(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】エネルギー案内チェーンのためのセパレータ
(51)【国際特許分類】
F16G 13/16 20060101AFI20230324BHJP
F16G 13/02 20060101ALI20230324BHJP
H02G 11/00 20060101ALI20230324BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20230324BHJP
H02G 3/32 20060101ALI20230324BHJP
F16L 3/12 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
F16G13/16
F16G13/02 H
H02G11/00
H02G3/04 075
H02G3/32
F16L3/12 G
(21)【出願番号】P 2020551580
(86)(22)【出願日】2019-03-26
(86)【国際出願番号】 EP2019057643
(87)【国際公開番号】W WO2019185662
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-01-04
(31)【優先権主張番号】202018101686.5
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507336499
【氏名又は名称】イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】シュトラック シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】バルテン ドミニク
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202017100200(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16G 13/16
F16G 13/02
H02G 11/00
H02G 3/04
H02G 3/32
F16L 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枢動可能に相互接続されたチェーンリンクを備えるエネルギー案内チェーンのためのセパレータ(7)であって、
前記チェーンリンクが、2つの側板(2、3)を有し、
該2つの側板(2、3)が、少なくともいくつかの前記チェーンリンクにおいて2つの横断バー(4、5)によって連結され、かつ、線材のための案内通路(6)を画定し、
前記セパレータ(7)が、前記横断バー(4、5)の間に配置されることが可能であり、かつ、前記横断バーのうちの少なくとも一方において拘束されることが可能であり、板状のコンパートメント底部(8)が、前記セパレータ(7)に対して実質的に垂直に配置されることが可能であり、
前記セパレータが、それぞれの前記コンパートメント底部(8)が内部に保持され得る複数の凹部(9)を有し、
各凹部の側方端部には、剛性を有する支持領域(10)が連続的に設けられ、反対側の側方端部には、前記コンパートメント底部(8)の挿入のためにそれぞれの前記凹部(9)に接続されたそれぞれの挿入開口部(11)が設けられ、
該挿入開口部が、それぞれの弾性舌状要素(12)を備え、
該弾性舌状要素(12)が、それぞれの前記挿入開口部(11)を部分的に閉じ、かつ、挿入されたそれぞれの前記コンパートメント底部(8)を
それぞれの前記凹部(9)内に固定し、
前記弾性舌状要素(12)が、実質的に前記セパレータ(7)の前記挿入開口部(11)から反対側の前記支持領域(10)まで延在し、
前記弾性舌状要素(12)の一方の端部が、前記挿入開口部(11)の縁部に接続され、もう一方の端部が、前記支持領域(10)に接続され、
前記凹部(9)と反対の側を向く前記弾性舌状要素(12)の側に、空きスペース(13)が設けられ、前記弾性舌状要素(12)が、前記コンパートメント底部(8)の挿入および取外し
の間に前記空きスペース(13)内に弾性的に
撓むことができる、
セパレータ(7)。
【請求項2】
前記セパレータ(7)が、プラスチックを含む、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項3】
前記セパレータ(7)が、一体部品の形態である、請求項2に記載のセパレータ。
【請求項4】
弾性的に変形可能な前記弾性舌状要素(12)の一方の端部が、前記挿入開口部(11)の前記縁部において一体に形成され、もう一方の端部もまた、前記支持領域(10)において一体に形成される、請求項3に記載のセパレータ。
【請求項5】
前記弾性舌状要素(12)とは反対側の前記凹部(9)の区切り壁(14)が、挿入される板状の前記コンパートメント底部(8)の外側輪郭に適合される、請求項1から4のいずれか一項に記載のセパレータ。
【請求項6】
前記弾性舌状要素(12)が、前記凹部(9)に面する側に突出ノーズ(15)を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のセパレータ。
【請求項7】
前記弾性舌状要素(12)上の前記突出ノーズ(15)が、前記挿入開口部(11)の内側端部の近くに配置される、請求項6に記載のセパレータ。
【請求項8】
前記コンパートメント底部(8)が挿入されたときに、前記突出ノーズ(15)が、前記挿入開口部(11)に面する前記コンパートメント底部(8)の側の領域において、プレストレスの下で前記コンパートメント底部(8)に対接する、請求項7に記載のセパレータ。
【請求項9】
前記凹部(9)の全ての前記挿入開口部(11)が、前記セパレータの同じ側に向かって開口する、請求項1から8のいずれか一項に記載のセパレータ。
【請求項10】
前記空きスペース(13)の主要寸法が、関連する前記凹部(9)の対応する主要寸法よりも大き
い、請求項1から9のいずれか一項に記載のセパレータ。
【請求項11】
前記空きスペース(13)の主要寸法が、前記エネルギー案内チェーンの長手方向における前記セパレータの寸法の少なくとも60%である、請求項10に記載のセパレータ。
【請求項12】
前記弾性舌状要素(12)が、前記凹部(9)に面する側に、前記エネルギー案内チェーン
の長手方向を横切る方向において前記コンパートメント底部を固定するための掛止突出部(16)を有する、請求項1から
11のいずれか一項に記載のセパレータ。
【請求項13】
枢動可能に相互接続されたチェーンリンクを備え、該チェーンリンクが、2つの側板(2、3)を有し、該2つの側板(2、3)が、少なくともいくつかのチェーンリンクにおいて2つの横断バー(4、5)によって連結され、かつ、線材のための案内通路(6)を画定する、エネルギー案内チェーンであって、
前記横断バー(4、5)間に配置されかつ少なくとも1つの横断バー(4、5)において拘束される垂直方向のセパレータ(7)と、
該セパレータ(7)に設けられた凹部(9)内に保持される、水平方向の板状のコンパートメント底部(8)と
を備え、
各凹部の側方端部には、剛性を有する支持領域(10)が連続的に設けられ、反対側の側方端部には、コンパートメント底部(8)の挿入のためにそれぞれの前記凹部(9)に接続されたそれぞれの挿入開口部(11)が設けられ、
該挿入開口部が、それぞれの前記挿入開口部(11)を部分的に閉じるため及び挿入されたそれぞれの前記コンパートメント底部(8)を固定するためのそれぞれの弾性舌状要素(12)を備え、
請求項1から
12のいずれか一項に記載の少なくとも1つのセパレータが設けられる、エネルギー案内チェーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枢動可能に相互接続されたチェーンリンクを備えるエネルギー案内チェーンのためのセパレータに関する。チェーンリンクは、2つの側板を有し、2つの側板は、少なくともいくつかのチェーンリンクにおいて2つの横断バーによって連結され、かつ、線材のための案内通路を画定し、セパレータは、横断バー間に配置されることが可能であり、かつ、横断バーのうちの少なくとも一方において拘束されることが可能であり、板様のコンパートメント底部が、セパレータに対して実質的に垂直に配置され得る。その目的のために、セパレータは、それぞれのコンパートメント底部が内部に保持され得る少なくとも1つの、通常は複数の凹部を有し、また、各凹部の側方端部には、連続的な剛性支持領域が設けられ、反対側の側方端部には、コンパートメント底部の挿入のためにそれぞれの凹部に接続されたそれぞれの挿入開口部が設けられ、挿入開口部は、それぞれの弾性舌状要素を備え、弾性舌状要素は、それぞれの挿入開口部を部分的に閉じ、かつ、挿入されたそれぞれのコンパートメント底部を固定する。
【0002】
エネルギー案内チェーンは、互いに対して移動可能である2つの接続箇所を一緒に接続する可撓性供給線材を確実かつ安全に案内する働きをする。
【0003】
本発明はまた、セパレータを備えたエネルギー案内チェーンに関する。
【背景技術】
【0004】
一般的な種類の既知のエネルギー案内チェーンが特許文献1および特許文献2に説明されている。ここでは、案内通路の内部分割のために、垂直方向のセパレータおよび水平方向のコンパートメント底部がすでに使用されており、コンパートメント底部は、セパレータにある凹部内に保持されている。特許文献2で説明されているセパレータの特定の実施形態(
図4A~4B参照)では、挿入開口部は、弾性舌状要素によって部分的に閉じられ、セパレータの凹部内へのそれぞれのコンパートメント底部の挿入のために、舌状要素は偏向される一方で、コンパートメント底部の横からの挿入の後、舌状要素は跳ね返り、凹部内のコンパートメント底部を拘束する。そのような構造は有利であるが、その構造はさらに改良することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国実用新案第202017100200号明細書
【文献】国際公開第2018/130721号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
当技術分野のこの状況を基本的な出発点として考えると、本発明の目的は、セパレータ内でのコンパートメント底部の保持をさらに最適化すること、また特にコンパートメント底部の挿入および取外しを容易にしかつ迅速化することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載のセパレータ、および請求項13に記載のエネルギー案内チェーンによって達成される。
【0008】
本発明によれば、上記目的は、弾性舌状要素が実質的にセパレータの挿入開口部から反対側の剛性支持領域まで延在し、舌状要素の一方の端部が挿入開口部の縁部に接続され、もう一方の端部が支持領域に接続され、凹部と反対の側を向いた舌状要素の側に空きスペースが設けられ、コンパートメント底部の挿入および取外しの間に弾性舌状要素が空きスペース内に弾性的に撓むことができるという点で、すでに達成されている。
【0009】
本発明による特徴によれば、コンパートメント底部をセパレータの凹部内でエネルギー案内チェーンの長手方向において比較的容易に横から押し込むことが可能であり、その場合、コンパートメント底部は、弾性舌状要素によりセパレータの凹部内にしっかりと保持される。コンパートメント底部を取り外す場合、そのためのツールを必要とすることなく、コンパートメント底部を凹部から反対方向に引き出すだけでよい。
【0010】
したがって、本発明の主要な態様は、コンパートメント底部の簡易な挿入および取外しにもかかわらずコンパートメント底部が所定の位置に確実に保持されることを確実とすることができる、セパレータの少なくとも1つの弾性舌状要素の特定の構成にある。
【0011】
支持領域は、セパレータの主平面に対して、剛性、特に曲げ剛性があり、より具体的には、正常使用においてコンパートメント底部の挿入および取外しの間に支持領域が少しも曲がらないようになっている。このことは、支持領域がそれぞれの凹部に隣接する十分な材料厚を有する限り、適切な寸法決めによって特に達成することができ、この材料厚は、例えば、意図された用途において柔軟である舌状要素の材料厚よりも数倍大きい。
【0012】
セパレータは、プラスチックから作られることが好ましい。プラスチックは、セパレータを一体構成要素の形態にすることができ、また、例えば射出成形を使用してセパレータを安価に作製することができるという利点を有する。さらに、舌状要素の望ましい弾性変形能は、適切な寸法決めによってそのように本質的に得られ得る。
【0013】
この構成では、弾性的に変形可能な舌状要素はまた、セパレータ上に形成することができ、より具体的には、舌状要素の一方の端部が挿入開口部の縁部において一体に形成され、もう一方の端部もまた支持領域において一体に形成されるように、形成することができる。
【0014】
弾性舌状要素とは反対側にある凹部の区切り壁は、望ましくは、コンパートメント底部が安定した配向でセパレータ内にしっかりと係留され得るように、挿入される板状のコンパートメント底部の外側輪郭に適合される。その場合、弾性舌状要素は、長手方向側に沿って、例えば挿入されるコンパートメント底部の上方または下方に配置されることが好ましい。
【0015】
弾性舌状要素は、凹部に面する側上に、セパレータ内でのコンパートメント底部の嵌合を改善する働きをする突出ノーズを有することが好ましい。
【0016】
その場合、舌状要素上の突出ノーズは、望ましくは、コンパートメント底部の嵌合、したがって凹部内でのコンパートメント底部の保持が最適になるように、挿入開口部の内側端部の近くに配置される。
【0017】
セパレータの凹部内でのコンパートメント底部の安定した嵌合をなおもさらに最適化するために、突出ノーズは、コンパートメント底部が挿入されたときに、挿入開口部に面するコンパートメント底部の端部の領域において、プレストレス下でコンパートメント底部に対接することができる。
【0018】
コンパートメント底部の嵌合は、それぞれのセパレータの全ての挿入開口部または凹部がセパレータの同じ細幅側に向かって開口する場合に、促進される。細幅側は、支持領域に対向する。
【0019】
弾性変形を促進する好ましい構成は、関連する空きスペースの主要寸法が関連する凹部の対応する主要寸法よりも大きい構成である。主要寸法(場合により、曲線に沿う)は、セパレータの中央領域においてまたは関連する凹部の高さにおいて(すなわち、横断バーのための上部または下部の固定領域においてではなく)測定された、チェーンの長手方向におけるセパレータの最大寸法の少なくとも60%、特に少なくとも65%であることが、特に好ましい。
【0020】
舌状要素は、凹部に面する側に、チェーンの長手方向を横切る方向またはセパレータの主平面に対して垂直な方向においてコンパートメント底部を固定するための掛止突出部を有する。このようにして、舌状要素は、チェーンの長手方向におけるコンパートメント底部の変位を防ぐために凹部内にコンパートメント底部を保持するためだけではなく、チェーンの長手方向を横切る方向においてコンパートメント底部を拘束するためにも機能することができる。このようにして、例えば特許文献1からすでに知られているように、凹部の上方/下方の別体の「保持ばね」をなしで済ますことが可能である。
【0021】
上述の全ての好ましい特徴はまた、枢動可能に相互接続されたチェーンリンクを備えるエネルギー案内チェーンの一部としてのセパレータに関係し、チェーンリンクは、2つの側板を有し、2つの側板は、少なくともいくつかのチェーンリンクにおいて2つの横断バーによって連結され、かつ、線材のための案内通路を画定し、エネルギー案内チェーンは、横断バー間に配置されかつ横断バーにおいて拘束される垂直方向のセパレータと、セパレータの凹部内に保持される水平方向の板状のコンパートメント底部とを含み、凹部の側方端部には、連続的な剛性支持領域が設けられ、反対側の側方端部には、コンパートメント底部の挿入のためにそれぞれの凹部に接続されたそれぞれの挿入開口部が設けられ、挿入開口部は、挿入開口部を部分的に閉じるため及び挿入されたそれぞれのコンパートメント底部を固定するためのそれぞれの弾性舌状要素を備える。
【0022】
本発明は、例として図面に示され、かつ、図面を参照しながら以下で詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】エネルギー案内チェーンの実施形態の断面図である。
【
図5】コンパートメント底部の挿入を示す、
図3に類似したセパレータの図である。
【
図7】コンパートメント底部が完全に挿入されたセパレータの図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面のうちの
図1は、チェーンリンクの領域における、本発明によるエネルギー案内チェーン1の一実施形態の断面図である。各チェーンリンクは、2つの横断バー、より具体的には上部横断バー4および下部横断バー5によって連結された、2つの側板2および3を有する。側板2および3、ならびに横断バー4および5は、例えばケーブル、ホース、などのような可撓性線材を受容しかつ案内するための案内通路6を形成する。横断バー4、5は、いわゆる開口バー(ここでは、横断バーと同等)であってもよく、または、例えば、側板2、3と一体に作製されてもよい。開口バーは、例えば、一方の側板2、3に枢動可能に取り付けられ、かつ、他方の側板2、3に掛止可能であってもよく、または、両方の側板2、3に解放可能に掛止されてもよい。
【0025】
内部の分割のために、
図1に示されるように、垂直方向のセパレータ7および水平方向のコンパートメント底部8を使用することが知られている。垂直方向のセパレータは、横断バー4と5との間に配置されて、そこに保持される。板状の構成でありかつ横断バー4および5に平行に配置される水平方向のコンパートメント底部8は、
図2および
図5~
図8で分かるように、セパレータ7の凹部9内に保持される。
【0026】
各セパレータ7は、それぞれの横断バー4、5におけるそれぞれの保持目的のために、2つの保持領域を有する。示された例では、保持領域は、保持フット18および保持ヘッド19である。保持フット18は、
図2に示されるように、横断バー5における拘束または掛止のために、また特に横断バー5に沿った横断方向における変位を防ぐように、設計される。セパレータ7の図示された状態では、保持ヘッド19は、掛止を伴わずに、横断バー4において長手方向に保持されて位置する。エネルギー案内チェーンが開口バーを有する場合、メンテナンス目的のために複雑でない方法で開口バーが開口され得るように、保持ヘッド19が開口バーに対接するようにセパレータ7が取り付けられることが、有利である。保持フット18および保持ヘッド19は、それぞれのセパレータ7を取付け状態に保持する。すなわち、チェーンリンクは、向かい合って配置された横断バー4、5において長手方向に閉じ込められる。
【0027】
各セパレータ7は、板状の中央領域を有し、この中央領域は、主平面に対して横断方向に連続的に延在する貫通開口部の形態である凹部9を有する。セパレータ7の幅方向および高さ方向は、セパレータ7の主平面内にあり(
図2/
図3参照)、幅方向は、エネルギー案内チェーン1の長手方向に対応し、高さ方向は、幅方向に対して垂直かつ横断方向に対して垂直な方向に対応する。凹部9の側方端部のうちの1つには、連続的な垂直方向の剛性支持領域10が設けられ、この支持領域10は、セパレータ7の高さ方向全体にわたって延在し、かつ、実質的に可撓性がない。それぞれの凹部9の反対側の側方端部には、それぞれの挿入開口部11が設けられ、この挿入開口部11は、凹部9に接続され、かつ、コンパートメント底部8の挿入のために機能する。側方の挿入開口部11は、弾性舌状要素12とそれぞれ組み合わせられ、この弾性舌状要素12は、それぞれの挿入開口部11を部分的に閉じ、かつ、挿入されるそれぞれのコンパートメント底部8が挿入開口部11を通じた横からの挿入の後でセパレータ7のそれぞれの凹部9内にきちんと嵌合することを実現する。
【0028】
弾性舌状要素12は、セパレータ7の挿入開口部11から反対側の剛性支持領域10まで延在し、ここで、舌状要素12の一方の端部は、それぞれの挿入開口部11の縁部に接続されており、もう一方の端部は、剛性支持領域10に一体に接続されている。
【0029】
凹部9から遠い方の舌状要素12の側には、空きスペース13が設けられ、弾性舌状要素12は、それぞれのコンパートメント底部8の挿入および取外しの間に空きスペース13内に弾性的に撓むことができ、また、弾性舌状要素12は、それぞれのコンパートメント底部8の挿入された状態において、それぞれのコンパートメント底部8を凹部9内にしっかりと保持する。
【0030】
セパレータ7は、弾性的に変形可能な高度に安定したプラスチックから作られる。それにより、セパレータは、それぞれ一体部品として形成することができ、弾性舌状要素12もまた、セパレータ7の材料において一体的に直接に形成され得る。それぞれの舌状要素12の一方の端部は、それぞれの挿入開口部11の縁部に形成され、もう一方の端部は、垂直方向の支持領域10に形成される。セパレータ7は、特に射出成形法で作製され得る。
【0031】
弾性舌状要素12に対向するそれぞれの凹部9の区切り壁14は、コンパートメント底部が、凹部9内にしっかりと確実に嵌合し、かつ、弾性舌状要素12により凹部内に安定に、失われることがないように(non-losably)固定されるように、挿入される板状のコンパートメント底部8の外側輪郭に適合される。
【0032】
図面に示された実施形態では、弾性舌状要素12は、挿入されるコンパートメント底部8の上方に配置される。あるいは、エネルギー案内チェーンが方向変換弧において方向を変えて反対方向に移り、上下が交換されるときには特に、コンパートメント底部8に対する舌状要素12の相対位置を反転させることが可能であることも、理解されるであろう。示された実施形態では、弾性舌状要素12は、保持ヘッド19に向くそれぞれの凹部9の側に配置されている。
【0033】
弾性舌状要素12はそれぞれ、それぞれの凹部9に向く側に、凹部内に挿入されたコンパートメント底部をさらに安定させる突出ノーズ15を有する。
【0034】
舌状要素12上に設けられる突出ノーズ15は、凹部9内でのコンパートメント底部8の嵌合がさらに固定されるように、挿入開口部11の内側端部の近くに配置され、その結果、この突出ノーズ15は、コンパートメント底部8がエネルギー案内チェーン1の長手方向において凹部9から偶発的に滑り出るのに逆らうように機能する。この追加の保証は、具体的には、挿入開口部11に向くコンパートメント底部8の端部の領域におけるプレストレス下で突出ノーズ15がコンパートメント底部8に対接するという事実によって与えられる。
【0035】
図3から特にはっきりと分かるように、凹部9に向かう側上の舌状要素は、挿入されたコンパートメント底部8をチェーンの長手方向を横切る方向においてまたはセパレータ7の主平面に対して垂直な方向において保持することができる掛止突出部16を有する。
【0036】
説明された本発明によるエネルギー案内チェーンに関して重要なことは、案内通路6をさらに分割し、かつ、セパレータ7に対して垂直延在するコンパートメント底部8のための特に確実な保持作用を形成する働きをする、セパレータの新規な構成である。
【0037】
セパレータ7の凹部9内へのコンパートメント底部8の挿入は、セパレータ7全体を弾性的に曲げる必要なしに、挿入開口部11を通してコンパートメント底部8をセパレータ7の凹部9に押し込むことにより、ツールを使用することなく非常に簡易な方法で達成され得る。このようにして、非常に頑丈な安定した材料をセパレータに使用することができる。
【0038】
コンパートメント底部8の取外しもまた、非常に簡易であり、かつ、挿入開口部11を通してコンパートメント底部8を凹部9から手で簡単に引き出すことにより、ツールを使用することなく達成することができ、この場合、それぞれの弾性舌状要素12のみが変形されて、弾性舌状要素12の背後の空きスペース13内へと後方に偏向する。
【0039】
挿入開口部11は、凹部9内に偏心的に開口しそれにより掛止縁部17を形成するように、凹部9の主軸に対して上向きに配置される。掛止縁部17は、コンパートメント底部8がエネルギー案内チェーン1の長手方向において凹部9から偶発的に滑り出るのを防ぐために、突出ノーズ15と協働する。挿入開口部11は、凹部9に向かって徐々に先細になり、かつ、水平線に対して約10°~25°の角度で上向きに傾斜した配向を伴う。これは、エネルギー案内チェーン1の所定の側からのコンパートメント底部の嵌合を促進し、ここで、横断バー4、5は、少なくともその所定の側における開口バーの形態である。
【0040】
この場合、垂直方向の(vertical)および水平方向の(horizontal)という用語は、制限的に解釈されるべきではなく、エネルギー案内チェーンの、チェーンの長手方向に対して平行であること(=水平方向)またはチェーンの長手方向に対して直角であること(=垂直方向)に相当する。
【符号の説明】
【0041】
1 エネルギー案内チェーン
2 側板
3 側板
4 上部横断バー
5 下部横断バー
6 案内通路
7 セパレータ
8 コンパートメント底部
9 (セパレータ7の)凹部
10 支持領域
11 挿入開口部
12 弾性舌状要素
13 空きスペース
14 区切り壁
15 突出ノーズ
16 掛止突出部
17 掛止縁部
18 保持フット
19 保持ヘッド