(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】調理保存容器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20230324BHJP
B65D 81/34 20060101ALI20230324BHJP
B65D 43/08 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
A47J27/00 107
B65D81/34 U
B65D43/08 100
A47J27/00 101D
(21)【出願番号】P 2018105515
(22)【出願日】2018-05-16
【審査請求日】2021-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】317018882
【氏名又は名称】長田 豊年
(72)【発明者】
【氏名】長田 豊年
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-143385(JP,A)
【文献】実開平04-118349(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
B65D 81/34
B65D 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面円形の容体(1)及び前記容
体(1)の開口部を覆う断面円形の蓋体(2)と、
前記蓋体(2)の上部中央に設けられた開閉孔(3)と、
前記容体(1)の開口部の外周部の側面に設けられた傾斜突条(5)と、
前記蓋体(2)の内周部に設けられ
、前記蓋体(2)の回転方向に対して傾斜する方向に
伸びて且つ前記傾斜する方向に間隔を置いて設けられた2つの蓋体傾斜凹条(6A,6B)と、
を備え、
前記蓋体(2)を前記容体(1)の開口部にのせ時計回りに回すと、前記傾斜突条(5)が一方の前記蓋体傾斜凹条(6B)にクリック感をもって嵌合して、前記蓋体(2)の内周部と前記容体(1)の外周部の隙間から蒸気を排出可能な蒸気排出可能状態となり、
前記蒸気排出可能状態から前記蓋体(2)を更に時計回りに回し込むと、前記傾斜突条(5)が他方の前記蓋体傾斜凹条(6A)にクリック感をもって嵌合して、前記容体(1)の前記開口部の上部内縁が、前記蓋体(2)の天面内部と密接して密閉状態となり、
前記密閉状態において前記開閉孔(3)を開放すると内圧を解除して前記蓋体(2)を開けることができ、
前記蓋体(2)はその外周部に設けられた指示突起(7)と、前記開閉孔(3)の周囲を囲むように設けられた開閉摘み部(4)を備え、前記開閉摘み部(4)は前記蓋体(2)の開閉時に掴むことができ、前記指示突起(7)は、前記容体(1)に設けられた表示部分(8)に対する周方向への位置関係により、前記蓋体(2)の開状態、前記蒸気排出可能状態、前記密閉状態の別が目視可能である調理保存容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食品を保存したり、電子レンジで加熱調理、圧力調理することを誰もが簡単に行え、密閉保存可能な容器に関わる。
【技術背景】
【0002】
この種の容器は食材調理を電子レンジを利用し加熱調理を行う場合、上蓋を外しての調理が大半で、保管食品の蒸気発生と蒸気発散によりその食品に部分乾燥やパサつき、又それらの結果として乾燥硬化が生じやすい。又密閉状態として冷蔵庫などで保存した状態の食品をそのまま電子レンジで加熱調理をすると、容器の内圧が高まり容器の破損や破裂現象が起きる。
【0003】
電子レンジでの加熱調理容器では、本体の内側に全体に波形突条が形成され、蓋は本体上部内部にはまり込み、外向きに波形突条が形成された電子レンジ調理用容器がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に示す電子レンジ調理用容器は、蒸気排出溝を設け蓋が上方に移動したとき本体と蓋を連通させて蒸気を排出させることを特徴としている。この機構を構成するために蓋外突条部分が外周を覆い、本体内壁も突条部分が内周にある。よって、電子レンジ調理用容器に特化しており、調理後に次の課題として簡単な保存が別途必要になる。
【0006】
そこでこの発明は、電子レンジ調理用容器自体に加熱調理使用時の利便さと、調理後の食べ残しの保存、および、保存時の密閉性を確保することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、この発明は、
断面円形の容体及び前記容体の開口部を覆う断面円形の蓋体と、
前記蓋体の上部中央に設けられた開閉孔と、
前記容体の開口部の外周部の側面に設けられた傾斜突条と、
前記蓋体の内周部に設けられ、前記蓋体の回転方向に対して傾斜する方向に伸びて且つ前記傾斜する方向に間隔を置いて設けられた2つの蓋体傾斜凹条と、
を備え、
前記蓋体を前記容体の開口部にのせ時計回りに回すと、前記傾斜突条が一方の前記蓋体傾斜凹条にクリック感をもって嵌合して、前記蓋体の内周部と前記容体の外周部の隙間から蒸気を排出可能な蒸気排出可能状態となり、
前記蒸気排出可能状態から前記蓋体を更に時計回りに回し込むと、前記傾斜突条が他方の前記蓋体傾斜凹条にクリック感をもって嵌合して、前記開口部の上部内縁が前記蓋体の天面内部と密接して密閉状態となり、
前記密閉状態において前記開閉孔を開放すると内圧を解除して前記蓋体を開けることができ、
前記蓋体はその外周部に設けられた指示突起と、前記開閉孔の周囲を囲むように設けられた開閉摘み部を備え、前記開閉摘み部は前記蓋体の開閉時に掴むことができ、前記指示突起は、前記容体に設けられた表示部分に対する周方向への位置関係により、前記蓋体の開状態、前記蒸気排出可能状態、前記密閉状態の別が目視可能である調理保存容器とした。
【発明の効果】
【0008】
この発明は、電子レンジ調理用容器自体に加熱調理使用時の利便さと、調理後の食べ残しの保存、および、保存時の密閉性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】容体への蓋体の脱着の際における腰部平面図であり、
図1での容体の位置表示にそっており、Cは開放状態で
、Dは調理可能状態で圧力による蒸気
排出可能状態
、Eは密閉状態
【
図3】
図2に示す容器の要部斜面図で容体表示を付した状態と蓋体の位置関係図
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明は、高年齢層になっても孫と共に調理が行える簡単な容器であること、お父さんやお母さんのお手伝いで児童も楽しく調理手伝いが出来ることを念頭に置き、加熱調理の機能性並びに簡易性と安全性を重視し、容器としての基本用途を設けた。調理設定を時間を取らないよう容易にでき、加熱調理に加えて圧力調理を簡単に行えること、また安全な密閉保存が可能な機構を備えた容器とした。
【0011】
この発明は、本体上部外側に3か所、もしくは4か所に傾斜のある凸線または凸点を作り、蓋体の内側に回転方向の傾斜を持つ凹線を2本(途中に隙間を作りクリック感を持たせる)3か所もしくは4か所に設け、同一方向への回転により蓋と本体に蒸気を排出する隙間を確保した状態で止め調理が出来、同一方向にさらに回転させるとクリック感で次のステップの 保管 となり、蓋窪み部分と本体内側に重なり合いが生じ、密閉状態となるよう形成された構成を採用した。
【0012】
前記構成においては、前記容体及び蓋体の加熱調理設定では、蒸気排出が成され得る相対回転位置において、容体の傾斜凸部(傾斜突条)と蓋体の傾斜凹部(蓋体傾斜凹条)が係合するようにすることが好ましい。
【0013】
容器容体と蓋体の間の蒸気排出の隙間は容体と蓋体の相対回転位置によって決まるが、傾斜突条と蓋体傾斜凹条が係合するときに、〔クリック感〕が発生する。その〔クリック感〕を感じ取り、加熱調理用の隙間の決定を容易に行えるようにした。
【0014】
更に蓋体に掴み手を形成し開閉及び調理の段階における容体との相対回転位置の範囲において、本体容体の持ち手部分に目視可能な表示部分を設け、蓋体外周にも目視表示を付すことにより、より解り易く確認できる。
【0015】
この発明では、調理後に一定時間除熱してから密閉するのを基本としているが、蓋体に開閉孔を付ける事で、たとえば加熱調理した後の残り物を真空密閉保存し、そのまま温める必要なく食す場合は、真空保存の場合は蓋体の開閉孔を開くと蓋を開けることができる。真空保存時は滅菌状態で内圧が掛かった状態の為、簡単に蓋は空けれないし、内容物は容器から漏れたりしない。
【実施例】
【0016】
この発明に係る容器を
図1に示す。この容器は、容体1と蓋体2、開閉孔3とから構成される。容体1は円形の開口部をしており、この開口部の外周部
の側面には、開口部側に傾斜する傾斜突条5が、蓋体傾斜凹条6(
6A,
6B)との相対回転方向に対して90度回転対称の場合4か所、120度回転対称の場合3カ所設けられている。蓋体には簡単に回転させるための開閉掴み部4が設けられ、容体
1には持ち運び用把手が設けてある。
【0017】
蓋体2の上部中央に開閉孔3を設け、容体1に調理食品が温かく冷めていないで蓋体2で密閉した場合、そのまま冷たい状態で蓋の開閉をしたい場合は容体1内は真空密閉状態となっていて蓋体2は空かない。その場合は開閉孔3を開けると、真空状態は開放され、蓋体2は簡単に開けることが可能になる。
【0018】
容体1と蓋体2が真空密閉状態の場合、加熱する場合は、そのまま予定温めの時間を少な目にして電子レンジで温めると簡単に蓋体2は開ける事が可能となる。
【0019】
図2に示す容器の
使用状態(
図2C~
図2E)と、
図3に表示する機能表示(開、閉、調理)
、図1での蓋体
2と容体
1の相対回転位置について説明する。
【0020】
蒸気排出可能
状態(
図2Dに対応する蓋体2の位置)
は調理可能状態
であり、蓋体
2の指示突起(表示照合突起部
)7が
、容体1の表示部分8の中の符号Dの(調理)部分との回転位置
である。すなわち
図1でいうところの
容体1の傾斜突条5が
、蓋体
2の一方の蓋体傾斜凹条6B
にクリック感をもって嵌合する位置にある。
【0021】
蒸気排出可能状態(調理可能状態)では、蓋体2と容体1との間に僅かに隙間が生じている。食品の加熱調理時にはこの隙間は少しの膨らみを柔軟に円形の蓋全周にもたらせ、程よく蒸気を排出可能にする。全体が円形で凹凸条の相対回転位置が生み出す狭い隙間は蒸気排出調理における蒸気排出を抑制させる機能を兼ね備え、加熱調理時の水分の蒸発を抑え、食品のパサつきを防止することを可能とした。
【0022】
蒸気排出可能状態
では、
図1の符号A、B
に示す蓋体傾斜凹条
6(蓋体傾斜凹条
6A,6B)と
傾斜突条5の厚みに余裕があり、その遊びの分も蒸気排出に柔軟性をもたらせる。又上記は蓋
体2の内側を通過して下方に排出されるため、より水分の排出を過剰に失われない状況を作っている。
【0023】
また、この蒸気排出可能状態に至る際に、蓋体2の回転時に容体1の傾斜突条5が蓋体2の一方の蓋体傾斜凹条6Bに入り込む際使用者にクリック感が伝わる。このため使用者は、容体1の表示部分8のDの表示と指示突起7での確認時の大きな手助け、容易に使用者に蒸気排出可能状態(調理可能状態)を伝える手助けとなる。
【0024】
更に密閉状態
(図2Eに対応する蓋体2の位置)は、蓋体2は容体1に対し
て相対回転がロックされこれ以上回転できない状態になる。またこの状態で
、容体1の開口部の上部内縁が蓋
体2の天面内部
と密接(当接
)して、密閉度はより強固になる。
【0025】
更に、密閉状態では、蓋体2は容体1に対して、これ以上締め付け方向に回転出来ない事が
図3に示す符号Eの状況で確認できる。
傾斜突条5と
蓋体2の他方の蓋体傾斜凹条6Aとの嵌合は
、図2E図に於いて内側で円形に嵌合しており、なおかつ温度による真空状況も加わり密封状態が確実に維持される。
【0026】
前記構成では、
図3で
容体1の表示部分8を開、閉、調理 としているが、絵柄や英文字や手表示イラスト凸記号などさまざまな表現が可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 容体
2 蓋体
3 開閉孔
4 蓋つまみ
5 傾斜突条
6A 傾斜凹条
6B 傾斜凹条
7 指示突起
8 機能表示