(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】車両内または車両上に設置するための設定可能なユニット
(51)【国際特許分類】
B60R 1/072 20060101AFI20230324BHJP
【FI】
B60R1/072
(21)【出願番号】P 2021513342
(86)(22)【出願日】2019-09-10
(86)【国際出願番号】 NL2019050585
(87)【国際公開番号】W WO2020055243
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-03-29
(32)【優先日】2018-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】510126416
【氏名又は名称】エムシーアイ(ミラー コントロールズ インターナショナル)ネザーランド ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘラルドゥス・ヨハンネス・マリア・クラヴァー
(72)【発明者】
【氏名】バスティアン・フイゼルス
【審査官】佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-080492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両上または車両内に設置するための設定可能なユニッ
トであって、
該設定可能なユニットの構成要素の状態を検知するためのセンサと、
該設定可能なユニットを設定するよう構成された、電気的な供給電流によって駆動される機能ホルダと、
前記機能ホルダに前記供給電流を供給するための電流導体と、
前記電流導体および前記機能ホルダと直列とされたスイッチと、
前記電流導体の電圧が上昇した後、遅延を伴って前記スイッチを導通させるように構成された遅延回路と、
前記センサのセンサ結果に応じて、遅延中に電流導体を流れる電流のアスペクトを設定するように構成された信号回路と、
を備えてなる、設定可能なユニット。
【請求項2】
前記機能ホルダが前記電流によって駆動される電気モータを含む、請求項1に記載の設定可能なユニット。
【請求項3】
前記構成要素が可動構成要素であり、かつ、前記機能ホルダが前記可動構成要素の方向およ
び変位
の少なくとも一方を設定するよう構成されている、請求項2に記載の設定可能なユニット。
【請求項4】
前記センサが、前記可動構成要素の方
向を検知する方向センサおよ
び前記可動構成要素の変位を検知する変位センサ
の少なくとも一方である、請求項3に記載の設定可能なユニット。
【請求項5】
中空の調節シャフトを含み、該調節シャフトの周りで前記方向が調節可能であ
るか、該調節シャフトに沿って変位が調節可能であ
るか、またはその両方であり、前記電流導体が、該調節シャフトを通って前記可動構成要素内の前記機能ホルダに到る、請求項3または4に記載の設定可能なユニット。
【請求項6】
前記機能ホルダが、前記調節シャフトに対する、該設定可能なユニットの前記可動構成要素の向きを調整するための調節機器である、請求項5に記載の設定可能なユニット。
【請求項7】
前記調節機器が、前記電気モータの回転を、該設定可能なユニットにおける前記可動構成要素の、前記調節シャフト回りの回転に変換する駆動トレインを備えている、請求項6に記載の設定可能なユニット。
【請求項8】
前記電流のアスペクトは該電流の電流レベルである、請求項1から7のいずれか一項に記載の設定可能なユニット。
【請求項9】
設定可能な前記構成要素が前記車
両のための調節可能な視覚ユニットであり、内部に前記センサおよび前記機能ホルダを有する回転可能な視覚ユニットハウジングを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の設定可能なユニット。
【請求項10】
該システムが前記電流導体に接続された制御回路を備え、該制御回路は、前記電流をオンにして遅延内で電流のアスペクトを検出するように構成されており、かつ、該制御回路が、その検出後、
該検出の結果に応じて、電流をオフにするよう、またはしないよう設定することのできる、請求項1から9のいずれか一項に記載の設定可能なユニット。
【請求項11】
このアクチュエータシステムが車両のための視覚システムである、請求項10に記載の設定可能なユニット。
【請求項12】
車両であって、自身上または自身内に、請求項1から9の何れかに記載の設定可能なユニットが装着されてなる車両。
【請求項13】
車両上または車両内の設定可能なユニットをセンサに依存して制御する方法であって、 前記設定可能なユニットは、該車両から該設定可能なユニットの機能ホルダへの供給電流の供給のための
複数の電流導体を備え、該方法は、
前記電流導体間の供給電圧をオンにするステップと、
前記供給電圧のスイッチオン後の遅延時間間隔中に、
前記電流導体の少なくとも1つを流れる電流のアスペクトを測定することにより、センサのセンサ結果の信号を検出するステップと、
を備える方法。
【請求項14】
車両上または車両内の設定可能なユニットからのセンサ結果を通知する方法であって、 前記設定可能なユニットは、該設定可能なユニット内に機能ホルダを供給するための
複数の電流導体を備えており、該方法は、
前記電流導体間の電圧が上昇した後、前記電流導体から前記機能ホルダへの供給電流の通過を遅延させるステップと、
前記遅延の間に、前記センサ結果に基づき、前記電流導体の少なくとも1つを流れる電流のアスペクトを設定するステップと、
を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両(自動車)の内部または外部に設置するための設定可能なユニット、例えば、自動車の調整可能な外部ミラーなどの可動構成要素に関する。本発明はさらに、そのような設定可能なユニットを備えた車両およびそのような設定可能なユニットで使用するための調節機器に関する。
【背景技術】
【0002】
車両(自動車)の内部または外部に設置するための設定可能なユニットは、それ自体知られている。設定ユニットの例は視覚ユニットである。シンプルな形態での視覚ユニットは、車両の外で使用するためのバックミラーである。視覚ユニットは、使用位置で、車の横または後ろで起こっていることの像をドライバーに提供し、例えば、視覚ユニットは、横方向または後方を向いたいくつかのミラー、あるいは車両内のディスプレイと連繋したいくつかのカメラを含む。視覚ユニットは、それらのミラーまたはカメラの向きの微調整、ミラー加熱器、ミラーガラス調整、方向指示器、などのための調節機器といった機能ホルダを含み得る。視覚ユニットはまた、例えば、完全なまたは部分的な自動運転を行う車両の場合のように、ボード制御ユニットに情報を提供するのに役立つことができる。視覚ユニットは、カメラ、ライダーセンサ、レーダーセンサおよび/または他のセンサなどの、1つまたは複数のセンサの形態のさらなる機能ホルダを含む場合もある。
【0003】
一実施形態では、調節機器を用いて、視覚ユニットを、該視覚ユニットが車両の側面から外向きに延びる使用位置と、可能な限り車両に沿って延びる駐車位置との間で折り畳むことができる。駐車位置は、駐車時位置において車両幅を狭くし、視覚ユニットを損傷から保護することができる。
【0004】
調節機械は通常、視覚ユニットハウジング内にある視覚ユニットと、車両に固定的に接続された支持足との間に置かれる。調整は、例えば、前記支持足に固定的に取り付けられて車両の基部表面に対し略垂直に延びる調節シャフトと、ドライブトレインと、視覚ユニットに接続されているかその一部である調節フレームと、を含む。
【0005】
異なる機能ホルダの活性化、操作および呼び出しのために、機能ホルダを、車両内または車両上に設置する際、車両内の電子機器に接続するためのいくつかの接続が必要である。電流導体を、調節シャフトを介して支持足に導くのが通例である。調節シャフトは、この目的のために中空に構成されている。電流導体の数の増加は調節シャフトの必要な直径に影響を与えるため、調節機器の寸法および視覚ユニットの寸法を共に決定する。大きな視覚ユニットは空力的に不利となる。
【0006】
使用位置への到達を検知して運転者や車載ユニットと通信するためのセンサを調節機器に設けることが望ましい。より一般的には、前記機能ホルダに電力を供給するために電流導体が設けられている車両内または車両上にその他の設定可能なユニットのため装備するため、設定可能なユニットの状態を検知し運転者や車載ユニットと通信するためのセンサを提供することも望ましい。
【0007】
〔特許文献1〕は、車両ミラー制御装置に対する電源ユニット保護を開示している。電源からの電流が多すぎると、デバイスはPWM供給電流に切り替わり、電流が遅延期間内に正常に戻らないと、デバイスは完全にオフになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
とりわけ、車両内または車両上に設置するための設定可能なユニットに接続するための電流導体の数を制限することが目的である。
とりわけ、設定可能なユニットの調節シャフト内の電流導体の数を制限することは、さらなる目的である。
とりわけ、視覚ユニットの調節シャフト内の電流導体の数を制限することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
車両上または車両内に設置するための設定可能なユニットであって、
該設定可能なユニットの構成要素の状態を検知するためのセンサと、
該設定可能なユニットを設定するよう構成された、電気的な供給電流によって駆動される機能ホルダと、
前記機能ホルダに前記供給電流を供給するための電流導体と、
前記電流導体および前記機能ホルダと直列とされたスイッチと、
前記電流導体の電圧が上昇した後、遅延を伴って前記スイッチを導通させるように構成された遅延回路と、
前記センサのセンサ結果に応じて、遅延中に電流導体を流れる電流のアスペクトを設定するように構成された信号回路と、
を備えてなる設定可能なユニット、が提供される。
【0011】
前記構成要素が設定可能なユニットの可動部を形成し、かつ、前記機能ホルダおよび前記センサが前記可動部内または可動部上にある場合、前記電流導体は調節シャフトを通って前記可動部にまで至ることができる。この場合、センサ結果は前記電流導体を介して読み取ることができるため、調節シャフトに必要なスペースは少なくなる。また、機能ホルダとセンサが固定されている場合には、前記電流導体を介してセンサ結果を読み取ることができるため、該設定可能なコンポーネントの設置が簡単になる。
【0012】
これにより、外部の電子機器、例えば可動構成要素が配置された設定可能なユニットの固定コンポーネント内の電子機器や、内部または外部に設定可能なユニットが配置された車両の一部にある電子機器に、追加の電流導体を必要とせずにセンサ検出結果を簡単に渡すことができる。
【0013】
ミラー調節機構、カメラ調整機構のモータ、方向指示器の光源、カメラ、またはミラー加熱器などいった機能ホルダは、原則として、電圧の上昇後すなわち供給電圧がその機能を動作させる実効レベルに達した後、その機能(モータシャフトの回転、発光、発熱)を長時間満たす必要がある。これは、機能ホルダに供給される電流のスイッチオンのより短い遅延によってそれほど影響は受けない。これにより、余分な電流導体を必要とせずに、センサ検出結果を車両内の電子機器に渡すことができる。
【0014】
信号送出用の電流のアスペクトとして、好ましくは電流レベルが用いられる。これは簡単な手段で実現できる。ただし、変調の有無などの他のアスペクト、または変調周波数などの変調アスペクトを使用することもできる。機能ホルダとセンサは、設定可能なユニットの異なる構成要素であるため、機能ホルダを通過する供給電流の大きさは、センサ結果が通知される上記のアスペクトではない。電流のアスペクトは、機能ホルダを介して供給電流とは別に(好ましくは、独立して)調整される。機能ホルダがモータまたは加熱である場合、モータ電流および加熱電流はそれぞれ、関係するアスペクトではない。
【0015】
一実施形態において、前記センサは、例えば調節シャフトに対する視覚ユニットハウジングの向きを検出するための方向センサである。このようなセンサは、追加の電流導体を必要とすることなく、必要な方向を向いたかどうかを判断するために使用することがでる。好ましくは、信号伝達のために電流導体が使用される機能ホルダは、関係する方向を調整するための調節機器である。このように、信号に基づき、供給電流を、上昇後、オンのままとすべきかどうかを直接制御できる。回転は、例えば、視覚ユニットハウジングの、調節シャフトの回りの回転である。
【0016】
可動部を備え、
前記アクチュエータの状態を検知するためのセンサと、
電気的な供給電流によって駆動される機能ホルダと、
前記機能ホルダに前記供給電流を供給するための電流導体と、
前記電流導体および前記機能ホルダと直列とされたスイッチと、
前記電流導体の電圧が上昇した後、遅延を伴って前記スイッチを導通させるように構成された遅延回路と、
前記センサのセンサ結果に応じて、遅延中に電流導体を流れる電流のアスペクトを設定するように構成された信号回路と、
を備えた設定可能なユニット、が提供される。
【0017】
他の態様によれば、車両、特に自動車のための調節可能な視覚ユニットであって、
視覚ユニットハウジングと、
該視覚ユニットの状態を検知するための、該視覚ユニット内のセンサと、
電気的な供給電流によって駆動される、該視覚ユニット内の機能ホルダと、
前記供給電流を前記機能ホルダに供給するための電流導体と、
前記電流導体および前記機能ホルダと直列とされたスイッチと、
前記電流導体の電圧が上昇した後、遅延を伴って前記スイッチを導通させるように構成された遅延回路と、
前記センサのセンサ結果に応じて、遅延中に電流導体を流れる電流のアスペクトを設定するように構成された信号回路と、
を備えてなる調節可能な視覚ユニット、が提供される。
【0018】
他の態様によれば、車両上または車両内の設定可能なユニットをセンサに依存して制御する方法であって、前記設定可能なユニットは、たとえば該設定可能なユニットの可動部の位置または方向を設定するために該車両から該設定可能なユニットの機能ホルダへの供給電流の供給のための電流導体を備え、該方法は、
前記電流導体間の供給電圧をオンにするステップと、
前記供給電圧のスイッチオン後の遅延時間間隔中に、電流導体の少なくとも1つを流れる電流のアスペクトを測定することにより、センサのセンサ結果の信号を検出するステップと、
を備える方法が提供される。
【0019】
他の態様によれば、車両上または車両内の設定可能なユニットからのセンサ結果を通知する方法であって、前記設定可能なユニットは、該設定可能なユニット内の機能ホルダに供給電流を供給するための電流導体を備えており、該方法は、
前記電流導体間の電圧が上昇した後、前記電流導体から前記機能ホルダへの供給電流の通過を遅延させるステップと、
前記遅延の間に、前記センサ結果に基づき、前記電流導体の少なくとも1つを流れる電流のアスペクトを設定するステップと、
を備える方法が提供される。
【0020】
他の態様によれば、車両上または車両内の設定可能な視覚ユニットをセンサに依存して制御する方法であって、前記視覚ユニットは、該車両から前記視覚ユニット内の機能ホルダへの供給電流の供給のための電流導体を備え、該方法は、
前記車両から、前記電流導体間の供給電圧をオンにするステップと、
前記供給電圧のスイッチオン後の遅延時間間隔中に、電流導体の少なくとも1つを流れる電流のアスペクトを測定することにより、前記視覚ユニット内のセンサのセンサ結果の信号を検出するステップと、
を備える方法が提供される。
【0021】
他の態様によれば、車両上の設定可能な視覚ユニットから車両にセンサ結果を通知する方法であって、前記視覚ユニットは、前記視覚ユニット内の機能ホルダに供給電流を供給するための電流導体を備えており、該方法は、
前記電流導体間の電圧が上昇した後、前記電流導体から前記機能ホルダへの供給電流の通過を遅延させるステップと、
前記遅延の間に、前記センサ結果に基づき、前記電流導体の少なくとも1つを流れる電流のアスペクトを設定するステップと、
を備える方法が提供される。
【0022】
これらおよび他の目的および有利な態様は、図面を参照した例示的な実施形態の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】車両で用いられる視覚ユニットを示す図である。
【
図1a】車両上で用いられる可動空力構造を示す図である。
【
図2】電気モータ駆動およびセンサ情報リレー用の回路図である。
【
図3】電気モータの制御およびセンサ読み取りのための回路図である。
【
図4】電流導体を通る電圧及び電流を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、車両上または車両内に取り付けるための設定可能なユニットの例として、支持足10が車両に固定的に接続された車両上の視覚ユニットと、視覚ユニットハウジング12を示している。視覚ユニットは、視覚ユニットハウジング12内にある電気モータ、駆動トレイン、および調節フレーム(図示せず)を備えた調節機器と、支持足10に固定的に取り付けられかつ視覚ユニットが該車両に取り付けられたときに実質的に垂直に延びる調節シャフト14と、を含む。電気モータには、調節シャフト14を介して視ユニットハウジング12から支持足10まで這わせられた電流導体(例えば、配線)を介して、電流が供給される。
【0025】
視覚ユニットはさらに、調節要素が使用位置に到達したかどうかを検出するためのセンサ18を含む。センサ18は、例えば、マイクロスイッチを含むことができる。センサ18のセンサ信号に関する情報は、前記電気モータを駆動するための電流と同じ電流導体を介して伝達される。一実施形態では、これは、電気モータをスイッチオンする前の所定の時間間隔の間に行われる。
【0026】
例として
図1はバックミラーなどの視覚ユニットを示しているが、視覚ユニットハウジングなどの可動部分への電流導体を備えた同種のアクチュエータを他の応用として使用することもできる。
図1aは、空力構造100を支持足10上の可動部分として備えた、設定可能なユニットの例を示している。設定可能なユニットは支持足10を用いて車両に接続されている。そのような空力構造100は、例えば空気抵抗の低減のため、または空力構造100による冷却のため、車両に沿うまたは車両を通る空気流を調整するために自動車などの陸上車両に適用することができる。
【0027】
ここで、空力構造100は、モータハウジング110および調節シャフト14を介して支持足10に取り付けられている。使用中、調整シャフト14は、空力構造100と支持足10との間の距離を設定するために、モータハウジング110内の1つまたは2つのモータによって駆動される。一方または双方のハウジング110は、1つまたは複数の調節シャフト14が引き出された程度を測定するためのセンサ18を含む。モータはセンサ結果に基づいて駆動され得る。
【0028】
以下では、設定可能なユニットとして視覚ユニットを例に説明する実施形態について説明し、この場合、視覚ユニットは、例として、その一部としてアクチュエータユニットの可動部分を備える。しかしながら、これらの例は同時に、そのような設定可能なユニットを含むアクチュエータユニットやシステムなど、他の種類の設定可能なユニットの例となり得る。
【0029】
図2は、電気モータ20を駆動しかつセンサ18のセンサ信号に関する情報を伝達するために同じ電流導体22a,22bを用いるための、視覚ユニットハウジング12内に含まれる、またはより一般的には
設定可能なユニットの可動部の内部または外部に含まれる回路を示す。電流導体22a、22bは、調節シャフト14から、視覚ユニットハウジング12に、またはより一般的には設定可能なユニットの可動部分に通じており、その中で、電気モータ20に接続されている。この回路は、遅延回路24、抵抗25、および第1、第2、および第3のスイッチ26,28a、28bを含む。第2スイッチはオプションである。抵抗25、第1および第2のスイッチ26,28aは互いに直列に接続されている。さらなる実施形態では、さらなる抵抗(図示せず)が、抵抗25と第1スイッチ26との直列接続に並列に含まれていてもよい。
【0030】
第1スイッチ26は、例えば、調節シャフト14上のカムによって切り換えられるマイクロスイッチとしてセンサ18の一部とすることができるが、説明のために、第1スイッチ26およびセンサ18は別個の構成要素として示してある。第2および第3のスイッチ28a,28bはスイッチングトランジスタとして実装することができる。第3スイッチ28bは電気モータ20と直列に接続されている。遅延回路24の電源入力は電流導体22a,22bに結合され、かつ、遅延回路24は、第2および第3のスイッチ28a,28bの制御入力に結合された出力を有する。第3スイッチ28bと電気モータ20の直列接続は遅延回路24と並列であり、かつ、抵抗25、第1および第2のスイッチ26、28aの直列接続と並列である。
【0031】
遅延回路24は、例えば、供給電圧の上昇時に初期状態で開始し、所定の時間間隔後に切り替わるように構成されたタイマー回路を含むことができる。供給電圧の上昇は、供給電圧が有効レベルに達した時間であり、例えば通常使用での電気モータ20がゼロまたは有効レベルを下回った後に駆動されるレベルである。そのような遅延回路24の実装は、それ自体は知られている。回路は、例えば、比較器(閾値回路、一実施形態ではシュミットトリガー回路)を含むことができ、その第1入力は、電流導体間に結合される抵抗分圧器の接合部に結合され、かつ第2入力は、電流導体間で結合された集積回路の接合部(たとえば、直列接続された抵抗およびキャパシタを含む直列接続の接合部)に結合される。
【0032】
動作中、遅延回路24は、電流導体22a,22b間の電圧がゼロからより大きな電圧値に上昇したときに開始する。始動時、遅延回路24は初期状態に入る。所定の遅延の後、遅延回路24が前記初期状態から最終状態に切り替わる 初期状態では、遅延回路24は、第2スイッチ28aを導電状態に保ち、第3スイッチ28bを非導電状態に保つ。したがって、初期状態で電圧が上昇した後、電気モータ20に電流は流れない。電流が抵抗25、第1および第2のスイッチ26、28aの直列接続を通過するかどうかは、センサ18に依存する。最終状態では、遅延回路24は、第2スイッチ28aを非導電状態に保ち、第3スイッチ28bを導電状態に保つので、電流は、抵抗25、第1および第2のスイッチ26、28aの直列接続を通ってではなく、電気モータ20を通って流れることができる。
【0033】
一実施形態では、第2スイッチ28aを省略して、第1スイッチ26と電流導体22bとの間に恒久的な接続が存在するようにすることができる。これは、モータ20のスイッチオンの後、電流導体22a,22b間の並列電流が抵抗25を流れ続ける可能性があるという結果をもたらす。これにより電力使用量が増加する可能性があるが、他の点では機能に影響を与える必要がない。第2スイッチ28aを追加することで、エネルギーを節約できる。
【0034】
図3は、電気モータを制御しかつセンサを読み取るための、車両に含まれる回路を示している。この回路は、電圧源30、制御回路32、スイッチ34、および電流検出回路36を含む。電圧源30は、車両内で、スイッチ34および電流検出回路36を介して電流導体22a,22bに結合されている。これら電流導体は、調節シャフト14に到り、かつそれを介して、視覚ユニットハウジング12に、またはより一般的には設定可能なユニットの可動部に到る。ここでの電流導体22a,22bの端部は、設定可能なユニットへの接続140を形成する。一実施形態では、この接続は、電流導体22a,22bが結合されるコネクタ、または別の接続要素を含むことができるが、電流導体22a,22b自体の端部によって形成することもできる。
【0035】
制御回路32は、スイッチ34の制御入力に結合された出力と、電流検出回路36に結合された入力とを有する。制御回路32は、例えば、マイクロコンピュータを含むことができる。制御回路32は、スイッチ34を導通させ、スイッチ34を導通した後の所定の時間間隔内に電流検出回路36の検出電流を読み取ることにより、センサ18からのセンサ信号に関する情報を読み取るように構成されている(例えば、コンピュータプログラムを備えている)。この時間間隔は、視覚ユニットハウジング内の遅延回路の所定の遅延と等しいか、それよりも短い。制御回路32は、電気モータの運転開始が要求された場合には、所定の時間間隔後もスイッチ34を導通状態のままにするように構成されている。制御回路32は、電気モータの運転開始が要求されない場合には、検出された電流を読み取った後、非導通状態であるように構成されている。
【0036】
図4は、時間tの関数としての、電流導体22a,22b間の電圧差Vと、電流導体22a,22bを通る電流Iとを示している。時刻t1で、制御回路32が、車両側で、スイッチ34を導通状態に切り替える。この結果、視覚ユニット側、より一般的には設定可能なユニットの可動部側で、遅延回路24が初期状態で起動する。それから、視覚ユニットまたは可動部側のセンサ18の状態に応じて、電流は、抵抗25と第1および第2のスイッチ26,28aの直列接続を介して流れ始め、あるいは流れず、それにより電流Iは、レベル40となるか、またはゼロレベル42のままとなる。
【0037】
車両側では、電流検出回路36が電流Iを検出し、かつ、制御回路32が、スイッチ34のスイッチオンの後の第1の所定時間間隔内に電流検出の結果を読み出す。この第1の所定時間間隔の終わりに、時間t2において、制御回路32は、電気モータが作動開始することが望まれない場合には、スイッチ34を非導通状態に切り換え、電圧Vはゼロレベル45となる。そうでない場合には、制御回路32はスイッチ34を導通状態のままとし、電圧Vはレベル44に留まる。
【0038】
視覚ユニットまたは可動部では、電圧Vのスイッチオン後の第2の所定の時間間隔の後、あるいは、電圧がゼロレベル45になった後で遅延回路24が低下するよりも早く、遅延回路24が、時間t3で、その最後の状態に切り換わる。第2の所定時間間隔は、第1の所定時間間隔よりも長い。その結果、第3スイッチ28bは、第2の所定時間間隔の後に導通状態となり、電流Iは、電圧レベル44,45に応じて、モータ電流レベル46またはゼロレベルになる。
【0039】
このようにして、電流導体22a,22bは、センサ18からのセンサ信号に関する情報を読み取ること、および電気モータを駆動することの双方のために使用することができる。車両側の制御回路は、電流導体22a,22bの間に電圧が印加されるかどうかを決定し、センサ18は、結果として生じる電流を最初に決定する。センサからの情報に基づいて電気モータの駆動を行う場合には、制御回路32は、電気モータに電流が流れる前の第1の時間間隔でこれを決定することができる。遅延回路の第2の所定時間間隔は、これがモータの変位にとってほとんど問題にならないように非常に短く、例えば100ミリ秒よりも短く、選択することが可能である。
【0040】
示されている実施形態では、車両側でセンサ18のセンサ結果を読み取ることができる前に、電気モータを流れる電流がゼロである必要がある。したがって、センサ結果を繰り返し読み取るには、モータ電流を遮断する必要がある場合がある。ただし、モータを使用してモータが所要の使用位置に到達したことを確認する際、オーバーヘッドは必要ない。一実施形態では、制御回路32または別の制御回路が、モータ電流が増加したときに、電流導体22a,22bを介した電気モータへの電圧供給をオフにするが、これは、調節要素の調節が停止に対して停止した結果である。その後、少なくとも電流導体22a,22b間の第1の所定時間間隔中に、モータ電流を再び印加することにより、センサ18からのセンサ結果を用いて、所要の使用位置に到達したこと、または、早目のスイッチオフが一時的な遮断の結果であること、あるいはその実行が早過ぎたことを確認することができ、この場合には、制御回路32は、必要な使用位置に到達するために電圧をレベル44に維持する。また、モータ電流の増加に基づいてではなく、例えば、必要な使用位置に到達するために必要な所定の時間に基づいてモータ電流のスウィッティングオフが発生する場合、この理由でモータ電圧がすでにオフになっている場合には、センサ18からのセンサ結果が読み取られる。
【0041】
視覚ユニットまたは可動部分が複数の調節機器を含み、それぞれが、調節シャフトを通る電流導体が供給される電気モータを備え、そのうちの少なくとも1つの電流導体がその電気モータの供給専用になっている場合には、関連する電気モータに電流を供給する前に、これらの電流導体のそれぞれを流れる電流を使用してセンサ結果を読み取ることができる。
【0042】
これは、さまざまなセンサを読み取ること、あるいは何れの電流導体を使用するかを選択するのに用いることができる。したがって、第1の電気モータが第1の電流導体によって駆動される場合、第1の電気モータの回転の効果を測定するセンサの読み取りは、第2の電気モータの第2の電流導体を介して、この第2の電流導体に電圧を印加した後の時間間隔中に実行することができる。このように、センサを読み取るのに、第1の電気モータを流れる電流を遮断する必要はない。
【0043】
例えば、視覚ユニットがミラーを微調整するためのミラーガラス調節器と視覚ユニットを折り畳むための調節機器を備えている場合、必要な折り畳み位置を検出するためのセンサは、微調整の電気モータのための電流導体を介して読み取ることができる。このようにして、折り畳みのために電気モータを流れる電流を遮断することなく、センサを読み取ることができる。微調整は折り畳みと同時に行われることはほとんどないため、微調整を中断する必要もない。
【0044】
これは、電気モータを含むか否かに関係なく、ミラー加熱や方向指示器など、自身の電流導体を備えた他の機能ホルダにも当てはまる。第1の電流導体を通って第1の機能ホルダへ流れる電流の影響を測定するセンサの読み出しは、第2の機能ホルダの第2の電流導体を介して、その第2の電流に電圧を印加した後の時間間隔内で測定することができる。
【0045】
調節要素が使用位置に到達したかどうかを検出するセンサ18の代わりに、例えば視覚ユニット内のカメラのレンズキャップが完全に開いているかどうかを検出する、別の状態のセンサも使用することができる。このために、マイクロスイッチ、例えば回転ポテンショメータといった角度センサ、ホールセンサ、光学的センサ、または他のものを使用することができる。この実施形態では、センサのセンサ結果は、例えば、カメラへの電流導体を通る、または別の機能ホルダへの供給電流のための電流導体を通る電流のアスペクトとして信号を送ることができる。
【0046】
一実施形態では、視覚ユニットまたは設定可能なユニットの可動部分において、複数のセンサ、例えば調節要素が使用位置に到達したかどうかを検出するための第1センサ、および、視覚ユニット内のカメラのレンズキャップが完全に開いているかどうかを検出するための第2センサを使用することができる。この実施形態では、異なる複数のセンサのそれぞれのセンサ結果は、それら異なる機能ホルダの供給電圧の上昇後の遅延時間中に、異なる機能ホルダへの電流のアスペクトとして信号を送られる。レンズキャップと調節要素の状態は、それぞれ、調節要素のカメラとモータへの供給電流の電流導体を通る電流のアスペクトとしてそれぞれ通知することができる。
【0047】
また、外気温、ミラーガラス温度またはカメラ温度を読み取るためのセンサを使用することもでき、これにより、視覚ユニットまたは設定可能なユニットの可動部分は、信号化された温度を車両内の電子機器に通知し、ミラーまたはカメラ加熱は調節された方法で制御される。
【0048】
他の解決策も可能である。別の解決策では、視力または設定可能なユニットの可動部分が、変調器(例えば、第2スイッチ28の形態で)、および制御回路(遅延回路24の代わりに)を含む。その制御回路は、供給電圧の上昇に応答して(例えば、上昇後の所定の遅延を伴って)、センサ結果に応じて、機能ホルダを通る供給電流の変調を制御するように構成される。この解決策では抵抗25および第1および第2のスイッチ26、28aを省略でき、スイッチ18を前記制御回路の入力に結合することができる。
【0049】
一実施形態では、制御回路は、変調器が最初に供給電流を通過させ、かつ、所定の遅延の後、センサ結果に応じて一時的に中断するまたは下げるか、あるいはしないように構成される。ただし、他の形態の変調も可能である。さらなる実施形態では、制御回路は、供給電圧の上昇後の供給電流の複数の中断または低下を伴う変調の時間依存パターンを制御することができる。そのパターンは、制御回路が、1つまたは複数のセンサ結果に応じて選択する。これは、加熱など、動作の遅い機能ホルダの供給電流が変調される場合に特に役立つ。
【0050】
このように、車両からの電流導体間の供給電圧のスイッチオンに応答して、電流のアスペクトは、視覚ユニットまたは設定可能なユニットの可動部分からセンサ依存的に制御される。車両においては、少なくとも1つの電流導体を流れる電流のアスペクトが、供給電圧のスイッチオン後の遅延時間間隔中に測定され、センサ結果が読み取られる。
【0051】
示した実施形態からの変更が可能であることが理解されよう。したがって、遅延回路は、例えば、第2および第3のスイッチ28a,28bを異なる時間に切り替えることができ、かつ/または、センサ18が抵抗25を通る電流を遮断する場合に電流を引き続ける並列抵抗を用いることができる。異なるセンサ結果を伴う関連した電流が、電流検出回路36によって区別される程大きく異なる限り、検出は可能である。第1及び第2のスイッチ26,28aは一緒にしてもよい。同時に、それらは本質的に論理AND接続を構成する(初期状態における所定のセンサ結果AND遅延回路を備えた電流。ただし、当業者に知られているように、そのようなAND機能は異なる方法で、またはより多くの段階で実現され得る)。必要であれば、オプトカプラーによってモータ回路から電気的に分離することができる。
【0052】
センサ結果が電流レベルによって信号で送られる実施形態が示されているが、このセンサ結果は、それ以外に、例えば、時間依存電流の平均によって、または電流の変調の存在または不在よって、または電流の周期的な変調の周波数によって、信号を送ることもできることに留意されたい。平均は、例えば、電流の周期的変化のセンサ依存パルス幅変調によって実現することができ、変調はセンサ依存変調(例えば、振幅変調のセンサ依存振幅による変調)によって制御することができ、かつ、周波数は、変調のセンサ依存周波数制御によって実現することができる。この場合、電流検出回路36は、周波数検出器および変調振幅検出器、等の対応する検出回路と置き換えることができる。
【0053】
以上、マイクロスイッチを備えたセンサを説明したが、他のセンサも可能である。センサ18は、例としては、例えば回転ポテンショメータなどの角度センサ、ホールセンサ、光学センサ、または他のものとして実施され得る。そのようなセンサは、例えば、支持足10に対する視覚ユニットハウジング12の回転角を検出するために、視覚ユニットハウジング12に、または支持足10に、または視覚ユニットハウジング12と支持足10との間に設けることができる。遅延回路24が始動状態にあるときには、電流導体22a,22b間の電流は、そのようなセンサを直接流れることができる。別の方法として、視覚ユニット内の閾値回路をそのようなセンサに結合して、第1スイッチ26を制御することができる。
【0054】
調節機器が、視覚ユニットを、操作位置に到達した後、調節軸に沿って軸方向の上下に移動するように構成されている実施形態では、その軸移動を使用してマイクロスイッチを切り換え、それにより、正しい操作位置に達したことを検出することができる。
【0055】
視覚ユニットを例に説明された実施形態は、より一般的には、車両上または車両内に設置するために、他の種類の設定可能なユニットに適用可能であり、例えば、車両で使用するための可動空力要素、およびより一般的には、可動部分を備えた設定可能なユニットであって、その可動部分が、例えば該可動部分のハウジング内または該可動部分上の他の場所にセンサおよび機能ホルダを含む設定可能なユニット、に適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
10 支持足
12 視覚ユニットハウジング
14 調節シャフト
18 センサ
20 電気モータ
22a,22b 電流導体
24 遅延回路
25 抵抗
26 第1スイッチ
28a 第2スイッチ
28b 第3スイッチ
30 電圧源
32 制御回路
34 スイッチ
100 空力構造
110 モータハウジング