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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】空気吸引式搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 53/24 20060101AFI20230324BHJP
   B65G 53/52 20060101ALI20230324BHJP
   B02B 7/02 20060101ALN20230324BHJP
【FI】
B65G53/24
B65G53/52
B02B7/02 101Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018120968
(22)【出願日】2018-06-26
(65)【公開番号】P2020001858
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】391055025
【氏名又は名称】株式会社タイワ精機
(74)【代理人】
【識別番号】110002712
【氏名又は名称】弁理士法人みなみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】成川 栄一
(72)【発明者】
【氏名】田中 敏晴
(72)【発明者】
【氏名】堀 武雄
(72)【発明者】
【氏名】能島 功次
(72)【発明者】
【氏名】若松 克幸
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-199049(JP,A)
【文献】特開昭50-069786(JP,A)
【文献】特開2017-178510(JP,A)
【文献】特許第6278441(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 53/24
B65G 53/52
B02B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物が通過する搬送管路と、該搬送管路の下流側に接続する空気分離装置と、該空気分離装置に接続する唯一の吸引装置と、前記空気分離装置に対して搬送経路の下流側に接続する旋回減速管路を備え、
該旋回減速管路は、下流側へ向けて、垂直軸周りに旋回しかつ下側へ傾斜して延びており、下流側端部において密閉性が保たれているものであることを特徴とする空気吸引式搬送装置。
【請求項2】
前記旋回減速管路は、水平方向に対する下側への傾斜角度が搬送経路に沿って変化しており、下流側端部において最大となっていることを特徴とする請求項1記載の空気吸引式搬送装置。
【請求項3】
前記旋回減速管路は、複数本の曲管を連結して形成したものであり、
前記の各曲管は同じ形状であって、一定の曲率で曲がる円弧状のものであることを特徴とする請求項1又は2記載の空気吸引式搬送装置。
【請求項4】
前記旋回減速管路は、垂直軸周りを旋回する角度が180度以上360度以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の空気吸引式搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒体状の搬送物を空気流に乗せて搬送する空気吸引式搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
米などの粒体を搬送するための装置として、空気吸引式の搬送装置がある。これは、搬送管路を有していて、その下流側から管路内の空気を吸引することで、上流から下流へ向かう空気流を形成し、粒体をこの空気流に乗せて搬送するものである。従来、このような搬送装置において、搬送終端部で粒体が十分に減速できず、管路の壁面などに衝突して割れなどの被害が生じることが問題となっていた。
【0003】
これに対し、たとえば特許文献1に示すように、搬送管路の終端部に円筒形状で下部が下すぼまりの漏斗状となったタンクを設け、粒体をタンク内で旋回させて減速させる、いわゆるサイクロン方式のものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6278441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の発明では、粒体はタンク内を旋回しつつ落下しながら減速するものの、漏斗状の下部においては、下側へ向かうほどタンクの内径が小さくなるので、粒体は加速するとともに密集し、互いに衝突して損傷するおそれがある。
【0006】
本発明は、このような事情を鑑みたものであり、搬送終端部において、粒体状の搬送物を十分に減速させて、搬送物の損傷を防ぐことができる空気吸引式搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のうち請求項1の発明は、搬送物が通過する搬送管路と、該搬送管路の下流側に接続する空気分離装置と、該空気分離装置に接続する唯一の吸引装置と、前記空気分離装置に対して搬送経路の下流側に接続する旋回減速管路を備え、該旋回減速管路は、下流側へ向けて、垂直軸周りに旋回しかつ下側へ傾斜して延びており、下流側端部において密閉性が保たれているものであることを特徴とする。なお、搬送管路に対して旋回減速管路が下流側に設けてあれば、両者の間に他の部材が設けてあってもよい。
【0008】
本発明のうち請求項2の発明は、前記旋回減速管路は、水平方向に対する下側への傾斜角度が搬送経路に沿って変化しており、下流側端部において最大となっていることを特徴とする。
【0009】
本発明のうち請求項3の発明は、前記旋回減速管路は、複数本の曲管を連結して形成したものであり、前記の各曲管は同じ形状であって、一定の曲率で曲がる円弧状のものであることを特徴とする。
【0010】
本発明のうち請求項4の発明は、前記旋回減速管路は、垂直軸周りを旋回する角度が180度以上360度以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のうち請求項1の発明によれば、搬送管路から旋回減速管路へと送られた搬送物は、垂直軸周りに旋回して延びる旋回減速管路を通過することにより、管路の内周面から摩擦抵抗を受けて減速する。この際、減速した搬送物は、下側へ傾斜する旋回減速管路に沿って順次下流側へと送られ、加速したり密集したりすることはないので、互いに衝突して損傷することもない。
【0012】
本発明のうち請求項2の発明によれば、旋回減速管路の上流側部分においては、下流側端部よりも傾斜角度を緩やかにすることで、高速な搬送物に対する減速効果が高くなる。そして、旋回減速管路の下流側端部においては、傾斜角度を最大にすることで、すでに減速した搬送物をよりスムーズに下流側へと送り、搬送物の滞留を防ぐことができる。
【0013】
本発明のうち請求項3の発明によれば、旋回減速管路が搬送物の衝突による摩耗などで損傷した場合に、損傷部分の曲管のみを交換すればよいので、維持費用を抑えられる。そして、旋回減速管路の上流側端部から下流側端部にわたって曲率が同じであるから、より搬送物が加速することを抑え、搬送物が互いに衝突し損傷すること防ぐ。
【0014】
本発明のうち請求項4の発明によれば、旋回減速管路が垂直軸周りを旋回する角度が180度以上であることで、搬送物を十分に減速させることができる。また、旋回減速管路が垂直軸周りを旋回する角度が360度以下であることで、搬送物が滞留するおそれがなく、さらに、管路が上下に重なって旋回減速管路の高さが高くなりすぎることもない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)~(c)は、空気分離減速機構の三面図である。
図2】空気吸引式搬送装置の全体図である。
図3】空気分離装置における搬送物と空気の流れを示し、(a)は空気分離装置の中心軸断面図、(b)は(a)のA-A線断面図である。
図4】(a)~(c)は、旋回減速管路の三面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の空気吸引式搬送装置の具体的な内容について説明する。本発明は粒体状の種々の搬送物を対象とすることができるものであるが、ここでは精米された米粒を対象とする場合を示す。この空気吸引式搬送装置の第一実施形態は、図2に示すように、米粒を投入するホッパ11と、米粒の搬送量および空気の取り込み量を調整するシャッター装置12と、空気とともに米粒を通過させる搬送管路1と、搬送管路1を通過した空気を分離し米粒を減速させる空気分離減速機構10と、分離した空気を吸引側へ送る吸引管13と、吸引管13を通る空気からダストを捕集する集塵装置14と、空気を吸引する吸引装置15と、空気分離減速機構10から排出された米粒を所定量ずつ送り出すロータリバルブ16と、ロータリバルブ16から送り出された米粒を貯める貯留タンク17を備えている。
【0017】
ホッパ11は、図2に示すように、漏斗状で下方に向けてすぼまった形状であって、上下に開口している。上側の開口部は、米粒の投入口であり、下側の開口部は、米粒の出口である。上側の開口部には、タンクや精米機の排出口が接続されていてもよい。
【0018】
シャッター装置12は、図2に示すように、断面円形で略L字形の本管12aと、断面円形で本管12aの屈曲部から斜め上方向に向けて延びる支管12bと、断面円形で支管12bの端部から挿入された空気導入管12cを備える。本管12aは、上流側端部がホッパ11の出口に接続されており、上流側から下方へ垂直に延び、屈曲して水平に延びている。支管12bは、本管12aの水平部分とは反対方向へ延びており、端部は開口している。空気導入管12cは、側面に米粒が通過できない大きさの空気孔(図示省略)を形成してあり、一端側が支管12bに挿入されて、外周面が支管12bの内周面に摺動しており、他端は板状の部材で塞いである。
このシャッター装置12において、空気導入管12cを支管12bに対して最奥部まで挿入すると、空気導入管12cが本管12aの屈曲部に到達し、本管12aの内部の上流側と下流側を遮断する。すなわち、米粒は本管12aを通過できず、シャッター装置12は全閉状態となる。ただし、この状態において、空気導入管12cの他端側は、一部が支管12bから突出しており、側面の空気孔が露出している。よって、全閉状態であっても、露出した空気孔から空気がシャッター装置12内に取り込まれる。これにより、全閉状態で吸引装置15を稼働させた場合でも、所定の空気の取り込み量が確保され、吸引装置15の損傷が防がれる。そして、全閉状態から空気導入管12cを引き抜くと、本管12aの内周面と空気導入管12cの間に隙間が生じる。すなわち、米粒が本管12aを通過可能となり、シャッター装置12は開状態となる。この際、引き抜き長さが長くなるほど、本管12aの内周面と空気導入管12cの間の隙間が大きくなり、ホッパ11からの米粒の投入量が多くなる。また、併せて空気導入管12cの側面の空気孔の露出面積も大きくなるので、空気の取り込み量も多くなる。
このように、シャッター装置12においては、空気導入管12cの支管12bからの引き抜き長さを調整することで、米粒の搬送量と空気の取り込み量を併せて調整できる。
【0019】
搬送管路1は、図2に示すように、断面円形の配管であって、上流側端部が、シャッター装置12の本管12aの水平に延びる下流側端部に接続されている。そして、図2に示すように、下流側に向けて設置面近傍から屈曲して上方へ垂直に延び、さらに屈曲して水平に延びている。搬送管路1は鋼管からなるものであるが、垂直部分の一部が透明な樹脂製の管に置き換えられており、管内を目視可能な検視管1aとなっている。また、搬送管路1は、屈曲部分と直線部分とで別体の管材からなり、各管材及び検視管1aの端部にフランジを設けてあって、各管材同士及び管材と検視管1aとの接合部は、フランジ同士をボルト止めすることで密閉性が確保されている。搬送管路1とシャッター装置12の本管12aも、同様にフランジ同士をボルト止めしてある。この搬送管路1の管内を、米粒が空気流に乗せられて通過する。
【0020】
空気分離減速機構10は、図1に示すように、搬送管路1の下流側端部に接続されるものであって、上流側から順に、入口減速管路4と、空気分離装置2と、連結管5と、旋回減速管路3と、出口管6を備えている。
【0021】
入口減速管路4は、図3に示すように、断面円形の配管であるが、内径が上流側から下流側に向けて大きくなっており、上流側端部における内径は、搬送管路1の内径と同じである。ただし、入口減速管路4を水平方向側面から見た場合に、上側面は水平向きで、下側面は傾斜した状態となっており、外形は斜円錐台形状である。上流側端部と下流側端部にはフランジを形成してあり、上流側のフランジと、搬送管路1の下流側端部に形成されたフランジが当接しており、両フランジをボルト止めして固定してある。
【0022】
空気分離装置2は、図3に示すように、円筒形状で同じ長さの外筒21と内筒22を備え、外筒21の内部に内筒22が同心となるように納まっている。内筒22の内径は、入口減速管路4の下流側端部の内径よりも大きい。また、外筒21の内径は、内筒22の外径よりも大きく、外筒21の内周面と内筒22の外周面の間には隙間が形成されている。そして、内筒22は、上流側端部と下流側端部にフランジ221を形成してあり、このフランジ221の直径が外筒21の内径に等しく、フランジ221の外周面が外筒21の内周面に当接していて、外筒21に対して内筒22が半径方向に位置決めされている。また、外筒21も、上流側端部と下流側端部にフランジ211を形成してあり、それぞれのフランジ211が、内筒22のフランジ221と面一になっている。そして、外筒21および内筒22の上流側のフランジ211,221と、入口減速管路4の下流側のフランジが当接しており、外筒21のフランジ211と入口減速管路4のフランジをボルト止めして固定してある。これにより、入口減速管路4と、空気分離装置2の内筒22が連通している。
内筒22の側面には、その全面にわたって、多数の排気孔222を形成してある。排気孔222は、内筒22の軸方向に延びる長孔であって、搬送物である米粒が通過できない太さとなっており、軸方向および周方向に並べて形成してある。
外筒21の下側面には、排出口部23を形成してある。排出口部23は、外筒21の下側面に形成した開口から下側へ筒状に延びた形状であって、上側部分は下すぼまりの漏斗状であり、下側部分は垂直向きの直管状である。
【0023】
連結管5は、図1および図3に示すように、円筒形状で水平に延びる直管である。連結管5の内径は、空気分離装置2の内筒22の内径よりも大きく、外筒21の内径よりも小さい。また、連結管5は、上流側端部と下流側端部にフランジを形成してある。そして、空気分離装置2の外筒21および内筒22の下流側のフランジ211,221と、連結管5の上流側のフランジが当接しており、外筒21のフランジ211と連結管5のフランジをボルト止めして固定してある。これにより、空気分離装置2の内筒22と、連結管5が連通している。
【0024】
旋回減速管路3は、図1および図4に示すように、同じ形状の4本の曲管(第一曲管3a,第二曲管3b,第三曲管3c,第四曲管3d)を、上面視して時計回りに曲がる向きに連結して、垂直軸周りに旋回しかつ下側へ傾斜して延びる螺旋状に形成したものである。各曲管3a,3b,3c,3dは、断面円形で、一定の曲率で90度曲がった、1/4円弧状のものであり、その内径は、連結管5の内径と同じである。なお、各曲管3a,3b,3c,3dの管内の、最外周部における曲率半径は、各曲管3a,3b,3c,3dの内径の約2.5倍となっている。また、各曲管3a,3b,3c,3dは、上流側端部と下流側端部にフランジを形成してあり、各曲管3a,3b,3c,3d同士の連結部においては、相互のフランジが当接していて、両フランジをボルト止めして固定してある。
そして、旋回減速管路3の構成について、より詳しく説明する。ここで、図4(a)に示すように、旋回減速管路3を上面視して、旋回する管路の中心部に垂直軸Zがあるものとし、上面視して垂直軸Zを中心に時計回り方向を正とする極座標系を想定する。そして、連結管5の下流側端部(出口)が位置する角度(以下、出口角度という)θを0度とする。また、連結管5は水平に延びる直管であり、その下流側端部の水平方向から下側への傾斜角度αは0度である。
まず、連結管5の下流側端部に、第一曲管3aの上流側端部を接続してある。この際、連結管5の下流側のフランジと第一曲管3aの上流側のフランジが当接しており、両フランジをボルト止めして固定してある。第一曲管3aは、図4(a)に示すように、上流側端部(入口)が位置する角度(以下、入口角度という)が、連結管5の出口角度θに一致しており、かつ、図4(c)に示すように、上流側端部の傾斜角度が、連結管5の下流側端部の傾斜角度αに一致している。そして、第一曲管3aは、図4(a)に示すように、下流側端部の出口角度θが、上面視して90度であって、かつ、図4(b)に示すように、下流側端部の水平方向から下側への傾斜角度αが24度である。
次に、第一曲管3aの下流側端部に、第二曲管3bの上流側端部を接続してある。第二曲管3bは、図4(a)に示すように、上流側端部の入口角度が、第一曲管3aの下流側端部の出口角度θに一致しており、かつ、図4(b)に示すように、上流側端部の傾斜角度が、第一曲管3aの下流側端部の傾斜角度αに一致している。そして、第二曲管3bは、図4(a)に示すように、下流側端部の出口角度θが、上面視して180度であって、かつ、図4(c)に示すように、下流側端部の水平方向から下側への傾斜角度αが15度である。
次に、第二曲管3bの下流側端部に、第三曲管3cの上流側端部を接続してある。第三曲管3cは、図4(a)に示すように、上流側端部の入口角度が、第二曲管3bの下流側端部の出口角度θに一致しており、かつ、図4(c)に示すように、上流側端部の傾斜角度が、第二曲管3bの下流側端部の傾斜角度αに一致している。そして、第三曲管3cは、図4(a)に示すように、下流側端部の出口角度θが、上面視して270度であって、かつ、図4(b)に示すように、下流側端部の水平方向から下側への傾斜角度αが15度である。
最後に、第三曲管3cの下流側端部に、第四曲管3dの上流側端部を接続してある。第四曲管3dは、図4(a)に示すように、上流側端部の入口角度が、第三曲管3cの下流側端部の出口角度θに一致しており、かつ、図4(b)に示すように、上流側端部の傾斜角度が、第三曲管3cの下流側端部の傾斜角度αに一致している。そして、第四曲管3dは、図4(a)に示すように、下流側端部の出口角度θが、上面視して360度(0度)であって、かつ、図4(c)に示すように、下流側端部の水平方向から下側への傾斜角度αが45度である。
このように、4本の曲管3a,3b,3c,3dによって形成された旋回減速管路3は、上面視して時計回りに360度旋回していて、上流側端部の入口角度(第一曲管3aの入口角度=連結管5の出口角度θ)に対して、下流側端部の出口角度(第四曲管3dの出口角度θ)が同じになっており、また、水平方向に対する下側への傾斜角度が、下流側端部(第四曲管3dの下流側端部(傾斜角度α))において最大となっている。
【0025】
出口管6は、図1および図4に示すように、断面円形で45度曲がった曲管である。出口管6の内径は、旋回減速管路3の内径と同じである。また、出口管6は、上流側端部と下流側端部にフランジを形成してある。そして、旋回減速管路3の第四曲管3dの下流側のフランジと出口管6の上流側のフランジが当接しており、両フランジをボルト止めして固定してある。そして、出口管6は、上流側端部の入口角度が、旋回減速管路3の下流側端部の出口角度(第四曲管3dの下流側端部の出口角度θ)に一致しており、かつ、上流側端部の傾斜角度が、旋回減速管路3の下流側端部の傾斜角度(第四曲管3dの下流側端部の傾斜角度α)に一致している。また、出口管6の下流側端部は、垂直下向きに延びている。
【0026】
吸引管13は、図1図3に示すように、断面円形の配管であって、空気分離装置2の外筒21の排出口部23の下流側端部に接続されている。
【0027】
集塵装置14は、空気入口が吸引管13の下流側端部に接続されており、空気から米糠などのダスト(微粒子)を分離して下部のダストボックス141にため、ダストが除去された空気を空気出口から吸引装置15に吸引させるものである。ダストボックス141の下端部には開閉自在な蓋を設けてあり、稼働時には蓋が閉じられていてダストをため、停止時に適宜蓋を開いてダストを排出することができる。
【0028】
吸引装置15は、ブロワであって、吸引側が配管により集塵装置14の空気出口に接続されており、排気側が大気解放されている。
【0029】
ロータリバルブ16は、旋回減速管路3の下側に位置するものであって、ケーシング内に放射状の回転羽根を設けたものであり、上面の入口が空気分離減速機構10の出口管6の下流側端部に接続されている。入口にはフランジが形成されており、出口管6の下流側のフランジとロータリバルブ16のフランジが当接していて、両フランジをボルト止めして固定してある。そして、このロータリバルブ16は、回転羽根が、上流側と下流側の密閉性を保ちつつ回転して、米粒を定量ずつ出口へと繰り出すものである。
【0030】
貯留タンク17は、上部が円筒形であり、下部が漏斗状で下方に向けてすぼまった形状であって、上部にロータリバルブ16の出口が接続されている。ロータリバルブ16から繰り出される米粒をためることができるものであり、下端部が開閉自在な構造となっていて、適宜ためた米粒を取り出すことができる。
【0031】
次に、この空気吸引式搬送装置の動作について説明する。ホッパ11に米粒を投入して、装置を始動すると、吸引装置15およびロータリバルブ16が駆動する。吸引装置15の駆動により、集塵装置14、吸引管13、空気分離装置2および入口減速管路4を介して、搬送管路1内の空気が下流側から吸引され、管内に上流側から下流側へと向かう空気流が形成される。そして、シャッター装置12を全閉状態から開状態にすると、米粒は、この空気流に乗って、搬送管路1内を上流側から下流側へと搬送される。米粒の搬送量は、シャッター装置12の空気導入管12cの引き抜き量を変化させることで調整できる。シャッター装置12から取り込まれた空気と米粒は均一に混ざり合って搬送管路1内を流れ(図3の白黒矢印)、空気分離減速機構10へと流入する。
空気分離減速機構10においては、まず入口減速管路4において、下流側に向けて内径が大きくなるので、空気流が減速し、併せて米粒も減速する。続いて、空気分離装置2においては、空気は内筒22の排気孔222を通過して吸引管13へと吸引され(図3の白矢印)、内筒22の下流側へ向かう空気流がなくなるが、米粒は、排気孔222を通れないので、慣性により内筒22から連結管5を通って旋回減速管路3へと向かう(図3の黒矢印)。なお、米粒と一緒に搬送された米糠などのダストは、内筒22の排気孔222を通り抜けて吸引管13へと吸引され、集塵装置14により捕集される。そして、旋回減速管路3へ流入した米粒は、垂直軸周りに旋回して延びる管路に沿って旋回しながら下流側へ向かう。その際、米粒には遠心力が作用するので、米粒は各曲管3a,3b,3c,3dの外周側を通過し、各曲管3a,3b,3c,3dの内周面から摩擦抵抗を受けて減速しつつ、下側へ傾斜する各曲管3a,3b,3c,3dに沿って順次下流側へと送られる。そして、減速された米粒は、出口管6からロータリバルブ16へと流入し、回転羽根により定量ずつ繰り出されて貯留タンク17に貯留される。
【0032】
このように構成した本発明の空気吸引式搬送装置によれば、空気分離減速機構10において、米粒は、垂直軸周りに旋回して延びる旋回減速管路3を通過することにより、管路の内周面から摩擦抵抗を受けて減速する。ここで、従来の漏斗状のタンクによるサイクロン方式の減速の場合、下側へ向かうほどタンクの内径が小さくなるので、搬送物は加速するとともに密集し、互いに衝突して損傷するおそれがあった。これに対し、本発明においては、減速した米粒は、下側へ傾斜する旋回減速管路3に沿って順次下流側へと送られるものであり、旋回減速管路3の上流側端部から下流側端部にわたって曲率が同じであるから、米粒が加速することはなく、また、旋回減速管路3の上流側端部から下流側端部にわたって内径も同じであるから、米粒が密集することもないので、互いに衝突して損傷することもない。また、旋回減速管路3の上流側部分(第一曲管3a、第二曲管3b、第三曲管3c)は水平方向から下側への傾斜角度が24度~15度であるのに対し、旋回減速管路3の下流側部分(第四曲管3d)は水平方向から下側への傾斜角度が45度であり、このように上流側部分の傾斜角度を緩やかにすることで、空気分離装置2から送られた直後の高速な米粒に対する減速効果が高くなる。そして、旋回減速管路3の下流側端部の第四曲管3dにおいては、傾斜角度を最大にすることで、すでに減速した米粒をよりスムーズに下流側へと送り、米粒の滞留を防ぐことができる。さらに、旋回減速管路3は、特に上流側部分において、その内周面に減速前の米粒が衝突することにより摩耗して損傷することが避けられないが、この旋回減速管路3は、4本の曲管3a,3b,3c,3dを連結して形成したものであるから、損傷部分の曲管のみを交換すればよいので、維持費用を抑えられる。また、4本の曲管3a,3b,3c,3dは同一のものであるから、製造費用も抑えられる。
【0033】
なお、本発明の空気吸引式搬送装置において、旋回減速管路の旋回角度は限定されない。ここで、旋回角度とは、旋回減速管路が垂直軸周りを旋回する角度であって、360度(1周)以下であれば、旋回減速管路の下流側端部の出口角度に等しく、360度より大きければ、旋回減速管路の下流側端部の出口角度に360度×周数を加えた角度に等しい。しかしながら、本発明は、旋回する管路の内部において、搬送物が、遠心力により管路の外周側を通過し、管路の内周面から摩擦抵抗を受けて減速するものであるから、搬送物を十分に減速させるためには、旋回角度は180度以上であることが望ましい。一方で、旋回角度が大きすぎると、それは旋回減速管路の管路長が長すぎることになり、搬送物が滞留するおそれがある。また、特に旋回角度が360度より大きくなると、管路が上下に重なって、旋回減速管路の高さが高くなりすぎて、配管の取り合いなどが困難になるおそれがある。したがって、旋回角度は360度以下であることが望ましい。よって、これらのことから、旋回減速管路の旋回角度は、180度以上360度以下であることが望ましい。上記の実施形態では、旋回減速管路の旋回角度は、360度となっている。
【0034】
また、本発明の空気吸引式搬送装置において、旋回減速管路の曲率半径は限定されない。この曲率半径の大きさを変えることにより、搬送物に対する減速効果を調整できる。すなわち、曲率半径を小さくすると、減速効果は高くなり、曲率半径を大きくすると、減速効果は低くなるが、搬送物の流れがスムーズで損傷が少なくなる。しかしながら、曲率半径が小さすぎると、搬送物が内周面に衝突して損傷する割合が高くなってしまうため、旋回減速管路の曲率半径は、管内の最外周部において、管路の内径の1.5倍以上であることが望ましい。一方で、曲率半径が大きすぎると、旋回減速管路の大きさが大きくなりすぎて、配管の取り合いなどが困難になるおそれがあるため、旋回減速管路の曲率半径は、管内の最外周部において、管路の内径の2.5倍以下であることが望ましい。よって、これらのことから、旋回減速管路の曲率半径は、管内の最外周部において、管路の内径の1.5倍以上2.5倍以下であることが望ましい。上記の実施形態では、旋回減速管路の曲率半径は、管内の最外周部において、管路の内径の約2.5倍となっている。なお、旋回減速管路において、搬送物は遠心力により管内の外周側を通過するので、曲率半径も管内の最外周部において規定することが適切である。
【0035】
さらに、本発明の空気吸引式搬送装置において、旋回減速管路の水平方向に対する傾斜角度は限定されない。この傾斜角度を変えることにより、搬送物に対する減速効果を調整できる。すなわち、水平方向に対する下側への傾斜角度を小さくすると、減速効果は高くなるが、管内に搬送物が滞留しやすくなり、水平方向に対する下側への傾斜角度を大きくすると、減速効果は低くなるが、管内の搬送物がスムーズに流れやすい。そして、この傾斜角度と、上記の曲率半径とを、適宜組み合わせることにより、種々の搬送物に対する最適な減速効果が得られるものである。ここで、旋回減速管路の上流側部分においては、搬送物は空気分離装置を出た直後で、まだ速度が速いため、曲率半径を大きくして、かつ傾斜角度を小さくすれば、搬送物の損傷を抑えつつ減速効果を高くできる。一方、旋回減速管路の下流側部分においては、搬送物は上流側である程度減速されているため、曲率半径は上流側と同じかより小さくして、かつ傾斜角度を大きくすれば、さらに搬送物を減速させつつ、下流側へのスムーズな流れを維持して搬送物の滞留を抑え、搬送終了時に管内に搬送物が残留することを防ぐ。上記の実施形態では、旋回減速管路の全長にわたって曲率半径は同じであり、旋回減速管路の上流側部分(第一曲管~第三曲管)は、水平方向に対する下側への傾斜角度が24度~15度となっているのに対し、旋回減速管路の下流側部分(第四曲管)は、水平方向に対する下側への傾斜角度が45度となっている。
【0036】
また、本発明の空気吸引式搬送装置において、旋回減速管路は複数本の曲管を連結して形成することが望ましいが、1本の曲管の曲がり角度は限定されない。しかしながら、曲がり角度が小さすぎると、曲管の数が多くなりすぎて、組み立てに手間がかかることになるため、曲管の曲がり角度は45度以上であることが望ましい。一方で、曲がり角度が大きすぎると、損傷時の交換範囲が広くなって、維持費用を抑える効果が小さくなってしまうので、曲管の曲がり角度は90度以下であることが望ましい。よって、これらのことから、旋回減速管路を構成する複数の曲管のうちの1本の曲管の曲がり角度は、45度以上90度以下であることが望ましい。上記の実施形態では、曲管の曲がり角度は、90度となっている。
【0037】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。たとえば、旋回減速管路は、上面視して時計回りに旋回するものに限定されず、反時計回りに旋回するものであってもよい。その他、旋回減速管路の旋回角度、曲率半径および水平方向に対する傾斜角度は、種々の条件に応じて適宜変更できる。また、搬送管路、入口減速管路、空気分離装置の外筒および内筒、連結管、旋回減速管路および出口管は、断面矩形など、断面円形以外の形状であってもよい。さらに、各管材同士や各曲管同士などの固定構造は、双方のフランジ同士をボルト止めしたものに限定されず、専用の締付け金具を用いたものであってもよい。また、本発明による搬送の対象となる搬送物は、米粒以外に、その他の穀類や豆類、または樹脂ペレットなどであってもよい。そして、対象となる搬送物の特性に応じて、上記の要件の範囲内で各部の構成を変更してもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 搬送管路
3 旋回減速管路
3a 第一曲管
3b 第二曲管
3c 第三曲管
3d 第四曲管
図1
図2
図3
図4