2の回転刃21が反時計回りに回転する例を示したが、図8に示すように、回転刃21が時計回りに回転する場合にも刈払機セット1を用いることができる。この場合、図8を参照して分かるように、刈払機セット1は図1を左右反転した態様で用いられる。具体的に、回転刃21が時計回りに回転する場合には、刈払機用ハンドル4の被取付部40aは、棒状部40の左右方向における中心よりも右湾曲部420に向かって偏った位置に設定される。そして、刈払機用ハンドル4においては、棒状部40における被取付部40aと左湾曲部410の間の部分がユーザー8の脚によって押される「被押圧部分」として設定される。そして、変形例に係る刈払機用ハンドル4は、刈払機2をユーザー8の右に位置させる。
【0088】
変形例に係る刈払機セット1の使用方法は、上記実施形態とは左右の関係を逆に考えればよい。つまり、ユーザー8は、刈払機2全体を左から右に回動させる過程において、回転刃21によって草等を刈り払う。ユーザー8は、刈払機2全体を、左から右、右から左と繰り返し円弧状に回動させつつ、徐々に前進して刈払い作業を行う。
【0089】
また、回転刃21が時計回りに回転する変形例では、刈払機用バンド3の右吊り下げ部332に刈払機2が吊り下げられる。この変形例では、右吊り下げ部332は、右吊り材S2及び緩衝板5を介し、刈払機2を吊り下げる。また、この変形例では、左吊り下げ部331に当て板6が吊り下げられる。左吊り下げ部331は、左吊り材S1を介して当て板6を吊り下げる。左吊り材S1と連結された当て板6は、図8に示すように、ユーザー8の左大腿部の前面と刈払機用ハンドル4との間に位置するように使用される。これにより、刈払機用ハンドル4を左脚で押し出す際に、当て板6によって効果的に刈払機用ハンドル4に力を与えることができる。
【0090】
この変形例のように、右吊り下げ部332に刈払機2が吊り下げられる場合には、右吊り下げ部332の上方であって、右吊り下げ部332に対応する位置にある2つのサブベルトループ34(つまり、第1の右繋止部332aに対応するサブベルトループ34、及び、第2の右繋止部332bに対応するサブベルトループ34)が対応サブベルトループとして機能する。この場合、第1の右繋止部332aに対応するメインベルトループ35、及び、第2の右繋止部332bに対応するメインベルトループ35が、対応サブベルトループの下方であって当該対応ベルトループに対応する位置にある対応メインベルトループとして機能する。
【0091】
(その他の変形例)
刈払機用バンド3の形状及び構成は、その機能を妨げない限りにおいては、任意に変更可能である。例えば、骨盤パッド30に設けるサブベルトループ34、メインベルトループ35及び支持ループ36の数は、以上の例に限られず、任意に変更可能である。例えば、左吊り下げ部331に対応する2本のサブベルトループ34及び2本のメインベルトループ35に相当する箇所を、以上の実施形態よりも幅広な、1本のサブベルトループ34及び1本のメインベルトループ35に変更してもよい。右吊り下げ部332に相当する箇所についても同様である。また、以上の実施形態よりも幅広な、1本の左吊り材S1又は1本の右吊り材S2を介して、刈払機用バンド3に刈払機2を吊り下げてもよい。
【0092】
刈払機用ハンドル4の形状及び構成は、その機能を妨げない限りにおいては、任意に変更可能である。例えば、棒状部40は、その全てが直線状でなくともよく、一部が湾曲して形成されてもよい。また、棒状部40から左グリップ4L及び右グリップ4Rの各々に到るまでの刈払機用ハンドル4の形状は、以上に説明した使用法を妨げない限りにおいては、任意に変更可能である。また、刈払機用ハンドル4の被押圧部分に、当て板6に代わる部材を直接設けてもよい。当該部材は、被押圧部分に設けられた緩衝材などであればよい。
【0093】
刈払機用バンド3は、以上に説明した刈払機用ハンドル4を取り付けた刈払機2だけでなく、図7を参照して説明した従来例に係るハンドル94を取り付けた刈払機9を吊り下げることも可能である。この場合、刈払機用バンド3の右吊り下げ部332に、右吊り材S2を介して、刈払機9を吊り下げればよい。
【0094】
以上に説明した刈払機用ハンドル4を取り付けた刈払機2は、肩ベルトを省略した刈払機用バンド3以外のバンドに吊り下げられ、使用されてもよい。例えば、刈払機用ハンドル4を取り付けた刈払機2は、ユーザー8の肩に掛けられる肩ベルトを備えるバンドなど、従来公知の刈払機吊り下げ用のバンドに吊り下げられ、使用されてもよい。
【0095】
アタッチメント7の形状及び構成は、その機能を妨げない限りにおいては、任意に変更可能である。例えば、アタッチメント7の側面部71には、3つ以上の突起部72が設けられていてもよい。側面部71に設けられた複数の突起部72は、互いに逆方向に突起する一対の突起部72を含むことが、ユーザー8による刈払機2の回動操作を助ける観点からは好ましい。また、複数の突起部72は、回転軸線21aを中心とした円周方向に均等に配置されていてもよい。しかしながら、側面部71に突起部72を1つだけ設けても、ある程度は、ユーザー8による刈払機2の回動操作を補助することができる。また、側面部71は、回転刃21の裏面21bに対して垂直でなくともよく、裏面21bに対して傾斜していてもよい。
【0096】
以上の説明では、本発明の理解を容易にするために、公知の技術的事項の説明を適宜省略した。
【0097】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【0098】
(付記)
以上に説明した刈払機セットは、以下の付記の観点によっても、ユーザーの負担を軽減することができる。
【0099】
(付記1)
ユーザーの前後方向に延びるシャフトと、前記シャフトの前端に位置する回転刃と、前記シャフトの後端に位置して前記回転刃を回転させる原動機とを備える刈払機に用いられ、前記シャフトに取り付けられる刈払機用ハンドルであって、
前記シャフトと交差するとともに前記ユーザーから見て左右方向に延びる棒状部と、
前記ユーザーから見て前記棒状部の左端と連続し、湾曲して前記ユーザーの上方に向かって延びる左湾曲部と、
前記左湾曲部の上端と連続するとともに前記ユーザーの前方に向かって屈曲して延びる左屈曲部と、
前記ユーザーから見て前記棒状部の右端と連続し、湾曲して前記ユーザーの上方に向かって延びる右湾曲部と、
前記右湾曲部の上端と連続するとともに前記ユーザーの前方に向かって屈曲して延びる右屈曲部と、を備え、
前記左屈曲部には前記ユーザーの左手に握られる左グリップが設けられ、
前記右屈曲部には前記ユーザーの右手に握られる右グリップが設けられ、
前記棒状部は、前記シャフトと交差する部分であって、前記シャフトに取り付けられる被取付部を有し、
前記刈払機の前記回転刃が前記ユーザーから見て反時計回りに回転する第1の場合には、前記被取付部は、前記棒状部の前記左右方向における中心よりも前記左湾曲部に向かって偏った位置に設定され、且つ、前記棒状部における前記被取付部と前記右湾曲部の間の部分が前記ユーザーの脚によって押される被押圧部分として設定され、
前記刈払機の前記回転刃が前記ユーザーから見て時計回りに回転する第2の場合には、前記被取付部は、前記棒状部の前記左右方向における中心よりも前記右湾曲部に向かって偏った位置に設定され、且つ、前記棒状部における前記被取付部と前記左湾曲部の間の部分が前記ユーザーの脚によって押される被押圧部分として設定され、
前記第1の場合には、前記刈払機を前記ユーザーの左に位置させ、
前記第2の場合には、前記刈払機を前記ユーザーの右に位置させる、
刈払機用ハンドル。
【0100】
(付記2)
前記左湾曲部は、湾曲して前記ユーザーの後方に向かいつつ斜め上方に延び、
前記右湾曲部は、湾曲して前記ユーザーの後方に向かいつつ斜め上方に延びる、
付記1に記載の刈払機用ハンドル。
【0101】
(付記3)
付記1又は2に記載の刈払機用ハンドルと、
前記刈払機と、
前記ユーザーの骨盤部及び腰部の少なくともいずれかに巻かれ、前記刈払機を吊り下げるための刈払機用バンドと、を備え、
前記刈払機用バンドには、前記刈払機を吊り下げるための吊り材を取り付け可能であり、
前記シャフトは、前記吊り材を介して前記刈払機用バンドに吊り下げられる部分であって、前記被取付部と前記原動機の間に位置する被吊り下げ部を有し、
前記吊り材の長さは調節可能であり、
前記刈払機用ハンドルの前記棒状部が前記ユーザーの膝または大腿部に位置するように使用される、
刈払機セット。
【0102】
(付記4)
前記ユーザーから見て前記回転刃の裏面の側に取り付けられ、前記回転刃と共に回転するカップ状のアタッチメントを備え、
前記アタッチメントは、前記回転刃から離れる方向に膨らむ曲面部と、前記曲面部と前記回転刃の間に位置する側面部と、を有し、
前記側面部には、前記回転刃の前記裏面に沿って突起する突起部が設けられている、
付記3に記載の刈払機セット。
【0103】
(付記5)
前記突起部は、複数あり、互いに逆方向に突起する一対の突起部を含む、
付記4に記載の刈払機セット。
【符号の説明】
【0104】
1…刈払機セット
2…刈払機、O…吊り下げ位置
20…シャフト、20a…ハンドル取付位置、20b…被吊り下げ部
21…回転刃、21a…回転軸線、21b…裏面
22…原動機、23…スロットル、24…飛散防護カバー
3…刈払機用バンド
30…骨盤パッド、Fb…荷重、Ft…締め付け力、Fs…張力
31…メインベルト、31a…留め具
32…サブベルト、32a…留め具
33…吊り下げ部
331…左吊り下げ部
331a…第1の左繋止部、331b…第2の左繋止部、S1…左吊り材
332…右吊り下げ部
332a…第1の右繋止部、332b…第2の右繋止部、S2…右吊り材
34…サブベルトループ、35…メインベルトループ、36…支持ループ
4…刈払機用ハンドル
40…棒状部、40a…被取付部、40b…連結材
410…左湾曲部、411…左屈曲部、4L…左グリップ
420…右湾曲部、421…右屈曲部、4R…右グリップ
5…緩衝板、50…掛止部
6…当て板
7…アタッチメント、7a…固定部材
70…曲面部、71…側面部、72…突起部
8…ユーザー
9…従来例に係る刈払機、P…吊り下げ位置
90…シャフト、91…回転刃
94…ハンドル、94L…左グリップ、94R…右グリップ
【要約】
【課題】肩ベルトを省くことができ、ユーザーの負担を軽減することができる刈払機用バンド等を提供する。
【解決手段】刈払機用バンド3は、骨盤パッド30、メインベルト31、サブベルト32、複数のサブベルトループ34、及び、吊り下げ部を備える。メインベルト31は、骨盤パッド30を介してユーザー8の骨盤部に締められる。サブベルト32は、ユーザー8の腰部に締められる。複数のサブベルトループ34は、骨盤パッド30に設けられ、サブベルト32が通される。吊り下げ部は、骨盤パッド30に設けられ、刈払機2を吊り下げ可能である。骨盤パッド30は、複数のサブベルトループ34によってサブベルト32に吊される。複数のサブベルトループ34は、吊り下げ部の上方であって吊り下げ部に対応する位置にある対応サブベルトループを含む。
【選択図】図1
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