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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】放射線治療装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20230324BHJP
【FI】
A61N5/10 M
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021534415
(86)(22)【出願日】2019-08-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 CN2019099312
(87)【国際公開番号】W WO2020038220
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-03-09
(31)【優先権主張番号】201810977447.2
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520497416
【氏名又は名称】西安大医集団股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】劉 海峰
(72)【発明者】
【氏名】李 大梁
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第203694431(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第102430206(CN,A)
【文献】特開平03-218775(JP,A)
【文献】特開2011-007733(JP,A)
【文献】特表2010-519965(JP,A)
【文献】米国特許第05259103(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0246480(US,A1)
【文献】特開平10-328316(JP,A)
【文献】米国特許第06512813(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線治療部と画像形成装置を含み、前記放射線治療部は患者の治療待機区域に治療用放射線ビームを放射することに用いられ、前記患者の治療待機区域は前記放射線治療部の外側に位置し、前記画像形成装置は前記放射線治療部に隣接するように設けられ、かつ前記患者の治療待機区域に画像形成ビームを放射することに用いられ、
前記放射線治療部は、外内の順番に配置される遮蔽体、放射源載置体およびコリメーターを含み、放射源は前記放射源載置体上に設けられ、前記放射源が放射する治療用放射線ビームは前記コリメーターを通過した後、交点に集束し、
前記放射源載置体および/または前記コリメーターは回転軸の周りに回転することができ、
前記画像形成装置は、前記画像形成装置が前記放射源載置体または前記コリメーターの回転と一緒に前記回転軸の周りに回転でき、前記放射源が放射する治療用放射線ビームが前記放射線治療部の外側に位置している交点に集束し、前記交点が前記画像形成装置の画像形成中央に重畳するように、前記放射源載置体または前記コリメーターの辺縁の端面に設けられる、
放射線治療装置。
【請求項2】
前記放射線治療部は第一放射線治療部と第二放射線治療部を含み、前記画像形成装置は前記第一放射線治療部と前記第二放射線治療部との間に位置する、請求項1に記載の放射線治療装置。
【請求項3】
前記放射線治療装置は放射源回収部を更に含み、前記放射線治療部が作動しないとき、前記放射源を前記放射源回収部に送入して保存する、請求項1に記載の放射線治療装置。
【請求項4】
前記放射線治療部の形状は茶碗のような形状または円筒状である、請求項1に記載の放射線治療装置。
【請求項5】
前記放射源は前記放射源載置体上に螺旋状態に均等に取り付けられるか或いは前記放射源載置体の円周方向に均等に取り付けられる、請求項1に記載の放射線治療装置。
【請求項6】
前記放射源は放射源装着部上に取り付けられ、前記放射源載置体は放射源装着部の装着孔を含み、前記放射源装着部は前記放射源装着部の装着孔内に取り付けられる、請求項1に記載の放射線治療装置。
【請求項7】
前記遮蔽体は放射源装着部の遮蔽孔と放射源装着部の遮蔽部を含み、前記放射源装着部の遮蔽孔のサイズは前記放射源装着部の装着孔のサイズより大きか或いは等しく、前記放射源装着部の遮蔽部は前記放射源装着部の遮蔽孔にマッチングする、請求項に記載の放射線治療装置。
【請求項8】
前記画像形成装置は投射部と画像形成部を含み、前記投射部が放射する画像形成ビームのビーム中心軸は基準軸から所定の距離離れており、前記基準軸は前記画像形成中央を通過し、かつ前記画像形成部に垂直である軸である、請求項1に記載の放射線治療装置。
【請求項9】
前記画像形成装置は前記放射線治療部に隣接するように設けられる遮蔽部を含み、前記遮蔽部は交点を通過する治療用放射線ビームを遮蔽することに用いられる、請求項1に記載の放射線治療装置。
【請求項10】
前記遮蔽部の形状は中空形またはシート状である、請求項に記載の放射線治療装置。
【請求項11】
前記画像形成装置は、X線装置、CT装置、MRI装置、PET装置、超音波装置およびDAS装置等のうち少なくとも一種である、請求項1に記載の放射線治療装置。
【請求項12】
前記放射線治療装置は遮蔽ドアを更に含み、前記遮蔽ドアは前記放射線治療装置および/または前記放射線治療部が放射する治療用放射線ビームをオンまたはオフさせる、請求項1に記載の放射線治療装置。
【請求項13】
前記放射線治療装置は治療用ベッドを更に含み、前記治療用ベッドは前記画像形成装置の一側に取り付けられる、請求項1に記載の放射線治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年8月24日に出願し、出願番号が201810977447.2であり、発明の名称が「放射線治療装置」である中国特許出願の優先権を主張し、かつその中国特許出願の全文を本出願に組み込む。
【0002】
(技術分野)
本出願は、医療装置の技術分野に属し、特に、放射線治療装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
腫瘤の位置を放射線治療にマッチングさせる速度と精度を向上させるため、従来の放射線治療装置は通常、放射線治療部と画像形成装置を含む。それにより患者を画像形成装置が設けられる画像形成室から放射線治療部が設けられる治療室に移動させる必要がないので、患者の腫瘤に対して放射線治療をすることができる。
【0004】
例えば、まず、放射線治療装置に設けられる治療用ベッドを移動させることにより患者を画像形成装置が設けられる個所に移動して腫瘤の画像を撮り、かつ獲得した画像中の腫瘤のサイズ、形状および周囲の組織等の状況により治療方法を作成する。次に、放射線治療装置に設けられる治療用ベッドを移動させることにより患者を放射線治療部に送入し、かつ治療用ベッドの位置を決めることにより腫瘤の位置を治療方法中の腫瘤の位置に重畳させた後、患者の腫瘤に対して放射線治療をすることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例において放射線治療装置を提供する。前記放射線治療装置は放射線治療部と画像形成装置を含み、前記放射線治療部は患者の治療待機区域に治療用放射線ビームを放射することに用いられ、前記患者の治療待機区域は前記放射線治療部の外側に位置し、前記画像形成装置は前記放射線治療部に隣接するように設けられ、かつ前記患者の治療待機区域に画像形成ビームを放射することに用いられる。
【0006】
本発明の実施例において、前記放射線治療部は第一放射線治療部と第二放射線治療部を含み、前記画像形成装置は前記第一放射線治療部と前記第二放射線治療部との間に位置する。
【0007】
本発明の実施例において、前記放射線治療部は放射源を含み、前記放射源が放射する治療用放射線ビームは前記放射線治療部の外側に位置している交点に集束し、前記交点は前記画像形成装置の画像形成中央に重畳する。
【0008】
本発明の実施例において、前記放射線治療装置は放射源回収部を更に含み、前記放射線治療部が作動しないとき、前記放射源を前記放射源回収部に送入して保存する。
【0009】
本発明の実施例において、前記放射線治療部は、順番に配置される遮蔽体、放射源載置体およびコリメーターを含み、前記放射源は前記放射源載置体上に設けられ、前記放射源が放射する治療用放射線ビームは前記コリメーターを通過した後、交点に集束する。
【0010】
本発明の実施例において、前記放射源載置体および/または前記コリメーターは所定の回転軸を回転軸として回転するか或いは予め設定の路線に沿って移動することができる。
【0011】
本発明の実施例において、前記画像形成装置は前記放射源載置体または前記コリメーターの辺縁の端面に設けられる。
【0012】
本発明の実施例において、前記放射線治療部の形状は茶碗のような形状または円筒状である。
【0013】
本発明の実施例において、前記放射源は前記放射源載置体上に螺旋状態に均等に取り付けられるか或いは前記放射源載置体の円周方向に均等に取り付けられる。
【0014】
本発明の実施例において、前記画像形成装置は第一沈下防止部を更に含み、前記第一沈下防止部は前記遮蔽体と前記放射源載置体との間に設けられる。
【0015】
本発明の実施例において、前記画像形成装置は第二沈下防止部を更に含み、前記第二沈下防止部は前記放射源載置体と前記コリメーターとの間に設けられる。
【0016】
本発明の実施例において、前記第一沈下防止部と前記第二沈下防止部はいずれもベアリングである。
【0017】
本発明の実施例において、前記放射源は放射源装着部上に取り付けられ、前記放射源載置体は放射源装着部の装着孔を含み、前記放射源装着部は前記放射源装着部の装着孔内に取り付けられる。
【0018】
本発明の実施例において、前記遮蔽体は放射源装着部の遮蔽孔と放射源装着部の遮蔽部を含み、前記放射源装着部の遮蔽孔のサイズは前記放射源装着部の装着孔のサイズより大きか或いは等しく、前記放射源装着部の遮蔽部は前記放射源装着部の遮蔽孔にマッチングする。
【0019】
本発明の実施例において、前記画像形成装置は投射部と画像形成部を含み、前記投射部が放射する画像形成ビームのビーム中心軸は基準軸から所定の距離離れており、前記基準軸は前記画像形成中央を通過し、かつ前記画像形成部に垂直である軸である。
【0020】
本発明の実施例において、前記画像形成装置は前記放射線治療部に隣接するように設けられる遮蔽部を含み、前記遮蔽部は交点を通過する治療用放射線ビームを遮蔽することに用いられる。
【0021】
本発明の実施例において、前記遮蔽部の形状は中空形またはシート状である。
【0022】
本発明の実施例において、前記画像形成装置は、X線装置、CT装置、MRI装置、PET装置、超音波装置およびDAS装置等のうち少なくとも一種である。
【0023】
本発明の実施例において、前記放射線治療装置は遮蔽ドアを更に含み、前記遮蔽ドアは前記放射線治療装置および/または前記放射線治療部が放射する治療用放射線ビームをオンまたはオフさせる。
【0024】
本発明の実施例において、前記放射線治療装置は治療用ベッドを更に含み、前記治療用ベッドは前記画像形成装置の一側に取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
以下、図面により本発明の実施例に係る技術的事項をより詳細に説明する。その図面は本発明の一部分になり、図面と実施例により本発明の技術的事項を説明することができるが、下記図面により本発明の技術的事項を限定する意図はない。
【0026】
図1】本発明の実施例に係る放射線治療装置を示す側面図である。
図2】本発明の実施例に係る他の放射線治療装置を示す側面図である。
図3】本発明の実施例に係る他の放射線治療装置を示す側面図である。
図4】本発明の実施例に係る他の放射線治療装置を示す側面図である。
図5】本発明の他の実施例に係る放射線治療装置を示す側面図である。
図6】本発明の実施例に係る画像形成ビームの中心軸と基準軸を示す図である。
図7】本発明の他の実施例に係る他の放射線治療装置を示す側面図である。
図8】本発明の他の実施例に係る他の放射線治療装置を示す側面図である。
図9】本発明の他の実施例に係る他の放射線治療装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の目的、技術的事項および発明の効果をより詳細に説明するため、以下、図面により本発明の実施例をより詳細に説明する。注意されたいことは、本発明の実施例を組み合わせても矛盾が生じない場合、本発明の実施例または実施例中の特徴を任意に組み合わせることができる。
【0028】
本発明の実施例において、放射線治療装置により患者の腫瘤に対して放射線治療をする前、治療用ベッドの画像形成装置を治療位置まで移動させる必要があるので、治療用ベッドの位置を再び決めなければならない。それにより治療用ベッドの位置の精度が低下し、放射線治療の精度が低下するおそれがある。放射線治療装置中の画像形成装置と放射線治療モジュールが同時に作動することができないので、画像により患者、特に治療中の患者を随時案内することができない。
【0029】
図1は本発明の実施例に係る放射線治療装置を示す側面図である。図1に示すとおり、放射線治療装置は放射線治療部10と画像形成装置20を含む。
【0030】
放射線治療部10は患者の治療待機区域Tに治療用放射線ビームを放射することに用いられ、患者の治療待機区域Tは放射線治療部10の外側に位置する。画像形成装置20は、放射線治療部10に隣接するように設けられ、かつ患者の治療待機区域Tに画像形成ビームを放射することに用いられる。
【0031】
本発明の実施例に係る放射線治療装置において、画像形成装置20は患者の治療待機区域Tに画像形成ビームを放射することにより患者の治療待機区域Tの画像を獲得し、獲得した患者の治療待機区域Tの画像により治療方法を作成することができる。放射線治療部10は同一の患者の治療待機区域Tに治療用放射線ビームを放射する。すなわち放射線治療部10と画像形成装置20は1つの投射目標すなわち治療待機区域Tにビームを放射するので、患者の治療待機区域Tの位置を移動させる必要がなく、放射線治療部10は作成された治療方法により患者の治療待機区域Tに治療用放射線ビームを放射することにより放射線治療をすることができるので、放射線治療の効果を有効に向上させることができる。放射線治療をするとき、放射線治療装置中の画像形成装置20と放射線治療部10は同時に作動することができる(すなわち治療をしながら画像を形成することができる)ので、画像により患者の治療待機区域Tを随時案内し、治療待機区域Tと治療方法中の位置が常に重畳することを確保することができる。
【0032】
放射線治療部10は複数個であることができる。例えば、図2に示すとおり、放射線治療部10は第一放射線治療部10Aと第二放射線治療部10Bを含む。画像形成装置20は第一放射線治療部10Aと第二放射線治療部10Bとの間に位置する。第一放射線治療部10Aと第二放射線治療部10Bは治療待機区域Tに治療用放射線ビームを同時に放射することにより放射線治療の効率を向上させることができる。
【0033】
本発明の実施例において、放射線治療部10は、強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiation Therapy、IMRTと略称)装置、サイバーナイフ(Cyber knife)またはマルチソースマルチフォーカス(Multi source and multi focus)放射線治療装置等であることができる。画像形成装置20は、X線装置、コーンビームCT(Cone Beam CT、CBCT)装置、コンピュータトモグラフィ(Computed Tomography、CT)装置、磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging、MRI)装置、ポジトロン放出断層撮影(Positron Emission Computed Tomography、PET)装置、超音波装置およびデジタル差引血管造影(Digital Subtraction Angiography、DAS)装置等のうち少なくとも一種であることができる。
【0034】
放射線治療部10がマルチソースマルチフォーカス放射線治療装置であるとき、図3に示すとおり、放射線治療部10は複数の放射源Sを含む。複数の放射源Sが放射する治療用放射線ビームは放射線治療部10の外側に位置している交点Iに集束し、交点Iは画像形成装置20の画像形成中央Rに重畳する。放射線治療部10が2個である場合、第一放射線治療部10Aと第二放射線治療部10Bはいずれも複数の放射源Sを含む。第一放射線治療部10Aと第二放射線治療部10B中の複数の放射源Sが放射する治療用放射線ビームはいずれも交点Iに集束し、交点Iは画像形成装置20の画像形成中央Rに重畳する。
【0035】
注意されたいことは、患者の治療待機区域Tは1つまたは複数の治療待機ターゲットを含み、放射線治療をするたびに複数の治療用放射線ビームが集束される交点Iはいずれか1つの治療待機ターゲットに重畳する。
【0036】
図4図5に示すとおり、放射線治療部10は、外内の順番に配置される遮蔽体101、放射源載置体102およびコリメーター(collimator)103を含む。遮蔽体101は放射線を遮蔽し、放射源載置体102には複数の放射源Sが取り付けられ、コリメーター103は複数の校正通路1031を具備している。複数の放射源Sと複数の校正通路1031は1つずつ対応する。放射線治療部10はオン状態とオフ状態を具備している。
【0037】
放射線治療部10がオン状態になっているとき、コリメーター103の各校正通路1031はいずれも所定の放射源Sと整列状態になる。すなわち複数の放射源Sはオン状態になり、複数の放射源Sが放射する治療用放射線ビームは複数の校正通路1031を通過した後、交点Iに集束するので、患者のターゲットに対して治療をすることができる。
【0038】
放射線治療部10がオフ状態になっているとき、コリメーター103の各校正通路1031はいずれも所定の放射源Sとずれる状態になる。すなわち複数の放射源Sはオフ状態になり、複数の放射源Sが放射する治療用放射線ビームはコリメーター103に遮蔽されるので、放射線治療装置の治療が停止する。
【0039】
放射線治療部10のオン状態とオフ状態を切り替えるため、本発明の実施例において下記少なくとも3つの方法を採用することができる。
【0040】
一つ目の方法において、図4に示すとおり、放射源載置体102および/またはコリメーター103が回転軸RAを回転軸として回転することにより放射線治療部10のオン状態とオフ状態を切り替えることができる。
【0041】
本発明の実施例において、放射線治療部10中の放射源載置体102は回転軸RAを回転軸として回転せず、コリメーター103は回転軸RAを回転軸として回転することができる。コリメーター103が回転することによりコリメーター103の各校正通路1031はいずれも所定の放射源Sと整列状態になるか或いはずれる状態になり、それにより放射線治療部10のオン状態とオフ状態を切り替えることができる。逆に、放射源載置体102は回転軸RAを回転軸として回転し、コリメーター103は回転軸RAを回転軸として回転しないことにより放射線治療部10のオン状態とオフ状態を切り替えることもできる。他の実施例において、放射源載置体102とコリメーター103は回転軸RAを回転軸として異なる回転方向または異なる回転速度に回転することにより放射線治療部10のオン状態とオフ状態を切り替えることもできる。
【0042】
コリメーター103の各校正通路1031はいずれも所定の放射源Sと整列状態になり、放射源載置体102とコリメーター103が回転軸RAを回転軸として一緒に回転するとき、放射源Sが放射する放射線(治療用放射線ビーム)はいろいろな角度にターゲット照射されるので、放射線がターゲットの周囲の正常な組織に長く照射されることを避けることができる。
【0043】
二つ目の方法において、図5に示すとおり、放射源載置体102および/またはコリメーター103が予め設定の路線Aに沿って移動することにより放射線治療部10のオン状態とオフ状態を切り替えることができる。
【0044】
本発明の実施例において、放射線治療部10中の放射源載置体102は予め設定の路線Aに沿って移動せず、コリメーター103は予め設定の路線Aに沿って移動することができる。コリメーター103が移動することによりコリメーター103の各校正通路1031はいずれも所定の放射源Sと整列状態になるか或いはずれる状態になることができる。逆に、放射源載置体102は予め設定の路線Aに沿って移動し、コリメーター103は予め設定の路線Aに沿って移動しないことにより放射線治療部10のオン状態とオフ状態を切り替えることもできる。他の実施例において、放射源載置体102とコリメーター103は予め設定の路線Aに沿って異なる移動方向または異なる移動速度に移動することにより放射線治療部10のオン状態とオフ状態を切り替えることもできる。
【0045】
三つ目の方法において、図5に示すとおり、放射源載置体102および/またはコリメーター103が回転軸RAを回転軸として回転することと、放射源載置体102および/またはコリメーター103が予め設定の路線Aに沿って移動することにより放射線治療部10のオン状態とオフ状態を切り替えることができる。注意されたいことは、三つ目の方法の実施方法として一つ目の方法の実施例と二つ目の方法の実施例を参照することができるので、ここで再び説明しない。
【0046】
注意されたいことは、一つ目の方法の実施例において放射線治療部10の形状が茶碗のような形状であることを例として説明してきたが、二つ目の方法と三つ目の方法の実施例において放射線治療部10の形状は円筒形であることもできる。他の実施例において、放射線治療部10は他の形状を有することもできるが、本発明は他の形状を具体的に限定しない。
【0047】
本発明の実施例において、放射線治療部10の遮蔽体101は通常、遮蔽可能な材料、例えば鉛、タングステン等で製造されるので、放射線治療部10の重量が非常に重い。したがって、図4に示すとおり、放射線治療部10は重力により回転軸RAの垂直方向(図面の矢印方向)に沈下するおそれがある。そのため、遮蔽体101と放射源載置体102との間に第一沈下防止モジュール1041を設け、放射源載置体102とコリメーター103との間に第二沈下防止モジュール1042を設けることにより放射線治療部10全体が沈下することを防止することができる。第一沈下防止モジュール1041と第二沈下防止モジュール1042は環状のベアリング、例えば回転型ベアリングであることができる。
【0048】
本発明の実施例において、放射源の装着と代替を容易にするため、放射線治療部10の形状が茶碗のような形状である実施例において、図4に示すとおり、放射源Sを放射源装着部S1上に取り付けることができる。その場合、放射源載置体102は放射源装着部の装着孔1021を含み、放射源装着部S1は放射源装着部の装着孔1021内に取り付けられる。遮蔽体101は放射源装着部の遮蔽孔1011と放射源装着部の遮蔽部1012を含み、放射源装着部の遮蔽孔1011のサイズは放射源装着部の装着孔1021のサイズより大きか或いは等しく、放射源装着部の遮蔽部1012は放射源装着部の遮蔽孔1011にマッチングすることにより放射源装着部の遮蔽部1012により放射源装着部の遮蔽孔1011を塞ぎ、放射源Sが放射する治療用放射線ビームを遮蔽することができる。
【0049】
本発明の実施例において、放射源Sは放射源載置体102上に螺旋状態に均等に取り付けられることができる。放射源Sは複数組に分けられ、放射源Sはいずれも放射源載置体102の扇形面上に取り付けられ、かつ各組の放射源は回転軸RA方向に配置されることができる。他の実施例において、各組の放射源は放射源載置体102の環状の遮蔽部201の円周方向に均等に配置されることもできる。
【0050】
注意されたいことは、任意の方法で放射源をオンさせるか或いはオフさせるとき、交点Iを通過する治療用放射線ビームは漏出するおそれがあるので、図4に示すとおり、画像形成装置20は遮蔽部201を含む。遮蔽部201は放射線治療部10に隣接するように設けられ、遮蔽部201は交点Iを通過する治療用放射線ビームを遮蔽する。放射源Sが放射する治療用放射線ビームは交点Iを通過した後、遮蔽部201に遮蔽されることにより、治療をするとき放射線が漏出することを有効に防止することができる。
【0051】
遮蔽部201の形状は中空形、例えば環状の中空形であることができる。遮蔽部201の形状はシート状、例えばC形であることもできる。遮蔽部201がシート状であるとき、放射源Sが回転することにより遮蔽部201が回転することにより放射源Sが放射する放射線(治療用放射線ビーム)を遮蔽する。遮蔽部201の厚さ、中空形の中央開口のサイズとシート状のサイズは交点Iを通過する治療用放射線ビームの方向と強度により決められることができる。
【0052】
画像形成装置20は投射部202と画像形成部203を含む。本発明の実施例において、図4に示すとおり、投射部202は画像形成部203と対向するように放射源載置体102またはコリメーター103の辺縁の端面に設けられ、投射部202と画像形成部203は放射源載置体102またはコリメーター103が回転軸RAを回転軸として回転することにより回転する。本発明の他の実施例において、図5に示すとおり、画像形成装置20中の投射部202は画像形成部203と対向するように遮蔽部201内の回転環状部204上に設けられ、投射部202と画像形成部203は回転軸RAを回転軸として回転することができる。他の実施例において、画像形成装置20中の投射部202と画像形成部203は少なくとも二組である。画像形成装置20中の投射部202と画像形成部203が二組であるとき、二組の投射部202は画像形成部203とそれぞれ対向するように遮蔽部201内に設けられ、かつ二組の投射部202と画像形成部203との間には予め設定の夾角が形成される。予め設定の夾角は例えば90度であることができる。
【0053】
画像のサイズを増加させるため、図6に示すとおり、投射部202が放射する画像形成ビームのビーム中心軸L1は基準軸L2から所定の距離離れている。基準軸L2は画像形成中央Rを通過し、かつ画像形成部203に垂直である軸である。画像形成装置20(例えば投射部202と画像形成部203)が、放射線治療部10が回転することにより回転する場合、画像形成ビームより一層大きい画像を形成することができる。
【0054】
図7に示すとおり、放射線治療装置は遮蔽ドア50を更に含む。遮蔽ドア50は放射線治療装置および/または放射線治療部10が放射する治療用放射線ビームをオンまたはオフさせることができる。注意されたいことは、図7において、放射線治療部10が図3に示すとおりに茶碗のような形状を有していることを例として説明する。遮蔽ドア50は治療用放射線ビームの出口および/または画像形成装置20の内部および/または画像形成装置20の外部に設けられることができる。放射線治療装置が作動しないとき、放射源Sが放射した放射線ビームがコリメーター103に完全に遮蔽されない場合、遮蔽ドア50はコリメーター103に完全に遮蔽されない放射線ビームを遮蔽することができる。放射源Sが放射した放射線ビームがコリメーター103に完全に遮蔽される場合、遮蔽ドア50は放射線治療装置の治療室をオンまたはオフさせることができる。遮蔽ドア50はコリメーター103に完全に遮蔽されない放射線ビームを遮蔽するとともに放射線治療装置の治療室をオンまたはオフさせることもできる。
【0055】
本発明の実施例において、実施例の放射線治療部10が半遮蔽状態に設けられ、放射線治療部10を使用しないとき、放射線Sが漏出することを防止するため、図8に示すとおり、放射線治療装置は放射源回収部30を更に含むことができる。放射線治療部10が作動しないとき、放射源Sを放射源回収部30に送入して保存することができる。
【0056】
本発明の実施例において、図9に示すとおり、放射線治療装置は治療用ベッド40を更に含むことができる。治療用ベッド40は画像形成装置20の一側に取り付けられ、治療用ベッド40は三次元ベッドまたは六次元ベッドであることができる。
【0057】
以上のとおり、本発明の実施例に係る放射線治療装置において、画像形成装置は患者の治療待機区域に画像形成ビームを放射することにより患者の治療待機区域の画像を獲得し、獲得した患者の治療待機区域の画像により治療方法を作成する。放射線治療部は同一の患者の治療待機区域に治療用放射線ビームを放射する。すなわち放射線治療部と画像形成装置は1つの投射目標すなわち治療待機区域にビームを放射するので、患者の治療待機区域の位置を移動させる必要がなく、放射線治療部は作成された治療方法により患者の治療待機区域に治療用放射線ビームを放射することにより放射線治療をし、放射線治療の効果を有効に向上させることができる。放射線治療をするとき、放射線治療装置中の画像形成装置と放射線治療部は同時に作動することができる(すなわち治療をしながら画像を形成することができる)ので、画像により患者の治療待機区域を随時案内し、治療待機区域と治療方法中の位置が常に重畳することを確保することができる。
【0058】
以上、本発明の好適な実施例を詳述してきたが、実施例は本発明の例示にしか過ぎないものであるため、本発明は実施例の構成にのみ限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において設計の変更、代替、改良等をすることができ、それらがあっても本発明に含まれることは勿論である。
【0059】
(付記)
(付記1)
放射線治療部と画像形成装置を含み、前記放射線治療部は患者の治療待機区域に治療用放射線ビームを放射することに用いられ、前記患者の治療待機区域は前記放射線治療部の外側に位置し、前記画像形成装置は前記放射線治療部に隣接するように設けられ、かつ前記患者の治療待機区域に画像形成ビームを放射することに用いられる、放射線治療装置。
【0060】
(付記2)
前記放射線治療部は第一放射線治療部と第二放射線治療部を含み、前記画像形成装置は前記第一放射線治療部と前記第二放射線治療部との間に位置する、付記1に記載の放射線治療装置。
【0061】
(付記3)
前記放射線治療部は放射源を含み、前記放射源が放射する治療用放射線ビームは前記放射線治療部の外側に位置している交点に集束し、前記交点は前記画像形成装置の画像形成中央に重畳する、付記1に記載の放射線治療装置。
【0062】
(付記4)
前記放射線治療装置は放射源回収部を更に含み、前記放射線治療部が作動しないとき、前記放射源を前記放射源回収部に送入して保存する、付記3に記載の放射線治療装置。
【0063】
(付記5)
前記放射線治療部は、順番に配置される遮蔽体、放射源載置体およびコリメーターを含み、前記放射源は前記放射源載置体上に設けられ、前記放射源が放射する治療用放射線ビームは前記コリメーターを通過した後、交点に集束する、付記3に記載の放射線治療装置。
【0064】
(付記6)
前記放射源載置体および/または前記コリメーターは所定の回転軸を回転軸として回転するか或いは予め設定の路線に沿って移動することができる、付記5に記載の放射線治療装置。
【0065】
(付記7)
前記画像形成装置は前記放射源載置体または前記コリメーターの辺縁の端面に設けられる、付記6に記載の放射線治療装置。
【0066】
(付記8)
前記放射線治療部の形状は茶碗のような形状または円筒状である、付記5に記載の放射線治療装置。
【0067】
(付記9)
前記放射源は前記放射源載置体上に螺旋状態に均等に取り付けられるか或いは前記放射源載置体の円周方向に均等に取り付けられる、付記5に記載の放射線治療装置。
【0068】
(付記10)
前記画像形成装置は第一沈下防止部を更に含み、前記第一沈下防止部は前記遮蔽体と前記放射源載置体との間に設けられる、付記5に記載の放射線治療装置。
【0069】
(付記11)
前記画像形成装置は第二沈下防止部を更に含み、前記第二沈下防止部は前記放射源載置体と前記コリメーターとの間に設けられる、付記10に記載の放射線治療装置。
【0070】
(付記12)
前記第一沈下防止部と前記第二沈下防止部はいずれもベアリングである、付記11に記載の放射線治療装置。
【0071】
(付記13)
前記放射源は放射源装着部上に取り付けられ、前記放射源載置体は放射源装着部の装着孔を含み、前記放射源装着部は前記放射源装着部の装着孔内に取り付けられる、付記5に記載の放射線治療装置。
【0072】
(付記14)
前記遮蔽体は放射源装着部の遮蔽孔と放射源装着部の遮蔽部を含み、前記放射源装着部の遮蔽孔のサイズは前記放射源装着部の装着孔のサイズより大きか或いは等しく、前記放射源装着部の遮蔽部は前記放射源装着部の遮蔽孔にマッチングする、付記13に記載の放射線治療装置。
【0073】
(付記15)
前記画像形成装置は投射部と画像形成部を含み、前記投射部が放射する画像形成ビームのビーム中心軸は基準軸から所定の距離離れており、前記基準軸は前記画像形成中央を通過し、かつ前記画像形成部に垂直である軸である、付記3に記載の放射線治療装置。
【0074】
(付記16)
前記画像形成装置は前記放射線治療部に隣接するように設けられる遮蔽部を含み、前記遮蔽部は交点を通過する治療用放射線ビームを遮蔽することに用いられる、付記3に記載の放射線治療装置。
【0075】
(付記17)
前記遮蔽部の形状は中空形またはシート状である、付記16に記載の放射線治療装置。
【0076】
(付記18)
前記画像形成装置は、X線装置、CT装置、MRI装置、PET装置、超音波装置およびDAS装置等のうち少なくとも一種である、付記1に記載の放射線治療装置。
【0077】
(付記19)
前記放射線治療装置は遮蔽ドアを更に含み、前記遮蔽ドアは前記放射線治療装置および/または前記放射線治療部が放射する治療用放射線ビームをオンまたはオフさせる、付記1に記載の放射線治療装置。
【0078】
(付記20)
前記放射線治療装置は治療用ベッドを更に含み、前記治療用ベッドは前記画像形成装置の一側に取り付けられる、付記1に記載の放射線治療装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9