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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】浴槽
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/02 20060101AFI20230324BHJP
【FI】
A47K3/02
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018154540
(22)【出願日】2018-08-21
(65)【公開番号】P2020028368
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉原 新一朗
(72)【発明者】
【氏名】新村 雄三
(72)【発明者】
【氏名】西尾 公一
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-182631(JP,A)
【文献】実開昭63-054385(JP,U)
【文献】特開2005-296185(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02199740(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端周縁に設けられたフランジ部、及び前記フランジ部の外縁から垂下して延びるフランジ垂下部を有した浴槽本体と、
上側が前記上側よりも下方である平面部に比べて洗い場側に突出しており、前記フランジ垂下部の下端よりも下方で隣合うように手かけ部を形成したエプロンカバーと、
を備え、
前記フランジ垂下部は、前記平面部に比べて前記洗い場側に突出しており、
前記上側は、前記フランジ垂下部よりも前記洗い場側に突出しているとともに、上方に向けて窪んで湾曲した湾曲面によって形成され、前記湾曲面の下端が前記平面部に連続していることを特徴とする浴槽。
【請求項2】
前記手かけ部は滑り止め部を有していることを特徴とする請求項1に記載の浴槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浴槽に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エプロン部を上側エプロンパーツと下側エプロンパーツとに分割して構成し、上側エプロンパーツには、入浴中の利用者が自らの手の平をフランジ部に宛がう状態でその手の指先が掛かる位置に凹部を設け、この凹部をその表面の色調がこの凹部以外の部分についての表面の色調と異なるように形成するとともに、その表面に軟質材からなる表層を形成した浴槽が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-116923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の浴槽は、浴槽本体のフランジ部の垂下片の洗い場側の表面とエプロン部の下側エプロンパーツの上側の洗い場側の表面とほぼ同一平面上に位置している。このため、この浴槽を洗い場から見た場合、浴槽本体の洗い場側の面が平坦に見えるおそれがあり、これにより、使用者は凹部が窪んでいることを認識できない可能性がある。このため、使用者はフランジ部と凹部とを掴むことを想到し難いおそれがある。また、この浴槽の凹部は、ほぼ同一平面上に位置するフランジ部の垂下片とエプロン部とで挟まれている。このため、この浴槽は凹部を斑なく清掃し難いおそれがある。
【0005】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、使い易く清掃がし易い手かけ部を有した浴槽を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の浴槽は、
上端周縁に設けられたフランジ部、及び前記フランジ部の外縁から垂下して延びるフランジ垂下部を有した浴槽本体と、
上側が前記上側よりも下方に比べて洗い場側に突出しており、前記フランジ垂下部の下端よりも下方で隣合うように手かけ部を形成したエプロンカバーと、
を備えていることを特徴とする。
【0007】
この浴槽のエプロンカバーの手かけ部は、手かけ部の下方に比べて洗い場側に突出して形成されている。このため、この浴槽を洗い場から見た場合、手かけ部が洗い場側に突出していることが目につき易いため、使用者は手かけ部を掴むことを想到し易い。また、この浴槽は、手かけ部をフランジ垂下部の下端よりも下方に隣合い形成することによって、フランジ部とエプロンカバーの手かけ部との間の寸法をより小さくすることができ、これにより、使用者がフランジ部と手かけ部とを掴み易い。また、この浴槽のエプロンカバーの手かけ部は、手かけ部の下方に比べて洗い場側に突出しているため、斑なく清掃し易い。
【0008】
したがって、本発明の浴槽は手かけ部が使い易く清掃し易い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】浴室内における、実施例1の浴槽、及び浴槽に隣り合う洗い場の配置を示す上方から見た平面図である。
図2図1における矢視A-A断面図である。
図3図1における矢視B-B断面図である。
図4】実施例1の浴槽のエプロン本体をエプロンカバーが取り付けられる側から見た斜視図である。
図5】実施例1の浴槽のエプロンカバーをエプロン本体に取り付ける側から見た斜視図である。
図6図3における矢視C-C断面図であって、(A)は爪部本体がねじの右側に位置し、エプロンカバーの被係止部の長孔の下方に位置した状態を示し、(B)は爪部本体がねじの上側に位置し、エプロンカバーの被係止部の長孔に挿入された状態を示す。
図7図1の矢視A-A断面図における、浴室内に設置された浴槽本体に取り付けられたエプロン本体にエプロンカバーを取り付ける取付け方法を示し、(A)はエプロンカバーの被当接部をエプロン本体の第2垂下部の第2基部の下方に配置した状態であり、(B)は第2垂下部の第2垂下片に被当接部を係合させた状態であり、(C)はエプロンカバーの被係止部の下端面をエプロン本体の係止部の上端面に当接させた状態である。
図8図1の矢視B-B断面図における、浴室内に設置された浴槽本体に取り付けられたエプロン本体にエプロンカバーを取り付ける取付け方法を示し、(A)はエプロンカバーの係合部、及び被当接部をエプロン本体の第1垂下部の第1基部、及び当接部の下方に配置した状態であり、(B)は第1垂下部の第1垂下片に係合部を係合させた状態であり、(C)はエプロンカバーの被係止部の長孔にエプロン本体の爪部の爪部本体を挿入し、エプロンカバーの被当接部の上端面をエプロン本体の当接部の下端面に当接させた状態である。
図9図1の矢視A-A断面図において、洗い場から浴槽の手かけ部に手をかけた状態を示し、(A)は(B)に比べて大きい手が手かけ部に手をかけた状態であり、(B)は(A)に比べて小さい手が手かけ部に手をかけた状態である。
図10図1の矢視A-A断面図において、浴槽本体側から浴槽の手かけ部に手をかけた状態を示し、(A)は(B)に比べて大きい手が手かけ部に手をかけた状態であり、(B)は(A)に比べて小さい手が手かけ部に手をかけた状態である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明における好ましい実施の形態を説明する。
【0011】
本発明の浴槽の手かけ部は滑り止め部を有し得る。この場合、滑り止め部によって、手かけ部にかけた指が滑り難くなるため、浴槽の出入りがし易い。
【0012】
次に、本発明の浴槽を具体化した実施例1について、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
<実施例1>
実施例1の浴槽1は、図1に示すように、洗い場2を有する浴室Bに設置され、洗い場2に隣合い配置されている。
浴槽1は、浴槽本体10、エプロン本体11、及びエプロンカバー12を備えている(図2、3参照。)。浴槽本体10は下方向に窪み形成された凹部10Aを有している。凹部10Aは上方から見た平面視において左右方向(左右は、図1における、上側下側である。以下同じ)に延びたほぼ楕円形状をなしている。浴槽本体10は、凹部10Aの上端(上下は、図1における、手前側奥側である。以下同じ)の周縁に設けられたフランジ部10B、及びフランジ部10Bの洗い場2側の外縁から垂下して延びるフランジ垂下部10Cを有している(図2、3参照。)。
【0014】
凹部10Aより洗い場2側に位置するフランジ部10Bの左右中央部には、上側傾斜部10Dが形成されている。上側傾斜部10Dは、洗い場2側の浴槽1の側面部3の左右中央上部に設けられ、上方から見た平面視において、洗い場2側に延びた上端縁の左右両端部よりも洗い場2側に突出し、左右中央に向かうにつれて突出する寸法が徐々に大きくなっている。また、凹部10Aより洗い場2側に位置するフランジ部10Bの左右両端部は後述するエプロンカバー12の平面部12Aより洗い場2側に突出していない。また、上側傾斜部10Dには洗い場2側に延びた上端縁から洗い場2から離れる方向(すなわち、浴槽1側)に向けて下方に傾斜し、上方に向けて突出して湾曲した湾曲面で形成された上面10Eを有している。
【0015】
エプロン本体11は、図2、3に示すように、上下方向に拡がり、ほぼ平板状をなして左右方向に延び、浴槽本体10の洗い場2側に配置され取り付けられる。また、エプロン本体11は、図4に示すように、当接部11A、4つの第1垂下部11B、第2垂下部11C、6つの係止部11D、及び4つの爪部11Eを有している。
当接部11Aは、エプロン本体11の上部に、左右方向に延びて洗い場2側に向けて突出して設けられている。また、当接部11Aは、エプロン本体11の左右中央部において切り欠かれ、左側と右側とに分断されている。
【0016】
4つの第1垂下部11Bは、当接部11Aの下方の近傍であって、当接部11Aが延びる左右方向に並んで設けられている。これら第1垂下部11Bは、第1取付け部11F、第1基部11G、及び第1垂下片11Hを具備している。
第1取付け部11Fは、板状をなし、エプロン本体11の洗い場2側の面に当接し、ねじS1及びナットN1でエプロン本体11に連結されている(図3参照。)。
【0017】
第1基部11Gは、左右方向に延びており、第1取付け部11Fから洗い場2側に向けて突出している。
第1垂下片11Hは第1基部11Gの先端から下方向に垂下している。つまり、第1垂下部11Bの第1垂下片11Hは下方向に垂下している。
【0018】
第2垂下部11Cは左側と右側とに分断された当接部11Aの間に配置されている(図4参照。)。第2垂下部11Cは、第2取付け部11J、第2基部11K、及び第2垂下片11Lを具備している。
第2取付け部11Jは、板状をなし、エプロン本体11の当接部11Aが設けられた面に当接し、ねじS2及びナットN2でエプロン本体11に連結されている(図2参照。)。また、第2取付け部11Jの上端部は、洗い場2側に向けて傾斜している(図2参照。)。
【0019】
第2基部11Kは、左右方向に延びており、第2取付け部11Jから洗い場2側に向けて突出している。第2基部11Kの下端面は当接部11Aの下端面とほぼ面一である(図示せず。)。
第2垂下片11Lは第2基部11Kの先端から下方向に垂下している。つまり、第2垂下部11Cの第2垂下片11Lは下方向に垂下している。
【0020】
6つの係止部11Dは、エプロン本体11の下端部に、洗い場2側に向けて突出して左右方向に延び、当接部11Aが延びる方向に並んで設けられている。各係止部11Dの上端面の上下方向の位置は互い同じである。
【0021】
4つの爪部11Eは、エプロン本体11の下端部に、各第1垂下部11Bのほぼ真下にそれぞれが配置されている。これら爪部11Eは、回動部11M、つまみ部11N、爪部本体11Pを有している。
回動部11Mはほぼ平板状をなしている。回動部11Mには板厚方向に貫通して貫通孔が形成されている。各爪部11Eは、外周縁に鍔が形成され挿通孔が形成された筒部材11Qが回動部11Mの貫通孔に挿入され、この筒部材11Qの挿通孔にねじS3が挿通され、ねじS3及びナットN3でエプロン本体11に連結されている(図3参照。)。各爪部11EはねじS3の中心軸周りに回動自在である。
【0022】
つまみ部11Nは、回動部11Mの下端から下方向に垂下している。
爪部本体11Pは、平板状をなし、回動部11Mの厚みより薄く形成されている。爪部本体11Pは回動部11Mのエプロン本体11から離れた側の面に沿って回動部11Mの右側から右方向に延びている。
爪部11Eは、図6に示すように、例えばつまみ部11Nに指をかけ、ねじS3の中心軸周りに回動させることによって、爪部本体11Pの位置をねじS3に対して右側と上側とに変化させることができる。これにより、爪部11Eの爪部本体11Pは後述するエプロンカバー12の被係止部12Gの長孔12Kに挿抜自在である。また、爪部11Eは、爪部本体11Pの位置がねじS3に対して右側から上側、及び上側から右側に不用意に変化しないように、姿勢を保持することができる構成とされている。
【0023】
エプロンカバー12は、図2、3に示すように、エプロン本体11よりも洗い場2側に配置され、上端が浴槽本体10のフランジ垂下部10Cの下端縁に隣合っている。
また、エプロンカバー12は、図5に示すように、平面部12A、下側傾斜部12B、屈曲部12C、被当接部12D、4つの係合部12E、及び被係止部12Gを有している。
【0024】
平面部12Aは、上下方向に拡がり、ほぼ平板状をなして左右方向に延びている。
下側傾斜部12Bは、平面部12Aの左右中央部の上端部に設けられ、洗い場2側に向けて突出している(図2、3参照。)。つまり、エプロンカバー12はエプロンカバー12の上側であり上端部である下側傾斜部12Bが下側傾斜部12Bよりも下方に位置する平面部12Aに比べて洗い場2側に突出している。下側傾斜部12Bは左右中央に向かうにつれて洗い場2側に突出する寸法が大きくなっている(図1参照。)。
下側傾斜部12Bの上端部は、図2、3に示すように、浴槽本体10のフランジ垂下部10Cより洗い場2側に位置している。
下側傾斜部12Bの洗い場2側には、平面部12Aに向けて下方に傾斜し、上方に向けて窪んで湾曲した湾曲面によって形成され、下端が平面部12Aに連続する下面12Jが形成されている。また、下面12Jには、滑り止め部12Hが形成されている。滑り止め部12Hは、例えば、下面12Jにシボ加工が施されて形成されている。
【0025】
屈曲部12Cは、エプロンカバー12の上端に連結し、エプロン本体11側に向けて屈曲している。
被当接部12Dは屈曲部12Cの先端部に左右方向に沿って延び、上方向に突出して設けられている。被当接部12Dの上端面はエプロン本体11の当接部11Aの下端面、及び第2垂下部11Cの第2基部11Kの下端面に当接する。
また、第2垂下部11Cの第2基部11Kの下端面に当接する部分の被当接部12Dは、第2垂下部11Cの第2垂下片11Lに係合する(図2参照。)。第2垂下部11Cの第2基部11Kの下端面に当接する部分の被当接部12Dは、洗い場2側の面が第2垂下片11Lの浴槽本体10側の面に当接し、浴槽本体10側の面の上端部が第2取付け部11Jの洗い場2側の面の上端部に当接している(図2参照。)。これにより、エプロンカバー12の上部の洗い場2側及び浴槽本体10側への移動を規制することができる。つまり、第2垂下部11Cの第2基部11Kの下端面に当接する部分の被当接部12Dは係合部12Lである(図2、5参照。)。
【0026】
4つの係合部12Eは、エプロンカバー12の浴槽本体10側の面の上端部に、左右方向に並んで設けられている。これら係合部12Eは、左右方向に延びており、エプロンカバー12の浴槽本体10側の面から浴槽本体10側に所定の寸法を設けて離れ、左右両端部が洗い場2側に向けて屈曲し、エプロンカバー12の浴槽本体10側の面に連結している。これら係合部12Eの内の内側に配置された2つは下側傾斜部12Bに配置されている(図3、5参照。)。4つの係合部12Eはエプロン本体11の4つの第1垂下部11Bの第1垂下片11Hにそれぞれが係合される(図3参照。)。各係合部12Eの洗い場2側の面には第1垂下片11Hの浴槽本体10側の面が当接する(図3参照。)。各係合部12Eが配置された下側傾斜部12Bの浴槽本体10側の面には、第1垂下片11Hの洗い場2側の面が当接する(図3参照。)。これにより、エプロンカバー12の上部の洗い場2側及び浴槽本体10側への移動を規制することができる。
【0027】
被係止部12Gは、図5に示すように、エプロンカバー12の下端部に、浴槽本体10側に向けて突出し、左右方向に延びて設けられている。被係止部12Gは、エプロンカバー12の左右中央部において切り欠かれ、左側と右側とに分断されている。
また、被係止部12Gには4つの長孔12Kが形成されている。各長孔12Kは左右方向に長く形成されている。各長孔12Kは4つの係合部12Eのほぼ真下にそれぞれが配置されている。被係止部12Gの下端面はエプロン本体11の係止部11Dの上端面に当接する(図2参照。)。また、被係止部12Gの長孔12Kには、エプロン本体11の爪部11Eの爪部本体11Pが挿入される(図3、6(B)参照。)。
【0028】
次に、浴室B内に設置された浴槽本体10に取り付けられたエプロン本体11にエプロンカバー12を取り付ける取付け方法を説明する。
【0029】
先ず、エプロンカバー12の係合部12E及び被当接部12Dの係合部12Lをエプロン本体11の第1垂下部11B及び第2垂下部11Cに係合させる。具体的には、エプロンカバー12の係合部12E及び被当接部12Dの係合部12Lをエプロン本体11の第1垂下部11Bの第1基部11G及び第2垂下部11Cの第2基部11Kの下方に配置する(図7(A)、8(A)参照。)。そして、エプロンカバー12を上方向に移動させて、第1垂下部11Bの第1垂下片11H、及び第2垂下部11Cの第2垂下片11Lに係合部12E及び被当接部12Dの係合部12Lを係合させる(図7(B)、8(B)参照。)。
【0030】
次に、図7(C)に示すように、エプロンカバー12の被係止部12Gをエプロン本体11の係止部11Dに係止する。具体的には、エプロンカバー12の係合部12E及び被当接部12Dの係合部12Lをエプロン本体11の第1垂下部11B及び第2垂下部11Cに係合させた状態を保ちつつ、エプロンカバー12の下側をエプロン本体11に近づける。そして、エプロンカバー12の被係止部12Gの下端面をエプロン本体11の係止部11Dの上端面に当接させて係止する。これにより、エプロンカバー12がエプロン本体11に対して下方向に移動することを規制しつつ、係合部12E及び被当接部12Dの係合部12Lをエプロン本体11の第1垂下部11B及び第2垂下部11Cに係合させた状態を維持することができる。また、このとき、被当接部12Dの上端面はエプロン本体11の当接部11Aの下端面に当接する(図8(C)参照。)。
【0031】
次に、図6(A)、(B)、図8(C)に示すように、エプロンカバー12の被係止部12Gの長孔12Kにエプロン本体11の爪部11Eの爪部本体11Pを挿入する。具体的には、爪部11Eのつまみ部11Nに手をかけ、爪部11Eを回動させて、ねじS3に対する爪部本体11Pの位置を右側から上側に変化させる(図6(A)、(B)参照。)。こうして、爪部本体11Pをエプロンカバー12の被係止部12Gの長孔12Kに挿入する。これにより、エプロンカバー12の下部が洗い場2側へ移動することを規制することができる。こうして、エプロンカバー12を浴室B内に設置された浴槽本体10に取り付けられたエプロン本体11に取り付ける。
【0032】
また、浴槽1は手かけ部30を備えている。手かけ部30は、図2に示すように、上側傾斜部10Dの上面10E、及び下側傾斜部12Bの下面12Jを有している。また、下面12Jには滑り止め部12Hが形成されている。つまり、手かけ部30は滑り止め部12Hを有している。手かけ部30は、図1、2に示すように、浴槽1の洗い場2側の側面部3の左右中央上部に設けられている。手かけ部30は、上方から見た平面視において、洗い場2側に延びたフランジ部10Bの上端縁の左右両端部よりも洗い場2側に突出している(図1参照。)。
【0033】
上面10Eは、洗い場2側に延びたフランジ部10Bの上端縁から洗い場2から離れる方向に向けて下方に傾斜し、上方に向けて突出して湾曲した湾曲面によって形成されている。上面10Eの下端は下面12Jの上端とほぼ同じ高さである。
【0034】
下面12Jはエプロンカバー12の上部に設けられた下側傾斜部12Bに設けられている。下面12Jは、洗い場2側のエプロンカバー12の平面部12Aに向けて下方に傾斜し、上方に向けて窪んで湾曲した湾曲面によって形成され、下端が洗い場2側のエプロンカバー12の平面部12Aに連続している。つまり、エプロンカバー12は上部に手をかける手かけ部30を有している。エプロンカバー12の手かけ部30の下面12Jは、フランジ垂下部10Cの下端よりも下方で隣合うように配置されている。つまり、エプロンカバー12の手かけ部30は、フランジ垂下部10Cの下端よりも下方で隣合うように配置されている。
手かけ部30の上面10Eは下面12Jより傾斜が緩やかである。また、手かけ部30は洗い場2から離れるにつれて上下方向の寸法が大きくなっている。
【0035】
使用者が洗い場2側から手かけ部30に手をかける際、使用者の手の指は、図9(A)、(B)に示すように、親指と他の指とが互いに対向し、指先に向かうに従って互いの間が広がる格好になる。そして、手かけ部30は洗い場2から離れるにつれて上下方向の寸法が大きくなっている。つまり、使用者の手の格好と手かけ部30の左右方向に直交する方向の断面形状とが似ているため、使用者の手の大きさが異なる場合でも、手かけ部30に良好に手をかけることができる。
また、使用者が浴槽本体10側から手かけ部30に手をかける際、使用者の手の平は、図10(A)、(B)に示すように、使用者の手の大きさが異なる場合でも、上側傾斜部10Dの上面10Eに沿って当接し、指先が下側傾斜部12Bの下面12Jに確実に当接する。これにより、浴槽1は浴槽本体10側からも手かけ部30に良好に手をかけることができる。
【0036】
また、エプロンカバー12の被当接部12Dの上端面がエプロン本体11の当接部11Aの下端面に当接している(図3参照)ため、使用者が手かけ部30を掴んでも、エプロンカバー12が上方向に撓むことを抑えることができる。
【0037】
また、エプロンカバー12の被当接部12Dの係合部12Lの上端面がエプロン本体11の第2垂下部11Cの第2基部11Kの下端面に当接している(図2参照)ため、使用者が手かけ部30の第2垂下部11Cが設けられた場所を掴んでも、エプロンカバー12が上方向に撓むことを抑えることができる。
また、エプロンカバー12の被当接部12Dの係合部12Lの浴槽本体10側の面の上端部がエプロン本体11の第2垂下部11Cの第2取付け部11Jの洗い場2側の面の上端部に当接している(図2参照)ため、使用者が手かけ部30の第2垂下部11Cが設けられた場所を掴んでも、浴槽本体10側に向けてエプロンカバー12が撓むことを抑えることができる。
また、エプロンカバー12の被当接部12Dの係合部12Lの洗い場2側の面がエプロン本体11の第2垂下片11Lの浴槽本体10側の面に当接している(図2参照)ため、使用者が手かけ部30の第2垂下部11Cが設けられた場所を掴んでも、洗い場2側に向けてエプロンカバー12が撓むことを抑えることができる。
【0038】
また、エプロンカバー12の4つの係合部12Eの内の内側に配置された2つが手かけ部30に設けられて(図3、5参照)いる。そして、係合部12Eの洗い場2側の面には、第1垂下部11Bの第1垂下片11Hの浴槽本体10側の面が当接しているため、使用者が手かけ部30の係合部12Eが設けられた場所を掴んでも、洗い場2側に向けてエプロンカバー12が撓むことを抑えることができる。
また、各係合部12Eが配置された下側傾斜部12Bの浴槽本体10側の面には、第1垂下片11Hの洗い場2側の面が当接しているため、使用者が手かけ部30の係合部12Eが設けられた場所を掴んでも、浴槽本体10側に向けてエプロンカバー12が撓むことを抑えることができる。
【0039】
このように、浴槽1のエプロンカバー12の手かけ部30は、手かけ部30の下方に比べて洗い場2側に突出して形成されている。このため、浴槽1を洗い場2から見た場合、手かけ部30が洗い場2側に突出していることが目につき易いため、使用者は手かけ部30を掴むことを想到し易い。また、浴槽1は、手かけ部30をフランジ垂下部10Cの下端よりも下方に隣合い形成することによって、フランジ部10Bとエプロンカバー12の手かけ部30との間の寸法をより小さくすることができ、これにより、使用者がフランジ部10Bと手かけ部30とを掴み易い。また、浴槽1のエプロンカバー12の手かけ部30は、手かけ部30の下方に比べて洗い場2側に突出しているため、斑なく清掃し易い。
【0040】
したがって、本発明の浴槽1は手かけ部30が使い易く清掃し易い。
【0041】
また、浴槽1の手かけ部30は滑り止め部12Hを有している。このため、滑り止め部12Hによって、手かけ部30にかけた指が滑り難くなるため、浴槽1の出入りがし易い。
【0042】
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例1に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例1では、滑り止め部は下面にシボ加工が施された部分であるが、ゴムやエラストマー等で形成された部材を貼着してもよい。
(2)実施例1では、手かけ部の上側傾斜部の上面、及び下側傾斜部の下面が湾曲した湾曲面で形成されているが、上側傾斜部の上面、及び下側傾斜部の下面を平面で形成してもよい。また、上側傾斜部の上面、及び下側傾斜部の下面を湾曲面及び平面で形成してもよい。
(3)第1垂下部、第2垂下部、係止部、爪部、係合部、及び被係止部に形成する長孔の数は、実施例1に開示された数に限定されない。
(4)実施例1では、被当接部の上端面が当接部の下端面、及び第2基部の下端面に当接し、被当接部の洗い場側の面が第2垂下片の浴槽本体側の面に当接し、浴槽本体側の面が第2取付け部の洗い場側の面の上端部に当接しているが、隙間を設けてもよい。
(5)実施例1では、下側傾斜部をエプロンカバーと一体的に形成しているが、エプロンカバーと別体で形成した下側傾斜部をエプロンカバーに連結してもよい。
(6)実施例1では、エプロンカバーの上端部である下側傾斜部が下側傾斜部よりも下方に位置する平面部に比べて洗い場側に突出しているが、下側傾斜部がエプロンカバーの上側に位置していてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…浴槽
2…洗い場
10…浴槽本体
10B…フランジ部
10C…フランジ垂下部
12…エプロンカバー
12H…滑り止め部
30…手かけ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10