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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】滅菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/04 20060101AFI20230324BHJP
   A23L 2/42 20060101ALI20230324BHJP
   A23L 3/18 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
A61L2/04
A23L2/00 N
A23L3/18
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021143794
(22)【出願日】2021-09-03
(65)【公開番号】P2023037193
(43)【公開日】2023-03-15
【審査請求日】2021-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000157946
【氏名又は名称】岩井機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089026
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高明
(72)【発明者】
【氏名】松本 充博
(72)【発明者】
【氏名】正 健次
(72)【発明者】
【氏名】粟田 亮一
【審査官】中田 光祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-110527(JP,A)
【文献】特開2011-211961(JP,A)
【文献】特開2009-268431(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0063885(US,A1)
【文献】特開2001-346515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00- 2/28;
11/00- 12/14
A23L 2/00- 2/84;
3/00- 3/3598
B67C 3/00- 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体製品の製造に使用され、液体製品が内部を圧送される管路を有し、
前記管路の上流側端部に設けられた第1ポンプと、
前記第1ポンプの下流側に設けられた第2ポンプと、
前記管路内の前記液体製品の流量を検知する流量センサと、前記管路内の前記液体製品の圧力を検知する圧力センサとを備えた滅菌装置において、
前記圧力センサによる圧力検出値に基づいて、前記液体製品の圧力が設定圧力値になるように前記第1ポンプを駆動制御する圧力制御器と、前記流量センサによる流量検出値に基づいて、前記液体製品の流量が設定流量値になるように前記第2ポンプを駆動制御する流量制御器とを備え
前記流量センサは、前記第1ポンプと前記第2ポンプとの間において、前記第1ポンプの出口側に配置され、前記圧力センサは、前記第1ポンプと前記第2ポンプとの間において、前記第2ポンプの入り口側に配置され、
前記流量センサと前記圧力センサとの間には第1加熱器が設けられたことを特徴とする滅菌装置。
【請求項2】
前記管路の下流側端部には第3ポンプが設けられ、前記第2ポンプと前記第3ポンプとの間には、前記管路内の前記液体製品の圧力を検知する第2圧力センサが配置され、
前記第2圧力センサによる圧力検出値に基づいて、前記液体製品の圧力が設定圧力値になるように前記第3ポンプを駆動制御する第2圧力制御器を有することを特徴とする請求項1記載の滅菌装置。
【請求項3】
前記第2ポンプと前記第2圧力センサとの間には、第2加熱器、ホールディングチューブ及び冷却器が設けられていることを特徴とする請求項2記載の滅菌装置。
【請求項4】
前記管路の上流端は、滅菌処理前の液体製品を貯留するバランスタンクに接続されていると共に、前記管路の下流端は、滅菌処理後の液体製品を貯留するアセプティックサージタンクに接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載の滅菌装置。
【請求項5】
前記第1ポンプ、前記第2ポンプ及び前記第3ポンプはロータリーポンプであることを特徴とする請求項2記載の滅菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は滅菌装置に係り、特に、液体製品の製造に際し、液体製品が製品液管路内部を圧送されて滅菌される滅菌装置の改良に関する。
【0002】
ジュース、乳製品等の液体製品の製造プラントの製造ラインには、液体製品を滅菌処理を行った後に容器に充填するために滅菌装置が設けられている。
【0003】
図2に示すように、従来の滅菌装置30は、製品液管路11の上流側端部に設けられた第1ポンプ12と、第1ポンプ12の下流側に設けられた第2ポンプ13と、製品液管路11の下流側端部に設けられた第3ポンプ14と、第1ポンプ12と第2ポンプ13との間であって、第1ポンプ12の出口側の製品液管路11内を流れる液体製品の流量を検知する流量センサ15と、流量センサ15と第2ポンプ13との間であって、第2ポンプ13の入り口側の製品液管路11内の液体製品の圧力を検知する第1圧力センサ16と、第2ポンプ13と第3ポンプ14との間であって、第3ポンプ14の入り口側の製品液管路11内の液体製品の圧力を検知する第2圧力センサ17と、流量センサ15による流量検出値に基づいて、液体製品の流量が設定流量になるように第1ポンプ12を駆動制御する流量制御器25と、第1圧力センサ16による圧力検出値に基づいて、液体製品の圧力が設定圧力値になるように第2ポンプ13を駆動制御する第1圧力制御器26と、第2圧力センサ17による圧力検出値に基づいて、液体製品の圧力が設定圧力になるように第3ポンプ14を駆動制御する第2圧力制御器20とを有する。
【0004】
製品液管路11の上流端はバランスタンク(以下、「BT」と記す)に接合されている。製品液管路11の下流端はアセプティックサージタンク(以下、「ACT」と記す)に接合されている。流量センサ15と第1圧力センサ16との間には第1加熱器21が配置され、第2ポンプ13と第2圧力センサ17との間には、第2加熱器22、ホールディングチューブ(以下、「HTU」と記す)23及び冷却部24が設けられている。第1~第3ポンプ12、13、14はロータリーポンプである。冷却部24は第1~第3冷却器24A、24B、24Cにより構成される。
【0005】
バランスタンクBTから滅菌装置30に供給された液体製品は、第1加熱器21及び第2加熱器22において加熱処理された後、HTU23内を所定流量で所定時間に亘って流通することにより滅菌処理が施される。従って、液体製品を確実に滅菌処理するためには、製品液管路11内を流通する液体製品の流量制御が重要である。
【0006】
また、同様に、製品液管路11における液圧の制御も以下の観点から重要である。
第1に、「安全背圧」の観点がある。即ち、第1加熱器21及び第2加熱器は、液体製品が流れる内管と、その内管を収納する外管とを有し、外管内に熱媒液を流し、内管を介して液体製品と熱媒液との間で熱交換させるように構成されている。このため、万が一、内管にピンホールが発生しているような場合には、熱媒液が液体製品に混入することとなり、液体製品は異液が混入することにより品質基準を逸脱し、商品価値がなくなる。そこで、液体製品への熱媒液の万が一の混入を防止するために液体製品管路内の圧力を熱媒液の圧力よりも高く設定することにより液体製品の安全性を確保している。
【0007】
第2に沸騰抑制圧の観点がある。即ち、液体製品により滅菌温度は異なるが、HTU23においては、沸点以上の高温で加熱する場合もあり、このような場合に沸騰しないように加圧しておく必要がある。この加圧が適切でないと、製品液管路内において製品液が沸騰して製品液を適切に搬送できない事態となる。このような事態を回避する観点から沸騰抑制圧が設定されている。従って、上記事情より製品液管路11における液圧管理も非常に重要である。
【0008】
そして、従来においては、滅菌装置30内における製品液の流量制御は、流量センサ15の流量検出値に基づく流量制御器25による第1ポンプ12の駆動制御により行われると共に、第1加熱器21の出口側の製品液の圧力制御は、第1圧力センサ16の圧力検出値に基づく第1圧力制御器26による第2ポンプの駆動制御により行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第6744176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、製造運転の前には「機器滅菌」が行なわれる。「機器滅菌」は、製品液管路11に温水を注入して循環させて行い、機器滅菌終了後、製造運転状態の温度、圧力に連続的に切り替わるように構成されている。これを「水運転」と称する。その後、液体製品を製造する場合には製造運転開始時に「液置換」を行う。「液置換」は、滅菌装置30内の水を液体製品(例えば、固形物を含むジュースや、乳製品等の高粘度液)により押し出すことにより行う。
この場合、従来の滅菌装置30においては、以下のような不具合があった。
【0011】
製造運転開始時の液置換の場合に、水から液体製品への切り替わりの時期に、製品液管路11内の液体製品が第1ポンプ12に到達した際に、液体製品の流量が設定値をオーバーしてしまう事態が発生する。
【0012】
即ち、BTからの液体製品が第1ポンプ12に到達した際に、液体製品は粘性が水よりも高いことから第1ポンプ12のリーク量は少なくなり、搬送効率が良好となるため、第1ポンプ12による搬送流量が増大する。その結果、第1加熱器21の出口側の圧力が増大し、第1加熱器21の出口側に設置された第1圧力センサ16の圧力検出値が上昇する。
【0013】
この場合、第1圧力センサ16の圧力検出値に基づいて、第1圧力制御器26が第2ポンプを駆動制御することから、第1圧力センサ16における圧力検出値の増大に伴い、第2ポンプ13は、第1圧力センサ16の数値を設定値に戻すべく、出力が上昇するように駆動制御される。
この第2ポンプ13の出力上昇に伴い、製品液管路11内における液体製品の流量が増大することから、第3冷却器24Cの下流に配置された第2圧力センサ17の圧力検出値も上昇する。その結果、第2圧力センサ17による圧力検出値を本来の設定値に戻すべく、第2圧力制御器20が第3ポンプ14の出力を上昇させることとなる。
【0014】
その結果、第2ポンプ13及び第3ポンプ14の出力が上昇することにより製品液管路11内を流通する液体製品の流量が設定値をオーバーする事態に至る。このような事態は、上記のようにHTU23における液体製品の滅菌不良の可能性を生起させることとなる。
【0015】
一方、圧力管理の観点からも不具合がある。即ち、製造運転開始時の液置換において水から液体製品への切り替わりの時期に、製品液管路11内の液体製品が第2ポンプ13に到達した際に、第1圧力センサ16における圧力検出値が設計値を下回る事態が発生する。
即ち、BTからの液体製品が第2ポンプ13に到達した際に、液体製品は粘性が水よりも高いことから第2ポンプ13のリーク量は少なくなり、搬送効率が良好となるため、第2ポンプ13による搬送流量が増大する。
【0016】
その結果、流量センサ15による流量検出値は上昇し、一方、第1圧力センサ16による圧力検出値は低下すると共に第2圧力センサ17による圧力検出値は上昇する。
この場合、第1圧力制御器26により駆動制御されている第2ポンプ13は、第1圧力センサ16による圧力検出値を上昇させるべく出力を低下させるが、流量制御器25により駆動制御される第1ポンプ12は流量を下げるべく出力を低下させることから、第1加熱器21に流入する液体製品の流量を設定流量値よりも低下させ、その結果、第1圧力センサ16の検出値を下げる方向の制御となり、上記第1圧力制御器26とは矛盾した制御となってしまう。
【0017】
また、第2ポンプの能力向上に伴う第2圧力センサ17の検出値の上昇により第2圧力制御部20は、第3ポンプ14の出力を上昇させるため、結果的に、上記同様に、第1圧力センサ16の検出値を下げる方向の制御となる。その結果、これらの制御の結果として第1圧力センサ16の設定値を適切に確保できない事態が生していた。
以上のように従来の滅菌装置30では、装置全体における液体製品の流量及び圧力を適切に制御することができない場合がある、という問題があった。
【0018】
本発明の課題は、装置全体における液体製品の流量及び圧力を適切かつ高精度に制御できる滅菌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題達成のため、請求項1記載の発明にあっては、液体製品の製造に使用され、液体製品が内部を圧送される管路を有し、前記管路の上流側端部に設けられた第1ポンプと、前記第1ポンプの下流側に設けられた第2ポンプと、前記管路内の前記液体製品の流量を検知する流量センサと、前記管路内の前記液体製品の圧力を検知する圧力センサとを備えた滅菌装置において、前記圧力センサによる圧力検出値に基づいて、前記液体製品の圧力が設定圧力値になるように前記第1ポンプを駆動制御する圧力制御器と、前記流量センサによる流量検出値に基づいて、前記液体製品の流量が設定流量値になるように前記第2ポンプを駆動制御する流量制御器とを備え、前記流量センサは、前記第1ポンプと前記第2ポンプとの間において、前記第1ポンプの出口側に配置され、前記圧力センサは、前記第1ポンプと前記第2ポンプとの間において、前記第2ポンプの入り口側に配置され、前記流量センサと前記圧力センサとの間には第1加熱器が設けられたことを特徴とする。
【0020】
上記のように構成された滅菌装置は、流量センサによる流量検出値に基づいて、前記管路内の液体製品の流量が設定流量値になるように第2ポンプを駆動制御し、圧力センサによる圧力検出値に基づいて、前記管路内の液体製品の圧力が設定圧力値になるように第1ポンプを駆動制御する。
このように、第1ポンプから流出する液体製品の流量に基づいて、第1ポンプの下流側に設けられた第2ポンプを駆動制御するとともに、第2ポンプに流入する液体製品の圧力に基づいて、管路の上流側端部に設けられた第1ポンプを駆動制御することにより、装置全体における液体製品の流量及び圧力を適切かつ高精度に制御することができる。
【0021】
請求項2記載の発明にあっては、請求項1記載の発明において、前記管路の下流側端部には第3ポンプが設けられ、前記第2ポンプと前記第3ポンプとの間には、前記管路内の前記液体製品の圧力を検知する第2圧力センサが配置され、前記第2圧力センサによる圧力検出値に基づいて、前記液体製品の圧力が設定圧力値になるように前記第3ポンプを駆動制御する第2圧力制御器を有することを特徴とする。
従って、請求項2記載の発明にあっては、第2圧力センサによる圧力検出値に基づいて、第2ポンプと第3ポンプとの間の製品液管路内の液体製品の圧力が設定圧力値になるように第3ポンプを駆動制御する。
【0022】
請求項3記載の発明に係る滅菌装置は、前記第2ポンプと前記第2圧力センサとの間には、第2加熱器、ホールディングチューブ及び冷却器が設けられていることを特徴とする。
【0023】
上記構成によれば、第2ポンプと第2圧力センサとの間には、第2加熱器、ホールディングチューブ及び冷却器が設けられている滅菌装置において、装置全体における液体製品の流量及び圧力を適切かつ高精度に制御することができる。
【0024】
また、請求項4記載の発明に係る滅菌装置は、前記製品液管路の上流端は、滅菌処理前の液体製品を貯留するバランスタンクに接続されていると共に、前記製品液管路の下流端は、滅菌処理後の液体製品を貯留するアセプティックサージタンクに接続されていることを特徴とする。
【0025】
上記構成によれば、製品液管路の上流端は、滅菌処理前の液体製品を貯留するバランスタンクに接続されていると共に、製品液管路の下流端は、滅菌処理後の液体製品を貯留するアセプティックサージタンクに接続されている滅菌装置において、装置全体における液体製品の流量及び圧力を適切かつ高精度に制御することができる。
【0026】
また、請求項5記載の発明に係る滅菌装置は、前記第1ポンプ、前記第2ポンプ及び前記第3ポンプはロータリーポンプであることが望ましい。
上記構成によれば、第1ポンプ、第2ポンプ及び第3ポンプはロータリーポンプである滅菌装置において、装置全体における液体製品の流量及び圧力を適切かつ高精度に制御することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の滅菌装置は、装置全体における液体製品の流量及び圧力を適切かつ高精度に制御しつつ運転を行うことができる。したがって、液体製品の流量の設定流量値オーバーによるHTUにおける液体製品の滅菌不良の事態や、安全背圧異常が原因で加熱器において発生する可能性のある液体製品への熱媒液の混入の事態や、沸騰抑制圧異常による液体製品の搬送障害を防止しつつ、適切に滅菌装置の液置換を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態の滅菌装置の機器の配置構成を示す模式図である。
図2】従来の滅菌装置の機器の配置構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態について図1を参照しながら説明する。
なお、本実施の形態にあっては、図2に示す従来技術と、流量制御器の制御対象ポンプ及び第1圧力制御器の制御対象ポンプが従来とは相互に異なるのみであり、その他の基本的な構成は同一である。従って、従来技術と共通する構成については同一符号を付して適宜説明を省略する。
【0030】
[構成]
図1に示すように、一実施形態の滅菌装置10は、BTからの液体製品を段階的に加熱滅菌するための第1加熱器21及び第2加熱器22と、第2加熱器22から送出された液体製品を所定時間滅菌温度に保持するHTU23と、HTU23から送出された滅菌後の液体製品を所定温度まで段階的に冷却する第1冷却器24A、第2冷却器24B及び第3冷却器24Cと、液体製品を製品液管路11内において圧送する第1ポンプ12、第2ポンプ13及び第3ポンプ14と、流量制御器19、第1圧力制御器18及び第2圧力制御器20とを有している。
【0031】
第1ポンプ12は、製品液管路11の上流側端部に設けられている。第2ポンプ13は、第1加熱器21と第2加熱器22との間に設けられている。第3ポンプ14は、製品液管路11の下流端部に設けられている。本実施の形態にあっては、第1ポンプ12、第2ポンプ13及び第3ポンプ14には、それぞれロータリーポンプが用いられる。
【0032】
第1ポンプ12と第1加熱器21との間の製品液管路11には流量センサ15が設けられている。流量センサ15は、第1ポンプ12から流出する液体製品の流量を検出する。
第1加熱器21と第2ポンプ13との間の製品液管路11には第1圧力センサ16が設けられている。第1圧力センサ16は、第2ポンプ13に流入する液体製品の圧力を検出する。
第3冷却器24Cと第3ポンプ14との間の製品液管路11には第2圧力センサ17が設けられている。第2圧力センサ17は、第3ポンプ14に流入する液体製品の圧力を検出する。
【0033】
そして、本実施の形態にあっては、従来とは異なり、流量制御器19は、流量センサ15による流量検出値に基づいて、液体製品の流量が設定流量値になるように第2ポンプ13を駆動制御し、第1圧力制御器18は、第1圧力センサ16による圧力検出値に基づいて、液体製品の圧力が設定圧力値になるように第1ポンプ12を駆動制御するように構成されている。
また、第2圧力制御器20は、従来同様に、第2圧力センサ17による圧力検出値に基づいて、液体製品の圧力が設定圧力値になるように前記第3ポンプを駆動制御する。
【0034】
[作用効果]
液体製品の製造時には、BTからの未滅菌の液体製品が製品液管路11の上流側端部に設けられた第1ポンプ12により第1加熱器21へ圧送される。第1加熱器21を通過した液体製品は、第2ポンプ13により第2加熱器22へ圧送される。第2加熱器22、HTU23、第1冷却器24A、第2冷却器24B及び第3冷却器24Cを通過した液体製品は、製品液管路11の下流側端部に設けられた第3ポンプ14により、ACTへ圧送される。
【0035】
本実施の形態にあっては、第1ポンプ12は、第1圧力制御器18により駆動制御される。第1圧力制御器18は、第1圧力センサ16による圧力検出値が設定圧力値になるように第1ポンプ12を駆動制御する。また、第2ポンプ13は、流量制御器19により駆動制御される。流量制御器19は、流量センサ15による流量検出値が設定流量値になるように第2ポンプ13を駆動制御する。
【0036】
また、第3ポンプ14は、従来装置と同様、第2圧力制御器20により駆動制御される。第2圧力制御器20は、第2圧力センサ17による圧力検出値が設定圧力値になるように第3ポンプ14を駆動制御する。
【0037】
本実施の形態において、製造運転開始時の液置換の際に、製品液が製品液管路11内を圧送されて第1ポンプ12へ到達した場合の、流量センサ15の流量検出値に基づく流量制御は以下のとおりである。
【0038】
即ち、製品液が第1ポンプ12へ到達した場合には、製品液の粘度が水よりも高いため第1ポンプ12の搬送効率が水運転時よりも向上し、その結果、搬送流量が増大して流量センサ15の検出値が上昇すると共に、第1加熱器21の出口側の製品液管路11内の圧力が増大し、第1圧力センサ16の検出値が上昇する。
【0039】
その結果、流量増大を流量センサ15が検知するため、流量制御器19は設定流量値となるように流量を減少させるために第2ポンプ13の出力を低下させる。また、第1圧力センサ16の検出圧力値を設定値となるように下げるために第1圧力制御器18は第1ポンプ12の出力を低下させる。また、第2ポンプ13の出力低下により、下流側に配置された第2圧力センサ17の圧力検出値は低くなるため第3ポンプ14の出力も低下する。
【0040】
その結果、製造運転開始時における液置換の際に、製品液が圧送され第1ポンプ12へ到達した際の、第1ポンプ12の性能向上により発生した、流量センサ15により検知される流量増大の事態に対し、各ポンプ12、13、14は出力を低下させて流量を減少させる方向へ制御され、バランスの取れた適切な、精度の良い制御がなされる。
【0041】
また、本実施の形態において、製造運転開始時の液置換の際に、製品液が製品液管路11内を圧送されて第2ポンプ13へ到達した場合の第1圧力センサ16の圧力検出値に基づく圧力制御の状況は以下のとおりである。
【0042】
即ち、製品液が第2ポンプ13へ到達した場合には、製品液の粘度が水よりも高いため第2ポンプ12の搬送効率が水運転時よりも向上し、その結果、搬送流量が増大して流量センサ15の検出値が上昇すると共に、第2ポンプの上流側に配置された第1圧力センサ16の検出値は低下する。また、第2ポンプ12の搬送効率の上昇により製品液管路11の末端の第2圧力センサ17の検出値は上昇する。
【0043】
この状況下で、第1圧力センサ16の圧力検出値を設定圧力値まで上昇させるべく第1圧力制御器18は第1ポンプ12の出力を増大させる。また、流量制御器19は、流量センサ15の検出値を設定流量値まで下げるために第2ポンプ13の出力を低下させるが、この制御は第1圧力センサ16の検出圧力値を増大させる形になる。
【0044】
その結果、製造運転開始時における液置換の際に、製品液が圧送され第2ポンプ13へ到達した際の、第2ポンプ12の搬送性能向上により発生した、流量センサ12により検知される流量増大及び第1圧力センサ16の検出圧力値の低下の事態に対し、ポンプ12は出力を上昇させると共に第2ポンプ13は出力を低下させて、第1圧力センサ16の検出圧力値を上昇させるように駆動制御されるため、設定された圧力値に対して精度よく適切な制御がなされる。
【0045】
以上のように、本実施形態に係る滅菌装置10は、製品液管路11の上流側端部に設けられた第1ポンプ12から流出する液体製品の流量値に基づいて、第1ポンプ12の下流側に設けられた第2ポンプ13を駆動制御するとともに、第2ポンプ13に流入する液体製品の圧力値に基づいて、第2ポンプ13の上流側に設けられた第1ポンプ12を駆動制御する。これにより、装置全体における液体製品の流量及び圧力の双方を、適切かつ高精度に制御することができる。
【0046】
なお、本発明の要旨に直接に関係のない構成要素である、HTU23、冷却器24、BT、ACTの配置構成に関しては、上記実施の形態に限定されず、適宜変更することができる。
【0047】
また、上記実施の形態にあっては、第1ポンプ12、第2ポンプ13、第3ポンプ14がロータリーポンプにより構成されている場合を例に説明したが、上記実施の形態に限定されず、モーノポンプ、プランジャーポンプ、スクリューポンプ等の定量ポンプであればよい。
【符号の説明】
【0048】
10 滅菌装置
11 製品液管路
12 第1ポンプ
13 第2ポンプ
14 第3ポンプ
15 流量センサ
16 第1圧力センサ
17 第2圧力センサ
18 第1圧力制御器
19 流量制御器
20 第2圧力制御器
21 第1加熱器
22 第2加熱器
23 HTU(ホールディングチューブ)
24 冷却器
25 流量制御器
26 第1圧力制御器
30 滅菌装置
ACT アセプティックサージタンク
BT バランスタンク
図1
図2