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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】鍵盤装置
(51)【国際特許分類】
   G10B 3/12 20060101AFI20230324BHJP
【FI】
G10B3/12 130
G10B3/12 111
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021565228
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(86)【国際出願番号】 JP2019049591
(87)【国際公開番号】W WO2021124476
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000116068
【氏名又は名称】ローランド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】高田 征英
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】粕渕 政希
(72)【発明者】
【氏名】澤田 睦夫
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-048436(JP,A)
【文献】実開昭60-019090(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10B 3/12
G10H 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイド部材と、そのガイド部材に回転動作が案内される複数の鍵と、を備え、
前記ガイド部材は、前記鍵の側面視において前方に凸の円弧に沿って形成され前方および後方を向く一対のガイド面を備え、
前記鍵は、一対の前記ガイド面に摺動可能に構成される一対のスライド面を備え、
前記ガイド面および前記スライド面の摺動により、前記鍵の前後方向の変位が規制された状態で前記鍵の回転が案内されることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項2】
押鍵前の初期位置に復帰させる復帰力を前記鍵に付与する復帰手段を備え、
前記鍵は、白鍵と黒鍵とから構成され、
前記復帰手段からの復帰力は、前記白鍵のうち、前記黒鍵よりも前方に位置する部位に付与されることを特徴とする請求項1記載の鍵盤装置。
【請求項3】
前記ガイド面または前記スライド面のいずれか一方は、前記鍵の側面視において前方に凸の円弧面として構成され、いずれか他方は、前記円弧面に向けて突出し前記円弧面に摺動可能に構成される複数の凸部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の鍵盤装置。
【請求項4】
一対の前記ガイド面のそれぞれが前記凸部を備える場合には、一方の前記ガイド面の前記凸部と他方の前記ガイド面の前記凸部とが上下方向において異なる位置に形成され、
一対の前記スライド面のそれぞれが前記凸部を備える場合には、一方の前記スライド面の前記凸部と他方の前記スライド面の前記凸部とが上下方向において異なる位置に形成されることを特徴とする請求項3記載の鍵盤装置。
【請求項5】
一対の前記ガイド面のいずれか一方は、前記鍵の前後方向中央よりも後方に位置し、いずれか他方は、前記鍵の前後方向中央よりも前方に位置することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の鍵盤装置。
【請求項6】
押鍵前の初期位置に復帰させる復帰力を前記鍵に付与する復帰手段を備え、
前記復帰手段からの復帰力は、一対の前記ガイド面の間の領域で前記鍵に付与されることを特徴とする請求項5記載の鍵盤装置。
【請求項7】
前記鍵は、前記鍵の後面から後方に延びる基部と、その基部の先端から左右方向に張り出すように形成され前記スライド面が後面または前面の少なくとも一方に形成されるスライド部と、を備え、
前記ガイド部材は、前記基部の左右方向の変位を規制可能に構成される規制部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の鍵盤装置。
【請求項8】
前記スライド面は、前記鍵の側面視において前記スライド部よりも後方下側に位置する基準点を中心にした円弧面として構成され、
前記スライド部は、上下方向での離型に対するアンダーカットを有さない形状であることを特徴とする請求項7記載の鍵盤装置。
【請求項9】
前記ガイド部材は、上下に延びる柱状の柱状部を備え、
前記ガイド面は、前記柱状部の前面および後面に形成され、
前記スライド面は、前記鍵の後面および前記スライド部の前面に形成され、
前記鍵は、左右に所定間隔を隔てる一対の前記基部および前記スライド部を備え、
前記一対の前記基部の弾性変形により、前記柱状部の前方から一対の前記基部および前記スライド部の嵌め込みが可能に構成されることを特徴とする請求項7記載の鍵盤装置。
【請求項10】
前記柱状部は、前記柱状部の前面に形成され上下に延びる溝状の溝部を備え、
前記鍵は、前記鍵の後面から後方に突出し前記溝部にスライド可能に挿入される挿入部を備え、
前記溝部と前記挿入部との引っ掛かりによって前記鍵の左右方向の変位が規制されることを特徴とする請求項9記載の鍵盤装置。
【請求項11】
前記ガイド部材の前面または前記鍵の後面のいずれか一方には、前後に延びる基部と、その基部の先端から左右方向に張り出すように形成され前記スライド面または前記ガイド面が前後の両面に形成されるスライド部と、が設けられ、
前記ガイド部材の前面または前記鍵の後面のいずれか他方には、前記基部および前記スライド部がスライド可能に嵌め込まれ前記スライド面または前記ガイド面が前後の両面に形成されるガイド孔が設けられ、
前記ガイド孔に前記基部および前記スライド部が嵌め込まれた状態で、前記ガイド部材と前記鍵とが互いに融着しない樹脂材料を用いて一体成形されることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の鍵盤装置。
【請求項12】
前記ガイド孔と、前記基部および前記スライド部との上下方向寸法が同一に設定されることを特徴とする請求項11記載の鍵盤装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍵盤装置に関し、特に、鍵の操作性の低下を抑制できる鍵盤装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の第1図に示されるように、アコースティックピアノの鍵の回転中心2は、鍵の前端(演奏者側)から比較的離れた後端側に位置している。これに対して特許文献1には、第2図に示されるように、回動支持部27の円弧面に沿って鍵を回転させる鍵盤楽器が記載されている。この鍵盤楽器では、回動支持部27の円弧面の中心O、即ち、鍵の回転中心Oが鍵の後端よりも十分後方側に位置しているため、鍵の回転軌跡をアコースティックピアノの鍵に近似させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平02-167594号公報(例えば、第2頁第5欄第2~17行目第1,2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術では、復帰用ばね35の弾性力によって回動支持部27に鍵を押し付ける構成であるため、復帰用ばね35の弾性力に抗する力が鍵に作用すると鍵が前方側に変位することがある。よって、鍵の操作性(タッチ感)が低下することがあるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、鍵の操作性の低下を抑制できる鍵盤装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明の鍵盤装置は、ガイド部材と、そのガイド部材に回転動作が案内される複数の鍵と、を備え、前記ガイド部材は、前記鍵の側面視において前方に凸の円弧に沿って形成され前方および後方を向く一対のガイド面を備え、前記鍵は、一対の前記ガイド面に摺動可能に構成される一対のスライド面を備え、前記ガイド面および前記スライド面の摺動により、前記鍵の前後方向の変位が規制された状態で前記鍵の回転が案内される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】(a)は、第1実施形態における鍵盤装置の上面図であり、(b)は、鍵盤装置の斜視図である。
図2図1(a)のII-II線における鍵盤装置の断面図である。
図3図2の状態から白鍵が押鍵された状態を示す鍵盤装置の断面図である。
図4】第2実施形態における鍵盤装置の断面図である。
図5】(a)は、第3実施形態における鍵盤装置の部分拡大断面図であり、(b)は、第4実施形態における鍵盤装置の断面図である。
図6】(a)は、第5実施形態における白鍵および後部ガイド部材の分解斜視図であり、(b)は、白鍵および後部ガイド部材の斜視図であり、(c)は、図6(b)の矢印VIc方向視における白鍵および後部ガイド部材の部分拡大側面図である。
図7】(a)は、第6実施形態における白鍵および後部ガイド部材の斜視図であり、(b)は、図7(a)の矢印VIIb方向視における白鍵および後部ガイド部材の部分拡大側面図である。
図8】(a)は、図7(b)のVIIIa-VIIIa線における白鍵および後部ガイド部材の部分拡大断面図であり、(b)は、図8(a)のVIIIb-VIIIb線における白鍵の部分拡大断面図である。
図9】(a)は、第7実施形態における白鍵および後部ガイド部材の斜視図であり、(b)は、図9(a)のIXb方向視における白鍵および後部ガイド部材の部分拡大側面図であり、(c)は、図9(b)のIXc-IXc線における白鍵および後部ガイド部材の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、第1実施形態の鍵盤装置1の全体構成について説明する。図1(a)は、第1実施形態における鍵盤装置1の上面図であり、図1(b)は、鍵盤装置1の斜視図である。
【0009】
なお、図1(b)では、鍵盤装置1の一部(例えば、複数の鍵2の一部や、パネル3)の図示を省略している。また、図1の矢印U-D方向、F-B方向、L-R方向は、それぞれ鍵盤装置1の上下方向、前後方向、左右方向を示しており、以降の図においても同様とする。
【0010】
図1(a)に示すように、鍵盤装置1は、樹脂材料を用いて形成される複数(本実施形態では、88個)の鍵2と、それら複数の鍵2の周囲を取り囲むパネル3と、を備える鍵盤楽器(電子ピアノ)として構成される。鍵2は、幹音を演奏するための複数(本実施形態では、52個)の白鍵10と、派生音を演奏するための複数(本実施形態では、36個)の黒鍵20と、から構成され、それら複数の白鍵10及び黒鍵20が左右(矢印L-R方向)に並べて設けられる。
【0011】
パネル3は、正面パネル3aと、その正面パネル3aと前後方向(矢印F-B方向)で対向配置される背面パネル3bと、正面パネル3a及び背面パネル3bの左右方向端部同士を接続する一対の端パネル3cとを備え、それら正面パネル3a、背面パネル3b、及び、一対の端パネル3cによって白鍵10及び黒鍵20が取り囲まれる。
【0012】
背面パネル3bの上面には、例えば、LEDや液晶ディスプレイなどから形成され各種の状態を表示するための表示装置、ボリューム調整やモード変更などを行うための複数の操作子などが設けられる(いずれも図示せず)。また、背面パネル3bの背面には、例えば、電源スイッチ、MIDI信号やオーディオ信号を入出力するための複数のジャックなどが設けられる(いずれも図示せず)。
【0013】
図1(b)に示すように、鍵盤装置1には、合成樹脂や鋼板等を用いて形成される板状のシャーシ4が左右方向(矢印L-R方向)に延びるように設けられる。シャーシ4の上面には、鍵2を支持するためのベース部材5が固定される。
【0014】
ベース部材5の後端側(矢印B側)の上面には、鍵2の後端部分の回転を案内するための後部ガイド部材6が固定される。後部ガイド部材6は、ベース部材5の上面から上方に突出して形成される第1ガイド部60及び第2ガイド部61を備えている。第1ガイド部60及び第2ガイド部61は、前後に所定の間隔を隔てて配置されており、第1ガイド部60及び第2ガイド部61との間には鍵2の回転を案内するための隙間が形成される。
【0015】
白鍵10及び黒鍵20の後端部からは、左右に所定間隔を隔てる一対の板状の基部11が後方に突出している。一対の基部11の先端(後端)からは、スライド部12が左右方向内側に張り出しており、一対の基部11同士がスライド部12によって接続される。基部11及びスライド部12は、それぞれ板状に形成されている。
【0016】
第1ガイド部60及び第2ガイド部61は、ベース部材5に対して着脱可能に構成されており、第1ガイド部60と第2ガイド部61との間の隙間にスライド部12を挟んだ状態で第1ガイド部60及び第2ガイド部61をベース部材5に固定することにより、白鍵10及び黒鍵20の後端部分がベース部材5に回転可能に支持される。
【0017】
次いで、図2,3を参照して、鍵盤装置1の詳細構成について説明する。図2は、図1(a)のII-II線における鍵盤装置1の断面図であり、図3は、図2の状態から白鍵10が押鍵された状態を示す鍵盤装置1の断面図である。なお、図3では、図面を簡素化するために、鍵盤装置1の一部(例えば、黒鍵20)の図示を省略している。
【0018】
なお、以下の説明においては、白鍵10の構成について説明するが、白鍵10の押鍵または離鍵に連動してハンマー7を回転させる構成、そのハンマー7の回転やスライド部12のスライドによって白鍵10の変位を案内する構成は、黒鍵20においても実質的に同一である。よって、以下に説明する白鍵10の構成による作用、効果は、黒鍵20においても同様に奏するものである。
【0019】
図2及び図3に示すように、鍵盤装置1の後部ガイド部材6は、第1ガイド部60の前面(矢印F側の面)に形成されるガイド面60aと(図2,3の拡大部分参照)、第2ガイド部61の後面(矢印B側の面)に形成されるガイド面61aと、を備える。ガイド面60aは、側面視において前方側に凸の円弧状に形成され、ガイド面61aには、後方側に向けて突出する凸部61bが形成される。凸部61bは、ガイド面61aの上端側から複数(本実施形態では、2個)並べて設けられる。
【0020】
ガイド面60aと凸部61bとの対向間隔は、スライド部12の板厚と同一に(又は、僅かに大きく)設定されており、ガイド面60aと凸部61bとの間にスライド部12がスライド(摺動)可能に挿入される。即ち、スライド部12の後面は、ガイド面60aに沿ってスライドするスライド面12aとして構成され、スライド部12の前面は、ガイド面61aの凸部61bの頂部に沿ってスライドするスライド面12bとして構成されている。
【0021】
これにより、白鍵10の押鍵時には(図3参照)、ガイド面60aとスライド面12aとのスライドによって白鍵10の後方側(矢印B側)への変位を規制した状態で白鍵10の回転を案内できる。また、ガイド面61a(凸部61b)とスライド面12bとのスライドによって白鍵10の前方側(矢印F側)への変位を規制した状態で白鍵10の回転を案内できる。よって、押鍵時に白鍵10が前後に変位することを抑制できるので、白鍵10の押鍵時の操作性(タッチ感)が低下することを抑制できる。
【0022】
ベース部材5の前後方向略中央部分には、左右方向(矢印L-R方向)に沿う軸70回りにハンマー7が回転可能に連結される。ハンマー7は、白鍵10の押鍵時の感触を付与するための質量部71と、白鍵10の押鍵時にスイッチSを押し込むための押圧部72と、から構成される。
【0023】
ハンマー7のうち、軸70よりも後方側(矢印B側)の部位が質量部71であり、軸70よりも前方側(矢印F側)の部位が押圧部72である。押圧部72の上面には、下方に凹む受け部73が形成される。
【0024】
白鍵10の下面からは突起部13が下方に突出して形成され、この突起部13の下端がハンマー7の受け部73の底面に接触している。受け部73の底面は、突起部13の下端が前後にスライドするスライド面として構成されている。よって、白鍵10の押鍵時には(図3参照)、白鍵10の突起部13が受け部73の底面に沿ってスライドすることでハンマー7が軸70回りに回転し、このハンマー7の回転によって質量部71が持ち上がるように変位する。質量部71は、押鍵の感触を付与できる程度の重量を有しているため、ハンマー7の回転に伴う反力により、白鍵10を押鍵した際の感触が演奏者に付与される。
【0025】
一方、白鍵10が押鍵された際に押圧部72が下方に変位するが、押圧部72の下方には、上面にスイッチSを有する基板8が設けられるため、白鍵10が押鍵されることでスイッチSが押圧部72によって押し込まれる。このスイッチSのオン/オフ動作によって白鍵10の押鍵情報(ノート情報)が検出され、その検出結果に基づく楽音信号が外部に出力される。
【0026】
押圧部72によってスイッチSが押し込まれた状態(図3の状態)が白鍵10の押鍵の終端位置であり、この押鍵の終端位置から白鍵10が離鍵されると、ハンマー7の質量部71の重量によってハンマー7が初期位置(図2の状態)に戻るように回転する。このハンマー7の回転時には、突起部13が受け部73の底面に沿ってスライドしつつ持ち上げられることで白鍵10を初期位置に復帰させる復帰力が付与される。この復帰力による白鍵10の上方への変位は、離鍵ストッパ14によって規制される。
【0027】
離鍵ストッパ14は、白鍵10の下面から下方に突出する突出部14aと、その突出部14aの突出方向と直行する方向(本実施形態では、前方側)に屈曲する屈曲部14bと、を備える。ベース部材5の前端側の上面にはストッパ部材50が固定され、ストッパ部材50には、屈曲部14bと上下で対向する位置に緩衝材51が接着される。よって、緩衝材51に離鍵ストッパ14の屈曲部14bが接触することで離鍵時の白鍵10の上方への変位が規制される。
【0028】
このような離鍵時や押鍵時における白鍵10の回転は、上述した通り、後部ガイド部材6によって案内されるが、後部ガイド部材6は、白鍵10の左右の変位を規制する機能も有している。即ち、後部ガイド部材6の第2ガイド部61は、白鍵10の一対の基部11とスライド部12とによって取り囲まれる空間に収容されており、第2ガイド部61の左右方向寸法は、一対の基部11同士の対向間隔と同一に(又は、僅かに小さく)設定されている。
【0029】
これにより、基部11の左右方向の変位を第2ガイド部61によって規制できる。言い換えると、後部ガイド部材6の第2ガイド部61は、白鍵10の回転を案内する機能と、基部11の左右方向の変位を規制する規制部としての機能とを有している。よって、部品点数を低減できる。
【0030】
ここで、アコースティックピアノの鍵の回転中心は、鍵の上面(押鍵が可能な領域)よりも後方下側の比較的離れた位置に配置されるが、以下の説明においては、この回転中心を基準点Pと定義して説明する。
【0031】
この白鍵10(黒鍵20)における基準点Pとは、白鍵10の側面視においてスライド部12(スライド面12a,12b)よりも後方下側に位置する点であって、初期状態における白鍵10の上面の前端からの距離が水平方向で後方200mm以上500mm以下、垂直方向で下方0mm以上100mm以下となる位置にある点である。
【0032】
後部ガイド部材6のガイド面60a、及び、白鍵10のスライド面12a,12bは、基準点Pを中心にした円弧状に形成される。また、ガイド面61aに形成される複数の凸部61bの頂部は、それぞれ基準点Pを中心にした円弧上に位置している。よって、ガイド面60a,61a(凸部61b)とスライド面12a,12bとのスライドにより、白鍵10の全体を基準点P回りに回転させることができるので、白鍵10の回転軌跡をアコースティックピアノの鍵と同一にできる。
【0033】
そして、スライド面12a,12bが基準点Pを中心にした円弧上に形成されているため、上下方向での離型に対するアンダーカットを有さない形状にスライド部12を形成できる。
【0034】
即ち、従来の技術(特開平02-167594号公報)では、鍵のスライド面(回動支点部23)は、そのスライド面と前後で重なる位置にある基準点(回動支点部23の中心O)を中心にした円弧状に形成される。このような構成の場合、スライド面がアンダーカットを有する形状となり、鍵の上下方向のみでの離型が難しくなるため、金型の製造コストが増大する(上型および下型に加えてスライドコアが必要になる)。
【0035】
これに対して本実施形態では、スライド部12の前面および後面に形成されるスライド面12a,12bは、スライド部12よりも後方下側に位置する基準点Pを中心にした円弧状に形成される。これにより、白鍵10の上下方向の離型に対するアンダーカットがスライド面12a,12b(スライド部12)に生じないため、白鍵10を成形する際の金型の製造コストを低減できる。
【0036】
ここで、例えば、単にスライド部12のスライドを案内することを目的とするのであれば、ガイド面60aと同様、ガイド面61aも基準点Pを中心にした円弧状に形成する構成でも良い。しかしながら、そのような構成では、スライド時の接触面積が大きくなるため、その分、円弧面の形状に精度が必要になる。言い換えると、円弧面同士のスライドをスムーズにさせるためには、互いの面形状を一致させる必要があるが、そのような円弧面の精度を出すことが難しいため、スライド時にガタツキが生じやすい。
【0037】
これに対して本実施形態では、スライド面12bは、側面視において前方に凸の円弧状に形成され、ガイド面61aには、スライド面12bに沿ってスライドする複数の凸部61bが形成される。これにより、ガイド面61aとスライド面12bとを共に円弧面とする場合に比べ、スライド面12bに対するガイド面61aの接触面積を小さくできる。よって、ガイド面61a(凸部61b)とスライド面12bとのスライドをスムーズにできるので、白鍵10の押鍵時の操作性(タッチ感)が低下することを抑制できる。
【0038】
次いで、図4~8を参照して、第2~第7実施形態について説明する。なお、以下に説明する第2~7実施形態においては、白鍵210,410,510,610,710の構成について説明するが、かかる構成による作用、効果は黒鍵20においても同様に奏するものである。
【0039】
まず、図4を参照して、第2実施形態の鍵盤装置201について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。図4は、第2実施形態における鍵盤装置201の断面図である。
【0040】
図4に示すように、第2実施形態の鍵盤装置201の後部ガイド部材206は、第1実施形態の第1ガイド部60(図3参照)が省略され、第2ガイド部261のみを備えている。第2ガイド部261は、その後面(矢印B側の面)のガイド面261aが基準点Pを中心にした円弧状に形成される(凸部61bが省略される)点を除き、第1実施形態の第2ガイド部261と同一の構成である。よって、この第2ガイド部261のガイド面261aに沿ったスライド部12(スライド面12b)のスライドにより、白鍵210の後端側の回転が案内される。
【0041】
一方、白鍵210の前端側(矢印F側)の回転は、前部ガイド部材252によって案内される。前部ガイド部材252は、ハンマー7よりも前方側でベース部材5に固定され、前部ガイド部材252の前面はガイド面252aとして構成される。
【0042】
ガイド面252aには、離鍵ストッパ14の後面であるスライド面14cが接触しており、それらガイド面252a及びスライド面14cは、それぞれ基準点Pを中心にした円弧状に形成される。
【0043】
このように、第2実施形態では、ガイド面261a,252aとスライド面12b,14cとのスライドにより、白鍵210の前後方向の変位が規制された状態で白鍵210の回転が案内される。よって、白鍵210の押鍵時の操作性(タッチ感)が低下することを抑制できる。
【0044】
また、後部ガイド部材206のガイド面261aは、白鍵210の後端側に位置し、前部ガイド部材252のガイド面252aは、白鍵210の前端側(前後方向中央よりも前方)に位置している。これにより、第1実施形態に比べ、白鍵210の回転を前後で離れた2点で案内できるので、白鍵210の回転をスムーズに案内できる。よって、白鍵210の押鍵時の操作性(タッチ感)が低下することを抑制できる。
【0045】
そして、離鍵ストッパ14の後面をスライド面14cとすることにより、白鍵210の離鍵時の変位を規制する機能と、白鍵210の前端側の回転を案内する機能とを離鍵ストッパ14に持たせることができる。よって、部品点数を低減できる。
【0046】
ここで、ハンマー7の復帰力は、受け部73と突起部13との接触位置から白鍵210に付与されているため、突起部13よりも前方側で白鍵210が押鍵されると、かかる接触位置を支点にして白鍵210が回転しようとする(白鍵210の後端側が上方に変位しようとする)。この場合、第1実施形態のように(図3参照)、ガイド面60a,61aとスライド面12a,12bとのそれぞれが突起部13よりも後方側に位置する構成であると、上述の接触位置を支点にした白鍵210の回転により、ガイド面60a,61aとスライド面12a,12bとのスライドにガタツキが生じやすくなる。
【0047】
これに対して本実施形態では、ハンマー7からの復帰力は、一対のガイド面261a,252aの間の領域で白鍵210に付与される。これにより、受け部73と突起部13との接触位置よりも前方側が押鍵された場合でも、第1実施形態の構成に比べてガイド面261a,252aとスライド面12b,14cとのスライドにガタツキが生じることを抑制できる。よって、白鍵210の回転をスムーズに案内できるので、白鍵210の押鍵時の操作性(タッチ感)が低下することを抑制できる。
【0048】
次いで、図5を参照して、第3,4実施形態について説明する。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。図5(a)は、第3実施形態における鍵盤装置301の部分拡大断面図であり、図5(b)は、第4実施形態における鍵盤装置401の断面図である。
【0049】
図5(a)に示すように、第3実施形態の鍵盤装置301は、弾性部材309(本実施形態では、ねじりコイルばね)を追加した点を除き、第2実施形態の鍵盤装置201と同一の構成である。弾性部材309は、ベース部材5の上面とスライド部12の後面との間に設けられており、弾性部材309の弾性力により白鍵210のスライド部12(スライド面12b)が第2ガイド部261のガイド面261aに押し付けられている。
【0050】
これにより、ガイド面261aに対するスライド面12bのスライド時にガタツキが生じることを抑制できる。よって、白鍵210の回転をスムーズに案内できるので、白鍵210の押鍵時の操作性(タッチ感)が低下することを抑制できる。
【0051】
そして、白鍵210の前端側においては、前部ガイド部材252(図4参照)のガイド面252aと離鍵ストッパ14のスライド面14cとが前後で対面している。よって、弾性部材309の劣化等によってガイド面261aに向けたスライド部12の押し付け力が弱まった(無くなった)場合には、ガイド面261a,252aとスライド面12b,14cとのスライドにより、白鍵210の前後方向の変位を規制した状態で白鍵210の回転を案内できる。よって、白鍵210の押鍵時の操作性(タッチ感)が低下することを抑制できる。
【0052】
なお、本実施形態では、前部ガイド部材252のガイド面252a(図4参照)によって白鍵210の前端側の変位を案内している(白鍵210の後方側への変位を規制している)が、弾性部材309を用いる場合には、前部ガイド部材252を省略しても良い。
【0053】
図5(b)に示すように、第4実施形態の鍵盤装置401の後部ガイド部材406は、第2ガイド部461のガイド面461aが基準点Pを中心にした円弧状に形成される(凸部61bが省略される)点を除き、第1実施形態の後部ガイド部材6と同一の構成である。よって、第1ガイド部60及び第2ガイド部461のガイド面60a,461aに沿ったスライド部12(スライド面12a,12b)のスライドにより、白鍵410の回転が案内される。
【0054】
白鍵410の突起部413は、白鍵410の前後方向(矢印F-B方向)中央よりも前方側(黒鍵20の前端よりも前方側)に位置しており、離鍵ストッパ414は、白鍵410の後端の下面に設けられている。
【0055】
離鍵ストッパ414は、白鍵10の下面から下方に突出する突出部414aと、その突出部414aの突出方向と直行する方向(本実施形態では、後方側)に屈曲する屈曲部414bと、を備える。シャーシ4の前端側の上面にはストッパ部材450が固定され、ストッパ部材450には、屈曲部414bと上下で対向する位置に緩衝材451が接着される。よって、緩衝材451に離鍵ストッパ414の屈曲部414bが接触することで離鍵時の白鍵410の上方への変位が規制される。
【0056】
ハンマー407は、白鍵410の前後方向中央よりも後方側に位置する軸470に軸支され、その軸470よりも前方側に位置する受け部473の底面に白鍵410の突起部413が接触している。
【0057】
ここで、上述した通り、受け部473と突起部413との接触位置よりも前方側で白鍵410が押鍵されると、かかる接触位置を支点にして白鍵410が回転しようとする。しかし、本実施形態では、受け部473と突起部413との接触位置は、黒鍵20の前端よりも前方側(白鍵410の上面の押鍵可能領域における前後方向中央よりも前方側)に位置している。
【0058】
具体的には、白鍵410は、その後端から前方側に延びる幅狭部(黒鍵20同士の間に位置する部位)と、その幅狭部の前端に接続され幅狭部よりも左右方向寸法が大きい幅広部(黒鍵20よりも前方側に位置する部位)と、から構成される(図1参照)。そして、受け部473と突起部413との接触位置は、白鍵410の幅広部の下方に位置している。
【0059】
これにより、受け部473と突起部413との接触位置よりも後方側が押鍵され易くなるので、白鍵410の押鍵時に、かかる接触位置を支点にして白鍵410が回転することを抑制できる。よって、ガイド面60a,461aとスライド面12a,12bとのスライドにガタツキが生じることを抑制できる。
【0060】
次いで、図6を参照して、第5実施形態について説明する。図6(a)は、第5実施形態における白鍵510及び後部ガイド部材506の分解斜視図であり、図6(b)は、白鍵510及び後部ガイド部材506の斜視図であり、図6(c)は、図6(b)の矢印VIc方向視における白鍵510及び後部ガイド部材506の部分拡大側面図である。
【0061】
なお、図6では、後部ガイド部材506と白鍵510の後端側の一部とを模式的に図示しており、その他の部材(例えば、後部ガイド部材を支持するベース部材5や、白鍵に復帰力を付与するハンマー7等)の図示を省略しており、後述する図7~9においても同様とする。
【0062】
図6に示すように、第5実施形態の白鍵510の後端部(矢印B側の端部)からは基部511が後方に突出しており、その基部511の先端(後端)から左右方向(矢印L-R方向)にスライド部512が張り出している。スライド部512の前面(矢印F側の面)がスライド面512a(図6(c)参照)であり、スライド面512aは、前方側に凸の円弧状に形成される。また、スライド面512aの上下方向(矢印U-D方向)略中央部分には、前方側に向けて突出する凸部512bが形成される。
【0063】
白鍵510の後端面(スライド面512aと前後で対向する面)は、スライド面510aとして構成され、スライド面510aは、前方側に凸の円弧状に形成される。また、スライド面510aには、後方側に向けて突出する凸部510bが形成される。凸部510bは、スライド面510aの上端側から複数(本実施形態では、2個)並べて設けられる。
【0064】
これら白鍵510のスライド面510a,512aが後部ガイド部材506に対してスライドすることにより、白鍵510の回転が案内される。後部ガイド部材506は、白鍵510のスライド部512が挿入される本体部562と、その本体部562に白鍵510を固定するための固定部563と、を備えている。
【0065】
左右に貫通する貫通孔562aが本体部562の前端側に形成されることにより、本体部562には上下に延びる円弧状のリブ562bが形成される。リブ562bは、その前面および後面がガイド面562c,562dとして構成される(ガイド面562dについては、図6(c)参照)。ガイド面562c,562dは、それぞれ前方側に凸の円弧状に形成される。
【0066】
後部ガイド部材506の貫通孔562aに白鍵510のスライド部512を挿入することにより(図6(c)参照)、スライド面510aの凸部510bとガイド面562dとのスライドが可能となり、スライド面512aの凸部512bとガイド面562cとのスライドが可能となる。これにより、白鍵510の前後方向の変位を規制した状態で白鍵510の回転を案内できるので、白鍵510の押鍵時の操作性(タッチ感)が低下することを抑制できる。
【0067】
ガイド面562c,562dは、上述した基準点P(図2,3参照)を中心にした円弧状に形成される。また、凸部510b,512bの頂部は、それぞれ基準点Pを中心にした円弧上に位置している。これにより、白鍵510の全体を基準点P回りに回転させることができるので、白鍵510の回転軌跡をアコースティックピアノの鍵と同一にすることができる。
【0068】
また、スライド面510a,512aに形成される凸部510b,512bをガイド面562c,562dに沿ってスライドさせる構成であるため、円弧面同士でスライドさせる場合に比べ、スライド面510a,512aとガイド面562c,562dとのスライドをスムーズにできる。よって、白鍵510の押鍵時の操作性(タッチ感)が低下することを抑制できる。
【0069】
このように、スライド面510a,512aとガイド面562c,562dとのスライドをスムーズにするためには、スライド面510a,512aに形成する凸部510b,512bの個数(接触面積)を極力減らすことが好ましい。よって、本実施形態では、スライド面510a,512aの上端側から下端側にかけて凸部510b,512bを互い違いに(スライド面510a側と、スライド面512a側とに交互に)形成している。
【0070】
つまり、スライド面510aの凸部510bとスライド面512aの凸部512bとが上下方向において異なる位置に形成される(凸部510bの突出方向視において凸部510bと凸部512bとが重ならない位置に形成される)ため、凸部510b,512bの形成個数を減らしつつ、スライド面510a,512aとガイド面562c,562dとをスムーズにスライドさせることができる。
【0071】
特に、本実施形態では、スライド面510a,512aに形成される3つの凸部510b,512bをガイド面562c,562dにスライドさせる構成であるため、凸部510b,512bの形成個数を最少にできる。よって、スライド面510a,512aとガイド面562c,562dとのスライドをよりスムーズにできる。
【0072】
なお、本実施形態では、スライド面510a,512aに凸部510b,512bを形成しているが、スライド面510a,512aの凸部510b,512bを省略し、ガイド面562c,562d側に複数の凸部を形成することは当然可能である。
【0073】
本体部562の後端側には、左右に貫通する貫通孔562eが形成されており、この貫通孔562eに固定部563が固定される。固定部563は板状に形成され、固定部563の後端側からは、上下一対の爪部563a,563bが本体部562側に向けて突出している。
【0074】
固定部563の上端側に位置する爪部563aの先端には、上方に突出する引っ掛け部563cが形成され、固定部563の下端側に位置する爪部563bの先端には、下方に突出する引っ掛け部563dが形成される。
【0075】
引っ掛け部563cの上面は、爪部563aの先端に近づくにつれて下降傾斜するテーパ面として構成され、引っ掛け部563dの下面は、爪部563bの先端に近づくにつれて上昇傾斜するテーパ面として構成されている。よって、本体部562の貫通孔562eに爪部563a,563bを挿入することにより、貫通孔562eの上面および下面の縁部と引っ掛け部563c,563dのテーパ面との摺動によって爪部563a,563bが弾性変形するため、貫通孔563eへの爪部563a,563bの固定を容易に行えるようになっている。
【0076】
爪部563a,563bを貫通孔562eに挿入し、引っ掛け部563c,563dを貫通孔562eの縁部に引っ掛けることにより、本体部562に固定部563が固定される。
【0077】
本体部562に固定部563が固定された固定状態においては、本体部562のリブ562bと固定部563とによって白鍵510の基部511が挟まれた状態となっている。これにより、基部511の左右方向の変位を後部ガイド部材506によって規制することができる。即ち、後部ガイド部材506は、白鍵510の回転を案内する機能と、基部511の左右方向の変位を規制する規制部としての機能とを有しているため、部品点数を低減できる。
【0078】
次いで、図7,8を参照して、第6実施形態について説明する。図7(a)は、第6実施形態における白鍵610及び後部ガイド部材606の斜視図であり、図7(b)は、図7(a)の矢印VIIb方向視における白鍵610及び後部ガイド部材606の部分拡大側面図である。図8(a)は、図7(b)のVIIIa-VIIIa線における白鍵610及び後部ガイド部材606の部分拡大断面図であり、図8(b)は、図8(a)のVIIIb-VIIIb線における白鍵610の部分拡大断面図である。なお、図8(b)では、後部ガイド部材606を省略した断面を図示している。
【0079】
図7,8に示すように、第6実施形態の白鍵610の後端部(矢印B側の端部)からは、左右一対の基部611が後方に突出しており、それら一対の基部611の先端(後端)からは、左右方向(矢印L-R方向)内側に向けて一対のスライド部612が張り出している。スライド部612の前面(矢印F側の面)がスライド面612aであり、スライド面612aは、前方側に凸の円弧状に形成される。
【0080】
白鍵610の後端面は、スライド面612aよりも下方に位置するスライド面610aと、そのスライド面610aの上端から上方に延びる直線状の直線面610bと、から構成される。スライド面610aは、前方側に凸の円弧状に形成される。白鍵610のスライド面610a,612aが後部ガイド部材606に対してスライドすることにより、白鍵610の回転が案内される。
【0081】
後部ガイド部材606は、上下に延びる柱状の柱状部664を備えている。柱状部664は、断面矩形に形成され、柱状部664の前面および後面がガイド面664a,664bとして構成される。ガイド面664a,664bは、前方側に凸の円弧状に形成される。
【0082】
柱状部664の左右方向寸法は、一対の基部611の対向間隔と同一(又は、僅かに小さく)設定されており、それら一対の基部611の対向間に柱状部664が嵌め込まれる。その嵌め込み状態においては、柱状部664のガイド面664a,664bと、白鍵610のスライド面610a,612aとがスライド可能に接触する。これにより、白鍵610の前後方向の変位を規制した状態で白鍵610の回転を案内できるので、白鍵610の押鍵時の操作性(タッチ感)が低下することを抑制できる。
【0083】
更に、柱状部664の左右方向寸法は、一対の基部611の対向間隔と同一(又は、僅かに小さく)設定されるため、基部611の左右方向の変位を柱状部664によって規制できる。これにより、白鍵610の回転を案内する機能と、基部611(白鍵610)の左右方向の変位を規制する規制部としての機能とを後部ガイド部材606に持たせることができるので、部品点数を低減できる。
【0084】
また、スライド面610a,612a及びガイド面664a,664bは、それぞれ上述した基準点P(図2,3参照)を中心にした円弧状に形成される。これにより、白鍵610の全体を基準点P回りに回転させることができるので、白鍵610の回転軌跡をアコースティックピアノの鍵と同一にすることができる。
【0085】
ここで、上述した第1実施形態では、白鍵10のスライド面12a,12b(図2,3参照)が基準点Pを中心にした円弧状に形成されることにより、上下方向の離型に対するアンダーカットが生じない点について説明したが、これは、スライド面12a,12bが互いに対向していないためである。つまり、本実施形態のようにスライド面610a,612aが互いに対向する向きに形成される場合、スライド面610a,612aを基準点Pを中心にした円弧状に形成しても、前後方向視でスライド面610a,612a同士の一部が重なる構成であると、上下方向での離型に対するアンダーカットが生じてしまう。
【0086】
これに対して本実施形態では、基部611及びスライド部612が白鍵610の上端側に形成されているため、白鍵610の後面のスライド面610aとスライド部612のスライド面612aとが上下方向において異なる位置に形成される(白鍵610の前後方向視においてスライド面610aとスライド面612aとが重ならない位置に形成される)。これにより、スライド面610a,612aが互いに対向する向きに形成される場合であっても、白鍵610の上下方向での離型に対するアンダーカットが生じることを抑制できる。よって、金型の製造コストを低減できる。
【0087】
ここで、後部ガイド部材606への白鍵610の組付けは、柱状部664の上部から基部611及びスライド部612を嵌め込むことでも可能であるが、そのような組付け方法では、基部611やスライド部612が柱状部664の上部に引っ掛かることがあり、組付け作業に手間を要する。
【0088】
これに対して本実施形態では、一対の基部611の弾性変形により、柱状部664の前方から一対の基部611及びスライド部612の嵌め込みが可能となっている。具体的には、白鍵610の一対のスライド部612の後面は、それぞれ前方内側に向けて傾斜するテーパ面として構成され、そのテーパ面とガイド面664aとの摺動によって弾性変形できる程度の剛性で一対の基部611が形成されている。
【0089】
よって、柱状部664の前方側から一対の基部611を嵌め込むことにより、ガイド面664aの左右の縁部とスライド部612の後面(テーパ面)との摺動によって基部611が弾性変形するため、柱状部664への基部611及びスライド部612の嵌め込みを容易にできる。即ち、柱状部664に向けて白鍵610を押し込むだけで組み付けできるので、その組付け作業の作業性を向上できる。
【0090】
また、柱状部664のガイド面664aには、上下に延びる溝状の溝部664cが形成され、この溝部664cに白鍵610の挿入部615がスライド可能に挿入される。挿入部615は、白鍵610のスライド面610aから後方に突出する板状体である。
【0091】
溝部664cの溝幅(左右方向寸法)は、挿入部615の左右方向寸法と同一に(又は、僅かに小さく)設定されるため、溝部664cと挿入部615との引っ掛かりによって白鍵610の左右方向の変位を規制できる。これにより、白鍵610の組付け時に基部611を弾性変形させるように構成した場合でも、白鍵610の左右方向の変位を基部611及び挿入部615によって確実に規制できる。
【0092】
次いで、図9を参照して、第7実施形態について説明する。図9(a)は、第7実施形態における白鍵710及び後部ガイド部材706の斜視図であり、図9(b)は、図9(a)のIXb方向視における白鍵710及び後部ガイド部材706の部分拡大側面図であり、図9(c)は、図9(b)のIXc-IXc線における白鍵710及び後部ガイド部材706の部分拡大断面図である。
【0093】
図9に示すように、第7実施形態の白鍵710の後端部(矢印B側の端部)からは、基部711が後方に突出しており、その基部711の先端(後端)から左右方向(矢印L-R方向)両側に一対のスライド部712が張り出している。
【0094】
後部ガイド部材706の前端部からは、左右一対の基部765が前方に突出しており、それら一対の基部765の先端(前端)から左右方向内側に向けて一対のスライド部766が張り出している。一対の基部765の間に白鍵710のスライド部712がスライド可能に挿入され、一対のスライド部766の間に白鍵710の基部711がスライド可能に挿入される。
【0095】
即ち、後部ガイド部材706には、一対の基部765及びスライド部766に取り囲まれる断面T字状のガイド孔767(図9(c)参照)が形成され、このガイド孔767に白鍵710の基部711及びスライド部712が嵌め込まれる。よって、ガイド孔767の内面のうち、前方および後方を向く面がガイド面であり、そのガイド面にスライドするスライド部712の前面および後面がスライド面である。これらのガイド面およびスライド面は、前方側に凸の円弧状に形成される。これにより、白鍵710の前後方向の変位を規制した状態で白鍵710の回転を案内できるので、白鍵710の押鍵時の操作性(タッチ感)が低下することを抑制できる。
【0096】
更に、一対のスライド部766の対向間隔は、一対の基部711の左右方向寸法と同一(又は、僅かに大きく)形成されるため、基部711の左右方向の変位を一対のスライド部766によって規制できる。これにより、白鍵710の回転を案内する機能と、基部711の左右方向の変位を規制する規制部としての機能とを後部ガイド部材706に持たせることができるので、部品点数を低減できる。
【0097】
また、ガイド孔767のガイド面およびスライド部712のスライド面は、それぞれ上述した基準点P(図2,3参照)を中心にした円弧状に形成される。これにより、白鍵710の全体を基準点P回りに回転させることができるので、白鍵710の回転軌跡をアコースティックピアノの鍵と同一にすることができる。
【0098】
そして、本実施形態では、ガイド孔767に基部711及びスライド部712が嵌め込まれた状態で、後部ガイド部材706と白鍵710とが互いに融着しない樹脂材料を用いて一体成形される。具体的には、後部ガイド部材706及び白鍵710を一体成形する製造方法は、後部ガイド部材706を第1の樹脂材料を用いて金型成形する第1工程と、その第1工程で成形された後部ガイド部材706に対し、ガイド孔767に埋め込むようにして第2の樹脂材料を流し込んで白鍵710(基部711及びスライド部712)を金型成形する第2工程と、を備える。つまり、第1工程および第2工程によって後部ガイド部材706及び白鍵710が2色成形される。
【0099】
第2の樹脂材料は、第2工程での成形時に第1の樹脂材料に融着しないものが用いられているため、ガイド孔767に丁度収まる形状に基部711及びスライド部712を一体成形しつつ、その一体成形後にガイド孔767で基部711及びスライド部712をスライドさせることができる。即ち、基部711及びスライド部712とガイド孔767との間の隙間を最小にできるので、ガイド孔767における基部711及びスライド部712のスライドにガタツキが生じることを抑制できる。従って、白鍵710の押鍵時の操作性(タッチ感)が低下することを抑制できる。
【0100】
この場合、例えば、基部711及びスライド部712の上下方向寸法がガイド孔767よりも長い構成であると、第2工程の成形時の金型に基部711及びスライド部712を形成するためのキャビティを設ける必要があり、金型の形状が複雑化する。また、かかる構成であると、基部711及びスライド部712の外形が金型のキャビティの形状で定まるため、ガイド孔767に丁度収まる寸法に基部711及びスライド部712を形成することが難しくなり、ガイド孔767における基部711及びスライド部712のスライドにガタツキが生じ易い。
【0101】
これに対して本実施形態では、後部ガイド部材706の前端部と白鍵710の後端部とが上下の両面共に略面一になっている。つまり、基部711及びスライド部712の上下方向寸法は、ガイド孔767の上下方向寸法と同一に設定されている。これにより、基部711及びスライド部712の全体の外形がガイド孔767の形状で定まるため、第2工程の成形時の金型に基部711及びスライド部712を形成するためのキャビティを設ける必要がない。
【0102】
また、基部711及びスライド部712の全体の外形がガイド孔767の形状で定まるため、ガイド孔767に丁度収まる寸法に基部711及びスライド部712を形成することができる。よって、第2工程の成形時の金型の形状を簡素化できると共に、ガイド孔767における基部711及びスライド部712のスライドにガタツキが生じることを抑制できる。よって、金型の製造コストを低減しつつ、白鍵710の押鍵時の操作性(タッチ感)が低下することを抑制できる。
【0103】
なお、第2工程での成形時に後部ガイド部材706及び白鍵710が互いに融着しないようにする(又は、成形後に分離する)ための手段として、例えば、第2の樹脂材料よりも融点が高いものを第2の樹脂材料に用いる(互いに相溶性の無い樹脂材料を用いる)方法が例示される(例えば、特開昭62-128719号公報および特開2003-145575号公報)。
【0104】
以上、上記実施形態に基づき説明をしたが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0105】
上記各実施形態では、鍵盤装置1,201,301,401が電子ピアノとして構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、他の電子楽器(例えば、電子オルガン、シンセサイザ、アコーディオン等)においても、上記各実施形態の技術思想を適用できる。
【0106】
上記実施形態では、鍵2を押鍵前の初期位置に復帰させる復帰手段としてハンマー7を例示したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、ばね等の弾性体によって鍵2を初期位置に復帰させる構成でも良い。
【0107】
上記各実施形態では、受け部73,473がハンマー7,407の軸70,470よりも前方側に位置する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、受け部73,473がハンマー7,407の軸70,470よりも後方側に位置する構成でも良く、その受け部73,473を押鍵時に押し込める位置に突起部13,413を形成すれば良い。よって、例えば、上記各実施形態において、受け部73,473と突起部13,413との接触位置が鍵の前後方向中央よりも後方側に位置する構成でも良い。
【0108】
上記各実施形態では、ガイド面およびスライド面が、スライド面よりも後方下側に位置する基準点Pを中心にした円弧状に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、ガイド面およびスライド面を、スライド面と前後で重なる位置にある基準点を中心にした円弧状に形成しても良い。
【0109】
上記各実施形態では、後部ガイド部材6,206,406,506,606,706によって基部11,511,611,711の左右の変位が規制される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。後部ガイド部材は、鍵2の前後の変位を規制した状態で回転を案内する機能を少なくとも有していれば良い。よって、例えば、上記第1,~4実施形態において、第2ガイド部61,261と基部11との間に隙間を形成し、他の部材によって基部11(鍵2)の左右の変位を規制する構成でも良く、第5~7実施形態においても同様に、後部ガイド部材506,606,706以外の他の部材によって基部511,611,711(鍵2)の左右の変位を規制する構成でも良い。
【0110】
上記第1実施形態では、ベース部材5に第1ガイド部60及び第2ガイド部61が着脱可能に構成される場合を説明したが、例えば、ベース部材5に対する第1ガイド部60及び第2ガイド部61の固定位置を前後方向に可変とし、ガイド面60aと凸部61bとの間の隙間の広さを調節できるように構成しても良い。
【0111】
上記第1実施形態では、第1ガイド部60及び第2ガイド部61との間に隙間が形成され、その隙間に鍵2のスライド部12が挿入される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第1ガイド部60及び第2ガイド部61との間の隙間に相当する溝(凹みや貫通孔)を鍵2側に形成し、スライド部12に相当する凸部(溝に沿ってスライドするもの)を後部ガイド部材6側に形成する構成でも良い。
【0112】
上記第1実施形態では、一対の基部11から左右方向内側に張り出すスライド部12によって一対の基部11が接続される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、スライド部12を分断し、一方の基部11のスライド部12と、他方の基部11のスライド部12との間に隙間が形成される構成でも良い。また、基部11の左右方向外側にスライド部12が張り出す構成でも良い。この場合には、後部ガイド部材6に相当する構成を基部11の外側に設ければ良い。
【0113】
上記第1実施形態では、スライド面12bに沿ってスライドする複数の凸部61bがガイド面61aに形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、ガイド面61aを円弧面として構成しても良い。また、ガイド面60aやスライド面12a,12bに凸部に相当する構成を設けても良く、凸部に相当する構成を他の実施形態のガイド面やスライド面に設けても良い。いずれの場合においても、互いにスライドするガイド面およびスライド面のいずれか一方に凸部を設けた場合には、他方を円弧面に形成すれば良い。
【0114】
上記第2実施形態では、ハンマー7からの復帰力が一対のガイド面261a,252aの間の領域で鍵2に付与される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、一対のガイド面261a,252aよりも前方側の領域でハンマー7からの復帰力が鍵2に付与される構成でも良い。
【0115】
上記第2実施形態では、前部ガイド部材252のガイド面252aと離鍵ストッパ14のスライド面14cとがスライドする場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、鍵2のうち、離鍵ストッパ14以外の他の部位に沿って前部ガイド部材252のガイド面をスライドさせる構成でも良い。
【0116】
上記第2実施形態では、後部ガイド部材206の第2ガイド部261によって鍵2の前方側への変位を規制し、前部ガイド部材252によって鍵2の後方側への変位を規制する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、後部ガイド部材206によって鍵2の後方側への変位を規制し、前部ガイド部材252によって鍵2の前方側への変位を規制する構成でも良い。つまり、鍵2の前後の変位を規制した状態で回転を案内できる構成であれば、スライド面およびガイド面の配置は適宜設定できる。
【0117】
上記第5実施形態では、鍵2に基部511及びスライド部512が設けられ、後部ガイド部材506に本体部562及び固定部563が設けられる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、基部511及びスライド部512に相当する構成を後部ガイド部材506側に設け、本体部562及び固定部563に相当する構成を鍵2側に設ける構成でも良い。
【0118】
上記第6実施形態では、鍵2に基部611及びスライド部612が設けられ、後部ガイド部材606に柱状部664が設けられる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、基部611及びスライド部612に相当する構成を後部ガイド部材606側に設け、柱状部664に相当する構成を鍵2側に設ける構成でも良い。
【0119】
上記第6実施形態では、スライド面610a,612aが上下方向において異なる位置に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、スライド面610a,612aが前後方向視で重なる位置に形成される構成でも良い。
【0120】
上記第6実施形態では、スライド部612の後面をテーパ面として構成し、ガイド面664aの左右の縁部と、スライド部612のテーパ面との摺動によって一対の基部611を弾性変形させる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、スライド部612のテーパ面を省略し(又は、そのテーパ面に加え)、ガイド面664aの左右の縁部にテーパ面を形成し、ガイド面664a側のテーパ面と、スライド部612との摺動によって一対の基部611を弾性変形させる構成でも良い。
【0121】
上記第6実施形態では、柱状部664のガイド面664aに上下に延びる溝状の溝部664cが形成され、その溝部664cに鍵2の挿入部615が挿入される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、溝部664cや挿入部615を省略する構成でも良く、溝部664cに相当する構成を鍵2側に設け、挿入部615に相当する構成を後部ガイド部材606側に設ける構成でも良い。
【0122】
上記第7実施形態では、鍵2に基部711及びスライド部712が設けられ、後部ガイド部材706に基部765及びスライド部766(ガイド孔767)が設けられる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、基部711及びスライド部712に相当する構成を後部ガイド部材706側に設け、基部765及びスライド部766(ガイド孔767)に相当する構成を鍵2側に設ける構成でも良い。
【0123】
上記第7実施形態では、ガイド孔767に基部711及びスライド部712が嵌め込まれた状態で、後部ガイド部材706と白鍵710とが一体成形される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、後部ガイド部材706と白鍵710とを別々に成形し、その成形後に基部711及びスライド部712をガイド孔767に嵌め込む構成でも良い。
【0124】
上記第7実施形態では、基部711及びスライド部712の上下方向寸法がガイド孔767の上下方向寸法と同一に設定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、基部711及びスライド部712の上下方向寸法がガイド孔767の上下方向寸法よりも長く(短く)設定される構成でも良い。
【符号の説明】
【0125】
1,201,301,401 鍵盤装置
2 鍵
252 前部ガイド部材(ガイド部材)
6,206,406,506,606,706 後部ガイド部材(ガイド部材)
60a ガイド面
61,261,461 第2ガイド部(規制部)
61a,261a,461a ガイド面
61b 凸部
562b リブ(規制部)
562c,562d ガイド面
563 固定部(規制部)
664 柱状部(規制部)
664a,664b ガイド面
664c 溝部
766 スライド部(規制部)
767 ガイド孔
7 ハンマー(復帰手段)
10,210,410,510,610,710 白鍵(鍵)
510a,610a スライド面
510b 凸部
11,511,611,711 基部
12,512,612,712 スライド部
12a,12b,512a,612a スライド面
14c スライド面
512b 凸部
615 挿入部
20 黒鍵(鍵)
P 基準点
図1
図2
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図9