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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】カラオケシステム
(51)【国際特許分類】
   G10K 15/04 20060101AFI20230324BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019084006
(22)【出願日】2019-04-25
(65)【公開番号】P2020181082
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中林 大樹
【審査官】岩田 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-005019(JP,A)
【文献】特開2013-021466(JP,A)
【文献】特開2019-051240(JP,A)
【文献】特開2016-166928(JP,A)
【文献】特開2011-206267(JP,A)
【文献】特開2016-183989(JP,A)
【文献】特開2012-088521(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0354875(US,A1)
【文献】HTC Vive版「Hop Step Sing!」を体験 リアルでもサイリウム振りまくりのキセキ的進化![TGS],PANORA, [online],2016年09月18日,[2023年1月17日検索], <URL: https://panora.tokyo/panora.tokyo/13627/HPC-index.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歌唱者がカラオケ歌唱を行うためのカラオケ装置と、当該カラオケ装置と通信可能に接続され、当該歌唱者以外の利用者である聴衆が使用する使用端末とを含むカラオケシステムであって、
前記使用端末は、
前記使用端末の動きを検出し、モーションデータとして前記カラオケ装置に送信する検出部を有し、
前記カラオケ装置は、
受信した一のモーションデータに基づいて、実際に使用されるペンライトの動きを模擬した複数のペンライト映像を生成する生成部と、
表示手段を制御し、生成した前記複数のペンライト映像を表示させる表示制御部と、
前記歌唱者のカラオケ歌唱を評価する評価部を有し、
前記生成部は、前記評価部による評価結果に応じて、生成する前記ペンライト映像の数を決定することを特徴とするカラオケシステム。
【請求項2】
前記使用端末は、前記複数のペンライト映像の発光態様を決定するための発光情報を設定する設定部を有し、
前記検出部は、設定された前記発光情報を前記モーションデータと併せて前記カラオケ装置に送信し、
前記生成部は、受信した前記発光情報に基づいて、前記複数のペンライト映像の発光態様を設定することを特徴とする請求項1記載のカラオケシステム。
【請求項3】
前記生成部は、前記複数のペンライト映像を表示させる位置を示す位置情報と、受信した前記モーションデータとを紐づけたテーブル情報に基づいて、前記複数のペンライト映像を生成することを特徴とする請求項1または2記載のカラオケシステム。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記カラオケ装置が有する撮影手段により歌唱者を撮影して得られた歌唱映像に対し、前記複数のペンライト映像を合成して表示させることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のカラオケシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラオケシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
アーティストのライブコンサートや各種イベント等においては、観客参加型の演出方法が採用されることがある。たとえば、楽曲の演奏や演出に合わせて観客が携帯発光装置(たとえば、ペンライトや腕時計型の発光体)を動かすことで演出効果を高める方法がある。
【0003】
特許文献1には、複数色を発光可能なペンライトを利用した演出用発光装置が開示されている。特許文献1に開示された演出用発光装置は、複数の携帯発光装置(ペンライト)の発光色を、無線接続された一台の発光状態制御装置によって制御することで、観客席において任意の光の文字、画像、模様を表現することができる。
【0004】
また、非特許文献1には、スマートフォンの画面を利用して様々なペンライトの発光態様を模擬できるアプリケーションソフトウェアが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-036981号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】“ペンライト” App Storeホームページ、[平成31年4月9日検索]、インターネット<URL:https://itunes.apple.com/jp/app/%E3%83%9A%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88/id722842803?mt=8>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、カラオケルームにおいて複数の利用者でカラオケ歌唱を行う際、聴衆(カラオケ歌唱を行う歌唱者以外の利用者)は、カラオケ店舗のフロントで貸し出されたペンライトや、非特許文献1に開示されているアプリケーションソフトウェアを利用し、カラオケ歌唱の場を盛り上げようとすることがある。
【0008】
しかし、カラオケルームを同時に利用できる人数は、ごく少数である。よって、各利用者がペンライト等を使用したとしても、プロのアーティストのコンサート会場において行われる多数のペンライトによる演出のような効果を得ることができない。
【0009】
本発明の目的は、多数のペンライトによる演出を模擬することより、カラオケ歌唱の場を盛り上げることを可能とするカラオケステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための一の発明は、歌唱者がカラオケ歌唱を行うためのカラオケ装置と、当該カラオケ装置と通信可能に接続され、当該歌唱者以外の利用者である聴衆が使用する使用端末とを含むカラオケシステムであって、前記使用端末は、前記使用端末の動きを検出し、モーションデータとして前記カラオケ装置に送信する検出部を有し、前記カラオケ装置は、受信した一のモーションデータに基づいて、実際に使用されるペンライトの動きを模擬した複数のペンライト映像を生成する生成部と、表示手段を制御し、生成した前記複数のペンライト映像を表示させる表示制御部と、を有するカラオケシステムである。
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、多数のペンライトによる演出を模擬することより、カラオケ歌唱の場を盛り上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係るカラオケシステムの概略を示す図である。
図2】実施形態に係る携帯端末の構成を示す図である。
図3】実施形態に係るカラオケ装置の構成を示す図である。
図4】実施形態に係るカラオケ本体の構成を示す図である。
図5】実施形態に係るテーブル情報の構成を示す図である。
図6】実施形態に係るカラオケシステムの処理を示すフローチャートである。
図7】変形例1に係るカラオケ装置の構成を示す図である。
図8】変形例2に係るカラオケ本体の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
図1図6を参照して、実施形態に係るカラオケシステムについて説明する。
【0014】
==カラオケシステム==
図1に示すように、本実施形態に係るカラオケシステム1は、カラオケ装置Kと、携帯端末M1~M5を備える。
【0015】
カラオケ装置Kは、楽曲のカラオケ演奏、及び歌唱者がカラオケ歌唱を行うための装置である。図1では、歌唱者Sがカラオケ歌唱を行う例を示している。カラオケ装置Kは、カラオケ店舗のカラオケルーム等に設置されている。
【0016】
携帯端末M1~携帯端末M5は、カラオケ装置Kと通信可能に接続され、それぞれ聴衆U1~聴衆U5が使用するものである。聴衆U1~聴衆U5は、歌唱者S以外のカラオケ装置の利用者である。なお、携帯端末の数は5つに限られるものではない。カラオケシステム1としては、少なくとも一つの携帯端末があればよい。
【0017】
各携帯端末は、たとえば、聴衆が所有するスマートフォンである。本実施形態に係る携帯端末には、カラオケシステム1を利用するための専用アプリケーションソフトウェア(以下、「ペンライトアプリP」)がインストールされている。ペンライトアプリPは、サーバ装置(図示なし)や、サーバ装置が提供するWebサイトからダウンロードすることで入手できる。なお、ペンライトアプリPには、非特許文献1のアプリケーションソフトウェアのようにペンライトの発光態様を模擬する機能は必須でない。
【0018】
各携帯端末は、カラオケ装置Kとペアリングすることで通信可能となる。ペアリングは、たとえば、カラオケ装置Kが設置されたカラオケルームへ聴衆が入室した後、携帯端末でペンライトアプリPを起動させた場合に実行される。本実施形態における携帯端末は「使用端末」の一例である。
【0019】
==携帯端末==
図1に示した携帯端末M1~M5はいずれも同じ構成のため、以下、携帯端末M1を例に説明する。図2に示すように、携帯端末M1は、記憶部10、通信部11、表示部12、入力部13、及び制御部14を備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0020】
[記憶部、通信部、表示部、入力部]
記憶部10は、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置である。通信部11は、カラオケ装置Kとの接続を行うためのインターフェースを提供する。表示部12は、各種情報を表示させるディスプレイである。入力部13は、聴衆U1が各種指示入力を行うための構成である。なお、一般的なスマートフォンでは、表示部12がタッチパネル形式で構成されており、入力部13として機能する。
【0021】
[制御部]
制御部14は、携帯端末M1における各種の制御を行う。制御部14は、CPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。
【0022】
ペンライトアプリPを起動させた場合、本実施形態における制御部14は、検出部14a及び設定部14bとして機能する。
【0023】
(検出部)
検出部14aは、携帯端末M1の動きを検出し、モーションデータとしてカラオケ装置Kに送信する。
【0024】
携帯端末M1の動きの検出は、携帯端末M1に内蔵されている加速度センサ(図示なし)を用いた公知の技術により行うことができる。
【0025】
たとえば、聴衆U1が、歌唱者のカラオケ歌唱に合わせて、ペンライトアプリPを起動させた携帯端末M1を左右や上下に振る動作を繰り返し行ったとする。
【0026】
この場合、検出部14aは、携帯端末M1の動きを検出し、モーションデータMD1としてカラオケ装置Kに送信する。
【0027】
(設定部)
設定部14bは、複数のペンライト映像の発光態様を決定するための発光情報を設定する。
【0028】
複数のペンライト映像は、カラオケ装置Kにより生成される映像である(詳細は後述)。発光態様は、ペンライト映像における発光色(ペンライト映像の色)、輝度、点灯パターン(常時点灯、点滅など)等である。
【0029】
たとえば、ペンライトアプリPを起動させた場合、表示部12に発光態様の選択画面が表示される。聴衆U1は、入力部13を介し、複数の発光態様の中から任意の発光態様(たとえば、発光色:赤)を選択する。設定部14bは、選択された発光態様を携帯端末M1のモーションデータMD1に対応する発光情報として設定する。
【0030】
検出部14aは、設定された発光情報をモーションデータMD1と併せてカラオケ装置Kに送信する。
【0031】
==カラオケ装置==
図3に示すように、カラオケ装置Kは、カラオケ本体20、スピーカ30、表示装置40、マイク50、リモコン装置60、及びサブモニタ70を備える。
【0032】
カラオケ本体20は、歌唱者により選曲された楽曲の演奏制御、歌詞や背景映像等の表示制御、マイク50を通じて入力された音声信号の処理といった、カラオケ演奏やカラオケ歌唱に関する各種の制御を行う。スピーカ30はカラオケ本体20からの放音信号に基づいて放音するための構成である。表示装置40はカラオケ本体20からの信号に基づいて背景映像や歌詞を画面に表示するための構成である。マイク50は歌唱者の歌唱音声をアナログの音声信号に変換してカラオケ本体20に入力するための構成である。リモコン装置60は、カラオケ本体20に対する各種操作をおこなうための装置である。サブモニタ70は、複数のペンライト映像(後述)を表示させる専用のモニタである。
【0033】
図4に示すように、本実施形態に係るカラオケ本体20は、記憶部21、通信部22、入力部23、及び制御部24を備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0034】
[記憶部]
記憶部21は、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置であり、たとえばハードディスクドライブなどである。記憶部21は、カラオケ装置Kによりカラオケ演奏を行うための複数の楽曲データ等を記憶する。
【0035】
[通信部・入力部]
通信部22は、各携帯端末やリモコン装置60との通信を行うためのインターフェースを提供する。入力部23は、カラオケ装置Kの利用者が各種の指示入力を行うための構成である。入力部23は、カラオケ本体20に設けられたボタン等である。或いは、リモコン装置60が入力部23として機能してもよい。
【0036】
[制御部]
制御部24は、カラオケ装置Kにおける各種の制御を行う。制御部24は、CPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。
【0037】
本実施形態においてはCPUがメモリに記憶されるプログラムを実行することにより、制御部24は、生成部100及び表示制御部200として機能する。
【0038】
(生成部)
生成部100は、受信した一のモーションデータに基づいて、複数のペンライト映像を生成する。また、本実施形態において、生成部100は、受信した発光情報に基づいて、複数のペンライト映像の発光態様を設定する。
【0039】
複数のペンライト映像は、実際に使用されるペンライトの動きを模擬した映像である。
【0040】
たとえば、携帯端末M1からモーションデータMD1を受信したとする。この場合、生成部100は、モーションデータMD1が示す動きでペンライトの画が動く映像を複数生成する。すなわち、一のモーションデータに基づいて生成された複数のペンライト映像は、全て同じ映像となる。ペンライト映像の生成は、公知のCG技術を用いることができる。
【0041】
また、生成部100がモーションデータMD1と併せて「発光色:赤」という発光情報を受信したとする。この場合、生成部100は、ペンライトの画が赤色で発光しながら動く映像を生成する。
【0042】
ここで、生成部100は、複数のペンライト映像を表示させる位置を示す位置情報と、受信したモーションデータとを紐付けたテーブル情報に基づいて、複数のペンライト映像を生成してもよい。
【0043】
位置情報は、たとえばサブモニタ70の表示画面に複数のペンライト映像を表示させる際に、ペンライト映像を表示させる位置を特定するための情報である。
【0044】
一のモーションデータを受信した場合、生成部100は、当該一のモーションデータをある位置情報に紐付ける。
【0045】
具体例として、携帯端末M1~M5からそれぞれモーションデータMD1~MD5が送信されたとする。また、この例では10席(A席~J席)×10列(第1列~第10列)の観客席を模擬した位置情報が設定されているとする。
【0046】
この場合、生成部100は、各座席に対して、モーションデータMD1~MD5の紐付けを行う。図5は、モーションデータの紐付けを行ったテーブル情報を示す。
【0047】
図5の第1列では、A席、E席、H席にモーションデータMD1が紐付けられており、D席、J席にモーションデータMD2が紐付けられており、B席、F席にモーションデータMD3が紐付けられており、C席、G席にモーションデータMD4が紐付けられており、I席にモーションデータMD5が紐付けられている。
【0048】
従って、生成部100は、モーションデータMD1に基づいて、第1列のA席、E席、H席に対応する位置に表示させるペンライト映像P1を生成し、モーションデータMD2に基づいて、第1列のD席、J席に対応する位置に表示させるペンライト映像P2を生成し、モーションデータMD3に基づいて、第1列のB席、F席に対応する位置に表示させるペンライト映像P3を生成し、モーションデータMD4に基づいて、第1列のC席、G席に対応する位置に表示させるペンライト映像P4を生成し、モーションデータMD5に基づいて、第1列のI席に対応する位置に表示させるペンライト映像P5を生成する。同様に第2列~第10列においても、図5に示すテーブル情報に基づいてペンライト映像P1~P5を生成する。
【0049】
なお、どの位置情報にどのモーションデータを紐付けるかは、特に限定されるものではない。たとえば、モーションデータを受信する都度、ランダムに位置情報との紐付けを行ってもよい。或いは、図5のような観客席を模擬した位置情報が設定されている場合、たとえば、1列にはモーションデータMD1、2列にはモーションデータMD2、・・・・といったように、所定の列毎に一のモーションデータを紐付けてもよい。また、1列目のA席、B席、2列目のA席、B席の4×4の範囲に対してはモーションデータMD1、1列目のC席、D席、2列目のC席、D席の4×4の範囲に対してはモーションデータMD2、・・・・といったように、所定の範囲毎に一のモーションデータを紐付けてもよい。
【0050】
(表示制御部)
表示制御部200は、表示手段を制御し、生成した複数のペンライト映像を表示させる。
【0051】
本実施形態における表示手段は、サブモニタ70である。表示制御部200は、生成部100で生成された複数のペンライト映像を、歌唱者のカラオケ歌唱に合わせてサブモニタ70に表示させる。
【0052】
たとえば、図5のテーブルデータによれば、5つのモーションデータに基づいて100のペンライト映像が生成される。よって、表示制御部200は、100のペンライト映像をサブモニタ70に表示させる。つまり、カラオケ歌唱の聴衆は5名であるにも関わらず、実際には100名がペンライトを動かしているのと同じ視覚的な効果を得ることができる。
【0053】
なお、表示手段は、表示装置40であってもよいし、カラオケ装置Kとは別に設けられたプロジェクタであってもよい。表示手段がプロジェクタの場合、表示制御部200は、プロジェクタを制御し、カラオケルームの壁に複数のペンライト映像を表示させることができる。また、表示手段として透過型のHMD(ヘッドマウント・ディスプレイ)を備えてもよい。歌唱者がこのHMDを装着して歌唱することにより、いわゆるAR(オーグメンテッド・リアリティ、拡張現実)の効果を得ることができる。
【0054】
==カラオケシステムにおける処理について==
次に、図6を参照して本実施形態に係るカラオケシステム1における処理の具体例について述べる。図6は、カラオケシステム1における処理例を示すフローチャートである。この例では、図1に示した歌唱者Sのカラオケ歌唱を聴く聴衆U1が所有する携帯端末M1とカラオケ装置Kとの間における処理について説明する。また、聴衆U1が所有する携帯端末M1においてペンライトアプリPが起動され、カラオケ装置Kとペアリングされているとする。
【0055】
聴衆U1は、携帯端末M1の表示部12に表示された発光態様の選択画面で任意の発光態様を選択する。設定部14bは、選択された発光態様を携帯端末M1における発光情報として設定する(発光情報の設定。ステップ10)。
【0056】
カラオケ装置Kは、歌唱者が選曲した楽曲のカラオケ演奏を開始する(カラオケ演奏の開始。ステップ11)。
【0057】
聴衆U1は、カラオケ演奏に合わせて携帯端末M1を振る動作を行う。検出部14aは、携帯端末M1の動きを検出し、モーションデータMD1及びステップ10で設定された発光情報を併せてカラオケ装置Kに送信する(モーションデータ及び発光情報の送信。ステップ12)。
【0058】
カラオケ装置Kの生成部200は、受信したモーションデータMD1及び発光情報に基づいて、実際に使用されるペンライトの動きを模擬した複数のペンライト映像を生成する(複数のペンライト映像を生成。ステップ13)。
【0059】
カラオケ装置Kの表示制御部200は、サブモニタ70を制御し、ステップ13で生成した複数のペンライト映像を表示させる(複数のペンライト映像を表示。ステップ14)。
【0060】
表示制御部200は、楽曲のカラオケ演奏が終了するまで(ステップ15でYの場合)、複数のペンライト映像を表示させる。
【0061】
このように、本実施形態に係るカラオケシステム1は、歌唱者がカラオケ歌唱を行うためのカラオケ装置Kと、当該カラオケ装置と通信可能に接続され、当該歌唱者以外の利用者である聴衆が使用する携帯端末とを含む。携帯端末は、当該携帯端末の動きを検出し、モーションデータとしてカラオケ装置Kに送信する検出部14aを有する。カラオケ装置Kは、受信した一のモーションデータに基づいて、実際に使用されるペンライトの動きを模擬した複数のペンライト映像を生成する生成部100と、サブモニタ70を制御し、生成した複数のペンライト映像を表示させる表示制御部200と、を有する。
【0062】
このようなカラオケシステム1によれば、一のモーションデータに基づいて生成された複数のペンライト映像を表示させることができる。つまり、聴衆の数が少ない場合であっても、多数のペンライトが振られている様子を模擬的に実現することができる。よって、歌唱者は、コンサート会場のような大観衆が居る前でカラオケ歌唱をしている感覚を得ることができる。すなわち、本実施形態に係るカラオケシステム1によれば、多数のペンライトによる演出を模擬することより、カラオケ歌唱の場を盛り上げることができる。
【0063】
また、携帯端末は、複数のペンライト映像の発光態様を決定するための発光情報を設定する設定部14bを有し、検出部14aは、設定された発光情報をモーションデータと併せてカラオケ装置Kに送信し、生成部100は、受信した発光情報に基づいて、複数のペンライト映像の発光態様を設定してもよい。このようなカラオケシステム1によれば、聴衆が希望する発光態様に応じたペンライト映像を生成し、表示することができる。
【0064】
なお、設定部14bは必須の構成ではない。たとえば、予め複数の発光情報をカラオケ装置K側で記憶しておくことも可能である。この場合、生成部100は、ペンライト映像を生成する際に一の発光情報を選択する。そして、生成部100は、選択した発光情報に基づいてペンライト映像の発光態様を決定する。
【0065】
また、生成部100は、複数のペンライト映像を表示させる位置を示す位置情報と、受信したモーションデータとを紐づけたテーブル情報に基づいて、複数のペンライト映像を生成することができる。このようなテーブル情報を用いることにより、カラオケシステム1は、位置情報に応じて複数のペンライト映像を生成することができる。
【0066】
<変形例1>
カラオケ歌唱を行う歌唱者を撮影して得られた歌唱映像に対し、上記実施形態で生成したペンライト映像を合成して表示させることも可能である。
【0067】
図7は、本変形例に係るカラオケ装置Kを示した図である。カラオケ装置Kは、撮影手段Cを有する。撮影手段Cは、カラオケ装置Kが設置されているカラオケ歌唱を行う歌唱者を撮影し、歌唱映像を取得する。
【0068】
本変形例にかかる表示制御部200は、撮影手段Cにより歌唱者を撮影して得られた歌唱映像に対し、複数のペンライト映像を合成して表示させる。2つの映像の合成は、公知の手法を利用することができる。また歌唱者映像の撮影タイミングは、カラオケ演奏の開始から終了まで等、任意のタイミングを設定することができる。合成された映像は、上記実施形態におけるペンライト映像と同様、サブモニタ70等に表示される。このような構成により、歌唱者は、大観衆の居る前でカラオケ歌唱しているような疑似的な映像を楽しむことができる。
【0069】
<変形例2>
上記実施形態では、カラオケ演奏の開始から終了まで同じ数のペンライト映像が表示される例について説明した。一方、カラオケ演奏の途中でペンライト映像の数を変えることも可能である。
【0070】
図8は、カラオケ装置Kを示す図である。本変形例において、制御部24は、生成部100、表示制御部200、及び評価部300として機能する。
【0071】
評価部300は、歌唱者のカラオケ歌唱を評価する。カラオケ歌唱の評価は、公知の手法を用いることができる。たとえば、評価部300は、歌唱者の歌唱音声に基づく音声信号と楽曲のリファレンスデータとを比較し、100点を満点とする数値(得点)による評価を行うことができる。
【0072】
生成部100は、評価部300による評価結果に応じて、生成するペンライト映像の数を決定する。
【0073】
たとえば、生成部100は、最初に一のモーションデータに対して10のペンライト映像を生成する。この場合、表示制御部200は10のペンライト映像を表示させる。
【0074】
一方、たとえば、ある楽曲の1コーラスのカラオケ歌唱が終了した後、評価部300は、それまでのカラオケ歌唱を評価する。評価部300は、評価結果と閾値を比較する。閾値はペンライト映像の数を決定するための値であって予め任意の値が設定されている。評価結果が閾値以上であった場合(たとえば、閾値80点に対して評価結果が85点であった場合)、生成部100は、一のモーションデータに対して生成するペンライト映像の数を増加させる。逆に、下限の閾値を決定しておき、それ以下の評価結果であった場合(たとえば、下限の閾値70点に対して評価結果が65点であった場合)、生成部100は、生成するペンライト映像の数を減らすことでもよい。
【0075】
このように評価結果に応じて表示されるペンライト映像を増減させることにより、歌唱者は、聴衆が自らのカラオケ歌唱に直接反応しているような気分を味わうことができる。
【0076】
なお、カラオケ演奏の途中でペンライト映像の数を変える構成はこの変形例に限られない。たとえば、生成部100は、評価結果よらず、歌唱区間に応じて生成するペンライト映像の数を決定してもよい。一般に、楽曲の歌唱区間のうち、最も盛り上がるのはサビの歌唱区間である。よって、生成部100は、サビの歌唱区間においては、他の歌唱区間よりも多くのペンライト映像を生成してもよい。
【0077】
或いは、上記実施形態では、一のテーブル情報を用いてペンライト映像を生成する例について述べた。一方、位置情報に対して紐付けられるモーションデータが異なる複数のテーブル情報を作成し、カラオケ歌唱の評価結果や、カラオケ演奏される歌唱区間に応じて、利用するテーブル情報を変えることでもよい。
【0078】
更に、上記実施形態と同様、生成部100は、一のモーションデータに基づいて複数のペンライト映像を生成する。そして、表示制御部200が、カラオケ歌唱の評価結果や、カラオケ演奏される歌唱区間に応じて、表示させるペンライト映像の数を変えることでもよい。
【0079】
<その他>
たとえば非特許文献1に開示されているアプリケーションソフトウェアを利用することにより、上記実施形態における複数のペンライト映像の表示と併せて、携帯端末自体を疑似的なペンライトとして使用することもできる。或いは、上記実施形態における携帯端末M1に発光部を設け、制御部14に発光制御部を備えて発光部を制御してもよい。この場合、発光制御部は、設定部により設定された発光情報に基づいて発光部を制御してもよい。また、発光部は、携帯端末が備えるライトであってもよいし、携帯端末の表示部であってもよい。
【0080】
使用端末は、携帯端末に限られない。たとえばカラオケ店舗のフロントで貸し出されるペンライトのような携帯発光装置が上記実施形態における携帯端末と同様の機能を有していてもよい。この場合、携帯発光装置が「使用端末」に相当する。
【0081】
カラオケ装置Kは、一のモーションデータに基づいて生成するペンライト映像の数を、模擬しようとするコンサート会場の規模に応じて設定可能としてもよい。或いは、所定数のペンライト映像を生成するために一のモーションデータに基づいて生成するペンライト映像の数を、聴衆の数(モーションデータを送信する携帯端末の数)に応じて設定してもよい。たとえば、上記実施形態のようにペンライト映像の数を100とした場合、聴衆が5人であれば一のモーションデータに基づいて20のペンライト映像を生成し、聴衆が4人であれば一のモーションデータに基づいて25のペンライト映像を生成してもよい。
【0082】
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0083】
1 カラオケシステム
14a 検出部
14b 設定部
100 生成部
200 表示制御部
300 評価部
K カラオケ装置
M1~M5 携帯端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8