(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】枕梁モジュール
(51)【国際特許分類】
B61F 1/00 20060101AFI20230324BHJP
【FI】
B61F1/00
(21)【出願番号】P 2019058935
(22)【出願日】2019-03-26
【審査請求日】2022-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2018247182
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 太一
(72)【発明者】
【氏名】河野 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】住田 純一
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/045363(WO,A1)
【文献】特開平05-058288(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0116285(US,A1)
【文献】特開2014-065413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61F 1/00
B61C 17/00
H02K 9/00- 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一対の側縁を有する第1主板と、
少なくとも一対の側縁を有し前記第1主板と間隔を置いて平行に対向する第2主板と、
それぞれ前記第1主板と第2主板の間に挟まれ前記第1主板および第2主板に連結された複数本のリブと、
前記複数本のリブの内、互いに間隔を置いて対向する2本のリブと前記第1主板および第2主板とにより形成された通風ダクトと、
前記第1主板に形成され前記通風ダクトに連通した吸気口と、
前記第2主板に形成され前記通風ダクトに連通した吐出口と、
一端が閉塞された筒状のダクト部材と
、を備え、
前記複数本のリブは、前記通風ダクトを形成する2本のリブの一端に連結され前記通風ダクトの一端を閉塞したリブを含み、
前記ダクト部材の開口端は、前記通風ダクトの他端に連結され、
前記ダクト部材は、前記通風ダクトに連通した吐出口を有している、
枕梁モジュール。
【請求項2】
前記第2主板は、中心ピン受けおよびばね受けを有し、
前記中心ピン受けに固定された中心ピンを更に備えている請求項1に記載の枕梁モジュール。
【請求項3】
前記第2主板は、それぞれ前記通風ダクトに連通した複数の吐出口を有し、前記複数の吐出口は前記通風ダクトの長手方向に間隔を置いて並んで設けられ、
前記第2主板に取付けられ、それぞれ前記吐出口を覆った複数の調整板を更に備え、
前記複数の調整板は、それぞれ前記吐出口に対向しているとともに互いに開口面積が異なる絞り開口を有している請求項1に記載の枕梁モジュール。
【請求項4】
前記第2主板は、それぞれ前記通風ダクトに連通した複数の吐出口を有し、前記複数の吐出口は前記通風ダクトの長手方向に間隔を置いて並んで設けられ、
前記吐出口の近傍で前記通風ダクトに設けられ、前記吐出口からの吐出量を調整する吐出量調整機構を更に備え、
前記吐出量調整機構は、前記吐出口の少なくとも一部を覆う閉じ位置と前記吐出口を開放する位置との間を移動可能に前記第2主板に設けられた調整板と、前記調整板に連結され前記調整板を移動する移動機構と、を備えている請求項1に記載の枕梁モジュール。
【請求項5】
前記移動機構は、前記調整板に連結された一端と前記通風ダクトを構成する前記リブを貫通して前記通風ダクトの外方に延出した他端部とを有する送りねじと、前記送りねじの他端部にねじ込まれ前記リブに当接した調整ナットと、を備えている請求項
4に記載の枕梁モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、車体台枠を構成する枕梁モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、鉄道車両、例えば、機関車は、車輪および車輪を駆動する主電動機が設けられた台車と、台車に支持された車体台枠と、車体台枠上に設置された車体と、を有している。車体台枠は、一対の側梁と、側梁の間に配置された横梁と、側梁の間に配置された枕梁と、を有している。更に、機関車は、車体内で車体台枠上に設置された冷却用の送風機(ブロワ)を備えている。送風機は、車体の側面又は屋根に設けられた空気取込口から車外の空気を取り込み、通風ダクトを通して床下の主電動機に供給し、主電動機を冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、上記のような通風ダクトは、車体の床下に設置されるが、車体内及び床下の空間は他の機器や枕梁があり、これらと通風ダクトとの干渉を避けるために、通風ダクトの設計には困難が伴う。例えば、三軸台車を採用する鉄道車両において、車体内のスペース確保のために3つの主電動機に対して1つの送風機で冷却を行う場合、通風ダクトは床下で三方向に分岐し、更に他の機器や枕梁との干渉を避けるために形状が複雑化する。そのため、通風ダクトの設計が一層困難となる。
この発明の実施形態の課題は、床下の機器と干渉することなく容易に通風ダクトを設置可能とする枕梁モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の実施形態によれば、枕梁モジュールは、少なくとも一対の側縁を有する第1主板と、少なくとも一対の側縁を有し前記第1主板と間隔を置いて平行に対向する第2主板と、それぞれ前記第1主板と第2主板の間に挟まれ前記第1主板および第2主板に連結された複数本のリブと、前記複数本のリブの内、互いに間隔を置いて対向する2本のリブと前記第1主板および第2主板とにより形成された通風ダクトと、前記第1主板に形成され前記通風ダクトに連通した吸気口と、前記第2主板に形成され前記通風ダクトに連通した吐出口と、一端が閉塞された筒状のダクト部材と、を備えている。前記複数本のリブは、前記通風ダクトを形成する2本のリブの一端に連結され前記通風ダクトの一端を閉塞したリブを含み、前記ダクト部材の開口端は、前記通風ダクトの他端に連結され、前記ダクト部材は、前記通風ダクトに連通した吐出口を有している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る電気機関車を概略的に示す側面図。
【
図2】
図2は、前記電気機関車の車体台枠の枕梁モジュールを示す斜視図。
【
図3】
図3は、前記枕梁モジュールを裏面側から見た斜視図。
【
図4】
図4は、前記枕梁モジュールの裏面側を示す平面図。
【
図5】
図5は、前記枕梁モジュールの内部構造を示す枕梁モジュールの断面図。
【
図6】
図6は、
図4の線A-Aに沿った枕梁モジュールの断面図。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る枕梁モジュールの下面側を示す斜視図。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る枕梁モジュールの吐出口および調整板を示す分解斜視図。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る枕梁モジュールの通風ダクトおよび調整板の断面図。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係る枕梁モジュールの吐出量調整機構を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下図面を参照しながら、この発明の実施形態について説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更であって容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状、寸法等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略あるいは簡略化することがある。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、鉄道車両として、第1実施形態に係る機関車を模式的に示す側面図である。図示のように、機関車10は、複数台、例えば、2台の台車12と、台車12上に支持された車体30と、を備えている。各台車12は、例えば、3軸台車を用いている。すなわち、各台車12は、台車枠14a、台車枠14aに回転自在に支持された3本の車軸14b、各車軸14bに取付けられた車輪15、台車枠14aに実装され車軸14bを駆動する3台の主電動機16等を有している。
車体30は、台車12上に支持された車体台枠20と、車体台枠20の前後両端部に搭載された2つの運転室構体30aと、2つの運転室構体30aの間で車体台枠20上に搭載された機械室構体30bと、を有している。運転室構体30aにより前後の運転室31a、31aが形成され、2つの運転室構体30aおよび機械室構体30bにより機械室31bが形成されている。
機械室31b内に、複数台、例えば、2台の送風機(ブロワ)32が設置されている。送風機32は、それぞれ車体台枠20上に設置され、台車12の上方に位置している。送風機32は、例えば、機械室31bの屋根に形成された吸気口から外気を取り込み、取込んだ外気を、後述する枕梁モジュールの通風ダクトを通して、床下の3台の主電動機16に冷却風として供給する。
【0009】
次に、車体台枠20の一部を構成する本実施形態に係る枕梁モジュールについて説明する。
図2は、枕梁モジュールを示す斜視図、
図3は、枕梁モジュールの下面側を示す斜視図、
図4は、枕梁モジュールの裏面側を示す平面図、
図5は、前記枕梁モジュールの内部構造を示す枕梁モジュールの断面図、
図6は、
図4の線A-Aに沿った枕梁モジュールの断面図である。これらの各図において、一対の側梁22の内、枕梁モジュールが締結されている一部分を併せて図示している。
初めに、一例で用いている側梁22の構成について説明する。
図2、
図5、
図6に示すように、各側梁22は、チャンネル鋼材で構成され、長手方向に延在する側壁21aと、側壁21aの一側縁から側壁23aに対して垂直に延出し側壁21aの一側縁全長に亘って延びる第1壁21bと、側壁21aの他側縁から側壁21aに対して垂直に延出し他側縁の全長に亘って延び第1壁21bと間隔を置いてほぼ平行に対向した第2壁21cと、を一体に有している。更に、側梁22は、長手方向に間隔を置いて配置された複数の補強壁21dを有し、各補強壁21dは、第1壁21bと第2壁21cとの間に位置し第1壁21b、第1壁21c、および側壁21aに連結されている。一対の側梁22は、側壁23a同士が向かい合った状態で、互いに間隔をおいて平行に対向して配置されている。
【0010】
図2ないし
図6に示すように、枕梁モジュール50は、平坦な第1主板(上板)51Aと、隙間を置いて第1主板とほぼ平行に対向した第2主板(下板)51Bと、これら第1主板51Aと第2主板51Bとの間に挟まれた複数本の平板状のリブ(補強梁)70と、を有している。リブ70は、それぞれ同一の高さ(幅)に形成され、第1主板および第2主板に対して垂直に立設されている。各リブ70の一側縁は第1主板51Aに連結固定され、他側縁は第2主板51Bに連結固定されている。
【0011】
図2に示すように、第1主板51Aは、ほぼ矩形状に形成され、それぞれ側梁22と平行に延びる左右一対の第1側縁SE1および第2側縁SE2と、それぞれ側梁22と直交する方向に延びる上下一対の第3側縁SE3および第4側縁SE4と、を有している。第1主板51Aは、第1側縁SE1の中央部に開口する切欠きあるいは凹所32aと、第2側縁SE2のほぼ中央部に開口する凹所33aと、第1側縁SE1と第2側縁SE2との間のほぼ中央で第3側縁SE3の近傍に形成された開口38aと、更に、第2側縁SE2および凹所33aの近傍に形成され吸気口となる矩形状の開口34とを有している。凹所32aの両側に位置する2つの第1側縁SE1は、それぞれ側梁22の側壁21aに当接可能な第1当接縁36aおよび第2当接縁36bを構成している。また、凹所33aの両側に位置する第2側縁SE2は、それぞれ他方の側梁22の側壁21aに当接可能な第3当接縁36cおよび第4当接縁36dを構成している。更に、第1主板51Aは、第4側縁SE4から側梁22と平行な方向に突出した矩形状の凸部40aを一体に有している。
【0012】
図3および
図4に示すように、第2主板51Bは、第1主板51Aとほぼ同一の寸法およびほぼ同一の輪郭形状を有している。すなわち、第2主板51Bは、ほぼ矩形状に形成され、それぞれ側梁22と平行に延びる左右一対の第1側縁および第2側縁と、それぞれ側梁22と直交する方向に延びる上下一対の第3側縁および第4側縁と、を有している。第2主板51Bは、第1側縁の中央部に開口する凹所32bと、第2側縁のほぼ中央部に開口する凹所33bと、第1側縁と第2側縁との間のほぼ中央で第3側縁の近傍に形成された開口38bと、更に、吐出口となる2つ矩形状の開口35と、を有している。凹所32b、33bおよび開口38bは、それぞれ第1主板51Aの凹所32a、33aおよび開口38aと対向している。
【0013】
第2主板51Bは、第4側縁から側梁22と平行な方向に突出した矩形状の凸部40bを一体に有している。凸部40bは、第1主板51Aの凸部40aと平行に対向している。一方の開口35は、凸部40bの一側縁の近傍に設けられ、他方の開口35は、開口38bの近傍で、かつ、一方の開口35と側梁22と平行に方向に並んで設けられている。
第2主板51Bにおいて、凹所32bの両側に位置する2つの側縁部は、それぞれ第1主板51Aの第1当接縁36aおよび第2当接縁36bを越えて側梁22と直交する方向に延出し、それぞれ側梁22の第2壁21cに当接可能な第1フランジ42aおよび第2フランジ42bを構成している。また、凹所33bの両側に位置する2つの側縁部は、それぞれ第1主板51Aの第3当接縁36cおよび第4当接縁36dを越えて側梁22と直交する方向に延出し、それぞれ側梁22の第2壁21cに当接可能な第3フランジ42cおよび第4フランジ42dを構成している。
【0014】
第2主板51Bの表面(外面)に円形の中心ピン受け71bおよび4つの円形のばね受け71aが形成されている。中心ピン受け71bは、第2主板51Bの表面の幅方向の中央部で開口38bと第3側縁との間に設けられている。4つのばね受け71aは、第2主板51Bの4つの角部にそれぞれ設けられている。中心ピン受け71bに中心ピン68が取り付けられている。
【0015】
図5および
図6に示すように、複数のリブ70は、側梁22と平行な方向に延びる複数の縦リブと、側梁22と直交する方向に延びる複数の横リブと、縦リブに対して斜めに交差して延びるクロスリブ70Xと、を含んでいる。
縦リブ70は、それぞれ第1主板51Aの第1当接縁36a、第2当接縁36b、第3当接縁36c、第4当接縁36dに整列して立設された4つの縦リブ70d、70e、70f、70g、70を含んでいる。また、縦リブ70は、凸部40aの延出端から凸部40aの一方の側縁に整列して第1主板51Aの第2側縁SE3まで連続して延びる縦リブ70aと、凸部40aの延出端から凸部40aの他方の側縁に整列して第1主板51Aの第2側縁SE3まで連続して延びる縦リブ70bと、を含んでいる。縦リブ70a、70bは、所定の間隔を置いて互いに対向して配置されている。縦リブ70bの一部は、縦リブ70f側に折れ曲がり開口34の周縁に沿って延びている。
【0016】
複数の横リブは、第1主板51Aの第3側縁SE3の近傍に位置する横リブ70と、第1主板51Aの第4側縁SE4の近傍に位置する横リブ70と、を含んでいる。一方の横リブ70は、縦リブ70dから縦リブ70fまで延在し、途中で複数の縦リブと交差あるいは連結されている。他方の横リブ70は、縦リブ70eから縦リブ70gまで延在し、途中で複数の縦リブと交差あるいは連結されている。更に、横リブは、凸部40aの延出端縁に整列して設けられた横リブ70hを含んでいる。横リブ70hの両端は縦リブ70aおよび70bの端に連結している。
【0017】
2本の縦リブ70a、70bおよび第1主板51A、第2主板51Bにより中空の通風ダクト52を構成している。通風ダクト52は、凸部40aの延出端から第2側縁SE3まで側梁22と平行な方向に延びている。凸部40a上に位置する通風ダクト52の長手方向の一端は、横リブ70hにより閉塞されている。通風ダクト52の長手方向の他端は、第1主板51Aおよび第2主板51Bの側縁SE3の間に開口している。
通風ダクト52内に2本の斜め梁77a、77bが設けられている。斜め梁77aは、第3側縁SE3の近傍に設けられ、縦リブ70aと第2主板51Bと交差位置から縦リブ70bと第1主板51Aとの交差位置まで延びている。斜め梁77bは、第4側縁SE4の近傍に設けられ、縦リブ70aと第1主板51Aと交差位置から縦リブ70bと第2主板51Bとの交差位置まで延びている。
第1主板51Aに設けられた開口34は、通風ダクト52内に連通し、通風ダクト52の吸気口を形成している。第2主板51Bに形成された2つの開口35はそれぞれ通風ダクト52に連通し、2つの吐出口を構成している。
【0018】
図2ないし
図5に示すように、枕梁モジュール50は、角筒形状のダクト部材55を有している。ダクト部材55は、一端が閉塞され、他端が通風ダクト52の開口端に連結されている。一例では、一対の連結板(例えば、ガゼットプレート)81およびボルトによりダクト部材55の側壁と縦リブ70a、70bとが連結されている。これにより、ダクト部材55は通風ダクト52に連通し、通風ダクトの一端部を構成している。また、ダクト部材55に矩形状の開口37が設けられている。開口37は、通風ダクト52内に連通し吐出口を構成している。開口37は、第2主板51Bの2つの開口35と一列に並んで配置されている。3つの吐出口となる開口35および開口37は、ダクト52の長手方向に互いに間隔を置いて設けられている。例えば、1つの開口35は、ダクト52の長手方向のほぼ中央部に設けられ、他の開口35および開口37は、ダクト52の長手方向の両端部近傍に設けられている。なお、これら吐出口の位置は、前述した台車14に設けられている3つの主電動機16の配設位置に合わせて調整される。
【0019】
図2ないし
図4に示すように、上記のように構成された枕梁モジュール50は、一対の側梁22間に配置され、ボルトにより一対の側梁22に締結される。枕梁モジュール50の縦リブ70d、70eは一方の側梁22の側壁21aに当接し、それぞれボルトにより側壁21aに締結されている。第1フランジ42aおよび第2フランジ42bは、それぞれ側梁22の第2壁21c上に位置し、ボルトにより第2壁21cに締結されている。
同様に、枕梁モジュール50の縦リブ70f、70gは他方の側梁22の側壁21aに当接し、それぞれボルトにより側壁21aに締結されている。第3フランジ42cおよび第4フランジ42dは、それぞれ側梁22の第2壁21c上に位置し、ボルトにより第2壁21cに締結されている。
【0020】
図1に示したように、2つの枕梁モジュール50を有する車体台枠20は、枕梁モジュール50の中心ピン68を台車12の図示しない芯皿部に差し込んだ状態で台車12上に支持される。各送風機32は、枕梁モジュール50の開口(吸気口)34に重ねて第1主板51A上および側梁22上に設置され、送風機32の吐出口は、開口(吸気口)34を介して通風ダクト52に連通している。また、枕梁モジュール50の3つの開口(吐出口)35、37は、連結ダクトREを介して主電動機16に接続されている。
送風機32は、車体30の屋根に設けられた空気取込口から車外の空気を取り込み、枕梁モジュール50の通風ダクト52および3つの連結ダクトREを通して床下の主電動機16に供給し、主電動機16を冷却する。
【0021】
以上のように構成された第1実施形態によれば、枕梁モジュール50の一部のリブおよび第1、第2主板により通風ダクト52を構成することにより、枕梁と通風ダクトとを一体化した枕梁モジュールが得られる。通風ダクトを枕梁と一体化することにより、通風ダクトが床下の他の機器に干渉することがほとんどなく、床下の設置スペースを有効に活用することが可能となる。同時に、通風ダクトの形状を簡素化することでき、通風ダクトの設計が容易となる。更に、各主電動機16に繋がる通風ダクト52の一部の断面積を調節し各流路での静圧を均一にすることで各主電動機に均等に送風可能な通風ダクト52が得られる。
以上のことから、本実施形態によれば、床下の機器と干渉することなく容易に通風ダクトを設置可能とする枕梁モジュールが得られる。
【0022】
次に、他の実施形態に係る枕梁モジュールについて説明する。なお、以下に説明する他の実施形態において、前述した第1実施形態と同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略あるいは簡略化し、第1実施形態と異なる部分を中心に詳しく説明する。
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態に係る枕梁モジュールの下面側(裏面側)を示す斜視図である。
図7に示すように、枕梁モジュール50は、第1主板(上板)51Aと、隙間を置いて第1主板とほぼ平行に対向した第2主板(下板)51Bと、これら第1主板51Aと第2主板51Bとの間に挟まれた複数本の平板状のリブ(補強梁)70と、を有している。リブ70は、それぞれ同一の高さ(幅)に形成され、第1主板および第2主板に対して垂直に立設されている。各リブ70の一側縁は第1主板51Aに連結固定され、他側縁は第2主板51Bに連結固定されている。第2実施形態によれば、複数のリブ70は、側梁22とほぼ平行に延びる複数の縦リブと、側梁22と直交する方向に延びる複数の横リブとを含んでいる。各側梁22は、2つのL字鋼材を組み合わせて角筒形状に構成されている。
【0023】
第2実施形態によれば、通風ダクト52の延長部分は、別体のダクトではなく、第1主板51A、第2主板51B、およびリブ70により一体の通風ダクトを構成している。すなわち、第1主板51Aは、第4側縁SE4から側梁22と平行な方向に突出した矩形状の第1凸部40aと第3側縁SE3から側梁22と平行な方向に突出した矩形状の第2凸部41aとを一体に有している。同様に、第2主板51Bは、第4側縁SE4から側梁22と平行な方向に突出した矩形状の第1凸部40bと第3側縁SE3から側梁22と平行な方向に突出した矩形状の第2凸部41bとを一体に有している。第1凸部40bは、第1主板51Aの第1凸部40aと平行に対向している。第2凸部41bは、第1主板51Aの第2凸部41aと平行に対向している。
【0024】
複数の縦リブ70は、第1凸部40a、40bの延出端から第1凸部40a、40bの一方の側縁に整列して第2凸部41a、41bの延出端まで連続して延びる縦リブ70aと、第1凸部40a、40bの延出端から第1凸部40a、40bの他方の側縁に整列して第2凸部41a、41bの延出端まで連続して延びる縦リブ70bと、を含んでいる。縦リブ70a、70bは、所定の間隔を置いて互いに対向して配置されている。縦リブ70bの一部は、側梁22側にクランク状に折れ曲がり、開口(吸込み口)34の周縁に沿って延びている。更に、横リブは、第1凸部40a、40bの延出端縁に整列して設けられ開口端を閉塞した横リブ70hと、第2凸部41a、41bの延出端縁に整列して設けられ開口端を閉塞した横リブ70fと、を含んでいる。
これら2本の縦リブ70a、70b、第1主板51A、第2主板51B、横リブ70h、70fにより中空の通風ダクト52を構成している。通風ダクト52は、第1凸部40a、40bの延出端から第2凸部41a、41bの延出端まで側梁22と平行な方向に延びている。
【0025】
第1主板51Aに矩形状の開口(吸込み口)34が形成され、通風ダクト52内に連通している。吸込み口34は、通風ダクト52の長手方向の中央部よりも第1凸部40a、40b側に僅かにずれた位置に設けられている。
第2主板51bに3つの開口(吐出口)35が形成され、それぞれ通風ダクト52内に連通している。3つの吐出口35は、例えば、矩形状に形成され、同一の大きさ、寸法に形成されている。3つの吐出口35は、通風ダクト52の長手方向の中央部、および両端部に、それぞれ設けられている。すなわち、3つの吐出口35は、通風ダクト52の長手方向に互いに間隔を置いて並んでいる。
【0026】
上述した複数の吐出口35は、吸込み口34からの距離がそれぞれ異なり、吸込み口34から各吐出口35までの流通抵抗が異なる。そのため、3つの吐出口35は、開口面積が同一でも、冷却空気の吐出量が同一とならない。
そこで、第2実施形態によれば、枕梁モジュール50は、吐出口35の開口面積を調整するための調整板を備えている。
図7に示すように、枕梁モジュール50は、それぞれ吐出口35に重ねて第2主板51Bに取付けられた第1調整板74a、第2調整板74b、第3調整板74cを備えている。調整板74a、74b、74cは、それぞれ吐出口35よりも大きな寸法の矩形状に形成されている。各調整板74a、74b、74cは、吐出口35全体を覆うように配置され、調整板の周縁部が第2主板51Bにねじ止め固定されている。また、各調整板74a、74b、74cは、吐出口35の開口面積を調整するための絞り開口76a、76b、76cを有している。
【0027】
第1調整板74aは、通風ダクト52の軸方向一端に設けられた吐出口35に重ねて配置されている。第1調整板74aの絞り開口76aは、吐出口35とほぼ等しい寸法の矩形状に形成され、吐出口35の全面に対向している。すなわち、上記吐出口35は、吸込み口34から最も離間していることから、第1調整板74aは、実質的に吐出口35を閉塞せず、吐出口35の最大吐出量を維持するように構成されている。
第3調整板74cは、通風ダクト52の軸方向他端に設けられた吐出口35に重ねて配置されている。第3調整板74cの絞り開口76cは、吐出口35よりもやや小さい寸法の矩形状に形成され、吐出口35に対向している。すなわち、上記吐出口35は、吸込み口34から2番目に離間していることから、第3調整板74cは、吐出口35を部分的に閉塞し、吐出口35からの吐出量を絞っている。
【0028】
図8は、第2調整板および吐出口を示す分解斜視図、
図9は、通風ダクトおよび第2調整板の断面図である。
図示のように、第2調整板74bは、通風ダクト52の軸方向のほぼ中央部に設けられた吐出口35に重ねて配置されている。第2調整板74bの絞り開口76bは、吐出口35よりも小さい寸法の矩形状に形成され、吐出口35に対向している。絞り開口76bは、前述した絞り開口76cよりも更に小さい寸法に形成されている。上記吐出口35は、吸込み口34に最も隣接していることから、第2調整板74bは、吐出口35を部分的に閉塞し、吐出口35からの吐出量を絞っている。
第1、第2、第3調整板74a、74b、74cの絞り開口76a、76b、76cの大きさ(開口面積)は、3つの吐出口35からの冷却空気の吐出量が同一となる、すなわち、均一となる大きさに設定されている。
なお、
図9に示すように、第1、第2、第3調整板74a、74b、74cは、それぞれ連結ダクトREを連結する台座としても機能することができる。
【0029】
第2実施形態において、枕梁モジュール50の他の構成は、前述した第1実施形態の枕梁モジュールと同一である。
第2実施形態によれば、第1実施形態の作用効果に加えて、通風ダクトの複数の吐出口から吐出される冷却空気の吐出量を均一にすることができ、台車側の複数の主電動機を均一に冷却することが可能となる。
【0030】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る枕梁モジュールについて説明する。
図10は、第3実施形態に係る枕梁モジュールの吐出量調整機構を示す平面図、
図11は、吐出量調整機構の断面図である。
第3実施形態によれば、枕梁モジュールは、固定の調整板に代えて、吐出口の吐出量を任意に調整可能な吐出量調整機構80を備えている。
図10および
図11に示すように、第2主板51bにおいて、吐出口35の周囲に枠状の凸部(台座部)84が設けられている。一例では、凸部84は、第2主板51bと一体に成形されているが、別体の枠体を第2主板51bに取付ける構成としてもよい。
【0031】
吐出量調整機構80は、摺動自在な調整板82と、調整板に連結された長尺な送りねじ(リードスクリュー)86と、を備えている。一例では、調整板82は、矩形状の板であり、吐出口35の長さ(通風ダクト52の長手方向の長さ)および幅(通風ダクト52の幅方向の幅)よりも大きな長さおよび幅を有している。調整板82は、それぞれ幅方向に延びる一対の長孔82aを有している。調整板82は、吐出口35の近傍で、第2主板51Bの内面上に配置されている。調整板82は、それぞれ第2主板51Bを通して長孔82aに挿通された2つの固定ボルト88および固定ボルト88に螺合されたナットにより、第2主板51Bに摺動可能に取り付けられている。調整板82は、固定ボルト88を緩めた状態で、吐出口35を全開にする位置と、吐出口35を、例えば90%程度、塞ぐ位置との間を通風ダクト52の幅方向に摺動可能となっている。
【0032】
送りねじ86は、通風ダクト52の幅方向に延在し、軸方向一端が調整板82の幅方向一端部に連結されている。また、送りねじ86の軸方向他端部は、通風ダクト52の側壁、ここでは、縦リブ70aを貫通し、通風ダクト52の外方に延出している。通風ダクト52の外方において、送りねじ86に調整ナット90がねじ込まれ、縦リブ70aの外面に当接している。調整ナット90を回すことにより、送りねじ86が軸方向に移動し、これに伴い、調整板82が通風ダクト52の幅方向に移動する。このように、調整ナット90のねじ込み量を調整することにより、調整板82を任意の位置に移動させて吐出口35を部分的に塞ぎ、吐出口35の開口面積を調整することができる、すなわち、吐出口35からの冷却空気の吐出量を調整することができる。
調整ナット90のねじ込み量、すなわち、調整板82の調整位置を示す指標として、例えば、縦リブ70aからの送りねじ86の突出し長さを用いることができる。突出し長さは、例えば、目盛の付された測定治具を送りねじ86に沿って配置し、送りねじ86の先端の位置を測定治具で測定することにより、測定することができる。
【0033】
上記のように構成された吐出量調整機構80は、前述した枕梁モジュールの3つの吐出口35のそれぞれに設置されている。吐出量の調整においては、吸込み口34から通風ダクト52に冷却空気を流し、各吐出口35からの冷却空気の吐出量を測定しながら、吐出量調整機構80により吐出口35の開口面積を調整する。具体的には、一対の固定ボルト88を緩めた状態で、調整ナット90を回して調整板82を移動させる。吐出量の測定値が所望の値となるように、調整板82の位置を調整する。調整後、一対の固定ボルト88およびナットを絞めて調整板82を調整位置に固定する。また、調整後、送りねじ86の突出し長さを測定し、別途、測定長さを調整位置として登録しておくとよい。
上記吐出量の調整を3つの吐出口35について行い、3つの吐出口35からの吐出量が互いに同一となるように調整する。
なお、上記と同一構成を有する他の枕梁モジュールの吐出量を調整する場合、上記登録された調整位置に送りねじ86の突出し長さを合わせることにより、所望の吐出量に調整することが可能である。
【0034】
第3実施形態において、枕梁モジュール50の他の構成は、前述した第1実施形態の枕梁モジュールと同一である。
第3実施形態によれば、第1実施形態の作用効果に加えて、通風ダクトの複数の吐出口から吐出される冷却空気の吐出量を均一にすることができ、台車側の複数の主電動機を均一に冷却することが可能となる。更に、第3実施形態によれば、通風ダクトの吐出量を一層正確に調整することができる。
なお、第3実施形態において、調整板は矩形板に限らず、他の任意の形状とすることが可能である。また、調整板をスライドさせる移動機構は、送りねじと調整ナットとの組み合わせに限らず、他の種々の移動機構を用いることができる。例えば、送りねじの代わりに、ねじの切られていない調整ロッドを用い、この調整ロッドを治具により押し、引きすることで調整板の位置を調整する構成としてもよい。また、調整位置を示す指標として、調整板あるいは他の部位に視認可能な目盛を設けてもよい。
【0035】
この発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、枕梁モジュールの第1主板および第2主板の形状は、上述した実施形態に限定されることなく、任意の輪郭形状および側縁形状とすることが可能である。また、リブの本数および設置位置は、実施形態に限定されることなく、適宜選択可能である。通風ダクトの吐出口は、3つに限らず、必要に応じて、増減可能である。
【符号の説明】
【0036】
10…機関車、12…台車、16…主電動機、20…車体台枠、22…側梁、
30…車体、32…送風機、34…吸気口、35、37…吐出口、
50…枕梁モジュール、51A…第1主板、51B…第2主板、52…通風ダクト、
55…ダクト部材、70…リブ、72a、72b…縦リブ、77a、77b…斜め梁、
74a、74b、74c…調整板、76a、76b、76c…絞り口、
80…吐出量調整機構、82…調整板、86…送りねじ、90…調整ナット