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  • 特許-全閉形回転電機の設計方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】全閉形回転電機の設計方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/18 20060101AFI20230324BHJP
   H02K 5/20 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
H02K5/18
H02K5/20
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2017205256
(22)【出願日】2017-10-24
(65)【公開番号】P2019080426
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2019-05-28
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若杉 直
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】田合 弘幸
【審判官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-245512(JP,A)
【文献】特開平9-149599(JP,A)
【文献】特開2015-208101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/18
H02K 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びて回転可能に支持されたロータシャフトと、前記ロータシャフトの径方向外側に設けられた円筒状の回転子鉄心とを有する回転子と、
前記回転子鉄心の径方向外側で前記回転子鉄心を囲むように設けられた円筒状の固定子鉄心と、前記固定子鉄心の径方向の内側部分を前記軸方向に貫通する固定子巻線とを有する固定子と、
前記固定子の径方向の外側に配されて前記回転子鉄心と前記固定子を収納し、それぞれ前記回転子鉄心および前記固定子側と連通し互いに反対端に形成された通風路入口開口および通風路出口開口を有し前記軸方向に延びた少なくとも一つの通風路が形成されたフレームと、
前記回転子鉄心を挟んで前記軸方向の前記ロータシャフトの両側のそれぞれで前記ロータシャフトを支持する2つの軸受と、
前記ロータシャフトの少なくとも一方の前記軸受と前記回転子鉄心の間の位置に取り付けられて冷却用気体を駆動する内扇と、
前記軸方向に垂直な方向に拡がり脚リブ開口が形成されている脚リブを有し、前記フレームを下方から支持する脚と、
前記脚リブ開口が形成された部分に設けられた複数のフレーム外側フィンを含めて前記フレームの前記通風路が形成されていない周方向の領域に設けられた複数のフレーム外側フィンと、
を備え
前記通風路は、前記フレームにおいて、前記脚が取り付けられた領域以外の部分であって前記脚よりも上方のみに設けられている、
全閉形回転電機の設計方法であって、
前記フレームの外表面において前記通風路が形成されている領域の割合である通風路領域割合が大きくなると低下する回転子導体バー温度と前記通風路領域割合が大きくなると上昇する固定子コイル導体温度とのそれぞれの前記通風路領域割合への依存性から、前記回転子で発生した熱の除去に支障をきたさないか否かを確認し、必要な前記通風路領域割合を確保するステップを有することを特徴とする全閉形回転電機の設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全閉形回転電機の設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全閉形回転電機は、ロータシャフトおよび回転子鉄心を有する回転子と、回転子の外側に配された固定子鉄心とそれを貫通する固定子巻線とを有する固定子を備えている。回転子鉄心および固定子は、フレーム等が形成する閉空間内に収納されている。
【0003】
固定子および回転子鉄心で発生する熱を除去するための冷却は、通常、閉空間内の空気等の冷却用気体の循環と、フレーム等における機内の冷却用気体から外側の冷却媒体への熱移動により行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-238396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
冷却管を有する冷却器が備えられている場合は、閉空間の内側から外側への熱移動は、冷却管の外面から内面への熱移動、すなわち冷却管を通じた伝熱により行われる。
【0006】
一方、冷却管を有さないフィンフレーム方式の場合には、閉空間内の冷却用気体の循環のために、ロータシャフトに取り付けられた内扇が設けられている。また、外気による熱除去のため、フレームの頂部や側部の外側表面には複数のフィンが設けられている(特許文献1参照)。
【0007】
閉空間内の冷却用気体の循環のために、フレームに、軸方向に延びる冷却用気体の通路が形成されている場合がある。この通路は、通常、周方向に互いに間隔をあけて配されている。この場合、フレームの頂部や側部で通路が形成されていない領域には、外表面にフィンが設けられている。
【0008】
図4は、従来の全閉形回転電機の構成例を示す横断面図である。フレーム40は、脚45により下方から支持されている。フレーム40の周方向には、通風孔が、周方向に互いに間隔をおいて配されている。すなわち、上方の両側に2つの上方通風孔42aが、また、両側の脚45および脚リブ46が設けられている部分にそれぞれ下方通風孔42bが形成されている。
【0009】
フレーム40の外側のフレーム外側フィン43は、フレーム40の頂部に複数のフレーム外側頂部フィン43aが、側部に複数のフレーム外側側部フィン43bが、および底部に複数のフレーム外側底部フィン43cがそれぞれ設けられている。
【0010】
回転電機は、一般に、たとえば規定により、容量に応じて、基礎から回転軸の中心までの高さ寸法が所定の高さとするよう定められている。一方、電磁気的な性能上は固定子鉄心の径を極力大きくすることが望まれる。固定子鉄心の径を大きくすれば、フレームの径が増大する。この結果、通常、フレーム40の下面の基礎からの高さ寸法は減少するため、フレーム外側底部フィン43cのフレーム40の外表面からの突出長さ、すなわち、図4の断面におけるフレーム外側底部フィン43cの長さを十分に確保することは一般に難しくなる。
【0011】
一般的な全閉形回転電機の多くにおいては、固定子鉄心21の径方向の外面は、運転状態においては、フレーム40の内面に密着しており、固定子鉄心21および固定子巻線で発生する熱は、固定子鉄心21からフレーム40に伝達し、フレーム40の外表面から外気に放散される。フレーム40の外表面からの熱の放散については、フィンからの放散が支配的である。
【0012】
特に外扇が設けられていない回転電機においては、閉空間の内部と外部との熱移動の境界の面積、すなわち、伝熱面積の確保が重要となるが、フレーム外側底部フィン43cの長さを十分に確保することが難しい状況では、固定子鉄心21からの熱除去能力は、特に底部において低くなり、この部分が冷却効率確保上のネックとなっている。
【0013】
本発明は、簡素化された構成により全閉形回転電機の冷却効率を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成するため、本発明に係る全閉形回転電機の設計方法は、軸方向に延びて回転可能に支持されたロータシャフトと、前記ロータシャフトの径方向外側に設けられた円筒状の回転子鉄心とを有する回転子と、前記回転子鉄心の径方向外側で前記回転子鉄心を囲むように設けられた円筒状の固定子鉄心と、前記固定子鉄心の径方向の内側部分を前記軸方向に貫通する固定子巻線とを有する固定子と、前記固定子の径方向の外側に配されて前記回転子鉄心と前記固定子を収納し、それぞれ前記回転子鉄心および前記固定子側と連通し互いに反対端に形成された通風路入口開口および通風路出口開口を有し前記軸方向に延びた少なくとも一つの通風路が形成されたフレームと、前記回転子鉄心を挟んで前記軸方向の前記ロータシャフトの両側のそれぞれで前記ロータシャフトを支持する2つの軸受と、前記ロータシャフトの少なくとも一方の前記軸受と前記回転子鉄心の間の位置に取り付けられて冷却用気体を駆動する内扇と、前記軸方向に垂直な方向に拡がり脚リブ開口が形成されている脚リブを有し、前記フレームを下方から支持する脚と、前記脚リブ開口が形成された部分に設けられた複数のフレーム外側フィンを含めて前記フレームの前記通風路が形成されていない周方向の領域に設けられた複数のフレーム外側フィンと、を備え、前記通風路は、前記フレームにおいて、前記脚が取り付けられた領域以外の部分であって前記脚よりも上方のみに設けられている、全閉形回転電機の設計方法であって、前記フレームの外表面において前記通風路が形成されている領域の割合である通風路領域割合が大きくなると低下する回転子導体バー温度と前記通風路領域割合が大きくなると上昇する固定子コイル導体温度とのそれぞれの前記通風路領域割合への依存性から、前記回転子で発生した熱の除去に支障をきたさないか否かを確認し、必要な前記通風路領域割合を確保するステップを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡素化された構成により全閉形回転電機の冷却効率を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る全閉形回転電機の構成を示す図1のI-I線矢視立断面図である。
図2】実施形態に係る全閉形回転電機の構成を示す図1のII-II線矢視横断面図である。
図3】実施形態に係る全閉形回転電機の通風路の断面積の割合による各部の温度の依存性を示すグラフである。
図4】従来の全閉形回転電機の構成例を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る全閉形回転電機および全閉形回転電機の設計方法について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0018】
図1は、実施形態に係る全閉形回転電機の構成を示す図1のI-I線矢視立断面図である。また、図2は、図1のII-II線矢視横断面図である。
【0019】
全閉形回転電機100は、回転子10、固定子20、反結合側軸受31、結合側軸受32、およびフレーム40を有する。図1では、かご型の回転電機の場合を示している。
【0020】
回転子10は、軸方向に延びるロータシャフト11およびロータシャフト11の径方向外側に取り付けられた回転子鉄心12、および回転子導体13を有する。ロータシャフト11は、軸方向の一方の端部に結合部11aを有する。
【0021】
結合部11aは、全閉形回転電機100が電動機の場合は被駆動対象との、また、全閉形回転電機100が発電機の場合は原動機との結合部である。以下、ロータシャフト11の回転軸の方向(軸方向)が結合部11aの方向に向かう方向を結合側と呼び、これと反対方向を反結合側と呼ぶものとする。
【0022】
ロータシャフト11は、回転子鉄心12を挟んだ軸方向の両側で、結合側は結合側軸受32、反結合側は反結合側軸受31によりそれぞれ回転可能に支持されている。回転子鉄心12と反結合側軸受31との間の位置において、内扇55がロータシャフト11に設けられている。
【0023】
回転子導体13は、回転子鉄心12の径方向外側近くに互いに並列に周方向に配され回転子鉄心12を軸方向に貫通する複数の回転子導体バーと、回転子鉄心12の軸方向の両外側で、複数の回転子導体を短絡させる環状の短絡環とを有する。
【0024】
固定子20は、固定子鉄心21と複数の固定子巻線22とを有する。固定子鉄心21は、円筒状であり、回転子鉄心12の径方向外側に空隙18をあけて回転子鉄心12を囲むように設けられている。固定子鉄心21方向内側には、周方向に互いに間隔をあけて配され軸方向に延びた複数のスロット(図示せず)が形成されている。固定子巻線22は、これら複数のスロット内を貫通する。
【0025】
フレーム40は、たとえば、円筒状であって、固定子鉄心21の径方向外側に配され、回転子鉄心12および固定子20を収納する。フレーム40の下部には、軸方向に延びてフレーム40を支持する2つの脚45が取り付けられている。脚45には、軸方向に互いに間隔をあけて脚リブ46が設けられている。脚リブ46は、平板状に軸に垂直な方向に広がり、脚45に接続され、また、一部がフレーム40に接続されている。脚リブ46には、脚リブ開口46aが形成されている。
【0026】
今、説明の便宜上、図2に示すように、フレーム40の外表面における周方向角度位置θを、頂点部分を周方向角度位置θがゼロ度、底部を周方向角度位置θが180度として、図2の左右について同様に表わすものとする。
【0027】
フレーム40の両側のθが約80度の付近にはそれぞれ、軸方向に延びた通風孔41が形成され、軸方向に延びている。フレーム40の内側の閉空間40aのうち固定子鉄心21の軸方向外側の反結合側の空間40bと、それぞれの通風孔41の内部の通風路41aとを連通するように入口開口41bが形成されている。また、フレーム40の内側の閉空間40aのうちの固定子鉄心21の軸方向外側の結合側の空間40cと、それぞれの通風孔41の内部の通風路41aとを連通するように出口開口41cが形成されている。
【0028】
フレーム40の外表面のうち、通風孔41が形成されていない周方向の領域には、複数のフレーム外側フィン43が設けられている。フレーム外側フィン43は、複数の互いに並列に配された板状で、それぞれ、径方向に拡がり軸方向に延びている。
【0029】
なお、フレーム外側フィン43の延びる方向は、軸方向に限定されない。たとえば、周方向あるいは、軸方向に対し傾きを有する方向であってもよい。さらに、フレーム外側フィン43は、複数の方向のそれぞれに向いたものを有してもよい。
【0030】
フレーム外側フィン43は、角度位置θが、ゼロ度から順次増大する方向に、フレーム外側頂部フィン43a、フレーム外側上方フィン43d、フレーム外側側部フィン43b、フレーム外側下方フィン43e、および、フレーム外側底部フィン43cを有する。
【0031】
フレーム外側頂部フィン43aは、周方向角度位置θがゼロ度近傍に配されている。フレーム外側上方フィン43dは、フレーム外側頂部フィン43aと2つの通風孔41のそれぞれが形成されている部分との間にそれぞれ配されている。フレーム外側側部フィン43bは、通風孔41が形成されている部分と脚リブ46との間にそれぞれ配されている。フレーム外側下方フィン43eは、脚リブ46に形成された脚リブ開口46aに対応する周方向領域に配されている。フレーム外側底部フィン43cは、2つの脚45の間の、周方向角度位置θが180度近傍に配されている。
【0032】
フレーム40の軸方向の両端は開放されており、結合側の端部には結合側軸受32を静止支持する結合側軸受ブラケット52が取り付けられ、反結合側の端部には反結合側軸受31を静止支持する反結合側軸受ブラケット51が取り付けられている。
【0033】
結合側軸受ブラケット52および反結合側軸受ブラケット51は、フレーム40と相まって閉空間40aを形成する。ロータシャフト11の回転子鉄心12と反結合側軸受31の間の位置の空間40b内に、内扇55が設けられている。閉空間40a内では、たとえば空気などの冷却用気体が、内扇55に駆動されて循環する。以上のように、閉空間40aは、通風路41a、空間40bおよび空間40cを有する。
【0034】
結合側軸受ブラケット52および反結合側軸受ブラケット51の内面には、冷却用気体の流れがスムーズになるようにガイドする、すなわち冷却用気体の循環による圧力損失を抑えるように、流れに沿った滑らかな形状の曲面が形成されている。
【0035】
図4に示す従来の構成例と比較すると、図1および図2に示す本実施形態による回転電機100は、次の特徴を有する。
【0036】
第1に、フレーム40に形成されている通風孔の数が、従来の構成例より少ない。この結果、全体として、通風孔が形成されている範囲の、フレーム40の外表面に占める割合が小さい。したがって、フレーム外側フィン43を設けられる範囲が大きい。
【0037】
第2に、脚45の部分に通風孔が形成されておらず、かつ、脚リブ46に脚リブ開口46aが形成されている。この結果、脚リブ開口46aの位置にもフレーム外側フィン43が設けられている。
【0038】
従来、フレームの、特に脚部を含む底部は、フレーム外側フィン43の径方向の幅が短いため冷却能力が低く、かつ、脚部にフレーム内の通風路があることから、更に冷却の面で不利となっていた。本実施形態では、脚部にある通風路を無くし、それにより生じたフレーム40の表面にもフレーム外側フィン43を設けている。この結果、フレーム40の表面の伝熱面積が増大する。
【0039】
また、脚リブ46に脚リブ開口46aを形成し、フレーム外側下方フィン43eを設けることにより、冷却能力が向上する。脚リブ開口46が形成されていない場合でも、脚リブ46間の軸方向領域にフィンを設けるスペースがあり、その領域にフィンを設けることができる場合があるが、この場合に比較しても、脚リブ開口46aをフィンが貫通し、脚リブ開口46aを外気が流通する分、冷却能力が向上する。
【0040】
以上の結果、従来の例にあるような固定子の底部の冷却不足を補うことができる。
【0041】
次に、本実施形態による全閉形回転電機の作用を説明する。
【0042】
内扇55は、回転子鉄心12および固定子20側から冷却用気体を吸い込み、冷却用気体を径方向外向きに圧送し、フレーム40に形成された通風路41aの入口開口41bに流入させる。冷却用気体は、通風路41aを通過しながら冷却された後に、結合側空間40cに流入し、回転子鉄心12および固定子20を通過し、ふたたび、内扇55に流入する。
【0043】
この冷却用気体の循環によって、回転子10の熱は、冷却用気体に移行する。また、フレーム40内部の温度が平準化する。回転子10から冷却用気体に移行した熱は、フレーム40の通風孔41およびそれ以外の部分、反結合側軸受ブラケット51および結合側軸受ブラケット52から外気に移行する。
【0044】
一方、固定子20で発生した熱の大部分は、固定子鉄心21から直接にフレーム40に伝達され、フレーム40の外表面から外気に放散される。そのため、固定子20で発生した熱の除去の観点からは、フレーム40により多くの放熱用のフィンが設けられていることが望ましい。
【0045】
通常、全閉形回転電機100の内部では、固定子巻線22および固定子鉄心21からの発熱が主であるため、固定子鉄心21での発熱の熱除去能力の向上は、全閉形回転電機100全体の冷却能力の向上につながる。
【0046】
図3は、全閉形回転電機の通風路の断面積の割合による各部の温度の依存性を示すグラフである。横軸は、フレーム40の外表面において通風路41aが形成されている領域の割合を示す。縦軸は、固定子コイル導体温度Tsおよび回転子導体バー温度Trの値である。
【0047】
実線で示す曲線は、回転子導体バー温度Trの通風路領域割合への依存特性を示す。前述のように、回転子10で発生した熱は、冷却用気体に移行して放散されるので、通風路領域割合が大きくなると回転子導体バー温度Trは低下する。
【0048】
破線で示す曲線は、固定子コイル導体温度Tsの通風路領域割合への依存特性を示す。前述のように、固定子20で発生した熱の大部分は、固定子鉄心21から直接にフレーム40に伝達される。通風路領域割合が大きくなると、フレーム40にフレーム外側フィン43を設けられる表面積が減少し、フレーム40に伝達された熱の放散面積が低下する。このため、通風路領域割合が大きくなると、固定子コイル導体温度Tsは上昇する。
【0049】
前述のように、全閉形回転電機100の内部における発熱の多くは、固定子20から生ずるため、フレーム外側フィン43の設置範囲を増加させることにより、全閉形回転電機100の全体の冷却能力を向上させることができる。一方、図3に示すように、通風路41aの減少が、回転子10で発生した熱の除去に支障をきたさないか否かを、確認し、必要な通風路割合を確保した上で、全閉形回転電機100の冷却能力を確保することができる。
【0050】
以上のように、本実施形態によれば、簡素化された構成により全閉形回転電機の冷却効率を確保することができる。
【0051】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。たとえば、実施形態においては、横置型の回転電機の場合を例にとって示したが、立置型の場合であってもよい。また、実施形態では、かご型の回転電機の場合を例にとって示したが、巻線型の誘導回転電機の場合であってもよい。
【0052】
また、実施形態では、通風孔が、周方向角度位置θが約80度の位置にある場合を例にとって示しているが、脚部と干渉しない位置で、脚部より上方であれば、他の周方向角度位置であってもよい。また、単一の通風孔が形成されている場合であってもよい。
【0053】
さらに、実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0054】
10…回転子、11…ロータシャフト、11a…結合部、12…回転子鉄心、13…回転子導体、18…空隙、20…固定子、21…固定子鉄心、22…固定子巻線、31…反結合側軸受、32…結合側軸受、40…フレーム、40a…閉空間、40b…反結合側空間、40c…結合側空間、41…通風孔、41a…通風路、41b…入口開口、41c…出口開口、42a…上方通風孔、42b…下方通風孔、43…フレーム外側フィン、43a…フレーム外側頂部フィン、43b…フレーム外側側部フィン、43c…フレーム外側底部フィン、43d…フレーム外側上方フィン、43e…フレーム外側下方フィン、45…脚、46…脚リブ、46a…脚リブ開口、51…反結合側軸受ブラケット、52…結合側軸受ブラケット、55…内扇、100…全閉形回転電機
図1
図2
図3
図4