(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】噴霧ノズルユニット
(51)【国際特許分類】
B05B 15/658 20180101AFI20230324BHJP
B05B 1/16 20060101ALI20230324BHJP
B05B 1/20 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
B05B15/658
B05B1/16
B05B1/20 101
(21)【出願番号】P 2021073137
(22)【出願日】2021-04-23
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】397002360
【氏名又は名称】ヤマホ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】今川 良成
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-138285(JP,A)
【文献】特許第6383392(JP,B2)
【文献】特開2009-022830(JP,A)
【文献】特開2018-076947(JP,A)
【文献】特開2018-043215(JP,A)
【文献】実開昭61-071273(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-3/18
7/00-9/08
12/16-12/36
14/00-16/80
F16K 7/00-7/20
11/00-13/10
25/00-25/04
29/00-29/02
33/00
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体供給源に取り付けられ、液体供給源から供給される液体を通す液体導出路を有する取付部材と、前記取付部材の液体導出路に連続する液体通路を有する内筒と、前記内筒の一端部に設けられたフランジを取付部材の接続口に押し付ける状態で、前記取付部材の接続口の外周に形成されたおねじとねじ結合して取付部材と内筒を接続するユニオンナットと、前記内筒の中央部から他端部までの径方向外側に配され、内筒に対して回転可能な状態で抜け止めされる筒状の回転ヘッドと、前記回転ヘッドの外周から突出するノズル取付口に取り付けられるノズルとを備え、
前記内筒は他端側の筒壁を径方向に貫通する流出孔を有し、前記回転ヘッドは内筒の流出孔と同じ軸方向位置の付近の内周面からノズル取付口の内側へ貫通する流入ポートを有し、前記回転ヘッドを回転させて回転ヘッドの流入ポートと前記内筒の流出孔の周方向位置関係を変更することにより、前記液体供給源から液体導出路を通って液体通路に流れ込んだ液体の噴出状態が切り替わるようになっている噴霧ノズルユニットにおいて、
前記回転ヘッドの回転に対する抵抗を付与して、前記内筒の中央部の外周から突出する突起が前記回転ヘッドの一端面に設けられた凹部と係合する状態で、前記回転ヘッドの周方向位置を保持するデテント機構を有し、前記ユニオンナットには前記内筒の突起を通す軸方向溝が設けられており、
前記内筒の他端側から外周に遊嵌されたユニオンナットが、前記内筒の突起が設けられた位置を通過して、前記取付部材の接続口とねじ結合されるようになっていることを特徴とする噴霧ノズルユニット。
【請求項2】
前記取付部材の液体導出路および前記内筒の液体通路が直線的に延びるものであることを特徴とする請求項1に記載の噴霧ノズルユニット。
【請求項3】
前記回転ヘッドは前記ノズル取付口および流入ポートが同一の軸方向位置で周方向に複数設けられており、前記各ノズル取付口に取り付けられるノズルは噴霧パターンが互いに異なるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の噴霧ノズルユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液や水等の液体を散布するのに用いられる噴霧ノズルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
薬液や水等の散布を行う液体散布装置には、液体供給源に取り付けられる噴霧ノズルユニット(以下、単に「ノズルユニット」とも称する。)が複数のノズルを備え、液体を噴射するノズルを切り替えられるようになっているものがある。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されている噴霧ノズルユニットは、液体供給源としての噴管(ブーム)に取り付けられ、噴管から供給される液体を通す液体導出路を有する取付部材(第1管継手および第2管継手のエルボ)と、取付部材の液体導出路に連続する液体通路を有する内筒(第2管継手のスリーブ)と、取付部材の接続口と内筒の一端部を接続するユニオンナットと、内筒の中央部から他端部までの径方向外側に配され、内筒に対して回転可能な状態で抜け止めされる筒状の回転ヘッド(第3管継手および第2管継手のニップル)と、回転ヘッドの外周から突出する2つのノズル取付口(ノズルホルダ)にそれぞれ取り付けられる2つのノズル(噴霧ノズル)とを備えている。その回転ヘッドのノズル取付口は同一の軸方向位置で軸心を挟んで対向する周方向位置に設けられており、2つのノズルは噴霧パターンが互いに異なるものが用いられている。
【0004】
また、内筒は他端側の筒壁を径方向に貫通する1つの流出孔を有し、回転ヘッドは内筒の流出孔と同じ軸方向位置の付近の内周面から各ノズル取付口の内側へ貫通する複数の流入ポートを有している。したがって、回転ヘッドを回転させて回転ヘッドの流入ポートと内筒の流出孔の周方向位置関係を変更すると、液体供給源から液体導出路を通って液体通路に流れ込んだ液体を噴射するノズルを切り替えることができる。すなわち、回転ヘッドの複数の流入ポートの周方向位置を選択的に内筒の流出孔に合わせることにより、液体の噴出状態(噴霧状態)を切り替えられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したような従来のノズルユニットでは、回転ヘッドの周方向位置は回転ヘッドの内筒に対する摺動抵抗によって保持されているので、回転ヘッドの回転操作の繰り返しによって回転ヘッドと内筒の互いの摺接面が摩耗し、回転ヘッドの摺動抵抗が小さくなると、使用中に意図せずに回転ヘッドが回転して、回転ヘッドの流入ポートと内筒の流出孔の周方向位置関係がずれ、所望の噴霧状態が得られなくなるおそれがある。
【0007】
これに対し、回転ヘッドの回転に対して抵抗を付与するデテント機構を設けて、意図的に回転ヘッドを回転させない限り回転ヘッドの周方向位置が保持されるようにすれば、長期間にわたって安定して所望の噴霧状態が得られるようになる。
【0008】
そして、上記のデテント機構において回転ヘッドの周方向位置を保持するための構造としては、例えば、内筒の中央部の外周から突出する突起を回転ヘッドの一端面に設けた凹部と係合させるものが考えられる。
【0009】
しかしながら、従来のノズルユニットでは、ユニオンナットが内筒の他端側から外周に遊嵌され、取付部材の接続口の外周に形成されたおねじとねじ結合して、内筒の一端部に設けられたフランジを取付部材の接続口に押し付ける状態で取付部材と内筒を接続するようになっており、内筒の外周からデテント機構を構成する突起を突出させると、ユニオンナットが内筒の突起が設けられた位置を通過できず、取付部材の接続口とねじ結合できなくなるおそれがある。
【0010】
この問題はユニオンナットの内径および取付部材の接続口のおねじ外径を大きくすれば解決できるが、その場合には、既設のノズルユニットにデテント機能を付与しようとする際に、取付部材のうちの少なくとも接続口の部分も交換が必要となり、交換部品のコストが増大することになる。また、特に、取付部材の液体導出路と内筒の液体通路が直線的に連続するタイプのノズルユニットの場合は、通常、取付部材が一体成形されており、接続口の部分のみを交換できないので、取付部材全体を噴管に対して脱着する必要があり、交換作業が非常に手間のかかるものとなる。
【0011】
そこで、本発明は、噴霧状態を安定して保持でき、かつ既設のものとの交換が低コストで容易に行える噴霧ノズルユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明は、液体供給源に取り付けられ、液体供給源から供給される液体を通す液体導出路を有する取付部材と、前記取付部材の液体導出路に連続する液体通路を有する内筒と、前記内筒の一端部に設けられたフランジを取付部材の接続口に押し付ける状態で、前記取付部材の接続口の外周に形成されたおねじとねじ結合して取付部材と内筒を接続するユニオンナットと、前記内筒の中央部から他端部までの径方向外側に配され、内筒に対して回転可能な状態で抜け止めされる筒状の回転ヘッドと、前記回転ヘッドの外周から突出するノズル取付口に取り付けられるノズルとを備え、前記内筒は他端側の筒壁を径方向に貫通する流出孔を有し、前記回転ヘッドは内筒の流出孔と同じ軸方向位置の付近の内周面からノズル取付口の内側へ貫通する流入ポートを有し、前記回転ヘッドを回転させて回転ヘッドの流入ポートと前記内筒の流出孔の周方向位置関係を変更することにより、前記液体供給源から液体導出路を通って液体通路に流れ込んだ液体の噴出状態が切り替わるようになっている噴霧ノズルユニットにおいて、前記回転ヘッドの回転に対する抵抗を付与して、前記内筒の中央部の外周から突出する突起が前記回転ヘッドの一端面に設けられた凹部と係合する状態で、前記回転ヘッドの周方向位置を保持するデテント機構を有し、前記ユニオンナットには前記内筒の突起を通す軸方向溝が設けられており、前記内筒の他端側から外周に遊嵌されたユニオンナットが、前記内筒の突起が設けられた位置を通過して、前記取付部材の接続口とねじ結合される構成を採用した。
【0013】
上記の構成によれば、回転ヘッドの凹部を内筒の突起と係合させて回転ヘッドの周方向位置を保持するデテント機構により、噴霧状態を安定して保持できるうえ、内筒の突起を通す軸方向溝を有するユニオンナットが内筒の他端側から突起の位置を通過して取付部材の接続口とねじ結合されるようになっているので、既設のものと交換する際には、液体供給源に対して取付部材を脱着する必要がなく、取付部材に対する従来の内筒の切り離しと新たな内筒の接続だけで効率よく作業することができ、交換部品のコストも抑えられる。
【0014】
そして、本発明は、前記取付部材の液体導出路および前記内筒の液体通路が直線的に延びるものである場合に、効果的に適用することができる。このようなタイプの噴霧ノズルユニットでは、取付部材が一体成形されていることが多く、既設のものと交換する際に取付部材の脱着を省略できる効果が大きいからである。
【0015】
また、前記回転ヘッドとして、前記ノズル取付口および流入ポートが同一の軸方向位置で周方向に複数設けられているものが用いられ、前記各ノズル取付口に取り付けられるノズルの噴霧パターンが互いに異なるものである場合、デテント機構のない既設のものとの交換による効果が大きいので、その交換が容易に行えることのメリットも大きくなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の噴霧ノズルユニットは、上述したように、回転ヘッドの凹部を内筒の突起と係合させて回転ヘッドの周方向位置を保持するデテント機構を備え、ユニオンナットが内筒の他端側から突起の位置を通過して取付部材の接続口とねじ結合されるようにしたものであるから、噴霧状態を安定して保持できるとともに、既設のものと交換する際には、液体供給源から取付部材を取り外す必要がなく、低コストで効率よく作業することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態の噴霧ノズルユニットの縦断正面図
【
図2】(a)は
図1の分解斜視図、(b)は(a)のユニオンナットを反対側から見た斜視図
【
図5】第2実施形態の噴霧ノズルユニットの縦断正面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。
図1乃至
図4は第1実施形態の噴霧ノズルユニットを示す。このノズルユニットは、
図1および
図2に示すように、液体供給源としての噴管Pにあけられた噴出孔hの位置に装着されるもので、噴管Pに取り付けられ、噴管Pから供給される液体を通すように直線的に延びる液体導出路1aを有する取付部材1と、取付部材1の液体導出路1aと連続して直線的に延びる液体通路2aを有する内筒2と、取付部材1と内筒2を接続するユニオンナット3と、内筒2の径方向外側に配される筒状の回転ヘッド4と、回転ヘッド4に取り付けられる2つのノズル5、6とを備えている。
【0019】
前記取付部材1は、噴管Pのノズル取付側に配され、前記液体導出路1aを有する第1取付片11と、噴管Pを挟んで第1取付片11と対向するように配される第2取付片12とが、それぞれの断面半円形の管受け溝で噴管Pを挟持する状態で、2本のボルトで一体化されることにより噴管Pに取り付けられている。その第1取付片11には、外周におねじが形成され、後述のように内筒2と接続される筒状の接続口13と、噴管Pの噴出孔hに差し込まれ、液体導出路1aの入口側を形成する差込筒部14が設けられている。
【0020】
前記内筒2は、取付部材1に接続される一端部に第1フランジ21が設けられ、軸方向の中央部には、後述するデテント機構を構成するように外周から突出する一対の突起22と第2、第3フランジ23、24がそれぞれ設けられている。その第1フランジ21の一側面には、取付部材1の接続口13の複数の切欠き13aにそれぞれ嵌まり込む複数の凸部21aが形成されている。また、内筒2の他端側には、筒壁を径方向に貫通し、液体通路2aに流れ込んだ液体をノズル5、6へ送り出すための流出孔2bがあけられている。
【0021】
前記ユニオンナット3は、回転ヘッド4と対向する側の端部に、内筒2の第1フランジ21の外径よりも小さい内径に形成された内向きフランジ31を有している。また、その内周には内筒2の各突起22をそれぞれ通す軸方向溝3aが設けられ、ユニオンナット3が内筒2の他端側から外周に遊嵌されたときに、
図3に示すように、軸方向溝3aの周方向位置を内筒2の突起22と合わせた状態で、その突起22が設けられた位置を通過できるようになっている。
【0022】
したがって、ノズルユニットの噴管Pへの装着時には、噴管Pに取り付けた取付部材1の接続口13の切欠き13aに内筒2の一端の凸部21aを嵌め込み、内筒2の他端側から外周に遊嵌されたユニオンナット3を、内筒2の一端側へ移動させたうえ、その内向きフランジ31で内筒2の第1フランジ21を取付部材1の接続口13の端面に押し付ける状態で、取付部材1の接続口13の外周に形成されたおねじとねじ結合させることにより、取付部材1と内筒2を接続し、取付部材1の液体導出路1aと内筒2の液体通路2aを連続させることができる。
【0023】
前記回転ヘッド4は、一端が開口し他端が閉塞された筒状部材であり、その一端面の内周側段差部に、内筒2の突起22とともに後述のデテント機構を構成する凹部4aが周方向に等間隔で4つ設けられている。
【0024】
また、回転ヘッド4の一端側には、U字状の樹脂製抜け止め部材7の一対のアーム7aがそれぞれ挿入される2つの横孔4bが設けられ、その2つの横孔4bのアーム挿入側の開口どうしの間に周方向溝4cが設けられている。そして、回転ヘッド4を内筒2の中央部から他端部までの径方向外側に組み付けて、抜け止め部材7の各アーム7aを横孔4bに挿入すると、その中央部が内筒2の第2フランジ23と第3フランジ24の間に入り込むようになっている。また、このとき、抜け止め部材7は、アーム7aどうしを繋いでいるアーム連結部7bが回転ヘッド4の周方向溝4cに嵌まり込むと同時に、各アーム7aの先端に設けられた爪7cが横孔4bの挿入側と反対側の周縁に係合し、回転ヘッド4を内筒2に対して回転可能な状態で抜け止めするようになる。
【0025】
ここで、回転ヘッド4は、抜け止め部材7の各アーム7aが内筒2の第3フランジ24に当接することによって他端側への移動を規制されるので、内筒2の2つの突起22の一部が上下の凹部4aに嵌まり込んでいるとき(
図4の実線の状態)または左右の凹部4aに嵌まり込んでいるときは、意図的に回転させない限り周方向位置が保持される。一方、回転ヘッド4にある程度の回転方向の力を加えれば、抜け止め部材7のアーム7aを撓ませて回転ヘッド4を他端側へ移動させると同時に、
図4に一点鎖線で示すように、回転ヘッド4の凹部4aと内筒2の突起22の係合を解除して、回転ヘッド4を別の周方向位置へ移動させることができる。すなわち、このノズルユニットでは、回転ヘッド4の回転に対する抵抗を付与して、意図的な力を加えない限り回転ヘッド4の周方向位置を所定位置で保持することができるデテント機構が構成されている。
【0026】
また、回転ヘッド4の他端側には、内筒2の流出孔2bと同じ軸方向位置付近で中心軸を挟んで対向する周方向位置に、外周から突出する一対の筒状のノズル取付口41と、内周面から各ノズル取付口41の内側へ貫通する流入ポート4dが設けられている。
【0027】
そして、回転ヘッド4の流入ポート4d周辺の内周面と内筒2の流出孔2b周辺の外周面との間には、円筒状のゴム製バルブ体8が組み込まれている。そのバルブ体8の中央部には、中心軸を挟んで対向する周方向位置に一対のバルブ孔8aがあけられており、各バルブ孔8aの周縁から径方向外側に突出する2つの差込口8bがそれぞれ回転ヘッド4の流入ポート4dに差し込まれている。また、バルブ体8の変形を抑えるためのバルブ押え9が、差込口8bおよび流入ポート4dの外周側に形成された座ぐり部に嵌め込まれている。
【0028】
この回転ヘッド4の各ノズル取付口41に取り付けられるノズル5、6は、噴霧パターンが互いに異なる周知のものが用いられる。その一方のノズル5は、ノズル取付口41の内周に嵌め込まれる三つ切りパッキン51、フィルタ52および環状のパッキン53と、ノズル取付口41の外周に形成されたおねじとねじ結合するユニオンナット54と、ユニオンナット54によってノズル取付口41に接続されるホルダ55と、ホルダ55内に組み込まれるオリフィス板56と、ホルダ55の先端側に固定される噴板57等で構成されている。
【0029】
また、他方のノズル6も、上述の一方のものと同様の三つ切りパッキン61、フィルタ62、パッキン63、ユニオンナット64、ホルダ65、噴板66等で構成されているが、ホルダ65が短く、ホルダ65内にオリフィス板が組み込まれていない点、および噴板66の噴孔形状(図示省略)が一方のものと異なっている。
【0030】
そして、いずれのノズル5、6も、内筒2の液体通路2aからバルブ体8のバルブ孔8aおよび回転ヘッド4の流入ポート4dを介して流れ込んだ液体を噴板57、66から噴出するようになっている。
【0031】
なお、このノズルユニットの液密シールの必要な箇所には、それぞれOリング10が組み込まれている。
【0032】
このノズルユニットは、上記の構成であり、内筒2の突起22の一部が回転ヘッド4の上下の凹部4aに嵌まり込んでいるときは、回転ヘッド4の2つの流入ポート4d(および回転ヘッド4と一体に回転するバルブ体8のバルブ孔8a)のいずれか一方が内筒2の流出孔2bと重なる状態で、また内筒2の突起22の一部が回転ヘッド4の左右の凹部4aに嵌まり込んでいるときは、回転ヘッド4の2つの流入ポート4dがいずれも内筒2の流出孔2bと重ならない状態で、それぞれデテント機構の作用により、回転ヘッド4の周方向位置が保持されるようになっている。また、回転ヘッド4をデテント機構による抵抗に抗して回転させることにより、流入ポート4dと流出孔2bの周方向位置関係を変更することもできる。すなわち、デテント機構によって、噴管Pから取付部材1の液体導出路1aを通って内筒2の液体通路2aに流れ込んだ液体を2つのノズル5、6のいずれか一方から噴射する状態、あるいは液体の噴射を止める状態を安定して保持でき、その状態を容易に切り替えることもできるようになっている。
【0033】
そして、デテント機構はその構成要素である突起22が内筒2と一体成形された簡単な構造のものであり、ノズルユニット全体としてデテント機構のない従来のものとほぼ同様に製作することができる。
【0034】
また、取付部材1と内筒2とを接続するユニオンナット3が、内筒2の他端側から突起22の位置を通過して取付部材1の接続口13とねじ結合されるようになっているので、このノズルユニットを既設のものと交換する際には、噴管Pに対して取付部材1を脱着する必要がなく、取付部材1に対する従来の内筒の切り離しと新たな内筒2の接続だけで効率よく作業することができ、交換部品のコストも抑えられる。
【0035】
図5は第2実施形態の噴霧ノズルユニットを示す。このノズルユニットは、取付部材1の液体導出路1aと内筒2の液体通路2aが直交するタイプのものであり、その取付部材1は本体部に内筒2への接続部が取り付けられたものとなっている。
【0036】
前記取付部材1の本体部は、第1実施形態のものの全体と同じ構造である。一方、取付部材1の接続部は、L字状に形成された液体導出路1aの出口側部分を有するエルボ16と、エルボ16の入口側の内周に圧入される小径部を有する筒状のジョイント15と、ジョイント15の大径側端面と当接する状態で、本体部を構成する第1取付片11の接続口13の内周に嵌め込まれるパッキン17と、第1取付片11の接続口13とねじ結合してジョイント15を第1取付片11に接続するユニオンナット18とを備えている。そして、そのエルボ16の出口側端面に設けられた接続口19が、第1実施形態の第1取付片11の接続口13と同様に、ユニオンナット3で内筒2の一端部と接続されている。その他の部分の構成は第1実施形態と同じである。
【0037】
したがって、この第2実施形態のノズルユニットでも、第1実施形態と同様、デテント機構によって噴霧状態を安定して保持できるし、既設のものと交換する際には、噴管Pから取付部材1を取り外す必要がなく、低コストで効率よく作業することができる。
【0038】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0039】
例えば、上述した各実施形態では、回転ヘッド4に2つのノズル5、6を取り付け、そのいずれか一方から液体を噴射する状態と液体の噴射を止める状態を切り替えられるようにしたが、回転ヘッドに取り付けるノズルの数を1つまたは3つ以上とし、それに合わせて液体の噴出状態(噴出しない状態も含む)を切り替えられる構造としてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 取付部材
1a 液体導出路
2 内筒
2a 液体通路
2b 流出孔
3 ユニオンナット
3a 軸方向溝
4 回転ヘッド
4a 凹部
4d 流入ポート
5、6 ノズル
7 抜け止め部材
8 バルブ体
9 バルブ押え
11 第1取付片
12 第2取付片
13 接続口
15 ジョイント
16 エルボ
18 ユニオンナット
19 接続口
21 第1フランジ
22 突起
31 内向きフランジ
41 ノズル取付口
P 噴管(液体供給源)
h 噴出孔