(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】現像方法および現像装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20230324BHJP
G03F 7/30 20060101ALI20230324BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
H01L21/30 569F
G03F7/30 501
H01L21/304 643A
H01L21/304 648G
(21)【出願番号】P 2019091610
(22)【出願日】2019-05-14
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕二
(72)【発明者】
【氏名】浅井 正也
(72)【発明者】
【氏名】春本 将彦
(72)【発明者】
【氏名】中山 知佐世
(72)【発明者】
【氏名】有澤 洋
(72)【発明者】
【氏名】本野 智大
(72)【発明者】
【氏名】金山 幸司
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-142322(JP,A)
【文献】特開2008-109058(JP,A)
【文献】特開2011-151326(JP,A)
【文献】特開2012-142564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面上に露光後の感光性膜が形成された基板に現像処理を行う現像方法であって、
現像液を常温よりも低い温度に冷却するステップと、
冷却された現像液を前記基板の前記一面に供給
することにより常温の現像液が基板に供給される場合に比べて反応速度が緩やかになるように現像液と前記感光性膜との反応を進行させるステップと、
前記冷却された現像液を前記一面上から除去することにより前記反応の進行を停止させるステップとを含
み、
前記反応を進行させるステップは、前記反応の進行中に常温よりも低い温度を有する第1の冷却液を前記基板の前記一面とは逆の面に供給することを含む、現像方法。
【請求項2】
前記反応を進行させるステップの前に、前記基板を常温よりも低い温度に冷却するステップをさらに含む、請求項1記載の現像方法。
【請求項3】
前記基板を常温よりも低い温度に冷却するステップは、常温よりも低い温度を有する第
2の冷却液を前記基板の前記一面に供給することを含む、請求項2記載の現像方法。
【請求項4】
前記基板を常温よりも低い温度に冷却するステップは、常温よりも低い温度を有する第
3の冷却液を前記基板の前記一面とは逆の面に供給することを含む、請求項2または3記載の現像方法。
【請求項5】
前記反応を停止させるステップは、常温よりも低い温度を有するリンス液を前記基板の前記一面上に供給することにより、前記基板の前記一面上に供給された現像液を前記一面上から除去することを含む、請求項
1~4のいずれか一項に
記載の現像方法。
【請求項6】
前記反応を停止させるステップの後、前記基板の温度を常温に近づけるステップをさらに含む、請求項
1~5のいずれか一項に記載の現像方法。
【請求項7】
一面上に露光後の感光性膜が形成された基板に現像処理を行う現像装置であって、
現像液供給源から供給される現像液を常温よりも低い温度に冷却する液冷却部と、
前記液冷却部により冷却された現像液を前記基板の前記一面に供給
することにより常温の現像液が基板に供給される場合に比べて反応速度が緩やかになるように現像液と前記感光性膜との反応を進行させる現像液供給部と、
前記冷却された現像液を前記一面上から除去することにより前記反応の進行を停止させる現像液除去部と
、
前記基板を常温よりも低い温度に冷却する基板冷却部と、
前記反応の進行中に、前記基板を常温よりも低い温度に冷却するように前記基板冷却部を制御する制御部とを含み、
前記基板冷却部は、常温よりも低い温度を有する第1の冷却液を前記基板の前記一面とは逆の面に供給する第1の冷却液供給部を含む、現像装置。
【請求項8】
前記制御部は、さらに、前記反応の進行
前に、前記基板を常温よりも低い温度に冷却する
ように前記基板冷却部を
制御する、請求項
7記載の現像装置。
【請求項9】
前記基板冷却部は、常温よりも低い温度を有する第
2の冷却液を前記基板の前記一面に供給する第
2の冷却液供給部を含む、請求項
7または8記載の現像装置。
【請求項10】
前記現像液除去部は、常温よりも低い温度を有するリンス液を前記基板の前記一面上に供給することにより、前記基板の前記一面上に供給された現像液を前記一面上から除去するリンス液供給部を含む、請求項
7~9のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項11】
前記現像液除去部による現像液の除去後に、前記基板の温度を常温に近づける温度調整部をさらに含む、請求項
7~10のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項12】
前記現像液供給部は、前記液冷却部から前記現像液供給部に至る現像液の流路を構成する配管と、
前記配管を覆うように設けられる断熱材とを含む、請求項
7~11のいずれか一項に記載の現像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に現像処理を行う現像方法および現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等の各種基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられる。
【0003】
基板処理装置においては、例えばフォトリソグラフィを用いて基板に処理が行われる。具体的には、基板上にレジスト液が供給されることによりレジスト膜が形成される。その後、基板上に形成されたレジスト膜が露光され、露光後の基板に現像液が供給される。それにより、所定のパターンを有するレジスト膜(レジストパターン)が形成される。レジストパターンが形成された基板には、洗浄液が供給される。
【0004】
極めて短い波長を有するEUV(Extreme Ultra Violet:超紫外線)を用いた基板の露光技術がある。この露光技術によれば、レジストパターンの微細化が可能である。そのため、近年ではレジスト膜に用いられるポリマーのサイズとレジストパターンにおける線幅のサイズとが漸次近づく傾向にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-033841号公報
【文献】特開2014-179510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
EUV等の各種放射線を用いた露光技術では、例えば界面活性剤を含む現像液を用いて現像処理が行われる(例えば、特許文献1参照)。この場合、レジスト膜に対する現像液の浸透が界面活性剤により促進される。それにより、レジストパターンの解像性が向上する。しかしながら、レジスト膜の種類によっては、高い解像性を有するレジストパターンを形成することが困難な場合がある。例えば、化学増幅型のレジスト膜は、現像液に対して高い反応性を有する。そのため、界面活性剤を含む現像液を用いて化学増幅型のレジスト膜の現像処理を行うと、レジスト膜と現像液との間の反応速度が過剰に高くなる。この場合、レジストパターンを基板上で正確かつ均一に形成することは難しい。
【0007】
また、上記のようにレジストパターンの微細化が進むと、レジストパターンの倒壊を抑制する必要がある。レジストパターンの倒壊を抑制するために、例えば界面活性剤を含む洗浄液を用いて洗浄処理が行われる(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、界面活性剤とレジストパターンとの組み合わせによっては、レジストパターンが、界面活性剤を含む洗浄液と反応することにより膨潤して倒壊する可能性がある。
【0008】
本発明の目的は、高い解像性で感光性膜をパターン化するとともに、パターン化された感光性膜の倒壊を抑制することを可能にする現像方法および現像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)第1の発明に係る現像方法は、面上に露光後の感光性膜が形成された基板に現像処理を行う現像方法であって、現像液を常温よりも低い温度に冷却するステップと、冷却された現像液を基板の一面に供給することにより常温の現像液が基板に供給される場合に比べて反応速度が緩やかになるように現像液と感光性膜との反応を進行させるステップと、冷却された現像液を一面上から除去することにより反応の進行を停止させるステップとを含み、反応を進行させるステップは、反応の進行中に常温よりも低い温度を有する第1の冷却液を基板の一面とは逆の面に供給することを含む。
【0010】
その現像方法においては、基板の一面上に冷却された現像液が供給される。この場合、常温の現像液が基板の一面に供給される場合に比べて、感光性膜と現像液との間の反応性が低い状態で維持される。それにより、感光性膜と現像液との反応の進行速度が過剰に高くなることが防止される。したがって、感光性膜と現像液との反応の進行の程度を比較的容易かつ正確に調整することができる。また、この場合、感光性膜と現像液との間の反応性が低い状態で維持されることにより、現像液に起因して感光性膜が急激に膨潤することが抑制される。これらの結果、高い解像性で感光性膜をパターン化することが可能になるとともに、パターン化された感光性膜の倒壊が抑制される。
反応を進行させるステップは、反応の進行中に常温よりも低い温度を有する第1の冷却液を基板の一面とは逆の面に供給することを含む。
この場合、反応の進行中に基板の一面上に供給される現像液の温度が常温よりも高くなることが抑制される。したがって、感光性膜と現像液との反応の進行速度が過剰に高くなることが防止される。また、現像液に起因して感光性膜が急激に膨潤することが抑制される。
【0011】
(2)現像方法は、反応を進行させるステップの前に、基板を常温よりも低い温度に冷却するステップをさらに含んでもよい。
【0012】
この場合、現像液の供給前の基板の温度を常温よりも低くしておくことができる。したがって、現像液の供給時における基板の温度分布が均一化されるとともに、冷却された現像液の温度が基板の温度により上昇することが防止される。その結果、基板の一面における温度分布に起因して基板の複数の部分で反応の進行に差が生じることが低減される。
【0013】
(3)基板を常温よりも低い温度に冷却するステップは、常温よりも低い温度を有する第2の冷却液を基板の一面に供給することを含んでもよい。
【0014】
この場合、簡単な構成および方法で基板を効率よく冷却することができる。また、基板の一面が第2の冷却液で湿潤するので、現像液の供給時に現像液が基板の一面上で広がりやすくなる。
【0015】
(4)基板を常温よりも低い温度に冷却するステップは、常温よりも低い温度を有する第3の冷却液を基板の一面とは逆の面に供給することを含んでもよい。
【0016】
この場合、簡単な構成および方法で基板を効率よく冷却することができる。
【0019】
(5)反応を停止させるステップは、常温よりも低い温度を有するリンス液を基板の一面上に供給することにより、基板の一面上に供給された現像液を一面上から除去することを含んでもよい。
【0020】
この場合、リンス液に起因して感光性膜が急激に膨潤することが抑制される。
【0021】
(6)現像方法は、反応を停止させるステップの後、基板の温度を常温に近づけるステップをさらに含んでもよい。
【0022】
この場合、常温に近づけられた現像処理後の基板が常温の空間内を搬送される際に、基板に結露が発生することが抑制される。
【0023】
(7)第2の発明に係る現像装置は、一面上に露光後の感光性膜が形成された基板に現像処理を行う現像装置であって、現像液供給源から供給される現像液を常温よりも低い温度に冷却する液冷却部と、液冷却部により冷却された現像液を基板の一面に供給することにより常温の現像液が基板に供給される場合に比べて反応速度が緩やかになるように現像液と感光性膜との反応を進行させる現像液供給部と、冷却された現像液を一面上から除去することにより反応の進行を停止させる現像液除去部と、基板を常温よりも低い温度に冷却する基板冷却部と、反応の進行中に、基板を常温よりも低い温度に冷却するように基板冷却部を制御する制御部とを含み、基板冷却部は、常温よりも低い温度を有する第1の冷却液を基板の一面とは逆の面に供給する第1の冷却液供給部を含む。
【0024】
その現像装置においては、基板の一面上に冷却された現像液が供給される。この場合、常温の現像液が基板の一面に供給される場合に比べて、感光性膜と現像液との間の反応性が低い状態で維持される。それにより、感光性膜と現像液との反応の進行速度が過剰に高くなることが防止される。したがって、感光性膜と現像液との反応の進行の程度を比較的容易かつ正確に調整することができる。また、この場合、感光性膜と現像液との間の反応性が低い状態で維持されることにより、現像液に起因して感光性膜が急激に膨潤することが抑制される。これらの結果、高い解像性で感光性膜をパターン化することが可能になるとともに、パターン化された感光性膜の倒壊が抑制される。
【0025】
(8)制御部は、さらに、反応の進行前に、基板を常温よりも低い温度に冷却するように基板冷却部を制御してもよい。
【0026】
この場合、基板の一面上におけるレジスト膜と現像液との反応の進行前に、基板の温度を常温よりも低くしておくことができる。したがって、現像液の供給時における基板の温度分布が均一化されるとともに、冷却された現像液の温度が基板の温度により上昇することが防止される。その結果、基板の一面における温度分布に起因して基板の複数の部分で反応の進行に差が生じることが低減される。
【0027】
(9)基板冷却部は、常温よりも低い温度を有する第2の冷却液を基板の一面に供給する第2の冷却液供給部を含んでもよい。
【0028】
この場合、簡単な構成および方法で基板を効率よく冷却することができる。また、基板の一面への現像液の供給前に、予め基板の一面を第2の冷却液で湿潤させることができるので、現像液の供給時に現像液が基板の一面上で広がりやすくなる。
【0031】
(10)現像液除去部は、常温よりも低い温度を有するリンス液を基板の一面上に供給することにより、基板の一面上に供給された現像液を一面上から除去するリンス液供給部を含んでもよい。
【0032】
この場合、リンス液に起因して感光性膜が急激に膨潤することが抑制される。
【0033】
(11)現像装置は、現像液除去部による現像液の除去後に、基板の温度を常温に近づける温度調整部をさらに含んでもよい。
【0034】
この場合、常温に近づけられた現像処理後の基板が常温の空間内を搬送される際に、基板に結露が発生することが抑制される。
【0035】
(12)現像液供給部は、液冷却部から現像液供給部に至る現像液の流路を構成する配管と、配管を覆うように設けられる断熱材とを含んでもよい。
【0036】
この場合、液冷却部により冷却された現像液の温度が、基板に供給されるまでの間に上昇することが抑制される。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、高い解像性で感光性膜をパターン化するとともに、パターン化された感光性膜の倒壊を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す模式的ブロック図である。
【
図2】
図1の液冷却部CLの構成の具体例を示す図である。
【
図3】本発明の一実施の形態に係る現像処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】他の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す模式的ブロック図である。
【
図5】他の実施の形態に係る現像処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態に係る現像方法および現像装置について図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、基板とは、液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。
【0040】
[1]基板処理装置の構成
本発明の現像装置を備える基板処理装置について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す模式的ブロック図である。
図1に示すように、基板処理装置100は、例えばクリーンルーム内で露光装置500に隣接して設けられる。
【0041】
基板処理装置100は、制御装置210、塗布処理部220、現像処理部230、熱処理部240および搬送部250を含む。制御装置210は、例えばCPUおよびメモリを含み、基板処理装置100の各部の動作を制御する。なお、制御装置210は、CPUおよびメモリに代えて、マイクロコンピュータを含んでもよい。
【0042】
搬送部250は、基板Wを搬送する搬送ロボットを含む。その搬送ロボットは、基板処理装置100の外部に設けられる他の搬送ロボット、塗布処理部220、現像処理部230、熱処理部240および露光装置500の間で基板Wを搬送する。
【0043】
塗布処理部220は、図示しない複数の塗布ユニットを含む。各塗布ユニットは、未処理の基板Wの上面上にレジスト液を塗布することにより、基板Wの上面上にレジスト膜を形成する。レジスト膜が形成された塗布処理後の基板Wには、露光装置500において、例えば13nm以上14nm以下の波長を有するEUV(Extreme Ultra Violet:超紫外線)を用いた露光処理が行われる。
【0044】
現像処理部230は、複数の現像ユニットSDおよび複数の液冷却部CLを含む。各現像ユニットSDは、スピンチャック90、現像ノズル91およびリンスノズル92,93を含み、基板Wに現像処理を行う。各現像ユニットSDで行われる現像処理の詳細は後述する。
【0045】
スピンチャック90は、基板Wの下面中央部を吸着可能に構成され、露光装置500による露光処理後の基板Wを水平姿勢で回転可能に保持する。現像ノズル91は、スピンチャック90により保持される基板Wの上方の位置とスピンチャック90の側方の位置との間で移動可能に設けられる。現像ノズル91が基板Wの上方の位置にある状態で、現像ノズル91には、現像液供給源1から配管p1を通して現像液が供給される。現像液供給源1は、基板処理装置100の外部に設けられている。現像ノズル91は、現像液供給源1から供給された現像液をスピンチャック90により保持された基板Wの上面に吐出する。
【0046】
リンスノズル92は、スピンチャック90により保持される基板Wの上方の位置とスピンチャック90の側方の位置との間で移動可能に設けられる。リンスノズル92が基板Wの上方の位置にある状態で、リンスノズル92には、リンス液供給源2から配管p2を通してリンス液が供給される。リンス液供給源2は、基板処理装置100の外部に設けられている。リンスノズル92は、基板Wへの現像液の供給前および供給後に、リンス液供給源2から供給されたリンス液をスピンチャック90により保持された基板Wの上面に吐出する。
【0047】
リンスノズル93は、そのリンスノズル93の吐出口がスピンチャック90により保持される基板Wの下面周縁部に向かうように設けられる。リンスノズル93には、上記のリンス液供給源2から配管p3を通してリンス液が供給される。リンスノズル93は、基板Wへの現像液の供給前および供給後に、リンス液供給源2から供給されたリンス液をスピンチャック90により保持された基板Wの下面に吐出する。
【0048】
本実施の形態では、リンス液として、純水が用いられる。リンス液としては、純水に代えて、炭酸水、オゾン水、水素水、または電解イオン水等を用いてもよいし、HFE(ハイドロフルオロエーテル)、IPA(イソプロピルアルコール)またはMIBC(メチルイソブチルカルビノール)等の有機溶剤を用いてもよい。リンス液は、現像液の種類に応じて定められる。
【0049】
現像液供給源1において、配管p1に供給される現像液の温度は例えば常温(例えば23℃)または現像液供給源1の周囲の温度と同じ温度で保持される。また、リンス液供給源2において、配管p2,p3に供給されるリンス液の温度は例えば常温またはリンス液供給源2の周囲の温度と同じ温度で保持される。
【0050】
複数の液冷却部CLは、現像処理部230の複数の現像ユニットSDにそれぞれ対応するように設けられる。各液冷却部CLは、対応する現像ユニットSDと現像液供給源1とをつなぐ配管p1の少なくとも一部を流れる現像液を冷却する。また、各液冷却部CLは、対応する現像ユニットSDとリンス液供給源2とをつなぐ配管p2の少なくとも一部および配管p3の少なくとも一部を流れるリンス液を冷却する。液冷却部CLの構成の具体例については後述する。
【0051】
各配管p1,p2,p3の一部には、断熱材hi(後述する
図2参照)が取り付けられている。
図1では、配管p1,p2,p3のうち断熱材hiが取り付けられる部分にハッチングが付されている。
【0052】
また、各配管p1には、その配管p1に接続された現像ノズル91に対する現像液の供給状態を切り替えるためのバルブv1が設けられている。さらに、各配管p2、p3には、それらの配管p2、p3に接続されたリンスノズル92,93に対するリンス液の供給状態を切り替えるためのバルブv2,v3が設けられている。各バルブv1~v3は、制御装置210の制御に基づいて動作する。
【0053】
熱処理部240は、塗布処理部220によるレジスト液の塗布処理の前後に基板Wの熱処理を行う。また、熱処理部240は、現像処理部230における現像処理の前後に基板Wの熱処理を行う。さらに、熱処理部240は、露光装置500における露光処理の前後に基板Wの熱処理を行う。
【0054】
上記の基板処理装置100においては、塗布処理部220は、基板Wに反射防止膜を形成してもよい。この場合、熱処理部240には、基板Wと反射防止膜との密着性を向上させるための密着強化処理を行うための処理ユニットが設けられてもよい。また、塗布処理部220は、基板W上に形成されたレジスト膜を保護するためのレジストカバー膜を基板Wに形成してもよい。
【0055】
[2]液冷却部CLの構成
図2は、
図1の液冷却部CLの構成の具体例を示す図である。
図2では、
図1の配管p1,p2,p3が太い実線で示される。
図2に示すように、液冷却部CLは、冷却タンク261、冷却機構262および冷却駆動部263を含む。
【0056】
冷却タンク261は、例えば熱伝導率の高い金属等により形成されている。冷却タンク261内には、冷却機構262が設けられるとともに例えば不凍液が貯留される。冷却機構262は、例えばペルチェ素子を含み、冷却タンク261内の不凍液を冷却可能に構成される。冷却駆動部263は、冷却タンク261内に貯留された不凍液の温度が常温よりも低くなるように、冷却機構262を駆動する。
【0057】
各配管p1,p2,p3の一部分は、冷却タンク261の外表面の広い範囲に接触するように、冷却タンク261の外表面に取り付けられている。なお、その一部分は、冷却タンク261の外表面に取り付けられることに代えて、不凍液の侵入を防止するための加工を加えた上で、冷却タンク261の内部を通過するように設けられてもよい。
【0058】
上記の構成によれば、配管p1内を現像液が流れると、その現像液は冷却タンク261内の不凍液により常温よりも低い温度まで冷却される。また、配管p2,p3内をリンス液が流れると、それらのリンス液は冷却タンク261内の不凍液により常温よりも低い温度まで冷却される。
【0059】
配管p1においては、液冷却部CLから現像ノズル91に至る部分に断熱材hiが取り付けられている。これにより、液冷却部CLにおいて冷却された現像液は、常温よりも低い温度に保持された状態で現像ノズル91まで送られる。また、配管p2,p3においては、液冷却部CLからリンスノズル92,93に至る部分に断熱材hiが取り付けられている。これにより、液冷却部CLにおいて冷却されたリンス液は、常温よりも低い温度に保持された状態でリンスノズル92,93まで送られる。上記の断熱材hiは、例えば発泡ポリエチレンで構成される。
【0060】
本実施の形態において、冷却駆動部263は、対応する現像ユニットSDにおいて、基板Wに供給される現像液およびリンス液の温度が例えば20℃よりも低くなるように、冷却機構262を駆動する。なお、冷却駆動部263は、基板Wに供給される現像液およびリンス液の温度が10℃以下となるように冷却機構262を駆動してもよいし、それらの温度が5℃以下となるように冷却機構262を駆動してもよい。あるいは、冷却駆動部263は、基板Wに供給される現像液およびリンス液の温度が0℃以下(例えば-10℃程度)となるように冷却機構262を駆動してもよい。
【0061】
ここで、各液冷却部CLは、対応する現像ユニットSDの近傍に設けられることが好ましい。具体的には、現像ユニットSDがスピンチャック90等を収容するケーシングを有する場合、液冷却部CLは、そのケーシングに取り付けられてもよいし、そのケーシングの内部に設けられてもよい。この場合、液冷却部CLから現像ノズル91までの現像液の流通経路を短くすることができる。それにより、液冷却部CLから現像ノズル91までの配管p1の部分を流通する現像液の温度が、その配管p1の周囲の温度の影響を受けて上昇することが低減される。また、液冷却部CLからリンスノズル92,93までのリンス液の流通経路を短くすることができる。それにより、液冷却部CLからリンスノズル92,93までの配管p2,p3の部分を流通するリンス液の温度が、その配管p2,p3の周囲の温度の影響を受けて上昇することが低減される。
【0062】
[3]現像処理
図3は、本発明の一実施の形態に係る現像処理の一例を示すフローチャートである。以下に説明する現像処理は、
図1の制御装置210のCPUがメモリに記憶された制御プログラムを実行することにより行われる。
【0063】
本例では、初期状態において、露光処理後の基板Wが
図1の一の現像ユニットSD内でスピンチャック90により回転可能に保持されているものとする。
図3に示すように、制御装置210は、まず一の現像ユニットSDに対応する液冷却部CLを動作させることにより、基板Wに供給されることになる現像液およびリンス液の冷却を行う(ステップS10)。
【0064】
次に、制御装置210は、スピンチャック90を動作させることにより、基板Wを水平姿勢で回転させる(ステップS11)。また、制御装置210は、配管p2,p3に設けられたバルブv2,v3を制御することにより、冷却されたリンス液をリンスノズル92,93から基板Wの上面および下面に供給する(ステップS12)。これにより、基板Wの上面および下面がリンス液により湿潤するとともに、基板W全体の温度が常温よりも低いリンス液の温度まで低下する。
【0065】
次に、制御装置210は、バルブv2を制御することにより、リンスノズル92から基板Wの上面へのリンス液の供給を停止する(ステップS13)。
【0066】
次に、制御装置210は、配管p1に設けられたバルブv1を制御することにより、冷却された現像液を現像ノズル91から基板Wの上面に供給する(ステップS14)。これにより、基板Wに形成されたレジスト膜と現像液とが反応する。具体的には、レジスト膜のうち露光された所定のパターンを有する部分またはその逆の未露光の所定のパターンを有する部分が現像液により溶解され、除去される。
【0067】
次に、制御装置210は、バルブv1を制御することにより、現像ノズル91から基板Wの上面への現像液の供給を停止する(ステップS15)。また、制御装置210は、バルブv2を制御することにより、リンス液をリンスノズル92から基板Wの上面に供給する(ステップS16)。これにより、基板Wの上面上に供給された現像液が、基板Wの上面から除去され、レジスト膜と現像液との反応の進行が停止される。
【0068】
次に、制御装置210は、バルブv2,v3を制御することにより、リンスノズル92,93から基板Wの上面および下面へのリンス液の供給を停止する(ステップS17)。
【0069】
最後に、制御装置210は、ステップS17の終了後、基板Wの回転を一定期間継続することにより基板Wを乾燥させ、基板Wの回転を停止させる(ステップS18)。これにより、一連の現像処理が終了する。
【0070】
[4]効果
(a)現像処理部230の現像ユニットSDにおいては、基板Wの上面に常温よりも低い温度まで冷却された現像液が供給される。この場合、常温の現像液が基板Wに供給される場合に比べて、レジスト膜と現像液との間の反応性が低い状態で維持される。それにより、レジスト膜と現像液との反応の進行速度が過剰に高くなることが防止される。したがって、レジスト膜と現像液との反応の進行の程度を比較的容易かつ正確に調整することができる。また、この場合、レジスト膜と現像液との間の反応性が低い状態で維持されることにより、現像液に起因してレジスト膜が急激に膨潤することが抑制される。これらの結果、高い解像性でレジスト膜をパターン化することが可能になるとともに、パターン化されたレジスト膜の倒壊が抑制される。
【0071】
(b)また、上記の現像処理では、レジスト膜に現像液を供給する前に、冷却されたリンス液が基板Wの上面および下面に供給される。この場合、現像液の供給前の基板Wの温度を常温よりも低くしておくことができる。したがって、現像液の供給時における基板Wの温度分布が均一化されるとともに、冷却された現像液の温度が基板Wの温度により上昇することが防止される。その結果、基板Wの一面における温度分布に起因して基板Wの複数の部分で反応の進行に差が生じることが低減される。
【0072】
さらに、現像液の供給前にレジスト膜がリンス液で湿潤している場合には、現像液の供給時にレジスト膜上で現像液が広がりやすくなる。それにより、基板Wの表面全体に渡って均一な処理が可能になる。
【0073】
(c)さらに、上記の現像処理では、レジスト膜に現像液を供給する間、すなわちレジスト膜と現像液との反応の進行中に、冷却されたリンス液が基板Wの下面に供給される。この場合、現像液の供給中に基板Wの温度が常温よりも高くなることが抑制される。したがって、レジスト膜と現像液との反応の進行速度が過剰に高くなることが防止される。また、現像液に起因してレジスト膜が急激に膨潤することが抑制される。
【0074】
[5]他の実施の形態
(a)上記実施の形態では、各現像ユニットSDにおいて、基板Wの上面に現像液が供給される前に、基板Wの上面および下面にそれぞれリンス液が供給されるが、本発明はこれに限定されない。
【0075】
現像液の供給前には、基板Wの上面にのみ冷却されたリンス液が供給されてもよいし、基板Wの下面にのみ冷却されたリンス液が供給されてもよい。または、現像液の供給前には、基板Wの上面および下面にリンス液が供給されなくてもよい。これらの場合でも、基板Wに供給される現像液が常温よりも低い温度を有することにより、高い解像性でレジスト膜をパターン化することが可能になるとともに、パターン化されたレジスト膜の倒壊が抑制される。
【0076】
(b)上記実施の形態では、各現像ユニットSDにおいて、基板Wの上面に現像液が供給される間に、基板Wの下面にリンス液が供給されるが、本発明はこれに限定されない。現像液の供給中には、基板Wにリンス液が供給されなくてもよい。この場合でも、基板Wに供給される現像液が常温よりも低い温度を有することにより、高い解像性でレジスト膜をパターン化することが可能になるとともに、パターン化されたレジスト膜の倒壊が抑制される。
【0077】
(c)上記実施の形態では、基板W上でのレジスト膜と現像液との反応の進行を停止させるために基板Wの上面にリンス液が供給されるが、本発明はこれに限定されない。現像液の種類によっては、基板Wへの現像液の供給の停止後、基板Wにリンス液を供給しなくてもよい。例えば現像液が揮発性の溶剤を含む場合には、基板Wを高い速度で回転させることにより基板W上の現像液を除去することができる。この場合、
図3のステップS17の処理が不要となる。
【0078】
(d)
図4は他の実施の形態に係る基板処理装置100の構成を示す模式的ブロック図であり、
図5は他の実施の形態に係る現像処理の一例を示すフローチャートである。
【0079】
図4の基板処理装置100は、現像処理部230の各現像ユニットSDが常温のリンス液を基板Wに供給する常温ノズル94をさらに含む点が
図1の基板処理装置100とは異なる。
図4の基板処理装置100においては、例えば
図5のフローチャートに示されるように、ステップS10~S17にかけて
図3の現像処理と同様の処理が行われた後、常温ノズル94から基板Wに常温のリンス液が供給される。それにより、基板Wの温度が常温に近づくように調整される(ステップS17a)。その後、ステップS18の処理が行われ、現像処理が終了する。
【0080】
この場合、常温に調整された現像処理後の基板Wが常温の空間内を搬送される際に、その基板Wに結露が発生することが抑制される。
【0081】
なお、基板Wの温度を常温に近づけるための構成は、上記の常温ノズル94に限定されない。例えば、
図4の現像ユニットSDには、常温ノズル94に代えて、加熱された気体を基板Wに供給する温風装置が設けられてもよい。これにより、乾燥時間の短縮、および上記のステップS18の処理の削減が可能となる。
【0082】
(e)基板Wに供給されるべき現像液の温度が0℃以上に設定される場合には、液冷却部CLの冷却タンク261には不凍液に代えて純水等の液体が貯留されてもよい。
【0083】
(f)冷却タンク261および配管p1,p2,p3のいずれかに、その内部の液体の温度を検出可能な温度センサが設けられてもよい。この場合、温度センサにより検出される温度に基づいて冷却駆動部263をフィードバック制御することにより、基板Wに供給される現像液およびリンス液の温度を正確に調整することができる。
【0084】
[6]請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明する。上記実施の形態では、基板Wの上面が基板の一面の例であり、基板Wの下面が基板の一面とは逆の面の例であり、リンスノズル92から基板Wに供給されるリンス液が第2の冷却液の例であり、リンスノズル93から基板Wに供給されるリンス液が第1および第3の冷却液の例であり、レジスト膜が感光性膜の例である。
【0085】
また、現像処理部230および制御装置210を含む構成が現像装置の例であり、現像液供給源1が現像液供給源の例であり、液冷却部CLが液冷却部の例であり、配管p1および現像ノズル91が現像液供給部の例であり、配管p2、リンスノズル92およびスピンチャック90が現像液除去部の例であり、配管p2,p3およびリンスノズル92,93が基板冷却部の例である。
【0086】
また、
制御装置210が制御部の例であり、配管p2およびリンスノズル92が第
2の冷却液供給部およびリンス液供給部の例であり、配管p3およびリンスノズル93が第
1の冷却液供給部の例であり、
図4の常温ノズル94が温度調整部の例であり、断熱材hiが断熱材の例である。
【0087】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
[7]参考形態
(1)第1の参考形態に係る現像方法は、一面上に露光後の感光性膜が形成された基板に現像処理を行う現像方法であって、現像液を常温よりも低い温度に冷却するステップと、冷却された現像液を基板の一面に供給して現像液と感光性膜との反応を進行させるステップと、冷却された現像液を一面上から除去することにより反応の進行を停止させるステップとを含む。
その現像方法においては、基板の一面上に冷却された現像液が供給される。この場合、常温の現像液が基板の一面に供給される場合に比べて、感光性膜と現像液との間の反応性が低い状態で維持される。それにより、感光性膜と現像液との反応の進行速度が過剰に高くなることが防止される。したがって、感光性膜と現像液との反応の進行の程度を比較的容易かつ正確に調整することができる。また、この場合、感光性膜と現像液との間の反応性が低い状態で維持されることにより、現像液に起因して感光性膜が急激に膨潤することが抑制される。これらの結果、高い解像性で感光性膜をパターン化することが可能になるとともに、パターン化された感光性膜の倒壊が抑制される。
(2)現像方法は、反応を進行させるステップの前に、基板を常温よりも低い温度に冷却するステップをさらに含んでもよい。
この場合、現像液の供給前の基板の温度を常温よりも低くしておくことができる。したがって、現像液の供給時における基板の温度分布が均一化されるとともに、冷却された現像液の温度が基板の温度により上昇することが防止される。その結果、基板の一面における温度分布に起因して基板の複数の部分で反応の進行に差が生じることが低減される。
(3)基板を常温よりも低い温度に冷却するステップは、常温よりも低い温度を有する第1の冷却液を基板の一面に供給することを含んでもよい。
この場合、簡単な構成および方法で基板を効率よく冷却することができる。また、基板の一面が第1の冷却液で湿潤するので、現像液の供給時に現像液が基板の一面上で広がりやすくなる。
(4)基板を常温よりも低い温度に冷却するステップは、常温よりも低い温度を有する第2の冷却液を基板の一面とは逆の面に供給することを含んでもよい。
この場合、簡単な構成および方法で基板を効率よく冷却することができる。
(5)反応を進行させるステップは、反応の進行中に常温よりも低い温度を有する第3の冷却液を基板の一面とは逆の面に供給することを含んでもよい。
この場合、反応の進行中に基板の一面上に供給される現像液の温度が常温よりも高くなることが抑制される。したがって、感光性膜と現像液との反応の進行速度が過剰に高くなることが防止される。また、現像液に起因して感光性膜が急激に膨潤することが抑制される。
(6)反応を停止させるステップは、常温よりも低い温度を有するリンス液を基板の一面上に供給することにより、基板の一面上に供給された現像液を一面上から除去することを含んでもよい。
この場合、リンス液に起因して感光性膜が急激に膨潤することが抑制される。
(7)現像方法は、反応を停止させるステップの後、基板の温度を常温に近づけるステップをさらに含んでもよい。
この場合、常温に近づけられた現像処理後の基板が常温の空間内を搬送される際に、基板に結露が発生することが抑制される。
(8)第2の参考形態に係る現像装置は、一面上に露光後の感光性膜が形成された基板に現像処理を行う現像装置であって、現像液供給源から供給される現像液を常温よりも低い温度に冷却する液冷却部と、液冷却部により冷却された現像液を基板の一面に供給して現像液と感光性膜との反応を進行させる現像液供給部と、冷却された現像液を一面上から除去することにより反応の進行を停止させる現像液除去部とを含む。
その現像装置においては、基板の一面上に冷却された現像液が供給される。この場合、常温の現像液が基板の一面に供給される場合に比べて、感光性膜と現像液との間の反応性が低い状態で維持される。それにより、感光性膜と現像液との反応の進行速度が過剰に高くなることが防止される。したがって、感光性膜と現像液との反応の進行の程度を比較的容易かつ正確に調整することができる。また、この場合、感光性膜と現像液との間の反応性が低い状態で維持されることにより、現像液に起因して感光性膜が急激に膨潤することが抑制される。これらの結果、高い解像性で感光性膜をパターン化することが可能になるとともに、パターン化された感光性膜の倒壊が抑制される。
(9)現像装置は、反応の進行前または進行中に、基板を常温よりも低い温度に冷却する基板冷却部をさらに含んでもよい。
この場合、基板の一面上におけるレジスト膜と現像液との反応の進行前または進行中に、基板の温度を常温よりも低くしておくことができる。したがって、現像液の供給時における基板の温度分布が均一化されるとともに、冷却された現像液の温度が基板の温度により上昇することが防止される。その結果、基板の一面における温度分布に起因して基板の複数の部分で反応の進行に差が生じることが低減される。
(10)基板冷却部は、常温よりも低い温度を有する第1の冷却液を基板の一面に供給する第1の冷却液供給部を含んでもよい。
この場合、簡単な構成および方法で基板を効率よく冷却することができる。また、基板の一面への現像液の供給前に、予め基板の一面を第1の冷却液で湿潤させることができるので、現像液の供給時に現像液が基板の一面上で広がりやすくなる。
(11)基板冷却部は、常温よりも低い温度を有する第2の冷却液を基板の一面とは逆の面に供給する第2の冷却液供給部を含んでもよい。
この場合、簡単な構成および方法で基板を効率よく冷却することができる。また、基板の一面への現像液の供給時に基板の一面とは逆の面に第2の冷却液を供給することができるので、反応の進行中に基板の一面上に供給される現像液の温度が常温よりも高くなることが抑制される。したがって、感光性膜と現像液との反応の進行速度が過剰に高くなることが防止される。さらに、現像液に起因して感光性膜が急激に膨潤することが抑制される。
(12)現像液除去部は、常温よりも低い温度を有するリンス液を基板の一面上に供給することにより、基板の一面上に供給された現像液を一面上から除去するリンス液供給部を含んでもよい。
この場合、リンス液に起因して感光性膜が急激に膨潤することが抑制される。
(13)現像装置は、現像液除去部による現像液の除去後に、基板の温度を常温に近づける温度調整部をさらに含んでもよい。
この場合、常温に近づけられた現像処理後の基板が常温の空間内を搬送される際に、基板に結露が発生することが抑制される。
(14)現像液供給部は、液冷却部から現像液供給部に至る現像液の流路を構成する配管と、配管を覆うように設けられる断熱材とを含んでもよい。
この場合、液冷却部により冷却された現像液の温度が、基板に供給されるまでの間に上昇することが抑制される。
【符号の説明】
【0088】
1…現像液供給源,2…リンス液供給源,90…スピンチャック,91…現像ノズル,92,93…リンスノズル,94…常温ノズル,100…基板処理装置,210…制御装置,220…塗布処理部,230…現像処理部,240…熱処理部,250…搬送部,261…冷却タンク,262…冷却機構,263…冷却駆動部,500…露光装置,CL…液冷却部,hi…断熱材,p1,p2,p3…配管,SD…現像ユニット,v1,v2,v3…バルブ,W…基板