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特許7249869コネクタ、チューブセット及び胃瘻カテーテルセット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】コネクタ、チューブセット及び胃瘻カテーテルセット
(51)【国際特許分類】
   A61J 15/00 20060101AFI20230324BHJP
   A61M 39/10 20060101ALI20230324BHJP
   A61M 25/04 20060101ALI20230324BHJP
   A61M 39/02 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
A61J15/00 Z
A61M39/10 100
A61M25/04
A61M39/02 112
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019094302
(22)【出願日】2019-05-20
(65)【公開番号】P2020188846
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513245473
【氏名又は名称】鈴木 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】福田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】有川 清貴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 稔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕
【審査官】菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-537076(JP,A)
【文献】特開2010-035873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 15/00
A61M 39/10
A61M 25/04
A61M 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーメンが設けられて体内に挿入される長尺のシャフトと体表に露出する体表部とを有する胃瘻カテーテルと、栄養剤を送り込むためのチューブと、を接続するコネクタであって、
本体部と、
前記ルーメンに接続される接続部と、
前記体表部に係脱可能なフック部と、を備え、
該フック部は、前記接続部が前記ルーメンに接続された状態で、前記体表部に係合する係合位置と、前記体表部との係合が解除される解除位置と、に変位可能なように、前記本体部に回動可能に支持されており、
前記本体部に保持部が設けられ、前記保持部に係止される被保持部が前記フック部に設けられており、
前記保持部は、前記被保持部に係止することにより前記本体部と前記フック部との位置関係を保持可能であり、前記フック部が回動したときの前記被保持部の経路上に配設されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記保持部は、凹部であり、
前記被保持部は、前記凹部側に突出したラッチである請求項に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記保持部と前記被保持部とは、前記フック部が前記体表部に係合する位置にあるときに係止する位置にある請求項又はに記載のコネクタ。
【請求項4】
前記フック部の回動方向のうち、前記フック部が前記体表部に係合する際に前記体表部に近接する方向を一方向としたときに、
前記保持部と前記被保持部とは、前記フック部が前記体表部に係合する位置から前記一方向にずれた位置で係止する請求項からのいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記フック部の回動方向のうち、前記フック部が前記体表部に係合する際に近接する方向を一方向としたときに、
前記保持部と前記被保持部とは、前記フック部が前記体表部に係合する位置から前記一方向の逆方向にずれた位置で係止する請求項からのいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記フック部又は前記本体部の少なくとも一方には、相互に相対的に回動可能とする回動軸が設けられており、
該回動軸は、前記チューブの延在方向に対して直交する方向に配設されており、
前記フック部は、前記本体部に対して前記回動軸を中心に回動可能に取り付けられている請求項1からのいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載の前記コネクタと、前記コネクタに接続される前記チューブと、を備えるチューブセット。
【請求項8】
前記フック部には、少なくとも一部が切り欠かれた凹部が形成されており、
前記フック部は、前記凹部が前記チューブの少なくとも一部を収容する位置まで回動可能に構成されている請求項に記載のチューブセット。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載の前記コネクタと、前記コネクタに接続される前記胃瘻カテーテルと、を備える胃瘻カテーテルセット。
【請求項10】
前記フック部は、前記本体部との間で前記体表部の一部を挟持する請求項に記載の胃瘻カテーテルセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ、コネクタ及びチューブを備えるチューブセット、並びにコネクタ、チューブ及び胃瘻カテーテルを備える胃瘻カテーテルセットに関する。
【背景技術】
【0002】
口や鼻から食物を摂取することが困難な人のために、腹壁を通して直接的に胃内に栄養剤等を投与するための胃瘻カテーテルが従来から用いられている。このような胃瘻カテーテル(以下、カテーテルともいう。)としては、栄養剤を供給するためのチューブが一体的に取り付けられたチューブ式のカテーテルと、コネクタを介してチューブが着脱可能(交換可能)に取り付けられたボタン式のカテーテルと、が知られている。ボタン式のカテーテルにおいては、栄養剤の投与時に、コネクタを介してチューブを接続する必要がある。
【0003】
特に、使用者に下痢が生じることを防止するため、高粘度の栄養剤が用いられることが近年主流となっている。高粘度の栄養剤を投入する場合には、低粘度のものを投入する場合と比較して、注入抵抗が増大するため、大きな荷重をかけて栄養剤をチューブに投入する必要がある。コネクタと胃瘻カテーテルとの構成に関して、チューブに加わる荷重によって、チューブに接続されたコネクタが胃瘻カテーテルから外れないように掛止(係合)可能なものが需要者に望まれていた。
【0004】
例えば、特許文献1には、コネクタ(同文献には、接続部材と記載。)を用いて、チューブと、カテーテルとを接続する接続構造が開示されている。
この接続構造においては、使用者がチューブを引っ張ったりすると、チューブに設けられた被係合部に係合するようにコネクタに設けられた係合部が撓んで、その係合が解除されることが記載されている。このようにして、コネクタに接続されたカテーテル(同文献には、瘻孔カテーテルと記載。)が瘻孔から外れることを防止するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-5119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の接続構造においては、コネクタとカテーテルとの係合が不意に解除されやすかった。
詳細には、特許文献1に記載のコネクタは、カテーテルの被係合部にスライド係合可能な略C形の係合部と、チューブの被固定部が係合する略C形のガイド部と、を備える。ガイド部は、係合部と間隔を保って平行に配置されており、チューブがスライド挿入されることによって、チューブの被固定部に係合される。
【0007】
そして、共に略C形である係合部とガイド部との双方の開放側は、同一向きに設けられている。コネクタの係合部がカテーテルに係合し、チューブがコネクタのガイド部の開放側から挿入されて取付けられた状態から、術者又は使用者が、その取付位置を越えてさらにチューブをガイド部の奥に押し込んでしまうときがある。このとき、チューブに押し込まれたコネクタは、係合部の開放側とは逆側に移動することになるため、係合部のカテーテルへの係合が解除されてしまうことがあった。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、コネクタとカテーテルとの係合状態を安定させることが可能なコネクタ、チューブセット及び胃瘻カテーテルセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のコネクタは、ルーメンが設けられて体内に挿入される長尺のシャフトと体表に露出する体表部とを有する胃瘻カテーテルと、栄養剤を送り込むためのチューブと、を接続するコネクタであって、本体部と、前記ルーメンに接続される接続部と、前記体表部に係脱可能なフック部と、を備え、該フック部は、前記接続部が前記ルーメンに接続された状態で、前記体表部に係合する係合位置と、前記体表部との係合が解除される解除位置と、に変位可能なように、前記本体部に回動可能に支持されていることを特徴とする。
本発明のチューブセットは、前記コネクタと、前記コネクタに接続される前記チューブと、を備えることを特徴とする。
本発明の胃瘻カテーテルセットは、前記コネクタと、前記コネクタに接続される前記胃瘻カテーテルと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のコネクタ、チューブセット及び胃瘻カテーテルセットによれば、コネクタとカテーテルとの係合状態を安定させることが可能なコネクタ、チューブセット及び胃瘻カテーテルセットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る胃瘻カテーテルセットの側面図である。
図2図1の胃瘻カテーテルセットの一部(上部)を示す上側斜視図である。
図3】胃瘻カテーテルの一部と、コネクタの本体部及びフック部と、を分解して示した分解斜視図である。
図4】(a)は、フック部が第1位置にある状態におけるチューブセットの一部を示す側面図、(b)は、フック部が第2位置にある状態における胃瘻カテーテルセットの一部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係るコネクタ47、チューブセット41及び胃瘻カテーテルセット41Xの構成について、図1から図3を主に参照して説明する。図1は、本実施形態に係る胃瘻カテーテルセット41Xの側面図、図2は、図1の胃瘻カテーテルセット41Xの一部(上部)を示す上側斜視図である。図3は、胃瘻カテーテルセット41Xの一部と、コネクタ47の本体部47a及びフック部48と、を分解して示した分解斜視図である。
【0013】
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
また、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0014】
<<概要>>
本発明の実施形態に係るコネクタ47は、図3に示すルーメン44aが設けられて体内に挿入される長尺のシャフト44と体表に露出する体表部43とを有する胃瘻カテーテル42と、栄養剤を送り込むためのチューブ46と、を接続するものである。
コネクタ47は、本体部47aと、図3に示すルーメン44aに接続される接続部47dと、体表部43に係脱可能なフック部48と、を備える。
フック部48は、接続部47dがルーメン44aに接続された状態で、体表部43に係合する係合位置と、体表部43との係合が解除される解除位置と、に変位可能なように、本体部47aに回動可能に支持されていることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、接続部47dがルーメン44aに接続された状態で、フック部48を本体部47aに対して回動させて、係合位置と解除位置とに切替え可能であることで、係合状態が不意に解除されることを抑制することができる。さらに、意思に即してフック部48の係合を解除することができる。
【0016】
なお、本書において「係合」とは、必ずしも物と物同士が当接している状態に限定されず、離間しているが一方の物が他方の物に対して「所定方向」に相対的に変位したときに当接するような状態をも含むものとする。特に、本発明に係る上記の「所定方向」とは、シャフト44に対してコネクタ47が離脱する方向をいう。
【0017】
また、本書において、チューブセット41は、コネクタ47と、コネクタ47に接続されるチューブ46と、から構成されるものをいうものとする。
胃瘻カテーテルセット41Xは、コネクタ47と、コネクタ47に接続される胃瘻カテーテル42と、から構成されるもの、及びチューブ46を更に備えるものをいうものとする。
【0018】
<胃瘻カテーテルセット>
本実施形態に係る胃瘻カテーテルセット41Xは、コネクタ47と、コネクタ47に接続される胃瘻カテーテル42と、チューブ46と、から構成される。なお、上記のように、チューブ46を備えず、コネクタ47と、コネクタ47に接続される胃瘻カテーテル42と、のみによって構成されるものも胃瘻カテーテルセット41Xに含まれるものとする。
胃瘻カテーテル42は、体表に露出するボタンタイプの体表部43と体表部43に対して基端部が一体的に接続されたシャフト44と、シャフト44の先端部に設けられたバンパー45(図1参照)と、不図示の逆止弁と、を備える。
【0019】
体表部43は、使用者に取り付けられた状態において、使用者の体表に露出する部位であり、その下面が、後述するコネクタ47に設けられたフック部48に係合する。
シャフト44には、体表部43から形成された図3に示すルーメン44aが中央部に連通して軸心方向に延在している。
【0020】
バンパー45は径方向に変形可能な可撓性を有し、バンパー45の内部には不図示のワイヤの一部がとぐろを巻くように配設されている。ワイヤは、体表部43からシャフト44を通り、ワイヤの先端側の部位がバンパー45の内部に配設されるように構成されている。
バンパー45は、ワイヤの弾性力が付与されることによって拡径方向に変形し、ワイヤが取り除かれることによって縮径方向に変形可能に構成されている。
【0021】
胃瘻カテーテル42は、ワイヤを含むバンパータイプに限定されず、他のバンパータイプであってもよい。さらには、胃瘻カテーテル42は、バンパータイプではなく、蒸留水等が注入されることによって膨張して胃内に係止可能となり、排出されることによって、胃内に挿入又は胃外に排出可能なバルーンタイプであってもよい。
【0022】
胃瘻カテーテル42の主な部位の構成部材の材質としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又はシリコンゴムその他のゴム材料等が挙げられる。しかしながら、このような材質に限定されず、定形性を有するように適度な剛性をもった材質であればよい。
【0023】
<コネクタ>
コネクタ47は、シャフト44とチューブ46とを接続するものである。コネクタ47は、チューブ46が接続される本体部47aと、胃瘻カテーテル42のルーメン44aに挿入される接続部47dと、胃瘻カテーテル42の体表部43に係合するフック部48と、を主に備える。
本実施形態に係るコネクタ47は、接続部47dの突出向き(下向き)に対して直交する向きにチューブ46が挿入される挿込口47bが形成されている。つまり、図1に示すように、コネクタ47に接続されたチューブ46は、シャフト44に対して垂直方向に引き出される構成(アングルタイプ)となっている。
なお、このような構成に限定されず、ストレートタイプであってもよい。ストレートタイプである場合には、コネクタ47に接続されたチューブ46は、シャフト44の延長上に引き出されることになる。
【0024】
本体部47aの基端部47aaには、挿込口47bが形成されており、挿込口47bにチューブ46が接続されている。
本体部47aの中央部47abの下面は、体表部43の上面に当接可能な面であり、図3に示すように、中央部47abの下面から下方に突出して形成された円筒状の接続部47dが設けられている。この接続部47dは、胃瘻カテーテル42のルーメン44aに接続するためのものであり、接続部47dには嵌合リブ47daが周回上に設けられており、嵌合リブ47daがルーメン44aの内壁面に形成された被嵌合溝44cに嵌合する。
【0025】
嵌合リブ47daが被嵌合溝44cに嵌合し、フック部48が胃瘻カテーテル42側に回動させられたときに、フック部48の掛止部48dが体表部43の下方に位置するように、フック部48、嵌合リブ47da及び被嵌合溝44cが形成されている。
特に、掛止部48dが体表部43に係合した状態から、コネクタ47がルーメン44aから引き抜かれようとしたときに、嵌合リブ47daが被嵌合溝44cから抜け出さない位置関係であると好適である。
【0026】
中央部47abの両側面には、フック部48の回動凸部48fが嵌まる円形の支持凹部47fと、フック部48の回動をガイドするとともに回動範囲(経路)を画定する、半円弧状であるU字状(略U字状を含む。)に形成されたガイド溝47hが形成されている。より具体的には、ガイド溝47hは、支持凹部47fの中心を中心とする半円弧状に形成されている。回動凸部48fは、フック部48の回動軸として機能するものである。
【0027】
図3に示すように、本体部47aの中央部47abに保持部(保持凹部47g)が設けられ、保持部(保持凹部47g)に係止される被保持部(ラッチ48g)がフック部48に設けられている。保持部(保持凹部47g)は、被保持部(ラッチ48g)に係止することにより本体部47aとフック部48との位置関係を保持可能であり、フック部48が回動したときの被保持部(ラッチ48g)の経路上に配設されている。この経路は、上記のようにガイド溝47hによって画定されている。
【0028】
より具体的には、本実施形態に係る保持凹部47gは、ガイド溝47hの両端部に1つずつ、ガイド溝47hの中央部に1つ、計3つ設けられている。
このように設けられた保持凹部47gにラッチ48gが保持されることによって、図1図4(a)及び図4(b)に示して後述するように、フック部48の姿勢を各位置で保持することができる。
【0029】
上記構成によれば、術者がフック部48を回動させたときに、保持部(保持凹部47g)と被保持部(ラッチ48g)とによりフック部48と本体部47aとの相対的な位置が保持されることで、フック部48を所定の回動位置に固定することができる。
このため、胃瘻カテーテル42へのフック部48の取付けを容易にしたり、フック部48が本体部47aから突出しないようにコンパクトにしたりすることができる。
特に、本実施形態においては、ガイド溝47hの両端部に設けられた保持凹部47gは、支持凹部47fの中心を通る平面上に設けられており、フック部48は、90度ごとに3つの位置で姿勢を保持可能に構成されている。
【0030】
保持部は、凹部(保持凹部47g)であり、被保持部は、凹部(保持凹部47g)側に突出したラッチ48gである。
上記構成によれば、凹部(保持凹部47g)にラッチ48gが物理的に係止されることで、磁力によって係止するものと比較して、周辺の電子機器に及ぼす影響を抑制することができる。
なお、本発明に係る「保持部」と「被保持部」は、上記の保持凹部47gとラッチ48gのように物理的に係止するものに限定されず、マグネットと磁性体のように、磁力によって係止するものであってもよい。
【0031】
本実施形態においては、フック部48の回動軸に対して、径方向に離れた位置にラッチ48gが回動軸(回動凸部48f)と平行に突出し、本体部47aに保持凹部47gが形成されている構成となっている。
しかしながら、本発明はこのような構成に限定されず、フック部48の回動軸(回動凸部48f)の周面に凹部、本体部47aにおける当該周面に対向する部位にラッチが形成されていてもよい。
【0032】
本体部47aの先端部47acは、術者が接続部47dの延出方向に対して斜めに荷重を付与しやすいように、中央部47abから上面が傾斜して先端に向かって薄肉となるように延在しており、基端部47aa及び中央部47abよりも薄肉に形成されている。
このような形状で先端部47acが形成されていることで、中央部47abの下面が体表部43の上面に満遍なく当接するように、接続部47dをルーメン44aに完全に挿入しやすくなる。
【0033】
フック部48は、上記のように、胃瘻カテーテル42の体表部43に係合するものであり、本体部47aと別体で構成され、コネクタ47におけるチューブ46の挿込口47bよりも回動凸部48f(回動軸)を回動中心として径方向外側まで回動可能である。
フック部48は、2つの円盤部48aと、2つの第1延在部48bと、2つの第2延在部48cと、2つの第2延在部48cに架設されて体表部43に係合可能な掛止部48dと、から主に構成されている。
第1延在部48bは、2つの円盤部48aのそれぞれから径方向外側に延出している。第2延在部48cは、第1延在部48bのそれぞれに屈曲して一体的に形成され、直線的に延在している。
【0034】
フック部48の円盤部48aには、本体部47aとフック部48とを相互に相対的に回動可能とする回動軸(回動凸部48f)が設けられている。回動凸部48fは、チューブ46の延在方向に対して直交する方向に配設されている。換言すると、回動凸部48fは、チューブ46の挿込口47bの延在方向に対して直交する方向に配設されている。
フック部48は、本体部47aに対して回動軸(回動凸部48f)を中心に回動可能に取付けられている。
なお、本体部47a側に、回動軸(回動凸部)が設けられて、本体部47aとフック部48とを相互に相対的に回動可能とする構成であってもよく、本体部47aとフック部48のそれぞれに回動軸を構成する部位が設けられていてもよい。
【0035】
上記構成によれば、コネクタ47を介してチューブ46を胃瘻カテーテル42に接続する接続作業の後に、フック部48を回動させることによって、体表部43に係合させる作業を行うことができ、これらの作業が干渉しない。
【0036】
掛止部48dは、第2延在部48cから側面視L字状に一方側に屈曲して延在している。フック部48の掛止部48dの一方側には、少なくとも一部が切り欠かれた凹部48eが形成されている。フック部48は、凹部48eがチューブ46の少なくとも一部を収容する位置まで回動可能に構成されている。
上記構成によれば、フック部48に凹部48eが形成されていることにより、例えばコネクタ47を体表部43に接続しないときには、フック部48をチューブ46に沿わせるように配設することができる。
【0037】
特に、チューブ46とコネクタ47で構成されたチューブセット41であれば、例えばコネクタ47を体表部43に接続しないときに、コンパクトに持ち運び及び保管することが可能となる。
なお、「チューブ46の少なくとも一部を収容する位置」とは、チューブ46がコネクタ47に取り付けられていない状態においては、挿込口47bの延長上の位置をいう。
【0038】
また、ラッチ48gが、凹部48eがチューブ46の一部を収容する位置に限定されず、フック部48の掛止部48dがチューブ46に沿って配置される位置で、保持凹部47gに係止される構成であってもよい。例えば、「チューブ46に沿って配置される位置」とは、挿込口47bの端面を中心として、チューブ46の挿込口47bの延長線から20度以内の角度範囲をいうものとする。
【0039】
<フック部の保持位置について>
次に、フック部48の保持位置について、図3に加え、図4を参照して説明する。
図4(a)は、フック部48が第1位置にある状態におけるチューブセット41の一部を示す側面図、図4(b)は、フック部48が第2位置にある状態における胃瘻カテーテルセット41Xの一部を示す側面図である。
【0040】
保持部(保持凹部47g)と被保持部(ラッチ48g)とは、フック部48が体表部43に係合する位置(図1に示す位置)にあるときに係止する位置にある。
本実施形態においては、中央部47abの片側側面に形成された3つの保持凹部47gのうち中央の保持凹部47gにラッチ48gが係止する位置にあるときに、フック部48が体表部43に係合する位置となるように構成されている。
上記構成によれば、保持凹部47gとラッチ48gが上記の位置関係を保持することで、フック部48と体表部43の係合状態を好適に維持することができる。
【0041】
フック部48の回動方向のうち、フック部48が体表部43に係合する際に体表部43に近接する方向を一方向とする。この場合、保持部(保持凹部47g)と被保持部(ラッチ48g)とは、フック部48が体表部43に係合する位置から一方向にずれた位置(図4(a)に示す位置)で係止する。
上記構成によれば、保持凹部47gとラッチ48gが上記の位置で係止することで、フック部48をチューブ46に沿わせる等の状態を保持して、コネクタ47をコンパクトに持ち運び及び保管することが可能となる。
なお、フック部48が体表部43に係合する際に体表部43に近接する方向としては、フック部48が、回動凸部48fを中心に回動する際に、(体表部43に挿入される)接続部47dの先の領域に近接する方向をいう。
【0042】
保持部(保持凹部47g)と被保持部(ラッチ48g)とは、フック部48が体表部43に係合する位置から一方向の逆方向にずれた位置(図4(b)に示す位置)で係止する。
上記構成によれば、保持凹部47gとラッチ48gが上記の位置で係止することで、フック部48の係合の前段階にある状態を保持し、フック部48を体表部43に係合させる状態に容易に移行することができる。
【0043】
フック部48は、本体部47aとの間で体表部43の一部を挟持するように構成されていてもよい。
つまり、フック部48の掛止部48dが、図1に示す体表部43を跨ぐように配置されたときに、体表部43を本体部47aに向かって押圧しているような構成であればよい。
より具体的には、フック部48又は体表部43における相互の当接部位のいずれかが弾性変形可能であればよい。さらに、自然状態において、本体部47aにおける体表部43との当接面(下面)と掛止部48dとの距離が、体表部43における本体部47aとの当接面(上面)と体表部43における掛止部48dと当接する当接面(下面)との距離よりも同じか小さければよい。
【0044】
上記構成によれば、フック部48が本体部47aとの間で体表部43の一部を挟持することで、コネクタ47と胃瘻カテーテル42との接続をより強固にすることができる。
なお、掛止部48dにおける体表部43に当接する部位にウレタン等の弾性部材を備えるようにしてもよい。このような構成によれば、掛止部48dが弾性変形した状態で、体表部43に当接させるようにして、胃瘻カテーテル42に対するコネクタ47のぐらつきを好適に抑制することができる。
【0045】
術者は、コネクタ47を胃瘻カテーテル42に取り付ける際には、図4(b)に示す位置に、フック部48の回動位置を保持し、コネクタ47の接続部47dを体表部43のルーメン44aに押し込む。
具体的には、術者は、コネクタ47の嵌合リブ47daが被嵌合溝44cに嵌合する位置まで、コネクタ47の接続部47dを胃瘻カテーテル42のルーメン44aに押し込む。
【0046】
そして、コネクタ47と胃瘻カテーテル42の接続状態を安定させるため、術者は、フック部48を、回動軸(回動凸部48f)を中心に胃瘻カテーテル42に近接する側に回動させて、図1に示すように、掛止部48dが体表部43の下方に位置するようにする。
このようにすることで、嵌合リブ47daと被嵌合溝44cの嵌合に加えて、フック部48が体表部43に係合することになり、コネクタ47の胃瘻カテーテル42からの離脱を確実に防ぐことが可能となる。
【0047】
上記実施形態においては、体表部43の下面がフック部48に係合するものとして説明したが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、体表部43の側面に、凹溝等の係合対象部位が形成されており、当該対象部位がフック部48に係合するようにしてもよい。このような構成によれば、フック部48の掛止部48dが体表部43の下方に潜り込まないため、体表部43の下面に腹部が接していた使用者に違和感を起こさせないようにすることができる。
【0048】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)ルーメンが設けられて体内に挿入される長尺のシャフトと体表に露出する体表部とを有する胃瘻カテーテルと、栄養剤を送り込むためのチューブと、を接続するコネクタであって、
本体部と、
前記ルーメンに接続される接続部と、
前記体表部に係脱可能なフック部と、を備え、
該フック部は、前記接続部が前記ルーメンに接続された状態で、前記体表部に係合する係合位置と、前記体表部との係合が解除される解除位置と、に変位可能なように、前記本体部に回動可能に支持されていることを特徴とするコネクタ。
(2)前記本体部に保持部が設けられ、前記保持部に係止される被保持部が前記フック部に設けられており、
前記保持部は、前記被保持部に係止することにより前記本体部と前記フック部との位置関係を保持可能であり、前記フック部が回動したときの前記被保持部の経路上に配設されている(1)に記載のコネクタ。
(3)前記保持部は、凹部であり、
前記被保持部は、前記凹部側に突出したラッチである(2)に記載のコネクタ。
(4)前記保持部と前記被保持部とは、前記フック部が前記体表部に係合する位置にあるときに係止する位置にある(2)又は(3)に記載のコネクタ。
(5)前記フック部の回動方向のうち、前記フック部が前記体表部に係合する際に前記体表部に近接する方向を一方向としたときに、
前記保持部と前記被保持部とは、前記フック部が前記体表部に係合する位置から前記一方向にずれた位置で係止する(2)から(4)のいずれか一項に記載のコネクタ。
(6)前記フック部の回動方向のうち、前記フック部が前記体表部に係合する際に近接する方向を一方向としたときに、
前記保持部と前記被保持部とは、前記フック部が前記体表部に係合する位置から前記一方向の逆方向にずれた位置で係止する(2)から(5)のいずれか一項に記載のコネクタ。
(7)前記フック部又は前記本体部の少なくとも一方には、相互に相対的に回動可能とする回動軸が設けられており、
該回動軸は、前記チューブの延在方向に対して直交する方向に配設されており、
前記フック部は、前記本体部に対して前記回動軸を中心に回動可能に取り付けられている(1)から(6)のいずれか一項に記載のコネクタ。
(8)(1)から(7)のいずれか一項に記載の前記コネクタと、前記コネクタに接続される前記チューブと、を備えるチューブセット。
(9)前記フック部には、少なくとも一部が切り欠かれた凹部が形成されており、
前記フック部は、前記凹部が前記チューブの少なくとも一部を収容する位置まで回動可能に構成されている(8)に記載のチューブセット。
(10)(1)から(9)のいずれか一項に記載の前記コネクタと、前記コネクタに接続される前記胃瘻カテーテルと、を備える胃瘻カテーテルセット。
(11)前記フック部は、前記本体部との間で前記体表部の一部を挟持する(10)に記載の胃瘻カテーテルセット。
【符号の説明】
【0049】
41 チューブセット
41X 胃瘻カテーテルセット
42 胃瘻カテーテル
43 体表部
44 シャフト
44a ルーメン
44b 仮想軸
44c 被嵌合溝
45 バンパー
46 チューブ
47 コネクタ
47a 本体部
47aa 基端部
47ab 中央部
47ac 先端部
47b 挿込口
47d 接続部
47da 嵌合リブ
47f 支持凹部
47g 保持凹部(保持部)
47h ガイド溝
48 フック部
48a 円盤部
48b 第1延在部
48c 第2延在部
48d 掛止部
48e 凹部
48f 回動凸部(回動軸)
48g ラッチ(被保持部)
図1
図2
図3
図4