(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】ガス漏れ検査システム及びガス漏れ検査方法
(51)【国際特許分類】
G01M 3/04 20060101AFI20230327BHJP
G01M 3/20 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
G01M3/04 K
G01M3/20 Z
(21)【出願番号】P 2022001726
(22)【出願日】2022-01-07
(62)【分割の表示】P 2017147129の分割
【原出願日】2017-07-28
【審査請求日】2022-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】594123387
【氏名又は名称】ヤマハファインテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100206391
【氏名又は名称】柏野 由布子
(72)【発明者】
【氏名】道喜 裕一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 毅
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 茜
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-019977(JP,A)
【文献】特表2008-513799(JP,A)
【文献】特表2006-522335(JP,A)
【文献】特開2002-117901(JP,A)
【文献】特開2003-035622(JP,A)
【文献】特開平02-168134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00~3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の検査対象物の外面に近接して配され、前記検査対象物
の内部に充填されたガスを前記検査対象物の外側において検出するガスセンサを備えるガス漏れ検査装置と、
ガス漏れがあると判定された前記検査対象物において、前記検査対象物の外面の一部領域を覆って
、覆われた前記一部領域におけるガス漏れの有無を検査する追加ガス漏れ検査装置と、を備えるガス漏れ検査システム。
【請求項2】
前記ガスセンサが、互いに間隔をあけて複数配列されている請求項1に記載のガス漏れ検査システム。
【請求項3】
前記ガスセンサが前記検査対象物の外面に沿って移動するように、前記検査対象物と前記ガスセンサとを相対的に移動させる移動手段を備える請求項1又は請求項2に記載のガス漏れ検査システム。
【請求項4】
前記検査対象物を収容する収容部を備え、
前記ガスセンサが収容部に設けられている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のガス漏れ検査システム。
【請求項5】
中空の検査対象物の開口を塞ぐ閉鎖ステップと、
前記検査対象物にガスを充填する充填ステップと、
前記検査対象物に充填されたガスを前記検査対象物の外側におい
て検出する検出ステップと、
前記検出ステップの後に
、前記検出ステップにてガス漏れがあると判定された前記検査対象物において、前記検査対象物の外面の一部領域を覆って前記一部領域におけるガス漏れの有無を検査する検査ステップと、
を備えるガス漏れ検査方法。
【請求項6】
前記閉鎖ステップは、前記検査対象物の開口を蓋部によって塞ぐことで行われる請求項
5に記載のガス漏れ検査方法。
【請求項7】
前記ガスは、ガスセンサに反応する反応ガスであり、
前記検出ステップにおける前記反応ガスの検出は、前記ガスセンサによって行われる請求項
5又は請求項
6に記載のガス漏れ検査方法。
【請求項8】
前記ガスセンサが前記検査対象物の外面に沿って移動するように、前記検査対象物と前記ガスセンサとを相対的に移動させる移動ステップをさらに備える請求項
7に記載のガス漏れ検査方法。
【請求項9】
前記検査対象物を収容部内に配する配置ステップをさらに備え、
前記ガスセンサは前記収容部に設けられる請求項
7に記載のガス漏れ検査方法。
【請求項10】
前記ガスセンサが、ガスを検出する検出部と、前記検出部よりも広い面積の開口を有する拡張部と、を備える請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載のガス漏れ検査システム。
【請求項11】
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載のガス漏れ検査システムを用いたガス漏れ検査方法であって、
前記ガス漏れ検査装置を用いて前記検査対象物におけるガス漏れを検査した後に、前記追加ガス漏れ検査装置を用いて前記一部領域におけるガス漏れの有無を検査するガス漏れ検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス漏れ検査システム及びガス漏れ検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤなどの中空の物体(検査対象物)に充填されたガスが、検査対象物から外部に漏れ出しているか否かを検査する種々の方法が考えられている。特許文献1には、バイクに取り付けられたタイヤの空気漏れを検査するために、タイヤの一部を容器に満たされた液体に浸漬する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された手法では、検査対象物においてガスが漏れている位置(ガス漏れ位置)を目視により確認する必要がある。しかしながら、ガス漏れ位置となる検査対象物の欠陥(例えば孔)は微細であることが多いため、目視でガス漏れ位置を把握することは難しい。また、ガス漏れ位置を把握するまでに長い時間を要する、という問題もある。 さらに、特許文献1に開示された手法では、検査後にはタイヤに付着した液体を乾燥させる工程(乾燥工程)が必要となるため、タイヤのガス漏れ検査が面倒である。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、短時間で検査対象物におけるガス漏れ位置を容易に把握できるガス漏れ検査システム及びガス漏れ検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、中空の検査対象物の外面に近接して配され、前記検査対象物の内部に充填されたガスを前記検査対象物の外側において検出するガスセンサを備えるガス漏れ検査装置と、ガス漏れがあると判定された前記検査対象物において、前記検査対象物の外面の一部領域を覆って、覆われた前記一部領域におけるガス漏れの有無を検査する追加ガス漏れ検査装置と、を備えるガス漏れ検査システムである。
【0007】
本発明の一態様は、中空の検査対象物の開口を塞ぐ閉鎖ステップと、前記検査対象物にガスを充填する充填ステップと、前記検査対象物に充填されたガスを前記検査対象物の外側において検出する検出ステップと、前記検出ステップの後に、前記検出ステップにてガス漏れがあると判定された前記検査対象物において、前記検査対象物の外面の一部領域を覆って前記一部領域におけるガス漏れの有無を検査する検査ステップと、を備えるガス漏れ検査方法である。
【0008】
本発明の一態様は、上記に記載のガス漏れ検査システムを用いたガス漏れ検査方法であって、前記ガス漏れ検査装置を用いて前記検査対象物におけるガス漏れを検査した後に、前記追加ガス漏れ検査装置を用いて前記一部領域におけるガス漏れの有無を検査するガス漏れ検査方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、移動手段によりガスセンサと検査対象物とを相対的に移動させながら、ガスセンサにより検査対象物から漏れ出したガスを検出できる。これにより、検査対象物におけるガス漏れ位置を短時間で容易に把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るガス漏れ検査装置の構成を示す図である。
【
図2】
図1のガス漏れ検査装置におけるガスセンサの配置例、及び、移動手段の構成例を示す断面図である。
【
図3】
図1のガス漏れ検査装置におけるガスセンサの構成例を示す斜視図である。
【
図4】本発明の第一実施形態に係るガス漏れ検査システムの追加ガス漏れ検査装置の第一構成例を示す斜視図である。
【
図6】本発明の第一実施形態に係るガス漏れ検査システムの追加ガス漏れ検査装置の第二構成例を示す斜視図である。
【
図7】
図6の追加ガス漏れ検査装置の第二構成例を示す断面図である。
【
図8】本発明の第二実施形態に係るガス漏れ検査装置の構成を示す図である。
【
図9】
図8のガス漏れ検査装置における収容部の構成例、ガスセンサの配置例、及び、移動手段の構成例を示す断面図である。
【
図10】
図1のガス漏れ検査装置におけるガスセンサの他の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔第一実施形態〕
以下、
図1-7,10を参照して本発明の第一実施形態について説明する。
【0012】
本実施形態において、ガス漏れの検査対象となる中空の検査対象物は、任意であってよい。
図1,2に示すように、本実施形態における検査対象物100は、軸対称の外面を有する軸対称の物体である。具体的に、本実施形態の検査対象物100は車両等に用いられるタイヤ101である。タイヤ101は、軸対称の外面として、タイヤ101の軸線A1に沿って延びる円筒状の接地面102、及び、接地面102の軸方向の両端に接続されて軸線A1に交差(例えば直交)する円環状の側面103,104と、を有する。タイヤ101の側面103,104は、例えば平坦に形成されてもよいし、湾曲してもよい。タイヤ101は、その軸方向の両端が開口している。このため、タイヤ101のガス漏れを検査する際には、
図2に例示するようにタイヤ101の両端の開口を一対の蓋部105,106によって塞ぐことでタイヤ101を中空の検査対象物として構成する。
【0013】
ガス漏れの検査時においてタイヤ101に充填されるガスは、水素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、炭酸ガスなどガスセンサに反応する各種のガス(反応ガス)であってよい。また、検出対象となるガスは、反応ガスを含む混合ガス(例えば水素ガス5%、窒素95%の混合ガス)であってもよい。反応ガスには、例えば粘性が低いガス(例えば使用時にタイヤ101に注入される空気よりも粘性が低いガス)が選択されてよい。
【0014】
図1,2に示すように、本実施形態に係るガス漏れ検査装置1は、ガスセンサ2と、移動手段3と、を備える。
ガスセンサ2は、タイヤ101(中空の検査対象物100)の外面に対向(近接)して配される。ガスセンサ2(特に後述する検出面13)は、タイヤ101の外面(接地面102、側面103,104)に接触しない範囲で、タイヤ101の外面により近づけて配されるとよい。ガスセンサ2は、タイヤ101に充填されたガスをタイヤ101の外側において検出する。ガスセンサ2は、前述した反応ガス又はこれを含む混合ガスを検出する。ガスセンサ2は、反応ガスの濃度を検出する。ガスセンサ2は、検出した反応ガスの濃度を電気信号(例えば電圧値)として出力する。
【0015】
図3,10に示すように、本実施形態のガスセンサ2は、ガスを検出するセンサ本体(検出部)11と、センサ本体11よりも広い面積の開口を有する拡張部12と、を備える。
センサ本体11は、ガスを検出する検出面13を有する。検出面13は、例えばガスを内部に取り込む開口であってもよい。拡張部12は、センサ本体11の検出面13(又は開口)よりも広い面積の開口を有する。拡張部12は、センサ本体11の検出面13(又は開口)を囲むように形成されている。拡張部12は、例えばセンサ本体11に一体に形成されてもよいし、例えばセンサ本体11に対して着脱自在に取り付けられてもよい。 ガスセンサ2は、少なくとも拡張部12の一部の開口がタイヤ101の外面に対向するように配されればよい。
【0016】
拡張部12の具体的な形状は任意であってよい。拡張部12は、
図3(a)に例示するように、検出面13が向く方向(
図3(a)において矢印Xで示す方向)にのみ開口する箱型や椀状に形成されてよい。この場合、センサ本体11は、検出面13がタイヤ101の外面に対向するように配される。
拡張部12は、
図3(b)、
図3(c)、
図3(d)、
図10(a)に例示するように、検出面13が向く方向(
図3(b)、
図3(c)、
図3(d)、
図10(a)において矢印Xで示す方向)に開口し、かつ、検出面13に沿う一方向(
図3(b)、
図3(c)、
図3(d)、
図10(a)において矢印Yで示す方向)に開口するように形成されてよい。この場合、拡張部12は、
図3(d)に例示するように、一方向における両側に開口するように形成され、ガスが拡張部12の両側の開口を通じて拡張部12を通り抜けるようにしてもよい。また、拡張部12は、
図3(b)、
図3(c)、
図10(a)に例示するように、一方向における片側にのみ開口するように形成され、拡張部12の片側の開口から拡張部12の内側に入り込んだガスが拡張部12を通り抜けないようにしてもよい。
【0017】
拡張部12は、
図3(e)、
図10(b)に例示するように、検出面13が向く方向(
図3(e)、
図10(b)において矢印Xで示す方向)に開口し、かつ、検出面13に沿う一方向(
図3(e)、
図10(b)において矢印Yで示す方向)に開口し、さらに、検出面13に沿って一方向と直交する方向(直交方向;
図3(e)、
図10(b)において矢印Zで示す方向)に開口するように形成されてもよい。この場合、拡張部12は、
図3(e)、
図10(b)に例示するように、一方向における片側に開口するように形成され、かつ、直交方向における片側に開口するように形成されてよい。また、拡張部12は、例えば一方向における両側に開口するように形成され、かつ、直交方向における両側に開口するように形成されてもよい。
図3(e)に例示するガスセンサ2において、センサ本体11は、その検出面13がX方向に向くように配されているが、例えば検出面13がZ方向に向くように配されてもよい。
【0018】
拡張部12が、複数の方向に開口する場合、センサ本体11は、
図3(b)、
図3(d)に例示するように検出面13がタイヤ101の外面に対向するように配されてもよいし、
図3(c)、
図3(e)、
図10(a)、
図10(b)に例示するように検出面13がタイヤ101の外面に交差(
図3(c)、
図3(e)では直交)するように配されてもよい。
【0019】
拡張部12が複数の方向に開口する場合、すなわち拡張部12が互い異なる方向に向く複数の開口面を有する場合、センサ本体11は、
図3(b)、
図3(c)、
図3(d)、
図3(e)に例示するように、検出面13が拡張部12の一つの開口面に向くように配されてもよい。また、センサ本体11は、
図10(a)に例示するように、検出面13が異なる方向に向く二つの開口面の角部に向くように配されてもよい。また、センサ本体11は、
図10(b)に例示するように、検出面13が異なる方向に向く三つの開口面の角部に向くように配されてもよい。
【0020】
図1,2に示すように、移動手段3は、ガスセンサ2がタイヤ101の外面に沿って移動するように、タイヤ101とガスセンサ2とを相対的に移動させる。移動手段3は、タイヤ101の外面からガスセンサ2に至る距離を一定に保つように、タイヤ101とガスセンサ2とを相対的に移動させるとよい。移動手段3によるタイヤ101とガスセンサ2との相対的な移動方向などは任意であってよい。本実施形態の移動手段3は、タイヤ101の軸線A1を中心としてタイヤ101とガスセンサ2とを相対的に移動させる。
【0021】
移動手段3は、例えばガスセンサ2をタイヤ101の外面に沿って移動させてもよい。この場合、移動手段3は、例えばガスセンサ2を移動させるロボットアームと、タイヤ101の外面の形状に合せてガスセンサ2が動くようにロボットアームを制御するコンピュータと、を備えてよい。本実施形態の移動手段3は、ガスセンサ2がタイヤ101の外面に沿って移動するように、タイヤ101を移動させる。より具体的に、本実施形態の移動手段3は、タイヤ101をその軸線A1を中心に回転させる回転駆動部3Aによって構成されている。回転駆動部3Aの具体的な構成は任意であってよい。本実施形態の回転駆動部3Aは、タイヤ101の回転位置を把握することが可能なステッピングモータによって構成されている。
【0022】
回転駆動部3Aは、例えばタイヤ101を置く台に接続されてよい。本実施形態の回転駆動部3Aは、タイヤ101の開口を塞ぐ第一の蓋部105に接続されている。これにより、タイヤ101の軸線A1と回転駆動部3Aの軸線A2とを簡単に一致させることができる。
【0023】
ガスセンサ2は、少なくともタイヤ101の外面のうち周方向の一部領域に対向するように配されればよい。ガスセンサ2は、例えばタイヤ101の接地面102に対向するように配されてよい。本実施形態のガスセンサ2は、タイヤ101の側面103,104に対向するように配されている。ガスセンサ2の数は、例えば一つであってよいが、本実施形態では複数である。
【0024】
複数のガスセンサ2は、タイヤ101の軸線A1を中心とするタイヤ101の周方向に間隔をあけて配列されている。タイヤ101の周方向に配列された複数のガスセンサ2は、例えば不等間隔で配列されてよいが、本実施形態では等間隔で配列されている。本実施形態において、ガスセンサ2はタイヤ101の周方向に二つ配列されている。
【0025】
ガスセンサ2は、例えばタイヤ101の一方の側面103にのみ対向して配されてもよいが、本実施形態ではタイヤ101の両方の側面103,104に対向して配されている。一方の側面103に対向するガスセンサ2と、他方の側面104に対向するガスセンサ2とは、例えばタイヤ101の周方向において互いにずれて位置してもよいが、本実施形態では互いに一致するように位置する。
【0026】
本実施形態のガスセンサ2は移動しないが、例えばタイヤ101の外面に沿って移動してもよい。すなわち、移動手段3は、例えばタイヤ101を回転させる回転駆動部3Aの他に、ガスセンサ2をタイヤ101の外面に沿ってタイヤ101の外面の移動方向に直交する方向(タイヤ101の径方向や軸方向)に移動させるガスセンサ移動部を含んでもよい。例えば
図1,2に示すようにガスセンサ2がタイヤ101の側面103,104に対向するように配される場合、ガスセンサ移動部はガスセンサ2をタイヤ101の径方向に移動させてもよい。また、例えばガスセンサ2がタイヤ101の接地面102に対向するように配される場合、ガスセンサ移動部はガスセンサ2をタイヤ101の軸方向に移動させてもよい。
また、ガスセンサ2は、例えばタイヤ101の外面の移動方向に直交する方向(例えばタイヤ101の径方向や軸方向)に複数配列されてもよい。
【0027】
本実施形態のガス漏れ検査装置1は、ガス供給排出部4を備える。ガス供給排出部4は、タイヤ101の内部に反応ガスやこれを含む混合ガスを供給するガス供給部を含む。また、ガス供給排出部4は、タイヤ101内部から反応ガスや混合ガスを排出するガス排出部を含む。本実施形態において、ガス供給排出部4によるタイヤ101に対するガスの供給や排出は、後述するPLC15によって制御される。ガス供給排出部4は、反応ガスやこれを含む混合ガスの供給源(例えばガスボンベ)、供給源とタイヤ101の内部とをつなぐガス供給用の配管、タイヤ101の内部と外部とをつなぐガス排出用の配管、配管の途中に設けられて配管におけるガスの流通及び流通の遮断を切り換えるバルブ(いずれも不図示)、などを適宜組み合わせて構成されてよい。
図1,2では、ガス供給排出部4の配管14が、タイヤ101の開口を塞ぐ第二の蓋部106に接続されている。ガス供給排出部4の配管14は、ガス供給用の配管及びガス排出用の配管を兼用している。
【0028】
図1に示すように、本実施形態のガス漏れ検査装置1は、位置検出手段5と、判定手段6と、漏れ位置特定手段7と、を備える。
位置検出手段5は、移動手段3によるタイヤ101とガスセンサ2との相対的な移動時間又は移動距離に基づいて、タイヤ101の外面におけるガスセンサ2の位置を検出する。本実施形態の位置検出手段5は、タイヤ101の周方向におけるガスセンサ2の位置を検出する。また、ガスセンサ2がタイヤ101の径方向や軸方向に移動する場合、位置検出手段5は例えばタイヤ101の径方向や軸方向におけるガスセンサ2の位置を検出してもよい。本実施形態の位置検出手段5は、複数のガスセンサ2の各々の位置を検出する。
【0029】
本実施形態の位置検出手段5は、PLC(Programmable Logic Controller)15及び回転駆動部3Aによって構成されている。PLC15は、ガス漏れ検査装置1の各種動作を制御する制御部や、ガス漏れ検査装置1に必要な各種データを管理するデータ管理部として構成されている。PLC15は、回転駆動部3Aから送出されるタイヤ101の回転位置のデータに基づいてタイヤ101の外面におけるガスセンサ2の位置を検出する。また、PLC15は、回転駆動部3Aの動作(駆動や停止、速度調整等)も制御する。
【0030】
判定手段6は、ガスセンサ2において検出された反応ガスの濃度に基づいて、タイヤ101にガス漏れが生じているか否かを判定する。判定手段6は、ガスセンサ2において検出された反応ガスの濃度が所定の閾値以下である場合に、「タイヤ101にガス漏れが生じていない(タイヤ101に孔等の欠陥が無い)」と判定する。また、判定手段6は、ガスセンサ2において検出された反応ガスの濃度が所定の閾値以上である場合に、「タイヤ101にガス漏れが生じている(タイヤ101に孔等の欠陥がある)」と判定する。
【0031】
本実施形態の判定手段6は、PLC15及びガス測定部16によって構成されている。ガス測定部16は、各ガスセンサ2と接続されている。ガス測定部16は、各ガスセンサ2から出力された電気信号(電圧値)を反応ガスの濃度に変換する。電気信号を反応ガスの濃度に変換するための基準データは、例えばガス測定部16に記憶されてもよいが、本実施形態ではPLC15に記憶されている。このため、ガス測定部16において電気信号を反応ガスの濃度に変換する際には、上記の基準データがPLC15からガス測定部16に送出される。ガス測定部16において変換された反応ガスの濃度(又は電圧値)は、各ガスセンサ2と対応付けた状態でPLC15に送出される。
【0032】
PLC15には、タイヤ101にガス漏れが生じているか否かを判定するための閾値のデータが予め記憶されている。閾値は、反応ガスの濃度であってもよいし、電圧値であってもよい。PLC15は、ガス測定部16から送出された反応ガスの濃度(又は電圧値)と、上記の閾値とを比較し、タイヤ101にガス漏れが生じているか否かを判定する。
【0033】
前述のガス測定部16は、例えば反応ガスの濃度を表示する表示部を備えてよい。ガス測定部16の表示部には、例えばガスセンサ2から出力された電圧値が表示されてもよい。本実施形態では、ガス測定部16に電圧計17が接続されている。電圧計17には、ガスセンサ2から出力された電圧値が表示される。
【0034】
漏れ位置特定手段7は、前述の判定手段6が「タイヤ101にガス漏れが生じている」と判定した場合に、位置検出手段5によって検出されたガスセンサ2の位置(タイヤ101の外面に対するガスセンサ2の位置)と、ガスセンサ2において検出された反応ガスの濃度と、を対応付けて、タイヤ101においてガス漏れが生じている位置を特定する。本実施形態の漏れ位置特定手段7は、PLC15によって構成されている。
【0035】
本実施形態において、PLC15は、ガス漏れの有無に関わらず、ガスセンサ2の位置とガスセンサ2において検出された反応ガスの濃度とを対応付ける。対応付けたデータは、PC(パーソナルコンピュータ)18に送出され、PC18の記憶部に記憶されたり、PC18の表示部に表示されたりする。上記の対応付けたデータには、検査したタイヤ101を特定するデータ(例えば識別番号)が対応付けられてもよい。
【0036】
また、本実施形態において、PLC15は、タイヤ101においてガス漏れが生じている位置を特定した場合に、各種の周辺機器19に上記の対応付けたデータを送出してもよい。
周辺機器19は、例えば、後述する追加ガス漏れ検査装置50や、タイヤ101を良品(欠陥が無いタイヤ101)と不良品(欠陥があるタイヤ101)に振り分ける振分装置、タイヤ101を製造する各種の製造装置であってよい。周辺機器19が振分装置である場合、振分装置はPLC15から送出されたデータに基づいて、タイヤ101を効率よく良品と不良品に振り分けることができる。周辺機器19が各種の製造装置である場合、PLC15がタイヤ101におけるガス漏れ位置に関連する製造装置に上記の対応付けたデータを送出することで、該当する製造装置の早期改修を図ることができる。
【0037】
本実施形態のガス漏れ検査装置1は、
図4-7に示す追加ガス漏れ検査装置50と共に、ガス漏れ検査システムを構成する。
追加ガス漏れ検査装置50は、タイヤ101の外面の一部領域を覆って一部領域におけるガス漏れの有無を検査する。追加ガス漏れ検査装置50は、前述のガス漏れ検査装置1のガスセンサ2(以下、第一ガスセンサ2とも呼ぶ。)と同様の機能を有するガスセンサ51(以下、第二ガスセンサ51と呼ぶ。)を備える。
【0038】
第二ガスセンサ51は、ガス漏れ検査装置1の第一ガスセンサ2と同様のセンサ本体52と、センサ本体52の検出面54側に取り付けられるカバー部53と、を備える。センサ本体52は、検出面54がタイヤ101の外面に対向するように配される。カバー部53は、検出面54を囲む椀状に形成され、タイヤ101の外面の一部領域を覆う。カバー部53の開口端55(55A,55B)は、タイヤ101の外面に接触する。カバー部53の開口端55は、タイヤ101の外面との間に隙間が生じないように又は隙間が小さくなるように形成されているとよい。カバー部53の開口端55は、例えばゴムなどのように柔らかい材質によって形成されているとよい。
【0039】
本実施形態の追加ガス漏れ検査装置50には、
図4,5に例示する第一追加検査装置50Aと、
図6,7に例示する第二追加検査装置50Bと、がある。第一追加検査装置50Aの第二ガスセンサ51Aは、第二追加検査装置50Bの第二ガスセンサ51Bと比較して、カバー部53が覆うタイヤ101の外面の領域が大きい。
【0040】
図4,5に示す第一追加検査装置50Aの第二ガスセンサ51Aでは、カバー部53Aがタイヤ101の外面のうちタイヤ101の周方向の一部領域の全体を覆う。具体的に、カバー部53Aは、タイヤ101の周方向の一部においてタイヤ101の接地面102及びその両側に位置する一対の側面103,104を覆う。このため、第一追加検査装置50Aにおけるカバー部53Aは、タイヤ101の一方の側面103、接地面102及び他方の側面104の配列方向に延びる帯状に形成されている。
【0041】
第一追加検査装置50Aにおけるカバー部53Aは、例えば一方の側面103、接地面102及び他方の側面104の配列方向に弾性的に伸縮するように、蛇腹状に形成されたり、ゴム等の弾性材料によって形成されたりしてよい。この場合、カバー部53Aの弾性力によってカバー部53Aをタイヤ101に保持することができる。また、カバー部53Aを大きさが異なる複数種類のタイヤ101に対応させることもできる。
【0042】
図6,7に示す第二追加検査装置50Bの第二ガスセンサ51Bでは、カバー部53Bがタイヤ101の外面のうち小さな一部領域を覆う。具体的に、第二追加検査装置50Bにおけるカバー部53Bの開口端55Bは、開口端55Bに外力が作用していない状態で平坦に形成されている。すなわち、第二追加検査装置50Bにおけるカバー部53Bは、タイヤ101の外面のうち平坦又は湾曲が小さい領域を覆うように形成されている。
図6,7に例示するカバー部53Bの開口端55Bは円環状に形成されているが、例えば矩形環状など任意の環状に形成されてよい。
【0043】
追加ガス漏れ検査装置50は、上記の第二ガスセンサ51の他に、ガス漏れ検査装置1と同様のガス供給排出部4や位置検出手段5、判定手段6(
図1参照)等を備えてよい。また、追加ガス漏れ検査装置50は、ガス漏れ検査装置1と同様のPLC15、ガス測定部16、電圧計17、PC18(
図1参照)を備えてよい。追加ガス漏れ検査装置50におけるPLC15は、ガス漏れ検査装置1の場合と同様に、タイヤ101においてガス漏れが生じている位置を特定したデータを各種の周辺機器19(
図1参照)に送出してもよい。
【0044】
次に、本実施形態のガス漏れ検査システムを用いたガス漏れ検査方法について説明する。
本実施形態のガス漏れ検査方法では、はじめに、ガス漏れ検査装置1を用いてタイヤ101におけるガス漏れを検査する。本実施形態のガス漏れ検査装置1では、第一ガスセンサ2がタイヤ101の外面に沿って移動するように、タイヤ101をその軸線A1を中心に回転させる。このため、ガス漏れ検査装置1では、タイヤ101からガスが漏れ出している場合に、少なくともタイヤ101の周方向におけるガス漏れ位置(ガス漏れ領域)を特定することができる。
【0045】
その後、追加ガス漏れ検査装置50を用いてタイヤ101の外面の一部領域におけるガス漏れの有無を検査する。追加ガス漏れ検査装置50によるガス漏れの検査は、前述のガス漏れ検査装置1でガス漏れがあると判定されたタイヤ101に対してのみ行えばよい。追加ガス漏れ検査装置50(第二ガスセンサ51のカバー部53)によって覆うタイヤ101の外面の領域は、ガス漏れ検査装置1において特定されたガス漏れ位置のデータに基づいて決めることができる。これにより、追加ガス漏れ検査装置50を用いたガス漏れ検査を効率よく行うことができる。また、追加ガス漏れ検査装置50では、タイヤ101におけるガス漏れ位置をより詳細に特定することができる。
【0046】
本実施形態において、追加ガス漏れ検査装置50を用いてタイヤ101のガス漏れを検査する際には、はじめに、第一追加検査装置50Aを用いてタイヤ101の周方向におけるガス漏れ位置(ガス漏れ領域)をより詳細に特定する。この際、タイヤ101の周方向における第一追加検査装置50Aの第二ガスセンサ51Aの位置を変えながら、第二ガスセンサ51Aで覆ったタイヤ101の外面の領域におけるガス漏れの有無を検査すればよい。
その後、第二追加検査装置50Bを用いてタイヤ101の一方の側面103、接地面102及び他方の側面104の配列方向におけるガス漏れ位置をさらに詳細に特定する。この際、第一追加検査装置50Aでガス漏れが検出されたタイヤ101の外面の領域内で、第二追加検査装置50Bの第二ガスセンサ51Bの位置を変えながら、第二ガスセンサ51Bで覆ったタイヤ101の外面の領域におけるガス漏れの有無を検査すればよい。
【0047】
以上説明したように本実施形態のガス漏れ検査装置1では、ガスセンサ2がタイヤ101の外面に沿って移動するように、タイヤ101とガスセンサ2とが相対的に移動しながら、ガスセンサ2によりタイヤ101から漏れ出したガスを検出できる。このため、人為的ミスを生じることなく、タイヤ101におけるガス漏れ位置を短時間で容易に把握することができる。
【0048】
また、本実施形態のガス漏れ検査装置1では、タイヤ101とガスセンサ2とがタイヤ101の軸線A1を中心として相対的に移動する。このため、タイヤ101の周方向におけるガス漏れ位置を短時間で容易に把握することができる。
【0049】
また、本実施形態のガス漏れ検査装置1では、タイヤ101がその軸線A1を中心として回転する。このため、ガスセンサ2をタイヤ101に対して移動させる場合と比較して、タイヤ101とガスセンサ2との相対的な移動を実現する移動手段3の構成を単純化できる。これにより、ガス漏れ検査装置1の製造コスト削減や小型化を図ることができる。
【0050】
また、本実施形態のガス漏れ検査装置1では、ガスセンサ2が軸線A1を中心とするタイヤ101の周方向に間隔をあけて複数配列されている。このため、タイヤ101の周方向において一つのガスセンサ2によって検査する領域を小さくすることができる。したがって、ガスセンサ2がタイヤ101の周方向に一つだけ配される場合と比較して、タイヤ101の移動量(回転角度)を小さく抑えて、タイヤ101の外面全体(周方向全体)をより短い時間で検査することができる。
【0051】
また、本実施形態のガス漏れ検査装置1によれば、位置検出手段5と、判定手段6と、漏れ位置特定手段7と、を備える。これにより、タイヤ101の周方向におけるガス漏れ位置を確実に特定することができる。
【0052】
また、本実施形態のガス漏れ検査装置1では、ガスセンサ2が、ガスを検出するセンサ本体11と、センサ本体11よりも広い面積の開口を有する拡張部12と、を備える。このため、ガスセンサ2は、センサ本体11(例えば検出面13)が小さくても、センサ本体11よりも広い範囲でタイヤ101におけるガス漏れを検出することができる。
【0053】
また、本実施形態のガス漏れ検査装置1では、ガスセンサ2がタイヤ101の両方の側面103,104に対向して配されている。このため、ガスセンサ2がタイヤ101の一方の側面103のみに対向して配される場合と比較して、より短い時間でタイヤ101の外面全体を検査することができる。
【0054】
また、本実施形態のガス漏れ検査装置1において、タイヤ101が回転することに加え、ガスセンサ2がタイヤ101の外面に沿ってタイヤ101の径方向や軸方向に移動する場合には、より少ない数のガスセンサ2によってタイヤ101の外面全体を検査することができる。また、大きさが異なる複数種類のタイヤ101の漏れ検査を簡単に行うことができる。
【0055】
また、本実施形態のガス漏れ検査装置1は、ガス供給排出部4を備える。このため、ガスセンサ2によるタイヤ101のガス漏れの検査中であっても、タイヤ101内にガスを供給して、タイヤ101の欠陥から外部に漏れ出すガスの量(単位時間あたりのガスの流量)が低下することを防止又は抑制できる。また、タイヤ101内におけるガスの圧力を高めて、タイヤ101から漏れ出すガスの量を増やすことで、ガスセンサ2によるガス漏れの検出を短時間で行うことも可能となる。
【0056】
また、本実施形態のガス漏れ検査システム及びガス漏れ検査方法によれば、ガス漏れ検査装置1を用いてタイヤ101全体におけるガス漏れを検査した後、ガス漏れ検査装置1におけるタイヤ101のガス漏れの検査結果に基づいて、追加ガス漏れ検査装置50を用いてタイヤ101の一部領域におけるガス漏れを検査できる。これにより、タイヤ101におけるガス漏れ位置を効率よくかつ厳密に特定することが可能となる。
【0057】
また、本実施形態のガス漏れ検査装置1や追加ガス漏れ検査装置50では、ガスセンサ2,51によってタイヤ101から漏れ出したガスを検出する。このため、タイヤ101に水分等の付着物を残すことなくタイヤ101のガス漏れを検査することができる。すなわち、ガス漏れの検査後にタイヤ101を乾燥させることなく、効率よくタイヤ101の欠陥を修理することができる。タイヤ101の修理は、従来周知の修理キットや部材を用いて行うことができる。タイヤ101の修理は、例えば人手によって行われてもよいし、例えばロボットによって行われてもよい。
【0058】
また、本実施形態のガス漏れ検査装置1や追加ガス漏れ検査装置50において、タイヤ101に充填される反応ガスとして粘性が低いガス(例えば空気よりも粘性が低いガス)を選択した場合には、粘性が高いガス(例えば空気)と比較して、タイヤ101に充填されたガスがタイヤ101から外部に漏れる量(ガスの流量)が大きくなる。このため、タイヤ101におけるより微細な欠陥をガスセンサ2,51によってより簡単に検出することが可能となる。
【0059】
また、本実施形態のガス漏れ検査装置1やガス漏れ検査システムでは、前述したように短時間でタイヤ101のガス漏れを検出できる。このため、ガス漏れ検査装置1及びガス漏れ検査システムをタイヤ101の製造ラインに組み込むことも可能となる。
【0060】
〔第二実施形態〕
次に、
図8,9を参照して本発明の第二実施形態について説明する。本実施形態では、第一実施形態と同様の構成要素について同一符号を付す等して、その説明を省略する。
【0061】
図8,9に示すように、本実施形態のガス漏れ検査装置1Dは、第一実施形態のガス漏れ検査装置1と同様に、ガスセンサ2Dと、移動手段3と、を備える。本実施形態のガスセンサ2Dは、第一実施形態のガスセンサ2(第一ガスセンサ2)のセンサ本体11(
図3参照)と同様に構成されている。移動手段3は、第一実施形態と同様の回転駆動部3Aである。
また、本実施形態のガス漏れ検査装置1Dは、第一実施形態と同様のガス供給排出部4や、位置検出手段5、判定手段6、漏れ位置特定手段7を備える。
【0062】
本実施形態のガス漏れ検査装置1Dは、タイヤ101を収容する収容部8Dを備える。収容部8Dは、例えば収容部8D内の空間を外部に対して密閉するように構成されてもよいし、多少の空気が収容部8Dの内外に流通するように構成されてもよい。
【0063】
収容部8Dは、例えばタイヤ101全体を囲むように構成されてもよい。本実施形態の収容部8Dは、ベース面21D上に配されたタイヤ101を上方から覆うフード22Dによって構成されている。ベース面21D側に開口するフード22Dの開口端は、図示例のようにベース面21Dとの間に隙間なく密着してもよいが、例えばベース面21Dとの間に多少の隙間を有してベース面21Dに接触してもよい。本実施形態において、フード22Dは、ベース面21Dから持ち上げることができるようにベース面21D上に配される。
【0064】
タイヤ101は、その軸線A1がベース面21Dに直交するように収容部8D内に配される。回転駆動部3Aは、例えば収容部8Dの外側に配されてもよいが、本実施形態ではタイヤ101と共に収容部8Dに収容される。
【0065】
ガスセンサ2Dは、その検出面13Dが収容部8D内に向くようにフード22Dに取り付けられている。本実施形態において、ガスセンサ2Dは、その検出面13Dが収容部8D内に配されたタイヤ101の一方の側面103に対向するようにフード22Dに取り付けられている。ガスセンサ2Dは、例えばその検出面13Dが収容部8D内に配されたタイヤ101の接地面102に対向するように配されてもよい。また、ガスセンサ2Dは、例えばその検出面13Dがタイヤ101の他方の側面104に対向するようにベース面21D上に配されてもよい。
【0066】
ガスセンサ2Dは、第一実施形態の第一ガスセンサ2と同様に、タイヤ101の軸線A1を中心とするタイヤ101の周方向に間隔をあけて複数配列されている。本実施形態において、ガスセンサ2Dはタイヤ101の周方向に四つ配列されている。
【0067】
以上のように構成される本実施形態のガス漏れ検査装置1Dでは、第一実施形態のガス漏れ検査装置1と同様に、ガスセンサ2Dがタイヤ101の外面に沿って移動するように、タイヤ101がその軸線A1を中心に回転する。このため、ガス漏れ検査装置1Dでは、少なくともタイヤ101の周方向におけるガス漏れ位置(ガス漏れ領域)を特定することができる。
【0068】
本実施形態のガス漏れ検査装置1Dは、第一実施形態と同様の追加ガス漏れ検査装置50(
図4-7参照)と共に、ガス漏れ検査システムを構成してよい。
【0069】
以上説明したように、本実施形態のガス漏れ検査装置1Dによれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。
また、本実施形態のガス漏れ検査装置1Dによれば、タイヤ101が収容部8Dに収容されている。このため、タイヤ101の外面からガスセンサ2Dの検出面13Dに至る距離が長くても、タイヤ101周囲の雰囲気(例えば風)の影響を受けることなく、ガスセンサ2Dによってタイヤ101から漏れ出すガスを効率よくまた確実に検出することができる。
【0070】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0071】
1,1D…ガス漏れ検査装置、2,2D…ガスセンサ、3…移動手段、3A…回転駆動部、4…ガス供給排出部、5…位置検出手段、6…判定手段、7…漏れ位置特定手段、11…センサ本体(検出部)、12…拡張部、50…追加ガス漏れ検査装置、50A…第一追加検査装置、50B…第二追加検査装置、51,51A,51B…第二ガスセンサ、100…検査対象物、101…タイヤ、102…接地面(外面)、103,104…側面(外面)、105,106…蓋部、A1…タイヤ101の軸線