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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/68 20060101AFI20230324BHJP
   E06B 9/15 20060101ALN20230324BHJP
【FI】
E06B9/68 A
E06B9/15 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022072105
(22)【出願日】2022-04-26
(62)【分割の表示】P 2018104541の分割
【原出願日】2018-05-31
(65)【公開番号】P2022095993
(43)【公開日】2022-06-28
【審査請求日】2022-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高井 邦治
(72)【発明者】
【氏名】阿部 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】小川 順也
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-115761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00- 9/92
E05F 15/00-15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、前記開閉体をその開放方向側で巻き取ったり繰り出したりする巻取体と、前記巻取体に回転力を伝達する開閉機と、前記開閉機の回転速度を複数の速度に切替え可能な制御部とを具備する開閉装置であって、
前記制御部は、ユーザーインタフェースを有し、
前記ユーザーインタフェースは、
前記開閉機の回転速度を複数の速度に切替え可能な操作スイッチと、
前記巻取体の回転速度を表示する表示装置と、を有している
ことを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記ユーザーインタフェースには、前記操作スイッチと前記表示装置とが隣接して配置されていることを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記制御部はケースを備え、該ケース内に前記制御部の制御回路が設けられとともに、前記ケースの外に前記ユーザーインタフェースが露出して設けられることを特徴とする請求項1又は2記載の開閉装置。
【請求項4】
前記ユーザーインタフェースは、前記開閉体によって覆われた遮蔽状態と、前記開閉体によって覆われていない露出状態となることができることを特徴とする請求項1~3何れか1項記載の開閉装置。
【請求項5】
前記巻取体と前記開閉機と前記制御部は収容ケース内に設けられ、
前記ユーザーインタフェースに配置された前記操作スイッチは、前記収容ケースに設けられた点検口の近傍に位置することを特徴とする請求項1~4何れか1項記載の開閉装置。
【請求項6】
前記ユーザーインタフェースは、前記巻取体を支持する固定軸に設けられていることを特徴とする請求項1~5何れか1項記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシャッター装置やオーバヘッドドア、ロールブラインド装置等、空間を仕切るようにして開閉体を閉鎖動作させる開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の開閉装置は、例えば特許文献1に記載されるように、ガレージの開口部を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、この開閉体をその開放方向側で巻き取ったり繰り出したりする駆動部と、この駆動部を制御する制御回路とを備えたガレージ用のシャッター装置がある。
このような開閉装置では、開閉体を高速で開放動作して使用者等を待たせず、閉鎖動作時も防犯性の観点等から開閉体を速やかに全閉することが求められる。しかし、単に開閉体を高速で開閉動作した場合、騒音や振動が著しく増大してしまうおそれがあることから、開閉体の開閉速度は速すぎない適切な速度に設定するのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-220052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したような状況を考慮して、巻取体の回転速度をある一定の速度に設定した場合であっても、開閉装置の設置状況や使い勝手等によっては、騒音や振動が著しく増大したり、逆に開閉速度が低下して良好な使用感を損ねてしまったり等する場合がある。
例えば、上記構造のガレージ用のシャッター装置の場合には、開閉体を巻き取る巻取体等を内在するシャッターボックスを、ガレージの内壁面に設置する場合と、ガレージの外壁面に設置する場合がある。
前者の場合は、凹部を屋内側へ向けた複数のスラットからなる開閉体を、ガレージ内に位置する巻取体よりも屋外側に配置する。そして、この開閉体は、前記凹部を径方向の内側へ向けるようにして、前記巻取体に巻き取られて開放動作する。
また、後者の場合は、凹部を屋内側へ向けた複数のスラットからなる開閉体を、ガレージ外に位置する巻取体よりも屋内側に配置する。そして、この開閉体は、前記凹部を径方向の外側へ向けるようにして、前記巻取体に巻き取られて開放動作する。
このため、前者の場合には、前記凹部が巻取体の外周面に若干嵌り合い、開閉体の巻径が小さくなり、これに伴って開閉速度が小さくなりすぎてしまうおそれがある。また、後者の場合には、前記凹部に対する裏側の凸部が巻取体の外周面に当接して、開閉体の巻径が大きくなり、これに伴って開放速度が速くなすぎてしまうおそれがある。
そこで、開閉装置の設置状況や使い勝手等に応じて開閉体を適切な速度で開閉動作させることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、前記開閉体をその開放方向側で巻き取ったり繰り出したりする巻取体と、前記巻取体に回転力を伝達する開閉機と、前記開閉機の回転速度を複数の速度に切替え可能な制御部とを具備する開閉装置であって、前記制御部は、ユーザーインタフェースを有し、前記ユーザーインタフェースは、前記開閉機の回転速度を複数の速度に切替え可能な操作スイッチと、前記巻取体の回転速度を表示する表示装置と、を有していることを特徴とする開閉装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、開閉装置の設置状況や使い勝手等に応じて開閉機の回転速度を切替えし、開閉体を適切な速度で開閉動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る開閉装置の一例を示す正面図である。
図2】同開閉装置を内巻き仕様とした場合の要部縦断面図である。
図3】同開閉装置を外巻き仕様とした場合の要部縦断面図である。
図4】制御部における操作部の一例を示す平面図である。
図5】制御部による制御例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第1の特徴は、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、前記開閉体をその開放方向側で巻き取ったり繰り出したりする巻取体と、前記巻取体に回転力を伝達する開閉機と、前記開閉機の回転速度を複数の速度に切替え可能な制御部とを具備している(図1図5参照)。
【0009】
他の特徴としては、厚さ方向の一方の面を断面凹状に形成したスラットを開閉方向に複数連設して前記開閉体が構成され、前記凹状の部分を径方向の内側へ向けて前記開閉体を前記巻取体に巻き付けるようにした内巻き仕様と、前記凹状の部分を径方向の外側へ向けて前記開閉体を前記巻取体に巻き付けるようにした外巻き仕様とに切替可能な開閉装置であって、前記制御部は、前記開閉機の回転速度を、前記内巻き仕様に対応する第一の回転速度と、前記外巻き仕様に対応する第二の回転速度を含む複数の速度に切替可能であり、前記第一の回転速度を前記第二の回転速度よりも高速にしている(図1図3参照)。
【0010】
他の特徴として、記第一の回転速度と前記第二の回転速度は、前記内巻き仕様の場合の前記開閉体の開閉速度と、前記外巻き仕様の場合の前記開閉体の開閉速度とが、略同じ速度になるように設定されている。
【0011】
他の特徴として、異なる信号の出力状態を機械的に自己保持する操作スイッチを備え、前記操作スイッチから入力する前記信号に関連付けて前記開閉機の回転速度を設定している(図4及び図5参照)。
【0012】
<具体的実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
なお、本明細書中において「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の上記開閉体の厚さ方向を意味する。本明細書中において「開閉体幅方向」とは、上記開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、該開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。また、本明細書中において「開閉体開閉方向」とは、上記開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
【0013】
開閉装置Aは、図1に示すように、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体10と、この開閉体を幅方向の両側で開閉方向へ案内するガイドレール20と、開閉体10をその開放方向側で収納したり繰り出したりする収納部30と、当該開閉装置Aを無線で遠隔操作するリモコン装置40とを備え、現場状況等に応じて内巻き仕様(図2参照)と外巻き仕様(図3参照)とに切替可能である。
【0014】
開閉体10は、横長略矩形状の金属板を曲げ加工してなるスラット11を、上下に隣接する該スラット間で回動するように複数連接してなる開閉体本体10aと、この開閉体本体10aの閉鎖方向端部に接続されて全閉時の当接対象部位に当接する座板部材10bとを具備し、複数のスラット11の上端側を巻取体32の外周部に止着している。
【0015】
各スラット11は、厚さ方向の一方(図2によれば左側)の面を縦断面略凹状に形成するとともに、その逆側の面を縦断面凸状に形成しており、この縦断面形状を開閉体幅方向へ連続している。
したがって、各スラット11には、図2及び図3に示すように、その厚さ方向の一方の面に、凹状部11bを有し、この凹状部11bの裏側となる他方の面には、凸状部11cを有する。
【0016】
また、各スラット11の開閉方向の一端側と他端側には、それぞれ、カール部11aが形成される。このカール部11aは、隣接する二つのスラット11,11の間を係合しており、その一方のスラット11を他方のスラット11に対し双方向へ回動可能にしている。
【0017】
上記内巻き仕様では、スラット11の凹状部11bが径方向の内側へ向けられて、開閉体10が巻取体32に巻き付けられる(図2参照)。また、上記外巻き仕様では、スラット11の凹状部11bが径方向の外側へ向けられて、開閉体10が巻取体32に巻き付けられる(図3参照)。
【0018】
当該開閉装置Aを内巻き仕様にするか外巻き仕様にするかは、現場の状況等によって適宜に決定される。例えば、図2に例示する開閉装置Aでは、ガレージ等の屋内側の壁面に、収納部30を装着し、各スラット11の凸状部11cを屋外側へ向けるようにして、内巻き仕様に構成される。
また、図3に示す開閉装置Aでは、ガレージ等の屋外側の壁面に、収納部30を装着し、各スラット11の凸状部11cを屋外側へ向けるようにして、外巻き仕様に構成される。
【0019】
また、ガイドレール20は、開閉体幅方向の両側にそれぞれ設けられる。各ガイドレール20は、開閉体10の幅方向の端部を横断面凹状に囲んで、開閉方向へ案内する。
【0020】
また、収納部30は、収納ケース31内に、開閉体10を巻き取ったり繰り出したりする巻取体32と、この巻取体32をその内側から回転可能に支持する固定軸33と、固定軸33に一体的に支持されて巻取体32に回転力を伝達する開閉機34と、開閉機34の回転速度を複数の速度に切替えて制御可能な制御部35とを具備している。
【0021】
収納ケース31は、開閉体幅方向へ長尺な中空箱状の部材であり、その下側壁面に開閉体幅方向へ長尺な開口部31aを有し、この開口部31aに、開閉体10を挿通させている。なお、この収納ケース31の他例としては、壁面を有さない枠状に形成することも可能である。
【0022】
また、この収納ケース31の下側壁面には、蓋部材の着脱によって開閉される点検口31bも設けられている。
点検口31bは、制御部35の下方側に位置し、開閉機34及び制御部35等を通過可能な大きさに形成される。
したがって、開閉体10をある程度繰り出した状態で、点検口31bを開放すれば、制御部35への操作や、開閉機34及び制御部35に対するメンテナンス作業等を容易に行うことができる。
【0023】
巻取体32は、固定軸33の周囲で、周方向に間隔を置いて略平行に配設された複数の棒状部材32aと、これら棒状部材32aを支持するように開閉体幅方向に間隔を置いて設けられた複数の支持板32bとを備え、固定軸33の周囲で回転可能な略円筒籠状に構成される。
【0024】
各棒状部材32aは、金属等の硬質材料から長尺な軸状又は筒状等に構成される。複数の棒状部材32aは、固定軸33の中心部から略同半径の距離に位置する。周方向に隣接する二つの棒状部材32a,32a間の空間は、後述する制御部35のユーザーインタフェース35bの視認性を確保する貫通部として機能する。
【0025】
支持板32bは、外周部に棒状部材32aを嵌合して支持する略円盤状の部材であり、その中心部側がベアリング等を介して固定軸33に対し回転自在に支持されている。
【0026】
また、固定軸33は、金属等の硬質材料から長尺な円筒状又は円柱状に構成され、巻取体32の中心部に挿通され、その両端側が、図示しないブラケット等を介して収納ケース31に回転不能に固定されている。
【0027】
開閉機34は、回転速度を切替可能な直流又は交流の回転式電動機であり、その出力回転軸を固定軸33に略平行させて、固定軸33に固定支持されている。
この開閉機34の出力回転軸の回転力は、駆動回転部34aによって巻取体32へ伝達される。
この開閉機34は、制御部35からの指令に応じて、第一の回転速度と第二の回転速度を含む複数種類の回転速度に切り替えられて回転する。
開閉機34の回転速度を変化させる手段は、例えば、インバータや、その他の電力波形変換回路等、周知の速度制御回路を用いればよい。
【0028】
駆動回転部34aは、外周部に棒状部材32aを嵌合固定している略円盤状の部材であり、その中心側が、ベアリング等を介して固定軸33に対し回転自在に支持されている。この駆動回転部34aには、図示しない複数のギヤを介して、開閉機34の回転力が伝達される。
したがって、開閉機34の出力回転軸が回転すると、その回転力によって巻取体32が回転する。
【0029】
制御部35は、ケース35a内に、マイコンやリレー、記憶装置、無線受信機等を設けた制御回路を備え、ケース35a外に、ユーザーインタフェース35bを露出している。
この制御部35は、前記制御回路を予め記憶したプログラムにより機能させることで、開閉機34の速度を、上記内巻き仕様に対応する第一の回転速度と、上記外巻き仕様に対応する第二の回転速度とを含む複数の回転速度に切替える。前記第一の回転速度は、前記第二の回転速度よりも高速に設定される。
この制御部35、特に操作スイッチ35b1は、メンテナンス性等の観点より、点検口31bの近傍にあることが望ましく、さらには、巻取体32の中心を通る水平断面を下方に投影した範囲内に位置することが好ましい。
【0030】
ケース35aは、図2及び図3に示すように、開閉機34との間に固定軸33を挟むようにして、径方向において開閉機34の逆側に設けられる。
【0031】
ユーザーインタフェース35bは、ケース35aの下端寄りに設けられる。
このユーザーインタフェース35bは、図4に示すように、異なる回転速度指令の出力状態を機械的に自己保持する操作スイッチ35b1と、巻取体32の回転速度や、図示しない障害物感知装置の感度、エラーコード、各種設定値等を表示する表示装置35b2とを備えている。
【0032】
操作スイッチ35b1は、図示例によれば4ビットのディップスイッチであり、そのオンオフパターンに応じて、複数パターンの接点信号を出力可能である。
この操作スイッチ35b1は、ケース35a内の図示しない制御回路に電気的に接続されている。
【0033】
この操作スイッチ35b1は、複数パターンの接点信号の出力状態を機械的に自己保持するものであればよく、他例としては、ロータリディップスイッチや、その他の単数もしくは複数の自己保持スイッチを用いることが可能である。
【0034】
また、表示装置35b2は、図示例によれば7セグメントLEDであり、ケース35a内の図示しない制御回路に電気的に接続されている。
この表示装置35b2の他例としては、液晶ディスプレイや、その他の表示装置とすることも可能である。
【0035】
ここで、前記した第一の回転速度及び第二の回転速度について詳細に説明する。
上記した内巻き仕様では、図2に示すように、開閉体10は、各スラット11の凹状部11bを径方向の内側へ向けて巻取体32に巻かれる。
したがって、巻取体32の外周部とその周囲の凹状部11bとの嵌り合いや、巻取体32に巻かれた開閉体10の外周部とその周囲の凹状部11bとの嵌り合い等によって、開閉体10全体の巻き外径D1が比較的小さくなる。
【0036】
これに対し、外巻き仕様では、図3に示すように、巻取体32の外周部とその周囲の凸状部11cとの当接や、巻取体32に巻かれた開閉体10の外周部とその周囲の凸状部11cとの当接等によって、開閉体10全体の巻き外径D2が、内巻き仕様の場合よりも大きくなる。
【0037】
このため、仮に、巻取体32を、内巻き仕様と外巻き仕様の二通りで回転させた場合、開閉体10の開閉速度(各スラット11が上方又は下方へ移動する速度)は、内巻き仕様の方が、外巻き仕様よりも小さくなる。
そこで、本実施の形態の開閉装置Aでは、開閉体10の開閉速度が内巻き仕様の場合と外巻き仕様の場合とで略同じになるように、開閉機34について、内巻き仕様に対応する第一の回転速度と、外巻き仕様に対応する第二の回転速度とを設定している。これら第一の回転速度と第二の回転速度は、操作スイッチ35b1の操作によって切り替え可能である。
【0038】
より具体的に説明すれば、制御部35は、前述した第一の回転速度と第二の回転速度を含む複数種類の回転速度を、操作スイッチ35b1のオンオフパターンに関連付けして予め記憶している。
そして、制御部35は、操作スイッチ35b1のオンオフパターンを認識し、このオンオフパターンに関連付けされている回転速度を呼び出し、開放指令又は閉鎖指令があった際に、この回転速度で、開閉機34を開放方向又は閉鎖方向へ回転させる(図5のステップS1~S2参照)。
【0039】
例えば、操作スイッチ35b1のオンオフパターンが第一の回転速度に対応するものであれば、制御部35は、予め記憶した第一の回転速度を呼び出し、開放指令又は閉鎖指令があった際に、第一の回転速度で開閉機34を駆動回転する。
また、操作スイッチ35b1のオンオフパターンが第二の回転速度に対応するものに切り替えられていれば、制御部35は、予め記憶した第二の回転速度を呼び出し、開放指令又は閉鎖指令があった際に、第二の回転速度で開閉機34を駆動回転する。
【0040】
また、操作スイッチ35b1のオンオフパターンが、第一及び第二の回転速度以外の他の回転速度に対応するものに切り替えられていれば、制御部35は、予め記憶した前記他の回転速度を呼び出し、開放指令又は閉鎖指令があった際に、前記他の回転速度で開閉機34を駆動回転する。
ここで、前記他の回転速度は、例えば、上記した第一及び第二の回転速度よりも速い速度に設定される。
【0041】
また、リモコン装置40は、図1に示すように、矩形状等のケース44の表面に、開閉体10を開放動作させるための開スイッチ41、開閉体10の動作を停止するための停止スイッチ42、開閉体10を閉鎖動作させるための閉スイッチ43等の操作スイッチを露出するとともに、ケース44内に、前記スイッチの操作に応じて開放指令、閉鎖指令、停止指令等の無線信号を送信する制御回路及び送信機等を具備している。
【0042】
よって、上記構成の開閉装置Aによれば、操作スイッチ35b1の設定により、開閉機34及び巻取体32の回転速度を変更することができ、ひいては、開閉装置の設置状況や使い勝手等に応じて開閉体10を適切な速度で開閉動作させる。
特に、本実施の形態の好ましい一例によれば、内巻き仕様に対応する第一の回転速度と、外巻き仕様に対応する第二の回転速度とを切替可能であり、第一の回転速度を前記第二の回転速度よりも高速にすることで、内巻き仕様の場合の開閉体10の開閉速度と、外巻き仕様の場合の開閉体10の開閉速度とが、略同じ速度になるようにしているため、これら二種類の仕様における開閉動作時の振動や騒音を略同じにすることができる。
【0043】
<速度切り替え方法について>
次に、上記開閉装置Aの速度切り替え方法について、より詳細に説明する。
【0044】
この速度切り替え方法は、上記構成の開閉装置Aについて、巻取体32外周の貫通部(具体的には周方向に隣接する棒状部材32a,32a間の空間)を、開閉体10によって覆われていない露出状態にする工程と、この工程の後に、操作スイッチ35b1に対する切り替え操作を行う工程とを含む。
【0045】
すなわち、操作スイッチ35b1を操作するためには、操作スイッチ35b1を、外部から手等で操作可能な露出状態にしておく必要がある。操作スイッチ35b1が常に露出状態であったり、操作スイッチ35b1が、解放容易なケース等に収められている場合には、操作スイッチ35b1の操作を行うのは比較的容易である。
【0046】
一方、例えば、開閉体10の全開時や、ある程度の開放時等には、操作スイッチ35b1が、巻取体32に巻かれた開閉体10によって覆われた遮蔽状態になる。このような場合には、操作スイッチ35b1を露出状態にするのが面倒である。
したがって、操作スイッチ35b1の操作が必要な場合には、開閉体10を巻取体32に巻く前に、露出状態にある操作スイッチ35b1に対し、予め、切り替え作業等のスイッチ操作を行っておくことが好ましい。
【0047】
例えば、当該開閉装置Aの出荷前に、工場等にて開閉体10を巻取体32に巻く前に適切な回転速度になるように予め操作スイッチ35b1に対する設定作業(切り替え作業)を行い、その後、開閉体10を巻取体32に巻き取る作業(吊り込み作業)を行えばよい。
このようにして操作された操作スイッチ35b1は、自己保持スイッチであるので、前記のようにして設定された状態を、巻取体32が開閉体10によって巻かれ覆われた遮蔽状態になった後も維持する。
【0048】
ところで、操作スイッチ35b1が巻取体32に巻かれた開閉体10によって遮蔽された状態のときに、この操作スイッチ35b1に対する切り替え操作を要する場合がある。
例えば、開閉装置Aが現場に設置された段階で内巻き仕様と外巻き仕様とを誤って逆に設定されていたことが判明した場合や、経年使用により開閉体10の開閉方向の長さが変化した場合等に、複数の速度(内巻き、外巻きの2種類の速度のみでなく、3種類以上の速度である場合も含む)のうちから適切な回転速度(巻き取り、巻き戻し速度)に切り替える操作を要する。
そして、このような場合には、開閉体10をある程度、例えば、半閉状態や全閉状態になるように繰り出した状態にして、操作スイッチ35b1を露出させて、この操作スイッチ35b1に対し切り替え操作を行い、この後に通常の開閉動作が行われるようにすればよい。
【0049】
なお、開閉装置Aによっては、開閉体10を全閉状態に繰り出しても未だ開閉体10の一部(例えば、可撓性シート等の柔軟な材質のように金属製スラットと異なる場合も含む)が、巻取体32の周囲に残っていて(いわゆる捨て巻き状態で)操作スイッチ35b1が遮蔽されている場合がある。このような場合には、全閉になってからも手動で又は強制閉鎖動作により開閉体10をさらに繰り出して、巻取体32周囲の開閉体10の一部を繰り出して、操作スイッチ35b1を露出させ、この操作スイッチ35b1に対し切り替え操作を行い、この後に元の通常開閉動作が可能な状態にすればよい。
【0050】
上述したように、操作スイッチ35b1が、巻取体32に巻かれた開閉体10によって遮蔽されていることは操作スイッチ35b1を切り替え操作する観点では不便な点であるが、一方、遮蔽されていることにより操作スイッチ35b1を塵埃や衝撃等から保護でき、さらに操作スイッチ35b1を、無意識または不当な故意による切り替え操作等からも保護することが期待できる。
【0051】
<他の変形例について>
上記実施態様によれば、巻取体32を複数の棒状部材32aを有する籠型状に構成したが、巻取体32の他例としては、内部が中空の円筒状に構成することも可能である。この場合、好ましくは、円筒状の巻取体の周壁に、ユーザーインタフェース35bを径方向外側から視認可能にする貫通部を設ける。
【0052】
また、上記実施態様によれば、開閉体10を複数のスラットにより構成したが、開閉体10の他例としては、パネルやパイプ等を開閉方向へ連設してなる態様や、シート状物やネット状物からなる態様、あるいはスラット、パネル、パイプ、シート状物、ネット状物等を適宜に組み合わせた態様とすることが可能である。
そして、このように、開閉体10をスラット以外の部材を含む構成とした際も、巻取体32に巻かれる開閉体10の径が変わる場合があるため、操作スイッチ35b1を用いた速度切り替えが有用である。
さらに、メンテナンスやリフォーム等に伴って、開閉体10を、他の新規の開閉体10に交換や変更する場合等も、必要に応じて、操作スイッチ35b1による速度切り替えを行えばよい。
【0053】
また、上記実施態様によれば、手動操作される操作スイッチ35b1の状態に応じて開閉機34の回転速度を切り替えるようにしたが、他例としては、当該開閉装置Aが内巻き仕様で用いられたか外巻き仕様で用いられたかをセンサーにより感知し、このセンサーの信号に応じて、開閉機34の回転速度を自動的に切り替えるようにすることも可能である。
【0054】
また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0055】
10:開閉体
20:ガイドレール
30:収納部
31:収納ケース
32:巻取体
33:固定軸
34:開閉機
35:制御部
35b:ユーザーインタフェース
35b1:操作スイッチ
A:開閉装置
図1
図2
図3
図4
図5