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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】接続構造
(51)【国際特許分類】
   B04B 9/08 20060101AFI20230324BHJP
   B04B 7/06 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
B04B9/08
B04B7/06 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021535204
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2019085429
(87)【国際公開番号】W WO2020127104
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-08-27
(31)【優先権主張番号】18213731.5
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591121683
【氏名又は名称】エッペンドルフ エスイー
【氏名又は名称原語表記】Eppendorf SE
【住所又は居所原語表記】Barkhausenweg 1, 22339 Hamburg,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クーネルト,シュテッフェン
【審査官】谷本 怜美
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-501817(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0146429(US,A1)
【文献】国際公開第83/004379(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/001729(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B04B 1/00-15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心ロータ(12)とシャフト軸(W)に沿って延在する遠心モータのドライブシャフト(14)との間の接続構造(10)であって、遠心ロータ(12)およびドライブシャフト(14)の要素のうちの一方に第1ロック要素(16)が設けられ、遠心ロータ(12)およびドライブシャフト(14)の要素のうちの他方に第2ロック要素(48)が設けられ、前記第1ロック要素(16)は、接続のロック状態において前記第2ロック要素(48)と係合され、ロック解除状態において係合解除され、遠心ロータ(12)およびドライブシャフトの要素のうちの一方に作動手段(60)があり、その作動が前記第1ロック要素(16)を前記第2ロック要素(48)から係合解除させ、これにより前記遠心ロータ(12)が前記ドライブシャフト(14)から取外し可能となり、
前記第1ロック要素(16)はレバーであり、そのレバーアームが、前記シャフト軸(W)に平行な平面において移動可能であり、
前記第1ロック要素(16)は足部(26)を有し、
前記第2ロック要素(48)が、前記ロック状態において前記第1ロック要素(16)の前記足部(26)が支持される、前記遠心ロータ(12)上の突出部であることを特徴とする、接続構造(10)。
【請求項2】
記レバーアームは、前記シャフト軸(W)を含む平面において移動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の接続構造(10)。
【請求項3】
前記レバー(16)が、非偏向基本状態において、前記シャフト軸(W)に対して、1°~20°の範囲の角度で設けられており、および/または、
前記遠心ロータ(12)が回転しない第2動作状態に対して、前記遠心ロータ(12)が遠心力によって回転する第1動作状態において、前記レバー(16)が偏向可能であるように、前記接続構造(10)が適合されることを特徴とする、請求項2に記載の接続構造(10)。
【請求項4】
前記レバー(16)が接合部(32)に設けられ、前記接合部(32)は、ばね付勢されるように形成され、前記接合部(32)は、前記レバー(16)の弾性ばね付勢設計自体によって影響を受けることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載の接続構造(10)。
【請求項5】
前記第1ロック要素(16)が、前記第2ロック要素(48)上で停止する前記足部(26)を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の接続構造(10)。
【請求項6】
前記第1ロック要素(16)が、ロック補助として機能する少なくとも1つの面取り部(30)を有し、前記面取り部(30)は、前記レバー(16)の長手方向延長に平行に位置することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の接続構造(10)。
【請求項7】
前記第1ロック要素(16)が、前記第2ロック要素(48)との係合の方向に予圧されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の接続構造(10)。
【請求項8】
少なくとも4つの第1ロック要素(16)があることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の接続構造(10)。
【請求項9】
前記第1ロック要素(16)が、前記ドライブシャフト(14)上に設けられることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の接続構造(10)。
【請求項10】
前記作動手段(60)が前記第1ロック要素(16)の対合接触面(74)のための接触面(72)を有し、接触面および対合接触面(74)の2つの面のうちの1つが、少なくとも前記接続構造(10)の前記ロック状態において、前記作動手段(60)の作動が前記第1ロック要素(16)を枢動させるように、前記作動手段(60)の作動方向(B)における傾斜経路を有し、前記対合接触面(74)は、前記ロック状態において、前記シャフト軸(W)の方向に傾斜するように延びることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の接続構造(10)。
【請求項11】
前記第1ロック要素(16)および前記第2ロック要素(48)が、前記接続構造(10)の前記ロック状態において、互いに当接するとともにロックをもたらす接触面(28,48)を有し、このような接触面(28,48)は、前記シャフト軸(W)の周りの径方向面に対して傾斜していることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の接続構造(10)。
【請求項12】
前記作動手段(60)が、作動方向(B)に逆らって予圧される(68)押ボタン(62)として形成されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の接続構造(10)。
【請求項13】
前記作動手段(60)が前記遠心ロータ(12)上に存在することを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の接続構造(10)。
【請求項14】
前記接続構造(10)が、スナップイン接続(16,48)を提供し、ロックが解除可能に設計されるクリップ接続(16,48)の枠組み内で行われることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の接続構造(10)。
【請求項15】
前記第2動作状態に対する偏向は、1°~5°の範囲にあることを特徴とする、請求項3に記載の接続構造(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の類概念にしたがう、遠心ロータと遠心モータのドライブシャフトとの間の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心ロータは、質量慣性を利用することによってその中の遠心分離されるサンプルの成分を分離するために、遠心分離機、特に実験室遠心分離機において使用される。高い分離率を達成するためにより高い回転速度がますます求められる。実験室遠心分離機は、その遠心ロータが優先的には少なくとも3,000、好ましくは少なくとも10,000、特には少なくとも15,000回毎分で動作する遠心分離機であり、通常、台の上に置かれる。作業台に置くことを可能にするために、特に1m×1m×1m未満の形状因子を有するため、それらの設置場所は限られる。優先的には、ユニット深さは、最大70cmに限られる。しかしながら、固定された遠心分離機として形成される実験室遠心分離機も知られており、すなわち、それらは1mから1.5mの範囲の高さを有するため、部屋の床の上に置かれることがある。
【0003】
このような遠心分離機は、医薬、薬学、生物学および化学の分野で使用される。
遠心分離対象となるサンプルはサンプル格納部内に保管され、このようなサンプル格納部は遠心ロータによって回転的に駆動される。このプロセスにおいて、遠心ロータは、典型的には、電気モータによって駆動される鉛直なドライブシャフトによって回転される。遠心ロータとドライブシャフトとの間の連結は、典型的には、遠心ロータのハブによってなされる。
【0004】
用途に応じて異なる遠心ロータが使用される。これにより、サンプル格納部は直接サンプルを含み得る、または多数のサンプルが1つのサンプル格納部において同時に遠心分離可能であるように、サンプルを含む別個のサンプル容器がサンプル格納部に挿入される。一般に、遠心ロータは、固定角度ロータおよびスイングアウトロータおよびその他の形態で知られる。
【0005】
遠心分離動作の間ドライブシャフト上のそれぞれの遠心ロータのロックを保証する、このような遠心ロータと遠心モータのドライブシャフトとの間の接続構造は、たいてい遠心ロータの種類に関係なく共通しているため、異なる種類の遠心ロータが同じ遠心分離機において問題なく使用できる。
【0006】
このような接続構造は、典型的には、遠心ロータとシャフトとの間にねじ接続があるように形成される。これにより、非常に確実で耐久性のある接続が確立されることができる。接続をロックおよび解除するために鍵が必要とされ、これによりねじ接続が動作され得る。この接続構造の欠点は、鍵によって、間違った場所に置かれることがある追加の要素が必要とされることであり、加えて、片手による操作ができなくなることである。
【0007】
しかしながら、現時点で、片手による操作を可能にする自動ロックを用いることも知られている。このシステムは、たとえばSigma Laborzentrifugen有限責任会社、An der Unteren Sose(oはウムラウト付) 50、37520 Osterode am Harzによって、「G-Lock(商標登録)」という名前で市場に出ている。しかしながら、この欠点は、連結要素に対して偏心要素上に作用する遠心力の複雑なリダイレクトが行われることであり、これはロックおよびロック解除の両方において無数のエラー傾向性を受ける可能性があり、最終的に毎日の使用においてこのような連結装置の動作を安全でないものにする可能性がある。加えて、ロックが行われたことについての使用者へのフィードバックがないため、実際の動作安全性は使用者にとって不明である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、少なくとも部分的にこのような欠点を克服することである。好ましくは追加の道具が必要とされない片手による操作が可能とされる。特に、接続構造は、ロックが常に保証されるように構築されるべきであり、これによりロック要素の引っかかりまたは詰まりは起こらなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に係る接続構造によって達成される。有利なさらなる発展が、従属項および図面を伴う以下の説明において示される。
【0010】
本発明の発明者としては、この目的は、ロック機構を解除可能にする、ドライブシャフトおよび遠心ロータの要素のうちの1つに作動手段がある場合、驚くほど単純な態様で達成可能であると認識されていた。なぜなら、これが真に片手による操作を可能にし、作動手段もロック要素の引っかかりなどを効率的に防止するからである。
【0011】
本発明にしたがう、遠心ロータとシャフト軸に沿って延在する遠心モータのドライブシャフトとの間の接続構造であって、遠心ロータおよびドライブシャフトの要素のうちの一方に第1ロック要素が設けられ、遠心ロータおよびドライブシャフトの要素のうちの他方に第2ロック要素が設けられ、第1ロック要素は、接続のロック状態において第2ロック要素と係合され、ロック解除状態において係合解除され、遠心ロータおよびドライブシャフトの要素のうちの一方に作動手段があり、その作動が第1ロック要素を第2ロック要素から係合解除させ、これにより遠心ロータがドライブシャフトから取外し可能となることを特徴とする、接続構造。
【0012】
有利なさらなる発展において、第1ロック要素はレバーであることが提供される。これにより、ロックは特に管理し易くなる。レバーのレバーアームがシャフト軸に平行な平面において動かすことができる場合、接続構造は特に薄型に形成されることができる。これは、レバーアームがシャフト軸を含む平面において動かせる場合、なおさらである。この文脈において、「レバーアーム」とは、第2ロック要素とともにロック状態へ入るレバーの部分を意味する。
【0013】
有利なさらなる発展において、レバーは、特に非偏向基本状態において、シャフト軸に対して、優先的には1°~20°の範囲の角度、好ましくは2°~15°の範囲の角度、特には3°~10°の範囲の角度を有する鋭角で設けられることが提供される。なぜなら、このときロック機構は特に確実にかつ作動し易く形成されるためである。
【0014】
有利なさらなる発展において、遠心ロータが回転しない(遠心ロータおよび遠心モータは接続されているが、遠心ロータは回転しない)第2動作状態に対して、遠心ロータが遠心力によって回転する(遠心ロータおよび遠心モータは接続されており、遠心ロータが回転する)第1動作状態において、レバーが偏向可能であるように、接続構造が適合されることが提供され、第2動作状態に対する偏向は、優先的には1°~5°の範囲、好ましくは1°~3°の範囲、特には1°~2°の範囲にある。偏向がこの範囲にあることは、下限に対応する少なくとも1つの偏向が遠心力によって起こり得るが、そうすることにおいて上限に対しては偏向が制限される、すなわちこのような上限を超えないことを意味する。したがって、レバーおよび第2ロック要素は、遠心力によって偏向を可能にするが、同時にそれを制限するように形成される。これは、たとえば、制限された偏向を可能にする第2動作状態に対して径方向において距離を有するレバーのための径方向ストップを有する第2ロック要素上へのレバーの適合によって可能になる。これは、レバーの自己ロックをもたらす。
【0015】
有利なさらなる発展において、レバーが接合部上に設けられることが提供される。これにより、設計の観点において、レバー機能はさらに実施し易くなる。好ましくは、接合部は、ばね付勢されるように形成される。なぜなら、これが復元力をもたらすからである。接合部は、レバーの弾性ばね付勢設計自体によっても影響を受け得る。
【0016】
有利なさらなる実施形態において、第1ロック要素が第2ロック要素上で停止する足部を有することが提供される。この結果、ロックは高度に確実なものとなり、長期間にわたって繰り返されることが可能となる。
【0017】
有利なさらなる発展において、第1接続手段がロック補助として機能する少なくとも1つの面取り部を有することが提供され、面取り部は、好ましくは、レバーの長手方向延長に平行に位置する。これにより、接続構造は特にロックし易くなる。なぜなら、遠心ロータがドライブシャフトへ合わせられたとき、第1ロック手段は障害物を生じさせないことを意味するためである。
【0018】
有利なさらなる発展において、第1ロック要素が第2ロック要素との係合の方向に予圧されることが提供される。これにより、ロックは遠心分離機の動作状態に関係なく自動で行われることができる。同時に、予圧は、作動手段のための予圧としても機能し得る。しかしながら、好ましくは別個の予圧手段が作動手段のために提供される。
【0019】
有利なさらなる発展において、第1ロック要素がドライブシャフト上に設けられることが提供される。これにより、接続構造は非常にコンパクトに維持されることができる。有利には、このとき少なくとも4つの第1ロック要素、好ましくは6つの第1ロック要素があることが提供される。これにより、ロックは特に確実になる。
【0020】
有利なさらなる発展において、第2ロック要素は、ロック状態において第1ロック要素が支持される、遠心ロータ上の突出部であることが提供される。これにより、接続構造は特に単純に構成される。
【0021】
有利なさらなる発展において、作動手段が第1ロック要素の対合接触面のための接触面を有することが提供され、接触面および対合接触面の2つの面のうちの1つは、少なくとも接続構造のロック状態において、作動手段の作動が第1ロック要素を枢動させるように、作動手段の作動方向における傾斜経路を有する。これにより、ロック解除は特に達成し易くなる。
【0022】
有利なさらなる発展において、対合接触面が、ロック状態において、シャフト軸の方向に傾斜するように延びることが提供される。これにより、接合部上に設けられるレバーを非常に簡単にロック解除することができる。接触面は、好ましくはシャフト軸の方向に真っ直ぐであり得るが、勾配を有していてもよい。ただし、勾配は、作動手段が作動方向に動かされるときに第1ロック要素上にロック解除力が働くように寸法決めされなければならない。
【0023】
有利なさらなる発展において、第1ロック要素および第2ロック要素が、接続構造のロック状態において、互いに当接するとともにロックをもたらす接触面を有することが提供され、このような接触面はシャフト軸の周りの径方向表面に対して傾斜している。これにより、遠心ロータがドライブシャフト上へ押されるときに素早くロック状態を係合させることができ、遠心ロータとドライブシャフトとの間で鉛直方向の遊びが最小化される。
【0024】
有利なさらなる発展において、作動手段が作動方向に逆らって予圧される押ボタンとして形成されることが提供される。これにより、ロック解除は特に容易にかつ人間工学的になる。
【0025】
有利なさらなる発展において、作動手段が遠心ロータ上に存在することが提供される。これにより、ドライブシャフトは、コンパクトに設計されることができる。しかしながら、代替的には、作動手段がドライブシャフト上に存在してもよい。
【0026】
有利なさらなる発展において、接続構造がスナップイン接続を提供することが提供され、ロックは解除可能であるように設計されるクリップ接続の枠組み内で行われる。これにより、ロック機構は特に確実になり、使用者はロック機構がぴったり収まったことを聞くことができ、安全性が提供されたことを確認するのを非常に容易にする。
【0027】
本発明の構成およびさらなる利点は、図面と関連して好ましい例示的な実施形態の記載から以下明らかにされる。以下は単に図解として示される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】断面において、ロック解除かつ分離状態における第1の好ましい実施形態の本発明にしたがう接続構造を示す図である。
図2】断面において、ロック状態における図1に係る接続構造を示す図である。
図3】断面において、ロック解除状態における図1に係る接続構造を示す図である。
図4】断面において、斜視図で、図1に係る接続構造の遠心ロータのハブを示す図である。
図5】斜視図で、図1に係る接続構造の遠心ロータのドライブシャフトを示す図である。
図6】断面において、詳細図で、図1に係る接続構造を示す図である。
図7図1に係る本発明にしたがう接続構造を有する実験室遠心分離機を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1図6において、本発明にしたがう接続構造10が、好ましい実施形態で様々な図において示される。
【0030】
部分的にのみ示される遠心ロータ12と、さらに図示しない遠心モータの、部分的にのみ示されるドライブシャフト14との間の接続構造10は、第1ロック要素としての8つのばね要素16を有し、8つのばね要素16は共通のばねクラウン18上に設けられることがわかる。
【0031】
ばねクラウン18は、ばね要素16がドライブシャフト14の円筒セクション22から等距離に延在するように、ボルト20によってドライブシャフト14に同心的にボルト留めされている。これにより、ばね要素16は足部26を形成する突出部24を有し、その基部28は、図6に示されるばね要素16の弛緩状態において、シャフト軸Wに対する径方向平面に関して傾斜している。さらに、突出部24は、面取り部30を有し、面取り部30はそれぞれのばね要素16の長手方向延長に傾斜している。
【0032】
ばね要素16は接合部32によってばねクラウン18に接続される。接合部32は、シャフト軸Wに向かう足部26の弾性可逆的な動きを可能にする。弾性をもたらすために、ばね要素16は、ばねクラウン18と一体化しており、たとえば熱可塑性物質またはばね鋼で作製される。
【0033】
したがって、ばね要素16は、それぞれの接合部32を介してばねクラウン18に対して枢動するように構成された、第1ロック要素として作用するレバーアームを形成する。
【0034】
ドライブシャフト14の円筒セクション22と円錐セクション34との間の遷移部には、径方向に延在する段差36が配置され、その径方向深さは、足部26が円錐セクション34の円錐形状の経路上へまたは円錐形状の経路の背後に完全に動かされることができるように、少なくとも足部26の径方向幅に対応する。
【0035】
遠心ロータ12のハブ38は、ドライブシャフト14の対応する外側六角形42に対応するとともにトルクを伝達するように機能する、組み込まれた内側六角形40を伴う、ドライブシャフト14のための受容空間39を有する。優先的には、このような内側六角形40は、ハブ38よりも硬質な材料で作製され、たとえばねじ込まれてまたは縮込まれて、このハブ38に固定される。
【0036】
したがって、ドライブシャフト14から遠心ロータ12へのトルクの伝達は、ポジティブロック接続40,42を介して行われる。示された六角形設計の代替として、たとえば八角形設計など別の多角形設計があってもよく、またはポジティブロック接続は、実矧ぎ接続もしくはドライブピン-溝接続またはトルク伝達を可能にする他のポジティブロック接続によってなされてもよい。
【0037】
ハブ38は、ドライブシャフト14の円錐セクション34に対応するとともに、ドライブシャフト14上における遠心ロータ12の完全に位置合わせされた嵌合および摩擦嵌合を提供するように機能する、内側円錐44をさらに含む。このような内側円錐44は、内側円筒46に統合し、その直径は、段差36の外径に少なくとも等しいが、好ましくは大きく、ばね要素16の弛緩状態における足部26の外径よりも小さい。
【0038】
さらに、内側円筒46の上方には環状段差48があり、環状段差48は、段差48を囲む周方向隆起部52に属する鉛直方向縁部50によって径方向外側に画定される。この段差48は、第2ロック要素を形成する。縁部50は、弛緩状態における足部26の外径よりもほんのわずかに大きい内径を囲む。これにより、確実なロックを保証しながら、さらにばね要素16の突然の弛緩の間に突出部24が縁部50をたたくことを可能にする。
【0039】
さらに、ハブ38は、蓋形状の閉鎖要素56によって頂部に画定される、隆起部52上方の円筒キャビティ54を有する。ハブ38にねじ込まれ得るこのような閉鎖要素56には、たとえば、作動要素60が摺動して移動可能なように受容される開口部58がある。
【0040】
作動要素60は押ボタン62の形態の本体62を有し、本体62は、径方向外側に突出するとともに作動要素60の非押圧状態において閉鎖要素56に当接する、その下側セクションにおけるカラー64を有する。
【0041】
隆起部52は、凹部66へ径方向外側に統合する。コイルばね68は、一方ではこのような凹部66に、他方ではカラー64に対して突出する本体62のセクション69とキャビティ54の外周との間に設けられ、上方向に、すなわち作動要素60の作動方向Bに逆らって作動要素60を予圧する。これにより、コイルばね68は、作動状態から非作動状態へ作動要素60が自動で戻ることを提供する。
【0042】
ここで、この接続構造10は、以下のように機能する。
図1に示される状態において、遠心モータのドライブシャフト14上には、そのハブ38によって遠心ロータ12が配置される。これにより、ばね要素16の突出部24は、面取り部30によってハブ38の円錐セクション44と接触する状態となる。したがって、面取り部30および円錐セクション44は、突出部24がハブ38上で傾くまたは絡まることを防止するロック補助を提供する。
【0043】
同時に、ドライブシャフト14上へハブ38をさらにどんどん動かすことによって、ばね要素16は、内側円筒46に入ることができる範囲まで内側に動かされる。極端な場合においては、足部26が円錐セクション34の円錐形状の経路および段差36の上へ、または円錐セクション34の円錐形状の経路および段差36の背後に完全に動かされることができるように、ばね要素16は円筒セクション22の範囲内で動かされ得る。
【0044】
突出部24が内側円筒46ともはや接触しなくなる範囲までハブ38がドライブシャフト14上へ押された後、ばね要素16は弛緩することができる。突出部24は、縁部50と接触するまで、それらの予圧によってそれら自身で外側に動かされる。これにより、ドライブシャフト14がハブ38からもはや引き抜かれなくなり得るように、足部26は段差48と当接する。作用する遠心力によって、足部26を有するばね要素16は、動作中このようなロック機構が自己ロックであるように、動作中にシャフト軸Wに対して径方向外側に駆動される。
【0045】
図6において、突出部48が足部26の基部28の傾斜に対応する傾斜を有することが示される。これは、足部26と突出部48との間における過度の鉛直方向の遊び、ひいてはドライブシャフト14上におけるハブ38の鉛直方向の「ガタガタ音と揺れること」が防止されるように、遠心ロータ12をドライブシャフト14上へ押す過程において足部26が素早く移動することを可能にする。
【0046】
ばね要素16が突然弛緩したとき、突出部24は縁部50をたたき、はっきりと聞こえるカチッという音を出して、ハブ38とドライブシャフト14との間のロックが確実に起こったことを使用者にはっきりと合図する(図2および図6参照)。
【0047】
より具体的には、図1に示される非偏向基本状態において、レバーアーム16の各々は、シャフト軸(W)に対して鋭角で設けられる。このような角度はα=5°である。図2に示されるロック状態においても、角度はα=5°である。動作中に作用する遠心力によってこのような角度は7°まで増加し、その結果、ロック機構は、動作中、自己ロックになり、図3に示されるロック解除状態において、角度はα=1°になる。これにより、ロック機構は特に確実になりかつ動作が容易で、クリック音が確かにロックを示す。
【0048】
ロック機構を解除するために、押ボタン62は作動方向B、すなわち下方向に動かされなければならない。この結果、シャフト軸Wの方向に向く、カラー64に対して突出する本体62のセクション69上の接触面72は、ばね要素16上に設けられてシャフト軸Wに対してある角度で広がる対合接触面74と接触する(図3参照、ドライブシャフト14の円筒セクション22へ内側に向かうばね要素16の枢動は、図面に関係する理由からここには示されていないが、実際には起こる)。
【0049】
押ボタン62が作動方向Bにさらに下降されるにしたがって、対合接触面74は接触面72に対して摺動する。これにより、ばね要素16上に力がもたらされ、これにより足部26は円錐セクション34の円錐形状の経路の上へまたは円錐形状の経路の背後に完全に動かされ得るまで径方向内側に動かされる。この結果、足部26はもはや段差48に当接しなくなり、ハブ38はドライブシャフト14から引き抜かれることができる。押ボタン62は、その解除後、カラー64が閉鎖要素56に当接するまで(図1参照)、コイルばね68によって上方向に駆動されるように摺動する。
【0050】
開口部58が、作動要素60の円錐対合セクション78に対応する、円錐傾斜を有するセクション76を含むことも示される。この結果、コイルばね68によって作動方向Bに逆らって動かされるとき、作動要素60の傾きは効率的に防止される。
【0051】
第1ロック要素16が、突出部24とこれにより形成される足部26とを有するレバーアーム16として記載されてきたが、これは単なる1つの可能な例示的な設計を含む。ばね要素16は、突出部24および足部26なしで形成されてもよい。これは、ばね要素16がばね鋼で作製される場合に有利である。なぜなら、その時点で、突出部24および足部26の設計は、このような要素のない設計よりも製造の観点からより複雑だからである。第2ロック要素48によるロックは、このとき、レバーアーム16の真っ直ぐに延在する端部(図示せず)を介して極めて簡単に達成され得る。
【0052】
図7は、本発明にしたがう接続構造10が備えられた実験室遠心分離機100を示す。
このような実験室遠心分離機100は通常の態様で形成され、前側部104に設けられる制御盤106と蓋108とを備える、筐体102を有することがわかる。蓋108は、遠心分離機格納部110を閉めるために設けられる。遠心ロータとして遠心分離機格納部110にはスイングアウトロータ12が設けられ、スイングアウトロータ12は、遠心モータのドライブシャフトによって駆動され得る(いずれも図示せず)。
【0053】
ばね要素16がドライブシャフト14上に用いられる実施例が上記に示されたが、ハブに設けられたばね要素が用いられてもよい。
【0054】
さらに、作動要素60は、必ずしも遠心ロータ12のハブ38上に設けられる必要はなく、ドライブシャフト14上に設けられてもよい。
【0055】
上記の図解から、本発明が、いかなる追加の道具を必要としない片手による操作を可能にする、実験室遠心分離機100の遠心ロータ12とドライブシャフト14との間の接続構造10を提供することが明らかになった。この接続において、接続構造10は、ロック状態16,48が常に保証されるように構成され、ロック要素16,48の引っかかりまたは詰まりは起こり得ない。加えて、使用者は、はっきりと目立つカチッという音によって、ロック状態16,48の確かなしるしを受ける。
【0056】
特にことわりがない限り、本発明のすべての構成は自由に組み合わせ可能である。また、特にことわりがない限り、図面の説明に記載される構成は、本発明の構成として他の構成と自由に組み合わせ可能である。例示の実施形態の個々の構成の例示の実施形態の他の構成との組み合わせに対する制限は、明示的に意図されない。加えて、保護対象の構成は方法の構成として再構築および使用されてもよく、方法の構成は保護対象の構成として再構築および使用されてもよい。したがって、このような再構築は自動的に開示されている。
【符号の説明】
【0057】
参照符号の一覧
10 第1の好ましい実施形態に係る本発明にしたがう接続構造
12 遠心ロータ
14 ドライブシャフト
16 第1ロック要素、ばね要素、レバーアーム
18 ばねクラウン
20 ねじ
22 ドライブシャフトの円筒セクション
24 突出部
26 足部
28 基部、第1接続要素16の接触面
30 面取り部
32 接合部
34 ドライブシャフト14の円錐セクション
36 径方向に広がる段差
38 遠心ロータ12のハブ
39 ドライブシャフト14のための受容空間
40 ハブ38の内側六角形
42 ドライブシャフト14の外側六角形
44 ハブ38の内側円錐
46 ハブ38の内側円筒
48 環状段差、第2ロック要素、第2接続要素48の接触面
50 鉛直方向縁部
52 周方向隆起部
54 ハブ38の円筒キャビティ
56 蓋形状の閉鎖要素
58 開口部
60 作動要素
62 押ボタン、作動要素60の本体
64 カラー
66 凹部
68 コイルばね
69 カラー64に対して突出する本体62のセクション
72 接触面
74 対合接触面
76 開口部58の円錐傾斜を有するセクション
78 作動要素60の円錐逆向きセクション
100 実験室遠心分離機
102 筐体
104 筐体102の前側部
106 制御盤
108 蓋
110 遠心分離機格納部
α レバー16とシャフト軸Wとの間の角度
B 作動要素60の作動方向
W シャフト軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7