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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/06 20060101AFI20230324BHJP
   B65D 47/08 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
B65D47/06 400
B65D47/08 100
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019011769
(22)【出願日】2019-01-28
(65)【公開番号】P2020117296
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 健太
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-107815(JP,A)
【文献】特開2009-040425(JP,A)
【文献】特開2013-018517(JP,A)
【文献】特開2006-151512(JP,A)
【文献】実開昭57-134248(JP,U)
【文献】米国特許第05377882(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44-35/54
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に取り付けられ、注出ノズルを有するキャップ本体と、このキャップ本体にヒンジを介して設けられた蓋体と、を備えるキャップであって、
注出ノズルに、この注出ノズル内の空間を、ヒンジから遠い側であって、容器内の内容物を出す吐出部と、ヒンジから近い側であって、吐出部から内容物を出す際に空気を容器内に導入する空気導入部と、に仕切る仕切壁が設けられ、
注出ノズルを平面視した吐出部の開口面積は、注出ノズルを平面視した空気導入部の開口面積よりも大きく、
仕切壁は、縦方向に延びるように形成されて注出ノズル内を平面視して吐出部と空気導入部とに分割する縦仕切壁部と、空気導入部の底面箇所を覆う底面覆い部と、を有し、
底面覆い部に空気導入孔が開口されている
ことを特徴とするキャップ。
【請求項2】
容器の口部に取り付けられ、注出ノズルを有するキャップ本体と、このキャップ本体にヒンジを介して設けられた蓋体と、を備えるキャップであって、
注出ノズルに、この注出ノズル内の空間を、ヒンジから遠い側であって、容器内の内容物を出す吐出部と、ヒンジから近い側であって、吐出部から内容物を出す際に空気を容器内に導入する空気導入部と、に仕切る仕切壁が設けられ、
吐出部の底面箇所は開口されており、
仕切壁は、縦方向に延びるように形成されて注出ノズル内を平面視して吐出部と空気導入部とに分割する縦仕切壁部と、空気導入部の底面箇所を覆う底面覆い部と、を有し、
底面覆い部に空気導入孔が開口されている
ことを特徴とするキャップ。
【請求項3】
注出ノズルは、注出ノズルの下部から外周側に広がる隔壁部から上方に筒状に突出するように設けられ、
底面覆い部は、隔壁部よりも下方に窪んで形成され、
底面覆い部における下方に窪んだ側面に空気導入孔が開口されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のキャップ。
【請求項4】
隔壁部の下面における空気導入孔に臨む箇所に凹部が形成されて、この凹部により空気導入孔の開口面積が拡げられていることを特徴とする請求項3に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口部に取り付けられるキャップに関し、特に、注出ノズルを備えているキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
容器に取り付けられるキャップとして、容器内の内容物を比較的少量ずつ出すことができるように、細径の注出口が設けられている注出ノズルをキャップ本体の隔壁部(天面部や頂部とも称せられる)から上方に突出させているものがある(例えば、特許文献1等)。
【0003】
しかし、この種のキャップを、弾性変形しない容器などに取り付けた場合は、単に注出ノズルを設けるだけでは、内容物を出す際に、注出ノズル全体が内容物で塞がれて容器内に空気が導入されない状態となって(容器の内部と外部との空気の置換が困難となって)、内容物が出難くなったり、内容物の注出量が脈動するなどして変動したりすることがある。注出ノズルの直径を大きくすると、内容物を出す際に、容器内に空気が導入され易くなる一方で、比較的少量の内容物を出そうとしても多量の内容物が出てしまうことがあり、使い勝手が悪くなる。
【0004】
これに対処するものとしては、注出ノズル内を上下に貫通するように細径の空気導入管を設けた構成が、例えば、特許文献2等に開示されている。また、注出ノズル内で縦方向に延びる仕切壁を設け、注出ノズル内を2分割したものが、例えば、特許文献3などに開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-107815号公報
【文献】特開2006-36327号公報
【文献】特開2018-87034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2等に開示されているように、注出ノズル内を上下に貫通するように細径の空気導入管を設けるだけでは、空気導入管の配置によっては空気導入管の下端開口部が内容物で塞がれてしまうおそれがあり、この場合には、内容物が出難くなったり、内容物の注出量が脈動して変動したりする。
【0007】
また、特許文献3等に開示されているように、注出ノズル内で縦方向に延びる仕切壁を設け、注出ノズル内を単に2分割した構成では、2つの流路から内容物がそれぞれ出てしまって、内容物の注出時に空気を導入し難くなるおそれがある。
【0008】
本発明は上記課題を解決するもので、比較的少量の内容物を良好に出すことができるキャップを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、容器の口部に取り付けられ、注出ノズルを有するキャップ本体と、このキャップ本体にヒンジを介して設けられた蓋体と、を備えるキャップであって、注出ノズルに、この注出ノズル内の空間を、ヒンジから遠い側であって、容器内の内容物を出す吐出部と、ヒンジから近い側であって、吐出部から内容物を出す際に空気を容器内に導入する空気導入部と、に仕切る仕切壁が設けられ、注出ノズルを平面視した吐出部の開口面積は、注出ノズルを平面視した空気導入部の開口面積よりも大きく、仕切壁は、縦方向に延びるように形成されて注出ノズル内を平面視して吐出部と空気導入部とに分割する縦仕切壁部と、空気導入部の底面箇所を覆う底面覆い部と、を有し、底面覆い部に空気導入孔が開口されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、キャップにおけるヒンジ側が上方となる姿勢(ヒンジから遠い側が、より下方となる姿勢)で容器を傾けて内容物を出す際に、注出ノズルの空気導入部から容器内に空気を良好に導入できるので、注出ノズルの吐出部から内容物を良好に出すことができる。加えて、仕切壁が、縦方向に延びるように形成されて注出ノズル内を平面視して吐出部と空気導入部とに分割する縦仕切壁部に加えて、空気導入部の底面部分を覆う底面覆い部を有するため、底面覆い部によって空気導入部内に容器内の内容物が入り難くなる。したがって、空気導入部内に容器内の内容物が入ることを底面覆い部によって阻止しながら、比較的少量の内容物を良好に出すことができる。
【0011】
また、本発明は、容器の口部に取り付けられ、注出ノズルを有するキャップ本体と、このキャップ本体にヒンジを介して設けられた蓋体と、を備えるキャップであって、注出ノズルに、この注出ノズル内の空間を、ヒンジから遠い側であって、容器内の内容物を出す吐出部と、ヒンジから近い側であって、吐出部から内容物を出す際に空気を容器内に導入する空気導入部と、に仕切る仕切壁が設けられ、吐出部の底面箇所は開口されており、仕切壁は、縦方向に延びるように形成されて注出ノズル内を平面視して吐出部と空気導入部とに分割する縦仕切壁部と、空気導入部の底面箇所を覆う底面覆い部と、を有し、底面覆い部に空気導入孔が開口されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、仕切壁が、縦方向に延びるように形成されて注出ノズル内を平面視して吐出部と空気導入部とに分割する縦仕切壁部に加えて、空気導入部の底面部分を覆う底面覆い部を有するため、底面覆い部によって空気導入部内に容器内の内容物が入り難くなる。したがって、空気導入部内に容器内の内容物が入ることを底面覆い部によって阻止しながら、比較的少量の内容物を良好に出すことができる。加えて、この構成によれば、キャップにおけるヒンジ側が上方となる姿勢(ヒンジから遠い側が、より下方となる姿勢)で容器を傾けて内容物を出す際に、注出ノズルの空気導入部から容器内に空気を良好に導入できるので、注出ノズルの吐出部から内容物を良好に出すことができる。
【0013】
また、本発明は、注出ノズルが、注出ノズルの下部から外周側に広がる隔壁部から上方に筒状に突出するように設けられ、底面覆い部は、隔壁部よりも下方に窪んで形成され、底面覆い部における下方に窪んだ側面に空気導入孔が開口されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、底面覆い部における下方に窪んだ側面に空気導入孔が開口されているので、内容物を出す際に、底面覆い部における底面に空気導入孔が開口されている場合よりも、空気導入孔が内容物で詰まり難くなり、注出ノズルの空気導入孔から容器内に空気を良好に導入できる。
【0015】
また、本発明は、隔壁部の下面における空気導入孔に臨む箇所に凹部が形成されて、この凹部により空気導入孔の開口面積が拡げられていることを特徴とする。この構成によれば、隔壁部の下面における空気導入孔に臨む箇所に形成された凹部により空気導入孔の開口面積を簡単な構成で拡げることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、注出ノズルに、この注出ノズル内の空間を、容器内の内容物を出す吐出部と、吐出部から内容物を出す際に空気を容器内に導入する空気導入部と、に仕切る仕切壁を設け、仕切壁は、縦方向に延びるように形成されて注出ノズル内を平面視して吐出部と空気導入部とに分割する縦仕切壁部と、空気導入部の底面部分を覆う底面覆い部と、を有し、底面覆い部に空気導入孔を開口したことにより、空気導入部内に容器内の内容物が入ることを底面覆い部によって阻止しながら、比較的少量の内容物を、脈動などを生じることなく、良好に出すことができる。
【0017】
また、仕切壁により注出ノズル内を、ヒンジから遠い側の吐出部と、ヒンジから近い側の空気導入部とに仕切るよう構成することで、キャップにおけるヒンジ側が上方となる姿勢(ヒンジから遠い側が、より下方となる姿勢)で容器を傾けて内容物を出す際に、注出ノズルの空気導入部から容器内に空気を良好に導入しながら、注出ノズルの吐出部から内容物を良好に出すことができる。
【0018】
また、底面覆い部を隔壁部よりも下方に窪んで形成し、底面覆い部における下方に窪んだ側面に空気導入孔を開口させることにより、空気導入孔が、より詰まり難くなり、注出ノズルの空気導入孔から容器内に空気を良好に導入できる。
【0019】
また、隔壁部の下面における空気導入孔に臨む箇所に凹部を形成し、この凹部により空気導入孔の開口面積を拡げることにより、空気導入孔の開口面積を簡単な構成で拡げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態に係るキャップの側面断面図であり、蓋体を閉めた状態である。
図2】同キャップの正面図で、蓋体を閉めた状態である。
図3】同キャップの背面図で、蓋体を閉めた状態である。
図4】同キャップの蓋体を開けた状態での平面図である。
図5】同キャップの蓋体を開けた状態での側面図である。
図6】同キャップの蓋体を開けた状態での底面図である。
図7】同キャップの蓋体を開けた状態での側面断面図である。
図8】同キャップの蓋体を開けた状態でのキャップ本体を斜め上方から見た斜視図である。
図9】同キャップの蓋体を開けた状態でのキャップ本体を斜め下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施の形態のキャップを、図面に基づき説明する。
図1図9は本発明の実施の形態に係るキャップを示し、図1図3は蓋体を閉めた状態で示し、図4図9は蓋体を開けた状態で示す。
【0022】
図1などにおいて、1は、内部に内容物(内容液)が収容されている容器2に取付けられるキャップである。図1図7などに示すように、キャップ1は、容器2の口部3に取り付けられるキャップ本体4と、このキャップ本体4にヒンジ5を介して設けられた蓋体6と、蓋体6に保持された中栓7と、を有する。なお、キャップ本体4は、必ずしも、容器2の口部3に直接取り付けられなくてもよく、例えば、容器2の口部3に、中栓などを介して、キャップ本体4が間接的に取り付けられる構成であってもよい。キャップ1は、例えば合成樹脂製とされ、この場合には、溶融した合成樹脂を金型内に射出して製造する射出成形により一体形成されて製造される。
【0023】
図1図7などに示すように、キャップ本体4には、容器2の口部3の上端面に上方から対向するように配置される天面部11と、天面部11の外周から下方に延びてその下部が容器2の口部3に外側から嵌る円筒状の外筒部(アウターリングとも称せられる)12と、外筒部12の内周位置に径方向に隙間を有する位置で天面部11から下方に延びるように形成されて、その下部が容器2の口部3に内側から嵌り込む円筒状の内筒部(インナーリングとも称せられる)13と、天面部11の外周寄り箇所から上方に円環状に延びる係止筒部17と、内筒部13の下端部の内側に形成されて、容器2の口部3(キャップ1の内部側領域と外部側領域)を閉鎖する隔壁部15と、隔壁部15から上方に延びて突出する注出ノズル14と、が設けられている。すなわち、隔壁部15は、注出ノズル14の下部から外周側に広がるように設けられ、注出ノズル14は、隔壁部15から上方に筒状に突出するように設けられている。また、注出ノズル14の上部内側には注出口16(図1図7参照)が開口されている。
【0024】
なお、この実施の形態では、図1などに示すように、注出ノズル14は、キャップ本体4の中心軸4aに対して、ヒンジ5から遠ざかる位置に偏心して配置されている。キャップ本体4の外筒部12の上端部における周方向の一部にヒンジ5が接続されている。また、図1などにおける、12aは外筒部12の内面から突出するように一体形成されて、容器2の口部3の下部に嵌合する突条部である。
【0025】
蓋体6は、円板形の蓋板部21と、蓋板部21の周縁から下方に筒状に延びるように設けられた周壁部22と、この周壁部22よりも内周側に形成されて蓋板部21から垂下してキャップ本体4の天面部11の上面に接触する蓋円筒部23と、蓋円筒部23よりもさらに内周側に形成されて蓋板部21から筒状に垂下して中栓7を内側に保持する保持筒24と、周壁部22におけるヒンジ5から離れた箇所に形成されて、当該蓋体6を開ける際にこの箇所に指などを引っ掛けるつば部25と、などが設けられている。
【0026】
中栓7は、保持筒24内に遊嵌された状態で保持されており、円盤状の栓本体31と、栓本体31よりも小径で、蓋体6を閉じた状態で注出ノズル14内に嵌まり込む円筒状の封止部32とを有している。なお、キャップ1の使用時においては、中栓7は、蓋体6の保持筒24の内面側に形成された突部24aにより、蓋体6が開けられた際に蓋体6から脱落することが防止されている。また、中栓7は、キャップ本体4や蓋体6とは別体で設けられていてもよいが、これに限るものではなく、キャップ1の製造時に薄肉部を介してキャップ本体4の注出ノズル14と続いて一体に設け、蓋体6を開けた際に、前記薄肉部が破断して、蓋体6に保持されるよう構成してもよい。図1に示すように、蓋体6を閉じた状態では、封止部32の外周面が注出ノズル14の内周に当接することにより、注出口16が中栓7で閉じられる。
【0027】
上記構成に加えて、図1図4図6図9に示すように、注出ノズル14には、この注出ノズル14内の空間(注出口16が設けられている箇所)を、容器2内の内容物を出す吐出部41と、吐出部41から内容物を出す際に空気を容器2内に導入する空気導入部42と、に仕切る仕切壁43が設けられている。仕切壁43は、縦方向に延びるように形成されて注出ノズル14内を平面視して吐出部41と空気導入部42とに分割する(図4図8参照)縦仕切壁部43aと、空気導入部42の底面箇所を覆う底面覆い部43bと、を有する。そして、底面覆い部43bに、注出口16の空気導入部42を通して容器2内に空気を導入する空気導入孔44が開口されている。そして、仕切壁43により、注出ノズル14内の空間(注出口16)を、ヒンジ5から遠い側の吐出部41と、ヒンジ5から近い側の空気導入部42と、に仕切っている。
【0028】
図1図7図9に示すように、仕切壁43の底面覆い部43bは、隔壁部15よりも下方に窪んで形成され、底面覆い部43bにおける下方に窪んだ側面43b’に空気導入孔44が開口されている。また、この実施の形態では、底面覆い部43の下方に窪んだ側面43b’におけるヒンジ5に最も近い箇所に空気導入孔44が開口(形成)されている。
【0029】
また、隔壁部15の下面における空気導入孔44に臨む箇所に窪む凹部15aが形成されて、この凹部15aにより空気導入孔44の開口面積が拡げられている。この実施の形態では、凹部15aが隔壁部15の下面から上方に窪むように形成されて、凹部15aにより空気導入孔44の開口面積が上下方向に拡げられている。
【0030】
なお、この実施の形態では、隔壁部15が、内筒部13の下端部と連続するように設けられて、当該キャップ1の高さ(大きさ)が小さくなるよう図られているが、これに限るものではなく、隔壁部15が、内筒部13の上端部と連続するように形成させたり、内筒部13の中間部と連続するように形成させたりしてもよい。
【0031】
上記構成において、当該キャップ1を装着している容器2を使用して、容器2内の内容物を出す際には、蓋体6を開けた状態で、キャップ1におけるヒンジ5とは逆側が下方となるように傾けて注出ノズル14(注出口16)から内容物を出す。
【0032】
この際、当該キャップ1に単に注出ノズル14が設けられているだけであると、内容物を出す際に、注出ノズル14全体が内容物で塞がれて容器2内に空気が導入されない状態となって(容器2の内部と外部との空気の置換が困難となって)、内容物が出難くなったり、内容物の注出量が脈動するなどして変動したりすることがある。
【0033】
これに対して、上記構成によれば、注出ノズル14に、この注出ノズル14内の空間を、容器内の内容物を出す吐出部41と、吐出部41から内容物を出す際に空気を容器2内に導入する空気導入部42と、に仕切る仕切壁43を設けている。また、仕切壁43が、縦方向に延びるように形成されて注出ノズル14内を平面視して吐出部41と空気導入部42とに分割する縦仕切壁部43aに加えて、空気導入部42の底面部分を覆う底面覆い部43bを有する。これにより、仕切壁43として、単に縦仕切壁部43aだけが設けられている場合と比較して、底面覆い部43bによって空気導入部42内に容器2内の内容物が注出ノズル14内に入り難くなる。したがって、空気導入部42内に容器2内の内容物が入ることを底面覆い部43bによって阻止しながら、内容物を脈動することなく良好に出すことができ、脈動による液跳ねなどを防止することもできる。
【0034】
また、上記構成によれば、空気導入部42および空気導入孔44が、ヒンジ5から近い側に、すなわち、容器2を傾けた際に空気が溜まりやすい上方側に、設けられている。これにより、空気導入孔44が内容物で塞がれることを最小限に抑えることができて、注出ノズル14の空気導入部42や空気導入孔44から容器2内に空気を良好に導入でき、注出ノズル14の吐出部41から内容物を良好に出すことができる。
【0035】
また、上記構成によれば、底面覆い部43bにおける下方に窪んだ側面43b’に空気導入孔44が開口されているので、内容物を出す際に、底面覆い部43bにおける底面に空気導入孔44が開口されている場合よりも、空気導入孔44が内容物で詰まることが少なくなり、注出ノズル14の空気導入孔44から容器2内に空気を良好に導入できる。
【0036】
また、上記構成によれば、隔壁部15の下面における空気導入孔44に臨む箇所に凹部15aが形成されている。この結果、凹部15aにより空気導入孔44の開口面積が拡げられ、空気導入孔44から良好に空気を導入することができる。また、当該キャップ1を射出成形により一体形成させて製造する場合でも、金型の該当箇所に凸部を設けるなどして、比較的容易に製造できる利点も有する。
【符号の説明】
【0037】
1 キャップ
2 容器
3 口部
4 キャップ本体
5 ヒンジ
6 蓋体
7 中栓
11 天面部
12 外筒部
13 内筒部
14 注出ノズル
15 隔壁部
16 注出口
41 吐出部
42 空気導入部
43 仕切壁
43a 縦仕切壁部
43b 底面覆い部
43b’側面
44 空気導入孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9