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特許7250039ノルマルブタノール、イソ-ブタノール、及び2-アルキルアルカノールを供給する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】ノルマルブタノール、イソ-ブタノール、及び2-アルキルアルカノールを供給する方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 29/141 20060101AFI20230324BHJP
   C07C 31/12 20060101ALI20230324BHJP
   C07C 31/125 20060101ALI20230324BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20230324BHJP
【FI】
C07C29/141
C07C31/12
C07C31/125
C07B61/00 300
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020553525
(86)(22)【出願日】2019-04-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 GB2019051046
(87)【国際公開番号】W WO2019197831
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】1806127.5
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518329767
【氏名又は名称】ジョンソン マッセイ デイヴィー テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】アーチバルト、フレーサー
(72)【発明者】
【氏名】ロード、エイドリアン
(72)【発明者】
【氏名】スミッド、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ウェルチ、デイビット
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-116022(JP,A)
【文献】特表2013-531009(JP,A)
【文献】米国特許第03119876(US,A)
【文献】特開2008-137996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノルマルブタノール、イソ-ブタノール、及び2-アルキルアルカノールの生成方法であって、
(a)ノルマルブチルアルデヒド、イソ-ブチルアルデヒド、及び2-アルキルアルケナールを含む供給物を水素化して、ノルマルブタノール、イソ-ブタノール、2-アルキルアルカノール、未反応のノルマルブチルアルデヒド、未反応のイソ-ブチルアルデヒド、及び未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上を含む粗生成物流を形成する工程と、
(b)前記粗生成物流を分離して、前記粗生成物流よりも高濃度のノルマルブタノール、イソ-ブタノール、未反応のノルマルブチルアルデヒド、及び未反応のイソ-ブチルアルデヒドを有する混合ブタノール流と、前記粗生成物流よりも高濃度の2-アルキルアルカノール、及び前記未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上を有する粗2-アルキルアルカノール流と、を生成する工程と、
(c)前記混合ブタノール流を分離して、前記混合ブタノール流よりも高濃度のノルマルブタノールを有する精製ノルマルブタノール流と、前記混合ブタノール流よりも高濃度のイソ-ブタノールを有する粗イソ-ブタノール流と、を生成する工程と、
(d)前記粗イソ-ブタノール流を第1の洗練水素化反応器に供給し、そこで、前記未反応のイソ-ブチルアルデヒドの少なくともいくらかをイソ-ブタノールに変換して、洗練されたイソ-ブタノール流を生成する工程と、
(e)前記洗練されたイソ-ブタノール流を分離して、前記洗練されたイソ-ブタノール流よりも高濃度のイソ-ブタノールを有する精製イソ-ブタノール流と、軽質廃棄物流と、を生成する工程と、
(f)前記粗2-アルキルアルカノール流を分離して、前記粗2-アルキルアルカノール流よりも高濃度の2-アルキルアルカノール、及び前記未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上を有する中間2-アルキルアルカノール流と、重質廃棄物流と、を生成する工程と、
(g)前記中間2-アルキルアルカノール流を第2の洗練水素化反応器に供給し、そこで、前記未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上の少なくともいくらかを2-アルキルアルカノールに変換して、前記中間2-アルキルアルカノール流よりも高濃度の2-アルキルアルカノールを有する洗練された2-アルキルアルカノール流を生成する工程と、
(h)前記洗練された2-アルキルアルカノール流を分離して、前記洗練された2-アルキルアルカノール流よりも高濃度の2-アルキルアルカノールを有する精製2-アルキルアルカノール流と、中間廃棄物流と、を生成する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上が、2-アルキルアルカナールと2-アルキルアルケノールとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(c)における前記混合ブタノール流を分離する前記工程が、前記混合ブタノール流よりも高濃度の前記未反応のイソ-ブチルアルデヒド及び前記未反応のノルマルブチルアルデヒドを有するブチルアルデヒド流を生成する工程を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記粗生成物流がペンタノールを含み、工程(e)が、前記洗練されたイソ-ブタノール流を分離して、前記洗練されたイソ-ブタノール流よりも高濃度のイソ-ブタノールを有する精製イソ-ブタノール流と、前記洗練されたイソ-ブタノール流よりも高濃度のペンタノールを有する粗ペンタノール流と、軽質廃棄物流と、を生成する工程を含む、請
求項1~3に記載の方法。
【請求項5】
ノルマルブタノール、イソ-ブタノール、及び2-アルキルアルカノールの生成方法であって、
(a)ノルマルブチルアルデヒド、イソ-ブチルアルデヒド、及び2-アルキルアルケナールを含む供給物を水素化して、ノルマルブタノール、イソ-ブタノール、2-アルキルアルカノール、未反応のノルマルブチルアルデヒド、未反応のイソ-ブチルアルデヒド、及び未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上を含む粗生成物流を形成する工程と、
(b)前記粗生成物流中の前記ノルマルブタノール、イソ-ブタノール、2-アルキルアルカノールを分離する工程であって、前記分離する工程は、前記ノルマルブタノール、前記イソ-ブタノール、前記未反応のノルマルブチルアルデヒド、及び前記未反応のイソ-ブチルアルデヒドを、前記2-アルキルアルカノール、及び前記未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上から分離する第1の分離方法と、前記ノルマルブタノールを前記イソ-ブタノールから分離する第2の分離方法と、前記2-アルキルアルカノールを純化する第3の分離方法と、を含み、前記第2の分離方法及び前記第3の分離方法が同時進行であり、前記第2の分離方法が、前記未反応のイソ-ブチルアルデヒドの少なくともいくらかをイソ-ブタノールに水素化する工程を含み、前記第3の分離方法が、前記未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上の少なくとも1つを2-アルキルアルカノールに水素化する工程を含む、分離する工程と、を含む、方法。
【請求項6】
前記粗生成物流がペンタノールを含み、前記第1の分離が、ノルマルブタノールを前記第2の分離方法に、及びペンタノールを前記第3の分離方法に送る、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記分離がカラム中で実施される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記2-アルキルアルケナールが2-エチルヘキセナールであり、前記2-アルキルアルカノールが2-エチルヘキサノールであり、前記未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上が、未反応の2-エチルヘキセナール、2-エチルヘキサナール、又は2-エチルヘキセノールのうちの1つ以上である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記2-アルキルアルケナールが2-プロピルヘプテナールであり、前記2-アルキルアルカノールが2-プロピルヘプタノールであり、前記未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上が、未反応の2-プロピルヘプテナール、2-プロピルヘプタナール、又は2-プロピルヘプテノールのうちの1つ以上である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノルマルブタノール、イソ-ブタノール、及び2-アルキルアルカノールの生成方法に関する。より具体的には、ノルマルブチルアルデヒド、イソ-ブチルアルデヒド、及び2アルキルアルケナールを含む供給物を水素化することによる、ノルマル-ブタノール、イソ-ブタノール、及び2-アルキルアルカノールの生成に関する。更により具体的ではあるが排他的ではなく、ノルマルブチルアルデヒド、イソ-ブチルアルデヒド、及び2エチルヘキセナールを含む供給物を水素化することによる、ノルマル-ブタノール、イソ-ブタノール、及び2-エチルヘキサノールの生成、又はノルマルブチルアルデヒド、イソ-ブチルアルデヒド、及び2-プロピルヘプテナールを含む供給物を水素化することによる、ノルマル-ブタノール、イソ-ブタノール、及び2-プロピルヘプタノールの生成に関する。
【0002】
2-エチルヘキサノール及び2-プロピルヘプタノールなどの2-アルキルアルカノールの生成は、工業的に大規模で行われる。生成は、アルデヒドのアルドール縮合及び脱水によって2-アルキルアルケナールを生成し、続いて2-アルキルアルカノールに水素化することによって行うことができる。水素化は、典型的には、中間2-アルキルアルカナール又は2-アルキルアルケノールを介して進行する。例えば、ノルマルブチルアルデヒドは、アルドール化及び脱水を受けて2-エチルヘキセナールを形成することができ、これは2-エチル-ヘキサノールに水素化することができる。別の例として、ノルマルバレルアルデヒドは、アルドール化及び脱水を受けて2-プロピルヘプテナールを形成することができ、これは2-プロピル-ヘプタノールに水素化することができる。一般に、水素化反応は完了することはなく、粗生成物は、中間2-アルキルアルカナール及び2-アルキルアルケノール、並びにアルデヒド、エーテル、エステル、及び複数の出発物質から生じる重質などの他の副生成物を含有する。
【0003】
ノルマルブタノール及びイソ-ブタノールの生産はまた、工業的に大規模で行われる。生成は、ノルマルブチルアルデヒド及びイソブチルアルデヒドの水素化によって行うことができる。
【0004】
上記の方法で使用されるブチルアルデヒド又はバレルアルデヒドは、例えばオキソ法を使用して、オレフィンのヒドロホルミル化によって生成することができる。
【0005】
米国特許出願公開第2016075621号は、n-ブタノール、イソブタノール、及び2-エチルヘキサノールを含むオキソ-アルコールの同時生成のための方法及びシステムについて記載している。本方法は、プロピレン流及び合成ガス流を提供する工程と、プロピレン流及び合成ガス流をヒドロホルミル化して、ノルマルブチルアルデヒド及びイソ-ブチルアルデヒドを含む第1のアルデヒド流を提供する工程と、ノルマルブチルアルデヒドの少なくとも一部をアルドール化して、2-エチルヘキセナールを含む第2のアルデヒド流を提供する工程と、第1のアルデヒド流及び第2のアルデヒド流の少なくとも一部を同時に水素化して、n-ブタノール、イソブタノール、及び2-エチルヘキサノールを含むアルコール流を提供する工程と、を含み、水素化工程は、単一の水素化反応器で実行される。
【0006】
米国特許出願公開第2016075621号に記載されているような、ノルマルブタノール、イソ-ブタノール、及び2-アルキルアルカノールの生成における単一の組み合わされた水素化工程は、水素化工程のコストを低減することができる点で望ましい場合がある。特に、装置コストは、組み合わされた水素化によって低減することができる。しかしながら、このような組み合わされた水素化工程は、組み合わされた水素化から得られた粗生成物流を分離して、得られるノルマルブタノール、イソ-ブタノール、及び2-アルキルアルカノールの規格どおりの生成物流を経済的な方法で生成することができる場合にのみ商業的に利用可能である。したがって、粗生成物流からノルマル-ブタノール、イソ-ブタノール、及び2-アルキルアルカノールを分離するための効率的かつ有効な精製スキームが必要とされている。所望のノルマルブタノール、イソ-ブタノール、及び2-アルキルアルカノールに加えて、粗生成物流はまた、組み合わされた水素化工程内で生じる異なる水素化の各々からの副生成物及び未反応反応物質も含有する。1つの潜在的な問題は、交差汚染の可能性があることであり、交差汚染とは、一方の反応の副生成物が、他方の反応のうちの1つの生成物の最終生成物流中に含まれることである。したがって、粗生成物流の精製は、専門家による解決策を必要とする特定の問題である。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、ノルマルブタノール、イソ-ブタノール、及び2-アルキルアルカノールの生成方法であって、
a.ノルマルブチルアルデヒド、イソ-ブチルアルデヒド、及び2-アルキルアルケナールを含む供給物を水素化して、ノルマルブタノール、イソ-ブタノール、2-アルキルアルカノール、未反応のノルマルブチルアルデヒド、未反応のイソ-ブチルアルデヒド、及び未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上を含む粗生成物流を形成する工程と、
b.粗生成物流を分離して、粗生成物流よりも高濃度のノルマルブタノール、イソ-ブタノール、未反応のノルマルブチルアルデヒド、及び未反応のイソ-ブチルアルデヒドを有する混合ブタノール流と、粗生成物流よりも高濃度の2-アルキルアルカノール、及び未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上を有する粗2-アルキルアルカノール流と、を生成する工程と、
c.混合ブタノール流を分離して、混合ブタノール流よりも高濃度のノルマルブタノールを有する精製ノルマルブタノール流と、混合ブタノール流よりも高濃度のイソ-ブタノールを有する粗イソ-ブタノール流と、を生成する工程と、
d.粗イソ-ブタノール流を第1の洗練水素化反応器(polishing hydrogenation reactor)に供給し、そこで、未反応のイソ-ブチルアルデヒドの少なくともいくらかをイソ-ブタノールに変換して、洗練されたイソ-ブタノール流を生成する工程と、
e.洗練された(polished)イソ-ブタノール流を分離して、洗練されたイソ-ブタノール流よりも高濃度のイソ-ブタノールを有する精製イソ-ブタノール流と、軽質廃棄物流と、を生成する工程と、
f.粗2-アルキルアルカノール流を分離して、粗2-アルキルアルカノール流よりも高濃度の2-アルキルアルカノール、及び未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上を有する中間2-アルキルアルカノール流と、重質廃棄物流と、を生成する工程と、
g.中間2-アルキルアルカノール流を第2の洗練水素化反応器に供給し、そこで、未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上の少なくともいくらかを2-アルキルアルカノールに変換して、2-アルキルアルカノールを含む洗練された2-アルキルアルカノール流を生成する工程と、
h.洗練された2-アルキルアルカノール流を分離して、洗練された2-アルキルアルカノール流よりも高濃度の2-アルキルアルカノールである精製2-アルキルアルカノール流と、中間廃棄物流と、を生成する工程と、を含む、方法が提供される。
【0008】
本発明による方法は、分離を2つの並行分離セットに分割することが有利である。各並行分離セットには、洗練水素化が含まれ、これにより、生成物流の交差汚染を生じさせずに、所望の生成物の収率を増加させる。いくつかの分離工程が既に生じた後で洗練水素化を実施することにより、洗練水素化反応器のサイズもまた低減され得る。洗練水素化反応器は、未反応のノルマルブチルアルデヒド、未反応のイソ-ブチルアルデヒド、及び未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上がいくらか滑り出ることを、工程(a)における水素化で許容することができ、これにより、工程(a)における水素化装置のサイズを経済的に維持することができるという更なる利点を有する。
【0009】
工程(a)における水素化は、任意の好適な条件下で行うことができる。触媒を一般に使用する。任意の好適な触媒を使用してもよい。一般に、触媒の活性成分は、第6族~第10族の金属に基づく。好適な例としては、銅、ニッケル、マンガン、亜鉛、コバルト、パラジウム、ルテニウム、及び鉄が挙げられる。触媒は担持されてもよい。任意の好適な担体が使用されてもよい。好適な担体としては、アルミナ、シリカ、又は珪藻土が挙げられる。特に好適な触媒は、担持された銅クロマイト触媒であり得る。触媒はまた、選択性を向上させるための助触媒を含んでもよい。任意の好適な助触媒を使用してもよい。バリウムは好適な助触媒であり得る。
【0010】
水素化は液相又は蒸気相中で実施されてもよい。任意の好適な構成を使用してもよく、反応器を任意の好適な条件下で操作することができる。選択される特定の条件は、選択される触媒に依存するが、水素化は、約60℃~約300℃、好ましくは約100℃~約200℃の温度、及び100kPa~約15Mpaの圧力で実施されてもよい。
【0011】
液相水素化が使用される場合、これは任意の好適な方法で実行することができる。1つの配置では、充填された触媒床上で順流として実施されてもよい。反応の熱を除去するために、冷却された生成物の大規模な再循環材料を供給物と混合してもよい。好適な方法の一例は、参照により本明細書に組み込まれる英国特許第1362071号に記載されている。代替的な配置では、1つ以上の熱交換器を使用して、反応の熱を除去することができる。
【0012】
ニッケル触媒が液相反応で使用される場合、温度は、約10~約30baraの圧力で約150℃未満であり得る。銅クロマイト触媒が液相反応で使用される場合、温度は、約15~約30baraの圧力で約100℃~約200℃であり得る。
【0013】
気相水素化が使用される場合、これは任意の好適な方法で実行することができる。使用され得る典型的な気相水素化は、参照により本明細書に組み込まれるHydrocarbon Processing,March1983,pages67 to 74に記載されているものである。
【0014】
ニッケル触媒が気相反応で使用される場合、温度は、大気圧~約5baraの圧力で約100℃~約150℃であり得る。銅クロマイト触媒が気相反応で使用される場合、温度は、大気圧~約5baraの圧力で約135℃~約170℃であり得る。助触媒により触媒作用が向上した銅触媒が気相反応で使用される場合、温度は、約5bara~約30baraの圧力で約100℃~約250℃であり得る。銅亜鉛触媒が気相反応で使用される場合、温度は約100℃~約270℃であり得る。
【0015】
この水素化では、不飽和アルデヒドの大部分が水素化される。不飽和2-アルキルアルケナールの大部分は、所望の2-アルキルアルカノールに変換される。しかしながら、いくらかの部分水素化の生成物もまた形成される。したがって、2-アルキルアルケノール及び2-アルキルアルカナールの一方又は両方が形成されてもよい。重質(例えば、Cのアルキルアルケナールが使用される場合、C12、C16、C20化合物、及びC10のアルキルアルケナールが使用される場合、C15、C20、C25化合物)はまた、水素化中にも生成される。生成される2-アルキルアルカノールが2-プロピルヘプタノールである場合、ノルマルバレルアルデヒドのアルドール化による2-プロピルヘプテナールの生成からの未反応の反応物質として存在し得るノルマルバレルアルデヒドの水素化又はカニッツァーロ型反応により、ペンタノールもまた、水素化中に形成される場合がある。
【0016】
工程(b)において粗生成物流を分離する工程は、好ましくは粗生成物分離カラム中での、好ましくは蒸留を含む。粗生成物分離カラムは、好ましくは、上部に軽質生成物、底部に重質生成物を生成するように操作される。粗生成物分離カラムは、好ましくは、ノルマルブタノールよりも重い任意の成分が、重質生成物中、すなわち粗2-アルキルアルカノール流中に優先的に含有されるように操作される。したがって、粗生成物分離カラムは、ノルマルブタノールの下で分かれると言うことができる。したがって、粗2-アルキルアルカノール流は、好ましくは、粗生成物流よりも高濃度でノルマルブタノールよりも重い成分を有する。
【0017】
生成される2-アルキルアルカノールが2-プロピルヘプタノールである場合、粗生成物分離カラムは、好ましくは、ペンタノールよりも軽い任意の成分が、軽質生成物中、すなわち混合ブタノール流中に優先的に含有されるように操作され、したがって、粗生成物分離カラムは、ノルマルブタノールとペンタノールとの間で分かれるように操作されると言うことができる。したがって、混合ブタノール流は、好ましくは、粗生成物流よりも高濃度でペンタノールよりも軽い成分を有する。ペンタノールとノルマルブタノールとの間の分断は、2-アルキルアルカノールが2-プロピルヘプタノールである場合、水素化のために2-プロピルヘプテナールを生成するノルマルバレルアルデヒドの上流アルドール化からの未反応のバレルアルデヒドにより、工程(a)における水素化においてバレルアルデヒドが存在するため、特に有利であり得る。
【0018】
生成される2-アルキルアルカノールが2-エチルヘキサノールである場合、粗生成物分離カラムは、好ましくは、イソ-イソブチルブチレートよりも軽い任意の成分が、軽質生成物中、すなわち混合ブタノール流中に優先的に含有されるように操作され、したがって、粗生成物分離カラムは、ノルマルブタノールとイソ-イソブチルブチレートとの間で分かれるように操作されると言うことができる。したがって、混合ブタノール流は、好ましくは、粗生成物流よりも高濃度でイソ-イソブチルブチレートよりも軽い成分を有する。
【0019】
工程(c)において混合ブタノール流を分離する工程は、好ましくは混合ブタノール分離カラム中での、好ましくは蒸留を含む。粗イソ-ブタノール流は、好ましくは、サイドドローとして取られる。サイドドローの下で、混合ブタノール分離カラムを、好ましくは、イソ-ブタノールとノルマルブタノールとを分離するように操作し、精製ノルマルブタノール流は、好ましくは、混合ブタノール分離カラムの底部で、又は底部付近で取られる。精製ノルマルブタノール流は、好ましくは、ノルマルブタノールの規格を満たすことができるように、最小画分のイソ-ブタノールを含有する。好ましくは、精製ノルマルブタノール流は、少なくとも99.7重量%のノルマルブタノールを含有する。好ましくは、精製ノルマルブタノール流の色(APHA)は、5以下である。好ましくは、精製ノルマルブタノール流は、0.1重量%以下の水を含有する。好ましくは、精製ノルマルブタノール流は、0.05重量%以下のアルデヒドを(典型的には、ブチルアルデヒドとして)含有する。好ましくは、精製ノルマルブタノール流の酸性度は、0.03mgKOH/g以下である。好ましくは、精製ノルマルブタノール流の硫酸色(APHA)は、20以下である。好ましくは、精製ノルマルブタノール流の比重20℃/20℃は、0.809~0.812の範囲である。好ましくは、精製ノルマルブタノール流の蒸留範囲(97%体積)は、117~119℃である。好ましくは、精製ノルマルブタノール流は、0.3重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下のイソ-ブタノールを含有する。このような特性を有する精製ノルマルブタノール流は、特に商業的に有利であり得る。ノルマルブタノール含有量及びイソ-ブタノール含有量は、商業的に有利な精製ノルマルブタノール流を生成するのに特に重要であり得る。硫酸色(APHA)はまた、重要なパラメータである場合がある。好ましくは、精製ノルマルブタノール流におけるノルマルブタノールの収率は、粗生成物流と比較して少なくとも95%、より好ましくは少なくとも99%である。
【0020】
サイドドローより上の混合ブタノール分離カラムの上部セクションにおいて、イソ-ブタノールは、好ましくは、未反応のイソ-ブチルアルデヒド、未反応のノルマルブチルアルデヒド、及び水から分離される。したがって、工程(c)における混合ブタノール流を分離する工程は、好ましくは、混合ブタノール流よりも高濃度の未反応のイソ-ブチルアルデヒド及び未反応のノルマルブチルアルデヒドを有するブチルアルデヒド流を生成する工程を更に含む。ブチルアルデヒド流は、好ましくは、混合ブタノール流よりも高濃度の水を有する。ブチルアルデヒド流は、混合ブタノール分離カラムの上部で、又は上部付近から回収することが好ましい。ブチルアルデヒド流中の未反応のイソ-ブチルアルデヒド及び未反応のノルマルブチルアルデヒドは、典型的には、プロピレンをヒドロホルミル化する上流オキソセクションで生成されるものと同様のノルマル対イソ(n/i)比を有する。一般に(オキソ反応で使用される条件に応じて)、n/i比は、1~30の間で変化する。精製イソ-ブタノール流は、ノルマルブタノールをごくわずかな画分だけ(例えば、0.5重量%未満のノルマルブタノール)含有することが望ましく、したがって、未反応のノルマルブチルアルデヒドは、粗イソ-ブタノールから大部分が分離されることが好ましい。このように、未反応のノルマルブチルアルデヒドは、第1の洗練水素化反応器内で水素化されず、最終的に精製イソ-ブタノール流の汚染を引き起こす。ブチルアルデヒド流は、好ましくは、水に富んだ相を除去するためにデカントされ、続いて工程(a)における水素化に再循環されるか、又は方法から除去される。混合ブタノール流中の任意のバレルアルデヒドは、例えば、生成される2-アルキルアルカノールが2-プロピルヘプタノールである場合、イソ-ブタノールと非常に近い沸点で沸騰し、粗イソ-ブタノール流中に蓄積する可能性が高い。十分な水が存在する場合、水は粗イソ-ブタノール流からデカントされ得る。混合ブタノール分離カラムは、例えば、垂直分割型カラム又は従来のカラムとして設計することができる。垂直分割型カラムは、サイドドローが供給トレイに近い場合に有益であり得る。
【0021】
多くの他の不飽和成分のようなバレルアルデヒド及びブチルアルデヒドなどのアルデヒドは、イソ-ブタノール生成物の色又は硫酸色の規格に寄与し得る。低着色/硫酸色/アルデヒド含有量は、イソ-ブタノール生成物の一般的な規格であり、したがって、精製イソ-ブタノール流中の不飽和成分の濃度を最小化することが好ましい。この達成を手助けするために、粗イソ-ブタノール流は、第1の洗練水素化反応器に送られ、そこで、不飽和成分は水素で飽和される。例えば、前述の工程で分離されていない任意のブチルアルデヒドがあれば、ブタノールに変換される。任意のバレルアルデヒドは、例えば、ペンタノールに変換される。この工程を実施することが特に望ましい場合があり得るが、これは、例えば、イソ-ブタノールから、バレルアルデヒドなどのアルデヒドを分離することが、それらの沸点が近いので困難であり得るためである。典型的には、精製イソ-ブタノール流に非常に低濃度のアルデヒドが規定される。しかしながら、精製イソ-ブタノール流に規定される不純物の合計濃度は、より大きくなる可能性があり、したがって、バレルアルデヒドよりも多量のペンタノール、又はノルマルブチルアルデヒドよりも多量のノルマルブタノールが、精製イソ-ブタノール流中に許容され得る。したがって、第1の洗練水素化反応器において、アルデヒドをアルカノールに変換すること、例えば、バレルアルデヒドをペンタノールに、又はノルマルブチルアルデヒドをノルマルブタノールに変換することは、精製イソ-ブタノール流の所望の規格を達成する上で有利となり得る。一例として、バレルアルデヒドが粗生成物流中に存在する場合、例えば、生成される2-アルキルアルカノールが2-プロピルヘプタノールである場合、洗練されたイソ-ブタノール流中の主成分は、好ましくはイソ-ブタノール、ペンタノール、及びごくわずかな画分の水である。
【0022】
第1の洗練水素化反応器で使用される反応器、条件及び/又は触媒は、工程(a)における水素化で使用されるものと同じであっても異なっていてもよい。しかしながら、一般に、第1の洗練水素化反応器内での水素化は、液相中で実施される。これは充填された触媒床上で実施されてもよい。触媒床上のフローは、逆流又は順流であってもよい。任意の好適な触媒を使用してもよい。1つの配置では、触媒の活性成分はニッケルであってもよい。パラジウム又はルテニウムをまた、活性成分として使用してもよい。触媒は担持されてもよい。任意の好適な担体が使用されてもよい。好適な担体としては、アルミナ、シリカ、又は珪藻土が挙げられる。助触媒を使用してもよい。一般に、反応の熱を除去するために、冷却された生成物を再循環させて供給物と混合する必要はない。水素化は任意の好適な条件で実施されてもよい。1つの配置では、第2の水素化は、約80℃~約150℃の温度及び約10~約35baraの圧力で実施されてもよい。
【0023】
工程(c)における分離の上流に第1の洗練水素化反応器を用いる機能工程図が作製されるが、本発明におけるように、第1の洗練水素化反応器が工程(c)における分離の下流であることが有利である。第1の洗練水素化反応器が工程(c)の上流にある場合、第1の洗練水素化反応器中のバレルアルデヒドの水素化から生じるペンタノールが、精製ノルマルブタノール流中に含まれる。これにより、精製ノルマルブタノール流が規格外になる場合がある。したがって、本発明におけるように、第1の洗練水素化反応器を配置することが有利であり、これにより、精製ノルマルブタノール流中にペンタノールが含まれるリスクが軽減される。更に、本発明のように、工程(c)分離の下流に第1の洗練水素化反応器を配置することにより、第1の洗練水素化反応器は、混合ブタノール流中の組み合わされたノルマル及びイソ-ブタノールのフローを処理するような大きさである必要はない。その代わりに、粗イソ-ブタノール流のみが第1の洗練水素化反応器に供給され、これにより、混合ブタノール流を供給した場合よりも低い供給速度を処理するため、より小さくかつより安価であり得る。混合ブタノール流がノルマルブタノールの存在により希釈され、これにより、工程(c)後に配置されたときに、反応速度が第1の洗練水素化反応器においてより大きくなるため、粗イソブタノール流中のアルデヒド濃度もまた混合ブタノール流中よりも高くなる。したがって、第1の洗練水素化反応器において、より少ない触媒及び潜在的により低い温度を使用することができ、その動作をより経済的にすることができる。
【0024】
洗練されたイソ-ブタノール流は、イソ-ブタノールを含む。未反応のノルマルブチルアルデヒドの少なくともいくらかは、第1の洗練水素化反応器内でノルマルブタノールに水素化されてもよい。したがって、洗練されたイソ-ブタノール流は、ノルマルブタノールを含んでもよい。
【0025】
洗練されたイソ-ブタノール流を分離する工程は、好ましくは、底部流としての精製イソ-ブタノール流中に規格どおりのイソ-ブタノールと、上部に軽質廃棄物流と、を生成するように操作された、洗練されたイソ-ブタノール分離カラムに、洗練されたイソ-ブタノール流を供給する工程を含む。軽質廃棄物流は、好ましくは、水に富んだ流れである。軽質廃棄物流は、好ましくは、例えば、水及びエーテルを含む。精製イソ-ブタノール流は、洗練されたノルマルブタノール流よりも高濃度のノルマルブタノールを有してもよい。精製イソ-ブタノール流は、好ましくは、少なくとも99.5重量%のイソ-ブタノールを含有する。精製イソ-ブタノール流は、好ましくは0.5重量%以下のノルマルブタノールを含有する。精製イソ-ブタノール流の硫酸色(APHA)は、好ましくは20以下、より好ましくは10以下である。精製イソ-ブタノール流は、好ましくは0.05重量%以下の水を含有する。精製イソ-ブタノール流の酸性度は、好ましくは0.03mg KOH/g以下である。精製イソ-ブタノール流の比重20℃/20℃は、好ましくは0.801~0.804の範囲である。このような特性を有する精製イソ-ブタノール流は、特に商業的に有利であり得る。イソ-ブタノール含有量は、商業的に有利な精製イソ-ブタノール流を生成するのに特に重要であり得る。硫酸色(APHA)はまた、重要なパラメータである場合がある。好ましくは、精製イソ-ブタノール流におけるイソ-ブタノールの収率は、粗生成物流と比較して少なくとも95%、より好ましくは少なくとも99%である。
【0026】
粗生成物流は、バレルアルデヒドを含むことがあり、このバレルアルデヒドは、第1の洗練水素化反応器内でペンタノールに変換され得る。これは、特に、生成される2-アルキルアルカノールが2-プロピルヘプタノールである場合であり得る。好ましくは、粗生成物流中のバレルアルデヒドの質量流量は、粗生成物流中のイソブタノールの質量流量の0.5%以下である。その場合、精製イソ-ブタノール流中のペンタノールの濃度は、精製イソ-ブタノール流が規格どおりのままであるように十分に低くてもよい。ペンタノールは、一般に、軽質廃棄物流とは対照的に、イソ-ブタノール及びペンタノールの相対沸点に起因して、精製イソ-ブタノール流中に生成されることが理解されるであろう。
【0027】
しかしながら、バレルアルデヒドの濃度は、精製イソ-ブタノール流中のペンタノールの濃度が許容できないほど高くなるか、又はペンタノールを他の方法で回収することが望まれているようなものであり得る。したがって、工程(e)は、好ましくは、洗練されたイソ-ブタノール流を分離して、洗練されたイソ-ブタノール流よりも高濃度のイソ-ブタノール及びノルマルブタノールを有する精製イソ-ブタノール流と、洗練されたイソ-ブタノール流よりも高濃度のペンタノールを有する粗ペンタノール流と、軽質廃棄物流と、を生成する工程を含む。洗練されたイソ-ブタノール流を分離する工程は、好ましくは、サイドドローとしての精製イソ-ブタノール流中に規格どおりのイソ-ブタノールと、底部の粗ペンタノール流と、上部の軽質廃棄物流と、を生成するように操作された、洗練されたイソ-ブタノール分離カラムに、洗練されたイソ-ブタノール流を供給する工程を含む。軽質廃棄物流は、好ましくは、水に富んだ流れである。軽質廃棄物流は、好ましくは、例えば、水及びエーテルを含む。水及びペンタノールの濃度に応じて、サイドドローの最適な位置は、上部から底部まで変化し得る。洗練されたイソ-ブタノール分離カラムは、垂直分割型カラム又は従来のカラムとして設計することができる。垂直分割型カラムは、サイドドローが供給トレイに近い場合に有益であり得る。一実施形態では、洗練されたイソ-ブタノール分離カラムは、2つのカラムに分割されてもよく、粗ペンタノール流が第1の洗練されたイソ-ブタノール分離カラムの底部に生成され、第1の洗練されたイソ-ブタノール分離カラムからのオーバーヘッド流が、第2の洗練されたイソ-ブタノール分離カラムに通され、そこで、軽質廃棄物流が上部に生成され、精製イソ-ブタノール流が底部に生成される。別の実施形態では、洗練されたイソ-ブタノール分離カラムは、2つのカラムに分割されてもよく、軽質廃棄物流が第1の洗練されたイソ-ブタノール分離カラムの上部に生成され、第1の洗練されたイソ-ブタノール分離カラムからの底部流が、第2の洗練されたイソ-ブタノール分離カラムに通され、そこで、精製イソ-ブタノール流が上部に生成され、粗ペンタノール流が底部に生成される。
【0028】
あるいは、又はそれに加えて、精製イソ-ブタノール流が許容できないほど高濃度のペンタノールを含有する場合、精製イソ-ブタノール流は、工程(b)における粗生成物流の分離に完全に又は部分的に再循環させることができる。工程(b)における分離は、好ましくはペンタノールとノルマルブタノールとの間で分かれるので、過剰なペンタノールを除去することができる。イソ-ブタノールのパージ流は、好ましくは再循環から除去されて、方法中に許容できないほど高レベルのイソ-ブタノールの堆積を防止する。
【0029】
粗2-アルキルアルカノール流を分離して、粗2-アルキルアルカノール流よりも高濃度の2-アルキルアルカノール、及び未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上を有する中間2-アルキルアルカノール流と、重質廃棄物流と、を生成する工程は、重質廃棄物流の除去を可能にすることを条件とする任意の好適な手段を含んでもよい。例えば、分離は第1の蒸留ゾーン内で蒸留によって実施されてもよい。第1の蒸留ゾーン内での蒸留は、任意の好適な手段によって実施されてもよい。1つの配置では、粗2-アルキルアルカノール分離カラムを使用して実施することができ、このカラムは、例えば、約20~約50の理論的段階を有する還流蒸留カラムであってもよい。1つの配置では、粗2-アルキルアルカノール分離カラムは、ふるい又はバルブトレイを含んでもよい。1つの別の配置では、構造化パッキングが使用されてもよい。蒸留は任意の好適な条件で実施されてもよい。1つの配置では、粗2-アルキルアルカノール分離カラムの最高圧力は、約0.05bara~約0.5baraの領域にある。塔底温度は一般に約175℃未満に維持される。重質廃棄物流は、2-アルキルアルカノールがCの2-アルキルアルカノールである場合、C12、C16、及びC20化合物、並びに2-アルキルアルカノールがC10の2-アルキルアルカノールである場合、C15、C20、及びC25化合物を含んでもよい。
【0030】
中間2-アルキルアルカノール流を第2の洗練水素化反応器に通し、そこで、未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上の少なくともいくらかを2-アルキルアルカノールに変換して、中間2-アルキルアルカノール流よりも高濃度の2-アルキルアルカノールを有する2-アルキルアルカノールを含む洗練された2-アルキルアルカノール流を生成する。不飽和アルデヒドの大部分は、好ましくは、工程(a)における水素化にて水素化されているため、この第2の水素化は、好ましくは、一般に、任意の部分水素化を完了することを目的とする。当然のことながら、供給物中に残存する任意の水素化されていない不飽和アルデヒドが第2の洗練水素化反応器に存在する場合、これは水素化に供される。第2の洗練水素化反応器で使用される反応器、条件及び/又は触媒は、工程(a)の水素化で使用されるものと同じであっても異なっていてもよい。しかしながら、好ましくは、第2の洗練水素化反応器内での水素化は、液相中で実施される。これは充填された触媒床上で実施されてもよい。触媒床上のフローは、逆流又は順流であってもよい。任意の好適な触媒を使用してもよい。1つの配置では、触媒の活性成分はニッケルであってもよい。パラジウム又はルテニウムはまた、活性成分として使用されてもよい。触媒は担持されてもよい。任意の好適な担体が使用されてもよい。好適な担体としては、アルミナ、シリカ、又は珪藻土が挙げられる。助触媒を使用してもよい。一般に、反応の熱を除去するために、冷却された生成物を再循環させて供給物と混合する必要はない。水素化は任意の好適な条件で実施されてもよい。1つの配置では、第2の洗練水素化反応器内での水素化は、約80℃~約150℃の温度及び約10~約35baraの圧力で実施されてもよい。
【0031】
洗練された2-アルキルアルカノール流を分離して、洗練された2-アルキルアルカノール流よりも高濃度の2-アルキルアルカノールを有する精製2-アルキルアルカノール流と、中間廃棄物流と、を生成する工程は、中間廃棄物流の除去を可能にする限り、任意の手段を含むことができる。例えば、分離は第2の蒸留ゾーン内で行われる蒸留によって実施されてもよい。第2の蒸留ゾーン内での蒸留は、任意の好適な手段によって実施されてもよい。この手段は、第1の蒸留ゾーンで使用されるものと同じであっても異なっていてもよい。1つの配置では、洗練された2-アルキルアルカノール分離カラムを使用して実施することができ、このカラムは、例えば、約20~約50の理論的段階を有する還流蒸留カラムであってもよい。1つの配置では、洗練された2-アルキルアルカノール分離カラムは、ふるい又はバルブトレイを含んでもよい。1つの別の配置では、構造化パッキングが使用されてもよい。蒸留は任意の好適な条件で実施されてもよい。1つの配置では、洗練された2-アルキルアルカノール分離カラムの最高圧力は、約0.05bara~約0.5baraの領域にある。塔底温度は一般に約175℃未満に維持される。中間廃棄物流は、例えば、ブチルブチレートを含んでもよい。2-アルキルアルカノールが2-プロピルヘプタノールである場合、中間廃棄物流は、好ましくは、例えば、ペンタノールを含んでもよい。
【0032】
精製2-アルキルアルカノール流は、好ましくは、第2の蒸留ゾーンの底部で、又は底部付近から回収される。1つの配置では、精製2-アルキルアルカノール流は、好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%、又は更により好ましくは少なくとも99.5%の2-アルキルアルカノールを有する。精製2-アルキルアルカノール流の色(APHA)は、好ましくは5以下である。精製2-アルキルアルカノール流は、好ましくは0.05重量%以下の水を含有する。精製2-アルキルアルカノール流は、好ましくは0.01重量%以下のアルデヒドを(典型的には、2-アルキルアルカナールとして)含有する。精製2-アルキルアルカノール流は、好ましくは、0.01重量%以下の酸性度を(例えば、精製2-エチルヘキサノール流中の、例えば、酢酸として)含有する。好ましくは、精製2-アルキルアルカノール流の硫酸色(APHA)は、10以下である。好ましくは、精製2-アルキルアルカノール流の比重20℃/20℃は、0.831~0.834の範囲である。好ましくは、精製2-アルキルアルカノール流の蒸留範囲(97%体積)は、183~186℃である。このような特性を有する精製2-アルキルアルカノール流は、特に商業的に有利であり得る。2-アルキルアルカノール含有量は、商業的に有利な精製2-アルキルアルカノール流を得るのに特に重要であり得る。好ましくは、精製2-アルキルアルカノール流における2-アルキルアルカノールの収率は、粗生成物流と比較して少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、及び更により好ましくは少なくとも99%である。
【0033】
本発明の第2の態様によれば、ノルマルブタノール、イソ-ブタノール、及び2-アルキルアルカノールの生成方法であって、
(a)ノルマルブチルアルデヒド、イソ-ブチルアルデヒド、及び2-アルキルアルケナールを含む供給物を水素化して、ノルマルブタノール、イソ-ブタノール、2-アルキルアルカノール、未反応のノルマルブチルアルデヒド、未反応のイソ-ブチルアルデヒド、及び未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上を含む粗生成物流を形成する工程と、
(b)粗生成物流中のノルマルブタノール、イソ-ブタノール、2-アルキルアルカノールを分離する工程であって、ノルマルブタノール、イソ-ブタノール、未反応のノルマルブチルアルデヒド、及び未反応のイソ-ブチルアルデヒドを、2-アルキルアルカノール、及び未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上から分離する第1の分離方法と、ノルマルブタノールをイソ-ブタノールから分離する第2の分離方法と、2-アルキルアルカノールを純化する第3の分離方法と、を含み、第2の分離方法及び第3の分離方法が同時進行であり、第2の分離方法が、未反応のノルマルブチルアルデヒド及び未反応のイソ-ブチルアルデヒドの少なくともいくらかをノルマルブタノール及びイソ-ブタノールに水素化する工程を含み、第3の分離方法が、未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上の少なくともいくらかを2-アルキルアルカノールに水素化する工程を含む、分離する工程と、を含む、方法が提供される。
【0034】
粗生成物流(steam)がペンタノールを含み、第1の分離が、好ましくは、ノルマルブタノールを第2の分離方法に、及びペンタノールを第3の分離方法に送る。
【0035】
分離は、分離を達成することを条件とする任意の好適な手段によって実施されてもよい。好ましくは、分離は蒸留によって実施される。好ましくは、分離はカラム中で実施される。蒸留は任意の好適な手段によって実施されてもよい。好ましくは、蒸留は蒸留カラム内で実施される。例えば、蒸留カラムは還流蒸留カラムであってもよい。蒸留カラムは、約20~約50の理論的段階を有し得る。
【0036】
方法が第1の成分を第2の成分から分離すると言われる場合、第1の成分の大部分が第1の流れになり、第2の成分の大部分が別個の第2の流れになることが理解されるであろう。例えば、第1の成分の少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、及びより好ましくは少なくとも99重量%は、第1の流れになり、第2の成分の少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、及びより好ましくは少なくとも99重量%は、別個の第2の流れになる。
【0037】
好ましくは、2-アルキルアルケナールが2-エチルヘキセナールであり、2-アルキルアルカノールが2-エチルヘキサノールであり、未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上が、未反応の2-エチルヘキセナール、2-エチルヘキサナール、又は2-エチルヘキセノールのうちの1つ以上である。好ましくは、2-アルキルアルケナールが2-プロピルヘプテナールであり、2-アルキルアルカノールが2-プロピルヘプタノールであり、未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上が、未反応の2-プロピルヘプテナール、2-プロピルヘプタナール、又は2-プロピルヘプテノールのうちの1つ以上である。本方法は、例えば、いずれかの方法を実行することができる単一の設備が構築され得るため、これらの分離に特に有利であり得る。したがって、市場条件に従って2つの方法の間を切り替えて、利益を最大化することができるプラントを構築することができる。設備を操作するための方法が提供されてもよく、ここで、設備は、第1の期間において、2-アルキルアルケナールが2-エチルヘキセナールであり、2-アルキルアルカノールが2-エチルヘキサノールであり、未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上が、未反応の2-エチルヘキセナール、2-エチルヘキサナール、又は2-エチルヘキセノールのうちの1つ以上である本発明の方法に従って操作され、プラントは、第2の期間において、2-アルキルアルケナールが2-プロピルヘプテナールであり、2-アルキルアルカノールが2-プロピルヘプタノールであり、未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上が、未反応の2-プロピルヘプテナール、2-プロピルヘプタナール、又は2-プロピルヘプテノールのうちの1つ以上である本発明の方法に従って操作される。第1の期間は、第2の期間の前又は後であり得る。
【0038】
好ましくは、未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上は、未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの2つ以上である。未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上は、未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、及び2-アルキルアルケノールであり得る。より好ましくは、未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上は、2-アルキルアルカナール又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上である。最も好ましくは、未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、又は2-アルキルアルケノールのうちの1つ以上は、2-アルキルアルカナール及び2-アルキルアルケノールである。工程(a)における水素化は、2-アルキルアルケナールを少なくとも部分的に水素化する可能性が高いため、部分水素化生成物である2-アルキルアルカナール及び2-アルキルアルケノールが、初期反応物質である2-アルキルアルケナールよりも粗生成物流中に存在する可能性が高いことが理解されるであろう。
【0039】
本発明の一態様は、本発明の別の態様に関連して説明される任意の特徴を含んでもよい。例えば、本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様に関連して説明される任意の特徴を含んでもよく、その逆もまた同様である。
【0040】
ノルマルブチルアルデヒド、イソ-ブチルアルデヒド、及び2-アルキルアルケナールを含む供給物は、単一の流れ又は複数の流れとして水素化に供給されてもよい。供給物はオキソユニットから生成されてもよく、オキソユニットからの生成物の少なくともいくらかが、アルドール化ユニットに送られて、2-アルキルアルケナールを生成する。したがって、本方法は、合成ガスを1つ以上のアルケンと反応させて、オキソユニット内でアルデヒドの混合物を生成する工程と、アルデヒドの少なくともいくらかを水素化に通過させる工程と、アルデヒドの少なくともいくらかをアルドール化に通過させて、2-アルキルアルケナールを生成してから、2-アルキルアルケナールを水素化に通過させる工程と、を含んでもよい。好ましくは、アルケンはプロペンを含み、アルデヒドはノルマル及びイソ-ブチルアルデヒドであり、2-アルキルアルケナールは2-エチルヘキセナールであるか、又はアルケンはプロペン及びブテンを含み、アルデヒドはノルマル及びイソブチルアルデヒド並びにバレルアルデヒドであり、2-アルキルアルケナールが2-プロピルヘプテナールである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
ここで、添付の図のみを参照して、実施例により本発明を説明する。
図1】ノルマルブタノール、イソ-ブタノール、及び2-プロピルヘプタノールの生成のための全体的な方法のブロックフロー図である。
図2】ノルマルブタノール、イソ-ブタノール、及び2-エチルヘキサノールの生成のための全体的な方法のブロックフロー図である。
図3】本発明による方法の概略図である。
図4】本発明による方法の概略図である。
図5】本発明による方法の概略図である。
図6】本発明による方法の概略図である。
【0042】
図面は図式的であり、また、商業用プラントにおいて、還流ドラム、ポンプ、真空ポンプ、温度センサ、圧力センサ、圧力逃がし弁、制御弁、フローコントローラ、レベルコントローラ、保持タンク、貯蔵タンクなどの装置の更なる品目が必要とされ得ることが、当業者には理解されるであろう。このような装置の付属品を提供することは、本発明の一部を形成せず、従来の化学工学的実施に従うものである。
【0043】
図1では、合成ガス1001、プロピレン1002、及びブテン1003は、オキソユニット1004に供給される。オキソユニット1004からの生成物は、セパレータ1014内で、ノルマル及びイソブチルアルデヒドを含む流れ1005並びにバレルアルデヒドを含む流れ1006に分離される。バレルアルデヒドを含む流れ1006は、アルドール化ユニット1007に供給される。アルドール化ユニット1007では、バレルアルデヒドをアルドール化して、2-プロピルヘプテナールを生成する。2-プロピルヘプテナールを含むアルドール化ユニット1007の生成物は、水素化反応器1008に供給される。ノルマル及びイソブチルアルデヒドを含む流れ1005は、水素化反応器1008に直接供給される。したがって、水素化反応器1008において、ノルマルブチルアルデヒド、イソ-ブチルアルデヒド、及び2-プロピルヘプテナールを含む供給物を水素化して、ノルマルブタノール、イソ-ブタノール、2-プロピルヘプタノール、未反応のノルマルブチルアルデヒド、未反応のイソ-ブチルアルデヒド、未反応の2-プロピルヘプテナール、2-プロピルヘプタナール、及び2-プロピルヘプテノールを含む粗生成物流1015を形成する。生成物流1015は、分離1009に供給され、精製イソ-ブタノール流1010、精製ノルマルブタノール流1011、及び精製2-プロピルヘプタノール流1012を生成する。分離1009は、例えば、図3図6に関連して以下に記載される分離スキームのいずれかであり得る。
【0044】
図2では、合成ガス1101及びプロピレン1102は、オキソユニット1104に供給される。オキソユニット1104からの生成物は、セパレータ1114内で、ノルマル及びイソブチルアルデヒドを含む流れ1105並びにノルマルブチルアルデヒドを含む流れ1106に分離される。ノルマルブチルアルデヒド1106を含む流れは、アルドール化ユニット1107に供給される。アルドール化ユニット1107では、ノルマルブチルアルデヒドをアルドール化して、2-エチルヘキセナールを生成する。2-エチルヘキセナールを含むアルドール化ユニット1107の生成物は、水素化反応器1108に供給される。ノルマル及びイソブチルアルデヒドを含む流れ1105は、水素化反応器1108に直接供給される。したがって、水素化反応器1108において、ノルマルブチルアルデヒド、イソ-ブチルアルデヒド、及び2-エチルヘキセナールを含む供給物を水素化して、ノルマルブタノール、イソ-ブタノール、2-エチルヘキサノール、未反応のノルマルブチルアルデヒド、未反応のイソ-ブチルアルデヒド、未反応の2-エチルヘキセナール、2-エチルヘキサナール、及び2-エチルヘキセノールを含む粗生成物流1115を形成する。生成物流1115は、分離1109に供給され、精製イソ-ブタノール流1110、精製ノルマルブタノール流1111、及び精製2-エチルヘキサノール1112を生成する。分離1109は、例えば、図3図6に関連して以下に記載される分離スキームのいずれかであり得る。
【0045】
図3では、例えば、上記の水素化反応器1008又は水素化1108内で実施された水素化からの粗生成物流1は、粗生成物分離カラム101に供給される。粗生成物分離カラム101は、塔頂留出物になるノルマルブタノールと、存在する場合、底部になるブチルブチレート又はペンタノールなどの重質成分との間で分かれるように操作される。したがって、粗生成物分離カラム101の上部から混合ブタノール流2が生成され、粗生成物分離カラム101の底部から粗2-アルキルアルカノール流3が生成される。
【0046】
混合ブタノール流2は、混合ブタノール分離カラム102に供給されて、混合ブタノール分離カラム102は、上部からブチルアルデヒド流4と、底部から精製ノルマルブタノール流6と、サイドドローとして粗イソ-ブタノール流5とを生成するように操作される。ブチルアルデヒド流中に除去されないブチルアルデヒド、及び存在する場合、バレルアルデヒドなどの、水素化からの未反応のアルデヒドは、粗イソ-ブタノール流5にある。粗イソ-ブタノール流5は、第1の洗練反応器103に供給され、第1の洗練反応器103で、未反応のアルデヒドが対応するアルカノールに水素化される。洗練されたイソ-ブタノール流7は、第1の洗練反応器103を出て、洗練されたイソ-ブタノール分離カラム104に供給される。軽質廃棄物流8は、洗練されたイソ-ブタノール分離カラム104の上部から生成され、精製イソ-ブタノール流9は、底部から生成される。
【0047】
粗2-アルキルアルカノール流3は、粗2-アルキルアルカノール分離カラム105の形態である第1の蒸留ゾーンに供給され、第1の蒸留ゾーンは、形成された可能性がある任意の重質成分を除去するように操作される。これらの重質成分は重質廃棄物流11内で除去され、一方、中間2-アルキルアルカノール流10は粗2-アルキルアルカノール分離カラムの上部から除去される。次いで、中間2-アルキルアルカノール流10を第2の洗練反応器106に通す。この第2の洗練反応器106では、中間2-アルキルアルカノール流10を水素と接触させる。一般に、この第2の洗練反応器106は、未反応の2-アルキルアルケナール、2-アルキルアルカナール、及び2-アルキルアルケノールを、所望の2-アルキルアルカノールに変換することができ、それによって生成物の純度が向上する。例えば、2-アルキルアルカノールが2-エチルヘキサノールである場合、第2の洗練反応器106は、2-エチルヘキセナール、2-エチルヘキセノール、及び2-エチルヘキサナールを、所望の2-エチルヘキサノールに変換することができ、それによって生成物の純度が向上する。第2の洗練反応器106を出た洗練された2-アルキルアルカノール流12は、洗練された2-アルキルアルカノール分離カラム107の形態である第2の蒸留ゾーンに供給され、第2の蒸留ゾーンで、ヘプタン又はペンタノールなどの軽質が中間廃棄物流13中で分離及び除去され、生成物2-アルキルアルカノールが精製2-アルキルアルカノール流14中で回収される。本実施形態では、精製2-アルキルアルカノール流14は、好ましくは、20未満のAPHA、より好ましくは10未満のAPHAの酸色を有する。
【0048】
図4では、図3の方法の変形が示されている。図4の同様の数字は、図3と同様の項目を指し、再び説明されない。図4では、洗練されたイソ-ブタノール分離カラム104を操作して、粗ペンタノール流90を生成し、洗練されたイソ-ブタノール分離カラム104の底部から粗ペンタノール流91を再循環させる。再循環粗ペンタノール流91は、粗生成物分離カラム101に戻される。本実施形態での粗生成物分離カラム101は、ノルマルブタノールとペンタノールとの間で分かれるように操作されるため、再循環粗ペンタノール流91中のペンタノールは、粗生成物分離カラム101によって粗2-アルキルアルカノール流3に分離される。高濃度のバレルアルデヒドが粗生成物流1中に存在することが有利であり得る。この流れ中のバレルアルデヒドは、混合ブタノール流2及び粗イソ-ブタノール流5中で、第1の洗練反応器103へと移動し、そこで反応してペンタノールを形成する。図3の方法では、ペンタノールは精製イソブタノール流9を汚染し、一方、図4の方法と同様に、ペンタノールは洗練されたイソ-ブタノールカラム104内で分離される。再循環粗ペンタノール流91を粗生成物分離カラム101に再循環することは、粗生成物分離カラム101内でのノルマルブタノールとペンタノールとの間の分断を利用して、ペンタノールを粗2-アルキルアルカノール流3に送り、そこから、洗練された2-アルキルアルカノールカラム107内で中間廃棄物流13に直接分離されるが、一方、再循環粗ペンタノール流91中の任意のイソ-ブタノールを混合ブタノール流2に送り、これにより、洗練されたイソ-ブタノール分離カラム104から精製イソ-ブタノール流9中の生成物として回収することができる。粗ペンタノール流90は、再循環ループ内で成分が開放されるのを防ぐためのパージとして作用する。
【0049】
図5では、図4の方法の変形が示されている。図5の同様の数字は、図3及び図4と同様の項目を指し、再び説明されない。図5では、洗練されたイソ-ブタノール分離カラム104を2つのカラムに分割する。第1の洗練されたイソ-ブタノール分離カラム104a内で、粗ペンタノール流90及び再循環粗ペンタノール流91を底部で生成し、上部流80を第2の洗練されたイソ-ブタノール分離カラム104bに通し、そこから、精製イソ-ブタノール流9が底部で生成され、軽質廃棄物流8が上部で生成される。
【0050】
図6では、図4の方法の変形が示されている。図6の同様の数字は、図3及び図4と同様の項目を指し、再び説明されない。図6では、洗練されたイソ-ブタノール分離カラム104を2つのカラムに分割する。第1の洗練されたイソ-ブタノール分離カラム104c内で、軽質廃棄物流8を上部から生成し、底部流81を第2の洗練されたイソ-ブタノール分離カラム104dに通し、そこから、精製イソ-ブタノール流9が上部で生成され、粗ペンタノール流90及び再循環粗ペンタノール流91が底部で生成される。
【0051】
ここで、添付の非限定的な実施例を参照して、本発明を説明する。
【0052】
実施例1
2-アルキルアルケナールが2-エチルヘキセナールであり、2-アルキルアルカノールが2-エチルヘキサノールである、図3の方法のシミュレーションを、提案された精製スキームが依然として困難な条件下でさえ、規格どおりの生成物を生成することが可能であることを示すために、予想されるものよりもかなり多い副生成物を含有する粗生成物流1を使用して実施する。0.64重量%の水、371ppmwのイソ-ブチルアルデヒド、749ppmwのノルマルブチルアルデヒド、14.4重量%のイソブタノール、23.0重量%のノルマルブタノール、96ppmwのジブチルエーテル、136ppmwのIN-ブチルブチレート、856ppmwtのNN-ブチルブチレート、0.28重量%の2-エチルヘキサナール、59重量%の2-エチルヘキサノール、1.25重量%のC12重質、及び1.16重量%のC16重質の粗生成物流1を、粗生成物分離カラム101に送る。粗生成物分離カラム101を操作して、n-ブタノールとIN-ブチルブチレートとの間で分ける。
【0053】
得られた混合ブタノール流2を混合ブタノール分離カラム102に送る。混合ブタノール分離カラム102を操作して、底部において、0.1重量%のイソ-ブタノール及び385ppmwのジブチルエーテルを有する精製ノルマルブタノール流6、並びにサイドドローとして、695ppmwのノルマルブタノールを含有する粗イソブタノール流5を生成する。混合ブタノール分離カラム102のオーバーヘッド生成物として生成されたブチルアルデヒド流4を凝縮し、40℃に冷却し、液体を水に富んだ相及び有機相にデカントする。有機相は、還流に使用され、約57.4重量%のアルデヒド及び33.4重量%のイソ-ブタノールを含有し、水で飽和している。粗イソブタノール流5は、全てのアルデヒドの99%が対応するアルカノールに変換される第1の洗練反応器103に供給される。次いで、洗練されたイソブタノール流7は、洗練されたイソブタノール分離カラム104に送られる。洗練されたイソブタノール分離カラム104を操作して、上部で生成された軽質廃棄物流8に6.5重量%の水を付与する。精製イソブタノール流9は、<0.1重量%のノルマルブタノール、約20ppmのジブチルエーテル、及び別の20ppmの水を含有する。
【0054】
粗生成物分離カラム101の底部で生成された粗2-エチルヘキサノール流3を、粗2-エチルヘキサノール分離カラム105に供給する。粗2-エチルヘキサノール分離カラム105を操作して、底部の温度を160℃、圧力を0.2baraにし、粗2-エチルヘキサノール分離カラム105の底部に生成された重質廃棄物流11を得、この重質廃棄物流11は、粗2-エチルヘキサノール分離カラム105に供給されたC12及びC16成分の全てを含有する。したがって、重質廃棄物流11は、77重量%のC12及びC16成分を含有し、残部は2-エチル-ヘキサノールである。オーバーヘッドを生成した中間体2-エチルヘキサノール流10を濃縮し、第2の洗練反応器106に送り、そこで、全ての残りの不飽和成分の99%を飽和させる。洗練された2-エチルヘキサノール流を、洗練された2-エチルヘキサノール分離カラム107に送る。洗練された2-エチルヘキサノール分離カラム113を操作して、中間廃棄物流13中に約50重量%の2-エチルヘキサノール(洗練された2-エチルヘキサノール分離カラム107からの上部生成物として生成)、及び精製2-エチルヘキサノール流14中に100ppmwのNN-ブチルブチレート(洗練された2-エチルヘキサノール分離カラム107からの底部生成物として生成)を得る。イソブタノール、ノルマルブタノール、及び2-エチルヘキサノールのそれぞれの収率は、粗生成物分離カラム101に供給される粗生成物流に対して97.5%、99.7%、及び99.0%である。
【0055】
実施例2
2-アルキルアルケナールが2-プロピルヘプテナールであり、2-アルキルアルカノールが2-プロピルヘプタノールである、図6の方法のシミュレーションを、提案された精製スキームが依然として困難な条件下でさえ、規格どおりの生成物を生成することが可能であることを示すために、予想されるものよりもかなり多い副生成物を含有する粗生成物流1を使用して実施する。0.33重量%の水、330ppmwのイソ-ブチルアルデヒド、667ppmwのノルマルブチルアルデヒド、425ppmwのノルマルバレルアルデヒド、12.8重量%のイソ-ブタノール、20.0重量%のノルマルブタノール、0.86重量%の2-メチルブタノール、1.45重量%のノルマルペンタノール、762ppmwのNN-ブチルブチレート、389ppmwの2-エチルヘキサノール、60.7重量%の2-プロピルヘプタノール、2.86重量%の2-プロピルヘプテノール、796ppmwのC12重質、及び0.216重量%のC20重質の粗生成物流1を、粗生成物分離カラム101に送る。粗生成物分離カラム101を操作して、n-ブタノールと2-メチルブタノールとの間で分ける。
【0056】
得られた混合ブタノール流2を混合ブタノール分離カラム102に送る。混合ブタノール分離カラム102を操作して、底部において、100ppmwのイソ-ブタノール、13ppmwのバレルアルデヒド、及び17ppmwの2-メチルブタノールを有する精製ノルマルブタノール流6、並びにサイドドローとして、382ppmwのノルマルブタノールを含有する粗イソブタノール流5を生成する。混合ブタノール分離カラム102のオーバーヘッド生成物として生成されたブチルアルデヒド流4を凝縮し、40℃に冷却し、液体を水に富んだ相及び有機相にデカントする。有機相は、還流に使用され、約59重量%のCアルデヒド、2.1重量%のCアルデヒド、18.7重量%の水、及び30.6重量%のイソ-ブタノールを含有する。粗イソ-ブタノール流5は、全てのアルデヒドの99.9%が対応するアルカノールに変換される第1の洗練反応器103に供給される。次いで、洗練されたイソ-ブタノール流7は、第1の洗練されたイソ-ブタノール分離カラム104cに送られる。第1の洗練されたイソ-ブタノール分離カラム104cを操作して、軽質廃棄物流8に19重量%の水を付与する。ペンタノールを更に含有する底部流81は、第2の洗練されたイソ-ブタノール分離カラム104dに送られる。第2の洗練されたイソブタノール分離カラム104dを操作して、50重量%のペンタノールを含有する粗ペンタノール流90を底部に付与する。この実施例では、ペンタノールは再循環されない。第2の洗練されたイソブタノール分離カラム104dの上部から得られた精製イソ-ブタノール流は、33ppmwのバレルアルデヒド、5ppmwの水、及び415ppmwのノルマルブタノールを含有する。
【0057】
粗生成物分離カラム101の底部で生成された粗2-プロピルヘプタノール流3を、粗2-プロピルヘプタノール分離カラム105に供給する。粗2-プロピルヘプタノール分離カラム105を操作して、底部の温度を160℃、圧力を85mbaraにし、粗2-プロピルヘプタノール分離カラム105の底部に生成された重質廃棄物流11を得、この重質廃棄物流11は、粗2-プロピルヘプタノール分離カラム105に供給されたC12及びC20成分の全てを含有する。したがって、重質廃棄物流11は、66重量%のC12及びC20成分を含有し、残部は2-プロピルヘプタノールである。オーバーヘッドを生成した中間体2-プロピルヘプタノール流10を濃縮し、第2の洗練反応器106に送り、そこで、全ての残りの不飽和成分の99%を飽和させる。洗練された2-プロピルヘプタノール流12を、洗練された2-プロピルヘプタノール分離カラム107に送る。洗練された2-プロピルヘプタノール分離カラム107を操作して、中間廃棄物流13中に約55重量%の2-プロピルヘプタノール(洗練された2-プロピルヘプタノール分離カラム107からの上部生成物として生成)、及び精製2-プロピルヘプタノール流14中に0.1重量%未満の2-プロピルヘプテノール(洗練された2-プロピルヘプタノール分離カラム107からの底部生成物として生成)を得る。イソ-ブタノール、ノルマルブタノール、及び2-プロピルヘプタノールのそれぞれの収率は、粗生成物分離カラム101に供給される粗生成物流1に対して95.4%、99.3%、及び95.0%である。
【0058】
上記の実施形態は、あくまで一例として記載されており、任意の限定的な意味ではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正が可能であることが、当業者には理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6