(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】浮上油槽
(51)【国際特許分類】
C02F 1/40 20230101AFI20230324BHJP
C02F 1/24 20230101ALI20230324BHJP
B01F 23/23 20220101ALI20230324BHJP
【FI】
C02F1/40 B
C02F1/24 D
B01F23/23
(21)【出願番号】P 2019135353
(22)【出願日】2019-07-23
【審査請求日】2022-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】305060154
【氏名又は名称】アルテミラ製缶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】鷹取 敏治
(72)【発明者】
【氏名】澁藤 暢一
【審査官】富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-183884(JP,A)
【文献】特開2014-014731(JP,A)
【文献】特開2007-038195(JP,A)
【文献】特開2018-089610(JP,A)
【文献】特開昭49-132862(JP,A)
【文献】特開2020-032348(JP,A)
【文献】特開2020-142219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/40
C02F 1/24
B01F 23/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油分を含む液体が貯留される槽と、
前記液体に浸漬され、前記液体中に気泡を放出するバブル発生ノズルと、
前記液体の液面に浮かべられて浮上油を回収する浮上油回収装置と
、
前記槽内に配置されて前記液体の流れをガイドするガイド手段と、を備え、
前記ガイド手段は、水平方向のうち前記槽内の前記液体が流れる向きである第1方向において、前記バブル発生ノズルの下流側かつ前記浮上油回収装置の上流側に配置される第1仕切り板を有し、
前記第1仕切り板は、前記第1仕切り板の上端部が前記液面よりも下側に位置し、
前記槽は、水平方向のうち前記第1方向と直交する第2方向において、互いに間隔をあけて配置される一対の横壁を有し、
前記第1仕切り板は、
板状の第1本体部と、
前記第1本体部の前記第2方向の端部から前記第2方向に伸縮可能に突設され、前記横壁に接触する第1伸縮部と、を有する、
浮上油槽。
【請求項2】
前記第1仕切り板は、前記槽内において前記第1方向および上下方向の少なくともいずれかに、取り付け位置が調整可能である、
請求項
1に記載の浮上油槽。
【請求項3】
前記第1仕切り板は、前記第1本体部の前記第2方向の端部と前記横壁との隙間を封止する第1封止部を有する、
請求項
1または2に記載の浮上油槽。
【請求項4】
油分を含む液体が貯留される槽と、
前記液体に浸漬され、前記液体中に気泡を放出するバブル発生ノズルと、
前記液体の液面に浮かべられて浮上油を回収する浮上油回収装置と、
前記槽内に配置されて前記液体の流れをガイドするガイド手段と、を備え、
前記槽は、
底壁と、
水平方向のうち前記槽内の前記液体が流れる向きである第1方向において、前記底壁の上流側の端部に接続する上流側縦壁と、を有し、
前記バブル発生ノズルは、複数設けられ、
前記ガイド手段は、前記第1方向において、複数の前記バブル発生ノズルのうち少なくとも1つよりも上流側かつ前記上流側縦壁の下流側に配置される第2仕切り板を有し、
前記槽は、水平方向のうち前記第1方向と直交する第2方向において、互いに間隔をあけて配置される一対の横壁を有し、
前記第2仕切り板は、
板状の第2本体部と、
前記第2本体部の前記第2方向の端部から前記第2方向に伸縮可能に突設され、前記横壁に接触する第2伸縮部と、を有する、
浮上油槽。
【請求項5】
前記第2仕切り板は、前記槽内において前記第1方向および上下方向の少なくともいずれかに、取り付け位置が調整可能である、
請求項
4に記載の浮上油槽。
【請求項6】
前記第2仕切り板は、前記第2本体部の前記第2方向の端部と前記横壁との隙間を封止する第2封止部を有する、
請求項
4または5に記載の浮上油槽。
【請求項7】
前記バブル発生ノズルは、水平方向のうち前記槽内の前記液体が流れる向きである第1方向、および、水平方向のうち前記第1方向と直交する第2方向に、互いに間隔をあけて複数設けられる、
請求項1から
6のいずれか1項に記載の浮上油槽。
【請求項8】
前記バブル発生ノズルは、前記液体中で上側へ向けて気泡を放出する、
請求項1から
7のいずれか1項に記載の浮上油槽。
【請求項9】
前記バブル発生ノズルは、前記液体中にマイクロバブルを放出する、
請求項1から
8のいずれか1項に記載の浮上油槽。
【請求項10】
前記バブル発生ノズルは、
中心軸を有し、前記中心軸の軸方向に延びる筒体と、
前記筒体の内部に配置される内装体と、
前記筒体の内部に形成される流路と、を備え、
前記流路は、
前記筒体の軸方向一方側の端部に位置する流入側流路部と、
前記筒体の軸方向他方側の端部に位置する流出側流路部と、
軸方向において前記流入側流路部と前記流出側流路部との間に位置し、前記流入側流路部および前記流出側流路部と連通するマイクロバブル発生流路部と、を有し、
前記マイクロバブル発生流路部は、前記筒体の内周面と、前記内装体の外周面とにより形成され、
前記マイクロバブル発生流路部は、
軸方向他方側へ向かうに従い拡径する拡径流路部と、
前記拡径流路部の軸方向他方側に配置されて前記拡径流路部と連通し、軸方向他方側へ向かうに従い縮径する縮径流路部と、を有する、
請求項
9に記載の浮上油槽。
【請求項11】
前記浮上油回収装置は、
前記液面に浮かぶフロート部と、
前記フロート部に支持される吸引管部と、
前記吸引管部に接続されて前記液面に配置されるノズル部と、
前記吸引管部と繋がり、前記吸引管部を通して前記ノズル部から前記液面の浮上油を吸引する吸引源と、を備え、
前記ノズル部は、前記吸引管部から水平方向に離れるにしたがい下側へ向けて傾斜して延び、前記液面に挿入される底壁部を有する、
請求項1から
10のいずれか1項に記載の浮上油槽。
【請求項12】
前記槽の底部から前記液体を汲み出し、加圧して前記バブル発生ノズルへ送るポンプ部を備える、
請求項1から
11のいずれか1項に記載の浮上油槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮上油槽に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浮上油槽として例えば特許文献1の構成が知られている。特許文献1には、油分を含む液体が貯留される槽と、液体の液面に浮かべられて浮上油を回収する浮上油回収装置(浮上油吸引装置)と、が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の浮上油槽は、浮上油を効率よく回収する点において改善の余地があった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、浮上油を効率よく回収できる浮上油槽を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の浮上油槽の一つの態様は、油分を含む液体が貯留される槽と、前記液体に浸漬され、前記液体中に気泡を放出するバブル発生ノズルと、前記液体の液面に浮かべられて浮上油を回収する浮上油回収装置と、前記槽内に配置されて前記液体の流れをガイドするガイド手段と、を備え、前記ガイド手段は、水平方向のうち前記槽内の前記液体が流れる向きである第1方向において、前記バブル発生ノズルの下流側かつ前記浮上油回収装置の上流側に配置される第1仕切り板を有し、前記第1仕切り板は、前記第1仕切り板の上端部が前記液面よりも下側に位置し、前記槽は、水平方向のうち前記第1方向と直交する第2方向において、互いに間隔をあけて配置される一対の横壁を有し、前記第1仕切り板は、板状の第1本体部と、前記第1本体部の前記第2方向の端部から前記第2方向に伸縮可能に突設され、前記横壁に接触する第1伸縮部と、を有する。
また、本発明の浮上油槽の一つの態様は、油分を含む液体が貯留される槽と、前記液体に浸漬され、前記液体中に気泡を放出するバブル発生ノズルと、前記液体の液面に浮かべられて浮上油を回収する浮上油回収装置と、前記槽内に配置されて前記液体の流れをガイドするガイド手段と、を備え、前記槽は、底壁と、水平方向のうち前記槽内の前記液体が流れる向きである第1方向において、前記底壁の上流側の端部に接続する上流側縦壁と、を有し、前記バブル発生ノズルは、複数設けられ、前記ガイド手段は、前記第1方向において、複数の前記バブル発生ノズルのうち少なくとも1つよりも上流側かつ前記上流側縦壁の下流側に配置される第2仕切り板を有し、前記槽は、水平方向のうち前記第1方向と直交する第2方向において、互いに間隔をあけて配置される一対の横壁を有し、前記第2仕切り板は、板状の第2本体部と、前記第2本体部の前記第2方向の端部から前記第2方向に伸縮可能に突設され、前記横壁に接触する第2伸縮部と、を有する。
【0007】
本発明によれば、バブル発生ノズルから液体中に放出される気泡が上昇することによって、液体に上昇流が生じ、液体中の油分が気泡とともに液面へ浮上する。これにより、液体中の油分と水等との分離が促され、浮上油回収装置で浮上油を効率よく回収できる。また、槽の長さが短い場合でも、効率よく浮上油を液面に浮上させて、回収することができる。このため、浮上油槽をコンパクトに構成でき、省スペース化が可能であり、例えば施設の設置スペースに制限がある場合でも浮上油槽を容易に設置できる。
【0008】
上記浮上油槽は、前記槽内に配置されて前記液体の流れをガイドするガイド手段を備える。
【0009】
この場合、ガイド手段によって、液体の流れをガイドすることができる。具体的には例えば、ガイド手段によって、気泡とともに上昇する液体の流れをガイドして、浮上油回収装置付近に浮上油を効率よく集めることができる。また、前工程の設備から槽に流入する液体の流れと、槽内で気泡とともに上昇する液体の流れとが干渉することを、ガイド手段によって抑制できる。
【0010】
上記浮上油槽において、前記ガイド手段は、水平方向のうち前記槽内の前記液体が流れる向きである第1方向において、前記バブル発生ノズルの下流側かつ前記浮上油回収装置の上流側に配置される第1仕切り板を有し、前記第1仕切り板は、前記第1仕切り板の上端部が前記液面よりも下側に位置する。
【0011】
この場合、第1仕切り板が、第1方向においてバブル発生ノズルの下流側かつ浮上油回収装置の上流側に配置され、バブル発生ノズルと浮上油回収装置との間を仕切る。このため、第1仕切り板の上流側では、気泡とともに上昇する液体の流れが第1仕切り板にガイドされて、浮上油が液面に早く浮上しやすくなる。つまり、液体中の油分が第1方向に流れることが抑制されつつ、浮上油が液面に早く到達させられる。液面に浮上した浮上油は、第1仕切り板の上端部と液面との間、つまり液面近傍を第1方向の下流側へと流れていき、効率よく浮上油回収装置付近に集められる。これにより、浮上油を回収する効率がより高められる。また、槽の第1方向の長さが短い場合でも、効率よく浮上油を液面に浮上させて回収することができ、浮上油槽をよりコンパクトに構成できる。
【0014】
上記浮上油槽において、前記槽は、水平方向のうち前記第1方向と直交する第2方向において、互いに間隔をあけて配置される一対の横壁を有し、前記第1仕切り板は、板状の第1本体部と、前記第1本体部の前記第2方向の端部から前記第2方向に伸縮可能に突設され、前記横壁に接触する第1伸縮部と、を有する。
【0015】
この場合、第1本体部から第2方向に突出する第1伸縮部の突出量を増減させることで、第1伸縮部を横壁に押圧したり、横壁から離したりすることができる。すなわち、第1伸縮部を伸縮させることにより、第1仕切り板を槽の横壁に着脱可能に固定できる。この構成によれば、槽内において第1仕切り板の取り付け位置を微調整でき、浮上油の回収効率をより高めることができる。槽の横壁にアンカーボルト等を埋め込む必要がないことから、槽の構造を簡素化でき、かつ第1仕切り板の取り付け位置を自由に調整できる。
上記浮上油槽において、前記第1仕切り板は、前記槽内において前記第1方向および上下方向の少なくともいずれかに、取り付け位置が調整可能であることが好ましい。
この場合、例えば液体の汚れ具合(油分の含有量)などに応じて、第1仕切り板の槽内での取り付け位置を調整して、浮上油の回収効率を高めることができる。
【0016】
上記浮上油槽において、前記第1仕切り板は、前記第1本体部の前記第2方向の端部と前記横壁との隙間を封止する第1封止部を有することが好ましい。
【0017】
この場合、第1本体部の第2方向の端部と横壁との隙間を通して、油分を含む液体が第1方向へ流れることが、第1封止部によって抑制される。このため、浮上油が第1仕切り板の上流側において安定して液面に浮上させられ、浮上油の回収効率が高められる。
【0018】
上記浮上油槽において、前記槽は、底壁と、水平方向のうち前記槽内の前記液体が流れる向きである第1方向において、前記底壁の上流側の端部に接続する上流側縦壁と、を有し、前記バブル発生ノズルは、複数設けられ、前記ガイド手段は、前記第1方向において、複数の前記バブル発生ノズルのうち少なくとも1つよりも上流側かつ前記上流側縦壁の下流側に配置される第2仕切り板を有する。
【0019】
この場合、第2仕切り板が、第1方向において複数のバブル発生ノズルのうち少なくとも1つよりも上流側かつ上流側縦壁の下流側に配置され、少なくとも1つのバブル発生ノズルと上流側縦壁との間を仕切る。このため、第2仕切り板の下流側では、気泡とともに上昇する液体の流れが第2仕切り板にガイドされて、浮上油が液面に早く浮上しやすくなる。また第2仕切り板の上流側では、浮上油槽の前工程の設備から送られる油分を含む液体が、第2仕切り板と上流側縦壁との間を通して槽内に流入させられる。すなわち、第2仕切り板は、第2仕切り板の下流側においては液体の上昇をガイドし、第2仕切り板の上流側においては液体の流入(下降)をガイドする。第2仕切り板によって、前工程の設備から槽に流入する液体の流れと、槽内で気泡とともに上昇する液体の流れとが干渉することを抑制できる。これにより、浮上油の回収効率を高めることができる。
【0022】
上記浮上油槽において、前記槽は、水平方向のうち前記第1方向と直交する第2方向において、互いに間隔をあけて配置される一対の横壁を有し、前記第2仕切り板は、板状の第2本体部と、前記第2本体部の前記第2方向の端部から前記第2方向に伸縮可能に突設され、前記横壁に接触する第2伸縮部と、を有する。
【0023】
この場合、第2本体部から第2方向に突出する第2伸縮部の突出量を増減させることで、第2伸縮部を横壁に押圧したり、横壁から離したりすることができる。すなわち、第2伸縮部を伸縮させることにより、第2仕切り板を槽の横壁に着脱可能に固定できる。この構成によれば、槽内において第2仕切り板の取り付け位置を微調整でき、浮上油の回収効率をより高めることができる。槽の横壁にアンカーボルト等を埋め込む必要がないことから、槽の構造を簡素化でき、かつ第2仕切り板の取り付け位置を自由に調整できる。
上記浮上油槽において、前記第2仕切り板は、前記槽内において前記第1方向および上下方向の少なくともいずれかに、取り付け位置が調整可能であることが好ましい。
この場合、例えば液体の汚れ具合(油分の含有量)や前工程の設備からの槽への流入量などに応じて、第2仕切り板の槽内での取り付け位置を調整して、浮上油の回収効率を高めることができる。
【0024】
上記浮上油槽において、前記第2仕切り板は、前記第2本体部の前記第2方向の端部と前記横壁との隙間を封止する第2封止部を有することが好ましい。
【0025】
この場合、第2本体部の第2方向の端部と横壁との隙間を通して、油分を含む液体が第1方向へ流れることが、第2封止部によって抑制される。このため、第2仕切り板の上流側を流れる液体と、下流側を流れる液体との干渉がより抑えられ、浮上油の回収効率が高められる。
【0026】
上記浮上油槽において、前記バブル発生ノズルは、水平方向のうち前記槽内の前記液体が流れる向きである第1方向、および、水平方向のうち前記第1方向と直交する第2方向に、互いに間隔をあけて複数設けられることが好ましい。
【0027】
この場合、第1方向および第2方向に間隔をあけて設けられる複数のバブル発生ノズルによって、液体中の油分を液面に効率よく浮上させることができる。
【0028】
上記浮上油槽において、前記バブル発生ノズルは、前記液体中で上側へ向けて気泡を放出することが好ましい。
【0029】
この場合、気泡が液面にスムーズに上昇しやすくなり、液体中の油分を液面により効率よく浮上させることができる。
【0030】
上記浮上油槽において、前記バブル発生ノズルは、前記液体中にマイクロバブルを放出することが好ましい。
【0031】
この場合、バブル発生ノズルが、気泡としてマイクロバブルを液体中に放出するので、マイクロバブルの作用(機能)により、液体中の油分が効率よく水等から分離させられて液面へ浮上する。
【0032】
上記浮上油槽において、前記バブル発生ノズルは、中心軸を有し、前記中心軸の軸方向に延びる筒体と、前記筒体の内部に配置される内装体と、前記筒体の内部に形成される流路と、を備え、前記流路は、前記筒体の軸方向一方側の端部に位置する流入側流路部と、前記筒体の軸方向他方側の端部に位置する流出側流路部と、軸方向において前記流入側流路部と前記流出側流路部との間に位置し、前記流入側流路部および前記流出側流路部と連通するマイクロバブル発生流路部と、を有し、前記マイクロバブル発生流路部は、前記筒体の内周面と、前記内装体の外周面とにより形成され、前記マイクロバブル発生流路部は、軸方向他方側へ向かうに従い拡径する拡径流路部と、前記拡径流路部の軸方向他方側に配置されて前記拡径流路部と連通し、軸方向他方側へ向かうに従い縮径する縮径流路部と、を有することが好ましい。
【0033】
この場合、バブル発生ノズルのマイクロバブル発生流路部が、拡径流路部と縮径流路部とを有する。このため、バブル発生ノズル内の液体が、マイクロバブル発生流路部を拡径流路部から縮径流路部へと流れることにより、流路内の液体の圧力が変化したり液体に遠心力が作用するなどして、液体中にマイクロバブルが発生する。
【0034】
上記構成のバブル発生ノズルによれば、従来の構造のように流路を螺旋状に形成することなく、構造を簡素化しつつマイクロバブルを発生させることができる。このため、バブル発生ノズルの製造が容易である。また上記構成のバブル発生ノズルでは、従来の構造に比べて、特に軸方向の全長を小さく抑えることが容易である。したがって、バブル発生ノズルの外形をコンパクトに抑えることができる。
【0035】
上記浮上油槽において、前記浮上油回収装置は、前記液面に浮かぶフロート部と、前記フロート部に支持される吸引管部と、前記吸引管部に接続されて前記液面に配置されるノズル部と、前記吸引管部と繋がり、前記吸引管部を通して前記ノズル部から前記液面の浮上油を吸引する吸引源と、を備え、前記ノズル部は、前記吸引管部から水平方向に離れるにしたがい下側へ向けて傾斜して延び、前記液面に挿入される底壁部を有することが好ましい。
【0036】
この場合、ノズル部の底壁部が、吸引管部から水平方向に離れるにしたがい下側へ向けて傾斜して延び、液面に対して斜めに挿入される。このため、底壁部に乗り上げた浮上油および水等の液体を、底壁部の傾斜に沿って斜め上側へ向けて吸引するときに、底壁部上の水等の液体については、底壁部の傾斜によって液面に戻されやすくなる。また、底壁部上の浮上油については、底壁部の傾斜に沿って斜め上側へ引き上げやすくなる。これにより、水等の液体の回収量(割合)を減らして、浮上油の回収効率を高めることができる。
【0037】
上記浮上油槽は、前記槽の底部から前記液体を汲み出し、加圧して前記バブル発生ノズルへ送るポンプ部を備えることが好ましい。
【0038】
この場合、浮上油が浮かぶ液面から離れた槽の底部から、ポンプ部によって液体を汲み出し、加圧してバブル発生ノズルに送って、槽内へ液体を気泡とともに流出させるため、油分の含有量が少ない液体を浮上油の分離に有効に利用できる。これにより、浮上油槽のランニングコストを削減できる。また、ポンプ部によって加圧された液体がバブル発生ノズルへ送られるので、バブル発生ノズル内の油分やゴミ等が液体とともにノズル外部へ噴出させられ、ノズル内部の詰まりが抑制される。このため、バブル発生ノズルの機能が良好に維持され、バブル発生ノズルのメンテナンスや部材交換の頻度を少なく抑えることができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の一つの態様の浮上油槽によれば、浮上油を効率よく回収できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】第1実施形態の浮上油槽を示す縦断面図である。
【
図2】第1実施形態の浮上油槽を示す上面図である。
【
図6】
図5のVI-VI断面を示す縦断面図である。
【
図9】浮上油回収装置を示す側面図であり、一部模式図を含む。
【
図10】浮上油回収装置のノズル部を示す側面図である。
【
図14】
図13のノズル部の底壁部材を示す(a)平面図、(b)側面図、(c)正面図である。
【
図15】第2実施形態の浮上油槽が備える浮上油回収装置のノズル部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態の浮上油槽1について、
図1~
図14を参照して説明する。
本実施形態の浮上油槽1は、例えば製缶工場の加工処理水等の排液(廃液)を処理する排液処理システムの一部を構成する。浮上油槽1では、排液の液体Dに含まれる油分やゴミ等(以下、単に「油分」と呼ぶ)が水等から分離され、液体Dの液面LSに浮上して、泡状、液状および半固形状等の浮上油Fとなる。浮上油Fは、液面LSに浮かぶ浮上油回収装置10により回収される。
特に図示しないが、排液処理システムは、浮上油槽1以外に、少なくともpH槽と、バンド槽と、を有する。pH槽は、浮上油槽1の前工程に設けられる設備である。pH槽は、希硫酸等により液体DのpHを調整する機能を有する。バンド槽は、浮上油槽1の後工程に設けられる設備である。バンド槽は、硫酸バンド(硫酸アルミニウム)等の凝集剤を添加することにより、液体Dに含まれる懸濁物質や浮遊物等を凝集させ沈殿させる機能を有する。バンド槽は、無機凝集剤添加槽と言い換えてもよい。
なお、浮上油槽1に供給される液体Dは、製缶工場の排液に限定されない。
【0042】
図1および
図2に示すように、浮上油槽1は、槽2と、気泡用送液配管3と、バブル発生ノズル110と、汲み出し配管6と、ポンプ部5と、ガイド手段4と、浮上油回収装置10と、後工程用送液配管7と、を備える。
【0043】
槽2は、直方体容器状である。槽2は、上方が開口されている。
図2に示す上面視で、槽2は、長方形状である。槽2には、油分を含む液体Dが貯留される。液体Dは、浮上油槽1の前工程の設備(pH槽)から、槽2の長手方向の一端部(
図1および
図2の槽2の右端部)に流入させられる。槽2内の液体Dは、槽2の長手方向における一端部から他端部(
図1および
図2の槽2の左端部)へと流れ、他端部から後工程用送液配管7により吸入されて、後工程の設備(バンド槽)へと送られる。
【0044】
本実施形態では、鉛直方向つまり重力方向を、上下方向と呼ぶ。上下方向は、槽2の深さ方向である。
水平方向のうち、槽2内の液体Dが流れる向きを、第1方向FDと呼ぶ。本実施形態では第1方向FDが、槽2の長手方向のうち一端部(右端部)から他端部(左端部)へ向かう方向である。なお、第1方向FDを下流側(または第1方向FDの下流側)と呼び、第1方向FDとは反対方向を上流側(または第1方向FDの上流側)と呼ぶ場合がある。
水平方向のうち、第1方向FDと直交する向きを、第2方向SDと呼ぶ。本実施形態では第2方向SDが、槽2の短手方向つまり幅方向である。
【0045】
槽2は、底壁2aと、上流側縦壁2bと、下流側縦壁2cと、一対の横壁2dと、を有する。上流側縦壁2b、下流側縦壁2cおよび一対の横壁2dは、槽2の周壁(側壁)を構成する。
【0046】
底壁2aは、槽2の最下部に配置される。底壁2aは、水平方向に拡がる。
上流側縦壁2bは、第1方向FDにおいて、底壁2aの上流側の端部に接続する。上流側縦壁2bは、底壁2aの上流側の端部から上方に延びる。上流側縦壁2bは、第1方向FDと直交する方向に拡がる。
【0047】
下流側縦壁2cは、第1方向FDにおいて、底壁2aの下流側の端部に接続する。下流側縦壁2cは、底壁2aの下流側の端部から上方に延びる。下流側縦壁2cは、第1方向FDと直交する方向に拡がる。
一対の横壁2dは、第2方向SDにおいて、互いに間隔をあけて配置される。一対の横壁2dは、第2方向SDに互いに間隔をあけて対向する。一対の横壁2dは、第2方向SDにおいて底壁2aの両端部に接続する。横壁2dは、底壁2aの第2方向SDの端部から上方に延びる。横壁2dは、第2方向SDと直交する方向に拡がる。
【0048】
気泡用送液配管3は、内部にポンプ部5から圧送される液体Dが流通する。本実施形態ではこの液体Dとして、槽2内の液体Dを汲み出して利用している。なお気泡用送液配管3とポンプ部5との間の系統には、図示しないフィルターが設けられる。フィルターは、ポンプ部5から気泡用送液配管3に送られる液体D中の、所定以上の大きさのゴミ等を捕捉する。
気泡用送液配管3は、第1配管部3aと、第1分岐管部3bと、第2配管部3cと、弁部3fと、第2分岐管部3dと、第3配管部3eと、を有する。
【0049】
第1配管部3aは、ポンプ部5から送られる液体Dを気泡用送液配管3に受け入れる配管部である。第1配管部3aは、槽2の上方に配置される。第1配管部3aの出口側の端部、つまり液体Dの流出側の端部は、第1方向FDに延びる。第1配管部3aの出口側の端部は、第2方向SDにおいて、槽2の中央部に位置する。
【0050】
第1分岐管部3bは、第1配管部3aの出口側の端部と接続する。第1分岐管部3bは、槽2の上方に配置される。第1分岐管部3bは、第2方向SDに延びる。本実施形態では、第1分岐管部3bのうち第2方向SDの中央部に、第1配管部3aの出口側の端部が接続される。第1分岐管部3bの管径(内径)は、第1配管部3aとの接続部分から第2方向SDに離れるに従い、段階的に小さくなる。詳しくは、第1分岐管部3bの管径は、第1配管部3aとの接続部分から第2方向SDに離れて第2配管部3cとの接続部分を超えるに従い、小さくなる。
【0051】
第2配管部3cは、複数設けられる。各第2配管部3cは、第2方向SDに互いに間隔をあけて、第1分岐管部3bと接続される。本実施形態では複数の第2配管部3cが、第2方向SDに等ピッチで配置される。各第2配管部3cは、第1分岐管部3bから第1方向FDに突出する。
【0052】
第2配管部3cは、第1方向FDに延びる上流側配管部と、上下方向に延びる下流側配管部と、を有する。
上流側配管部は、上流側の端部が第1分岐管部3bと接続される。上流側配管部は、槽2の上方に配置される。
下流側配管部は、上端部が上流側配管部の第1方向FDの端部と接続される。下流側配管部は、槽2の上方から槽2の底部にわたって、上下方向に延びる。
【0053】
弁部3fは、複数設けられる。各弁部3fは、各第2配管部3cの上流側配管部にそれぞれ設けられる。弁部3fは、開閉操作されることにより、第2配管部3cの内部を流れる液体Dの流通を許容または遮断する。弁部3fを開状態とすることにより、第2配管部3cと連通するバブル発生ノズル110から、液体Dおよび気泡を放出させることができる。弁部3fを閉状態とすることにより、第2配管部3cと連通するバブル発生ノズル110からの、液体Dおよび気泡の放出を停止できる。
【0054】
第2分岐管部3dは、複数設けられる。各第2分岐管部3dは、各第2配管部3cの下流側配管部の下端部と接続する。つまり複数の第2分岐管部3dは、第2方向SDに互いに間隔をあけて、本実施形態では等ピッチで配置される。
第2分岐管部3dは、槽2内の液体D中に配置される。第2分岐管部3dは、第1方向FDに延びる。本実施形態では、第2分岐管部3dのうち第1方向FDの中央部に、第2配管部3cの下流側配管部の下端部が接続される。第2分岐管部3dの管径(内径)は、第2配管部3cとの接続部分から第1方向FDに離れるに従い、段階的に小さくなる。詳しくは、第2分岐管部3dの管径は、第2配管部3cとの接続部分から第1方向FDに離れて第3配管部3eとの接続部分を超えるに従い、小さくなる。
【0055】
第3配管部3eは、複数設けられる。各第3配管部3eは、第1方向FDに互いに間隔をあけて、第2分岐管部3dと接続される。本実施形態では複数の第3配管部3eが、第1方向FDに等ピッチで配置される。第3配管部3eは、第2分岐管部3dから上方に突出する。第3配管部3eの出口側の端部は、上方に開口する。
また、複数の第2分岐管部3dの各第3配管部3e同士は、第2方向SDに等ピッチで配置される。つまり本実施形態では、複数の第3配管部3eが、第1方向FDおよび第2方向SDにおいて、それぞれ等ピッチで配列する。
【0056】
バブル発生ノズル110は、気泡用送液配管3の出口側の端部に接続される。バブル発生ノズル110は、複数設けられる。各バブル発生ノズル110は、各第3配管部3eの出口側の端部に接続される。すなわち、バブル発生ノズル110は、第1方向FDおよび第2方向SDに、互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態ではバブル発生ノズル110が、第1方向FDおよび第2方向SDにおいて、それぞれ等ピッチで配列する。バブル発生ノズル110の数は、例えば16個以上であり、本実施形態では24個である。
【0057】
バブル発生ノズル110は、槽2内の液体Dに浸漬される。バブル発生ノズル110は、気泡用送液配管3から送られる液体D、および気泡を、槽2内の液体D中に放出する。この気泡は、バブル発生ノズル110内を液体Dが流れることにより作られる。バブル発生ノズル110は、槽2内の液体D中で上側へ向けて、気泡を放出する。具体的にバブル発生ノズル110は、槽2内の液体D中に、マイクロバブルを放出する。つまりバブル発生ノズル110が放出する気泡は、マイクロバブルを含む。
【0058】
バブル発生ノズル110は、例えば樹脂製である。
図5~
図7に示すように、バブル発生ノズル110は、中心軸Aを有し、中心軸Aの軸方向に延びる筒体111と、内装体112と、連結筒113と、シール部材114と、筒体111の内部に形成される流路115と、を備える。
気泡用送液配管3からバブル発生ノズル110に送られる液体Dは、筒体111の中心軸Aが延びる方向において、筒体111の一方側の端部から他方側の端部へ向けて、流路115の内部を流通する。
【0059】
本実施形態では、筒体111の中心軸Aが延びる方向を軸方向と呼ぶ。
図1に示すように、バブル発生ノズル110が槽2内の液体Dに浸漬された状態では、軸方向が上下方向となる。軸方向のうち、筒体111の流路115内を流れる液体Dの上流側を軸方向一方側と呼び、下流側を軸方向他方側と呼ぶ。本実施形態では軸方向一方側が、
図6における右側であり、軸方向他方側が、
図6における左側である。
図1に示すようにバブル発生ノズル110が槽2内の液体Dに浸漬された状態では、軸方向一方側が下側であり、軸方向他方側が上側である。
中心軸Aに直交する方向を径方向と呼ぶ。径方向のうち、中心軸Aに接近する方向を径方向内側と呼び、中心軸Aから離れる方向を径方向外側と呼ぶ。
中心軸A回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。
【0060】
図5~
図7に示すように、筒体111は、外筒116と、上流側内筒117と、下流側内筒118と、ノズルキャップ119と、を有する。
外筒116は、中心軸Aを中心として軸方向に延びる多段筒状である。外筒116は、小径筒部116aと、大径筒部116bと、環状板部116cと、環状凹部116eと、を有する。
【0061】
小径筒部116aは、軸方向に延びる円筒状である。小径筒部116aは、外筒116のうち軸方向一方側の端部に位置する。小径筒部116aは、小径筒部116aの外周面に、管接続ねじ部116dを有する。小径筒部116aは、管接続ねじ部116dを用いて、気泡用送液配管3の第3配管部3eと接続される。
【0062】
大径筒部116bは、軸方向に延びる円筒状である。大径筒部116bは、外筒116のうち軸方向一方側の端部以外の部分に位置する。大径筒部116bの外径は、小径筒部116aの外径よりも大きい。大径筒部116bの内径は、小径筒部116aの内径よりも大きい。大径筒部116bは、大径筒部116bの内周面の軸方向他方側の端部に、雌ねじ部116fを有する。
【0063】
環状板部116cは、中心軸Aを中心とする円環板状であり、一対の板面が軸方向を向く。環状板部116cの各板面は、中心軸Aに垂直な方向に拡がる平面状である。環状板部116cの内周部は、小径筒部116aの軸方向他方側の端部と接続する。環状板部116cの外周部は、大径筒部116bの軸方向一方側の端部と接続する。
【0064】
環状凹部116eは、小径筒部116aの内周面と、環状板部116cの軸方向他方側を向く板面とが接続する角部に配置される。環状凹部116eは、小径筒部116aの内周面のうち、軸方向他方側の端部に位置する。環状凹部116eは、小径筒部116aの内周面から径方向外側に窪み、周方向に延びる。環状凹部116eは、環状板部116cの軸方向他方側を向く板面のうち、径方向内側の端部に位置する。環状凹部116eは、環状板部116cの軸方向他方側を向く板面から軸方向一方側に窪み、周方向に延びる。環状凹部116eは、中心軸Aを中心とする円形環状である。
【0065】
上流側内筒117は、中心軸Aを中心として軸方向に延びる筒状である。上流側内筒117は、外筒116の内部に配置される。上流側内筒117は、大径筒部116b内に嵌合する。上流側内筒117の外径は、軸方向に沿って略一定である。上流側内筒117の内径は、軸方向他方側へ向かうに従い段階的に拡径する。上流側内筒117の軸方向一方側を向く端面は、中心軸Aに垂直な方向に拡がる平面状である。上流側内筒117の軸方向一方側を向く端面は、環状板部116cの軸方向他方側を向く板面と接触する。上流側内筒117の軸方向他方側を向く端面は、中心軸Aに垂直な方向に拡がる平面状である。
【0066】
上流側内筒117は、上流側内筒117の内周面に拡径内周面部120を有する。すなわち筒体111は、筒体111の内周面の一部を構成する拡径内周面部120を有する。拡径内周面部120は、上流側内筒117の内周面の全周にわたって配置される。拡径内周面部120は、軸方向他方側へ向かうに従い拡径する。
【0067】
拡径内周面部120は、軸方向に沿って凹凸形状が繰り返される第1拡径凹凸部121を有する。第1拡径凹凸部121は、複数の凸部121aと、複数の凹部121bと、を有する。
図6に示す中心軸Aに沿う断面視(縦断面視)において、凸部121aと凹部121bとは、第1拡径凹凸部121に交互に並んで配置される。
【0068】
下流側内筒118は、中心軸Aを中心として軸方向に延びる筒状である。下流側内筒118は、外筒116の内部に配置される。下流側内筒118は、大径筒部116b内に嵌合する。下流側内筒118の外径は、軸方向に沿って略一定である。下流側内筒118の内径は、軸方向他方側へ向かうに従い段階的に縮径する。下流側内筒118の軸方向一方側を向く端面は、中心軸Aに垂直な方向に拡がる平面状である。下流側内筒118の軸方向一方側を向く端面は、上流側内筒117の軸方向他方側を向く端面と接触する。下流側内筒118の軸方向他方側を向く端面は、中心軸Aに垂直な方向に拡がる平面状である。
【0069】
下流側内筒118は、軸方向他方側を向く端面にシール溝118aを有する。シール溝118aは、下流側内筒118の軸方向他方側を向く端面から軸方向一方側に窪み、周方向に延びる。シール溝118aは、中心軸Aを中心とする円形環状である。
【0070】
下流側内筒118は、下流側内筒118の内周面に縮径内周面部122を有する。すなわち筒体111は、筒体111の内周面の一部を構成する縮径内周面部122を有する。縮径内周面部122は、下流側内筒118の内周面の全周にわたって配置される。縮径内周面部122は、拡径内周面部120の軸方向他方側に配置され、軸方向他方側へ向かうに従い縮径する。
【0071】
縮径内周面部122は、軸方向に沿って凹凸形状が繰り返される第1縮径凹凸部123を有する。第1縮径凹凸部123は、複数の凸部123aと、複数の凹部123bと、を有する。
図6に示す縦断面視において、凸部123aと凹部123bとは、第1縮径凹凸部123に交互に並んで配置される。
【0072】
ノズルキャップ119は、中心軸Aを中心とする略柱状または略板状である。ノズルキャップ119は、キャップ本体部119aと、突出部119bと、嵌合軸119cと、噴出孔119dと、を有する。
【0073】
キャップ本体部119aは、中心軸Aを中心とする略円板状である。キャップ本体部119aの軸方向一方側を向く板面は、中心軸Aに垂直な方向に拡がる平面状である。キャップ本体部119aの軸方向一方側を向く板面は、下流側内筒118の軸方向他方側を向く端面と接触する。キャップ本体部119aは、キャップ本体部119aの外周面に雄ねじ部119eを有する。雄ねじ部119eは、大径筒部116bの雌ねじ部116fとねじ止めされる。
【0074】
突出部119bは、キャップ本体部119aの軸方向他方側を向く板面から軸方向他方側に突出する。突出部119bは、中心軸Aを中心とする略円錐状であり、軸方向に延びる。突出部119bは、軸方向他方側へ向かうに従い外径が小さくなる。突出部119bは、噴出孔119dの軸方向他方側の開口部よりも、軸方向他方側に突出する。
【0075】
嵌合軸119cは、キャップ本体部119aの軸方向一方側を向く板面から軸方向一方側に突出する。嵌合軸119cは、中心軸Aを中心とする円柱状であり、軸方向に延びる。
【0076】
噴出孔119dは、ノズルキャップ119を軸方向に貫通する。噴出孔119dは、円孔状である。噴出孔119dは、軸方向一方側の開口部と、軸方向他方側の開口部と、を有する。噴出孔119dの軸方向一方側の開口部は、嵌合軸119cよりも径方向外側に位置する。噴出孔119dの軸方向一方側の開口部は、軸方向一方側へ向かうに従い拡径する。噴出孔119dの軸方向他方側の開口部は、突出部119bの径方向外側に位置する。
噴出孔119dは、ノズルキャップ119に複数設けられる。複数の噴出孔119dは、中心軸A回りの周方向に等ピッチで配列する。本実施形態では噴出孔119dが、周方向に互いに等間隔をあけて12個配列する。
【0077】
内装体112は、筒体111の内部に配置される。内装体112は、上流側内筒117および下流側内筒118の径方向内側に配置される。内装体112は、中心軸Aを中心とする略柱状または略板状である。内装体112は、軸方向の両端部から中央部へ向かうに従い外径が大きくなる。内装体112の軸方向一方側を向く端面は、中心軸Aに垂直な方向に拡がる平面状である。内装体112の軸方向他方側を向く端面は、中心軸Aに垂直な方向に拡がる平面状である。内装体112の軸方向他方側を向く端面は、キャップ本体部119aの軸方向一方側を向く板面と接触する。
【0078】
内装体112は、拡径外周面部124と、縮径外周面部125と、突起部112aと、嵌合穴112bと、環状溝部112cと、を有する。
拡径外周面部124は、内装体112の外周面のうち、軸方向一方側の部分を構成する。すなわち拡径外周面部124は、内装体112の外周面の一部を構成する。拡径外周面部124は、内装体112の外周面のうち軸方向一方側の部分において、周方向の全周にわたって配置される。拡径外周面部124は、軸方向他方側へ向かうに従い拡径する。拡径外周面部124は、拡径内周面部120と隙間をあけて対向配置される。
【0079】
拡径外周面部124は、軸方向に沿って凹凸形状が繰り返される第2拡径凹凸部126を有する。第2拡径凹凸部126は、複数の凸部126aと、複数の凹部126bと、を有する。
図6に示す縦断面視において、凸部126aと凹部126bとは、第2拡径凹凸部126に交互に並んで配置される。
第1拡径凹凸部121の凸部121aと、第2拡径凹凸部126の凸部126aとは、互いに対向して配置される。第1拡径凹凸部121の凹部121bと、第2拡径凹凸部126の凹部126bとは、互いに対向して配置される。
【0080】
縮径外周面部125は、内装体112の外周面のうち、軸方向他方側の部分を構成する。すなわち縮径外周面部125は、内装体112の外周面の一部を構成する。縮径外周面部125は、内装体112の外周面のうち軸方向他方側の部分において、周方向の全周にわたって配置される。縮径外周面部125は、拡径外周面部124の軸方向他方側に配置され、軸方向他方側へ向かうに従い縮径する。縮径外周面部125は、縮径内周面部122と隙間をあけて対向配置される。
【0081】
縮径外周面部125は、軸方向に沿って凹凸形状が繰り返される第2縮径凹凸部127を有する。第2縮径凹凸部127は、複数の凸部127aと、複数の凹部127bと、を有する。
図6に示す縦断面視において、凸部127aと凹部127bとは、第2縮径凹凸部127に交互に並んで配置される。
第1縮径凹凸部123の凸部123aと、第2縮径凹凸部127の凸部127aとは、互いに対向して配置される。第1縮径凹凸部123の凹部123bと、第2縮径凹凸部127の凹部127bとは、互いに対向して配置される。
【0082】
突起部112aは、内装体112の軸方向一方側を向く端面から軸方向一方側に突出する。突起部112aは、中心軸Aを中心とする略円錐状であり、軸方向に延びる。突起部112aは、軸方向一方側へ向かうに従い外径が小さくなる。
【0083】
嵌合穴112bは、内装体112の軸方向他方側を向く端面から軸方向一方側に窪む。嵌合穴112bは、中心軸Aを中心とする円孔状であり、軸方向に延びる。嵌合穴112b内には、嵌合軸119cが嵌合する。
【0084】
環状溝部112cは、内装体112の軸方向一方側を向く端面から軸方向他方側に窪み、周方向に延びる。環状溝部112cは、中心軸Aを中心とする円形環状である。環状溝部112cは、突起部112aよりも径方向外側に位置する。環状溝部112cは、環状凹部116eの軸方向他方側に位置し、環状凹部116eと軸方向に間隔をあけて対向する。
【0085】
連結筒113は、中心軸Aを中心として軸方向に延びる円筒状である。連結筒113は、筒体111と内装体112とを連結する。連結筒113の軸方向一方側の端部は、環状凹部116e内に嵌合する。本実施形態では、連結筒113の軸方向一方側の端部が、上流側内筒117の軸方向一方側の端部の径方向内側にも嵌合する。連結筒113の軸方向他方側の端部は、環状溝部112cに嵌合する。
【0086】
連結筒113は、連結筒113の周壁を径方向に貫通する接続孔113aを有する。接続孔113aは、連結筒113に複数設けられる。複数の接続孔113aは、中心軸A回りの周方向に等ピッチで配列する。本実施形態では接続孔113aが、周方向に互いに等間隔をあけて12個配列する。
【0087】
シール部材114は、中心軸Aを中心とする円形環状である。シール部材114は、例えばOリング等の弾性部材である。シール部材114は、シール溝118aに配置される。シール部材114は、キャップ本体部119aの軸方向一方側を向く板面と接触する。
【0088】
流路115は、筒体111の内部に配置され、筒体111を軸方向に貫通する。流路115には、気泡用送液配管3から液体Dが流入する。液体Dは、流路115内を軸方向一方側の端部から軸方向他方側の端部へ向けて流れる。
流路115は、筒体111の軸方向一方側の端部に位置する流入側流路部130と、筒体111の軸方向他方側の端部に位置する流出側流路部131と、軸方向において流入側流路部130と流出側流路部131との間に位置し、流入側流路部130および流出側流路部131と連通するマイクロバブル発生流路部132と、を有する。
【0089】
流入側流路部130は、小径筒部116aの内周面と、連結筒113の内周面および接続孔113aと、内装体112の軸方向一方側を向く端面および突起部112aと、により形成される。流入側流路部130は、流入側流路部130のうち軸方向他方側の端部に位置してマイクロバブル発生流路部132と繋がる複数の接続流路部130aを有する。各接続流路部130aは、各接続孔113aにより形成される。複数の接続流路部130aは、中心軸A回りの周方向に等ピッチで配列する。本実施形態では接続流路部130aが、周方向に互いに等間隔をあけて12個配列する。
【0090】
流出側流路部131は、マイクロバブル発生流路部132と繋がる複数の噴出流路部131aを有する。各噴出流路部131aは、各噴出孔119dにより形成される。複数の噴出流路部131aは、中心軸A回りの周方向に等ピッチで配列する。本実施形態では噴出流路部131aが、周方向に互いに等間隔をあけて12個配列する。
【0091】
マイクロバブル発生流路部132は、筒体111の内周面と、内装体112の外周面とにより形成される。マイクロバブル発生流路部132は、中心軸A回りの周方向に延びる環状である。マイクロバブル発生流路部132は、径方向において、上流側内筒117および下流側内筒118と、内装体112と、の間に配置される。
マイクロバブル発生流路部132は、拡径流路部132aと、縮径流路部132bと、を有する。
【0092】
拡径流路部132aは、軸方向他方側へ向かうに従い拡径する。拡径流路部132aは、マイクロバブル発生流路部132のうち、軸方向一方側の部分に位置する。拡径流路部132aは、拡径内周面部120と、拡径外周面部124とにより形成される。
【0093】
縮径流路部132bは、拡径流路部132aの軸方向他方側に配置されて拡径流路部132aと連通し、軸方向他方側へ向かうに従い縮径する。縮径流路部132bは、マイクロバブル発生流路部132のうち、軸方向他方側の部分に位置する。縮径流路部132bは、縮径内周面部122と、縮径外周面部125とにより形成される。
【0094】
図1および
図2に示すように、汲み出し配管6は、槽2内の液体Dを汲み出す配管である。汲み出し配管6は、ポンプ部5と接続される。汲み出し配管6は、槽2内においてガイド手段4の後述する第1仕切り板8よりも第1方向FDに位置する槽2内の底部の液体Dを、汲み出してポンプ部5へ送液する。
【0095】
ポンプ部5は、汲み出し配管6を通して槽2の底部から液体Dを汲み出し、液体Dを加圧して、気泡用送液配管3を通してバブル発生ノズル110へ送る。ポンプ部5は、槽2内の液体Dを汲み上げて、バブル発生ノズル110から槽2内へ戻す、循環ポンプである。
【0096】
ガイド手段4は、槽2内に配置されて液体Dの流れをガイドする。本実施形態ではガイド手段4が、バブル発生ノズル110から放出される気泡の流れと、この気泡の流れによって生じる液体Dの上昇流をガイドする。またガイド手段4は、浮上油槽1の前工程の設備(pH槽)から槽2内に流入される液体Dの下降流をガイドする。
ガイド手段4は、第1仕切り板8と、第2仕切り板9と、を有する。
【0097】
第1仕切り板8は、第1方向FDにおいて、バブル発生ノズル110の下流側かつ浮上油回収装置10の上流側に配置される。第1仕切り板8は、第1方向FDと直交する方向に拡がる板状である。本実施形態では第1仕切り板8が、四角形板状である。
【0098】
第1仕切り板8は、第1仕切り板8の上端部が液面LSよりも下側に位置する。つまり第1仕切り板8は、その全体が槽2内の液体D中に配置される。液体D中から浮上した浮上油Fは、第1仕切り板8の上端部の上側を通して、第1方向FDに流通可能である。
第1仕切り板8は、第1仕切り板8の下端部が底壁2aから上側に離れて配置される。第1仕切り板8の下端部と底壁2aとの間には、上下方向に隙間が設けられる。この隙間を通して、槽2の底部の液体Dが、第1方向FDの上流側へ流通可能である。
【0099】
第1仕切り板8は、槽2内において第1方向FDおよび上下方向の少なくともいずれかに、取り付け位置が調整可能である。本実施形態では第1仕切り板8が、槽2内において、第1方向FDに取り付け位置が調整可能であり、かつ、上下方向にも取り付け位置が調整可能である。つまり第1仕切り板8は、槽2内において、第1方向FD、上下方向、および、第1方向FDと上下方向を複合した方向(斜め方向)に、位置調整可能である。
【0100】
図3に示すように、第1仕切り板8は、板状の第1本体部8aと、第1本体部8aの第2方向SDの端部から第2方向SDに伸縮可能に突設され、横壁2dに接触する第1伸縮部8bと、第1本体部8aの第2方向SDの端部と横壁2dとの隙間を封止する第1封止部8cと、を有する。
【0101】
第1本体部8aは、第1方向FDと垂直な方向に拡がる四角形板状である。第1本体部8aの第2方向SDの長さは、一対の横壁2d間の第2方向SDの距離よりも小さい。第1本体部8aの上下方向の長さは、底壁2aと液面LSとの上下方向の距離、つまり槽2内の液体Dの深さよりも小さい。
【0102】
本実施形態では第1伸縮部8bが、第1本体部8aの第2方向SDの端部に、ねじ止めにより設けられる。第1本体部8aに対する第1伸縮部8bの第2方向SDへのねじ込み量を調整することにより、第1伸縮部8bが第1本体部8aから第2方向SDに突出する突出量を、調整可能である。
第1伸縮部8bは、例えばラバーベースアジャスタ等である。
【0103】
第1伸縮部8bは、複数設けられる。複数の第1伸縮部8bは、第1本体部8aの第2方向SDの端部において、上下方向に互いに間隔をあけて配置されており、本実施形態では等ピッチで配置される。また第1伸縮部8bは、第1本体部8aの第2方向SDの両端部に、それぞれ設けられる。すなわち、複数の第1伸縮部8bは、第1本体部8aの第2方向SDの両端部から、第2方向SDの外側に向けてそれぞれ突設される。
【0104】
第1伸縮部8bは、第1本体部8aにねじ止めされる第1ねじ部8dと、第1ねじ部8dに固定され、横壁2dに接触する第1接触部8eと、を有する。
第1接触部8eの外径は、第1ねじ部8dの外径よりも大きい。第1接触部8eのうち横壁2dに直接接触する部分は、例えば樹脂製やゴム製等である。第1ねじ部8dのねじ込み量を調整し、第1接触部8eが横壁2dに押圧されることで、第1仕切り板8が、一対の横壁2d間で第2方向SDに突っ張り状態とされ、槽2内に固定される。
【0105】
第1封止部8cは、弾性変形可能な板状である。第1封止部8cは、例えばゴム製や樹脂製等である。第1封止部8cは、上下方向に延びる長方形板状であり、一対の板面が第1方向FDの上流側および下流側を向く。第1封止部8cの上下方向の長さは、第1本体部8aの上下方向の長さと略同じである。
【0106】
第1封止部8cは、第1本体部8aの第1方向FDの上流側を向く板面に固定される。具体的には、第1封止部8cの第2方向SDの両端部のうち、第2方向SDの内側(中央側)の端部が、第1本体部8aにねじ部材等により固定される。第1封止部8cは、弾性変形させられることにより、第2方向SDの内側の端部から第2方向SDの外側へ向かうに従い、第1方向FDの上流側へ向けて湾曲して延びる。第1封止部8cの第2方向SDの外側の端部は、弾性変形させられた状態で横壁2dに密に接触する。これにより第1封止部8cは、第1本体部8aの第2方向SDの端部と横壁2dとの隙間を封止して、該隙間を通した液体Dの第1方向FDへの流通を遮断しまたは抑制する。
第1封止部8cは、複数(一対)設けられる。複数の第1封止部8cは、第1本体部8aの第2方向SDの両端部に、それぞれ設けられる。
【0107】
図1および
図2に示すように、第2仕切り板9は、第1方向FDにおいて、複数のバブル発生ノズル110のうち少なくとも1つよりも上流側かつ上流側縦壁2bの下流側に配置される。本実施形態では第2仕切り板9が、複数(24個)のバブル発生ノズル110のうち、第1方向FDの上流側の端部に位置するバブル発生ノズル110(4個のバブル発生ノズル110)以外のバブル発生ノズル110(20個のバブル発生ノズル110)よりも、第1方向FDの上流側に配置される。第2仕切り板9は、第1仕切り板8から第1方向FDの上流側に離れて配置される。第2仕切り板9は、第1方向FDと直交する方向に拡がる板状である。本実施形態では第2仕切り板9が、四角形板状である。
【0108】
第2仕切り板9は、第2仕切り板9の上端部が液面LSから上側に突出する。第2仕切り板9のうち上端部以外の部分は、槽2内の液体D中に配置される。液体D中から第2仕切り板9の第1方向FDの下流側で液面LSに浮上した浮上油Fは、第2仕切り板9に仕切られることにより、第2仕切り板9の第1方向FDの上流側へは流通しない。
第2仕切り板9は、第2仕切り板9の下端部が底壁2aから上側に離れて配置される。第2仕切り板9の下端部は、第1仕切り板8の下端部よりも上側に位置する。
【0109】
第2仕切り板9は、槽2内において第1方向FDおよび上下方向の少なくともいずれかに、取り付け位置が調整可能である。本実施形態では第2仕切り板9が、槽2内において、第1方向FDに取り付け位置が調整可能であり、かつ、上下方向にも取り付け位置が調整可能である。つまり第2仕切り板9は、槽2内において、第1方向FD、上下方向、および、第1方向FDと上下方向を複合した方向(斜め方向)に、位置調整可能である。
【0110】
図4に示すように、第2仕切り板9は、板状の第2本体部9aと、第2本体部9aの第2方向SDの端部から第2方向SDに伸縮可能に突設され、横壁2dに接触する第2伸縮部9bと、第2本体部9aの第2方向SDの端部と横壁2dとの隙間を封止する第2封止部9cと、を有する。
【0111】
第2本体部9aは、第1方向FDと垂直な方向に拡がる四角形板状である。第2本体部9aの第2方向SDの長さは、一対の横壁2d間の第2方向SDの距離よりも小さい。第2本体部9aのうち液体D中に配置される部分の上下方向の長さは、底壁2aと液面LSとの上下方向の距離、つまり槽2内の液体Dの深さよりも小さい。
【0112】
本実施形態では第2伸縮部9bが、第2本体部9aの第2方向SDの端部に、ねじ止めにより設けられる。第2本体部9aに対する第2伸縮部9bの第2方向SDへのねじ込み量を調整することにより、第2伸縮部9bが第2本体部9aから第2方向SDに突出する突出量を、調整可能である。
第2伸縮部9bは、例えばラバーベースアジャスタ等である。本実施形態では第2伸縮部9bと第1伸縮部8bとが、共通部品である。
【0113】
第2伸縮部9bは、複数設けられる。複数の第2伸縮部9bは、第2本体部9aの第2方向SDの端部において、上下方向に互いに間隔をあけて配置されており、本実施形態では等ピッチで配置される。また第2伸縮部9bは、第2本体部9aの第2方向SDの両端部に、それぞれ設けられる。すなわち、複数の第2伸縮部9bは、第2本体部9aの第2方向SDの両端部から、第2方向SDの外側に向けてそれぞれ突設される。
【0114】
第2伸縮部9bは、第2本体部9aにねじ止めされる第2ねじ部9dと、第2ねじ部9dに固定され、横壁2dに接触する第2接触部9eと、を有する。
第2接触部9eの外径は、第2ねじ部9dの外径よりも大きい。第2接触部9eのうち横壁2dに直接接触する部分は、例えば樹脂製やゴム製等である。第2ねじ部9dのねじ込み量を調整し、第2接触部9eが横壁2dに押圧されることで、第2仕切り板9が、一対の横壁2d間で第2方向SDに突っ張り状態とされ、槽2内に固定される。
【0115】
第2封止部9cは、弾性変形可能な板状である。第2封止部9cは、例えばゴム製や樹脂製等である。第2封止部9cは、上下方向に延びる長方形板状であり、一対の板面が第1方向FDの上流側および下流側を向く。第2封止部9cの上下方向の長さは、第2本体部9aの上下方向の長さと略同じである。
【0116】
第2封止部9cは、第2本体部9aの第1方向FDの上流側を向く板面に固定される。具体的には、第2封止部9cの第2方向SDの両端部のうち、第2方向SDの内側(中央側)の端部が、第2本体部9aにねじ部材等により固定される。第2封止部9cは、弾性変形させられることにより、第2方向SDの内側の端部から第2方向SDの外側へ向かうに従い、第1方向FDの上流側へ向けて湾曲して延びる。第2封止部9cの第2方向SDの外側の端部は、弾性変形させられた状態で横壁2dに密に接触する。これにより第2封止部9cは、第2本体部9aの第2方向SDの端部と横壁2dとの隙間を封止して、該隙間を通した液体Dの第1方向FDへの流通を遮断しまたは抑制する。
第2封止部9cは、複数(一対)設けられる。複数の第2封止部9cは、第2本体部9aの第2方向SDの両端部に、それぞれ設けられる。
【0117】
図1および
図2に示すように、浮上油回収装置10は、槽2内の液体Dの液面LSに浮かべられて、浮上油Fを回収する。
図8および
図9に示すように、浮上油回収装置10は、吸引管部12と、チューブ18と、フロート部13と、ノズル部14と、吸引源17と、浮上油回収槽19と、を備える。
【0118】
吸引管部12は、浮上油Fを吸い込むノズル部14と接続される。吸引管部12は、ノズル部14と、吸引ポンプ等の吸引源17との間に設けられる。吸引管部12は、浮上油Fを吸引する吸引管の流路(管路)の一部を構成する。吸引管部12は、吸引管(全体)のうち液面LS近傍に位置する部分である。フロート部13は、液面LSに浮かぶ。フロート部13は、吸引管部12およびノズル部14を支持する。ノズル部14は、液面LSに配置される。フロート部13は、液体Dの水位(液面LSの上下方向の位置)が変動した場合に、この水位に応じて上下方向に移動する。フロート部13は、液体Dの水位(の変動)に係わらず、ノズル部14および吸引管部12を液面LS近傍に配置する。
【0119】
以下の説明では、本実施形態の浮上油回収装置10を示す
図8~
図14において、上下方向をZ方向として示す。
また、水平方向のうち、ノズル部14が延びる方向を前後方向と呼び、X方向として示す。前後方向のうち、
図8の紙面右側を前側(+X側)、紙面左側を後側(-X側)と呼ぶ。また、前後方向のうち、吸引管部12から離れる方向を外側、吸引管部12に近づく方向を内側と呼ぶ。すなわち、前後方向において、吸引管部12からノズル部14の先端へ向かう方向を外側と呼び、ノズル部14の先端から吸引管部12へ向かう方向を内側と呼ぶ。
【0120】
また、上下方向および前後方向に直交する方向を幅方向と呼び、Y方向として示す。幅方向は、水平方向のうち、前後方向と直交する方向である。幅方向のうち、
図8の紙面上側を左側(+Y側)、紙面下側を右側(-Y側)と呼ぶ。
【0121】
上述した上下方向(上側、下側)、前後方向(前側、後側、内側、外側)および幅方向(左側、右側)は、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等に限定されない。
【0122】
吸引管部12は、液面LSの上側および液面LSに配置される。吸引管部12は、槽2の上方から液面LSに向けて上下方向に延びる部分(本管21)と、液面LSに沿って水平方向に延びる部分(枝管22)と、を有する。本実施形態の例では、吸引管部12が、断面円形状の管(円管、丸パイプ)である。吸引管部12は、例えば、耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル(HI-PVC)や塩化ビニル等の合成樹脂製である。
【0123】
吸引管部12の上端部には、可撓性のチューブ18が繋げられる。チューブ18は、筒状である。チューブ18は、直接または間接的に、吸引源17および浮上油回収槽19と接続される。すなわち、吸引管部12は、チューブ18を介して、吸引源17および浮上油回収槽19と繋がる。チューブ18は軟質であり、浮上油回収装置10の液面LS上の水平方向への移動(流動)を許容する。またチューブ18は、液面LSの水位の変動に応じた浮上油回収装置10の上下移動を許容する。
【0124】
吸引管部12は、本管21と、複数の枝管22と、を有する。
本管21は、吸引管部12のうち、液面LS近傍から上側に延びる部位である。つまり本管21は、吸引管部12において上下方向に延びる部分である。本管21の上端部には、チューブ18が連結される。本管21の下端部は、枝管22と連結される。
【0125】
本実施形態の例では、枝管22が一対設けられる。枝管22は、吸引管部12のうち、液面LS近傍で本管21から分岐して水平方向(本実施形態では幅方向)に延びる部位である。枝管22は、液面LSに配置され、液面LSに沿って延びる。枝管22は、本管21の下端部に接続し、本管21と連通する。一対の枝管22は、本管21を挟んで幅方向の両側(左側および右側)に配置される。枝管22の先端部(幅方向の端部)には、キャップ23が取り付けられる。キャップ23は、枝管22の管路の幅方向の端部を閉塞する。
【0126】
図10に示すように、枝管22の外周面には、吸入孔22hが開口する。吸入孔22hは、枝管22の周壁を貫通する貫通孔であり、本実施形態の例ではスリット状である。吸入孔22hは、枝管22の周壁のうち、枝管22の中心軸Cよりも上側に位置する部分(上側部分)に配置されて、水平方向(本実施形態では幅方向)に延びる。吸入孔22hは、枝管22の上側部分に、前後方向に互いに間隔をあけて複数(本実施形態の例では一対)設けられる。枝管22の中心軸Cおよび吸入孔22hは、液面LSよりも上側に位置する。
【0127】
図10に示すように枝管22の中心軸Cに沿って見て(中心軸C方向から見て)、中心軸Cを通る鉛直軸VAに対して吸入孔22hの孔中心線HLが傾斜する角度θ1は、例えば35~70°である。角度θ1は、好ましくは45~60°である。なお、図示の例では、1つの枝管22に設けられる一対の吸入孔22hの各角度θ1同士が、互いに同じである。ただしこれに限らず、一対の吸入孔22hの各角度θ1同士は、互いに異なっていてもよい。
枝管22には、吸入孔22hを覆うようにノズル部14が連結される。ノズル部14は、吸入孔22hを上下方向、前後方向および幅方向から囲う。
【0128】
図8および
図9に示すように、フロート部13は、吸引管部12の本管21に接続されて、液体Dの液面LSに浮かぶ。言い換えると、吸引管部12は、フロート部13に支持されることで、液面LSに浮かぶ。
フロート部13は、複数設けられる。本実施形態の例では、フロート部13が4つ設けられ、それぞれ吸引管部12に接続される。複数のフロート部13は、本管21を中心として、前後方向の両側(前側、後側)および幅方向の両側(左側、右側)に配置される。
図8に示す浮上油回収装置10の平面視(上面視)で、4つのフロート部13は、本管21回りに等間隔(90°間隔)をあけて配置される。
【0129】
フロート部13は、液面LSに浮かぶフロート本体31と、フロート本体31を支持するフロート支持部32と、を有する。
フロート本体31は、例えば樹脂製等であり、液体Dよりも比重が小さい。フロート本体31は、例えば発泡スチロール等の発泡樹脂製である。フロート本体31は、例えば樹脂製の外殻を有する中空構造体や、木製等であってもよい。本実施形態の例では、フロート本体31が、樽形状またはラグビーボール形状である。本管21の前側および後側に配置されるフロート本体31は、幅方向に延びる。本管21の左側および右側に配置されるフロート本体31は、前後方向に延びる。フロート本体31は、フロート本体31を水平方向(フロート本体31の長手方向)に貫通する中心孔31hを有する。
【0130】
フロート支持部32は、フロート本体31に連結される。フロート支持部32は、水平方向に延びるシャフト33を有し、シャフト33は、フロート本体31に通される。シャフト33は、フロート本体31の中心孔31hに挿通されて、フロート本体31の長手方向の両端から突出する。フロート支持部32は、フロート本体31と本管21とを接続する。
【0131】
具体的に、フロート支持部32には、フロート支持部32を上下方向に貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔に本管21が挿入されている。本管21には、フロート支持部32の上記貫通孔が形成される部分の上側に配置される上ストッパー35と、フロート支持部32の上記貫通孔が形成される部分の下側に配置される下ストッパー36と、が設けられる。
【0132】
上ストッパー35は、円形リング状であり、上ストッパー35内には本管21が挿入される。上ストッパー35は、上ストッパー35の固定ネジを締め込むことにより、本管21と固定される。上ストッパー35は、フロート支持部32に対して上側から接触する。上ストッパー35は、本管21に対するフロート支持部32の上方への移動を規制する。上ストッパー35の固定ネジを緩めて本管21への固定状態を解除することにより、フロート支持部32は、本管21に対して上方への移動が許容される。
【0133】
下ストッパー36は、円形リング状であり、下ストッパー36内には本管21が挿入される。下ストッパー36は、下ストッパー36の固定ネジを締め込むことにより、本管21と固定される。下ストッパー36は、フロート支持部32に対して下側から接触する。下ストッパー36は、本管21に対するフロート支持部32の下方への移動を規制する。下ストッパー36の固定ネジを緩めて本管21への固定状態を解除することにより、フロート支持部32は、本管21に対して下方への移動が許容される。
このようにフロート支持部32は、吸引管部12の上下方向に延びる部分(本管21)に、上下方向の位置が調整可能とされて固定される。
【0134】
ノズル部14は、液体Dの液面LSに浮かべられて、浮上油Fを吸い込む。ノズル部14は、複数設けられる。ノズル部14は、複数の枝管22にそれぞれ設けられる。本実施形態の例では、ノズル部14の数(2つ)が、枝管22の数(2つ)と同じである。ノズル部14は、一対の枝管22に1つずつ設けられる。一対のノズル部14は、互いに水平方向(本実施形態では幅方向)に離れて配置される。本実施形態では、ノズル部14が、例えば、SUS304等のステンレス製である。
【0135】
図10に示すように、ノズル部14は、枝管22に固定される取り付け部41と、取り付け部41から前後方向に延びる一対の吸引ノズル42と、を有する。
取り付け部41は、板状である。取り付け部41は、枝管22の幅方向の一部を上側から覆う。取り付け部41は、枝管22の上側部分を前後方向に跨ぐアーチ形状であり、枝管22の前側および後側において、一対の吸引ノズル42を支持する。
【0136】
取り付け部41は、固定壁部41aと、固定壁部41aの前後方向の両端に接続する一対の傾斜壁部41bと、を有する。
固定壁部41aは、鉛直方向に垂直な向き(水平方向)に広がる。固定壁部41aは、枝管22の外周面の上端部にネジ止め等により固定される。
【0137】
傾斜壁部41bは、枝管22の吸入孔22hとの間に隙間をあけて、吸入孔22hに対向配置される。傾斜壁部41bは、固定壁部41aとの接続部分から前後方向の外側へ向かうにしたがい、下側に向けて傾斜して延びる。傾斜壁部41bは、吸入孔22hとの間に例えば5~15mm程度の距離をあけて配置される。この距離は、好ましくは8~12mmである。
図10に示すように、枝管22の中心軸C方向から見て(または中心軸Cに垂直な断面視で)、傾斜壁部41bと吸入孔22hとの間の距離は、吸入孔22hの孔幅(開口幅)よりも小さい。ただしこれに限らず、傾斜壁部41bと吸入孔22hとの間の距離は、吸入孔22hの孔幅よりも大きくてもよく、または同一でもよい。
【0138】
吸引ノズル42は、水平方向に延びる筒状である。本実施形態の例では、吸引ノズル42が、前後方向に延びる角筒状である。吸引ノズル42は、扁平な角管形状である。吸引ノズル42の前後方向に垂直な断面の形状は、長方形状である。吸引ノズル42の前後方向に垂直な断面の形状は、幅方向の長さが上下方向の長さよりも大きい四角形状である。
【0139】
吸引ノズル42は、液面LSに沿って配置される。吸引ノズル42のうち下端部は、液面LSの下側に位置し、下端部以外の部位(下端部よりも上側に位置する部位)は、液面LSの上側に位置する。つまりノズル部14は、液面LSの下側に位置する部分と、液面LSの上側に位置する部分と、を有する。吸引ノズル42の先端部(前後方向の外側の端部)は、液面LSに開口する。吸引ノズル42は、吸引ノズル42の先端部に開口部を有する。吸引ノズル42の開口部のうち下端部は、液面LS下に浸され、下端部以外の部位は、液面LS上に露出する。液面LSの浮上油Fおよび水等の液体は、開口部を通して吸引ノズル42内に進入可能である。
【0140】
吸引ノズル42は、吸引ノズル42の内部を通して、浮上油Fを枝管22に向けて送る。浮上油Fは、吸引ノズル42の内部空間を通って、枝管22の周壁に設けられた吸入孔22hに吸い込まれる。吸引ノズル42の内部空間は、上下方向の寸法が、幅方向の寸法および前後方向の寸法よりも小さい扁平状である。吸引ノズル42の内部空間の高さは、吸引ノズル42の先端側(前後方向の外側)の端部に位置する開口部から、枝管22側(前後方向の内側)に向かうにしたがい小さくなる。吸引ノズル42の前後方向に垂直な断面の開口面積は、吸引ノズル42の先端部(開口部)から枝管22側に向かうにしたがい小さくなる。
【0141】
吸引ノズル42は、天壁部43と、側壁部44と、底壁部45と、を有する。つまり、ノズル部14は、天壁部43、側壁部44および底壁部45を有する。
天壁部43は、取り付け部41の前後方向の外側の端部に接続し、この端部から前後方向に延びる略平板形状の部位である。天壁部43は、略水平方向に広がる。天壁部43の先端側(前後方向の外側)の端部は、先端側へ向かうにしたがい僅かに上側に向けて傾斜して延びる。天壁部43は、液面LSよりも上方に配置される。天壁部43の下面は、液面LSとの間に間隔をあけて、液面LSに上側から対向する。天壁部43の下面と液面LSとの間の上下方向の距離は、例えば10~30mmである。この距離は、好ましくは15~25mmである。
【0142】
側壁部44は、天壁部43の幅方向の両端部に接続して、一対設けられる。側壁部44は、幅方向に垂直な向きに広がる平板形状である。側壁部44は、天壁部43の幅方向の両端部から下側に向けて延びる。側壁部44の下端部は、液体Dに浸される。
【0143】
底壁部45は、一対の側壁部44同士の間に架け渡される平板形状の部位である。底壁部45の幅方向の両端部は、一対の側壁部44と接続する。底壁部45は、一対の側壁部44と固定される。底壁部45の前後方向の内側の端部は、枝管22の周壁と接続する(接触する)。なお、底壁部45の前後方向の内側の端部は、枝管22の周壁との間に僅かに隙間をあけて配置されてもよい。底壁部45の前後方向の内側の端部は、枝管22の吸入孔22hの下側に位置し、吸入孔22hに接近して配置される。つまり、底壁部45の前後方向の内側の端部は、吸入孔22hの直下に位置して、吸入孔22hに隣接配置される。
【0144】
底壁部45は、枝管22から前後方向に離れるにしたがい(つまり前後方向の外側に向かうにしたがい)、下側へ向けて傾斜して延びる。底壁部45のうち、前後方向の内側(基端側)の端部は、液面LSよりも上側に位置する。底壁部45のうち、前後方向の外側(先端側)の端部は、液面LSよりも下側に位置する。本実施形態の例では、底壁部45の先端側の端部が、吸引ノズル42の先端側の端部に位置しており、吸引ノズル42の開口部の一部(下端部)を構成する。
すなわち、ノズル部14は底壁部45を有し、底壁部45は、吸引管部12から水平方向(本実施形態では前後方向)に離れるにしたがい下側へ向けて傾斜して延び、液面LSに挿入される。このように、底壁部45が液面LSに対して斜めに挿入されるため、液面LSに浮かぶ浮上油Fは、底壁部45に乗り上げた状態となる。
【0145】
液面LSに対して底壁部45が傾斜する角度(水平方向に対する底壁部45の傾斜角)θ2は、例えば10~25°である。角度θ2は、好ましくは、15~20°である。
底壁部45と天壁部43との間の上下方向の距離は、吸引ノズル42の前後方向の外側の端部に位置する開口部から、前後方向の内側に向かうにしたがい徐々に小さくなる。
【0146】
図9において、吸引源17および浮上油回収槽19は、液体Dが溜められる槽2の外部に設置される。吸引源17は、チューブ18を介して吸引管部12と繋がる。吸引源17は、吸引管部12およびチューブ18を通して、ノズル部14から液面LSの浮上油Fを吸引する。ノズル部14から吸引された浮上油Fは、吸引管部12およびチューブ18を通して、浮上油回収槽19に回収される。
【0147】
具体的に、この浮上油回収装置10では、吸引ポンプ等の吸引源17を作動させると、吸引源17と接続されたノズル部14において、吸引ノズル42の内部空間が負圧となり、吸引ノズル42の開口部から液面LS近傍の液体D(主に浮上油Fであり、以下同様)および外気が吸い込まれる。
浮上油回収装置10は、吸引ノズル42に液体Dおよび外気を吸い込んで、枝管22(吸引管部12)内に導入する。すなわち、液体Dは、吸引源17の流体吸引力(エア吸引力)によって、吸引ノズル42内で底壁部45の傾斜に沿って斜め上側へと移動し、吸入孔22hを通して枝管22内に引き込まれる。
【0148】
図1および
図2に示すように、後工程用送液配管7は、槽2内の液体Dを後工程の設備(バンド槽)に送液する配管である。後工程用送液配管7は、槽2内において第1仕切り板8よりも第1方向FDに位置する槽2内の底部の液体Dを、後工程の設備に送液する。
【0149】
以上説明した本実施形態の浮上油槽1によれば、バブル発生ノズル110から液体D中に放出される気泡が上昇することによって、液体Dに上昇流が生じ、液体D中の油分が気泡とともに液面LSへ浮上する。これにより、液体D中の油分と水等との分離が促され、浮上油回収装置10で浮上油Fを効率よく回収できる。また、槽2の長さ(水平方向の槽長)が短い場合でも、効率よく浮上油Fを液面LSに浮上させて、回収することができる。このため、浮上油槽1をコンパクトに構成でき、省スペース化が可能であり、例えば施設の設置スペースに制限がある場合でも浮上油槽1を容易に設置できる。
【0150】
また本実施形態では、槽2内に配置されるガイド手段4によって、槽2内の液体Dの流れをガイドすることができる。具体的には、ガイド手段4によって、気泡とともに上昇する液体Dの流れをガイドして、浮上油回収装置10付近に浮上油Fを効率よく集めることができる。また、前工程の設備から槽2に流入する液体Dの流れ(下降流)と、槽2内で気泡とともに上昇する液体Dの流れ(上昇流)とが干渉することを、ガイド手段4によって抑制できる。
【0151】
また本実施形態では、第1仕切り板8が、第1方向FDにおいてバブル発生ノズル110の下流側かつ浮上油回収装置10の上流側に配置され、バブル発生ノズル110と浮上油回収装置10との間を仕切る。このため、第1仕切り板8の上流側(
図1の右側)では、気泡とともに上昇する液体Dの流れが第1仕切り板8にガイドされて、浮上油Fが液面LSに早く浮上しやすくなる。つまり、液体D中の油分が第1方向FDに流れることが抑制されつつ、浮上油Fが液面LSに早く到達させられる。液面LSに浮上した浮上油Fは、第1仕切り板8の上端部と液面LSとの間、つまり液面LS近傍を第1方向FDの下流側(
図1の左側)へと流れていき、効率よく浮上油回収装置10付近に集められる。これにより、浮上油Fを回収する効率がより高められる。また、槽2の第1方向FDの長さが短い場合でも、効率よく浮上油Fを液面LSに浮上させて回収することができ、浮上油槽1をよりコンパクトに構成できる。
【0152】
また本実施形態では、第1仕切り板8は、槽2内において第1方向FDの下流側、上流側および上下方向の少なくともいずれかに、取り付け位置が調整可能である。
この場合、例えば液体Dの汚れ具合(油分の含有量)などに応じて、第1仕切り板8の槽2内での取り付け位置を調整して、浮上油Fの回収効率を高めることができる。
【0153】
また本実施形態では、第1仕切り板8が、板状の第1本体部8aと、第1本体部8aの第2方向SDの端部から第2方向SDに伸縮可能に突設され、横壁2dに接触する第1伸縮部8bと、を有する。
この場合、第1本体部8aから第2方向SDに突出する第1伸縮部8bの突出量を増減させることで、第1伸縮部8bを横壁2dに押圧したり、横壁2dから離したりすることができる。すなわち、第1伸縮部8bを伸縮させることにより、第1仕切り板8を槽2の横壁2dに着脱可能に固定できる。この構成によれば、槽2内において第1仕切り板8の取り付け位置を微調整でき、浮上油Fの回収効率をより高めることができる。槽2の横壁2dにアンカーボルト等を埋め込む必要がないことから、槽2の構造を簡素化でき、かつ第1仕切り板8の取り付け位置を自由に調整できる。
【0154】
また本実施形態では、第1仕切り板8が、第1本体部8aの第2方向SDの端部と横壁2dとの隙間を封止する第1封止部8cを有する。
この場合、第1本体部8aの第2方向SDの端部と横壁2dとの隙間を通して、油分を含む液体Dが第1方向FDへ流れることが、第1封止部8cによって抑制される。このため、浮上油Fが第1仕切り板8の上流側において安定して液面LSに浮上させられ、浮上油Fの回収効率が高められる。
【0155】
また本実施形態では、第2仕切り板9が、第1方向FDにおいて複数のバブル発生ノズル110のうち少なくとも1つよりも上流側かつ上流側縦壁2bの下流側に配置され、少なくとも1つのバブル発生ノズル110と上流側縦壁2bとの間を仕切る。このため、第2仕切り板9の下流側では、気泡とともに上昇する液体Dの流れが第2仕切り板9にガイドされて、浮上油Fが液面LSに早く浮上しやすくなる。また第2仕切り板9の上流側では、浮上油槽1の前工程の設備から送られる油分を含む液体Dが、第2仕切り板9と上流側縦壁2bとの間を通して槽2内に流入させられる。すなわち、第2仕切り板9は、第2仕切り板9の下流側においては液体Dの上昇をガイドし、第2仕切り板9の上流側においては液体Dの流入(下降)をガイドする。第2仕切り板9によって、前工程の設備から槽2に流入する液体Dの流れと、槽2内で気泡とともに上昇する液体Dの流れとが干渉することを抑制できる。これにより、浮上油Fの回収効率を高めることができる。
【0156】
また本実施形態では、第2仕切り板9は、槽2内において第1方向FDの下流側、上流側および上下方向の少なくともいずれかに、取り付け位置が調整可能である。
この場合、例えば液体Dの汚れ具合(油分の含有量)や前工程の設備からの槽2への流入量などに応じて、第2仕切り板9の槽2内での取り付け位置を調整して、浮上油Fの回収効率を高めることができる。
【0157】
また本実施形態では、第2仕切り板9が、板状の第2本体部9aと、第2本体部9aの第2方向SDの端部から第2方向SDに伸縮可能に突設され、横壁2dに接触する第2伸縮部9bと、を有する。
この場合、第2本体部9aから第2方向SDに突出する第2伸縮部9bの突出量を増減させることで、第2伸縮部9bを横壁2dに押圧したり、横壁2dから離したりすることができる。すなわち、第2伸縮部9bを伸縮させることにより、第2仕切り板9を槽2の横壁2dに着脱可能に固定できる。この構成によれば、槽2内において第2仕切り板9の取り付け位置を微調整でき、浮上油Fの回収効率をより高めることができる。槽2の横壁2dにアンカーボルト等を埋め込む必要がないことから、槽2の構造を簡素化でき、かつ第2仕切り板9の取り付け位置を自由に調整できる。
【0158】
また本実施形態では、第2仕切り板9が、第2本体部9aの第2方向SDの端部と横壁2dとの隙間を封止する第2封止部9cを有する。
この場合、第2本体部9aの第2方向SDの端部と横壁2dとの隙間を通して、油分を含む液体Dが第1方向FDへ流れることが、第2封止部9cによって抑制される。このため、第2仕切り板9の上流側を流れる液体Dと、下流側を流れる液体Dとの干渉がより抑えられ、浮上油Fの回収効率が高められる。
【0159】
また本実施形態では、第1方向FDおよび第2方向SDに互いに間隔をあけて設けられる複数のバブル発生ノズル110によって、液体D中の油分を液面LSに効率よく浮上させることができる。特に本実施形態の例では、複数のバブル発生ノズル110が第1方向FDおよび第2方向SDに等ピッチで配列するため、上述の効果がより顕著となる。
【0160】
また本実施形態では、バブル発生ノズル110が、液体D中で上側へ向けて気泡を放出する。
この場合、気泡が液面LSにスムーズに上昇しやすくなり、液体D中の油分を液面LSにより効率よく浮上させることができる。
【0161】
また本実施形態では、バブル発生ノズル110が、気泡としてマイクロバブルを液体D中に放出するので、マイクロバブルの作用(機能)により、液体D中の油分が効率よく水等から分離させられて液面LSへ浮上する。
【0162】
また本実施形態では、
図6に示すように、バブル発生ノズル110のマイクロバブル発生流路部132が、拡径流路部132aと縮径流路部132bとを有する。このため、バブル発生ノズル110内の液体Dが、マイクロバブル発生流路部132を拡径流路部132aから縮径流路部132bへと流れることにより、流路115内の液体Dの圧力が変化したり液体Dに遠心力が作用するなどして、液体D中にマイクロバブルが発生する。
【0163】
上記構成のバブル発生ノズル110によれば、例えば特許第6312768号公報に記載の従来の構造のように流路を螺旋状に形成することなく、構造を簡素化しつつマイクロバブルを発生させることができる。このため、バブル発生ノズル110の製造が容易である。また上記構成のバブル発生ノズル110では、従来の構造に比べて、特に軸方向の全長を小さく抑えることが容易である。したがって、バブル発生ノズル110の外形をコンパクトに抑えることができる。
【0164】
また本実施形態では、マイクロバブル発生流路部132が、中心軸A回りの周方向に延びる環状である。
この場合、マイクロバブル発生流路部132の構造をより簡素化でき、バブル発生ノズル110の製造がより容易となる。
【0165】
また本実施形態では、拡径流路部132aが、拡径内周面部120と、拡径外周面部124とにより形成され、縮径流路部132bが、縮径内周面部122と、縮径外周面部125とにより形成される。
この場合、バブル発生ノズル110内の液体Dが拡径流路部132aから縮径流路部132bへと流れることにより、流路115内の液体Dに圧力の変化や遠心力を安定して作用させることができ、液体D中にマイクロバブルがより安定して発生する。
【0166】
また本実施形態では、拡径内周面部120が、軸方向に沿って凹凸形状が繰り返される第1拡径凹凸部121を有し、拡径外周面部124が、軸方向に沿って凹凸形状が繰り返される第2拡径凹凸部126を有する。
すなわち、拡径流路部132aを形成する拡径内周面部120と拡径外周面部124とが、それぞれ軸方向に凹凸形状が繰り返される部分を有するので、拡径流路部132aの内部を流れる液体Dに、圧力の変化や遠心力をより作用させやすくすることができる。また、拡径流路部132aの断面形状および断面積が、軸方向の各位置で変化する。このため、拡径流路部132aを流れる液体Dに、マイクロバブルがより安定して発生しやすい。
【0167】
また本実施形態では、第1拡径凹凸部121の凸部121aと、第2拡径凹凸部126の凸部126aとが、互いに対向して配置され、第1拡径凹凸部121の凹部121bと、第2拡径凹凸部126の凹部126bとが、互いに対向して配置される。
この場合、拡径流路部132aの断面形状および断面積が、軸方向の各位置でより大きく変化する。したがって、拡径流路部132aを流れる液体Dに、マイクロバブルがより安定して発生させられる。
【0168】
また本実施形態では、縮径内周面部122が、軸方向に沿って凹凸形状が繰り返される第1縮径凹凸部123を有し、縮径外周面部125が、軸方向に沿って凹凸形状が繰り返される第2縮径凹凸部127を有する。
すなわち、縮径流路部132bを形成する縮径内周面部122と縮径外周面部125とが、それぞれ軸方向に凹凸形状が繰り返される部分を有するので、縮径流路部132bの内部を流れる液体Dに、圧力の変化や遠心力をより作用させやすくすることができる。また、縮径流路部132bの断面形状および断面積が、軸方向の各位置で変化する。このため、縮径流路部132bを流れる液体Dに、マイクロバブルがより安定して発生しやすい。
【0169】
また本実施形態では、第1縮径凹凸部123の凸部123aと、第2縮径凹凸部127の凸部127aとが、互いに対向して配置され、第1縮径凹凸部123の凹部123bと、第2縮径凹凸部127の凹部127bとが、互いに対向して配置される。
この場合、縮径流路部132bの断面形状および断面積が、軸方向の各位置でより大きく変化する。したがって、縮径流路部132bを流れる液体Dに、マイクロバブルがより安定して発生させられる。
【0170】
また本実施形態では、流入側流路部130の複数の接続流路部130aが、中心軸A回りの周方向に等ピッチで配列する。
この場合、流入側流路部130の複数の接続流路部130aからマイクロバブル発生流路部132へと、液体Dが周方向均等に分散されて流入する。したがって、マイクロバブル発生流路部132を流れる液体Dに、マイクロバブルを周方向均等に発生させることができる。
【0171】
また本実施形態では、流出側流路部131の複数の噴出流路部131aが、中心軸A回りの周方向に等ピッチで配列する。
この場合、マイクロバブル発生流路部132から流出側流路部131の複数の噴出流路部131aへと、液体Dが周方向均等に分散されて流入する。したがって、マイクロバブルを含む液体Dを、複数の噴出流路部131aから周方向均等に噴出させることができる。
【0172】
また本実施形態では、
図10に示すように、浮上油回収装置10のノズル部14の底壁部45が、吸引管部12から水平方向に離れるにしたがい下側へ向けて傾斜して延び、液面LSに対して斜めに挿入される。このため、底壁部45に乗り上げた浮上油Fおよび水等の液体Dを、底壁部45の傾斜に沿って斜め上側へ向けて吸引するときに、底壁部45上の水等については、底壁部45の傾斜によって液面LSに戻されやすくなる。また、底壁部45上の浮上油Fについては、底壁部45の傾斜に沿って斜め上側へ引き上げやすくなる。これにより、水等の回収量(割合)を減らして、浮上油Fの回収効率を高めることができる。
【0173】
具体的に、浮上油Fは、水等よりも比重が小さく、水等よりも上側に位置するため、底壁部45上に乗り上げやすい。また浮上油Fは、底壁部45上に乗り上げたときに、重力によっては斜め下側へと流されにくい(水等よりは底壁部45上にとどまりやすい)。そして浮上油Fは、吸引源17の流体吸引力により、底壁部45上を斜め上側へと引き上げられやすい。したがって、浮上油Fは、枝管22に吸入される量(回収量)が増大する。
一方、水等は、浮上油Fよりも比重が大きく、浮上油Fよりも下側に位置するため、底壁部45上に乗り上げにくい。また水等は、底壁部45上に乗り上げても、重力によって斜め下側へと流されやすい(底壁部45上にとどまりにくい)。そして水等は、吸引源17の流体吸引力によっては、底壁部45上を斜め上側へと引き上げられにくい。したがって、水等は、枝管22に吸入される量(回収量)が減少する。
以上より本実施形態によれば、従来と比較して、浮上油Fの回収効率を高められる。
【0174】
また本実施形態では、角度θ1が35~70°であるので、下記の作用効果が得られる。
角度θ1が35°以上であるので、底壁部45の前後方向の内側の端部(基端部)と、吸入孔22hと、の間の距離を小さくできる。このため、底壁部45上の浮上油Fに対して、吸入孔22hから強い流体吸引力を作用させることができる。
角度θ1が70°以下であるので、吸入孔22hが液面LSに近づき過ぎることを抑制できる。このため、吸入孔22hから枝管22内に、底壁部45上を通らずに水等が直接吸引されるようなことが抑制される。
なお、上記作用効果をより顕著なものとするには、好ましくは、角度θ1が45~60°である。
【0175】
また本実施形態では、角度θ2が10~25°であるので、下記の作用効果が得られる。
角度θ2が10°以上であるので、底壁部45上から液体D中の水等が斜め下側へ流れやすい。すなわち、底壁部45上から水等を液面LSに戻す作用が安定して得られる。
角度θ2が25°以下であるので、吸引源17の流体吸引力によって、底壁部45上から浮上油Fを斜め上側へ引き上げやすい。すなわち、底壁部45上から浮上油Fを吸引回収する作用が安定して得られる。
なお、上記作用効果をより顕著なものとするには、好ましくは、角度θ2が15~20°である。
【0176】
また本実施形態では、
図9に示すように、フロート部13のフロート支持部32が、吸引管部12の上下方向に延びる部分(本管21)に、上下方向の位置を調整可能に固定されている。
これにより、フロート部13と吸引管部12との上下方向の相対位置を調整でき、液面LSに対するノズル部14の上下方向の位置を調整可能である。したがって、ノズル部14の底壁部45の液面LSに対する上下方向の位置を良好に維持でき、ノズル部14から水等を吸い込みにくくするとともに浮上油Fを吸い込みやすくして、浮上油Fの回収効率を安定して向上できる。
【0177】
次に、第1実施形態の浮上油槽1が備える浮上油回収装置10の変形例(第1~第3変形例)について、説明する。
【0178】
<第1変形例>
図11は、浮上油回収装置10のノズル部14(吸引ノズル42)の第1変形例を示す側面図である。
この第1変形例では、吸引ノズル42が、天壁部43、側壁部44、底壁部45に加えて、底壁部46を有する。つまり、ノズル部14は、複数の底壁部45,46を有する。複数の底壁部45,46同士は、吸引管部12から水平方向に離れる向き(本変形例では前後方向)に互いに隙間をあけて、隣り合って配置される。
【0179】
図示の例では、吸引ノズル42が、2つの底壁部45,46を有する。
2つの底壁部45,46のうち、枝管22の周壁と接続する(接触する)底壁部45は、第1の底壁部45である。第1の底壁部45の前後方向の外側(先端側)の端部は、吸引ノズル42の前後方向の外側の端部よりも、前後方向の内側(基端側)に配置される。第1の底壁部45の上記以外の構成については、前述した第1実施形態の底壁部45と同様である。
【0180】
2つの底壁部45,46のうち、第1の底壁部45よりも前後方向の外側に位置する底壁部46は、第2の底壁部46である。第2の底壁部46は、一対の側壁部44同士の間に架け渡される平板形状の部位である。第2の底壁部46の幅方向の両端部は、一対の側壁部44と接続する。第2の底壁部46の前後方向の内側の端部は、枝管22の周壁から前後方向の外側に離れて配置される。第2の底壁部46の前後方向の内側の端部は、第1の底壁部45の前後方向の外側の端部よりも上側に位置する。上下方向から見て、第2の底壁部46の前後方向の内側の端部と、第1の底壁部45の前後方向の外側の端部とは、互いに重なって配置される。
【0181】
第2の底壁部46は、前後方向の外側に向かうにしたがい(吸引管部12から水平方向に離れるにしたがい)、下側へ向けて傾斜して延び、液面LSに挿入される。第2の底壁部46のうち、前後方向の内側の端部は、液面LSよりも上側に位置する。第2の底壁部46のうち、前後方向の外側の端部は、液面LSよりも下側に位置する。本変形例では、第2の底壁部46の前後方向の外側(先端側)の端部が、吸引ノズル42の前後方向の外側の端部に位置する。
【0182】
第2の底壁部46と天壁部43との間の上下方向の距離は、吸引ノズル42の前後方向の外側の端部から、前後方向の内側に向かうにしたがい徐々に小さくなる。第2の底壁部46が液面LSに対して斜めに挿入されるため、液面LSに浮かぶ浮上油Fは、第2の底壁部46に乗り上げた状態となる。
【0183】
液面LSに対して第2の底壁部46が傾斜する角度(水平方向に対する第2の底壁部46の傾斜角)θ3は、例えば10~25°である。角度θ3は、好ましくは、15~20°である。図示の例では、中心軸C方向から見て、各吸引ノズル42の2つの底壁部45,46同士が、互いに平行に延びており、角度θ2と角度θ3とが、互いに同一である。
【0184】
以上説明した第1変形例によれば、前述の第1実施形態と同様の作用効果が得られる。また、ノズル部14が複数の底壁部45,46を有するので、底壁部45,46上において浮上油Fと水等との分離をより促して、浮上油Fの回収効率を向上させることができる。すなわち、浮上油Fおよび水等が、複数の底壁部45,46を乗り越えつつ枝管22(吸引管部12)へ向けて吸引されるときに、複数の底壁部45,46同士の間において、水等が液面LSに戻される。つまり、浮上油Fは、複数の底壁部45,46を乗り越えて枝管22に吸引されるが、水等は、複数の底壁部45,46を乗り越える際に、底壁部45,46同士の間において液面LSに戻されやすくなる。したがって、浮上油Fの回収効率がより高められる。
【0185】
詳しくは、吸引ノズル42に吸引された液体Dは、枝管22に到達するまでの間に2つの斜面(底壁部45,46)を乗り越えさせられる。このとき、比重が小さい浮上油Fについては、枝管22に到達しやすいが、比重が大きい水等については、2つの斜面(底壁部45,46)を乗り越えることができずに液面LSに戻されやすくなる。つまり、水等は、枝管22に導入されにくくなり、回収量が減少する。
このため、浮上油Fと水等の分離がより促されて、浮上油Fの回収効率が高められる。
【0186】
また、角度θ3が10~25°であるので、下記の作用効果が得られる。
角度θ3が10°以上であるので、第2の底壁部46上から水等が斜め下側へ流れやすい。すなわち、第2の底壁部46上から水等を液面LSに戻す作用が安定して得られる。
角度θ3が25°以下であるので、吸引源17の流体吸引力によって、第2の底壁部46上から浮上油Fを斜め上側へ引き上げやすい。すなわち、第2の底壁部46上から浮上油Fを吸引回収する作用が安定して得られる。
なお、上記作用効果をより顕著なものとするには、好ましくは、角度θ3が15~20°である。
【0187】
<第2変形例>
図12は、浮上油回収装置10のノズル部14(吸引ノズル42)の第2変形例を示す側面図である。
この第2変形例では、吸引ノズル42が、天壁部43、側壁部44、底壁部45に加えて、底壁部材47を有する。底壁部材47は、底壁部48と、一対の耳部49と、を有する。つまり、吸引ノズル42(ノズル部14)は、複数の底壁部45,48を有する。複数の底壁部45,48同士は、吸引管部12から水平方向に離れる向き(本変形例では前後方向)に互いに隙間をあけて、隣り合って配置される。
【0188】
図示の例では、吸引ノズル42が、2つの底壁部45,48を有する。
2つの底壁部45,48のうち、枝管22の周壁と接続する(接触する)底壁部(第1の底壁部)45は、前述した第1実施形態の底壁部45と同様の構成を有する。
2つの底壁部45,48のうち、底壁部45よりも前後方向の外側に配置される底壁部(第2の底壁部)48は、底壁部材47の一部を構成する。
【0189】
底壁部材47は、板状の部材であり、第1の底壁部45上に配置される。底壁部材47は、液面LSに対して底壁部45,48が傾斜する方向に移動可能に、ノズル部14に支持される。具体的に、底壁部材47は、吸引ノズル42の天壁部43、側壁部44および底壁部45に対して、中心軸C方向から見て底壁部45,48が傾斜する方向(底壁部45,48が延びる方向)に沿って、スライド移動可能である。このため、底壁部材47の底壁部48も、液面LSに対して底壁部45,48が傾斜する方向に移動可能に、ノズル部14に支持される。すなわち、底壁部48は、吸引ノズル42の天壁部43、側壁部44および底壁部45に対して、中心軸C方向から見て底壁部45,48が傾斜する方向に沿って、スライド移動可能である。
【0190】
底壁部材47が有する底壁部(第2の底壁部)48は、平板状であり、第1の底壁部45と略平行に広がる。第2の底壁部48は、第1の底壁部45と隙間をあけて対向する。第2の底壁部48は、第1の底壁部45に、上側および前後方向の外側から対向する。
【0191】
第2の底壁部48の前後方向の内側の端部は、枝管22の周壁から前後方向の外側に離れて配置される。第2の底壁部48の前後方向の内側の端部は、第1の底壁部45の前後方向の外側の端部よりも上側に位置する。図示の例では、第2の底壁部48の前後方向の内側の端部が、第1の底壁部45の前後方向の外側の端部よりも、前後方向の内側に位置する。上下方向から見て、第2の底壁部48の前後方向に沿う内側部分と、第1の底壁部45の前後方向に沿う外側部分とは、互いに重なって配置される。
【0192】
第2の底壁部48は、前後方向の外側に向かうにしたがい(吸引管部12から水平方向に離れるにしたがい)、下側へ向けて傾斜して延び、液面LSに挿入される。第2の底壁部48のうち、前後方向の内側の端部は、液面LSよりも上側に位置する。第2の底壁部48のうち、前後方向の外側の端部は、液面LSよりも下側に位置する。本変形例では、第2の底壁部48の前後方向の外側(先端側)の端部が、吸引ノズル42(の天壁部43、側壁部44および底壁部45)の前後方向の外側の端部よりも、前後方向の外側に突出して配置される。
【0193】
第2の底壁部48と天壁部43との間の上下方向の距離は、前後方向の内側に向かうにしたがい小さくなる。第2の底壁部48が液面LSに対して斜めに挿入されるため、液面LSに浮かぶ浮上油Fは、第2の底壁部48に乗り上げた状態となる。
【0194】
液面LSに対して第2の底壁部48が傾斜する角度(水平方向に対する第2の底壁部48の傾斜角)θ4は、例えば10~25°である。角度θ4は、好ましくは、15~20°である。図示の例では、中心軸C方向から見て、各吸引ノズル42の2つの底壁部45,48同士が、互いに平行に延びており、角度θ2と角度θ4とが、互いに同一である。
【0195】
底壁部材47が有する一対の耳部49は、第2の底壁部48の幅方向の両端部に接続する。耳部49は、幅方向に垂直な向きに広がる平板形状である。耳部49は、第2の底壁部48の幅方向の両端部から下側に向けて延びる。耳部49の下端は、第1の底壁部45の上面と接触する。耳部49は、液面LSに対して底壁部45,48が傾斜する方向に沿って延びる。
【0196】
耳部49は、液面LSに対して底壁部45,48が傾斜する方向に沿って配列する複数の位置調整孔49aを有する。位置調整孔49aは、耳部49を幅方向(板厚方向)に貫通する。位置調整孔49aは、位置調整孔49aの内周面に雌ネジ部を有する。複数の位置調整孔49aのうち、所定の(1つの)位置調整孔49aには、側壁部44の貫通孔44aに通される図示しないネジ部材が螺着する。これにより底壁部材47は、吸引ノズル42と固定される。
【0197】
以上説明した第2変形例によれば、前述の第1実施形態と同様の作用効果が得られる。また、例えば液面LSに浮かぶ浮上油Fの状態や量などに応じて、底壁部材47とともに底壁部48を、底壁部45,48が傾斜する方向に移動させることにより、液面LSに対する第2の底壁部48の(上下方向の)位置を調整できる。これにより、浮上油Fの回収効率を向上させることができる。
また、角度θ4が10~25°であるので、上述した角度θ3と同様の作用効果が得られる。なお、この作用効果をより顕著なものとするには、好ましくは、角度θ4が15~20°である。
【0198】
<第3変形例>
図13は、浮上油回収装置10のノズル部14(吸引ノズル42)の第3変形例を示す側面図である。
図14(a)~(c)は、
図13の底壁部50のスライド壁部52を示す。
この第3変形例では、吸引ノズル42が、天壁部43と、側壁部44と、底壁部50と、を有する。底壁部50は、枝管22(吸引管部12)から水平方向(本変形例では前後方向)に離れるにしたがい下側へ向けて傾斜して延び、液面LSに挿入される。底壁部50は、支持壁部51と、スライド壁部52と、を有する。
【0199】
支持壁部51は、一対の側壁部44同士の間に架け渡される平板形状の部位である。支持壁部51の幅方向の両端部は、一対の側壁部44と接続する。支持壁部51は、一対の側壁部44と固定される。支持壁部51の前後方向の内側の端部は、枝管22の周壁と接続する(接触する)。なお、支持壁部51の前後方向の内側の端部は、枝管22の周壁との間に僅かに隙間をあけて配置されてもよい。支持壁部51の前後方向の内側の端部は、枝管22の吸入孔22hの下側に位置し、吸入孔22hに接近して配置される。つまり、支持壁部51の前後方向の内側の端部は、吸入孔22hの直下に位置して、吸入孔22hに隣接配置される。
【0200】
支持壁部51は、枝管22から前後方向に離れるにしたがい(つまり前後方向の外側に向かうにしたがい)、下側へ向けて傾斜して延びる。支持壁部51のうち、前後方向の内側(基端側)の端部は、液面LSよりも上側に位置する。支持壁部51のうち、前後方向の外側(先端側)の端部は、液面LSよりも下側に位置する。
すなわち、支持壁部51は、吸引管部12から水平方向(本変形例では前後方向)に離れるにしたがい下側へ向けて傾斜して延び、液面LSに挿入される。
【0201】
スライド壁部52は、板状である。本変形例では、スライド壁部52が、四角形板状である。スライド壁部52の板面(上面52aおよび下面52b)は、上下方向を向く。スライド壁部52は、支持壁部51上に配置される。スライド壁部52の下面52bは、支持壁部51の上面と接触する。スライド壁部52は、支持壁部51の上面に載せられ、支持壁部51に対してスライド移動可能である。スライド壁部52は、支持壁部51上において、液面LSに対して底壁部50(支持壁部51)が傾斜する方向に移動可能に、吸引ノズル42に支持される。すなわち、底壁部50は、液面LSに対して底壁部50が傾斜する方向に移動可能に、ノズル部14に支持される。
【0202】
スライド壁部52の上面52aは、スライド壁部52の下面52bと平行な部分と、下面52bに対して傾斜する部分と、を有する。
スライド壁部52の上面52aのうち、下面52bと平行な部分は、スライド壁部52の前後方向の内側部分に位置する。このため、スライド壁部52の前後方向の内側部分は、前後方向に沿って板厚が一定である。
スライド壁部52の上面52aのうち、下面52bに対して傾斜する部分は、スライド壁部52の前後方向の外側部分に位置する。上面52aのうち、下面52bに対して傾斜する部分は、前後方向の外側へ向かうにしたがい、下面52bとの間の距離が小さくなる。このため、スライド壁部52の前後方向の外側部分は、前後方向の外側へ向かうにしたがい板厚が小さくなる。
【0203】
スライド壁部52は、スライド壁部52の上面52aに、液体戻し溝53を有する。すなわち、底壁部50は、底壁部50の上面52aに液体戻し溝53を有する。液体戻し溝53は、上面52aにおいて下側に窪み、前後方向に延びる。詳しくは、液体戻し溝53は、上面52aにおいて、液面LSに対して底壁部50が傾斜する方向に沿って延びる。液体戻し溝53は、上面52aにおいて幅方向に互いに間隔をあけて複数配置される。
【0204】
図示の例では、液体戻し溝53は、スライド壁部52の前後方向の内側を向く端面および外側を向く端面には開口しない。液体戻し溝53は、スライド壁部52の前後方向の内側の端部と外側の端部との間に位置する中間部分に配置される。なお、液体戻し溝53は、スライド壁部52の前後方向の内側を向く端面および外側を向く端面の少なくともいずれかに開口してもよい。
【0205】
スライド壁部52の上面52aのうち、下面52bと平行な部分では、液体戻し溝53の溝深さが、前後方向に沿って一定である。スライド壁部52の上面52aのうち、下面52bに対して傾斜する部分では、液体戻し溝53の溝深さが、前後方向の外側へ向かうにしたがい浅くなる。
【0206】
スライド壁部52の側面52cは、幅方向を向く。側面52cは、スライド壁部52に一対設けられる。一対の側面52cは、スライド壁部52において幅方向の両側を向く。側面52cは、吸引ノズル42の側壁部44と対向する。側面52cは、側壁部44と接触する。
【0207】
スライド壁部52は、側面52cにネジ穴52dを有する。ネジ穴52dは、側面52cに開口して幅方向に窪む。ネジ穴52dは、側面52cに複数設けられる。複数のネジ穴52dは、側面52cにおいて下面52bと平行に配列する。複数のネジ穴52dは、側面52cにおいて、液面LSに対して底壁部50が傾斜する方向に沿って配列する。ネジ穴52dは、ネジ穴52dの内周面に雌ネジ部を有する。複数のネジ穴52dのうち、所定の(1つの)ネジ穴52dには、側壁部44の貫通孔44aに通される図示しないネジ部材が螺着する。これによりスライド壁部52は、吸引ノズル42と固定される。
【0208】
以上説明した第3変形例によれば、前述の第1実施形態と同様の作用効果が得られる。また、例えば液面LSに浮かぶ浮上油Fの状態や量などに応じて、底壁部50(スライド壁部52)を、底壁部50が傾斜する方向に移動させることにより、液面LSに対する底壁部50(スライド壁部52)の上下方向の位置を調整できる。これにより、浮上油Fの回収効率を向上させることができる。
また、スライド壁部52上に乗り上げた浮上油Fおよび水等の液体Dのうち、水等が液体戻し溝53に流れ込み、液体戻し溝53を通して液面LSに戻される。したがって、浮上油Fの回収効率をより高められる。
【0209】
また本実施形態では、
図1に示すように、ポンプ部5が、槽2の底部から液体Dを汲み出し、加圧してバブル発生ノズル110へ送る。
この場合、浮上油Fが浮かぶ液面LSから離れた槽2の底部から、ポンプ部5によって液体Dを汲み出し、加圧してバブル発生ノズル110に送って、槽2内へ液体Dを気泡とともに流出させるため、油分の含有量が少ない液体Dを浮上油Fの分離に有効に利用できる。これにより、浮上油槽1のランニングコストを削減できる。また、ポンプ部5によって加圧された液体Dがバブル発生ノズル110へ送られるので、バブル発生ノズル110内の油分やゴミ等が液体Dとともにノズル外部へ噴出させられ、ノズル内部の詰まりが抑制される。このため、バブル発生ノズル110の機能が良好に維持され、バブル発生ノズル110のメンテナンスや部材交換の頻度を少なく抑えることができる。
【0210】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態の浮上油槽1が備える浮上油回収装置20について、
図15~
図17を参照して説明する。
なお、第2実施形態では、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略し、主として異なる点について説明する。
【0211】
本実施形態の浮上油槽1が備える各構成のうち、浮上油回収装置20以外の、槽2、気泡用送液配管3、バブル発生ノズル110、汲み出し配管6、ポンプ部5、ガイド手段4および後工程用送液配管7については、第1実施形態で説明した各構成と同じである。
【0212】
浮上油回収装置20は、槽2内の液体Dの液面LSに浮かべられて、浮上油Fを回収する。
図15~
図17に示すように、浮上油回収装置20は、吸引管部72と、フロート部13と、ノズル部74と、を備える。特に図示しないが、浮上油回収装置20は、チューブ18と、吸引源17と、浮上油回収槽19と、を備える。
【0213】
吸引管部72は、浮上油Fを吸い込むノズル部74と接続される。吸引管部72は、ノズル部74と、吸引源17との間に設けられる。吸引管部72は、浮上油Fを吸引する吸引管の流路(管路)の一部を構成する。吸引管部72は、吸引管(全体)のうち液面LS近傍に位置する部分である。フロート部13は、吸引管部72およびノズル部74を支持する。ノズル部74は、液面LSに配置される。フロート部13は、液体Dの水位(の変動)に合わせて上下動し、ノズル部74および吸引管部72を液面LS近傍に配置する。
【0214】
吸引管部72は、槽2の上方から液面LSに向けて上下方向に延びる部分(本管81)を有する。本実施形態の例では、吸引管部72が、断面円形状の管(円管、丸パイプ)である。吸引管部72は、例えば、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)等の合成樹脂製である。吸引管部72の上端部には、チューブ18が繋げられる。吸引管部72は、チューブ18を介して、吸引源17および浮上油回収槽19と繋がる(
図9参照)。
【0215】
吸引管部72は、本管81を有する。
本管81は、上下方向に延びる。つまり本管81は、吸引管部72において上下方向に延びる部分である。本管81の下端は、液面LSよりも下側に位置する。本管81の下端部は、液面LS近傍に配置される。本管81の下端部以外の部位(下端部よりも上側に位置する部位)は、液面LSの上側に配置される。
以下の説明では、吸引管部72(の本管81)の中心軸である軸線Oに直交する方向を、径方向と呼ぶ。径方向のうち、軸線Oに接近する方向を径方向の内側と呼び、軸線Oから離れる方向を径方向の外側と呼ぶ。また、軸線O回りに周回する方向を、周方向と呼ぶ。
【0216】
本管81は、本管81の周壁に吸入孔81hを有する。吸入孔81hは、本管81の周壁を貫通する貫通孔であり、本実施形態の例では長円孔状である。吸入孔81hは、本管81の下端部に配置され、上下方向に延びる。吸入孔81hは、本管81の周壁の下端部に、周方向に互いに間隔をあけて複数(本実施形態の例では4つ)設けられる。複数の吸入孔81hは、本管81の外周面に、周方向に等間隔で開口する。
【0217】
ノズル部74は、吸引管部72の下端部に1つ設けられる。ノズル部74は、吸引管部72の軸線Oを中心とする略円盤状である。本実施形態では、ノズル部74が、例えば、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)等の合成樹脂製である。
【0218】
ノズル部74は、フロート部13により液体Dの液面LSに浮かべられ(配置され)、浮上油Fを吸い込む。本実施形態のノズル部74は、ノズル部74の外周に、軸線O回りの全周にわたって開口する環状の開口部を有する。ノズル部74の開口部は、ノズル部74の外周面において径方向に開口する。ノズル部74の開口部のうち下端部は、液面LS下に浸され、下端部以外の部位は、液面LS上に露出する。つまりノズル部74は、液面LSの下側に位置する部分と、液面LSの上側に位置する部分と、を有する。液面LSの浮上油Fおよび水等の液体Dは、開口部を通してノズル部74内に進入可能である。
【0219】
ノズル部74は、天壁部材75と、底壁部材76と、を有する。
天壁部材75は、軸線Oを中心とする略円形リング板状である。天壁部材75は、液面LSよりも上側に配置される。天壁部材75は、天壁部材75を上下方向に貫通する貫通孔を有する。貫通孔には、本管81が挿入される。天壁部材75は、本管81の周壁と固定される。
【0220】
天壁部材75の下面は、軸線Oに垂直な平面状である。天壁部材75の下面は、液面LSと隙間をあけて対向する。天壁部材75の下面と液面LSとの間の上下方向の距離は、例えば10~25mmである。この距離は、好ましくは15~20mmである。また、天壁部材75の下面と、底壁部材76の上端(後述する底壁部77の上端)との間の上下方向の距離は、例えば3~12mmである。この距離は、好ましくは6~9mmである。
図示の例では、天壁部材75の上面が、径方向外側へ向かうにしたがい下側へ向けて傾斜するテーパ状である。
【0221】
底壁部材76は、軸線Oを中心とする略円板状である。底壁部材76は、本管81の下端部に固定される。底壁部材76は、天壁部材75から下側に離れて(隙間をあけて)配置される。底壁部材76の上端部は、液面LSの上側に配置され、上端部以外の部位(上端部よりも下側に位置する部位)は、液面LSの下側に配置される。天壁部材75と底壁部材76との間の空間が、ノズル部74の内部空間となる。
【0222】
底壁部材76は、底壁部77と、油保持穴78と、管固定穴79と、を有する。
底壁部77は、底壁部材76の上面に設けられる。底壁部77は、吸引管部72の軸線O回りに広がる円錐形状である。底壁部77は、吸引管部72から水平方向(本実施形態では径方向)に離れるにしたがい下側へ向けて傾斜して延び、液面LSに挿入される。底壁部77のうち、径方向の内側の端部は、液面LSよりも上側に位置する。底壁部77の径方向の内端部は、本管81の吸入孔81hに接近配置される。底壁部77のうち、径方向の外側の端部は、液面LSよりも下側に位置する。底壁部77の径方向の外端部は、底壁部材76の外周面の上端部と接続する。
このように、底壁部77が液面LSに対して斜めに挿入されるため、液面LSに浮かぶ浮上油Fは、底壁部77に乗り上げた状態となる。
【0223】
液面LSに対して底壁部77が傾斜する角度(水平方向に対する底壁部77の傾斜角)θ5は、例えば10~25°である。角度θ5は、好ましくは、15~20°である。
底壁部77と天壁部材75の下面との間の上下方向の距離は、ノズル部74の径方向の外側の端部に位置する開口部から、径方向の内側に向かうにしたがい小さくなる。
【0224】
底壁部77は、油保持溝82と、液体戻し溝83と、を有する。
油保持溝82は、底壁部77に複数設けられる。油保持溝82は、底壁部77において下側に窪み、周方向に延びる。油保持溝82の溝幅は、下側に向かうにしたがい小さくなる。図示の例では、油保持溝82の断面形状(周方向に垂直な断面の形状)が、V字状である。油保持溝82の溝幅は、周方向に沿って一定である。油保持溝82の溝深さは、周方向に沿って一定である。
【0225】
複数の油保持溝82は、径方向に配列する。径方向に隣り合う油保持溝82同士は、互いに隣接して配置される。本実施形態の例では、油保持溝82が、底壁部77のうち、液面LSの上側に位置する部位に配置される。
【0226】
液体戻し溝83は、底壁部77に複数設けられる。液体戻し溝83は、底壁部77において下側に窪み、径方向に延びる。液体戻し溝83は、底壁部77の径方向の内端部から外端部にわたって延びる。液体戻し溝83の溝幅は、上下方向に沿って一定である。液体戻し溝83の溝幅は、径方向に沿って一定である。液体戻し溝83の溝幅は、油保持溝82の溝幅よりも大きい。液体戻し溝83の溝底は、軸線Oに垂直な平面状である。液体戻し溝83の溝深さは、径方向の外側に向かうにしたがい小さくなる。液体戻し溝83の溝深さは、油保持溝82の溝深さよりも大きい。
【0227】
複数の液体戻し溝83は、周方向に互いに間隔をあけて配置される。本実施形態の例では、複数(図示の例では8つ)の液体戻し溝83が、周方向に等間隔で配列する。液体戻し溝83は、油保持溝82を周方向に分断するように配置される。油保持溝82の周方向の端部は、液体戻し溝83と繋がる。すなわち、油保持溝82の内部は、液体戻し溝83の内部と連通する。液体戻し溝83のうち上側部分は、液面LSの上側に配置され、下側部分は、液面LSの下側に配置される。
【0228】
油保持穴78は、底壁部材76の上面から下側に窪む有底穴である。油保持穴78は、底壁部材76の上面の中央部に開口する。油保持穴78は、本管81の周壁よりも内径が大きい円穴である。油保持穴78の内周面は、本管81の外周面の下端部と、径方向に隙間をあけて対向する。油保持穴78の内周面は、本管81の吸入孔81hと、径方向に隙間をあけて対向する。油保持穴78内には、底壁部77上を径方向内側に乗り越えた浮上油Fが流れ落ちて、一時的に保持される。油保持穴78内に流れ落ちた浮上油Fは、吸入孔81hを通して本管81内に吸い込まれる。
【0229】
管固定穴79は、油保持穴78の底面から下側に窪む有底穴である。管固定穴79は、油保持穴78の底面の中央部に開口する。管固定穴79は、円穴である。管固定穴79の内径は、油保持穴78の内径よりも小さい。管固定穴79には、本管81の下端部が挿入され、固定される。管固定穴79は、本管81の下端開口を塞ぐキャップとしても機能する。
【0230】
この浮上油回収装置20では、吸引源17を作動させると、吸引源17と接続されたノズル部74の内部空間が負圧となり、ノズル部74の開口部から液面LS近傍の液体D(主に浮上油Fであり、以下同様)および外気が吸い込まれる。
浮上油回収装置20は、ノズル部74に液体Dおよび外気を吸い込んで、本管81(吸引管部72)内に導入する。すなわち、液体Dは、吸引源17の流体吸引力(エア吸引力)によって、ノズル部74内で底壁部77の傾斜に沿って斜め上側へと移動し、吸入孔81hを通して本管81内に引き込まれる。
【0231】
以上説明した本実施形態の浮上油槽1においても、前述の第1実施形態の浮上油槽1と同様の作用効果が得られる。また本実施形態の浮上油回収装置20によれば、第1実施形態の浮上油回収装置10と同様の作用効果が得られる。
【0232】
また、底壁部77が吸引管部72の軸線O回りに広がる円錐形状であるので、ノズル部74は、水平方向の全方位から(軸線O回りの全周にわたって)浮上油Fを回収できる。したがって、浮上油Fの回収効率が安定して高められる。
【0233】
また本実施形態では、底壁部77が、周方向に延びる油保持溝82を複数有し、複数の油保持溝82は径方向に配列するので、下記の作用効果が得られる。
この場合、底壁部77上に乗り上げた浮上油Fが、複数の油保持溝82に保持されて、底壁部77上にとどまりやすくなる。また、油保持溝82の溝底には、浮上油Fよりも比重の大きい水等が溜まる。この水等については、油保持溝82の周方向の端部に繋がる液体戻し溝83を通して、液面LSに戻すことができる。したがって、浮上油Fの回収効率がより向上する。
【0234】
また本実施形態では、底壁部77が径方向に延びる液体戻し溝83を有するので、下記の作用効果が得られる。
この場合、底壁部77上に乗り上げた浮上油Fおよび水等の液体Dのうち、水等が液体戻し溝83に流れ込み、液体戻し溝83を通して液面LSに戻される。したがって、浮上油Fの回収効率をより高めることができる。
【0235】
また本実施形態では、角度θ5が10~25°であるので、下記の作用効果が得られる。
角度θ5が10°以上であるので、底壁部77上から水等が斜め下側へ流れやすい。すなわち、底壁部77上から水等を液面LSに戻す作用が安定して得られる。
角度θ5が25°以下であるので、吸引源17の流体吸引力によって、底壁部77上から浮上油Fを斜め上側へ引き上げやすい。すなわち、底壁部77上から浮上油Fを吸引回収する作用が安定して得られる。
なお、上記作用効果をより顕著なものとするには、好ましくは、角度θ5が15~20°である。
【0236】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
【0237】
バブル発生ノズル110は、前述の実施形態で説明した構造以外の構造により、液体D中にマイクロバブル(気泡)を発生させてもよい。
浮上油回収装置10,20は、前述の実施形態で説明した構造以外の構造により、液面LSから浮上油Fを回収してもよい。
【0238】
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例およびなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0239】
本発明の浮上油槽によれば、浮上油を効率よく回収できる。したがって、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0240】
1…浮上油槽、2…槽、2a…底壁、2b…上流側縦壁、2d…横壁、4…ガイド手段、5…ポンプ部、8…第1仕切り板、8a…第1本体部、8b…第1伸縮部、8c…第1封止部、9…第2仕切り板、9a…第2本体部、9b…第2伸縮部、9c…第2封止部、10,20…浮上油回収装置、12,72…吸引管部、13…フロート部、14,74…ノズル部、17…吸引源、45,46,48,50,77…底壁部、110…バブル発生ノズル、111…筒体、112…内装体、115…流路、130…流入側流路部、131…流出側流路部、132…マイクロバブル発生流路部、132a…拡径流路部、132b…縮径流路部、A…中心軸、D…液体、F…浮上油、FD…第1方向、LS…液面、SD…第2方向