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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】創傷を治療するための装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/20 20060101AFI20230324BHJP
【FI】
A61B18/20
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019531105
(86)(22)【出願日】2017-12-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 US2017064805
(87)【国際公開番号】W WO2018106751
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-11-30
(31)【優先権主張番号】62/431,078
(32)【優先日】2016-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519202898
【氏名又は名称】サイトン、 インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ニーガス、 ダニエル ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】ホバート、 ジェームズ エル.
(72)【発明者】
【氏名】フォーティア、 クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】トン、 シャ
(72)【発明者】
【氏名】ラスムッセン, クリス
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0230817(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0330258(US,A1)
【文献】特開2001-000442(JP,A)
【文献】SCITON,Contour TRL with MicroLaserPeel & PrpFractional Therapy Complete Resurfacing Solutions from Sction,The Sciton Edge,米国,2014年,1-4
【文献】ROBERT BOWEN,MD,Periorbital Rejuvenation with the Contour TRL and ProFractional -XC Laser Devices,SCTION White Paper,米国,2010年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/20
A61N 5/067
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
慢性創傷を治療するための装置であって、
前記慢性創傷の創傷床においてフルフィールドレーザーアブレーション及びフラクショナルレーザーアブレーションを選択的に行うように構成されたレーザー
を含み、
前記フルフィールドレーザーアブレーションは、前記フルフィールドレーザーアブレーションのためのレーザービームの照射によって最大2000μmの深さまでの前記創傷床の損傷組織の少なくとも90%を切除するレーザーアブレーションであり、
前記フルフィールドレーザーアブレーションのためのレーザービームは、平均発振波長が1~4μmの範囲にあり、平均出力が5~200Wの範囲にあり
前記フラクショナルレーザーアブレーションは、前記フラクショナルレーザーアブレーションのためのレーザービームを用いて前記損傷組織を選択的に切除して150~600μmの平均直径及び最大2mmまでの平均深さを有する複数の円柱状の穴を前記創傷床の表面積の最大35%までに形成するレーザーアブレーションであり、
前記フラクショナルレーザーアブレーションのためのレーザービームは、平均発振波長が1~4μmの範囲にあり、平均出力が1~100Wの範囲にある、装置。
【請求項2】
前記レーザーは、同一患者の慢性創傷においてフルフィールドレーザーアブレーション及びフラクショナルレーザーアブレーションを連続して行い、
前記慢性創傷におけるフラクショナルレーザーアブレーションは、前記レーザーが前記慢性創傷においてフルフィールドレーザーアブレーションを行った後に行われる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記レーザーはレーザースキャナーとEr:YAGレーザーとを含む、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、前記慢性創傷を有する患者及び/又は前記慢性創傷の創傷床の1つ以上の所望の位置に前記レーザーによって生成される1つ以上のレーザービームを向けるための1つ以上のレンズ、ミラー、及び/又はアクチュエーターをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、フルフィールドレーザーアブレーションを行うように構成された第1のレーザーと、フラクショナルレーザーアブレーションを行うように構成された第2のレーザーとを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第2のレーザーは、前記第1のレーザーが前記慢性創傷においてフルフィールドレーザーアブレーションを行った後に、前記慢性創傷においてフラクショナルレーザーアブレーションを行うように構成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、前記第1のレーザーによって生成される第1のレーザービームを所望の位置に向けるための1つ以上の第1のレンズ、ミラー、アクチュエーター、又は他のハードウェア若しくはソフトウェアと、前記第2のレーザーによって生成される第2のレーザービームを所望の位置に向けるための1つ以上の第2のレンズ、ミラー、アクチュエーター、又は他のハードウェア若しくはソフトウェアとをさらに含む、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、前記第1のレーザー及び前記第2のレーザーの動作を調整又は自動化するためのハードウェア及び/又はソフトウェアをさらに含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記動作は、前記第1のレーザービーム及び前記第2のレーザービームを同時又は順番に提供することを含む、請求項8に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、創傷を治療するためのシステム及び方法に関し、特にレーザーを用いて慢性
創傷を治療するためのシステム、装置、及び方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2016年12月7日
に出願された米国仮特許出願第62/431,078号に対して米国特許法第119条に
従って優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
慢性創傷を含む多くの創傷は、創傷の洗浄、抗生物質による治療、及び/又は患者若し
くは宿主自身の免疫系反応への依存などの「通常の」創傷治療法では容易に治癒しない。
また、糖尿病性潰瘍のような基礎症状又は基礎疾患に関連する一部の創傷は、基礎症状又
は基礎疾患の治療でも治癒に抵抗する。このような慢性創傷はしばしば、慢性感染症及び
切断ならびに疼痛、不快感、及び悪臭などの他の問題を引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】SCITON. Contour TRL with MicroLaserPeel & ProFractional Therapy: Complete Resurfacing Solutions from Sciton; The Sciton Edge. 2014.
【文献】BOWEN, R, MD. Periorbital Rejuvenation with the Contour TRL and ProFractional-XC Laser Devices. West Virginia University-East, The Center for Positive Aging, Martinsburg, WV. SCITON White Paper, 2010.
【文献】BAZAROV, I, et al. Laser Debridement: Can It Have An Impact For Chronic Wounds? Podiatry Today. 22 April 2014, Vol. 27, No. 5.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、創傷、特に慢性創傷の治療のための改善された方法、システム、及び装置
が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、創傷を治療する方法であって、いくつかの例では、他の方法と比較し
て1つ以上の利点を提供することができる方法が本明細書に記載されている。例えば、い
くつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、慢性創傷を含む創傷のより完全かつ迅
速な治癒をもたらすことができる。また、本明細書に記載の方法は、慢性感染症を予防又
は軽減し、かつ/又は創傷した身体部分を切断する必要性を排除することができる。本明
細書に記載の方法はまた、創傷に伴う痛み、不快感、及び悪臭を軽減することができる。
さらに、本明細書に記載の方法は、他のいくつかの方法に比べて、創傷をより効率的かつ
費用効果的に治療することができる。
【0007】
本明細書に記載の方法は、いくつかの実施形態では、創傷の創傷床においてフルフィー
ルドレーザーアブレーションを行うことと、続いて創傷床においてフラクショナルレーザ
ーアブレーションを行うこととによって、慢性創傷などの創傷を治療することを含む。ま
た、いくつかの例では、フラクショナルレーザーアブレーションステップは、フルフィー
ルドレーザーアブレーションステップと実質的に同時に、又はフルフィールドレーザーア
ブレーションステップの直後に行われる。例えば、いくつかの例では、フラクショナルレ
ーザーアブレーションは、フルフィールドレーザーアブレーションが終了した後10分以
内に開始される。また、いくつかの例では、フルフィールドレーザーアブレーションは、
フルフィールドレーザーアブレーションの直前に創傷床に存在するバイオフィルム及び/
又は壊死組織の少なくとも90%を除去する。さらに、いくつかの例では、本明細書に記
載の方法のフルフィールドレーザーアブレーション及び/又はフラクショナルレーザーア
ブレーションは、レーザースキャナーを用いて及び/又はエルビウムドープイットリウム
アルミニウムガーネットレーザー媒質(Er:YAGレーザー)を用いて行われる。
【0008】
また、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、創傷床においてフルフィー
ルドレーザーアブレーションを行う前に創傷床において創面切除を行うことをさらに含む
。このような「前処理」創面切除は、いくつかの例では、シャープな創面切除であること
ができる。
【0009】
また、いくつかの例では、本明細書に記載の方法は、上述の治療ステップの完了後に1
つ以上の追加の創傷治療ステップを行うことも含む。例えば、いくつかの実施形態では、
本明細書に記載の方法は、創面切除、フルフィールドレーザーアブレーション、及びフラ
クショナルレーザーアブレーションの後に1つ以上の追加の創傷治療ステップを行うこと
をさらに含む。このような追加の治療は、創傷に抗生物質を塗布すること、創傷を乾燥さ
せること、及び/又は創傷に紫外線(UV)を照射することを含むことができる。
【0010】
本明細書に記載の方法はまた、それ自体「創傷」を構成するかどうか分からない損傷組
織を治療するのにも使用できることにさらに留意すべきである。例えば、いくつかの例で
は、本明細書に記載の方法は、創傷でない損傷組織部位においてフルフィールドレーザー
アブレーションを行うことと、続いて創傷でない損傷組織部位においてフラクショナルレ
ーザーアブレーションを行うこととによって、創傷以外の損傷組織部位を治療することを
含む。
【0011】
別の態様において、創傷(又は創傷でない損傷組織部位)を治療するためのシステム又
は装置が本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、このようなシステム又は
装置は、同一患者の創傷(又は他の損傷組織部位)においてフルフィールドレーザーアブ
レーション及びフラクショナルレーザーアブレーションを交互に又は順番になど、選択的
に行うように構成されたレーザーを含む。いくつかのこのような例では、レーザーは、レ
ーザーが創傷(又は他の損傷組織部位)においてフルフィールドレーザーアブレーション
を行った後に、創傷(又は他の損傷組織部位)においてフラクショナルレーザーアブレー
ションを行うように構成される。また、いくつかの例では、本明細書に記載のシステム又
は装置は、単一のレーザーではなく複数のレーザーを含む。例えば、いくつかの実施形態
では、システム又は装置は、フルフィールドレーザーアブレーションを行うように構成さ
れた第1のレーザーと、フラクショナルレーザーアブレーションを行うように構成された
第2のレーザーとを含む。また、いくつかの例では、第1のレーザー及び第2のレーザー
は、同一患者の創傷(又は他の損傷組織部位)において、それぞれフルフィールドレーザ
ーアブレーション及びフラクショナルレーザーアブレーションを順番に行うように構成さ
れる。特に、いくつかの例では、第2のレーザーは、第1のレーザーが創傷(又は他の損
傷組織部位)においてフルフィールドレーザーアブレーションを行った後に、創傷(又は
他の損傷組織部位)においてフラクショナルレーザーアブレーションを行うように構成さ
れる。また、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステム又は装置のレーザー(
すなわち、第1のレーザー及び/又は第2のレーザー)は、レーザースキャナー及び/又
はEr:YAGレーザーを含む。
【0012】
これら及び他の実施形態は、以下の詳細な説明においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本明細書に記載の一実施形態によるフルフィールドレーザーアブレーションプロセスを概略的に示す。
図2】本明細書に記載の一実施形態によるフルフィールドレーザーアブレーションプロセスを概略的に示す。
図3】本明細書に記載の一実施形態によるフルフィールドレーザーアブレーションプロセス後の創傷の断面図を概略的に示す。
図4図3の創傷の斜視図を概略的に示す。
図5】本明細書に記載の一実施形態によるフラクショナルレーザーアブレーションプロセス後の創傷の断面図を示す。
図6図5の創傷の斜視図を示す。
図7】本明細書に記載の一実施形態によるレーザー治療装置の斜視図を示す。
図8図7の装置の平面図を示す。
図9】線9-9に沿った図8の装置の断面図を示す。
図10】本明細書に記載の一実施形態によるレーザー治療装置の斜視図を示す。
図11図10の装置の部分分解図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書に記載の実施形態は、以下の詳細な説明、実施例、及び図面を参照することに
よってより容易に理解することができる。しかしながら、本明細書に記載の要素、装置、
及び方法は、詳細な説明、実施例、及び図面に示されている特定の実施形態に限定されな
い。これらの実施形態は本発明の原理の単なる例示にすぎないことが認識されるべきであ
る。当業者には、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、多数の修正及び適合が容
易に明らかとなるであろう。
【0015】
また、本明細書に開示された全ての範囲は、その中に包含されるありとあらゆる部分的
な範囲を包含するものと理解されるべきである。例えば、「1.0から10.0」の記載
された範囲は、1.0以上の最小値で始まり10.0以下の最大値で終わるあらゆる部分
的な範囲、例えば、1.0から5.3、又は4.7から10.0、又は3.6から7.9
を含むとみなされるべきである。同様に、「1から10」の記載された範囲は、1以上の
最小値で始まり10以下の最大値で終わるあらゆる部分的な範囲、例えば、1から5、又
は4から10、又は3から7、又は5から8を含むとみなされるべきである。
【0016】
本明細書に開示された全ての範囲はまた、他に明確に述べられていない限り、範囲の端
点を含むとみなされるべきである。例えば、「5から10の間」、「5から10まで」又
は「5~10」の範囲は、一般に、端点5及び10を含むとみなされるべきである。
【0017】
また、「まで」という語句が量又は数量に関連して使用される場合、その量は少なくと
も検出可能な量又は数量であることが理解されるべきである。例えば、指定された量「ま
で」の量で存在する材料は、検出可能な量から指定された量まで、指定された量を含めて
存在することができる。
【0018】
I.創傷を治療する方法
一態様において、創傷を治療する方法が本明細書に記載されている。上記のように、本
明細書に記載の方法は、いくつかの実施形態では、創傷の創傷床においてフルフィールド
レーザーアブレーションを行うことと、続いて創傷床においてフラクショナルレーザーア
ブレーションを行うこととによって、慢性創傷などの創傷を治療することを含む。いくつ
かの例では、フラクショナルレーザーアブレーションステップは、フルフィールドレーザ
ーアブレーションステップと実質的に同時に、又はフルフィールドレーザーアブレーショ
ンステップの直後に行われる。また、いくつかの例では、本明細書に記載の方法は、創傷
床においてフルフィールドレーザーアブレーションを行う前に創傷床において創面切除を
行うことをさらに含む。さらに、いくつかの例では、本明細書に記載の方法は、本明細書
に記載の創面切除ステップ、フルフィールドレーザーアブレーションステップ、及び/又
はフラクショナルレーザーアブレーションステップの後に創傷床で1つ以上の追加の治療
を行うことをさらに含む。
【0019】
慢性創傷を含む多くの創傷は、(フィブリンのような様々なタンパク質からなる)痂皮
及び滲出物の蓄積を示すと同時にバイオフィルム、特に微生物膜を示す。このようなバイ
オフィルムは、一般に、互いに及び基質に付着した多数の微生物細胞を含む。また、いく
つかの例では、付着した細胞は、微生物によって生成される細胞外高分子物質(「EPS
」、「スライム」としても知られる)内に埋め込まれる。
【0020】
理論に縛られるつもりはないが、本明細書に記載の方法は、創傷床に存在するバイオフ
ィルムが再形成する能力及び/又はさもなければ抗生物質治療、他の治療、創傷に対する
宿主免疫反応の有効性を制限する能力を妨げるか又は破壊することによって、創傷治癒、
特に慢性創傷治癒を劇的に改善することができると考えられる。創傷治療、特に慢性創傷
治療では、全ての又は実質的に全ての痂皮、スライム、壊死などが、一般に、創傷床を傷
つけることなく、はさみ、掻爬器、及び可能な限り最大限の拭き取りによって創傷から除
去される。残念なことに、徹底的な掻爬、拭き取り、及び他のこのような処置をしても、
いくらかの量のバイオフィルムが一般に慢性創傷床に残る。このような「残存」バイオフ
ィルムは、必ずしも成熟又は完全バイオフィルムを形成するわけではないが、かつては成
熟又は完全バイオフィルムの一部であったバイオフィルム成分を含む。また、この残存バ
イオフィルムは、一般に、わずか24~36時間で成熟バイオフィルムに再形成すること
ができる。先と同様に理論に縛られるつもりはないが、本明細書に記載の創傷を治療する
方法は、このような残存バイオフィルムを破壊しかつ/又は残存バイオフィルムがすぐに
再生する能力を妨げることができ、それによって創傷治癒における抗生物質、他の治療様
式/又は宿主免疫反応の有効性を改善する。したがって、いくつかの実施形態では、本明
細書に記載の方法は、創傷微生物叢及び創傷床表面を「リセット」することができる。
【0021】
ここで方法の特定のステップに目を向けると、本明細書に記載の方法は、フルフィール
ドレーザーアブレーションを行うことを含む。当業者によって理解されるように、「フル
フィールド」レーザーアブレーションは、組織とのレーザー相互作用がアブレーションレ
ーザービームの照射によって治療される標的領域(例えば、創傷床)の100%又は実質
的に全部に相当するレーザーアブレーションプロセスを指す。ここで「切除」レーザービ
ームは、レーザービームによって照射される生体組織を切除、蒸発、破壊、及び/又は除
去するのに十分な最大出力のレーザービームを指すと理解される。いくつかの例では、(
例えば、約4mmのスポットサイズを有し得る)アブレーションレーザービームは、重な
り合う蛇行パターンのレーザービーム又はスポットの「通過」で標的領域の全て又は実質
的に全てをカバーするか又は「走査」する。例えば、いくつかの実施形態では、アブレー
ションレーザービームは、標的領域(例えば、治療される創傷の創傷床)の少なくとも9
0%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%をカバー又は走査す
る。いくつかの例では、アブレーションレーザービームは、標的領域の100%をカバー
又は走査する。フルフィールドレーザーアブレーションは、様々なスポットサイズ、走査
又は露光パターン、及びレーザーを用いて行われ得ることがさらに理解されるべきである
。一般に、本明細書に記載されているフルフィールドレーザーアブレーションステップは
、本開示の目的と矛盾しない任意の方法で行うことができる。
【0022】
例示的なフルフィールドレーザーアブレーションプロセスが図1~4に示されている。
具体的には、図1及び図2は、本明細書に記載の一実施形態によるフルフィールドレーザ
ーアブレーションを行う過程におけるレーザービームスポット(10)の走査又はパター
ンの上面図又は平面図を概略的に示す。図3及び図4にさらに示すように、スポット(1
0)は、宿主又は患者(30)の創傷床(20)の外側表面(21)をカバーする。図1
及び図2をもう一度参照すると、スポット(10)は、図2のスポット(10)上に重ね
られた方向矢印によって示されるように、アブレーションレーザービーム(スポット(1
0)で表される)が表面(21)を蛇行パターンで横切るときに重なり合う。アブレーシ
ョンレーザービームが表面(21)を横切るとき、表面(21)を形成する組織及び/又
は他の物質が創傷床(20)から切除、蒸発、破壊、又はその他の方法で除去され、表面
(21)に垂直でかつ患者又は宿主(30)の隣接する非治療表面(22)に垂直な深さ
方向に表面(21)を「下降」させる。図1及び図2に具体的に示すように、アブレーシ
ョンレーザービームは、創傷床(20)内で前後に3回の「通過」を行っている。しかし
ながら、表面(21)全体をカバーするために任意の所望の数の通過を行うことができる
ことを理解されるべきである。同様に、創傷床の元の表面よりも下又は隣接する非治療表
面(22)よりも下の所望の深さまで表面(21)を「下降」させるのに必要なだけ何度
も、表面(21)全体を横切ることができる。フルフィールドレーザーアブレーションの
深さが切除、蒸発、破壊、又は除去される組織の深さに対応するように、アブレーション
レーザービームの各通過が創傷床から組織(壊死組織など)を切除、蒸発、破壊、又は除
去することがさらに理解されるべきである。図3に示すように、フルフィールドレーザー
アブレーションの深さは「d1」である。なお、図3は深さd1までのフルフィールドレ
ーザーアブレーションの完了後の創傷床(20)の断面図を示し、図4は深さd1までの
フルフィールドレーザーアブレーションの完了後の同じ創傷床(20)の斜視図を示す。
【0023】
フルフィールドレーザーアブレーションステップにおけるアブレーションの深さは様々
であることができる。本開示の目的と矛盾しない任意の深さを使用することができる。例
えば、いくつかの実施形態では、フルフィールドレーザーアブレーションステップは、創
傷床の壊死組織の少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なく
とも99%を最大1000μmの深さまで又は最大2000μmの深さまで除去する。い
くつかの例では、フルフィールドレーザーアブレーションステップは、創傷床の組織の少
なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%を50~
2000μm、50~1000μm、50~500μm、50~300μm、50~20
0μm、100~2000μm、100~1000μm、100~500μm、100~
300μm、100~200μm、200~2000μm、200~1000μm、20
0~500μm、400~2000μm、400~1000μm、500~2000μm
、500~1000μm、または1000~2000μmの深さまで除去する。
【0024】
また、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法のフルフィールドレーザーアブ
レーションステップは、創傷床の様々な望ましくない構成要素の全て又は実質的に全てを
除去又は破壊する。特定の好ましい実施形態では、例えば、フルフィールドレーザーアブ
レーションステップは、フルフィールドレーザーアブレーションの直前に創傷床に存在す
るバイオフィルム及び/又は壊死組織の少なくとも90%を除去し、ここでバイオフィル
ム及び/又は壊死組織を「除去する」ことは、バイオフィルム及び/又は壊死組織を切除
、蒸発、破壊及び他の方法で除去することを含む。いくつかの例では、フルフィールドレ
ーザーアブレーションステップは、フルフィールドレーザーアブレーションの直前に創傷
床に存在するバイオフィルム及び/又は壊死組織の少なくとも95%、少なくとも98%
、又は少なくとも99%を除去する。いくつかの例では、フルフィールドレーザーアブレ
ーションステップは、フルフィールドレーザーアブレーションの直前に創傷床に存在する
バイオフィルム及び/又は壊死組織の90~100%、90~99%、90~95%、9
5~100%、95~99%、又は98~100%を除去する。理論に縛られるつもりは
ないが、このようにバイオフィルム及び/又は壊死組織を除去することは、フラクショナ
ルレーザーアブレーションなどによる、宿主の創傷治癒及び/又は免疫応答のその後の刺
激の有効性を促進及び/又は改善することができる。
【0025】
フルフィールドレーザーアブレーションステップのスポットサイズもまた様々であるこ
とができる。本開示の目的と矛盾しない任意のスポットサイズを使用することができる。
いくつかの例では、例えば、スポットサイズは0.5~10mm、0.5~5mm、1~
10mm、又は1~5mmである。他のスポットサイズもまた使用することができる。
【0026】
また、本明細書に記載のフルフィールドレーザーアブレーションステップに使用される
レーザー又はレーザービームは、本開示の目的と矛盾しない任意の出力及び任意の最大又
は平均発振波長を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、フルフィール
ドレーザーアブレーションに使用されるレーザー又はレーザービームは、電磁スペクトル
の赤外(IR)領域に最大又は平均発振波長を有する。いくつかのこのような例では、フ
ルフィールドレーザーアブレーションに使用されるレーザー又はレーザービームは、1~
4μm、1~3μm、2~4μm、2~3μm、8~12μm、又は9~11μmの範囲
の最大又は平均発振波長を有する。例えば、いくつかの実施形態では、フルフィールドレ
ーザーアブレーションは、好ましくは、2940nmの最大又は平均発振波長を有するネ
オジムドープEr:YAGレーザー又はレーザービームを含む、Er:YAGレーザー又
はレーザービームを用いて行われる。他の例では、フルフィールドレーザーアブレーショ
ンは、炭酸ガスレーザー又はレーザービームを用いて行われる。さらに、いくつかの例で
は、フルフィールドレーザーアブレーションに使用されるレーザー又はレーザービームは
、5から200Wの平均出力を有する。
【0027】
また、いくつかの好ましい実施形態では、フルフィールドレーザーアブレーションは、
レーザースキャナーを用いて行われる。本明細書での参照のために、「レーザースキャナ
ー」は、オペレータによって画定された領域にわたってレーザービームを照射するために
レーザーシステムに取り付けられ、コンピューター制御システムによって支援されること
ができる、レーザービームの単一スポットよりも大きい装置を指す。この装置の典型的な
構造は、レーザービームを受光しかつコンピューター制御システムにより制御されるそれ
らに取り付けられたミラーを有する2つの直交モーターの光学機械的装置を含む。各モー
ター又はアクチュエーターは、ビームを軸線に向けることができる。2つの直交モーター
/ミラーの組み合わせは、スキャナーが組織又は他の標的領域に任意のパターンを2次元
(例えば、x及びy)に描くことを可能にする。
【0028】
本明細書に記載のフルフィールドレーザーアブレーションステップは、本開示の目的と
矛盾しない任意のレーザーシステムを用いて行うことができることがさらに理解されるべ
きである。このようなシステムは、例えば、上述の特性を有するレーザービームを生成す
るように動作可能なレーザー、ならびにレーザービームを患者及び/又は創傷床の所望の
位置に向けるための1つ以上のレンズ、ミラー、アクチュエーター、又は他のハードウェ
ア若しくはソフトウェアを含むことができる。1つの例示的なシステムを以下のセクショ
ンIIにおいてさらに説明する。
【0029】
本明細書に記載の方法はまた、フラクショナルレーザーアブレーションを行うことを含
む。当業者には理解されるように、「フラクショナル」レーザーアブレーション又はコア
グレーションは、創傷床などの標的領域において組織柱を選択的に切除、凝固、蒸発、破
壊又は除去する、すなわち「穴を開ける」のにアブレーション又はコアグレーションレー
ザービームを使用するレーザーアブレーション又はコアグレーションプロセスを指す。ま
た、フラクショナルレーザーアブレーションによって形成されたこのような凝固した柱状
体又は円柱状の空間若しくは「穴」は、標的領域に柱状体又は空間又は穴のパターン又は
配列を画定することができ、ここで柱状体又は空間若しくは穴は、所望の直径、深さ、及
び創傷床の表面における(100%未満の)面密度を有する。フラクショナルレーザーア
ブレーションは、様々なスポットサイズ、走査又は露光パターン、及びレーザーで行うこ
とができる。一般に、本明細書に記載のフラクショナルレーザーアブレーションステップ
は、本開示の目的と矛盾しない任意の方法で行うことができる。
【0030】
例示的なフラクショナルレーザーアブレーションプロセスを図5及び図6に示す。特に
図5及び図6は、図1~4に示したフルフィールドレーザーアブレーションステップに
続いて宿主(30)の創傷床(20)内で行われるフラクショナルレーザーアブレーショ
ンステップの結果を概略的に示す。図5及び図6に示すように、フラクショナルレーザー
アブレーションビーム(図示せず)は、創傷床(20)の外側表面(21)の下に深さ(
d2)を有する円柱状の空間若しくは穴(40)を形成する。図5及び図6に具体的に示
すように、アブレーションレーザービームは、創傷床(20)内に2×2配列の穴(40
)を形成する。しかしながら、この特定の配列は説明のためだけに示されている。本明細
書に記載のフラクショナルレーザーアブレーションステップによって任意の所望の数又は
パターンの穴(40)を設けることができることが理解されるべきである。さらに、図5
は創傷床(20)の断面図を示し、図6は深さd2までのフラクショナルレーザーアブレ
ーションの完了後の同じ創傷床(20)の斜視図を示すことに留意されたい。
【0031】
本明細書に記載のフラクショナルレーザーアブレーションステップにおけるアブレーシ
ョンの深さ及び面密度は様々であることができる。本開示の目的と矛盾しない任意の深さ
及び面密度を使用することができる。例えば、いくつかの好ましい実施形態では、フラク
ショナルレーザーアブレーションは、創傷床の表面積の25%まで又は35%までに穴を
生成し、穴は150~600μmの平均直径及び2mmまでの平均深さを有する。他の例
では、フラクショナルレーザーアブレーションは、創傷床の表面積の15~35%、15
~30%、15~25%、20~35%、又は20~30%に穴を生成し、ここで穴は、
150~500μm、150~450μm、150~400μm、200~600μm、
200~500μm、200~450μm、200~400μm、250~600μm、
250~500μm、250~450μm、250~400μm、300~600μm、
300~500μm、300~450μm、300~400μm、400~600μm、
400~500μm、又は450~600μmの平均直径と、0.3~2.5mm、0.
3~2mm、0.3~1.5mm、0.3~1mm、0.5~2.5mm、0.5~2m
m、0.5~1.5mm、0.5~1mm、1~2.5mm、又は1~2mmの深さとを
有する。
【0032】
フラクショナルレーザーアブレーションのスポットサイズもまた様々であることができ
る。本開示の目的と矛盾しない任意のスポットサイズを使用することができる。いくつか
の例では、例えば、スポットサイズは0.1~1mm又は0.1~0.5mmである。
【0033】
また、本明細書に記載のフラクショナルレーザーアブレーションステップに使用される
レーザー又はレーザービームは、本開示の目的と矛盾しない任意の出力及び任意の最大又
は平均発振波長を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、フラクショナ
ルレーザーアブレーションに使用されるレーザー又はレーザービームは、電磁スペクトル
のIR領域に最大又は平均発振波長を有する。いくつかのこのような例では、フラクショ
ナルレーザーアブレーションに使用されるレーザー又はレーザービームは、1~4μm、
1~3μm、2~4μm、2~3μm、8~12μm、又は9~11μmの範囲に最大又
は平均発振波長を有する。例えば、いくつかの実施形態では、フラクショナルレーザーア
ブレーションは、好ましくは、Er:YAGレーザー又はレーザービームを用いて行われ
る。他の例では、フラクショナルレーザーアブレーションは、炭酸ガスレーザー又はレー
ザービームを用いて行われる。さらに、いくつかの例では、フラクショナルレーザーアブ
レーション又はコアグレーションに使用されるレーザー又はレーザービームは、1から1
00Wの平均出力を有する。
【0034】
また、いくつかの好ましい実施形態では、フラクショナルレーザーアブレーションは、
レーザースキャナーを用いて行われる。このような「レーザースキャナー」は、フルフィ
ールドレーザーアブレーションとの関連で上述したものと類似又は同一の装置を指す。ま
た、フラクショナルスキャナーは、対象の領域の一部に単一の小ビームを照射するか又は
対象の領域の一部と相互作用するパターンとして方向付けることができる複数の小スポッ
トの配列を照射する要素を有することができる。このようなフラクショナルスキャナーは
、適宜に取り外され、追加され、又は調整された付加的な光学部品を有するフルフィール
ドスキャナーに類似することができる。
【0035】
本明細書に記載のフラクショナルレーザーアブレーションステップは、本開示の目的と
矛盾しない任意のレーザーシステムを用いて行うことができることがさらに理解されるべ
きである。このようなシステムは、例えば、フラクショナルレーザーアブレーションのた
めの上述の特性を有するレーザービームを生成するように動作可能なレーザー、ならびに
レーザービームを患者及び/又は創傷床の所望の位置に向けるための1つ以上のレンズ、
ミラー、アクチュエーター、又は他のハードウェア若しくはソフトウェアを含むことがで
きる。1つの例示的なシステムを以下のセクションIIにおいてさらに説明する。
【0036】
理論に縛られるつもりはないが、本明細書に記載のフラクショナルレーザーアブレーシ
ョンステップを行うことは、血管形成、宿主細胞外マトリックス(ECM)形成、炎症の
減少、創傷床における細胞老化の減少、及び/又はより深くより健康な宿主組織から創傷
床への宿主好中球、他の白血球、サイトカイン及び/又は成長因子の数及び/又は侵入の
改善に至る反応のような、宿主免疫反応又は他の創傷治癒反応を促進することができると
考えられる。
【0037】
また、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法のフラクショナルレーザーアブ
レーションは、本質的にフルフィールドレーザーアブレーションが終了すると「同時に」
開始され、臨床的観点から、2つの治療法が順番に行われる。例えば、いくつかの例では
、フラクショナルレーザーアブレーションは、フルフィールドレーザーアブレーションが
終了した後1時間以内、30分以内、20分以内、15分以内、10分以内、5分以内、
3分以内、又は1分以内に開始される。いくつかの例では、フラクショナルレーザーアブ
レーションは、フルフィールドレーザーアブレーションと同時に若しくはほぼ同時に、又
はフルフィールドレーザーアブレーションと部分的に時間的に重複して行うことも可能で
ある。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のレーザーは、同じレーザー発
射でフルフィールド及びフラクショナルの両方の方法で創傷床を治療するのに必要な特性
(例えば、最大出力、スポット数、スポットサイズ、スポット位置)を同時に含むビーム
形状を有する。他の例では、レーザースキャナーは、それ自体が走査中に2つの光学的な
構成、すなわち、フルフィールドモードとフラクショナルモードとを迅速に切り替えるよ
うに制御又は構成される。さらに他の例では、フラクショナルアブレーションは創傷床(
例えば、創傷床の第1の領域又は場所)で開始され、フルフィールドアブレーションは他
の場所(例えば、創傷床の第2の領域又は場所)で終了する。また、いくつかの実施形態
では、フルフィールドアブレーションの後又はそれに起因して創傷床に入るあらゆる血液
は、フラクショナルレーザーアブレーションの開始前に除去される。例えば、いくつかの
例では、このような血液は、創傷床の所与の位置又は領域においてフルフィールドレーザ
ーアブレーションとフラクショナルレーザーアブレーションとの間に吸い取り又は拭き取
りによって除去される。
【0038】
本明細書に記載の方法は、いくつかの実施形態では、創傷床においてフルフィールドレ
ーザーアブレーションを行う前を含めて、創傷床において創面切除を行うことをさらに含
む。また、いくつかの例では、創面切除を行うことは、創傷床に点状出血を生じさせる。
創面切除を行うことにより、本明細書に記載の方法の後続のステップのために創傷床を準
備することができる。また、このような創面切除「前処理」は、創傷床から、特に創傷縁
部において、かなりの量の固くなった壊死組織を除去するのに使用することができる。例
えば、いくつかの例では、創面切除は、2mmまで又は3mmまでの組織を除去すること
ができ、記載された長さは、創面切除前の創傷又は創傷床の表面からの深さに相当する。
いくつかの実施形態では、創面切除ステップは、創傷床から0.5~3mm、0.5~2
.5mm、0.5~2mm、1~3mm、1~2.5mm、1~2mm、又は2~3mm
の組織を除去する。
【0039】
創面切除は、本開示の目的と矛盾しない任意の方法で行うことができる。例えば、いく
つかの例では、創面切除を行うことは、シャープな創面切除を行うことを含む。代わりに
、他の例では、創面切除を行うことは、レーザー創面切除を行うことを含む。「前処理」
創面切除ステップとしてのこのようなレーザー創面切除は、本明細書に記載の方法の他の
レーザー治療ステップとは異なることができることが理解されるべきである。特に、この
ようなレーザー創面切除は、本明細書に記載のフルフィールドレーザーアブレーションス
テップ及びフラクショナルレーザーアブレーションステップとは異なる。
【0040】
いくつかの例では、本明細書に記載の方法から創面切除を完全に省略することができる
ことがさらに理解されるべきである。いくつかの実施形態では、例えば、それほど深刻で
ない創傷は、シャープな創面切除ステップなどの創面切除ステップを排除又は省略するこ
とによって治療することができ、代わりに上述のようなフルフィールドレーザーアブレー
ションステップを使用してフラクショナルレーザーアブレーションのためにそれ以外には
未治療の創傷床を十分に準備することができる。いくつかのこのような例では、フルフィ
ールドレーザーアブレーションは、点状出血の点まで組織を除去するのに必要なフルフィ
ールドレーザーの「通過」の走査深度及び所望の数を用いて行うことができる。
【0041】
上述のように、本明細書に記載の方法は、創傷床に存在するバイオフィルムが再形成す
る能力及び/又はさもなければ抗生物質治療、他の治療、創傷に対する宿主免疫反応の有
効性を制限する能力を妨げるか又は破壊することによって、創傷治癒、特に慢性創傷治癒
を劇的に改善することができると考えられる。したがって、いくつかの実施形態では、本
明細書に記載の方法は、創傷微生物叢及び創傷床表面を「リセット」することができる。
先と同様に理論に縛られるつもりはないが、本明細書に記載の方法は、この利益を様々な
方法で提供することができると考えられる。例えば、いくつかの場合において、この方法
は、フルフィールドレーザーアブレーションを行う前に、創傷床に存在するバイオフィル
ム又は残存バイオフィルムの少なくとも85%を除去する。いくつかの例では、この方法
は、フルフィールドレーザーアブレーションを行う直前に、創傷床にあるバイオフィルム
又は残存バイオフィルムの少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%
を除去する。
【0042】
また、本明細書に記載の方法は、いくつかの例では、創面切除ステップ、フルフィール
ドレーザーアブレーションステップ、及び/又はフラクショナルレーザーアブレーション
ステップの後に創傷床において1つ以上の追加の治療を行うことをさらに含む。本開示の
目的と矛盾しない任意のこのような追加の治療を使用することができる。例えば、いくつ
かの例では、追加の治療は、抗生物質を創傷に塗布すること、創傷を乾燥させること、及
び/又は創傷に紫外線を照射することを含む。本明細書中にさらに記載されるように、本
明細書に記載のフルフィールドレーザーアブレーションステップ及びフラクショナルレー
ザーアブレーションステップを行うことは、宿主が治療される創傷を自己修復することを
可能にするだけでなく、抗生物質治療などの従来の非レーザーアブレーション創傷治療の
有効性も高めることができると考えられる。
【0043】
また、上述のように、本明細書に記載の方法は、それ自体「創傷」を構成するかどうか
分からない損傷組織を治療するのにも使用できることにさらに留意すべきである。例えば
、いくつかの例では、本明細書に記載の方法は、創傷でない損傷組織部位においてフルフ
ィールドレーザーアブレーションを行うことと、続いて創傷でない損傷組織部位において
フラクショナルレーザーアブレーションを行うこととによって、創傷以外の損傷組織部位
を治療することを含む。このような場合、創傷を治療するための上記のステップのいずれ
も、創傷でない損傷組織部位を治療するのと同じ方法又は実質的に同じ方法で行うことが
できることがさらに理解されるべきである。
【0044】
また、本明細書に記載の方法は、本開示の目的と矛盾しない、上記のステップ又は他の
特徴の任意の組み合わせを含むことができることがさらに理解されるべきである。例えば
、本明細書に記載の任意の創面切除ステップは、本明細書に記載の任意のフルフィールド
レーザーアブレーションステップ又はフラクショナルレーザーアブレーションステップ及
び/又はレーザー機能と組み合わせることができる。同様に、本明細書に記載の方法は、
本明細書に記載の任意のシステム又は装置を用いて行うことができる。
【0045】
II.創傷を治療するためのシステム又は装置
別の態様において、創傷(又は他の損傷組織部位)を治療するためのシステム又は装置
が本明細書に記載されている。このようなシステム又は装置は、上記のセクションIに記
載された方法を行うために使用できることが理解されるべきである。いくつかの例では、
このようなシステム又は装置は、同一患者の創傷(又は他の損傷組織部位)においてフル
フィールドレーザーアブレーション及びフラクショナルレーザーアブレーションを交互に
又は順番になど、選択的に行うように構成されるレーザーを含む。いくつかのこのような
例では、レーザーは、レーザーが創傷(又は他の損傷組織部位)においてフルフィールド
レーザーアブレーションを行った後に、創傷(又は他の損傷組織部位)においてフラクシ
ョナルレーザーアブレーションを行うように構成される。また、いくつかの例では、本明
細書に記載のシステム又は装置は、単一のレーザーではなく複数のレーザーを含む。例え
ば、いくつかの実施形態では、システム又は装置は、フルフィールドレーザーアブレーシ
ョンを行うように構成された第1のレーザーと、フラクショナルレーザーアブレーション
を行うように構成された第2のレーザーとを含む。また、いくつかの実施形態では、シス
テム又は装置は、システム又は装置のレーザーによって(例えば、第1のレーザーによっ
て)生成される第1のレーザービームを患者及び/又は創傷床(又は創傷でない損傷組織
部位)の所望の位置に向けるための1つ以上の第1のレンズ、ミラー、アクチュエーター
、又は他のハードウェア若しくはソフトウェアをさらに含む。システム又は装置はまた、
システム又は装置のレーザーによって(例えば、第1のレーザーを生成するのに使用され
たのと同じレーザーによって、又は第2のレーザーによって)生成される第2のレーザー
ビームを患者の所望の位置及び/又は創傷床(又は創傷でない損傷組織部位)の所望の位
置に向けるための1つ以上の第2のレンズ、ミラー、アクチュエーター、又は他のハード
ウェア若しくはソフトウェアを含む。また、いくつかの例では、本明細書に記載のシステ
ム又は装置は、本明細書に記載の複数のレーザービーム(例えば、第1のレーザービーム
及び第2のレーザービーム)を同時に又は順番に提供することを含む、システム又は装置
の1つ以上のレーザー(第1のレーザー及び第2のレーザーなど)の動作を調整又は自動
化するためのハードウェア及び/又はソフトウェアをさらに含む。
【0046】
いくつかの例では、本明細書に記載のシステム又は装置の1つ又は複数のレーザー(例
えば、第1のレーザー及び第2のレーザー)は、同一患者の創傷においてフルフィールド
レーザーアブレーション及びフラクショナルレーザーアブレーションを連続して行う。い
くつかのこのような例では、例えば、レーザー(又は第2のレーザー)は、同じレーザー
(又は第1のレーザー)が創傷においてフルフィールドレーザーアブレーションを行った
後に、創傷においてフラクショナルレーザーアブレーションを行う。いくつかの例では、
フラクショナルレーザーアブレーションは、フルフィールドレーザーアブレーションと同
時に若しくはほぼ同時に、又はフルフィールドレーザーアブレーションと部分的に時間的
に重複して行うことも可能である。
【0047】
本開示による、全体として50で示される1つの例示的な装置を図7~9に概略的に示
す。図7は、フルフィールド及びフラクショナル「兼用の」走査ハンドピース装置の外観
非対称図を示す。図8は、兼用の走査ハンドピース装置の上面図を示す。図9は、線9-
9に沿って見たときの管66の長軸に沿った図8の装置の断面図を示す。特に図9を参照
すると、フルフィールドスキャナー及びフラクショナルスキャナーの両方が、電気コネク
ター52、x検流計54、y検流計56、xミラー58、yミラー59、及び集束レンズ
60からなる共通の要素を使用する。部分的なシナリオでは、可動レンズ62を使用中の
光路から外に移動させて、創傷において分割されたビーム配列を作り出すことができる。
フルフィールドの大きいビームは、少なくとも2つの方法で得ることができる。第1のシ
ナリオでは、フライアイアセンブリ64及び可動レンズ62の両方を使用中のビーム経路
から取り除いて、フルフィールドの(分割されていない)ビームを得ることができる。第
2のフルフィールドシナリオでは、フライアイアセンブリ64と可動レンズ62の両方が
ビーム経路内に残される。また、集束レンズ60及び可動レンズ62を管66の軸に沿っ
て再調整して、2つの走査モード、フラクショナル及びフルフィールドに対する適切なビ
ームパラメーターを決定することができる。差し込み支持棒68は、走査ハンドピースか
らアブレーションの標的とされる領域までの所望の距離を確実にする。1つ以上の固定レ
ンズ69が、差し込み支持棒68に近接して配置されかつアブレーションの標的とされる
領域から間隔を置いて配置されることができる。
【0048】
全体として70で示される更なる例示的な装置を図10~11に示す。特に図11を参
照すると、装置70は、その中に可動アセンブリ74を収容するように構成されたレンズ
ハウジング72を含む。アセンブリ74は、管79の内部に形成された光路に対して個別
に又は同時に移動可能である可動レンズ及びフライアイレンズを含むことができる。ハウ
ジング72及びアセンブリ74は、前カバー76と後カバー78との間で少なくとも部分
的に密封されることができる。アセンブリ74又はその一部は、アクチュエーター80を
用いて使用中の光路内又は使用中の光路外に位置決め可能であることができる。フラクシ
ョナルのシナリオでは、可動アセンブリ74の可動レンズ又はフライアイレンズのいずれ
かを使用中の光路から外に移動させて、創傷に分割されたビーム配列を作り出すことがで
きる。もう一つのフルフィールドのシナリオでは、フルフィールドの大きいビームは、ア
センブリ74の可動レンズ及びフライアイレンズを使用中のビーム経路外に作動させてフ
ルフィールド(非分割)ビームをもたらすことによって得ることができる。代わりに、ア
センブリ74の可動レンズとフライアイレンズの両方をビーム経路内に残すことができる
。差し込み支持棒82は、走査ハンドピース装置70からアブレーションの標的とされる
領域までの所望の距離を確実にする。
【0049】
本明細書に記載のシステム又は装置の特定の構成要素に目を向けると、本明細書に記載
のシステム又は装置は、第1のレーザー及び第2のレーザーなどの1つ以上のレーザーを
含む。「レーザー」は、単一のレーザー媒質から単一のレーザー光のビームを生成する単
一の装置を指すことができることが理解されるべきである。本開示の目的と矛盾しない任
意のレーザーを第1のレーザー及び/又は第2のレーザーに使用することができる。特に
、上記のセクションIに記載されている任意のレーザーを使用することができる。例えば
、いくつかの好ましい実施形態では、レーザー(第1のレーザー及び/又は第2のレーザ
ーなど)はレーザースキャナーを含む。また、いくつかの好ましい実施形態では、レーザ
ー(第1のレーザー及び/又は第2のレーザーなど)はEr:YAGレーザーを含む。
【0050】
本明細書に記載のシステム又は装置は、いくつかの実施形態では、1つ以上のレーザー
ビームを所望の位置に向けるための1つ以上のレンズ、ミラー、アクチュエーター、又は
他のハードウェア若しくはソフトウェアをさらに含む。本開示の目的と矛盾しない任意の
レンズ、ミラー、アクチュエーター、又は他のハードウェア若しくはソフトウェアを使用
することができる。多くの適切なレンズ、ミラー、アクチュエーター、又は他のハードウ
ェア若しくはソフトウェアは、当業者には容易に分かるであろう。
【0051】
また、いくつかの例では、本明細書に記載のシステム又は装置は、システム又は装置の
1つ以上のレーザー(本明細書に記載のシステムの第1のレーザー及び第2のレーザーな
ど)の動作を調整又は自動化するためのハードウェア及び/又はソフトウェアをさらに含
む。本開示の目的と矛盾しない任意のこのようなハードウェア及び/又はソフトウェアを
使用することができる。また、様々な好適なハードウェア及びソフトウェアの構成要素が
当業者には容易に分かるであろう。
【0052】
また、本明細書に記載のシステム又は装置は、上記の構成要素又は特徴の任意の組み合
わせを含むことができることが理解されるべきである。例えば、上記の任意のレーザー(
又はレーザーの組み合わせ)を、本明細書に記載の任意の追加のハードウェア及び/又は
ソフトウェアと組み合わせて使用することができる。
【0053】
本明細書に記載のいくつかの実施形態を、以下の非限定的な実施例においてさらに説明
する。
【0054】
実施例1
慢性創傷の治療法
本明細書に記載の一実施形態による慢性創傷を治療する方法を以下のように行った。患
者は、重度の末梢神経障害と末梢血管疾患を患う、非常に元気な50歳の糖尿病患者であ
った。患者は右下腿切断を受けていた。患者は、2015年9月に左足外側の重度のワグ
ナーIIIの糖尿病性足潰瘍を発症した。患者はバイオフィルムに基づく創傷管理を受け
、2015年10月23日の時点で、患者は引き続き左足外側の中足骨を含む深部糖尿病
性足潰瘍を患っていた。患者は、本明細書のセクションIに記載されるレーザーアブレー
ション治療を開始した。1ヶ月以内に創傷は骨を覆って埋められ、ほぼ創傷表面まで達し
た。2015年12月23日までに患者の創傷は治癒した。本明細書に記載の方法に従っ
て治療を開始する前に、患者は左脚を切断するように勧められた。このような切断は、本
明細書に記載の創傷治療の有効性により必要とされなかった。
【0055】
実施例2
慢性創傷の治療法
本明細書に記載の一実施形態による慢性創傷を治療する方法を以下のように行った。患
者は、管理されていない重度の真性糖尿病の非常に元気な59歳の男性であった。患者は
左下脚のワグナーIVの糖尿病性足潰瘍を発症した。患者は踵骨及びアキレス腱の障害を
受け、膝上、又は最低でも膝下のいずれかで下肢大切断を行うことが推奨された。患者は
まず保守的な管理を試してみたかった。2015年12月14日の時点で、ふくらはぎの
皮膚の著しい喪失、ならびに創傷周囲領域及びその周辺での著しい痂皮及び浸軟を伴う踵
骨及びアキレス腱の障害があった。患者は、上記のセクションIレーザー管理に記載され
るレーザーアブレーション治療を開始し、今日までに5回の治療を受けた。治療開始後お
よそ3週間で、浸軟は消え、創傷床は著しく改善し、ふくらはぎの領域全体に再上皮化が
あった。2016年2月1日までに、踵骨周辺深部の欠陥の大部分が治癒した。創傷の8
0%を超える再上皮化があった。踵骨領域にはまだ痂皮形成があったが、治癒の明確な証
拠があった。この創傷が治癒し、患者が下肢を失うことがないことは明らかであった。
【0056】
本明細書で意図される更なる例示的な実施形態は以下の通りである。
実施形態1:創傷を治療する方法であって、
創傷の創傷床においてフルフィールドレーザーアブレーションを行うことと、
続いて創傷床においてフラクショナルレーザーアブレーションを行うことと
を含む方法。
実施形態2:フラクショナルレーザーアブレーションは、フルフィールドレーザーアブレ
ーションが終了した後10分以内に開始される、実施形態1の方法。
実施形態3:フルフィールドレーザーアブレーションは、フルフィールドレーザーアブレ
ーションの直前に創傷床に存在するバイオフィルム及び/又は壊死組織の少なくとも90
%を除去する、実施形態1及び2のいずれかの方法。
実施形態4:フラクショナルレーザーアブレーションは、創傷床の表面積の35%までに
150~600μmの平均直径及び2mmまでの平均深さを有する穴を生成する、実施形
態1から4のいずれかに記載の方法。
実施形態5:フルフィールドレーザーアブレーション及び/又はフラクショナルレーザー
アブレーションは、レーザースキャナーを用いて行われる、実施形態1から3のいずれか
に記載の方法。
実施形態6:フルフィールドレーザーアブレーションとフラクショナルレーザーアブレー
ションの両方が、レーザースキャナーを用いて行われる、実施形態5に記載の方法。
実施形態7:フルフィールドレーザーアブレーション及び/又はフラクショナルレーザー
アブレーションは、Er:YAGレーザーを用いて行われる、実施形態1から6のいずれ
かに記載の方法。
実施形態8:フルフィールドレーザーアブレーションとフラクショナルレーザーアブレー
ションの両方が、Er:YAGレーザーを用いて行われる、実施形態7に記載の方法。
実施形態9:創傷床においてフルフィールドレーザーアブレーションを行う前に創傷床に
おいて創面切除を行うことをさらに含む、実施形態1から8のいずれかに記載の方法。
実施形態10:創面切除を行うことは、創傷床に点状出血を生じさせる、実施形態9に記
載の方法。
実施形態11:創面切除を行うことは、シャープな創面切除を行うことを含む、実施形態
9に記載の方法。
実施形態12:創面切除を行うことは、レーザー創面切除を行うことを含む、実施形態9
に記載の方法。
実施形態13:方法は、フルフィールドレーザーアブレーションを行う前に、創傷床に存
在するバイオフィルム又は残存バイオフィルムの少なくとも85%を除去する、実施形態
1から12のいずれかに記載の方法。
実施形態14:創傷は慢性創傷である、実施形態1から13のいずれかに記載の方法。
実施形態15:創傷を治療するための装置であって、
フルフィールドレーザーアブレーション及びフラクショナルレーザーアブレーションを行
うように構成されたレーザー
を含む装置。
実施形態16:レーザーは、同一患者の創傷においてフルフィールドレーザーアブレーシ
ョン及びフラクショナルレーザーアブレーションを連続して行う、実施形態15に記載の
装置。
実施形態17:レーザーは、レーザーが創傷においてフルフィールドレーザーアブレーシ
ョンを行った後に、創傷においてフラクショナルレーザーアブレーションを行う、実施形
態16に記載の装置。
実施形態18:レーザーはレーザースキャナーを含む、実施形態1から17のいずれかの
装置。
実施形態19:レーザーはEr:YAGレーザーを含む、実施形態1から18のいずれか
に記載の装置。
実施形態20:装置は、創傷を有する患者及び/又は創傷の創傷床の1つ以上の所望の位
置にレーザーによって生成される1つ以上のレーザービームを向けるための1つ以上のレ
ンズ、ミラー、及び/又はアクチュエーターをさらに含む、実施形態1から19のいずれ
かに記載の装置。
【0057】
本発明の様々な実施形態を、本発明の様々な目的を達成するために説明してきた。これ
らの実施形態は本発明の原理の単なる例示にすぎないことが認識されるべきである。当業
者には、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、実施形態の多数の修正及び適合が
容易に明らかとなろう。
図1
図2
図3
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図7
図8
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図11