(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】曲管を整形する方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/38 20140101AFI20230324BHJP
B23K 26/03 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
B23K26/38 B
B23K26/03
(21)【出願番号】P 2020531044
(86)(22)【出願日】2018-12-05
(86)【国際出願番号】 DE2018100991
(87)【国際公開番号】W WO2019110054
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】102017129107.5
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502122347
【氏名又は名称】イェーノプティク アウトマティジールングステヒニーク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】シュタインバッハ セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】シェラー トルステン
(72)【発明者】
【氏名】レム マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ライヒル トルステン
(72)【発明者】
【氏名】ランゲバッハ ヤン
【審査官】後藤 泰輔
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-535682(JP,A)
【文献】特開2009-082984(JP,A)
【文献】特表2015-530257(JP,A)
【文献】国際公開第2013/030328(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00-26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実際の切断輪郭(K
実際)に沿って曲管(R)を整形する方法であって、
それに関連する所望の切断輪郭(K
所望)を有する
3次元の仮想の
体積許容差エンベロープ(H)が、前記曲管(R)のために計算され、空間的に固定された座標系に関して記憶され、
前記曲管(R)は、前記座標系において既知の空間位置を有する供給手段(2)の把持アーム(2.1)によって拾い上げられ、
前記曲管(R)の輪郭が、前記座標系において既知の空間位置を有する光学測定装置(3)によって把握され、
前記曲管(R)が、前記曲管(R)を保持する前記把持アーム(2.1)を移動させることで前記仮想の
体積許容差エンベロープ(H)に挿入され、それにより、この
幾何公差内にある前記曲管(R)のために
幾何公差の遵守が確認され、前記曲管(R)は前記
体積許容差エンベロープ(H)の空間位置によって定められる空間位置を占め、前記曲管(R)は、前記
体積許容差エンベロープ(H)内の位置精度でレーザー切断装置(4)に相対的に供給され、
それにより、前記レーザー切断装置(4)は、前記
体積許容差エンベロープ(H)に対して所定の位置を占め、前記レーザー切断装置(4)により放出されるレーザービームが前記曲管(R)にて前記実際の切断輪郭(K
実際)を切断する、方法。
【請求項2】
前記レーザービームが前記所望の切断輪郭(K
所望)に沿って案内され、
縮小、拡大又は他の変更方法による前記曲管(R)への前記所望の切断輪郭(K
所望)の投影として前記実際の切断輪郭(K
実際)が切断され、前記投影は前記所望の切断輪郭(K
所望)の変更に対応する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記曲管(R)の輪郭と前記
体積許容差エンベロープ(H)におけるその位置が把握及び記憶され、
前記体積許容差エンベロープ(H)における前記曲管(R)の位置を知ることで前記所望の切断輪郭(K
所望)が前記曲管(R)のために補正され、前記レーザービームが、前記実際の切断輪郭(K
実際)に対応する前記補正された所望の切断輪郭(K
所望)に沿って案内される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記曲管(R)が前記把持アーム(2.1)によって供給面(1)から拾い上げられる前に、前記供給面(1)上の前記曲管(R)の位置が別な光学測定装置(5)により把握される、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
曲管(bent tube)は、それらの長さ及び断面に関する限り高い寸法精度を示すが、管の2次元の又は3次元の屈曲からは曲げ半径に関して非常に低い寸法精度しか生じない。曲げ半径のバリエーション(変化)は管軸の線におけるバリエーションをもたらす。これは、結果生じる切断輪郭が互いに対して再現可能な位置を有するように、管曲がりの前及び後の曲管に切断を実行することを困難にする。
【背景技術】
【0002】
3次元の曲管又は管状構成部品(以下ではまとめて管と呼ぶ)を整形する(切り揃える)2つの異なる方法が、従来技術から知られている。2つの方法は、切断工具としてのレーザーを用いて自動化され得る。
【0003】
実務から知られた第1の方法では、複数の基準穴が切断工程ステップの前に管に形成される。これらの穴を介して、管は工作物レセプタクルに収容され、管が切断工具に対して位置決めされる。これは、基準穴の、工作物レセプタクルに対する所定の相対位置で、管を保持する。自動化切断において、管がそれらに沿って切断される切断輪郭は、所望値からの管曲がりの可能な許容差偏差にかかわらず、基準穴の位置に対するそれらの空間位置に関して定められる。レセプタクルにフィットし得る管が管曲がりのための特定の許容範囲内にもあるように、基準穴の位置は選択される。これは、管フィッティングの基準が、管が許容差内にあるか許容差外にあるかを決定することを意味する。管の幾何学的許容差のために、グリッパによる定められた自動化ピックアップと基準穴を介する工作物レセプタクルへのフィッティングは可能でない。
【0004】
実務から知られた第2の方法では、管は工作物レセプタクルに挿入され、管は接触領域内で当接する。再び、管はそれらの幾何学的許容差のために手動で挿入されなければならない。特定の程度に挿入できない管は、管曲がりがもはや特定の曲がり許容差内に無い程度に所望値からずれた曲げ半径を有する。この場合の不都合は、一方で、工作物レセプタクルにおける管の固定位置のために、管が、レーザービームなどの切断工具に限られた程度しかアクセスできないことである。工作物レセプタクルにより隠された領域は、管が別な工作物ホルダーに移動すると機械加工のためにアクセス可能になる。これは、時間及び機器の増大した消費をもたらす。他方で、レセプタクルの接触領域の外側の管の形状の許容差外れのずれは検出されない。これは、管上で許容差外れに切断された切断輪郭と、欠陥と識別されずに更なる加工のために供給されるこのような欠陥のある管を生じ得る。
【0005】
特に、管状フレーム(チューブラーフレーム)などの複雑な溶接アセンブリの製造において、管を互いに溶接する後の工程ステップまで管が全てのインターフェースにて共に結合できないことが検出されなければ特に不利である、と言うのも個々の管上の切断輪郭は特定の所望の位置から遠くにずれすぎており、互いに対する管の空間位置におけるずれが許容差チェーン(tolerance chain)内に蓄積するからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、比較的より自動化されていて、切断輪郭を最小許容差で製造することができる、管を整形する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これは、実際の切断輪郭に沿って曲管を整形する方法であって、それに関連する所望の切断輪郭を有する仮想の許容差エンベロープ(許容差包絡線;tolerance envelope)が、曲管のために計算され、空間的に固定された座標系に関して記憶される方法によって達成される。曲管は、前記座標系において既知の空間位置を有する供給手段の把持アームによって拾い上げられる。曲管の輪郭が、前記座標系において既知の空間位置を有する光学測定装置によって把握される。曲管が、仮想の許容差エンベロープに挿入され、曲管のための形状許容差(幾何公差)が守られたことが確認され、曲管が許容差エンベロープによって定められる空間位置を占めることが保証される。同時に又はその後、把持アームが曲管を、座標系内で既知の空間位置に配置されたレーザー切断装置に供給し、許容差エンベロープがレーザー切断装置に供給され、それによりレーザー切断装置は許容差エンベロープに対して所定の位置を占め、レーザー切断装置により放出されるレーザービームが曲管にて実際の切断輪郭を切断する。
【0008】
有利には、レーザービームが所望の切断輪郭に沿って案内され、曲管への所望の切断輪郭の投影として実際の切断輪郭を切断し、前記所望の切断輪郭の前記投影は前記所望の切断輪郭の変更に対応する。
【0009】
曲管の輪郭と許容差エンベロープにおけるその位置が把握及び記憶され、所望の切断輪郭が曲管のために補正され、レーザービームが、実際の切断輪郭に対応する補正された所望の切断輪郭に沿って案内されるとさらに有利である。
【0010】
把持アームによって供給面から曲管をより速くピックアップするために、有利には供給面上の管の位置が別な光学測定装置によって前もって把握される。
【0011】
管を整形するときに形成される現実の切断輪郭(以下では、実際の切断輪郭と呼ぶ)は、管の周面(側面)の切り取り(cut-out)によって又は管の端部での切り落とし(cut-off)によって創出される。
例えば、2つの管を共に溶接するために、管の周面上の切り取り領域又は管の端部での端面の形状の生じる実際の切断輪郭がそれぞれ、別な管の周面に又は切断された端面に結合され、溶接される。
【0012】
最小の許容差で実際の切断エッジを製造することは、そこに溶接される別な管が、理想的な整形管と比較した整形管の形状ずれ(形状誤差)にかかわらず、所望の位置からの最小の位置ずれで溶接され得るように、それらを切断することを意味する。
【0013】
本発明にとって本質的なことであるが、実際の切断輪郭を切断するために、所望の切断輪郭は現実の管に関して定められず、管のために計算された許容差エンベロープに関して定められる。
所望の切断輪郭は好ましくは、許容差エンベロープ内に、好ましくは許容差エンベロープに挿入される管上の2つの最大にずれた実際の切断輪郭の位置の間の中間にある。
【0014】
1つの可能性は、現実の管への所望の切断輪郭の投影として実際の切断輪郭を製造することである。所望の切断輪郭に沿う入射位置での垂線に関するレーザービームの角度位置に依存して、所望の切断輪郭は、縮小して、拡大して又は他の変更方法で管の周面に投影される。理想的には、どのようにして切断された管が許容差エンベロープ内にあるかに完全にかかわらず、その周面によって結果生じる実際の切断輪郭に適用される異なる管が切断された管の許容差エンベロープに対する同じ相対位置を常に有するように、投影は実施される。ゆえに、許容差エンベロープ内にある管の位置許容差は許容差チェーンに入らない。
【0015】
別な可能性は、管のための所望の切断輪郭を補正し、補正された所望の切断輪郭に沿ってレーザービームを案内することであり、それは実際の切断輪郭に対応する。これは、管の輪郭の把握だけでなく、許容差エンベロープ内のその位置の把握も必要とする。
【0016】
それぞれの管のために、個々の許容差エンベロープが計算され、それはそれぞれの管の形状許容差のために決定的である。許容差エンベロープは、明瞭のために図面に示されていないが、管の長さにわたって理想的な管から同じ寸法ずれを有する必要はなく、例えば意図される実際のインターフェースの近傍で、より狭く(誤差を)許容されてもよい。許容差エンベロープは、空間的に固定された座標系に対して、その割り当てられた所望のインターフェースと共に記憶され、その座標系に関して、本方法を実施するために利用可能な装置が既知の固定された空間位置を有する。加工のために把持アームによって拾い上げられた管は、管の輪郭と空間内でのその位置を把握する光学測定装置(例えば3Dカメラ)に供給される。次に、管は、管を保持する把持アームを移動させることで計算された許容差エンベロープに挿入される。挿入が可能でない場合、管は形状許容差の外側にあり、さらに加工されない。許容差エンベロープは、管の1つのみの又は複数の個々のセクションを覆ってもよい。空間内での許容差エンベロープの位置が分かると、管は既知の空間位置を有し、このレベルの精度でレーザー切断装置に相対的に供給される。これは、管がレーザー切断装置に対して再現可能な空間位置を占めないことを意味する。しかしながら、許容差エンベロープは再現可能な空間位置を占める。また、管は、供給装置に対して再現可能な相対位置で拾い上げられる必要はない。ゆえに、管が供給面上でただ予め方向付けられ、それで把持アームが管を最適に把持できれば十分である。管は、定められたピックアップによって供給手段に対する定められた相対位置に位置付けられず、供給手段に関して許容差エンベロープにより定められる相対位置に挿入されることでのみ後で位置付けられるので、管は、例えば最初の実際の切断輪郭を切断後、別な供給手段の把持アームに移され、再び測定され、許容差エンベロープに挿入されてもよく、それにより別な供給手段に関して定められた空間位置を占める。これは、例えば管上の全ての実際のインターフェースを切断するために管の周りの係合が必要な場合に、必要となる。
【0017】
本発明を、例示の実施形態及び図面に関連して以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1a】許容差包絡線内に理想的に存在する理想的な管を示す図であり、所望な切断輪郭と実際の切断輪郭が一致する。
【
図1b】許容差包絡線内で傾いて位置する管を示す図である。
【
図1c】許容差包絡線内で傾いて位置する別な管を示す図である。
【
図2】本方法を実施するのに適した装置の概略図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
第1工程ステップでは、許容差包絡線Hが整形すべき曲管Rのために計算される。それは完全に又は部分的にのみ管Rを包囲し、許容差包絡線Hに完全に挿入できる管Rが形状許容差内にあるように計算される。許容差包絡線Hは、管Rのために関連する所望の切断輪郭K
所望と共に記憶される。有利には、所望の切断輪郭K
所望は許容差包絡線H内にあり、それでそれらは実際の切断輪郭K
実際と一致し、それに沿って、理想的な管Rが許容差包絡線H内に理想的にある時に管Rが整形されるよう意図される。
図1aは、真っ直ぐな管Rに関して、このような状況を単純化して示している。所望の切断輪郭K
所望は有利には次のように定められる、つまり許容差包絡線Hに関して、許容差包絡線H内に異なって位置する管Rにて切断された実際の切断輪郭K
実際の位置における潜在的なずれが、管Rに向けられたレーザービームの方向に所望の切断輪郭K
所望の前又は後ろにあり、所望の切断輪郭K
所望に沿って案内されるレーザービームの焦点位置の近くにあるように定められる。
【0020】
図1b及び
図1cは、許容差包絡線H内で傾いた管Rを示す。一般的に、その管軸が、可能ならば、許容差包絡線Hの軸に一致するように、管Rは許容差包絡線Hに挿入され、それは形状ずれの無い理想的な管Rの場合に常に可能である。形状ずれの場合、管軸と許容差包絡線Hの軸は少なくとも部分的に互いに関して傾いており、それを
図1b及び
図1cが単純化した様式で示している。
【0021】
許容差包絡線Hに関連する所望の切断輪郭K所望は、許容差包絡線H内で異なって位置する管Rに投影され、その場合それぞれの管Rの周面上に形成する実際の切断輪郭K実際が、所望の切断輪郭K所望と比較した大きさ及び/又は形状の変化を示す。又は、所望の切断輪郭K所望はそれぞれの管Rの周面のために補正され、レーザービームが、実際の切断輪郭K実際に対応する補正された所望の切断輪郭K所望/補正に沿って案内される。
【0022】
許容差包絡線H及び所望の切断輪郭K所望が、又は1つの所望の切断輪郭K所望のみが、空間的に固定された座標系に関して記憶される。座標系内で、把持アーム2.1を備えた供給手段2、光学測定装置3及びレーザー切断装置4などの、本方法を実施するのに必要な技術的手段の空間位置が既知である。
上述した技術的手段はそれぞれ、記憶・制御ユニット6に接続している。
【0023】
管Rを整形するために、管は供給手段2の把持アーム2.1によって供給面1から拾い上げられ、光学測定装置3に搬送され、ここで管Rの輪郭が把握される。光学測定装置3、例えば3Dカメラの空間位置が分かると、管Rの輪郭の空間位置も分かり、輪郭は許容差包絡線Hに変換できる。すなわち、管Rは仮想の許容差包絡線Hにフィットするまで把持アーム2.1によって移動される。それは、一方で管Rの形状許容差の遵守(コンプライアンス)が確認され、他方で管Rが許容差包絡線Hによって定められる空間位置を占めたことを意味する。
【0024】
把持アーム2.1は管Rをレーザー切断装置4に供給する。これは、管Rが許容差包絡線Hに変換された後又はこの工程の間に行われてもよい。許容差包絡線Hを所定の相対位置におけるレーザー切断装置4に供給することで、レーザー切断装置4は許容差包絡線Hに関して所定の位置を占め、レーザー切断装置4によって放出されるレーザービームが管Rにて実際の切断輪郭K実際を切断する。
【0025】
この場合、実際の切断輪郭K実際は、管Rの周面への所望の切断輪郭K所望の減少した、拡大した又は別な風に変更された投影に対応してもよい。
レーザービームは、例えば許容差包絡線Hと垂直な角度で、所望の切断輪郭K所望に沿って案内される。角度を変更することで、拡大又は減少だけでなく、所望の切断輪郭K所望と比較した実際の切断輪郭K実際の形状の変化も実現できる。
【0026】
実際の切断輪郭は、補正された所望の切断輪郭K所望/補正であってもよい。補正された所望の切断輪郭K所望/補正を計算するために、管Rの輪郭が把握及び記憶されるだけでなく、許容差包絡線H内のその位置も把握及び記憶される。許容差包絡線H内の管Rの位置が分かると、所望の切断輪郭K所望は次に管Rのために補正でき、レーザービームが、実際の切断輪郭K実際に対応する補正された所望の切断輪郭K所望/補正に沿って案内される。
【0027】
有利には、管Rが把持アーム2.1によって供給面1から拾い上げられる前に、供給面1上の管Rの位置が別な光学測定装置5により把握される。これにより、意図した数の管Rが供給面1にあるかどうか、またどのようにしてそれらが供給面1上に載っているかを決定することができ、それらが再現不能な位置にある場合でも、把持アーム2.1によってそれらを安全に拾い上げることができる。
【0028】
図2は、本方法を実施するのに適した装置の概略図を示す。本装置は、把持アーム2.1を備えた供給手段2、光学測定装置3、レーザー切断装置4、記憶・制御ユニット6及び別な光学測定装置5を有する。
【0029】
管Rを機械加工するため、すなわち管R上で所望の切断輪郭K所望を切断するために、管Rは、供給手段2の把持アーム2.1によって供給面1から拾い上げられる。好ましくは、複数の管Rが供給面1上で予め仕分けられ、予め位置決めされ及び予め方向付けられ、それで所定の把持位置に移動する把持アーム2.1は、把持アーム2.1に予め方向づけられたそれぞれの管Rを拾い上げる。供給手段2に対する再現可能な空間位置で拾い上げられるように、管Rを供給面1上に正確に位置決めする必要はない(それは、個々の管Rの比較的大きな形状許容差に益する)。
【0030】
把持アーム2.1は、限られた作業領域内で把持された工作物、この場合管Rを自由に移動させられる多軸把持アーム2.1であると好ましい。作業領域内に配置されているのは、供給面1、光学測定装置3(例えば3Dカメラ)及びレーザー切断装置4である。
【0031】
把持アーム2.1によって管Rは3Dカメラの前に搬送され、ここで管Rの輪郭と有利にはその空間位置が把握及び記憶される。次いで、獲得データが管Rの許容差包絡線Hに投影されるまで、把持アーム2.1は管Rを移動させ、それにより管Rが許容差内であることが確認される。供給手段2により定められる座標系又は他の任意の空間的に固定された座標系内の管Rの空間位置はしたがって、座標系内で許容差エンベロープHの空間位置により決定される。
【0032】
その後又は同時に、許容差エンベロープHがレーザー切断装置4に対する、従って工具として機能するレーザービームに対する所定の相対位置に有るように、把持アーム2.1は管Rをレーザー切断装置4に供給する(送る)。レーザー切断装置4は次いで、管R上の実際の切断輪郭K実際を切断し、レーザービームは、許容差エンベロープHに関連する所望の切断輪郭K所望に沿って又は補正された所望の切断輪郭K所望/補正に沿って案内される。本方法はレーザービームを用いて実施できる、と言うのも切断の実行は、切断工具と工作物の間の機械的接触、従って機械加工の場合のように加工面の定められた位置を必要としないからである。レーザー切断の際、加工面は、少なくとも焦点範囲内で、異なる空間位置を占めてもよい。
【0033】
本発明に従う方法は、他の管Rを取り付けられ、溶接できる、単に粗く(誤差を)許容された管R上に実際の切断輪郭K実際を切断することを可能にする。実際の切断輪郭K実際を変更することで、許容差包絡線H内の管Rの位置に依存して、従ってそれらの形状ずれに依存して、管Rの粗い許容度が、管Rを実際の切断輪郭K実際に接続するために許容差チェーンに含まれない又は少ない量しか含まれない。本方法はまた、把持アーム2.1に、単に予め方向づけされた管Rを自動的に拾い上げさせ、それらをレーザー切断装置4に供給させることができる。
【符号の説明】
【0034】
R 曲管
H 許容差エンベロープ
K所望 所望の切断輪郭
K実際 実際の切断輪郭
K所望/補正 補正された所望の切断輪郭
1 供給面
2 供給手段
2.1 把持アーム
3 光学測定装置
4 レーザー切断装置
5 別な光学測定装置
6 記憶・制御ユニット