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特許7250361グローブ、及びそのグローブを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】グローブ、及びそのグローブを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 19/015 20060101AFI20230327BHJP
   A41D 19/04 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
A41D19/015 610C
A41D19/04 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020505523
(86)(22)【出願日】2018-04-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-30
(86)【国際出願番号】 EP2018059287
(87)【国際公開番号】W WO2018189240
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-04-02
(31)【優先権主張番号】17166288.5
(32)【優先日】2017-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519367887
【氏名又は名称】グロヴァック・インターナショナル・アンパルツセルスケープ
【氏名又は名称原語表記】GloVac International ApS
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・エリク・ヴェスト・ハンセン
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】実公昭37-032765(JP,Y1)
【文献】特開2011-241496(JP,A)
【文献】実公昭43-014500(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 19/015
A41D 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グローブの開口部周りに円形のトラフを形成するように、前記グローブの開口部に係合するための少なくとも単一の構成要素から形成されるリング形状部材であって、
円錐形状の第1環状部、
円錐形状の第2環状部、
及び前記第1環状部と前記第2環状部の間における環状の中央部を備えており、
前記リング形状部材の径は前記中央部において最も小さくなり、
前記リング形状部材は、折り曲げられた形状を得るように、前記中央部周りに折り曲げられることが可能であり、
前記第2環状部は、前記第1環状部に実質的に並んで位置するように折り曲げられて、
前記中央部は複数の穴を備える、ことを特徴とするリング形状部材。
【請求項2】
前記中央部の壁の厚みは、前記第1環状部及び/又は前記第2環状部の壁の厚みよりも小さい、ことを特徴とする請求項1に記載のリング形状部材。
【請求項3】
前記リング形状部材は、前記第1環状部の端部に対応して取り付けられている複数のクリップを備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のリング形状部材。
【請求項4】
前記リング形状部材は単一の構成要素として形成されている、ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のリング形状部材。
【請求項5】
前記リング形状部材は、PPC(ポリプロピレンカーボネート),PP(ポリプロピレン),PVC(ポリ塩化ビニル),POM(ポリオキシメチレン),PP-H(ポリプロピレンポリマー),又はPE(ポリエチレン)の内のプラスチック材料から形成されている、ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のリング形状部材。
【請求項6】
第1端部において手型形状部と、
前記第1端部と反対の第2端部において、使用者の手を挿入するための開口部を有する軸部とを備えるグローブであって、
全体的に円錐形状であり、前記グローブの前記開口部周りに配置されているカラーを備えており、
前記カラーは、円形のトラフを前記グローブに形成するように、前記グローブの前記第1端部に向かう方向に増加する径を有する前記開口部から伸びており、
前記グローブの前記カラーは、請求項1~5のいずれかに記載のリング形状部材を備えており、
前記リング形状部材は、前記グローブに配置されているとき、折り曲げられて、前記折り曲げられた形状に変化する、ことを特徴とするグローブ。
【請求項7】
前記グローブの少なくとも前記軸部は弾性材料から形成されており、
前記リング形状部材は、前記リング形状部材の少なくとも前記第2環状部を覆うように伸ばされる前記弾性材料の一部により前記グローブに取り付けられている、ことを特徴とする請求項6に記載のグローブ。
【請求項8】
前記弾性材料の一部は、前記リング形状部材が折り曲げられたとき、前記第1環状部と前記第2環状部の間にある、ことを特徴とする請求項7に記載のグローブ。
【請求項9】
前記グローブは、前記リング形状部材の前記折り曲げられた形状を保つため、前記リング形状部材の少なくとも一部の周りに留められる複数のクリップを備える、ことを特徴とする請求項6~8のいずれかに記載のグローブ。
【請求項10】
請求項6~9のいずれかに記載のグローブを製造する方法であって、
弾性材料の前記グローブを供給するステップと、
請求項1~5のいずれかに記載のリング形状部材を供給するステップと、
前記開口部近くの前記グローブの一部を前記第2環状部を覆うように折り曲げるステップと、
前記円形のトラフを前記グローブに形成するように、前記リング形状部材を折り曲げて、前記折り曲げられた形状に変化させるステップとを備える、ことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記グローブの一部は、前記第2環状部を覆うように、前記グローブの前記弾性材料を伸ばすことにより折り曲げられる、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、前記リング形状部材の中央の前記開口部を通して、前記グローブをガイドすることを備える、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、前記リング形状部材の前記折り曲げられた形状を保つため、前記リング形状部材の少なくとも一部の周りに1つ以上のクリップを留めることを備える、ことを特徴とする請求項10~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、接着剤を加えることにより、前記リング形状部材の前記折り曲げられた形状を保つことを備える、ことを特徴とする請求項10~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、
前記第2環状部周りの前記グローブの一部を折り曲げるステップの前に、
固定具を供給するステップと、
前記リング形状部材を前記固定具に配置するステップとを備える、ことを特徴とする請求項10~14のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーを備えるグローブ、及びそのようなグローブを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の種類の作業状況において、グローブは、素手が、例えば化学薬品、洗剤、又はバクテリアに接触する虞のある時間を減少させる、又は除くため、必要とされる、又は所望される。一方、グローブがあまりにも長く用いられるとき、特にグローブが低品質であるとき、皮膚病、アレルギー、又は皮膚炎の虞が増加する。
【0003】
一部のグローブは、作業するとき、使用者の腕に沿って流れ落ちる液体を防ぐための手段を備える。この特徴は、絶縁グローブが作業者を保護し、且つグローブから滴り落ちるいずれかの液体が、防がれる、又は少なくとも安全に使用者から離れてガイドされる必要があるような、例えば高電圧グローブに関する一部の作業環境において、特に重要である。
【0004】
グローブの開口部周りに配置され、且つ一部の液体を吸収できるスポンジ状の材料から形成されている補強を備えるグローブ(例えば米国特許2641767号)を形成することが知られている。欧州登録特許2903484号において、グローブは、折り曲げられた縁又はカラーを備えて形成されている。この縁又はカラーは、グローブに沿って流れ落ちるいずれかの液体を捕らえて、使用者の腕から液体を排出させるように作用する。一方、そのようなグローブは、必要な分離部品とその製造方法に不利である。別の課題は、使用するとき、妨げになる、又は使用者を余計に苛立たせるほど硬くもなく、重くもない折り曲げられた縁について所望の効果を生じるように、剛性が十分に大きい補強されたカラーを得ることである。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態の目的は、折り曲げられた縁又はカフを備える既知のグローブについて、液体を集めるように作用するために折り曲げられて、小さな重量の形状を保つように剛性が増加したカフをグローブに与えることにより、上述の不利な点の一部又はすべてを取り除く、又は少なくとも減らすことである。
【0006】
また、本発明の実施形態の目的は、折り曲げられたカフを備えるグローブの効果的且つさらに単純な製造方法を低下したコストで提供することである。
【0007】
本発明に従って、この目的は、グローブの開口部周りに円形のトラフを形成するように、グローブの開口部に係合するためのリング形状部材により得られる。このリング形状部材は、円錐形状の第1環状部、円錐形状の第2環状部、及び第1環状部と第2環状部の間における環状の中央部を備える。また、リング形状部材の径は中央部において最も小さくなる。さらに、リング形状部材は、折り曲げられた形状を得るように、中央部周りに折り曲げられ得る。第2環状部は、第1環状部に実質的に並んで位置するように折り曲げられる。
【0008】
グローブの開口部周りに円形のトラフを形成するように、グローブの開口部周りに配置されているカラーを備えるグローブは、当業者に知られており、所望の形状の補強をグローブの開口部に与えることに有利である。カラーは、装置に用いられるとき、制御できるようにグローブを拡げる圧力差を用いることにより、グローブを着脱するため、グローブに対して座部を与えることに有利である。そのような装置に対して有効であるように、グローブは、装置に挿入されているとき、密閉された部分を形成するように、装置のリム又は端部と係合する必要がある。そのような装置は、例えば欧州登録特許2903484号において開示されている。また、カラーは、グローブが、使用者により装置に挿入されるとき、容器内に完全に付勢されることを防ぐ。さらに、使用者が、清掃の間、グローブをはめられた手を挙げているとき、円形のトラフを形成するグローブのカラーは、一般的に、ドリップ、フルードキャッチャー、又はガターとして有利に機能する。これにより、グローブに沿って流れ落ちるいずれかの液体は、カラーにより防がれる、又は異なる方向を与えられて、使用者の腕に沿って流れ落ちることを防がれる。一方、既知のグローブは、必要な分離部品とその製造方法に不利である。別の課題は、使用するとき、妨げになる、又は使用者を余計に苛立たせるほど硬くもなく、重くもない折り曲げられた縁について所望の効果を生じるように、剛性が十分に大きい補強されたカラーを得ることである。
【0009】
本発明に記載のリング形状部材を提供することにより、グローブに対する補強が得られる。この補強は、リング形状部材の折り曲げられた形状において、大きな剛性、安定性、また一部の柔軟性、さらに小さな重量の構造を有する。本発明に記載のリング形状部材の大きな剛性は、従来の構造、例えば共に留められている分離した2つのリングと比べられるとき、双安定構造により実現すると信じられている。このとき、第2環状部は、第1環状部に向けて、折り曲げられた形状に折り曲げられる。これにより、リング形状部材は、より小さな壁の厚みと重量で製造され得る。これは、より薄いグローブ材料の複数のグローブにリング形状を使用できるようにする、且つより多くの適用のためのグローブにリング形状を使用できるようにすることに有利である。このとき、より薄いグローブが好ましい。また、リング形状部材は、特に横方向において、一部の柔軟性を備えており、一時的に卵形に変形し得る。これは、リング形状部材がグローブに配置されていて、使用者が作業しているとき、使用者に対して妨げにならないこと、及び端部などに引っかかる虞を減らすことに有利である。
【0010】
リング形状部材の重要な利点は、リング形状部材の折り曲げ易さにより、非常に少ない、単純且つ素早い工程で、リング形状部材がグローブに取り付けられ得ることである。この工程は、任意で、完全に自動的に行われ得る、又は好ましい場合、完全に手動で行われ得る。リング形状部材は、第2環状部の端部を覆うようにグローブの端部を引っ張る、及び/又は伸ばすこと、且つリング形状部材を折り曲げて、折り曲げられた形状に変化させることにより、グローブに取り付けられ得る。これにより、カラーを備えるグローブの製造は、素早く、低コストで行われる。また、製造コストは、グローブを組み立てるときの構成要素の数を減らすことにより下がる。
【0011】
また、リング形状部材が、いずれかの後工程を必要とせずに、単一の構成要素として、一体且つ単一の製造ステップで製造され得るため、リング形状部材の製造コストは同様に下がる。
【0012】
ある実施形態において、第1環状部と第2環状部は、最大径から最小径まで、実質的に同様に伸びる。代替として、第2環状部は、第1環状部よりも伸びてもよい。これにより、第2環状部は、折り曲げられた形状で第1環状部全体を覆い得る。第1環状部及び/又は第2環状部は、5~25mm、例えば5~10mmの範囲で伸び得る。第1環状部及び/又は第2環状部の円錐の高さは、5~40mmの範囲、例えば5~10mmの範囲でもよい。中央部の径は、グローブの異なるサイズを合わせるように調整されて、70~150mmの範囲、例えば100~120mmの範囲でもよい。
【0013】
ある実施形態において、リング形状部材の中央部は複数の穴を備える。これにより、中央部の剛性は下がる。また、より小さな力が、リング形状部材を折り曲げて、折り曲げられた形状に変化させるために必要である。一方、折り曲げられた形状のリング形状部材全体の剛性は下がらない、又は最小限だけ下がる。穴は、リング形状部材の射出成形のとき、有利に形成され得る、又は後続のステップで切り取られ得る。中央部は、50~200の範囲、例えば60~80の範囲のリング形状部材のサイズに応じて、複数の穴を備え得る。穴は、例えば円形、卵形、又は四角形の異なる形状を得る。
【0014】
ある実施形態において、中央部の壁の厚みは第1環状部及び/又は第2環状部の壁の厚みよりも小さい。これにより、中央部の剛性は下がる。また、より小さな力が、リング形状部材を折り曲げて、折り曲げられた形状に変化させるために必要である。一方、折り曲げられた形状のリング形状部材全体の剛性は下がらない、又は最小限だけ下がる。中央部の壁の厚みは、0.5~4mmの範囲、例えば0.05~1.0mmの範囲、0.10~0.50mmの範囲、0.12~0.37mmの範囲でもよい。環状の中央部の壁の厚みは、中央付近で、より薄くてもよい、及び/又は第1環状部と第2環状部に向けて厚くなってもよい。環状の中央部の高さ又は長さは、3~15mmの範囲、例えば8~10mmの範囲で約9mm、又は例えば5~7mmの範囲で約6mmでもよい。これにより、環状の中央部は、異なる材料の厚み、及び/又は異なるサイズの丸められた端部を備えるグローブに対応して、合わせるような大きさであってもよい。
【0015】
第1環状部と第2環状部の壁の厚みは、0.7~2.0mmの範囲、例えば0.9~1.2mmの範囲でもよい。第1環状部と第2環状部は、同じ壁の厚みを有してもよく、第1環状部よりも大きな壁の厚みを有する第2環状部を好ましくは備える、異なる壁の厚みであってもよい。ある実施形態において、リング形状部材は、第1環状部の端部に対応して取り付けられている複数のクリップを備える。クリップは、対応して取り付けられることにより、第1環状部を取り除くことなく、少なくとも1回又は数回曲げられ得ることが分かる。これにより、クリップは、折り曲げられるとき、単純な方法により、また単純且つ素早い工程で、折り曲げられた形状にリング形状部材を固定するように、第2環状部周りに曲げられ、留められ得る。これにより、クリップが、折り曲げられた形状にリング形状部材を保持することを助けるため、リング形状部材の剛性と重量は下がり得る。
【0016】
クリップが第1環状部に対応して取り付けられているため、リング形状部材は単一のユニットとして一体となって製造され得る。また、第1環状部への取り付けにより、リング形状部材におけるクリップの正しい配置が確実になる。
【0017】
ある実施形態において、リング形状部材は、複数、例えば2、3、4、又は5個のクリップを備える。このクリップは第1環状部の周辺に有利に分布される。
【0018】
リング形状部材は、PPC(ポリプロピレンカーボネート),PP(ポリプロピレン),PVC(ポリ塩化ビニル),POM(ポリオキシメチレン),PP-H(ポリプロピレンポリマー),又はPE(ポリエチレン)の内のプラスチック材料から形成され得る。これにより、リング形状部材は、小さな重量である一方、大きな剛性を有して、射出成型により効果的に製造され得る。
【0019】
また、本発明は、第1端部において手型形状部と、第1端部と反対の第2端部において、使用者の手を挿入するための開口部を有する軸部とを備えるグローブに関する。このグローブは、全体的に円錐形状であり、グローブの開口部周りに配置されているカラーを備える。このカラーは、円形のトラフをグローブに形成するように、グローブの第1端部に向かう方向に増加する径を有する開口部から伸びる。グローブのカラーは、上述のいずれかに記載のリング形状部材を備える。このリング形状部材は、グローブに配置されているとき、折り曲げられて、折り曲げられた形状に変化する。
【0020】
この利点は、上述のように、リング形状部材に関する。
【0021】
ある実施形態において、グローブの少なくとも軸部は弾性材料から形成されている。リング形状部材は、リング形状部材の少なくとも第2環状部を覆うように伸ばされる弾性材料の一部によりグローブに取り付けられている。これにより、リング形状部材は、少ない単純な工程である一方、効果的な方法でグローブに取り付けられていて、意図せず、グローブから脱落することがない。また、取り付けは、完全な自動、又は要求されるとき、完全な手動のいずれかで行われ得る。さらに、機械的でも化学的でもない、いずれかの取り付け手段を必要とせずに、取り付けが行われ得る。
【0022】
ある実施形態において、弾性材料の一部は、折り曲げられたとき、第1環状部と第2環状部の間にある。このように、リング形状部材は、グローブの弾性材料の層周りに折り曲げられて、所定の位置に層をしっかりと保持している。これにより、リング形状部材は、グローブにしっかりと取り付けられている。
【0023】
ある実施形態において、グローブは、リング形状部材の折り曲げられた形状を保つため、リング形状部材の少なくとも一部の周りに留められる複数のクリップを備える。クリップは、分離部材であってもよく、上述のように、リング形状部材の第1環状部に取り付けられ得る。これにより、クリップは、リング形状部材をグローブにさらに機械的に固定することをもたらして、リング形状部材が、折り曲げられた形状を保ち、開かないことを確実にする。これにより、リング形状部材の剛性と重量は、グローブに対する取り付けを損なうことなく、下がり得る。
【0024】
また、本発明は、上述のいずれかに記載のグローブを製造する方法に関する。この方法は、弾性材料のグローブを供給するステップと、上述のようなリング形状部材を供給するステップと、開口部近くのグローブの一部を第2環状部を覆うように折り曲げるステップと、円形のトラフをグローブに形成するように、前記リング形状部材を折り曲げて、前記折り曲げられた形状に変化させるステップとを備える。グローブの一部は、グローブの弾性部材を、第2環状部を覆うように伸ばすことにより、折り曲げられ得る。
【0025】
この利点は、上述のように、グローブとリング形状部材に関する。
【0026】
ある実施形態において、この方法は、リング形状部材の中央の開口部を通して、グローブをガイドすることを備える。これにより、グローブは、第2環状部を覆うようにグローブのリムを伸ばすための位置に適宜至る。したがって、リング形状部材は、円形のトラフを形成するため、所望の向きで、グローブに取り付けられている。
【0027】
ある実施形態において、この方法は、リング形状部材の折り曲げられた形状を保つため、リング形状部材の少なくとも一部の周りに1つ以上のクリップを留めることを備える。この利点は上述されている。
【0028】
代替として、又は付加的に、この方法は、接着剤を加えることにより、リング形状部材の折り曲げられた形状を保つことを備えてもよい。
【0029】
ある実施形態において、この方法は、第2環状部周りのグローブの一部を折り曲げるステップの前に、固定具を供給するステップと、リング形状部材を固定具に配置するステップとを備える。これにより、固定具は、第2環状部を覆うようにグローブを伸ばすとき、リング形状部材を所定の位置に保持することを助ける。このように、この方法は、より高速且つ容易に行われ得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明の異なる実施形態が、図面を参照して記載される。
図1図1は、グローブの軸部から外側に伸びる折り曲げられた縁を形成するカラーを備えるグローブの軸部を示す斜視図である。
図2図2は、当業者に知られている、補強カラーを備えるグローブの異なる例を示す。
図3図3は、当業者に知られている、補強カラーを備えるグローブの異なる例を示す。
図4図4は、当業者に知られている、補強カラーを備えるグローブの異なる例を示す。
図5a図5aは、図示するように部分的に挿入されているグローブを備える、グローブを着脱するための装置を示す斜視図である。
図5b図5bは、容器に部分的に挿入されているグローブを備える、図5aの装置を示す。
図6図6は、容器の開口部とグローブの係合の異なる実施形態を示す拡大詳細図である。
図7図7は、容器の開口部とグローブの係合の異なる実施形態を示す拡大詳細図である。
図8図8は、本発明に記載されている、グローブにカラーを形成するためのリング形状部材の実施形態を示す。
図9図9は、リング形状部材を備えるグローブの実施形態を示す斜視図である。
図10図10は、リング形状部材を備えるグローブの実施形態を示す断面図である。
図11図11は、折り曲げられた形状のリング形状部材を備える、図10のグローブを示す断面図である。
図12図12は、リング形状部材を備えていない、リング形状部材を取り付けるための固定具を示す。
図13図13は、リング形状部材を所定の位置に備えている、リング形状部材を取り付けるための固定具を示す。
図14図14は、本発明に記載されている、複数のクリップを備えるリング形状部材の別の実施形態を示す。
図15図15は、複数のクリップを用いて、折り曲げられた形状に固定されているリング形状部材を備えるグローブを示す。
図16図16は、クリップを示す。
図17図17は、リング形状部材の実施形態を示す。
図18図18は、リング形状部材の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明に記載されている形状のグローブ100を示す。明確にするため、軸部のみ、又はグローブ100の開口部101近くの上部を示す。最大5本の指を任意で備える下方手型形状部は示さない。このグローブの下方手型形状部は、いずれかの従来のグローブとして形成され得る。
【0032】
図1において説明したように、グローブ100は、グローブ100の開口部101を補強するカラー102を備える。この開口部101を通して、手が挿入される。カラー102は、全体的に円錐形状であり、グローブ100の開口部101周りに配置されていて、グローブ100の第1手型形状端部に向かう方向に増加する径を有する開口部101から伸びる。これにより、カラー102は、円形のトラフ104をグローブ100に形成する。トラフ104又は溝は、液体収集深部又は空間としての役割を果たして、使用者が作業するとき、液体が使用者の腕に沿って流れ落ちることを防ぎ得る。図2,3に示すグローブ100の断面図において、トラフ104をより明確に示す。
【0033】
そのような有利なカラー102を備えるグローブ100は、従来と同じように、ディップ成形により、全体的に円錐形状のリング201を、軸部に、又は対応する円錐面における手のモデルの手首周りに配置することにで製造され得る。手のモデルは、浸されて、グローブの材料で1回以上覆われている。乾燥と加硫処理が行われたとき、グローブ100は、モデルから外されて、リング201により補強された部分を除いて裏返される。グローブ100の縁は、手のモデルから外されたとき、下方に曲げられたままであり、図2に示すように、カラー102を形成する。グローブ100の軸部は断面図に示す。
【0034】
図3は、当業者に知られているような、カラー102を備えるグローブ100を示す。図において、カラー102は、内側リング301と外側リング302により形成されている。この2つのリング301,302は、ほとんど円錐形状である。グローブ100は、内側リング301の端部を覆うようにグローブ100の端部103を伸ばすこと、及び矢印により示すように、内側リング301に外側リング302を付勢することにより製造され得る。外側リング302は、柔軟性を増すための複数のスリット303、及び内側リング301とグローブ100の端部103に付勢されるための機能を任意で備えてもよい。図4の斜視図において、内側リング301と外側リング302を示す。
【0035】
図5は、当業者に知られている、本発明に記載されている弾性材料のグローブ100を使用者の手から着脱することを助けるための装置500を示す。装置500は、開口部502を有する容器501を備える。この開口部502を通して、グローブ100と使用者の手は挿入される。図5bにおいて、容器501に途中まで挿入されているグローブ100を備える同じ装置を示す。この装置は、容器501内側の空気圧の制御により、すぐに動作する。図に示す装置において、空気圧の制御は、逆止弁506と排出口507を組み合わせて、ベローズ505により成立する。使用者の手が、容器501に既にかけられているグローブ100に挿入されるとき、又はグローブ100を着けた手が容器501に挿入されるとき、容器501のベローズ部505は圧縮されて、空気が逆止弁506を通して容器501から押し出される。手が再び外されるとき、ベローズ505が再び拡がり、負圧が容器501内に生じる。これにより、グローブ100を拡げて、グローブ100から手を外すことができる。グローブ100が着けられるとき、容器501の排出口507は、作動して、好ましくは単純に、容器501内から手で開く。これにより、負圧は取り除かれて、グローブ100は、容器から取り除かれるとき、手に着いたままである。他の装置において、圧力の変化は、例えばポンプにより生じ得る。
【0036】
容器501内に所望の負圧を生じるため、グローブ100は、好ましくは、容器501の開口部502を密閉する必要がある。この点において、本発明に記載されている、円錐のカラー102を備えるグローブ100は、カラー102により、特に有利であり、容器501の開口部502に対してカラー102の座部を与えて、グローブ100が、使用者により、意図せず、その部分に向けて押し下げられることを防ぐ。
【0037】
図6,7において、この機能を詳細に示し得る。装置500の容器501は、グローブ100のカラー102を支持するように作用するために、好ましくは、開口部502の周辺にリム503を備える。したがって、グローブ100は、容器501に配置されているとき、リム503に支えられている。また、図7において詳細に示し得るように、リム503は、グローブ100の円錐のカラー102と係合するため、(図の上方に向けて)容器501から外側に突出する端部504を備える。図6の実施形態において、端部504の表面は、リム503及び容器501の縦方向とほぼ垂直に交わる。図7において、端部504の表面は、ほぼ、容器501の開口部502に向けて狭窄する円錐である。端部504の表面は、グローブ100のカラー102より角度602傾き、グローブ100のカラー102に対して約5~15°の角度で傾き得る。これにより、グローブ100は、容器501のリム503でガイドされて、容器501へのグローブ100の封入を改善する。これにより、装置500は、グローブの着脱に対して、より効果的になる。また、角度の差により、グローブが容器501のリム503から容易に再び取り外され得ることを確実にする。
【0038】
グローブ100の円錐のカラー102又は折り曲げられた縁は、グローブ100の開口部101を補強するように作用する。また、カラー102は、容器501の開口部502のリム503に容易に挿入されるように、グローブ100の開口部101の全体形状を保つように作用する。したがって、カラー102は、容器501の開口部502に対する座部としての役割を果たして、負圧が効果的に生じる部分を効果的に密封する。上述のように、グローブ100のカラー102は、使用者が作業するとき、液体がグローブをはめられた手から落ちて、腕に沿って流れ落ちることを防ぐことに有利である。
【0039】
これらの有利な点を実現するため、グローブ100のカラー102は所定の剛性を有する必要がある。一方、硬すぎるカラーは、使用者が作業しているとき、使用者の快適さを減少させて、妨げになる、又は角などで捕らえられ得る。また、カラー102は、小さな材料の厚みを有するグローブに効果的に作用するように、できる限り小さな重量を有利に備える。
【0040】
図8に示す実施形態によれば、これらの有利な点は、リング形状部材800を有するカラーを備えるグローブにより得られる。この実施形態において、リング形状部材800は、円錐形状の第1環状部801、円錐形状の第2環状部802、及び第1環状部801と第2環状部802の間における環状の中央部803を備える。リング形状部材800の径は中央部803において最も小さい。第1環状部801と第2環状部802は、それぞれ、この中央部803から外側に伸びる。リング形状部材800は、矢印900により示すように、中央部803周りに折り曲げられることができて、折り曲げられた形状に折れ曲がる。第2環状部802は、第1環状部801に実質的に並んで位置するように折り曲げられる。図10において、これを示す。リング形状部材800は、グローブ100のリムを保持するように折り曲げられる。また、リング形状部材800は、図8に示すような開口形状と、図10に示すような折り曲げられた形状を備える双安定構造である。
【0041】
図10,11において、より明確に示すように、リング形状部材800の折り曲げ易さは、例えば中央部803のより小さな壁の厚み、及び/又は中央部803の複数の穴804により得られる、減少した中央部803の剛性に加えて、中央部803の例えば、曲線又は半円形の断面形状により容易になり得る。第1環状部801と第2環状部802は、両方とも、実質的に円錐であるため、折り曲げられた形状のリング形状部材800の全体形状は、同様に、実質的に円錐である。
【0042】
実施形態において、リング形状部材800は、単一の構成要素として一体に成型される。リング形状部材800は、PPC(ポリプロピレンカーボネート),PP(ポリプロピレン),PVC(ポリ塩化ビニル),POM(ポリオキシメチレン),PP-H(ポリプロピレンポリマー),又はPE(ポリエチレン)のようなプラスチック材料から射出成型により成型され得る。
【0043】
図9は、グローブ100の開口部101に取り付けられているようなリング形状部材800を示す。図10において、このグローブ100の開口部101を拡大詳細断面図で示す。従来の弾性材料のグローブ100のリム901は第2環状部802を覆うように伸ばされる。実施形態において、リム901は、丸められた端部902を備える。環状の中央部803は、リム901の丸められた端部902を受容するように、リム901の丸められた端部902に対応する曲線形状を備える。図11に示すように、リング形状部材800の第2環状部802は、第1環状部801に隣接するため、矢印900により示すように折り曲げられる。この実施形態における折り曲げられた形状において、グローブ100の弾性材料の部分は第1環状部801と第2環状部802との間にある。
【0044】
リング形状部材800は、リング形状部材800の少なくとも一部を覆うように弾性材料を伸ばすことにより、グローブ100の開口部101周りに円形のトラフ104を形成するように、グローブ100の開口部101に取り付けられる。
【0045】
図17,18において、リング形状部材800の2つの実施形態を詳細に示す。図17において、側面図、平面図、及び断面図で、リング形状部材800をそれぞれ示す。図18において、リング形状部材800の別の実施形態を断面図で示す。2つの実施形態の間の大きな違いは、環状の中央部803の異なるサイズと曲率である。図18の実施形態において、環状の中央部803は、より大きな高さ1601とより大きな径を得る。図17,18のリング形状部材800は、それぞれ、特に環状の中央部803の大きさにより、相対的に薄いグローブ材料と厚いグローブ材料のグローブに、及び/又は相対的に小さい若しくは大きいグローブの丸められた端部902を備えるグローブに用いられるような大きさである。図17の実施形態に対して、環状の中央部803の高さ1601は、5~7mmの範囲で約6mmであり、相対的に薄いグローブ材料の従来のグローブに合わせるように適している。図18の実施形態に対して、環状の中央部803の高さ1601は、8~10mmの範囲で約9mmであり、相対的に厚いグローブ材料の従来のグローブに合わせるように適している。3~15mmの範囲にあるような、いずれかの高さが、異なる厚みである、及び/又は異なるサイズの丸められた端部903を備えるグローブに対して適切であってもよい。
【0046】
環状の中央部803の壁の厚み1602は、中央付近で、より薄くてもよく、第1環状部801と第2環状部802に向けて厚くなってもよい。壁の厚み1602は、0.05~0.50mmの範囲、例えば0.12~0.37mmの範囲でもよい。(図17,18の実施形態と同様に、)第1環状部801と第2環状部802の壁の厚み1603は、0.7~2.0mmの範囲、例えば0.9~1.2mmの範囲でもよい。第1環状部801と第2環状部802は、同じ壁の厚みを有してもよく、第1環状部801よりも大きな壁の厚みを有する第2環状部802を好ましくは備える、異なる壁の厚みであってもよい。
【0047】
図12は固定具1200の実施形態を示す。この固定具1200は、円形のトラフ104をグローブ100に形成するために、リング形状部材800をグローブ100に取り付けることに用いられ得る。固定具1200は、テーブルなどに有利に取り付けられ得る基部1201を備える。また、固定具1200は、基部1201から伸びる円筒部1202を備える。図13に示すように、リング形状部材800は、組み立てるとき、固定具1200の円筒部1202に配置されている。弾性材料のグローブ100の端部又はリムは、リング形状部材800の第2環状部802を覆うように伸ばされる。次に、リング形状部材800は折り曲げられる。その後、カラーを備えて組み立てられたグローブ100は固定具1200から取り除かれる。実施形態において、固定具1200の円筒部1202の柔軟性は、組み立てるとき、リング形状部材800を固定具1200に配置して、グローブ100を取り外すことをより容易にする複数の突出部材1203に分かれる円筒部1202により増加する。
【0048】
図14は、複数のクリップ1400を備えるリング形状部材800の実施形態を示す。このクリップ1400は第1環状部801に対応して取り付けられている。図15に示すように、リング形状部材800が、グローブ100に取り付けられて、折り曲げられるとき、クリップ1400は、曲げられて、グローブ100のカラー102の上側端部周りに留められる。このように、クリップ1400は、リング形状部材800の折り曲げられた形状を保護するように作用する。このように、グローブ100のカラー102は、たとえ摩耗したとき、又は意図せず変形したときでも、開くことを防がれ得る。図15に示すように、クリップ1400は、代替として、又は付加的に、独立した部材として形成されて、リング形状部材800の折り曲げられた形状を確実にするようにグローブ100のカラー102の端部周りに留められ得る。
【0049】
付加的に、又は代替として、接着剤が、リング形状部材800を折り曲げられた形状に固定するために用いられ得る。
【0050】
本発明の好ましい実施形態が記載される一方、本発明が限定されない、また本発明から逸脱することなく、変更が行われ得ることが分かる。本発明の範囲は、添付された請求項により定められる。また、請求項の意義に近いすべての装置は、その請求項の意義に、事実上又は同等に含まれるように意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18