(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】温度制御手段を組み込んだバッテリユニット
(51)【国際特許分類】
H01M 10/625 20140101AFI20230324BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20230324BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20230324BHJP
H01M 10/6554 20140101ALI20230324BHJP
H01M 10/6555 20140101ALI20230324BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20230324BHJP
H01M 50/20 20210101ALI20230324BHJP
【FI】
H01M10/625
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/6554
H01M10/6555
H01M10/6568
H01M50/20
(21)【出願番号】P 2021504572
(86)(22)【出願日】2019-04-08
(86)【国際出願番号】 EP2019058814
(87)【国際公開番号】W WO2019197340
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-02-03
(32)【優先日】2018-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(32)【優先日】2018-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520393417
【氏名又は名称】ソゲフィ・エア・アンド・クーリング
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】フロラン,アレクサンドル
【審査官】佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/002325(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0172726(US,A1)
【文献】特開2018-006043(JP,A)
【文献】特開2011-194982(JP,A)
【文献】特開2011-146341(JP,A)
【文献】特開2016-170863(JP,A)
【文献】特開平08-273706(JP,A)
【文献】特開2011-049012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/625
H01M 10/613
H01M 50/20
H01M 10/647
H01M 10/6554
H01M 10/6568
H01M 10/6555
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にハイブリッドおよび/または電気自動車用のバッテリユニット(1)であって、主に、一方では、物理的および/または電気的に複数のブロックまたはモジュール(2’)に必要に応じてまとめられた複数のセル(2)またはバッテリ素子を含み、他方では、前記セルまたは素子(2)を収容かつ囲むハウジング(3)を含み、さらに、熱伝導流体(FC)の循環による前記セルまたは素子(2)の温度調整手段(4、5)を含み、
セル(2)が載せられる底部領域(6)の位置に、前記セル(2)と熱伝導流体(FC)との熱交換を行う少なくとも1つの熱交換領域(6’)を含み、前記1つまたは複数の熱交換領域(6’)が、前記ハウジング(3)の構造、好ましくはこのハウジングの壁(3’)に組み込まれ、
前記または各熱交換領域(6’)が、一方では、セル(2)と接し、他方では、熱伝導流体(FC)と接する高熱伝導率の表面素子(7)を含み、
高熱伝導率の表面素子(7)が、ハウジング(3)にはめ込まれる素子であり、低熱伝導率の表面素子(9)と液密に結合された、金属プレートまたは同様の剛性かつ良好な熱伝導性の材料から構成され、前記または各熱交換領域(6’)の低熱伝導率の表面素子(9)の各々がハウジング(3)の一部をなし、有利にはこのハウジングの壁の一部分(3’、10、11’)を構成するバッテリユニットにおいて、
前記または各熱交換領域(6’)が、セル(2)と直接接する高熱伝導率の表面素子(7)と外部環境と接する低熱伝導率の表面素子(9)との間に画定されてハウジング(3)の底壁(10)の一部分を構成する、熱伝導流体(FC)の循環容積(8)を含み、前記または各循環容積(8)が、考慮された2つの素子(7、9)の間に配置される密封手段(11)により横方向または周方向に画定され、該当する表面素子(9)の周囲に漏れ経路(12)が設けられ、対象とする容積(8)から場合によっては漏れる全ての熱伝導流体(FC)を外側に排出可能であることを特徴とする、バッテリユニット(1)。
【請求項2】
前記または各漏れ経路(12)がハウジング(3)の底壁(10)に形成され、該当する循環容積(8)の周辺密封手段(11)の周囲に連続して延在し、この循環容積が、浅い平面チャンバに好ましくは対応することを特徴とする、請求項1に記載のバッテリユニット。
【請求項3】
前記または各漏れ経路(12)が、底壁(10)に形成された溝または凹部(12’)を含み、この溝または凹部が、考慮された循環容積(8)の周辺密封手段(11)を中心として外側かつ周方向に延在し、有利には前記手段(11)の輪郭と係合し、ハウジングの底壁(10)を貫通する少なくとも1つ、好ましくは複数の穴(12”)が、前記溝(12’)の底に設けられることを特徴とする、請求項1または2に記載のバッテリユニット。
【請求項4】
プレート状の高熱伝導率の表面素子(7)の各々が、一続きの、または一体成形によりはめ込まれてハウジング(3)の底壁(10)と結合された、周辺フレーム(13)を形成する縁を含み、表面素子(7)に向かい合った底壁部分(10)が、低熱伝導率の表面素子(9)を構成し、フレーム(13)と底壁(10)との結合領域(14)、たとえば溶接による結合領域が、該当する循環容積(8)の周辺密封手段(11)の周囲に、この手段から離れて延在することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のバッテリユニット。
【請求項5】
各熱交換領域(6’)の漏れ経路(12)が、結合領域(14)と周辺密封手段(11)との間に延在することを特徴とする、請求項4に記載のバッテリユニット。
【請求項6】
様々な熱交換領域(6’)の少なくとも幾つか、または全ての漏れ経路(12)が、排出穴(12”)を備えたハウジング(3)の底壁(10)の単一領域または単一地点に向けて収束することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のバッテリユニット。
【請求項7】
複数のまたは全ての漏れ経路(12)から出る流れの収束領域または収束地点が、熱伝導流体(FC)の存在検知器を備えることを特徴とする、請求項6に記載のバッテリユニット。
【請求項8】
密封手段(11)は、2個の表面素子(7、9)に互いに結合される周辺縁の間に圧縮された状態で存在する密封構造(14)からなり、この密封構造(14)は、底壁(10)の溝(11’)に好ましくは収容されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のバッテリユニット。
【請求項9】
表面素子(9)の各々は、熱伝導性のプレート状の表面素子(7)がほぼ載せられる立ち上がり縁(9”)により横方向に画定された、ハウジング(3)の底壁(10)の窪み領域またはへこみに対応し、密封手段(11)が間に配置されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のバッテリユニット。
【請求項10】
プレート状の高熱伝導率表面素子(7)の各々が、ハウジング(3)の底壁(10)と、一方では、周辺で結合領域(14)の位置で好ましくは連続して、たとえば溶接により結合され、他方では、前記プレート(7)の表面の内部に配置された少なくとも1つの結合領域(15)の位置で、有利には、前記プレート(7)の表面に好ましくは規則正しく配分された複数の結合領域(15)の位置で結合されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のバッテリユニット。
【請求項11】
プレート状の高熱伝導率表面素子(7)の各々が、少なくとも1つの結合領域(15)の位置、好ましくは、規則正しく配分された複数の結合領域(15)の位置で、低熱伝導率の表面素子(9)を構成するハウジング(3)の底壁部分(10)と結合され、結合領域(15)の各々が、金属プレートの形態で表面素子(7)から壁部分(10)に向かって突出する局部的な変形部(16)からなり、前記変形部(16)は、たとえばレーザ溶接結合のために前記底壁部分(10)の材料と相容れる材料(16’)により一体成形されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のバッテリユニット。
【請求項12】
有利には長方形で平面である熱交換領域(6’)の熱伝導流体(FC)の循環容積(8)を互いの間に画定する向かい合った2個の表面素子(7、9)の一方が、前記循環容積(8)をU字形、S字形または蛇行した形状の循環回路(4’)の基本部分の2つの分枝に分割するリブ(17)を有することを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のバッテリユニット。
【請求項13】
1つまたは複数の様々な熱交換領域(6’)の循環容積(8)が、ハウジング(3)の構造に組み込まれた熱伝導流体(FC)の1つまたは複数の循環回路(4)の複数部分を形成し、前記回路部分(4)が、直列に流体接続され、あるいは接続されず、かつ、熱伝導流体流体(FC)の供給/排出回路(5)の一部をなす分配/収集管(5’、5”)に接続され、これらの回路(4、5)がセル(2)の温度調整手段を構成することを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載のバッテリユニット。
【請求項14】
ハウジング(3)がプラスチック材料で出来ており、このハウジングが、好ましくはねじ止めにより周辺で互いに組み立てられた、底壁(10)を備えた下部トレイ(18)と上部カバー(19)を含み、必要に応じて接触帯(3”)の位置に密封構造が配置されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載のバッテリユニット。
【請求項15】
カバー(19)が、少なくとも幾つかのセル、好ましくは全てのセル(2)と熱伝導流体(FC)との熱交換を行う1つまたは複数の熱交換領域(6’)をその構造内に同様に含み、カバー(19)の前記または各熱交換領域(6’)が熱伝導流体(FC)の循環容積(8)を含み、この熱交換領域が、低熱伝導率の表面素子(9)を構成するカバー(19)の壁(19’)の形成部または補強部と、セル(2)、たとえばモジュール(2’)の全てのセル(2)に接するプレート状の高熱伝導率の表面素子(7)との協働によって構成されることを特徴とする、請求項14に記載のバッテリユニット。
【請求項16】
可撓性かつ熱伝導性のプレートまたはシート(26)が、一方では、カバー(19)および/またはトレイ(18)の底部に組み込まれた1つまたは複数の熱交換領域(6’)の1つまたは複数の高熱伝導率表面素子(7)と、他方では、向かい合ったモジュール(2’)のセル(2)の該当する面との間に配置されることを特徴とする、請求項14または15に記載のバッテリユニット。
【請求項17】
各熱交換領域(6’)が、U字形または蛇行した形状の回路部分を形成する熱伝導流体(FC)の循環容積(8)を含み、その2個の分枝の2つの自由端が、熱伝導流体(FC)の供給/排出回路(5)の一部をなす分配/収集ライン(5、5”)に流体接続されることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載のバッテリユニット。
【請求項18】
温度調整手段(4、5)が、熱伝導流体流体(LC)の1つまたは複数の供給/排出回路を構成する分配管(5’)/収集管(5”)を含み、これらの管(5’、5”)は、ハウジング(3)内に構造的に組み込まれ、同様に、第2のラインまたは管接合ライン(20)が前記管(5’、5”)を熱交換領域(6’)の循環容積(8)に接続し、これらの管(5’、5”)とライン(20)は、ハウジング(3)の壁(3’)と少なくとも部分的に一続きで形成されることを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載のバッテリユニット。
【請求項19】
管(5’、5”)とライン(20)の管状壁が、一方では、好ましくは全体形状がほぼ直方体であるハウジング(3)の壁(3’)内および/またはこの壁に部分的に形成され、他方では、一体成形材料(21)および/または、はめ込まれて振動溶接またはレーザ溶接により組み立てられる壁部分から部分的に形成されることを特徴とする、請求項18に記載のバッテリユニット。
【請求項20】
前記または各供給/排出回路(5)は、1つまたは複数の分配管(5’)のための接続端部品(22)と、1つまたは複数の収集管(5”)のための接続端部品(22’)とを含み、熱交換領域(6’)の循環容積(8)に対して共通回路(5)または分離回路(5)が有利には設けられることを特徴とする、請求項18および19のいずれか一項に記載のバッテリユニット。
【請求項21】
下部トレイ(18)が、たとえば前記トレイ(18)の壁を構成する熱可塑性材料により一体成形されて、トレイ(18)の本体内に組み込まれる補強構造を含むことを特徴とする、請求項14から16のいずれか一項または、請求項14に結合された請求項17から20のいずれか一項に記載のバッテリユニット。
【請求項22】
トレイ(18)が、下部トレイ(18)の熱可塑性の壁との形状結合により外側で協働する補強構造(23)を含み、この補強構造が、たとえばフレームタイプであって、前記トレイ(18)に中央および周辺の剛性を特に提供することを特徴とする、請求項14から16のいずれか一項または、請求項14に結合された請求項17から20のいずれか一項に記載のバッテリユニット。
【請求項23】
下部トレイ(18)が、少なくとも1つの分割内壁(24)を含み、この分割内壁は、トレイ(18)の底部から一続きで延在し、補強構造(23)と有利には協働し、熱伝導流体(FC)の循環容積(8)を必要に応じて含み、これらの循環容積(8)は、好ましくはトレイ(18)の循環手段(4)の一部をなし、分配手段(5)に流体接続されることを特徴とする、請求項14から16のいずれか一項または、請求項14に結合された、請求項17から20のいずれか一項に記載のバッテリユニット。
【請求項24】
熱伝導流体の温度、循環および/または分配の制御手段(25)が、構造的、さらには実質的に、ハウジング(3)に少なくとも部分的に組み込まれることを特徴とする、請求項1から23のいずれか一項に記載のバッテリユニット。
【請求項25】
請求項1から24のいずれか一項に記載の少なくとも1つのバッテリユニット(1)を含み、このバッテリユニット(1)が、さらに、少なくとも1つの内部温度測定手段、セルまたは素子(2)の相互電気接続手段、および外部接続手段を含み、外部接続手段が、ハウジング(3)の壁(3’、10)と共に、またはこの壁内に有利には部分的に形成されることを特徴とする、特に電気またはハイブリッド自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自立型の電源、特に自動車に搭載された車載電源に関し、温度制御手段または温度調整手段を組み込んだバッテリユニットと、少なくとも1つのこのようなユニットを含むハイブリッドまたは電気自動車とを目的とする。
【0002】
ハイブリッド/電気自動車は、その動作に必要な電気エネルギーを蓄電可能なバッテリを備える。
【背景技術】
【0003】
現在の問題点は、「バッテリパック」とも呼ばれるバッテリユニットの設計を最適化して、それにより寿命(充電/放電)と走行連続動作能力との観点から最高の性能を引き出すことが必要な点にある。これらのバッテリパックの日常的な使用では、充電時間が同様に重要なファクタである。
【0004】
使用されるバッテリでは、特に、たとえばリチウム-イオンまたはリチウム-ポリマータイプの高密度蓄電池を、理想的には温度10℃~30℃で動作させる必要がある。温度が低すぎると連続動作能力に影響し、温度が高すぎるとバッテリの寿命に影響する。したがって、バッテリの温度を最適に調整することが必要である。
【0005】
車載用途の場合、バッテリを空気により冷却するという解決方法が存在するが、熱交換は依然としてかなり制限される。現在の傾向は、熱伝導流体を用いて熱交換を改善すると共に調整効率を上げることにある。
【0006】
さらに、これらのバッテリを受容する溝は、車両の一部から直接製造されるか、あるいは、この車両の構造部品に形成された空洞から構成可能である。しかし、上記の解決方法は設置の観点から柔軟性に乏しく、メンテナンスが難しい。このため、自立型で車両構造に組み込まれないバッテリパックという解決方法を優先すべきである。
【0007】
従来技術には多くの構想が存在する:これらは金属(鋼、アルミニウム等)による解決方法を用いており、組み立てられた冷却プレートがバッテリパックの内部に配置され、バッテリのセルまたは素子をまとめたモジュールがその上に載せられ、この冷却プレートまで熱伝導流体がホースにより分配される。
【0008】
その結果、多数の部品の組立から形成されるので構成が複雑化し、製造時には多くの密封接続を実施しなければならず(その老化耐性には問題があり得る)、大型のマルチコンポーネント構造を構成する。
【0009】
しかも、これらの公知の解決方法のバッテリユニットのハウジングは金属(好ましくはアルミニウム)で製造されるので外部に向けてバッテリパックを断熱かつ絶縁不能であり、その上、原価が高く、さらには腐食しやすい。
【0010】
さらに、これらの公知の解決方法では、ハウジング内部で熱伝導流体が漏れた場合、バッテリを保護するための有効な対策が一つも設けられていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上記の主な制限を少なくとも解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このため、本発明は、特にハイブリッドおよび/または電気自動車用のバッテリユニットを目的とし、このユニットは主に、一方では、物理的および/または電気的に複数のブロックまたはモジュールに必要に応じてまとめられた複数のセルまたはバッテリ素子を含み、他方では、上記セルまたは素子を収容かつ囲むハウジングを含み、さらに、熱伝導流体の循環による上記セルまたは素子の温度調整手段を含むバッテリユニットにおいて、
ハウジングは、セルが載せられる少なくとも1つの底部領域の位置に上記セルと熱伝導流体との熱交換を行う少なくとも1つ、好ましくは複数の熱交換領域を含み、上記1つまたは複数の熱交換領域が上記ハウジングの構造、好ましくはこのハウジングの壁に組み込まれ、
当該または各熱交換領域が、一方では、セルと、他方では、熱伝導流体と接する高熱伝導率の表面素子を含み、
高熱伝導率の表面素子がハウジング内にはめ込まれる素子であり、この素子が金属プレートまたは同様の剛性かつ良好な熱伝導性材料からなり、低熱伝導率の表面素子と液密に結合され、当該または各熱交換領域の低熱伝導率の表面素子の各々がハウジングの一部をなし、有利にはこのハウジングの壁の一部分を構成することを特徴とする。
【0013】
本発明は、限定的ではなく例として挙げられ、概略的な添付図面に関して説明された好ましい実施形態に関する以下の説明を読めば、いっそう理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】下部トレイとカバーとを組み立てて形成される直方体のハウジングを備えた本発明によるバッテリユニットを1つの角度から見た斜視図である。
【
図1B】下部トレイとカバーとを組み立てて形成される直方体のハウジングを備えた本発明によるバッテリユニットを別の角度から見た斜視図である。
【
図2】カバーを外したところを示す、
図1Aと同様の斜視図である。
【
図3】
図1と
図2に示したバッテリユニットの全体的な断面図である。
【
図5】外側に排出される熱伝導流体の漏れがあるときの
図4の一部を示す拡大図である。
【
図6】本発明のバッテリユニットの別の実施形態によるバッテリユニットを示す概略的な断面図である。
【
図7A】セルまたはバッテリ素子を外して下部トレイだけを示した
図2と同様の図である。
【
図7B】セルを外して補強フレームをトレイにはめ込んだ、トレイの別の変形実施形態を示す
図7Aと同様の図である。
【
図8】
図1Aと
図1Bに示したバッテリユニットの下部トレイを下から見たところを示す斜視図である。
【
図9】低熱伝導率の表面素子を形成する窪んだ底壁部分にほぼ対応する、
図8に示した下部トレイの一部を示す細部拡大図である。
【
図11】下部トレイに組み込まれた熱交換領域の熱伝導性または高熱伝導率プレートを外した後を示す、
図8と同様の図である。
【
図12A】
図11の細部(伝導性のプレートを外した熱交換領域の補強部を備えた底壁部分)を示す拡大図である。
【
図13】熱交換領域の高熱伝導率のプレートを下から見たところを示す斜視図である。
【
図14】供給管と排出管内の熱伝導流体の循環を示す
図1Aと同様の図である。
【
図15】供給管と排出管内、管接合ライン内の熱伝導流体の循環を示す
図1Bと同様の図である。
【
図16】U字形の基本回路部分を形成する熱交換領域の内部容積における熱伝導流体の循環を示す
図1Cと同様の図である。
【
図17】供給/排出管、管接合ライン、および熱交換領域における熱伝導流体の循環を示す、
図1A、
図1Bに示したバッテリユニットの(分割壁に対して垂直な)部分横断面図である。
【
図18】バッテリユニットのハウジングの周囲および下部トレイにはめ込むための補強フレームを同様に示す、
図1Aと同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1、
図3、
図7、
図14、
図15、
図17、
図18は、特にハイブリッドおよび/または電気自動車用のバッテリユニット1を示しており、このユニットは、主に、一方では、物理的および/または電気的に複数のブロックまたはモジュール2’に必要に応じてまとめられた複数のセル2またはバッテリ素子を含み、他方では、上記セルまたは素子2を収容かつ囲むハウジング3を含み、さらに、熱伝導流体FCの循環による上記セルまたは素子2の温度調整手段4、5を含む。
【0016】
本発明によれば、ハウジング3は、セル2が載せられる少なくとも1つの底部領域6の位置に上記セル2と熱伝導流体FCとの熱交換を行う少なくとも1つ、好ましくは複数の熱交換領域6’を含み、上記1つまたは複数の熱交換領域6’が上記ハウジング3の構造、好ましくはこのハウジングの壁3’に組み込まれている。
【0017】
同様に本発明によれば、当該または各熱交換領域6’が、一方では、セル2と、他方では熱伝導流体FCと接する高熱伝導率の表面素子7を含む。
【0018】
さらに、高熱伝導率の表面素子7が、ハウジング3に嵌め込まれる素子であり、低熱伝導率の表面素子9と液密に結合された、金属プレートまたは同様の剛性かつ良好な熱伝導性材料から構成され、当該または各熱交換領域6’の低熱伝導率の表面素子9の各々が、ハウジング3の一部をなし、有利にはこのハウジングの壁部分3’、10、11’を構成する。
【0019】
そのため、ハウジング3の同じ構造内に温度調整手段4、5の少なくとも一部(ここでは少なくとも熱交換領域6’)が組み込まれるので小型構造が得られ(最大の内部容積、最小の外部容積)、部品数および組立部分の数が制限される(ハウジング3の構成部分10、11だけを互いに結合することが必要であり、1つまたは複数の熱交換領域6’はハウジング3の上記部分に組み込まれる)。
【0020】
好ましくは、表面素子7は、単一モジュール2’のセル2に組み合わされる(熱交換領域6’およびモジュール2’のモジュラー配置と一致かつ対応する)。
【0021】
そのため、熱交換領域6’は、セル2の温度調整手段を構成可能であり、該温度調整手段は、ハウジング3の構造自体に組み込まれるだけではなく組織化され、こうした組織化に応じた分割や、必要に応じてセル2を(モジュール2’として)まとめたものに応じた分割が同様に可能であり、熱伝達効率が最適化される。
【0022】
特に
図4~
図13および
図17による本発明の有利な構成上の特徴によれば、当該または各熱交換領域6’が、セル2と直接接触する高熱伝導率の表面素子7と、外部環境と接する低熱伝導率の表面素子9との間に画定される、熱伝導流体FCの循環容積8を含む。
【0023】
そのため、容積8の熱伝導流体FCとの熱交換は、表面素子7の位置で非常に促進され、その反対に、係合する表面素子9の位置では最大限減らされる。
【0024】
高熱伝導率、より一般的には熱伝導流体FCとセル2との間の良好な熱伝達は、熱伝導性が本質的に良好(金属プレート)で比較的薄肉で使用される材料を、表面素子7とセル2との間、必要に応じて該当するモジュール2’との間の最大接触面積と最適接触品質とに関係づけて用いることにより実現される。
【0025】
低熱伝導率は、熱伝導性が低く、さらには断熱材である材料を、表面素子9の壁の比較的肉厚の厚さと組み合わせて用いることにより実現可能である。
【0026】
一般に、本説明において高熱伝導率λとは、λの値がλ>50W.m-1.K-1、好ましくはλ>100W.m-1.K-1であり、低熱伝導率λとは、λの値がλ<1W.m-1.K-1、好ましくはλ<0,5W.m-1.K-1を意味する。
【0027】
有利には、良好な熱伝導率の材料の伝導率が100W/m/K~300W/m/Kであり、一般にはアルミニウムと同様の200W/m/Kである。対応して、低熱伝導率の材料の伝導率は0.05W/m/K~0.5W/m/Kであり、一般にはPP GF30タイプのプラスチックと同様の0.2W/m/Kである。
【0028】
本発明の範囲では、素子7(高熱伝導率の素子、たとえば薄肉の金属材料からなるプレート)と素子9(低熱伝導率の素子、たとえば厚肉のプラスチック材料からなる壁)の熱伝導率の差が大きくなればなるほど、本発明にとって有利な効果が上がる。
【0029】
前述のように、表面素子7の材料は、好ましくはアルミニウムであるが、非金属とすることも同様に可能であり、たとえば熱伝導率を高めるために添加剤を加えた熱可塑性または耐熱性材料から構成可能である。
【0030】
変形実施形態では、表面素子7は、また、良好な熱伝導体である一方でモジュール2’の平面性欠陥に合わせてこれを補正するために柔軟性または可撓性にすることができる(素子7をたとえばシリコーンから構成し、好ましくは添加剤を加える)。
【0031】
熱伝導性の当該または各プレート7は、セル2(必要に応じて単にセルに割り当てられたモジュール2’)との最適な熱交換に加えて、表面素子9と関係づけて熱伝導流体FCの基本循環容積8を密封式に画定し、温度変動によりもたらされる変形に抗し、セル2との最適な表面接触を常に保つようにしなければならない。したがって、ハウジング3および対になった表面素子9とのその結合および組立は、有利には周辺で行われると同時に、少なくとも局部的にその表面に配分される。
【0032】
ハウジング3は、単一の熱交換領域6’(下部トレイ18内のみ)あるいは、その各構成部分内の熱交換領域6’(たとえば下部トレイ18内の領域6’およびカバー19内の領域6’-
図6)だけを含むことができる。
【0033】
しかし、好ましくは、ハウジング3は、その構成部分(トレイ18、カバー19)の1つ、複数、または各々に複数の熱交換領域6’を含み、各領域6’が有利には1つのモジュール2’に割り当てられる(
図3、4、8、9、11、16参照)。
【0034】
そのため、表面素子7、9は協働してハウジング3の二重壁構造の壁3’の領域を構成し、これらの二重壁の領域が熱交換領域6’に対応し、組み込まれた熱伝導流体FCの循環容積8を含む。
【0035】
図4~
図6、
図9、
図10、
図12および
図13による本発明の重要な特徴によれば、当該または各循環容積8が、考慮された2つの素子7と9の間に配置される密封手段11により横方向または周方向に画定され、該当する表面素子9の周囲に漏れ経路12が設けられ、対象とされる容積8から場合によっては漏れる全ての熱伝導流体FCを外側に排出可能である。
【0036】
このような実施形態によって、損傷または偶発的な破損または老化に起因する場合、熱伝導流体FCとセル2とが全く接触しないようにしながら、密封循環容積8を簡単に形成することができる。様々な熱交換領域6’に組み合わされる様々な漏れ経路12が、必要に応じて流体力学的に相互接続され、熱伝導流体の流れが1つの容積8または複数の容積8から底壁10の個々の場所(低い地点)に配置される1つまたは複数の排出穴へと抜けるようにすることができる。
【0037】
様々な漏れ経路12の位置に漏れセンサまたは検知器を配置し、あるいは、様々な漏れ経路12が収束する場合には単一の漏れ経路(図示せず)を代替的に配置することも検討可能である。
【0038】
そのため、本発明は、様々な熱交換領域6’の少なくとも幾つかの、あるいは全ての漏れ経路12が、排出穴12”を備えたハウジング3の底壁10の単一領域または単一地点に向かって収束するようにし、必要に応じて、複数の、あるいは全ての漏れ経路12から出る流れの収束領域または収束地点が熱伝導流体FCの存在検知器を備えるように構成可能である。
【0039】
しかし、有利には、1つの熱交換領域6’に組み合わされる各漏れ経路12が他の漏れ経路とは独立しており、外側に排出するこれら固有の排出手段(貫通穴12”)を含む。
【0040】
有利には、簡単かつ経済的な構造上の実施形態と関係づけて、当該または各漏れ経路12がハウジング3の底壁10に形成され、該当する循環容積8の周辺密封手段11の周囲に連続して延在し、この循環容積が、好ましくは浅い平面チャンバに対応する。そのため、場合によっては生じる漏れの場所に関係なく、熱伝導流体は上記の漏れ経路12により回収されて外側(下部トレイ18の下面)に向かって進む。
【0041】
好ましい実務的な実施形態によれば、当該または各漏れ経路12が、底壁10に形成された溝または凹部12’を含み、この溝または凹部は、考慮された循環容積8の周辺密封手段11を中心として外側かつ周方向に延在し、有利には上記密封手段11の輪郭と係合する。ハウジングの底壁10を貫通する少なくとも1つ、有利には2つ、好ましくは複数の貫通穴12”は、上記の溝12’の底部に設けられる。その結果、バッテリユニット1が水平線に対して傾斜していてもいなくても、該当する容積8から漏れた熱伝導流体FCが外側に速やかに排出される。有利には少なくとも2個の穴12”を設けることによって、通気機能を保証することができる。
【0042】
図4~
図6および
図13による構成上の有利な1つの特徴によれば、プレート状の高熱伝導率の表面素子7の各々が、一続きの、または一体成形によりはめ込まれてハウジング3の底壁10と結合された、周辺フレーム13を形成する縁を含み、表面素子7に向かい合った底壁10の部分が、低熱伝導率の表面素子9を構成し、フレーム13と底壁10との結合領域14、たとえば溶接による結合領域が、該当する循環容積8の周辺密封手段11の周囲に、この手段から離れて延在する。
【0043】
好ましくは、各熱交換領域(6’)の漏れ経路12が、結合領域14と周辺密封手段11との間に延在する。
【0044】
そのため、各熱交換領域6’の表面素子7は、連続密封手段11を超えて周方向に延長され、成形および/または一体成形された縁13を有し(たとえば折り曲げられており、一体成形材料のリムを備え、このリムが第2の密封バリアを構成し、素子7のはみ出した部分、溝12’および表面素子9の縁9”と共に外側への漏れ経路12を画定する(その場合、漏れ経路は、外側に通じる穴12”と共にダクトの形態を呈する)。穴12”の直径は、一般に3~6mmであり、好ましくは約4~5mmとすることができる。
【0045】
このようなフレーム13によって、特に、好ましくはレーザ溶接によって周囲に連続結合部を設けることができる。
【0046】
例として、密封手段11は、2個の表面素子7と9に互いに結合される周辺縁の間に圧縮された状態で存在する密封構造14から構成可能であり、この密封構造14は、底壁10の溝11’に好ましくは収容される。
【0047】
射出成型による下部トレイ18の製造と特に関係づけて、各表面素子9は、熱伝導性のプレート状の表面素子7がほぼ載せられる立ち上がり縁9”により横方向に画定された、ハウジング3の底壁10の窪み領域またはへこみに対応するように構成可能であり、密封手段11が間に配置されるか、および/またはこの密封手段が圧縮される。
【0048】
有利には、たとえば
図10~
図12と
図16~
図17が示すように、1つまたは複数の様々な熱交換領域6’の循環容積8が、ハウジング3の構造に組み込まれた熱伝導流体FCの1つまたは複数の循環回路4の複数部分を形成し上記回路部分4が、直列に流体接続され、あるいは接続されず、かつ、熱伝導流体流体FCの供給/排出回路5の一部をなす分配/収集管5’、5”に接続され、これらの回路4と5がセル2の温度調整手段を構成する。
【0049】
特に
図1、3、7、14、15、17に示された本発明の構成上の好ましい変形実施形態によれば、ハウジング3はプラスチックで製造され、ハウジングは、底壁10(および側壁18”)を備えた下部トレイ18と上部カバー19とから構成され、下部トレイ18とカバー19は、必要に応じて接触帯3”の位置に密封構造を介在させて好ましくはねじ止めにより周辺で組み立てられる。
【0050】
剛性のプラスチック材料(添加剤および/またはファイバを添加された、または添加されない熱可塑性材料。たとえばポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステルなど)と、周辺で組み立てられる2つの部分18、19とからハウジング3を製造することによって、(金属製のハウジングに比べて)断熱性が向上すると同時に原価を下げることができ、多種多様な形状を製造可能になる。
【0051】
カバー19とトレイ18の密封組立領域(必要に応じて各々が一続きまたはモノブロックである)は周辺接触連続帯3”から構成可能であり、この帯は、トレイとカバーの個々の縁を押圧することによって、または必要に応じて、ハウジング3の2つの構成部分18と19の係合形状の対向縁の間で材料を溶融させることによって得られる。
【0052】
ねじ止め、クリップ係止または同等の着脱式の組立が好ましい。なぜなら、テスト操作、メンテナンス操作、およびセル2もしくはモジュール2’の交換操作のためにカバー19の分解が可能になるからである。
【0053】
さらに、組立領域3”の位置に接する2つの縁の間に公知の仕方で圧縮パッキンが挿入される。
【0054】
前述のように、下部トレイ18は、その底壁10および必要に応じてこれらの側壁18’の少なくとも幾つかに形成部または補強部を有し、これらの形成部または補強部は、各々が低熱伝導率の表面素子9を構成し、セル2、たとえばモジュール2’の全てのセル2と接触するプレート状の高熱伝導率の表面素子7とそれぞれ協働して、熱伝導流体FCの循環容積8を各々が備えた熱交換領域6’を形成する。
【0055】
変形実施形態では、
図6が示すように、下部トレイ18はまた、その底部領域6の位置に単一のプレート7と単一の熱交換領域6’だけを有することができる。
【0056】
熱交換の境界面と利用可能な加熱/冷却能力とをふやすことによってセルの調整性能を上げるために、カバー19は、少なくとも幾つかのセル、好ましくは全てのセル2と熱伝導流体FCとの間の熱交換を行う1つまたは複数の熱交換領域6’をその構造内に同様に組み込むように構成可能である。カバー19の当該または各熱交換領域6’は、熱伝導流体FCの循環容積8を含むことができ、この熱交換領域は、低熱伝導率の表面素子9を構成するカバー19の壁19’の形成部または補強部と、セル2、たとえばモジュール2’の全てのセル2に接するプレート状の高熱伝導率の表面素子7との協働によって構成可能である(
図3および
図6)。そのため、カバー19の二重壁構造は、トレイ18のそれと同様のものとすることができる。
【0057】
特にカバー19の位置でセル2と熱伝導流体FCとの熱伝達性能を低下させないために、ハウジング3の各部分18、19の組立でおそらくできるクリアランスを補正できるように、一方では、可撓性かつ熱伝導性のプレートまたはシート26が、カバー19内でトレイ6の底部6’および/またはトレイ18の側壁18’内に組み込まれた1つまたは複数の熱交換領域6’の1つまたは複数の高熱伝導率表面素子7と、他方では、向かい合ったモジュール2’のセル2の該当する面との間に配置される。
【0058】
変形実施形態では、必要に応じて、プレート状の各表面素子7は、たとえば添加剤を加えたシリコーン等の高熱伝導率の材料の個々の層により被覆可能にされている。
【0059】
図11と
図16が示すように、各熱交換領域6’は、U字形または蛇行した形状の回路部分を形成する熱伝導流体FCの循環容積8を含み、その2個の分枝の2つの自由端が、熱伝導流体FCの供給/排出回路5の一部をなす分配/収集管5、5”に流体接続される。
【0060】
U字形または蛇行した形状の循環容積8(図示せず)は、流体力学的に:
-回路5に個々に直列かつ集合的に接続され(図示せず)、あるいは
-この回路5に個々にかつ並列に接続される(
図8~
図11および
図17)。
【0061】
好ましくは、
図4~
図6、
図11~
図13に例として示したように、プレート状の高熱伝導率表面素子7の各々が、ハウジング3の壁3’と、一方では、周辺で好ましくは連続して、たとえば機械的連結または溶接により結合され、他方では、上記プレート7の表面の内部に配置された少なくとも1つの結合領域15の位置、有利には、上記プレート7の表面に好ましくは規則正しく配分された複数の結合領域15の位置で結合される。
【0062】
そのため、周辺での固定に加えて、当該または各プレート7は分散された複数の地点または領域15に同様に剛性結合される。その結果、熱の影響下、また同様にセル2の重量の影響下での1つまたは複数のプレート7のあらゆる変形が回避される分配固定が得られ(トレイ18のプレート7に対して、結合領域15が支点を同様に形成し、応力が配分される)、プレート7とセル2の間で経時的に最適な表面接触を保証することができる。
【0063】
特に
図4、
図5による有利な実際の実施形態によれば、プレート状の高熱伝導率表面素子7の各々が、少なくとも1つの結合領域15の位置で、好ましくは規則正しく配分された複数の結合領域15の位置で、低熱伝導率の表面素子9を構成するハウジング3の壁部分3’に結合される。各結合領域15は、金属プレートの形態を呈する表面素子7を壁部分3’に向かって突出する局部的な変形部16からなり、上記変形部16は、たとえばレーザ溶接結合のために上記壁部分3’の材料と相容れる材料16’により一体成形される。
【0064】
金属コア16を有するプラスチック材料の局部的な突起形成部16’の形状を呈するこれらの結合地点15は、表面素子9を構成する壁部分3’に形成された局部的な補強形成部9’にたとえば当接係合可能であり、同数の局部的な機械結合を実現する。
【0065】
(一体成形プロセスにより生じる)地点16’の間に必要に応じて材料帯が存在するにもかかわらず、関係する熱交換領域6’における熱伝導流体FCの循環経路は、2つの表面素子7と9の間で、それらが互いの間に画定する容積8に設けられる。
【0066】
有利には、長方形である熱交換領域6’の熱伝導流体FCの循環容積8を互いの間に画定する向かい合った2個の表面素子7、9の一方が、上記循環容積8をU字形、S字形または蛇行した形状の循環回路4’の基本部分の2つの分枝に分割するリブ17を有するように、有利には構成可能である。
【0067】
この基本循環回路4’の形状は、その製造が簡単で熱交換面積が広く、容易な循環に適した循環行程であることを理由に好ましいが、蛇行、S字形、Z型、または同等の他の形状も同様に可能である。
【0068】
図1~
図3、
図8~
図12および
図14~
図17から同様に明らかになるように、温度調整手段4、5は、熱伝導流体流体LCの1つまたは複数の供給/排出回路を構成する分配管5’/収集管5”を含み、これらの管5’、5”はハウジング3内に構造的に組み込まれ、同様に、第2のラインまたは管接合ライン20が、熱交換領域6’の循環容積8に管5’、5”を接続し、これらの管5’、5”とライン20は、ハウジング3の壁3’と少なくとも部分的に一続きで形成される。
【0069】
そのため、管5’、5”とライン20の組込みは、トレイ18とカバー19の製造時に少なくとも部分的に行われ、管およびホースの面倒な設置や密封接続を回避することができ、外部環境に対するこれらの手段の露出もまた回避される(分配手段が壁3’に接して並置される)。
【0070】
有利には、管5’、5”とライン20の管状壁が、一方では、好ましくは全体形状がほぼ直方体であるハウジング3の壁3’内および/またはこの壁に部分的に形成され、他方では、一体成形材料21および/または、はめ込まれて振動溶接またはレーザ溶接により組み立てられる壁部分から部分的に形成される。
【0071】
上記管状壁の分布と切断は、トレイ18の壁10’、18”により形成されるそれらの部分と、部分ごとにはめ込まれるかまたは一体成形21によりはめ込まれるそれらの部分との間で、トレイ18の成形金型の様々な可能性と、トレイ18自体、ならびに必要に応じてカバー19の形状の複雑度とに依存する。
【0072】
特に
図1が示すように、当該または各供給/排出回路5は、1つまたは複数の分配管5’のための接続端部品22と、1つまたは複数の収集管5”のための接続端部品22’とを含み、ハウジング3の2つの構成部分を形成する下部トレイ18とカバー19とに存在する熱交換領域6’の循環容積8に対して共通回路5または分離回路5が有利には設けられる。
【0073】
特に、セル2の重量が重くなりうることを考慮して、トレイ18の機械強度と剛性を高めるために、トレイ18は、以下を含むように構成可能である:
-上記トレイ18の壁を構成する熱可塑性材料によりたとえば一体成形されて、トレイ18の本体に組み込まれる補強構造、および/または
-上記トレイ18の熱可塑性材料の壁と形状結合により外側で協働し、上記トレイ18に中央および周辺の剛性を特に提供する、たとえばフレームタイプの補強構造23(
図18)。
【0074】
このフレーム23は、側壁23’と、中央のセパレータ23”を含むことができる。
【0075】
また、トレイ18の底部10を構造的に補強すると共に、熱交換領域6’の整備のために付加的な壁面を必要に応じて提供するために、トレイ18は、少なくとも1つの分割内壁24をさらに含むことができ、この分割内壁は、トレイ18の底部から一続きで延在し、補強構造23と有利には協働し、熱伝導流体FCの循環容積8を必要に応じて組み込み、これらの循環容積8は、好ましくはトレイ18の循環手段4の一部をなし、分配手段5に流体接続される(
図7、8、11および17)。
【0076】
分割壁24は、トレイ6を2つのサブトレイに分割して補強フレーム23のセパレータ23”に対して1つの受け溝を提供する二重壁とすることができる。
【0077】
さらに、熱伝導流体の温度、循環および/または分配の制御手段25が、構造的に、さらには実質的にハウジング3に少なくとも部分的に組み込まれる(
図7B参照-ウォーターポンプの部分的な組み込み)。
【0078】
最後に、本発明はまた、上記のような少なくとも1つのバッテリユニット1を含むことを特徴とする、特に電気またはハイブリッド自動車に関し、このバッテリユニット1は、さらに、少なくとも1つの内部温度測定手段、セルまたは素子2の相互電気接続手段、および外部接続手段を含み、これらの外部接続手段は、ハウジング3の壁3’、10と共に、またはこの壁内に有利には部分的に形成される。
【0079】
もちろん、本発明は、記載および添付図面に示された実施形態に制限されるものではない。本発明の保護範囲を逸脱することなく、特に各種素子の構成の観点から、あるいは同等技術の代替によって様々な修正を行うことができる。