(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】椅子用トレーニング器具
(51)【国際特許分類】
A63B 23/00 20060101AFI20230324BHJP
A63B 21/055 20060101ALI20230324BHJP
A63B 21/04 20060101ALI20230324BHJP
A63B 23/04 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
A63B23/00 F
A63B21/055
A63B21/04
A63B23/04 Z
(21)【出願番号】P 2020198597
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】517191091
【氏名又は名称】日本プラスチックス・テクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129676
【氏名又は名称】▲高▼荒 新一
(72)【発明者】
【氏名】横山 契
(72)【発明者】
【氏名】島 道一
【審査官】相川 俊
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3069140(JP,U)
【文献】米国特許第04304401(US,A)
【文献】韓国登録特許第10-1535753(KR,B1)
【文献】特表平11-505156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 23/00
A63B 21/055
A63B 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紐状弾性部材と、前記紐状弾性部材の一方側端部に設けられる身体取付具と、前記紐状弾性部材の他方側端部に設けられる取着用部材とを備えたトレーニング用弾性部材と、
前記トレーニング用弾性部材を取り付けるための取付用バーと、前記取付用バーから間隔をおいて設けられる長手方向の中心軸を中心に回転するローラーバーと、前記取付用バーと前記ローラーバーを所定間隔に保持する支持バーと、椅子に固定するための固定用ゴムバンドと、を備え、
前記トレーニング用弾性部材は、前記取着用部材によって前記取付用バーに取り付けられ、前記ローラーバーを介して前記身体取付具が身体側に配置されることを特徴とする椅子用トレーニング器具。
【請求項2】
前記固定用ゴムバンドは、ゴム製の平ベルト状の部材であり、両端側に孔が形成されており、両端側の前記孔を椅子の前脚を介して前記取付用バーに通すことによって前記前脚に固定可能であることを特徴とする請求項1に記載の椅子用トレーニング器具。
【請求項3】
前記支持バーの下端に固定されるとともに、側方方向に延設されている非伸縮ベルト部と、先端には貫通孔が設けられており前記非伸縮ベルト部の先端に設けられた弾性を有する伸縮ベルト部材と、を有する固定用ベルトを備えていることを特徴とする
請求項2に記載の椅子用トレーニング器具。
【請求項4】
前記固定用ベルトと、前記椅子の前記前脚と、前記支持バーを固定するための補助固定バンドを有することを特徴とする
請求項3に記載の椅子用トレーニング器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子用トレーニング器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、身体を鍛錬するためのトレーニング器具が種々提案されている。こうしたトレーニング器具は、必ずしもスポーツ選手のように身体の運動機能を向上させるため、非常に高いレベルで行うスポーツ用途に限らず、女性のダイエットや高齢者などの歩行訓練等のトレーニングのように高強度ではないが、手軽に行えるトレーニング器具も求められている。
【0003】
こうしたトレーニング器具として、ゴム等のチューブを利用したトレーニング器具が提案されている。ゴム等のチューブは、軽量かつコンパクトであり、安価であることから簡易なトレーニング器具の負荷手段として使用されている(特許文献1)。しかしながら、ゴム等のチューブを付加手段として使用し、様々な種類のトレーニングを行えるようにすると、装置が非常に大型になってしまうという欠点があった。また、ゴム等のチューブの一方端部を装置に支持して、他方側の端部を身体に固定したり、把持したりして使用する場合、チューブの長さをある程度確保しなければ、効果的な運動強度、移動距離を確保することができないため、運動部位を支持点からある程度離れた状態で運動しなければならないという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、ゴムチューブ等の弾性部材を使用して軽量かつコンパクトでありながら、椅子に取り付けてトレーニングを行うことができる椅子用トレーニング器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明にかかる椅子用トレーニング器具は、紐状弾性部材と、前記紐状弾性部材の一方側端部に設けられる身体取付具と、前記紐状弾性部材の他方側端部に設けられる取着用部材とを備えたトレーニング用弾性部材と、
前記トレーニング用弾性部材を取り付けるための取付用バーと、前記取付用バーから間隔をおいて設けられるローラーバーと、前記取付用バーと前記ローラーバーを所定間隔に保持する支持バーと、椅子に固定するための固定用ゴムバンドと、を備え、
前記トレーニング用弾性部材は、前記取着用部材によって前記取付用バーに取り付けられ、前記ローラー部材を介して前記身体取付具が身体側に配置されることを特徴とする。
【0008】
本発明にかかる椅子用トレーニング器具によれば、トレーニング用弾性部材の一方側端部と他方側端部との間にローラーバーを備えているので、身体のトレーニング部位が椅子に非常に近い場合であっても最適な強度と可動距離を確保することができる。
【0009】
また、本発明にかかる椅子用トレーニング器具において、前記固定用ゴムバンドは、ゴム製の平ベルト状の部材であり、両端側に孔が形成されており、両端側の前記孔を椅子の前脚を介して取付用バーに通すことによって前記前脚に固定可能であることを特徴とするものであってもよい。
【0010】
さらに、本発明にかかる椅子用トレーニング器具において、前記支持バーの下端に固定されるとともに、側方方向に延設されている非伸縮ベルト部と、先端には貫通孔が設けられており前記非伸縮ベルト部の先端に設けられた弾性を有する伸縮ベルト部材と、を有する固定用ベルトを備えていることを特徴とするものであってもよい。
【0011】
さらに、本発明にかかる椅子用トレーニング器具において、前記固定用ベルトと、前記椅子の前記前脚と、前記支持バーを固定するための補助固定バンドを有することを特徴とするものであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる椅子用トレーニング器具によれば、ゴムチューブ等の弾性部材を使用して軽量かつコンパクトでありながら、様々な種類のトレーニングを行うことができる椅子用トレーニング器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1実施形態にかかる椅子用トレーニング器具100の斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態にかかる椅子用トレーニング器具100の被取付部材50を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態にかかる椅子用トレーニング器具100の使用方法を示す模式図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態にかかる椅子用トレーニング器具100との比較例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態にかかる椅子用トレーニング器具100との比較例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明にかかる椅子用トレーニング器具100について、図を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、椅子200に取り付けられた状態を示す椅子用トレーニング器具100の斜視図であり、
図2は、被取付部材50を示す斜視図である。
【0016】
第1実施形態にかかる椅子用トレーニング器具100は、
図1に示すように主として、トレーニング用弾性部材10と、このトレーニング用弾性部材10が取り付けられるとともに、椅子200に取り付けるための部材である被取付部材50と、を備えている。
【0017】
トレーニング用弾性部材10は、主として、引張弾性を有する紐状弾性部材11と、紐状弾性部材11の一方側端部に設けられた身体取付具12と、紐状弾性部材11の他方側端部に設けられる取着用部材13と、を備えている。
【0018】
紐状弾性部材11は、弾性を有する素材であるゴム、ウレタン又はシリコン等で作製された長尺の部材であり、この弾性力によってトレーニング時に身体に負荷を与える機能を有する。紐状弾性部材11の断面形態は、断面円形、中空のチューブ状又は平たいバンド状等種々の形態を採用することができる。本実施形態においては、中空のチューブ状の部材を採用している。
【0019】
身体取付具12は、主として、トレーニングをする際に、手又は脚に取り付けたり、把持したりするための器具であり、
図1に示すバンドのように受動的に手首や足首に巻きつけ固定することができるものに加え、手で握ることができる部材のように能動的に掴む把持部材も含む。好ましくは、フック等によって、トレーニングの種類に応じて、バンド等と把持部材を交換できるように設けるとよい。
【0020】
取着用部材13は、トレーニング用弾性部材10を被取付部材50に取り付けるための部材である。取着用部材13は、トレーニング用弾性部材10を被取付部材50、特に取付用バー51に対してトレーニング中に外れることなく、かつ取付用バー51の長手方向(軸方向)に移動可能に取り付けられるものであれば、特に限定するものではなく、バックル等の留め具や面ファスナーであってもよい。本実施形態においては、取着用部材13は、平バンドに面ファスナーを設けてあり、容易に被取付部材50に取り付けたり、取り外したりすることができるようにしてある。
【0021】
被取付部材50は、
図1に示すように、椅子200に取り付けられて使用されるものであり、腕、脚等のトレーニングの種類に応じて、トレーニング用弾性部材10を取り付けて、トレーニング用弾性部材10の他方側端部を固定支持するための部材である。被取付部材50は、
図2に示すように、主として、トレーニング用弾性部材10を取り付けるための取付用バー51と、取付用バー51から間隔をおいて設けられるローラーバー52と、これら取付用バー51とローラーバー52を所定間隔に保持する支持バー53と、椅子200に固定するための固定用ゴムバンド54と、固定用ベルト55と、補助固定バンド56と、を備えている。
【0022】
取付用バー51は、トレーニング用弾性部材10の他方側端部の取着用部材13が取り付けられる部材である。少なくとも一本は、椅子200の座部の裏側の3cm~10cmの範囲になるように、水平に配置されるように設けることが好ましい。取付用バー51は、
図1に示すように、椅子200の側面から延設するような長さに設けられる。好ましくは、椅子200の側面から2cmから5cm程度延設される長さに設定するとよい。
【0023】
ローラーバー52は、円筒状に設けられてなり、
図2の矢印に示すように、長手方向の中心軸を中心に回転することができる。ローラーバー52は、取付用バー51から間隔を空けて設けられる。好ましくは、床面から20cm以下の範囲に水平に設けるとよい。
【0024】
支持バー53は、取付用バー51及びローラーバー52を上述した位置となるように並行に保持する部材である。これら取付用バー51及びローラーバー52の固定方法は特に限定するものではない。
【0025】
固定用ゴムバンド54は、主として、被取付部材50の上方側を椅子200に固定するための部材であり、ゴム製の平ベルト状の部材であり、ベルトの両端側に孔54aが形成されており、両端側の孔54aを椅子200の前脚201を介して取付用バー51に通すことによって前脚に被取付部材50を固定することができる。
【0026】
固定用ベルト55は、主として、被取付部材50の下方側を椅子200に固定するための部材であり、
図2に示すように、支持バー53の下端に固定されるとともに、側方方向に延設されている非伸縮ベルト部55aと、この非伸縮ベルト部55aの先端に設けられたゴム、エラストマー等の弾性を有する伸縮ベルト部材55bが設けられており、先端には取付用バー51の椅子200の側面から延設された延設部51aに引っ掛けるための貫通孔55cが設けられている。
【0027】
補助固定バンド56は、固定用ベルト55と、椅子200の前脚201とを固定するためのバンドであり、面ファスナー等で容易に固定することができるように作製されている。
【0028】
こうして作製された椅子用トレーニング器具100は、以下のようにして使用される。まず、使用する椅子200に対して被取付部材50を取り付ける。はじめに、取付用バー51が座面202の下方であって、かつ前脚201の背面側となるように配置し、固定用ベルト55は前脚201の内側から外側方向に向かうように、前脚201の底面下に床と挟むように配置する。この状態から固定用ゴムバンド54が2本の前脚201の内側から前脚201を巻き込むようにして取付用バー51の延設部51aに取り付ける。これにより、被取付部材50の取付用バー51が椅子200の前脚201に固定される。このように固定用ベルト55を前脚201の底面下に床と挟むように配置することで、使用時に使用者の体重によって固定用ベルト55を抑えることができ、確実に被取付部材50を椅子に固定することができる。次に、固定用ベルト55の伸縮ベルト部材55bの貫通孔55cを取付用バー51の延設部51aに取り付け、補助固定バンド56を支持バー53、前脚201及び固定用ベルト55のすべてを巻き込むようにして固定する。これにより、被取付部材50の下方側の支持バー53が椅子200の前脚201に固定される。こうして、椅子用トレーニング器具100は、椅子200に確実に固定される。そして、
図1に示すように、トレーニング用弾性部材10の取着用部材13を取付用バー51に取付け、紐状弾性部材11はローラーバー52を介して被取付部材50を足首に取り付ける。
図3に示すように、椅子200に座った状態で脚を矢印の方向のように振り出す動作を行うことで、レッグリフトによるトレーニングを行うことができる。この際に、紐状弾性部材11は、ローラーバー52を介しているので、脚がローラーバー52に非常に近い場合であっても最適な強度と可動距離を確保することができる。すなわち、ローラーバー52を使用することなく、トレーニング用弾性部材10を設置すると、
図4Aに示すように、紐状弾性部材11の距離dが短くなるため、必要な強度を確保しようとすると伸縮範囲が短くなりすぎ、伸縮範囲を確保しようとすると必要な強度を得られなくなってしまうという問題が発生する。かかる問題を解決するには、紐状弾性部材11の長さを長くすればよいが、単に長くするのみであると、
図4Bに示すように、取付位置から遠くなりすぎてしまい、座った状態で脚を振り上げても全く負荷がかけられないという問題が発生する。そこで、本発明では、取付用バー51の間にローラーバー52を介して取り付けることによって、紐状弾性部材11の距離dの長さと必要な強度を確保したものである。なお、この際に、ローラーバー52を単なる回転しない非回転バー52aにしてしまうと、
図5に示すように、紐状弾性部材11と非回転バー52aとが滑らずに、結局非回転バー52aと身体取付具12との距離dの間にある紐状弾性部材11のみが伸縮して
図4Aと同様の状態になってしまう。そこで、本発明では、ローラーバー52を介することによって、紐状弾性部材11の全長に渡って伸縮するようにしたものである。さらに、本発明においては、ローラーバー52を幅広の円筒形状としたことによって、チューブトレーニング時、引っ張る方向が一方向である必要がなく、あらゆる方向に引っ張ることができ、様々なトレーニングが実現できる。
【0029】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得る。
【0030】
上述した第1実施形態にかかる椅子用トレーニング器具100は、レッグリフトを利用して説明したが、もちろん、トレーニングの種類はこれらに限定するものではなく、例えば、同様に足首に被取付部材50を装着した状態で腿上げ、バッグレッグリフト、レッグカール、アダクションに加え、被取付部材50に把持部材を使用して、アームカールやローイングといった腕を鍛えるトレーニングに使用してもよい。
【符号の説明】
【0031】
10…トレーニング用弾性部材、11…紐状弾性部材、12…身体取付具、13…取着用部材、50…被取付部材、51…取付用バー、51a…延設部、52…ローラーバー、52a…非回転バー、53…支持バー、54…固定用ゴムバンド、54a…孔、55…固定用ベルト、55a…非伸縮ベルト部、55b…伸縮ベルト部材、55c…貫通孔、56…補助固定バンド、100…椅子用トレーニング器具、200…椅子、201…前脚、202…座面