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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】マイクロバブル発生装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 25/422 20220101AFI20230324BHJP
   B01F 23/2373 20220101ALI20230324BHJP
【FI】
B01F25/422
B01F23/2373
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019040530
(22)【出願日】2019-03-06
(65)【公開番号】P2020142185
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】305060154
【氏名又は名称】アルテミラ製缶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】鷹取 敏治
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】南馬 孝之
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-050341(JP,A)
【文献】特開2007-209509(JP,A)
【文献】特開2012-210616(JP,A)
【文献】特開昭55-159831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 23/23 - 23/2375
B01F 25/40 - 25/46
B05B 1/02
B08B 3/00 - 3/14
A47K 3/02 - 4/00
E03C 1/084
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が流通する管に設けられるマイクロバブル発生装置であって、
中心軸に沿って延びる本体筒と、
前記本体筒の内部に形成される液体の流路と、
前記本体筒の内部に配置され、前記中心軸の軸方向に互いに重なる複数の板部材と、
前記流路のうち、複数の前記板部材の軸方向の上流側にエアを供給するエア供給部と、を備え、
前記板部材は、前記板部材を軸方向に貫通し、前記流路の一部を構成する流通孔を有し、
複数の前記板部材は、互いの前記流通孔同士が連通させられ、
複数の前記板部材の各前記流通孔は、軸方向の下流側へ向かうに従い前記中心軸回りの周方向の位置がずらされて螺旋状に配列し、
前記エア供給部は、
前記流路に開口するノズル孔と、
前記本体筒の内部に配置される供給部材と、
前記供給部材を軸方向に貫通し、前記流通孔と連通する貫通孔と、を有し、
前記ノズル孔は、前記貫通孔の内周面に開口する、
マイクロバブル発生装置。
【請求項2】
液体が流通する管に設けられるマイクロバブル発生装置であって、
中心軸に沿って延びる本体筒と、
前記本体筒の内部に形成される液体の流路と、
前記本体筒の内部に配置され、前記中心軸の軸方向に互いに重なる複数の板部材と、
前記流路のうち、複数の前記板部材の軸方向の上流側にエアを供給するエア供給部と、を備え、
前記板部材は、前記板部材を軸方向に貫通し、前記流路の一部を構成する流通孔を有し、
複数の前記板部材は、互いの前記流通孔同士が連通させられ、
複数の前記板部材の各前記流通孔は、軸方向の下流側へ向かうに従い前記中心軸回りの周方向の位置がずらされて螺旋状に配列し、
前記エア供給部は、
前記流路に開口するノズル孔と、
前記本体筒の内部に配置される供給部材と、
前記供給部材を軸方向に貫通し、前記流通孔と連通する貫通孔と、
前記貫通孔内に嵌合する筒部と、を有し、
前記ノズル孔は、前記貫通孔の内周面と前記筒部の外周面との間から、軸方向の下流側へ向けて前記流路に開口する、
マイクロバブル発生装置。
【請求項3】
前記流通孔は、前記板部材に周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる、
請求項1または2に記載のマイクロバブル発生装置。
【請求項4】
複数の前記板部材は、互いに軸方向に表裏反転された姿勢で配置される同一部品からなる一対の前記板部材の組を有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のマイクロバブル発生装置。
【請求項5】
軸方向から見て、複数の前記板部材のうち、軸方向の上流端に位置する前記板部材の前記流通孔の孔中心と、軸方向の下流端に位置する前記板部材の前記流通孔の孔中心との間の、前記中心軸を中心とする中心角が、40°以上90°以下である、
請求項1からのいずれか1項に記載のマイクロバブル発生装置。
【請求項6】
軸方向から見て、軸方向に隣接する一対の前記板部材の各前記流通孔の孔中心同士の、前記中心軸を中心とする中心角が、1°以上5°以下である、
請求項1からのいずれか1項に記載のマイクロバブル発生装置。
【請求項7】
前記ノズル孔は、前記貫通孔の孔中心回りに互いに間隔をあけて複数設けられる、
請求項1から6のいずれか1項に記載のマイクロバブル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロバブル発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロバブル発生装置は、液体が流通する管に設けられる。従来、例えば特許文献1のファインバブル発生装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6312768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マイクロバブル発生装置は、液体中にマイクロバブルを発生させる。液体中のマイクロバブルは、例えば、管の内壁等に付着した堆積物を除去する機能や、堆積物が新たに付着することを抑制する機能等を有する。しかしながら、例えば工場において用水が流通する管にマイクロバブル発生装置を設ける場合には、装置が高価になり、また装置の外形が大きくなりやすい。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、マイクロバブルによる洗浄効果が得られつつ、装置をコンパクトかつ安価に構成できるマイクロバブル発生装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様は、液体が流通する管に設けられるマイクロバブル発生装置であって、中心軸に沿って延びる本体筒と、前記本体筒の内部に形成される液体の流路と、前記本体筒の内部に配置され、前記中心軸の軸方向に互いに重なる複数の板部材と、前記流路のうち、複数の前記板部材の軸方向の上流側にエアを供給するエア供給部と、を備え、前記板部材は、前記板部材を軸方向に貫通し、前記流路の一部を構成する流通孔を有し、複数の前記板部材は、互いの前記流通孔同士が連通させられ、複数の前記板部材の各前記流通孔は、軸方向の下流側へ向かうに従い前記中心軸回りの周方向の位置がずらされて螺旋状に配列し、前記エア供給部は、前記流路に開口するノズル孔と、前記本体筒の内部に配置される供給部材と、前記供給部材を軸方向に貫通し、前記流通孔と連通する貫通孔と、を有し、前記ノズル孔は、前記貫通孔の内周面に開口する
また、本発明の一つの態様は、液体が流通する管に設けられるマイクロバブル発生装置であって、中心軸に沿って延びる本体筒と、前記本体筒の内部に形成される液体の流路と、前記本体筒の内部に配置され、前記中心軸の軸方向に互いに重なる複数の板部材と、前記流路のうち、複数の前記板部材の軸方向の上流側にエアを供給するエア供給部と、を備え、前記板部材は、前記板部材を軸方向に貫通し、前記流路の一部を構成する流通孔を有し、複数の前記板部材は、互いの前記流通孔同士が連通させられ、複数の前記板部材の各前記流通孔は、軸方向の下流側へ向かうに従い前記中心軸回りの周方向の位置がずらされて螺旋状に配列し、前記エア供給部は、前記流路に開口するノズル孔と、前記本体筒の内部に配置される供給部材と、前記供給部材を軸方向に貫通し、前記流通孔と連通する貫通孔と、前記貫通孔内に嵌合する筒部と、を有し、前記ノズル孔は、前記貫通孔の内周面と前記筒部の外周面との間から、軸方向の下流側へ向けて前記流路に開口する。
【0007】
このマイクロバブル発生装置では、液体の流路のうち、複数の板部材の軸方向の上流側にエア供給部によりエアが供給され、このエア(気泡)を含む液体が、複数の板部材の各流通孔を通過して、軸方向の下流側へと流れていく。
本発明によれば、複数の板部材の各流通孔が、軸方向の下流側へ向かうに従い周方向の位置がずらされて、螺旋状に配列している。このため、各流通孔を液体が流通するときに、気泡が微小化されるなどにより、マイクロバブルが発生する。詳しくは、複数の流通孔を液体が螺旋状に流れることにより、液体に遠心力が作用して、マイクロバブルが発生する。また、軸方向に隣り合う流通孔間の段差部等により、キャビテーション作用が得られて、液体中にマイクロバブルが発生する。
【0008】
液体中のマイクロバブルは、管の内壁等に付着した堆積物を除去する機能や、堆積物が新たに付着することを抑制する機能等を有する。したがって、液体が流通する管を含む液体の流通系統全域において、洗浄効果を得ることができる。
【0009】
また、複数の板部材の各流通孔が螺旋状に配列しているため、これらの流通孔を通過した液体は、旋回流となって、軸方向の下流側へと流れていく。この旋回流によって、マイクロバブル発生装置から離れた管の部分にまでマイクロバブルが安定して行き渡りやすくなり、液体の流通系統全域において洗浄効果を高めることができる。
【0010】
例えば本発明の構成と異なり、本体筒内に軸方向に延びる1つの柱状部材が設けられ、この柱状部材に、軸方向の下流側へ向かうに従い周方向に延びる滑らかな螺旋状の流通孔を形成した構成と比べて、本発明によれば、マイクロバブル発生装置の軸方向の全長を小さく抑えることができ、装置をコンパクトに構成できる。すなわち本発明では、複数の板部材を軸方向に重ねることで、流路の内壁に段差部が設けられた螺旋状の流路部分を簡単に形成でき、かつ、この流路部分の軸方向の全長を短く抑えることができる。
また本発明では、複数の板部材を軸方向に重ねて配置するという簡素な構造によって洗浄効果が得られるので、製造費用およびメンテナンス費用を削減できる。また、既存の配管設備等に本発明を適用することが容易であり、汎用性が高い。
上記マイクロバブル発生装置において、前記エア供給部は、前記流路に開口するノズル孔を有する。
この場合、ノズル孔を通して、エアが細かな気泡となって流路に放出させられ、液体中にマイクロバブルがより発生しやすくなる。また、内径の小さなノズル孔からエアを放出することにより、このノズル孔を通して、流路からエア供給部へと液体が逆流することを抑制できる。したがって、エア供給部の機能が良好に維持される。
上記マイクロバブル発生装置において、前記エア供給部は、前記本体筒の内部に配置される供給部材と、前記供給部材を軸方向に貫通し、前記流通孔と連通する貫通孔と、を有し、前記ノズル孔は、前記貫通孔の内周面に開口する。
この場合、ノズル孔から貫通孔にエアを供給することにより、このエア(気泡)を含む液体が、貫通孔と連通する下流側の流通孔に安定して流通する。これにより、マイクロバブルが安定して発生させられる。
上記マイクロバブル発生装置において、前記エア供給部は、前記本体筒の内部に配置される供給部材と、前記供給部材を軸方向に貫通し、前記流通孔と連通する貫通孔と、前記貫通孔内に嵌合する筒部と、を有し、前記ノズル孔は、前記貫通孔の内周面と前記筒部の外周面との間から、軸方向の下流側へ向けて前記流路に開口する。
この場合、ノズル孔が、液体が流れる下流側へ向けて流路に開口するので、エア(気泡)を含む液体が、貫通孔と連通する下流側の流通孔に安定して流通させられる。また、ノズル孔を通して流路からエア供給部へと液体が逆流することが、より抑制される。
【0011】
上記マイクロバブル発生装置において、前記流通孔は、前記板部材に周方向に互いに間隔をあけて複数設けられることが好ましい。
【0012】
この場合、板部材の複数の流通孔によってマイクロバブルがより多く発生させられる。したがって、上述した洗浄効果がより高められる。
【0013】
上記マイクロバブル発生装置において、複数の前記板部材は、互いに軸方向に表裏反転された姿勢で配置される同一部品からなる一対の前記板部材の組を有することが好ましい。
【0014】
この場合、部品共通化により、複数の板部材の種類が少なく抑えられる。
【0015】
上記マイクロバブル発生装置において、軸方向から見て、複数の前記板部材のうち、軸方向の上流端に位置する前記板部材の前記流通孔の孔中心と、軸方向の下流端に位置する前記板部材の前記流通孔の孔中心との間の、前記中心軸を中心とする中心角が、40°以上90°以下であることが好ましい。
【0016】
複数の板部材の各流通孔により形成される螺旋状の流路部分の中心角が、40°以上であると、この流路部分を流れる液体に旋回流を安定して発生させることができ、本発明による洗浄効果がより高められる。
また前記中心角が、90°以下であると、螺旋状の流路部分の軸方向の全長が長くなり過ぎることを抑えられ、装置をコンパクトに構成できる。
【0017】
上記マイクロバブル発生装置において、軸方向から見て、軸方向に隣接する一対の前記板部材の各前記流通孔の孔中心同士の、前記中心軸を中心とする中心角が、1°以上5°以下であることが好ましい。
【0018】
前記中心角が、1°以上であると、螺旋状の流路部分に形成される段差部の機能が安定して得られ、マイクロバブルが効率よく発生させられる。
また前記中心角が、5°以下であると、螺旋状の流路部分を流れる液体の圧力損失が大きくなり過ぎることが抑えられ、流路を流れる液体の流通状態を安定させることができる。
【0025】
上記マイクロバブル発生装置において、前記ノズル孔は、前記貫通孔の孔中心回りに互いに間隔をあけて複数設けられることが好ましい。
【0026】
この場合、複数のノズル孔から貫通孔に放出されるエアにより、液体中に気泡がより分散させられる。気泡が分散された状態の液体が貫通孔から下流側の流通孔へと流通するので、マイクロバブルを発生させる効率がより高められる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一つの態様のマイクロバブル発生装置によれば、マイクロバブルによる洗浄効果が得られつつ、装置をコンパクトかつ安価に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1実施形態のマイクロバブル発生装置を備える液体の流通系統を示す側面図である。
図2】本発明の第1実施形態のマイクロバブル発生装置を軸方向から見た正面図である。
図3図2のIII-III断面を示す断面図である。
図4】複数の板部材の各流通孔の配置を説明する図である。
図5】本発明の第2実施形態のマイクロバブル発生装置を軸方向から見た正面図である。
図6図5のVI-VI断面を示す断面図である。
図7図6のVII部を拡大して示す断面図である。
図8図7のVIII矢視を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態のマイクロバブル発生装置10について、図1図4を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態のマイクロバブル発生装置10は、液体が流通する管100に設けられる。具体的に、マイクロバブル発生装置10は、例えば製缶工場において、用水が流通する管(配管)100の途中に設けられ、管100の一部を構成する。管100に流れる液体は、例えばアルカリ性の消石灰溶液等である。すなわち、液体の溶質は消石灰等であり、溶媒は水等である。
【0030】
液体は、消石灰溶液が貯留される槽101からポンプ102によって汲み出され、管100内を流通して、管100が有する複数の分岐管100aから各処理槽(図示省略)に送られる。また、分岐管100aに流入しなかった余剰の液体については、管100を通って槽101に戻される。図示しない複数の処理槽には、製缶加工の処理に用いられた例えば酸性の排液が流入し、この排液に分岐管100aを通して消石灰溶液が供給されることにより、処理槽の排液のPHが調整される。PH調整された排液は、図示しないシックナー等に送られる。
【0031】
図2および図3に示すように、マイクロバブル発生装置10は、中心軸Oに沿って延びる本体筒11と、本体筒11の内部に形成される液体の流路12と、本体筒11の内部に配置される複数の板部材13と、流路12にエアを供給するエア供給部14と、複数の板部材13およびエア供給部14を固定する固定部15と、を備える。
液体は、本体筒11の中心軸O方向の一方側の端部から他方側の端部へ向けて、流路12の内部を流通する。
【0032】
本実施形態では、本体筒11の中心軸Oが延びる方向を軸方向と呼ぶ。軸方向のうち、液体が流れる方向を軸方向の下流側と呼ぶ。軸方向の下流側は、本体筒11の軸方向の一方側の端部から他方側の端部へ向かう方向であり、図3における右側である。軸方向のうち、液体が流れる方向とは反対方向を、軸方向の上流側と呼ぶ。軸方向の上流側は、本体筒11の軸方向の他方側の端部から一方側の端部へ向かう方向であり、図3における左側である。
図1に示すように、本実施形態ではマイクロバブル発生装置10が、軸方向の下流側を鉛直方向の上側へ向けた姿勢で、管100に設けられる。このため、マイクロバブル発生装置10の下流側へ、エア(気泡)とともにマイクロバブルがより流れやすくなる。
【0033】
中心軸Oに直交する方向を径方向と呼ぶ。径方向のうち、中心軸Oに接近する方向を径方向内側と呼び、中心軸Oから離れる方向を径方向外側と呼ぶ。
中心軸O回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。図2に示すように、本体筒11を軸方向の上流から下流側へ向けて見て、周方向のうち、反時計回りの方向を周方向一方側と呼び、時計回りの方向を周方向他方側と呼ぶ。
【0034】
図2および図3に示すように、本体筒11は、中心軸Oを中心として軸方向に延びる略円筒状である。本体筒11は、本体筒11の軸方向の上流側の端部に位置する流入筒部16と、本体筒11の軸方向の下流側の端部に位置する流出筒部17と、軸方向において本体筒11の上流側の端部と下流側の端部との間に配置される中間筒部18と、を有する。
【0035】
流入筒部16は、上流側流通筒16aと、上流側フランジ16bと、を有する。
上流側流通筒16aは、軸方向に延びる筒状である。上流側流通筒16aは、上流側シール溝16cと、上流側シール部材16dと、を有する。
【0036】
上流側シール溝16cは、上流側流通筒16aの外周面から径方向内側に窪み、周方向に延びる環状である。本実施形態では上流側シール溝16cが、軸方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。
上流側シール部材16dは、周方向に延びる環状の弾性部材等であり、例えばOリング等である。本実施形態では上流側シール部材16dが、軸方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。各上流側シール部材16dは、各上流側シール溝16cに配置される。
【0037】
上流側流通筒16aの内周面16eは、上流側流通筒16aの軸方向の上流側の端部から下流側へ向かうに従い、内径が大きくなる。上流側流通筒16aの内周面16eは、軸方向の下流側へ向かうに従い徐々に拡径するテーパ面状である。
【0038】
上流側フランジ16bは、上流側流通筒16aの外周面における軸方向の上流側の部分から径方向外側に拡がるフランジ状である。上流側フランジ16bは、中間筒部18と複数のボルト部材19により固定される。特に図示しないが、上流側フランジ16bは、マイクロバブル発生装置10と軸方向に隣り合う管100の部分、すなわち、マイクロバブル発生装置10の軸方向の上流側に隣接する管100の接続端部と、ボルト部材等により固定される。
【0039】
流出筒部17は、下流側流通筒17aと、下流側フランジ17bと、を有する。
下流側流通筒17aは、軸方向に延びる筒状である。下流側流通筒17aは、下流側シール溝17cと、下流側シール部材17dと、を有する。
【0040】
下流側シール溝17cは、下流側流通筒17aの外周面から径方向内側に窪み、周方向に延びる環状である。本実施形態では下流側シール溝17cが、軸方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。
下流側シール部材17dは、周方向に延びる環状の弾性部材等であり、例えばOリング等である。本実施形態では下流側シール部材17dが、軸方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。各下流側シール部材17dは、各下流側シール溝17cに配置される。
【0041】
下流側流通筒17aの内周面17eは、下流側流通筒17aの軸方向の上流側の端部から下流側へ向かうに従い、内径が小さくなる。下流側流通筒17aの内周面17eは、軸方向の下流側へ向かうに従い徐々に縮径するテーパ面状である。
【0042】
下流側フランジ17bは、下流側流通筒17aの外周面における軸方向の下流側の部分から径方向外側に拡がるフランジ状である。下流側フランジ17bは、中間筒部18と複数のボルト部材20により固定される。特に図示しないが、下流側フランジ17bは、マイクロバブル発生装置10と軸方向に隣り合う管100の部分、すなわち、マイクロバブル発生装置10の軸方向の下流側に隣接する管100の接続端部と、ボルト部材等により固定される。
【0043】
本実施形態では、流入筒部16と流出筒部17とが、互いに同一部品である。流入筒部16と流出筒部17とは、互いに軸方向に表裏反転した姿勢で配置される。
【0044】
中間筒部18は、軸方向に延びる円筒状である。中間筒部18の軸方向の上流側を向く端面は、上流側フランジ16bの軸方向の下流側を向く端面と接触する。中間筒部18の軸方向の下流側を向く端面は、下流側フランジ17bの軸方向の上流側を向く端面と接触する。
中間筒部18の軸方向の上流側の端部は、上流側流通筒16aの径方向外側に嵌合する。中間筒部18の内周面のうち軸方向の上流側の端部には、上流側シール部材16dが接触する。中間筒部18の軸方向の下流側の端部は、下流側流通筒17aの径方向外側に嵌合する。中間筒部18の内周面のうち軸方向の下流側の端部には、下流側シール部材17dが接触する。
【0045】
複数の板部材13は、中間筒部18の内部に配置され、軸方向に互いに重なる。複数の板部材13は、それぞれ板状であり、各板面が軸方向を向く。軸方向に隣り合う板部材13同士は、互いの板面同士が接触する。本実施形態では図4に示すように、板部材13が、円板状である。板部材13は、軸方向の厚さ寸法が、例えば3~5mmである。板部材13は、例えばプラスチック等の樹脂製である。
板部材13は、流通孔21と、固定孔22と、を有する。
【0046】
流通孔21は、板部材13を軸方向に貫通し、流路12の一部を構成する。流通孔21は、板部材13のうち中心軸Oから径方向にずれた位置に配置される。本実施形態では流通孔21が、円孔状である。複数の板部材13は、互いの流通孔21同士が連通させられており、互いに連通する複数の流通孔21により、流路12の部分(後述する螺旋流路部38b)が構成される。
【0047】
図2図4に示すように、複数の板部材13の各流通孔21は、軸方向の下流側へ向かうに従い中心軸O回りの周方向の位置がずらされて螺旋状に配列する。軸方向に隣り合う板部材13同士の間には、互いに連通する流通孔21同士が周方向にずらされて配置されることにより、段差部23が形成される。段差部23は、板部材13の板面のうち流通孔21に隣接する部分に配置される。段差部23は、軸方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。
【0048】
なお図4は、軸方向に並ぶ複数の板部材13のうち、軸方向の中央部近傍に配置される5つの板部材13(13g,13h,13i,13h,13g)を抜粋して示す正面図であり、各板部材13の流通孔21の配置を説明する図である。図4においては、図中の右側に位置する板部材13が軸方向の上流側に位置する板部材13に相当し、図中の左側に位置する板部材13が軸方向の下流側に位置する板部材13に相当する。
【0049】
本実施形態では、複数の板部材13の互いに連通する各流通孔21が、軸方向の上流から下流側へ向かうに従い周方向一方側(図4においては中心軸Oを中心とする反時計回り)へ向けて、螺旋状に配列する。すなわち本実施形態では、互いに流通孔21の配置が異なる複数種類の板部材13が設けられ、具体的には図3に示すように、10種類の板部材13a,13b,13c,13d,13e,13f,13g,13h,13i,13jが、軸方向に並んで計18枚設けられる。より詳しくは、複数の板部材13が、軸方向の上流から下流側へ向けて、板部材13a,13b,13c,13d,13e,13f,13g,13h,13i,13h,13g,13f,13e,13d,13c,13b,13a,13jの順に並ぶ。
【0050】
図2に示すように、軸方向から見て、軸方向に隣接する一対の板部材13の各流通孔21の孔中心C同士の、中心軸Oを中心とする中心角βは、1°以上5°以下であり、本実施形態では例えば2.5°である。具体的には、図3および図4に示す複数の板部材13のうち、軸方向の上流端に位置する板部材13aから、軸方向の下流側へ向けて板部材13b,13c,13d,13e,13f,13g,13h,13i,13h,13g,13f,13e,13d,13c,13b,13a,13jの順に、各板部材13の流通孔21は、例えば2.5°毎に周方向一方側にずらされて配置される。
【0051】
図3において、複数の板部材13のうち、軸方向の中央部に位置する板部材13iよりも軸方向の上流側に位置する板部材13a~13hと、この板部材13iよりも軸方向の下流側に位置する板部材13a~13hとは、互いに軸方向に表裏反転した姿勢で配置されている。すなわち、板部材13a~13hのうち、板部材13iの軸方向の上流側と下流側とに配置される同一符号の一対の板部材13同士は、互いに同一部品である。言い換えると、複数の板部材13は、互いに軸方向に表裏反転された姿勢で配置される同一部品からなる一対の板部材13の組を有し、本実施形態ではこの組が複数設けられる。
【0052】
図2に示すように軸方向から見て、複数の板部材13のうち、軸方向の上流端に位置する板部材13aの流通孔21の孔中心Cと、軸方向の下流端に位置する板部材13jの流通孔21の孔中心Cとの間の、中心軸Oを中心とする中心角αは、40°以上90°以下である。
【0053】
図4に示すように、流通孔21は、板部材13に周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態では流通孔21が、板部材13に周方向に等ピッチで8つ設けられる。
【0054】
固定孔22は、板部材13を軸方向に貫通する。固定孔22は、板部材13において中心軸O上に位置する。固定孔22は、中心軸Oと同軸に配置される。本実施形態では固定孔22が、略円孔状である。固定孔22は、キー嵌合部22aを有する。キー嵌合部22aは、固定孔22の内周面から径方向外側に窪む凹状である。
【0055】
図2および図3において、エア供給部14は、流路12のうち、複数の板部材13の軸方向の上流側にエアを供給する。
エア供給部14は、供給部材24と、貫通孔25と、供給溝26と、ノズル孔27と、中間シール部材28と、チェックバルブ(逆止弁)29と、エア孔30と、エア供給源(図示省略)と、を有する。
【0056】
供給部材24は、本体筒11の内部に配置される。供給部材24は、一対の板面が軸方向を向く板状、または、一対の端面が軸方向を向く柱状である。本実施形態では供給部材24が、円板状または円柱状である。供給部材24は、中心軸Oと同軸に配置される。供給部材24は、中間筒部18内に嵌合し、複数の板部材13よりも軸方向の上流側に位置する。供給部材24は、複数の板部材13のうち、軸方向の上流端に位置する板部材13aに対して、軸方向の上流側に隣接して配置される。つまり、軸方向において供給部材24と板部材13aとは、互いに接触する。
【0057】
供給部材24は、挿通孔24aと、中間シール溝24bと、を有する。
挿通孔24aは、供給部材24を軸方向に貫通する。挿通孔24aは、供給部材24において中心軸O上に位置する。挿通孔24aは、中心軸Oと同軸に配置される。本実施形態では挿通孔24aが、略円孔状である。挿通孔24aは、キー嵌合溝24cを有する。キー嵌合溝24cは、挿通孔24aの内周面から径方向外側に窪み、軸方向に延びる溝状である。軸方向から見て、キー嵌合溝24cは、複数の板部材13の各キー嵌合部22aと重なって配置される。
【0058】
中間シール溝24bは、供給部材24の外周面から径方向内側に窪み、周方向に延びる溝状である。本実施形態では中間シール溝24bが、軸方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。
【0059】
貫通孔25は、供給部材24を軸方向に貫通し、流路12の部分(後述する直線流路部38a)を構成する。貫通孔25は、供給部材24のうち中心軸Oから径方向にずれた位置に配置される。本実施形態では貫通孔25が、円孔状である。貫通孔25は、流通孔21の軸方向の上流側に位置し、流通孔21と連通する。
貫通孔25は、供給部材24に周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態では貫通孔25が、供給部材24に周方向に等ピッチで8つ設けられる。
【0060】
供給溝26は、供給部材24の外周面から径方向内側に窪み、周方向に延びる溝状である。供給溝26は、中心軸Oを中心とする環状である。本実施形態では供給溝26が、軸方向に隣り合う一対の中間シール溝24b同士の間に配置される。
【0061】
ノズル孔27は、供給溝26と、流路12とに開口する。本実施形態ではノズル孔27が、貫通孔25の内周面に開口することで、流路12に開口する。ノズル孔27は、供給溝26と貫通孔25との間で、径方向に延びる。ノズル孔27は、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態ではノズル孔27が、供給部材24に周方向に等ピッチで8つ設けられる。すなわち、ノズル孔27の数と貫通孔25の数とは、互いに同じであり、各ノズル孔27は、各貫通孔25に開口する。
【0062】
ノズル孔27のうち、供給溝26と接続する基端部(径方向外端部)は、ザグリ孔状である。具体的に、ノズル孔27の内周面のうち基端部は、ノズル孔27の孔中心方向に沿って供給溝26から貫通孔25側(つまり径方向内側)へ向かうに従い縮径するテーパ面状である。ノズル孔27のうち、貫通孔25と接続する先端部は、円孔状である。ノズル孔27の先端部の内径は、ノズル孔27の先端部以外の部分の内径よりも小さい。つまりノズル孔27の先端部は、ノズル孔27において最も内径が小さい。またノズル孔27の先端部は、エア供給部14のエア流路において最も内径が小さい。
【0063】
中間シール部材28は、周方向に延びる環状の弾性部材等であり、例えばOリング等である。本実施形態では中間シール部材28が、軸方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。各中間シール部材28は、各中間シール溝24bに配置される。
【0064】
チェックバルブ29は、本体筒11に設けられる。チェックバルブ29は、中間筒部18のエア孔30にねじ止めされ、中間筒部18と固定される。チェックバルブ29は、エア供給源(図示省略)からエア孔30へ向けた流体(エア)の流通を許容し、エア孔30からエア供給源へ向けた流体(液体およびエア)の流通を遮断する。
エア孔30は、中間筒部18を径方向に貫通する。エア孔30は、供給溝26に開口する。
【0065】
特に図示しないが、エア供給源は、配管やチューブ等によりチェックバルブ29と接続される。エア供給源は、例えばエアコンプレッサ等である。エア供給源は、チェックバルブ29、エア孔30、供給溝26およびノズル孔27を通して、貫通孔25の内周面から流路12にエアを供給する。
【0066】
固定部15は、シャフト31と、キー32と、流入ガイド33と、流出ガイド34と、を有する。
シャフト31は、軸方向に延びる。本実施形態ではシャフト31が、円柱状である。シャフト31は、供給部材24の挿通孔24aと、複数の板部材13の各固定孔22とに挿入される。シャフト31は、キー溝を有する。キー溝は、シャフト31の外周面から径方向内側に窪み、軸方向に延びる。
【0067】
キー32は、軸方向に延びる。キー32は、シャフト31のキー溝に配置され、シャフト31の外周面から径方向外側に突出する。キー32は、供給部材24のキー嵌合溝24cと、複数の板部材13の各キー嵌合部22aとに挿入される。これにより、シャフト31、供給部材24および複数の板部材13が、周方向に相対的に移動することが規制される。
【0068】
流入ガイド33は、シャフト31の軸方向の上流側に配置される。本実施形態では流入ガイド33が、シャフト31と一体に形成される。流入ガイド33は、中心軸Oを中心として軸方向に延びる錘状であり、本実施形態では円錐状である。流入ガイド33の外径は、シャフト31の外径よりも大きい。流入ガイド33の外径は、軸方向の上流から下流側へ向かうに従い大きくなる。すなわち、流入ガイド33の外周面は、軸方向の下流側へ向かうに従い拡径するテーパ面状である。
【0069】
流入ガイド33の軸方向の上流側を向く先端面は、上流側へ向けて凸となる曲面状であり、本実施形態では凸球面状である。流入ガイド33の軸方向の下流側を向く後端面は、中心軸Oに垂直な方向に拡がる平面状である。流入ガイド33の後端面は、供給部材24の軸方向の上流側を向く板面(端面)と接触する。
【0070】
流出ガイド34は、シャフト31の軸方向の下流側に配置される。本実施形態では流出ガイド34が、シャフト31とボルト部材35により固定される。流出ガイド34は、軸方向に延びるボルト孔を有しており、ボルト部材35はこのボルト孔に挿入されて、シャフト31とねじ止めされる。流出ガイド34は、中心軸Oを中心として軸方向に延びる錘状であり、本実施形態では円錐状である。流出ガイド34の外径は、シャフト31の外径よりも大きい。流出ガイド34の外径は、軸方向の上流から下流側へ向かうに従い小さくなる。すなわち、流出ガイド34の外周面は、軸方向の下流側へ向かうに従い縮径するテーパ面状である。
【0071】
流出ガイド34の軸方向の下流側を向く後端面には、ボルト孔が開口する。流出ガイド34の軸方向の上流側を向く先端面は、中心軸Oに垂直な方向に拡がる平面状である。流出ガイド34の先端面は、複数の板部材13のうち、軸方向の下流端に位置する板部材13jの軸方向の下流側を向く板面と接触する。
【0072】
流路12の内部には、液体が流通する。流路12は、上流側流路部36と、下流側流路部37と、中間流路部38と、を有する。
上流側流路部36は、流路12のうち軸方向の上流側の端部に位置する。上流側流路部36は、上流側流通筒16aの内周面16eと、流入ガイド33の外面との間に形成された流路12の部分である。上流側流路部36は、軸方向の下流側へ向かうに従い直径が大きくなる。
【0073】
下流側流路部37は、流路12のうち軸方向の下流側の端部に位置する。下流側流路部37は、下流側流通筒17aの内周面17eと、流出ガイド34の外面との間に形成された流路12の部分である。下流側流路部37は、軸方向の下流側へ向かうに従い直径が小さくなる。
【0074】
中間流路部38は、流路12のうち、軸方向の上流側の端部と下流側の端部との間に位置する。中間流路部38は、上流側流路部36および下流側流路部37と連通する。中間流路部38の軸方向の上流側の端部は、上流側流路部36の軸方向の下流側の端部と接続する。中間流路部38の軸方向の下流側の端部は、下流側流路部37の軸方向の上流側の端部と接続する。
【0075】
中間流路部38は、直線流路部38aと、螺旋流路部38bと、を有する。
直線流路部38aは、中間流路部38のうち、軸方向の上流側の端部に位置する。直線流路部38aは、軸方向に延びる。直線流路部38aは、供給部材24の貫通孔25の内周面により形成された流路12の部分である。直線流路部38aは、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態では直線流路部38aが、周方向に等ピッチで8つ設けられる。
【0076】
螺旋流路部38bは、中間流路部38のうち、軸方向の上流側の端部以外の部分に位置する。螺旋流路部38bは、直線流路部38aの軸方向の下流側に配置される。螺旋流路部38bは、直線流路部38aと連通する。螺旋流路部38bは、軸方向の下流側へ向かうに従い周方向に延びる。本実施形態では螺旋流路部38bが、軸方向の上流から下流側へ向かうに従い、周方向一方側へ向けて、螺旋状に延びる。螺旋流路部38bは、複数の板部材13の各流通孔21の内周面と、複数の段差部23とにより形成された流路12の部分である。螺旋流路部38bは、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態では螺旋流路部38bが、周方向に等ピッチで8つ設けられる。
【0077】
このように本実施形態では、本体筒11内の流路12が、軸方向の上流から下流側へ向かって、1つの上流側流路部36から複数の中間流路部38に分岐し、さらに複数の中間流路部38から1つの下流側流路部37にまとまる。
【0078】
以上説明した本実施形態のマイクロバブル発生装置10では、液体の流路12のうち、複数の板部材13の軸方向の上流側にエア供給部14によりエアが供給され、このエア(気泡)を含む液体が、複数の板部材13の各流通孔21を通過して、軸方向の下流側へと流れていく。
本実施形態によれば、複数の板部材13の各流通孔21が、軸方向の下流側へ向かうに従い周方向の位置がずらされて、螺旋状に配列している。このため、各流通孔21を液体が流通するときに、気泡が微小化されるなどにより、マイクロバブルが発生する。詳しくは、複数の流通孔21を液体が螺旋状に流れることにより、液体に遠心力が作用して、マイクロバブルが発生する。また、軸方向に隣り合う流通孔21間の段差部23等により、キャビテーション作用が得られて、液体中にマイクロバブルが発生する。
【0079】
液体中のマイクロバブルは、管100の内壁等に付着した堆積物を除去する機能や、堆積物が新たに付着することを抑制する機能等を有する。したがって、液体が流通する管100を含む液体の流通系統全域において、洗浄効果を得ることができる。
【0080】
また、複数の板部材13の各流通孔21が螺旋状に配列しているため、これらの流通孔21を通過した液体は、旋回流となって、軸方向の下流側へと流れていく。この旋回流によって、マイクロバブル発生装置10から離れた管100の部分にまでマイクロバブルが安定して行き渡りやすくなり、液体の流通系統全域において洗浄効果を高めることができる。
【0081】
例えば本実施形態の構成と異なり、本体筒11内に軸方向に延びる図示しない1つの柱状部材が設けられ、この柱状部材に、軸方向の下流側へ向かうに従い周方向に延びる滑らかな螺旋状の流通孔を形成した構成と比べて、本実施形態によれば、マイクロバブル発生装置10の軸方向の全長を小さく抑えることができ、装置をコンパクトに構成できる。すなわち本実施形態では、複数の板部材13を軸方向に重ねることで、流路12の内壁に段差部23が設けられた螺旋流路部38bを簡単に形成でき、かつ、この螺旋流路部38bの軸方向の全長を短く抑えることができる。
また本実施形態では、複数の板部材13を軸方向に重ねて配置するという簡素な構造によって洗浄効果が得られるので、マイクロバブル発生装置10としても液体の流通系統全体としても、製造費用およびメンテナンス費用を削減できる。また、既存の配管設備等に本実施形態を適用することが容易であり、汎用性が高い。
【0082】
また本実施形態では、流通孔21が、板部材13に周方向に互いに間隔をあけて複数設けられるので、複数の流通孔21によってマイクロバブルがより多く発生させられる。したがって、上述した洗浄効果がより高められる。
【0083】
また本実施形態では、複数の板部材13が、互いに軸方向に表裏反転された姿勢で配置される同一部品からなる一対の板部材13の組を有するので、部品共通化により、複数の板部材13の種類が少なく抑えられる。特に本実施形態では、上記組が複数設けられるので、板部材13の種類をより削減できる。
【0084】
また本実施形態では、軸方向から見て、複数の板部材13のうち、軸方向の上流端に位置する板部材13aの流通孔21の孔中心Cと、軸方向の下流端に位置する板部材13jの流通孔21の孔中心Cとの間の、中心軸Oを中心とする中心角αが、40°以上90°以下である。
複数の板部材13の各流通孔21により形成される螺旋状の流路部分(螺旋流路部38b)の中心角αが、40°以上であると、螺旋流路部38bを流れる液体に旋回流を安定して発生させることができ、本実施形態による洗浄効果がより高められる。
また中心角αが、90°以下であると、螺旋状の流路部分の軸方向の全長が長くなり過ぎることを抑えられ、装置をコンパクトに構成できる。
【0085】
また本実施形態では、軸方向から見て、軸方向に隣接する一対の板部材13の各流通孔21の孔中心C同士の、中心軸Oを中心とする中心角βが、1°以上5°以下である。
中心角βが、1°以上であると、螺旋流路部38bに形成される段差部23の機能が安定して得られ、マイクロバブルが効率よく発生させられる。
また中心角βが、5°以下であると、螺旋流路部38bを流れる液体の圧力損失が大きくなり過ぎることが抑えられ、流路12を流れる液体の流通状態を安定させることができる。
【0086】
また本実施形態では、エア供給部14が、流路12に開口するノズル孔27を有する。
この場合、ノズル孔27を通して、エアが細かな気泡となって流路12に放出させられ、液体中にマイクロバブルがより発生しやすくなる。また、内径の小さなノズル孔27からエアを放出することにより、このノズル孔27を通して、流路12からエア供給部14へと液体が逆流することを抑制できる。したがって、エア供給部14の機能が良好に維持される。
特に本実施形態では、ノズル孔27の孔中心に沿う方向の基端部(径方向外端部)が、ザグリ孔状であるので、仮にノズル孔27の基端部に消石灰成分が付着した場合でも、ノズル孔27が詰まることを抑制でき、かつ、エアを噴出させることで消石灰成分を吹き飛ばし除去することができる。
【0087】
また本実施形態では、ノズル孔27が、供給部材24の貫通孔25の内周面に開口するので、ノズル孔27から貫通孔25にエアを供給することにより、このエア(気泡)を含む液体が、貫通孔25と連通する下流側の流通孔21に安定して流通する。これにより、マイクロバブルが安定して発生させられる。
【0088】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態のマイクロバブル発生装置40について、図5図8を参照して説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0089】
本実施形態のマイクロバブル発生装置40は、前述の実施形態で説明したマイクロバブル発生装置10とは、エア供給部14の構成が異なる。
図5および図6に示すように、本実施形態ではエア供給部14が、供給部材24と、貫通孔25と、供給溝26と、筒部41と、連通孔42と、ノズル孔43と、中間シール部材28と、チェックバルブ29と、エア孔30と、エア供給源(図示省略)と、を有する。
【0090】
図7および図8に示すように、本実施形態では供給部材24が、段部24dを有する。段部24dは、貫通孔25の軸方向の上流側の端部に配置される。段部24dは、貫通孔25の中心軸である孔中心A回りに延びる環状の凹部であり、貫通孔25と同軸に配置される。段部24dの内径は、貫通孔25の内径よりも大きい。
【0091】
筒部41は、軸方向に延びる筒状である。本実施形態では筒部41が、略円筒状である。筒部41は、貫通孔25内に嵌合する。筒部41は、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態では筒部41が、供給部材24に周方向に等ピッチで8つ設けられる。各筒部41は、各貫通孔25内に1つ配置される。筒部41の軸方向の長さは、貫通孔25の軸方向の長さよりも小さい。筒部41は、貫通孔25の内部のうち、軸方向の下流側の端部以外の部分に位置する。
本実施形態では、流路12の直線流路部38aが、筒部41の内周面と、筒部41の軸方向の下流側を向く端面41dと、貫通孔25の内周面とにより形成される。
【0092】
筒部41は、筒本体41aと、筒フランジ41bと、筒エア溝41cと、を有する。
筒本体41aは、貫通孔25の孔中心Aを中心とする円筒状である。筒本体41aの外周面は、貫通孔25の内周面と接触する。
【0093】
筒フランジ41bは、貫通孔25の孔中心Aを中心とする円環板状である。筒フランジ41bは、筒本体41aの外周面における軸方向の上流側の端部から、孔中心Aと直交する径方向の外側に拡がる。筒フランジ41bの外径は、貫通孔25の内径よりも大きい。筒フランジ41bは、段部24dに配置される。筒フランジ41bの軸方向の下流側を向く板面は、段部24dの軸方向の上流側を向く底面と接触する。
【0094】
筒エア溝41cは、筒本体41aの外周面から、孔中心Aに直交する径方向の内側に窪み、孔中心A回りに延びる溝状である。筒エア溝41cは、孔中心Aを中心とする環状である。
【0095】
図5図8に示すように、連通孔42は、供給溝26と、筒エア溝41cとに開口する。連通孔42は、供給溝26と筒エア溝41cとの間で、径方向に延びる。連通孔42は、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態では連通孔42が、供給部材24に周方向に等ピッチで8つ設けられる。すなわち、連通孔42の数と筒部41の数とは、互いに同じであり、各連通孔42は、各筒部41の筒エア溝41cに開口する。
【0096】
図7および図8に示すように、ノズル孔43は、筒本体41aの外周面から孔中心Aに直交する径方向の内側に窪み軸方向に延びる溝と、貫通孔25の内周面のうち前記溝に対向する部分と、により形成される。ノズル孔43は、筒エア溝41cと、筒部41の軸方向の下流側を向く端面41dと、に開口する。ノズル孔43は、貫通孔25の内周面と筒部41の外周面との間において、軸方向に延びる。ノズル孔43は、貫通孔25の内周面と筒部41の外周面との間から、軸方向の下流側へ向けて流路12に開口する。
【0097】
ノズル孔43は、中心軸Oまたは孔中心Aに垂直な断面の形状が、略半円状である。ノズル孔43は、貫通孔25の孔中心A回りに互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態ではノズル孔43が、孔中心A回りに等ピッチで4つ設けられる。
【0098】
本実施形態のマイクロバブル発生装置40によれば、前述した実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0099】
また本実施形態では、ノズル孔43が、液体が流れる下流側へ向けて流路12に開口するので、エア(気泡)を含む液体が、貫通孔25と連通する下流側の流通孔21に安定して流通させられる。また、ノズル孔43を通して流路12からエア供給部14へと液体が逆流することが、より抑制される。
【0100】
また本実施形態では、ノズル孔43が、貫通孔25の孔中心A回りに互いに間隔をあけて複数設けられる。
この場合、複数のノズル孔43から貫通孔25に放出されるエアにより、液体中に気泡がより分散させられる。気泡が分散された状態の液体が貫通孔25から下流側の流通孔21へと流通するので、マイクロバブルを発生させる効率がより高められる。
【0101】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
【0102】
前述の実施形態では、複数の板部材13の互いに連通する各流通孔21が、軸方向の上流から下流側へ向かうに従い、周方向一方側へ向けて(軸方向の上流から下流側へ向かって見て、反時計回りに)、螺旋状に配列する例を挙げたが、これに限らない。複数の板部材13の互いに連通する各流通孔21が、軸方向の上流から下流側へ向かうに従い、周方向他方側へ向けて(軸方向の上流から下流側へ向かって見て、時計回りに)、螺旋状に配列してもよい。
【0103】
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例およびなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明のマイクロバブル発生装置によれば、マイクロバブルによる洗浄効果が得られつつ、装置をコンパクトかつ安価に構成できる。したがって、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0105】
10,40…マイクロバブル発生装置、11…本体筒、12…流路、13…板部材、13a…軸方向の上流端に位置する板部材、13j…軸方向の下流端に位置する板部材、14…エア供給部、21…流通孔、24…供給部材、25…貫通孔、27,43…ノズル孔、41…筒部、100…管、A…貫通孔の孔中心、C…流通孔の孔中心、O…中心軸、α,β…中心角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8