(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】ヒトIL-27のαサブユニットの分泌可能なムテイン
(51)【国際特許分類】
C12N 15/24 20060101AFI20230324BHJP
A61K 38/20 20060101ALI20230324BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230324BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20230324BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230324BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20230324BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230324BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230324BHJP
C07K 14/54 20060101ALI20230324BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230324BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230324BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230324BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230324BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230324BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
C12N15/24
A61K38/20
A61P3/10
A61P11/06
A61P29/00
A61P31/00
A61P35/00
A61P37/02
C07K14/54 ZNA
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N15/63 Z
C12P21/02 K
(21)【出願番号】P 2019560107
(86)(22)【出願日】2018-05-04
(86)【国際出願番号】 EP2018061561
(87)【国際公開番号】W WO2018202876
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-04-30
(32)【優先日】2017-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513306280
【氏名又は名称】テクニッシェ ウニヴェルズィテート ミュンヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】フィージ マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー ステファニー
【審査官】長谷川 強
(56)【参考文献】
【文献】Database NCBI Reference Sequence [online], NP_663634, 2016-10-15uploaded, [retrieved on 2022-04-20], <https://www.ncbi.nlm.nih.gov/protein/28416913?sat=46&satkey=69182784>,Definition: interleukin-27 subunit alpha precursor [Homo sapiens]
【文献】Database NCBI Reference Sequence [online], XP_003281965, 2015-05-13uploaded, [retrieved on 2022-04-19], < https://www.ncbi.nlm.nih.gov/protein/332265926?sat=47&satkey=95882820>, Definition: PREDICTED: interleukin-27subunit alpha [Nomascus leucogenys]
【文献】Database NCBI Reference Sequence [online], NP_663611, 2015-02-15uploaded, [retrieved on 2022-04-20], < https://www.ncbi.nlm.nih.gov/protein/21704110?sat=46&satkey=70707665>, interleukin-27 subunit alpha precursor[Mus musculus]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/24
A61K 38/20
A61P 3/10
A61P 11/06
A61P 29/00
A61P 31/00
A61P 35/00
A61P 37/02
C07K 14/54
C12N 1/15
C12N 1/19
C12N 1/21
C12N 5/10
C12N 15/63
C12P 21/02
UniProt/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SEQ ID NO: 1のヒトインターロイキン27αサブユニットの分泌可能なムテインであって、SEQ ID NO: 1の配列位
置161、16
2および16
3のうち1つにあるアミノ酸残基がシステインに置換されており、該ムテインが、ヒトインターロイキン27αサブユニットの活性を有する、前記ムテイン。
【請求項2】
1つもしくは複数の塩橋、1つもしくは複数のジスルフィド架橋、または1つもしくは複数の塩橋および1つもしくは複数のジスルフィド架橋の両方を含む、請求項1記載のムテイン。
【請求項3】
αサブユニットp28およびβサブユニットEBI3を含むヒトインターロイキン27の分泌可能なムテインであって、該αサブユニットが、請求項1または2に記載のSEQ ID NO: 1のヒトインターロイキン27αサブユニットの分泌可能なムテインである、ムテイン。
【請求項4】
1つまたは複数の塩橋を含む、請求項3記載のムテイン。
【請求項5】
1つまたは複数のジスルフィド架橋を含む、請求項3または4に記載のムテイン。
【請求項6】
請求項3~5のいずれか一項に記載のヒトインターロイキン27の分泌可能なムテインまたは請求項1もしくは2に記載のヒトインターロイキン27のαサブユニットの分泌可能なムテインをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子。
【請求項7】
SEQ ID NO: 2
、SEQ ID NO:
4またはSEQ ID NO:
5のムテインをコードするヌクレオチド配列を含む、請求項6に記載の核酸分子。
【請求項8】
請求項6または7に記載の核酸分子を含む宿主細胞。
【請求項9】
医薬として使用するための、請求項1~5のいずれか一項に記載のムテイン。
【請求項10】
感染症、自己免疫疾患、がん、移植関連疾患、慢性炎症性疾患、急性炎症性疾患、敗血症、敗血症性ショック、糖尿病、または喘息の治療に使用するための、請求項1~5のいずれか一項に記載のムテイン。
【請求項11】
請求項6または7に記載の核酸分子によってコードされる、請求項1~5のいずれか一項に記載のムテインを生産するインビトロの方法であって、
(a)ムテインの発現用の調節配列に機能的に連結させた前記核酸分子を、適切な宿主細胞、細胞抽出物、または細胞溶解物に導入するステップ;および
(b)適切な条件下でムテインを発現させるステップ
を含む、方法。
【請求項12】
SEQ ID NO: 10のマウスインターロイキン27のαサブユニットの分泌不能のムテインであって、アミノ酸位置158のシステイン残基がロイシン残基に置換されている、ムテイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能な(secretion-competent)ムテイン(変異タンパク質)、およびαサブユニットがヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインである、ヒトヘテロ二量体インターロイキン27の分泌可能なムテインに関する。本発明はまた、ヒトインターロイキン27のαサブユニットの分泌可能なムテインに関し、ここで、該ムテインはヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有する。本発明はまた、ヒトヘテロ二量体インターロイキン27の分泌可能なムテインに関し、ここで、そのαサブユニットはヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有する。インターロイキン27はαサブユニットp28とβサブユニットEBI3で構成されている。本発明はさらに、本明細書に記載されているヒトインターロイキン27のαサブユニットの分泌可能なムテインをコードするか、またはαサブユニットがヒトインターロイキン27のαサブユニットの分泌可能なムテインである、ヒトヘテロ二量体インターロイキン27の分泌可能なムテインをコードする、ヌクレオチド配列を含む核酸分子に関する。本発明はさらに、本明細書に記載されているヒトインターロイキン27のαサブユニットの分泌可能なムテイン、またはαサブユニットがヒトインターロイキン27のαサブユニットの分泌可能なムテインである、ヒトヘテロ二量体インターロイキン27の分泌可能なムテイン、をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を含有する宿主細胞に関する。本発明はまた、本明細書に記載されているヒトインターロイキン27のαサブユニットの分泌可能なムテイン、またはαサブユニットがヒトインターロイキン27のαサブユニットの分泌可能なムテインである、ヒトヘテロ二量体インターロイキン27の分泌可能なムテイン、を含む免疫モジュレーター(immune modulator);医薬の製造のための、本明細書に記載されているヒトインターロイキン27のαサブユニットの分泌可能なムテインまたは本明細書に記載されているヒトヘテロ二量体インターロイキン27の分泌可能なムテインの使用;本発明のムテインを含む組成物を、それを必要とする哺乳動物に投与するステップを含む、インターロイキン27介在性疾患を治療する方法;ならびに本明細書に記載されているヒトインターロイキン27のαサブユニットの分泌可能なムテイン、またはαサブユニットがヒトインターロイキン27のαサブユニットの分泌可能なムテインである、ヒトヘテロ二量体インターロイキン27の分泌可能なムテイン、またはヒトインターロイキン27のαサブユニットに対して少なくとも76%の配列同一性を有する分泌可能なムテインを生産する方法に関する。さらに、本発明は、感染症、自己免疫疾患、がん、移植片対宿主病などの移植関連疾患、慢性炎症性腸疾患などの慢性炎症性疾患、急性炎症性疾患、敗血症、敗血症性ショック、糖尿病、または喘息の治療に使用するための、本明細書に記載されているムテインに関する。本発明はさらに、マウスインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 10)の分泌不能の(secretion-incompetent)ムテインに関し、ここで、アミノ酸位置103および158の2つのシステイン残基のうちの少なくとも1つは変異または欠失している。そのような変異または欠失のために、一般的には分泌可能なマウスインターロイキン27のα-サブユニット(SEQ ID NO: 10)は分泌不能になり、このことは、その分泌が今やEBI3の存在に依存していることを意味する。それにより、マウスインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 10)はヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)のようにふるまい、このことは、ヒト免疫システムをイメージすることを目指すマウスモデルにとって極めて必要なことである。
【0002】
本発明はまた、マウスインターロイキン27のβサブユニット(SEQ ID NO: 35)の分泌可能なムテインであって、アミノ酸位置198のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異または欠失している、ムテインを提供する。インターロイキン27のヒトβサブユニットは単独で分泌され得るが、もともと、インターロイキン27のマウスβサブユニットは分泌不能である。本明細書に記載されているマウスインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 10)のムテインと、マウスインターロイキン27のβサブユニット(SEQ ID NO: 35)の分泌可能なムテインの両方は、組み合わさってヒトシステムの表現型模写(phenocopy)を示す。
【0003】
さらに、本発明は、αサブユニットp28およびβサブユニットEBI3を含むマウスインターロイキン27のムテインをも提供し、ここで、該αサブユニットは、本明細書に記載されているマウスインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 10)の分泌不能のムテインであり、かつ/または該βサブユニットは、本明細書に記載されているマウスインターロイキン27のβサブユニット(SEQ ID NO: 35)の分泌可能なムテインである。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
ヒトの免疫システムの中心的な理念は、炎症性反応と抗炎症性反応のバランスのとれた調節である。これにより、宿主を防御しながら脅威を速やかに根絶することが可能である。インターロイキン類(ILs)は、炎症性および抗炎症性の反応を媒介してこのバランスを維持する、構造的に多様な小さい分泌タンパク質である。その中で、インターロイキン12(IL-12)ファミリーは、4種の確立されたメンバー(IL-12、IL-23、IL-27、およびIL-35)を含み1、このバランスのとれた免疫調節の概念をよく表している:IL-12およびIL-23は主に炎症性サイトカインであるが、IL-35は免疫抑制の役割を果たす1, 2。IL-27は機能的に多様であって、免疫調節性の炎症性および抗炎症性機能があり、さまざまなタイプのT細胞に作用する3。それは炎症性反応を促進し、かつIL-12と協力して、ナイーブT細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞によるインターフェロンγ(IFNγ)産生を誘導することができる4;しかし、IL-27はまた、抗炎症性サイトカインとしてIL-10を誘導するか5-7、またはTH17細胞の応答を抑制することによって8, 9、免疫反応を抑えることもできる。このTH17細胞は、多種多様な免疫介在性ヒト疾患でのその役割のために注目されている細胞型である10。
【0005】
インターロイキン12(IL-12)サイトカインは、T細胞の機能と発生を調節しており、炎症性反応と抗炎症性反応に決定的な影響を与える。各ファミリーメンバーはヘテロ二量体であり、さらにそれらの分離されたサブユニットも免疫反応を調節している。これは、IL-12ファミリーに比類なき調節能力を付与するが、それらの生合成に高い要求をも突き付ける。本発明の発明者らは、驚くべきことに、IL-12ファミリーサブユニットが自律的に分泌されて、独立したサイトカインとして作用するかどうか、またはそれらが分泌に関してヘテロ二量体化に依存するかどうかが、単一のアミノ酸の違いによって決定されることを見出した。
【0006】
しかしながら、IL-12ファミリーが共有する特徴は、自然免疫と適応免疫を結び付ける上でこの中心的な役割を超えている。全てのIL-12サイトカインは、このファミリーを他のインターロイキンから区別する構造的な特質を示す:IL-12ファミリーの各メンバーは、4ヘリックスバンドルαサブユニット(それぞれ、IL-12α/p35、IL-23α/p19およびIL-27α/p28)と、2つのフィブロネクチン(Fn)ドメイン(EBI3)または2つのFnと1つの免疫グロブリン(Ig)ドメイン(IL-12β/p40)からなるβサブユニットから構成されるヘテロ二量体である11, 12。注目すべきは、免疫反応を調節する上でのそれらの明確な役割にもかかわらず、全てのヘテロ二量体IL-12ファミリーメンバーは、これら3つのαサブユニットと2つのβサブユニットのみから構成されており、さらなるメンバーさえも存在する可能性がある13。IL-12βは炎症性ファミリーのメンバーであるIL-12およびIL-23によって共有され、EBI3は免疫調節/抗炎症性メンバーのIL-27およびIL-35によって共有される。これは、このファミリー内のアセンブリ特異性 vs. ごた混ぜ(promiscuity)を媒介する構造的特徴についての重要な問題を提起する。それはまた、タンパク質のフォールディング機構および小胞体(ER)(ここでIL-12ファミリーの全てのメンバーが分泌に先立ってアセンブルされる)での品質管理機構にも余分な要求を突き付ける。IL-12ファミリーサイトカインのフォールディングとアセンブリへの洞察は、これまでのところ非常に制限されている。全てのヒトαサブユニットは単独で細胞内に保持されており、分泌されるためには、そのコグネイトβサブユニットとのアセンブリを必要とすることが示されている4, 14, 15。このファミリーの創設メンバーであるIL-12の場合には、IL-12αサブユニットのIL-12βによるアセンブリ誘導フォールディングがこれらのプロセスの根底にある16。しかし、それ以外では、基礎となるメカニズムは依然はっきりしていない。
【0007】
本発明に関しては、本発明者らは、構造的にあまり特徴付けられていないが、機能的に非常に多様なファミリーメンバーIL-27に注目した。興味深いことに、IL-27が発見されたとき、そのヒトオーソログとは対照的に、マウスIL-27αサブユニット(p28)はβサブユニットなしで単独で分泌され得ることが判明したが、ヒトIL-27αの分泌は厳密にEBI3に依存している4。そして重要なことに、マウスIL-27αサブユニットは、IL-27受容体への結合について競合することにより、IL-27シグナル伝達に免疫調節効果を及ぼすことが示されている17。この違いは、ERにおけるIL-27のアセンブリ制御およびヘテロ二量体IL-27とその分離されたαサブユニットIL-27αとの異なる生理学的役割についての興味深い構造的・進化的問題を提起する。さらに、マウスIL-27αサブユニットは、IL-27シグナル伝達の競合的阻害剤の可能性があるとして、または自律的な免疫調節機能を果たす可能性さえあるとして、検討中である。したがって、そのβサブユニットの存在なしに分泌され得る、ヒトIL-27の分泌可能なαサブユニットがあれば、望ましいだろう。かくして、本発明の目的は、そのような分泌可能なタンパク質を提供することである。本発明の別の目的は、ヒト免疫システムによく似ているマウスモデルの基礎として、そのβサブユニットEBI3と一緒にしか分泌され得ないマウスIL-27αサブユニットを提供することである。
【0008】
こうして、本発明の発明者らは、基礎となる構造的決定要因を分析して、ジスルフィド結合の形成と結び付いた立体構造スイッチがIL-27のαサブユニットのムテインに関する保持 vs. 分泌を調節している、ことを明らかにした。これらの洞察から、本発明者らは、マウスにおいてよりヒトに似たIL-12システムを提供し、ヒトインターロイキンのレパートリーに生物学的に活性な新メンバーを追加する。本発明者らの知見は、生物のサイトカインレパートリーを工学的に操作するために使用できる、タンパク質フォールディングと免疫調節との間の密接な関連を明らかにする。
【発明の概要】
【0009】
第1の局面では、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つは変異している、ムテインを提供する。本発明はまた、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有する、ムテインを提供する。本発明はまた、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160、161、162、163、180、181、および182からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、ムテインを提供する。本発明はまた、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、該ムテインはヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有する、ムテインを提供する。
【0010】
さらなる局面では、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、配列位置160~165のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異しており、かつ/または配列位置180~182のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、ムテインを提供する。本発明はまた、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、配列位置160~163のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異しており、かつ/または配列位置180~182のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、ムテインを提供する。さらに、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有する分泌可能なムテインであって、配列位置160~165のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異しており、かつ/または配列位置180~182のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、ムテインを提供する。さらに、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有する分泌可能なムテインであって、配列位置160~163のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異しており、かつ/または配列位置180~182のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、ムテインを提供する。
【0011】
別の局面では、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、163、164、および165からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、ムテインを提供する。さらに、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有する分泌可能なムテインであって、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、163、164、および165からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、ムテインを提供する。別の局面では、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、および163からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、ムテインを提供する。
【0012】
さらなる局面では、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つがシステインに変異している、ムテインを提供する。さらなる局面では、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160、161、162、163、180、181、および182からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つがシステインに変異している、ムテインを提供する。さらに、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、該ムテインがヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有し、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つがシステインに変異している、ムテインを提供する。さらに、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、該ムテインがヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有し、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160、161、162、163、180、181、および182からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つがシステインに変異している、ムテインを提供する。
【0013】
さらなる局面では、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、163、164、および165からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つがシステインに変異している、ムテインを提供する。さらに、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、該ムテインがヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有し、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、163、164、および165からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つがシステインに変異している、ムテインを提供する。
【0014】
用語「分泌する」または「分泌」とは、細胞から細胞外環境へのタンパク質の能動的な輸送のことである。一般的に、分泌は細胞、例えば真核細胞、の分泌経路を通して起こり、これには一般に小胞体とゴルジ装置が関与している。
【0015】
本発明によるムテインは、該ムテインが細胞の分泌経路および細胞膜を完全に通過することができる場合、「分泌可能である」または「分泌能を有する」。
【0016】
それとは対照的に、用語「分泌可能ではない」ムテインは、本発明の文脈では、細胞から細胞外環境に自然に分泌されないムテインを意味する。この用語はまた、「分泌不能」のムテインが、βサブユニットEBI3が存在するときにのみ、細胞から細胞外環境に分泌され得ることも含む。用語「分泌不能」は、本明細書では、用語「分泌可能ではない」と相互交換可能に使用される。これらの用語は、それぞれのムテインが分泌能の調節を有することをも含み得る。
【0017】
第2の局面では、本発明は、αサブユニットp28とβサブユニットEBI3を含むヘテロ二量体として分泌可能な、ヒトインターロイキン27の分泌可能なムテインであって、該αサブユニットがヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインである、ムテインを提供する。そのさらなる態様では、該αサブユニットは、本明細書に記載されているヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有する、分泌可能なムテインである。
【0018】
第3の局面では、本発明は、本発明による、ヒトインターロイキン27の分泌可能なムテイン、またはヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテイン、をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。そのさらなる態様では、該核酸分子はヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインをコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、該分泌可能なムテインはヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有する。さらに別の局面では、本発明は、治療剤として使用するための、本明細書に記載されている核酸分子を提供する。
【0019】
第4の局面では、本発明は、本発明による核酸分子を含有する宿主細胞をも提供する。
【0020】
第5の局面では、本発明は、本発明によるムテインを含む免疫モジュレーターを提供する。
【0021】
第6の局面では、本発明は、哺乳動物における感染症、自己免疫疾患、がん、移植片対宿主病などの移植関連疾患、慢性炎症性腸疾患などの慢性炎症性疾患、急性炎症性疾患、敗血症、敗血症性ショック、糖尿病、または喘息の治療用の医薬を製造するための、本発明によるムテインの使用を提供する。
【0022】
関連する局面では、本発明は、医薬として使用するための本発明によるムテインを提供する。さらに、本発明は、感染症、自己免疫疾患、がん、移植片対宿主病などの移植関連疾患、慢性炎症性腸疾患などの慢性炎症性疾患、急性炎症性疾患、敗血症、敗血症性ショック、糖尿病、または喘息の治療に使用するための、本発明によるムテインを提供する。
【0023】
本発明はまた、本明細書に記載されているムテインを含む組成物を、それを必要とする哺乳動物に投与するステップを含む、哺乳動物におけるインターロイキン27介在性疾患、好ましくは感染症、自己免疫疾患、がん、移植片対宿主病などの移植関連疾患、慢性炎症性腸疾患などの慢性炎症性疾患、急性炎症性疾患、敗血症、敗血症性ショック、糖尿病、または喘息、を治療する方法を提供する。
【0024】
さらに、本発明は、本明細書に記載されているムテインを生産する方法を提供し、その方法は以下のステップを含む:
ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27のαサブユニットポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、ヒトインターロイキン27の、またはヒトインターロイキン27のαサブユニットの、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドの、配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基を変異させるヌクレオチド配列を導入するステップ;および
得られた発現用の核酸分子を、適切な宿主細胞に、または適切な細胞抽出物もしくは細胞溶解物に導入するステップ。
【0025】
本発明はまた、本明細書に記載されているムテインを産生する方法を提供し、その方法は以下のステップを含む:
ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27のαサブユニットポリペプチドをコードする核酸分子に、ヒトインターロイキン27の、またはヒトインターロイキン27のαサブユニットの、配列位置160、161、162、163、180、181、および182からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基を変異させるヌクレオチド配列を導入するステップ;および
得られた発現用の核酸分子を、適切な宿主細胞に、または適切な細胞抽出物もしくは細胞溶解物に導入するステップ。
【0026】
本発明はまた、本明細書に記載されているムテインを産生する方法を提供し、その方法は以下のステップを含む:
ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27のαサブユニットポリペプチドをコードする核酸分子に、ヒトインターロイキン27の、またはヒトインターロイキン27のαサブユニットの、配列位置161、162、および163からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基を変異させるヌクレオチド配列を導入するステップ;および
得られた発現用の核酸分子を、適切な宿主細胞に、または適切な細胞抽出物もしくは細胞溶解物に導入するステップ。
【0027】
さらに別の局面では、マウスインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 10)の分泌不能のムテインであって、アミノ酸位置103および158にある2つのシステインの少なくとも1つが変異している(すなわち、別のアミノ酸残基に置換されている)かまたは欠失している、ムテインを提供する。これは、この態様では、このムテインの分泌が自律的ではなく、EBI3の存在にかかっていることを意味する。したがって、マウスインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO:10)のこの分泌依存性ムテインは、インターロイキン27のヒトαサブユニット(SEQ ID NO:1)のようにふるまう。
【0028】
別の局面では、本発明はまた、マウスインターロイキン27のβサブユニット(SEQ ID NO: 35)の分泌可能なムテインであって、アミノ酸位置198のアミノ酸残基が変異または欠失している、ムテインを提供する。この態様では、マウスインターロイキン27のβサブユニット(SEQ ID NO: 35)の分泌可能なムテインであって、アミノ酸位置198のアミノ酸残基がチロシンに置換されているもの(SEQ ID NO: 36)を提供することが好ましい。
【0029】
[本発明1001]
ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、ムテイン。
[本発明1002]
ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160、161、162、163、180、181、および182からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、本発明1001のムテイン。
[本発明1003]
ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有する、本発明1001または1002のムテイン。
[本発明1004]
配列位置160~165のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異しており、かつ/または配列位置180~182のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、前記本発明のいずれかのムテイン。
[本発明1005]
ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、163、164、および165からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、前記本発明のいずれかのムテイン。
[本発明1006]
ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つがシステインに変異している、前記本発明のいずれかのムテイン。
[本発明1007]
ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160、161、162、163、180、181、および182からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つがシステインに変異している、前記本発明のいずれかのムテイン。
[本発明1008]
ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、163、164、および165からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つがシステインに変異している、前記本発明のいずれかのムテイン。
[本発明1009]
配列位置160~163のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、前記本発明のいずれかのムテイン。
[本発明1010]
配列位置161~163のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、前記本発明のいずれかのムテイン。
[本発明1011]
配列位置180~182のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、前記本発明のいずれかのムテイン。
[本発明1012]
配列位置160のアミノ酸残基がシステインに置換されている(SEQ ID NO: 3)、前記本発明のいずれかのムテイン。
[本発明1013]
配列位置161のアミノ酸残基がシステインに置換されている(SEQ ID NO: 4)、前記本発明のいずれかのムテイン。
[本発明1014]
配列位置162のアミノ酸残基がシステインに置換されている(SEQ ID NO: 2)、前記本発明のいずれかのムテイン。
[本発明1015]
配列位置163のアミノ酸残基がシステインに置換されている(SEQ ID NO: 5)、前記本発明のいずれかのムテイン。
[本発明1016]
配列位置164のアミノ酸残基がシステインに置換されている(SEQ ID NO: 33)、前記本発明のいずれかのムテイン。
[本発明1017]
配列位置165のアミノ酸残基がシステインに置換されている(SEQ ID NO: 34)、前記本発明のいずれかのムテイン。
[本発明1018]
配列位置180のアミノ酸残基がシステインに置換されている(SEQ ID NO: 6)、前記本発明のいずれかのムテイン。
[本発明1019]
配列位置181のアミノ酸残基がシステインに置換されている(SEQ ID NO: 7)、前記本発明のいずれかのムテイン。
[本発明1020]
配列位置182のアミノ酸残基がシステインに置換されている(SEQ ID NO: 8)、前記本発明のいずれかのムテイン。
[本発明1021]
前記ムテインが1つまたは複数の塩橋をさらに含み、好ましくは、該1つまたは複数の塩橋が、配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182のうちの少なくとも2つを、同等に荷電しているアミノ酸に置換することによって、より好ましくは、配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182のうちの2つを、アスパラギン酸とグルタミン酸またはアルギニンとリシンに置換することによって、構築される、前記本発明のいずれかのムテイン。
[本発明1022]
1つまたは複数のジスルフィド架橋をさらに含む、前記本発明のいずれかのムテイン。
[本発明1023]
αサブユニットp28およびβサブユニットEBI3を含むヒトインターロイキン27の分泌可能なムテインであって、該αサブユニットが本発明1001~1022のいずれかのヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインである、ムテイン。
[本発明1024]
前記αサブユニットがヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有する、本発明1023のムテイン。
[本発明1025]
ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160~165のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異しており、かつ/または配列位置180~182にあるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、本発明1023または1024のムテイン。
[本発明1026]
ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、163、164、および165からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、本発明1023~1025のいずれかのムテイン。
[本発明1027]
ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つがシステインに変異している、本発明1023~1026のいずれかのムテイン。
[本発明1028]
ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、163、164、および165からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つがシステインに変異している、本発明1023~1027のいずれかのムテイン。
[本発明1029]
ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160~163のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、本発明1023~1028のいずれかのムテイン。
[本発明1030]
ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160~163のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つがシステインに変異している、本発明1023~1029のいずれかのムテイン。
[本発明1031]
ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161~163のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、本発明1023~1030のいずれかのムテイン。
[本発明1032]
ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161~163のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つがシステインに変異している、本発明1023~1031のいずれかのムテイン。
[本発明1033]
ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置180~182のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、本発明1023~1032のいずれかのムテイン。
[本発明1034]
ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160のアミノ酸残基がシステインに置換されている、本発明1023~1033のいずれかのムテイン。
[本発明1035]
ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161のアミノ酸残基がシステインに置換されている、本発明1023~1034のいずれかのムテイン。
[本発明1036]
ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置162のアミノ酸残基がシステインに置換されている、本発明1023~1035のいずれかのムテイン。
[本発明1037]
ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置163のアミノ酸残基がシステインに置換されている、本発明1023~1036のいずれかのムテイン。
[本発明1038]
ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置164のアミノ酸残基がシステインに置換されている、本発明1023~1037のいずれかのムテイン。
[本発明1039]
ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置165のアミノ酸残基がシステインに置換されている、本発明1023~1038のいずれかのムテイン。
[本発明1040]
ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置180のアミノ酸残基がシステインに置換されている、本発明1023~1039のいずれかのムテイン。
[本発明1041]
ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置181のアミノ酸残基がシステインに置換されている、本発明1023~1040のいずれかのムテイン。
[本発明1042]
ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置182のアミノ酸残基がシステインに置換されている、本発明1023~1041のいずれかのムテイン。
[本発明1043]
前記ムテインが1つまたは複数の塩橋をさらに含み、好ましくは、該1つまたは複数の塩橋が、配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182のうちの少なくとも2つを、同等に荷電しているアミノ酸に置換することによって、より好ましくは、配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182のうちの2つを、アスパラギン酸とグルタミン酸またはアルギニンとリシンに置換することによって、構築される、本発明1023~1041のいずれかのムテイン。
[本発明1044]
1つまたは複数のジスルフィド架橋をさらに含む、本発明1023~1043のいずれかのムテイン。
[本発明1045]
本発明1001~1044のいずれかのヒトインターロイキン27の分泌可能なムテインまたはヒトインターロイキン27のαサブユニットの分泌可能なムテインをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子。
[本発明1046]
前記ヌクレオチド配列がヒトインターロイキン27のαサブユニットの分泌可能なムテインをコードし、該ムテインがヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有する、本発明1045の核酸分子。
[本発明1047]
SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 3、SEQ ID NO: 4、SEQ ID NO: 5、SEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 7またはSEQ ID NO: 8のムテインをコードするヌクレオチド配列を含む、本発明1045または1046の核酸分子。
[本発明1048]
前記核酸分子の発現を可能にする調節配列に機能的に連結されている、本発明1045~1047のいずれかの核酸分子。
[本発明1049]
前記調節配列がプロモーター配列を含む、本発明1045~1048のいずれかの核酸分子。
[本発明1050]
ベクター内に含まれる、本発明1045~1049のいずれかの核酸分子。
[本発明1051]
本発明1045~1050のいずれかの核酸分子を含有する宿主細胞。
[本発明1052]
本発明1001~1044のいずれかのムテインを含む免疫モジュレーター。
[本発明1053]
哺乳動物、好ましくはヒト、における疾患の治療用の医薬を製造するための、本発明1001~1044のいずれかのムテインの使用であって、該疾患が、好ましくは、哺乳動物における感染症、自己免疫疾患、がん、移植片対宿主病などの移植関連疾患、慢性炎症性腸疾患などの慢性炎症性疾患、急性炎症性疾患、敗血症、敗血症性ショック、糖尿病、または喘息である、使用。
[本発明1054]
医薬として使用するための、本発明1001~1044のいずれかのムテイン。
[本発明1055]
感染症、自己免疫疾患、がん、移植片対宿主病などの移植関連疾患、慢性炎症性腸疾患などの慢性炎症性疾患、急性炎症性疾患、敗血症、敗血症性ショック、糖尿病、または喘息の治療に使用するための、本発明1001~1044のいずれかのムテイン。
[本発明1056]
哺乳動物におけるインターロイキン27介在性疾患、好ましくは、感染症、自己免疫疾患、がん、移植片対宿主病などの移植関連疾患、慢性炎症性腸疾患などの慢性炎症性疾患、急性炎症性疾患、敗血症、敗血症性ショック、糖尿病、または喘息、を治療する方法であって、本発明1001~1044のいずれかのムテインを含む組成物を、それを必要とする哺乳動物に投与するステップを含む、方法。
[本発明1057]
本発明1001~1044のいずれかのムテインを生産する方法であって、
(c)ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、ヒトインターロイキン27またはヒトインターロイキン27のαサブユニットまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドの配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基を変異させるヌクレオチド配列を導入するステップ;ならびに
(d)得られた発現用の核酸分子を、適切な宿主細胞に、または適切な細胞抽出物もしくは細胞溶解物に導入するステップ
を含む、方法。
[本発明1058]
ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置160~165のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つを変異させるヌクレオチド配列を導入する、本発明1057の方法。
[本発明1059]
ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置160~163のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つを変異させるヌクレオチド配列を導入する、本発明1057または1058の方法。
[本発明1060]
ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置161~163のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つを変異させるヌクレオチド配列を導入する、本発明1057~1059のいずれかの方法。
[本発明1061]
ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置180~182のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つを変異させるヌクレオチド配列を導入する、本発明1057~1060のいずれかの方法。
[本発明1062]
ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置160~163のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つをシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入する、本発明1057~1061のいずれかの方法。
[本発明1063]
ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置161~163のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つをシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入する、本発明1057~1062のいずれかの方法。
[本発明1064]
ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置180~182のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つをシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入する、本発明1057~1063のいずれかの方法。
[本発明1065]
ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置160のアミノ酸残基をシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入する、本発明1057~1064のいずれかの方法。
[本発明1066]
ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置161のアミノ酸残基をシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入する、本発明1057~1065のいずれかの方法。
[本発明1067]
ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置162のアミノ酸残基をシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入する、本発明1057~1066のいずれかの方法。
[本発明1068]
ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置163のアミノ酸残基をシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入する、本発明1057~1067のいずれかの方法。
[本発明1069]
ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置164のアミノ酸残基をシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入する(SEQ ID NO: 33)、本発明1057~1068のいずれかの方法。
[本発明1070]
ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置165のアミノ酸残基をシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入する(SEQ ID NO: 34)、本発明1057~1069のいずれかの方法。
[本発明1071]
ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置180のアミノ酸残基をシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入する、本発明1057~1070のいずれかの方法。
[本発明1072]
ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置181のアミノ酸残基をシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入する、本発明1057~1071のいずれかの方法。
[本発明1073]
ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置182のアミノ酸残基をシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入する、本発明1057~1072のいずれかの方法。
[本発明1074]
マウスインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 10)の分泌不能のムテインであって、アミノ酸位置103および158の2つのシステイン残基のうちの少なくとも1つが変異または欠失している、ムテイン。
[本発明1075]
アミノ酸位置103および158の2つのシステイン残基のうちの少なくとも1つが疎水性アミノ酸残基に置換されている、本発明1074のマウスインターロイキン27のαサブユニットの分泌不能のムテイン。
[本発明1076]
アミノ酸位置103および158の2つのシステインのうちの少なくとも1つがセリン、ロイシン、イソロイシンまたはアラニン残基に置換されている、本発明1074または1075のマウスインターロイキン27のαサブユニットの分泌不能のムテイン。
[本発明1077]
ヒトインターロイキン27のαサブユニットのムテインにおいて、配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182のうちの少なくとも1つのアミノ酸残基が、非天然アミノ酸、好ましくはセレノシステインもしくはピロリシン、または共有結合を構築する非天然アミノ酸に置換されていてもよい、本発明1001~1044のいずれかのムテイン。
[本発明1078]
ヒトインターロイキン27のαサブユニットのムテインにおいて、配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182のうちの少なくとも2つのアミノ酸残基が、同等に荷電しているアミノ酸、好ましくはアスパラギン酸(asp)とグルタミン酸(glu)またはアルギニン(arg)とリシン(lys)に置換されている、本発明1001~1044のいずれかのムテイン。
[本発明1079]
マウスインターロイキン27のβサブユニット(SEQ ID NO: 35)の分泌可能なムテインであって、アミノ酸位置198のアミノ酸残基が変異または欠失している、ムテイン。
[本発明1080]
アミノ酸位置198のアミノ酸残基がチロシンに置換されている(SEQ ID NO: 36)、本発明1079のムテイン。
[本発明1081]
治療剤として使用するための、本発明1045~1050のいずれかの核酸分子。
[本発明1082]
αサブユニットp28およびβサブユニットEBI3を含むマウスインターロイキン27のムテインであって、該αサブユニットが本発明1074~1076のいずれかのマウスインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 10)の分泌不能のムテインであり、かつ/または該βサブユニットが本発明1079または1080のマウスインターロイキン27のβサブユニット(SEQ ID NO: 35)の分泌可能なムテインである、ムテイン。
本発明のこれらの局面は、以下の図面、詳細な説明、および非限定的な実施例を考慮して、さらに十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
添付の図面は、本明細書に組み込まれてその一部を構成する実施態様をさらに理解するために含められる。図面は実施態様を例示し、かつ詳細な説明と一緒になって実施態様の原理を説明するのに役立つ。他の態様および意図された態様の利点の多くは、容易に認識されるであろう。というのは、それらが詳細な説明を参照することによってより良く理解されるようになるからである。図面の要素は、互いに対して必ずしも正確な縮尺ではない。
【
図1】
図1は、UniProtKBアクセッション番号Q8NEV9の下に寄託された、ヒトインターロイキン27の野生型αサブユニットのタンパク質配列(SEQ ID NO:1)を示す。
【
図2】
図2は、ヒトおよびマウスIL-27αが哺乳動物細胞からのそれらの分泌挙動において相違することを示す。
図2(a)は、αサブユニットp28とβサブユニットEBI3を含むヘテロ二量体IL-27、およびそれらがどのようにそのヘテロ二量体受容体に結合するかを模式的に示す。
図2(b)は、ヒトIL-27αが分泌のためにそのβサブユニットEBI3の共発現に依存していることを示す。ヒトIL-27αサブユニット(hIL-27α)を、示されるように293T細胞に単独でトランスフェクトするか、またはヒトIL-27βサブユニットEBI3(hEBI3、SEQ ID NO: 9)と共発現させた(モックは空のpSVLベクターを表す)。2%溶解物(L)または培地(M)を、ローディング対照としてのHsc70、V5エピトープタグ(hIL-27α)またはhEBI3(SEQ ID NO: 9)に対してイムノブロットした。
図2(c)は、O-グリコシル化が2種の分泌型V5タグ付きhIL-27αを生じさせることを示す。hIL-27α(SEQ ID NO: 1)およびhIL-27β(hEBI3はβサブユニット、SEQ ID NO: 9)を同時トランスフェクトした細胞の4%培地を、示されるようにN-グリコシダーゼ(EndoH、PNGaseF)またはO-グリコシダーゼで処理し(記号+で表示)、続いてV5に対してイムノブロットした。酵素なしの対照は(-)で示される。
図2(d)は、マウスIL-27αが単独で分泌され得ることを示す。マウスIL-27α(mIL-27α)(SEQ ID NO: 10)サブユニットを、示されるように293T細胞に単独でトランスフェクトするか、またはhEBI3(SEQ ID NO: 9)と共発現させた(モックは空のpSVLベクターを表す)。2%溶解物(L)または培地(M)を、ローディング対照としてのHsc70、V5(mIL-27α)またはhEBI3(SEQ ID NO: 9)に対してイムノブロットした。マウスインターロイキン27の野生型αサブユニットのタンパク質配列(SEQ ID NO: 10)も、genbank識別番号NP_663611.1として寄託されている。
【
図3A】
図3は、酸化的フォールディング(oxidative folding)がIL-27αの単独での分泌を可能にすることを示す。
図3(a)は、ヒトおよびマウスIL-27αのアミノ酸配列の潜在的なフォールディング関連相違を示す。同一の残基は破線のボックスなしに灰色(黒ではない)で強調表示され、相同な残基は破線のボックスで強調表示される。(ER)フォールディングに潜在的な影響を与える相違、すなわち、予測されるN-グリコシル化部位の存在もしくは非存在、余分なシステイン、またはポリグルタミン酸ストレッチを中断するリシン挿入、は実線のボックスで強調表示される。矢印はシステインの位置を示す。
【
図3B】
図3(b)は、ヒトIL-27αにおけるロイシン162のシステインによる置換(L162C、SEQ ID NO: 2)を示し、これは単独でのその分泌をもたらす。hIL-27α(SEQ ID NO: 1)、hIL-27α
D89N(SEQ ID NO: 31)、hIL-27α
L162C(SEQ ID NO: 2)、hIL-27α
K168挿入(SEQ ID NO: 32)または空のpSVLベクター(モック)を293T細胞にトランスフェクトし、2%溶解物(L)または培地(M)をHsc70およびV5に対してイムノブロットした。
【
図3C】
図3(c)は、mIL-27α(SEQ ID NO: 10)およびhIL-27α(SEQ ID NO: 1)の構造モデルを示す。iTasserを使用して、mIL-27α(SEQ ID NO: 10)およびhIL-27α(SEQ ID NO: 1)の相同モデルを作成した。mIL-27α(SEQ ID NO: 10)中のシステインおよびhIL-27α(SEQ ID NO: 1)中の対応する残基をCPK表示で示す。
【
図3D】
図3(d)は、マウスおよびヒトIL-27α構造モデルの重ね合わせを示す。Yasara structureを使用してRMSD計算を行った。
【
図3E】
図3(e)は、分泌型hIL-27α
L162C(SEQ ID NO: 2)がジスルフィド架橋を形成することを示す。左:分泌型hIL-27α
L162C(SEQ ID NO: 2)を非還元SDS-PAGEで分析した。示されるように、hIL-27α
L162C(SEQ ID NO: 2)、hEBI3(SEQ ID NO: 9)または空のpSVLベクター(モック)でトランスフェクトされた細胞の2%培地を、V5およびEBI3に対してイムノブロットした。β-Meの行に(+)で示される場合には、サンプルをβ-メルカプトエタノールで処理した。破線は、視線を誘導して、還元/非還元サンプル間の移動度の違いを強調するために示される。右:左に見られる実験と同じ条件を適用したが、β-Meの行に(-)で示されるように、β-メルカプトエタノールによる処理を行わなかった。
【
図4A】
図4は、フォールディングの不完全なhIL-27α(SEQ ID NO: 1)の決定要因およびシャペロン認識を示す。
図4(a)は、単一のフリーなシステインがhIL-27α(SEQ ID NO: 1)のER保持につながらないことを示す。hIL-27α
C107L(SEQ ID NO: 28)は、単独で発現されると細胞内に保持され、hEBI3(SEQ ID NO: 9)と共発現されると分泌される。293T細胞に、示されるようにhIL-27α
C107L(SEQ ID NO: 28)とhEBI3(SEQ ID NO: 9)をトランスフェクトし、2%の溶解物(L)または培地(M)をHsc70、V5およびEBI3に対してイムノブロットした。
【
図4B】
図4(b)は、柔軟なポリグルタミン酸ループがhIL-27α(SEQ ID NO: 1)のER保持を引き起こさないことを示す。hIL-27α
Δ164-176(SEQ ID NO: 24)、hIL-27α
Δ164-180(SEQ ID NO: 25)およびhIL-27α
164-180toGS(SEQ ID NO: 26)は単独では細胞内に保持されるが、hEBI3(SEQ ID NO: 9)の共発現はそれらの分泌を誘導する。hIL-27α
Δ164-176(SEQ ID NO: 24)、hIL-27α
Δ164-180(SEQ ID NO: 25)またはhIL-27α
164-180toGS(SEQ ID NO: 26)とhEBI3(SEQ ID NO: 9)を、示されるように細胞に同時トランスフェクトし、2%の溶解物(L)または培地(M)をHsc70、V5およびEBI3に対してイムノブロットした。
【
図4C】
図4(c)は、シャペロンBiPがhIL-27α
L162C(SEQ ID NO: 2)よりも野生型hIL-27α(SEQ ID NO: 1)にかなりよく結合することを示す。示されるように、hIL-27α(SEQ ID NO: 1)またはhIL-27α
L162C(SEQ ID NO: 2)およびハムスターBiPまたは空のpSVLベクター(モック)でトランスフェクトされた細胞の20%溶解物を、抗V5抗体で免疫沈降させ、BiPおよびV5に対してイムノブロットした(N=4±SD;*p<0.05)。正規化は、野生型(wt)のシグナルを1に設定して、実施例セクションに記載されるように行った。
【
図4D】
図4(d)は、分子動力学シミュレーションを示し、hIL-27α
L162C(SEQ ID NO: 2)の柔軟性が局所的に制限され、低下したことを明らかにする。wt hIL-27α(SEQ ID NO: 1)およびジスルフィド架橋を形成しているhIL-27α
L162C(SEQ ID NO: 2)の根平均二乗ゆらぎ(root mean square fluctuation:RMSF)が重ね合わされる。
【
図4E】
図4(e)は、wt hIL-27αと比較して、ジスルフィド架橋を形成しているhIL-27α
L162C(SEQ ID NO: 2)の柔軟性が低下した領域を示す(球として示される)。推定上の疎水性残基のクラスターは棒(stick)表示で示される。
【
図4F】
図4(f)は、hIL-27αがhEBI3(SEQ ID NO: 9)とのヘテロ二量体として分泌される必要があることを示す。293T細胞にhIL-27α(SEQ ID NO: 1)を単独で、またはhEBI3(SEQ ID NO: 9)もしくはhEBI3
KDEL(SEQ ID NO: 27)と一緒にトランスフェクトした。2%の溶解物(L)または培地(M)をHsc70、V5およびEBI3に対してイムノブロットした。
【
図5A-1】
図5は、IL-27α分泌の種比較を示す。
図5(a)は、異なる種由来のIL-27αの配列アライメントを示し、それらのシステイン含量および局在の違いを明らかにする。システインおよび対応する位置はボックスで強調表示される。
【
図5B】
図5(b)は、示された異なる種に由来するIL-27αを示し、これらを単独でまたはヒトEBI3(SEQ ID NO: 9)の存在下で発現させた。示される構築物でトランスフェクトされた細胞の2%の溶解物(L)または培地(M)をHsc70、V5およびhEBI3(SEQ ID NO: 9)に対してイムノブロットした。異なる種由来のIL-27αの発現レベル/強度が異なっているため、中央のブロットはそれぞれ最適な露光によりセクションに分離される。
【
図5C】
図5(c)は、マウスIL-27αのシステイン158のロイシンへの置換(C158L)(SEQ ID NO: 29)が、分泌のためにEBI3共発現に依存するようになることを示す。示された構築物を293T細胞にトランスフェクトし、2%溶解物(L)または培地(M)をHsc70、V5およびEBI3に対してイムノブロットした。
【
図6】
図6は、マウスIL-27αサブユニット(SEQ ID NO: 10)(SEQ ID NO: 29)とhEBI3(SEQ ID NO: 9)との間の相互作用を示す。分泌型mIL-27α(SEQ ID NO: 10)およびmIL-27α
C158L(SEQ ID NO: 29)は両方ともhEBI3(SEQ ID NO: 9)と相互作用する。示されるようにmIL-27α(SEQ ID NO: 10)、mIL-27α
C158L(SEQ ID NO: 29)、空のpSVLベクター(モック)および/またはhEBI3(SEQ ID NO: 9)でトランスフェクトされた細胞の1%培地を、V5およびEBI3(SEQ ID NO: 9)に対してイムノブロットした(インプット)。mIL-27α(SEQ ID NO: 10)、mIL-27α
C158L(SEQ ID NO: 29)および/またはhEBI3(SEQ ID NO: 9)でトランスフェクトされた細胞の15%培地を、α-V5またはアイソタイプ対照抗体で免疫沈降させ、EBI3に対してイムノブロットした。
【
図7A】
図7は、hIL-27αのアミノ酸位置162およびその近辺でのジスルフィド結合の形成がその分泌能につながることを示す。
図7(a)は、hIL-27α(SEQ ID NO: 1)、hIL-27α N161C(SEQ ID NO: 4)、hIL-27α L162C(SEQ ID NO: 2)、hIL-27α P163C(SEQ ID NO: 5)、およびhIL-27α L181C(SEQ ID NO: 7)の構造モデルを示す。hIL-27αの構造モデルはiTasserで作成した。ムテイン(hIL-27α
N161C、hIL-27α
L162C、hIL-27α
P163CおよびhIL-27α
L181C)はYasara structureを用いて作成した。ジスルフィド結合をインシリコ(in silico)で2つのシステインの間に導入し、その後、Yasara structureを用いて構造のエネルギー最小化を行った。システインは球/CPK表示で強調される。
【
図7B】
図7(b)は、hIL-27α
L162Cに加えて、ムテインhIL-27α
N161CおよびhIL-27α
P163Cが単独で分泌可能であることを示す。hIL-27αとhEBI3、hIL-27α
N161C、hIL-27α
L162C、hIL-27α
P163C、hIL-27α
L181Cまたは空のpSVLベクター(モック)を293T細胞にトランスフェクトし、2%培地(M)をHsc70、V5およびhEBI3に対してイムノブロットした。hIL-27α
N161Cについて、コントラストを高めた画像を脇に示す。
【
図7C】
図7(c)は、hIL-27α
L162Cに加えて、hIL-27α
N161CおよびhIL-27α
P163Cがジスルフィド結合を形成することを示す。分泌されたhIL-27α、hIL-27α
N161C、hIL-27α
L162CおよびhIL-27α
P163Cを非還元SDS-PAGEで分析した。示されるようにトランスフェクトされた細胞の2%培地をV5およびEBI3に対してイムノブロットした。(+)で示される場合には、サンプルをβ-メルカプトエタノールで処理した。破線は還元/非還元サンプル間の移動度の違いを強調するために示される。hIL-27α
N161Cについて、コントラストを高めた画像を脇に示す。
【
図8A】
図8は、
図8(a)に、対照として細菌由来のhIL-27α
L156CHis
6を用いて、Expi293から分泌されたhIL-27α
L162Cの濃度測定を示す。hIL-27α
L162Cを発現するExpi293細胞の細胞上清および異なる濃度のhIL-27α
L156CHis
6標準の同容量をSDS-PAGEゲルにロードし、IL-27αに対してイムノブロットした。Expi293により発現されたhIL-27α
L162Cの濃度は、細菌により発現されたhIL-27α
L156CHis
6標準のシグナルへの線形フィットにより決定された。示される場合には、サンプルを限外ろ過でさらに濃縮した。
【
図8B】さらに、
図8(b)は、Expi293により発現されたhIL-27α
L162Cがジスルフィド結合を形成することを示す。hIL-27α
L162CをトランスフェクトしたExpi293細胞の0.03%細胞上清を、還元および非還元条件下にSDS-PAGEゲルで分析し、hIL-27αに対してイムノブロットした。(+)で示される場合には、サンプルをβ-メルカプトエタノールで処理した。破線は、視線を誘導して、還元/非還元サンプル間の移動度の違いを強調するために示される。
【
図9A】
図9は、IL-27α
L162Cがヒトサイトカインレパートリーに新メンバーを加えることを示す。
図9(a)は、hIL-27α
L162CがLPS刺激したTHP-1マクロファージからの炎症性サイトカインIL-6の分泌を増加させることを示す(N=8±SEM、*p<0.05)。効果は、抗ヒトIL-27抗体で阻害することができる。
【
図9B】
図9(b)は、hIL-27α
L162CがLPS刺激(1μg/mL)THP-1マクロファージからの炎症性サイトカインTNF-αの分泌を増加させることを示す(N=6±SEM、*p<0.05)。THP-1マクロファージを0.5μg/mLのExpi293発現hIL-27α
L162Cで刺激し、分泌されたTNF-αのレベルをELISAにより測定した。抗hIL-27抗体で阻害することができるので、効果は特異的である。
【
図10A】
図10は、エピトープタグの存在が本発明のムテインの分泌能に影響を及ぼさないことを示す。
図10(a)は、タグがなくてもインターロイキン27のヒトαサブユニットが分泌のためにEbi3に依存することを示す。
【
図10B】
図10(b)は、ムテインhIL-27α
L162C(SEQ ID NO: 2)もタグなしで分泌可能であることをさらに示す。
【
図11】
図11は、インターロイキン27のヒトβサブユニット(SEQ ID NO: 9)とマウスβサブユニット(SEQ ID NO: 35)のアミノ酸アライメントを示し、ここで、直線のボックスは、インターロイキン27のヒトおよびマウスのβサブユニットに存在するシステインを示し、一方、破線のボックスは、インターロイキン27のマウスβサブユニットに存在するが、インターロイキン27のヒトβサブユニットには存在しないシステインを示す。これにより、インターロイキン27のマウスβサブユニット(SEQ ID NO: 35)はフリーなシステインを有し、該システインはインターロイキン27の分泌可能なヒトβサブユニット(SEQ ID NO: 9)には存在しないことが明らかである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
発明の詳細な説明
以下の言語および本発明の特定の好ましい態様の説明は、本発明の原理をさらに理解するために提供される。しかしながら、本発明の限定が意図されたものではなく、本発明の原理のさらなる変更、修正、および応用も含まれることが理解されよう。
【0032】
一般に、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインに関し、ここで、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つは変異している。本発明はまた、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160、161、162、163、180、181、および182からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、ムテインを提供する。さらに、本発明はまた、本明細書に記載されているヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)のこれらの分泌可能なムテインであって、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有する、ムテインを提供する。
【0033】
さらに、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインに関し、ここで、配列位置160~165のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つは変異しており、かつ/または配列位置180~182のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つは変異している。さらに、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、該ムテインがヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有し、かつ配列位置160~165のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異しており、かつ/または配列位置180~182のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、ムテインを提供する。
【0034】
さらなる局面では、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、163、164、および165からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、ムテインを提供する。さらなる局面では、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、および163からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、ムテインを提供する。さらに、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、該ムテインがヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有し、かつヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、163、164、および165からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、ムテインを提供する。さらに、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、該ムテインがヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有し、かつヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、および163からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、ムテインを提供する。
【0035】
別の局面では、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つがシステインに変異している、ムテインを提供する。さらに、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、該ムテインがヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有し、かつヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つがシステインに変異している、ムテインを提供する。
【0036】
別の局面では、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160、161、162、163、180、181、および182からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つがシステインに変異している、ムテインを提供する。さらに、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、該ムテインがヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有し、かつヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160、161、162、163、180、181、および182からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つがシステインに変異している、ムテインを提供する。
【0037】
さらなる局面では、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、163、164、および165からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つがシステインに変異している、ムテインを提供する。本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、および163からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つがシステインに変異している、ムテインを提供する。さらに、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、該ムテインがヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有し、かつヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、163、164、および165からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つがシステインに変異している、ムテインを提供する。さらに、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、該ムテインがヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有し、かつヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、および163からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つがシステインに変異している、ムテインを提供する。
【0038】
さらなる局面では、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%の、または100%もの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインを提供し、このムテインにおいて、配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)と比較して変異している。
【0039】
本発明はまた、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%の、または100%もの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインを提供し、このムテインにおいて、配列位置161、162、および163からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)と比較して変異している。
【0040】
本発明はさらに、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%の、または100%もの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、ヒトインターロイキン27のαサブユニットの分泌可能なムテインを提供し、このムテインにおいて、配列位置161、162、163、164、および165からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)と比較して変異している。
【0041】
本発明はさらに、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%の、または100%もの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、ヒトインターロイキン27のαサブユニットの分泌可能なムテインを提供し、このムテインにおいて、配列位置161、162、および163からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)と比較して変異している。
【0042】
さらなる局面では、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%の、または100%もの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、ヒトインターロイキン27のαサブユニットの分泌可能なムテインを提供し、このムテインにおいて、配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)と比較して、システインに変異している。
【0043】
さらなる局面では、本発明は、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%の、または100%もの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、ヒトインターロイキン27のαサブユニットの分泌可能なムテインを提供し、このムテインにおいて、配列位置160、161、162、163、164、および165からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)と比較して、システインに変異している。
【0044】
本発明はさらに、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%の、または100%もの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、ヒトインターロイキン27のαサブユニットの分泌可能なムテインを提供し、このムテインにおいて、配列位置161、162、および163からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)と比較して、システインに変異している。
【0045】
ここで、本発明は、IL-27αの保持 vs. 分泌の分子決定要因の本発明者らの分析に基づいていることに留意されたい。この分析は、単一のCys残基の有無が、内部ジスルフィド架橋を形成し、フォールディングし、ER品質管理に合格し、かつ分泌されるIL-27αの能力を決定づける、ことを明らかにした。本発明者らは、驚くべきことに、そのような単一のジスルフィド架橋の非存在下では、IL-27αが分泌のためにそのβサブユニットEBI3との相互作用に依存していることを見出した。したがって、マウスおよびヒトでは、アセンブリ依存的分泌 vs. 自律的分泌がIL-27α内の単一の点変異によって決定される。本発明は、基礎となる反応を構造的および機構的に明らかにし、そうした知見をさまざまな異なる種に拡張することを可能にする;それゆえ、本発明は、タンパク質のフォールディングが生物のサイトカインレパートリーおよび免疫調節にどのように影響するかについての洞察を提供する。最後に、本発明により、新規の免疫モジュレーターとして作用する、自律的にフォールディングするヒトIL-27αサブユニットを設計することが可能である。これに関連して、本明細書で使用する用語「ヒトIL-27アルファサブユニット」または「ヒトIL-27αサブユニット」は、UniProtKBアクセッション番号Q8NEV9の下に寄託されたSEQ ID NO: 1のポリペプチド配列を指すことに留意されたい。本明細書で使用する用語「ヒトIL-27βサブユニット」または「EBI3」は、UniProtKBアクセッション番号Q14213の下に寄託されたポリペプチド配列を指し、それはヒトIL-27αサブユニットと会合して、自然免疫において機能するヘテロ二量体サイトカインであるIL-27インターロイキンを形成する。本明細書で使用する用語「マウスIL-27αサブユニット」または「mIL-27α」は、genbank識別番号NP 663611.1の下に寄託されたポリペプチド配列を指す。本明細書で使用する用語「マウスIL-27βサブユニット」または「mEBI3」は、UniProtKBアクセッション番号O35228の下に寄託されたポリペプチド配列を指す。したがって、用語「IL-27」または「インターロイキン27」は、IL-27αサブユニットとIL-27βサブユニットによって形成されたヘテロ二量体のサイトカインを指す。
【0046】
本発明の発明者らは、単一のシステイン残基が、単独で分泌可能であるか、または細胞を去るための前提条件としてEBI3とのヘテロ二量体化に依存するか、の間で、IL-27αを切り替えることを見出した。一方、マウスIL-27α(SEQ ID NO: 10)中のシステインの1つに点変異を導入すると、それが分泌のためにEBI3に依存するようになる。これは、将来の研究のためにヒトIL-27システムの分子表現型模写を確立し、また、IL-27 vs. IL-27αの新規機能をも明らかにしうる。これは、マウスでは、EBI3の欠失がIL-27を実際に除去するが、遊離のIL-27αを除去しないため、重要である。実際、その相互作用パートナーEBI3を除去すると、遊離IL-27αのレベルがその独立した機能とともに増加する可能性さえある。同様に、IL-27αを欠失させると、IL-27が除去されるが、マウスではIL-27αの機能も除去される。これは、本発明の発明者らにより示されるように、マウスIL-27α中のシステインの1つに単一の点変異を導入して、それをヒトシステムの分子表現型模写として分泌のためにEBI3に依存させることによって、回避することができる。反対に、単一の点変異により、本発明の発明者らは、免疫細胞に対して生物学的活性を有する分泌可能なヒトIL-27αを提供する。本発明による分泌可能なIL-27αは、IL-27の機能をブロックしないが、サイトカインそのものとして作用する。これは、マウスIL-27αが移植片対宿主病を抑え、かつ敗血症を打ち消すので、特に適切である。これらの疾患に対する良好な治療選択肢はまだないが、インターロイキンは有望な候補である。本発明のムテインは、その新しい治療選択肢の基礎を提供しうる。
【0047】
用語「分泌する」または「分泌」は、本発明においては、(ヒトなどの真核生物の)細胞から細胞外環境へのタンパク質の能動的な輸送を意味するために、通常の意味で使用される。一般的に、分泌は細胞、例えば真核細胞、の分泌経路を通して起こり、これには小胞体とゴルジ装置が関与している。したがって、本発明によるムテインは、該ムテインが細胞の分泌経路および細胞膜を完全に通過することができる場合、「分泌可能である」または「分泌能を有する」。それとは対照的に、用語「分泌可能ではない」ムテインは、本発明においては、細胞から細胞外環境に自然に分泌されないムテインを指す。
【0048】
上記の開示に従って、本発明のヒトインターロイキン27のα-サブユニットのムテインにおいて、配列位置160~163のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つおよび/または配列位置180~182のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つを変異させることができる。上記の開示に従って、本発明のヒトインターロイキン27のα-サブユニットのムテインにおいて、配列位置161~163のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つを変異させることが好ましい。また、上記の開示に従って、本発明のヒトインターロイキン27のα-サブユニットのムテインにおいて、配列位置180~182のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つを変異させることも好ましい。これは、本発明のムテインが、これらの配列位置の1つに単一の変異を含むことができるが、これらの配列位置の2つまたはそれ以上に変異を含むこともできる、ことを意味する。こうした変異は、該ムテインを分泌可能にするものであれば、どのようなアミノ酸であってもよく、例えば、システイン残基またはフリーなチオール基を含む非天然アミノ酸であり得る。
【0049】
本発明の一態様では、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、ヒトインターロイキン27のαサブユニットのムテインにおいて、配列位置160のアミノ酸残基がシステインに置換されていてもよい。
【0050】
本発明の別の態様では、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、ヒトインターロイキン27のαサブユニットのムテインにおいて、配列位置161のアミノ酸残基がシステインに置換されていてもよい。
【0051】
本発明の別の態様では、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、ヒトインターロイキン27のαサブユニットのムテインにおいて、配列位置162のアミノ酸残基がシステインに置換されていてもよい。
【0052】
本発明のさらに別の態様では、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、ヒトインターロイキン27のαサブユニットのムテインにおいて、配列位置163のアミノ酸残基がシステインに置換されていてもよい。
【0053】
本発明の別の態様では、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、ヒトインターロイキン27のαサブユニットのムテインにおいて、配列位置164のアミノ酸残基がシステインに置換されていてもよい(SEQ ID NO: 33)。
【0054】
本発明の別の態様では、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、ヒトインターロイキン27のαサブユニットのムテインにおいて、配列位置165のアミノ酸残基がシステインに置換されていてもよい(SEQ ID NO: 34)。
【0055】
本発明のさらに別の態様では、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、ヒトインターロイキン27のαサブユニットのムテインにおいて、配列位置180のアミノ酸残基がシステインに置換されていてもよい。
【0056】
本発明のさらなる態様では、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、ヒトインターロイキン27のαサブユニットのムテインにおいて、配列位置181のアミノ酸残基がシステインに置換されていてもよい。
【0057】
本発明のさらに別の態様では、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、ヒトインターロイキン27のαサブユニットのムテインにおいて、配列位置182のアミノ酸残基がシステインに置換されていてもよい。
【0058】
本発明のさらに別の態様では、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むムテインにおいて、配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182のうちの少なくとも1つのアミノ酸残基が、セレノシステインもしくはピロリシンを含むがこれらに限定されない非天然アミノ酸、または共有結合を構築する非天然アミノ酸に置換されていてもよい。本発明のさらに別の態様では、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むムテインにおいて、配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182のうちの少なくとも2つのアミノ酸残基が、アスパラギン酸(asp)とグルタミン酸(glu)またはアルギニン(arg)とリシン(lys)を含むがこれらに限定されない、同等に荷電しているアミノ酸に置換されていてもよい。これにより、例えば、前記の置換によって塩橋が構築され得る。
【0059】
本発明はまた、1つまたは複数のジスルフィド架橋をさらに含む、本明細書に記載されているムテインにも言及する。
【0060】
本発明のさらに別の態様では、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、ヒトインターロイキン27のαサブユニットのムテインにおいて、配列位置161、162、163、164、および165のうちの少なくとも1つのアミノ酸残基が、セレノシステインもしくはピロリシンを含むがこれらに限定されない非天然アミノ酸、または共有結合を構築する非天然アミノ酸に置換されていてもよい。本発明のさらに別の態様では、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、ヒトインターロイキン27のαサブユニットのムテインにおいて、配列位置161、162、163、164、および165のうちの少なくとも2つのアミノ酸残基が、アスパラギン酸(asp)とグルタミン酸(glu)またはアルギニン(arg)とリシン(lys)を含むがこれらに限定されない、同等に荷電しているアミノ酸に置換されていてもよい。これにより、例えば、前記の置換によって塩橋が構築され得る。
【0061】
上記に沿って、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、アミノ酸残基160、161、162、163、164、165、180、181、および182でシステインに変異している、ヒトインターロイキン27のαサブユニットの上記ムテインは、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むムテインの上記位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182のいずれかに1、2、3、4、5、6または7つのシステインを含むムテインを形成することができ、それは本発明の範囲内である。したがって、本発明のヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、ヒトインターロイキン27のαサブユニットのムテインが、1つまたは複数のジスルフィド架橋をさらに含むことも可能である。
【0062】
本発明の一態様では、本発明のヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)のムテインにおいて、配列位置160のアミノ酸残基がシステインに置換されていてもよい(SEQ ID NO: 3)。
【0063】
本発明の別の態様では、本発明のヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)のムテインにおいて、配列位置161のアミノ酸残基がシステインに置換されていてもよい(SEQ ID NO: 4)。
【0064】
本発明の別の態様では、本発明のヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)のムテインにおいて、配列位置162のアミノ酸残基がシステインに置換されていてもよい(SEQ ID NO: 2)。
【0065】
本発明のさらに別の態様では、本発明のヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)のムテインにおいて、配列位置163のアミノ酸残基がシステインに置換されていてもよい(SEQ ID NO: 5)。
【0066】
本発明の別の態様では、本発明のヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)のムテインにおいて、配列位置164のアミノ酸残基がシステインに置換されていてもよい(SEQ ID NO: 33)。
【0067】
本発明の別の態様では、本発明のヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)のムテインにおいて、配列位置165のアミノ酸残基がシステインに置換されていてもよい(SEQ ID NO: 34)。
【0068】
本発明のさらに別の態様では、本発明のヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)のムテインにおいて、配列位置180のアミノ酸残基がシステインに置換されていてもよい(SEQ ID NO: 6)。
【0069】
本発明のさらなる態様では、本発明のヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)のムテインにおいて、配列位置181のアミノ酸残基がシステインに置換されていてもよい(SEQ ID NO: 7)。
【0070】
本発明のさらに別の態様では、本発明のヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)のムテインにおいて、配列位置182のアミノ酸残基がシステインに置換されていてもよい(SEQ ID NO: 8)。
【0071】
本発明のさらに別の態様では、本発明のヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)のムテインにおいて、配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182のうちの少なくとも1つのアミノ酸残基が、セレノシステインもしくはピロリシンを含むがこれらに限定されない非天然アミノ酸、または共有結合を構築する非天然アミノ酸に置換されていてもよい。
【0072】
本発明のさらに別の態様では、本発明のヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)のムテインにおいて、該ムテインは1つまたは複数の塩橋をさらに含む。好ましくは、該1つまたは複数の塩橋は、配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182のうちの少なくとも2つを、同等に荷電しているアミノ酸に置換することによって、より好ましくは、配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182のうちの2つを、アスパラギン酸とグルタミン酸またはアルギニンとリシンに置換することによって、構築される。
【0073】
上記に沿って、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)のアミノ酸残基160、161、162、163、164、165、180、181、および182でのシステインへの上記変異は、ヒトインターロイキン27のαサブユニットの上記位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182のいずれかに1、2、3、4、5、6または7つのシステインを含むムテインを形成することができ、それは本発明の範囲内である。したがって、本発明のヒトインターロイキン27のαサブユニットのムテインは、1つまたは複数のジスルフィド架橋をさらに含むことも可能性である。
【0074】
追加的にまたは代替的に、本発明のヒトインターロイキン27のαサブユニットのムテインは、例えば、ヒトインターロイキン27のαサブユニットの配列位置107に存在する天然に存在するシステイン残基と、ヒトインターロイキン27のαサブユニットの位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182のいずれかに導入されたシステイン残基との間に、形成された鎖内ジスルフィド架橋の構造的相同体として作用する、1つまたは複数の塩橋をさらに含むことができる。塩橋は、例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸のいずれかのアニオン性カルボキシレート(RCOO-)基と、リシンからのカチオン性アンモニウム(RNH3
+)またはアルギニンのグアニジニウム(RNHC(NH2)2
+)から生じる可能性がある。これらは最もよく見られるが、イオン化可能な側鎖を持つ他の残基、例えばヒスチジン、チロシン、セリンなども塩橋の形成に関与し得る。したがって、本発明のヒトインターロイキン27のαサブユニットのムテインは、ヒトインターロイキン27のαサブユニットの位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182のいずれかに生理学的条件下で負に荷電された側鎖部分を有するアスパラギン酸またはグルタミン酸などのアミノ酸、およびヒトインターロイキン27のαサブユニットの配列位置107に生理学的条件下で正に荷電された側鎖部分を有するリシンまたはアルギニンなどのアミノ酸を含むことができる。
【0075】
あるいは、本発明に記載されるヒトインターロイキン27のαサブユニットのムテイン、同様にヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有する分泌可能なムテインは、ヒトインターロイキン27のαサブユニットの配列位置107に生理学的条件下で負に荷電された側鎖部分を有するアスパラギン酸またはグルタミン酸などのアミノ酸、およびヒトインターロイキン27のαサブユニットの位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182のいずれかに生理学的条件下で正に荷電された側鎖部分を有するリシンまたはアルギニンなどのアミノ酸を含むことができる。
【0076】
本発明はまた、αサブユニットp28およびβサブユニットEBI3を含む、ヒトインターロイキン27の分泌可能なムテインであって、αサブユニットが本明細書に記載されているヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインである、ムテインを提供する。例えば、その一態様では、αサブユニットは、本明細書に記載されているヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有する、ヒトインターロイキン27のαサブユニットの分泌可能なムテインである。
【0077】
本発明によるヒトインターロイキン27のそのようなムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160~165のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つを変異させることができ、かつ/または配列位置180~182のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つを変異させることができる。本発明によるヒトインターロイキン27のそのようなムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160~163のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つを変異させることができ、かつ/または配列位置180~182のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つを変異させることができる。
【0078】
本発明のさらなる態様では、本発明のそのようなヒトインターロイキン27のムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、163、164、および165からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つは変異している。本発明のさらなる態様では、本発明のそのようなヒトインターロイキン27のムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160~163からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つは変異している。
【0079】
本発明のさらなる態様では、本発明のそのようなヒトインターロイキン27のムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、および163からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つは変異している。
【0080】
本発明のそのようなヒトインターロイキン27のムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つは、システインに変異している。
【0081】
本発明のそのようなヒトインターロイキン27のムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160、161、162、163、180、181、および182からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つは、システインに変異している。
【0082】
本発明のさらなる態様では、本発明のそのようなヒトインターロイキン27のムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、163、164、および165からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つは、システインに変異している。
【0083】
本発明のさらなる態様では、本発明のそのようなヒトインターロイキン27のムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160~163からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つは、システインに変異している。
【0084】
本発明のさらなる態様では、本発明のそのようなヒトインターロイキン27のムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、および163からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つは、システインに変異している。
【0085】
本発明のそのようなヒトインターロイキン27のムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160~165のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つを変異させることができる。別の態様では、本発明のそのようなヒトインターロイキン27のムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160~163のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つを変異させることができる。
【0086】
さらに、本発明のヒトインターロイキン27のムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置180~182のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つを変異させることができる。
【0087】
上記に沿って、本発明のヒトインターロイキン27のムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160のアミノ酸残基がシステインに置換されていてもよい。
【0088】
追加的にまたは代替的に、本発明のヒトインターロイキン27のムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161のアミノ酸残基がシステインに置換されていてもよい。
【0089】
追加的にまたは代替的に、本発明のヒトインターロイキン27のムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置162のアミノ酸残基がシステインに置換されていてもよい(SEQ ID NO: 2)。
【0090】
本発明のヒトインターロイキン27のムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置163のアミノ酸残基をシステインに置換することも可能である。
【0091】
追加的にまたは代替的に、本発明のヒトインターロイキン27のムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置164のアミノ酸残基がシステインに置換されていてもよい(SEQ ID NO: 33)。
【0092】
追加的にまたは代替的に、本発明のヒトインターロイキン27のムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置165のアミノ酸残基がシステインに置換されていてもよい(SEQ ID NO: 34)。
【0093】
さらに他の態様では、本発明のヒトインターロイキン27のムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置180のアミノ酸残基、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置181のアミノ酸残基、またはヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置182のアミノ酸残基がシステインに置換されていてもよい。
【0094】
本発明の他の態様では、本発明のヒトインターロイキン27のムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、163、164、および165からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つは、システインに変異している。本発明の他の態様では、本発明のヒトインターロイキン27のムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、および163からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つは、システインに変異している。
【0095】
さらに別の態様では、本発明のヒトインターロイキン27のムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182のうちの少なくとも1つにあるアミノ酸残基が、セレノシステインもしくはピロリシンを含むがこれらに限定されない非天然アミノ酸、または共有結合を構築する非天然アミノ酸に置換されていてもよい。本発明のさらに別の態様では、本発明のヒトインターロイキン27のムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182のうちの少なくとも2つにあるアミノ酸残基が、アスパラギン酸(asp)とグルタミン酸(glu)またはアルギニン(arg)とリシン(lys)を含むがこれらに限定されない、同等に荷電しているアミノ酸に置換されていてもよい。これにより、例えば、前記の置換によって塩橋が構築され得る。
【0096】
本発明のさらに別の態様では、本発明のヒトインターロイキン27のムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、163、164、および165のうちの少なくとも1つにあるアミノ酸残基が、セレノシステインもしくはピロリシンを含むがこれらに限定されない非天然アミノ酸、または共有結合を構築する非天然アミノ酸に置換されていてもよい。本発明のさらに別の態様では、本発明のヒトインターロイキン27のムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、163、164、および165のうちの少なくとも2つにあるアミノ酸残基が、アスパラギン酸(asp)とグルタミン酸(glu)またはアルギニン(arg)とリシン(lys)を含むがこれらに限定されない、同等に荷電しているアミノ酸に置換されていてもよい。これにより、例えば、前記の置換によって塩橋が構築され得る。
【0097】
本発明のさらに別の態様では、本発明のヒトインターロイキン27のムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、および163のうちの少なくとも1つにあるアミノ酸残基が、セレノシステインもしくはピロリシンを含むがこれらに限定されない非天然アミノ酸、または共有結合を構築する非天然アミノ酸に置換されていてもよい。本発明のさらに別の態様では、本発明のヒトインターロイキン27のムテインにおいて、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置161、162、および163のうちの少なくとも2つにあるアミノ酸残基が、アスパラギン酸(asp)とグルタミン酸(glu)またはアルギニン(arg)とリシン(lys)を含むがこれらに限定されない、同等に荷電しているアミノ酸に置換されていてもよい。これにより、例えば、前記の置換によって塩橋が構築され得る。
【0098】
ヒトインターロイキン27のアミノ酸残基160、161、162、163、164、165、180、181、および182でのシステインへの上記変異は、ヒトインターロイキン27の上記位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182のいずれかに1、2、3、4、5、6または7つのシステインを含むムテインを形成することができ、それは本発明の範囲内である。
【0099】
したがって、本発明のヒトインターロイキン27のムテインは、上記で説明したように1つまたは複数のジスルフィド架橋をさらに含むことができる。追加的にまたは代替的に、本発明のヒトインターロイキン27のムテインは、上記で説明したように1つまたは複数の塩橋をさらに含むことができる。
【0100】
本発明はまた、本発明のヒトインターロイキン27の分泌可能なムテインまたは本発明のヒトインターロイキン27のαサブユニットの分泌可能なムテインをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。その態様では、該核酸分子はヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインをコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、該分泌可能なムテインはヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)に対して少なくとも76%の配列同一性を有する。
【0101】
本発明による核酸分子は、SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 3、SEQ ID NO: 4、SEQ ID NO: 5、SEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 7またはSEQ ID NO: 8のムテインをコードするヌクレオチド配列を含み得る。
【0102】
本発明の核酸分子は、該核酸分子の発現を可能にする調節配列に機能的に連結されることが好ましい。この調節配列はプロモーター配列を含み得る。用語「プロモーター」または「プロモーター配列」は、細胞内で遺伝子のRNA転写物への転写を開始および指令するDNA配列を意味する。
【0103】
本発明による核酸分子はベクターに含めることができる。本明細書で使用する用語「ベクター」は、それに連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を指す。ベクターの1つのタイプは「プラスミド」であり、これは追加のDNAセグメントが連結され得る環状の二本鎖DNAループを指す。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、この場合、追加のDNAセグメントはウイルスゲノムに連結され得る。
【0104】
さらに別の局面では、本発明は、治療剤として使用するための本明細書に記載の核酸分子を提供する。
【0105】
本発明はまた、上に記載される本発明の核酸分子を含有する宿主細胞を提供する。宿主細胞は、任意の原核細胞(例:大腸菌(E. coli))または真核細胞(例:昆虫細胞、酵母または哺乳動物細胞)であり得る。
【0106】
本発明はまた、本発明のムテインを含む免疫モジュレーターを提供する。免疫モジュレーターは、イムノモジュレーション(immunomodulation)を行うことができる任意のタンパク質、物質、または組成物であり、イムノモジュレーションとは、例えば免疫増強、免疫抑制、または免疫寛容の誘導において、免疫反応を所望のレベルに調整することである。
【0107】
本発明はまた、哺乳動物、好ましくはヒト、における疾患の治療用の医薬を製造するための本発明のムテインの使用を提供する。適切な疾患には、感染症、自己免疫疾患、がん、移植片対宿主病などの移植関連疾患、慢性炎症性腸疾患などの慢性炎症性疾患、急性炎症性疾患、敗血症、敗血症性ショック、糖尿病、または喘息が含まれるが、これらに限定されない。
【0108】
本発明はまた、医薬として使用するための本発明のムテインを提供する。さらに、本発明はまた、前記の感染症、自己免疫疾患、がん、移植片対宿主病などの移植関連疾患、慢性炎症性腸疾患などの慢性炎症性疾患、急性炎症性疾患、敗血症、敗血症性ショック、糖尿病、または喘息を含む、疾患の治療に使用するための本発明のムテインを提供する。
【0109】
本発明はまた、インターロイキン27介在性疾患、好ましくは感染症、自己免疫疾患、がん、移植片対宿主病などの移植関連疾患、慢性炎症性腸疾患などの慢性炎症性疾患、急性炎症性疾患、敗血症、敗血症性ショック、糖尿病、または喘息、を治療する方法を提供し、その方法は、本発明のヒトインターロイキン27のαサブユニットのムテインまたは本発明のヒトインターロイキン27のムテインを含む組成物を、それを必要とする哺乳動物に投与するステップを含む。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0110】
本発明はまた、本発明によるムテインを生産する方法を提供し、その方法は以下のステップを含む:
(a)ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、ヒトインターロイキン27の、またはヒトインターロイキン27のαサブユニットの、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドの、配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基を変異させるヌクレオチド配列を導入するステップ;および
(b)得られた発現用の核酸分子を、適切な宿主細胞に、または適切な細胞抽出物もしくは細胞溶解物に導入するステップ。
【0111】
本発明はまた、本発明によるムテインを生産する方法を提供し、その方法は以下のステップを含む:
(a)ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドをコードする核酸分子に、ヒトインターロイキン27の、またはヒトインターロイキン27のαサブユニットの、配列位置160、161、162、163、180、181、および182からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基を変異させるヌクレオチド配列を導入するステップ;および
(b)得られた発現用の核酸分子を、適切な宿主細胞に、または適切な細胞抽出物もしくは細胞溶解物に導入するステップ。
【0112】
本発明はまた、本発明によるムテインを生産する方法を提供し、その方法は以下のステップを含む:
(a)ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドをコードする核酸分子に、ヒトインターロイキン27の、またはヒトインターロイキン27のαサブユニットの、配列位置161、162、および163からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基を変異させるヌクレオチド配列を導入するステップ;および
(b)得られた発現用の核酸分子を、適切な宿主細胞に、または適切な細胞抽出物もしくは細胞溶解物に導入するステップ。
【0113】
本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置160~165のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つを変異させるヌクレオチド配列を導入することが好ましい。
【0114】
本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置160~163のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つを変異させるヌクレオチド配列を導入することが好ましい。
【0115】
本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置161~163のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つを変異させるヌクレオチド配列を導入することが好ましい。
【0116】
また、本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置180~182のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つを変異させるヌクレオチド配列を導入することも好ましい。
【0117】
本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置160~165および/または配列位置180~182のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つを変異させるヌクレオチド配列を導入することができる。
【0118】
好ましい態様では、本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置160~163のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つを変異させるヌクレオチド配列を導入することができる。
【0119】
本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置160~165のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つをシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入することが、さらに好ましい。
【0120】
本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置160~163のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つをシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入することが、さらに好ましい。
【0121】
本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置161~163のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つをシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入することが、さらに好ましい。
【0122】
本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置180~182のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つをシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入することが好ましい。
【0123】
本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置160~165および/または配列位置180~182のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つをシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入することができる。本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置160~163および/または配列位置180~182のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つをシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入できることが、さらに好ましい。
【0124】
本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置160のアミノ酸残基をシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入することが好ましい。
【0125】
本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置161のアミノ酸残基をシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入することが、さらに好ましい。
【0126】
また、本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置162のアミノ酸残基をシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入することも好ましい。
【0127】
本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置163のアミノ酸残基をシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入することが好ましい。
【0128】
本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置164のアミノ酸残基をシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入することが好ましい(SEQ ID NO: 33)。
【0129】
本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置165のアミノ酸残基をシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入することが好ましい(SEQ ID NO: 34)。
【0130】
本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置180のアミノ酸残基をシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入することが好ましい。
【0131】
さらに、本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置181のアミノ酸残基をシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入することが好ましい。
【0132】
また、本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置182のアミノ酸残基をシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入することも好ましい。
【0133】
さらに別の態様では、本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182のうちの少なくとも1つにあるアミノ酸残基を、セレノシステインもしくはピロリシンを含むがこれらに限定されない非天然アミノ酸または共有結合を構築する非天然アミノ酸に変異させるヌクレオチド配列が導入される。本発明のさらに別の態様では、本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置160、161、162、163、164、および165のうちの少なくとも2つで、アスパラギン酸(asp)とグルタミン酸(glu)またはアルギニン(arg)とリシン(lys)を含むがこれらに限定されない、同等に荷電しているアミノ酸に置換するヌクレオチド配列が導入される。これにより、例えば、前記の置換によって塩橋が構築され得る。本発明のさらに別の態様では、本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置161、162、および163のうちの少なくとも2つで、アスパラギン酸(asp)とグルタミン酸(glu)またはアルギニン(arg)とリシン(lys)を含むがこれらに限定されない、同等に荷電しているアミノ酸に置換するヌクレオチド配列が導入される。これにより、例えば、前記の置換によって塩橋が構築され得る。
【0134】
本発明はまた、本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182のアミノ酸残基のうちの1、2、3、4、5、6つまたは7つ全てを、システインに変異させるヌクレオチド配列を導入する、ことを含む。
【0135】
本発明はまた、本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置160、161、162、163、180、181、および182のアミノ酸残基のうちの1、2、3、4、5、6つまたは7つ全てを、システインに変異させるヌクレオチド配列を導入する、ことを含む。
【0136】
本発明はまた、本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置160、161、162、163、164、および165のアミノ酸残基のうちの1、2、3、4、5、6つまたは7つ全てを、システインに変異させるヌクレオチド配列を導入する、ことを含む。
【0137】
本発明はまた、本発明によるムテインを生産するための方法において、ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチド、またはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドに対して少なくとも76%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置161、162、および163のアミノ酸残基のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つ全てを、システインに変異させるヌクレオチド配列を導入する、ことを含む。
【0138】
本発明はまた、マウスインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 10)の分泌不能のムテインであって、アミノ酸位置103および158にある2つのシステインのうちの少なくとも1つが変異している(すなわち、別のアミノ酸に置換されている)か、または欠失している、ムテインを提供する。この態様では、「分泌不能の」とは、マウスインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 10)のこの特定のムテインの分泌がβサブユニットEBI3の存在に依存していることを意味する。したがって、マウスインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 10)のこの分泌依存性ムテインは、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)のようにふるまう。好ましい態様では、マウスインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 10)の分泌不能のムテインにおいて、アミノ酸位置103および158にある2つのシステイン残基のうちの少なくとも1つは、疎水性アミノ酸残基に置換されている。さらに好ましい態様では、マウスインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 10)の分泌不能のムテインにおいて、アミノ酸位置103および158(SEQ ID NO: 29)にある2つのシステイン残基のうちの少なくとも1つは、ロイシンまたはセリン、またはアラニンに変異している。これに関連して、マウスインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 10)は234残基のアミノ酸長を有し、一方、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)は243残基のアミノ酸長を有することに留意されたい。SEQ ID NO: 1とSEQ ID NO: 10の間の配列同一性は、75%であると決定されている。
【0139】
「同一性」または「配列同一性」とは、配列の類似性または関係を評価する配列の特性を意味する。本発明で使用する用語「配列同一性」または「同一性」は、本発明のポリペプチドの配列と問題の配列との(相同性)アライメント後の、これら2つの配列のうち長い方の残基の数に対するペアワイズの同一残基のパーセンテージを意味する。同一性は、同一残基の数を総残基数で割り、その結果に100を掛けることで測定される。
【0140】
配列相同性または配列同一性のパーセンテージは、例えば、本明細書ではプログラムBLASTP、バージョンblastp 2.2.5(2002年11月16日;Altschul, S. F. et al. (1997) Nucl. Acids Res.25, 3389-3402)を使用して決定され得る。この態様では、相同性のパーセンテージは、それぞれの配列を含むポリペプチド配列全体のアライメント(マトリックス:BLOSUM 62;ギャップコスト:11.1;カットオフ値を10-3に設定)に基づく。それは、BLASTPプログラム出力の結果として示される「positives」(相同アミノ酸)の数を、アライメントのために該プログラムによって選択されたアミノ酸の総数で割ったパーセンテージとして計算される。
【0141】
本発明は、IL-27αの分泌と、その結果としてのこのサブユニットによる潜在的な免疫調節が、マウスおよびヒトでは単一のCys残基に依存していることを明らかにする。本発明の発明者らは、この特徴が、ブタやサルのようなモデル生物を含めて、他の種で保存されていることを示すことができた。異なる種ごとに異なるシステインの配置が存在したが、本発明の発明者らは、試験した全ての種について、この仮説と完全に一致することを観察した。
【0142】
IL-27αにジスルフィド結合が存在するときはいつでも、それは単独で分泌可能であった。さもなければ、その分泌はEBI3に依存していた。これらの知見に沿って、本発明の発明者らは、mIL-27αの2番目のシステインをロイシンに置換した(C158L)。その結果、mIL-27αC158Lは今や単独では細胞内に保持され、その分泌は、そのヒト対応物と同様に、EBI3によって誘導された。
【0143】
別の局面では、本発明はまた、マウスインターロイキン27のβサブユニット(SEQ ID NO: 35)の分泌可能なムテインであって、アミノ酸位置198のアミノ酸残基が変異または欠失している、ムテインを提供する。この態様では、アミノ酸位置198のアミノ酸残基がチロシンに置換されている、マウスインターロイキン27のβサブユニットの分泌可能なムテイン(SEQ ID NO: 36)を提供することが好ましい。これに関連して、インターロイキン27のヒトβサブユニットは単独で分泌され得ることを考慮する必要がある。しかし、もともと、インターロイキン27のマウスβサブユニットは分泌不能である44。しかしながら、本発明の発明者らは、本明細書に記載されている変異のために、インターロイキン27のマウスβサブユニットが分泌可能になることを見出した。
【0144】
さらなる局面では、本発明はまた、αサブユニットp28およびβサブユニットEBI3を含むマウスインターロイキン27のムテインであって、該αサブユニットが、本明細書に記載されている、マウスインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 10)の分泌不能のムテインであり、かつ/または該βサブユニットが、本明細書に記載されている、マウスインターロイキン27のβサブユニット(SEQ ID NO: 35)の分泌可能なムテインである、ムテインも提供する。
【0145】
本発明は、以下の実験例によってさらに説明される。
【実施例】
【0146】
哺乳動物発現用の構築物:
インターロイキンcDNAは、(hIL-27αおよびhEBI3)またはGeneArt(mIL-27α、Thermo Fisher Scientific社)から入手し、哺乳動物発現用のpSVLベクター(Amersham社)にクローニングした。hIL-27α(SEQ ID NO: 1)、mIL-27α(SEQ ID NO: 10)およびhEBI3(SEQ ID NO: 9)のアミノ酸配列は、それぞれ、UniProtアクセッション番号Q8NEV9、Q8K3I6およびQ14213に対応する。IL-27αの種比較のために、genbank識別番号NP_001158125.1(ウシ(Bos taurus))(SEQ ID NO: 11)、XP_012398754.1(タスマニアデビル(Sarcophilus harrisii))(SEQ ID NO: 12)、およびXP_008683452.1(ホッキョクグマ(Ursus maritimus))(SEQ ID NO: 13)に対応する配列を、ヒト発現用に最適化したコドン使用頻度でGeneart(Thermo Fisher Scientific社)によりさらに合成した。示される場合には、(GS)4リンカーとそれに続くV5タグを、異なるIL-27α構築物のC末端に導入した。部位特異的変異誘発によって変異体を作成した。BiP発現用の構築物は以前に記載されている32。全ての構築物の配列決定を行った。
【0147】
細胞培養および一過性トランスフェクション:
HEK293T細胞を、10%(v/v)ウシ胎児血清(Biochrom社)を補充したL-Ala-L-Gln(AQmedia、Sigma-Aldrich社)を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中37℃、5% CO2で増殖させた。該培地を1%(v/v)抗生物質-抗真菌剤溶液(25μg/mlアムホテリシンB、10mg/mlストレプトマイシン、および10,000単位のペニシリン;Sigma-Aldrich社)で補完した(完全DMEM)。一過性トランスフェクションは、GeneCellin(BioCellChallenge社)を製造元のプロトコルに従って使用して、p35ポリD-リシンコーティングディッシュ(Becton Dickinson社)またはp60ディッシュ(Techno Plastic Products社)のいずれかで24時間実施した。等量の構築物または空のベクターを3μg(p35)または6μg(p60)の総DNA量でトランスフェクトした。BiP相互作用の研究では、αサブユニット対シャペロンDNAの3:1比を使用した。
【0148】
分泌および酸化還元実験:
イムノブロッティングによる分泌および酸化還元状態の実験では、細胞を8時間トランスフェクトし、PBSで2回洗浄し、その後0.5ml(p35)または2ml(p60)の新鮮な培地をさらに16時間補充した。溶解の前に、サンプルを非還元SDS-PAGEゲルで泳動しようとする場合には20mM NEMを補充した氷冷PBSで細胞を2回洗浄した。細胞溶解は、RIPAバッファー(50mM Tris/HCl pH7.5, 150mM NaCl, 1.0% Nonidet P40代替品, 0.5% デオキシコール酸ナトリウム, 0.1% SDS, 1×Roche完全プロテアーゼインヒビター(EDTA不含);Roche Diagnostics社)中で実施した。非還元SDS-PAGEゲルの場合は溶解バッファーに20mM NEMを加えた。分泌されたタンパク質を分析するために、培地を300g、4℃で5分間遠心分離した。その後、サンプルに0.1倍容量の500mM Tris/HCl pH7.5、1.5M NaCl(および非還元SDS-PAGEの場合は200mM NEM)およびプロテアーゼインヒビターを補充し、20.000g、4℃で15分間遠心分離した。還元SDS-PAGEではβ-メルカプトエタノールを含有し、非還元SDS-PAGEでは100mM NEMを含有する、0.2倍容量の5×Laemmliをサンプルに補充した。Endo H/PNGase F/O-グリコシダーゼ(New England Biolabs社)脱グリコシル化実験を製造元のプロトコルに従って実施した。
【0149】
イムノブロットおよび免疫沈降実験:
イムノブロットでは、サンプルを12% SDS-PAGEゲルで泳動し、PVDFメンブレンに転写し、そして抗Hsc70(Santa Cruz社、sc-1059またはsc-7298;ゼラチンバッファー(0.1% ゼラチン, 15mM Tris/HCl pH7.5, 130mM NaCl, 1mM EDTA, 0.1% Triton X-100, 0.002% NaN3)中1:1,000)、抗V5(Thermo Fisher Scientific社、MA5-15253;TBS, 0.05% Tween, 5% ミルク中1:1,000)、または抗hIL-27抗体(R&D Systems社、AF2526;TBS, 0.05% Tween, 5% ミルク中1:200)でブロットした。抗EBI3および抗BiP抗血清は、以前に記載されている33,34。種特異的なHRPコンジュゲート二次抗体(TBS, 0.05% Tween, 5% ミルク中またはゼラチンバッファー中)を使用した(Santa Cruz社)。ブロットは、Amersham ECL prime(GE Healthcare社)およびFusion Pulse 6 imager(Vilber Lourmat社)を使用して検出した。免疫沈降は、適切なアイソタイプ対照(精製マウスIgG1κアイソタイプ対照、BioLegend社)とともにイムノブロッティングの場合と同じ抗体を用いて行った。PBS洗浄後、細胞をNP40溶解バッファー(50mM Tris/HCl pH7.5, 150mM NaCl, 0.5% NP40, 0.5% DOC, 1×Roche完全プロテアーゼインヒビター(EDTA不含);Roche Diagnostics社)で溶解し、遠心分離により清澄化した溶解物(15分、20.000g、4℃)を、2μgのターゲット特異的抗体またはアイソタイプ対照とともに、4℃で一晩回転させてインキュベートした。BiPの共免疫沈降では、溶解バッファーに10U/mlアピラーゼ(Sigma Aldrich社)および20mM NEMを補充した。25μlのプロテインA/Gアガロース(Santa Cruz社)を1時間添加した後、ビーズをNP40洗浄バッファー(50mM Tris/HCl pH7.5, 400mM NaCl, 0.5% NP40, 0.5% DOC)で3回洗浄し、還元SDS-PAGEではβ-メルカプトエタノールを含有する2×Laemmliバッファー中でボイルすることによってタンパク質を溶出した。分泌されたタンパク質の免疫沈降の場合には、分泌タンパク質の分析について説明したように培地を処理し、30μlのプロテインA/Gアガロース(Santa Cruz社)で1時間前もって清澄化し、続いて2.5μgの抗体を使用して、溶解物と同様に処理した。
【0150】
組換えタンパク質の生産
大腸菌(E.coli)での発現のために最適化されたヒトIL-27α cDNA(ERインポート配列なし)を、GeneArt(Thermo Fisher Scientific社)から入手し、N末端ヘキサヒスチジンタグおよび該タグの後にTEVプロテアーゼ切断部位を含むpET21aベクター(Merck Millipore社)にクローニングした。L162C変異を部位特異的変異誘発により導入した。タンパク質は選択的LB培地で封入体(inclusion bodies)として発現された。培養物を1mM IPTGによりOD600=0.6で誘導し、さらに4時間後に遠心分離(5.000rpm、15分、4℃)により回収した。封入体を単離するために、100mM Tris/HCl pH7.5, 100mM NaCl, 5mM EDTA, SigmaFASTプロテアーゼインヒビター中で氷上にて超音波処理して細胞を溶解し、続いてスピンダウンした(20.000g、20分、4℃)。細胞ペレットを再懸濁し、100mM Tris/HCl pH7.5, 500mM NaCl, 5mM EDTA, 1.0% Triton X-100で2回、最後に100mM Tris/HCl pH7.5, 100mM NaClで1回洗浄した。封入体を、50mMリン酸ナトリウム pH7.5, 250mM NaCl, 6M GdmClおよび10mM β-メルカプトエタノール中で4℃にて可溶化した。一晩可溶化した後、その溶液を遠心分離(20.000g、20分、20℃)により清澄化した。上清を1倍容量の50mMリン酸ナトリウム pH7.5, 250mM NaCl, 5M GdmClで希釈して、NiセファロースHPカラム(GE Healthcare社)にアプライした。結合したタンパク質を50mMリン酸ナトリウム pH7.5, 250mM NaCl, 5M GdmCl, 30mMイミダゾール, 1mM DTTで洗浄し、50mMリン酸ナトリウム pH3.5, 250mM NaCl, 5M GdmClおよび1mM DTTで溶出した。溶出されたタンパク質をさらに精製し、HiPrep 16/60 Sephacryl S-400 HRカラム(GE Healthcare社)を用いたサイズ排除クロマトグラフィーにより、50mM MES pH6.0, 6M尿素, 1mM EDTAへのバッファー交換を行った。A280nmを用いて分光光度法によりタンパク質濃度を測定した。ヒト(H. sapiens)での発現に最適化されたヒトIL-27αL162C cDNAをGeneArt(Thermo Fisher Scientific社)から入手し、哺乳動物細胞発現用のpHEK293 Ultra Expression Vector I(TaKaRa Clontech社)にクローニングした。タンパク質の発現は、Expi293発現システムを用いて製造元のプロトコル(Thermo Fisher Scientific社)に従って行った。トランスフェクションの48時間後、培地を遠心分離(300g、15分、4℃)により回収し、Amicon Ultra-15, PLBC Ultracel-PLメンブレン, 3kDa(Sigma-Aldrich社)を使用して1.8~6.2μg/mLに濃縮し、免疫学的アッセイに使用した。大腸菌内の封入体から精製されたhIL-27αL156CHis6を対照として使用して、ウエスタンブロットのシグナルを用いてExpi293上清中のhIL-27αL162Cを定量化するための線形フィットの標準曲線を得た。
【0151】
定量化および統計:
Bio-1Dソフトウェア(Vilber Lourmat社)を使用して、ウエスタンブロットを定量化した。共免疫沈降されたBiPのウエスタンブロットシグナルは、それぞれのBiP入力シグナルで割ることによって、BiP発現レベルについて正規化した。BiPの結合は、正規化されたBiPシグナルを、免疫沈降されたαサブユニットのシグナルで割ることによって決定した。統計分析はGraphPadバージョン6.0(GraphPad Software社)を用いて行った。示される場合には、両側の、対応のない、スチューデントのt検定でデータを分析した。差はp<0.05で統計的に有意であると見なした。統計データが示されない場合には、全ての実験を少なくとも3回実施して、1つの代表的な実験を選択した。
【0152】
配列分析および相同モデル化:
複数のDNA配列アライメントはClustal Omegaを使用して行った35。IL-27αの種比較のために、さらに、genbank識別番号XP_004268682.1(シャチ(Orcinus orca))(SEQ ID NO: 14)、XP_018867076.1(ニシローランドゴリラ(Gorilla gorilla gorilla))(SEQ ID NO: 15)、XP_012398754.1(モンゴルキヌゲネズミ(Criteculus griseus))(SEQ ID NO: 16)、XP_001496678.1(ウマ(Equus caballus))(SEQ ID NO: 17)、EHH31550.1(アカゲザル(Macaca mulatta))(SEQ ID NO: 18)、NP_001007521.1(イノシシ(Sus scrofa))(SEQ ID NO: 19)、XP_017198096.1(アナウサギ(Oryctolagus cuniculus))(SEQ ID NO: 20)、XP_344963.5(ドブネズミ(Rattus norvegicus))(SEQ ID NO: 21)、XP_007894866.1(ゾウギンザメ(Callorhinchus milii))(SEQ ID NO: 22)およびXP_014457024.1(アメリカアリゲーター(Alligator mississippiensis))(SEQ ID NO: 23)に対応する配列を使用した。ヒトおよびマウスIL-27α構造の相同モデル化のためにiTasser36を使用した。構造アライメントはYasara Structure(www.yasara.org)を使用して作成した。
【0153】
分子動力学シミュレーション
比較分子動力学(Molecular Dynamics:MD)シミュレーションは、ヒトwt hIL-27αおよびhIL-27αL162Cモデル構造(hIL-27αL162Cの場合は、L162CとC107の間にジスルフィド結合を含む)からそれぞれ開始して、実施した。全てのMDシミュレーションならびに根平均二乗偏差(root-mean square deviation:RMSD)および根平均二乗ゆらぎ(root-mean square fluctuation: RMSF)の分析は、Amber14パッケージ37およびparm14SB力場38を使用して行った。むき出しの(explicit)Na+およびCl-イオン(約0.15M)とむき出しの(TIP3P)水分子を含む八面体ボックス39の中で、タンパク質原子とボックス境界との間の最小距離を10Åに保持して、タンパク質を最初に溶媒和した。このシミュレーションシステムでは、最初にエネルギーを最小化し(5000ステップ)、続いてタンパク質の全ての非水素原子の位置を拘束しながら、100Kのステップで300Kまで加熱した。続いて、位置拘束を初期12kcal・mol-1・Å-2から0.5kcal・mol-1・Å-2へと0.5ns以内に徐々に解除し、その後に310Kで1nsの非拘束平衡フェーズが続いた。全ての生産シミュレーション(200ns)は、温度310K、圧力1バールで実施した。
【0154】
ヒトインターロイキン27のαサブユニットまたはヒトインターロイキン27の位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つがシステインに変異している場合、2つのシステイン残基間のジスルフィド架橋が形成され得ることは、相同モデル化とその後の分子動力学シミュレーションからはっきりしている。したがって、そのようなジスルフィド架橋は、上記位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182のいずれかと、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)のアミノ酸位置107のシステインとの間に、形成され得る。あるいは、ジスルフィド架橋の代わりに、(生理学的条件下で)荷電側鎖を有する配列位置107に存在するアミノ酸残基と、配列位置160、161、162、163、164、165、180、181、および182のいずれかに存在しかつ生理学的条件下で反対の電荷の荷電側鎖を有するアミノ酸残基との間に、本明細書で定義される塩橋が形成され得ることも可能である。
【0155】
IL-27サイトカインおよびマクロファージアッセイ
THP-1細胞を、10%(v/v)ウシ胎児血清(Biochrom社)を補充したL-Ala-L-Gln(AQmedia、Sigma-Aldrich社)を含有するRPMI-1640培地中37℃、5% CO2で増殖させた。該培地を1%(v/v)抗生物質-抗真菌剤溶液(25μg/mlアムホテリシンB、10mg/mlストレプトマイシン、および10,000単位のペニシリン;Sigma-Aldrich社)で補完した(完全RPMI-1640)。THP-1細胞を0.5mL中に2×105細胞/mLの密度で播種し、25nM PMAと共に48時間インキュベートすることによってマクロファージに分化させた(Lund et al., 2016)。その後、該培地をPMAフリーの完全RPMI-1640と交換した。24時間後、該細胞を0.5μg/mLのExpi293発現hIL-27αL162C/対照培地と2時間プレインキュベートし、次にhIL-27αL162C/対照培地の存在下に1μg/mL LPSを用いてさらに4時間刺激した。細胞上清を遠心分離(300g、15分、4℃)により回収した。対照として、hIL-27αL162Cを抗IL-27抗体(R&D Systems社、AF2526;最終濃度:10μg/mL)と前もって混合し、該細胞に加えた。マクロファージ上清中のIL-6およびTNF-αレベルは、ヒトIL-6またはヒトTNF-α DuoSet ELISAキットを使用して、製造元の指示(R&D systems社)に従って測定した。各生物学的レプリケートの二つ組を測定し、線形フィットで分析される標準曲線を使用してサイトカイン濃度を決定した。
【0156】
実施例1:本発明は、単一の点変異がヒトIL-27αを単独で分泌可能にすることを示す
IL-27のαサブユニットとβサブユニット(それぞれ、IL-27α/p28およびEBI3)は、非共有結合でアセンブルして、生物活性のヘテロ二量体IL-27を形成することができる。IL-27は、ヘテロ二量体IL-27Rα(WSX-1)/gp130受容体を介してシグナルを伝達する
4,18(
図2(a)参照)。これまでのところ、ヒトIL-27α(hIL-27α)は、トランスフェクトされた293T細胞内に単独でとどまり、そのβサブユニットhEBI3(SEQ ID NO: 9)の共発現によってその分泌が誘導される(
図2(b)参照)。
【0157】
本発明者らは、hIL-27αにC末端O-グリコシル化部位を一緒に導入した柔軟なGSリンカーによって分離された、C末端V5エピトープタグを有するhIL-27αを使用した(
図2(c)参照)。O-グリコシル化はゴルジ体で起こるが、本発明者らはhEBI3の非存在下でhIL-27αのこの部位に修飾を全く観察しなかったので(
図2(b)参照)、hIL-27α(SEQ ID NO: 1)はhEBI3(SEQ ID NO: 9)の非存在下ではERに保持されるようである。
【0158】
ヒトIL-27αサブユニットとは対照的に、そのマウスオーソログ(mIL-27α、SEQ ID NO: 10)は単独で分泌され得る(
図2(d)参照)
4。注目すべきことに、ヒトEBI3(hEBI3)(SEQ ID NO: 9)は、mIL-27α(SEQ ID NO: 10)の分泌をもさらに増加させた(
図2(d)参照);このことはマウスとヒトの間で保存されたIL-27の境界面(interface)を証明している。これに合致して、2つのサブユニット、mIL-27α(SEQ ID NO: 10)とhEBI3(SEQ ID NO: 9)の間の相互作用が、共免疫沈降実験によって検出された。
【0159】
ヒトIL-27αとマウスIL-27αとの分泌の違いは、特に免疫調節機能がマウスのオーソログによるものであったため
17、興味をかき立てられる。このはっきり区別できる挙動を引き起こし得るこれら2つのタンパク質間の違いを特定するために、本発明者らはそれらの一次配列を比較した。この配列アライメントにより、ヒトおよびマウスIL-27αの他の点では高度に保存された2つの配列間のいくつかの顕著な違いが明らかになった(
図3(a)参照)。
【0160】
第一に、mIL-27α(SEQ ID NO: 10)には予測されたN-グリコシル化部位があるが、そのヒトオーソログにはなく、これは本発明者らの脱グリコシル化データと一致する(
図2(c)参照)。
【0161】
第二に、mIL-27α(SEQ ID NO: 10)の配列には2つのシステイン(位置103および158)が見つかるが、hIL-27αには1つだけ(位置107)が見つかる。
【0162】
そして第三に、IL-27αのポリグルタミン酸ストレッチ(骨構造へのその局在に関連している19)は、mIL-27α(SEQ ID NO: 10)ではリシンで中断されるが、hIL-27α(SEQ ID NO: 1)ではそうでない。
【0163】
これらの配列の違いの影響を評価するために、本発明者らは、hIL-27αに対応する変異(それぞれ、D89N(SEQ ID NO: 31)、L162C(SEQ ID NO: 2)およびK168挿入(SEQ ID NO: 32))を個別に導入し、変異タンパク質の単独での分泌をモニタリングした。N-グリコシル化の際に起こると予想されるように、hIL-27α
D189N(SEQ ID NO: 31)は今や分子量が上方にシフトした。しかし、この変異体では分泌は観察されず、hIL-27α
K168挿入(SEQ ID NO: 32)も分泌されなかった(
図3(b)参照)。際立って対照的に、hIL-27α
L162C(SEQ ID NO: 2)は、今や培地中にほぼ例外なく見られ、かつO-グリコシル化されて、真正な(bona fide)分泌を支持した(
図3(b)参照)。こうして、驚くべきことに、本発明の発明者らは、単一の点変異によって、hIL-27αが単独で分泌可能になる、ことを見出した。
【0164】
この効果をより詳細に理解するために、本発明者らは、ヒトおよびマウスIL-27αの構造をモデル化した。両方とも、わずか1.0ÅのRMSDで重ね合わせることができる4ヘリックスバンドル構造を示した(
図3(c)および(d)参照)。注目すべきことに、この構造内では、マウスIL-27αの2つのシステインは近接しており、そのため、4ヘリックスバンドルフォールドの2番目のヘリックスを、IL-27αのヘリックス3および4を分離するユニークなポリグルタミン酸ストレッチのN末端部分とつなぐジスルフィド架橋を形成することができた(
図3(c)参照)。これらの異なるタンパク質におけるジスルフィド架橋の形成を評価するために、本発明者らは、非還元および還元SDS-PAGEゲル上での分泌タンパク質の移動度を比較した
20。mIL-27α(SEQ ID NO: 10)では移動度シフトが観察されなかったけれども、hIL-27α
L162C(SEQ ID NO: 2)については非還元条件に対して還元条件下で明確な移動度シフトが観察され、野生型(wt)hIL-27α(SEQ ID NO: 1)では観察されなかった。これにより、hIL-27α
L162C(SEQ ID NO: 2)におけるジスルフィド架橋の形成が示され、それは単独で分泌可能な状態になる。
【0165】
実施例2:ヒトIL-27αの保持 vs. 分泌の分子決定要因の評価
hIL-27α(SEQ ID NO: 1)は、単独で発現されると細胞内に保持され、そのβサブユニットEBI3(SEQ ID NO: 9)の共発現時にのみ分泌され得るため(
図2(b)参照)、本発明者らは、何がEBI3の非存在下でhIL-27α(SEQ ID NO: 1)の保持をもたらすのか、および何故それが分泌のためにジスルフィド架橋の形成に依存するのか、を調べた。本発明者らは、最初に、hIL-27αのフォールディングおよび保持に関与しうるhIL-27αの異なる構造要素を変異させ、その変異をhIL-27αのフリーなシステインから開始した(C107、SEQ ID NO: 28、
図4(a)参照)。ERp44によって媒介されるフリーなシステインのチオールベースの保持は、例えばIgMタンパク質の品質管理において、重要なステップを構成しており
21、この単一のフリーなシステインは、例えば、EBI3とのヘテロ二量体化の際にアクセスできなくなる可能性があった。しかし、wt hIL-27α(SEQ ID NO: 1)と同様に、単離されたhIL-27α
C107L(SEQ ID NO: 28)は細胞内に保持され、しかもEBI3の共発現時に分泌された(
図4(a)参照)。したがって、そのフリーなチオールの認識はhIL-27αの保持の主要因ではなく、C107はEBI3によるhIL-27α(SEQ ID NO: 1)のアセンブリ誘導分泌にとって重要ではない。
【0166】
また、本発明者らは、構造化されていないことが相同モデル化により予測される、ポリグルタミン酸ストレッチというIL-27αの特性に注目した(
図3(c)参照)。したがって、それは、ER品質管理システムの成分により直接認識されることによって、または該タンパク質の天然状態をエントロピー的に不安定化することによって、該タンパク質の保持に関与している可能性がある。これらの仮説を検証するために、本発明者らは2つのループ欠失変異体を作成した:hIL-27α
Δ164-176(SEQ ID NO: 24)では、ポリグルタミン酸ストレッチのみが除去され、hIL-27α
Δ164-180(SEQ ID NO: 25)では、構造化されていないループの一部でもあると予測された数個の追加のC末端残基が該欠失に含まれていた。両方のループ欠失変異体について、本発明者らは、単独での細胞内保持およびEBI3によって誘導される分泌を観察した(
図4(b)参照)。第3の変異体では、本発明者らは、ポリglu配列をgly-serリンカーに置換して(hIL-27α
Δ164-180toGS(SEQ ID NO: 26))、hIL-27αに対するポリgluストレッチの配列特異的効果 vs. この柔軟なリンカーによる天然状態のエントロピー不安定化を、より極端なアプローチとして欠失を使用することなく、試験した。この場合も、hIL-27α
Δ164-180toGS(SEQ ID NO: 26)は細胞内に保持され、EBI3はその分泌を誘導した(
図4(b)参照)。これらの知見は、ポリgluストレッチの特異的効果に対立するものとしてhIL-27α(SEQ ID NO: 1)の全体的に不完全なフォールディングを証明しており、さらに、ポリgluループがhIL-27α(SEQ ID NO: 1)のEBI3媒介分泌に必要ではないことを明らかにしている。
【0167】
実施例3:ERシャペロンによる認識
hIL-27αのフォールディング状態をさらに評価するために、本発明者らは、それがERシャペロンによって認識されて、その保持につながるかどうかを検証した。したがって、本発明者らはシャペロンBiP(免疫グロブリン重鎖結合タンパク質)に注目したが、それは、ER内で不完全にフォールディングされたポリペプチドによって露出される疎水性アミノ酸ストレッチに結合する
22,23。インビトロ、インビボでのタンパク質フォールディングとBiP結合の間には良好な相関関係が存在するため、BiP結合は細胞内のタンパク質のフォールディング状態を評価するための適切な代理(proxy)として機能し得る
24。本発明者らが共免疫沈降実験によりwt hIL-27α(SEQ ID NO: 1)またはhIL-27α
L162C(SEQ ID NO: 2)のいずれかへのBiP結合を試験したとき、本発明者らは、驚くべきことに、BiPがhIL-27α
L162C(SEQ ID NO: 2)に結合するよりもかなり良好に野生型(wt)hIL-27α(SEQ ID NO: 1)に結合することを見出した(
図4(c)参照)。これは、シャペロン結合のためにEBI3の非存在下でERに保持される、全体的に構造化されていないhIL-27α(SEQ ID NO: 1)を明らかにする。
【0168】
実施例4:分子動力学シミュレーション
hIL-27α(SEQ ID NO: 1)についてのさらなる構造的洞察を得るために、本発明者らは、野生型(wt)hIL-27α(SEQ ID NO: 1)の相同モデルでだけでなく、hIL-27α
L162C(SEQ ID NO: 2)(このタンパク質には形成されたジスルフィド架橋が存在する)でも、分子動力学シミュレーションを実施した(
図3(e)および(f)参照)。
【0169】
このシミュレーションの間にいずれのタンパク質にも全体的なアンフォールディングは観察されなかったものの、ジスルフィド結合の存在は、hIL-27α
L162C(SEQ ID NO: 2)内の2つの大きなループの動力学を著しく低下させた。それらの1つであるポリgluループについては、ジスルフィド架橋がそのN末端を直接拘束するので、それが予想された(
図4(d)および(e)参照)。興味深いことに、ジスルフィド結合の存在下で、本発明者らは、驚くべきことに、hIL-27α(SEQ ID NO: 1)のヘリックス1および2をつなぐループの動力学が低下したことを見出した(
図4(d)および(e)参照)。このループはいくつかの疎水性残基を含んでおり、該疎水性残基はまた、ジスルフィド架橋のため、動力学が制限されるようになり、そしてポリgluループのC末端の疎水性残基ならびにhIL-27α(SEQ ID NO: 1)のヘリックス2および4の疎水性残基と相互作用して、それらを潜在的に遮蔽することができ、結果的に天然の状態を安定化させる。
【0170】
EBI3は、さもなければフォールディングされていないhIL-27α(SEQ ID NO: 1)をER保持から解放し得ることが示されている。しかしながら、EBI3がIL-27αサブユニットの正しいフォールディングを誘導するためだけに必要とされるのか、またはhIL-27α(SEQ ID NO: 1)の分泌には安定したヘテロ二量体化が必要であるのかどうかは、これまで知られていなかった。この問題に対処するために、本発明者らは、C末端に融合されたER保持配列(hEBI3
KDEL(SEQ ID NO: 27))を含むヒトEBI3構築物を設計した。hEBI3
KDEL(SEQ ID NO: 27)と共発現させたとき、hIL-27α(SEQ ID NO: 1)は培地に分泌されなかった(
図4(f)参照)。しかしながら、hIL-27α(SEQ ID NO: 1)は、単独でよりもhEBI3
KDEL(SEQ ID NO: 27)の存在下で高いレベルを示し、EBI3とのアセンブリがhIL-27αを安定化させることを支持する。まとめると、EBI3との安定したヘテロ二量体化は、hIL-27αのフォールディングおよびER保持からのその解放のための前提条件である。
【0171】
実施例5:IL-27αのアセンブリ誘導分泌 vs. 自律的分泌は進化的に保存されており、生物のサイトカインレパートリーに影響を与える
IL-27αの分泌挙動、それゆえにこのサブユニットによって媒介される潜在的な免疫調節は、マウスおよびヒトでは単一のCys残基に依存している。したがって、これが他の種でも保存されている特徴であるかどうかが問題であった。
【0172】
いくつかの種の配列アライメントにより、驚くべき相違が明らかになった:
IL-27αの最初のシステイン残基は、例えばウシ(Bos Taurus)(SEQ ID NO: 11)を除いて、一般的に高度に保存されていた(
図5(a)参照)。興味深いことに、モンゴルキヌゲネズミ(Criteculus griseus)の配列(SEQ ID NO: 16)は、その近縁種ハツカネズミ(mus musculus)(SEQ ID NO: 10)に非常に似ていたが、その一方で、ラット(SEQ ID NO: 21)およびウサギ(SEQ ID NO: 20)は3つのシステインさえも有していた(
図5(a)参照)。ゴリラ(SEQ ID NO: 15)とブタ(SEQ ID NO: 19)の配列はシステインに関してヒトを連想させた。一方、例えばウマ(equus caballus)(SEQ ID NO:17)およびホッキョクグマ(ursus maritimus)(SEQ ID NO:13)については、興味深いことに、最初のシステイン残基は保存されていたが、2番目のシステイン残基はC末端付近にのみ見られた(
図5(a)参照)。
【0173】
こうしたばらつきがIL-27α分泌に及ぼす影響を分析するために、本発明者らはCysの組み合わせの大部分を代表する配列を選び出した:タスマニアデビル(Sarcophilus harrisii)(SEQ ID NO: 12)(1つのシステイン)、ホッキョクグマ(Ursus maritimus)(SEQ ID NO: 13)(2つのシステイン、ただし1つはC末端)、およびウシ(Bos taurus)(SEQ ID NO: 11)(システインなし)。
【0174】
驚いたことに、タスマニアデビルIL-27α(SEQ ID NO: 12)は、その「ヒト様」配列から予想されるように、単独では保持され、その分泌をEBI3によって誘導することができた。ホッキョクグマIL-27α(SEQ ID NO: 13)は、単独でも分泌され、C末端のシステインが安定化にも作用する可能性があることを示唆する。ウシIL-27α(SEQ ID NO: 11)は、単独では保持され、EBI3が共発現されると分泌された(
図5(b)参照)。
【0175】
まとめると、ジスルフィド架橋/Cysペアは、一般的に、IL-27αに対して安定化の役割を担っており、このサブユニットが単独で分泌されて、潜在的に免疫調節の役割を果たすことができるかどうかに決定的な影響を与えている。試験した全ての種に由来するIL-27αでは、ヒトEBI3がその分泌を増加/誘導しており、高度に保存されたIL-27α-EBI3の境界面を支持している。
【0176】
IL-27α分泌におけるジスルフィド架橋の重要な役割をさらに確認するために、本発明者らはマウスIL-27αの2番目のシステインをロイシンに置換し(C158L)(SEQ ID NO: 29)、結果としてヒト配列によく似た構築物を得た。mIL-27α
C158L(SEQ ID NO: 29)は今や単独では細胞内に保持され、ヒトEBI3によってその分泌を誘導することができた(
図5(c)参照)。
【0177】
実施例6:hIL-27α
L162C
はLPS刺激THP-1マクロファージからの炎症性サイトカインIL-6の分泌を増加させる
IL-27αにより誘導されるシグナル伝達の生物学的結果をヒト免疫細胞において評価するために、本発明の発明者らは、hIL-27α
L162Cの非存在下または存在下にLPSでTHP-1マクロファージを刺激した。hIL-27α
L162Cは、炎症性サイトカインIL-6(
図9(a))およびTNF-α(
図9(b))の分泌を増加させ、免疫細胞機能をモジュレートする機能性サイトカイン
41としてのその役割が裏付けられた。これらの知見は、本発明のムテインがヒト免疫細胞に対して活性であることを示している。
【0178】
本発明は、以下の項目によってさらに特徴づけられる:
項目:
1. ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインであって、ヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の配列位置160、161、162、163、180、181、および182からなる群より選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、ムテイン。
2. 配列位置160~163のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、項目1に記載のムテイン。
3. 配列位置180~182のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、項目1または2に記載のムテイン。
4. 配列位置160のアミノ酸残基がシステインに置換されている(SEQ ID NO: 3)、前記項目のいずれかに記載のムテイン。
5. 配列位置161のアミノ酸残基がシステインに置換されている(SEQ ID NO: 4)、前記項目のいずれかに記載のムテイン。
6. 配列位置162のアミノ酸残基がシステインに置換されている(SEQ ID NO: 2)、前記項目のいずれかに記載のムテイン。
7. 配列位置163のアミノ酸残基がシステインに置換されている(SEQ ID NO: 5)、前記項目のいずれかに記載のムテイン。
8. 配列位置180のアミノ酸残基がシステインに置換されている(SEQ ID NO: 6)、前記項目のいずれかに記載のムテイン。
9. 配列位置181のアミノ酸残基がシステインに置換されている(SEQ ID NO: 7)、前記項目のいずれかに記載のムテイン。
10. 配列位置182のアミノ酸残基がシステインに置換されている(SEQ ID NO: 8)、前記項目のいずれかに記載のムテイン。
11. 1つまたは複数の塩橋をさらに含む、前記項目のいずれかに記載のムテイン。
12. 1つまたは複数のジスルフィド架橋をさらに含む、前記項目のいずれかに記載のムテイン。
13. αサブユニットp28およびβサブユニットEbi3を含むヒトインターロイキン27の分泌可能なムテインであって、該αサブユニットが項目1~12のいずれかに記載のヒトインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 1)の分泌可能なムテインである、ムテイン。
14. 配列位置160~163のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、項目13に記載のムテイン。
15. 配列位置180~182のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つが変異している、項目13または14に記載のムテイン。
16. 配列位置160のアミノ酸残基がシステインに置換されている、項目13~15のいずれかに記載のムテイン。
17. 配列位置161のアミノ酸残基がシステインに置換されている、項目13~16のいずれかに記載のムテイン。
18. 配列位置162のアミノ酸残基がシステインに置換されている、項目13~17のいずれかに記載のムテイン。
19. 配列位置163のアミノ酸残基がシステインに置換されている、項目13~18のいずれかに記載のムテイン。
20. 配列位置180のアミノ酸残基がシステインに置換されている、項目13~19のいずれかに記載のムテイン。
21. 配列位置181のアミノ酸残基がシステインに置換されている、項目13~20のいずれかに記載のムテイン。
22. 配列位置182のアミノ酸残基がシステインに置換されている、項目13~21のいずれかに記載のムテイン。
23. 1つまたは複数の塩橋をさらに含む、項目13~22のいずれかに記載のムテイン。
24. 1つまたは複数のジスルフィド架橋をさらに含む、項目13~23のいずれかに記載のムテイン。
25. 項目1~24のいずれかに記載のヒトインターロイキン27の分泌可能なムテインまたはヒトインターロイキン27のαサブユニットの分泌可能なムテインをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子。
26. SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 3、SEQ ID NO: 4、SEQ ID NO: 5、SEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 7、またはSEQ ID NO: 8のムテインをコードするヌクレオチド配列を含む、項目25に記載の核酸分子。
27. 前記核酸分子の発現を可能にする調節配列に機能的に連結されている、項目25または26に記載の核酸分子。
28. 前記調節配列がプロモーター配列を含む、項目27に記載の核酸分子。
29. ベクター内に含まれる、項目25~28のいずれかに記載の核酸分子。
30. 項目25~29のいずれかに記載の核酸分子を含有する宿主細胞。
31. 項目1~24のいずれかに記載のムテインを含む免疫モジュレーター。
32. 哺乳動物における感染症、自己免疫疾患、がん、慢性炎症性腸疾患などの慢性炎症性疾患、急性炎症性疾患、敗血症、敗血症性ショック、糖尿病、または喘息の治療用の医薬を製造するための、項目1~24のいずれかに記載のムテインの使用。
33. 感染症、自己免疫疾患、がん、慢性炎症性腸疾患などの慢性炎症性疾患、急性炎症性疾患、敗血症、敗血症性ショック、糖尿病、または喘息の治療に使用するための、項目1~24のいずれかに記載のムテイン。
34. 哺乳動物におけるインターロイキン27介在性疾患、好ましくは感染症、自己免疫疾患、がん、慢性炎症性腸疾患などの慢性炎症性疾患、急性炎症性疾患、敗血症、敗血症性ショック、糖尿病、または喘息、を治療する方法であって、項目1~24のいずれかに記載のムテインを含む組成物を、それを必要とする哺乳動物に投与するステップを含む、方法。
35. 項目1~24のいずれかに記載のムテインを生産する方法であって、
(a)ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27のαサブユニットポリペプチドをコードする核酸分子に、ヒトインターロイキン27またはヒトインターロイキン27のαサブユニットの配列位置160、161、162、163、180、181、および182からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基を変異させるヌクレオチド配列を導入するステップ;および
(b)得られた発現用の核酸分子を、適切な宿主細胞に、または適切な細胞抽出物もしくは細胞溶解物に導入するステップ;
を含む、方法。
36. ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置160~163のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つを変異させるヌクレオチド配列を導入する、項目35に記載の方法。
37. ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置180~182のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つを変異させるヌクレオチド配列を導入する、項目35または36に記載の方法。
38. ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置160~163のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つをシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入する、項目35~37のいずれかに記載の方法。
39. ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置180~182のアミノ酸残基のうちの少なくとも1つをシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入する、項目35~38に記載の方法。
40. ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置160のアミノ酸残基をシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入する、項目35~39のいずれかに記載の方法。
41. ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置161のアミノ酸残基をシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入する、項目35~40のいずれかに記載の方法。
42. ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置162のアミノ酸残基をシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入する、項目35~41のいずれかに記載の方法。
43. ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置163のアミノ酸残基をシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入する、項目35~42のいずれかに記載の方法。
44. ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置180のアミノ酸残基をシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入する、項目35~43のいずれかに記載の方法。
45. ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置181のアミノ酸残基をシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入する、項目35~44のいずれかに記載の方法。
46. ステップ(a)において、ヒトインターロイキン27ポリペプチドまたはヒトインターロイキン27αサブユニットポリペプチドをコードする核酸分子に、配列位置182のアミノ酸残基をシステインに変異させるヌクレオチド配列を導入する、項目35~45のいずれかに記載の方法。
47. マウスインターロイキン27のαサブユニット(SEQ ID NO: 10)の分泌不能のムテインであって、アミノ酸位置103および158の2つのシステイン残基のうちの少なくとも1つが変異または欠失している、ムテイン。
48. アミノ酸位置103および158の2つのシステイン残基のうちの少なくとも1つが疎水性アミノ酸残基に置換されている、項目47に記載のマウスインターロイキン27のαサブユニットの分泌不能のムテイン。
49. アミノ酸位置103および158の2つのシステインのうちの少なくとも1つがセリン、ロイシン、イソロイシンまたはアラニン残基に置換されている、項目47または48に記載のマウスインターロイキン27のαサブユニットの分泌不能のムテイン。
【0179】
【配列表】