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特許7249635知育学習具及び、知育学習具を用いた子供向け事物学習方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】知育学習具及び、知育学習具を用いた子供向け事物学習方法
(51)【国際特許分類】
   G09B 3/02 20060101AFI20230324BHJP
   G09B 1/02 20060101ALI20230324BHJP
   B42D 1/00 20060101ALI20230324BHJP
   B42D 15/00 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
G09B3/02
G09B1/02
B42D1/00 B
B42D15/00 301K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019137596
(22)【出願日】2019-07-26
(65)【公開番号】P2021021812
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】519273784
【氏名又は名称】片岡 蘭
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】片岡 聡子
(72)【発明者】
【氏名】片岡 蘭
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3188843(JP,U)
【文献】実開昭60-084968(JP,U)
【文献】登録実用新案第3134310(JP,U)
【文献】実開平04-089000(JP,U)
【文献】実開平05-064870(JP,U)
【文献】特開平08-206370(JP,A)
【文献】国際公開第2009/051381(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00 - 9/56
G09B 17/00 - 19/26
B42D 1/00 - 15/00
A63H 1/00 - 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
子供の知育教材として、人に見せる表側となる一面を有する切り絵と、該切り絵の保管先で、外形が四角形状に形成された台紙と、を備えた知育学習具において、
前記切り絵は、厚み0.25mm以下の紙をはさみで切り取られてなり、当該知育学習具で学ぶ子供によって作製された創作物であること、
前記台紙の一辺にある綴じ位置で、1以上の前記台紙を着脱可能に綴じると共に、複数の前記台紙を、前記綴じ位置を挟む両側で見開き可能に綴じるための台紙綴じ手段を備えていること、
前記台紙は、前記切り絵の前記一面に帯びた色彩に対し、コントラストを付して色度、または明度が濃い色でなる台紙本体を有し、前記切り絵は、前記台紙本体の前記一面上に配置可能であること、
前記台紙本体は、
事物の数え方、事物の形状、または事物の種類の少なくとも何れかを問う問題欄と、
前記問題欄の問いの答えに対応した前記事物を対象に、創作された前記創作物である前記切り絵を置く保管スペースと、鉛筆、水性ペン、またはクレヨンのうち、少なくとも何れかの筆記具による書込みが可能な記入スペースと、を有すること、
を特徴とする知育学習具。
【請求項2】
請求項1に記載する知育学習具において、
前記切り絵は、その材料となる前記紙に記した対称軸に基づき、前記紙から線対称の形状に切り出された事物であること、
を特徴とする知育学習具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する知育学習具において、
前記台紙には、前記問題欄の問いの答えとなり得る対象の前記事物に対応したシールを貼するスペースを有すること、
を特徴とする知育学習具。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載する知育学習具を用いた子供向け事物学習方法では
も配置されていない未使用状態の前記台紙の前記保管スペースに、前記問題欄の問いの答えとなり得る対象の前記事物に関し、予め製作されている前記切り絵を配置する第2ステップと、
前記第2ステップに伴って、前記記入スペースに配置する前記切り絵に対応した書込みを、前記筆記具で行うこと、または前記切り絵の数量に応じた枚数のシールを前記台紙のスペースに貼付する第3ステップと、
前記切り絵の製作から前記第3ステップまでの実行により、前記知育学習具を構成するコンテンツを、それを使用する子供自身で完成させ、絵本として、前記知育学習具を活用する第4ステップと、を有すること、
を特徴とする、知育学習具を用いた子供向け事物学習方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね3歳からの幼児と、小学生までの児童(以下、幼児と児童とをまとめて「子供」と称する場合もある。)を対象に、切り絵を用いて、数詞等の数の概念を習得するための子供向け学習具に関する。
【背景技術】
【0002】
幼児や、小学校低学年の児童向けの学習用教材として、絵本をはじめ、折り紙やシールを用いた教材は、市場に幅広く流通している。このような学習用教材は一般的に、学校、幼稚園、保育園、託児所、及び塾等の教育現場や、家庭で使用され、保護者は、このような教材を使用して子供の知育に努めている。その学習用教材の一例が、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1は、絵本台紙に表示された全体図柄に、複数の部分図柄を備え、絵本台紙に表示された外国語表記文字に対応した部分図柄を、シール台紙に付着された複数の部分図柄群から選択し、外国語表記文字に対応した絵本台紙上の貼付スペースに、選択した部分図柄を貼り付ける学習絵本である。特許文献1では、例えば、部分図柄が「ぞう」で、部分図柄群が、「ぞう」、「さい」、「らくだ」のような動物の図柄等であり、シール台紙には、全体図柄と関連した部分図柄が、群毎に編集されて付着されている。
【0004】
また、遊びを通じた幼児の知育向上の一環として、切り絵が使用されており、その一例が、特許文献2に開示されている。特許文献2は、対称軸となる折り線を印刷した折り紙のうち、この折り紙の紙面輪郭と折り線によって囲まれる領域に、絵模様の輪郭として、折り線と両端で交わる切抜き線を、折り線を通らずに印刷した切り絵折り紙である。特許文献2では、切抜き線を外側に向けて、折り紙を、折り線に折り合せて重合させた状態で、切抜き線上を切り込むと、折り線で線対称となる絵模様が、折り紙から切り取られて形成される。特許文献2では、切り取り後に展開した絵模様は、ホルダーにより、黒色の台紙上に載置され、透明シートで覆った状態で保管される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-10347号公報
【文献】実開平4-89000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1をはじめとする従来の学習用教材では一般的に、教材自体の構成が、完全な既製品となっている。そのため、特許文献1の場合、図柄内容に対応した絵本台紙上の貼付スペースに、部分図柄のシールを貼り付けるときには、前述した幼児や児童は、能動的姿勢で思考を巡らすものの、シールの貼付作業以外では、与えられた教材に対し、子供自身が手を加えるものがないとして、受動的な姿勢で学習訓練に挑むことになる。それ故に、学習用教材を用いた教育の場で、せっかく学習訓練を行っても、子供にとって能動的な姿勢になれる内容が、学習用教材に十分に備わっていないと、子供は、その学習用教材への関心を失ってしまう虞があった。学習用教材への関心が薄れてしまうと、子供は、最初にシールの貼付作業等の作業(訓練)を終えた後、再びその学習用教材を使って、先に終えた訓練で得た内容の復習を行わず、学習効果の発揮を阻害する一因になりかねなかった。
【0007】
また、特許文献2の切り絵折り紙では、折り線と切抜き線とが、予め折り紙に印刷されており、切り絵折り紙を使用する子供にとって、この切り絵折り紙は、いわば既製品である。そのため、子供は、絵模様を折り紙から切り取る作業以外、受動的な姿勢で切り絵折り紙を用いた学習訓練に挑むことになり、前述した特許文献1の学習絵本と同様、学習用教材として、絵模様を保管したホルダーへの関心を失ってしまう虞があった。
【0008】
加えて、特許文献2の切り絵折り紙は、絵模様の作成を通じて、図形の線対称に係る概念を習得する上で、一定の学習効果を得ることはできるが、子供が、ハサミ等の切断道具を、不自由なく自在に使いこなすことできる能力を具備した年齢層に達しているとの前提である。近年、知育は、幼児の早い時期から行われている傾向にあり、未就学の幼児の中には、特許文献2のように、複雑な形状に印刷された切抜き線に沿って、絵模様を折り紙から切り取る能力を具備していない幼児もいる。そのため、切抜き線に沿って切り込むことだけに特化した特許文献2の切り絵折り紙では、このような幼児に、前述した学習効果を享受させることは困難であった。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、切り絵を用いた学習教材の使用により、概ね3歳からの幼児と、小学生までの児童を対象に、数の概念を習得させるのにあたり、子供に対し、学習教材への関心を持続的に維持させ、学習の効果をより高めることができる子供向け学習具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る知育学習具及び、知育学習具を用いた子供向け事物学習方法は、以下の構成を有する。
(1)子供の知育教材として、人に見せる表側となる一面を有する切り絵と、該切り絵の保管先で、外形が四角形状に形成された台紙と、を備えた知育学習具において、前記切り絵は、厚み0.25mm以下の紙をはさみで切り取られてなり、当該知育学習具で学ぶ子供によって作製された創作物であること、前記台紙の一辺にある綴じ位置で、1以上の前記台紙を着脱可能に綴じると共に、複数の前記台紙を、前記綴じ位置を挟む両側で見開き可能に綴じるための台紙綴じ手段を備えていること、前記台紙は、前記切り絵の前記一面に帯びた色彩に対し、コントラストを付して色度、または明度が濃い色でなる台紙本体を有し、前記切り絵は、前記台紙本体の前記一面上に配置可能であること、前記台紙本体は、事物の数え方、事物の形状、または事物の種類の少なくとも何れかを問う問題欄と、前記問題欄の問いの答えに対応した前記事物を対象に、創作された前記創作物である前記切り絵を置く保管スペースと、鉛筆、水性ペン、またはクレヨンのうち、少なくとも何れかの筆記具による書込みが可能な記入スペースと、を有すること、を特徴とする。
(2)(1)に記載する知育学習具において、前記切り絵は、その材料となる前記紙に記した対称軸に基づき、前記紙から線対称の形状に切り出された事物であること、を特徴とする。
(3)(1)または(2)に記載する知育学習具において、前記台紙には、前記問題欄の問いの答えとなり得る対象の前記事物に対応したシールを貼するスペースを有すること、を特徴とする。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載する知育学習具を用いた子供向け事物学習方法では、何も配置されていない未使用状態の前記台紙の前記保管スペースに、前記問題欄の問いの答えとなり得る対象の前記事物に関し、予め製作されている前記切り絵を配置する第2ステップと、前記第2ステップに伴って、前記記入スペースに配置する前記切り絵に対応した書込みを、前記筆記具で行うこと、または前記切り絵の数量に応じた枚数のシールを前記台紙のスペースに貼付する第3ステップと、前記切り絵の製作から前記第3ステップまでの実行により、前記知育学習具を構成するコンテンツを、それを使用する子供自身で完成させ、絵本として、前記知育学習具を活用する第4ステップと、を有すること、を特徴とする。
【0011】
なお、本発明に係る知育学習具及び、知育学習具を用いた子供向け事物学習方法にある「子供」とは、児童福祉法で定められている幼児のうち、概ね3歳から小学校に就学するまでの子供と、小学校に就学した児童を対象とした子供のことである。
【0012】
また、本発明に係る知育学習具及び、知育学習具を用いた子供向け事物学習方法にある「事物の数え方」とは、例えば、チューリップなら1本、車なら2台、歯磨きなら3回、蝶なら4匹、船なら5隻、鳥なら6羽、鉛筆なら7本、人なら8人、本なら9冊、ホームランなら第10号等というように、「チューリップ」や「車」等の事物の内容と、それの内容に合った「本」、「台」等の数詞の使い方や、切り絵で表現された「チューリップ」、「車」等の事物の実体数と、数えた数の数字との量的な関係性といった数の概念を意味するものである。加えて、コンテンツで扱う内容(概念)ついては、「数詞」のほか、例えば、「線なぞり」、「テキストを活用して、紙からの切り絵の切り出し」、「図形の初歩」、「開いたらどんな形になるか」、「形分けして○△□を描く」、「事物の仲間分け」、「1~3までの数」、「5までの数」、「0の数」、「5の固まりタイル」、「左・右・真ん中」等である。例えば、子供が3歳の幼児なら、コンテンツで扱う数字は、「1~3までの数」である。また、コンテンツで扱う切り絵の事物となる形状についても、学習する子供の年齢によって異なる。
【発明の効果】
【0013】
上記構成を有する本発明の知育学習具及び、知育学習具を用いた子供向け事物学習方法の作用・効果について説明する。
(1)本発明に係る知育学習具は、子の知育教材として、人に見せる表側となる一面を有する切り絵と、該切り絵の保管先で、外形が四角形状に形成された台紙と、を備えた知育学習具において、切り絵は、厚み0.25mm以下の紙をはさみで切り取られてなり、当該知育学習具で学ぶ子供によって作製された創作物であること、台紙の一辺にある綴じ位置で、1以上の台紙を着脱可能に綴じると共に、複数の台紙を、綴じ位置を挟む両側で見開き可能に綴じるための台紙綴じ手段を備えていること、台紙は、切り絵の一面に帯びた色彩に対し、コントラストを付して色度、または明度が濃い色でなる台紙本体を有し、切り絵は台紙本体の一面上に配置可能であること、台紙本体は、事物の数え方、事物の形状、または事物の種類の少なくとも何れかを問う問題欄と、問題欄の問いの答えに対応した事物を対象に、創作された創作物である切り絵を置く保管スペースと、鉛筆、水性ペン、またはクレヨンのうち、少なくとも何れかの筆記具による書込みが可能な記入スペースと、を有すること、を特徴とする。
(3)(1)または(2)に記載する知育学習具において、台紙には、問題欄の問いの答えとなり得る対象の事物に対応したシールが、貼付されること、を特徴とする。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載する知育学習具を用いた子供向け事物学習方法では、切り絵を製作して準備する第1ステップと、何も配置されていない未使用状態の台紙の保管スペースに、問題欄の問いの答えとなり得る対象の事物に関し、第1ステップで製作した切り絵を配置する第2ステップと、第2ステップに伴って、記入スペースに配置する切り絵に対応した書込みを、筆記具で行う第3ステップと、第1ステップから第3ステップの実行により、知育学習具を構成するコンテンツを、それを使用する子供自身で完成させ、絵本として、知育学習具を活用する第4ステップと、を有すること、を特徴とする。
(5)(4)に記載する知育学習具を用いた子供向け事物学習方法において、問題欄の問いの答えとなり得る対象の事物に対応したシールを、台紙に貼付する第5ステップと、を有すること、を特徴とする。
【0014】
この特徴により、子供は、その習性上、本発明の知育学習具に対する関心と愛着を、持続的に持ち続ける傾向になり、本発明の知育学習具を使用して、「事物の数え方」や「数詞」等、「数の概念」を内容とする学習を、楽しみながら、積極的に取り組むようになる。そのため、子供に対し、本発明の知育学習具の使用による学習効果は、効率良く、かつ効果的に発揮すると共に、その増進も顕著となる。
【0015】
従って、本発明に係る知育学習具及び、知育学習具を用いた子供向け事物学習方法によれば、切り絵を用いた学習教材の使用により、概ね3歳からの幼児と、小学生に就学した児童を対象に、数の概念を習得させるのにあたり、子供に対し、学習教材である当該知育学習具への関心を持続的に維持させ、学習の効果をより高めることができる、という優れた効果を奏する。
【0016】
(2)に記載する知育学習具において、切り絵は、その材料となる紙に記した対称軸に基づき、紙から線対称の形状に切り出された事物であること、を特徴とする。
【0017】
この特徴により、切り絵は、子供に対し、年齢や、具備する技量に応じて、無理なく事物の輪郭形状を策定して創作されるものであるため、子供は、創作し、紙から切り出した切り絵の形状の正確さに関わらず、その切り絵において、図形の線対称に係る概念を習得すると共に、事物となる実体をしっかりと認識して把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係る数詞等学習絵本を示す斜視図である。
図2図1に示す数詞等学習絵本で、シール貼付を用いたコンテンツの創作にあたり、その第1過程を示す説明図である。
図3図2に続き、第2過程を示す説明図である。
図4図3に続き、完成したコンテンツを示す図として、実施例1に係る第1コンテンツを示す説明図である。
図5図1に示す数詞等学習絵本の台紙を示す斜視図である。
図6図5中、A-A矢視断面図である。
図7図1に示す数詞等学習絵本に用いるシール台紙を示す説明図である。
図8図1に示す数詞等学習絵本に構成された、実施例2に係る第2コンテンツを示す説明図である。
図9図1に示す数詞等学習絵本に構成された、実施例3に係る第3コンテンツを示す説明図である。
図10】実施形態に係る数詞等学習絵本の切り絵の作製にあたり、必要に応じて使用するテキストを例示した説明図である。
図11図1に示す数詞等学習絵本で、手書き記入を用いたコンテンツの創作にあたり、その第1過程を示す説明図である。
図12図11に続き、第2過程を示す説明図である。
図13図12に続き、完成したコンテンツを示す図として、実施例4に係る第4コンテンツを示す説明図である。
図14図1に示す数詞等学習絵本に構成された、実施例5に係る第5コンテンツを示す説明図である。
図15図1に示す数詞等学習絵本に構成された、実施例6に係る第6コンテンツを示す説明図である。
図16図1に示す数詞等学習絵本に構成された、実施例7に係る第7コンテンツを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る知育学習具について、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本発明に係る知育学習具は、概ね3歳からの幼児と、小学校に就学した児童とを含む「子供」を対象に、切り絵を用いて、数詞等の数の概念を習得する目的で用いられる。この子供向け学習具は、「数の概念」として、「事物の数え方」を学ぶための子供向けの教材であり、人に見せる表側となる一面を有する切り絵と、この切り絵の保管先で、外形が四角形状に形成された台紙とを備えて、構成されている。
【0020】
ここで、本発明に係る知育学習具にある「事物の数え方」とは、例えば、チューリップなら1本、車なら2台、歯磨きなら3回、蝶なら4匹、船なら5隻、鳥なら6羽、鉛筆なら7本、人なら8人、本なら9冊、ホームランなら第10号等というように、「チューリップ」や「車」等の事物の内容と、それの内容に合った「本」、「台」等の数詞の使い方や、切り絵で表現された「チューリップ」、「車」等の事物の実体による数と、数えた数の数字との量的な関係性等に係る概念を、主な内容とした数の概念を意味するものである。
【0021】
本発明に係る知育学習具は、本実施形態では、前述した未就学の幼児や児童を対象に、子供の知育向上を目指す塾に通い、塾で学習するときに用いる数詞等学習絵本である。図1は、実施形態に係る数詞等学習絵本を示す斜視図である。図4は、実施例1に係る第1コンテンツを示す説明図である。
【0022】
図1及び図4に示すように、数詞等学習絵本1は、複数のコンテンツ2(本実施形態では、実施例1~7で後述するように、第1コンテンツ2A、第2コンテンツ2B、第3コンテンツ2C、第4コンテンツ2D、第5コンテンツ2E、第6コンテンツ2F、及び第7コンテンツ2Gによる7種を、代表例に挙げている。)と、表紙3と、裏表紙4とを、台紙綴じ手段30と、結束バンド35等からなる。表紙3には、当該数詞等学習絵本1を作製すると共に、学習教材として使用する子供の氏名と写真が、付されている。数詞等学習絵本1は、重さ300g以下、より好ましくは、重さ200g以下で構成され、子供への負担をより抑えた重さになっていると良い。
【0023】
図2は、図1に示す数詞等学習絵本で、シール貼付を用いたコンテンツの創作にあたり、その第1過程を示す説明図であり、図2に続き、第2過程を示す説明図を、図3に示す。図2図4に示すように、切り絵41は、厚み0.25mm以下の紙40からなり、当該数詞等学習絵本1を使用して学ぶ子供によって作製された創作物である。
【0024】
切り絵41を作製するにあたり、いきなり切り絵41を紙40から創り出すことは、子供にとって酷であるため、子供は、切り絵41を創作して完成するまでの一連の作業要領をまとめた作業支援マニュアルを、参考にして切り絵41の創作を行うことが好ましい。具体的には、作業支援マニュアルは、例えば、子供の保護者や、教育関係者等の援護者向けに作成され、援護者から子供へ一連の作業要領を誘導する手引き書や、後述するテキスト60のほか、一連の作業要領について撮った動画で、子供にとって理解し易い内容に編集して製作されたビデオ映像等である。
【0025】
切り絵41は、その材料となる紙40に記した対称軸Mに基づき、紙40から線対称の形状に切り出された事物である。紙40は、例えば、市販品の折り紙や、それに相当する折り紙のほか、対象となる幼い子供にとって、ハサミで切り取り易い紙厚として、例えば、厚み0.05~0.15mm/枚の範囲内に該当する切り絵専用紙、普通紙、わら半紙等であることが好ましい。切り絵41には、当該切り絵41への子供の思いが、文字や文章等の態様で、その子供自身の手によって付される。
【0026】
図7は、図1に示す数詞等学習絵本に用いるシール台紙を示す説明図である。参照する図4を挙げて例示するように、コンテンツ2は、台紙10と、紙40から切り取った切り絵41とを有し、必要に応じてシール51をも含んでいる。子供が、所望の数のシール51を、シール台紙50から剥がし取って使用するため、図7に示すように、シール台紙50には、コンテンツ2の作製時(学習時)に用いるシール51が複数、具備されている。
【0027】
図5は、図1に示す数詞等学習絵本の台紙を示す斜視図であり、図5中、A-A矢視断面図を、図6に示す。
【0028】
台紙10は、図5及び図6に示すように、基部となる平板状の台紙本体20と、この台紙本体20の両面側に形成された粘着層25と、台紙本体20及び双方の粘着層25を挟む両側に、保護部28とを、全5層構造に積層して形成されている。粘着層25は、台紙本体20の表面に密着して積層され、切り絵41に対し、自在に接着またはその剥離を可能とした中間層である。台紙10は、縦横の寸法とも20cm以下、より好ましくは、縦寸法を15cm前後、横寸法を約20cm程度に抑えて構成されていると良い。このような寸法の台紙10を用いた数詞等学習絵本1であれば、その数詞等学習絵本1は、子供にとって取扱い易く、持ち運びにも大きな支障を来さない大きさだからである。
【0029】
保護部28は、無色透明の樹脂製シートにより、台紙本体20の表面全域に渡り、粘着層25を外側から被覆する態様で、形成されている。切り絵41は、図2及び図3に示すように、保護部28により、人に見せる表側となる一面42を覆った状態で、台紙本体20上の保管スペース22に配置される。
【0030】
なお、保護部28は、台紙本体20上に配置した切り絵41の一面42側を、少なくとも覆うものであればよく、必ずしも台紙本体20の表面全域を覆う必要はなく、本実施形態以外にも、例えば、台紙本体20表面全域のうち部分的に被覆するものや、保護部28をポケット状に形成して、切り絵41を保護部28に内包させて覆うものであっても良い。
【0031】
台紙本体20は、切り絵41において、人に見せる表側となる一面42に帯びた色彩に対し、コントラストを付して色度、または明度が濃い色に呈色された台紙10の紙製基部である。具体的には、切り絵41の一面42は、例えば、黄色、緑色、薄い青色、ピンク色、赤色、山吹色等の色であり、台紙本体20は、これら一面42の色との対比で、色度が濃い艶消し黒色である。
【0032】
なお、台紙本体20は、切り絵41の一面42とのコントラストで、濃淡、色度、または明度が濃い色に呈色されているものであれば、黒色に限定されるものではない。切り絵41の一面42の色が、黄色、緑色、薄い青色、ピンク色、赤色、山吹色等であれば、黒色以外にも、例えば、夜空のような深い群青色、真冬に見られる厚い雪雲のような濃い灰色、カカオを多く含むチョコレートのような黒色に近い焦げ茶色等に呈色された台紙本体20であっても良い。
【0033】
台紙本体20は、図2等に示すように、問題欄21と、保管スペース22と、記入スペース23と、を有する。問題欄21は、学習を行う子供に対し、事物の数え方を問う部分である。保管スペース22は、問題欄21の問いの答えに対応した事物を対象に、創作された創作物である切り絵41を、前述したように、台紙本体20上に配置する部分である。記入スペース23は、鉛筆、水性ペン、またはクレヨンのうち、少なくとも何れかの筆記具による書込みを、学習を行う子供によって行うほか、その子供の保護者や学習指導者によって行う部分である。
【0034】
なお、本実施形態では、台紙10の保管スペース22の表層は、粘着層25となっているため、子供が、何らかの理由で、記入スペース23ではなく、保管スペース22に筆記具で書込みを行おうとする場合には、鉛筆や、水性インクを用いたフェルトペン(サインペン)等では、書込みを行うことはできない。このような場合には、書込みに使用する筆記具が、例えば、ポスターカラーのほか、ポスターカラーに相当するペンとして、次述するポスターカラーの特性と同じような特性で、水性インクを用いた水性ペンであれば、保管スペース22への書込みを行うことができる。ポスターカラーは、不透明で高彩度の発色を有し、下地を乾かした状態で重ね塗りをされると、下地の色をほぼ完全に隠すことが可能になる。また、ポスターカラーは、水分量を増やしても不透明さは失われず、広い面でもムラなく塗ることができるほか、樹脂製シートの保護部28の表面等のプラスチック表面にも描画できるからである。
【0035】
記入スペース23は、本実施形態のように、問題欄21の一部にある場合や、問題欄21と独立して設けられる場合もある。記入スペース23には、実施例4~6に係るコンテンツ2のように、子供による手書きで数字が記される。また、図示されていないが、子供が、数詞等学習絵本1を絵本と見立て、そのストーリーとなる文章や文等が、その子供による手書きで記される。また、場合によっては、子供と保護者等とが協働して、絵本のストーリーが記される等、記入スペース23には、手書きの文字が適宜付される。
【0036】
図1に示すように、台紙綴じ手段30は、台紙10の一辺11に沿う綴じ位置12に設けられている。台紙綴じ手段30は、1以上の台紙10を着脱可能に綴じると共に、複数の台紙10を、綴じ位置12を挟む両側で見開き可能に綴じる機能を有している。具体的には、台紙綴じ手段30は、図1及び図5に示すように、本実施形態では、台紙10に穿孔した2つの綴じ孔32と、複数の台紙10に対し、全ての綴じ孔32を挿通する円環状の綴じリング31とからなる。綴じリング31は、その周方向に対し、一部で分断されており、互いに連結またはその離間を自在に可能とする綴じ具である。
【0037】
かくして、数詞等学習絵本1は、台紙綴じ手段30によって、表紙3と裏表紙4との間に挟まれた複数のコンテンツ2を、見開きすることができると共に、表紙3と裏表紙4とコンテンツ2とに対し、重合して閉じた状態を、結束バンド35により、保持することができている。なお、本実施形態では、数詞等学習絵本1は、結束バンド35を装着した構成となっているが、結束バンド35の装着は必須ではないため、数詞等学習絵本の構成上、結束バンド35はなくても良い。
【0038】
次に、コンテンツ2の具体例について、以下、実施例1~7を挙げて説明する。
【0039】
(実施例1)
実施例1に係る第1コンテンツ2A(コンテンツ2)では、図4に示すように、事物Sが、「チューリップ」の場合である。学習時には、子供が、問題欄21にある事物Sについて、ハサミ等を使って、紙40に記した対称軸Mに基づき、紙40を線対称の形状に切り、「チューリップ」とした切り絵41を紙40から切り出すことで、問題欄21の事物Sが「チューリップ」であると認識する。次に、子供は、図2に示すように、人に見せる表側となる一面42を保護部28側に向けて、切り出した切り絵41を台紙本体20上の保管スペース22に配置する。
【0040】
台紙本体20の保管スペース22に置かれた切り絵41の数は、本実施例1では、1となっているため、子供は、自らの思料の下、その切り絵41の数量に相当する数のシール51を1枚、シール台紙50から剥がし取って、記入スペース23上に貼付する。この後、子供は、保護部28を台紙本体20の粘着層25に密着させ、問題欄21と記入スペース23と共に、切り絵41を、保護部28と台紙本体20との間に挟み込んで保持させる。かくして、第1コンテンツ2Aは完成する。
【0041】
(実施例2)
図8は、図1に示す数詞等学習絵本に構成された、実施例2に係る第2コンテンツを示す説明図である。実施例2に係る第2コンテンツ2B(コンテンツ2)では、図8に示すように、事物Sが、「浮き輪」の場合である。学習時には、子供が、問題欄21にある事物Sについて、ハサミ等を使って、紙40に記した対称軸Mに基づき、紙40を線対称の形状に切り、「浮き輪」とした切り絵41を紙40から切り出すことで、問題欄21の事物Sが「浮き輪」であると認識する。次に、子供は、人に見せる表側となる一面を保護部28側に向けて、切り出した切り絵41を、台紙本体20の保管スペース22に配置する。
【0042】
台紙本体20の保管スペース22に置かれた切り絵41の数は、本実施例2では、3となっているため、子供は、自らの思料の下、その切り絵41の数量に相当する数のシール51を3枚、シール台紙50から剥がし取って、記入スペース23上に貼付する。この後、子供は、保護部28を台紙本体20の粘着層25に密着させ、問題欄21と記入スペース23と共に、切り絵41を、保護部28と台紙本体20との間に挟み込んで保持させる。かくして、第2コンテンツ2Bは完成する。
【0043】
(実施例3)
図9は、図1に示す数詞等学習絵本に構成された、実施例3に係る第3コンテンツを示す説明図である。実施例3に係る第3コンテンツ2C(コンテンツ2)では、図9に示すように、事物Sが、「魚」の場合である。学習時には、子供が、問題欄21にある事物Sについて、ハサミ等を使って、紙40に記した対称軸Mに基づき、紙40を線対称の形状に切り、「魚」とした切り絵41を紙40から切り出すことで、問題欄21の事物Sが「魚」であると認識する。次に、子供は、人に見せる表側となる一面を保護部28側に向けて、切り出した切り絵41を、台紙本体20の保管スペース22に配置する。
【0044】
台紙本体20の保管スペース22に置かれた切り絵41の数は、本実施例3では、4となっているため、子供は、自らの思料の下、その切り絵41の数量に相当する数のシール51を4枚、シール台紙50から剥がし取って、記入スペース23上に貼付する。この後、子供は、保護部28を台紙本体20の粘着層25に密着させ、問題欄21と記入スペース23と共に、切り絵41を、保護部28と台紙本体20との間に挟み込んで保持させる。かくして、第3コンテンツ2Cは完成する。
【0045】
ところで、子供が、問題欄21にある事物Sの対象を、ハサミ等を使って切り絵41を作製するにあたり、子供が、紙40から切り絵41を切り出す作業を行うとき、子供への助けが必要となる場合もある。図10は、実施形態に係る数詞等学習絵本の切り絵の作製にあたり、必要に応じて使用するテキストを例示した説明図である。
【0046】
図10に示すように、テキスト60は、紙40に記した対称軸Mに基づく線対称の形状に紙40を切る要領を示唆した内容と、対称軸Mを境に、二つ折りに重合した紙40を、事物Sの輪郭に沿って切り出し後、切り出した二つ折り状態の切り出し部を、展開させた切り出し部全体の輪郭形状について、子供の想像力を問う内容で構成されている。前述の場合には、子供は、保護者や教育関係者の援護の下、テキスト60を参考にしながら、問題欄21の問いに該当する事物Sの図形化を行って、コンテンツ2の完成に向けて作業を行う。
【0047】
実施例1~3に係るコンテンツ2(第1コンテンツ2A、第2コンテンツ2B、第3コンテンツ2C)では、台紙本体20の記入スペース23上に、保管スペース22に置かれた切り絵41の数量に相当する数のシール51を貼付した。しかしながら、シール51の貼付に代えて、切り絵41の数量となる数を、子供による直筆で記入スペース23に記入するコンテンツ2もある。以下、このようなコンテンツ2を、実施例4~6で説明する。
【0048】
(実施例4)
図11は、図1に示す数詞等学習絵本で、手書き記入を用いたコンテンツの創作にあたり、その第1過程を示す説明図である。図12は、図11に続き、第2過程を示す説明図である。図13は、図12に続き、完成したコンテンツを示す図として、実施例4に係る第4コンテンツを示す説明図である。
【0049】
実施例4に係る第4コンテンツ2D(コンテンツ2)では、図13に示すように、事物Sが、「蝶」の場合である。学習時には、子供が、問題欄21にある事物Sについて、ハサミ等を使って、紙40に記した対称軸Mに基づき、紙40を線対称の形状に切り、「蝶」とした切り絵41を紙40から切り出すことで、問題欄21の事物Sが「蝶」であると認識する。次に、子供は、図11に示すように、人に見せる表側となる一面42を保護部28側に向けて、切り出した切り絵41を台紙本体20上の保管スペース22に配置する。
【0050】
台紙本体20の保管スペース22に置かれた切り絵41の数は、本実施例4では、2となっているため、子供は、自らの思料の下、図12に示すように、その切り絵41の数量に相当する数の数字「2」を、自らの手で鉛筆等の筆記具を使用して、記入スペース23上に記す。この後、子供は、保護部28を台紙本体20の粘着層25に密着させ、問題欄21と記入スペース23と共に、切り絵41を、保護部28と台紙本体20との間に挟み込んで保持させる。かくして、第4コンテンツ2Dは完成する。
【0051】
(実施例5)
図14は、図1に示す数詞等学習絵本に構成された、実施例5に係る第5コンテンツを示す説明図である。実施例5に係る第5コンテンツ2E(コンテンツ2)では、図14に示すように、事物Sが、「鳥」の場合である。学習時には、子供が、問題欄21にある事物Sについて、ハサミ等を使って、紙40に記した対称軸Mに基づき、紙40を線対称の形状に切り、「鳥」とした切り絵41を紙40から切り出すことで、問題欄21の事物Sが「鳥」であると認識する。次に、子供は、人に見せる表側となる一面を保護部28側に向けて、切り出した切り絵41を台紙本体20上の保管スペース22に配置する。
【0052】
台紙本体20の保管スペース22に置かれた切り絵41の数は、本実施例5では、3となっているため、子供は、自らの思料の下、その切り絵41の数量に相当する数の数字「3」を、自らの手で鉛筆等の筆記具を使用して、記入スペース23上に記す。この後、子供は、保護部28を台紙本体20の粘着層25に密着させ、問題欄21と記入スペース23と共に、切り絵41を、保護部28と台紙本体20との間に挟み込んで保持させる。かくして、図14に示すように、第5コンテンツ2Eは完成する。
【0053】
(実施例6)
図15は、図1に示す数詞等学習絵本に構成された、実施例6に係る第6コンテンツを示す説明図である。実施例6に係る第6コンテンツ2F(コンテンツ2)では、図15に示すように、事物Sが、「車」の場合である。学習時には、子供が、問題欄21にある事物Sについて、ハサミ等を使って、紙40に記した対称軸Mに基づき、紙40を線対称の形状に切り、「車」とした切り絵41を紙40から切り出すことで、問題欄21の事物Sが「車」であると認識する。次に、子供は、人に見せる表側となる一面を保護部28側に向けて、切り出した切り絵41を台紙本体20上の保管スペース22に配置する。
【0054】
台紙本体20の保管スペース22に置かれた切り絵41の数は、本実施例6では、4となっているため、子供は、自らの思料の下、その切り絵41の数量に相当する数の数字「4」を、自らの手で鉛筆等の筆記具を使用して、記入スペース23上に記す。この後、子供は、保護部28を台紙本体20の粘着層25に密着させ、問題欄21と記入スペース23と共に、切り絵41を、保護部28と台紙本体20との間に挟み込んで保持させる。かくして、図15に示すように、第6コンテンツ2Fは完成する。
【0055】
(実施例7)
図16は、図1に示す数詞等学習絵本に構成された、実施例7に係る第7コンテンツを示す説明図である。実施例7に係る第7コンテンツ2G(コンテンツ2)では、図16に示すように、事物Sが、「チューリップ」の場合である。学習時には、子供が、問題欄21にある事物Sについて、ハサミ等を使って、紙40に記した対称軸Mに基づき、紙40を線対称の形状に切り、「チューリップ」とした切り絵41を紙40から切り出すことで、問題欄21の事物Sが「チューリップ」であると認識する。次に、子供は、人に見せる表側となる一面を保護部28側に向けて、切り出した切り絵41を台紙本体20上の保管スペース22に配置する。
【0056】
台紙本体20の保管スペース22に置かれた切り絵41の数は、本実施例7では、5となっているため、子供は、自らの思料の下、その切り絵41の数量に相当する数の数字「5」を、自らの手で鉛筆等の筆記具を使用して、記入スペース23上に記す。この後、子供は、保護部28を台紙本体20の粘着層25に密着させ、問題欄21と記入スペース23と共に、切り絵41を、保護部28と台紙本体20との間に挟み込んで保持させる。かくして、図16に示すように、第7コンテンツ2Gは、綴じ位置12を挟む両側の台紙10に渡って形成され、完成する。
【0057】
なお、数詞等学習絵本1のコンテンツ2を、実施例1~7に例示して挙げたが、コンテンツ2の内容は、当該数詞等学習絵本1を使用する子供の年齢によって異なる。コンテンツ2で扱う内容(概念)ついては、「数詞」のほか、例えば、「線なぞり」、「テキスト60を活用して、紙40からの切り絵41の切り出し」、「図形の初歩」、「開いたらどんな形になるか」、「形分けして○△□を描く」、「事物の仲間分け」、「1~3までの数」、「5までの数」、「0の数」、「5の固まりタイル」、「左・右・真ん中」等である。例えば、子供が3歳の幼児なら、コンテンツ2で扱う数字は、「1~3までの数」である。また、コンテンツ2で扱う切り絵41の事物Sとなる形状についても、学習する子供の年齢によって異なる。
【0058】
次に、本実施形態に係る数詞等学習絵本1の作用・効果について説明する。本実施形態に係る数詞等学習絵本1は、数を取扱う子供向けの教材として、人に見せる表側となる一面42を有する切り絵41と、該切り絵41の保管先で、外形が四角形状に形成された台紙10と、を備えた子供向け学習具において、切り絵41は、厚み0.25mm以下の紙40からなり、当該数詞等学習絵本1で学ぶ子供によって作製された創作物であること、台紙10の一辺11にある綴じ位置で、1以上の台紙10を着脱可能に綴じると共に、複数の台紙10を、綴じ位置12を挟む両側で見開き可能に綴じるための台紙綴じ手段30を備えていること、台紙10は、切り絵41の一面42に帯びた色彩に対し、コントラストを付して色度、または明度が濃い色でなる台紙本体20と、透明なシート状の保護部28とを有し、切り絵41は、保護部28により、一面42を覆った状態で、台紙本体20上に配置されること、台紙本体20は、事物の数え方を問う問題欄21と、問題欄21の問いの答えに対応した事物Sを対象に、創作された創作物である切り絵41を置く保管スペース22と、鉛筆、水性ペン、またはクレヨンのうち、少なくとも何れかの筆記具による書込みが可能な記入スペース23と、を有すること、を特徴とする。
【0059】
この特徴により、子供は、その習性上、数詞等学習絵本1に対する関心と愛着を、持続的に持ち続ける傾向になり、この数詞等学習絵本1を使用して、「事物の数え方」や「数詞」等、「数の概念」を内容とする学習を、楽しみながら、積極的に取り組むようになる。そのため、子供に対し、数詞等学習絵本1の使用による学習効果は、効率良く、かつ効果的に発揮すると共に、その増進も顕著となる。
【0060】
すなわち、数詞等学習絵本1は、保管スペース22上の切り絵41を制作することや、問題欄21の問いに対応した内容で、記入スペース23に回答を行うこと、記入スペース23に物語を作ること等、学習する子供自身によって創作された要部を、コンテンツ2に、より多く構成して包含している。そのため、子供は、保護者や教育関係者等の援護を受けながらも、能動的姿勢で思考を積極的に巡らし、数詞等学習絵本1を、子供自身で創作したという自負心を抱いた上で、教育の場で学習を行うことができる。それに加えて、子供は、教育の場で行った学習内容を家で復習する機会や、学習行為の実施を目的としない外出先やその移動時等に、一般的な絵本を読むような遊び感覚で、数詞等学習絵本1を手にして、学習を行う等の機会を自発的に得ることができる。その結果、子供は、教育の場以外にも、自発的に時間を有効に利用して、数詞等学習絵本1のコンテンツ2からの学習内容を、必然的かつ持続的に会得できることから、学習効果を、効率良く、かつ効果的に発揮することができるようになる
【0061】
従って、本実施形態に係る数詞等学習絵本1によれば、切り絵41を用いた学習教材の使用により、概ね3歳からの幼児と、小学生までの児童を対象に、数の概念を習得させるのにあたり、子供に対し、学習教材である数詞等学習絵本1への関心を持続的に維持させ、学習の効果をより高めることができる、という優れた効果を奏する。
【0062】
また、本実施形態に係る数詞等学習絵本1では、切り絵41は、その材料となる紙40に記した対称軸Mに基づき、紙40から線対称の形状に切り出された事物Sであること、を特徴とする。
【0063】
この特徴により、切り絵41は、子供に対し、年齢や、具備する技量に応じて、無理なく事物Sの輪郭形状を策定して創作されるものであるため、子供は、創作し、紙40から切り出した切り絵41の形状の正確さに関わらず、その切り絵41において、図形の線対称に係る概念を習得すると共に、事物Sとなる実体をしっかりと認識して把握できる。そのため、子供は、必要に応じてテキスト60を使用しながら、切り絵41の使用により、前述した「事物の数え方」の概念を、違和感なく楽しんで学ぶことができる。
【0064】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
【0065】
(1)例えば、実施形態では、台紙10に穿孔した2つの綴じ孔32と、複数の台紙10に対し、全ての綴じ孔32を挿通する円環状の綴じリング31とからなる台紙綴じ手段30を、挙げた。しかしながら、台紙綴じ手段は、1以上の台紙を着脱可能に綴じると共に、複数の台紙を、綴じ位置を挟む両側で見開き可能に綴じる機能を有するものであれば、実施形態に限定されるものではなく、種々変更可能である。
(2)また、実施形態の台紙10では、台紙本体20から保護部28を剥がすのにあたり、保護部28を掴んで把持する取手を、特に設けていないが、幼い子供が、台紙本体に付着している保護部を把持し易いよう、保護部は、突出部や取手等の保護部開放手段を設けた構成であっても良い。
【0066】
(3)また、実施形態では、台紙本体20に保護部28を設けた台紙10を挙げたが、台紙は、例えば、保護部を設けず、画用紙やこれに相当する紙を台紙としても良い。そして、切り絵は、この角を、台紙本体内部に形成した貫通スリットに、表面側から挿通してその裏面側に係留させることにより、台紙本体に保持させて保管されても良い。
(4)また、本発明に係る知育学習具は、台紙や紙に、食品安全衛生上、子供への影響がない抗菌対策を施したものであっても良い。
【0067】
(5)また、実施形態では、コンテンツ2について、実施例1~7に係る第1コンテンツ2A~第7コンテンツ2Gを例示して挙げたが、コンテンツの内容は、実施例1~7に限定されるものではなく、種々変更可能である。また、子供が、コンテンツにある問題欄の問い等をなぞって学習できるよう、本発明に係る知育学習具は、コンテンツに工夫を凝らしたものであっても良い。
【0068】
また、本実施形態では、例示したように、実施例1~7に係る第1コンテンツ2A~第7コンテンツ2G(コンテンツ2)を含む数詞等学習絵本1を挙げたが、[0057]に記載したように、コンテンツの内容は、数詞等学習絵本1を使用する子供の年齢によって異なる。そこで、学習内容「0の数」の場合を挙げて簡単に説明する。
【0069】
学習内容「0の数」を扱った数詞等学習絵本の一例では、コンテンツは、例えば、第1部から第6部までの6部形式からなり、事物を「風船」と「鳥」としている。第6部は、1枚の台紙10に形成されているが、第1部から第5部までは何れも、綴じ位置12を挟む両側の台紙10に渡って形成されている(図16参照)。また、コンテンツは、事物の様子・状況を記したテキスト紙片を有している。テキスト紙片には、文字が記載され、子供は、ひらがなの練習として、この文字をなぞることができている。
【0070】
コンテンツの第1部は、子供によって創作された風船の切り絵(切り絵41に相当)を3つと、風船の切り絵毎に、1枚ずつテキスト紙片を、台紙本体の保管スペース上に、子供によって配置されている。テキスト紙片には、「ぽわん」の文字が記載されている。
【0071】
コンテンツの第2部は、第1部で配置した3つの風船の切り絵のうち、風船の切り絵1つに代えて、鳥の切り絵を1つ配置すると共に、「ぽわん」の文字を記した3枚のテキスト紙片のうち、1枚のテキスト紙片を取り除く代わりに、「ぱちん」の文字を記した1枚のテキスト紙片を、台紙本体の保管スペース上に、子供によって配置されている。コンテンツの第2部は、1つの風船の切り絵を取り除いたその位置に、鳥によって風船を破裂した様子を描いたイメージ図柄を、子供によって、筆記具で書き込まれている。
【0072】
コンテンツの第2部に続く、コンテンツの第3部は、先の鳥によってさらにもう1つ風船を破裂させた状況である。すなわち、コンテンツの第3部では、風船の切り絵が1つと、「ぱちん」の文字を記したテキスト紙片が1枚である。コンテンツの第3部に続く、コンテンツの第4部は、先の鳥によって最後の風船1つを破裂させた状況である。コンテンツの第4部に続く、コンテンツの第5部は、元々第1部であった3つの風船を全て消失してしまい、閑散とした雰囲気を描写して表現したものである。コンテンツの第5部では、「しーん」の文字を記したテキスト紙片が、台紙本体の保管スペース上に、子供によって配置されている。また、鳥によって風船を完全に消失してしまって、淋しい様子を描いたイメージ図柄が、子供によって、筆記具で書き込まれている。
【0073】
コンテンツの第6部は、コンテンツの第5部の状況について、問題欄(問題欄21に相当)で、「ふうせんがなくなったとき、□このふうせんといいます」との問いを行っている。学習内容「0の数」を扱った数詞等学習絵本は、実際になくなってしまった風船の数が「0」であるとの概念を学び取り、テキスト紙片に記した文字を学習することができている。
【符号の説明】
【0074】
1 数詞等学習絵本(子供向け学習具)
10 台紙
11 一辺
12 綴じ位置
20 台紙本体
21 問題欄
22 保管スペース
23 記入スペース
28 保護層(保護部)
30 台紙綴じ手段
31 綴じリング(台紙綴じ手段)
32 綴じ孔(台紙綴じ手段)
40 紙
41 切り絵
42 一面
M 対称軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16