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特許7250015抗HBVのテトラヒドロイソキサゾロ[4,3-c]ピリジン類化合物
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  • 特許-抗HBVのテトラヒドロイソキサゾロ[4,3-c]ピリジン類化合物 図1
  • 特許-抗HBVのテトラヒドロイソキサゾロ[4,3-c]ピリジン類化合物 図2
  • 特許-抗HBVのテトラヒドロイソキサゾロ[4,3-c]ピリジン類化合物 図3
  • 特許-抗HBVのテトラヒドロイソキサゾロ[4,3-c]ピリジン類化合物 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】抗HBVのテトラヒドロイソキサゾロ[4,3-c]ピリジン類化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 498/04 20060101AFI20230324BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20230324BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20230324BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20230324BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20230324BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20230324BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
C07D498/04 101
C07D498/04 CSP
A61K31/497
A61K31/437
A61K31/506
A61K31/444
A61P31/20
A61P1/16
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2020526967
(86)(22)【出願日】2018-11-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-12
(86)【国際出願番号】 CN2018115857
(87)【国際公開番号】W WO2019096241
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-11-02
(31)【優先権主張番号】201711138922.9
(32)【優先日】2017-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810339723.2
(32)【優先日】2018-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516089784
【氏名又は名称】チア タイ ティエンチン ファーマシューティカル グループ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Chia Tai Tianqing Pharmaceutical Group Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.369 Yuzhou South Rd.,Lianyungang,Jiangsu 222062 China
(73)【特許権者】
【識別番号】516170819
【氏名又は名称】南京明徳新薬研発有限公司
【氏名又は名称原語表記】MEDSHINE DISCOVERY INC.
【住所又は居所原語表記】Room 218, No.9 Gaoxin Road, Jiangbei New District Nanjing, Jiangsu 210032 P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉 立 方
(72)【発明者】
【氏名】孫 飛
(72)【発明者】
【氏名】杜 金 華
(72)【発明者】
【氏名】丁 照 中
(72)【発明者】
【氏名】陳 曙 輝
(72)【発明者】
【氏名】張 喜 全
(72)【発明者】
【氏名】徐 宏 江
(72)【発明者】
【氏名】楊 玲
【審査官】柴田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-506852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 498/04
A61K 31/497
A61K 31/437
A61K 31/506
A61K 31/444
A61P 31/20
A61P 1/16
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式(I):
【化1】

[式中、環Aは6~12員のアリールまたは5~6員のヘテロアリールであり、
各Rは、独立してF、Cl、Br、I、CN、-OH、-NR、-S(=O)NR、-S(=O)、-C(=O)OR、C1-6アルコキシ、または独立してF、Cl、Br、I、-OH、-NHおよび-CNからなる群より選ばれる1、2または3個の置換基で任意に置換されているC1-6アルキルであり、
nは0、1、2または3であり、
TはNまたはCRであり、
およびRは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、-OH、-NR、C1-3アルコキシ、またはF、Cl、Br、I、-OH、-NH、-CN、および-NOからなる群より独立して選ばれる1、2または3個の置換基で任意に置換されているC1-3アルキルであり、
およびRは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、-OH、-NR、C1-6アルコキシ、またはF、Cl、Br、I、-OH、-NH、-CN、および-NOからなる群より独立して選ばれる1、2または3個の置換基で任意に置換されているC1-6アルキルであり、
はF、BrまたはCNであり、
、R、RおよびRは、それぞれ独立してHまたはC1-6アルキルであり、
前記5~6員のヘテロアリールは、-O-、-S-、Nおよび-NH-からなる群より独立して選ばれる1、2または3個のヘテロ原子またはヘテロ原子団を含む。]で表される
化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体。
【請求項2】
前記環Aは、フェニルまたは5~6員のヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体。
【請求項3】
前記環Aは、フェニル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニルまたはピリジニルである、請求項2に記載の化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体。
【請求項4】
前記R、R、RおよびRは、それぞれ独立してH、-CH、-CHCH、-CHCHCHまたは-CH(CHである、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体。
【請求項5】
前記各Rは、独立してF、Cl、Br、I、CN、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-N(CH、-S(=O)NH、-S(=O)CH、-C(=O)OCH、-C(=O)OCHCH、-CH、-CHCH、CFまたは-CHOHである、請求項1または4に記載の化合物、その薬学的に許容される
塩またはその異性体。
【請求項6】
前記RおよびRは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、-OH、-OCH、-NH、-CH、-CH F、-CHFまたは-CFである、請求項1または4に記載の化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体。
【請求項7】
前記RおよびRは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-CH、-CHCH、-CH F、-CHFまたは-CFである、請求項1または4に記載の化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体。
【請求項8】
前記構成単位
【化2】

は、
【化3】

である、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体。
【請求項9】
前記構成単位
【化4】

は、
【化5】

である、請求項8に記載の化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体。
【請求項10】
前記構成単位
【化6】

は、
【化7】

である、請求項9に記載の化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体。
【請求項11】
前記構成単位
【化8】

は、
【化9】

である、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体。
【請求項12】
前記構成単位
【化10】

は、
【化11】

である、請求項1または11に記載の化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体。
【請求項13】
前記構成単位
【化12】

は、
【化13】

である、請求項12に記載の化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体。
【請求項14】
次の式(II-a)または式(III-a):
【化14】

[式中、環Aは請求項1~3または8~10に定義の通りであり、
およびRは請求項1または7に定義の通りであり、
Rは請求項1または5に定義の通りであり、
nは請求項1に定義される通りである。]で示される構造を備える、
請求項1~4および6~10のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体。
【請求項15】
次の式(II-a-1)または式(III-a-1):
【化15】

[式中、環Aは請求項1~3または8~10に定義の通りであり、
およびRは請求項1または7に定義の通りであり、
Rは請求項1または5に定義の通りであり、
nは請求項1に定義される通りである。]で示される構造を備える、
請求項14に記載の化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体。
【請求項16】
次の式(II-b)、(III-b)または(III-c):
【化16】

[式中、TおよびTは、それぞれ独立してNまたはCHであり、
およびRは請求項1または7に定義の通りであり、
Rは請求項1または5に定義の通りであり、
nは請求項1に定義される通りである。]で示される構造を備える、
請求項1、5または7に記載の化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体
【請求項17】
次の式(II-b-1)、(III-b-1)または(III-c-1):
【化17】

[式中、TおよびTは、それぞれ独立してNまたはCHであり、
およびRは請求項1または7に定義の通りであり、
Rは請求項1または5に定義の通りであり、
nは請求項1に定義される通りである。]で示される構造を備える、
請求項16に記載の化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体。
【請求項18】
次の式(II-d)、(II-e)、(II-f)、(III-d)、(III-e)、(III-f)または(III-k):
【化18】

[式中、RおよびRは請求項1または7に定義の通りであり、
Rは請求項1または5に定義の通りであり、
nは請求項1に定義される通りである。]で示される構造を備える、
請求項16に記載の化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体。
【請求項19】
次の式(II-d-1)、(II-e-1)、(II-f-1)、(III-d-1)、(III-e-1)、(III-f-1)または(III-k-1):
【化19】

[式中、RおよびRは請求項1または7に定義の通りであり、
Rは請求項1または5に定義の通りであり、
nは請求項1に定義される通りである。]で示される構造を備える、
請求項18に記載の化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体。
【請求項20】
次の式(III-m):
【化20】

[式中、RおよびRは請求項1または7に定義される通りである。]で示される構造を備える、
請求項18に記載の化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体。
【請求項21】
次の式(III-m-1):
【化21】

[式中、RおよびRは請求項1または7に定義される通りである。]で示される構造を備える、
請求項20に記載の化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体。
【請求項22】
次の式(II-g)~(II-i)または式(III-g)~(III-i):
【化22】

[式中、RおよびRは請求項1または7に定義の通りであり、
Rは請求項1または5に定義の通りであり、
nは請求項1に定義される通りである。]で示される構造を備える、
請求項14に記載の化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体。
【請求項23】
次の式(II-g-1)~(II-i-1)または式(III-g-1)~(III-i-1):
【化23】

[式中、RおよびRは請求項1または7に定義の通りであり、
Rは請求項1または5に定義の通りであり、
nは請求項1に定義される通りである。]で示される構造を備える、
請求項22に記載の化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体。
【請求項24】
次の式:

【化24】





で示される
化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体
【請求項25】
性成分としての治療有効量の請求項1~24のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体、および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項26】
抗B型肝炎薬の製造における、請求項1~24のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体または請求項25に記載の医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、中国特許出願CN201711138922.9(出願日2017年11月16日)、および中国特許出願CN201810339723.2(出願日2018年04月16日)に基づき優先権を主張し、それらの出願の内容を全て本出願に援用する。
【0002】
本発明は、医薬品の分野に関し、具体的には、新規な抗HBVのテトラヒドロイソキサゾロ[4,3-c]ピリジン類化合物、その製造方法およびそのB型肝炎の治療薬の製造における使用に関する。
【背景技術】
【0003】
WHOの統計によると、現在、世界中では約2.4億の人がHBV(B型肝炎ウィルス)に感染しており、それで直接にまたは間接的に起因して毎年約68万人が死亡している。中国は7千万以上のB型肝炎の感染人口を抱えている大きな国となっている。HBVの長期間感染は、肝不全、肝硬変および肝癌等悪性疾患を引き起こす可能性がある。(World Health Organization, Hepatitis B: World Health Organization Fact Sheet (2016).を参照する。)
現在、慢性B型肝炎の治療に承認されている従来の薬物は、ヌクレオシド(酸)化合物とインターフェロンのみである。ラミブジン、エンテカビル、テノホビル(エステル)などのヌクレオシド(酸)薬は、HBV DNA複製を阻害できるが、これらの薬はcccDNAを排除できず、薬物使用中止後にしばしばリバウンドすることがある。患者は長期投薬を必要とし、一部の患者は薬剤耐性を示しやすくなっている。インターフェロン薬は、患者の免疫系を部分的に活性化し、身体の自己免疫作用を通じてB型肝炎ウイルスを阻害できるが、これらの薬には大きな副作用があり、患者の忍容性は十分ではない。より深刻なことに、インターフェロン治療に対する異なる集団の応答率には有意差はあるが、全体としての応答率は低かった(通常30%未満)(Nat. Rev. Gastro. Hepat. 8(2011),275-284)。
【0004】
HBV感染患者では、HBVの連続複製の鋳型とする、安定した共有結合閉環状DNA、すなわちcccDNAが宿主の肝細胞核内に形成されている。全てのサブゲノムRNA(sgRNA)およびプレゲノムRNA(pgRNA)は、それぞれcccDNAの転写によって形成される。細胞核から出た後、sgRNAはプロテインXと他の3つのエンベロープタンパク質に翻訳され、pgRNAはコアタンパク質とウイルスポリメラーゼに翻訳される。PgRNAは、ポリメラーゼの作用下でコアタンパク質と自己集合して、ヌクレオカプシドに取り囲まれたRNAを形成する。ヌクレオカプシドでは、pgRNAがDNAのマイナス鎖に逆転写され、それによってDNAのプラス鎖がさらに合成されてrcDNAが形成される。一方では、ヌクレオカプシドに取り囲まれたrcDNAは再び殻を取り除いて細胞核に入り、cccDNAをさらに増幅させ、他方では、エンベロープタンパク質と再結合し、小胞体を通して細胞を放出して新しいHBVを形成した。HBVの複製サイクルでは、ヌクレオカプシド合成がHBVゲノム複製プロセスの重要なステップであり、ウイルスDNAの合成は、ヌクレオカプシド内でのみ特異的に発生する。ヌクレオカプシドのアセンブリは、HBVの多様性を制限する進化的制限プロセスであり、微妙な分子障害にも非常に敏感である。異なるHBVウィルス遺伝子型と薬剤耐性菌に対する新しい治療法の開発のために、ヌクレオカプシドの合成と分解プロセスに作用する標的は極めて有望である。いくつかのヌクレオカプシド関連抗HBV化合物が報告されている。NVR 3-778 (WO 2015109130A1)、JNJ-56136379、GLS-4 JHSなどのいくつかの関連化合物のそれぞれは臨床研究段階にある。
【発明の概要】
【0005】
一態様によれば、本発明は、次の式(I):
【化1】
[式中、環Aは6~12員のアリールまたは5~6員のヘテロアリールであり、
各Rは、独立してF、Cl、Br、I、CN、-OH、-NR、-S(=O)NR、-S(=O)、-C(=O)OR、C1-6アルコキシ、またはF、Cl、Br、I、-OH、-OCH、-NHおよび-CNからなる群より独立して選ばれる1、2または3個の置換基で任意に置換されているC1-6アルキルであり、
nは0、1、2または3であり、
TはNまたはCRであり、
およびRは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、-OH、-NR、C1-3アルコキシ、またはF、Cl、Br、I、-OH、-NH、-CN、および-NOからなる群より独立して選ばれる1、2または3個の置換基で任意に置換されているC1-3アルキルであり、
およびRは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、-OH、-NR、C1-6アルコキシ、またはF、Cl、Br、I、-OH、-NH、-CN、および-NOからなる群より独立して選ばれる1、2または3個の置換基で任意に置換されているC1-6アルキルであり、
はF、BrまたはCNであり、
、R、RおよびRは、それぞれ独立してHまたはC1-6アルキルであり、
前記5~6員のヘテロアリールは、-O-、-S-、Nおよび-NH-からなる群より独立して選ばれる1、2または3個のヘテロ原子またはヘテロ原子団を含む。]
で表される化合物(式Iの化合物)、その薬学的に許容される塩またはその異性体を提供する。
【0006】
本発明に係るいくつかの実施形態において、各Rは、独立してF、Cl、Br、I、CN、-OH、-NR、-S(=O)NR、-S(=O)、-C(=O)OR、C1-6アルコキシ、またはF、Cl、Br、I、-OH、-NHおよび-CNからなる群より独立して選ばれる1、2または3個の置換基で任意に置換されているC1-6アルキルであり、他の変数は本発明で定義される通りである。
【0007】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記環Aは、フェニルまたは5~6員のヘテロアリールであり、他の変数は本発明で定義される通りである。
【0008】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記環Aは、フェニル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニルまたはピリジニルであり、他の変数は本発明で定義される通りである。
【0009】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記R、R、RおよびRは、それぞれ独立してH、-CH、-CHCH、-CHCHCHまたは-CH(CHであり、他の変数は本発明で定義される通りである。
【0010】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記各Rは、独立してF、Cl、Br、I、CN、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-N(CH、-S(=O)NH、-S(=O)CH、-C(=O)OCH、-C(=O)OCHCH、-CH、-CHCH、CFまたは-CHOHであり、他の変数は本発明で定義される通りである。
【0011】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記各Rは、独立してF、Cl、Br、I、CN、C1-3アルコキシまたはC1-3アルキルであり、他の変数は本発明で定義される通りである。
【0012】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記各Rは、独立してF、Cl、CNまたはメトキシであり、他の変数は本発明で定義される通りである。
【0013】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記nは0、1または2であり、他の変数は本発明で定義される通りである。
【0014】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記RおよびRは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、-OH、-OCH、-NH、-CH、-CH F、-CHFまたは-CFであり、他の変数は本発明で定義される通りである。
【0015】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記RおよびRは、それぞれ独立してHであり、他の変数は本発明で定義される通りである。
【0016】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記RおよびRは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、-OH、-NH、C1-3アルコキシ、またはF、Cl、Br、Iからなる群より独立して選ばれる1、2または3個の置換基で任意に置換されているC1-3アルキルであり、他の変数は本発明で定義される通りである。
【0017】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記RおよびRは、それぞれ独立してH、F、Cl、CN、または2個のF(F原子)で任意に置換されているメチルであり、他の変数は本発明で定義される通りである。
【0018】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記RおよびRは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、CN、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-CH、-CHCH、-CH F、-CHFまたは-CFであり、他の変数は本発明で定義される通りである。
【0019】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記構成単位
【化2】
は、
【化3】
であり、R、nおよびその他の変数は本発明で定義される通りであり、本発明に係るいくつかの実施形態において、上記構成単位
【化4】
は、
【化5】
であり、R、nおよびその他の変数は本発明で定義される通りである。
【0020】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記構成単位
【化6】
は、
【化7】
であり、Rおよびその他の変数は本発明で定義される通りである。
【0021】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記構成単位
【化8】
は、
【化9】
であり、他の変数は本発明で定義される通りである。
【0022】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記構成単位
【化10】
は、
【化11】
であり、R、R、R、R、R、およびその他の変数は本発明で定義される通りである。
【0023】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記構成単位
【化12】
は、
【化13】
であり、R、R、R、およびその他の変数は本発明で定義される通りである。
【0024】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記構成単位
【化14】
は、
【化15】
であり、R、R、およびその他の変数は本発明で定義される通りである。
【0025】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記構成単位
【化16】
は、
【化17】
であり、他の変数は本発明で定義される通りである。
【0026】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体は、次の式(I-1)で示される構造を備える。
【化18】
[式中、環A、R、R、R、R、R、n、T、または構成単位
【化19】
は、本発明で定義される通りである。]
【0027】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体は、次の式(II-a)または式(III-a)で示される構造を備える。
【化20】
[式中、環A、R、R、R、n、または構成単位
【化21】
は、本発明で定義される通りである。]
【0028】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体は、次の式(II-a-1)または式(III-a-1)で示される構造を備える。
【化22】
[式中、環A、R、R、R、n、または構成単位
【化23】
は、本発明で定義される通りである。]
【0029】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体は、次の式(II-b)、(II-c)、(III-b)または(III-c)で示される構造を備える。
【化24】
[式中、TおよびTは、それぞれ独立してNまたはCHであり、R、R、Rおよびnは、本発明で定義される通りである。]
【0030】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体は、次の式(II-b-1)、(II-c-1)、(III-b-1)または(III-c-1)で示される構造を備える。
【化25】
[式中、TおよびTは、それぞれ独立してNまたはCHであり、R、R、Rおよびnは、本発明で定義される通りである。]
【0031】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体は、次の式(II-d)、(II-e)、(II-f)、(II-k)、(III-d)、(III-e)、(III-f)または(III-k)で示される構造を備える。
【化26】
[式中、R、R、Rおよびnは、本発明で定義される通りである。]
【0032】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体は、次の式(II-d-1)、(II-e-1)、(II-f-1)、(II-k-1)、(III-d-1)、(III-e-1)、(III-f-1)または(III-k-1)で示される構造を備える。
【化27】
[式中、R、R、Rおよびnは、本発明で定義される通りである。]
【0033】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体は、次の式(II-m)または(III-m)で示される構造を備える。
【化28】
[式中、RおよびRは、本発明で定義される通りである。]
【0034】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体は、次の式(II-m-1)または(III-m-1)で示される構造を備える。
【化29】
[式中、RおよびRは、本発明で定義される通りである。]
【0035】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体は、次の式(II-g)~(II-i)または式(III-g)~(III-i)で示される構造を備える。
【化30】
[式中、R、R、Rおよびnは、本発明で定義される通りである。]
【0036】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体は、次の式(II-j)~(II-n)または式(III-j)~(III-n)で示される構造を備える。
【化31】
[式中、R、R、Rおよびnは、本発明で定義される通りである。]
【0037】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体は、次の式(II-g-1)~(II-i-1)または式(III-g-1)~(III-i-1)で示される構造を備える。
【化32】
[式中、R、R、Rおよびnは、本発明で定義される通りである。]
【0038】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体は、次の式(II-j-1)~(II-n-1)または式(III-j-1)~(III-n-1)で示される構造を備える。
【化33】
[式中、R、R、Rおよびnは、本発明で定義される通りである。]
【0039】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体は、
【化34】
から選ばれる。
【0040】
本発明に係るいくつかの実施形態において、上記化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体は、
【化35】
から選ばれる。
【0041】
また、本発明のいくつかの実施形態は、上記変数の任意の組合せからなるものがある。
【0042】
別の様態によれば、さらに、本発明は、活性成分としての治療有効量の上記化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体、および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物を提供する。
【0043】
別の様態によれば、さらに、本発明は、上記化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体、およびその上記医薬組成物の、抗B型肝炎薬の製造における使用を提供する。
【0044】
別の様態によれば、さらに、本発明は、上記化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体、およびその上記医薬組成物の、B型肝炎の予防または治療における使用を提供する。
【0045】
別の様態によれば、さらに、本発明は、治療有効量の上記化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体、およびその上記医薬組成物を、それを必要とする(該治療または予防の)哺乳動物(好ましくは、ヒト)に投与することを含む、B型肝炎の治療または予防方法を提供する。
【0046】
別の様態によれば、さらに、本発明は、B型肝炎の治療または予防に使用するための上記化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体、およびその上記医薬組成物を提供する。
【0047】
本発明は、新規なHBV阻害剤に関し、その親コア構造は先行技術と区別される。本発明に係る化合物は、HBV DNA複製活性の阻害を示す。
定義および説明
【0048】
特に断らない限り、本発明における下記の用語およびフレーズは、次の意味を有する。ある1つの特定の用語やフレーズは、特に定義されない場合、不確定または不明確とが認定されておらず、一般的な意味とが理解されるべきである。本明細書に商品名が現れた場合、その対応の商品またはその活性成分を示すことである。
【0049】
ここで採用されている用語「薬学的に許容される」とは、それらの化合物、材料、組成物および/または剤形に対し、信頼性を有する医学的判断の範囲においてヒトおよび動物の組織とを接触して使用することに適用するが、過剰な毒性、刺激性、アレルギー性の反応、または他の問題や合併症がなく、合理的な利益/リスクの比率とをバランスすることを意味する。
【0050】
用語「薬学的に許容される塩」とは、本発明の化合物の塩を意味し、本発明に発見された、特定の置換基を有する化合物と相対的に無毒の酸またはアルカリとによって調製されるものである。本発明における化合物に、比較的酸性官能基を含む場合、純粋な溶媒または適当な不活性溶媒に、十分な塩基量でこれらの化合物とを接触する方式で塩基付加塩を取得する。比較的塩基性官能基を含む場合、純粋な溶媒または適当な不活性溶媒に十分な酸量でこれらの化合物とを接触する方式で酸付加塩を取得する。本発明における幾つか特定の化合物は、塩基性の官能基と酸性の官能基を含むため、任意の塩基付加塩または酸付加塩に変換されることができる。
【0051】
本発明に係る薬学的に許容される塩は、酸基または塩基含有親化合物から通常の化学方法により合成される可能性がある。一般的には、このような塩の調製方法は、水や有機溶媒または両者の混合物に、遊離酸または遊離塩基の形態のこれらの化合物と適当の化学量論の塩基または酸とを反応させて調製することである。
【0052】
本発明の化合物は、特定の幾何異性体または立体異性体の形態で存在する可能である。本発明に想定された全ての化合物は、シスおよびトランス異性体、(-)-および(+)-鏡像異性体、(R)-および(S)-鏡像異性体、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体と、それらのラセミ体混合物および他の混合物とを含み、例えば、鏡像異性体またはジアステレオマーに富む混合物である。これらの混合物は、いずれも本発明の範囲に含まれる。アルキルなどの置換基に他の不斉炭素原子が存在してもよい。これらの異性体の全ておよびそれらの混合物は、いずれも本発明の範囲に含まれる。
【0053】
特に断らない限り、用語「鏡像異性体」または「光学異性体」とは、互いに鏡像関係にある立体異性体を意味する。
【0054】
特に断らない限り、用語「ジアステレオマー」とは、分子が2つ以上のキラル中心を備え、分子が互いに鏡像関係ではない立体異性体を意味する。
【0055】
特に断らない限り、「(+)」は右旋を表し、「(-)」は左旋を表し、「(±)」はラセミを表す。
【0056】
【化36】
【0057】
特に断らない限り、用語「1種の異性体に富む」、「異性体に富む」、「1種の鏡像異性体に富む」または「鏡像異性体に富む」とは、そのうちの1種の異性体または鏡像異性体の含有量が100%未満であり、且つ、当該異性体または鏡像異性体の含有量が60%以上であり、または70%以上、または80%以上、または90%以上、または95%以上、または96%以上、または97%以上、または98%以上、または99%以上、または99.5%以上、または99.6%以上、または99.7%以上、または以上99.8%以上、または99.9%以上であることを意味する。
特に断らない限り、用語「異性体過剰」または「鏡像異性体過剰」とは、2種の異性体または2種の鏡像異性体の相対百分率間の差を意味する。例えば、一方の異性体または鏡像異性体の含有量が90%、他方の異性体または鏡像異性体の含有量が10%である場合、異性体または鏡像異性体過剰(ee値)は80%である。
【0058】
キラル合成またはキラル試薬、あるいは他の通常の技術により、光学活性の(R)-および(S)-異性体、並びにDおよびL異性体を調製することができる。本発明のある化合物の1種の鏡像異性体を取得しようとする場合、不斉合成、またはキラル補助剤を有する誘導作用により調製することができ、取得されたジアステレオマー混合物を分離し、補助基を切断させて所望の純粋な鏡像異性体を提供する。あるいは、分子に塩基性官能基(例えば、アミノ基)または酸性官能基(例えば、カルボキシル基)を含む場合、適当な光学活性の酸または塩基によりジアステレオマー塩を形成し、次に本分野に周知の通常法によりジアステレオマーを分割し、その後、回収して純粋な鏡像異性体を得る。なお、鏡像異性体とジアステレオマーとの分離は、通常、クロマトグラフィーにより完成され、前記クロマトグラフィーは、キラル固定相を採用し、且つ必要に応じて化学誘導体化法と組み合わせる(例えば、アミンによりカルバミン酸塩を生成する。)。
【0059】
本発明の化合物は、当該化合物を構成する1つ以上の原子の上に、不自然な割合の原子同位体を含むことができる。例えば、放射性同位体で化合物を標識することができ、例えば三重水素(H)、ヨウ素-125(125I)またはC-14(14C)が挙げられる。さらに、例えば、水素を重水素で置き換えて重水素化薬物を形成できる。重水素と炭素から形成される結合は、一般的な水素と炭素から形成される結合よりも強力である。非重水素化薬物に比べると、重水素化薬物は、毒性や副作用を低減し、薬物安定性を高め、薬物有効性を高め、薬物生物学的半減期を延長させるという利点がある。本発明に係る化合物の全ての同位体構成の変更は、放射性であるか否かを問わず、いずれも本発明の範囲に含まれる。
【0060】
用語「薬学的に許容される担体(キャリア)」は、本発明の有効量の活性物質を配送でき、活性物質の生物活性を干渉せず、且つ宿主(ホスト)または患者に対する毒性・副作用を持たない任意の製剤または担体媒体を意味する。典型的な担体は、水、油、野菜、および鉱物質、クリームベース、洗剤ベース、軟膏ベース等を含む。これらのベースは、懸濁剤、粘着付与剤、経皮吸収促進剤等を含む。これらの製剤は、化粧品の分野または一部の医薬品分野の当業者にとって周知である。
【0061】
用語「賦形剤」は、有効な薬物組成物の調製に必要な担体(キャリア)、希釈剤、および/または媒体を意味する。
【0062】
用語「含む/含有する(comprise)」、およびそれらの英語の変形(例えば「comprises」や「comprising」など)は、いずれも開放(オープンエンド)式の、包含式の意味、すなわち「…を含むが、これらに限定されない」として解釈されるべきである。
【0063】
用語「治療」とは、本発明に記載の化合物または製剤を投与して疾患又は前記疾患関連の1つ以上の症状を予防、緩和したり、解消したりすることを意味し、且つ
(i) 哺乳類において疾患または疾患状態の発生を予防し、特に、当該哺乳類が前記疾患状態に罹りやすいが、そのような疾患状態にすでに罹患していることがまだ診断されていない場合、予防することと、
(ii) 疾患または疾患状態を阻害し、すなわちその発生・進行を阻害することと、
(iii) 疾患または疾患状態を緩和し、すなわち疾患または疾患状態を減退させることとを含む。
【0064】
薬物または薬理活性剤について、用語「有効量」または「治療有効量」は、無毒なのに望ましい効果を達成可能な薬物・薬剤の十分な投与量を意味する。本発明に係る経口剤形について、組成物における1種の活性物質の「有効量」とは、当該組成物におけるその他の活性物質と併用する際に望ましい効果を達成するために必要な投与量を意味する。有効量の決定は、個人差があり、受験者の年齢および一般的な状況に依存し、具体的な活性物質にも依存して変化し、個別のケースに適合な有効量は、当業者により通常の実験に基づいて決定される。
【0065】
用語「活性成分」、「治療剤」、「活性物質」または「活性剤」は、標的の不調(障害)、病気または病症を効果的に治療可能な化学実体(chemical entity)を意味する。
【0066】
「任意の(optional)」または「任意に/必要に応じて(optionally)(してもよい)」とは、その後に記載の状況が出現する可能性があり、必ず出現することではなく、かつ当該説明の内容には、前記事項または状況が発生する場合と発生しない場合とを含むことを意味する。
【0067】
用語「~で置換されている/置換された」とは、特定原子の電子価状態が正常であり且つ置換されている化合物が安定的なものであれば、特定原子における任意の1つ以上の、重水素および水素の変異体を含んでもよい水素原子が置換基に置換されていることを意味する。置換基がオキソまたはケト(すなわち、=O)である場合、2つの水素原子が置換されていることを意味する。オキソ置換は、芳香族基に発生しない。用語「任意に置換されている/必要に応じて置換された」とは、置換されたとしてもよく、置換されていなくてもよく、特に断らない限り、化学的に達成できるという前提の下で、置換基の種類や数が任意であってもよいことを意味する。
【0068】
本明細書に記載のCm-nとは、この部分が所定範囲内の整数の炭素原子を有することを意味する。例えば、「C1-6」とは、当該基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子、4個の炭素原子、5個の炭素原子、または6個の炭素原子を有し得ることを意味する。例えば、「C1-3」とは、当該基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子を有し得ることを意味する。
【0069】
任意の変数(例えば、R)は、化合物の組成や構造に1回以上現れる場合、その各状況における定義がそれぞれ独立している。そのため、例えば、1個の基は0~2個のRで置換される場合、前記基は、必要に応じて多くとも2個のRで置換されてもよく、且つ各状況におけるRは、いずれも独立して選択肢を持っている。また、置換基および/またはその変異体の組み合わせは、このような組合せが安定な化合物をもたらす場合のみ許可される。
【0070】
ある置換基が存在しない場合、例えば、A-XのXが存在しない場合は、その置換基が存在しなく、前記例の構造が実際にAであることを意味する。
【0071】
例示された置換基についてどの原子を介して、置換された基に接続されているかを指定していない場合、このような置換基がその任意の原子を介して結合してもよい。例えば、置換基としてのピリジルは、ピリジン環上の任意の炭素原子を介して、置換された基に結合してもよい。列挙された連結基が連結方向を指定していない場合、連結方向は任意の方向であり、例えば、
【化37】
における連結基Lが-M-W-である場合、-M-W-は環Aと環Bを、左から右への読み取り順序と同じ方向に連結して
【化38】
に形成してもよく、左から右への読み取り順序とは逆の方向に連結して
【化39】
に形成してもよい。前記連結基、置換基および/またはその変異体の組み合わせは、このような組合せが安定な化合物をもたらす場合のみ許可される。
【0072】
特に断らない限り、用語「ヘテロ」は、ヘテロ原子、またはヘテロ原子団(即ち、ヘテロ原子含有原子団である)を示し、炭素(C)および水素(H)以外の原子並びにそれらのヘテロ原子含有原子団、例えば、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、珪素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、-O-、-S-、=O、=S、-C(=O)O-、-C(=O)-、-C(=S)-、-S(=O)、-S(=O)-、および必要に応じて置換された-C(=O)N(H)-、-N(H)-、-C(=NH)-、-S(=O)N(H)-または-S(=O)N(H)-を含む。
【0073】
特に断らない限り、環における原子の数は、通常、環の員数として定義され、例えば、「5~7員環」とは、5~7個の原子を環状に配列してなる「環」を意味する。
【0074】
特に断らない限り、「環(シクロ)」は、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルケニル基、シクロアルキニル基、ヘテロシクロアルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基を示す。いわゆる環は、単環、連結環(linked ring(環と環が直接つながっているもの))、スピロ環、縮合環、または架橋環を含む。特に断らない限り、当該環は、必要に応じて1~3個のヘテロ原子を含む。そのため、「5~7員環」には、例えばフェニル、ピリジニルおよびピぺリジニルを含む。一方、用語「5~7員ヘテロシクロアルキル環」には、ピリジニルおよびピぺリジニルを含むが、フェニルを含まない。用語「環」にも、少なくとも1つの環を有する環系を含み、その中の「環」のいずれも独立して上記定義に合致する。
【0075】
特に断らない限り、用語「ヒドロカルビル(炭化水素基)」とは、炭素と水素の2種類の原子のみを含む官能基を意味し、用語「ヒドロカルビル」またはその下位概念(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールなど)自体、あるいは他の置換基の一部として表される直鎖状、分岐鎖状または環状の炭化水素原子団またはその組み合わせは、完全飽和のもの(例えばアルキル)であっても、一価または多価不飽和のもの(例えばアルケニル、アルキニル、アリール)であってもよく、一置換または多置換のものであってもよく、1価(例えばメチル)、二価(例えばメチレン)または多価(例えばメチレン)であってもよく、二価または多価の原子団を含んでもよく、指定数の炭素原子を持っている(例えば、C-C12は1~12個の炭素を表し、C1-12はC、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11およびC12から選ばれ、C3-12はC、C、C、C、C、C、C、C10、C11およびC12から選ばれる)。「炭素水素基(ヒドロカルビル)」は、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基を含むが、これらに限定されるものではない。前記脂肪族炭化水素基は、鎖状および環状を含み、具体的には、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基を含むが、これらに限定されるものではない。前記芳香族炭化水素基は、6~12員の芳香族炭化水素基、例えばベンゼン、ナフタレン等を含むが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態において、用語「炭素水素基(ヒドロカルビル)」は、直鎖や分岐鎖の原子団、またはそれらの組み合わせを示し、完全飽和のものであっても、一価または多価不飽和のものでもよく、二価および多価の原子団を含んでもよい。飽和炭化水素の原子団の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、s-ブチル、i-ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、およびn-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル等の原子団の同族体や異性体を含むが、これらに限定されるものではない。不飽和アルキルは、1つ以上の二重結合または三重結合を有し、その例として、ビニル、2-プロペニル、ブテニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-ブタジエニル、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-プロピニルおよび3-プロピニル、3-ブチニル、並びに、より高次の同族体および異性体を含むが、これらに限定されるものではない。
【0076】
特に断りのない限り、用語「アルキル」とは、直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基を示すために用いられ、一置換(例えば、-CHF)または多置換(例えば、-CF)のものであってもよく、そして一価(例えば、メチル)、二価(例えば、メチレン)または多価(例えば、メチン)のものであってもよい。アルキルの例には、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、n-プロピルおよびi-プロピル)、ブチル(例えば、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル)、ペンチル(例えば、n-ペンチル、i-ペンチル、ネオペンチル)などを含む。
【0077】
特に断らない限り、用語「ハロ」(「ハロゲン化」)や「ハロゲン」とは、それらの自体またはその他の1つの置換基の一部として、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。また、用語「ハロアルキル基」とは、モノハロアルキル基およびポリハロアルキル基を含むことを意味する。例えば、用語「ハロ(C-C)アルキル基」とは、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、4-クロロブチル、および3-ブロモプロピル等を含むが、これらに限定されるものではないことを意味する。特に断りのない限り、ハロアルキルの例としては、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、およびペンタクロロエチルを含むが、これらに限定されるものではない。
【0078】
用語「アルコキシ」は、酸素橋を介して結合した特定の数の炭素原子を有する上記アルキルを指し、特に断りのない限り、C1-6アルコキシはC、C、C、C、C、およびCアルコキシを含む。アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブチルオキシ、n-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシとS-ペントキシを含むが、これらに限定されるものではない。
【0079】
特に断りのない限り、用語「アリール」は、多価不飽和芳香族炭化水素置換基を表し、一置換または多置換のものであってもよく、そして一価、二価または多価のものであってもよく、単環式または多環式(好ましくは、1~3個の環であって、少なくとも1個の環は芳香族である)であってもよく、それらは一緒に縮合されたり共有結合されたりしている。例えば、用語「ヘテロアリール」は、1、2、3、または4個のヘテロ原子、または1、2、3、または4個からなる任意数値範囲のヘテロ原子を含むアリール(または環)を意味する。一実施形態において、ヘテロ原子はB、N、OおよびSから選ばれ、その中で、必要に応じて、窒素原子および硫黄原子は酸化され、窒素原子は4級化される。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して分子の残り部分に接続されてもよい。アリールまたはヘテロアリールの非制限的な実施例は、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピラジニル、オキサゾリル、フェニル-オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、フラニル、チエニル、ピリジル、ピリミジニル、ベンゾチアゾリル、プリニル、ベンズイミダゾリル、インドリル、インドリル、イソキノリニル、キノキサリニル、キノリニル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-ビフェニル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、2-ピラゾリル、4-ピラゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フラニル、3-フラニル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンゾチアゾリル、5-インドリル、1-イソキノリニル、5-イソキノリニル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリニル、および6-キノリニルを含む。上記のいずれの1つのアリールおよびヘテロアリールの環系の置換基は、後述の許容される置換基から選ばれる。
【0080】
用語「脱離基」は、置換反応(例えば、求核置換反応)によって他の種類の官能基または原子に置換され得る官能基または原子を意味する。例えば、典型的な脱離基は、トリフルオロメタンスルホン酸エステルと、塩素、臭素、ヨウ素と、メタンスルホン酸エステル、トルエンスルホン酸エステル、p-ブロモベンゼンスルホン酸エステル、p-トルエンスルホン酸エステル等のようなスルホン酸エステル基と、アセトキシ、トリフルオロアセトキシ等のようなアシルオキシ基などの基を含む。
【0081】
用語「保護基」は、「アミノ保護基」、「ヒドロキシル保護基(水酸基保護基)」、「チオール保護基(メルカプト保護基)」を含むが、これらに限定されるものではない。用語「アミノ基保護基」は、アミノ基の窒素位置での副反応の発生を阻止することに好適に用いられる保護基を意味する。典型的なアミノ保護基は、ホルミル基と、アルカノイル基(例えば、アセチル基、トリクロロアセチル基、またはトリフルオロアセチル基)のようなアシル基と、t-ブトキシカルボニル(Boc)のようなアルコキシカルボニル基と、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz)および9-フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc)のようなアリールメトキシカルボニル基と、ベンジル基(Bn)、トリチル基(Tr)、1,1-ジ-(4’-メトキシフェニル)メチル基のようなアリールメチル基と、トリメチルシリル基(TMS)およびt-ブチルジメチルシリル基(TBS)のようなシリル等とを含むが、これらに限定されるものではない。用語「ヒドロキシル保護基」は、ヒドロキシル基の副反応の発生を阻止することに好適に用いられる保護基を意味する。用語「ヒドロキシル保護基」は、ヒドロキシルの副反応の発生を阻止することに好適に用いられる保護基を意味する。典型的なヒドロキシル保護基は、メチル、エチルおよびt-ブチルのようなアルキルと、アルカノイル(例えば、アセチル)のようなアシルと、ベンジル(Bn)、p-メトキシベンジル(PMB)、9-フルオレニルメチル(Fm)およびジフェニルメチル(diphenylmethyl:DPM)のようなアリールメチルと、トリメチルシリル(TMS)およびt-ブチルジメチルシリル(TBS)のようなシリル等とを含むが、これらに限定されるものではない。
【0082】
本発明に係る化合物は、下記に記載の具体的な実施形態およびその他の化学合成方法との組合せてなった実施形態、並びに当業者にとってよく知られた均等な形態を含む、当業者にとってよく知られている多種類の合成方法により調製することができる。好ましい実施形態には本発明の実施例を含むが、これらに限定されるものではない。
本発明で使用される溶媒は、市販により入手することができる。
【0083】
本発明は、下記の略語(頭字語)が使用されており、DMFはN,N-ジメチルホルムアミドを表し、NaCOは炭酸ナトリウムを表し、KCOは炭酸カリウムを表し、CsCOは炭酸セシウムを表し、CuIはヨウ化第一銅を表し、MeIはヨードメタンを表し、EtOAcは酢酸エチルを表し、EAは酢酸エチルを表し、THFはテトラヒドロフランを表し、LiHMDSはリチウムヘキサメチルジシラジドを表し、MeOHはメタノールを表し、DCMはジクロロメタンを表し、DMSOはジメチルスルホキシドを表し、PEは石油エーテルを表し、EtOHはエタノールを表し、IPAはイソプロパノールを表し、CHCNはアセトニトリルを表し、MTBEはメチル(tert-ブチル)エーテルを表し、TFAはトリフルオロ酢酸を表し、NH・HOはアンモニア水を表し、TEAはトリエチルアミンを表し、DIPEAはN,N-ジイソプロピルエチルアミンを表し、BocOは二炭酸ジ-tert-ブチルを表し、Bocはt-ブトキシカルボニル(アミノ保護基の1つ)を表し、NHOH・HClはヒドロキシルアミンの塩酸塩を表し、Pd(PPh)Clはビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリドを表し、DMPはデス-マーチン(試薬Dess-Martin試薬)を表し、PIFAはビス(トリフルオロアセトキシ)ヨードベンゼンを表し、EDTAはエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを表し、LCMSは液体質量分析クロマトグラフィーを表し、HPLCは液体クロマトグラフィーを表し、SFC超臨界流体クロマトグラフィーを表し、POは経口投与(例えば、経口強制投与)を表し、IVは静脈内投与を表し、QDは1日1回投与を表し、BIDは1日2回投与を表し、MPKはmg/kgを表し、T1/2は半減期を表し、Vdssは定常状態における見かけの分布容積を表し、CLはクリアランス率を表し、AUC0-24hは投与後0~24時間の血中濃度-時間曲線下面積を表し、Cmaxは最高血中濃度を表し、Tmaxは最高血中濃度到達時間を表す。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1】実施例6の化合物をマウスに投与してから1~7日間各試験群のマウスの単位体積あたりの血漿におけるLog(HBV DNAコピー数)の変化を示すグラフである。
図2】実施例6の化合物をマウスに投与してから7日目の各試験群のマウスの単位重量あたりの肝臓組織におけるLog(HBV DNAコピー数)のレベルを示すグラフである。
図3】実施例23の化合物をマウスに投与してから1~7日間各試験群のマウスの単位体積あたりの血漿におけるLog(HBV DNAコピー数)の変化を示すグラフである。
図4】実施例23の化合物をマウスに投与してから7日目の各試験群のマウスの単位重量あたりの肝臓組織におけるLog(HBV DNAコピー数)のレベルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0085】
以下、実施例により本発明を詳細に説明し、本発明に対していかなる限定を意味するものではない。本明細書で本発明を詳細に説明し、具体な実施形態をも開示したが、当業者にとって本発明の精神および範囲から逸脱することなく本発明の具体的な実施形態に対する様々な変更や修正は、明らかであろう。
【0086】
中間体の製造
中間体A-1
【化40】
中間体A-1は次の方法で製造される。
【化41】
0℃でクロロギ酸フェニル(58.54g、46.83mL)を、3,4,5-トリフルオロアニリン(50.00g)およびピリジン(29.58g、30.18mL)を溶解させたジクロロメタン(300mL)溶液に徐々に滴下した。反応混合物を25℃で3時間撹拌し後、水250mLを加えてクエンチすると、白色の沈殿物を析出した。当該沈殿物を濾過した後、減圧乾燥して、中間体A-1を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:7.46-7.39(m,2H),7.32-7.27(m,1H),7.21-7.11(m,4H),4.82(br. s.,1H);MS(ESI)m/z:268 [M+H]。
【0087】
中間体A-2
【化42】
中間体A-2は、中間体A-1の製造方法を参照して3,4,5-トリフルオロアニリンの代わりに3-シアノ-4-フルオロアニリンを使用して製造できる。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:7.85-7.74(m,1H),7.67(dd,J = 3.8,8.3 Hz,1H),7.46-7.41(m,2H),7.31-7.18(m,5H);MS(ESI)m/z:257 [M+H]。
【0088】
中間体A-3
【化43】
中間体A-3は、中間体A-1の製造方法を参照して3,4,5-トリフルオロアニリンの代わりに3-クロロ-4-フルオロアニリンを使用して製造できる。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:7.64(d,J = 4.3 Hz,1H),7.51-7.38(m,3H),7.32-7.29(m,1H),7.22-7.10(m,3H),6.95(br. s.,1H);MS(ESI)m/z:266 [M+H]。
【0089】
中間体A-4
【化44】
中間体A-4は、中間体A-1の製造方法を参照して3,4,5-トリフルオロアニリンの代わりに3-メチル-4-フルオロアニリンを使用して製造できる。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:7.49-7.33(m,3H),7.28-7.15(m,4H),7.03-6.93(m,1H),6.96(br.s.,1H),2.29(s,3H)。MS(ESI)m/z:246 [M+H]。
【0090】
中間体A-5
【化45】
中間体A-5は、中間体A-1の製造方法を参照して3,4,5-トリフルオロアニリンの代わりに2-クロロ-4-アミノピリジンを使用して製造できる。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:8.19(d,J = 5.6 Hz,1H),7.46(d,J = 1.6 Hz,2H),7.38-7.31(m,2H),7.25-7.20(m,2H),7.10(d,J = 7.7 Hz,2H)。MS(ESI)m/z:249 [M+H]。
【0091】
中間体A-6
【化46】
中間体A-6は、中間体A-1の製造方法を参照して3,4,5-トリフルオロアニリンの代わりに3,4-ジフルオロアニリンを使用して製造できる。
H NMR(400 MHz,CDCl)δ:7.55-7.47(m,1H),7.45-7.40(m,2H),7.32-7.26(m,2H),7.21-7.20(m,1H),7.17-7.01(m,3H)。MS(ESI)m/z:250 [M+H]。
【0092】
実施例1
【化47】
実施例1の製造:
【化48】
【0093】
ステップA:化合物1-2の合成
0℃で、化合物1-1(3.00g)のジクロロメタン(30mL)溶液に塩化オキサリル(5.40g、42.52mol)を加え、続いて1~2滴のN,N-ジメチルホルムアミドを加えた。当該反応混合物を室温まで自然的に昇温し、14時間撹拌して続けた後、減圧濃縮して化合物1-2の粗生成物を得た。
【0094】
ステップB:化合物1-3の合成
-70℃で、窒素保護下でN-Boc-(S)-2-メチル-4-ピペリドン(0.50g)をエーテル(8mL)に溶解し、続いてリチウムヘキサメチルジシラジド(2.34mL、1mol/L)を加えた。反応混合物を-70℃で0.5時間撹拌した後、化合物1-2(374.04mg)のエーテル(2mL)溶液を系に滴下した。反応液を室温まで自然的に昇温し、3時間撹拌して続けた。反応液を1mol/Lの塩酸(40mL)に注ぎ、酢酸エチル(25mL×2)で抽出した。有機相を合わせて飽和食塩水(40mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後、濾液を減圧濃縮して化合物1-3の粗生成物を得た。
【0095】
ステップC:化合物1-4の合成
撹拌しながら、エタノール2.5mLに、化合物1-3(300.00mg、粗生成物)、塩酸ヒドロキシルアミン(334.69mg)およびピリジン(2.5mL)を順次加えた。反応混合物を100℃まで徐々に昇温し、該温度で1時間撹拌した。自然冷却後、減圧蒸留し、残渣を酢酸エチル(30mL)で希釈し、そして1mol/L塩酸(20mL)および飽和食塩水(20mL)で順次洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後、濾液を減圧濃縮した。残渣を分取クロマトグラフィー(展開液:石油エーテル:酢酸エチル=2:1)により分離して化合物1-4を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:8.63-8.48(m,1H),7.92(dd,J = 4.2,8.6 Hz,1H),7.60-7.45(m,1H),5.96-4.79(m,1H),4.58-4.21(m,1H),3.29-3.05(m,1H),3.02-2.72(m,2H),1.59-1.35(m,12H)。MS(ESI) m/z:334 [M+H]。
【0096】
ステップD:化合物1-5の合成
室温で、化合物1-4(93.00mg)を、塩酸/1,4-ジオキサン溶液(4mol/L、5mL)に加えた。当該反応混合物を室温で0.5時間撹拌した後、減圧蒸留して粗生成物である化合物1-5(塩酸塩)を得、次のステップの反応に直接使用した。
MS(ESI)m/z:234 [M+H]。
【0097】
ステップE:実施例1の合成
室温で、化合物1-5(塩酸塩、75.00mg)をN,N-ジメチルホルムアミド2mLに溶解し、続いてN,N-ジイソプロピルエチルアミン(107.82mg)および中間体A-1(74.31mg)を順次加えた。反応混合物を70℃で1時間撹拌し後、30mL水に徐々に注ぎ、その後酢酸エチル(20mL×2)で抽出した。有機相を合わせて飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後、濾液を減圧濃縮した。残渣を分取高速液体クロマトグラフィー(分離カラム:Phenomenex Synergi C18、150×30mm×4μm、移動相:[水(0.225%トリフルオロ酢酸)-アセトニトリル]、B%:50%~80%、10.5min)により精製して実施例1のものを得た。
HNMR(400MHz,CDOD)δ:8.63(d,J = 2.8 Hz,1H),8.00-7.96(m,1H),7.78-7.75(m,1H),7.34-7.14(m,2H),5.29(d,J = 17.5 Hz,1H),4.95(quin,J = 6.4 Hz,1H),4.50(d,J = 17.4 Hz,1H),3.06(dd,J = 5.7,16.4 Hz,1H),2.87(dd,J = 1.2,16.3 Hz,1H),1.22(d,J = 7.0 Hz,3H)。
MS(ESI)m/z:407 [M+H]。
【0098】
実施例2
【化49】
実施例2の製造は、実施例1における5-フルオロピリジン2-カルボン酸の代わりに安息香酸を使用した以外、実施例1の製造プロセスA~Eを参照して行うことができる。粗生成物を分取SFC(SFC分離法: 分離カラム:DAICEL CHIRALPAK AS-H(仕様:250mm×30mm、粒径:5μm)、移動相:[0.1% NH・HO、EtOH]、B%:30%~30%、7.8min)により分離して実施例2のものを得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ:7.86-7.77(m,2H),7.69-7.48(m,3H),7.36-7.21(m,2H),5.21(d,J = 15.94 Hz,1H),4.65-4.47(m,2H),3.17-3.02(m,1H),2.90(dd,J = 1.44,16.38 Hz,1H),1.27(d,J = 6.90 Hz,3H)。MS(ESI)m/z:388 [M+H]。
【0099】
実施例3
【化50】
実施例3の製造は、実施例1における5-フルオロピリジン2-カルボン酸の代わりに2-フルオロ安息香酸を使用した以外、実施例1の製造プロセスA~Eを参照して行うことができる。粗生成物を分取SFC(SFC分離法:分離カラム:DAICEL CHIRALPAK AD(仕様:250mm×30mm、粒径:10μm)、移動相:[0.1%NH・HO、MeOH]、B%:20%~20%、4.0min)により分離して実施例3のものを得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ:7.81(dt,J = 1.63,7.53 Hz,1H),7.67-7.54(m,1H),7.43-7.20(m,4H),5.10(d,J = 16.69 Hz,1H),4.92-4.78(m,1H),4.38(d,J = 16.81 Hz,1H),3.10(dd,J = 5.90,16.56 Hz,1H),2.91(d,J = 16.31 Hz,1H),1.29(d,J = 6.90 Hz,3H)。
MS(ESI)m/z:406 [M+H]。
【0100】
実施例4
【化51】
実施例4の製造は、実施例1における5-フルオロピリジン2-カルボン酸の代わりに3-フルオロ安息香酸を使用した以外、実施例1の製造プロセスA~Eを参照して行うことができる。粗生成物を分取SFC(SFC分離法: 分離カラム:DAICEL CHIRALPAK AS(仕様:250mm×50mm、粒子径:10μm)、移動相:[0.1% NH・HO、IPA]、B%:50%~50%、1.9min)により分離して実施例4のものを得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ:7.62-7.56(m,2H),7.52(dd,J = 1.3,8.7 Hz,1H),7.31-7.21(m,3H),5.16(d,J = 16.1 Hz,1H),4.99(quin,J = 6.3 Hz,1H),4.49(d,J = 16.1 Hz,1H),3.09-3.00(m,1H),2.92-2.83(m,1H),1.23(d,J = 6.8 Hz,3H)。MS(ESI)m/z:406 [M+H]。
【0101】
実施例5
【化52】
実施例5の製造は、実施例1における5-フルオロピリジン2-カルボン酸の代わりに4-フルオロ安息香酸を使用した以外、実施例1の製造プロセスA~Eを参照して行うことができる。粗生成物を分取SFC(SFC分離法: 分離カラム:DAICEL CHIRALPAK AS-H(仕様:250mm×30mm、粒径:5μm)、移動相:[0.1% NH・HO、EtOH]、B%:30%~30%、4.2min)により分離して実施例5のものを得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ:7.90-7.80(m,2H),7.42-7.23(m,4H),5.24-5.14(m,1H),5.01(quin,J = 6.3 Hz,1H),4.50(d,J = 16.1 Hz,1H),3.08(dd,J = 5.8,16.3 Hz,1H),2.89(dd,J = 1.2,16.4 Hz,1H),1.26(d,J = 6.9 Hz,3H)。MS(ESI)m/z:406 [M+H]。
【0102】
実施例6
【化53】
実施例6の製造は、実施例1における5-フルオロピリジン2-ジフルオロ安息香酸の代わりに2,4-ジフルオロ安息香酸を使用した以外、実施例1の製造プロセスA~Eを参照して行うことができる。粗生成物を分取SFC(SFC分離法: 分離カラム:DAICEL CHIRALPAK AS(仕様:250mm×30mm、粒径:10μm)、移動相:[0.1% NH・HO、IPA]、B%:30%~30%、9min)により分離して実施例6のものを得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ:7.86-7.75(m,1H),7.26-7.14(m,4H),5.05(d,J = 16.4 Hz,1H),4.93(quin,J = 6.4 Hz,1H),4.38-4.27(m,1H),3.06(dd,J = 5.9,16.4 Hz,1H),2.91-2.82(m,1H),1.25(d,J = 6.9 Hz,3H)。MS(ESI)m/z:424 [M+H]。
【0103】
実施例7
【化54】
実施例7の製造は、実施例1における5-フルオロピリジン2-カルボン酸の代わりに2-メトキシ安息香酸を使用した以外、実施例1の製造プロセスA~Eを参照して行うことができる。粗生成物を分取SFC(SFC分離法: 分離カラム:DAICEL CHIRALPAK AD(仕様:250mm×30mm、粒子径:10μm)、移動相:[0.1% NH・HO、MeOH]、B%:30%~30%、2.5min)により分離して実施例7のものを得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ:7.60(dd,J = 1.6,7.6 Hz,1H),7.53-7.45(m,1H),7.25-7.12(m,3H),7.07(t,J = 7.5 Hz,1H),4.99(d,J = 16.6 Hz,1H),4.94-4.88(m,1H),4.24(d,J = 16.6 Hz,1H),3.94(s,3H),3.04(dd,J = 5.9,16.4 Hz,1H),2.83(dd,J = 1.0,16.3 Hz,1H),1.26(d,J = 6.8 Hz,3H)。MS(ESI)m/z:418 [M+H]。
【0104】
実施例8
【化55】
実施例8の製造は、実施例1における5-フルオロピリジン2-カルボン酸の代わりに3-メトキシ安息香酸を使用した以外、実施例1の製造プロセスA~Eを参照して行うことができる。粗生成物を分取SFC(SFC分離法: 分離カラム:DAICEL CHIRALPAK AD(仕様:250mm×30mm、粒子径:10μm)、移動相:[0.1% NH・HO、EtOH]、B%:30%~30%、3.0min)により分離して実施例8のものを得た。
H NMR(400MHz,CDOD):δ 7.51-7.43(m,1H),7.34-7.23(m,4H),7.07(dd,J = 2.1,8.2 Hz,1H),5.15(d,J = 16.1 Hz,1H),4.97(quin,J = 6.4 Hz,1H),4.47(d,J = 16.0 Hz,1H),3.88(s,3H),3.05(dd,J = 5.7,16.3 Hz,1H),2.86(dd,J = 1.1,16.3 Hz,1H),1.24(d,J = 6.8 Hz,3H)。
MS(ESI)m/z:418 [M+H]。
【0105】
実施例9
【化56】
実施例9の製造は、実施例1における5-フルオロピリジン2-カルボン酸の代わりに4-メトキシ安息香酸を使用した以外、実施例1の製造プロセスA~Eを参照して行うことができる。粗生成物を分取SFC(SFC分離法: 分離カラム:DAICEL CHIRALCEL OD(仕様:250mm×50mm、粒子径:10μm)、移動相:[0.1% NH・HO、IPA]、B%:30%~30%、4.2min)により分離して実施例9のものを得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ:7.75(d,J = 8.9 Hz,2H),7.33-7.25(m,2H),7.14(d,J = 9.0 Hz,2H),5.16(d,J = 15.8 Hz,1H),5.05-4.97(m,1H),4.48(d,J = 15.9 Hz,1H),3.90(s,3H),3.06(dd,J = 5.6,16.4 Hz,1H),2.87(d,J = 16.3 Hz,1H),1.26(d,J = 6.9 Hz,3H)。
MS(ESI)m/z:418 [M+H]。
【0106】
実施例10
【化57】
実施例10の製造は、実施例1における5-フルオロピリジン2-カルボン酸の代わりに3-シアノ安息香酸を使用した以外、実施例1の製造プロセスA~Eを参照して行うことができる。粗生成物を分取SFC(SFC分離法: 分離カラム:DAICEL CHIRALPAK AD(仕様:250mm×30mm、粒径:10μm)、移動相:[0.1% NH・HO、IPA]、B%:30%~30%、3.1min)により分離して実施例10のものを得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ:8.17-8.06(m,2H),7.88(d,J = 7.8 Hz,1H),7.81-7.72(m,1H),7.33-7.22(m,2H),5.23(d,J = 16.3 Hz,1H),5.08-4.96(m,1H),4.62-4.58(m,1H),3.09(dd,J = 5.7,16.4 Hz,1H),2.91(dd,J = 1.3,16.3 Hz,1H),1.26(d,J = 6.9 Hz,3H)。
MS(ESI)m/z:413 [M+H]。
【0107】
実施例11
【化58】
実施例11の製造は、実施例1における5-フルオロピリジン2-カルボン酸の代わりに3-クロロ安息香酸を使用した以外、実施例1の製造プロセスA~Eを参照して行うことができる。粗生成物を分取SFC(SFC分離法: 分離カラム:DAICEL CHIRALPAK AS-H(仕様:250mm×30mm、粒径:5μm)、移動相:[0.1% NH・HO、MeOH]、B%:35%~35%、5min)により分離して実施例11のものを得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ:7.71-7.55(m,2H),7.51-7.38(m,2H),7.16(dd,J = 6.3,10.3 Hz,2H),5.08(d,J = 16.0 Hz,1H),4.94-4.82(m,1H),4.50-4.37(m,1H),3.04-2.91(m,1H),2.78(br. d,J = 16.4 Hz,1H),1.14(d,J = 6.8 Hz,3H)。MS(ESI)m/z:422 [M+H]。
【0108】
実施例12
【化59】
実施例12の製造は、実施例1における5-フルオロピリジン2-カルボン酸の代わりに4-クロロ安息香酸を使用した以外、実施例1の製造プロセスA~Eを参照して行うことができる。粗生成物を分取SFC(SFC分離法: 分離カラム:DAICEL CHIRALPAK AS-H(仕様:250mm×30mm、粒径:5μm)、移動相:[0.1% NH・HO、EtOH]、B%:30%~30%、8.3min)により分離して実施例12のものを得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ:7.73-7.63(m,2H),7.52-7.45(m,2H),7.17(dd,J = 6.36,10.27 Hz,2H),5.08(d,J = 16.14 Hz,1H),4.94-4.84(m,1H),4.39(d,J = 16.02 Hz,1H),2.96(dd,J = 5.75,16.38 Hz,1H),2.78(dd,J = 1.28,16.32 Hz,1H),1.14(d,J = 6.97 Hz,3H)。
MS(ESI)m/z:422 [M+H]。
【0109】
実施例13
【化60】
実施例13の製造は、実施例1における5-フルオロピリジン-2-カルボン酸の代わりにピラジン-2-カルボン酸を使用した以外、実施例1の製造プロセスA~Eを参照して行うことができる。粗生成物を分取SFC(SFC分離法: 分離カラム:DAICEL CHIRALPAK AS-H(仕様:250mm×30mm、粒径:5μm)、移動相:[0.1% NH・HO、MeOH]、B%:60%~60%、4.5min)により分離して実施例13のものを得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ:9.17(d,J = 1.5 Hz,1H),8.81(dd,J = 1.6,2.4 Hz,1H),8.67(d,J = 2.5 Hz,1H),7.32-7.22(m,2H),5.37(d,J = 17.6 Hz,1H),5.03-4.96(m,1H),4.57(d,J = 17.7 Hz,1H),3.12(dd,J = 5.8,16.4 Hz,1H),2.94(dd,J = 1.4,16.4 Hz,1H),1.26(d,J = 6.9 Hz,3H)。MS(ESI)m/z:390 [M+H]。
【0110】
実施例14
【化61】
実施例14の製造は、実施例1における5-フルオロピリジン2-カルボン酸の代わりにチアゾール-5-カルボン酸を使用した以外、実施例1の製造プロセスA~Eを参照して行うことができる。粗生成物を分取SFC(SFC分離法: 分離カラム:DAICEL CHIRALCEL OD(仕様:250mm×30mm、粒子径:10μm)、移動相:[0.1% NH・HO、MeOH]、B%:30%~30%、2.3min)により分離して実施例14のものを得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ:9.12(s,1H),8.26(s,1H),7.24-7.11(m,2H),5.03(d,J= 16.38 Hz,1H),4.90(t,J = 6.72 Hz,1H),4.33(d,J = 16.38 Hz,1H),3.02-2.92(m,1H),2.79(dd,J = 1.41,16.44 Hz,1H),1.14(d,J = 6.85 Hz,3H)。MS(ESI)m/z:395 [M+H]。
【0111】
実施例15
【化62】
実施例15の製造は、実施例1における5-フルオロピリジン2-カルボン酸の代わりにチアゾール-4-カルボン酸を使用した以外、実施例1の製造プロセスA~Eを参照して行うことができる。粗生成物を分取SFC(SFC分離法: 分離カラム:DAICEL CHIRALPAK AD(仕様:250mm×30mm、粒径:10μm)、移動相:[0.1% NH・HO、IPA]、B%:30%~30%、3.0min)により分離して実施例15のものを得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ:9.20(d,J = 2.0 Hz,1H),8.18(d,J = 1.9 Hz,1H),7.37-7.21(m,2H),5.30(d,J = 16.8 Hz,1H),5.05-4.95(m,1H),4.52(d,J = 16.8 Hz,1H),3.09(dd,J = 5.7,16.4 Hz,1H),2.90(d,J = 16.3 Hz,1H),1.26(d,J = 6.9 Hz,3H)。MS(ESI)m/z:395 [M+H]。
【0112】
実施例16
【化63】
実施例16の製造は、実施例1における5-フルオロピリジン2-カルボン酸の代わりにチアゾール-2-カルボン酸を使用した以外、実施例1の製造プロセスA~Eを参照して行うことができる。粗生成物を分取SFC(SFC分離法: 分離カラム:DAICEL CHIRALPAK AS-H(仕様:250mm×30mm、粒径:5μm)、移動相:[0.1% NH・HO、MeOH]、B%:35%~35%、6.3min)により分離して実施例16のものを得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ:9.01(s,1H),7.75(d,J = 4.8 Hz,1H),7.16(dd,J = 6.4,10.3 Hz,2H),5.21(d,J = 17.2 Hz,1H),4.93-4.84(m,1H),4.50-4.41(m,1H),3.05-2.95(m,1H),2.80(d,J = 16.5 Hz,1H),1.14(d,J= 6.8 Hz,3H)。MS(ESI)m/z:395 [M+H]。
【0113】
実施例17
【化64】
実施例17の製造は、実施例1における5-フルオロピリジン2-カルボン酸の代わりにイソチアゾール-4-カルボン酸を使用した以外、実施例1の製造プロセスA~Eを参照して行うことができる。粗生成物を分取SFC(SFC分離法: 分離カラム:DAICEL CHIRALPAK AD(仕様:250mm×30mm、粒径:10μm)、移動相:[0.1% NH・HO、IPA]、B%:30%~30%、30min)により分離して実施例17のものを得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ:9.40(s,1H),9.00(s,1H),7.33-7.27(m,2H),5.18(d,J = 16.0 Hz,1H),5.08-5.00(m,1H),4.50(d,J = 16.0 Hz,1H),3.08(dd,J = 5.7,16.4 Hz,1H),2.94-2.88(m,1H),1.25(d,J = 7.0 Hz,3H)。MS(ESI)m/z:395 [M+H]。
【0114】
実施例18
【化65】
実施例18の製造は、実施例1における5-フルオロピリジン2-カルボン酸の代わりにイソチアゾール-3-カルボン酸を使用した以外、実施例1の製造プロセスA~Eを参照して行うことができる。粗生成物を分取SFC(SFC分離法: 分離カラム:DAICEL CHIRALPAK AD-H(仕様:250mm×30mm、粒径:5μm)、移動相:[0.1% NH・HO、MeOH]、B%:35%~35%、2.1min)により分離して実施例18のものを得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ:8.00(d,J = 3.2 Hz,1H),7.75(d,J = 3.2 Hz,1H),7.20-7.13(m,2H),5.18(d,J = 17.2 Hz,1H),4.92-4.85(m,1H),4.51-4.37(m,1H),3.04-2.96(m,1H),2.85-2.78(m,1H),1.14(d,J = 7.0 Hz,3H)。MS(ESI)m/z:395 [M+H]。
【0115】
実施例19
【化66】
実施例19の製造方法は、実施例1における5-フルオロピリジン2-カルボン酸の代わりに2,4-ジフルオロ安息香酸を使用し、中間体A-1の代わりに中間体A-2を使用した以外、実施例1の製造プロセスA~Eを参照して行うことができる。粗生成物を分取SFC(SFC分離法: 分離カラム:DAICEL CHIRALCEL OJ(仕様:250mm×30mm、粒子径:10μm)、移動相:[0.1% NH・HO、EtOH]、B%:25%~25%、2.4min)により分離して実施例19のものを得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ:7.89-7.76(m,2H),7.72-7.64(m,1H),7.29-7.16(m,3H),5.08(d,J = 16.4 Hz,1H),4.96(quin,J = 6.4 Hz,1H),4.36(d,J = 16.6 Hz,1H),3.08(dd,J=5.8,16.4 Hz,1H),2.93-2.85(m,1H),1.27(d,J = 6.8 Hz,3H)。MS(ESI)m/z:413 [M+H]。
【0116】
実施例20
【化67】
実施例20の製造方法は、実施例1における5-フルオロピリジン2-カルボン酸の代わりに2,4-ジフルオロ安息香酸を使用し、中間体A-1の代わりに中間体A-3を使用した以外、実施例1の製造プロセスA~Eを参照して行うことができる。粗生成物を分取SFC(SFC分離法: 分離カラム:DAICEL CHIRALPAK AS(仕様:250mm×50mm、粒子径:10μm)、移動相:[0.1% NH・HO、MeOH]、B%:40%~40%、1.9min)により分離して実施例20のものを得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ:7.85-7.79(m,1H),7.59(dd,J = 2.6,6.8 Hz,1H),7.36-7.08(m,4H),5.09(dd,J = 1.1,16.6 Hz,1H),4.97-4.94(m,1H),4.36(dd,J = 1.5,16.6 Hz,1H),3.10(dd,J = 5.9,16.4 Hz,1H),2.90(dd,J = 1.3,16.4 Hz,1H),1.28(d,J = 6.9 Hz,3H)。
MS(ESI)m/z:422 [M+H]。
【0117】
実施例21
【化68】
実施例21の製造は、実施例1における5-フルオロピリジン2-カルボン酸の代わりに2,4-ジフルオロ安息香酸を使用し、中間体A-1の代わりに中間体A-4を使用した以外、実施例1の製造プロセスA~Eを参照して行うことができる。粗生成物を分取SFC(SFC分離法: 分離カラム:DAICEL CHIRALPAK AD(仕様:250mm×30mm、粒子径:10μm)、移動相:[0.1% NH・HO、EtOH]、B%:20%~20%、5.5min)により分離して実施例21のものを得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ:7.87-7.83(m,1H),7.30-7.10(m,4H),6.96-6.94(m, 1H),5.09(d,J = 16.6 Hz,1H),5.02-4.94(m,1H),4.35(d,J = 16.4 Hz,1H),3.16-3.06(m,1H),2.89(d,J = 16.4 Hz,1H),2.24(s,3H),1.28(d,J = 6.9 Hz,3H)。MS(ESI)m/z:402 [M+H]。
【0118】
実施例22
【化69】
実施例22の製造は、実施例1における5-フルオロピリジン2-カルボン酸の代わりに2,4-ジフルオロ安息香酸を使用し、中間体A-1の代わりに中間体A-5を使用した以外、実施例1の製造プロセスA~Eを参照して行うことができる。粗生成物を分取SFC(SFC分離法: 分離カラム:DAICEL CHIRALPAK AD(仕様:250mm×50mm、粒子径:10μm)、移動相:[0.1% NH・HO、MeOH]、B%:30%~30%、1.8min)により分離して実施例22のものを得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ:8.00(d,J = 5.9 Hz,1H),7.77-7.69(m,1H),7.53(d,J = 1.7 Hz,1H),7.31(dd,J = 1.8,5.7 Hz,1H),7.16-7.06(m,2H),4.99(d,J = 16.5 Hz,1H),4.90-4.83(m,1H),4.27(d,J = 16.6 Hz,1H),2.99(dd,J = 5.9,16.5 Hz,1H),2.79(d,J = 16.5 Hz,1H),1.17(d,J = 6.8 Hz,3H)。MS(ESI)m/z:405 [M+H]。
【0119】
実施例23
【化70】
実施例23の製造:
【化71】
【0120】
ステップA: 化合物23-2の合成
0℃で、化合物23-1(50.0g)および炭酸カリウム(77.53g)のアセトニトリル(500mL)溶液に3-ブロモプロピン(66.73g)を滴下した。当該反応混合物を室温まで自然的に昇温し、12時間撹拌して続けた後、減圧濃縮して残渣を得た。当該残渣を水で希釈し、そして酢酸エチルで抽出し、有機相を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後、濾液を減圧濃縮して化合物23-2の粗生成物を得た。MS(ESI)m/z:128 [M+H]。
【0121】
ステップB:化合物23-3の合成
室温で、化合物23-2(52.0g)のテトラヒドロフラン(500mL)溶液に炭酸カリウム(26.56g)およびBocO(41.94g)を加えた。当該反応液を18℃で12時間撹拌した後、固形物を濾過して除去し、濾液を収集して減圧濃縮した。得られた残渣を酢酸エチル(800mL)に溶解し、当該有機相を水、飽和クエン酸溶液および飽和炭酸水素ナトリウム溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後、濾液を減圧濃縮して化合物23-3の粗生成物を得た。MS(ESI)m/z:228 [M+H]。
【0122】
ステップC:化合物23-4の合成
0℃で、化合物23-3(40.0g)のジクロロメタン(400mL)溶液に、デスマーチン試薬(82.10g)をバッチで加えた。当該反応液混合物を室温まで自然に昇温し、2時間撹拌し後、体積比1:1の飽和炭酸水素ナトリウム溶液および飽和チオ硫酸ナトリウム溶液で2回洗浄し、さらに飽和炭酸水素ナトリウム溶液および飽和食塩水で有機相を順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後、濾液を減圧濃縮して化合物23-4の粗生成物を得た。MS(ESI)m/z:226 [M+H]。
【0123】
ステップD:化合物23-5の合成
室温で、化合物23-4(42.0g)のエタノール(400mL)および水(40mL)の混合溶液に酢酸ナトリウム(22.94g)および塩酸ヒドロキシルアミン(16.84g)を加えた。当該反応混合物を室温で12時間撹拌した後、減圧濃縮してエタノールを除去して残渣を得た。当該残渣を酢酸エチルで溶解した後、水および飽和食塩水で順次洗浄し、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後、濾液を減圧濃縮して化合物23-5の粗生成物を得た。MS(ESI)m/z:241 [M+H]。
【0124】
ステップE:化合物23-6の合成
室温で、化合物23-5(300mg)および2-ヨードピリミジン(257.16mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(8mL)溶液に、ヨウ化第一銅(11.89mg)、トリエチルアミン(252.66mg)およびビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロリド(43.81mg)を加えた。窒素保護下で当該反応混合物を12℃で12時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈した後濾過し、濾液を減圧濃縮し、残渣を分取クロマトグラフィーにより分離して化合物23-6を得た。MS(ESI)m/z:319 [M+H]。
【0125】
ステップF:化合物23-7の合成
室温で、化合物23-6(180mg)のメタノール(4mL)および水(0.8mL)の混合溶液に、ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨードベンゼン(291.76mg)をバッチで加えた。当該反応混合物を10~20℃で0.5時間撹拌した後、水20mLで希釈し、そして酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ,濾過し、濾液を減圧濃縮し、残渣を分取クロマトグラフィーにより分離して化合物23-7を得た。MS(ESI)m/z:317 [M+H]。
【0126】
ステップG:化合物23-8の合成
化合物23-7(90mg)を、塩酸のジオキサン溶液(4mol/L、4mL)に溶解し、当該反応混合物を20℃で0.5時間撹拌した後、減圧濃縮して化合物23-8の粗生成物を得た。MS(ESI)m/z:217 [M+H]。
【0127】
ステップH:実施例23の合成
室温で、化合物23-8(61.52mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(2mL)溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(110.31mg)および中間体A-2(72.90mg)を加えた。該反応混合物を70℃で1時間撹拌した。反応液を水20mLで希釈した後、酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧濃縮した後、残渣を分取高速液体クロマトグラフィー(分離カラム:Phenomenex Synergi C18、150×30mm×4μm、移動相:[水(0.225%トリフルオロ酢酸)-アセトニトリル]、B%:35%~65%、10min)により精製して実施例23のものを得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ:8.97(d,J = 5.0 Hz,2H),7.83(dd,J = 2.8,5.6 Hz, 1H),7.75-7.71 (m,1H),7.52(t,J = 5.0 Hz,1H),7.30(t,J = 9.0 Hz,1H),5.42(d,J = 17.9 Hz, 1H),5.01(quin,J = 6.4 Hz,1H),4.59(d,J = 17.7 Hz,1H),3.14(dd,J = 5.7,16.4 Hz,1H),2.95 (dd,J = 1.2,16.4 Hz,1H),1.27(d,J = 6.8 Hz,3H)。MS(ESI)m/z:379 [M+H]。
【0128】
実施例24
【化72】
実施例24の製造は、実施例23における中間体A-2の代わりに中間体A-3を使用した以外、実施例23の製造プロセスA~Eを参照して行うことができる。
H NMR(400MHz, DMSO-d)δ:9.04(d,J = 4.9 Hz,2H),9.01(s,1H),7.74(dd,J = 2.4,6.8 Hz,1H),7.60(t,J = 4.9 Hz,1H),7.44-7.40(m,1H),7.35-7.27(m,1H),5.36(d,J = 18.0 Hz,1H),4.98-4.83(m,1H),4.36(d,J = 18.0 Hz,1H),3.12-2.99(m,1H),2.94-2.83(m,1H),1.16(d,J = 6.8 Hz,3H)。MS(ESI)m/z:388 [M+H]。
【0129】
実施例25
【化73】
実施例25の製造は、実施例23における中間体A-2の代わりに中間体A-1を使用した以外、実施例23の製造プロセスA~Eを参照して行うことができる。
H NMR(400 MHz,CDCl)δ:8.86(d,J = 4.89 Hz,2H),7.29(t,J = 4.89 Hz,1H),7.08(dd,J = 6.05,9.48 Hz,2H),6.45(s,1H),5.07(d,J = 16.75 Hz,1H),5.05-4.94(m,1H),4.55(d,J = 16.87 Hz,1H),3.10-3.00(m,1H),2.94-2.85(m,1H),1.17(d,J = 6.97 Hz, 3H)。MS(ESI)m/z:390 [M+H]。
【0130】
実施例26
【化74】
実施例26の製造は、実施例23における中間体A-2の代わりに中間体A-6を使用した以外、実施例23の製造プロセスA~Eを参照して行うことができる。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ:9.03(s,3H),7.60(s,2H),7.43-7.09(m,2H),5.36(d,J = 17.9 Hz,1H),4.90(s,1H),4.36(d,J = 18.1 Hz,1H),3.06(d,J = 12.1 Hz,1H),2.89(d,J = 16.4 Hz,1H),1.15(d,J = 5.4 Hz,3H)。MS(ESI)m/z:372 [M+H]。
【0131】
活性測定
1. in vitro抗HBV活性測定
1) HepG2.2.15細胞100μLを、96ウェル細胞培養プレートに、1.2×10細胞/ウェルで播種し、細胞を37℃、5%二酸化炭素(CO)のインキュベーターで一晩培養した。2日目に、DMSOで3倍の勾配で被検化合物を稀釈し、合計8つの濃度に希釈した後、さらに培地で化合物を100倍に希釈し、希釈した化合物100μLを取って細胞含有培養プレートに加え、最終体積200μLになり、DMSOの最終濃度0.5%になり、2つの重複ウエルを使用した。細胞を37℃、5% COのインキュベーターで3日間培養した。5日目に、同じ濃度の化合物を含む新鮮な培地を細胞培養プレートの培養液と交換した。培養が8日目に達した時に、細胞培養プレートの上清を収集し、HBV DNAを抽出するために用いる。
【0132】
2) リアルタイム定量PCRによるHBV DNAの検出: QIAamp 96 DNA Blood Kitセットで上清における全DNAを抽出し、HBV特異性プライマーおよびプローブを用いた定量PCRによりHBV DNA含有量を検出した。20μLのPCRプレミックス溶液と、5μLのHBV DNAサンプルまたはHBVプラスミド標準試料を定量PCRプレートに加えて反応させた。HBVプラスミド標準試料を10倍の勾配で10~10コピー数/μLの7つの濃度に希釈した。定量PCR反応手順は次の通りであり、予備変性を95℃で10分間行い、変性を95℃で15秒間行い、60℃で1分間反応させ、このようなサイクルを40回繰り返した。次の式により各ウェルのHBV DNAの阻害率を計算し、GraphPad Prismソフトウェアを使用して化合物の阻害率データに対して非線形性フィッティング分析を行い、化合物のEC50値を得た。
【0133】
HBV DNA阻害率%=(1-サンプルHBV DNAコピー数/DMSO対照HBV DNAコピー数)×100%
試験結果を次の表1に示す。
【0134】
【表1】
2.マウスの薬物動態学的研究
本実験は、マウスへの単回静脈内投与または強制経口投与後に化合物の薬物動態学的挙動を評価することを目的としている。静脈内投与では、化合物が0.5mg/mLの清澄溶液として調製され、溶媒が5% DMSO/5% 12-ヒドロキシステアレート(solutol)/90%水である。強制経口投与では、化合物が2mg/mLの懸濁液として調製され、溶媒が0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム/0.2% Tween 80/99.3%水である。
【0135】
血漿中の化合物の濃度は高速液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC-MS/MS)により測定された。化合物および内部標準(ジクロフェナク)の保持時間、クロマトグラムの収集およびクロマトグラムの統合は、ソフトウェアAnalyst(Applied Biosystems)を用いて処理され、データ統計は、ソフトウェアWatson LIMS(Thermo Fisher Scientific)またはAnalyst(Applied Biosystems)を用いて処理された。サンプル中の分析物の濃度単位はng/mLであり、有効数字3桁が保持され、パーセンテージで表された全ての値(例えば、%偏差および%変化係数など)は、いずれも小数点以下1桁まで保持されている。各校正曲線(検量線)には、少なくとも6つの濃度レベルが含まれている。校正標準試料の調製は品質管理(QC)サンプルと異なるソースからの原液(ストック液)を使用する必要がある。校正標準試料の計算濃度と表示値との偏差が±15.0%を超える(定量下限が±20.0%を超える)場合、このような標準試料は回帰分析から除外する必要がある。除外された校正標準試料は25%未満である必要があり、各校正曲線には少なくとも許容標準を満たす6つの校正標準試料が含まれている。定量下限および定量上限の校正標準試料を除外する必要がある場合、当該分析物バッチの定量上限および下限は、それに応じて増減されている。
【0136】
WinNonlinTM Version 6.3(Pharsight, Mountain View, CA)薬動学的ソフトウェアの非コンパートメントモデルを用いて血漿濃度を処理し、線形対数台形法を用いて薬物動態パラメータを計算した。計算される薬物動態パラメータは、(データが許可されている)静脈注射群のT1/2、Vdss、CL、AUC0-24h、強制経口投与群のCmax、Tmax、AUC0-24h、生物学的利用率(F%)が含まれるがこれらに限定されていない。
本発明の実施例のマウスにおける関連する薬物動態パラメータは、次の表2に示す。
【0137】
【表2】
【0138】
3. マウス尾静脈は高圧水注射によるHBV DNAプラスミドモデルin vivoの活性測定
この研究は、高圧尾静脈注射によるマウスモデルを通じて、マウスin vivoにおけるHBVに対する化合物(実施例6)の阻害効果を測定することを目的としている。本実験には、6~7週齢であった雌のBABL/cマウスが使用された。HBVプラスミドDNAは、pAAV2-HBV1.3 merを使用してQiagen EndoFree Plasmid Gigaキットにより濃度1000ng/μLで抽出した。使用する前に、通常の生理食塩水で希釈して使用するまで4℃で保存した。
【0139】
3.1 動物の群分け(グループ化)
実験動物の群分けは次の表3に示す。
【表3】
【0140】
3.2 薬物の調製
薬物の調製は、次の表4に示す。
【表4】
3.3 投与スケジュール
【表5】
【0141】
3.4 非エンドポイント採血の血液サンプルの収集と移送
1日目、3日目、5日目に、当日の1回目の投与後約4時間で各マウスから全血100μLを採取し、ヘパリンナトリウムを入れたチューブに全血を収集し、4℃で遠心分離し、7000rpmで10分間遠心分離し、上清を採取し、即ち血漿を得た。血漿を-80℃の冷凍庫に保存し、ドライアイスの凍結条件下で分析実験室へ輸送して検出する。
【0142】
3.5 マウス血漿におけるHBV DNA含有量の定量PCRによる検出
1) 血漿におけるDNAを抽出し、QIAamp 96 DNA Blood Kitの説明書を参考して実験手順を行った。
【0143】
2) マウス血漿におけるHBV DNA含有量の定量PCRによる検出
qPCR反応混合物を調製した(表6を参照)。qPCR反応混合物、サンプルおよび標準試料を96ウェル反応プレートに加えた。その中で、標準試料はD型HBV全長配列を含むプラスミドDNAであり、標準試料を10コピー数/μLから、10倍の勾配で希釈し、順次10~10コピー数/μLのDNA標準試料を得た。PCR反応:95℃で10分間、95℃で15秒間、60℃で1分間、40サイクル。
【0144】
【表6】
【0145】
3.6 マウス肝臓におけるHBV DNA含有量の定量PCRによる検出
1) 全肝臓DNAの抽出
肝臓組織を取り、組織グラインダーで均質化した。遠心分離後上清を取って新規な遠心分離管に移し、プロテイナーゼK消化液を加えて3時間消化した。得られた混合物を冷却した後、RNA酵素A(RNAse A)を加えて30分間インキュベートした。RNA酵素Aで処理された混合液を等体積のフェノールクロロホルムイソアミルアルコールで2回抽出して残留タンパク質を除去した。上清を新しい遠心分離管に移し、イソプロパノールを加えてDNAを沈殿させた。DNA沈殿物を70%エタノールで2回洗浄した。沈殿物を風乾し、TE(10 mM Tris-HCl、pH8.0、1mM EDTA)を加えてDNAを溶解した。
2) マウス肝臓におけるHBV DNA含有量の定量PCRによる検出
NanodropでDNA濃度を測定し、全てのサンプルのDNA濃度を10ng/μLに調整した。サンプル5μLを定量PCR反応系に加えて定量PCRを行った。
HBV DNA含有量=HBVプライマーにより検出されたDNA含有量-pAAV2プライマーにより検出されたDNA含有量。
【0146】
3.7 実験結果
1) 各試験群のマウスに対してそれぞれ投与後1日目、3日目、5日目、7日目に血液サンプルを収集し、そのHBV DNA濃度の検出値(Log HBV DNA)を次の表7に示す。
【表7】
この結果を図1に示す。
【0147】
2) 投与7日間後、各試験群の動物の肝組織におけるHBV DNA濃度の検出値(Log HBV DNA)を次の表8に示す。
【表8】
この結果を図2に示す。
【0148】
4. マウス尾静脈は高圧水注射によるHBV DNAプラスミドモデルin vivoの活性測定
この研究は、高圧尾静脈注射によるマウスモデルを通じて、マウスin vivoにおけるHBVに対する化合物(実施例23)の阻害効果を測定することを目的としている。本実験には、6~7週齢であった雌のBABL/cマウスが使用された。HBVプラスミドDNAは、pAAV2-HBV1.3 merを使用してQiagen EndoFree Plasmid Gigaキットにより濃度1000ng/μLで抽出した。使用する前に、正常生理食塩水で希釈して使用するまで4℃で保存した。
【0149】
4.1 動物の群分け
実験動物の群分けは次の表9に示す。
【表9】
【0150】
4.2 薬物の調製
薬物の調製は、次の表10に示す。
【表10】
【0151】
4.3 投与スケジュール
【表11】
【0152】
4.4 実験結果
1) 各試験群のマウスに対してそれぞれ投与後1日目、3日目、5日目、7日目に血液サンプルを収集し、そのHBV DNA濃度の検出値(Log HBV DNA)を次の表12に示す。
【表12】
この結果を図3に示す。
【0153】
2) 投与7日間後、各試験群の動物の肝組織におけるHBV DNA濃度の検出値(Log HBV DNA)を次の表13に示す。
【表13】
この結果を図4に示す。
図1
図2
図3
図4