(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】作業情報取得装置および分類器生成装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20120101AFI20230324BHJP
A01C 15/00 20060101ALI20230324BHJP
A01C 23/00 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
G06Q50/02
A01C15/00 H
A01C23/00 G
A01C23/00 H
(21)【出願番号】P 2019078351
(22)【出願日】2019-04-17
【審査請求日】2021-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】堀川 成之
(72)【発明者】
【氏名】森 裕二
(72)【発明者】
【氏名】三宅 寿英
【審査官】後藤 昂彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-086140(JP,A)
【文献】特開2014-031161(JP,A)
【文献】特開2006-201851(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0192662(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0010349(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
A01C 15/00
A01C 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタに接続される作業機から通信ネットワークを介して仮想端末に送られる情報ユニットから作業情報を取得する作業情報取得装置であって、
前記作業機から前記通信ネットワークを介して前記仮想端末に、制御画面を表示させる制御画面命令が送られた後、前記作業機の状態を示す情報ユニットが繰り返し送られ、
前記情報ユニットは、前記制御画面の表示を操作する表示操作命令を含み、
前記作業情報取得装置は、
前記通信ネットワークから前記仮想端末に送られる情報ユニットに含まれる表示操作命令である表示情報、または、前記表示操作命令に基づく表示画像である表示情報が入力されて、前記表示情報に対応する情報種別を出力する分類器と、
記憶部と、
前記分類器から出力された前記情報種別に関連付けて、前記表示情報に関連付けられた値を前記記憶部に保存する制御部と、
を備えることを特徴とする作業情報取得装置。
【請求項2】
請求項1に記載の作業情報取得装置であって、
前記分類器を含む複数の分類器と、
前記通信ネットワークを介して前記作業機の作業種別を取得する作業種別取得部と、
前記作業種別に基づいて前記複数の分類器から分類器を選択する分類器選択部と、
をさらに備えることを特徴とする作業情報取得装置。
【請求項3】
トラクタに接続される作業機から通信ネットワークを介して仮想端末に送られる情報ユニットから情報種別を取得する分類器を生成する分類器生成装置であって、
前記作業機から前記通信ネットワークを介して前記仮想端末に、制御画面を表示させる制御画面命令が送られた後、前記作業機の状態を示す情報ユニットが繰り返し送られ、
前記情報ユニットは、前記制御画面の表示を操作する表示操作命令を含み、
前記分類器生成装置は、
前記通信ネットワークから前記仮想端末に送られる情報ユニットに含まれる表示操作命令である表示情報、または、前記表示操作命令に基づく表示画像である表示情報を取得する表示情報取得部と、
前記表示情報に対応する情報種別の入力を受け付ける、または、前記表示情報に関連する情報から情報種別を取得する情報種別取得部と、
情報種別と、前記情報種別に対応する表示情報との組み合わせを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている表示情報と情報種別との複数の組み合わせに基づいて学習を行うことにより、表示情報の入力に応じて情報種別を出力する分類器を生成する分類器生成部と、
を備えることを特徴とする分類器生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタに接続される作業機から作業情報を取得する技術に関連する。
【背景技術】
【0002】
近年、農業分野において、トラクタと、トラクタに接続される作業機との間において通信を行い、作業状況を的確に作業者に表示したり、作業者から作業機に指示を行う技術が開発されている。作業機としては様々なものがあり、例えば、肥料を撒く機械、種を播く機械、農薬や液体肥料を撒く機械、苗を植える機械等を挙げることができる。トラクタと作業機との間の通信制御は、ISO 11783に定められており、この規格をトラクタと作業機との組み合わせであるワーキングセットに実装する技術の規格がAEF(Agricultural industry Electronics Foundation)により「ISOBUS」という名称で進められている。
【0003】
ISOBUSに定められた機能の一つとして、バーチャルターミナル(以下、「VT」という。「ユニバーサルターミナル」とも呼ばれる。)がある。VTの機能を有する端末は、ディスプレイと操作部とを有する。作業機が有する電子制御ユニット(以下、「ECU」という。)から送られてきた命令に基づいてVTはディスプレイに作業機の状態を表示する。作業者が操作部を操作することにより、VTから作業機を制御する命令が送られる。VTと作業機との間の通信内容を取得する技術として、例えば、特許文献1に開示されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、農作業の作業状況や作業実績を管理することは、生育管理において重要である。例えば、どのエリアにどの程度の農薬を噴霧したかという作業実績の記録は、作物の質の管理やコストの管理に役立てることができる。このような管理を効率よく行うために、VTと作業機との間の通信内容を利用することが望まれる。
【0006】
しかし、ISOBUSにおけるVTと作業機との間の通信の規格では、通信方式の統一化が図られる一方で、メーカー独自の定義も認められている。そのため、作業機のメーカー以外の者が通信内容を正確に取得することができず、通信方式の統一化の努力が生かせないという問題が生じている。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、情報ユニットからメーカー独自の情報種別を取得することができ、作業の実績を示す作業情報を容易に取得することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、トラクタに接続される作業機から通信ネットワークを介して仮想端末に送られる情報ユニットから作業情報を取得する作業情報取得装置に向けられている。前記作業機から前記通信ネットワークを介して前記仮想端末に、制御画面を表示させる制御画面命令が送られた後、前記作業機の状態を示す情報ユニットが繰り返し送られる。前記情報ユニットは、前記制御画面の表示を操作する表示操作命令を含む。
【0009】
前記作業情報取得装置は、前記通信ネットワークから前記仮想端末に送られる情報ユニットに含まれる表示操作命令である表示情報、または、前記表示操作命令に基づく表示画像である表示情報が入力されて、前記表示情報に対応する情報種別を出力する分類器と、記憶部と、前記分類器から出力された前記情報種別に関連付けて、前記表示情報に関連付けられた値を前記記憶部に保存する制御部とを備える。
【0010】
本発明の一の形態では、作業情報取得装置は、前記分類器を含む複数の分類器と、前記通信ネットワークを介して前記作業機の作業種別を取得する作業種別取得部と、前記作業種別に基づいて前記複数の分類器から分類器を選択する分類器選択部とをさらに備える。
【0011】
本発明は、トラクタに接続される作業機から通信ネットワークを介して仮想端末に送られる情報ユニットから情報種別を取得する分類器を生成する分類器生成装置にも向けられている。前記作業機から前記通信ネットワークを介して前記仮想端末に、制御画面を表示させる制御画面命令が送られた後、前記作業機の状態を示す情報ユニットが繰り返し送られる。前記情報ユニットは、前記制御画面の表示を操作する表示操作命令を含む。
【0012】
前記分類器生成装置は、前記通信ネットワークから前記仮想端末に送られる情報ユニットに含まれる表示操作命令である表示情報、または、前記表示操作命令に基づく表示画像である表示情報を取得する表示情報取得部と、前記表示情報に対応する情報種別の入力を受け付ける、または、前記表示情報に関連する情報から情報種別を取得する情報種別取得部と、情報種別と前記情報種別に対応する表示情報との組み合わせを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている表示情報と情報種別との複数の組み合わせに基づいて学習を行うことにより、表示情報の入力に応じて情報種別を出力する分類器を生成する分類器生成部とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、情報ユニットからメーカー独自の情報種別を取得することができ、作業の実績を示す作業情報を容易に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4A】作業情報取得装置の機能構成を示す図である。
【
図8A】学習に利用される表示の例を示す図である。
【
図8B】学習に利用される表示の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、農作業用のトラクタ11および作業機12を示す概略図である。以下、トラクタ11および作業機12の組み合わせであるワーキングセット1を「WS1」と呼ぶ。トラクタ11には様々な種類の作業機12が取り付け可能である。
図1では、作業機12はトラクタ11の後方に取り付けられるが、トラクタ11の前方に取り付けられてもよい。作業機12としては、例えば、肥料を撒く機械、種を播く機械、農薬や液体肥料を撒く機械、苗を植える機械、耕す機械等を挙げることができる。
【0016】
図2は、トラクタ11と作業機12とを接続する通信ネットワーク3を示す図である。通信ネットワーク3は、ISOBUSの規格に適合している。
図2は簡素な通信ネットワーク3を示しているが、通信ネットワーク3は複雑な構造を有してもよい。通信ネットワーク3は、トラクタ11内の通信ネットワーク31と、作業機12内の通信ネットワーク32とを含む。通信ネットワーク31と通信ネットワーク32とは、接続部301で接続される。トラクタ11の通信ネットワーク31には、複数のECU(電子制御ユニット)41と、仮想端末(バーチャルターミナル)であるVT42と、作業情報取得装置43と、その他の通信機器等が接続される。
【0017】
ECU41は、トラクタ11の各種センサや制御機器等に設けられ、センサにて取得された情報を通信ネットワーク3に送出したり、通信ネットワーク3から制御信号を受けとって制御機器に渡す。VT42は、通信ネットワーク3を介して作業機12と通信を行う。
【0018】
作業情報取得装置43は、作業機12から通信ネットワーク3を介してVT42に送られる情報ユニットから作業情報を取得する。作業情報取得装置43の詳細について後述する。作業情報取得装置43は、接続部302を介して通信ネットワーク3に接続される。作業情報取得装置43は、必要な時のみ通信ネットワーク3に接続されてもよく、常時接続されてもよい。なお、作業情報取得装置43はVT42として機能する端末内に存在してもよい。すなわち、VT42と作業情報取得装置43とは一つの装置として設けられてもよい。
【0019】
作業機12の通信ネットワーク32には、複数のECU44と、その他の通信機器等が接続される。ECU44は、作業機12の各種センサや制御機器等に設けられ、通信ネットワーク3にセンサにて取得された情報を送出したり、通信ネットワーク3から制御信号を受けとって制御機器に渡す。ECU44は、通信ネットワーク3を介してトラクタ11のECU41やVT42と通信を行う。ECU41、VT42、ECU44等に実装されたコントロール・ファンクション(「CF」と略される。)と呼ばれる機能が、通信を実現する。
【0020】
VT42は、作業機12のECU44から送られてきた命令に基づいてディスプレイに作業機の状態を表示する。作業者がVT42の操作部を操作することにより、VT42からECU44を介して各種制御機器に制御命令が送られる。
【0021】
なお、ISO 11783にて定められた「VT」は、仮想端末であるが、以下の説明におけるVT42は、仮想端末が実装された端末を指すものとする。もちろん、VT42は、通信ネットワーク3に追加的に接続されたコンピュータが実現する端末であってもよい。すなわち、VT42における「仮想端末」という表現は、実際の端末と捉えられてもよく、汎用機械上に実装される仮想的な端末と捉えられてもよい。
【0022】
図3はVT42が有するディスプレイ421に表示される作業機12に関する制御画面5の一例を示す図である。
図3の制御画面5は、タンクの表示(以下、単に「タンク」と呼ぶ。)51、ノズルの表示(以下、単に「ノズル」と呼ぶ。)52、ノズルからの農薬の噴霧量を示す表示(以下、「噴霧量表示」と略す。)53、操作ボタンの表示(以下、単に「操作ボタン」と呼ぶ。)54等の表示を含む。また、タンク51、ノズル52、噴霧量表示53、操作ボタン54等を、以下、「表示要素」を総称する。
【0023】
トラクタ11および作業機12を含むWS1の起動時には、作業機12の各種ECU44から通信ネットワーク3を介してVT42に制御画面5を表示させる制御画面命令、すなわち、基本画面の表示要素の表示やレイアウトを指示する命令が送られる。これにより、ディスプレイ421に制御画面5の基本構造が表示される。制御画面5は、作業機12に対して固有の画面である。例えば、タンク51を表示させるオブジェクトが作業機12からVT42に送られ、タンク51がディスプレイ421に描画される。ノズル52、噴霧量表示53、操作ボタン54等も同様に表示される。
【0024】
その後、作業機12の状態に応じて、各種ECU44からは、対応する表示要素の表示を操作する表示操作命令が繰り返し送られる。表示要素の表示の操作は、表示要素に対応するオブジェクトに含まれる変数の値を変更する命令により実現される。すなわち、当該命令が表示操作命令である。表示操作命令は、予め定められた形式の一連の情報(以下、「情報ユニット」と呼ぶ。)にて作業機12からVT42に送られる。情報ユニットの情報量が多い場合は、適宜、情報ユニットが複数のパケットに分割されてVT42に送られる。情報ユニットには、表示操作命令以外に、送信元のアドレス、送信先のアドレス、情報の種類等が含まれる。情報ユニットには、必要に応じて作業機の種類等が含められることがある。
【0025】
例えば、タンク51内の液体である農薬、水、肥料等の残量を示すオブジェクトの変数の値が表示操作命令により変更されると、タンク51内の液体の残量を示す表示(以下、「残量表示」という。)511の高さが変更される。噴霧量表示53のオブジェクトの変数の値が表示操作命令により変更されると、噴霧量表示53の大きさ、すなわち、上下方向の長さが、
図4Aに示す表示から
図4Bに示す表示に変化する。
【0026】
以上のように、作業機12からVT42へ作業機12の状態を示す情報ユニットが繰り返し送られ、各情報ユニットは、制御画面5の表示を操作する表示操作命令を含む。これにより、VT42のディスプレイ421には、作業機12の状態がリアルタイムにて表示される。
【0027】
一方、VT42のディスプレイ421は、タッチパネル機能を有する。操作ボタン54の部位に作業者が触れることにより、作業者が作業機12を操作することが可能である。操作ボタン54に代えて、VT42のディスプレイ421の外に設けられた機械的操作機構が利用されてもよい。機械的操作機構としては、例えば、ジョイスティックやスイッチ等を挙げることができる。作業者が操作ボタン54に触れると、その操作に応じた命令が作業機12のECU44に送られ、ECU44からの信号を受けた機構要素が動作する。機構要素の動作により作業機12の状態が変化する場合は、上述の通り、対応する表示操作命令がECU44からVT42に送られ、制御画面5の表示が変更される。なお、操作ボタン54には、画面を前の画面や次の画面に切り替えるものも含まれる。
【0028】
図5は、作業情報取得装置43の機能構成を示す図である。作業情報取得装置43は、接続部302aと、情報ユニット取得部71と、前処理部72と、分類器73と、制御部74と、記憶部75とを含む。接続部302aは、
図2の接続部302の作業情報取得装置43側の部位である。接続部302aを介して通信ネットワーク3を伝わる情報ユニットが作業情報取得装置43に入力される。なお、接続部302aを省略し、作業情報取得装置43がトラクタ11から分離不能に設けられてもよい。
【0029】
情報ユニット取得部71、前処理部72、分類器73および制御部74は、コンピュータシステムがプログラムを実行することにより実現される。記憶部75は、例えば、ハードディスクや半導体メモリである。なお、これらの構成要素は、複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。
【0030】
情報ユニット取得部71は、通信ネットワーク3からVT42に送られる情報ユニットを取得する。前処理部72は、情報ユニットから、必要な情報を抽出する。ここで、ISOBUSの規格等に基づいて情報の種類(以下、「情報種別」という。)が既知の場合には、前処理部72から制御部74に、情報種別と当該情報種別に対応する値とが入力され、制御部74は、情報種別に関連付けて当該情報種別に対応する値を記憶部75に保存する。値は、トラクタ11の位置情報や時刻等と共に保存されてもよい。例えば、液体の噴霧量の情報種別に割り当てられた識別値が既知の場合、噴霧量を示す情報種別に関連付けて噴霧量を示す値が時系列に沿って保存される。これにより、どのエリアに液体をどの程度噴霧したか容易に記録することができ、後で確認することができる。
【0031】
ところで、情報ユニットに含まれる情報種別の識別値が、メーカー独自の値になっている場合がある。この場合、前処理部72で情報ユニットから表示操作命令が抽出され、表示操作命令が、予め学習により生成された分類器73に入力される。分類器73からは情報種別が出力される。分類器73は、作業機12の種類に対して専用のものであり、後述する手法にて生成される。制御部74は、分類器73からの情報種別に関連付けて、前処理部72にて情報ユニットから抽出された値を記憶部75に保存する。
【0032】
例えば、噴霧量表示53を操作する表示操作命令が、メーカー独自の未知の情報種別、例えば、情報種別を示すメーカー独自の識別値に関連づけられている場合、噴霧量表示53を操作する表示操作命令が分類器73に入力され、分類器73から液体の噴霧量を示す情報種別が出力される。そして、当該情報種別に関連付けて表示操作命令に含まれる値、すなわち、オブジェクトの変数に含まれる値が記憶部75に保存される。
【0033】
他の例として、タンク51の残量表示511を操作する表示操作命令が、メーカー独自の未知の情報種別に関連づけられている場合、残量表示511を操作する表示操作命令が分類器73に入力され、分類器73からタンク51の液体の残量を示す情報種別が出力される。そして、当該情報種別に関連付けて表示操作命令に含まれる値、すなわち、オブジェクトの変数に含まれる値が記憶部75に保存される。
【0034】
実際には、噴霧量表示53やタンク51の残量表示511を含む様々な表示操作命令が学習済みの分類器73に入力され、さらに好ましくは他の表示命令(例えば、制御画面命令)も入力されて噴霧量表示53に対応する情報種別と、残量表示511に対応する情報種別とが出力され、これらに対応する値が別途取得される。なお、情報種別と同時に値も分類器73にて取得されてもよい。
【0035】
前処理部72に入力される情報は、通信ネットワーク3を伝送される情報には限定されない。VT42のディスプレイ421に表示される画面を撮像した画像信号、あるいは、画面を表示させるビデオ信号の外部出力信号が前処理部72に入力されてもよい。この場合、信号から前処理部72で画面の画像情報が生成され、画像情報が分類器73に入力される。分類器73は画像情報に基づいて情報種別および対応する値を出力する。これにより、制御部74が情報種別に関連付けて値を保存することが実現される。
【0036】
例えば、
図3に示す制御画面5が分類器73に入力されると、分類器73は、タンク51の残量表示511とノズル52からの噴霧量表示53とを認識して情報種別として出力する。さらに、残量表示511および噴霧量表示53に基づいてこれらに対応する値を出力する。これにより、タンク51の液体の残量の情報種別に関連づけて残量に対応する値(または相対的大きさ)が繰り返し記憶部75に保存される。噴霧量の情報種別に関連付けて噴霧量に対応する値(または相対的大きさ)も繰り返し記憶部75に保存される。この場合、分類器73は情報種別に関連付けられた値を取得する役割も果たす。
【0037】
分類器73に表示操作命令または表示画像が入力される上記動作を一般的に表現すると、分類器73には、通信ネットワーク3からVT42に送られる情報ユニットに含まれる表示操作命令、または、表示操作命令に基づく表示画像である表示情報が入力され、分類器73は、表示情報に対応する情報種別を出力する。なお、表示情報は、分類器73に直接的に入力されてもよく、前処理部72を介して間接的に入力されてもよい。そして、制御部74は、分類器73から出力された情報種別に関連付けて、表示情報に関連付けられた値を記憶部75に保存する。表示情報は、表示操作命令および表示画像の一方のみには限定されず、分類器73に双方が入力されてもよい。
【0038】
以上のように、予め学習された分類器73を利用することにより、メーカー独自の未知の情報種別(例えば、メーカー独自に定められた識別値)を含む情報ユニットがVT42に入力される場合であっても、未知の情報種別を具体的な情報種別、例えば、情報の種類を示す一般的な名称として得ることができ、作業の実績を示す作業情報を容易に取得することが実現される。
【0039】
分類器63の数は、1つには限定されず、例えば、情報種別毎に分類器63が設けられてもよい。
【0040】
図6は、作業情報取得装置43の他の例を示す図である。
図6の作業情報取得装置43では、
図5に示す構成に、作業種別取得部76と、分類器選択部77とが追加される。作業種別取得部76および分類器選択部77は、コンピュータシステムがプログラムを実行することにより実現される。
【0041】
作業種別取得部76は、通信ネットワーク3を介して作業機12の作業種別、すなわち、作業機12の種類を取得する。作業種別は、WS1の起動時に作業機12から既定のフォーマットで通信ネットワーク3に送信されることから、VT42や作業情報取得装置43等は、作業種別を容易に取得することができる。分類器選択部77は、作業種別に基づいて複数の分類器73から分類器73を選択する。なお、選択される分類器73の数は1以上であり、例えば、取得すべき少なくとも1つの情報種別に対応する少なくとも1つの分類器73が選択される。
【0042】
その後、
図5の場合と同様に、選択された分類器73を用いて、表示操作命令または表示画像に基づいて情報種別が取得され、制御部74により、情報種別に関連付けて値が時系列的に記憶部75に保存される。
【0043】
作業種別取得部76および分類器選択部77により、作業機12の種類に応じた適切な分類器73が選択され、より確実に正しい情報種別を取得することが実現される。
【0044】
図7は、分類器73を生成する分類器生成装置45の機能構成を示す図である。分類器生成装置45は、作業情報取得装置43と同一の装置であってもよく、異なる装置であってもよい。
図7では、
図5の作業情報取得装置43と同様の構成要素には同符号を付している。分類器生成装置45は、接続部302aと、情報ユニット取得部71と、表示情報取得部81と、情報種別取得部82と、記憶部75と、分類器生成部83とを含む。
【0045】
情報ユニット取得部71、表示情報取得部81、情報種別取得部82および分類器生成部83は、コンピュータシステムがプログラムを実行することにより実現される。記憶部75は、例えば、ハードディスクや半導体メモリである。なお、これらの構成要素は、複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。
【0046】
分類器生成装置45は、接続部302aを介して通信ネットワーク3と接続可能である。
図5の場合と同様に、作業機12からは、通信ネットワーク3を介してVT42に、制御画面を表示させる制御画面命令が送られた後、作業機12の状態を示す情報ユニットが繰り返し送られる。情報ユニット取得部71は、接続部302aを介して通信ネットワーク3からVT42に送られる情報ユニットを取得する。表示情報取得部81は、情報ユニットに含まれる表示操作命令を表示情報として取得する。情報種別取得部82は、キーボードやマウスを介して作業者からの情報種別の入力を受け付け、情報種別と表示情報とを関連付けて記憶部75に保存する。分類器生成部83は、分類器73を生成する。
【0047】
分類器生成装置45にて分類器73が生成される際には、トラクタ11に様々なメーカーの作業機12が接続される。情報種別取得部82は、表示情報取得部81が取得した表示情報に対応する画面表示をディスプレイ中にて強調して作業者に提示する。作業者はこの表示を見て、対応する情報種別を入力部を介して入力する。この入力に応答して、情報種別取得部82は、情報種別と対応する表示情報とを関連付けて記憶部75に保存する。なお、注目すべき表示情報による画面表示の周囲の表示も関連付けられて記憶部75に保存されてもよい。例えば、基本画面である制御画面を表示させる制御画面命令も情報種別に関連付けられて保存される。
【0048】
図8Aおよび
図8Bは、上記作業で作業者に提示される画面の例を示す図である。
図8Aおよび
図8Bでは、タンク51の残量表示511と噴霧量表示53とが表示情報(表示操作命令)として強調表示された様子を示している。作業者はこれらの表示を選択して対応する情報種別を入力する。
【0049】
同一の作業種別の様々な作業機12がトラクタ11に接続されて上記処理が行われることにより、記憶部75には、情報種別と、当該情報種別に対応する表示情報との多数の組み合わせが保存される。そして、これらの組み合わせを教師情報として分類器生成部83にて学習が行われることにより、表示情報を入力とし、情報種別を出力とする分類器73が生成される。
図8A、
図8Bおよび上述の
図3に例示するタンク51と、並列されたノズル52を有する制御画面のように、作業機12の種類によって制御画面のレイアウトや画面中の表示が操作される箇所は類似性がある。したがって、学習により、同一作業種別の他の制御画面にも対応可能な分類器73を生成することが可能である。
【0050】
なお、上述の表示情報による画面表示の周囲の表示に対応する表示命令も分類器73の生成に利用されてもよい。これにより、入力情報が増加し、分類器73の分類精度が向上する。
【0051】
表示情報は、表示操作命令に基づく表示画像であってもよい。この場合、VT42に表示される画像が表示情報取得部81に入力される。すなわち、表示情報取得部81は、情報ユニットに含まれる表示操作命令である表示情報、または、表示操作命令に基づく表示画像である表示情報を取得する。表示情報取得部81が表示画像を表示情報として取得する場合、情報種別取得部82は、画像を所定のディスプレイに表示すると共に、作業者による画像の一部の選択および対応する情報種別および値の入力を受け付ける。表示情報取得部81は、当該画像の一部を表示情報として情報種別および値に関連付けてこれらの組み合わせを記憶部75に保存する。
【0052】
様々なメーカーの作業機12をトラクタ11に取り付けて表示情報の取得、並びに、情報種別および値の入力が繰り返されることにより、記憶部75には情報種別および値と、当該情報種別および値に対応する表示情報との多数の組み合わせが保存される。そして、これらの組み合わせを教師情報として分類器生成部83にて学習が行われることにより、部分画像である表示情報を入力とし、情報種別および値を出力とする分類器73が生成される。
【0053】
なお、生成された分類器73が
図6に示す複数の分類器73の1つとして利用される場合、分類器73に作業機12の作業種別が関連付けられる。
【0054】
学習には、様々な手法が採用可能である。例えば、ニューラルネットワーク、決定木、複数の学習方法を組み合わせたもの等が利用可能である。さらには、ディープラーニング等を利用した人工知能に追加学習を行うことにより分類器73が生成されてもよい。
【0055】
分類器生成装置45により、情報ユニットに含まれる表示操作命令の情報種別が未知の場合に表示情報から情報種別が取得可能な分類器73を生成することができる。
【0056】
情報種別取得部82は、表示情報に対応する情報種別の入力を受け付ける方法ではなくて、表示情報に関連する情報から情報種別を自動的に取得してもよい。例えば、表示情報が表示操作命令の場合、表示操作命令に最も近い制御画面の文字列が情報種別として取得されてもよい。表示情報が表示画面の一部の場合、その部分画像に最も近い文字列が情報種別として取得されてもよい。
【0057】
上記実施形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0058】
3 通信ネットワーク
5 制御画面
11 トラクタ
12 作業機
42 VT(仮想端末)
43 作業情報取得装置
45 分類器生成装置
73 分類器
74 制御部
75 記憶部
76 作業種別取得部
77 分類器選択部
81 表示情報取得部
82 情報種別取得部
83 分類器生成部
302a 接続部