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特許7250352荷物入出庫システム及び入出庫プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】荷物入出庫システム及び入出庫プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20230327BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G1/00 501D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020131536
(22)【出願日】2020-08-03
(65)【公開番号】P2022028235
(43)【公開日】2022-02-16
【審査請求日】2022-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】598116831
【氏名又は名称】株式会社ボルテックスセイグン
(74)【代理人】
【識別番号】100092808
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 亘
(74)【代理人】
【識別番号】100140981
【弁理士】
【氏名又は名称】柿原 希望
(72)【発明者】
【氏名】三木 利一
(72)【発明者】
【氏名】今井 俊昭
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-024653(JP,A)
【文献】特開平05-097203(JP,A)
【文献】特開2010-280475(JP,A)
【文献】特開平04-007204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入庫した荷物を保管する保管棚を複数有し列方向に移動可能な移動ラックを備えた第1の移動ラックシステム~第Nの移動ラックシステムと、
入出庫する荷物を仮置きする仮置棚を複数備えたバッファラックと、
前記仮置棚と前記保管棚との間で前記荷物を移送する無人フォークリフトと、
前記移動ラックと前記無人フォークリフトの動作を制御するシステム制御部と、を有する荷物入出庫システムであって、
入庫する荷物の保管場所を前記第1の移動ラックシステム~第Nの移動ラックシステムの空いている保管棚に割り当てる棚割当部をさらに有するとともに、
前記バッファラックの仮置棚は、前記第1の移動ラックシステム~第Nの移動ラックシステムの配置場所に則して第1のグループ~第Nのグループにグループ分けされるとともに、それぞれの仮置棚には前記第1のグループの仮置棚から第Nのグループの仮置棚へと1つずつ順番に一連の優先順位が付与され、
前記棚割当部は前記仮置棚に仮置きされた荷物の保管場所を、前記仮置棚の優先順位の順に、前記第1の移動ラックシステム~第Nの移動ラックシステムの空の保管棚に前記第1の移動ラックシステムから順に一つずつ割り当てるよう処理する割り当て処理を実行し、
前記システム制御部が前記移動ラックと前記無人フォークリフトとを制御して、前記仮置棚に仮置きされた荷物を前記棚割当部が割り当てた保管棚に前記優先順位の順に移送することを特徴とする荷物入出庫システム。
【請求項2】
移動ラックシステムが第1の移動ラックシステムと第2の移動ラックシステムの2台で構成され、
バッファラックの仮置棚が第1の移動ラックシステムに近い側の第1のグループと前記第2の移動ラックシステムに近い側の第2のグループとに分けられるとともに、前記第1のグループから交互に1つずつ優先順位が付与され、
割り当て処理が、前記仮置棚に仮置きされた荷物の保管場所を、前記仮置棚の優先順位の順に、前記第1の移動ラックシステム及び第2の移動ラックシステムの空の保管棚に前記第1の移動ラックシステムから一つずつ交互に割り当てるよう処理することを特徴とする請求項1記載の荷物入出庫システム。
【請求項3】
入庫した荷物を保管する保管棚を複数有し列方向に移動可能な移動ラックを備えた第1の移動ラックシステム~第Nの移動ラックシステムと、
前記第1の移動ラックシステム~第Nの移動ラックシステムの配置場所に則して第1のグループ~第Nのグループにグループ分けされるとともに、前記第1のグループの仮置棚から第Nのグループの仮置棚へと1つずつ順番に一連の優先順位がそれぞれ付与された複数の仮置棚を備えたバッファラックと、
前記仮置棚と前記保管棚との間で前記荷物を移送する無人フォークリフトと、
前記移動ラックと前記無人フォークリフトの動作を制御するシステム制御部と、
入庫する荷物の保管場所を前記第1の移動ラックシステム~第Nの移動ラックシステムの空いている保管棚に割り当てる棚割当部と、を有する荷物入出庫システムに対する入出庫プログラムであって、
前記仮置棚に仮置きされた荷物の保管場所を、前記仮置棚の優先順位の順に、前記第1の移動ラックシステム~第Nの移動ラックシステムの空の保管棚に前記第1の移動ラックシステムから順に一つずつ割り当てるよう処理する割り当て処理を、前記棚割当部に実行させることを特徴とする入出庫プログラム。
【請求項4】
移動ラックシステムが第1の移動ラックシステムと第2の移動ラックシステムの2台で構成され、
バッファラックの仮置棚が第1の移動ラックシステムに近い側の第1のグループと前記第2の移動ラックシステムに近い側の第2のグループとに分けられるとともに、前記第1のグループから交互に1つずつ優先順位が付与され、
割り当て処理が、前記仮置棚に仮置きされた荷物の保管場所を、前記仮置棚の優先順位の順に、前記第1の移動ラックシステム及び第2の移動ラックシステムの空の保管棚に前記第1の移動ラックシステムから一つずつ交互に割り当てるよう処理することを特徴とする請求項3記載の入出庫プログラム。
【請求項5】
割り当て処理が、移動ラックの移動よって位置が変化し無人フォークリフトが進入可能な作業用通路のデータ上の位置を検索対象通路とし、
前記検索対象通路に面する保管棚に空いている保管棚が存在しない場合に、空いている保管棚が最多の作業用通路に検索対象通路を移動する処理をさらに実行させることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の入出庫プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の移動ラックシステムに荷物を効率的に収容することが可能な荷物入出庫システム及びこれに用いる入出庫プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代社会において物流は経済を支える重要な基幹産業となっている。しかしながら、近年、人手不足対策と輸送時間短縮の観点から、輸送業務の効率化と省力化とが強く求められている。このため、コンピュータによる自動制御によって動作する無人フォークリフトを用いて、倉庫内における荷物の入出庫を自動的に行うシステムが実用化されている。また、荷物を収容する保管棚が縦横に並び且つ移動機能を有するラックを複数配列し、適宜ラックを移動させることで荷物の入出庫を行う作業用通路を作業位置にのみ形成する高密度収容が可能な移動ラックシステムも実用化されている。そして、下記[特許文献1]に示すように、これら移動ラックシステムと無人フォークリフトを組み合わせた倉庫も実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-297716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、移動ラックシステムと無人フォークリフトを組み合わせた倉庫では、荷物の保管棚への割り当てや入出庫の順番が作業効率を大きく左右する。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、効率的な入出庫を行うことが可能な荷物入出庫システム及びこれに用いる入出庫プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
(1)入庫した荷物を保管する保管棚を複数有し列方向に移動可能な移動ラック36を備えた第1の移動ラックシステム~第Nの移動ラックシステムと、入出庫する荷物を仮置きする仮置棚を複数備えたバッファラック32と、前記仮置棚と前記保管棚との間で前記荷物を移送する無人フォークリフト40と、前記移動ラック36と前記無人フォークリフト40の動作を制御するシステム制御部50と、を有する荷物入出庫システムであって、
入庫する荷物の保管場所を前記第1の移動ラックシステム~第Nの移動ラックシステムの空いている保管棚に割り当てる棚割当部52をさらに有するとともに、
前記バッファラック32の仮置棚は、前記第1の移動ラックシステム~第Nの移動ラックシステムの配置場所に則して第1のグループ~第Nのグループにグループ分けされるとともに、それぞれの仮置棚には前記第1のグループの仮置棚から第Nのグループの仮置棚へと1つずつ順番に一連の優先順位が付与され、
前記棚割当部52は前記仮置棚に仮置きされた荷物の保管場所を、前記仮置棚の優先順位の順に、前記第1の移動ラックシステム~第Nの移動ラックシステムの空の保管棚に前記第1の移動ラックシステムから順に一つずつ割り当てるよう処理する割り当て処理を実行し、
前記システム制御部50が前記移動ラック36と前記無人フォークリフト40とを制御して、前記仮置棚に仮置きされた荷物を前記棚割当部52が割り当てた保管棚に前記優先順位の順に移送することを特徴とする荷物入出庫システム100を提供することにより、上記課題を解決する。
(2)移動ラックシステムが第1の移動ラックシステム31Rと第2の移動ラックシステム31Lの2台で構成され、
バッファラック32の仮置棚が棚の移動ラックシステム31Rに近い側の第1のグループ32Rと前記第2の移動ラックシステム31Lに近い側の第2のグループ32Lとに分けられるとともに、前記第1のグループ32Rから交互に1つずつ優先順位が付与され、
割り当て処理が、前記仮置棚に仮置きされた荷物の保管場所を、前記仮置棚の優先順位の順に、前記棚の移動ラックシステム31R及び第2の移動ラックシステム31Lの空の保管棚に前記第1の移動ラックシステム31Rから一つずつ交互に割り当てるよう処理することを特徴とする上記(1)記載の荷物入出庫システム100を提供することにより、上記課題を解決する。
(3)入庫した荷物を保管する保管棚を複数有し列方向に移動可能な移動ラック36を備えた第1の移動ラックシステム~第Nの移動ラックシステムと、
前記第1の移動ラックシステム~第Nの移動ラックシステムの配置場所に則して第1のグループ~第Nのグループにグループ分けされるとともに、前記第1のグループの仮置棚から第Nのグループの仮置棚へと1つずつ順番に一連の優先順位がそれぞれ付与された複数の仮置棚を備えたバッファラック32と、
前記仮置棚と前記保管棚との間で前記荷物を移送する無人フォークリフト40と、前記移動ラック36と前記無人フォークリフト40の動作を制御するシステム制御部50と、入庫する荷物の保管場所を前記第1の移動ラックシステム~第Nの移動ラックシステムの空いている保管棚に割り当てる棚割当部52と、を有する荷物入出庫システム100に対する入出庫プログラムであって、
前記仮置棚に仮置きされた荷物の保管場所を、前記仮置棚の優先順位の順に、前記第1の移動ラックシステム~第Nの移動ラックシステムの空の保管棚に前記第1の移動ラックシステムから順に一つずつ割り当てるよう処理する割り当て処理を、前記棚割当部52に実行させることを特徴とする入出庫プログラムを提供することにより、上記課題を解決する。
(4)移動ラックシステムが第1の移動ラックシステム31Rと第2の移動ラックシステム31Lの2台で構成され、
バッファラック32の仮置棚が棚の移動ラックシステム31Rに近い側の第1のグループ32Rと前記第2の移動ラックシステム31Lに近い側の第2のグループ32Lとに分けられるとともに、前記第1のグループ32Rから交互に1つずつ優先順位が付与され、
割り当て処理が、前記仮置棚に仮置きされた荷物の保管場所を、前記仮置棚の優先順位の順に、前記棚の移動ラックシステム31R及び第2の移動ラックシステム31Lの空の保管棚に前記第1の移動ラックシステム31Rから一つずつ交互に割り当てるよう処理することを特徴とする上記(3)記載の入出庫プログラムを提供することにより、上記課題を解決する。
(5)割り当て処理が、移動ラック36の移動よって位置が変化し無人フォークリフト40が進入可能な作業用通路3のデータ上の位置を検索対象通路とし、
前記検索対象通路に面する保管棚に空いている保管棚が存在しない場合に、空いている保管棚が最多の作業用通路3に検索対象通路を移動する処理をさらに実行させることを特徴とする上記(3)または上記(4)に記載の入出庫プログラムを提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る入出庫プログラムは、移動ラックシステムの配置場所に則してグループ分けされた仮置棚の荷物を、対応する移動ラックシステムに優先的に割り当てる。これにより、本発明に係る荷物入出庫システムは、入庫作業時の無人フォークリフトの移動距離が短くなり、また、無人フォークリフト同士がすれ違う状態を減らすことができ、入庫作業の時間短縮と効率化とを図ることができる。
また、本発明に係る入出庫プログラムは、割り当て処理の初回では検索対象通路を実際の作業用通路の位置と同一とし、この検索対象通路に面した保管棚に空棚が存在しない場合には空棚が一番多い検索対象通路に検索範囲を移動する。これにより、本発明に係る荷物入出庫システムは、移動ラックの移動回数を抑えることが可能となり、入庫時間の短縮と効率化とを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る荷物入出庫システムを示す図である。
図2】本発明に係る荷物入出庫システムのバッファラックを説明する図である。
図3】本発明に係る入出庫プログラムを説明するためのフローチャートである。
図4】本発明に係る入出庫プログラムを説明するためのフローチャートである。
図5】本発明に係る入出庫プログラムを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る荷物入出庫システム100及び入出庫プログラムの実施の形態について図面に基づいて説明する。尚、本例ではラックシステム30が第1の移動ラックシステム31Rと、第2の移動ラックシステム31Lの2台で構成された例を示しているが、ラックシステム30の構成台数には特に限定はなく、第1の移動ラックシステム~第Nの移動ラックシステムのN台で構成するようにしても良い。
【0010】
先ず、本発明に係る荷物入出庫システム100は、図1に示すように、第1の移動ラックシステム31Rと第2の移動ラックシステム31Lの2台で構成されたラックシステム30と、入出庫する荷物を仮置きする仮置棚を備えたバッファラック32と、バッファラック32の仮置棚とラックシステム30の保管棚との間で荷物を移送する複数の無人フォークリフト40と、ラックシステム30と無人フォークリフト40の動作を制御するシステム制御部50と、入出庫する荷物のリストとしての入庫データ、出庫データが入力した入出庫データ部54と、ラックシステム30の保管棚の使用状態を把握する棚情報データ部56と、入庫する荷物の保管場所をラックシステム30の空いている保管棚に割り当てる棚割当部52と、を有している。尚、無人フォークリフト40の台数は移動ラックシステム31の台数と基本的に同数とすることが好ましい。よって、ラックシステム30が第1の移動ラックシステム31Rと第2の移動ラックシステム31Lとで構成されている本例では、無人フォークリフト40の台数を2台としている。
【0011】
また、ラックシステム30を構成する移動ラックシステム31(第1の移動ラックシステム~第Nの移動ラックシステム)は、入庫した荷物を保管する保管棚をそれぞれ複数有する固定ラック34と移動ラック36とを有している。このうち固定ラック34は倉庫等の床に固定されて移動せず、基本的に移動ラックシステム31の両端に設けられる。そして、固定ラック34は移動ラック36の移動範囲を規定するとともに、それぞれの移動ラックシステム31の境界となる。尚、固定ラック34は必ずしも移動ラックシステム31の両端に設ける必要は無く片側のみとしても良い。
【0012】
また、移動ラック36はシステム制御部50からの指示によって列方向にスライド移動可能なラックであり、固定ラック34の間に複数台設けられる。尚、ここでの列方向とは固定ラック34、移動ラック36が並んだ方向、即ち後述の作業用通路3の奥行き方向に対して垂直な方向を意味する。また、本例では第1の移動ラックシステム31R、第2の移動ラックシステム31Lの移動ラック36がそれぞれ3台の例を示しているが、移動ラック36の数に特に限定は無く、倉庫等の規模に応じて如何なる数としても良い。
【0013】
また、移動ラックシステム31には無人フォークリフト40が進入して荷物の入出庫作業を行う作業用通路3をそれぞれ1つずつ有している。そして、この作業用通路3のスペースに移動ラック36が移動し、これにより空いたスペースが新たな作業用通路3となる。このように、作業用通路3は移動ラック36の移動により位置が変化する。そして、基本的に作業用通路3の両側に面した固定ラック34もしくは移動ラック36の保管棚に対してのみ無人フォークリフト40による荷物の入出庫が可能となる。
【0014】
尚、本例では固定ラック34、移動ラック36の保管棚を上段、中段、下段の3段×13列で構成し、上段と中段は荷物を積んだパレットを2段重ねたパレット(以後、2段積みパレットとする。)を収容可能な2段積み保管棚とし、下段は1つの荷物を積んだパレット(以後、1段積みパレットとする。)のみ収容可能な1段積み保管棚とした例を説明する。ただし、固定ラック34、移動ラック36の保管棚の数や種類、配列や段構成に関しては特に限定は無く、これらのことは倉庫規模等に応じて如何なる数、構成として良い。そして、1段積み保管棚を下段に設けた本例の構成では、体積の小さい1段積みパレットを1段積み保管棚に優先的に収容させることが可能なため、2段積み保管棚を無駄なく有効活用でき移動ラックシステム31の収容能力を最大限利用することができる。また、低背の1段積み保管棚を下段に設けることで、中段、上段の2段積み保管棚の棚位置を低く抑え、無人フォークリフト40の負荷を軽減することができる。
【0015】
また、バッファラック32は、外部と倉庫内とで荷物の受け渡しを行うための仮置棚で構成され、外部から倉庫内に入庫する荷物をここに仮置きするとともに、出庫する荷物をラックシステム30からピックアップして仮置しておくものである。このバッファラック32の仮置棚の数に関しても特に限定は無いが、本例では図2に示すように下段の棚番号No.Z01~No.Z15の15台の仮置棚と、上段の棚番号No.Z16~No.Z30の15台の仮置棚の2段構成としている。尚、図2中の括弧内の数字は後述する仮置棚の優先順位を示す。そして、このバッファラック32の仮置棚は第1の移動ラックシステム~第Nの移動ラックシステムの配置場所に則して第1のグループ~第Nのグループにグループ分けされる。本例ではラックシステム30が第1の移動ラックシステム31Rと、第2の移動ラックシステム31Lの2台で構成されているため、第1の移動ラックシステム31Rに近い側の第1のグループ32R(バッファラック32の棚No.Z01~No.Z07、No.Z24~No.Z30)と第2の移動ラックシステム31Lに近い側の第2のグループ32L(バッファラック32の棚No.Z08~No.Z14、No.Z17~No.Z23)とに分けられる。尚、本例では棚番号No.Z15、No.Z16は予備の棚として構成している。また、バッファラック32の各仮置棚には一連の優先順位が付与されており、この優先順位は第1のグループの仮置棚から第Nのグループの仮置棚へと1つずつ順番に付与される。即ち、移動ラックシステム31が2台の場合には、図2中の括弧に示すように、第1の移動ラックシステム31Rに近い側の第1のグループ32Rから交互に1つずつ付与される。また、構成する移動ラックシステム31が3台の場合には、仮置棚の第1のグループから順に、第1のグループ、第2のグループ、第3のグループ、第1のグループ、第2のグループ・・・と順番に1つずつ付与される。尚、本例では第1のグループ32R、第2のグループ32Lの仮置棚の優先順位を下段の向かって右(図面上、左)から交互に付与した例を示しているが、この優先順位の配置順は倉庫等の搬入口の場所や大きさ、作業スペースの大きさ、作業性、荷物の入出庫の頻度等により、その荷物入出庫システム100に応じて適切に付与する。特に、移動ラックシステム31が2台の場合には、例えば第1のグループ32R、第2のグループ32Lの優先順位を内側から順に、即ち図2における棚No.Z07の優先順位を1に、棚No.Z08の優先順位を2に、棚No.Z06の優先順位を3に、棚No.Z09の優先順位を4に、棚No.Z05の優先順位を5に、棚No.Z10の優先順位を6に、というように交互に付与するようにしても良い。また、第1のグループ32R、第2のグループ32Lの優先順位を外側から順に、即ち図2における棚No.Z01の優先順位を1に、棚No.Z15の優先順位を2に、棚No.Z02の優先順位を3に、棚No.Z14の優先順位を4に、棚No.Z03の優先順位を5に、棚No.Z13の優先順位を6に、というように交互に付与するようにしても良い。
【0016】
また、棚割当部52はマイクロコンピュータ等の演算部であり、本発明に係る入出庫プログラムに基づいて、入出庫データ部54に入力した入庫データの荷物に対する保管棚の割り当てと入庫順とを決定するとともに、入出庫データ部54に入力した出庫データの荷物に対する出庫順を決定し、それぞれ入庫搬送データ、出庫搬送データとしてシステム制御部50に出力する。また、システム制御部50は棚割当部52からの入庫搬送データ、出庫搬送データに基づいて移動ラック36を移動させ、入出庫作業を行う位置に作業用通路3を移動させるとともに、無人フォークリフト40に対し無線による動作指示を行って、入庫搬送データ、出庫搬送データに基づく荷物の入出庫作業を行わせる。
【0017】
次に、本発明に係る荷物入出庫システム100及び入出庫プログラムの動作を説明する。先ず、作業者が有人のフォークリフト等を操作してトラック等の運送用車両から荷物をパレットごとバッファラック32の仮置棚に載置する。この際、本例では第1のグループ32R、第2のグループ32Lの下段の向かって右端の仮置棚(棚No.Z01、棚No.Z08)から交互に載置していく。また、第1のグループ32R、第2のグループ32Lの優先順位を内側から順に付与した場合には、運送用車両からの荷物をバッファラック32の中央(棚No.Z07)から左右交互に載置していく。またさらに、第1のグループ32R、第2のグループ32Lの優先順位を外側から順に付与した場合には、運送用車両からの荷物をバッファラック32の両端から内側に向けて交互に載置していく。尚、この仮置棚への載置順は、本発明に係る荷物入出庫システム100が最も効率的に動作する最も好適な載置順序であり、必ずしもこの順序ではなくとも本発明は機能する。また、本例では2段積みパレットは2段積みのまま、1段積みパレットは1段積みのままバッファラック32の仮置棚に載置する。
【0018】
次に、バッファラック32に載置された荷物の情報を仮置棚の識別情報とともに入出庫データ部54に送信する。この情報の送信は例えば以下のようにして行うことが好ましい。先ず、各荷物には荷物の情報を示すバーコード等の情報ラベルが貼付されている。尚、この荷物の情報ラベルには、その荷物が属するグループの情報を少なくとも含んでいる。また、バッファラック32の各仮置棚にはその棚を特定するためのバーコード等の識別情報ラベルが貼付されている。そして、作業者等が仮置棚の識別情報ラベルをバーコードリーダ等にて読み取った上で、その仮置棚に載置されている荷物の情報ラベルを同じくバーコードリーダ等にて読み取る。この際、荷物が2段積みパレットの場合には上下2つの情報ラベルを各々読み取る。これにより、入出庫データ部54に送信される情報には、荷物が載置された仮置棚の識別情報、その仮置棚の荷物の属するグループ、その仮置棚の荷物が2段積みパレットであるか1段積みパレットであるかの情報を含むものとなる。そして、入出庫データ部54はこれらの情報を所属グループ毎にまとめてそれぞれ入庫データとする。そして、この入庫データの状態情報を「作業待ち」とする。ここで、同一のグループに属する荷物が第1のグループ32Rの仮置棚のNo.Z01~No.Z06、及び第2のグループ32Lの仮置棚のNo.Z08~No.Z13に載置されたとする。
【0019】
仮置棚に荷物が載置され入出庫データ部54で入庫データが作成されると、棚割当部52は図3のフローチャートに示すように、状態情報が「作業待ち」の入庫データの中から最も優先度が高い入庫データを選択して取得する(ステップS103)。次に、棚割当部52は選択した入庫データの2段積みパレットの数と1段積みパレットの数を取得する(ステップS104)。尚、1段積みパレットの数は通常1つの入庫データに0もしくは1つであることが多い。次に、棚割当部52は棚情報データ部56にアクセスしてラックシステム30の2段積み保管棚及び、1段積み保管棚のうち状態情報が「空」の棚の数をそれぞれ取得する(ステップS106)(以後、状態情報が「空」の保管棚を空棚と記載する。)。次に、棚割当部52は入庫する荷物の数(荷物が載置した仮置棚の数)と空棚の数とを比較して入庫データの荷物が全て入庫可能か否かを判断する。具体例としては、先ず、入庫する2段積みパレットの数と2段積み保管棚の空棚の数とを比較して、2段積みパレットの数が2段積み保管棚の空棚の数よりも多い場合(ステップS108:Yes)、この入庫データを空棚不足による入庫不可と判断する。そして、入出庫データ部54におけるこの入庫データの状態情報を「異常完了」とし(ステップS114)、この入庫データに対する処理を終了する。そして、ステップS103に移行して、「作業待ち」の入庫データの中から次に優先度が高い入庫データを選択し、この入庫データに対する処理を行う。また、2段積みパレットの数が2段積み保管棚の空棚の数よりも少ない場合(ステップS108:No)、入庫する1段積みパレットの数と1段積み保管棚の空棚の数とを比較する(ステップS109)。そして、1段積みパレットの数が1段積み保管棚の空棚の数よりも少ない場合(ステップS109:No)、入庫可能と判断する(ステップS112)。そして、割り当て処理に移行する。また、1段積みパレットの数が1段積み保管棚の空棚の数よりも多い場合(ステップS109:Yes)、2段積みパレットと1段積みパレットの合計数と2段積み保管棚の空棚の数とを比較する(ステップS110)。そして、2段積み、1段積みパレットの合計数が2段積み保管棚の空棚の数よりも少ない場合(ステップS110:No)、入庫可能と判断し(ステップS112)、ステップS202以降の割り当て処理に移行する。また、2段積み、1段積みパレットの合計数が2段積み保管棚の空棚の数よりも多い場合(ステップS110:Yes)、この入庫データを空棚不足による入庫不可と判断する。そして、入出庫データ部54におけるこの入庫データの状態情報を「異常完了」とし(ステップS114)、この入庫データに対する処理を終了する。そして、ステップS103に移行して、「作業待ち」の入庫データの中から次に優先度が高い入庫データを選択し、この入庫データに対する処理を行う。
【0020】
そして、ステップS112にて入庫可能と判断された場合、棚割当部52はこの入庫データに対し、図4のフローチャートに示す保管棚の割り当て処理を行う。この保管棚の割り当て処理では、先ず、棚割当部52が荷物を割り当てる先の移動ラックシステム31を選択する(ステップS202)。この移動ラックシステム31の選択は、初期状態、即ちバッファラック32に荷物が存在しない状態(入出庫データ部54に「作業待ち」の入庫データが無い状態)から、バッファラック32に新たに荷物が載置された状態(入出庫データ部54に「作業待ち」の入庫データが新たに入力した状態)では、最も高い優先順位を有するグループと対応した移動ラックシステム31が選択される。または、荷物が載置された仮置棚で最も高い優先順位を有する仮置棚のグループと対応した移動ラックシステム31を選択するようにしても良い。尚、本例では、最も高い優先順位を有する仮置棚は棚No.Z01であり第1のグループ32Rであるから、初期状態では第1のグループ32Rに近い側の第1の移動ラックシステム31Rが選択される。また、それ以降は第1の移動ラックシステム~第Nの移動ラックシステムの順に選択される。よって、本例のように構成する移動ラックシステム31が2台の場合は交互に選択が行われる。即ち、本例では直前に割り当てた移動ラックシステムが第2の移動ラックシステム31Lの場合は、第1の移動ラックシステム31Rが選択され、また反対に直前に割り当てた移動ラックシステムが第1の移動ラックシステム31Rの場合には、第2の移動ラックシステム31Lが選択される。
【0021】
次に、棚割当部52は入庫データの中で荷物の置かれた仮置棚の識別情報を参照して、各仮置棚の優先順位を取得する。次に、棚割当部52は入庫データの中で一番優先順位の高い仮置棚に載置された荷物のデータを取得する(ステップS204)。そして、この荷物が2段積みパレットであるか1段積みパレットであるかを確認する(ステップS206)。ここでは、棚No.Z01の荷物が一番優先順位が高いため、棚No.Z01に載置された荷物が1段積みパレットであるか2段積みパレットであるかを確認する。尚、ここでは棚No.Z01に載置された荷物を2段積みパレットとする。
【0022】
そして、割り当てを行う荷物が2段積みパレットである場合(ステップS206:Yes)、棚割当部52は空棚の検索範囲を上段と中段の2段積み保管棚に限定する(ステップS210)。また、割り当てを行う荷物が1段積みパレットである場合(ステップS206:No)、空棚の検索範囲を下段の1段積み保管棚に限定する(ステップS208)。
【0023】
次に、棚割当部52は選択した移動ラックシステム31(ここでは、第1の移動ラックシステム31R)の検索対象通路を取得する(ステップS212)。この検索対象通路とはデータ上の作業用通路3であり、割り当て処理の初回では実際の作業用通路3の位置と同一である。しかしながら、割り当て処理により検索対象通路がデータ上で変化した場合には、実際の作業用通路3の位置とは異なるものとなる。次に、棚割当部52は、この検索対象通路に面する保管棚を検索範囲とし、棚情報データ部56にアクセスして検索対象通路に面した保管棚の空棚を検索する(ステップS213)。尚、この空棚の検索はステップS208(1段積み保管棚限定)、ステップS210(2段積み保管棚限定)で設定された範囲内で行われる。そして、検索対象通路に面した保管棚に空棚が存在する場合(ステップS214:Yes)、その空棚に棚No.Z01の荷物のデータを割り当てる。そして、棚情報データ部56内におけるこの空棚の状態情報を「予約棚」とする。尚、検索対象通路に面した保管棚に空棚が複数存在する場合、入り口側(バッファラック32に近い側)を優先的に割り当て、さらに2段積み保管棚の場合では上段と中段のうち中段を優先的に割り当てる(ステップS222)。この割り当ての内容は後述の入庫搬送データに反映される。
【0024】
また、検索対象通路に面した保管棚に空棚が存在しない場合(ステップS214:No)、棚割当部52は検索中の移動ラックシステム31(ここでは、第1の移動ラックシステム31R)の全体で空棚が存在するか否かを検索する(ステップS218)。ここでは、棚No.Z01の荷物が2段積みパレットであるから、第1の移動ラックシステム31Rの全体で2段積み保管棚の空棚が存在するか否かを検索する。そして、2段積み保管棚の空棚が存在する場合、その空棚が一番多い検索対象通路に検索範囲を移動する。この際、空棚の数が最多の検索対象通路が複数存在する場合には、現在の検索対象通路に近い側のものに検索範囲を移動する(ステップS220)。そして、ステップS222に移行してこの空棚に荷物の割り当てを行う。尚、移動した検索範囲の検索対象通路に空棚が複数存在する場合、前述と同様に入り口側(バッファラック32に近い側)を優先的に割り当て、さらに2段積み保管棚の場合では上段と中段のうち中段を優先的に割り当てる。
【0025】
尚、ステップS220において空棚が一番多い検索対象通路に移動すると、以降はこの検索対象通路に空棚が無くなるまで検索対象通路の移動は発生しない。これにより、実際の入庫作業の際には作業用通路3の移動、即ち移動ラック36の移動の回数を抑えることが可能となり、入庫時間の短縮と効率化とを図ることができる。また、空棚の数が最多の検索対象通路が複数存在する場合には、近い側のものを選択することで、さらに移動ラック36の移動回数を抑えることが可能となる。
【0026】
また、検索中の第1の移動ラックシステム31Rの全てに2段積み保管棚の空棚が存在しない場合(ステップS218:No)、棚割当部52は空棚の検索範囲が1段積み保管棚か2段積み保管棚かを確認する(ステップS224)。そして、空棚の検索範囲が2段積み保管棚の場合(ステップS224:No)、検索する移動ラックシステム31を次の移動ラックシステム31に変更する(ステップS226)。本例では、移動ラックシステム31が2台であるから、棚割当部52は検索する移動ラックシステム31をもう一方の第2の移動ラックシステム31Lに変更する。そして、ステップS212~ステップS222を行い同様にして空棚の割り当てを行う。尚、空棚の検索範囲が1段積み保管棚の場合は後述する。
【0027】
そして、ステップS222において、棚No.Z01の荷物に対する保管棚が割り当てられると、棚割当部52は入庫データに未処理の荷物データが存在するか否かを確認する(ステップS203)。そして、未処理の荷物データが存在する場合(ステップS203:No)、棚割当部52はステップS202に移行して、割り当てを行う移動ラックシステム31をもう一方の第2の移動ラックシステム31Lに変更して選択する。そして、この入庫データのうち次に優先順位の高い仮置棚に載置した荷物のデータを取得する(ステップS204)。ここで、棚No.Z01の次に優先順位の高い仮置棚は第2のグループ32Lの棚No.Z08であり、棚割当部52は棚No.Z08の荷物のデータを取得し、この荷物が2段積みパレットであるか1段積みパレットであるかを認識する(ステップS206)。そして、棚No.Z08の荷物が2段積みパレットの場合、同様にステップS210~ステップS222を行い、荷物の割り当てを行う。このようにして、順次荷物の割り当てを行い、例えば最後の棚No.Z13の荷物が1段積みパレットであるとする。尚、通常、1段積みパレットは荷物のグループの最後にバッファラック32に載置されることが多い。この場合、棚割当部52は棚No.Z13の荷物が1段積みパレットであると認識し(ステップS206:No)、空棚の検索範囲を最下段の1段積み保管棚に限定する(ステップS208)。そして、ステップS212~ステップS220を行う。そして、現在選択している検索中の移動ラックシステム31(ここでは、第2の移動ラックシステム31Lとする。)の1段積み保管棚に空棚が存在する場合、ステップS222においてその空棚に棚No.Z13の荷物を割り当てる。
【0028】
また、ステップS218において、検索中の移動ラックシステム31(ここでは第2の移動ラックシステム31L)の全ての1段積み保管棚に空棚が存在しない場合(ステップS218:No)、棚割当部52は空棚の検索範囲が1段積み保管棚か2段積み保管棚かを確認する(ステップS224)。ここで、現在の検索範囲は1段積み保管棚であるから(ステップS224:Yes)ステップS228に進み、ラックシステム30の全体で1段積み保管棚に空棚が存在するか否かを確認する。そして、いずれかの移動ラックシステム31の1段積み保管棚に空棚が存在する場合(ステップS228:Yes)、ステップS226に移行して検索する移動ラックシステム31を1段積み保管棚に空棚が存在する移動ラックシステム31(ここでは、第1の移動ラックシステム31R)に変更する。そして、ステップS212~ステップS222を行って、第1の移動ラックシステム31Rの1段積み保管棚の空棚に棚No.Z13の荷物を割り当てる。また、ラックシステム30の全体で1段積み保管棚に空棚が存在しない場合(ステップS228:No)、棚割当部52はステップS210に移行して、検索範囲を2段積み保管棚に変更する。そして、ステップS212~ステップS222を行って、2段積み保管棚に1段積みパレットの棚No.Z13の荷物を割り当てる。尚、ステップS104~ステップS112において、空棚の数が荷物の数よりも多いことは確認済みであるから、この割り当て処理の途中で空棚の数が足りなくなることはない。
【0029】
このようにして、優先順位が最後の棚No.Z13の荷物データに対する割り当てが終了し、入庫データの全ての荷物データに対する保管棚の割り当てが完了すると(ステップS203:Yes)、棚割当部52は荷物が載置された仮置棚の棚No、その荷物の割り当て先の保管棚、入庫順序(仮置棚の優先順位)を含む入庫搬送データを作成し(ステップS240)、このグループに対する割り当て処理を終了する(ステップS242)。そして、次に優先度の高い「作業待ち」状態の入庫データが新たに選択され、棚割当部52による空棚数の確認処理と割り当て処理とが行われる。尚、作成された入庫搬送データは順次もしくは予約された入庫作業開始時間にシステム制御部50へと送信され、システム制御部50はこの入庫搬送データに基づいて移動ラック36及び無人フォークリフト40を制御し実際の入庫作業を行う。
【0030】
上記のように、本発明に係る入出庫プログラムによる荷物の割り当て処理では、仮に移動ラックシステム30の双方に十分な空棚が存在している場合、第1のグループ32Rの仮置棚に載置された荷物は近い側の第1の移動ラックシステム31Rに優先的に割り当てられ、第2のグループ32Lの仮置棚に載置された荷物は同じく近い側の第2の移動ラックシステム31Lに優先的に割り当てられる。これにより、入庫作業時の無人フォークリフト40の移動距離が短くなり、また、無人フォークリフト40同士がすれ違う状態を減らすことができる。これにより、入庫作業の時間短縮と効率化とを図ることができる。尚、この関係はラックシステム30の空棚の状況やバッファラック32への荷物の載置位置、個数によって崩れ、場合によっては逆転する可能性もある。しかしながら、初期状態となったり、ラックシステム30で保管中の荷物が出庫して空棚の数が十分になると上記の関係性は回復するため、全体として入庫作業の効率化を図ることができる。
【0031】
また、ここで例えば第1のグループ32Rの荷物は必ず第1の移動ラックシステム31Rに入庫させ、第2のグループ32Lの荷物は必ず第2の移動ラックシステム31Lに入庫させるように固定してしまうと、ラックシステム30での荷物の収容状態に大きな偏りが生じる場合があり、長期的には却って効率が悪化する可能性がある。この点、本発明は上記のように荷物の入庫をラックシステム31で交互に割り当てながら、バッファラック32の仮置棚に近い側の移動ラックシステム31にその荷物が割り振られる頻度を高くする。これにより、移動ラックシステム31の荷物の収容状態の偏りを抑えながら、入庫作業の短時間化を図ることができる。
【0032】
上記のようにしてバッファラック32の仮置棚の荷物の保管場所(保管棚)が割り当てられ、入庫搬送データがシステム制御部50に出力されると、システム制御部50は無人フォークリフト40、及び移動ラック36を制御して、作業用通路3を入庫を行う保管棚の位置に順次移動するとともに、バッファラック32の荷物を割り当てられた保管棚に入庫搬送データの順(仮置棚の優先順位の順)に収容する。この際、無人フォークリフト40への指示は、入庫搬送データの順に順番に出力することが好ましい、前述のように入庫搬送データの入庫順序は空棚が十分な場合には移動ラックシステム31の順に割り当て処理がなされている。よって、移動ラックシステム31と同数の無人フォークリフト40への指示を入庫搬送データの順に出力すると、理想的な状態では一方の無人フォークリフト40が概ね第1のグループ32Rの荷物を第1の移動ラックシステム31Rへ入庫する作業を行い、他方の無人フォークリフト40が概ね第2のグループ32Lの荷物を第2の移動ラックシステム31Lへ入庫する作業を行うこととなる。また、移動ラックシステム31が3台以上の場合、それぞれの無人フォークリフト40が概ね第Nのグループの仮置棚の荷物を近くに位置する第Nの移動ラックシステム31へ入庫する作業を行うこととなる。そして、この関係を維持しながら入庫する荷物がなくなるまで順次繰り返す。このため、入庫作業時の無人フォークリフト40の移動距離が短くなり、また、無人フォークリフト40同士がすれ違う状態を減らすことができ、入庫作業の時間短縮と効率化とを図ることができる。尚、無人フォークリフト40に対する指示は上記のものが好ましいが、倉庫の使用状態や移動ラックシステム31の台数によっては、移動ラックシステム31ごとに専用の無人フォークリフト40を割り当てるようにしても良い。また、無人フォークリフト40を入庫用と出庫用で分けても良い。ただし、いずれの場合であっても無人フォークリフト40への作業指示はひとつの入庫作業の完了前に次の指示が送信され、無人フォークリフト40は待機位置に戻ることなく、連続して入出庫作業を行わせることが好ましい。そして、この入庫作業が完了すると荷物が入庫した保管棚の棚情報データ部56の状態情報は予約棚から使用棚へと更新される。
【0033】
次に、棚割当部52の出庫時の動作に関して図5のフローチャートを用いて説明を行う。先ず、入出庫データ部54には出庫する荷物のデータをまとめた出庫データが記録されている。この出庫データは自動もしくは作業者が手動で作成する。そして、例えばトラック等の運送用車両が到着するなどすると、その運送用車両に積載する予定の荷物の出庫データが手動もしくは自動で選択され棚割当部52に出力される。これにより、棚割当部52は出庫予定の出庫データを取得する(ステップS302)。また、棚割当部52は出庫する荷物を仮置きするバッファラック32の仮置棚の情報を取得する(ステップS303)。この仮置棚の情報の取得は作業者が空いている仮置棚を手動で指示しても良いし、各仮置棚に荷物の載置の有無を認識するセンサを設け空いている仮置棚を自動で取得して指示しても良い。尚、バッファラック32に他の荷物が存在しない場合、指示する仮置棚は優先順位の高い順にすることが好ましい。
【0034】
次に、棚割当部52は出庫データを確認して出庫する荷物のデータをその荷物が収容されている移動ラックシステム31ごとに仕分ける(ステップS304)。次に、棚割当部52は移動ラックシステム31ごとの荷物のデータを交互に配置するとともに、ステップS303で取得したバッファラック32の空棚に荷物の載置場所を順に割り当て、これを出庫搬送データとする(ステップS306)。尚、移動ラックシステム31ごとの荷物のデータ数に偏りが存在する場合には、一方の移動ラックシステム31の荷物のデータが無くなるまで交互とし、それ以降は残りの荷物データを連ねて出庫搬送データとする。このようにして、作成された出庫搬送データは、直ちにシステム制御部50へと送信され、入庫作業と同様にシステム制御部50による制御の下、実際の出庫作業が行われる。
【0035】
以上のように、本発明に係る荷物入出庫システム100は、バッファラック32の仮置棚を第1の移動ラックシステム~第Nの移動ラックシステムの配置場所に則した第1のグループ~第Nのグループにグループ分けし、さらに第1のグループの仮置棚から第Nのグループの仮置棚へと1つずつ順番に一連の優先順位を付与する。また、本発明に係る入出庫プログラムは、各グループの仮置棚の荷物を対応する移動ラックシステム31に優先的に割り当てる。このため、理想的な状態では、第1のグループ~第Nのグループの仮置棚の荷物は第1の移動ラックシステム~第Nの移動ラックシステムにそれぞれ割り当てられる。そして、システム制御部50が移動ラックシステム31と同数の無人フォークリフト40への指示を入庫搬送データの順に出力すると、それぞれの無人フォークリフト40が各グループの仮置棚の荷物を近くに位置する移動ラックシステム31にそれぞれ移送する。即ち、移動ラックシステム31が2台の場合には、一方の無人フォークリフト40が概ね第1のグループ32Rの荷物を第1の移動ラックシステム31Rへ入庫する作業を行い、他方の無人フォークリフト40が概ね第2のグループ32Lの荷物を第2の移動ラックシステム31Lへ入庫する作業を行うこととなる。このため、入庫作業時の無人フォークリフト40の移動距離が短くなり、また、無人フォークリフト40同士がすれ違う状態を減らすことができ、入庫作業の時間短縮と効率化とを図ることができる。
【0036】
また、本発明に係る入出庫プログラムは、割り当て処理の初回では検索対象通路を実際の作業用通路3の位置と同一とし、この検索対象通路に面した保管棚に空棚が存在しない場合には空棚が一番多い検索対象通路に検索範囲を移動する。これにより、実際の入庫作業の際には作業用通路3の移動、即ち移動ラック36の移動の回数を抑えることが可能となり、入庫時間の短縮と効率化とを図ることができる。
【0037】
尚、本例で示した荷物入出庫システム100及び入出庫プログラムは一例であり、荷物入出庫システム100の各部の構成、棚数、配置や仮置棚の優先順位等は上記の例に限定されるものではなく、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。また、入出庫プログラムの各ステップのデータの取得方法、データの処理方法、ステップの順序等は上記の例に限定されるものではなく、また、必要なステップを適宜挿入可能な他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
3 作業用通路
31R 第1の移動ラックシステム
31L 第2の移動ラックシステム
32 バッファラック
32R 第1のグループ(バッファラック)
32L 第2のグループ(バッファラック)
36 移動ラック
40 無人フォークリフト
50 システム制御部
52 棚割当部
100 荷物入出庫システム
図1
図2
図3
図4
図5