(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】3次元プリンティング用組成物
(51)【国際特許分類】
B29C 64/314 20170101AFI20230324BHJP
B29C 64/124 20170101ALI20230324BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20230324BHJP
【FI】
B29C64/314
B29C64/124
B33Y70/00
(21)【出願番号】P 2021534320
(86)(22)【出願日】2019-07-29
(86)【国際出願番号】 KR2019009447
(87)【国際公開番号】W WO2020138621
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-06-11
(31)【優先権主張番号】10-2018-0172241
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521258474
【氏名又は名称】ディーアイシー コリア コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミョンチェ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ヨチェル
(72)【発明者】
【氏名】リュ、ウンテ
(72)【発明者】
【氏名】シム、ソヒョン
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-523801(JP,A)
【文献】国際公開第2018/105463(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/199611(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/091517(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0058595(KR,A)
【文献】特表2009-535467(JP,A)
【文献】特開2018-130883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00- 64/40
B33Y 10/00- 99/00
C08C 19/00- 19/44
C08F 6/00-301/00
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DLP 3Dプリンティング方式およびSLA 3Dプリンティング方式の両方の原料として用いられる
3次元プリンティング用組成物であって、
エポキシ系モノマーまたはエーテル系モノマーである単官能モノマー
を10~20重量部、
ビスフェノールZ(BPZ)系のモノマーである二官能モノマー
を20~50重量部、
エポキシアクリレートおよびウレタン系アクリレートであるオリゴマー
を30~50重量部、
ラジカル系開始剤成分およびカチオン系開始剤成分の両方を含む開始剤
を5重量部以内、および
シランカップリング剤である光増感剤を
1重量部以内、
含むことを特徴とする3次元プリンティング用組成物。
【請求項2】
前記3次元プリンティング用組成物は、
顔料をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の3次元プリンティング用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元プリンティングに用いられる光硬化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
当該部分に記述された内容は単に本発明の一実施例に関する背景情報を提供するだけで、従来技術を構成するものではない。
【0003】
現在、世界産業技術の核心トレンドを挙げるとすれば、3Dプリンタを抜きにして語ることはできない。3Dプリンティング技術は、今後付加価置の高い産業への発展が予想されるにつれ、各国の多くの企業がハードウェア(H/W)とソフトウェア(S/W)を独自開発すべく絶え間のない努力を続けている。このような3Dプリンティング方式の一つとして、現在広く普及された類型の3Dプリンティング方式でFDM(Fused Deposition Modeling)方式がある。FDM方式は、3Dプリンタがプラスチック素材のフィラメントを熱で溶かして押出した後、常温で固めて物体を積み上げる方式である。しかし、このようなFDM方式は機械的な動きが多いため、実際の形状作成過程で失敗率が高いという欠点がある。
【0004】
このような問題を解消するために最近登場した3Dプリンティング技術が、光硬化を利用してプリンティングする技術である。光硬化3Dプリンティング技術の代表例として、SLA(Stereo Lithography Apparatus)方式、またはDLP(Digital Light Processing)方式が存在する。SLA方式は、3Dプリンタが高密度のレーザを照射してレジンを所望の形状に硬化させる方式であり、DLPは、3Dプリンタが高密度のレーザの代わりに、光プロジェクタを用いてレジンを硬化させる方式である。DLP方式の3Dプリンタは、SLA方式のような特定の焦点ではない面積に光を照射してレジンを硬化させる。
【0005】
SLA方式の3Dプリンタは、高密度のレーザを特定の焦点に照射してレジンを硬化させるため、最終的に製造される形状の精度が高いという利点を有するのに対し、最終形状の製造まで長い時間が経過するという欠点がある。逆に、DLP方式の3Dプリンタは、面積に光を照射してレジンを硬化させるため、形状の製造時間が非常に短縮されるという利点を有するのに対し、最終形状の精度、特に、形状の表面で実現の精度が低下するという欠点がある。
【0006】
前述の通り、従来の光硬化を利用した3Dプリンティング方式はそれぞれ欠点を抱える問題があり、欠点を最小化した新たな3Dプリンティング方式に対する需要が存在する。
【0007】
また、従来3Dプリンティングに用いられるレジンは、不透明なプラスチック素材、例えば、ABS樹脂またはウレタンなどが用いられて不透明な特徴を有する。これにより、従来のレジンは、審美性および透過や拡散などの光学的特性が低下する問題がある。したがって、3Dプリンティングに用いられるレジンについても審美性と光学的特性に優れ、耐久性が向上した透明な材質の素材に対する需要が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一実施例は、透明であり、SLA 3Dプリンティング方式およびDLP 3Dプリンティング方式ともに反応して硬化可能な3次元プリンティング用組成物を提供することをその目的とする。
【0009】
また、本発明の一実施例は、製造する最終形状のコアとシェルとを分離して硬化させる3Dプリンティング装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面によれば、3次元プリンタの原料として用いられる組成物であって、単官能モノマー、二官能モノマー、オリゴマー、開始剤、および光増感剤を含むことを特徴とする3次元プリンティング用組成物を提供する。
【0011】
本発明の一側面によれば、前記3次元プリンティング用組成物は、単官能モノマーとして10~30重量部、二官能モノマーとして20~50重量部、オリゴマーとして30~40重量部、5重量部以内の開始剤、および1重量部以内の光増感剤を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の一側面によれば、前記3次元プリンティング用組成物は、顔料をさらに含むことを特徴とする。
【0013】
本発明の一側面によれば、前記3次元プリンティング用組成物は、1重量部以内の顔料を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の一側面によれば、前記単官能モノマーは、エポキシ系モノマーまたはエーテル系モノマーであることを特徴とする。
【0015】
本発明の一側面によれば、前記二官能モノマーは、アクリル系モノマーであることを特徴とする。
【0016】
本発明の一側面によれば、前記二官能モノマーは、ビスフェノールZ(BPZ)系のモノマーであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
以上に説明したように、本発明の一側面によれば、3次元プリンティング用組成物が透明でありながらも、SLA 3Dプリンティング方式およびDLP 3Dプリンティング方式ともに反応して硬化できるという利点がある。
【0018】
また、本発明の一側面によれば、3Dプリンティング装置が製造する最終形状のコアとシェルとを分離して硬化させることにより、速い製造時間と製造された最終形状の優れた精度をすべて保障できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施例による3Dプリンティング装置の構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施例による3Dプリンティング装置の一実現例を示す図である。
【
図3】本発明の一実施例による3Dプリンティング装置が3Dプリンティング組成物を硬化させる方法を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の他の実施例による3Dプリンティング装置が3Dプリンティング組成物を硬化させる方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は多様な変更が加えられて様々な実施例を有し得ることから、特定の実施例を図面に例示し詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の実施形態について限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物乃至代替物を含むことが理解されなければならない。各図面を説明するにあたり、類似の参照符号を類似の構成要素について付した。
【0021】
第1、第2、A、Bなどの用語は多様な構成要素を説明するのに使われるが、前記構成要素は前記用語によって限定されてはならない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われる。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく、第1構成要素は第2構成要素と名付けられてもよく、同様に、第2構成要素も第1構成要素と名付けられてもよい。および/またはという用語は、複数のかかる記載項目の組み合わせまたは複数のかかる記載項目のいずれかの項目を含む。
【0022】
ある構成要素が他の構成要素に「連結」または「接続」されていると言及された場合は、その他の構成要素に直接的に連結されているかまたは接続されていてもよいが、中間に他の構成要素が存在してもよいと理解されなければならない。これに対し、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結」または「直接接続」されていると言及された場合、中間に他の構成要素が存在しないことが理解されなければならない。
【0023】
本出願で使った用語は、単に特定の実施例を説明するために使われたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないことが理解されなければならない。
【0024】
他に定義されない限り、技術的または科学的な用語を含む、ここで使われるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有している。
一般的に使われる辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されなければならず、本出願において明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
また、本発明の各実施例に含まれた各構成、過程、工程または方法などは、技術的に相互矛盾しない範囲内で共有できる。
【0025】
図1は、本発明の一実施例による3Dプリンティング装置の構成を示す図である。
図1を参照すれば、本発明の一実施例による3Dプリンティング装置100は、第1光源110と、第2光源115と、制御部120と、モータ130とを含む。
【0026】
第1光源110は、3Dプリンティング組成物(以下、「組成物」と略称する)に一定の面積の光を照射する。第1光源110は、一点にフォーカシングされた光ではない、3Dプリンティング装置によって最終的に製造される形状(以下、「最終形状」と略称する)のコア部分の形状に対応する面積の光を照射する。第1光源110は、一定の面積の光を組成物に照射して、一定の面積だけの組成物を一度に硬化させる。第1光源110が照射する光の面積は、最終形状の各レイヤ内のコア部分の面積に応じて異なる。第1光源110は、組成物が最終形状のコア部分のように硬化できるように、最終形状の各レイヤ内のコア部分の面積だけの光を組成物に照射する。第1光源110は、3Dプリンティング装置100がDLP 3Dプリンティング方式で動作できるようにする。
【0027】
第2光源115は、組成物入り容器に一焦点のレーザを照射する。第2光源115は、一焦点にフォーカシングされたレーザを照射し、焦点を移動させて最終形状のシェル(Shell)部分となるように組成物を硬化させる。第2光源115は、第1光源110が組成物を硬化させた後、または第1光源110と同時に、最終形状のシェル部分を追加的に硬化させる。SLA 3Dプリンティング装置は、第2光源のように一焦点にフォーカシングされるレーザを照射して組成物を硬化させるため、組成物を最終形状に硬化させるためには非常に長い時間を費やす。しかし、第2光源115は、すでに第1光源でコア部分の硬化が完了した組成物のシェル部分のみを硬化させれば良いので、3Dプリンティング装置100は、従来のSLA 3Dプリンティング装置のような長い時間の硬化時間を有することなく、最終形状の表面で高い精度を示すことができる。第2光源115は、3Dプリンティング装置100がSLA 3Dプリンティング方式で動作できるようにする。
【0028】
第1光源110が硬化する最終形状のコア部分と、第2光源115が硬化する最終形状のシェル部分は、制御部120の設定に応じてその面積または体積が異なる。例えば、シェル部分は、制御部120の設定に応じて最外郭表面から最終形状の全体積の10%になる地点までを意味することができる。
【0029】
第1光源110および第2光源115は、組成物を硬化させるための波長帯域の一例として、405nmの帯域の光またはレーザを照射することができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0030】
制御部120は、第1光源110と第2光源115とを交互に作動させるか、同時に作動させて、組成物を最終形状に硬化させる。
制御部120は、第1光源110が硬化させる最終形状のコア部分の面積または体積と、第2光源115が硬化させる最終形状のシェル部分の面積または体積を設定することができる。
【0031】
制御部120は、第1光源110と第2光源115とを交互に作動させる。前述の通り、第1光源110が先に各レイヤ内の最終形状のコア部分を硬化させ、以後、第2光源115が各レイヤ内の最終形状のシェル部分を硬化する。第1光源110と第2光源115とが交互に作動して組成物を硬化できるように、制御部120は、モータ130を制御して、第1光源110、第2光源115、または組成物入り容器を移動させる。第1光源110と第2光源115がそれぞれ組成物を硬化させるために、第1光源110および第2光源115ともが同一の光軸や光軸の一定の領域内に位置している場合、いずれか1つの光源によって他の光源が照射する光やレーザに干渉が発生しうる。このような問題を防止すべく、制御部120は、第1光源110や第2光源115が移動するようにモータ130を制御して、いずれかの光源が光を照射する時、光軸上に位置する他の光源を移動させる。あるいは、制御部120は、組成物入り容器が移動するようにモータ130を制御して、互いに異なる光軸を有するように配置された各光源の光軸上に組成物入り容器を移動させる。これにより、第1光源110と第2光源115とは互いに影響されずに、そのまま組成物にそれぞれ光を照射することができる。
【0032】
制御部120は、第1光源110と第2光源115とを同時に作動させる。前述の場合とは異なり、第1光源110と第2光源115がそれぞれ互いの光軸に影響を及ぼさない範囲内で配置されているか、移動することができる。この場合、組成物の硬化速度を向上させるために、制御部120は、第1光源110と第2光源115とを同時に作動させて、最終形状のコアおよびシェルの形状に対応する組成物の硬化が同時に行われるようにする。
【0033】
制御部120は、モータ130を制御して、各光源110、115が組成物入り容器に近づくか、組成物入り容器が各光源110、115に近づくように制御することができる。使用される光源の種類や特性によって、光源と組成物が非常に近づいていてこそ硬化が進行したり、ひいては、光源が組成物中に浸かった状態で硬化が進行する場合が存在する。この場合、各光源110、115と組成物入り容器は相互間で近づいたり遠のいたりしなければならない。制御部120は、モータ130を制御して、各光源110、115が容器に近づいたり遠のくように制御することができる。逆に、制御部120は、モータ130を制御して、容器が各光源110、115に近づいたり遠のくように制御することができる。
【0034】
制御部120は、レイヤごとに区分して組成物を硬化するように第1光源110と第2光源115を制御する。制御部120は、最終形状を各光源が1回の動作で硬化させることが可能な水準のレイヤごとに区分する。以後、制御部120は、組成物が最終形状の各レイヤと同一に硬化できるように各光源110、115を制御する。まず、制御部120は、第1光源110を制御して、最終形状の特定のレイヤ内のコアの形状のように組成物が硬化するようにする。これと同時に、またはその後に、制御部120は、第2光源115を制御して、最終形状の特定のレイヤ内のシェルの形状のように組成物が硬化するようにする。特定のレイヤに対して硬化を完了した後、制御部120は、硬化を完了したレイヤが最終レイヤであるかを判断する。硬化したレイヤが最終レイヤの場合であれば、各光源110、115によって硬化がすべて完了した状況であるので、制御部120は、硬化を終了する。逆に、硬化したレイヤが最終レイヤではない場合、制御部120は、各光源110、115が次のレイヤの通りに組成物を硬化するように各光源110、115を制御する。
【0035】
モータ130は、制御部120の制御によって、各光源110、115または組成物入り容器を移動させる。モータ130は、各光源110、115が組成物を交互に硬化できるように各光源110、115または組成物入り容器を移動させ、各光源110、115が組成物に近づいて組成物を硬化させることができるように各光源110、115または組成物入り容器を移動させる。
【0036】
図2は、本発明の一実施例による3Dプリンティング装置の一実現例を示す図である。
まず、第1光源110は、容器210内の組成物220に光を照射して、最終形状の特定のレイヤ内のコアの面積230だけの組成物を一度に硬化させる。この時、制御部(図示せず)は、第2光源115を第1光源110の光軸から遠のくように制御することができ、第1光源110から照射された光が、第2光源115からの干渉なく組成物220にそのまま照射できる。この時、制御部(図示せず)は、モータ(図示せず)を制御して、第1光源110と容器210とが近接するように容器210を移動させることができる。
【0037】
以後、第2光源120は、組成物220に光を照射して、最終形状の特定のレイヤ内のシェル240だけの組成物を硬化させる。第2光源120が組成物を硬化させることができるように、制御部(図示せず)は、モータ(図示せず)を制御して、第2光源120の照射するレーザが組成物に入射可能な位置まで第2光源120を再移動させる。また、制御部(図示せず)は、モータ(図示せず)を制御して、第2光源115と容器210とが近接するように容器210を移動させることができる。
このように、3Dプリンティング装置100は、第1光源110と第2光源115とを交互にして組成物を硬化することで、硬化速度と品質とも優れた水準を確保することができる。
【0038】
図2には、第1光源110と第2光源115とが交互に作動する例のみが示されているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、第2光源115が、第1光源110の照射する光軸に影響を及ぼさない範囲内で配置されているか、移動することにより、第1光源110と第2光源115が同時に作動できる。また、第2光源115と容器210が移動するものとして示されているが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0039】
図3は、本発明の一実施例による3Dプリンティング装置が3Dプリンティング組成物を硬化させる方法を示すフローチャートである。
【0040】
制御部120は、光を照射するように第1光源110を制御して、コア部分を硬化させる(S310)。制御部120は、第1光源110を制御して、一定の面積の光を組成物に照射するようにする。第1光源110は、一定の面積の光を組成物に照射することで、最終形状の特定のレイヤ内のコアの面積だけ組成物を一度に硬化させる。
【0041】
制御部120は、第1光源110の光軸上に第2光源115が進入するようにモータ130を制御する(S320)。
【0042】
制御部120は、光を照射するように第2光源115を制御して、シェル部分を硬化させる(330)。制御部120は、第2光源115を制御して、第2光源115が一焦点のレーザを組成物に照射するようにする。第2光源115は、一焦点にフォーカシングされたレーザを照射し、制御部120の制御によって焦点を移動させて最終形状のシェル部分の形状に組成物を硬化させる。
【0043】
制御部120は、硬化したレイヤが最終レイヤであるかを判断する(S340)。制御部120は、第1光源110と第2光源115によって硬化したレイヤ最終形状の最終レイヤであるかを判断する。硬化したレイヤが最終レイヤの場合であれば、各光源110、115によって硬化がすべて完了した状況であるので、制御部120は、硬化を終了する。
【0044】
硬化したレイヤが最終レイヤではない場合、制御部120は、硬化したレイヤの次のレイヤを硬化できるように、光源または容器が移動するようにモータを制御する(S350)。硬化したレイヤが最終レイヤではない場合、次のレイヤに対して硬化が進行しなければならない。したがって、制御部120は、光源または容器が移動するようにモータを制御して、次のレイヤに対して、S310~S330の硬化過程が行われるようにする。
【0045】
図4は、本発明の他の実施例による3Dプリンティング装置が3Dプリンティング組成物を硬化させる方法を示すフローチャートである。
【0046】
制御部120は、光を照射するように第1光源110および第2光源115を制御して、コア部分およびシェル部分を硬化させる(S410)。制御部120は、第1光源110および第2光源115が同時に動作するように制御して、一度にコア部分およびシェル部分に対応する組成物を硬化させる。
【0047】
制御部120は、硬化したレイヤが最終レイヤであるかを判断する(S420)。
硬化したレイヤが最終レイヤではない場合、制御部120は、硬化したレイヤの次のレイヤを硬化できるように、光源または容器が移動するようにモータを制御する(S430)。硬化したレイヤが最終レイヤではない場合、次のレイヤに対して硬化が進行しなければならない。したがって、制御部120は、光源または容器が移動するようにモータを制御して、次のレイヤに対して、S410の硬化過程が行われるようにする。
【0048】
3Dプリンティング装置100によって硬化して最終形状に製造される、本発明の一実施例による組成物220は、透明な特性を有し、DLP 3Dプリンティング方式の光源およびSLA 3Dプリンティング方式の光源ともに硬化する特徴を有する。
【0049】
組成物220は、単官能モノマー(Monomer)、二官能モノマー、オリゴマー(Oligomer)、開始剤、光増感剤、およびその他の添加剤を含む。
【0050】
単官能モノマーは、エポキシ系またはエーテル系モノマーが用いられ、10~20重量部だけ含まれる。単官能モノマーは、組成物の粘度を調整するために組成物220に配合される。組成物の粘度が高すぎる場合、3Dプリンティング装置が組成物を用いて3Dプリンティングを行うにあたり、組成物をハンドリングするのに困難が存在する。このような問題を防止すべく、単官能モノマーが二官能モノマーとは別途に追加的に含まれて、組成物の粘度が過度に高くならないようにする。ただし、組成物の強度の低下と黄変が現れないように、単官能モノマーは10~20重量部だけが含まれる。
【0051】
二官能モノマーは、アクリル系モノマーが用いられ、20~50重量部だけ含まれる。
二官能モノマーは、組成物中に最も多く含まれてメインチェーン(Main Chain)を形成する成分であって、組成物の全体的な反応性と透明度に影響を及ぼすメイン成分に相当する。従来の組成物は、単官能モノマーと二官能モノマーの区分なく特定の成分だけが含まれていたとすれば、組成物220は、単官能モノマーと二官能モノマーのそれぞれを一定の重量部だけ含む。それぞれのモノマーが組成物220に含まれることにより、組成物が粘度と反応性ともをそれぞれ分離して制御することができる。
【0052】
二官能モノマーとして用いられるアクリル系モノマーは、従来のビスフェノールA(BPA)系ではない、新たに合成されたビスフェノールZ(BPZ)系から構成される。二官能モノマーとして用いられるビスフェノールZ系のモノマーは、次の工程で製造される。
【0053】
従来のビスフェノールZ(反応前の物質)にエチレンオキシド(EO:Ethylen Oxide)を付加して、第2ビスフェノールZ(BPZ(EO)、反応後の物質)を合成する。
【0054】
【0055】
合成された第2ビスフェノールZの両末端基(-OH)グループに重合反応(Polymerization)可能なアクリレート(Acrylate)官能基を付加して、第3ビスフェノールZ(BPZ(EO) Ac)を合成する。
【0056】
【0057】
このように新たに合成されたアクリル系モノマー(第3ビスフェノールZ)が二官能モノマーとして用いられることにより、組成物220は、透明性、強度、および耐摩耗性が高いという利点を有する。
【0058】
オリゴマーは、エポキシアクリレートおよびウレタン系アクリレートが用いられ、30~50重量部だけ含まれる。
オリゴマーは、強度のような組成物の機械的物性に影響を及ぼす成分である。ただし、過度に多い量のオリゴマーが含まれる場合、黄変が発生することがあって、30~50重量部だけ含まれる。
【0059】
オリゴマーは、エポキシアクリレートおよびウレタン系アクリレートが用いられる。ウレタン系アクリレートは、DLP 3Dプリンティング方式の光源に主に影響されるため、SLA 3Dプリンティング方式の光源でも組成物が硬化するためには、ウレタン系アクリレートのみがオリゴマーとして用いられることはできない。したがって、オリゴマーには、ウレタン系アクリレートのみならず、DLP 3Dプリンティング方式の光源およびSLA 3Dプリンティング方式の光源ともに反応するエポキシアクリレートも含まれる。
【0060】
開始剤は、ラジカル系開始剤成分とカチオン系開始剤成分がすべて含まれた開始剤が用いられ、5重量部以内だけ含まれる。
開始剤は、特定の波長帯域で反応を開始する物質である。重合反応は連鎖的に起こる反応であるが、開始剤が特定の波長帯域の光に反応して反応を開始する。
開始剤としては、ラジカル系開始剤成分とカチオン系開始剤成分がすべて含まれた開始剤が用いられる。両成分をすべて含むことにより、開始剤は、DLP 3Dプリンティング方式の光源およびSLA 3Dプリンティング方式の光源ともに反応を開始することができる。
【0061】
顔料は、1重量部以内だけ含まれる。顔料は、可視光線領域帯の光の透過度と反応速度を一定水準低下させる可能性は存在するが、色相改善の効果を有する。これにより、顔料は、組成物中に少量含まれる。
【0062】
光増減剤は、シランカップリング剤が用いられてもよいし、1重量部以内だけ含まれる。光増減剤は、特定の波長の光を吸収して、3Dプリンティング出力時に光が滲む現象を最小化することができる。これにより、光増減剤は、最終形状の精度を増加させる。また、光増減剤は、反応速度を抑制することにより、過度に反応が進行するのを防止することができる。光増減剤は、反応速度を抑制するため、前述の通り、1重量部以内だけ含まれることが好ましい。
これに追加的に、必要な性能に応じて、その他の添加剤がさらに含まれてもよい。
【実施例】
【0063】
以下、各成分の配合をそれぞれ異ならせた本発明の一実施例と、比較例とを比較して説明する。
【0064】
[実施例1]
以下に開示された表の配合比によって組成物を製造した。
【0065】
【0066】
[実施例2]
以下に開示された表の配合比によって組成物を製造した。
【0067】
【0068】
[実施例3]
以下に開示された表の配合比によって組成物を製造した。
【0069】
【0070】
[実施例4]
以下に開示された表の配合比によって組成物を製造した。
【0071】
【0072】
[実施例5]
以下に開示された表の配合比によって組成物を製造した。
【0073】
【0074】
[実施例6]
以下に開示された表の配合比によって組成物を製造した。
【0075】
【0076】
[実施例7]
以下に開示された表の配合比によって組成物を製造した。
【0077】
【0078】
これに対し、比較例の配合比は、次の通りである。
[比較例1]
以下に開示された表の配合比によって組成物を製造した。
【0079】
【0080】
[比較例2]
以下に開示された表の配合比によって組成物を製造した。
【0081】
【0082】
[比較例3]
以下に開示された表の配合比によって組成物を製造した。
【0083】
【0084】
[比較例4]
以下に開示された表の配合比によって組成物を製造した。
【0085】
【0086】
[比較例5]
以下に開示された表の配合比によって組成物を製造した。
【0087】
【0088】
実施例1~7の配合比で製造された組成物と、比較例1~5の配合比で製造された組成物の物性に関する実験を行った。実験の結果を以下に開示された表に示した。備考に別途の記載が存在しない場合は、後硬化を30分行った場合に相当する。
【0089】
【0090】
実施例1~6の配合比で配合されて硬化した組成物のすべては引張強度が46~53MPaであるのに対し、比較例の配合比で配合されて硬化した組成物は7~41MPaと非常に低い強度を有することを確認することができた。実施例1~6の配合比で配合されて硬化した組成物が優れた引張強度を有する理由としては、オリゴマーが適切な重量部で含まれると同時に、二官能モノマーも適切な重量部で共に含まれているためと把握される。
【0091】
実施例1~6の配合比で配合されて硬化した組成物のすべては伸び率が3~8水準の優れた伸び率を有するのに対し、比較例の配合比で配合されて硬化した組成物は大体1~2水準の低い伸び率を有することを確認することができた。比較例5の配合比で配合されて硬化した組成物は34.65の高い伸び率を有することが確認されたが、これは著しく低い引張強度に起因した結果であるので、伸び率の判断から除外する。
【0092】
また、実施例1~5の配合比で配合されて硬化した組成物は117~134MPaの屈曲強度を有するのに対し、比較例の配合比で配合されて硬化した組成物は屈曲強度を有することができないことが確認された。
【0093】
このような実験結果を参照する時、本実施例による組成物は、透明な特性を有すると同時に、別途の後処理工程なくても非常に優れた物性を有する。
【0094】
図3には、各過程を順次に実行するものとして記載しているが、これは本発明の一実施例の技術思想を例示的に説明したに過ぎない。つまり、本発明の一実施例の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の一実施例の本質的な特性を逸脱しない範囲で
図3に記載の順序を変更して実行したり、各過程の1つ以上の過程を並列的に実行するものに多様に修正および変形して適用可能であるので、
図3は時系列的な順序に限定されるものではない。
【0095】
一方、
図3に示された過程は、コンピュータで読取可能な記録媒体にコンピュータが読取可能なコードとして実現することが可能である。コンピュータが読取可能な記録媒体は、コンピュータシステムにより読取可能なデータが記憶される全種類の記録装置を含む。すなわち、コンピュータが読取可能な記録媒体は、マグネチック記憶媒体(例えば、ROM、フロッピーディスク、ハードディスクなど)および光学的読取媒体(例えば、CD-ROM、DVDなど)のような記憶媒体を含む。また、コンピュータが読取可能な記録媒体は、ネットワークで連結されたコンピュータシステムに分散して分散方式でコンピュータが読取可能なコードが記憶および実行できる。
【0096】
以上の説明は、本実施例の技術思想を例示的に説明したに過ぎないものであって、本実施例の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本実施例の本質的な特性を逸脱しない範囲で多様な修正および変形が可能であろう。したがって、本実施例は本実施例の技術思想を限定するためではなく説明するためのものであり、このような実施例によって本実施例の技術思想の範囲が限定されるものではない。本実施例の保護範囲は以下の特許請求の範囲によって解釈されなければならず、それと同等範囲内にあるすべての技術思想は本実施例の権利範囲に含まれると解釈されなければならない。
【図 】
【図 】