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▶ マッケ カーディオバスキュラー エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】手術器具、システムおよび使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/02 20060101AFI20230324BHJP
   A61B 90/60 20160101ALI20230324BHJP
【FI】
A61B17/02
A61B90/60
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019236882
(22)【出願日】2019-12-26
(62)【分割の表示】P 2017211642の分割
【原出願日】2011-06-14
(65)【公開番号】P2020157042
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2020-01-17
(31)【優先権主張番号】13/160,445
(32)【優先日】2011-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/354,516
(32)【優先日】2010-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512300883
【氏名又は名称】マッケ カーディオバスキュラー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(72)【発明者】
【氏名】セロウスキー,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ペレ,ホアン,アイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジャンブナサン,クマール
(72)【発明者】
【氏名】クレイン,カイル
(72)【発明者】
【氏名】イー,クリストファー
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-513785(JP,A)
【文献】特表2007-508102(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0058957(US,A1)
【文献】米国特許第06626830(US,B1)
【文献】米国特許第06338738(US,B1)
【文献】特表2006-516910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/02
A61B 90/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタビライザーである手術器具であって、
上部分、遠位端、近位端および底部分を有する架台本体と、
接合部材であって、前記接合部材は、前記接合部材から遠位に伸びるアームの近位部分の位置決めを可能にするように、前記架台本体の遠位端部分に枢動可能に取り付けられ、前記接合部材は、ある平面に対する前記アームの近位部分の動きを少なくとも部分的に制約するように構成され、前記接合部材はスロット付きボールを備える、接合部材と、
前記アームの遠位端部分に取り付けられた作用末端であって、前記作用末端は一対の接触部材を備える、作用末端と、
前記架台本体の近位端に向かって前記架台本体に対して回転自在に取り付けられたアクチュエータと、
前記アクチュエータから前記架台本体、前記接合部材のスロット付きボール、および前記アームを通じて伸びるケーブルであって、前記アクチュエータおよび前記ケーブルは、前記アクチュエータの第一の方向の動きによっては可塑性状態から硬質状態へ、前記アクチュエータの前記第一の方向とは反対である第二の方向の動きによっては硬質状態から可塑性状態へ、前記アームの状態を変化させるように構成される、ケーブルと、
を備える、器具。
【請求項2】
前記接合部材が、第一の接合部材および第二の接合部材を備え、前記第一の接合部材が、偏揺に対する前記アームの近位部分の動きを制限し、前記第二の接合部材が、縦揺れに対する前記アームの近位部分の動きを制限する、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記接合部材がディスク部材である、請求項1に記載の器具。
【請求項4】
前記接合部材がディスク部材であり、かつ、前記スロット付きボールが前記ディスク部材に接続される、請求項1に記載の器具。
【請求項5】
前記底部分が、固定物に対して前記器具を可逆的にクランプするように構成された取り付け機構を備える、請求項1に記載の器具。
【請求項6】
前記取り付け機構が、前記本体と一体的に形成される固定ジョーと、前記本体に可動式に係合される可動式ジョーとを備える、請求項5に記載の器具。
【請求項7】
前記取り付け機構が、取り付け機構アクチュエータを備え、前記器具が、前記可動式ジョーの底面の上でかつ前記取り付け機構アクチュエータの下に取り付けられたカムを備え、前記カムが、前記可動式ジョーをロックまたはアンロックするべく作動されるように前記取り付け機構アクチュエータに接続される、請求項5に記載の器具。
【請求項8】
前記取り付け機構が、取り付け機構アクチュエータを備え、前記取り付け機構アクチュエータが、前記固定物に対してクランプするように構成されたカムを有するロッカースイッチを含む、請求項5に記載の器具。
【請求項9】
前記作用末端が、前記接触部材のうちの少なくとも1つに組み込まれたブロワー/噴霧器デバイスをさらに備える、請求項1に記載の器具。
【請求項10】
前記作用末端が、前記接触部材を前記アームに連結する支持体をさらに備え、前記支持体が、前記接触部材に枢動可能に連結される、請求項1に記載の器具。
【請求項11】
前記接触部材が、その外側端部で比較的厚い断面寸法を、およびその内側端部で比較的薄い断面寸法をそれぞれ有する、請求項1に記載の器具。
【請求項12】
前記アームは、中間リンクの遠位にある前記アームの一部を調節するようにユーザーによって調節可能である中間リンクと、前記中間リンクの近位にある前記アームの一部が第一の構成および第二の構成の両方の間で可塑性のままであることを可能にしつつ、可塑性構成を前記第一の構成で呈し、かつ硬質構成を前記第二の構成で呈する作用末端とを備える、請求項1に記載の器具。
【請求項13】
前記上部分が、平滑であり、かつ、その上に全く障害物を有しない平坦な部分を備え、前記上部分が、外科医の手を安定化することを補助するために用いることができる、前記外科医の手用の休憩台を提供する、請求項1に記載の器具。
【請求項14】
前記ディスク部材の周囲の少なくとも一部の周りに設けられたリッジまたは歯をさらに備える、請求項3に記載の器具。
【請求項15】
スタビライザーである手術器具であって、
上部分、遠位端、近位端および底部分を有する架台本体と、
接合部材であって、前記接合部材は、前記接合部材から遠位に伸びるアームの近位部分の位置決めを可能にするように、前記架台本体の遠位端部分に枢動可能に取り付けられ、前記接合部材は、ある平面に対する前記アームの近位部分の動きを少なくとも部分的に制約するように構成される、接合部材と、
前記アームの遠位端部分に取り付けられた作用末端であって、前記作用末端は一対の接触部材を備え、前記作用末端が、前記接触部材を前記アームに連結する支持体をさらに備え、前記支持体が、前記接触部材に枢動可能に連結され、前記接触部材が、その近位端部分でクリップをそれぞれ備え、前記クリップが、前記支持体とスナップフィットを形成するように構成される、作用末端と、
を備える、器具。
【請求項16】
スタビライザーである手術器具であって、
上部分、遠位端、近位端および底部分を有する架台本体と、
接合部材であって、前記接合部材は、前記接合部材から遠位に伸びるアームの近位部分の位置決めを可能にするように、前記架台本体の遠位端部分に枢動可能に取り付けられ、前記接合部材は、ある平面に対する前記アームの近位部分の動きを少なくとも部分的に制約するように構成され、前記接合部材はディスク部材である、接合部材と、
前記アームの遠位端部分に取り付けられた作用末端であって、前記作用末端は一対の接触部材を備える、作用末端と、
前記器具が、前記ディスク部材、前記アームの少なくとも一部、および前記架台本体の少なくとも一部を通じて伸びるケーブルであって、前記ディスク部材が、その中に形成されるスロットを備え、前記スロットが、前記ディスク部材が枢動されたとき、それに対する前記ケーブルの屈曲および締め付けを容易にするために湾曲されており、それによって、前記架台本体に対して前記ディスク部材の異なる角度位置でケーブル長およびケーブル張力のうちの少なくとも1つにおける変動を排除または減少することを補助する、ケーブルと、
を備える、器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、それらの内容が、その全体として参照によって本明細書に援用される、2010年6月14日に出願された、「手術器具、システムおよび使用方法(Surgical Instruments,Systems and Methods of Use)」というタイトルの米国特許仮出願第61/354,516号、および2011年6月14日に出願された、「手術器具、システムおよび使用方法(Surgical Instruments,Systems and Methods of Use)」というタイトルの米国特許出願第13/160,445号に対する優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、概して手術器具に、さらに詳細には、臓器の表面を係合するために有用な手術器具、例としては、臓器スタビライザー器具および臓器ポジショナー器具ならびにそれらの関連の構成要素に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
心血管系の疾患は、毎年数百万人に罹患し、世界中で主要な死亡原因となっている。このような疾患による社会的被害は、人命の損失数という点でも、従来の外科的技術による患者の治療費という点でも甚大である。特によく見られる循環系疾患の形態は、心臓に血液を供給する循環系の臨界点で血流が抑制される、アテローム性動脈硬化またはその他の状態によって引き起こされる心臓への供給血量の減少である。
【0004】
心臓へ供給する血流のこのような遮断または抑制の処置のための1つの選択肢は、冠状動脈バイパス供給(CABG)手術として公知であり、より一般的には「心臓バイパス」手術として公知の手順である。CABGの手順では、外科医は、利用可能な源血管を閉塞された標的冠状動脈に取り付けることによるか、または身体の別の部分から静脈または動脈の一部分を切り取って移植片として用い、この移植片を源血管と標的動脈との間の位置に挿入することにより、閉塞を「迂回」して心臓への適切な血流を回復させる。
【0005】
心臓への血液の十分な供給を回復するために、CABGの手順は、液体接続が2つの血管の間で達成される必要がある。この手順は、「吻合」として公知である。一般に、血流障害のない源動脈などの源血管、すなわち、左内もしくは右内胸動脈(IMA)または一端が大動脈などの障害のない血液源に縫合されるバイパス移植片は、心臓の筋肉に血流を供給する左前下行枝(LAD)または他の血管のような標的閉塞冠状動脈に縫合される。
【0006】
CABGの手順は、比較的一般的になってきたが、この処置そのものが冗長かつ外傷性であり、心臓、循環系、脳および血液細胞、ならびに能動的な血漿カスケード系を損ない得る。従来のCABGの手順では、外科医は、胸部中央に長い切開部を作り、胸骨を全長にわたって切開して、患者に心肺バイパス装置を取り付けるのに必要な他のいくつかの手順を行ない、心臓への血流を遮断し、次に心臓を拍動停止させてバイパスを完遂する。最も冗長かつ外傷性の外科的手順は、ある部分では、患者に心肺バイパス(CPB)装置を接続して、バイパスが完了するまで身体のその他の部分に酸素含有血を継続的に循環させるために必要とされる。
【0007】
近年、心臓を拍動させたままでCABG法を行ない得るように特別に開発された外科的技術を用いて、CABGの手順を実施し始めた外科医が増えてきた。このような手順では、いかなる形態の心肺バイパスも必要とされず、心臓を停止させる必要もない。結果として、これらの心拍動下の心臓手術は、侵襲がはるかに軽度であり、術後の神経学的合併症の危険性も少ない。特定の状況では、全体的な心臓拍動下の心CABG手順は、少数の、典型的には、胸部の1箇所または2箇所の比較的小さい胸部切開部を通じて遂行され得、術後の創傷合併症の危険性を減らす。
【0008】
CABGの手順が、心拍動下で行われる場合、手術用のスタビライザー器具を通常は用いて、心組織を吻合の領域で安定化する。種々の手術用スタビライザー器具が現在利用可能である。通常は、手術用スタビライザー器具は、これを胸骨開創器に固定することを可能にして、その結果これが安定化されるべき組織に対して固定して保持される、いくつかの形態の装着機構を有する。現在利用可能なスタビライザー器具の欠点の1つは、それらの器具が、開口した胸腔を横切って遠くまで伸ばされる傾向にあり、ある状況では外科医の手の動きを妨げる場合があるということである。さらに、アームおよび装着機構はまた、この開創器の表面を超えて伸びて、また障害物を形成する場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
低位の形状を有しており、術中の外科医の障害物を減らす構成で胸腔中に伸ばすことができる手術用スタビライザー器具が依然として必要である。
【0010】
吻合が、外科医の容易に接近できない外科的標的領域で行われる場合(例えば、目的の1つ以上の動脈が、心臓の外側面または後面に置かれ、このような動脈に接近することが困難になる)、心臓は通常は、臓器ポジショナー器具を介して、配置位置で心臓を再位置決めおよび維持するために、手で、外科医もしくは外科医のアシスタントによって、またはさらに一般的には、心臓への臓器ポジショナー器具の装着によって、再位置決めされる。
【0011】
種々の臓器ポジショナー器具が現在利用可能である。通常は、臓器ポジショナーは、いくつかの形態の装着機構を有し、これによって胸骨開創器への固定が可能になり、その結果、ポジショナーは、配置された位置でその臓器を維持しながら、胸骨開創器によって支持され得る。
【0012】
現在利用可能な臓器ポジショナー器具の欠点の1つは、開口した胸腔を横切って遠くまで伸ばされる傾向にあり、ある状況では外科医の手の動きを妨げる場合があり、術野のいくつかの領域の視界を妨げる場合があるということである。
【0013】
術中の外科医の障害物を減らす構成で胸腔中に伸ばすことができる、臓器ポジショナー器具が依然として必要である。
【0014】
本発明は、これらの要件を満たし、以下の詳細な説明を読めば明らかになる、さらなる改善された特徴を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一例の実施形態による手術器具は以下を備える:上部分、遠位端、近位端および底部分を有する架台本体と;架台本体の遠位端部分に枢動可能に取り付けられて、接合部材から遠位に伸びるアームの近位部分の位置決めを可能にする接合部材であって、上記接合部材は、ある平面に対して上記アームの近位部分の動きを少なくとも部分的に制約するように構成された、接合部材と;上記アームの遠位端部分に取り付けられた作用末端と、である。
【0016】
一例の実施形態によれば、上記接合部材は、第一の接合部材および第二の接合部材を備え、ここで上記第一の接合部材が、上記アームの近位部分の偏揺の動きを制限し、かつ上記第二の接合部材が、上記アームの近位部分の縦揺れの動きを制限する。
【0017】
一例の実施形態によれば、上記架台本体の遠位端部分に枢動可能に取り付けられた上記接合部材はディスク部材である。
【0018】
一例の実施形態によれば、上記接合部材はさらに、スロット付きボールを備える。
【0019】
一例の実施形態によれば、上記接合部材はディスク部材であり、かつ上記スロット付きボールは、上記ディスク部材に連結される。
【0020】
一例の実施形態によれば、上記架台本体の近位端に向かって上記架台本体に対して回転自在に取り付けられたアクチュエータと、上記アクチュエータから上記架台本体、接合部材、スロット付きボールおよびアームを通じて伸びるケーブルとを備え、上記アクチュエータおよびケーブルは、上記アームの状態を可塑性状態から硬質状態へ、上記アクチュエータの第一の方向の動きによって変化するように構成されており、上記アクチュエータの動きによる硬質状態から可塑性状態へは、上記第一の方向と反対の第二の方向である。
【0021】
一例の実施形態によれば、上記アクチュエータの動きは、回転を含み、上記第一の方向は、第一の回転方向であり、かつ上記第二の方向は、反対回転方向である。
【0022】
一例の実施形態によれば、上記スロット付きボール部材は、上記アームの近位端で接合部を形成する。
【0023】
一例の実施形態によれば、上記ディスク部材の上面および下面は、上記架台本体の上部分と実質的に平行に伸び、かつ上記スロット付きボールは、上記ディスク部材の上面および下面に対して平行な面から角度的に下向きの位置へ旋回できる。
【0024】
一例の実施形態によれば、上記器具は、上記作用末端と液体連絡されている真空チューブを備え、上記作用末端は、ヒトの心臓の外面に対して可逆的に結合されるように構成される。
【0025】
一例の実施形態によれば、上記器具は、上記架台本体の上記近位端で上記架台本体に対して回転自在に取り付けられたアクチュエータを備え、上記アクチュエータは、上記アームの状態を可塑性状態から硬質状態へアクチュエータの第一の回転方向での回転によって、および硬質状態から可塑性状態へアクチュエータの反対回転方向での回転によって変化するように構成されている。
【0026】
一例の実施形態によれば、上記器具は、上記作用末端と液体連絡された吸引チューブと、上記吸引チューブを上記器具と低位の形状で維持するために上記吸引チューブを受容しかつ一時的に保持するように構成されたクリップとを備え、ここで上記クリップは、上記架台本体、上記アクチュエータ、または上記架台本体およびアクチュエータの両方と形成されるか、または接続される。
【0027】
一例の実施形態によれば、上記アクチュエータは、1つ以上のフィン中に形成された1つのクリップを有する複数のフィンを備える。
【0028】
一例の実施形態によれば、上記器具は、臓器スタビライザーであり、かつ上記作用末端は、組織表面を安定化するために組織表面に対して影響を与えるように構成された少なくとも1つの接触部材を備える。
【0029】
一例の実施形態によれば、上記器具は、臓器ポジショナーであり、上記作用末端は、その中に真空空間を規定する吸引部材を備え、ここでこの吸引部材は、ヒト心臓の心尖を受容するように構成されている。
【0030】
一例の実施形態によれば、上記器具は、上記吸引部材が、心臓に対して配置される場合、心臓上に十分な吸引力を発揮して心臓を動かすようにさらに構成され、250ミリメートルマーキュリーの陰圧が、上記吸引部材と心臓とを係合するように真空空間内に与えられ、上記吸引部材が動かされる。
【0031】
一例の実施形態によれば、上記底部分は、固定物に対して上記器具を可逆的にクランプするように構成された取り付け機構を備える。
【0032】
一例の実施形態によれば、上記取り付け機構は、胸骨開創器の表面に固定され、上記胸骨開創器は、胸骨開創器に取り付けられるかまたは胸骨開創器と一体化された胸骨開創器ブレードを備え、ここで上記アームは、架台本体に対するアクチュエータの動きを必要とすることなく胸骨開創器ブレードの内面と接触させられるように下向きに配向され得る。
【0033】
一例の実施形態によれば、上記取り付け機構は、固定ジョーおよび可動式ジョーを備え;ここで取り付け機構アクチュエータが、底部分内でかつ少なくとも部分的に可動式ジョーの上で枢動可能に取り付けられ、上記取り付け機構アクチュエータが、ロックされていない位置からロックされた位置へ、そして逆の場合も同じであるが、可動式ジョーを移動するように構成されている
【0034】
一例の実施形態によれば、上記取り付け機構アクチュエータは、この取り付け機構アクチュエータが近位方向に引っ張られるとき、上記ロックされた位置に向けて上記可動式ジョーが移動するように構成されている。
【0035】
一例の実施形態によれば、上記取り付け機構は、本体と一体的に形成される固定ジョーと、本体に対して可動式に係合される可動式ジョーとを備える。
【0036】
一例の実施形態によれば、上記器具は、上記可動式ジョーの底面の上でかつ上記取り付け機構アクチュエータの下に取り付けられたカムを備え、上記カムが、取り付け機構アクチュエータに連結され、上記可動式ジョーをロックするかまたはロックしないように作動するようされている。
【0037】
一例の実施形態によれば、上記取り付け機構は、取り付け機構アクチュエータを備え、上記取り付け機構アクチュエータは、固定物に対してクランプするように構成されたカムを有するロッカースイッチを備える。
【0038】
一例の実施形態によれば、上記器具は、スタビライザーであり、かつ上記作用末端は、一対の接触部材および上記接触部材の少なくとも1つに組み込まれたブロワー/噴霧器デバイスを備える。
【0039】
一例の実施形態によれば、上記器具は、そこに連結されるようなブロワー/噴霧器デバイス用に構成されたスタビライザーである。
【0040】
一例の実施形態によれば、上記器具はスタビライザーであり、かつ上記作用末端は、一対の接触部材、および上記アームに対して上記接触部材をリンクするための支持体を備え、ここで上記支持体が、上記接触部材に対して枢動可能に連結される。
【0041】
一例の実施形態によれば、上記接触部材は各々、その近位端部分でクリップを備え、このクリップは、上記支持体部材とスナップフィットを形成するように構成されている。
【0042】
一例の実施形態によれば、上記器具はスタビライザーであり、かつ上記作用末端は、一対の接触部材を備え、上記接触部材は各々が、その外側端部で比較的厚い断面寸法、およびその内側端部で比較的薄い断面寸法を有している。
【0043】
一例の実施形態によれば、上記アームは、中間リンクのアーム遠位の一部を調節するようにユーザーによって調節可能な中間リンク、および可塑性構成を第一の構成で想定し、硬質構成を第二の構成で想定する作用末端を備え、一方で中間リンクのアーム近位の一部が、第一構成および第二の構成の両方の間に可塑性のままであることを可能にする。
【0044】
一例の実施形態によれば、上記アームは、可塑性構成を第一の構成で想定し、かつ硬質構成を第二の構成で想定する、中間リンクのアーム近位の一部を調節するようにユーザーによって調節可能な中間リンクであって、一方で中間リンクのアーム遠位の位置および作用末端が、第一構成および第二の構成の両方の間に可塑性のままであることを可能にする中間リンクを備える。
【0045】
一例の実施形態によれば、上記器具は、上記アクチュエータを作動するように構成されたモーター、ならびにこのモーターに電気的に接続され、このモーターを作動してこのアクチュエータを駆動し、このアームおよびこのアームと作用末端との間の接続の剛性を増大または減少するように構成された、このアクチュエータおよびモーターの遠位に配置された第二のアクチュエータ、を備える。
【0046】
一例の実施形態によれば、上記上部分は、平滑であり、かつその上に障害のない平坦部分を備え、ここでこの上面は、外科医の手を安定化することを補助するために用いられ得る、外科医の手の休憩台となる。
【0047】
一例の実施形態によれば、リッジまたは歯が、ディスク部材の周囲の少なくとも一部の周囲に設けられる。
【0048】
一例の実施形態によれば、上記器具は、上記ディスク部材、上記アームの少なくとも一部、および上記架台本体の少なくとも一部を通じて伸びるケーブルを備え、ここで、このディスク部材は、その中に形成されるスロットを備え、このスロットは、このディスク部材が旋回されたとき、それに対するケーブルの屈曲および締め付けを容易にするために湾曲されており、それによって、上記架台本体に対してこのディスク部材の異なる角度位置でケーブル長およびケーブル張力のうちの少なくとも1つの変動を排除または減少することを補助する。
【0049】
一例の実施形態によれば、上記ディスク部材は、その中に形成されたスロットを備え、このスロットは、このディスク部材が旋回されたとき、そのスロットに対するケーブルの屈曲および締め付けを容易にするために湾曲され、それによって、上記架台本体に対してこのディスク部材の異なる角度位置でケーブル長およびケーブル張力のうちの少なくとも1つの変動を排除または減少することを補助する。
【0050】
一例の実施形態によれば、上記器具は、上記架台本体の近位端でこの架台本体に対して回転自在に取り付けられたアクチュエータ、ならびにこの架台本体、ディスク部材、スロット付きボールおよびアームを通じてアクチュエータから伸びるケーブルをさらに備え、このアクチュエータおよびケーブルが、このアームの状態を可塑性状態から硬質状態へ、アクチュエータの第一の回転方向での回転によって、および硬質状態から可塑性状態へ、アクチュエータの反対回転方向での回転によって変化させるように構成されている。
【0051】
一例の実施形態によれば、上記器具は、上記真空チューブと液体連絡されたキャニスターを備え、このキャニスターは、真空源と液体連絡してキャニスターを接続するための開口部を有し、このキャニスターは、その中に液体を捕捉するように構成されている。
【0052】
一例の実施形態によれば、上記器具は、上記キャニスターの開口部と液体連絡したフィルターを備え、このフィルターは、上記真空源に連結され、このキャニスター由来の流出液から粒子を濾過するように構成されている。
【0053】
一例の実施形態によれば、上記キャニスターは、少なくとも1つの実質的に平坦な側面を有する。
【0054】
一例の実施形態によれば、上記器具は、上記キャニスターに接続され、このキャニスターを直立方向に吊るすように適合されたストラップを備え、ここで真空源とのこのキャニスターを接続するための上記開口部は、上記真空チューブとこのキャニスターの液体連絡を形成する接続よりも高い。
【0055】
一例の実施形態によれば、上記キャニスターの表面は、それからのグレア反射を阻害するように艶消し処理されている。
【0056】
本発明の一例の実施形態による手術器具は:架台本体、アーム、およびツールを備え;この架台本体は、開創器と用いるように構成され、上記架台本体の底面は、取り付けられた場合、上記開創器と面し、上記架台本体の前方端部は、上記底面に対してある角度で移動し;このアームは、架台本体の前方端部に対して末端接合部を介してその近位端に枢動可能に連結され;このツールは、アームの遠位端に連結され;このアームは、上記架台本体に対して複数の位置の間で可動式であるように、かつこれらの位置で一時的にロック可能であるように構成されている。
【0057】
一例の実施形態によれば、上記接合部は、上記架台本体から伸びるかまたはそれに隣接するアームの近位部分が上記架台本体に対して旋回可能であり、かつこの架台本体に対して実質的に垂直な位置で一時的にロック可能であるように構成されている。
【0058】
一例の実施形態によれば、上記接合部は、上記架台本体から伸びてそれに隣接するアームの近位部分がこの架台本体の左の遠位領域から、架台本体の右の遠位領域へ可動式であり、そして逆の場合も同じく可動式であるように構成されている。
【0059】
本発明の一例の実施形態による手術器具は以下:架台本体、アーム、ツールおよびチューブを備え;この架台本体は、開創器または手術台に対して取り付けられるように構成され;このアームは、上記架台本体に対して近位端で枢動可能に連結され;このツールは、アームの遠位端に連結され;このアームは、架台本体に対して複数の位置の間で可動式であるように、かつこれらの位置で一時的にロック可能であるように構成されており;このチューブの遠位端は、アームの遠位端に連結されるか、またはそれに隣接しており;かつ
この架台本体は、チューブを取り外し可能に保持するように構成されている。
【0060】
一例の実施形態によれば、上記架台本体は、上記チューブを受容しかつ取り外し可能に保持するようにサイズ決めされた凹部分を備える。
【0061】
一例の実施形態によれば、上記架台本体は、上記チューブを受容しかつ取り外し可能に保持するようにサイズ決めされたクリップを備える。
【0062】
一例の実施形態によれば、上記架台本体はさらに、上記手術器具に対して回転自在に取り付けられたアクチュエータを備え、このアクチュエータは、アームの状態を可塑性状態から硬質状態へアクチュエータの第一の回転方向での回転によって、および硬質状態から可塑性状態へアクチュエータの反対回転方向での回転によって変化するように構成され;かつこのアクチュエータは、上記チューブを取り外し可能に保持するように構成されている。
【0063】
本発明による手術器具を操作する一例の方法は、この器具の架台本体を固定物に対して装着する工程であって、この架台本体がこの固定物に対して動けないようにすることと;この架台本体の遠位端から伸びるアームの方向を調節することと;この架台本体の近位端に対して回転自在に取り付けられたアクチュエータを回転させ、それによって、上記アームの方向を架台本体に対して硬質な構成で固定することと;を包含する。
【0064】
一例の実施形態によれば、張力ケーブルは、アームの近位半分の少なくとも一部および上記架台本体を通じて伸び、かつ上記アクチュエータと接続し、このアクチュエータの回転が上記ケーブルにおける張力を増大する。
【0065】
一例の実施形態によれば、上記固定物は胸骨開創器であり、上記アームは硬質な構成の胸骨開創器の内面と接触する。
【0066】
一例の実施形態によれば、上記器具は、外科用スタビライザーである。
【0067】
一例の実施形態によれば、上記器具は、心拍動下心臓手術のための外科用スタビライザー、または心拍動下心臓手術のための臓器ポジショナーである。
【0068】
本発明の一例の実施形態による手術器具は以下:架台本体、アーム、接合部およびツールを備え;この架台本体は、開創器に対して取り付けられるように構成され;この架台本体の底面は、取り付けられた場合、開創器と面し、この架台本体の前方端部は、この底面に対してある角度で移動し;このアームは、この架台本体の前方端部に対して接合部を介してまたはその前方端部に沿って上記アームの近位端に枢動可能に連結され;このツールは、アームの遠位端に連結され;このアームは、上記架台本体に対して複数の位置の間で可動式であるように、かつこれらの位置で一時的にロック可能であるように構成されており;この接合部は、上記架台本体から伸びてそれに隣接するアームの近位部分が前方端部の一部に沿って上記架台本体に対して実質的に垂直である位置で旋回可能であり、かつ一時的にロック可能であるように構成されている。
【0069】
一例の実施形態によれば、上記手術器具はさらに、異なる大きさの複数の開創器のいずれか1つに対して上記架台本体を接続するように構成された自在コネクタを備える。
【0070】
一例の実施形態によれば、上記接合部はディスク部材を備える。
【0071】
一例の実施形態によれば、上記接合部はスロット付きボールを備える。
【0072】
本発明の一例の実施形態による手術器具は以下:上記架台本体の近位端で上記架台本体に対して回転自在に取り付けられたアクチュエータと、架台本体、ディスク部材、スロット付きボールおよびアームを通じてこのアクチュエータから伸びるケーブルとを備え、このアクチュエータおよびケーブルは、アームの状態を可塑性状態から硬質状態へ、アクチュエータの第一の回転方向での回転によって、ならびに硬質状態から可塑性状態へ、アクチュエータの反対回転方向での回転によって変化するように構成されている。
【0073】
一例の実施形態によれば、チューブが、上記ツールと液体連絡して設けられる。
【0074】
一例の実施形態によれば、チューブが、上記ツールと液体連絡して設けられ、上記アクチュエータは、上記チューブを上記器具と低位の形状の配置で維持するためにこのチューブを受容しかつ一時的に保持するように構成されたクリップを備える。
【0075】
一例の実施形態によれば、上記架台本体は、上記チューブを受容し、かつ取り外し可能に保持するようにサイズ決めされた凹部分を備える。
【0076】
一例の実施形態によれば、上記器具はスタビライザーであり、かつ上記ツールは、組織表面を安定化するためにこの組織表面に対して影響するように構成された少なくとも1つの接触部材を備える。
【0077】
一例の実施形態によれば、上記器具は、ポジショナーであり、かつ上記ツールは、その中に真空空間を規定する吸引部材を備え、ここでこの吸引部材は、臓器に十分な吸引力を発揮して、この吸引部材がこの臓器に対して配置され、陰圧が真空空間内に与えられて、この吸引部材とこの臓器とを係合し、この吸引部材が動かされるとき、この臓器を動かすように構成されている。
【0078】
一例の実施形態によれば、上記器具は、上記ディスク部材、上記アームの少なくとも一部、および上記架台本体の少なくとも一部を通じて伸びるケーブルを備え、ここでこのディスク部材は、その中に形成されたスロットを備え、このスロットは、このディスク部材が旋回されたとき、それに対するケーブルの屈曲および締め付けを容易にするように湾曲されており、それによって、架台本体に対するディスク部材の種々の角度位置で、ケーブル長およびケーブル張力のうちの少なくとも1つの変動を排除または減少するように補助する。
【0079】
一例の実施形態によれば、アクチュエータが、上記架台本体の近位端でこの架台本体に対して回転自在に取り付けられ、ケーブルが、この架台本体、ディスク部材、スロット付きボールおよびアームを通ってこのアクチュエータから伸びる。
【0080】
一例の実施形態によれば、上記アクチュエータおよび上記ケーブルは、上記アームの状態を、可塑性状態から硬質状態へ、アクチュエータの第一の回転方向での回転によって、および硬質状態から可塑性状態へ、アクチュエータの反対回転方向での回転によって変化するように構成される。
【0081】
一例の実施形態によれば、キャニスターが、上記チューブと液体連絡して設けられ、このキャニスターは、真空源と液体連絡してこのキャニスターを連結するための開口部を有し、このキャニスターは、その中に液体を捕捉するように構成されている。
【0082】
一例の実施形態によれば、フィルターが、上記キャニスターの開口部と液体連絡されており、このフィルターは、上記真空源に連結され、このキャニスター由来の流出液から粒子を濾過するように構成されている。
【0083】
一例の実施形態によれば、ストラップが、上記キャニスターに接続され、このキャニスターを直立方向に吊るすように適合されており、ここで真空源とこのキャニスターを接続するための上記開口部は、上記真空チューブとのキャニスターの液体連絡を形成する接続よりも高い。
【0084】
一例の実施形態によれば、手術器具であって、架台本体、アーム、ツール、およびチューブを備え;この架台本体は、開創器または手術台に対して取り付けるように構成され;このアームは、この架台本体の近位端に枢動可能に連結され;このツールは、このアームの遠位端に連結され;このアームは、この架台本体に対して複数の位置の間で可動式であるように、かつこれらの位置で一時的にロック可能であるように構成されており;このチューブの遠位端は、このアームの遠位端に接続されるか、またはそれと隣接しており;この架台本体は、このチューブを取り外し可能に保持するように構成されている、手術器具が提供される。
【0085】
本発明の一例の実施形態による手術器具は以下:上部分、遠位端、近位端および底部分を有する架台本体と;この底部分によって形成されるか、またはそれに連結される複数の架台本体ジョーと;アームに係合された接合部材であって、このアームが、上記接合部材から遠位に伸びて、アームの遠位端部分に取り付けられた作用末端で終わり、この接合部材は、この架台本体の遠位端部分に枢動可能に取り付けられている接合部材と;を備え、ここで上記アームは、接合部材の位置決めを通じて、上記架台本体ジョーの上でかつ架台本体の上部分に対してすぐ背側に位置する空間を邪魔することなく架台本体の左または右の遠位領域に向かって、位置決めされ得る。
【0086】
一例の実施形態によれば、上記接合部材は、上記架台本体の上部分に対して水平方向に配置された平面に対してこの接合部材の少なくとも一部の制約された動きで位置決めされ得る。
【0087】
一例の実施形態によれば、上記作用末端は、心臓の表面に対する装着のために構成され、この作用末端はさらに、冠状動脈の片側もしくは両側を係合するためのスタビライザー部材、または心臓の心尖を受容できるポジショナー部材を備える。
【0088】
本発明の一例の実施形態による手術器具は以下を備える:可塑性のアームであって、遠位端、近位端、およびそれらの間に位置する複数の接合部材を備え、それによって隣接する接合部材の少なくとも一部が、関節接合性の接合部を形成し得る、可塑性のアームと;
ヒトの心臓の表面を係合するように構成された作用末端であって、この作用末端は、上記可塑性のアームの遠位端に連結されている、作用末端と;上記可塑性のアームの近位端と、架台本体との間で架台本体角度を形成する架台本体接合部であって、最小の架台本体角度は、多くても120度超であり、ここで参照角は、任意の2つのストレスを加えられていない関節接合性の接合部材の間の180度として規定される、架台本体接合部。
【0089】
一例の実施形態によれば、最小の架台本体角度は、105度より大きい。
【0090】
一例の実施形態によれば、上記架台本体接合部は、水平の接合部および垂直の接合部から構成され、ここでこの水平の接合部は、実質的に水平な第一の平面に沿って制御された平坦な移動または旋回運動のために構成され、かつ上記垂直の接合部は、第一の平面に対して実質的に垂直な第二の平面に沿って概して平坦な移動または旋回運動のために構成されている。
【0091】
本発明の一例の実施形態による、手術器具は以下:可塑性のアームであって、遠位端、近位端、およびそれらの間に位置する複数の接合部材を備え、それによって隣接する接合部材の少なくとも一部が、関節接合性の接合部を形成し得、この間接接合性の接合部が、各々が達成可能な最小の角度値を有する複数のアーム接合部角度を達成可能であり、この角度が、任意の2つのストレスを加えられていない関節接合性の接合部の間の180度として規定される、可塑性のアームと;ヒトの心臓の表面を係合するように構成された作用末端であって、ここでこの作用末端は、上記可塑性のアームの遠位端に連結されている、作用末端と;上記可塑性のアームの近位端と、架台本体との間で架台本体角度を形成する架台本体接合部であって、最小の架台本体角度は、最小の達成可能な角度値よりも実質的に小さい角度である、架台本体接合部と、を備える。
【0092】
本発明の一例の実施形態による手術器具は以下:上部分、遠位端、近位端および底部分を有しており、かつ接合部材に連結される架台本体と;底部分によって形成されるか、またはそこに連結される架台本体ジョーと;この接合部材から遠位に伸び、かつ作用末端で終わる、アームの近位部分に係合された接合部材であって、この接合部材は、上記架台本体の遠位端部分で枢動可能に取り付けられている接合部材と;を備え、ここでこの接合部材は、上記アームの近位部分が、上記架台本体の上部分の上に伸びることを妨げる。
【0093】
本発明の一例の実施形態による手術器具は以下:上面、遠位端、近位端および底部分を有する架台本体と;この架台本体の遠位端部分で枢動可能に取り付けられたディスク部材を備える接合部材と;このディスク部材から遠位に伸びるアームと;このアームの遠位端部分に装着された作用末端とを備える。
【0094】
一例の実施形態によれば、上記接合部材は、上記アームの近位端との接合部を形成する。
【0095】
一例の実施形態によれば、上記接合部材は、スロット付きボールを備える。
【0096】
一例の実施形態によれば、上記スロット付きボールは、上記ディスク部材に固定される。
【0097】
一例の実施形態によれば、上記器具は、上記架台本体の近位端でこの架台本体に対して回転自在に取り付けられたアクチュエータ、ならびにこの架台本体、ディスク部材、スロット付きボールおよびアームを通じてこのアクチュエータから伸びるケーブルを備え、このアクチュエータおよびケーブルは、アームの状態を可塑性状態から硬質状態へ、アクチュエータの第一の回転方向での回転によって、および硬質状態から可塑性状態へ、アクチュエータの反対回転方向での回転によって変化するように構成される。
【0098】
一例の実施形態によれば、上記スロット付きボールは、上記アームの近位端と接合部を形成する。
【0099】
一例の実施形態によれば、上記ディスク部材の上面および下面は、上記架台本体の上面と実質的に平行に伸びて、上記ボールは、その上面および下面に対して平行な平面から角度的に下向きに伸びる。
【0100】
一例の実施形態によれば、真空チューブが、上記作用末端と液体連絡して設けられる。
【0101】
一例の実施形態によれば、アクチュエータが、上記架台本体の近位端で架台本体に回転自在に取り付けられる。このアクチュエータは、アームの状態を、可塑性状態から硬質状態へ、アクチュエータの第一の回転方向での回転によって、および硬質状態から可塑性状態へ、アクチュエータの反対回転方向での回転によって変化させるように構成される。
【0102】
一例の実施形態によれば、吸引チューブが、上記作用末端と液体連絡して設けられ、上記アクチュエータは、上記器具と低位の形状で吸引チューブを維持するように、この吸引チューブを受容しかつ一時的に保持するように構成されたクリップを備える。
【0103】
一例の実施形態によれば、上記アクチュエータは、各々のフィン中に形成される1つのクリップを有する複数のフィンを備える。
【0104】
一例の実施形態によれば、上記器具は、スタビライザーであり、かつ作用末端は、組織表面を安定化するようにこの組織表面に対して力を発揮するように構成された少なくとも1つの接触部材を備える。
【0105】
一例の実施形態によれば、上記器具は、ポジショナーであり、かつ上記作用末端は、その中に真空空間を規定する吸引部材を備え、ここでこの吸引部材は、臓器に十分な吸引力を発揮して、この吸引部材がこの臓器に対して配置され、陰圧が真空空間内に与えられて、この吸引部材とこの臓器とを係合し、この吸引部材が動かされるとき、この臓器を動かすように構成されている。
【0106】
一例の実施形態によれば、底部分は、固定物に対して上記器具をクランプするように構成された取り付け機構を備える。
【0107】
一例の実施形態によれば、取り付け機構は、胸骨開創器のブレードに固定され、上記アームは、下向きに、かつ胸骨開創器ブレードの内面と接触して配向される。
【0108】
一例の実施形態によれば、上記取り付け機構は、固定ジョーおよび可動式ジョーを備え;そして取り付け機構アクチュエータが、可動式ジョーの上で底部分内に枢動可能に取り付けられる。この取り付け機構アクチュエータは、可動式ジョーをロックされてない位置からロックされた位置へ、そして逆の場合も同じであるが、移動するように構成される。
【0109】
一例の実施形態によれば、取り付け機構アクチュエータは、この取り付け機構アクチュエータが近位方向に引っ張られるとき、ロックされた位置に向けて可動式ジョーを移動するように構成される。
【0110】
一例の実施形態によれば、カムが、上記可動式ジョーの底面の上で、かつ上記取り付け機構アクチュエータの下に取り付けられる。このカムは、可動式ジョーをロックするかまたはロックしないように作動するようされている取り付け機構アクチュエータに対して接続される。
【0111】
一例の実施形態によれば、取り付け機構は、取り付け機構アクチュエータを備え、この取り付け機構アクチュエータは、固定物の反対側でこの固定物に対してクランプするように構成されたカムを有するロッカースイッチを備える。
【0112】
一例の実施形態によれば、上記器具は、スタビライザーであり、上記作用末端は、一対の接触部材およびこの接触部材の少なくとも1つ中に組み込まれたおよびブロワー/噴霧器デバイスを備える。
【0113】
一例の実施形態によれば、上記器具はスタビライザーであり、上記作用末端は、一対の接触部材を含み、このスタビライザーは、そこにブロワー/噴霧器デバイスを装着するように構成される。
【0114】
一例の実施形態によれば、上記器具はスタビライザーであり、上記作用末端は、一対の接触部材およびアームに対してこの接触部材をリンクする支持体を備え、ここでこの支持体は、接触部材に対して枢動可能にリンクされる。
【0115】
一例の実施形態によれば、この接触部材は各々が、その近位端部分でクリップを備え、このクリップは、上記支持体部材とスナップフィットを形成するように構成される。
【0116】
一例の実施形態によれば、上記器具はスタビライザーである、かつ上記作用末端は、一対の接触部材を備える。この接触部材は各々が、その外側端部で比較的厚い断面寸法を、およびその内側端部で比較的薄い断面寸法を有する。
【0117】
一例の実施形態によれば、上記アームは、中間リンクのアーム遠位の一部を調節するようにユーザーによって調節可能な中間リンク、および可塑性構成を第一の構成で想定し、硬質構成を第二の構成で想定する作用末端を備え、一方では、中間リンクのアーム近位の一部が、第一構成および第二の構成の両方の間に可塑性のままであることを可能にする。
【0118】
一例の実施形態によれば、上記アームは、可塑性構成を第一の構成で想定し、かつ硬質構成を第二の構成で想定する、中間リンクのアーム近位の一部を調節するようにユーザーによって調節可能な中間リンクを備え、一方では、この中間リンクのアーム遠位の位置および作用末端が、第一構成および第二の構成の両方の間に可塑性のままであることを可能にする。
【0119】
一例の実施形態によれば、モーターを、上記アクチュエータを作動させるように構成すし、第二のアクチュエータを設ける。この第二のアクチュエータは、このアクチュエータおよびこのモーターの遠位に位置しており、このモーターに電気的に接続され、このモーターを作動させて、アクチュエータを駆動させて、アームの剛性およびアームと作用末端との間の接続を増大または減少させるように構成される。
【0120】
一例の実施形態によれば、架台本体の上面は、その上に障害がなく平滑かつ平坦であり、その上面は、外科医の手を安定化することを補助するために用いられ得る外科医の手用の休憩台となる。
【0121】
一例の実施形態によれば、リッジまたはラチェット歯が、上記ディスク部材の周囲の少なくとも一部のまわりに提供される。
【0122】
一例の実施形態によれば、上記器具は、上記ディスク部材、アームの少なくとも一部および架台本体の少なくとも一部を通じて伸びるケーブルを備え、ここでこのディスク部材は、その中に形成されるスロットを備え、このスロットは、このディスク部材が旋回されたとき、それに対するケーブルの屈曲および締め付けを容易にするために湾曲され、それによって、上記架台本体に対してこのディスク部材の異なる角度位置でケーブル長およびケーブル張力のうちの少なくとも1つの変動を排除または減少することを補助する。
【0123】
一例の実施形態によれば、上記ディスク部材は、その中に形成されたスロットを備え、このスロットは、このディスク部材が旋回されたとき、それに対するケーブルの屈曲および締め付けを容易にするために湾曲され、それによって、上記架台本体に対してこのディスク部材の異なる角度位置でケーブル長およびケーブル張力のうちの少なくとも1つの変動を排除または減少することを補助する。
【0124】
一例の実施形態によれば、アクチュエータが、上記架台本体の近位端でこの架台本体に対して回転自在に取り付けられ、ケーブルが、架台本体、ディスク部材、ボールおよびアームを通じてアクチュエータから伸びる。このアクチュエータおよびケーブルは、アームの状態を、可塑性状態から硬質状態へ、アクチュエータの第一の回転方向での回転によって、および硬質状態から可塑性状態へ、アクチュエータの反対回転方向での回転によって変化させるように構成される。
【0125】
一例の実施形態によれば、上記吸引/真空チューブは、その近位端に色分けされたコネクタを備え、このコネクタは、真空源または真空源と液体連絡した別の真空ラインに接続されるように構成される。
【0126】
一例の実施形態によれば、キャニスターが、上記吸引/真空チューブと液体連絡して設けられ、このキャニスターは、真空源と液体連絡してこのキャニスターを接続するための開口部を有し、このキャニスターは、その中に液体を捕捉するように構成される。
【0127】
一例の実施形態によれば、フィルターは、キャニスターの開口部と液体連絡され、このフィルターは、真空源に連結されるように、およびこのキャニスター由来の流出液から粒子を濾過するように構成される。
【0128】
一例の実施形態によれば、このキャニスターは、少なくとも1つの実質的に平坦な側面を有する。
【0129】
一例の実施形態によれば、ストラップが、キャニスターに連結されて、このキャニスターを直立方向に吊るすように適合され、ここでこのキャニスターを真空源と連結するための開口部は、このキャニスターと真空チューブとの液体連絡を形成する接続よりも高い。
【0130】
一例の実施形態によれば、上記キャニスターの表面は、それからのグレア反射を阻害するように艶消し処理されている。
【0131】
本発明の別の態様では、手術器具を操作する方法が提供され、この方法は:この器具の架台本体を固定物に対して装着して、この架台本体が前記固定物に対して動けないようにすることと;この架台本体の遠位端から伸びるアームの方向を調節することと;この架台本体の近位端に対して回転自在に取り付けられたアクチュエータを回転させ、それによって、このアームの方向を硬質な構成で固定することと;を包含する。
【0132】
一例の実施形態によれば、張力ケーブルが、上記アームおよび上記架台本体を通じて伸び、かつアクチュエータと接続し、このアクチュエータの回転がケーブルにおける張力を増大する。
【0133】
一例の実施形態によれば、上記固定物は胸骨開創器であり、上記アームは硬質な構成の前記胸骨開創器の内面と接触する。
【0134】
一例の実施形態によれば、上記器具は、外科用スタビライザーである。
【0135】
一例の実施形態によれば、上記器具は、臓器ポジショナーである。
【0136】
本発明の別の態様では、以下を備える外科的システムが提供される:外科用開創器であって、そこに対して手術器具を取り付けるために適合された少なくとも1つのレールを有する外科用開創器と;ポジショナーであって以下を備え:上面、第一の遠位端、第一の近位端および第一の底部分を有する第一の本体であり、ここでこの第一の底部分が、この少なくとも1つのレールに対してポジショナーをクランプするように構成された第一の取り付け機構を備え、ここでこの第一の取り付け機構が、第一の固定されたジョーおよび第一の可動式ジョーを備え;かつここで第一の取り付け機構アクチュエータが、第一の可動式ジョーの上で第一の底部分内で枢動可能に取り付けられており、この第一の取り付け機構アクチュエータが、この第一の可動式ジョーをロックされてない位置からロックされた位置へ、そして逆の場合も同じであるが動かすように構成されており、ここでこの第一の取り付け機構アクチュエータは、第一の取り付け機構アクチュエータが近位方向に引っ張られるとき、この第一の可動式ジョーをロックされた位置に向けて動かすように構成されており、ここで第一のカムは、第一の可動式ジョーの底面より上で、かつ第一の取り付け機構アクチュエータの下に取り付けられ、この第一のカムは、この第一の取り付け機構アクチュエータが可動式ジョーをロックするかまたはロックしないように作動するように接続されており、ここでこの第一の上面は、その上に障害がなく、平滑かつ実質的に平坦であり、かつここで、この第一の上面は、外科医の手を安定化することを補助するために用いられ得る、外科医の手の休憩台となり;第一の接合部材であって、第一の架台本体の遠位端部分に枢動可能に取り付けられた第一のディスク部材および第一のディスク部材に固定された第一のスロット付きボールを備え;第一のアームであって、第一の接合部から遠位に伸び、ここで第一の接合部材が、第一のアームの近位端と接合部を形成し;その中に真空空間を規定する吸引部材であって、ここでこの吸引部材は、臓器に十分な吸引力を発揮して、この吸引部材が上記臓器に対して配置され、陰圧が真空空間内に与えられて、この吸引部材をこの臓器と係合し、この吸引部材が動かされるとき、この臓器を動かすように構成されており;第一のアクチュエータであって、第一の架台本体の近位端で第一の架台本体に回転自在に取り付けられるアクチュエータ、および第一のケーブルであって、第一の架台本体、第一のディスク部材、第一のスロット付きボールおよび第一のアームを通って第一のアクチュエータから伸び、この第一のアクチュエータおよび第一のケーブルは、上記アームの状態を、可塑性状態から硬質状態へ、アクチュエータの第一の回転方向での回転によって、および硬質状態から可塑性状態へ、アクチュエータの反対回転方向での回転によって変化するように構成され、ここで上記第一のディスク部材は、その中に形成された第一のスロットを備え、ここでこの第一のスロットは、この第一のディスク部材が旋回されたとき、それに対するケーブルの屈曲および締め付けを容易にするために湾曲され、それによって、上記第一の架台本体に対してこの第一のディスク部材の異なる角度位置で第一のケーブル長および第一のケーブル張力のうちの少なくとも1つの変動を排除または減少することを補助し;ならびに第一の真空チューブであって、上記吸引部材と液体連絡され、ここでこの第一のアクチュエータは、上記ポジショナーと低位の形状で第一の吸引チューブを維持するために第一の吸引チューブを受容しかつ一時的に保持するように構成されたクリップを備え;ここで第一のアクチュエータは、各々のフィンにおいて形成されたクリップの1つを有する複数の第一のフィンを備え、ここでこの第一の真空チューブは、その近位端に第一の色分けされたコネクタを備え、この第一の色分けされたコネクタは、真空源または真空源と液体連絡した別の真空ラインに接続されるように構成され;第一のキャニスターであって、この第一の色分けされたコネクタを介して第一の真空チューブと液体連絡され、この第一のキャニスターは、第一の真空源と液体連絡してこの第一のキャニスターを接続するための第一の開口部を有し、この第一のキャニスターは、その中に液体を捕捉するように構成され、ここでこの第一のキャニスターは、少なくとも1つの実質的に平坦な側面を有し、ここでこの第一のキャニスターの表面は、それからのグレア反射を阻害するように艶消し処理されており;第一のストラップであって、第一のキャニスターに連結され、この第一のキャニスターを直立方向に吊るすように適合され、ここでこの第一のキャニスターを真空源と連結するための第一の開口部は、この第一のキャニスターと第一の真空チューブとの液体連絡を形成する第一の接続よりも高く;第一のフィルターであって、上記第一のキャニスターの第一の開口部と液体連絡され、この第一のフィルターは、上記第一の真空源に連結され、この第一のキャニスター由来の流出液から粒子を濾過するように構成されており:スタビライザーであって、以下を備え:第二の本体であって上面、第二の遠位端、第二の近位端および第二の底部分を有し、ここでこの第二の底部分が、この少なくとも1つのレールに対してスタビライザーをクランプするように構成された第二の取り付け機構を備え、ここでこの第二の取り付け機構が、第二の固定されたジョーおよび第二の可動式ジョーを備え;かつここで第二の取り付け機構アクチュエータが、第二の可動式ジョーの上で第二の底部分内で枢動可能に取り付けられており、この第二の取り付け機構アクチュエータが、この第二の可動式ジョーをロックされてない位置からロックされた位置へ、そして逆の場合も同じであるが動かすように構成されており、ここでこの第二の取り付け機構アクチュエータは、第二の取り付け機構アクチュエータが近位方向に引っ張られるとき、この第二の可動式ジョーをロックされた位置に向けて動かすように構成されており、ここで第二のカムは、第二の可動式ジョーの底面より上で、かつ第二の取り付け機構アクチュエータの下に取り付けられ、この第二のカムは、この第二の取り付け機構アクチュエータが可動式ジョーをロックするかまたはロックしないように作動するよう接続されており、ここでこの第二の上面は、その上に障害がなく、平滑かつ実質的に平坦であり、かつここで、この第二の上面は、外科医の手を安定化することを補助するために用いられ得る、外科医の手の休憩台となり;第二の接合部材であって、第二の架台本体の遠位端部分に枢動可能に取り付けられた第二のディスク部材、および第二のディスク部材に固定された第二のスロット付きボールを備え;第二のアームであって、第二の接合部から遠位に伸び、ここで第二の接合部材が、第二のアームの近位端と接合部を形成し;一対の接触部材であって、組織表面を安定化するために臓器の組織表面に対して影響を及ぼすように構成され、および少なくとも1つの接触部材であって、そこにブロワー/噴霧器デバイスを装着するように構成されるか、その中に組み込まれた、ブロワー/噴霧器デバイスを有しており;第二のアクチュエータであって、第二の架台本体の近位端で第二の架台本体に回転自在に取り付けられるアクチュエータ、および第二のケーブルであって、第二の架台本体、第二のディスク部材、第二のスロット付きボールおよび第二のアームを通って第二のアクチュエータから伸びるケーブルであり、この第二のアクチュエータおよび第二のケーブルは、上記第二のアームの状態を、可塑性状態から硬質状態へ、第二のアクチュエータの第二の回転方向での回転によって、および硬質状態から可塑性状態へ、第二のアクチュエータの反対回転方向での回転によって変化するように構成され、ここで上記第二のディスク部材は、その中に形成された第二のスロットを備え、ここでこの第二のスロットは、この第二のディスク部材が旋回されたとき、それに対するケーブルの屈曲および締め付けを容易にするために湾曲され、それによって、上記第二の架台本体に対してこの第二のディスク部材の異なる角度位置で第二のケーブル長および第二のケーブル張力のうちの少なくとも1つの変動を排除または減少することを補助し;ならびに第二の真空チューブであって、上記吸引部材と液体連絡され、ここでこの第二のアクチュエータは、上記スタビライザーと低位の形状で第二の吸引チューブを維持するために第二の吸引チューブを受容しかつ一時的に保持するように構成されたクリップを備え;ここで第二のアクチュエータは、各々のフィンにおいて形成されたクリップの1つを有する複数の第二のフィンを備え、ここでこの第二の真空チューブは、その近位端に第二の色分けされたコネクタを備え、この第二の色分けされたコネクタは、真空源または真空源と液体連絡した別の真空ラインに接続されるように構成され;第二のキャニスターであって、この第二の色分けされたコネクタを介して第二の真空チューブと液体連絡され、この第二のキャニスターは、第二の真空源と液体連絡してこの第二のキャニスターを接続するための開口部を有し、この第二のキャニスターは、その中に液体を捕捉するように構成され、ここでこの第二のキャニスターは、少なくとも1つの実質的に平坦な側面を有し、ここでこの第二のキャニスターの表面は、それからのグレア反射を阻害するように艶消し処理されており;第二のストラップであって、第二のキャニスターに連結され、この第二のキャニスターを直立方向に吊るすように適合され、ここでこの第二のキャニスターを第二の真空源と連結するための第二の開口部は、この第二のキャニスターと第二の真空チューブとの液体連絡を形成する第二の接続よりも高く;第二のフィルターであって、上記第二のキャニスターの第二の開口部と液体連絡され、この第二のフィルターは、上記第二の真空源に連結され、この第二のキャニスター由来の流出液から粒子を濾過するように構成されている。
【0137】
本発明の別の態様では,手術器具であって:架台本体、アーム、接合部およびツールを備える手術器具が提供され;この架台本体は、開創器に対して取り付けられるように構成され、この架台本体の底面は、取り付けられた場合、開創器と面し、この架台本体の前方端部は、この底面に対してある角度で移動し;このアームは、この架台本体の前方端部に対して接合部を介して近位端に枢動可能に連結され;このツールは、このアームの遠位端に連結され;このアームは、上記架台本体に対して複数の位置の間で可動式であるように、かつこれらの位置で一時的にロック可能であるように構成されており;この接合部は、上記架台本体から伸びてそれに隣接するアームの近位部分が、上記架台本体に対して実質的に垂直である位置で旋回可能であり、かつ一時的にロック可能であるように構成されている。
【0138】
一例の実施形態によれば、上記手術器具はさらに、異なる大きさの複数の開創器のいずれか1つに対して上記架台本体を接続するように構成された自在コネクタを備える。
【0139】
一例の実施形態によれば、上記接合部はディスク部材を備える。
【0140】
一例の実施形態によれば、上記接合部はスロット付きボールを備える。
【0141】
一例の実施形態によれば、上記器具は、上記架台本体の近位端でこの架台本体に対して回転自在に取り付けられたアクチュエータと、架台本体、ディスク部材、スロット付きボールおよびアームを通じてこのアクチュエータから伸びるケーブルとを備え、このアクチュエータおよびケーブルは、アームの状態を可塑性状態から硬質状態へ、アクチュエータの第一の回転方向での回転によって、ならびに硬質状態から可塑性状態へ、アクチュエータの反対回転方向での回転によって変化するように構成されている。
【0142】
一例の実施形態によれば、チューブが、上記ツールと液体連絡して設けられる。
【0143】
一例の実施形態によれば、チューブが、上記ツールと液体連絡して設けられ、上記アクチュエータは、上記チューブを上記器具と低位の形状の配置で維持するために上記チューブを受容しかつ一時的に保持するように構成されたクリップを備える。
【0144】
一例の実施形態によれば、上記架台本体は、上記チューブを受容し、かつ取り外し可能に保持するようにサイズ決めされた凹部分を備える。
【0145】
一例の実施形態によれば、上記器具はスタビライザーであり、かつ上記ツールは、組織表面を安定化するために上記組織表面に対して影響するように構成された少なくとも1つの接触部材を備える。
【0146】
一例の実施形態によれば、上記器具は、ポジショナーであり、かつ上記ツールは、その中に真空空間を規定する吸引部材を備え、ここでこの吸引部材は、臓器に十分な吸引力を発揮して、この吸引部材がこの臓器に対して配置され、陰圧が上記真空空間内に与えられて、この吸引部材をこの臓器と係合し、この吸引部材が動かされるとき、この臓器を動かすように構成されている。
【0147】
一例の実施形態によれば、上記器具は、上記ディスク部材、上記アームの少なくとも一部、および上記架台本体の少なくとも一部を通じて伸びるケーブルを備え、ここでこのディスク部材は、その中に形成されたスロットを備え、このスロットは、このディスク部材が旋回されたとき、それに対するケーブルの屈曲および締め付けを容易にするように湾曲され、それによって、架台本体に対するディスク部材の種々の角度位置で、ケーブル長およびケーブル張力のうちの少なくとも1つの変動を排除または減少するように補助する。
【0148】
一例の実施形態によれば、アクチュエータが、上記架台本体の近位端でこの架台本体に対して回転自在に取り付けられ、ケーブルが、この架台本体、ディスク部材、ボールおよびアームを通ってこのアクチュエータから伸びる。このアクチュエータおよびケーブルは、上記アームの状態を、可塑性状態から硬質状態へ、アクチュエータの第一の回転方向での回転によって、および硬質状態から可塑性状態へ、アクチュエータの反対回転方向での回転によって変化するように構成される。
【0149】
一例の実施形態によれば、キャニスターが、上記チューブと液体連絡して設けられ、このキャニスターは、真空源と液体連絡してこのキャニスターを連結するための開口部を有し、このキャニスターは、その中に液体を捕捉するように構成されている。
【0150】
一例の実施形態によれば、フィルターが、上記キャニスターの開口部と液体連絡されており、このフィルターは、上記真空源に連結され、このキャニスター由来の流出液から粒子を濾過するように構成されている。
【0151】
一例の実施形態によれば、ストラップが、上記キャニスターに接続され、このキャニスターを直立方向に吊るすように適合されており、ここで真空源とこのキャニスターを接続するための上記開口部は、上記真空チューブとのキャニスターの液体連絡を形成する接続よりも高い。
【0152】
本発明の別の態様では、手術器具であって、架台本体、アーム、ツール、およびチューブを備え;この架台本体は、開創器または手術台に対して取り付けるように構成され;このアームは、この架台本体の近位端に枢動可能に連結され;このツールは、このアームの遠位端に連結され;このアームは、この架台本体に対して複数の位置の間で可動式であるように、かつこれらの位置で一時的にロック可能であるように構成されており;このチューブの遠位端は、このアームの遠位端に接続されるか、またはそれと隣接しており;この架台本体は、このチューブを取り外し可能に保持するように構成されている、手術器具が提供される。
【0153】
一例の実施形態によれば、上記架台本体は、上記チューブを受容しかつ取り外し可能に保持するようにサイズ決めされた凹部分を備える。
【0154】
一例の実施形態によれば、上記架台本体は、上記チューブを受容しかつ取り外し可能に保持するようにサイズ決めされたクリップを備える。
【0155】
一例の実施形態によれば、上記架台本体はさらに、上記手術器具に対して回転自在に取り付けられたアクチュエータを備え、このアクチュエータは、アームの状態を可塑性状態から硬質状態へアクチュエータの第一の回転方向での回転によって、および硬質状態から可塑性状態へアクチュエータの反対回転方向での回転によって変化するように構成され;かつこのアクチュエータは、上記チューブを取り外し可能に保持するように構成されている。
【0156】
一例の実施形態によれば、上記アームは、接合部を介して上記架台本体に対して枢動可能に連結される。
【0157】
一例の実施形態によれば、上記接合部は、ディスク部材を備える。
【0158】
一例の実施形態によれば、上記接合部はスロット付きボールを備える。
【0159】
一例の実施形態によれば、上記チューブは、上記ツールと液体連絡される。
【0160】
一例の実施形態によれば、上記アクチュエータは、上記器具と低位の形状でチューブを維持するように、このチューブを受容しかつ一時的に保持するように構成されたクリップを備える。
【0161】
一例の実施形態によれば、上記器具は、スタビライザーであり、かつ上記ツールは、組織表面を安定化するようにこの組織表面に対して効力を発揮するように構成された少なくとも1つの接触部材を備える。
【0162】
一例の実施形態によれば、上記器具は、ポジショナーであり、かつ上記ツールは、その中に真空空間を規定する吸引部材を備え、ここでこの吸引部材は、臓器に十分な吸引力を発揮して、この吸引部材がこの臓器に対して配置され、陰圧が上記真空空間内に与えられて、この吸引部材をこの臓器と係合し、この吸引部材が動かされるとき、この臓器を動かすように構成されている。
【0163】
一例の実施形態によれば、上記器具は、上記ディスク部材、アームの少なくとも一部および架台本体の少なくとも一部を通じて伸びるケーブルを備え、ここでこのディスク部材は、その中に形成されるスロットを備え、このスロットは、このディスク部材が旋回されたとき、それに対するケーブルの屈曲および締め付けを容易にするために湾曲され、それによって、上記架台本体に対してこのディスク部材の異なる角度位置でケーブル長およびケーブル張力のうちの少なくとも1つの変動を排除または減少することを補助する。
【0164】
一例の実施形態によれば、アクチュエータが、上記架台本体の近位端でこの架台本体に対して回転自在に取り付けられ、ケーブルが、架台本体、ディスク部材、ボールおよびアームを通じてこのアクチュエータから伸びる。このアクチュエータおよびケーブルは、アームの状態を、可塑性状態から硬質状態へ、アクチュエータの第一の回転方向での回転によって、および硬質状態から可塑性状態へ、アクチュエータの反対回転方向での回転によって変化させるように構成される。
【0165】
一例の実施形態によれば、キャニスターが、上記チューブと液体連絡して設けられ、このキャニスターは、真空源と液体連絡してこのキャニスターを接続するための開口部を有し、このキャニスターは、その中に液体を捕捉するように構成される。
【0166】
一例の実施形態によれば、フィルターが、キャニスターの開口部と液体連絡され、このフィルターは、真空源に連結されるように、およびこのキャニスター由来の流出液から粒子を濾過するように構成される。
【0167】
一例の実施形態によれば、ストラップが、キャニスターに連結されて、このキャニスターを直立方向に吊るすように適合され、ここでこのキャニスターを真空源と連結するための開口部は、このキャニスターと真空チューブとの液体連絡を形成する接続よりも高い。
【0168】
本発明のこれらおよび他の特徴は、以下に詳細に記載されるような、器具および方法の詳細を読めば、当業者には明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0169】
図1図1は、本発明のある実施形態による外科用スタビライザー器具として構成された、手術器具を図示する。
図2図2は、先行技術のスタビライザーアームの能力に対して、胸骨開創器の内面に極めて近くに位置する能力を有するアームを提供する、本発明による接合部材の能力を図示する。
図3図3は、本発明のある実施形態による外科用スタビライザー器具の斜視図である。
図4図4は、図3のスタビライザー器具の分解図である。
図5図5は、本発明のある実施形態による、取り付け機構に対して枢動可能に取り付けられたディスク部材によって形成される、自在軸受け接合部を備える、接合部材を図示する縦断面図である。
図6図6は、図5に図示される自在軸受け接合部によって提供される旋回運動を図示する。
図7図7は、本発明のある実施形態による、その近位部分を通じてスロットを付けられたディスク部材を図示する。
図8図8は、図5の部分的な断面図をとった面に直角の面でとったスロットの部分的な縦断面図の上面図である。
図9図9は、本発明による接合部材の別の実施形態を図示しており、ここでは、ボールが、ディスク部材に対して回転式に取り付けられる。
図10図10は、本発明による、図9に示されるボールに対する別の実施形態を、示す。
図11図11は、アクチュエータ(示さず)が、ディスクに対して架台本体を駆動し、それによって本体に対するディスクの角度位置をロックするように作動させられる構成を、本発明のある実施形態によって示す。
図12図12は、図11の実施形態の断面図であるが、さらにアクチュエータを示す。
図13A図13Aは、ボールがネスティングし得る、スカラップ形状の戻り止めが備えられる配置の側面図を、本発明のある実施形態によって図示する。
図13B図13Bは、図13AのラインA-Aに沿ってとった上断面図を図示する。
図14図14は、本発明のある実施形態による、接合部材および取り付け機構を図示しており、ここでは、ノッチまたはスロットが、架台本体に設けられ、そしてボール(そうでなければディスク部材)は、ディスク部材が架台本体に対して旋回するにつれて、ノッチまたは溝中でスライドする機構(リップ、中子またはフィンガー)を設けられる。
図15図15は、本発明のある実施形態による、三スロット(tri-slot)構成を有するボールを図示する。
図16A図16Aは、ボールにスロットが設けられ、かつ架台本体の遠位端に対して回転可能に取り付けられている、接合部材を、本発明のある実施形態によって図示する。
図16B図16Bは、ボールにスロットが設けられ、かつ架台本体の遠位端に対して回転可能に取り付けられている、接合部材を、本発明のある実施形態によって図示する。
図16C図16Cは、ボールにスロットが設けられ、かつ架台本体の遠位端に対して回転可能に取り付けられている、接合部材を、本発明のある実施形態によって図示する。
図17図17は、アームおよびアクチュエータの両方ともが取り付け機構に対して角度が可動式であるデバイスを、本発明のある実施形態によって示す。
図18図18は、スロット付きボールが架台本体に組み込まれた配置を、本発明のある実施形態によって図示する。
図19図19は、図16A~16Cの実施形態と同様の接合部材であって、ただし上記ボールに、そのボールを通じた経路を規定する貫通穴のような開口部を設けられる接合部材を、本発明のある実施形態によって図示する。
図20A図20Aは、スタビライザー器具として構成される手術器具であって、取り付け機構の固定部分に対するアームおよび作用末端の旋回運動が、取り付け機構の頂部上に回転式に取り付けられたタレットによって提供される、手術器具を、本発明のある実施形態によって図示する。
図20B図20Bは、図20Aのデバイスの部分的な縦方向の断面図である。
図20C図20Cは、アクチュエータレバーが、多くの異なる角度で上記ケーブルを締め付けるように作動され得ることを図示する。
図21図21は、タレットを用いる接合部材であって、このタレットが、ディスク部材およびボールで形成されている接合部材を、本発明のある実施形態によって図示する。
図22図22は、臓器ポジショナー器具として構成された手術器具を、本発明のある実施形態によって示す。
図23図23は、図22の器具の分解図である。
図24図24は、2つの手術器具であって、第一は、ポジショナー器具として構成され、第二は、スタビライザー器具として構成され、両方ともが胸骨開創器のレールに取り付けられた手術器具を、本発明のある実施形態によって示す。
図25図25は、図22のデバイスの部分的な縦方向の断面図である。
図26図26は、図25の部分的な断面図をとった面に直角の面でとった部分的な縦断面図の、スロットの上面図である。
図27図27は、本発明のある実施形態による取り付け機構の詳細を図示する部分図である。
図28A図28Aは、ロックされた位置で近位に引っ込んで、取り付け機構で引き締められたアクチュエータを、本発明のある実施形態によって示す。
図28B図28Bは、本発明のある実施形態による、図28Aのアクチュエータを、ロックされていない構成で図示する。
図28C図28Cは、28C-28Cの線に沿ってとった図28Aの断面図である。
図28D図28Dは、28D-28Dの線に沿ってとった図28Bの断面図である。
図29A図29Aは、本発明のある実施形態による、アクチュエータの側面図および端面図を示す。
図29B図29Bは、本発明のある実施形態による、アクチュエータの側面図および端面図を示す。
図29C図29Cは、チューブを取り外し可能に保持するように構成された架台本体を有するスタビライザー器具として構成された手術器具を、本発明のある実施形態によって図示する。
図30A図30Aは、本発明の別の実施形態による、アクチュエータのそれぞれ側面図および端面図を示す。
図30B図30Bは、本発明の別の実施形態による、アクチュエータのそれぞれ側面図および端面図を示す。
図31A図31Aは、本発明のある実施形態によるキャニスターの斜視図である。
図31B図31Bは、31B-31Bの線に沿ってとった図31Aのキャニスターの縦方向の断面図である。
図31C図31Cは、31C-31Cの線に沿ってとった図31Aのキャニスターの縦方向の断面図である。
図31D図31Dは、本発明のある実施形態による、キャニスターとともに示されるストラップを図示する。
図32図32は、各々がキャニスターを備える、スタビライザー器具およびポジショナー器具の使用を、本発明のある実施形態によって図示する。
図33A図33Aは、本発明のある実施形態による、別の取り付け機構アクチュエータを示す。
図33B図33Bは、本発明のある実施形態による、別の取り付け機構アクチュエータを示す。
図34A図34Aは、スタビライザー器具の作用末端で設けられ得る別の機構を、本発明の種々の実施形態によって図示する。
図34B図34Bは、スタビライザー器具の作用末端で設けられ得る別の機構を、本発明の種々の実施形態によって図示する。
図35図35は、改良型であって、それによって、接触部材がその外側端部で厚い方の寸法からその内側端部16’で薄い方の寸法に細くなる改良型を、本発明のある実施形態によって図示する。
図36図36は、別のアームを有するデバイスの実施形態であって、その遠位にケーブル中で張力を調節するためにユーザーが調節可能である、中間リンクが設けられる実施形態を、本発明のある実施形態によって図示する。
図37図37は、本発明の実施形態による、別の作用機構を有するデバイスのある実施形態を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0170】
発明の詳細な説明
本発明の装置および方法を説明する前に、本発明が、本明細書に記載する特定の実施形態に限定されず、当然ながら、それ自体として変形し得ることが理解されるべきである。
また、本発明の範囲は添付の請求項によってのみ限定されるので、本明細書に用いられる用語は特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するためのものではないことも理解されるべきである。
【0171】
値の範囲を示す場合、その範囲の上限と下限の間に介在する各値は、別の明確な定義が文脈にない限り下限の単位の小数第1位まで、やはり具体的に開示されているものと理解される。記載の範囲における任意の記載値または介在値と、その記載範囲における任意の他の記載値または介在値との間の各々のより小さい範囲は、本発明に包含される。これら小さい方の範囲の上限および下限は、独立して、その範囲に含まれる値であっても、除外される値であってもよく、上限下限のいずれか一方を含むか、両方とも含まないか、または両方とも含む各範囲も、より小さい範囲内に含まれ、また本発明に包含されるが、記載の範囲中で特にいずれかの限界値が排除されれば、それに従う。記載の範囲が上限と下限の一方または両方を含む場合、それらの包含される限度のうちの一方または両方を排除する範囲も本発明に包含される。
【0172】
別に定義されていない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者が通常理解しているのと同じ意味を有する。本明細書に記載するものと同様または同等のいずれの方法および材料も、本発明の実施または試験に用いることができるが、好ましい方法および材料を以下に記載する。本明細書で言及される全ての刊行物は、それらの刊行物が記述する方法および/または材料を開示し説明するために、引用によって本明細書に援用される。
【0173】
なお、本明細書において、および添付の特許請求の範囲において用いる場合、「ロック(する)(lock)」または「ロックされた(される)(locked)」という用語は、制約するか、もしくは動けないようにするか、または動くことが難しくすることを意味するものとする。
【0174】
なお、本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられている「1つの、ある(不定冠詞:a、an)」および「この、その、上記、前記(定冠詞:the)」という単数形は、文脈上特段示すのでない限り複数形の言及も包含している。従って、例えば、「ある(a)接触部材」という言及は、このような接触部材が複数ということも包含し、「その(the)デバイス」という言及は、1つ以上のデバイスおよび当業者に公知のその等価物などの言及を包含する。
【0175】
本明細書で考察される刊行物は、それらの開示が本出願の出願日前であるものとして提示するに過ぎない。先行発明を理由に、そのような刊行物に先行する権利を本発明に与えないことの承認と解釈されるべきものは本明細書には一切ない。さらに、ここに提示した公開の日は、実際の公開日とは異なる場合があり、個別に確認する必要があり得る。
【0176】
本明細書に記載される器具は、心臓での使用のために記載されているが、これらの器具は、心臓での使用に限定されるのではなく、他の臓器または組織を位置決めおよび/または安定化するためのような、他の臓器または組織での外科的手順のために用いられ得る。
【0177】
図1は、本発明のある実施形態による、スタビライザー器具10として構成された手術器具を示す。スタビライザー器具10は、胸骨開創器、手術台などのような、相対的に固定されたものに対してスタビライザー器具10を取り付けるために構成された取り付け機構20を備える。図1では、スタビライザー器具10が、胸骨開創器200のレール202に取り付けられる。この胸骨開創器が示されており、開口部2が患者1の心臓4を露出するために広げられる、開胸手順で用いられている。
【0178】
スタビライザー器具10はさらに、架台本体22の遠位端24に対して枢動可能に連結されており、かつそれから遠位に伸びる、アーム12を備える。架台本体22の上面26は、低位の形状を有し、かつ好ましくは、円滑であって、そのため縫合糸、手術用手袋または平滑でない表面上に捕えられやすい任意の他の物体を捕えることがない。さらにこの円滑な表面は、例えば、縫合の間に手を置いておくことを補助するために、手または指を休めるために外科医によって用いられ得る。アーム10は、架台本体22の遠位端24から伸びるのであって、多くの先行技術の器具においてのように上面26からではないので、これによって、患者1の胸部2および胸骨開創器200の高さに対して低位の形状が得られる。これによって、外科的な作業空間3に接近するように試みる外科医またはその他の何者かに対して(装着機構の上面に対してアームが結合されている、先行技術のスタビライザー器具と比べて)邪魔が少ない器具が得られる。
【0179】
スタビライザー器具10はさらに、アーム12の遠位端部分に取り付けられた作用末端14を備える。スタビライザー器具10の作用末端14は、少なくとも1つの接触部材16を備える。一対の接触部材16が、図1に示される実施形態で提供される。接触部材16は、手術の標的領域で組織の表面に接触して、組織を安定化し、かつ手術手順の遂行を容易にするように構成されて寸法決めされる。例えば、図1では、接触部材は、吻合術が行われる冠状動脈の反対側で心臓4の表面に接触するように形成され、構成され、寸法決めされる。
【0180】
接触部材16は、機械的手段(これは、必要に応じて、接触面を増強する摩擦を備えてもよい)によって、吸引を与えることによって、またはそれらの組み合わせによって、組織を係合するように構成され得る。本発明の実施形態による手術用スタビライザー器具で使用され得る接触部材には多くの異なる実施形態がある。このような接触部材および接触部材の詳細のさらなる例は、米国特許第5,727,569号;同第5,875,782号;同第5,894,842号;同第5,906,607号;同第5,957,835号;同第5,976,069号;同第6,032,672号;同第6,036,641号;同第6,050,266号;同第6,120,436号;同第6,213,941号;同第6,231,506号;同第6,283,912号;同第6,290,644号;同第6,315,717号;同第6,331,158号;同第6,346,077号;同第6,375,611号;同第6,394,951号;同第6,406,424号;同第6,511,416号;同第6,626,830号;同第6,652,454号;同第6,656,113号;同第6,673,013号;同第6,685,632号;同第6,701,930号;同第6,743,169号;同第6,758,808号;同第6,849,044号;同第6,852,075号;同第6,893,391号;同第7,056,287号;同第7,220,228号;同第7,238,155号;同第7,326,177号;同第7,335,158号;同第7,485,090号;同第7,497,824号;同第および同第7,503,891号(その各々が、全体として、それに対する参照によって、本明細書に援用される)に見ることができる。
【0181】
架台本体22は、その遠位端24が、胸骨開創器200の内面200iと、特に、胸骨開創器のアーム/ブレード204の内面と、実質的に側方に同一平面であるように構成され、かつ寸法決めされる。あるいは、遠位端24は、内面200iをわずかに超えて伸びてもよいし、または内面200iの末端でわずかに近位に終端してもよい。図1に示されるように、スタビライザー器具が、レール202に固定されるいずれの場合にも、架台本体20の遠位端24は、実質的に手術上の作業空間3に伸びず、従って、現在利用可能な外科用スタビライザーよりも形成される障害物はかなり少ない。さらに、アーム12を接続する接合部材30は、図2に示されるように、先行技術のスタビライザー1000の先行技術のスタビライザーのアーム1012の能力に対して、内面200iの極めて近くに位置する能力を提供する能力をアーム12に提供する。これはまた、スタビライザー10および特にスタビライザーのアーム12によって創出される障害物の量を減らす。接合部材30はさらに、アーム12が、内面200iと接触するように配向することを可能にする。さらに、接合部材20は、接合部材30から伸びてすぐ隣接するアーム12の一部が、図2に図示されるように、架台本体22に対して実質的に垂直な位置で旋回可能であり、かつ一時的にロック可能であるように構成される。特に、図2に示されるように、アーム12の最も近位のリンク44は、架台本体22に対して実質的に垂直に(すなわち、約80度~約90度の角度で)配置され得る。
【0182】
接合部材30は、その遠位端部分で架台本体22に対して枢動可能に取り付けられ、その結果アーム12(接合部材30の遠位端に接合される)は、架台本体22の遠位端24から伸びる。図3は、本発明の実施形態による、外科用スタビライザー器具10の斜視図である。作用末端14は、上記で参照によって援用される以前の特許で詳細に記載されているように、接合部56(図3に示される実施形態におけるボールおよびソケット接合部)を介してアーム12の遠位端に取り付けられる。
【0183】
アーム12は、アーム12が第一の構成で可塑性であることを可能にするが、第二の構成ではアーム12を実質的に硬質にさせるように圧縮され得る、複数の関節接合性のリンク40を備える。図3に示される実施形態では、リンク40は、交互のボール接合部42および両凹面のディスク44を備える。ボール42は、プラスチックからできていて、ディスク44ができている物質(通常はプラスチック)の硬さほどではない硬さを有する。これによって、ディスク44は、それを通る張力部材に対して張力を適用することによって加えられる構成要素の圧縮の間にボール42中に組み込まれることが可能になり、これによってこの組み込まれたディスクによって課されるグリップによって、アームの剛性が増大する。適切なアームのさらなる詳細および例は、その全体が参照によって本明細書に援用される、米国特許第6,506,149号に記載される。あるいは、リンク40は、一連のボール接合部を備えてもよく(ただし、別法はこれらの例に限定されない)、一連の接合部は、1つの凸側および1つの凹側、または米国特許第6,506,149号に記載の他の実施形態の任意のもの、または米国特許第6,758,808号に記載の実施形態の任意のものを例えば備えてもよい。
【0184】
各々のリンク40は、中央チャネル40cを備え、それを通して、両方の末端で細くなる場合があり、ケーブル46(図4の分解図を参照のこと)がそれを円滑にかつ容易に通過する(そしてアームの硬質状態の剛性を改善する)ことが可能になる。ケーブル46は、リンク40、接合部材30、架台本体22を通じて伸び、作動機構50に対して近位に連結し、接合部56をロックするかまたはロックしないように構成された機構に対して遠位に連結する。アーム12の遠位端で最も遠位の関節接合性の部材43は、関節接合性の部材43の遠位端で開口する空洞43cを備え、カップリング部材58、47および60を少なくとも部分的に受容するように適合される。ソケット部材56sは、スタビライザーアーム12の遠位端をキャップして、スタビライザーを通る張力ケーブル46と呼応して、カップリング部材58、47および60を介して最も遠位の関節接合性の部材43に適合される。
【0185】
ソケット部材56sは、ボール部分56b(ここに作用末端14が固定される)を自由に受容するように寸法決めされている開口部56pを備える。ソケット部材56sはさらに、ステム56tを受容するように寸法決めされたスロット561を備え、これによってステム56tはスロット561中で自由にスライドすることが可能になるが同時に、ボール部分56bがそれを通過することを妨げる。近位開口部がソケット部材56sに設けられて、カップリング部材58、47および60の少なくとも一部を受容するように寸法決めされる。
【0186】
カップリング部材60は、近位の開口部内に受容されるソケットキャップであり得る。ソケットキャップ60は、ボール部分56bに隣接して、それをソケット部材56s中でその位置に維持するためのベースまたはキャップ部分(米国特許第6,758,808号に詳細に示されかつ記載される)を備える。示される例では、キャップ部分は、ボール部分56bの球面に対して乗るように寸法決めされた環状開口部を有する実質的に平坦な底面を有する。当然ながら、同じ機能、例えば、ボール部分56bに対して力を加え、ソケット部材56s内でボール部分を維持する能力を達成し、一方でこのボール部分が回転することも可能にする、底面の他の構成が考慮される。さらに、加える力を増大すれば、このキャップ部分は、ボール部分56sをロックして、それが回転することを妨げる能力を有する。
【0187】
ソケットキャップ60の外面は実質的に円柱状であって、かつカップリング部材56sの空洞(その近位開口部によって導入される)内に、スライド可能にかつ回転自在にフィットするように適合される。これによって、スタビライザー10が硬質でない状態のとき、操作性のアーム12の長軸にそった作用末端14の回転が可能になる。ソケットキャップ60の近位部分は、ケーブルに張力がかけられるとき、最も遠位の関節接合性の部材43に隣接し、ボール部分56bに対して力を伝達するように適合された駆動面を備える。スタビライザー10のケーブル46における完全な張力の解放の際、ソケット部材56sは、例えば、既存の作用末端14を異なるもので置き換えることによって設定を変化させるために、最も遠位の関節接合性の部材43から遠ざかる方向に、開口部56pを通じてボール部分56bを引き抜くことを可能にするのに十分な距離だけ引っ張られてもよい。従って、異なる設計または構成を選択するために作用末端14の間で変化を作り出してもよいし、または、異なる原理で作動する末端へ変化させてもよい。例えば、拍動している心臓組織に対して物理的圧力を加えることによって作動する、機械的接触部材からの変化は、真空で心臓を係合する、陰圧接触部材で置き換えられてもよい。これに関して、本明細書に記載される任意の接触部材は、記載されるスタビライザー10での作動のために交換されてもよい。さらに、他の公知の接触部材を、当業者は用いてもよいし、または用いるように適合させてもよい。
【0188】
ソケットキャップ60はさらに、カップリング部材58のアームを受容するように寸法決めされた凹部分または開放部分を備える。この凹部分は、ソケットキャップ60の長さを超えて連続し、またキャップ部分の周囲に沿って規定される。この方法では、カップリング部材58のアームは、ソケットキャップとインターフィットして、その外側周囲と連続して、ソケット部材56sに対する回転について円柱面を形成する。ソケット部材56sの内面は、近位端の近くで切り取られて、近位端部分の内側外周に沿って伸びる環状の溝を形成し、それによって形成されるリップの基礎となる。組立の際、アームの遠位端でカップリング部材58のアームから外側に伸びる枝歯(tine)は、この溝を係合し、かつリップによって、ソケット部材56sから引き出されることが防がれる。このリップおよび溝は、ソケット部材56sの全体の内側周囲に沿って伸びるので、カップリング部材58は、スタビライザー10のロックされていない構成では、ソケットキャップ60と回転することが自由である。枝歯の外側末端は好ましくは、ソケット部材56sへのカップリング部材58の挿入を容易にするために、面取りされるか、傾斜される。
【0189】
ケーブルフィッティングは、カップリングアセンブリの一部として提供され、そして拡大されたボール形状または他の形状の停止部分/カップリング部材47を備え、これは、カップリング部材58に対して隣接し、ケーブルがそれらに対して整列されるとき、カップリング部材に対して力を加えるように適合された隣接面を有する。
【0190】
ケーブル46の近位端は、それぞれ、ケーブル46の近位端部分を近位に引き抜くか、またはそれを架台本体22に対して遠位に動かすことによって、ケーブル46における張力を増大または減少するように構成される作動機構に連結される。張力の増大または減少は、図3~4に示されるノブのように、アクチュエータ52によって作動される。機構50およびこのような機構の別の実施形態の操作についてのさらなる詳細は、例えば、米国特許第6,758,808号、および上記の引用文献によって援用される他の特許で見出され得る。同じ機能を提供する他の機構が置き換えられてもよいので、本発明は、図4に示される機構50に限定されないものとする。
【0191】
図3~4に示される実施形態では、作用末端14は、安定化されるべき組織の表面に対して吸引(陰圧)を与え、接触表面が組織を係合するように構成される、接触部材16の接触面を通じる開口部16sを備える。開口部16sは、その近位端で、陰圧源と液体連絡されて連結されるように構成されている真空チューブ62と液体連絡される。真空チューブ62の近位端に設けられるコネクタ64は、色分けされ(例えば、青に色分けされるか、またはいくつかの他の別個の色)、その結果ユーザーはこの真空チューブを、この手順の間に用いられ得る他の真空チューブから容易に視覚的に識別できる(例えば、下で詳細に考察される、ポジショナー用の真空チューブ)。これは、誤った真空源に対する真空チューブの誤った装着を防ぐことを補助するために、例えば、陰圧の大きさのような、異なる真空チューブが異なる真空特徴を要する場合には重要であり得る。ルアーまたは配管を色分けすることは、チューブを識別する安価な方法である。
【0192】
接合部材30は、図3に図示されるように、そして図5の部分的な縦方向の断面図で図示されるように、取り付け機構20に対して枢動可能に取り付けられたディスク部材34によって形成される自在軸受け接合部32を備える。自在軸受け接合部32によって得られる旋回運動によって、スタビライザーアーム12は、外れて旋回することが可能になり、その結果、このアームは、手術の作業空間3へ過度に突き出すことはない。図6に図示されるとおり、このアームは、架台本体22に対してディスク部材34を旋回することによって、架台本体22の遠位端24の右側または左側に向かって旋回され得、その結果アーム12は、開創器200iの内面に隣接するかまたは接触さえして、従って、手術の作業空間3の周辺の輪郭に沿うように調節され得る。旋回運動は、ディスク部材34と共存している単一面に沿って達成され得る。さらに、旋回は、架台本体22に対する作動機構50の動きなしに生じ得る。
【0193】
ディスク部材34は、スロット34sと、その近位部分を通じてスロットを付けられて、上面および底面の近位ディスク表面34pを形成し、ここではこのスロット34sは通常、図7に示されるように、ディスク部材34の末梢の少なくとも約120度、さらに一般的には少なくとも約150度を通じて掃引し、そしてディスク部材34の中心に伸びる。スロット34sは、架台本体22に対してディスク部材34の回転位置を維持しながら(すなわち、変化させることも影響することもなく)、ケーブル46が張力をかけられることを可能にする。ディスク部材34の中心での旋回ポイントによって、ディスク部材34は、ケーブル46に張力を掛けるときに、その角度位置を維持することができる。
【0194】
図5の部分的な断面図をとった面に直角の面でとった部分的な縦断面図で、スロット34sの上面図を示す、図8の実施形態に示されるように、ディスク部材34は、ピンなしで円形スロット中において回転する。旋回運動は、ディスク部材34および円形スロットの接合円形表面に沿ってスライドすることによって生じる。このディスク部材34は、架台本体22の遠位端24内に形成される円形スロット22sとの摩擦および締まりばめによって適所に保持される。ディスク部材34の半径は、スロット22sの湾曲の半径よりもわずかに大きい。ケーブル46が張力を与えられるとき、ディスク部材34は、円形スロット22sによって形成されるシート中に引っ張られる。ディスク部材34の上および底の円形端部で角を除去することによって形成される面取りされた面34r(図5を参照のこと)は、ディスク部材34を配置することを容易にするために旋回され得る。ケーブル46に張力がかけられない場合、ディスク部材34は、アーム12、架台本体24の遠位端、およびケーブル46によって架台本体の遠位端に保持される。湾曲34cはスロットの遠位端で、ディスク部材34が旋回されたとき、それに対するケーブルの屈曲および締め付けを容易にして、ディスク部材34の異なる角位置でケーブル長/張力の変動を排除または軽減するように補助する。好ましくは、ディスク部材は、ステンレス鋼のような金属であり、そしてボール36は、プラスチックであり、かつディスク部材34上に圧入される。ボール部材36は、アーム中の他のボールと同様、アーム12がロックされた構成である場合、ディスク部材44がボール36中に食い込んでアーム12に対してさらに剛性を与えることを補助するように、ボールが連結するディスク部材44よりも軟性である。
【0195】
さらに、接合部材30は、図7に示されるようにディスク部材34の遠位端から伸びるボール36を備える。ボール36は、リンク44の凹の近位表面と協同するように寸法決めされ、それによって、ボール36に対する、ボールおよびソケット型のリンクの三次元の間接(従って、アーム12および作用末端14)が可能になる。ボール36はまた、架台本体22に対するアーム12の下向きの角度をさらに容易にするかまたは必要に応じて制御し、それによって、図6で図示されるように、アームを下向きに、かつ開創器の輪郭および手術的開口部の周辺に沿って配置することを容易にするためにスロット36sをつけられてもよい。スロット36sは、図5に図示されるように、その遠位末端で、湾曲36cを設けられてもよい。スロット36sの近位端の湾曲36cは、アーム12が、ボール36/ディスク部材34に対して下向きに旋回されたとき、それに対するケーブルの屈曲および締め付けを容易にして、アーム12の異なる角度位置でケーブルの長さ/張力の変動を排除または減少することを補助する。さらに、潤滑性スリーブ46s(ポリテトラフルオロエチレンからできるものなど)または潤滑性コーティングを、ケーブル46上に設けて、図8に図示されるように、スライドすることを容易にして摩擦を低下することを補助してもよい。
【0196】
図9は、接合部材30の別の実施形態を図示しており、ここでは、ボール36は、ディスク部材34に対して回転性に取り付けられる。必要に応じて、戻り止めまたはラチェット歯48が、ディスク部材34に対して、ボール36の回転位置のラチェット様の調節を可能にするために設けられてもよい。
【0197】
図10は、ボール36の別の代替的実施形態を図示しており、ここではボール36に、お互いと垂直に形成される2つの交差するスロット36s1、36s2が設けられる。さらに別方法では、3つ以上の交差するスロット36sが提供され得る。前の実施形態と同様に、ボール36はディスク部材34に固定されてもよいし、またはディスク部材34に対して回転性に取り付けられてもよい。必要に応じて、戻り止めまたはラチェット歯48を設けて、ディスク部材34に対して、ボール36の回転位置のラチェット様調節を可能にしてもよい。
【0198】
図11は、アクチュエータ(示さず)が、架台本体22に対してディスク34を駆動するように作動され、それによって、本体22に対してディスク34の角度位置をロックする実施形態を示す。さらに、ボール36は、ディスク34の方向の面に対して下向きに角度を付けられる、すなわち、角度39を参照のこと。なお、上記および下記の任意の他のボール36は別法では、ディスク34の平面に対して下向きに角度を付けられた配向で位置決めされてもよい。
【0199】
図12は、図11の実施形態の断面図であって、ただしアクチュエータ52をさらに示す。アクチュエータ52は、本体22に対して締め付けられる(中のネジ機構に対して回転することによって)ので、これは、ディスク34を本体22に対して駆動し、そして同時に、ボール36、42およびリンク/ディスク部材44を一緒に引っ張り、アーム12およびディスク34とハウジング22との間の接合部を締め付ける。
【0200】
図13A~13Bは、図13AのラインA-Aに沿ってとった側面図および上断面図を図示しており、ここでは架台本体22が、その末端部分に設けられ、ここには複数の水平におよび半径方向に分布されたスカラップまたは戻り止め54があり、各々がアーム12または1012の最も近位のボール42を受容するように構成され寸法決めされる。ケーブル46を通じて張力を加える際に、これは、最も近位のボール42を、レセプタクル/スカラップ/戻り止め54を有するロック式係合中に引き込み、ここでこれが位置決めされる。張力のさらなる適用によって、既に記載のとおりアーム12、1012がロックされる。ケーブル46から張力を取り除き、ケーブル46を十分に長くして/緩める際に、最も近位のボール42は、図13Bの想像線に示されるように、スカラップ54の1つにあるその現在位置から手動で取り外されて、別のスカラップ54によって受容される所望の位置に動かされてもよい。従って最も近位のボール42を、任意のスカラップに配置し(次にロックし)てもよく、それによって、図13Bの角度57によって図示されるように、架台本体22の縦方向の軸に対して水平面にアーム12、1012を角度付けする能力を与えることができる。
【0201】
図14は、接合部材30および取り付け機構20の実施形態を図示しており、ここでは、ノッチまたはスロット66が架台本体に提供され、ボール36(あるいはディスク部材24)は、ディスク部材34が架台本体22に対して旋回するにつれて、ノッチまたは溝66中でスライドする、ある機構(リップ、中子またはフィンガー)68を設けられる。アクチュエータ52を用いて、ケーブル46上で引き抜くことによって、接合部材30、アーム12および作用末端14をロックダウンする際に、機構68は、ディスク部材34が持ち上がることを妨げる、スロット66の上面に対して隣接する。ピン35は、図14に示され、そしてディスク部材がそれに対して旋回する機構である。スプリング70が、スロット70s中に設けられる。スプリング70は、ケーブル46で張力が解放されるとき、架台本体22との接触からディスク部材34の近位端を分けるために十分なスプリング力を有する。
【0202】
図15は、スロット36a1、36s2および36s3が接合してY形状を形成する、三スロットの構成を有するボール36の実施形態を例示する。
【0203】
図16A~16Bは、接合部材30の実施形態を図示しており、ここでは、ボール36にスロット36sが提供され、架台本体22の遠位端に対して回転性に取り付けられる。この方法では、接合部材30は、ディスク部材34およびボール36を備える、以前に記載された接合部材30と同様の機能を提供する。この機能は、ボール36が、回転され得るという点で同様であり(図16Bの曲がった矢印を参照のこと)、これによって次に、スロット36sが図16Cのように水平に配向されるときアーム12の水平の回転または旋回が可能になる。
【0204】
図17は、アーム12およびアクチュエータ52の両方が、取り付け機構20に対して角度的に可動である実施形態を示す。これに関して、接合部72は、取り付け機構20に対してアクチュエータノブ52の少なくとも下向きの角度付を可能にするように設けられる。本明細書に記載される任意の接合部材30は、取り付け機構に対するアーム12の角度付を可能にするように設けられ得る。アクチュエータの角度の動きを可能にすることによって、これによって、ユーザーは、アクチュエータ52を動かして、手術上の空間3にアクセスしようと試みている外科医または他の人に対する障害物を減らすことが可能になる。図17に示されるように、下向きに動かされるとき、これは縫合糸または他の装備をとらえる可能性も低い。
【0205】
図18は、スロット付きボール36が架台本体22中に組み込まれた実施形態を図示する。これは、製造に必要な部品数を減らすが、ケーブル46が締め付けられるとき、架台本体22に対してアーム12の相対的な旋回性位置を維持するのには効果的ではないかもしれない。必要に応じてスカラップ74が、ボール36のスロットを付けられた部分36sに設けられ、張力が与えられる場合、ケーブル46の傾向を軽減して、本体22に対してアーム12をまっすぐにし得る。
【0206】
図19は、図16A図16Cの実施形態と同様の接合部材30の実施形態を図示するが、ここではボール36は、ボール36を通じた経路を規定する貫通穴のような開口部36pを設けられ、これがケーブル46を末端36p1で本体22の縦方向の軸と実質的に整列する方向から、末端36p2で本体22の縦方向の軸に対してある角度を形成する方向までガイドする。示される実施例では、その角度は、約90度である。しかし、この角度は、変化してもよく、そして約75度から約135度、さらに典型的には約80度から約110度の範囲で選択され得る。クロスピン37、例えば、ステンレス鋼ピンが、36pのガイド通路の支持を補助し、摩耗の軽減を補助するために設けられてもよい。ピン37はケーブルが屈曲する位置を提供する。ピン37は、ケーブル46が屈曲36pにまたがって高張力で引っ張られるとき、高抵抗(摩擦)力に耐える金属構成要素として設けられる。ピン37は、圧入によって、および/または接着剤もしくは他の固定剤を用いて、構成要素36を通じて交差してピン止めされる。ボール36はさらに、スロット36sを設けられ、そして架台本体22の遠位端に対して回転性に取り付けられる。この方法では、接合部材30は、ディスク部材34およびボール36を備える、以前に記載される接合部材30に同様の機能を提供する。この機能は、ボール36が回転され得、これによって次に、水平面に対してアーム12の角度位置の変化が可能になるという点で同様である。また、剛性の挿入の成形された湾曲チューブが、構成要素の摩耗を防ぐかまたは軽減するためにケーブルの周囲に設けられてもよい。なぜならこのチューブは、他の構成要素に対してスライドするので、ケーブルよりも摩擦抵抗が少ないからである。
【0207】
図20Aは、スタビライザー器具の実施形態を例示しており、ここでは、取り付け機構20の固定部分に対するアーム12および作用末端の旋回運動が、この取り付け機構20の頂部に対して回転性に取り付けられたタレット30tによって提供される。この実施形態のアクチュエータ52’は、ケーブル46の急速な張力発揮(また張力の急速な解放も)のためのカム機構を有するように構成されるレバーを備える。作用部分14の接触部材16は、接触部材16を支持し、それらをアーム12に対してシャフト17’および前に記載のようなボール接合機構を介して連結するために用いられるシャフト17によりそれらの長さの中間で支持される。接触部材16に対するシャフト17の中間の接続は、安定化されるべき標的の手術部位に近い安定化ポイントに置く。
【0208】
図20Bは、図20Aのデバイス10の部分的な縦方向の断面図であって、これは取り付け機構20およびタレット30tを通じてケーブル46の通路を示す。タレット30tの中心30cを通じてケーブルが伸びるので、これによって、タレットは締め付けの間に取り付け機構20に対してその回転位置を維持することが可能になる。図20Cは、アクチュエータレバー52’が、ケーブル46を締め付けるために多くの異なる角度で作動され得ることを図示する。
【0209】
図21は、接合部材であって、タレット30tを用いるが、このタレット30tが、ディスク部材34およびボール36で形成されている、接合部材を図示する。ディスク部材34は、スロットを付けられた34sであり、かつボール36は、スロットを付けられた36sである。タレット30tは、架台本体22の遠位端と結びついて、架台本体22に対するタレット30tの別個の漸増的な回転のためであり、かつ架台本体22に対してタレット30tの現在の角度位置を維持することを補助する戻り止め34dを設けられる。ペグなどのような旋回構成要素34pが固定架台28のスロット28s中に挿入され、これは、タレット30tが固定架台28および架台本体22に対して回転することを可能にして、またケーブル46がタレット30tを引き込んで架台本体22の遠位表面24と接触し、タレット30tを架台本体22に対して押し付けて、架台本体22に対するタレット30tの回転を妨げることも可能にする。
【0210】
図22は、臓器ポジショナー器具100として構成された手術器具を、本発明のある実施形態によって示す。ポジショナー器具100は、胸骨開創器、手術台などのような、相対的に固定された物体に対してポジショナー器具100を取り付けるために構成された取り付け機構120を備える。図24では、ポジショナー器具100は、胸骨開創器200のレール202に取り付けられる。
【0211】
ポジショナー器具100はさらに、架台本体122の遠位端124に対して枢動可能に連結され、それから遠位に伸びるアーム112を備える。架台本体122の上面126は、平滑であって、そのため縫合糸、手術用手袋または平滑でない表面上に捕えられやすい任意の他の物体を捕えることがない。さらにこの円滑な表面は、例えば、縫合または他の手順工程の間に手を置いておくことを補助するために、手または指を休めるために外科医によって用いられ得る。アーム112は、架台本体122の遠位端124から伸びるのであって、上面126からではないので、これによって、アームが架台本体の頂部から伸びる設計よりも、患者1の胸部開口部2および胸骨開創器200の高さに対して低位の形状が得られる。これによって、外科的な作業空間3に接近するように試みる外科医またはその他の何者かに対して邪魔が少ない(装着機構の上面に対してアームが装着されている、先行技術のスタビライザー器具と比べて)器具が得られる。
【0212】
ポジショナー器具100はさらに、アーム112の遠位端部分に取り付けられた作用末端114を備える。ポジショナー器具100の作用末端114は、少なくとも1つの接触部材116を備える。単独の接触部材116が、図22に示される実施形態で提供されるが、複数の接触部材116が別々に提供され得る。コンプライアント接合部118が、接触部材116の限られた範囲の動きを可能にしたままで、硬質な構造に対して接触部材116を取り付けるために設けられる。接触部材116は、吸引部材であって、これは、この吸引部材を通じた陰圧の適用によって臓器に結合してこの臓器を係合するように構成されており、ここではこの係合された臓器を動かしてそれを移動された方向に維持するために十分な強度がある。一実施形態では、これは、心臓の心尖を持ち上げた、吊るした、方向で維持することを包含する。図22~23の吸引部材116は、カップ151、カップ151に固定して装着された中空シャフト153、およびフィッティング157(シャフト153に対して吸引ライン162を装着するため)を備える。シャフト153は、カップ151の中央の長軸に対して平行な軸に沿って配向される。適合シール252は、カップ151の遠位表面に取り付けられる。シール252は、カップ151を通じて真空が与えられる場合、心臓(または他の臓器)とのシールを形成し、シール252は、臓器と接触して置かれる。必要に応じて、フィルター155、例えば、泡フィルター、スクリーンなどがカップ151内でフィットされて(例えば、摩擦フィット、一体成型および/または接着剤または他の機構もしくは化学的手段によって)、臓器組織が、カップ151の内側領域中に実質的に吸引されることを妨げる。カップ151の凹の内面はさらに、必要に応じて、軟性でかつ吸収性の材料(好ましくは、不織のレーヨンまたはビスコース織物だが、そうでなければ、別の材料、例えば、ガーゼまたは神経-スポンジで現在用いられる種類の材料)で内側を覆われてもよい。吸収材料は好ましくは、カップと臓器との間の牽引を有意に改善するために十分な血液および/または他の体液を吸収できて、好ましくはまた、臓器に対して部材151によって発揮される吸引力を拡散するように機能する(もし存在するならフィルター155と一緒に)。
【0213】
適合シール252は好ましくは、いくつかの開口セル(シール252を通じた空気のゆっくりした流れを制御するため)を有する生体適合性の発泡体からできており、いくつかは閉じたセルを有する(臓器と接触するように設計された表面である、シール252の遠位表面上で「スキン/皮膚」を規定するセルを含む)。閉じたセルに対する開口セルのサイズおよび比は、151で与えられる真空の所定値で吸引力(臓器または組織に対して係合されたシール252のスキンによる)を保持して保持し続けるために、空気がシール252を通じて動く速度を管理する。注記のとおり、スキンは特に平滑であり、その結果、臓器/組織の表面と接触した場合、それとシールを形成し、このシールは気密であり、漏れて与えられた真空の値を減らすことはない。
【0214】
コンプライアント接合部118は、アーム112の遠位端に装着される。この接続は、図3~4のスタビライザーの実施形態で上記の構成要素43、47、58、60および56sに対して上記と同じ方式で形成され得る。別の接続が、上記で援用された特許に記載されるように置き換えられてもよい。他の別の接続、および置き換えられ得る別の吸引部材は、それに対する参照によって、その各々が本明細書において、その全体として援用される、米国特許第6,019,722号;同第6,338,712号;同第6,361,493号;同第6,390,976号;同第6,506,149号;同第6,610,008号;同第6,730,020号;同第6,969,349号;同第6,705,988号;同第6,726,622号;同第6,743,170号;同第6,899,670号;同第7,179,224号;同第7,195,591号;同第7,226,409号;同第7,377,895号;同第7,404,792号;同第7,476,196号;同第7,476,199号;同第7,479,104号に見出され得る。
【0215】
アーム112は、上記で考察されるアーム12と同じ方式で作製されてもよいが、部材140および142は、対応する部材40および42よりも小さい断面寸法を有し得る。あるいは、可塑性の構成を有しており、硬質な構成に作動され得る任意のアームが用いられてもよく、これには、参照によって本明細書に援用される任意の特許に記載される任意のアームが挙げられる。取り付け機構120は、ポジショナー100を、胸骨開創器または他の固定物のような静置物に対して固定するために設けられる。
【0216】
フォーク165は、ポストを介してボール56bに固定されるか、またはボール56bおよびポストと一体に作製される。ボール56bは、ケーブル46が張力を解放され、かつアーム112が可塑性状態であるとき、ソケット56sに対して自由に回転する。回転に対するこの自由度は、ボールおよびソケットの配置によって設けられる三次元の自由度である。ローラー164は、フォーム165の枝歯の間に回転性に取り付けられ、そして、それに対して自由に回転する。ローラー164は中央チャネル164cを規定し、そして接触部材114のシャフト153は、図22に示されるようにチャネル164cを通じて伸びる。好ましくは、スプリング156は、フィッティング157とローラー164との間でシャフト153のまわりに配置される。スプリング156は、フィッティング157およびローラー164によって、そのスプリングに対して発揮された力によって圧縮される。
【0217】
心拍動下心臓手術の間、図22のポジショナー100は以下のように機能する。作用部分114は、拍動中の心臓の表面に対して吸引ライン162、フィッティング157、シャフト153およびカップ151を通じて発揮される吸引力によって固定して装着され、それによって、作用部分114を係合し、その結果、カップ151が拍動する心臓を有するユニットとして動く。心臓の重量によって、シャフト153(およびカップ151の全体)およびローラー164は、フォーク165に対するユニットとして回転させられる。シャフト153およびローラー164は、フォーク165に対して記載されるとおり回転するので、フォーク165は典型的にはまた、ソケット56sに対しても回転する。ある実施では、このデバイスは、ソケット56sに対するフォーク165の回転が吸引部材151の全体的な操作の間にのみ生じるように(心臓は吸引部材に対する吸引によってカップリングされる)実施される。さらに、シャフト153およびカップ151は、拍動する心臓の表面で1ユニットとして実質的に垂直に振動するので、シャフト153は、ローラー164に対して(ローラー164の中央チャネル164cを通じて)スライドする(ローラー164の垂直位置がフォーク165によって固定されるので)。
【0218】
スプリング156は、以下の方式で、ローラー164に対してシャフト153の振動運動を弱める。シャフト153は、ローラー164に対して垂直に下向きにスライドするので、スプリング156は、圧縮される(シャフト153の運動エネルギーのある程度を位置エネルギーに変換する)。次いで、シャフト153が、ローラー164に対して垂直に上向きにスライドするにつれて、スプリング156は弛緩し(長くなり)その平衡位置に戻る(スプリングにためられる位置エネルギーのいくつかは、シャフト153の運動エネルギーに変換されるので、心臓表面を上向きに引っ張ることを補助する)。必要に応じて、フォーク165は、2つの位置、すなわち、シャフト153がローラー164に対して移動することを妨げない第一の位置、およびローラー164に対するシャフト153の移動を妨げる第二の(ロック)位置の間で手動で回転され得る旋回運動ラッチ(示していない、米国特許第6,506,149号、図30およびその説明を参照のこと)を備え得る。
【0219】
架台本体122は、その遠位端124が胸骨開創器200の内面200iと、特に胸骨開創器のアーム/ブレード204の内面と実質的に同一平面であるように構成され、かつ寸法決めされる。あるいは、遠位端124は、内面200iをわずかに超えるか/内側に延びる、または内面200iより末端わずかに前か/外側で終端してもよい。いかなる場合でも、ポジショナー器具100は、図24に示されるようにレール202に固定され、架台本体20の遠位端124は、手術の作業空間3には実質的に伸びず、従って、現在利用可能な外科用スタビライザーよりも形成される障害物が少ない。さらに、アーム112を接合する接合部材130によって、内面200iに極めて近く配置できる能力がアーム112にもたらされる。従って、本明細書に記載のように、スタビライザー器具10およびポジショナー器具100は両方とも、そのそれぞれそのアーム12および112が、作業空間の周辺に沿っていき、図24に示されるように、それによって、外科医に利用可能な邪魔にならない作業空間3の大きさがますます増えるように配向される。接合部材130はさらに、アーム112が内面200iと接触して配向されることを可能にさえする。詳細には、位置決めの架台本体の角度は、接合部材130の(またはスロット36sを有するボール36の)旋回運動に起因する可能性がある。旋回接合部材130によって創出されるこれらの角度は実質的に、交互式のボール接合部142’’によって創出される角度よりも小さい。
【0220】
接合部材130は、架台本体122に対してその遠位端部分で枢動可能に取り付けられ、その結果、接合部材130の遠位端に接合されるアーム112が、架台本体122の遠位端124から伸びる。アーム112は、アーム112が第一の構成では可塑性であることを可能にするが、アーム112が第二の構成では実質的に剛性になるように圧縮され得る、複数の関節接合性のリンク140を備える。図22~23に示される実施形態では、リンク140は、米国特許第6,506,149号に詳細に記載されるように交互のボール接合部142および両凹面のディスク144を備える。あるいは、リンク140は、例えば、一連のボール接合部、一連の接合部(1つの凸側および1つの凹側を有する)、または米国特許第6,506,149号に記載の任意の他の実施形態、もしくは米国特許第6,758,808号に記載の任意の実施形態を備えてもよい(ただし、別法では、これらの例に限定されない)。
【0221】
各々のリンク140は、それを通じる中央チャネルを備え、このチャネルは、両端で細くなっており、ケーブル46(図23の分解図を参照のこと)がそのチャネルを円滑にかつ容易に(このアームの硬質状態での剛性を改善するため)通過することを可能にし得る。ケーブル46は、リンク140、接合部材130、架台本体122を通って伸びて、作動機構50の近位に接続し、かつ接合部56をロックするかまたはロックしないように構成された機構に対して遠位に接続する。最も遠位の関節接合性の部材43は、アーム112の遠位端で、関節接合性の部材43の遠位端に対して開口しており、カップリング部材58、47および60を少なくとも部分的に受容するように適合される空洞を備える。ソケット部材56sは、ポジショナーアーム112の遠位端をキャップして、ポジショナーを通る張力ケーブル46と呼応して、カップリング部材58、47および60を介して最も遠位の関節接合性の部材43と対になる。
【0222】
ケーブル46の近位端は、それぞれ、ケーブル46の近位端部分を近位に引き出すこと、またはそれを架台本体122に対して遠位に動かすことによって、ケーブル46中の張力を増大するかまたは減少するように構成される作動機構に連結される。張力の増大または減少は、図22~23に示される、ノブのようなアクチュエータ152によって作動される。機構50の作動についてのさらなる詳細およびこのような機構の別の実施形態は、例えば、米国特許第6,758,808号および上記の引用文献によって援用される他の特許に見出され得る。本発明は、同じ機能を提供する他の機構が置換され得るので、図23に示される機構50には限定されないものとする。
【0223】
図22~23に示される実施形態では、作用末端114は、位置決めされるか操作されるべき組織の表面に対して吸引力(陰圧)を与えて、カップ151が組織を係合するように構成される吸引カップ151を備える。吸引カップ151は、陰圧の供給源と液体連絡して連結されるべき真空チューブ162(これは、その近位端で構成される)と液体連絡される。真空チューブ162の近位端に設けられるコネクタ164は、色分けされ(例えば、黄色、またはいくつかの他の別個の色に色分けされ)てもよく、その結果、ユーザーは、この真空チューブ162を、真空チューブ62または他の真空チューブ(この手順の間に用いられ得る)から視覚的に容易に識別できる。ポジショナー100に用いられる陰圧の大きさは、スタビライザー10を通して与えられる陰圧の大きさとは有意に異なる場合があるので、識別することは重要である。
【0224】
接合部材130は、図22におよび図25の部分的な縦方向の断面図に図示されるように、取り付け機構120に対して枢動可能に取り付けられたディスク部材134によって形成される自在軸受けまたは旋回接合部132を備える。自在軸受け接合部132によって提供される旋回運動によってスタビライザーアーム112は、外れて旋回することが可能になり、その結果このアームは、手術の作業空間3中に突出することはない。図25に図示されるように、アーム112は、架台本体122に対してディスク部材134を旋回させることによって、旋回され得、その結果、アーム112は、開創器200iの内面に近接するかまたは接触さえして、それによりアーム112は、手術の作業空間3の外周の輪郭に沿うように調節され得る。
【0225】
ディスク部材134は、その近位部分を通じてスロット付けされ134s、ここではスロット134sは通常は、ディスク部材134の末梢の少なくとも約120度、さらに典型的には、図26に示される少なくとも約150度を通じて掃引して、ディスク部材134の中心に伸びる。スロット134sは、架台本体122に対してディスク部材134の自在軸受け位置を維持しながら、ケーブル46が張力を受けることを可能にする。
【0226】
図26は、図25の部分的な断面図をとった面に直角の面でとった部分的な縦断面図の、スロット134sの上面図である。スロットの遠位端の湾曲34cは、ディスク部材134が旋回されたとき、スロットに対するケーブル46の屈曲および締め付けを容易にし、ディスク部材134の異なる角度位置でケーブルの長さ/張力の変動を排除または減少することを補助する。
【0227】
さらに、接合部材130は、図25図26に示されるような、ディスク部材134の遠位端から伸びるボール136を備える。ボール136は、リンク144の凹の近位の表面と協同するように寸法決めされ、それによってボール136に対する、ボールおよびソケット型のリンクの三次元の間接(従って、アーム112および作用末端114)が可能になる。ボール136はまた、架台本体122に対するアーム112の下向きの角度付けをさらに容易にし、それによって、図24で図示されるように、アームを下向きに、かつ開創器の輪郭および手術的開口部の周辺に沿って配置することを容易にするためにスロット付けされてもよい136s。スロット136sは、その近位末端で、湾曲を設けられてもよい。スロット136sの近位端の湾曲は、アーム112が、ボール136/ディスク部材134に対して下向きに旋回されたとき、その湾曲に対するケーブルの屈曲および締め付けを容易にして、アーム112の異なる角度位置でケーブルの長さ/張力の変動を排除または減少することを補助する。さらに、潤滑性スリーブ46s(ポリテトラフルオロエチレンからできるものなど)または潤滑性コーティングを、ケーブル46上に設けて、スライドすることを容易にして摩擦を低下することを補助してもよい。
【0228】
ボール136の他のバリエーションが提供されてもよく、これには限定するものではないが、上記のボール36のバリエーションが挙げられる。同様に、ディスク部材134の別の実施形態が、上記のディスク部材34の別の実施形態と同様に提供され得る。
【0229】
図27は、本発明の実施形態による取り付け機構20の詳細を示す部分的な図である。なお、これらの詳細は、スタビライザー器具10(例えば図3~4において示される)のための取り付け機構20に対して記載されるが、同じ機構が用いられ得るので、この詳細は、本発明の実施形態によるポジショナー器具の取り付け機構120に対して等しくあてはまる(例えば、図22~23に示される)。
【0230】
固定物に対して機構を固定するために、レバーおよびカムを用いて、固定ジョーに対して機構をクランプするという可動式ジョーを前進させる従来のロック機構とは異なり、レバーは可動式ジョーの底面で同一平面であるか、またはレバーの底面が可動式ジョーの上面の下であり、図27に示される本発明の実施形態の取り付け機構アクチュエータ(例えば、レバーなど)80は、架台本体22(または122)にスライド可能に取り付けられて、その結果、取り付け機構アクチュエータ80の全体を、可動式ジョー82の上面82uの上に配置して、作用機構がハウジングおよびジョー中に配備される。この配置によって、取り付け機構20が例えば、胸骨開創器に固定される場合、アクチュエータ80は患者の皮膚の上に持ち上がり、それによって、アクチュエータ80が作動されるにつれ(この機構を開創器に固定するかそれから取り外すかにかかわらず)、アクチュエータ機構中の患者の皮膚を圧迫する機会は大きく減る。また、カム機構は、可動式ジョー82内に隠され、その結果、カム機構が使用中に患者の組織を掴むまたは握るという危険性はない。また、この機構は、現行のデバイスに対して、取り付けのための低位の形状を可能にするように設計され、従って、スタビライザーまたはポジショナーが、術野および外科医によって用いられる隣接領域に対して障害物が少ない。取り付け機構20のいくつかの構成要素は、金属から形成されて、取り付け機構の形状をさらに小さくする。例えば、アクチュエータのレバー80a部分、カム81(図28C)および必要に応じて、アクチュエータのレバーグリップ部分80bは、ポリマーからこれらの構成要素の1つ以上を作製する先行技術の設計に比較して取り付け機構のよりコンパクトな構成をもたらすために金属からできている。
【0231】
さらに、アクチュエータレベルが、開創器に対してこの機構を固定するために遠位に回転される従来の取り付け機構とは異なり、本発明のアクチュエータ80は、開創器に対して取り付け機構20(または120)を固定またはロックするために近位に(すなわち、ユーザーに向かって)引きこまれる。人間工学的に、これによって、胸骨開創器に対して器具100または10をユーザーがロックすることがより容易になる。なぜなら近位の回転は、行うことが容易であり、かつ一般には片手で行われ得るからである(片手を使って本体22を保持して引っ張ることは容易であるが、同じ手を使って本体を保持して押すことは困難であるため、レバーの遠位の回転をこの機構に固定するために必要である機構を固定するためには両手がいる場合が多い)。また、従来の機構では、レバーは、取り付け機構が開創器に固定される場合、この取り付け機構から外側に伸びて、開創器のレールに沿って伸び、それによって別の器具がその機構の近くに装着されることを妨げる。しかし、本発明では、アクチュエータ80は、ロックされた位置で近位に引っ込んで、そして取り付け機構20、120で引き締められる。図28Aを参照のこと。これによって、現在利用可能な機構で可能であるものに対して、開創器のレール上で取り付け機構20、120にかなり近位で別の器具の配置が可能になる。
【0232】
図28Bは、胸骨開創器のような固定物上の取り付け機構の最初の配置、または固定物からの取り付け機構の除去を可能にする、ロックされていない構成中のアクチュエータ80を図示している。図28Cは、28C-28Cのラインに沿ってとった図28Aの断面図であり、ロックされた構成で取り付け機構20、120を示している。可動式ジョー82は、コイルスプリングまたは他の付勢部材のような付勢部材88によって、固定ジョー84に向かって付勢される。従って、取り付け機構20、120がレール202上に配置される場合、レール202は、付勢部材88によってこの位置に付勢されるにつれて、ジョー84、82によって反対側に接触される。アクチュエータ80を近位に引き出すことによって、アクチュエータ80にリンクするカム81は、回転されて、内部ジョー構成要素82aを可動式ジョー82中で上向きに引き出して内部ジョー構成要素歯82cを上の歯84cに対して係合し、それによって可動式ジョー82を固定ジョー84に対してロックし、取り付け機構20、120をクランプされた位置でレール202に対してロックする。従って、機構20、120は、レール202に対して器具10、1000をしっかり保持して、アームまたは手術器具の動きを妨げることを補助する。
【0233】
図28Dは、28D-28Dのラインに沿ってとった図28Bの断面図であり、取り付け機構20、120は、レール202から取り外されるように(または、取り付け機構20、120を、それをクランプおよびロックする前にレール上に配置することを容易にするために)、取り付け機構20、120をロックされてない機構で示しており、可動式ジョーは逆戻りさせている。アクチュエータ80を遠位に押すことによって、カム81は反対方向に回転し、それによって、歯82cは歯84cとの接触から離され、可動式ジョー82が固定されたジョー84およびレール202から離れるように動き、レール202に対するジョー82、84の間の十分な隙間が得られて、取り付け機構20、120がレール202から持ち上げられることが可能になる。アクチュエータ80の押す動きによって、ユーザーは、器具をロックせずに手術部位から取り外すのに必要な労力が減る。可動式ジョーに対するカムの操作についてのさらなる詳細は、米国特許第6,685,632号に見ることができる。固定されたジョー84に向かって可動式ジョー82を付勢するスプリング88が設けられる。レール202の上にジョー82、84を最初に置くために、ユーザーは、機構20、120の固定部分(ジョー84または他の固定部分)を保持してジョーを広げて離しながら、ショー82を引っ込める。一旦、ジョーが、上のレールフランジを通過すれば、ジョー82は、解放され得、そしてスプリング88は、ジョー82をジョー84に向かって動かし、このジョーをレール202と側方接触させる。
【0234】
図29A~29Bは、それぞれアクチュエータ52の側面図および端面図を示す。アクチュエータ52は、そのフィン52fの少なくとも1つで提供される、クリップ52cを設けられる。示される実施形態では、クリップ52cは、フィン52fの各々で形成される。あるいは、フィン52fの1つまたは2つだけが、クリップ52cを設けられてもよい。各々のクリップ52cは、吸引チューブ62を受容し、かつ一時的にまたは可逆的に保持して、この吸引チューブを、それが器具10/アーム12の形状に沿っていくにつれ、低位の形状で維持することを補助するように構成される。例えば、図3を参照のこと。クリップ52cの開口部52oは、チューブ62の外径よりもわずかに小さい直径を有する。従って、このチューブ62は、クリップ52cの開口部52oを通じてこのチューブを挿入するために、つままれるかまたは変形されなければならない。
【0235】
別法では、またはクリップ52cの一次的保持チューブ62に加えて、図29Cに示されるように、チューブは、架台本体22に設けられる凹部分22c中に一時的に保持され得る。凹部分22cは、吸引チューブ62を受容して一時的に保持し、この吸引チューブを、それが器具10/アーム12の形状に沿っていくにつれ、低位の形状で維持することを補助するように構成される。例えば、図29Cを参照のこと。凹部分22cの開口部は、チューブ62の外径よりもわずかに小さい直径を有する。従って、このチューブ62は、チューブに力を加えて凹部分22cの外側に引き戻すまでは、凹部分22cに一旦挿入されれば凹部分22c中にチューブを保持するように、凹部分22cの開口部を通じてこのチューブを挿入するためにつままれるかまたは変形されなければならない。
【0236】
好ましくは、チューブ62は、軟性で、可塑性で補強されたチューブである。しかし、クリップ52cの本体の内部52bは、チューブ62の外径よりもわずかに小さい内径を有し、圧縮を比較的わずかに保持しながらチューブ62を把持する。従って、このチューブ62は、軟性のグリップによって空間52b中の適所に保持され、そしてクリップ52cの開口部52oは、この器具の使用の間にクリップからチューブ(配管)62が逃げないようにする。なぜならチューブを再度取り除いて、チューブを開口部52oに再配置できるようにするには操作者の介入が必要であるからである。
【0237】
図30A~30Bは、アクチュエータ152のそれぞれ側面図および端面図を示す。アクチュエータ152は、そのフィン152fの少なくとも1つに設けられるクリップ152cを設けられる。示される実施形態では、クリップ152cは、フィン152fの各々で形成される。あるいは、少数または1つだけのフィン152fにクリップ152cが設けられてもよい。各々のクリップ152cは、吸引チューブ162を受容して一時的に保持し、この吸引チューブ162を、それが器具100/アーム112の形状に沿っていくにつれ、低位の形状で維持することを補助するように構成される。例えば、図22を参照のこと。クリップ152cの開口部152oは、チューブ162の外径よりもわずかに小さい直径を有する。従って、このチューブ162は、クリップ152cの開口部152oを通じてそのチューブを挿入するために、つままれるかまたは変形されなければならない。しかし、クリップ152cの本体の内部152bは、チューブ162の外径よりもわずかに小さい内径を有して、チューブ162を把持するが、重なってチューブ162を締め付けることはない。従って、チューブ162は、軟性のグリップによって空間152b中の適所に保持され、そしてクリップ152cの開口部152oは、この器具の使用の間にクリップからチューブ(配管)162が逃げないようにする。なぜならチューブを取り外して、チューブを開口部152oに再配置できるようにするには操作者の介入が必要であるからである。
【0238】
別法では、またはクリップ152cの一次的保持チューブ62に加えて、チューブは、架台本体122に設けられる凹部分中に一時的に保持され得る。架台本体122の凹部分は、図29Cに示され、上記される凹部分22cと同じ方式で構成されてもよく、吸引チューブ62を受容して一時的に保持し、この吸引チューブを、それが器具100/アーム112の形状に沿っていくにつれ、低位の形状で維持することを補助するように構成される。架台本体122は、架台本体22と同じであるように構築され得ることにさらに注記のこと。
【0239】
図31Aは、デバイス10または100と真空源との間で、真空ライン62または162と液体連絡した、ライン中に配置されるように構成される、キャニスター300の斜視図である。真空は、真空源402または404から与えられるので(図32を参照のこと)、患者1の組織に与えられる吸引力は、作用末端14、114と標的組織との所望の係合を果たすだけでなく、真空チューブ62、162を通じて液体および微粒子を吸引する傾向でもある。これらの液体および微粒子は、チューブ(配管)302(図31Bを参照のこと)を通じて引き入れられる。閉鎖末端のキャップ304は、チューブ302の近位端にかぶさって設けられる。キャップ304の内径は、チューブ302の外径よりも有意に大きく、そのため、その間で環状のギャップ306が形成される。液体および粒子が、チューブ302の近位端から出るとき、それらは、キャップ304の閉鎖末端を押すか、または単に(より重い物質の場合)、噴水のようにチューブ302の側面を溢れる。いずれの場合も、流体中に含まれる液体のほとんど、および流体以外のより大きく、重い粒子、沈殿物が流れて、キャニスター300によって含まれ、このキャニスター300は使用中、垂直に配向されるので、キャニスター300の底の末端部分で重力によって保持される(例えば、図32を参照のこと)。また、キャップ304は、キャニスター300の側壁上への粒子および流体の溢出および跳ね飛びを妨げ、それによって壁(別法で、内容物の図および内容物のレベルを邪魔する)が汚れることを防ぐ。より軽い流体、例えば、ガスおよび可能性としてはいくつかのより小さい粒子は、流れ続け、チューブ(配管)308を溢れ出す。図31Cを参照のこと。
【0240】
フィルター320は、キャニスター300と真空源402または404との間で、キャニスター300と液体連絡されて、ライン中に設けられる。図32を参照のこと。従って、いくつかの従来のキャニスターと異なり、フィルター320は、キャニスター300の内側に設けられるのではなく、その上流である。これは、フィルター320が、キャニスター中で蓄積される液体によって飽和されることを防ぎ、また、キャニスター300を変化させる必要なしにフィルター320を変化させることを可能にするか、またはフィルター320を変化させる必要なしにキャニスター300を変化または空にすることを可能にする。フィルター320は、キャニスター300に含まれなかった粒子を捕捉するように構成される。
【0241】
キャニスター300は好ましくは、例えば、壁に沿ってキャニスター300の取り付けを容易にする少なくとも1つの実質的に平坦な側面を設けられる。図31A~31Dに示される実施形態では、キャニスター300は、4つの実質的に平坦な側面を有し、かつ断面が実質的に四角い。しかし、他の断面形状、例としては、限定するものではないが、三角形、半円または半卵形で置き換えられてもよい。このキャニスターの外側面はまた好ましくは、艶消し処理された仕上げを設けられ、そのため集中処置室の光から反射され得るまぶしさを最小限にする。これは、散乱としてまぶしさを防ぐだけでなく、キャニスター300の内容物を見ることを容易にし、その結果、キャニスターが変化される前に満杯になっていないことを確実にするようにモニターされ得る。
【0242】
図31Dは、ストラップ310を図示しており、これもキャニスター300を設けられてもよい。ストラップ310は、キャニスター300に装着されて、手術室で任意の固定用突起物330からキャニスターを吊るすために構成され(図32を参照のこと)、それによって、所望の垂直配向に吊るしているキャニスター300を維持し(図32を参照のこと)、その結果出口308は、入口302よりも高く、キャニスター300は実質的に垂直に配向される。
【0243】
図33A~33Bをここで振り返れば、別の取り付け機構アクチュエータ80’が記述される。アクチュエータ80’が示されており、これは、図20Aの器具10とともに用いられる。しかし、本明細書に記載される任意の他の器具10、100は、この別の取り付け機構アクチュエータ80’を用いて改変され得る。カム86cを備えるロッカースイッチ86は、回転されるとき(図33Bの曲った矢印を参照のこと)レール202と連動して、それに対する圧縮力を加え、それによって、架台本体および器具10、100をレール202に対して固くクランプする。
【0244】
図34A図34Bは、本発明の種々の実施形態によるスタビライザー器具の作用末端14を設けられ得る別の機構を図示する。接触部材16およびその支持体は、示されるような接触部材中に組み込まれるブロワー/噴霧器デバイス15を提供するように構成され得、その結果、このブロワー/噴霧器デバイスのノズルまたは開口部は、接触部材16(それらが取り付けられる)の間で、内向きに向けられ、その結果、それらは、接触部材16の間に配置される手術上の標的にミストを差し向ける。あるいは、スタビライザー器具は、それに対して装着されるべきブロワー/噴霧器デバイス用に構成され得る。その作用末端は、それに対して装着されるべきブロワー/噴霧器デバイス用に構成され得る。
【0245】
さらに、またはあるいは、支持体17は、図34Aにおける矢印によって示されるとおり、接触部材16に対して旋回するように構成され得る。接触部材16はまた、支持体部材17とスナップフィットを形成するように構成されたそれらの遠位端でクリップ19とともに設けられてもよく、作用末端は極めて低位の形状で維持され、ここで接触部材および支持体の両方が、実質的に同じ平面中に配列されて伸びる。
【0246】
図35は、改良型であって、それによって、接触部材16がその外側端部で厚い方の寸法からその内側端部16’で薄い方の寸法に細くなる改良型を図示する。行われ得る他の改良型としては、限定するものではないが、第一の構成で可塑性であり、それに対する真空の適用の際に、第二の構成では剛性を生じる、アーム12、112を示すかおよび/または提示するためのモニターに対して連結可能な、接触部材16上の1つ以上のカメラの取り付けである。
【0247】
図36は、別のアーム12’を有するデバイス10の実施形態であって、その遠位にケーブル中で張力を調節するためにユーザーが調節可能である、中間リンク45が設けられる実施形態を図示する。従って、この機構は、依然としてリンク45の近位のリンクを、可塑性にとどめながら、作用末端14およびリンク45の遠位のリンクを締め付け/ロックするために用いられ得る。この方法では、ユーザーは、記載のように、リンク45を用いて遠位リンクを締め付けることによって、作用末端14の最初の「ラフな」またはおおまかな位置決めを固定し得、次いで、繊細な位置決めを、リンク45の近位のリンクを操作することにより、この位置決めに対するさらに繊細な調節を行うことによって行い得る。この位置決めに対する満足のいく繊細な調節が達成されれば、次に、このリンクの残りを、アクチュエータ52を用いてロックダウンしてもよい。さらに別の場合、リンク45は、その遠位でリンクを緩め/可塑性のままにさせておきながら、その近位にリンクを締め付けるように構成され得る。別の実施形態では、ケーブル46と並ぶ第二のケーブルが設けられ、これがリンク45を遠位に接続し、リンク45の近位でリンクを通過し、架台本体22につながる。なお、図36について記載される改変型が、スタビライザー器具10に対して示されるが、任意のまたは全てのこのような改変型がまた、ポジショナー器具100にあてはまり得る。
【0248】
図37は、別の作用機構52、52’、53を有するデバイス10のある実施形態を図示する。この実施形態では、アクチュエータ52は、図3~4について上記されるのと同じ方法で操作され得る。あるいは、モーター53が設けられ、このモーターは、アクチュエータ52’、例えば、モーター53に対してアーム12および架台本体22を通じて電気的に接続されるプッシュボタンまたは他のスイッチによって作動されて、アクチュエータ52を駆動し、ケーブル46中の張力を増大または減少し得る。従って、アクチュエータ52’は、例えば、ユーザーの手(単数または複数)が必要に応じて作用末端14を位置決めするために器具10の遠位末端部分の近傍にあるままで、このユーザーが、作用末端14およびアーム12を、この器具の遠位末端部分から締め付け/ロックすることを可能にする。なお、図37に関して記載される改変型がスタビライザー器具10に対して示されるが、アクチュエータ52’およびモーター53は、アクチュエータ152を制御するために同じ方式でポジショナー器具100の中で同様に実現され得る。
【0249】
本発明は、その特定の実施形態を参照して記載してきたが、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、種々の変化が行われてもよく、かつ等価物が置き換えられ得ることが当業者には理解されるべきである。さらに、本発明の目的、主旨および範囲に対して、特定の状況、材料、物質組成、プロセス、工程段階(単数または複数)に適合するように、多様な修正も可能である。そのような修正はすべて、添付の請求の範囲に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図17
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28A
図28B
図28C
図28D
図29A
図29B
図29C
図30A
図30B
図31A
図31B
図31C
図31D
図32
図33A
図33B
図34A
図34B
図35
図36
図37